(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の従来技術では、複数のトランジスタスイッチが存在する場合に、個々のトランジスタスイッチに対して過熱防止エレメントを設けなければならず、制御装置全体の構成が複雑になるという問題があった。また、複数のトランジスタスイッチと複数の過熱防止エレメントとを同じ基板上に配置しようとすると、基板の面積を増大させてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、プリント基板上に、抵抗性負荷をハイサイド駆動するための半導体スイッチを含むICパッケージであるスイッチICが配置された制御装置が提供される。この制御装置は、前記プリント基板上に、複数のスイッチICが配置されており、また、前記複数のスイッチICに共通に接続され、温度上昇に応じて前記複数のスイッチICの電流を遮断又は制限する機能を有する受動素子を含む過熱防止部品が設けられている。前記複数のスイッチICは、個々のスイッチICと前記過熱防止部品との間に他のスイッチICが存在しない位置関係で配置されている。
この構成によれば、どのスイッチICに故障が発生しても、過熱防止部品によってそのスイッチICの過熱をほぼ同程度に防止することが可能である。また、1つの過熱防止部品が複数のスイッチICの過熱防止を担当するので、制御装置全体の構成を単純化することができ、更に、プリント基板の面積を過度に増大させることが無い。
【0008】
(2)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、前記過熱防止部品の長手方向の寸法をL1とし、前記スイッチICの長手方向の寸法をL2とすると、前記複数のスイッチICは、個々のスイッチICの中心が、前記過熱防止部品の中心を中心とする半径(0.5・L1+1.5・L2)の円の中に存在するように配置されていてもよい。
この構成によれば、個々のスイッチICと過熱防止部品との間の距離が短い範囲に限定されるので、個々のスイッチICの過熱をより確実に防止することが可能である。
【0009】
(3)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、個々のスイッチICの外周と前記過熱防止部品の外周との間の最短距離が、前記スイッチICの長手方向の寸法よりも小さくなるように配置してもよい。
この構成によれば、個々のスイッチICと過熱防止部品との間の距離が更に短い範囲に限定されるので、個々のスイッチICの過熱を更に確実に防止することが可能である。
【0010】
(4)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、個々のスイッチICの中心と前記過熱防止部品の中心との間の距離である中心間距離が、前記複数のスイッチICに関する前記中心間距離の平均値の±30%以内にあるように配置してもよい。
この構成によれば、個々のスイッチICの過熱を同程度に防止することが可能である。
【0011】
(5)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、前記複数のスイッチICの中心が、前記過熱防止部品の中心から等しい位置に配置されているものとしてもよい。
この構成によれば、個々のスイッチICの過熱を同等に防止することが可能である。
【0012】
(6)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、前記複数のスイッチICは、前記過熱防止部品を中心とする回転対称又は線対称の位置に配置してもよい。
この構成によれば、過熱防止部品に対する複数のスイッチICの位置関係を均一にできるので、個々のスイッチICの過熱防止効果も均一にできる。
【0013】
(7)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とは、前記プリント基板の第1の面の上に配置されており、前記過熱防止部品は、前記複数のスイッチICの間に挟まれた位置に配置されていてもよい。
この構成によれば、複数のスイッチICの間に挟まれた位置に存在する過熱防止部品を用いて、個々のスイッチICの過熱をほぼ同程度に防止することが可能である。
【0014】
(8)上記制御装置において、前記複数のスイッチICと前記過熱防止部品とを前記プリント基板の厚み方向に投影して見たときに、前記過熱防止部品の外形と、個々のスイッチICの外形とが部分的に重なる位置関係で配置されていてもよい。
この構成によれば、個々のスイッチICから過熱防止部品までの距離を短くすることができるので、スイッチICの過熱を更に効果的に防止できる。
【0015】
(9)上記制御装置において、前記複数のスイッチICは、前記プリント基板の第1の面の上に配置されており、前記過熱防止部品は、前記プリント基板の第2の面の上に配置されていてもよい。
この構成によれば、配置の自由度が高まり、また、プリント基板の面積を小さく抑えることが可能である。
【0016】
(10)上記制御装置において、前記受動素子は、遮断電流が200A以上の温度ヒューズであるものとしてもよい。
この構成によれば、抵抗性負荷に流れる大電流を許容しつつ、スイッチICの過熱防止を実現することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、制御装置、制御装置の製造方法、電子部品の配置方法等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.制御装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態としての制御装置100を示す平面図である。この制御装置100は、自動車用の抵抗性負荷(例えばグロープラグ)を制御するための装置として構成されている。この制御装置100は、プリント基板150上に、電源回路110と、コントローラIC120と、2つのスイッチIC130と、温度ヒューズ140とが配置された構成を有する。温度ヒューズ140は、2つのスイッチIC130の間に挟まれた位置に配置されている。なお、制御装置100は、これら以外の電子部品や、配線パターン、及び、各種の端子を有しているが、
図1では図示が省略されている。
【0020】
電源回路110とコントローラIC120とスイッチIC130とは、いずれもICパッケージで構成された電子部品である。また、
図1の例では、4種類の部品110,120,130,140は、表面実装型のパッケージとして構成されている。スイッチIC130は、半導体スイッチを含むICパッケージである。但し、スイッチIC130としては、半導体スイッチ(例えばFET)の他に、半導体スイッチの制御回路(例えばFETゲート駆動回路)や過熱保護回路を含むIPD(Intelligent Power Device)と呼ばれるICパッケージを利用することが好ましい。
【0021】
図1の例において、温度ヒューズ140の長手方向の寸法はL1であり、短手方向(幅方向)の寸法はW1である。また、スイッチIC130の長手方向の寸法はL2であり、短手方向(幅方向)の寸法はW2である。更に、通常はL1<L2及びW1<W2である。これらの寸法は、それぞれのパッケージのモールド部とリード線の両方を含む全体の外形に対する値である。
【0022】
図2は、
図1に示した制御装置100の回路構成を示すブロック図である。プリント基板150上には、電源入力端子151と、負荷接続端子152と、シグナルグランド端子153とが設けられている。電源入力端子151には、外部のバッテリ200から一定の外部電源電圧Vb(直流電圧)が与えられる。この外部電源電圧Vbは、外部電源供給用の配線パターン161を介して、電源回路110と温度ヒューズ140とに供給される。
【0023】
電源回路110は、外部電源電圧Vbから、コントローラIC120やスイッチIC130内の制御回路(図示せず)に供給する制御電源電圧Vcを作り出す。この制御電源電圧Vcは、電源供給用の配線パターン171を介してプリント基板150上に配置された各種の制御回路に供給される。コントローラIC120を含む各種の回路は、シグナルグランド用の配線パターン172を介して、プリント基板150のシグナルグランド端子153に電気的に接続されている。この配線パターン172は、各種の回路をシグナルグランドSGに接続するための配線であり、「シグナルグランド接続配線172」とも呼ぶ。シグナルグランド接続配線172は、シグナルグランドSGとシグナルグランド接続配線172との間に受動素子や能動素子が存在せず、インピーダンスを無視し得る配線パターンのみを介してシグナルグランドSGに接続されている配線である。シグナルグランド端子153は、プリント基板150内又はプリント基板150外のシグナルグランドSGに接続されている。なお、シグナルグランドSGがプリント基板150内に設けられた配線パターンによって実現されている場合には、シグナルグランド端子153は省略してもよい。また、シグナルグランド接続配線172自身が、シグナルグランドSGとして機能する大きな配線パターンとして構成されていてもよい。
【0024】
温度ヒューズ140の出力端子は、電流経路用の第1の配線パターン162を介して、2つのスイッチIC130の電流入力端子に電気的に接続されている。この配線パターン162は、スイッチIC130内の半導体スイッチ131のハイサイド(高電圧側)の電流経路パターンに相当する。2つのスイッチIC130の電流出力端子は、電流経路用の第2の配線パターン163を介して、プリント基板150の負荷接続端子152に電気的に接続されている。この配線パターン163は、スイッチIC130内の半導体スイッチ131のローサイド(低電圧側)の電流経路パターンに相当する。負荷接続端子152は、自動車の抵抗性負荷300(例えばグロープラグ)の入力端子に接続され、抵抗性負荷300の出力端子は接地されている。この構成では、スイッチIC130の半導体スイッチ131は、抵抗性負荷300をハイサイド駆動するために使用されている。なお、スイッチIC130を、3つ以上並列に設けてもよい。
【0025】
コントローラIC120は、制御信号Sv1,Sv2を2つのスイッチIC130に供給することによって、2つの半導体スイッチ131のオン/オフを制御し、これに応じて抵抗性負荷300のオン/オフを制御する。なお、スイッチIC130が半導体スイッチ131を制御するためのFETゲート駆動回路を含んでいる場合には、コントローラIC120から与えられる制御信号Sv1,Sv2は、PWM制御のデューティを示す信号としてもよい。
【0026】
温度ヒューズ140は、スイッチIC130の過熱を防止するための受動素子141を含む過熱防止部品である。何等かの故障又は不具合によってスイッチIC130の温度が過度に上昇すると、温度上昇に応じて温度ヒューズ140内の電気的接続が切断されて、電流を遮断する。スイッチIC130から温度ヒューズ140への熱伝導は、主としてスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の配線パターン162を介して行われる。温度ヒューズ140の受動素子141としては、例えば、受動素子141の電気接点を接合しているハンダが温度上昇に応じて溶融した時に、バネ等の機械的応力を利用して電気接点が解放される構造を有するものを利用することが可能である。機械的応力を発生するバネとしては、コイルバネなどを利用可能である。但し、
図2では、図示の便宜上、温度ヒューズ140の受動素子141を単なる溶融ヒューズとして描いている。なお、本実施形態では、制御装置100の抵抗性負荷300としてグロープラグを用いているので、温度ヒューズ140としてはグロープラグ用の大電流を流すことが可能なものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、温度ヒューズ140の遮断電流(又は最大突入電流)を200A以上とすることが好ましい。こうすれば、1つの温度ヒューズ140を用いて、複数のスイッチICの過熱を防止することが可能である。
【0027】
図3は、スイッチICの温度変化の例を示す説明図である。
図3の横軸は時間であり、縦軸はスイッチICの温度である。実線のグラフは、正常動作時における温度変化の例を示している。本実施形態では、スイッチIC130内の制御回路が、半導体スイッチ131をPWM制御する。正常動作時には、PWM制御に応じて抵抗性負荷300に電流が流れると、スイッチIC130の温度も徐々に上昇するが、温度が過度に上昇することは無い。一点鎖線のグラフは、何等かの原因によって、スイッチIC130の温度が正常動作時に比べて早く上昇するが、スイッチIC130内部の過熱保護回路が働いて、過熱が防止される場合の温度変化を示している。破線のグラフは、スイッチIC130内の半導体スイッチ131がオン故障した場合の温度変化を示している。この場合には、スイッチIC130の温度が過度に上昇するので、温度ヒューズ140が溶断してスイッチIC130への電流が遮断される。
【0028】
上述した制御装置100では、1つの温度ヒューズ140が複数のスイッチIC130の過熱防止を担当するので、制御装置100全体の構成を単純化することができる。特に、
図2に示したように、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のハイサイドに共通に接続するようにすれば、更に以下のような利点がある。すなわち、いずれかのスイッチIC130の半導体スイッチ131が故障したときに、故障した半導体スイッチ131とシグナルグランド端子153との間に意図しない電流経路が形成されて過大な電流が流れる可能性がある。このような場合を想定しても、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のハイサイドに共通に接続しておけば、温度ヒューズ140の溶断によって、複数のスイッチIC130への大電流の電流経路を切断することができる。この結果、温度ヒューズ140によって、複数のスイッチIC130の電流を確実に遮断することが可能である。
【0029】
図4は、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のローサイドに共通に接続した他の制御装置100aの回路構成を示すブロック図である。
図2に示した制御装置100との差異は、温度ヒューズ140の接続位置だけであり、他の構成は
図2と同じである。
図4の制御装置100aにおいて、仮にいずれかのスイッチIC130の半導体スイッチ131が故障して、その半導体スイッチ131のハイサイドからシグナルグランド端子153に至る電流経路CPが形成されてしまう場合を想定する。この場合に、故障したスイッチIC130の温度上昇に応じて温度ヒューズ140が溶断しても、故障したスイッチIC130からシグナルグランド端子153に至る電流経路CPを遮断することができない。従って、このような電流経路CPが形成される場合にも温度ヒューズ140によって故障したスイッチIC130の電流を確実に遮断するためには、
図2に示したように、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のハイサイドに共通に接続することが好ましい。但し、このような電流経路CPの形成が現実的な問題とならないような場合には、
図4のように、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のローサイドに共通に接続してもよい。
【0030】
以上のように、上述した制御装置100,100aでは、1つの温度ヒューズ140が複数のスイッチIC130の過熱防止を担当するので、制御装置全体の構成を単純化することができ、また、プリント基板の面積を過度に増大させることが無いという利点がある。特に、温度ヒューズ140を複数のスイッチIC130のハイサイドに接続すれば、故障したスイッチIC130とシグナルグランド端子153との間に意図しない電流経路が形成されてしまう場合にも、スイッチIC130の電流を確実に遮断することが可能である。
【0031】
B.スイッチICと温度ヒューズの好ましい位置関係
図1に示したように、複数のスイッチIC130に共通する過熱保護部品として1つの温度ヒューズ140を用いる場合には、複数のスイッチIC130と温度ヒューズ140との相互の位置関係が重要になる。すなわち、個々のスイッチIC130の過熱を同程度に防止するためには、個々のスイッチIC130を温度ヒューズ140に可能な限り近接した位置に配置することが望ましい。例えば、個々のスイッチIC130の外周と温度ヒューズ140の外周との間の最短距離が、スイッチIC130の長手方向の寸法L2や幅方向の寸法W2よりも小さいことが好ましい。より具体的に言えば、個々のスイッチIC130の外周と温度ヒューズ140の外周との間の最短距離を15mm以下とすることが好ましく、10mm以下とすることがさらに好ましい。また、2つのスイッチIC130は、例えば、温度ヒューズ140を中心として左右対称に配置されることが好ましい。このように、個々のスイッチIC130を、温度ヒューズ140に対して同程度に近接した位置に配置すれば、どのスイッチIC130に故障が発生した場合にも、温度ヒューズ140の溶断によってそのスイッチIC130の過熱を同程度に防止することが可能である。なお、複数のスイッチIC130と温度ヒューズ140との相互の位置関係としては、以下に説明するように種々のものを採用することが可能である。
【0032】
図5は、スイッチIC130と温度ヒューズ140の好ましい配置条件の一例を示す説明図である。ここでは、以下の寸法を使用している。
(1)R1:温度ヒューズ140の外接円C1の半径
(2)R2:スイッチIC130の外接円C2の半径(通常はR1<R2)
(3)L1:温度ヒューズ140の長手方向の寸法
(4)L2:スイッチIC130の長手方向の寸法
(5)R3:半径(2・R2)で描いた円C3の半径
(6)R4:半径(0.5・L1+1.5・L2)で描いた円C4の半径
(7)D1,D2:温度ヒューズ140の中心140cから、個々のスイッチIC130の中心130cまでの距離(中心間距離)
【0033】
温度ヒューズ140の外接円C1は、温度ヒューズ140のモールド部とリード線の全体を含む外形に外接する最小の円である。温度ヒューズ140の中心140cは、この外接円C1の中心である。スイッチIC130の外接円C2と中心130cも同様である。円C3は、温度ヒューズ140の中心140cを中心とする円であって、スイッチIC130の外接円C2の半径R2の2倍の半径(2・R2)を有する円である。円C4は、温度ヒューズ140の中心140cを中心とする円であって、温度ヒューズ140の長手方向の寸法L1の1/2の値に、スイッチIC130の長手方向の寸法L2の1.5倍の値を加えた値の半径(0.5・L1+1.5・L2)を有する円である。
【0034】
図5において、個々のスイッチIC130は、その中心130cが、半径(0.5・L1+1.5・L2)を有する円C4の中に存在するように配置されていることが好ましい。こうすれば、個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の距離が、最大でも1つのスイッチIC130しか入らない程度の比較的短い距離となるので、個々のスイッチIC130の過熱を適切に防止することが可能である。
【0035】
また、個々のスイッチIC130は、その中心130cが、半径(2・R2)を有する円C3の中に存在するように配置されていることが更に好ましい。こうすれば、個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の距離が更に短い範囲に限定されるので、個々のスイッチIC130の過熱をより確実に防止することが可能である。
【0036】
なお、個々のスイッチIC130の中心130cが、
図5の円C4や円C3の中に存在するように配置されている場合に、温度ヒューズ140と個々のスイッチIC130との中心間距離D1,D2は、必ずしも互いに等しく設定する必要はない。但し、中心間距離D1,D2は、それらの平均値の±30%以内に収まるように設定されていることが好ましい。こうすれば、個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の距離のばらつきを小さくできるので、どのスイッチIC130に故障が発生した場合にも、その過熱を同程度に防止することが可能である。これは、スイッチIC130の個数が3個以上になった場合も同様である。個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の距離のばらつきや、位置関係のばらつきを小さく抑えるという意味では、複数のスイッチIC130の中心130cを、温度ヒューズ140の中心140cから等しい位置に配置することが好ましい。特に、複数のスイッチIC130を、温度ヒューズ140に対して線対称又は回転対称の位置に配置することが更に好ましい。
【0037】
図6は、2つのスイッチIC130を1つの温度ヒューズ140に対して線対称又は回転対称の位置に配置した例を示す説明図である。
図6(A)の例では、2つのスイッチIC130が、温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されている。また、2つのスイッチIC130が、温度ヒューズ140の中心140cを中心とした180°の回転対称の位置に配置されている。なお、線対称配置や回転対称配置は、少なくともスイッチIC130の中心130cが、温度ヒューズ140の中心140cに対して線対称や回転対称であれば良く、スイッチIC130の全体が線対称や回転対称である必要はない。但し、
図6(A)の例では、スイッチIC130の全体が温度ヒューズ140の中心140cに対して線対称や回転対称である点で更に好ましい。
図6(B)では、2つのスイッチIC130が、温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されている。但し、
図6(B)では回転対称は成立しない。なお、
図6(A),(B)の配置例は、温度ヒューズ140が2つのスイッチIC130の間に挟まれた位置に配置されている点で、
図1に示した例と共通している。
【0038】
図7は、3つのスイッチIC130を1つの温度ヒューズ140に対して線対称又は回転対称の位置に配置した例を示す説明図である。
図7(A)の例では、3つのスイッチIC130の中心130cが、温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されているとともに、温度ヒューズ140の中心140cを中心とした120°の回転対称の位置に配置されている。
図7(B)では、3つのスイッチIC130が、温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されているが、回転対称は成立しない。
【0039】
図8は、4つのスイッチIC130を1つの温度ヒューズ140に対して線対称又は回転対称の位置に配置した例を示す説明図である。
図8(A)の例では、4つのスイッチIC130が、温度ヒューズ140の中心140cを通り互いに直交する2つの対称軸AS1,AS2に対してそれぞれ線対称の位置に配置されている。
図8(B)では、4つのスイッチIC130の中心130cが、温度ヒューズ140の中心140cに対して90°の回転対称の位置に配置されている。
【0040】
図9は、4つのスイッチIC130を2つの温度ヒューズ140に対して線対称の位置に配置した例を示す説明図である。
図9(A)の例では、中央に2つの温度ヒューズ140が配置されており、その左右にそれぞれ2つのスイッチIC130が配置されている。これらの4つのスイッチIC130は、2つの温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されている。
図9(B)では、2つのスイッチIC130のペアの中央に1つの温度ヒューズ140が配置されている。また、1つの温度ヒューズ140の両側に存在する2つのスイッチIC130は、温度ヒューズ140の中心140cを通る対称軸ASに対して線対称の位置に配置されている。
図9(A),(B)において、2つの温度ヒューズ140は、それぞれの両側にある2つのスイッチIC130の過熱防止を担当する。これらの場合には、
図2のブロック図において、電源入力端子151と負荷接続端子152の間に、1つの温度ヒューズ140と2つのスイッチIC130とで構成される組が、2組並列に接続された回路が形成される。
【0041】
上述した
図6〜
図9に示したように、複数のスイッチIC130を温度ヒューズ140に対して線対称又は回転対称の位置に配置すれば、個々のスイッチIC130に故障が発生した場合に、その過熱を同程度に防止する効果が得に顕著である。なお、このような線対称又は回転対称の配置を採用した場合にも、更に、
図1や
図5で説明したようなスイッチIC130と温度ヒューズ140との位置関係を満足することが好ましい。
【0042】
以上の各種の配置を考慮すると、スイッチIC130と温度ヒューズ140との配置は、以下の条件のうちの1つ以上を満足することが好ましい。
<配置条件1>
個々のスイッチIC130とその過熱防止を担当する温度ヒューズ140との間に他のスイッチIC130が存在しない位置関係にある(
図1、
図5〜
図9)。
<配置条件2>
個々のスイッチIC130の外周と温度ヒューズ140の外周との間の最短距離が、スイッチIC130の長手方向の寸法L2(
図1)よりも小さい。
<配置条件3>
個々のスイッチIC130の外周と温度ヒューズ140の外周との間の最短距離が、スイッチIC130の短手方向の寸法W2(
図1)よりも小さい。
<配置条件4>
個々のスイッチIC130の中心130cが、温度ヒューズ140の中心140cを中心とし、半径(0.5・L1+1.5・L2)を有する円C4の中に存在するように配置されている(
図5)。ここで、L1は温度ヒューズ140の長手方向の寸法、L2はスイッチIC130の長手方向の寸法である。
<配置条件5>
個々のスイッチIC130の中心130cが、温度ヒューズ140の中心140cを中心とし、半径(2・R2)を有する円C3の中に存在するように配置されている(
図5)。ここで、R2はスイッチIC130の外接円C2の半径である。
<配置条件6>
複数のスイッチIC130と温度ヒューズ140との中心間距離D1,D2…が、それらの平均値の±30%以内に収まるように配置されている(
図5)。
<配置条件7>
複数のスイッチIC130が、温度ヒューズ140を中心とする回転対称又は線対称の位置に配置されている(
図6〜
図9)。
<配置条件8>
個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間の最短距離が15mm以下又は10mm以下である。
なお、これらの配置条件1〜8は、いずれもスイッチIC130と温度ヒューズ140とをプリント基板150の厚み方向に投影して見たときの条件である。
【0043】
上記配置条件1に記載したように、複数のスイッチIC130を、個々のスイッチIC130と温度ヒューズ140との間に他のスイッチIC130が存在しない位置関係で配置すれば、どのスイッチIC130に故障が発生しても、温度ヒューズ140によって過熱をほぼ同程度に防止することが可能である。更に、上述した各種の配置条件2〜8の1つ又は2つ以上を満足するように配置すれば、個々のスイッチIC130の過熱を更に適切に防止することが可能である。
【0044】
C.他の実施形態
図10は、本発明の他の実施形態としての制御装置100bを示す平面図及び正面図である。
図1との差異は、
図10においては温度ヒューズ140がプリント基板150の裏面に配置されている点だけであり、他の構成は
図1に示したものと同じである。
図10の制御装置100bも、
図1の制御装置100とほぼ同等の効果を奏する。また、スイッチIC130と温度ヒューズ140とをプリント基板150の異なる面に配置するので、配置の自由度が高まり、また、プリント基板150の面積を小さく抑えることが可能である。
【0045】
図11は、本発明の更に他の実施形態としての制御装置100cを示す平面図及び正面図である。
図10との差異は、
図11の制御装置100cでは、2つのスイッチIC130同士が隣接するようにプリント基板150の上に配置されている点、及び、温度ヒューズ140aが2つのスイッチIC130のモールド部の上に接する状態で配置されている点、の2点だけであり、他の構成は
図10に示したものと同じである。温度ヒューズ140aのリード線142は、スイッチIC130を跨いだ状態でプリント基板150のパッドに接続されている。この温度ヒューズ140aは、いわゆるアキシャル部品である。
図11の制御装置100cも、
図1の制御装置100や
図10の制御装置100bとほぼ同等の効果を奏する。
【0046】
図12は、本発明の更に他の実施形態としての制御装置100dを示す平面図及び正面図である。
図11との差異は、
図12の制御装置100dでは、
図1で用いたものと同じ表面実装型の温度ヒューズ140が、プリント基板150の裏面に配置されている点だけであり、他の構成は
図11に示したものと同じである。
【0047】
図11及び
図12の実施形態では、複数のスイッチIC130と温度ヒューズ140a(又は140)とをプリント基板150の厚み方向に投影して見たときに、温度ヒューズ140a(又は140)の外形と、個々のスイッチIC130の外形とが部分的に重なるような位置関係で配置されている。こうすれば、スイッチIC130と温度ヒューズ140との空間的な距離が小さくなるので、個々のスイッチIC130の過熱をより効果的に防止することが可能である。
【0048】
図13は、本発明の更に他の実施形態としての制御装置100eの回路構成を示すブロック図である。
図2に示した制御装置100との違いは、
図13の制御装置100eでは、個々のスイッチIC130の出力端子が、プリント基板150に設けられた別々の負荷接続端子152を介して、別個の抵抗性負荷300に接続されている点だけであり、他の構成は
図2と同一である。このように、個々のスイッチIC130が、個別の抵抗性負荷300を駆動するために使用されていても良い。この場合にも、温度ヒューズ140が、複数のスイッチIC130に共通に接続されているので、複数のスイッチIC130の過熱防止を実行することが可能である。
【0049】
D.変形例
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0050】
・変形例1:
上記実施形態では、過熱防止部品として、温度上昇に応じて電流を遮断する機能を有する受動素子を含む温度ヒューズ140を使用したが、この代わりに、温度上昇に応じて電流を制限する機能を有する受動素子を含む過熱防止部品を利用しても良い。後者としては、例えば、PTCサーミスタを用いた過熱防止部品を利用することができる。但し、電流を遮断する機能を有する過熱防止部品を使用すれば、
図4で説明したような意図しない電流経路CPが形成された場合に、その電流経路CPを遮断できるという利点がある。