(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6452905
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】エレベーター遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20190107BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20190107BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
B66B5/00 G
G08B25/04 B
H04Q9/00 301C
H04Q9/00 321C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-532803(P2018-532803)
(86)(22)【出願日】2018年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2018008023
【審査請求日】2018年6月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】松枝 豊
(72)【発明者】
【氏名】井上 淳
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−005668(JP,A)
【文献】
特開2002−344645(JP,A)
【文献】
特開2014−234255(JP,A)
【文献】
特開平04−286441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
G08B 25/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれエレベーター装置を制御する複数のエレベーター制御システムと、
それぞれが独立して設けられる複数のサーバーと、
前記複数のサーバーに個別に対応して設けられ、それぞれが各エレベーター制御システムと監視回線を介して通信する複数の通信装置と、
を備え、
前記複数のサーバーのそれぞれは、対応する前記通信装置によって各エレベーター制御システムと通信し、
前記複数のサーバーは、監視サーバーと、前記監視サーバーと独立して設けられる制御サーバーとによって構成され、
前記複数の通信装置は、前記監視サーバーに対応する第1の通信装置と、前記制御サーバーに対応する第2の通信装置とによって構成され、
前記監視サーバーは、対応する前記第1の通信装置によって各エレベーター制御システムから監視情報を受信し、
前記制御サーバーは、対応する前記第2の通信装置によって各エレベーター制御システムに制御情報を送信し、
前記監視サーバー、前記制御サーバー、前記第1の通信装置および前記第2の通信装置は、1つの情報センター内に設けられる
エレベーター遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの遠隔監視、エレベーターの遠隔制御等を実現可能に構成されたエレベーター遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター遠隔監視システム(例えば、特許文献1〜3参照)は、情報センター側とエレベーター側とを電話回線等によって通信接続することで、情報センター側から、エレベーターの遠隔監視、エレベーターの遠隔制御等を実現可能に構成されている。
【0003】
一般的な情報センターには、エレベーターを遠隔監視するためのデータをエレベーター側から受信する監視サーバーと、エレベーターを遠隔制御するためのデータをエレベーター側に送信する制御サーバーとが設けられている。また、このような情報センターでは、監視サーバーと制御サーバーとで通信装置が共用される。すなわち、監視サーバーおよび制御サーバーのそれぞれは、共通の通信装置によって、エレベーター側と通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−013936号公報
【特許文献2】特開2016−190728号公報
【特許文献3】特開2016−190720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のエレベーター遠隔監視システムにおいて、遠隔監視対象となるエレベーターの数の増加、エレベーターの機能の高度化、エレベーターの制御プログラムの複雑化等が進むにつれて、情報センター側の通信負荷がますます増大することが考えられる。
【0006】
ここで、情報センターには、エレベーター側と通信する複数のサーバー、具体的には上述した監視サーバーおよび制御サーバーが設けられている。
【0007】
監視サーバーは、エレベーター側からデータを定期的に受信するように構成されているので、監視サーバーの通信量が安定し、その通信量をある程度見積もることが可能である。一方、制御サーバーは、保守員等からの要求に従って、エレベーター側にデータを送信するように構成されているので、制御サーバーの通信量が変動する。したがって、制御サーバーの通信量が変動して想定よりも増加した場合、監視サーバーと制御サーバーとで通信装置が共用されているので、監視サーバーがエレベーター側と通信する際にエレベーター側との間に通信遅延が生じる可能性がある。また、情報センターに設けられる上述の通信装置へのアクセスが集中した場合、監視サーバーおよび制御サーバーのそれぞれとエレベーター側との間に通信遅延が生じる可能性がある。
【0008】
このように、情報センターに設けられる複数のサーバーでは、通信装置が共用されているので、複数のサーバーのそれぞれとエレベーター側との間に通信遅延が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、エレベーター側と通信する複数のサーバーのそれぞれとエレベーター側との間の通信遅延の抑制を図ったエレベーター遠隔監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるエレベーター遠隔監視システムは、それぞれエレベーター装置を制御する複数のエレベーター制御システムと、それぞれが独立して設けられる複数のサーバーと、複数のサーバーに個別に対応して設けられ、それぞれが各エレベーター制御システムと監視回線を介して通信する複数の通信装置と、を備え、複数のサーバーのそれぞれは、対応する通信装置によって各エレベーター制御システムと通信
し、複数のサーバーは、監視サーバーと、監視サーバーと独立して設けられる制御サーバーとによって構成され、複数の通信装置は、監視サーバーに対応する第1の通信装置と、制御サーバーに対応する第2の通信装置とによって構成され、監視サーバーは、対応する第1の通信装置によって各エレベーター制御システムから監視情報を受信し、制御サーバーは、対応する第2の通信装置によって各エレベーター制御システムに制御情報を送信し、監視サーバー、制御サーバー、第1の通信装置および第2の通信装置は、1つの情報センター内に設けられるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エレベーター側と通信する複数のサーバーのそれぞれとエレベーター側との間の通信遅延の抑制を図ったエレベーター遠隔監視システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるエレベーター遠隔監視システムを示す構成図である。
【
図2】比較例に相当するエレベーター遠隔監視システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるエレベーター遠隔監視システムを、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
実施の形態1.
まず、後述する実施の形態1におけるエレベーター遠隔監視システムとの比較例に相当するエレベーター遠隔監視システムについて、
図2を参照しながら説明する。
図2は、比較例に相当するエレベーター遠隔監視システムを示す構成図である。
【0015】
図2に示すエレベーター遠隔監視システムは、複数のビル1に個別に設けられるエレベーター2と、遠隔に設けられ、各ビル1のエレベーター2を管理する情報センター3Aと、エレベーター2と情報センター3Aとの間を通信接続する監視回線4とを備える。なお、監視回線4としては、例えば、電話回線、IP(Internet Protocol)回線等を用いることができる。
【0016】
エレベーター2は、エレベーター装置21と、制御装置22および監視装置23を有するエレベーター制御システム24とを備える。上述したとおり、エレベーター2は、複数のビル1に個別に設けられる。したがって、エレベーター遠隔監視システムでは、それぞれエレベーター装置21を制御する複数のエレベーター制御システム24が存在する。
【0017】
制御装置22には、エレベーター装置21の動作を制御するための制御データが設定されている。ここで、制御データは、制御装置22がエレベーター装置21の動作を制御する際に用いるデータであり、具体的には、例えば、制御プログラム、制御パラメーター等である。
【0018】
制御装置22は、設定されている制御データに従ってエレベーター装置21の動作を制御する。具体的には、制御装置22は、例えば、エレベーターの巻上機の動作、エレベーターの乗りかごのドアの動作等をエレベーターの動作として制御する。
【0019】
監視装置23は、制御装置22と通信可能に接続されるとともに、監視回線4を介して情報センター3Aと通信可能に接続される。監視装置23は、エレベーター装置21の状態を監視し、その監視結果を監視情報として情報センター3Aに定期的に送信する。また、監視装置23は、エレベーター装置21に異常が発生した場合には、その異常を報知するための発報信号を監視情報として情報センター3Aに送信する。
【0020】
監視装置23は、情報センター3Aから後述する制御情報を受信した場合には、その制御情報を制御装置22に送信する。
【0021】
情報センター3Aは、通信装置31Aと、監視サーバー32Aと、監視サーバー32Aと独立して設けられる制御サーバー33Aと、操作端末34Aとを備える。
【0022】
通信装置31Aは、データを送受信する機能を有し、監視回線4を介してエレベーター制御システム24の監視装置23と通信する。
【0023】
監視サーバー32Aは、監視装置23から送信される監視情報を通信装置31Aによって受信する。
【0024】
制御サーバー33Aは、後述する操作端末34Aからの要求、あるいは指定のスケジュールに従って、制御情報を通信装置31Aによって監視装置23に送信する。ここで、制御情報は、制御装置22の制御に関する情報であり、具体的には、例えば、制御装置22に設定するための制御データ、制御装置22にすでに設定されている旧制御データを更新するための更新用の制御データ、エレベーター装置21の異常の有無を診断する診断運転を行うように制御装置22に指令する指令信号等である。
【0025】
操作端末34Aは、保守員等が操作可能に構成されており、保守員等の操作に従って、制御情報を監視装置23に送信するように制御サーバー33Aに要求する。
【0026】
このように、
図2に示すエレベーター遠隔監視システムの構成では、監視サーバー32Aと制御サーバー33Aとで通信装置31Aが共用されている。したがって、上述したとおり、情報センター3Aに設けられる監視サーバー32Aおよび制御サーバー33Aのそれぞれとエレベーター側との間の通信遅延が生じる可能性がある。
【0027】
そこで、実施の形態1においては、上述の新しく着目した課題を解決すべく、情報センターに設けられる監視サーバーおよび制御サーバーのそれぞれとエレベーター側との間の通信遅延の抑制を図ることができるエレベーター遠隔監視システムを提供する。
【0028】
次に、本実施の形態1におけるエレベーター遠隔監視システムについて、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるエレベーター遠隔監視システムを示す構成図である。なお、以下、上述した比較例と同様である点の説明を省略し、比較例と異なる点を中心に説明する。
【0029】
図1に示すエレベーター遠隔監視システムは、複数のビル1に個別に設けられるエレベーター2と、遠隔に設けられ、各ビルのエレベーター2を管理する情報センター3と、エレベーター2と情報センター3との間を通信接続する監視回線4とを備える。
【0030】
情報センター3は、通信装置35および監視サーバー32を有するセンター側監視システム37と、通信装置36、制御サーバー33および操作端末34を有するセンター側制御システム38とを備える。センター側監視システム37と、センター側制御システム38とは独立して設けられる。
【0031】
通信装置35は、データを送受信する機能を有し、監視回線4を介してエレベーター制御システム24の監視装置23と通信する。監視サーバー32は、監視装置23から送信される監視情報を通信装置35によって受信する。
【0032】
通信装置36は、データを送受信する機能を有し、監視回線4を介してエレベーター制御システム24の監視装置23と通信する。制御サーバー33は、後述する操作端末34からの要求、あるいは指定のスケジュールに従って、制御情報を通信装置36によって監視装置23に送信する。
【0033】
このように、情報センター3では、2つの通信装置(すなわち、通信装置35および通信装置36)が2つのサーバー(すなわち、監視サーバー32および制御サーバー33)に個別に対応して設けられる。
【0034】
つまり、センター側監視システム37では、通信装置35は、監視サーバー32に対応して設けられ、各ビル1のエレベーター制御システム24と監視回線4を介して通信する。これにより、監視サーバー32は、対応する通信装置35によって各ビル1のエレベーター制御システム24と通信することとなる。
【0035】
センター側制御システム38では、通信装置36は、制御サーバー33に対応して設けられ、各ビル1のエレベーター制御システム24と監視回線4を介して通信する。これにより、制御サーバー33は、対応する通信装置36によって各ビル1のエレベーター制御システム24と通信することとなる。
【0036】
操作端末34は、保守員等が操作可能に構成されており、保守員等の操作に従って、制御情報を監視装置23に送信するように制御サーバー33に要求する。
【0037】
このように、
図1に示すエレベーター遠隔監視システムの構成では、監視サーバー32と制御サーバー33とで、通信装置が共用されることなく、個別の通信装置が使用される。したがって、制御サーバー33の通信量が変動して想定よりも増加した場合であっても、監視サーバー32は、制御サーバー33に対応して設けられた通信装置36とは別の通信装置35によって監視装置23と通信することができる。その結果、監視サーバー32とエレベーター2側との間の通信遅延の抑制を図ることができる。
【0038】
また、監視サーバー32と制御サーバー33とに個別に対応して通信装置35と通信装置36とが設けられているので、情報センター3へのアクセスが集中した場合であっても、通信負荷を分散させることができる。
【0039】
なお、実施の形態1では、情報センター3にそれぞれが独立して設けられる複数のサーバーの一例として、複数のサーバーは、監視サーバー32と、監視サーバー32と独立して設けられる制御サーバー33とによって構成される場合を例示している。ただし、上述した例に限定されず、複数のサーバーの各サーバーは、対応する通信装置によって各エレベーター制御システム24と通信するのであれば、どのようなサーバーであってもよい。
【0040】
また、監視サーバー32および制御サーバー33のそれぞれの数は、1つであってもよいし複数であってもよい。監視サーバー32の数が複数である場合、複数の監視サーバー32に個別に対応して通信装置が設けられ、各監視サーバー32は、対応する通信装置によって各エレベーター制御システム24と通信するように構成される。制御サーバー33の数が複数である場合も同様である。
【0041】
また、実施の形態1では、監視サーバー32と、監視サーバー32と独立して設けられる制御サーバー33との両方が情報センター3に設けられる構成を例示したが、これに限定されない。すなわち、制御サーバー33は、必ずしも情報センター3に設けられていなくてもよく、例えば、情報センター3とは別の地域の施設に設けられていてもよい。また、情報センター3の数は、1つであってもよいし複数であってもよい。情報センター3の数が複数である場合、複数の情報センター3は、複数の地域に分散して設けられる。
【0042】
以上、本実施の形態1によれば、エレベーター遠隔監視システムは、それぞれエレベーター装置を制御する複数のエレベーター制御システムと、それぞれが独立して設けられる複数のサーバーと、複数のサーバーに個別に対応して設けられ、それぞれが各エレベーター制御システムと監視回線を介して通信する複数の通信装置とを備えて構成されている。さらに、複数のサーバーのそれぞれは、対応する通信装置によって各エレベーター制御システムと通信するように構成されている。
【0043】
これにより、エレベーター側と通信する複数のサーバーの各サーバーは、通信装置を共有することなく、個別に対応する通信装置を使用することができる。したがって、エレベーター側と通信する複数のサーバーのそれぞれとエレベーター側との間の通信遅延の抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ビル、2 エレベーター、3A,3 情報センター、4 監視回線、21 エレベーター装置、22 制御装置、23 監視装置、24 エレベーター制御システム、31A 通信装置、32A,32 監視サーバー、33A,33 制御サーバー、34A,34 操作端末、35 通信装置(第1の通信装置)、36 通信装置(第2の通信装置)、37 センター側監視システム、38 センター側制御システム。
【要約】
エレベーター遠隔監視システムは、それぞれエレベーター装置を制御する複数のエレベーター制御システムと、それぞれが独立して設けられる複数のサーバーと、複数のサーバーに個別に対応して設けられ、それぞれが各エレベーター制御システムと監視回線を介して通信する複数の通信装置と、を備え、複数のサーバーのそれぞれは、対応する通信装置によって各エレベーター制御システムと通信するように構成されている。