(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるIP電話システム8を示す概略の構成図である。
既存主装置2は、自身が収容している電話端末7−1〜7−4を公衆交換電話網9aやサービス総合ディジタル網9bなどに接続して使用させるものである。以下、各電話端末7−1〜7−4を区別しないときには、単に電話端末7と記載する。
既存主装置2は、PBX制御部21と、ISDN(Integrated Services Digital Network)インタフェース22と、アナログインタフェース23とを備えており、不図示の記憶部に主装置内線情報25を格納している。
PBX制御部21は、電話端末7−1〜7−4を収容し、主装置内線情報25に基づいてこれら電話端末7−1〜7−4を内線として制御する。ISDNインタフェース22は、電話端末7−1〜7−4をサービス総合ディジタル網9bなどに接続する。図面では、このサービス総合ディジタル網9bを、「ISDN」と記載している。
アナログインタフェース23は、電話端末7−1〜7−4を公衆交換電話網9aなどに接続する。図面では、この公衆交換電話網9aを、Public Switched Telephone Networkの略称である「PSTN」と記載している。
【0011】
IP電話システム8は、IP−PBX(Internet Protocol-Private Branch eXchange)1を含んで構成される。IP−PBX1は、IP電話端末6などをIP電話網9cや公衆交換電話網9aやサービス総合ディジタル網9bなどに接続して使用させるものである。
IP−PBX1は、PBX制御部11と、ISDNゲートウェイ12と、アナログゲートウェイ13と、IP電話ゲートウェイ14とを備えている。IP−PBX1は、不図示の記憶部にSIP(Session Initiation Protocol)内線情報15と、ISDN内線情報16と、アナログ内線情報17とを格納している。
PBX制御部11は、IP電話端末6などを収容し、SIP内線情報15に基づいてこのIP電話端末6などを内線として制御する。
ISDNゲートウェイ12は、IP電話端末6などをサービス総合ディジタル網9bなどに接続すると共に、ISDN回線のインタフェースを有する既存主装置2などに接続する。アナログゲートウェイ13は、IP電話端末6などを公衆交換電話網9aなどに接続すると共に、アナログ回線のインタフェースを有する既存主装置2などに接続する。
【0012】
第1の実施形態において、このIP−PBX1は、IP電話網9cに接続されると共に、既存主装置2にアナログ回線またはISDN回線で接続される。これにより、IP−PBX1は、既存主装置2が収容する各電話端末7−1〜7−4をIP電話網9cに接続して使用させることができる。
【0013】
IP−PBX1は更に、LAN(Local Area Network)を介してIP電話端末6と無線ルータ3とが接続され、この無線ルータ3を介して受付端末4やタブレット端末5−1,5−2と通信可能である。IP−PBX1は、これら受付端末4やタブレット端末5−1,5−2をIP電話網9cに接続して使用させると共に、これらを内線として制御する。なお、タブレット端末5−1,5−2を区別しないときには、単にタブレット端末5と記載する。
IP−PBX1は、IP電話端末6を導入可能とすると共に、既存主装置2と電話端末7−1〜7−4とをIP電話網9cに接続させて使用させる。これにより、事業所や事務所などは、IP電話端末6を段階的に導入することができる。
【0014】
図2は、第1の実施形態におけるIP−PBX1の処理を示すフローチャートである。
IP−PBX1は、例えば受付端末4からの発信により、
図2の処理を開始する。
ステップS10において、IP−PBX1は、受付端末4からの発信を検知する。
ステップS11において、IP−PBX1は、この発信の番号が外線と内線のいずれであるかを判断する。IP−PBX1は、この発信の番号が外線であったならば、ステップS12の処理を行い、この発信の番号が内線であったならば、ステップS13の処理を行う。
【0015】
ステップS12において、IP−PBX1は、IP電話ゲートウェイ14によって、外線への発信処理を行い、
図2の処理を終了する。
ステップS13において、IP−PBX1は、この発信の番号が一斉呼出と単体呼出のいずれであるかを判断する。IP−PBX1は、この発信の番号が一斉呼出の番号であったならば、ステップS20の処理を行い、この発信の番号が単体呼出の番号であったならば、ステップS14の処理を行う。
【0016】
ステップS14以降において、IP−PBX1は、内線番号の処理を行う。
ステップS15において、IP−PBX1は、この発信の番号の種別を判断する。IP−PBX1は、種別がIP電話であったならば、ステップS16の処理を行い、種別がISDNであったならば、ステップS18の処理を行い、種別がアナログであったならば、ステップS19の処理を行う。
【0017】
ステップS16において、IP−PBX1は、この発信の通話情報に、発信端末のIPアドレスを付与する。これにより、着呼側のIP電話端末6は、発信信号の検知と共に、発信端末を識別し、識別した発信端末に応じた動作が可能となる。
ステップS17において、IP−PBX1は、自身のPBX制御部11を介して、IP電話端末6などに発信し、
図2の処理を終了する。
【0018】
ステップS18において、IP−PBX1は、自身のISDNゲートウェイ12を介して、既存主装置2に接続された電話端末7などに発信し、
図2の処理を終了する。
ステップS19において、IP−PBX1は、自身のアナログゲートウェイ13を介して、このアナログゲートウェイ13に接続された主装置などに発信し、
図2の処理を終了する。なお、第1の実施形態において、アナログゲートウェイ13には何も接続されていない。
【0019】
ステップS20以降において、IP−PBX1は、グループ内線処理を行う。ステップS21〜S25の処理は、グループ化された各内線に対して、それぞれ並行に実施される。
ステップS21において、IP−PBX1は、この発信の番号の種別を判断する。IP−PBX1は、種別がIP電話であったならば、ステップS22の処理を行い、種別がISDNであったならば、ステップS24の処理を行い、種別がアナログであったならば、ステップS25の処理を行う。
ステップS22において、IP−PBX1は、この発信の通話情報に、発信端末のIPアドレスを付与する。これにより、着呼側のIP電話端末6は、発信信号の検知と共に、発信端末を識別し、識別した発信端末に応じた動作が可能となる。
ステップS23において、IP−PBX1は、自身のPBX制御部11を介して、IP電話端末6などに発信し、
図2の処理を終了する。
【0020】
ステップS24において、IP−PBX1は、自身のISDNゲートウェイ12を介して、既存主装置2に接続された電話端末7などに発信し、
図2の処理を終了する。
ステップS25において、IP−PBX1は、自身のアナログゲートウェイ13を介して、このアナログゲートウェイ13に接続された既存主装置2などに発信し、
図2の処理を終了する。
【0021】
図3は、第1の実施形態における受付端末4の発信動作を示すシーケンス図である。
シーケンスQ20において、受付端末4は、IP−PBX1に対して発信信号を送信する。
シーケンスQ21において、IP−PBX1は、この発信信号に受付端末4のIPアドレスを含ませて、タブレット端末5−1,5−2に中継する。タブレット端末5−1,5−2は、この発信信号を検知すると、着信音を鳴動させる。
シーケンスQ22において、タブレット端末5−1は、この発信信号に含まれる受付端末4のIPアドレスに基づき、受付端末4に対して、カメラ映像を要求する。これにより、タブレット端末5−1は、オフフック前に、発信元である受付端末4との間で所望の処理が可能となる。これは、電話網のIP化による利点である。
なお、タブレット端末5においてオフフックは、オフフックボタンの押下により実現される。ユーザは、タブレット端末5−1に呼が着信したとき、オフフックボタンを押下することにより着信呼に応答可能である。
シーケンスQ23において、受付端末4は、タブレット端末5−1に対して、カメラ映像を配信する。以降、このカメラ映像の配信は、タブレット端末5−1からの停止要求が受付端末4に対して送信されるまで継続する。
【0022】
シーケンスQ24において、タブレット端末5−2は、この発信信号に含まれる受付端末4のIPアドレスに基づき、受付端末4に対して、カメラ映像を要求する。
シーケンスQ25において、受付端末4は、タブレット端末5−2に対して、カメラ映像を配信する。以降、このカメラ映像の配信は、タブレット端末5−2からの停止要求が受付端末4に対して送信されるまで継続する。
シーケンスQ26において、タブレット端末5−1は、ユーザによるオフフックが行われて着信音の鳴動を停止し、IP−PBX1に対して応答信号を送信する。
シーケンスQ27において、IP−PBX1は、タブレット端末5−2に対してキャンセル信号を送信する。これにより、タブレット端末5−2は、着信音の鳴動を停止する。
シーケンスQ28において、IP−PBX1は、受付端末4に対して応答信号を送信する。これにより、受付端末4は、発信信号に対する応答元の電話端末との間で通話可能となる。
シーケンスQ29において、受付端末4とタブレット端末5−2とは、通話を開始する。
【0023】
図4は、第1の実施形態の変形例のIP電話システム8を示す概略の構成図である。
図4に示す変形例のIP電話システム8は、
図1の例とは異なり、3台の同様なIP−PBX1−1〜1−3を備えている。IP−PBX1−1は、無線ルータ3−1とIP電話端末6−1と接続される。IP−PBX1−2は、IP電話端末6−2と接続される。IP−PBX1−3は、IP電話端末6−3と接続される。
IP−PBX1−1〜1−3は、IP電話網9cに接続され、更にIP電話網9cを介して公衆交換電話網9aに接続される。これにより、IP−PBX1−1〜1−3は、受付端末4、タブレット端末5−1,5−2,IP電話端末6の呼を、IP電話網9cに接続される外線端末91cや、公衆交換電話網9aに接続される外線端末91aに発信させることができる。
これらIP−PBX1−1〜1−3は更に、共通するルータ3aと無線ルータ3−2とを介して、受付端末4と接続されている。このようにすることで、受付端末4は、これらIP−PBX1−1〜1−3のうち何れかを選択可能となる。複数の法人が入居するビルにおいて、各法人は、それぞれIP−PBXを導入することが多い。この場合、1台の受付端末4を導入して、各法人が導入するIP−PBXのいずれかを選択可能とすることができる。これにより、各法人がそれぞれ受付端末4を導入するよりも、導入コストを削減可能である。
なお、IP電話システムは、
図1に示すように、少なくとも1台のIP−PBX1−1を含んでいればよく、それ以外にSIPプロトコルをサポートする1または複数の主装置を含んで構成されていてもよい。IP−PBX1に接続される端末は、受付端末4、タブレット端末5−1,5−2,IP電話端末6のうち、いずれであってもよい。
【0024】
図5(a),(b)は、第1の実施形態の変形例の受付端末4とタブレット端末5とを示す概略の構成図である。
図5(a)は、第1の実施形態の変形例の受付端末4の構成を示している。
受付端末4は、タッチパネルディスプレイ41と、動画を撮影するカメラ撮像部42と、撮影した動画をストリームで配信するストリーム配信部43と、SIP処理部44とを備える。受付端末4は更に、不図示の記憶部に、受付プログラム45と設定情報46と受付ログ48とを格納する。受付端末4は、不図示のCPU(Central Processing Unit)によって、受付プログラム45をRAM(Random Access Memory)に読み込んで動作させることにより、SIP処理部44などを具現化する。受付端末4は、来客の静止画や動画を受付ログ48に暗号化して格納する。
【0025】
図5(b)は、第1の実施形態の変形例のタブレット端末5の構成を示している。
タブレット端末5は、受付端末4と同様に、タッチパネルディスプレイ51と、動画を撮影するカメラ撮像部52と、撮影した動画をストリームで配信するストリーム配信部53と、SIP処理部54とを備える。タブレット端末5は更に、不図示の記憶部に、電話プログラム55と設定情報56とストリームログ57とを格納する。来客が操作可能で、かつ来客によって持ち去られる虞のある受付端末4と比べ、事務所内で運用されるタブレット端末5は秘匿性が高い。そのため、タブレット端末5は、ストリームログ57を好適に格納することができる。
タブレット端末5は、不図示のCPUによって、電話プログラム55をRAMに読み込んで動作させることにより、SIP処理部54などを具現化する。
【0026】
図6は、第1の実施形態の変形例のIP−PBX1−1〜1−3への発信と応答とを示すシーケンス図である。
シーケンスQ30〜Q32は、受付端末4がIP−PBX1−1を選択したときのシーケンスである。
シーケンスQ30において、受付端末4は、IP−PBX1−1に対して発信信号を送信する。IP−PBX1−1は、この発信信号を着信側端末に中継する。
シーケンスQ31において、IP−PBX1−1は、着信側端末から受信した応答信号を、受付端末4に中継する。
シーケンスQ32において、受付端末4は、IP−PBX1−1を介して着信側端末との間で通話を開始する。
【0027】
シーケンスQ33〜Q35は、受付端末4がIP−PBX1−2を選択したときのシーケンスである。シーケンスQ33〜Q35は、IP−PBX1−1に代わってIP−PBX1−2が動作する他は、シーケンスQ30〜Q32と同様である。
シーケンスQ36〜Q38は、受付端末4がIP−PBX1−3を選択したときのシーケンスである。シーケンスQ36〜Q38は、IP−PBX1−1に代わってIP−PBX1−3が動作する他は、シーケンスQ30〜Q32と同様である。
このように、受付端末4は、複数のIP−PBX1からいずれかを選択して発信信号を送信することができる。すなわち、複数のIP−PBX1−1〜1−3が導入されたIP電話システム8であっても、いずれかのIP−PBX1が収容する内線端末に発信可能である。
【0028】
図7は、第1の実施形態の変形例の受付端末4の発信処理を示すフローチャートである。
受付端末4は、ユーザの発信操作を検知することにより、発信処理を開始する。
ステップS30において、受付端末4は、ユーザによるIP−PBX1の選択操作を受け付ける。これにより、受付端末4は、複数のIP−PBX1がそれぞれ収容するいずれかの端末に対して発信することができる。
ステップS31において、受付端末4は、ユーザによる代表発信/検索発信の選択操作を受け付ける。受付端末4は、代表発信の選択操作を受け付けたならば、ステップS36の処理を行い、検索発信の選択操作を受け付けたならば、ステップS32の処理を行う。
ステップS32において、受付端末4は、ユーザによる検索方法の選択操作を受け付ける。受付端末4は、名前による検索を受け付けたならば、ステップS33の処理を行い、部署による検索を受け付けたならば、ステップS34の処理を行う。
ステップS33において、受付端末4は、名前からふりがな検索の画面を表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。受付端末4は、ステップS33の処理の後、ステップS36の処理を行う。
【0029】
ステップS34において、受付端末4は、部署からグループリスト検索の画面を表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。
ステップS35において、受付端末4は、ふりがな検索の画面を表示して、ユーザによる選択操作を受け付ける。受付端末4は、ステップS35の処理の後、ステップS36の処理を行う。
ステップS36において、受付端末4は、発信番号を決定する。
ステップS37において、受付端末4は、決定した発信番号の端末に対して発信し、
図7の処理を終了する。
【0030】
図8は、第1の実施形態の変形例のタブレット端末5の応答処理を示すフローチャートである。
タブレット端末5は、受付端末4からの発信信号を検知することにより、応答処理を開始する。
ステップS40において、タブレット端末5は、受付端末4からの発信信号に含まれる発信先の電話番号(内線番号)を取得する。
ステップS41において、タブレット端末5は、設定情報56に、この発信先の電話番号に対応するIPアドレスが含まれるか否かを判断する。タブレット端末5は、発信先の電話番号に対応するIPアドレスが含まれるならば(Yes)、ステップS44の処理を行い、発信先の電話番号に対応するIPアドレスが含まれないならば(No)、ステップS42の処理を行う。
ステップS42において、タブレット端末5は、この発信信号から発信元端末のIPアドレスを取得する。
【0031】
ステップS43において、タブレット端末5は、発信元端末のIPアドレスが発信信号に有ったか否かを判断する。タブレット端末5は、発信元端末のIPアドレスが発信信号に有ったならば、ステップS44の処理を行い、発信元端末のIPアドレスが発信信号に無かったならば、ステップS47の処理を行う。
ステップS44において、タブレット端末5は、受付端末4へカメラ映像を要求する。
ステップS45において、タブレット端末5は、カメラ映像ストリームへの接続が成功したか否かを判断する。タブレット端末5は、カメラ映像ストリームへの接続が成功したならば(Yes)、ステップS46の処理を行い、カメラ映像ストリームへの接続が成功しなかったならば(No)、ステップS48の処理を行う。
ステップS46において、タブレット端末5は、受付端末4のカメラ映像を、自画面であるタッチパネルディスプレイ51に表示する。
ステップS47において、タブレット端末5は、受付端末4のカメラ映像と、そのメタ情報とをストリームログ57に記録し、ステップS49の処理を行う。カメラ映像のメタ情報とは、例えばカメラ映像の収録日時や受付端末4の識別情報などである。これにより、来客を動画で記録して、後から見返すことができる。
【0032】
ステップS48において、タブレット端末5は、カメラ映像を非表示とする。
ステップS49において、タブレット端末5は、ユーザのオフフック操作を検知したか否かを判断する。タブレット端末5は、ユーザのオフフック操作を検知したならば(Yes)、ステップS51の処理を行い、ユーザのオフフック操作を検知しなかったならば(No)、ステップS50の処理を行う。
ステップS50において、タブレット端末5は、IP−PBX1からキャンセル信号を受信したか否かを判断する。タブレット端末5は、キャンセル信号を受信したならば(Yes)、
図8の処理を終了し、キャンセル信号を受信しなかったならば(No)、ステップS49の処理に戻る。
ステップS51において、タブレット端末5は、受付端末4に対して応答し、
図8の処理を終了する。
このようにすることで、タブレット端末5は、ユーザのオフフック操作前に、受付端末4のカメラ画像を表示可能である。
【0033】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のIP電話システム8は、
図4に示した第1の実施形態の変形例のIP電話システム8と同様に構成されている。第2の実施形態のIP電話システム8は、ユーザによる発信操作より前に、タブレット端末5に、受付端末4のカメラ画像を表示することができる。
図9は、第2の実施形態における受付端末4とタブレット端末5などの動作を示すシーケンス図である。
シーケンスQ40において、受付端末4は、待受時において、センサ信号を検知する。このセンサ信号は、タッチパネルディスプレイ41がタッチされたときの信号である。しかし、これに限られず、受付端末4のカメラによる来客の検知であってもよい。このとき、顔検出技術を好適に用いることができる。
シーケンスQ41において、受付端末4は、IP−PBX1に対してダミー発信信号を送信する。
【0034】
シーケンスQ42において、IP−PBX1は、このダミー発信信号に受付端末4のIPアドレスを含ませて、タブレット端末5−1,5−2に中継する。タブレット端末5−1,5−2は、このダミー発信信号を検知したときには、専用の着信音を鳴動させて、来客を報知する。または、着信音を鳴動させずに、カメラ映像の要求のみを行ってもよい。
シーケンスQ43において、タブレット端末5−1は、このダミー発信信号に含まれる受付端末4のIPアドレスに基づき、受付端末4に対して、カメラ映像を要求する。これにより、タブレット端末5−1は、来客による発信の前に、発信元である受付端末4との間で所望の処理が可能となる。これは、電話網のIP化による利点である。
シーケンスQ44において、受付端末4は、タブレット端末5−1に対して、カメラ映像を配信する。以降、このカメラ映像の配信は、タブレット端末5−1からの停止要求が受付端末4に対して送信されるまで継続する。
【0035】
シーケンスQ45において、IP−PBX1は、タブレット端末5−1に対してキャンセル信号を送信する。タブレット端末5−1は、着信音の鳴動を停止する。
シーケンスQ46において、タブレット端末5−2は、このダミー発信信号に含まれる受付端末4のIPアドレスに基づき、受付端末4に対して、カメラ映像を要求する。
シーケンスQ47において、受付端末4は、タブレット端末5−2に対して、カメラ映像を配信する。以降、このカメラ映像の配信は、タブレット端末5−2からの停止要求が受付端末4に対して送信されるまで継続する。
シーケンスQ48において、IP−PBX1は、タブレット端末5−2に対してキャンセル信号を送信する。これにより、タブレット端末5−2は、着信音の鳴動を停止する。
【0036】
図10は、第2の実施形態における受付端末4のダミー発信処理を示すフローチャートである。
ユーザによってタッチパネルディスプレイ41がタッチされると、受付端末4は、ダミー発信処理を開始する。
ステップS60において、受付端末4は、タッチパネルディスプレイ41がタッチされたか否かを判断する。受付端末4は、タッチパネルディスプレイ41がタッチされたことを検知したならば(Yes)、ステップS61の処理を行い、タッチパネルディスプレイ41がタッチされたことを検知しなかったならば(No)、
図10の処理を終了する。
ステップS61において、受付端末4は、自身が待受状態であるか否かを判断する。受付端末4は、自身が待受状態であったならば(Yes)、ステップS62の処理を行い、自身が待受状態でなかったならば(No)、
図10の処理を終了する。これにより、来客の最初のタッチのときにだけダミー発信して、カメラ映像で来客をモニタできる。
【0037】
ステップS62において、受付端末4は、自身の待受状態を解除する。なお、受付端末4は、所定時間に亘ってタッチパネルディスプレイ41がタッチされなかったときに、再び待受状態となる。
ステップS63において、受付端末4は、ダミー発信先に係る設定情報46が有るか否かを判断する。受付端末4は、ダミー発信先に係る設定情報46が有るならば(Yes)、ステップS64の処理を行い、ダミー発信先に係る設定情報46が無いならば(No)、
図10の処理を終了する。
ステップS64において、受付端末4は、静止画を撮影して、日時情報と共に自身の受付ログデータベース48(
図5(a)参照)に記憶する。
ステップS65において、受付端末4は、ダミー発信先に係る発信番号を決定する。
ステップS66において、受付端末4は、予め定められた端末にダミー発信して、
図10の処理を終了する。
受付端末4は、タブレット端末5の要求に応じて、自身の受付ログデータベースが記憶する静止画と動画ストリームとをタブレット端末5に転送する。
【0038】
図11は、第2の実施形態における通信ログの表示画面である。
タブレット端末5は、受付端末4の受付ログデータベースが記憶する静止画と動画ストリームとを要求して、自身のタッチパネルディスプレイ51に一覧形式で表示する。ここでは、静止画とその記録日時、または、動画ストリームとその記録期間を表形式で表示している。ユーザが、いずれかの列を選択することで、対応する静止画または動画ストリームが再生される。
このようにすることで、受付端末4を操作した来客と、その受付対応とを事後的に確認可能である。
【0039】
(第3の実施形態)
第3の実施形態のIP電話システム8は、
図4に示した第1の実施形態の変形例のIP電話システム8と同様に構成されている。第3の実施形態のIP電話システム8は、タブレット端末5がオフフックした後に、タブレット端末5のカメラ画像を受付端末4に表示することができる。
【0040】
図12は、第3の実施形態における受付端末4などの動作を示すシーケンス図である。
シーケンスQ50〜Q58の処理は、
図3に示す第1の実施形態のシーケンスQ20〜Q28の処理と同様である。
シーケンスQ59において、受付端末4は、この応答信号に含まれるタブレット端末5−1のIPアドレスに基づき、タブレット端末5−1に対して、カメラ映像を要求する。
シーケンスQ60において、タブレット端末5−1は、受付端末4に対して、カメラ映像を配信する。以降、このカメラ映像の配信は、タブレット端末5−1がオフフックするまで継続する。これにより、受付端末4を操作したユーザは、通話相手の顔を確認しながら通話可能となる。
シーケンスQ61において、受付端末4とタブレット端末5−2とは、通話を開始する。
【0041】
図13は、第3の実施形態における受付端末4の応答処理を示すフローチャートである。
受付端末4は、タブレット端末5からの応答信号を検知することにより、応答処理を開始する。
ステップS70において、受付端末4は、タブレット端末5からの応答信号に含まれる応答元の電話番号を取得する。
ステップS71において、受付端末4は、設定情報46に、この応答元の電話番号に対応するIPアドレスが含まれるか否かを判断する。受付端末4は、応答元の電話番号に対応するIPアドレスが含まれるならば(Yes)、ステップS74の処理を行い、応答元の電話番号に対応するIPアドレスが含まれないならば(No)、ステップS72の処理を行う。
ステップS72において、受付端末4は、この応答信号から応答元のタブレット端末5のIPアドレスを取得する。
【0042】
ステップS73において、受付端末4は、応答元のタブレット端末5のIPアドレスが応答信号に有ったか否かを判断する。受付端末4は、応答元のタブレット端末5のIPアドレスが応答信号に有ったならば(Yes)、ステップS74の処理を行い、応答元のタブレット端末5のIPアドレスが応答信号に無かったならば(No)、ステップS77の処理を行う。
ステップS74において、受付端末4は、応答元のタブレット端末5へカメラ映像を要求する。
ステップS75において、受付端末4は、配信されるカメラ映像ストリームへの接続が成功したか否かを判断する。受付端末4は、カメラ映像ストリームへの接続が成功したならば(Yes)、ステップS76の処理を行い、カメラ映像ストリームへの接続が成功しなかったならば(No)、ステップS77の処理を行う。
ステップS76において、受付端末4は、タブレット端末5のカメラ映像を自画面であるタッチパネルディスプレイ41に表示し、
図12の処理を終了する。
ステップS77において、タブレット端末5は、カメラ映像を表示せずに受付通話のみとして、
図12の処理を終了する。
このようにすることで、受付端末4は、応答元のタブレット端末5のカメラ画像を表示可能となる。
【0043】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0044】
(a) 上記実施形態の受付端末4は、いずれもタブレット端末5に発信しているが、これに限られず、既存主装置2に内線接続される電話端末7に発信してもよい。
(b) 第2の実施形態の受付端末4は、自身のタッチパネルディスプレイ41がユーザによってタッチされると、来客を検知してダミー発信処理を開始する。しかし、これに限られず、受付端末4は、カメラ、温度センサ、赤外線センサ、マイクなどのセンサ手段によって、来客を検知してもよい。
【0045】
(c) 第3の実施形態のタブレット端末5は、受付端末4にカメラ映像ストリームを配信すると共に、これをストリームログ57に記録してもよい。これにより、受付したものの対応を記録して、後から見返すことができる。
(d) 上記実施形態のIP電話システム8は、タブレット端末5に代えてスマートフォンを用いて、このスマートフォンと受付端末4との間でカメラ映像ストリームを送受信させてもよい。