(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂粒子(I)に対する、(I)中の分散質(A)の重量比率をr、示差走査熱量測定における分散質(A)の1回目昇温時の融解熱量をQA1st、樹脂粒子(I)の1回目昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQI1st、樹脂粒子(I)の2回目昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQI2ndとしたときに、下記の[条件5]及び[条件6]を満たす請求項6記載の樹脂粒子(I)の製造方法。
[条件5] 0.8≦(QI1st)/(QA1st)×r≦1.05
[条件6] 0.01≦(QI2nd)/(QI1st)≦0.95
樹脂(F)及び/又は(F”)が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエポキシ及びポリ(メタ)アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項6又は7記載の樹脂粒子(I)の製造方法。
トナー(J)に対する、(J)中の分散質(A)の重量比率をr’、示差走査熱量測定における分散質(A)の1回目の昇温時の融解熱量をQA1st、トナー(J)の1回目の昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQJ1st、トナー(J)の2回目の昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQJ2ndとしたときに、下記の[条件7]及び[条件8]を満たす請求項15記載のトナー(J)の製造方法。
[条件7] 0.8≦(QJ1st)/(QA1st)×r’≦1.05
[条件8] 0.01≦(QJ2nd)/(QJ1st)≦0.95
樹脂(F)及び/又は(F”)が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエポキシ及びポリ(メタ)アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項15又は16記載のトナー(J)の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を詳述する。
本発明の分散液に用いる分散質(A)の融点は30℃〜100℃であり、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは45℃〜75℃、さらに好ましくは50℃〜70℃である。融点が30℃未満の場合、分散液の保存安定性が悪化する課題がある。また塗装、コート剤として使用した場合や、粒子中に分散質(A)含有させた場合、塗装面やコート面及び粒子の耐熱保管性が悪くなる。一方、融点が100℃を超える場合、コート面を被膜化するために多くの熱エネルギーが必要になる問題が発生することや、また粒子中に分散質(A)含有させた際には低温定着性が悪くなる問題が発生する。本発明における融点は、示差走査熱量測定(以下、DSCと記載することもある。)における吸熱ピークより求めたものである。
【0016】
本発明により得られる分散液(D)中の分散質(A)のメジアン径は0.05μm〜3.0μmであり、好ましくは0.06μm〜1.0μm、より好ましくは0.07μm〜0.7μm、さらに好ましくは0.08μm〜0.4μmである。メジアン径が0.05μm未満の場合、粒子が再凝集しやすくなる問題が発生する。また粒子中に定着助剤として分散質(A)含有させた場合に定着助剤として機能しない問題が発生する。一方メジアン径が3.0μmより大きい場合、コート面の平滑性が損なわれる問題が発生することや、また粒子中に分散質(A)含有させた際には樹脂粒子の粒度分布が悪化発生する。メジアン径とは、体積分布に基づくメジアン径である。なお、メジアン径、粗大粒子量は、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば LB−550:堀場製作所製)、レーザー式粒度分布測定装置(例えば LA−920:堀場製作所製)、及びマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)等で測定できる。
【0017】
本発明により得られる分散液(D)中の分散質(A)の粗大粒子量が1.0体積%以下であり、好ましくは0.5体積%以下、より好ましくは0.1体積%以下、さらに好ましくは0.01体積%以下である。粗大粒子量が1体積%を超える場合、コート面の平滑性が損なわれる問題が発生することや、また粒子中に分散質(A)含有させた際には樹脂粒子の粒度分布が悪化発生する。
なお粗大粒子とは(メジアン径×3)μm以上の粒子のことである。ただし(メジアン径×3)≦1.0の場合は1.0μm以上の粒子を粗大粒子とする。
【0018】
本発明により得られる分散質(A)は、非球形状であって、球形換算した際の1次粒子径が10nm〜600nmである。非球形状とは、分散質(A)の短径(T1)と長径(T2)の比(T1/T2)が、0.005〜0.8であることをいう。分散質(A)は非球形状であれば、どんな形状であっても良く、例えば、針状、繊維状、板状及び棒状の分散質(A)が挙げられる。好ましくは針状粒子である。
【0019】
分散質(A)のT1/T2は、0.005〜0.8であるが、好ましくは0.01〜0.3、さらに好ましくは0.02〜0.2、特に好ましくは0.025〜0.15である。T1/T2が、0.005未満の場合、分散質(A)が凝集しやすくなり樹脂粒子中での偏在が発生し、分散質(A)由来のフィラー効果や離型効果、定着助剤効果等の狙いの効果が低下しやすくなる。また分散液(D)が高粘度化し、その後の樹脂粒子(I)やトナー(J)、液体現像剤(K)の製造が困難になる。一方0.8より大きい場合、単位重量当りの表面積が小さく、熱をかけた際に素早く溶融しない。分散質(A)の短径(T1)、長径(T2)及び1次粒子径は、TEM観測で測定することができる。
【0020】
分散質(A)の球形換算した際の1次粒子径は10nm〜600nmであり、好ましくは15nm〜400nm、より好ましくは20nm〜250nm、さらに好ましくは30nm〜200nmである。球形換算した際の1次粒子径が10nm未満の場合、粒子が再凝集しやすくなる問題が発生する。また粒子中に定着助剤として分散質(A)含有させた場合に定着助剤として機能しない問題が発生する。一方メジアン径が600nmより大きい場合、コート面の平滑性が損なわれる問題が発生することや、また粒子中に分散質(A)含有させた際には樹脂粒子の粒度分布が悪化発生する。球形換算した際の一次粒子径とは、分散質の粒子を真球かつ粒度分布がないものと仮定した中、実測で得られるBET比表面積値と分散質の比重測定値から割り出される粒子の直径のことであり、
D=6000/(S×ρ)
D:球形換算した際の1次粒子径 [nm]
S:BET比表面積 [m
2/g]
ρ:比重 [kg/m
3]
で表される。なお上記比重ρには分散質(A)の真比重が適用される。
【0021】
本発明の分散液に用いる分散質(A)は結晶性を有し、融点が30℃〜100℃であるならば、無機物であっても有機物であっても良いが、多様なニーズに対応するための組成設計範囲の広さから結晶性を有する樹脂が好ましく、さらにはワックスや結晶性を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂及びそれらの複合樹脂がより好ましいが、特にはワックス及び結晶性を有するポリエステル樹脂が好ましい。
【0022】
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸、炭素数30〜50の脂肪酸エステル及びこれらの混合物等が挙げられる。
パラフィンワックスとしては、下記の天然ワックスに含まれるパラフィンワックス以外に炭素数15〜90の合成ワックスも挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸ステアリルが挙げられる。
【0023】
結晶性を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂及びそれらの複合樹脂が好ましく、特に直鎖ポリエステル樹脂及びそれを含む複合樹脂が好ましい。
【0024】
ポリエステル樹脂としては、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であることが、結晶性の点から好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分や酸成分を用いてもよい。またポリウレタン樹脂としては、アルコール(ジオール)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分やイソシアネート成分を用いてもよい。ポリアミド樹脂としては、アミン(ジアミン)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分や酸成分を用いてもよい。ポリウレア樹脂としては、アミン(ジアミン)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いてもよい。なお、ポリエステル樹脂としては、重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物及びポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、ジオール成分とホスゲンやジメチルカーボネートとから合成されるポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
以降の説明において、まず、これら結晶性重縮合ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレア樹脂に用いられるジオール成分、ジカルボン酸成分、ジイソシアネート成分、及びジアミン成分(それぞれ3官能以上のものを含む)についてそれぞれ示す。
【0025】
−ジオール成分−
ジオール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の範囲であることが好ましい。また直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が36を超えると、実用上の材料の入手が困難な場合がある。
【0026】
ジオール成分は、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が使用ジオール成分の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。必要に応じてその他の成分が含まれても構わない。
直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上では、ポリエステル樹脂の結晶性が向上し、融点が上昇するため、耐トナーブロッキング性、及び低温定着性がより良好である。
【0027】
直鎖型脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0028】
その他必要に応じて使用されるジオールとしては、炭素数2〜36の上記以外の脂肪族ジオール(1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);及びポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
【0029】
さらにその他必要に応じて使用されるジオールとしては、上記のヒドロキシル基以外の官能基を有しないジオール以外に、他の官能基を有するジオールを用いてもよい。官能基を有するジオールとしては、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[C6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など]が挙げられる。
スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基のC1〜6)又はそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物など];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミンなど)及び/又はアルカリ金属(ナトリウム塩など)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用である。
【0030】
必要により用いられる3〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物など];などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0031】
−ジカルボン酸成分−
ジカルボン酸成分としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸がより好ましい。
【0032】
ジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
これらジカルボン酸の中では、脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖型のカルボン酸)を単独で用いるのが特に好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及び、これらの低級アルキルエステル類が好ましい。)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、主には上記のカルボン酸が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、結晶性や入手容易性を考慮すると、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸が好ましい。
【0033】
−ジイソシアネート成分−
ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、必要により、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
【0034】
上記芳香族ジイソシアネートの具体例(3価以上のポリイソシアネートを含む)としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例(3価以上のポリイソシアネートを含む)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0035】
−ジアミン成分−
ジアミン(必要により用いられる3価以上のポリアミンを含む)の例として、脂肪族ジアミン類(C2〜C18)としては、〔1〕脂肪族ジアミン{C2〜C6 アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)又はヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;〔3〕脂環又は複素環含有脂肪族ジアミン{脂環式ジアミン(C4〜C15)〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、複素環式ジアミン(C4〜C15)〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、等が挙げられる。
【0036】
芳香族ジアミン類(C6〜C20)としては、〔1〕非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4´−及び4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−及びi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ジアミン、たとえば2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ジアミンの−NH
2の一部又は全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
【0037】
ジアミン成分としては、これらの他、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
【0038】
結晶性ポリエステル樹脂のうち、ラクトン開環重合物は、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合させることにより得ることができる。これらのうち、好ましいラクトンは、結晶性の観点からε−カプロラクトンである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物が得られる。例えば、上記ラクトン類とエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ラクトン開環重合物を得ることができる。ラクトン開環重合物は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。ラクトン開環重合物は、結晶性の高い熱可塑性脂肪族ポリエステル樹脂である。ラクトン開環重合物は、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7など(いずれも、融点=約60℃、Tg=約−60℃の高結晶性ポリカプロラクトン)が挙げられる。
【0039】
結晶性ポリエステル樹脂のうち、ポリヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合することで得られるが、グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間もしくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合する方が分子量の調整の観点から好ましい。これらのうち、好ましい環状エステルは、結晶性の観点からL−ラクチド、及びD−ラクチドである。
開始剤として、グリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸骨格が得られる。例えば、上記環状エステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。ポリヒドロキシカルボン酸は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。
【0040】
ポリエーテル樹脂としては、結晶性ポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、従来より公知のいずれの方法でもよい。
例えば、キラル体のAOを、通常AOの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792 に記載)や、安価なラセミ体のAOを立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法が知られている。
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(例えば、特開平11−12353号公報に記載)やバイメタルμ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(例えば、特表2001−521957号公報に記載)等が知られている。
また、非常にアイソタクティシティの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(例えば、Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567 に記載)が知られている。
【0041】
例えば、キラル体のAOを用い、その開環重合時に、開始剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常結晶性となる。
上記グリコールとしては、前記ジオール成分等が、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸成分等が挙げられる
【0042】
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いるAOとしては、炭素数3〜9のものが挙げられ、例えば以下の化合物が挙げられる。
炭素数3のAO[PO、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン];炭素数4のAO[1,2−BO、メチルグリシジルエーテル];炭素数5のAO[1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド];炭素数6のAO[シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル];炭素数7のAO[1,2−へプチレンオキサイド];炭素数8のAO[スチレンオキサイド];炭素数9のAO[フェニルグリシジルエーテル]等である。
【0043】
これらのAOのうち、PO、1,2−BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましい。さらに好ましくはPO、1,2−BO及びシクロへキセンオキサイドである。重合速度の観点から、最も好ましくはPOである。
これらのAOは、単独で、又は、2種類以上を使用することができる。
【0044】
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールのアイソタクティシティは、得られる結晶性ポリエーテル樹脂の高シャープメルト性と耐ブロッキング性の観点から70%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。
【0045】
アイソタクティシティは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求める。
測定試料約30mgを直径5mmの
13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで重水素化溶剤は、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択する。
【0046】
13C−NMRの3種類のメチン基由来の信号は、それぞれシンジオタクチック値(S)75.1ppm付近とヘテロタクチック値(H)75.3ppm付近とアイソタクチック値(I)75.5ppm付近に観測される。アイソタクティシティーを次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティー(%)=[I/(I+S+H)]×100 (1)
但し、式中、Iはアイソタクチック信号の積分値;Sはシンジオタクチック信号の積分値;Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
【0047】
結晶性樹脂は上記結晶性樹脂を結晶部(b)とし、これから述べる非結晶性部(c)とを用いたブロック樹脂でもよい。非結晶性部(c)の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂(ポリスチレン、スチレンアクリル系ポリマー等)、ポリエポキシ等が挙げられるが、その限りではない。
ただし、前記結晶部(b)の形成に用いられる樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂であることが好ましいので、加熱時に相溶することを考慮すると、非結晶性部(c)の形成に用いられる樹脂もポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂及びそれらの複合樹脂であることが好ましい。さらに好ましくはポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂である。
【0048】
−非結晶性樹脂の製法−
前記結晶性部(b)と同様に、ポリエステル樹脂は、アルコール(ジオール)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であるのが好ましい。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分や酸成分を用いてもよい。またポリウレタン樹脂としては、アルコール(ジオール)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアルコール成分やイソシアネート成分を用いてもよい。ポリウレア樹脂としては、アミン(ジアミン)成分とイソシアネート(ジイソシアネート)成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いてもよい。ポリアミド樹脂としては、アミン(ジアミン)成分と酸(ジカルボン酸)成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。ただし、必要に応じて3官能以上のアミン成分や酸成分を用いてもよい。ポリエーテル樹脂としては、アルコール(ジオール)成分にAOを付加して得られるポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
これら非結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリウレタン樹脂、非結晶性ポリアミド樹脂、非結晶性ポリウレア樹脂、及び非結晶性ポリエーテル樹脂に用いられるモノマーは、前記ジオール成分、前記ジカルボン酸成分、前記ジイソシアネート成分、前記ジアミン成分、及び前記AOが具体例として挙げられ、非結晶性樹脂となるものであれば、いかなる組合せでも構わない。
【0049】
−ブロックポリマーの製法−
結晶部(b)と非結晶性部(c)とで構成されるブロックポリマーは、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して結合剤の使用、非使用を選択し、また使用の際は末端官能基にあった結合剤種を選択し、結晶部(b)と(c)を結合させ、ブロックポリマーとすることが出来る。
結合剤を使わない場合、必要により加熱減圧しつつ、(b)を形成する樹脂の末端官能基と(c)を形成する樹脂の末端官能基の反応を進める。特に酸とアルコールとの反応や酸とアミンとの反応の場合、片方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
結合剤を使う場合は、種々の結合剤が使用できる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、酸無水物等を用いて、脱水反応や、付加反応を行うことで得られる。
多価カルボン酸及び酸無水物としては、前記ジカルボン酸成分と同様のものが挙げられる。多価アルコールとしては、前記ジオール成分と同様のものが挙げられる。多価イソシアネートとしては、前記ジイソシアネート成分と同様のものが挙げられる。多官能エポキシとしては、ビスフェノールA型及び−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA又は−FのAO付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのAO付加体のジグリシジルエーテル、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等)の各ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ及び/又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ及び/又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ及び/又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
(b)と(c)を結合させる方法のうち、脱水反応の例としては、結晶性部(b)、非結晶性部(c)とも両末端アルコール樹脂で、これらを結合剤(例えば多価カルボン酸)で結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、無溶剤下、反応温度180℃〜230℃で反応し、結晶性樹脂が得られる。
付加反応の例としては、結晶性部(b)、非結晶性部(c)とも末端に水酸基を有する樹脂であり、これらを結合剤(例えば多価イソシアネート)で結合する反応や、また結晶性部(b)、非結晶性部(c)の片方が末端に水酸基を有する樹脂で、もう一方が末端にイソシアネート基を有する樹脂の場合、結合剤を用いずにこれらを結合する反応が挙げられる。この場合、例えば、結晶性部(b)、非結晶性部(c)ともに溶解可能な溶剤に溶解させ、これに必要であるなら結合剤を投入し、反応温度80℃〜150℃で反応し、結晶性樹脂が得られる。
【0051】
結晶性樹脂としては、上記のブロック樹脂が好ましいが、[条件1]〜[条件4]を満たすのであれば、非結晶性部(c)を有さず、結晶性部(b)のみからなる樹脂や結晶性部(b)をつなぎあわせて伸長させた樹脂を用いることもできる。
【0052】
また結晶性樹脂として結晶性ビニル樹脂も好ましい樹脂として挙げられる。
結晶性ビニル樹脂としては、結晶性基を有するビニルモノマー(m)と、必要により結晶性基を有しないビニルモノマー(n)を構成単位として有するものが好ましい。
【0053】
ビニルモノマー(m)としては、アルキル基の炭素数が12〜50の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(m1)(炭素数12〜50の直鎖アルキル基が結晶性基である)、及び前記結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂としては、ビニルモノマー(m)として、アルキル基の炭素数が12〜50(好ましくは16〜30)の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(m1)を含有するものがさらに好ましい。
(m1)としては、各アルキル基がいずれも直鎖状の、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、アルキル(メタ)アクリレートとは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタアクリレートを意味し、以下同様の記載法を用いる。
【0054】
結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)において、結晶性部(b)の単位をビニルモノマーに導入する方法は、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して、結合剤(カップリング剤)を使用するかしないかを選択し、また使用する場合は、末端官能基にあった結合剤を選択し、結晶性部(b)とビニルモノマーを結合させ、結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)とすることができる。
【0055】
結晶性部(b)の単位を有するビニルモノマー(m2)の作成時に結合剤を使わない場合、必要により加熱減圧しつつ、結晶性部(b)の末端官能基とビニルモノマーの末端官能基の反応を進める。特に末端の官能基がカルボキシル基と水酸基との反応や、カルボキシル基とアミノ基との反応の場合、片方の樹脂の酸価が高く、もう一方の樹脂の水酸基価やアミン価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は180℃〜230℃で行うのが好ましい。
【0056】
結合剤を使う場合は、末端の官能基の種類に合わせて、種々の結合剤が使用できる。
結合剤の具体例、及び結合剤を用いたビニルモノマー(m2)の作製法としては、前記のブロックポリマーの製法と同様の方法が挙げられる。
【0057】
本発明において分散質(A)と溶剤(B)とのSP値差の絶対値[ΔSP(AB)]は0.01〜3.0が好ましく、より好ましくは0.01〜2.5、更に好ましくは0.01〜2.0、とくに好ましくは0.01〜1.8である。ΔSP(AB)が0.01より小さい場合は、分散液を作成できても分散質が溶剤に溶け、溶液になりやすくなる。また完全に溶けなくても、一部が溶け出し、その溶解成分が分散質の合着成分となって経時安定性に乏しくなる。一方、ΔSP(AB)が3.0より大きい場合は、分散質の溶剤への分散安定性が悪くなる。
【0058】
溶剤(B)は、常温常圧で液体であり、分散質(A)が溶解しにくいものであれば特に制限は無く、例えばケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、環状エーテル等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール、フッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン等)、及び脂肪族炭化水素溶剤(オクタン、デカン等)などが挙げられる。また、上記や下記にある反応性モノマー(スチレン、ブチルアクリレート等)も挙げられる。これらの中では、ケトン溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤及びスチレンが好ましく、酢酸エチル、及びアセトンがさらに好ましい。
溶剤(B)に対する分散質(A)の溶解度は、25℃において10重量%以下が好ましく、より好ましくは7重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
【0059】
分散質(A)と共に、必要に応じて分散剤等の添加剤を用いてもよい。
分散剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用することができ、分散質(A)との相溶性の高いユニットと、後述する樹脂粒子(I)やトナー(J)を構成する樹脂(F)等の分散液(D)を用いる対象となる樹脂との相溶性の高いユニットがブロック体として存在するポリマーやオリゴマー等が挙げられる。
分散質(A)がワックスの場合、ワックスとの相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットのうち、一方に他方がグラフトしているポリマーもしくはオリゴマー〔例えば、ワックスの存在下、ビニルモノマーを重合させて得られるもの〕、不飽和炭化水素(エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、及びα−メチルスチレンなど)と、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルもしくはその無水物(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、及び無水イタコン酸など)との共重合体、ビニル樹脂とポリエステル樹脂とのブロックもしくはグラフト共重合体などが挙げられる。
【0060】
圧縮性流体(X)としては特に制限はなく、二酸化炭素、メタン、エチレン及び代替フロン等が挙げられるが、安全性や、取り扱いの容易さなどの点から、液体状態の二酸化炭素又は超臨界状態の二酸化炭素が好ましい。
圧縮性流体(X)の圧力は0.5MPa以上であり、好ましくは1.5MPa以上20MPa以下、より好ましくは3.0MPa以上15MPa以下である。この圧力の範囲において、圧縮性流体(X)と分散質及び溶剤との混合液が突出されて、小粒径かつ粗大粒子の少ない分散液が得られやすくなる。
本発明において、液体状態の二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、及び固液境界線に囲まれた部分の温度・圧力条件である二酸化炭素を表し、超臨界状態
の二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度・圧力条件である二酸化炭素を表す(ただし、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を表す)。
【0061】
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)、溶剤(B)及び圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(X)を混合し、その後減圧膨張して、(X)を除去することで、分散質(A)が、溶剤(B)中に分散された分散液(D)を得る。
また、好ましい形態としては、分散質(A)の融点以上の温度(液状を維持できる温度以上)で、分散質(A)と、圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(X)を混合し、その後減圧膨張して、(A)の析出温度以下として(A)を析出させると共に(X)を気化させて除去し溶剤(B)と混合されることで、分散質(A)が、溶剤(B)中に分散された分散液(D)を得る。
なお溶剤(B)は上記工程のどの段階で混ぜ合わされてもよく、予め分散質(A)と混合されていても良い。
【0062】
また、好ましい形態としては、上記の方法以外に分散質(A)の融点以上の温度(液状を維持できる温度以上)で、分散質(A)と、圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(X)を混合し、(A)の析出温度以下として(A)を析出させた後に、その後、急激な減圧膨張し、(X)を気化させて除去溶剤(B)と混合されることで、分散質(A)が、溶剤(B)中に分散された分散液(D)を得る。
なお溶剤(B)は上記工程のどの段階で混ぜ合わされてもよく、予め分散質(A)と混合されていても良い。(A)は溶剤(B)又は圧縮性流体(X)と分離していても、相溶していても良い。
【0063】
本発明の分散液の製造方法においては、分散質(A)の一次粒子がすでに狙いのサイズであり、二次凝集をしているだけの場合は、分散質(A)を液状にする必要はなく、そのためこの場合はさらに上記の方法以外として、圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(X)を混合し、その後、急激な減圧膨張し、共に(X)を気化させて溶剤(B)と混合されることで、分散質(A)が、溶剤(B)中に分散された分散液(D)を得る。
なお溶剤(B)は上記工程のどの段階で混ぜ合わされてもよく、予め分散質(A)と混合されていても良い。
【0064】
分散液(D)の製造方法について詳細に説明する。
上記記載のように分散質(A)と溶剤(B)の混合について、どの段階で混合されても構わないが、取扱い安さの観点から予め溶剤と混ぜ合わされるほうが好ましい。溶剤(B)の量は、分散質(A)に対して1〜100重量%使用するのが好ましく、さらに好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。この範囲内において分散液(D)を、取り扱いしやすい粘度で得ることができる。
(A)と(B)を混合し、(A)が析出しない温度以上の混合物〔好ましくは分散質(A)の溶剤(B)溶液〕とする手順としては特に制限はなく、常温の(A)と(B)を混合した後に加熱しても、加熱した(A)あるいは(B)にもう一方を導入しても、どちらでもよい。
なお、前記の分散剤等の添加剤を用いる場合、この混合物中に添加するのが好ましい。
【0065】
分散質(A)と必要により混合される溶剤(B)との混合物〔以下、(A)含有混合物と呼ぶ〕と、圧力が0.5MPa以上である圧縮性流体(X)を混合する方法は特に限定されないが、好ましい具体的な方法としては、(A)含有混合物と圧縮性流体(X)の混合を耐圧式の容器で行う場合、(A)含有混合物を耐圧式の容器に仕込み、(A)含有混合物の温度が低く分散質(A)が析出している場合は、加熱し(A)を液状にする。(A)の融点以上の温度で(A)を融解させることができる。(A)が完全に融解した後、耐圧容器に備え付けたポンプ等の加圧手段により、所望の圧力に達するまで圧縮性流体(X)を容器内に導入し、(A)含有混合物と混合する。圧縮性流体(X)を導入することで(A)含有混合物の体積が膨張するため、(A)含有混合物の初期仕込み量は、容器の容積に対して5〜70体積%が好ましい。
【0066】
本発明の分散液の製造方法に用いる耐圧容器は、0.5MPa以上の最大圧力に耐え得るものであり、容器内で(A)含有混合物と圧縮性流体(X)を攪拌混合できる設備を備え付けたもので、さらに容器下部に(A)含有混合物取り出し用のノズルを備えているものが好ましい。ノズルは液状物質が通ることが出来るものであるならいかなるノズルでもかまわず、たとえば口径0.1〜5.0mm程度のニードルバルブあるいはボールバルブの開閉でも、圧縮性流体(X)混合後の(A)含有混合液を高圧状態から大気中に一気に噴出させることができる。
【0067】
圧縮性流体(X)の導入後、しばらく攪拌することで(X)を十分(A)含有混合物に浸透させる。攪拌時間は、圧縮性流体(X)が全体に十分混合される、最低限度の時間でよく、10〜30分程度攪拌するのが好ましい。(X)を十分混合することにより(A)含有混合物の粘度を下げ、次工程の減圧膨張による分散質(A)の微粒子化を効果的に行うことができる。
また、(A)含有混合物と圧縮性流体(X)の攪拌混合時の温度は、過昇温による分散質の凝集防止や、吐出時の(A)含有混合物の温度調整などの点から、好ましくは20〜180℃、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは35〜100℃、特に好ましくは40〜85℃である。
【0068】
攪拌後、容器下部ノズルよりバルブを開けて(A)含有混合物を一気に大気圧まで減圧膨張させる。これにより(A)含有混合物の温度が急激に下がり、分散質(A)が析出する温度以下となり溶解した分散質(A)が析出する。さらに圧縮性流体(X)を気化させて除くことで、分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)が得られる。この減圧膨張により(A)含有混合物の温度を十分に下げ、分散質(A)を十分に析出させるために、減圧膨張前の(A)含有混合物の温度及び圧力は適正な条件に設定されるべきで、これはエンタルピー線図から設定されることが好ましい。また、(A)含有混合物を一気に減圧膨張させる方法としては、ノズルに取り付けたニードルバルブあるいはボールバルブの開閉により、高圧下から吐出させるのが好ましい。
【0069】
(A)含有混合物と圧縮性流体(X)の混合は、上記の耐圧容器内で行う方法以外に、ラインブレンド(インライン混合)方法により連続的に行うことが、生産性の向上、品質の一定化、製造スペースの縮小化等の面から好ましい。ラインブレンド方法に用いる装置の具体例として、スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー、スルザーミキサーのような静止型インライン混合機や、バイブミキサー、ターボミキサーのような撹拌型インライン混合機などが挙げられる。装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが、0.5MPa以上の最大圧力に耐え得るものでなければならない。
ラインブレンド方法に用いる装置の出口には、耐圧容器と同様の、混合物取り出し用のノズルを備えているのが好ましい。
【0070】
(A)含有混合物と圧縮性流体(X)の混合方法としては、まず、圧縮性流体(X)をラインブレンドを行う装置内に導入して圧力が0.5MPa以上となるよう調整し、次いで(A)含有混合物を(X)に導入するのが好ましい。上記(X)の圧力は、耐圧容器内で行う方法と同様の圧力が好ましい。
ラインブレンドを行う温度は、前記の耐圧容器を用いて混合する場合と同様である。また、装置内の滞留時間は、混合が十分行われるのであれば特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。
ラインブレンド後の混合物を大気圧まで減圧膨張させ、圧縮性流体(X)を気化させて除くことで、分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)が得られる。
【0071】
また、本発明の分散液の製造方法は、分散質(A)と圧縮性流体(X)をラインブレンドにより混合する方法であることが好ましい。
【0072】
本発明の製造方法により得られた分散液(D)を用いて、分散質(A)が粒子中に微細に分散された樹脂粒子、トナー、さらには液体現像剤を製造することができる。製造方法としては、下記(1)〜(3)が挙げられる。
樹脂粒子、トナーや液体現像剤を、圧縮性流体(X)中で製造する場合以下の製造方法(1)であることが好ましい。
製造方法(1)
分散液(D)と、圧縮性流体(X)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、(X)中に(D)と(L)を分散させることにより、分散質(A)と樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)と溶剤(B)を含有する液滴(G’)を形成する工程と、圧縮性流体(X)と溶剤(B)を除去する工程とを含む樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)の製造方法。
【0073】
また、樹脂粒子、トナーや液体現像剤を非水性有機媒体(N)中で製造する場合、以下の製造方法(2)であることが好ましい。
製造方法(2)
分散液(D)と、非水性有機媒体(N)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、非水性有機媒体(N)中に(D)と(L)を分散させることにより、分散質(A)と樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)と溶剤(B)を含有する液滴(G’)を形成する工程と、非水性有機媒体(N)と、溶剤(B)とを除去する工程とを含む樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)の製造方法。
【0074】
また、樹脂粒子、トナーや液体現像剤を水性媒体(W)中で製造する場合、好まし製造方法として以下の製造方法(3)が挙げられる
製造方法(3)
分散液(D)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)と、水性媒体(W)とを混合し、水性媒体中に(D)と(L)を分散させることにより、分散質(A)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)と、溶剤(B)とを含有する液滴(G’)を形成する工程と、水性媒体(W)と溶剤(B)を除去する工程とを含む樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)の製造方法。
【0075】
また、樹脂粒子、トナーや液体現像剤を製造する場合、好まし製造方法として以下の製造方法(4)が挙げられる
製造方法(4)
バインダーとなる樹脂(F”)を構成する前駆体(F’)である重合性単量体を分散媒として、必要であるならば着色剤を攪拌機等によって均一に溶解混合又は分散させる工程、これを重合性単量体及び重合開始剤、分散液(D)から得られる分散質(A)、及びその他必要に応じてワックスや分散ペースト化された顔料など、添加する他の添加剤とともに、攪拌機等によって均一に溶解混合又は分散させ、単量体組成物を作製する工程で得られた単量体組成物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、攪拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して狙いの粒子径まで微分散させる工程、そして、重合工程において微分散された単量体組成物を光や熱により重合反応させる工程、水性媒体(W)と溶剤(B)を除去する工程により樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)を得る製造方法。
【0076】
また、樹脂粒子、トナーや液体現像剤を製造する場合、好まし製造方法として以下の製造方法(5)が挙げられる
製造方法(5)
分散液(D)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、分散質(A)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)とを含む粒子を凝集させる工程と、さらに溶剤(B)を除去する工程とを含む樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)の製造方法。
【0077】
また、好まし製造方法として以下の製造方法(6)が挙げられる
製造方法(6)
分散液(D)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、少なくとも吐出孔から吐出して液滴化する工程と、上記液滴を固化する乾燥工程とを含む樹脂粒子(I)やトナー(J)の製造方法。上記液滴を固化する一次乾燥する工程と固化したトナー粒子中の溶媒を減少させる二次乾燥工程により樹脂粒子(I)、トナー(J)や液体現像剤(K)を得る製造方法。
【0078】
また、好まし製造方法として以下の製造方法(7)が挙げられる
製造方法(7)
分散液(D)と、非水性有機媒体(N)と、樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、非水性有機媒体(N)中に(D)と(L)を分散させることにより、分散質(A)と樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)と溶剤(B)を含有する液滴(G’)を形成する工程と、溶剤(B)とを除去する工程とを含む液体現像剤(K)を得る製造方法。
【0079】
製造方法(1)について詳細に説明する。
製造方法(1)〜(7)に用いられる樹脂(F)及び(F”)としては、分散質(A)に挙げられた結晶性を有する樹脂以外の樹脂であって、非結晶性の樹脂であり、熱可塑性樹脂(F1)、該熱可塑性樹脂を微架橋した樹脂(F2)、及び熱可塑性樹脂を海成分、硬化樹脂を島成分とするポリマーブレンド(F3)が挙げられ、2種以上を併用しても差し支えない。本発明において、非結晶性とは、融点を持たないことを意味する。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリ(メタ)アクリル樹脂を含むビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の分散体が得られやすいという観点からポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用である。
【0080】
ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーである。ビニルモノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル炭化水素:
(1−1)脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えば(ジ)シクロペンタジエン等;テルペン類、例えばピネン等。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニルモノマー及びその塩:炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー。
(3)スルホン基含有ビニルモノマー、ビニル硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、及び硫酸エステルもしくはスルホン酸基含有ビニルモノマー;ならびそれらの塩等。
(4)燐酸基含有ビニルモノマー及びその塩:(メタ)アクリロイルオキシアルキル(C1〜C24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸。なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。(5)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー:ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニルモノマー:
(6−1)アミノ基含有ビニルモノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート等、
(6−2)アミド基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等、
(6−3)ニトリル基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等、
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等、(6−5)ニトロ基含有ビニルモノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニルモノマー:グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ハロゲン元素含有ビニルモノマー:塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
(9−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等、
(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル等、
(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン等。
(10)その他のビニルモノマー:イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
【0081】
ビニルモノマーの共重合体としては、上記(1)〜(10)の任意のモノマー同士を任意の割合で共重合したポリマーが挙げられるが、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0082】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸(その酸無水物、その低級アルキルエステルを含む)との重縮合物などが挙げられる。ポリオールとしてはジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)が挙げられ、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(13)及び3価以上のポリカルボン酸(14)が挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸の反応比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0083】
ジオール(11)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど)、ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0084】
3価以上のポリオール(12)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物、アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物など]などが挙げられる。
【0085】
ジカルボン酸(13)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0086】
3価以上(3〜6価又はそれ以上)のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
【0087】
なお、ジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0088】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素基含有化合物(T){水、ポリオール[前記ジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物などが挙げられる。
【0089】
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)などが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0090】
ポリアミン(16)の例としては、下記のものが挙げられる。
・脂肪族ポリアミン類(C2〜C18):
〔1〕脂肪族ポリアミン{C2〜C6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミンなど〕}
〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)又はヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミンなど〕
〔3〕脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕
〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、
・脂環式ポリアミン(C4〜C15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など、
・芳香族ポリアミン類(C6〜C20):
〔1〕非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミンなど;核置換アルキル基〔メチル、エチル、n−及びi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−及び2,6−トリレンジアミンなど〕、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物
〔2〕核置換電子吸引基(Cl、Br、I、Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリンなど〕
〔3〕2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記(4)〜(6)の芳香族ポリアミンの−NH
2の一部又は全部が−NH−R´(R´はメチル、エチルなどの低級アルキル
基で置換したもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕、
・複素環式ポリアミン(C4〜C15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど、
・ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど、
・ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など。
【0091】
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0092】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素基含有化合物(T){水、ポリオール[前記ジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物、又はポリエポキシド(18)とジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
【0093】
ポリエポキシド(18)としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1000であり、さらに好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1000以下であると、架橋構造が密になり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が向上し、一方、エポキシ当量が65以上のものは、合成するのが容易である。
【0094】
ポリエポキシド(18)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。さらに、前記芳香族系ポリエポキシ化合物として、P−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー、及びビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド等が挙げられる。また、脂環族系ポリエポキシ化合物としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。ポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0095】
樹脂(F”)は前駆体(F’)が反応してなるものであるため、前駆体(F’)は上記のモノマーや化合物、及びそれらの反応物から選ばれる。
【0096】
熱可塑性樹脂を微架橋した樹脂(F2)とは、架橋構造を導入させ樹脂(F)のTgが20〜200℃である樹脂を言うものとする。かかる架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。具体例としては、例えば樹脂(F2)としてポリエステルを選択する場合、重合時にポリオールとポリカルボン酸のいずれか、あるいは両方に3官能以上の官能基数を有するものを使用することにより架橋構造を導入することができる。また樹脂(F2)としてビニル樹脂を選択する場合、重合時に二重結合を2つ以上有するモノマーを添加することにより、架橋構造を導入することができる。
【0097】
熱可塑性樹脂を海成分、硬化樹脂を島成分とするポリマーブレンド(F3)としては、Tgが20〜200℃、且つ軟化開始温度が40〜220℃であるもの、具体的にはビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
樹脂(F)及び樹脂(F”)の数平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定、以下Mnと略記する。〕は、好ましくは1000〜500万、より好ましくは2,000〜500,000、溶解性パラメーター(SP値、詳細は後述する。)は、好ましくは7〜18、より好ましくは8〜16、特に好ましくは9〜14である。また、樹脂粒子(H)の熱特性を改質したい場合には、樹脂(F2)又は樹脂(F3)を使用するとよい。
【0099】
樹脂(F)及び樹脂(F”)のガラス転移温度(Tg)は好ましくは20℃〜200℃、より好ましくは40℃〜150℃である。20℃以上では粒子の保存安定性が良好である。なお、本発明におけるTgは、DSC測定から求められる値である。
【0100】
樹脂(F)及び樹脂(F”)の軟化開始温度は、好ましくは40℃〜220℃、より好ましくは50℃〜200℃である。40℃以上では長期の保存性が良好である。220℃以下では定着温度が上昇せず問題がない。なお、本発明における軟化開始温度は、フローテスター測定から求められる値である。
【0101】
製造方法(1)において、23℃、0.1MPaの標準状態における、溶剤(B)と樹脂(F)との等重量混合物における、溶剤(B)に対する樹脂(F)の不溶分は、樹脂(F)の重量に対して、好ましくは2.0重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下である。不溶分重量が2.0重量%以下であれば得られる樹脂粒子やトナーの粒度分布が狭くなる。
【0102】
また、溶剤(B)の溶解性パラメーター(SP値)は前記した通り、分散質(A)とのΔSPが0.01〜3.0の範囲にあればよいが、9〜16が好ましく、さらに好ましくは10〜15である。SP値とは、下記に示したように、凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。
SP=(ΔE/V)
1/2
ここでΔEは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表し、その値は、ロバート、エフ.フェードルス(Robert F. Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
【0103】
製造方法(1)において樹脂(F)を溶解させる溶剤(B)としては、分散液(D)の製造に用いられる溶剤(B)と同様のものが挙げられ、それらの溶剤の2種以上の混合溶剤、又は、それらの有機溶剤と水との混合溶剤を用いることもできる。
好ましくは、粒子形成のし易さの観点から、混合溶剤(特に、アセトンとメタノールと水の混合溶剤、アセトンとメタノールの混合溶剤、アセトンとエタノールの混合溶剤、アセトンと水の混合溶剤、及びメチルエチルケトンと水の混合溶剤)である。
【0104】
樹脂(F)の溶液(L)は、樹脂(F)を溶剤(B)に溶解させて製造する。溶液(L)の重量に対して樹脂(F)の濃度は、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。
【0105】
樹脂(F)の溶液(L)は、圧縮性流体(X)中に分散するため、適度な粘度であることが好ましく、粒度分布の観点から、25℃において、好ましくは100Pa・s以下、さらに好ましくは10Pa・s以下である。樹脂(F)の圧縮性流体(X)への溶解度は、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
【0106】
本発明の樹脂粒子(I)及びトナー(J)を製造する際に微粒子を用いる場合は、溶剤(B)に分散し、樹脂粒子(I)表面に固着し得るものであればよく、無機微粒子でも有機微粒子(E)でも構わないが、低温定着性及び耐熱保存性の観点から、熱特性の設計が容易な有機微粒子(E)が好ましい。
製造方法(1)に用いる有機微粒子(E)は、そのガラス転移温度(以下、Tgと記載する場合がある。)又は融点未満の温度において、圧縮性流体(X)による膨潤度(以下、膨潤度と記載する。)が好ましくは16%以下、さらに好ましくは10%以下、とくに好ましくは5%以下である。膨潤度が16%以下の有機微粒子(E)を使用した場合は、樹脂粒子の凝集を抑制しやすく、樹脂粒子やトナーの粒度分布が良好となる。
【0107】
膨潤度の測定方法は、磁気浮遊天秤を用いて測定することができる。なお、膨潤度の測定方法の詳細はJ.Supercritical Fluids.19、187−198(2001)に記載されている。
【0108】
有機微粒子(E)を構成する樹脂(e)としては、結晶性樹脂(e1)及び非結晶性樹脂(e2)から選ばれる少なくとも1種を用いる。非結晶性樹脂(e2)としては、架橋性の非結晶性樹脂が好ましい。これらの中では、結晶性樹脂(e1)が好ましい。
【0109】
結晶性樹脂(e1)の融点は、50〜110℃が好ましく、さらに好ましくは55〜100℃、とくに好ましくは60〜90℃である。結晶性樹脂(e1)の融点が50℃以上であれば樹脂粒子やトナーが長期間の保管でもブロッキングしにくい。110℃以下であれば電子写真トナーの母体粒子として用いた場合には低温定着性が良好である。融点の測定は示差走査熱量測定における吸熱ピークより求めることができる。
【0110】
結晶性樹脂(e1)の結晶化度は、圧縮性流体(X)による膨潤抑制、及び樹脂粒子やトナーへの吸着性の観点より、好ましくは20〜95%であり、より好ましくは30〜80%である。結晶化度は、DSCを用いて吸熱ピークの面積から融解熱量〔ΔHm(J/g)〕を求め、測定されたΔHmに基づき以下の式により結晶化度(%)を算出する。
結晶化度=(ΔHm/a)×100
上式中、aは結晶化度が100%となるように外挿した場合の融解熱量である。
【0111】
結晶性樹脂(e1)のMnは、樹脂弾性の観点より、好ましくは1000以上であり、更に好ましくは1500以上、特に好ましくは2000以上である。また、溶融粘度の観点より、好ましくは1000000以下であり、更に好ましくは500000以下、特に好ましくは300000以下である。
【0112】
結晶性樹脂(e1)の組成は特に限定されないが、好ましい具体例としては、例えば、脂肪族もしくは芳香族ポリエステル、脂肪族ポリウレタン及び/又はポリウレア、アルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂、(メタ)アクリロニトリルと結晶性ビニルモノマーを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂(e14)、結晶性ポリオレフィン(e15)等が挙げられる。
【0113】
脂肪族もしくは芳香族ポリエステルとしては、前記ジオール(11)、ジカルボン酸(13)を使用することができ、特に炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジオールと炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸を必須構成単位とし、かつ、該ジオールのアルキレン鎖の炭素数と該ジカルボン酸のアルキレン鎖の炭素数の合計数が10〜52であり、必要により炭素数6〜30の芳香族ジカルボン酸を構成単位とする結晶性ポリエステル(e11)が好ましい。
保存安定性の観点から、上記ジオールのアルキレン鎖の炭素数と上記ジカルボン酸のアルキレン鎖の炭素数の合計数が、10以上が好ましく、更に好ましくは12以上であり、特に好ましくは14以上である。また、定着性の観点から、52以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。
【0114】
上記炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジオールのアルキレン鎖の炭素数は、結晶性の観点から、2以上が好ましく、更に好ましくは3以上であり、特に好ましくは4以上である。また、定着性の観点から50以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。直鎖脂肪族ジオールとして好ましいものは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,10−デカンジオールである。炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸のアルキレン鎖の炭素数は、結晶性の観点から、2以上が好ましく、更に好ましくは3以上であり、特に好ましくは4以上である。また、定着性の観点から50以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。直鎖脂肪族ジカルボン酸として好ましいものは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、及びオクタデカンジカルボン酸である。
また、芳香族ポリエステルの保存安定性の観点から、芳香族ジカルボン酸の炭素数は6〜30が好ましく、更に好ましくは8〜24あり、特に好ましくは8〜20である。炭素数6〜30の芳香族ジカルボン酸として好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸である。
【0115】
また、芳香族ポリエステルの場合は、樹脂強度の観点から、ジカルボン酸は直鎖脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の併用が好ましく、直鎖脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の合計に対する芳香族ジカルボン酸の比率は、好ましくは90重量以下、更に好ましくは1〜85重量%、特に好ましくは3〜80重量%である。
【0116】
脂肪族ポリウレタン及び/又はポリウレアとしては、前記ジオール(11)、ジアミン〔前記ポリアミン(16)のうち2価のもの〕、及びジイソシアネート〔前記ポリイソシアネート(15)のうち2価のもの〕を使用することができ、特に炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジオール及び/又は炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジアミンと、炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジイソシアネートを必須構成単位とし、かつ、該ジオール及び/又はジアミンのアルキレン鎖の平均炭素数と該ジイソシアネートのアルキレン鎖の炭素数の合計数が10〜52である結晶性ポリウレタン及び/又はポリウレア(e12)が好ましい。
なお、炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジオールと前記ジカルボン酸(13)とを反応させて得られるポリエステルジオールと炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジイソシアネートから得られるポリウレタンも(e12)に含まれる。
脂肪族ポリウレタン及び/又はポリウレアは、保存安定性の観点から、ジオール及び/又はジアミンのアルキレン鎖の炭素数(ジオールとジアミンの混合物を使用する場合は、その重量比で平均されたアルキレン鎖の炭素数)とジイソシアネートのアルキレン鎖の炭素数の合計数が、10以上が好ましく、更に好ましくは12以上であり、特に好ましくは14以上である。また、定着性の観点から、52以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。
【0117】
上記炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジオールの、アルキレン鎖の好ましい炭素数、及び好ましい具体例は、結晶性ポリエステル(e11)における場合と同様である。
上記炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジアミンのアルキレン鎖の炭素数は、結晶性の観点から、2以上が好ましく、更に好ましくは3以上であり、特に好ましくは4以上である。また、定着性の観点から50以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。直鎖脂肪族ジアミンとして好ましいものは、テトラメチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミンである。
また、上記炭素数2〜50のアルキレン鎖を有する直鎖脂肪族ジイソシアネートのアルキレン鎖の炭素数は、結晶性の観点から、2以上が好ましく、更に好ましくは3以上であり、特に好ましくは4以上である。また、定着性の観点から50以下が好ましく、更に好ましくは45以下であり、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。直鎖脂肪族ジイソシアネートとして好ましいものは、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0118】
アルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂としては、アルキル基の炭素数が12〜50であるアルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂(e13)が好ましい。保存安定性の観点から、そのアルキル基の炭素数は、12以上であることが好ましく、更に好ましくは14以上であり、特に好ましくは18以上である。また、定着性の観点から、50以下が好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは30以下である。保存安定性の観点からアルキル基は直鎖が好ましい。アルキル基の炭素数が12〜50であるアルキル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、及びベヘニルアクリレートである。
アルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂は、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体でも、他の単量体との共重合体でもよい。他の単量体としては、酸性官能基を有する単量体(例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー、スルホン基含有ビニルモノマー等前記ビニルモノマーを適宜選択することができる。
結晶性ビニル樹脂(e13)中のアルキル基の炭素数が12〜50であるアルキル(メタ)アクリレートの構成単位の含有量は、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは45重量%以上、とくに好ましくは60重量%以上である。
【0119】
(メタ)アクリロニトリルと結晶性ビニルモノマーを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂(e14)としては、樹脂粒子やトナーへの付着性の観点から、(メタ)アクリロニトリルの構成単位の含有量が0.01〜40重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜35重量%であり、特に好ましくは0.1〜30重量%である。
併用する結晶性ビニルモノマーとしては、結晶性のビニル樹脂が形成され得るものであれば特に限定されないが、上記のアルキル基の炭素数が12〜50であるアルキル(メタ)アクリレート、及びエチレン等が挙げられる。
【0120】
結晶性ポリオレフィン(e15)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0121】
脂肪族もしくは芳香族ポリエステルの製造方法としては、低分子ポリオール及び/又はMnが1000以下のポリアルキレンエーテルジオールとポリカルボン酸とを反応させる方法、ラクトンの開環重合による方法、低分子ジオールと低級アルコール(メタノールなど)の炭酸ジエステルとを反応させる方法などの公知の製造方法が挙げられる。
【0122】
脂肪族ポリウレタン及び/又はポリウレアの製造方法としては、低分子ポリオール(上記の方法で得られるポリエステルポリオールを含む)及び/又は低分子量ジアミンとジイソシアネートを反応させる方法などの公知の製造方法が挙げられる。
【0123】
アルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂、及び(メタ)アクリロニトリルと結晶性ビニルモノマーを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂の製造方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合などの公知のビニルモノマーの重合法が挙げられる。
【0124】
ポリオレフィンの製造方法としては、付加重合等の公知の重合法が挙げられる。
【0125】
結晶性樹脂(e1)の中で、特に好ましいものは、(e11)、(e12)、(e13)、及び(e14)であり、最も好ましくは(e13)である。
【0126】
非結晶性樹脂(e2)としては、例えばビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート、セルロース及びこれらの混合物等が挙げられる。非結晶性樹脂(e2)の具体例としては、前記樹脂(F)と同様のもの等が挙げられる。非結晶性樹脂(e2)としては、架橋性の非結晶性樹脂が好ましい。
(e2)の組成は特に限定されず、通常用いられている樹脂でよい。
例えば、架橋性ビニル樹脂としては、2個以上のビニル重合性官能基を有するビニルモノマー(ジビニルベンゼン等)を含むビニルモノマーの共重合体等が挙げられる。
架橋性ポリエステル樹脂としては、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物であって、ポリオール及び/又はポリカルボン酸の少なくとも一部として、前記3価以上のポリオール(12)及び/又は3価以上のポリカルボン酸(14)を用いて得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。
同様に、他の樹脂の場合も架橋性のモノマーを少なくとも一部用いて得られる樹脂がより好ましい。
【0127】
有機微粒子(E)として、結晶性樹脂(e1)と非結晶性樹脂(e2)を併用してもよい。(e1)と(e2)の混合物の融点は、50〜150℃であることが好ましい。(e2)の含有量は、(e1)と(e2)の合計重量に対して、0〜50重量%であることが好ましい。また非結晶性樹脂(e2)を結晶性樹脂(e1)で被覆した微粒子であってもよい。
【0128】
結晶性樹脂(e1)及び/又は非結晶性樹脂(e2)を含有する有機微粒子(E)の製法はいかなる製法であってもよいが、具体例としては、乾式で製造する方法〔有機微粒子(E)を構成する樹脂(e)をジェットミル等の公知の乾式粉砕機により乾式粉砕する方法〕、湿式で製造する方法〔(e)の粉末を有機溶剤中に分散し、ビーズミルやロールミル等の公知の湿式分散機により湿式粉砕する方法、(e)の溶剤溶液をスプレードライヤー等により噴霧乾燥する方法、(e)の溶剤溶液を貧溶媒添加や冷却によって過飽和させ析出させる方法、(e)の溶剤溶液を水あるいは有機溶剤中に分散する方法、(e)の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、懸濁重合法等により重合させる方法、(e)の前駆体を有機溶剤中で分散重合等により重合させる方法〕が挙げられる。また上記方法により非結晶性樹脂(e2)の有機微粒子(E’)を合成した後、公知のコーティング法、シード重合法、メカノケミカル法等により、結晶性樹脂(e1)を(E’)表面に形成してもよい。これらのうち、有機微粒子(E)の製造しやすさの観点から、湿式で製造する方法が好ましく、さらに好ましくは、析出させる方法、乳化重合法、分散重合である。
【0129】
有機微粒子(E)はそのまま用いてもよく、また樹脂粒子やトナーへの吸着性を持たせたり、樹脂粒子やトナーの粉体特性や電気特性を改質するために、例えばシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤による表面処理、各種界面活性剤による表面処理、ポリマーによるコーティング処理等により表面改質されていてもよい。有機微粒子(E)及び樹脂粒子又はトナーのいずれか一方が、少なくともその表面に酸性官能基を有し、他の一方が少なくともその表面に塩基性官能基を有することが好ましい。
【0130】
有機微粒子(E)及び樹脂粒子又はトナーはその内部に酸性官能基又は塩基性官能基を有していてもよい。酸性官能基としてはカルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。塩基性官能基としては第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等が挙げられる。
【0131】
有機微粒子(E)及び樹脂粒子又はトナーは少なくともその表面に酸性官能基又は塩基性官能基を付与するために、結晶性樹脂(e1)、樹脂(F)として酸性官能基又は塩基性官能基を有する樹脂を使用してもよいし、有機微粒子(E)及び樹脂粒子/トナーにこれら官能基を付与するために表面処理してもよい。
【0132】
酸性官能基を有する結晶性樹脂(e1)としては、酸価を有する脂肪族ポリエステル、酸性官能基を有する単量体(例えば、前記カルボキシル基含有ビニルモノマー、スルホン基含有ビニルモノマーなど)を共重合したビニル樹脂等が挙げられる。
【0133】
塩基性官能基を有する結晶性樹脂(e1)としては、塩基性官能基を有する単量体(例えば、前記アミノ基含有ビニルモノマーなど)を共重合したビニル樹脂等が挙げられる。
【0134】
有機微粒子(E)の体積平均粒径は、好ましくは0.01〜0.5μm、特に好ましくは0.015〜0.4μmである。なお、本発明において、体積平均粒径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば LB−550:堀場製作所製)、レーザー式粒度分布測定装置(例えば LA−920:堀場製作所製)、マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)等で測定できる。
【0135】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、有機微粒子(E)を圧縮性流体(X)中に分散する方法はいかなる方法でもよく、例えば、容器内に(E)及び圧縮性流体(X)を仕込み、攪拌や超音波照射等により、(E)を直接圧縮性流体(X)中に分散する方法や、有機微粒子(E)が溶剤(B)中に分散された分散液を圧縮性流体(X)中に導入する方法等が挙げられる
【0136】
圧縮性流体(X)の重量に対する有機微粒子(E)の重量比率としては、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは0.1〜20重量%である。この範囲であれば、効率よく樹脂粒子(I)を製造できる。
【0137】
(E)の分散液に用いる溶剤(B)としては、前記の分散液の製造方法に用いられるものと同様のものが挙げられる。溶剤(B)としては、有機微粒子(E)の分散性から、好ましくは、脂肪族炭化水素溶剤(デカン、ヘキサン、ヘプタンなど)、及びエステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)である。
【0138】
有機微粒子(E)と溶剤(B)の重量比率は、特に制限はないが、溶剤(B)に対して、有機微粒子(E)が50重量%以下が好ましく、更に好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。この範囲であれば、効率よく有機微粒子(E)を圧縮性流体(X)中に導入することができる。
【0139】
有機微粒子(E)を溶剤(B)中に分散する方法としては特に制限はないが、有機微粒子(E)を溶剤(B)に仕込み、攪拌や超音波照射等により直接分散する方法や、有機微粒子を高温下で溶剤(B)に溶解させて晶析する方法などが挙げられる。
【0140】
このようにして圧縮性流体(X)中に(E)が分散されている分散体(X0)が得られる。有機微粒子(E)としては、膨潤度が前記の範囲であって、圧縮性流体(X)に溶解せず、圧縮性流体(X)中に安定分散するものが好ましい。
【0141】
製造方法(1)において、樹脂(F)の溶液(L)を圧縮性流体(X)中に分散させる分散工程では、下記の分散安定剤(P)を使用することが出来る。分散安定剤(P)は、ジメチルシロキサン基及びフッ素を含有する官能基の少なくとも一方の基を有する化合物である。さらには、圧縮性流体(X)のうち、二酸化炭素に親和性を有するジメチルシロキサン基、含フッ素基と共に、樹脂(F)に親和性を有する化学構造を有することが好ましい。
【0142】
例えば樹脂(F)がビニル樹脂である場合、分散安定剤(P)は、ジメチルシロキサン基及びフッ素を含有する官能基の少なくとも一方の基を有するモノマーを構成単位とするビニル樹脂である事が好ましい。 ジメチルシロキサン基を有するモノマー(あるいは反応性オリゴマー)(M1−1)としては、メタクリル変性シリコーンが好ましく、次式に示す構造を持つ。
(CH
3)
3SiO((CH
3)
2SiO)aSi(CH
3)
2R
但しaは、平均値で15〜45であり、Rはメタクリル基を含む有機変性基である。Rの例としては、−C
3H
6OCOC(CH
3)=CH
2が挙げられる。
【0143】
また、フッ素を含有するモノマー(M1−2)の具体例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等のパーフルオロオレフィン;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFAVE)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PFDD)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)(MMD)、パーフルオロブテニルビニルエーテル(PFBVE)等のパーフルオロビニルエーテル;ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、パーフルオロ(ブチル)エチレン(PFBE)等の水素原子含有フルオロオレフィン;1,1−ジヒドロパーフルオロオクチルアクリレート(DPFOA)、1,1−ジヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート(DPFOMA)、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(PFOEA)、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(PFOEMA)、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(PFHEMA)、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート(PFBEMA)等のポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート;α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−β−メチルスチレン等のフルオロスチレン等が挙げられる。
【0144】
また樹脂(F)がウレタン樹脂である場合、分散安定剤(P)は、ジメチルシロキサン基及びフッ素を含有する官能基の少なくとも一方の基を有するモノマーを構成単位とするウレタン樹脂であることが好ましい。
(M1−1)としてはアミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン等の活性水素を含む官能基を有するポリシロキサンが好ましい。(M1−2)としては、2,2ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3,4,4−テトラフルオロ−1,6−ヘキサンジオール等の含フッ素基ポリオール、含フッ素基(ポリ)アミン、含フッ素基(ポリ)チオール等の活性水素を含む官能基を有するフッ素化合物、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロプロパン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン及びビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサン等の含フッ素基(ポリ)イソシアネートが好ましい。
【0145】
また樹脂(F)が酸価を有する場合、分散性の観点より分散安定剤(P)はアミノ基を有することが好ましい。樹脂(F)の酸価は1〜50が好ましく、さらに好ましくは3〜40、最も好ましくは5〜30である。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよく、また含フッ素基、ジメチルシロキサン基を含む化合物の側鎖、片末端、両末端、側鎖両末端いずれの位置に導入されたものを使用してもよい。
【0146】
分散安定剤(P)としては、例えばジメチルシロキサン基を有するモノマー(あるいは反応性オリゴマー)(M1−1)、及び/又はフッ素を含有するモノマー(M1−2)と、前述の樹脂(F)を構成するモノマーとの共重合体(例えば、メタクリル変性シリコーンとメタクリル酸メチルとの共重合体、メタクリル酸ヘプタフルオロブチルとメタクリル酸メチルとの共重合体等)が好ましい。共重合の形態はランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよいが、ブロックあるいはグラフトが好ましい。
【0147】
また樹脂(F)が酸価を有する場合、分散安定性の観点より有機微粒子(E)は粒子表面にアミノ基を有することが好ましい。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよく、またアミノ基を含有させる形態は特に限定されず、例えばアミノ基を有する化合物を有機微粒子(E)中に分散、含浸等の方法により含有させる方法、有機微粒子(E)を構成する成分にアミノ基を有する化合物を使用する方法、有機微粒子(E)表面にアミノ基含有カップリング剤等を反応させる方法、有機微粒子(E)表面にアミノ基含有化合物を吸着させる方法等が挙げられる。
【0148】
分散安定剤(P)の添加量は、分散安定性の観点から、樹脂(F)の重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0.02〜40重量%、特に好ましくは0.03〜30重量%である。分散安定剤(P)の好ましい重量平均分子量の範囲は100〜10万であり、さらに好ましくは200〜5万、特に好ましくは500〜3万である。この範囲内にすると、(I)の分散安定効果が向上する。
【0149】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、樹脂(F)と分散質(A)を含有する樹脂粒子(I)中に、分散質(A)、分散安定剤(P)以外の他の添加剤(充填剤、帯電防止剤、着色剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)を含有しても差し支えない。樹脂粒子(I)中に他の添加剤を含有させる方法としては、あらかじめ樹脂(F)、又は(F)の溶剤(B)溶液(L)と添加剤を混合した後、圧縮性流体(X)中にその混合物を加えて分散させるのが好ましい。
樹脂粒子を例えば電子写真トナーの母体粒子として用いる場合、着色剤と、必要により荷電制御剤を樹脂粒子中に含有させる。
【0150】
分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と、樹脂(F)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)を、圧縮性流体(X)中に有機微粒子(E)が分散された分散体(X0)中に分散させる際、予め分散液(D)と溶液(L)を混合した後、混合液を(X0)中に導入し分散させてもよいし、別々に(X0)中に導入して分散させてもよいが、予め(D)と(L)を混合してから(X0)中に分散させるのが好ましい。そうすれば、樹脂(F)中に分散質(A)をより均一に分散させることができる。
【0151】
樹脂粒子(I)に対する分散質(A)の使用量が0.1〜70重量%の割合であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%である。
【0152】
製造方法(1)において、分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と樹脂(F)の溶液(L)を、圧縮性流体(X)中に有機微粒子(E)が分散されている分散体(X0)中に分散する方法はいかなる方法を用いてもよい。具体例としては、分散液(D)と溶液(L)の混合液を分散体(X0)中に攪拌機や分散機等で分散する方法、分散液(D)と溶液(L)の混合液を、圧縮性流体(X)中に(E)が分散されている分散体(X0)中にスプレーノズルを介して噴霧して液滴を形成し、液滴中の樹脂を過飽和状態とし、樹脂粒子を析出させる方法(ASES:Aerosol Solvent Extraction Systemとして知られている)、同軸の多重管(2重管、3重管等)から分散液(D)と溶液(L)の混合液、分散体(X0)を高圧ガス、エントレーナ等とともにそれぞれ別の管から同時に噴出させて、液滴に外部応力を加え分裂を促進させて、粒子を得る方法(SEDS:Solution Enhanced Dispersion by Supercritical Fluidsとして知られている)、超音波を照射する方法等が挙げられる。
【0153】
このようにして圧縮性流体(X)中に有機微粒子(E)が分散されている分散体(X0)中に、分散質(A)の分散液(D)と樹脂(F)の溶液(L)を分散し、有機微粒子(E)を表面に吸着させながら、分散された樹脂(F)を粒子成長させることにより、樹脂(F)と分散質(A)と溶剤(B)を含有する樹脂粒子の表面に有機微粒子(E)が固着した樹脂粒子(I)を形成する。(H)が圧縮性流体(X)中に分散されたものを分散体(X1)とする。
分散体(X1)は単一相であることが好ましい。すなわち、(I)が分散されている圧縮性流体(X)を含む相の他に、溶剤(B)相が分離する状態は好ましくない。したがって、溶剤相が分離しないように、分散体(X0)に対する(F)の溶液(L)の量を設定することが好ましい。例えば(X0)に対して90重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜70重量%である。
なお、樹脂(F)と分散質(A)と溶剤(B)を含有する樹脂粒子中に含有する(B)の量は、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。
また、樹脂(F)と圧縮性流体(X)の重量比は、好ましくは(F):(X)が、1:(0.1〜100)、さらに好ましくは1:(0.5〜50)、特に好ましくは1:(1〜20)である。
【0154】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、圧縮性流体(X)中で行う操作は、以下に述べる温度で行うことが好ましい。すなわち、減圧時に配管内で二酸化炭素が固体に相転移し、流路を閉塞させないようにするために、30℃以上が好ましく、また、有機微粒子(E)、樹脂粒子の熱劣化を防止するために、200℃以下が好ましい。さらに30〜150℃が好ましく、より好ましくは34〜130℃、特に好ましくは35〜100℃、最も好ましくは40℃〜80℃である。分散体(X0)、分散体(X1)の温度も同様である。本発明のトナー(1)において、圧縮性流体(X)中で行う操作は、有機微粒子(E)のTg又は融点以上の温度でも未満の温度でも行うことができるが、Tg又は融点未満の温度において行うことが好ましい。
【0155】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、圧縮性流体(X)中で行う操作は以下に述べる圧力で行うことが好ましい。すなわち、樹脂粒子を圧縮性流体(X)中に良好に分散させるために、好ましくは7MPa以上であり、設備コスト、運転コストの観点から、好ましくは40MPa以下である。さらに好ましくは7.5〜35MPa、より好ましくは8〜30MPa、特に好ましくは8.5〜25MPa、最も好ましくは9〜20MPaである。分散体(X0)及び分散体(X1)を形成する容器内の圧力も同様である。
【0156】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、圧縮性流体(X)中で行う操作の温度及び圧力は、樹脂(F)が圧縮性流体(X)中に溶解せず、且つ(F)が凝集・合一可能な範囲内で設定することが好ましい。通常、低温・低圧ほど目的分散物が圧縮性流体(X)中に溶解しない傾向となり、高温・高圧ほど(F)が凝集・合一し易い傾向となる。分散体(X0)、分散体(X1)についても同様である。
【0157】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法における圧縮性流体(X)中には、分散媒としての物性値(粘度、拡散係数、誘電率、溶解度、界面張力等)を調整するために、他の物質(Y)を適宜含んでよく、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の不活性気体等が挙げられる。
【0158】
圧縮性流体(X)と他の物質(Y)の合計中の圧縮性流体(X)の重量分率は、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、とくに好ましくは90重量%以上である。
【0159】
有機微粒子(E)が結晶性樹脂(e1)を含有する場合、樹脂粒子を形成させた後、必要に応じて、さらなる工程として、結晶性樹脂(e1)の、好ましくは、融点マイナス50℃以上、より好ましくは融点マイナス10℃以上、さらに好ましくは融点以上、に加熱することにより、樹脂粒子の表面に付着した有機微粒子(E)を溶融させて、有機微粒子(E)を樹脂粒子の表面に固着、又は有機微粒子(E)由来の皮膜を形成して樹脂粒子を形成する工程を行うこともできる。樹脂粒子の凝集を抑制するという観点から、加熱する時間は0.01〜1時間が好ましく、さらに好ましくは、0.05〜0.7時間である。
【0160】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法により得られる樹脂粒子(I)は、樹脂粒子の表面に一旦有機微粒子(E)が固着されるが、(E)が結晶性樹脂(e1)を含有する場合、結晶性樹脂(e1)と樹脂(F)の組成、溶剤(B)の種類によっては、製造工程中に、有機微粒子(E)が皮膜化されて、樹脂粒子の表面に(E)が皮膜化された皮膜が形成される場合がある。
製造方法(1)により最終的に得られる樹脂粒子(I)は、樹脂粒子の表面に、有機微粒子(E)が固着されたもの、(E)由来の皮膜が形成されたもの、(E)の一部が皮膜化されたもののいずれであってもよい。後述する製造方法(2)及び(3)についても同様である。
なお、樹脂粒子(I)の表面状態及び形状は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)を用い、樹脂粒子の表面を1万倍又は3万倍拡大した写真にて観察できる。
【0161】
樹脂粒子(I)が分散された分散体(X1)から、通常、減圧により圧縮性流体(X)及び溶剤(B)を除去し、樹脂粒子(I)を得る。その際、独立に圧力制御された容器を多段に設けることにより段階的に減圧してもよく、また一気に常温常圧まで減圧してもよい。得られる樹脂粒子の捕集方法は特に限定されず、フィルターでろ別する方法や、サイクロン等により遠心分離する方法が例として挙げられる。樹脂粒子は減圧後に捕集してもよく、また減圧前に一旦高圧中で捕集した後、減圧してもよい。高圧下で捕集した後に減圧する場合の、高圧下からの樹脂粒子の取り出し方としては、バッチ操作で捕集容器を減圧してもよく、またロータリーバルブを使用して連続的取り出し操作を行ってもよい。
【0162】
樹脂粒子を形成させた後、上記の減圧による除去工程の前に、溶剤(B)を除去又は減少させる工程を行うことが好ましい。すなわち、樹脂粒子が圧縮性流体(X)中に分散された分散体(X1)中に溶剤(B)を含むので、そのまま容器を減圧にすると、(X1)中に溶解した溶剤が凝縮し、樹脂粒子を再溶解したり、樹脂粒子を捕集する際に樹脂粒子同士が合一してしまう等の問題が生じる場合がある。溶剤を除去又は減少させる方法としては、例えば、圧縮性流体(X)中に分散質(A)の分散液(D)と樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)を分散して得られた、樹脂粒子を含有する分散体(X1)に、さらに圧縮性流体(X)を混合して樹脂粒子から溶剤(B)を圧縮性流体(X)の相に抽出し、つぎに、溶剤(B)を含む圧縮性流体(X)を溶剤(B)を含まない圧縮性流体(X)で置換し、その後に減圧することが好ましい。
【0163】
樹脂粒子が圧縮性流体(X)中に分散された分散体(X1)と圧縮性流体(X)の混合方法は、(X1)より高い圧力の圧縮性流体(X)を加えてもよく、また(X1)を(X1)より低い圧力の圧縮性流体(X)中に加えてもよいが、連続操作の容易性の観点からより好ましくは後者である。(X1)と混合する圧縮性流体(X)の量は、樹脂粒子の合一防止の観点から、(X1)の体積の1〜50倍が好ましく、さらに好ましくは1〜40倍、最も好ましくは1〜30倍である。上記のように樹脂粒子中に含有される溶剤を除去ないし減少させ、その後、圧縮性流体(X)を除去することにより、樹脂粒子同士が合一することを防ぐことができる。
【0164】
溶剤(B)を含む圧縮性流体(X)を、溶剤(B)を含まない圧縮性流体(X)で置換する方法としては、樹脂粒子を一旦フィルターやサイクロンで補足した後、圧力を保ちながら、溶剤(B)が完全に除去されるまで圧縮性流体(X)を流通させる方法が挙げられる。流通させる圧縮性流体(X)の量は、分散体(X1)からの溶剤除去の観点から、(X1)の体積に対して1〜100倍が好ましく、さらに好ましくは1〜50倍、最も好ましくは1〜30倍である。
【0165】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法(2)について詳細に説明する。
製造方法(2)に用いる有機微粒子(E)を構成する樹脂(e)及び樹脂(F)としては、製造方法(1)において用いられるものと同様のものが挙げられる。樹脂(e)としては、結晶性樹脂(e)が好ましく、さらに好ましくは、アルキル基の炭素数が12〜50であるアルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする結晶性ビニル樹脂(e13)である。
【0166】
本発明における非水性有機媒体(N)は、非水性有機媒体(N)に対する樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)の溶解度が5重量%以下である非水性の有機溶剤である。また一方で、溶剤(B)は、溶剤(B)に対する樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)の溶解度が5重量%を超える有機溶剤である。非水性有機媒体(N)として、好ましくは樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)の溶解度が1重量%以下である。樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)の溶解度が5重量%以下であれば樹脂粒子(I)同士が合一しにくい。なお、非水性有機媒体(N)に対する樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)のの溶解度は、(N)中に(F)及び/又は(F’)を飽和に達するまで溶解した(F)及び/又は(F’)の不溶解分を含む非水性分散液から、不溶解分を遠心分離により沈降させた上澄みの重量で、さらに減圧乾燥機で非水性有機媒体(N)の沸点で乾燥を行った後の残渣の重量を除した値とする。
具体的には以下の手順により算出する。
上記非水性分散液(25℃)を、3000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄み液約2g(wg)をアルミ容器に採取する。さらにこの上澄み液を減圧乾燥機で、20mmHgの減圧下、非水性有機媒体(N)の沸点の温度条件で1時間乾燥を行い、残渣の重量を秤量する。このときの残渣重量をWgとすると、樹脂(F)及び/又は(F’)の非水性有機媒体(N)への溶解度は、W/w×100[重量%]で算出できる。
非水性有機媒体(N)としては、具体的には炭化水素系溶剤(ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、イソドデカン、及び流動パラフィン等)、並びにシリコーンオイルが好ましい。
【0167】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法において、有機微粒子(E)を非水性有機媒体(N)中に分散する方法はいかなる方法でもよく、例えば、容器内に(E)及び(N)を仕込み、攪拌、噴霧、超音波照射等により、(E)を直接(N)中に分散する方法や、(E)の溶剤分散体を(N)中に導入する方法等が挙げられる。有機微粒子(E)としては、(N)に溶解せず、(N)中に安定分散するものが好ましい。
【0168】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法に用いる、樹脂(F)を溶解させる溶剤(B)の溶解度パラメータ(SP値)は、9.5〜20の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜19である。溶剤(B)のSP値がこの範囲であると、樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)を非水性有機媒体(N)中に分散する際に、(B)が(N)中に抽出されることなく、樹脂粒子(I)の粒度分布が広くならず好ましい。
溶剤(B)として混合溶剤を使用する場合、SP値は加成則が成立すると仮定し、各々の溶剤のSP値より計算した平均値が上記範囲内であることが好ましい。
【0169】
製造方法(2)に用いる溶剤(B)としては、上記範囲内で樹脂(F)との組み合わせに適したものを適宜選択することができ、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系又はエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0170】
例えば、樹脂(F)としてポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂を選択する場合、好ましい溶剤(B)としては、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン及びこれら2種以上の混合溶剤を挙げることができる。
【0171】
溶剤(B)中に樹脂(F)を溶解させ溶液(L)を作成する方法は、いかなる方法でもよく、公知の方法を用いることができ、例えば溶剤(B)中に樹脂(F)を投入し、攪拌する方法、加熱する方法等が挙げられる。
【0172】
溶液(L)中の樹脂(F)の含有量は、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。
樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)は、(N)中に分散するため、適度な粘度であることが好ましく、粒度分布の観点から、25℃において、好ましくは100Pa・s以下、さらに好ましくは10Pa・s以下である。
【0173】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法〔後述の製造方法(3)においても同様。〕における、樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)中には、分散質(A)以外の他の添加剤(着色剤、荷電制御剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、流動化剤など)を混合し、得られる樹脂粒子中に他の添加剤を含有させることができる。
樹脂粒子を例えば電子写真トナーの母体粒子として用いる場合、着色剤と、必要により荷電制御剤を溶液(L)中に添加する。
【0174】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法においては、非水性有機媒体(N)中に有機微粒子(E)が分散された非水性分散液と、分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と、樹脂(F)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、(E)の非水性分散液中に(D)と(L)を分散させて、(E)の非水性分散液中で、(F)と分散質(A)と(B)を含有する樹脂粒子を形成させることにより、樹脂粒子の表面に有機微粒子(E)が固着した構造の樹脂粒子(I)の非水性分散液を得る。
【0175】
分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と、樹脂(F)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)を、非水性有機媒体(N)中に有機微粒子(E)が分散された非水性分散液中に分散させる方法としては、予め分散液(D)と溶液(L)を混合した後、混合液を(E)の非水性分散液中に導入し分散させてもよいし、別々に(E)の非水性分散液中に導入して分散させてもよいが、予め(D)と(L)を混合してから(E)の非水性分散液中に分散させるのが好ましい。そうすれば、樹脂(F)中に分散質(A)をより均一に分散させることができる。
【0176】
分散質(A)の分散液(D)の使用量は、樹脂(F)に対する分散質(A)の量が0.1〜70重量%の割合であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%である。
【0177】
樹脂(F)100重量部に対する(E)の非水性分散液の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部、さらに好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上では(F)の分散状態が良好であり、2,000重量部以下であると経済的である。
【0178】
分散質(A)の分散液(D)と樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)を、(E)の非水性分散液中に分散させる際には、分散装置を用いることができる。
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであればとくに限定されず、具体例としては、特開2002−284881号公報に記載のものが挙げられる。
【0179】
樹脂粒子(I)の非水性分散液から溶剤(B)及び非水性有機媒体(N)を除去し、樹脂粒子(I)を得る方法としては、
〔1〕溶剤(B)及び非水性有機媒体(N)を減圧下又は常圧下で乾燥する方法
〔2〕遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
〔3〕溶剤(B)及び非水性有機媒体(N)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)
等が例示される。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
なお、上記脱溶剤工程等の製造工程中に、有機微粒子(E)が皮膜化されて、樹脂粒子の表面に(E)が皮膜化された皮膜が形成される場合がある。
【0180】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法(3)について詳細に説明する。
製造方法(3)に用いる、有機微粒子(E)を構成する樹脂(e)、樹脂(F)、溶剤(B)、及び溶液(L)としては、製造方法(1)において用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0181】
有機微粒子(E)が分散された水性分散液を構成する水性媒体(W)中に、水以外に前記溶剤(B)のうち水と混和性の有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)が含有されていてもよい。この際、含有される有機溶剤は、有機微粒子(E)及び樹脂粒子の凝集を引き起こさないもの、(E)及び樹脂粒子を溶解しないもの、及び樹脂粒子(I)の造粒を妨げることがないものであればどの種であっても、またどの程度の含有量であってもかまわないが、水と有機溶剤の合計量の40重量%以下用いて、乾燥後の樹脂粒子(I)中に残らないものが好ましい。
【0182】
有機微粒子(E)の水性分散液を作成する方法としては、とくに限定されないが、以下の〔1〕〜〔8〕が挙げられる。
〔1〕ビニル樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等の重合反応により、直接、有機微粒子(E)の水性分散液を製造する方法。
〔2〕ポリエステル樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその有機溶剤溶液を必要であれば適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして前躯体を硬化させて、有機微粒子(E)の水性分散液を製造する方法。
〔3〕ポリエステル樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその有機溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に必要により適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化し、硬化剤を加えたりして前躯体を硬化させて、有機微粒子(E)の水性分散液を製造する方法。
〔4〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。以下の本項の重合反応も同様。)により作成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させる方法。
〔5〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させる方法。
〔6〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又はあらかじめ有機溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、有機溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させる方法。
〔7〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって有機溶剤を除去する方法。
〔8〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
【0183】
上記〔1〕〜〔8〕の方法において、併用する乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。また、乳化又は分散の助剤として溶剤(B)、可塑剤等を併用することができる。これらの具体例としては、特開2002−284881号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0184】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法(3)においては、水性媒体(W)中に有機微粒子(E)が分散された水性分散液と、分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と、樹脂(F)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、(E)の水性分散液中に(D)と(L)とを分散させることにより、(E)の水性分散液中で、樹脂(F)と分散質(A)と溶剤(B)を含有する樹脂粒子を形成させることにより、樹脂粒子の表面に(E)が固着された構造の樹脂粒子(I)の水性分散液を得ることができる。
【0185】
分散質(A)が溶剤(B)中に分散された分散液(D)と、樹脂(F)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)を、有機微粒子(E)の水性分散液中に分散させる方法としては、予め分散液(D)と溶液(L)を混合した後、混合液を(E)の水性分散液中に導入し分散させてもよいし、別々に(E)の水性分散液中に導入して分散させてもよいが、予め(D)と(L)を混合してから(E)の水性分散液中に分散させるのが好ましい。そうすれば、樹脂(F)中に分散質(A)をより均一に分散させることができる。
【0186】
分散質(A)の分散液(D)の使用量は、樹脂(F)に対する分散質(A)の量が0.1〜70重量%の割合であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%である。
【0187】
樹脂(F)100重量部に対する(E)の水性分散液の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部、さらに好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上では(F)の分散状態が良好であり、2,000重量部以下であると経済的である。
【0188】
分散質(A)の分散液(D)と樹脂(F)の溶剤(B)溶液(L)を、(E)の水性分散液中に分散させる場合には、分散装置を用いることができる。分散装置としては、前記のものが挙げられる。
【0189】
樹脂粒子(I)の水性分散液から水性媒体(W)と溶剤(B)を除去して、樹脂粒子(I)を得る方法としては、
〔1〕水性分散液を減圧下又は常圧下で乾燥する方法。
〔2〕遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法。
〔3〕水性分散液を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)
等が例示される。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
なお、上記脱溶剤工程等の製造工程中に、有機微粒子(E)が皮膜化されて、樹脂粒子の表面に(E)が皮膜化された皮膜が形成される場合がある。
【0190】
本発明の樹脂粒子及びトナーの製造方法(7)においては、非水性有機媒体(N)中に有機微粒子(E)が分散された水性分散液と、
樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)が溶剤(B)に溶解された溶液(L)とを混合し、非水性有機媒体(N)中に(D)と(L)を分散させることにより、分散質(A)と樹脂(F)及び/又は前駆体(F’)と溶剤(B)を含有する液滴(G’)を形成する工程と、溶剤(B)とを除去する工程とを含む液体現像剤(K)を得ることができる。
【0191】
製造方法(7)に用いる非水性有機媒体(N2)は、製造方法(2)に用いる非水性有機媒体(N)と同じく、前記溶剤(B)のうち、樹脂(F)の溶解度が1%以下である非水性の有機溶剤であることが好ましい。樹脂(F)の溶解度が1%以下であれば液体現像剤(K)中に分散している粒子が合一しにくく好ましい。なお、樹脂(F)の非水性有機媒体(N)への溶解度は、(N)中に(F)を飽和に達するまで溶解した(F)の不溶解分を含む非水性分散液から、不溶解分を遠心分離により沈降させた上澄みの重量で、さらに減圧乾燥機で非水性有機媒体(N)の沸点で乾燥を行った後の残渣の重量を除した値とする。
また製造方法(7)に用いる非水性有機媒体(N2)としては、引火点が50℃〜110℃が好ましく、より好ましくは55℃〜100℃、さらに好ましくは60℃〜90℃である。さらに、臭気、毒性が低いことが好ましい。
具体的には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒などの流動パラフィンが好ましい。具体的には、松村石油研究所社製の「モレスコホワイト」(商品名)、エクソンモービル社製の「アイソパー」(商品名)、シェルケミカルズジャパン(株)製の「シェルゾール」(商品名)、出光興産社製の「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」、「IPソルベント2835」(いずれも商品名)等を挙げることができ、上記溶剤を単体で使用しても、複数混合して使用してもかまわない。
【0192】
これらの樹脂粒子、トナー及び液体現像剤の製造方法(1)〜(7)により得られる樹脂粒子、トナー及び液体現像剤中に分散する粒子の体積平均粒径は、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは2〜8μmである。
【0193】
これらの樹脂粒子、トナー及び液体現像剤の製造方法(1)〜(7)により得られる樹脂粒子において、樹脂粒子(I)に対する、(I)中の分散質(A)の重量比率をr、示差走査熱量測定における分散質(A)の1回目昇温時の融解熱量をQA1st、樹脂粒子(I)の1回目昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQI1st、樹脂粒子(I)の2回目昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQI2ndとしたときに、樹脂粒子(I)は下記の[条件5]及び[条件6]を満たすことが好ましい。
[条件5] 0.8≦(QI1st)/(QA1st)×r≦1.05
[条件6] 0.01≦(QI2nd)/(QI1st)≦0.95
(QI1st)/(QA1st)×rは0.8〜1.05の範囲が好ましく、より好ましくは0.82〜1.03、さらに好ましくは0.85〜1.01である。(QI1st)/(QA1st)×rが0.8未満の場合、分散質(A)と樹脂(F)等のそれ以外の成分とが相溶が大きくなり、耐熱保存性が悪くなる。また、1.05を超える場合は、分散質(A)と樹脂(F)等のそれ以外の成分とが、結晶化構造を新たに形成することとなり、低温定着性が悪くなる。
また、(QI2nd)/(QI1st)は0.01〜0.95の範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜0.85、さらに好ましくは0.03〜0.75特に好ましくは0.04〜0.65である。(QI2nd)/(QI1st)は0.01未満の場合、上記(QI1st)/(QA1st)×rが0.8未満になりやすく、耐熱保存性が悪くなる。また0.95を超える場合は、分散質溶融時に樹脂(F)等との相溶が少なく低温定着性が悪くなる。
【0194】
本発明における示差走査熱量測定は、示差走査熱量計{たとえば、セイコー電子工業社製、DSC210}を用いて測定される値である。
<1回目昇温時の融解熱量、及び2回目昇温時の融解熱量について>
測定試料を30℃に1時間温調した後、速度10℃/分で150℃まで昇温した際に観られるそれぞれ対象物由来の吸熱量を1回目昇温時の融解熱量とする。その後、速度20℃/分で0℃まで冷却した後、すぐに速度10℃/分で150℃まで昇温した際に観られるそれぞれ対象物由来の吸熱量を2回目昇温時の融解熱量とする。
【0195】
これらの樹脂粒子、トナー及び液体現像剤の製造方法(1)〜(7)により得られるトナーにおいて、トナー(J)に対する、(J)中の分散質(A)の重量比率をr’、示差走査熱量測定における分散質(A)の1回目の昇温時の融解熱量をQA1st、トナー(J)の1回目の昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQJ1st、トナー(J)の2回目の昇温時の分散質(A)由来の融解熱量をQJ2ndとしたときに、下記の[条件7]及び[条件8]を満たすことが好ましい。
[条件7] 0.8≦(QJ1st)/(QA1st)×r’≦1.05
[条件8] 0.01≦(QJ2nd)/(QJ1st)≦0.95
(QJ1st)/(QA1st)×r’は0.8〜1.05の範囲が好ましく、より好ましくは0.82〜1.03、さらに好ましくは0.85〜1.01である。(QJ1st)/(QA1st)×r’が0.8未満の場合、分散質(A)と樹脂(F)等のそれ以外の成分とが相溶が大きくなり、耐熱保存性が悪くなる。また、1.05を超える場合は、分散質(A)と樹脂(F)等のそれ以外の成分とが、結晶化構造を新たに形成することとなり、低温定着性が悪くなる。
【0196】
また、(QJ2nd)/(QJ1st)は0.01〜0.95の範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜0.85、さらに好ましくは0.03〜0.75特に好ましくは0.04〜0.65である。(QJ2nd)/(QJ1st)は0.01の場合、上記(QJ1st)/(QA1st)×rが0.8未満になりやすく、耐熱保存性が悪くなる。また0.95を超える場合は、分散質溶融時に樹脂(F)等との相溶が少なく低温定着性が悪くなる。
【0197】
本発明の樹脂粒子、トナー及び液体現像剤の製造方法(1)〜(7)で得られる樹脂粒子(I)及びトナー(J)は分散質(A)の分散が良好であり、各種用途に用いる樹脂粒子及びトナーとして有用であり、さらにカーボンブラック、シアニンブルー等の着色剤を添加した樹脂粒子(I)及びトナー(J)は、各種用途に用いる着色樹脂粒子及びトナーとして有用である。
【実施例】
【0198】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部を示す。
なお、以下において実施例12、26及び32は参考例1〜3を意味する。
【0199】
製造例1(分散質(A−1)の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、エチレングリコール100部、アジピン酸100部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質(A−1)を得た。分散質(A−1)の融点は46℃、Mwが3800、Mnは1440であった。
【0200】
製造例2(分散質(A−2)の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ドデカン二酸286部、1,6−ヘキサンジオール159部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質(A−2)を得た。分散質(A−2)の融点は65℃、Mwが10000、Mnは4800であった。
【0201】
製造例3(分散質(A−3)の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、イソフタル酸100部、1,6−ヘキサンジオール100部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質(A−3)を得た。分散質(A−3)の融点は77℃、Mwが5430、Mnは2600であった。
【0202】
製造例4(分散質(A−4)の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸70部、イソフタル酸30部、1,6−ヘキサンジオール100部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質(A−4)を得た。分散質(A−4)の融点は99℃、Mwが6000、Mnは3300であった。
【0203】
製造例5(分散質(A−5)の製造)
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、1,4−ブタンジオール66部、1,6−ヘキサンジオール86部、及びメチルエチルケトン(MEK)40部を仕込む。この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)248部を仕込み80℃で5時間反応し、分散質(A−5)のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の分散質(A−5)の融点は57℃、Mwが9700、Mnは4500であった。
【0204】
製造例6(分散質(A−6)の製造)
反応容器に、1,9−ノナンジオール50部、及びジエチレングリコール38部を反応容器内に入れ、攪拌下ナトリウムメトキシドの25重量%メタノール溶液0.1部を添加し、160℃に昇温した。昇温終了後、ジメチルカーボネート51部を滴下し、滴下終了から5時間後80℃まで冷却した。触媒除去のために、吸着剤を添加し1時間攪拌した後、濾過を行った。得られた生成物を反応容器に戻し、240℃に昇温させ、0.5kPaに減圧し、未反応物及び溶剤を留去することにより、ポリカーボネートからなる分散質(A−6)を得た。分散質(A−6)は、Mw6200、融点54℃であった。
【0205】
製造例7(分散質(A−7)の製造)
反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,4−ブタンジオール19部、及びヘキサメチレンジイソシアネート54部を投入し、80℃で7時間反応を行った後、1,6−ヘキサンジオールを成分とする結晶性ポリカーボネート(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「PCDL T6002」、水酸基価56)340部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、ポリカーボネートとポリウレタンとの複合樹脂からなる分散質(A−7)を得た。分散質(A−7)は、Mw11000、融点61℃であった。
【0206】
製造例8(分散質(A−8)の製造)
混合容器に、結晶性ポリカーボネート(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「PCDL T6002」)150部、及び1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなる結晶性ポリエステル(豊国製油(株)製、商品名「HS2H−500S」、水酸基価22)350部を投入し、100℃で1時間混合を行い、ポリカーボネートとポリエステルとの混合樹脂からなる分散質(A−8)を得た。分散質(A−8)は、Mw12000、融点64℃であった。
【0207】
製造例9(分散質(A−9)の製造)
攪拌装置及び脱溶剤装置のついた反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,6−ヘキサンジオール430部、ヘキサメチレンジイソシアネート570部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、分散質(A−9)を得た。分散質(A−9)はMw7,500、融点75℃であった。
【0208】
製造例10(分散質(A−10)の製造)
攪拌装置及び脱溶剤装置のついた反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,6−ヘキサンジオール210部、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール(豊国製油(株)製、商品名「HS 2H−200S」、水酸基価56)500部、ヘキサメチレンジイソシアネート290部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、分散質(A−10)を得た。分散質(A−10)はMw9,000、融点60℃であった。
【0209】
製造例11(分散質(A−11)の製造)
攪拌装置及び脱溶剤装置のついた反応容器に、メチルエチルケトン1000部、1,6−ヘキサンジオール350部、1,6−ヘキサンジアミン90部、ヘキサメチレンジイソシアネート560部を投入し、80℃で7時間反応を行い、80℃、20kPaで脱溶剤し、分散質(A−11)を得た。分散質(A−11)はMw6,000、融点80℃であった。
【0210】
製造例12(分散質(A’−1)の製造)
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、1,2−プロピレングリコール57部、1,6−ヘキサンジオール86部、及びメチルエチルケトン(MEK)40部を仕込む。この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)248部を仕込み80℃で5時間反応し、分散質(A’−1)のMEK溶液を得た。溶剤を除いた後の分散質(A’−1)の融点は27℃、Mwが8700、Mnは4200であった。
【0211】
製造例13(分散質(A’−2)の製造)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール35.4部、テレフタル酸45.8部、ドデセニル無水コハク酸8.0部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.1部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し分散質(A’−2)を得た。分散質(A’−2)の融点は108℃、Mwが12000、Mnは5500であった。
【0212】
製造例14
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、キシレン454部、低分子量ポリエチレン〔三洋化成工業製 サンワックス LEL−400:軟化点128℃〕150部を投入し、窒素置換後170℃に昇温して十分溶解し、スチレン716部、アクリル酸ブチル46部、アクリロニトリル88部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34部、及びキシレン119部の混合溶液を、170℃で3時間かけて滴下して重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散剤(1)を得た。ワックス分散剤(1)の重量平均分子量は5200であった。
【0213】
実施例1
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−1)24.0部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温した。次に二酸化炭素を供給し3MPaにして10分間攪拌した後、3MPaをキープしたまま温度を40℃まで降温し、その後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−1)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−1)が分散された分散液(D−1)を得た。メジアン径及び粗大粒子量はレーザー式粒度分布測定装置(LA−920)で測定した(以下の分散質についても同様)。
【0214】
実施例2
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−2)24.0部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度80℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し7MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−2)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−2)が分散された分散液(D−2)を得た。
【0215】
実施例3
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、メチルエチルケトン240部、分散質(A−3)24.0部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度85℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し3MPaにして20分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−3)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−3)が分散された分散液(D−3)を得た。
【0216】
実施例4
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−4)を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度120℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し10MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−4)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−4)が分散された分散液(D−4)を得た。
【0217】
実施例5
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、酢酸エチル240部、分散質(A−5)48.0部を、耐圧反応容器の容積の50%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度50℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し4MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−5)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−5)が分散された分散液(D−5)を得た。
【0218】
実施例6
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−6)48.0部を、耐圧反応容器の容積の50%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度60℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し4MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−6)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−6)が分散された分散液(D−6)を得た。
【0219】
実施例7
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置(M1)としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まずT1にアセトン240部、分散質(A−7)24.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度40℃まで昇温し、分散質(A−7)の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.2L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、3MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より分散質(A−7)の溶液を0.5L/hの流量で導入し、3MPaを維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルからT2内(大気圧)に開放することで、分散質(A−7)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−7)が分散された分散液(D−7)を得た。
【0220】
実施例8
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置(M1)としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まずT1にアセトン240部、分散質(A−8)24.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度80℃まで昇温し、分散質(A−8)の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.2L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、5MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より分散質(A−8)の溶液を0.5L/hの流量で導入し、5MPaを維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルからT2内(大気圧)に開放することで、分散質(A−8)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−8)が分散された分散液(D−8)を得た。
【0221】
実施例9
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置(M1)としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まずT1にメチルエチルケトン240部、分散質(A−9)24.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度85℃まで昇温し、分散質(A−9)の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.2L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、8MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より分散質(A−9)の溶液を0.5L/hの流量で導入し、8MPaを維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルからT2内(大気圧)に開放することで、分散質(A−9)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−9)が分散された分散液(D−9)を得た。
【0222】
実施例10
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置(M1)としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まずT1にスチレンモノマー240部、分散質(A−10)24.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度65℃まで昇温し、分散質(A−10)の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.2L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、10MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より分散質(A−10)の溶液を0.5L/hの流量で導入し、10MPaを維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルからT2内(大気圧)に開放することで、分散質(A−10)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−10)が分散された分散液(D−10)を得た。
【0223】
実施例11
図1に示すラインブレンド方法を用いる実験装置〔ラインブレンド装置(M1)としては、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径3.4mm、エレメント数27)を使用した〕において、まずT1に酢酸エチル240部、分散質(A−11)48.0部を仕込み密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度60℃まで昇温し、分散質(A−11)の溶液を作製した。ボンベB1、ポンプP2より二酸化炭素を0.2L/hの流量で導入し、バルブV1を調整し、4MPaとした。次いで、タンクT1、ポンプP1より分散質(A−11)の溶液を0.5L/hの流量で導入し、4MPaを維持しながら、M1でラインブレンドされた混合液をノズルからT2内(大気圧)に開放することで、分散質(A−11)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−11)が分散された分散液(D−11)を得た。
【0224】
実施例12
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、製造例14で得られたワックス分散剤(1)12.0部、アセトン228部、及びパラフィンワックス(HNP−9、融点:76℃、日本精蝋製)24.0部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度80℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し5MPaにして10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、パラフィンワックスを析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、パラフィンワックスからなる分散質(A−12)の分散液(D−12)を得た。
【0225】
実施例13
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−4)24.0部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度10℃まで冷却し分散質(A−4)を晶析させた。昇温後二酸化炭素を供給し6MPaにして20分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、分散質(A−4)を析出させ、二酸化炭素を気化させ除去して、分散質(A−4)が分散された分散液(D−13)を得た。
【0226】
比較例1
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−1)24.0部を、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、室温(20℃)で二酸化炭素を供給し5MPaにして、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、二酸化炭素を気化させ除去して、比較の分散質(A−1)が分散された分散液(D’−1)を得た。
【0227】
比較例2
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−2)を24.0部仕込み、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、室温(20℃)で二酸化炭素を供給し3MPaにして、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、二酸化炭素を気化させ除去して、比較の分散質(A−2)が分散された分散液(D’−2)を得た。
【0228】
比較例3
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−12)を24.0部仕込み、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、二酸化炭素を供給、および昇温して3MPa、40℃にして、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、二酸化炭素を気化させ除去して、比較の分散質(A−12)が分散された分散液(D’−3)を得た。
【0229】
比較例4
攪拌棒及び温度計をセットした耐圧反応容器に、アセトン240部、分散質(A−13)を24.0部仕込み、耐圧反応容器の容積の40%まで仕込み、二酸化炭素を供給、および昇温して7MPa、110℃にして、10分間攪拌した後、容器下部に取り付けたノズルを全開して大気中に開放することで、二酸化炭素を気化させ除去して、比較の分散質(A−14)が分散された分散液(D’−4)を得た。
【0230】
実施例1〜14及び比較例1〜4の結果を表1に示す。
【0231】
【表1】
【0232】
製造例15<樹脂(F−1)の調製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(以下、プロピレングリコールと記載)831部、テレフタル酸703部、アジピン酸47部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が87℃になった時点で180℃まで冷却し、さらに無水トリメリット酸24部、テトラブトキシチタネート0.5部を投入し90分反応させた後、取り出した。回収されたプロピレングリコールは442部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、ポリエステル樹脂(F−1)を得た。ポリエステル樹脂(F−1)のMnは1900、Tgは45℃であった。
【0233】
製造例16<樹脂(F−2)の調製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール729部、テレフタル酸683部、アジピン酸67部、無水トリメリット酸38部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させた。回収されたプロピレングリコールは172部であった。軟化点が160℃になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、ポリエステル樹脂(F−2)を得た。この樹脂のMnは5700、Tgは63℃であった。
【0234】
製造例17<樹脂溶液(L−1)の調製>
攪拌装置のついた容器に、アセトン490部、メタノール175部、イオン交換水35部からなる混合溶剤である溶剤(B)に、樹脂(F−1)228部、及び樹脂(F−2)57部を仕込み、樹脂(F−1)と樹脂(F−2)が完全に溶解するまで攪拌し、樹脂溶液(L−1)を得た。
なお、溶剤(B)は、標準状態の樹脂(F−1)と溶剤(B)の等重量混合物における樹脂(F−1)の重量に対する樹脂(F−1)の不溶分重量は0.1重量%以下、溶剤(B)のSP値は11.8であった。
【0235】
製造例18<樹脂(F−3)の調製>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール422部(100.0モル部)、セバシン酸692部(98.0モル部)、安息香酸9部(2.0モル部)、及び重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出しし、結晶性樹脂(f−1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた別の反応容器に、(f−1)587部、酢酸エチル400部を投入し、60℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌し、溶解させた後、この溶液中の水分量が0.05重量%になるように水を加えた。溶解を確認した後、ヘキサメチレンジイソシアネート12.5部を投入し、90℃まで昇温し、5時間反応させ、樹脂(F−3)の酢酸エチル溶液を得た。次いで酢酸エチルを除去することで、樹脂(F−3)を得た。樹脂(F−3)の融点は70℃、Mwは27400であった。
【0236】
製造例19<樹脂(F−4)の調製>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール315部(下記回収分161部を除くと63.6モル部)、ビスフェノールAのPO2モル付加物404部(19.0モル部)、テレフタル酸459部(81.2モル部)、安息香酸61部(14.7モル部)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸27.3部(4.2モル部)を加え、常圧下で1時間反応させ、非結晶線形ポリエステル樹脂(F−4)を得た。回収されたプロピレングリコールは161部であった。(F−4)のTgは65℃、Mwは5,500であった。
【0237】
製造例20<前駆体(F’−1)の調製>
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、(f−1)452部、酢酸エチル500部を投入し、60℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌し、溶解させた後、この溶液中の水分量が0.06重量%になるように水を加えた。溶解を確認した後、トリレンジイソシアネート48部を加え、80℃まで昇温し、同温度で1時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する前駆体(F’−1)の溶液を得た。前駆体(F’−1)のMwは14,000、融解熱の最大ピーク温度は60℃、イソシアネート含有率は1.0重量%であった。
【0238】
製造例21<樹脂溶液(L−2)の製造>
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性樹脂(F−3)15重量部、非結晶線形ポリエステル樹脂(F−4)を85部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して樹脂溶液(L−2)を得た。
【0239】
製造例22<樹脂(e−1)の調製>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、及び窒素吹き込み管を備えた反応容器に、トルエン500部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、トルエン350部、ベヘニルアクリレート(炭素数22個の直鎖アルキル基を有するアルコールのアクリレート、ブレンマーVA、日油製)120部、メタクリル酸メチル22.5部、(2−パーフルオロデシル)エチルアクリレート(和光純薬製)7.5部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)10部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、樹脂(e−1)を得た。この樹脂の融点は60℃、Mnは8000であった。
【0240】
製造例23<有機微粒子(E−1)の非水性分散液の調製>
ノルマルヘキサン700部、樹脂(e−1)300部を混合した後、ビーズミル(ダイノーミルマルチラボ:シンマルエンタープライゼス製)で粒径0.3mmのジルコニアビーズを用いて粉砕を行い、乳白色の有機微粒子(E−1)の非水性分散液を得た。この分散液中の(E−1)の体積平均粒径は0.4μmであった。体積平均粒径はレーザー式粒度分布測定装置(LA−920)で測定した(以下の有機微粒子、顔料についても同様)。
【0241】
製造例24<有機微粒子(E−2)の水性分散液の調製>
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン139部、メタクリル酸メチル138部、アクリル酸ブチル184部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成して、有機微粒子(E−2)の水性分散液(固形分濃度20%)を得た。この分散液中の(E−2)の体積平均粒径は0.15μmであった。
【0242】
製造例25<顔料分散液(P)の調製>
アセトン800部、銅フタロシアニンブルー4920(大日精化工業株式会社製)200部、顔料分散剤DISPER BYK−106(ビックケミー社製)46部を混合した後、ビーズミル(ダイノーミルマルチラボ:シンマルエンタープライゼス製)で粒径0.3mmのジルコニアビーズを用いて粉砕を行い、顔料分散液(P)を得た。この分散液中の顔料の体積平均粒径は0.3μmであった。
【0243】
製造例26<ワックス分散液(1)の調製>
ワックス分散剤(1)12.0部アセトン228部、及びパラフィンワックス(HNP−9、融点:76℃、日本精蝋製)24.0部を溶解混合した後、氷浴中で急速冷却し、ワックスを晶析したものを、ビーズミル(ダイノーミルマルチラボ:シンマルエンタープライゼス製)で粒径0.3mmのジルコニアビーズを用いて粉砕を行い、乳白色のワックス分散液(1)の非水性分散液を得た。この分散液中のワックスの体積平均粒径は0.4μmであった。体積平均粒径はレーザー式粒度分布測定装置(LA−920)で測定した。
【0244】
製造例27<顔料分散液(P’)の調製>
銅フタロシアニンブルー4920(大日精化工業株式会社製)100部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)2部、イオン交換水250部を混合し、TK式ホモミキサーで分散し、顔料分散液(P’)を得た。
【0245】
製造例28<ワックス分散液(1’)の調製>
パラフィンワックス(HNP−9、融点:76℃、日本精蝋製)80部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)1部、イオン交換水120部を混合し、95℃で溶解させた後、TK式ホモミキサーで分散し、ワックス分散液(1’)を得た。
【0246】
製造例29<結晶性樹脂(f−2)の調製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸159部、アジピン酸28部と1,4−ブタンジオール124部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、Mwが10000になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し結晶性樹脂(f−2)を得た。結晶性樹脂(f−2)の融点は55℃、Mnは4300、水酸基価は36であった。
【0247】
製造例30<樹脂(F−5)の調製>
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、トリレンジイソシアネート44部及びMEK100部を仕込んだ。この溶液にシクロヘキサンジメタノール32部を仕込み80℃で2時間反応させた。次にこの非結晶性樹脂を含有する溶液を結晶性樹脂(f−2)140部をMEK140部に溶解させた溶液へ投入し、80℃で4時間反応して樹脂(F−5)を得た。溶剤を除いた後の樹脂(F−5)の融点は55℃、Mnは14000、Mwは28000であった。
【0248】
製造例31<樹脂(F−5)の水性分散液の調製>
樹脂(F−5)100部に対してアセトン100部を加え溶解させた。ホモジナイザーで撹拌下(10000rpm)、樹脂(F−5)のアセトン溶液に水300部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業製、「エレミノールMON−7」)5部を加え、40℃、100mmHgの減圧下でアセトンを留去することで樹脂(F−5)の水分散液(1)を得た。樹脂(F−5)の水分散液(1)のレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は0.09μmであった。
【0249】
製造例32<分散質(A−11)の水性分散液(1)の調製>
分散液(D−11)100部とイオン交換水90部混合し、40℃、100mmHgの減圧下で酢酸エチルを留去することで、分散質(A−11)の水性分散液(1)を得た。
【0250】
製造例33<硬化剤(β)の調製>
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、イソホロンジアミン50重量部とメチルエチルケトン300重量部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤して硬化剤(β)を得た。(β)の全アミン価は415であった。
【0251】
実施例14
図2の実験装置において、まずバルブV2、V3を閉じ、ボンベB3、ポンプP6より粒子回収槽T6に二酸化炭素(純度99.99%)を導入し、14MPa、40℃に調整した。また樹脂溶液タンクT3に樹脂溶液(L−1)、分散液(D−1)を混合したもの、微粒子分散液タンクT4に有機微粒子(E−1)の非水性分散液を仕込んだ。次にボンベB2、ポンプP5より二酸化炭素を分散槽T5に導入し、9MPa、40℃に調整し、さらにタンクT4、ポンプP4より有機微粒子(E−1)の非水性分散液を導入した。次に分散槽T5の内部を2000rpmで攪拌しながら、タンクT3、ポンプP3より樹脂溶液(L−1)と分散液(D−1)の混合液を分散槽T5内に導入した。導入後T3の内部の圧力は14MPaとなった。
なお分散槽T5への仕込み組成は次の通りである。
樹脂溶液(L−1) 270部
分散液(D−1) 80部
有機微粒子(E−1)の非水性分散液 45部
二酸化炭素 550部
なお導入した二酸化炭素の重量は、二酸化炭素の温度(40℃)、及び圧力(15MPa)から二酸化炭素の密度を下記文献3に記載の状態式より算出し、これに分散槽T5の体積を乗じることにより算出した(以下同様。)。
文献3:Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596
【0252】
樹脂溶液(L−1)、分散液(D−1)導入後、1分間攪拌し分散体(X−1)を得た。バルブV2を開き、P6よりT6内に二酸化炭素を導入した後、分散体(X−1)をT6内に導入し、この間圧力が一定に保たれるように、V3の開度を調節した。この操作を30秒間行い、V2を閉めた。この操作によりT6内に導入された樹脂分散体(X−1)からの溶剤の抽出を行った。さらにT6を60℃に加熱し、15分間保持した。この操作により、有機微粒子(E−1)を樹脂溶液(L−1)から形成された液滴(G’−1)の表面に固着させ、樹脂粒子(I’−1)を生成した。次に圧力ボンベB3、ポンプP6より粒子回収槽T6に二酸化炭素を導入しつつ圧力調整バルブV3により圧力を14MPaに保持することにより、抽出された溶剤を含む二酸化炭素を溶剤トラップ槽T7に排出すると共に、樹脂粒子(I−1)をフィルターF1に捕捉した。圧力ボンベB3、ポンプP6より粒子回収槽T6に二酸化炭素を導入する操作は、上記の分散槽T5に導入した二酸化炭素重量の5倍量を粒子回収槽T6に導入した時点で二酸化炭素の導入を停止した。この停止の時点で、溶剤を含む二酸化炭素を、溶剤を含まない二酸化炭素で置換すると共に樹脂粒子(I−1)をフィルターF1に捕捉する操作は完了した。さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、粒子回収槽内を大気圧まで減圧し、フィルターF1に補足されている、 分散質(A−1)が均一分散された樹脂粒子(G−1)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、マルチサイザーIII(以下の樹脂粒子についても同様)による体積平均粒径が5.0μmの樹脂粒子(I−1)を得た。
【0253】
実施例15〜21
実施例14において、分散液(D−1)の代わりに、実施例2〜7及び13でそれぞれ得られた分散液(D−2)〜(D−7)及び(D−13)を使用したこと以外は実施例15と同様にして、分散質(A−2)〜(A−7)及び(A−4)が均一分散された樹脂粒子(G−2)〜(G−7)及び(G−13)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、樹脂粒子(I−2)〜(I−7)及び(I−13)を得た。
【0254】
実施例22
ビーカー内にノルマルデカン(n−デカン)120部と有機微粒子(E−1)の非水性分散液45部を投入し、ホモミキサー(プライミクス製)で回転数16000rpmで10秒混合した後、撹拌下に樹脂溶液(L−1)270部と分散液(D−8)80部を混合した液を一気に投入し、1分間分散して液滴(G’−1)を得た。さらにその分散体をエバポレータで40℃、0.01MPaで脱溶剤、続いて濾別、乾燥を行うことで系中の溶剤を除去し、分散質(A−8)が均一分散された樹脂粒子(G−8)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、樹脂粒子(I−8)を得た。
【0255】
実施例23
ビーカーに、イオン交換水170.2部、有機微粒子(E−2)の水性分散液11部を、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]11部及び酢酸エチルを投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、前駆体(F’−1)溶液11.2部、硬化剤(β)5.5部と樹脂溶液(L−2)63.8部、分散液(D−9)22部の混合液を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、樹脂粒子の液滴(G’−2)を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、分散質(A−9)が均一分散された樹脂粒子(G−9)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、樹脂粒子(I−9)を得た。
【0256】
実施例24
スチレン72部及びn−ブチルアクリレート18部からなる単量体(得られる共重合体の計算Tg=56℃)と、樹脂(F−3)を10部、帯電制御剤(保土ケ谷化学社製)1部、及びジビニルベンゼン0.3部を室温においてビーズミルで分散を行い、均一混合液を得た。
さらに均一混合液に分散液(D−10)を100部投入し混合した。
【0257】
一方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)6.9部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、粒子径が0.4μmの水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
【0258】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記コア用単量体混合物を投入、撹拌後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部をさらに投入し、TK式ホモミキサーを用いて10000rpmの回転数で高剪断攪拌して、コア用単量体混合物の液滴(G”−1)を得た。この造粒した単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率93%に達したときに重合温度はそのままにし、前記シェル用単量体及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}1部を添加し、3時間反応を継続した後、反応を停止し、樹脂粒子(G−10)の水分散液を得た。
【0259】
上記により得た樹脂粒子(G−10)の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを3以下にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で30時間乾燥を行い、樹脂粒子(I−10)を得た。
【0260】
実施例25
ステンレス製ビーカーに樹脂(F−5)の水分散液(1)140部、分散質(A−11)の水性分散液(1)40部、イオン交換水600部、硫酸マグネシウム1部を加え、TK式ホモミキサーを用いて分散させた後、pH7.0に調製してから60℃まで撹拌しながら昇温した。凝集粒子の体積平均粒径が5.0μm付近になるまで、塩酸(0.1mol/L)を添加したところで、pHを一定に保ちながら樹脂(F−5)の水分散液(1)600部を加え、60℃で1時間撹拌後、さらに80℃で加熱撹拌を2時間行った。その後、濾別し、500部のイオン交換水で4回洗浄し、40℃×18時間乾燥を行い樹脂粒子(I−11)を得た。
【0261】
実施例26
樹脂溶液(L−1)270部、及び分散液(D−12)80部を混合し、この混合液を目開き1μmのフィルターを通した。
【0262】
得られたトナー組成液を、8.0μmの吐出孔から吐出液滴化し、これを40℃のエアーで乾燥させることにより、樹脂粒子(G−12)を得た。なお、条件は下記の通りである。
−液柱共鳴条件−
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
−トナー母体粒子作製条件−
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :8.0μm
吐出孔の開口数 :1個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数 :100室
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :12.0V
駆動周波数 :280kHz
【0263】
得られた樹脂粒子(G−12)100.0質量部に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン株式会社製)1.0質量部及び酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、その後目開き30μmの篩を通し、樹脂粒子(I−12)を得た。
【0264】
比較例5〜8
実施例14において、分散液(D−1)の代わりに、比較の分散液(D’−1)〜(D’−4)を使用したこと以外は実施例14と同様にして、それぞれ分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)、(A’−2)を含有する樹脂粒子(Gx−1)〜(Gx−4)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、比較樹脂粒子(Ix−1)〜(Ix−4)を得た。
比較樹脂粒子(Ix−1)〜(Ix−3)はいずれも分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)の分散性が悪く、また十分に微細化されていない分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)が樹脂粒子中に含まれずに析出しているのが確認された。一方 比較樹脂粒子(Ix−4)では分散質(A’−2)の分散性は良好であった。
【0265】
定着温度の評価
樹脂粒子(I−1)〜(I−12)、比較樹脂粒子(Ix−1)〜(Ix−4)にアエロジルR972(日本アエロジル社製)を1.0%添加し、よく混ぜて均一にした後、この粉体を紙面上に0.6mg/cm
2となるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる(上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cm
2の条件で通した時のMFT(最低定着温度)を測定した。
【0266】
実施例15〜26及び比較例5〜8の結果を表2に示す。
【0267】
【表2】
【0268】
実施例27
実施例14において、分散液(D−1)40部の代わりにワックス分散液(1)20部及び顔料分散液(P)20部を併用したこと以外は実施例14と同様にして、分散質(A−1)が均一分散されたトナー母体粒子(J’−1)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、トナー粒子(J−1)を得た。
【0269】
実施例28
ビーカー内にノルマルデカン(n−デカン)120部と有機微粒子(E−1)の非水性分散液45部を投入し、ホモミキサー(プライミクス製)で回転数16000rpmで10秒混合した後、撹拌下に樹脂溶液(L−1)270部と分散液(D−8)40部、顔料分散液(P)20部、ワックス分散液(1)20部を混合した液を一気に投入し、1分間分散して分散体を得た。さらにその分散体をエバポレータで40℃、0.01MPaで脱溶剤、続いて濾別、乾燥を行うことで系中の溶剤を除去し、分散質(A−8)が均一分散されたトナー母体粒子(J’−2)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成されたトナー粒子(J−2)を得た。
【0270】
実施例29
ビーカーに、イオン交換水170部、有機微粒子(E−2)の水性分散液110部を、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]11部及び酢酸エチル30部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、前駆体(F’−1)溶液11.2部、硬化剤(β)5.5部と樹脂溶液(L−2)63.8部、分散液(D−9)16部、顔料分散液(P)3部、ワックス分散液(1)3部の混合液を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナー母体となる液滴を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、分散質(A−9)が均一分散されたトナー母体粒子(J’−3)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、トナー粒子(J−3)を得た。
【0271】
実施例30
スチレン72部及びn−ブチルアクリレート18部からなる単量体(得られる共重合体の計算Tg=56℃)と、樹脂(F−4)を10部、銅フタロシアニンブルー4920(大日精化株式会社製)4.5部、パラフィンワックス(HNP−9、融点:76℃、日本精蝋製)4.5部、帯電制御剤(保土ケ谷化学社製)1部、及びジビニルベンゼン0.3部を室温においてビーズミルで分散を行い、均一混合液を得た。
さらに均一混合液に分散液(D−10)を100部投入し混合した。
【0272】
一方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)6.9部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、粒子径が0.4μmの水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
【0273】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記コア用単量体混合物を投入、撹拌後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部をさらに投入し、TK式ホモミキサーを用いて10000rpmの回転数で高剪断攪拌して、コア用単量体混合物の液滴(G’’−1)を得た。この造粒した単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率93%に達したときに重合温度はそのままにし、前記シェル用単量体及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}1部を添加し、3時間反応を継続した後、反応を停止し、トナー母体粒子(J’−4)の水分散液を得た。
【0274】
上記により得た樹脂粒子(G−10)の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを3以下にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で30時間乾燥を行い、トナー粒子(J−4)を得た。
【0275】
実施例31
ステンレス製ビーカーに樹脂(F−5)の水分散液(1)120部、分散質(A−11)の水性分散液(1)40部、顔料分散液(P)10部、ワックス分散液(1)10部、イオン交換水600部、硫酸マグネシウム1部を加え、TK式ホモミキサーを用いて分散させた後、pH7.0に調製してから60℃まで撹拌しながら昇温した。凝集粒子の体積平均粒径が5.0μm付近になるまで、塩酸(0.1mol/L)を添加したところで、pHを一定に保ちながら樹脂(F−5)の水分散液(1)600部を加え、60℃で1時間撹拌後、さらに80℃で加熱撹拌を2時間行った。その後、濾別し、500部のイオン交換水で4回洗浄し、40℃×18時間乾燥を行いトナー粒子(J−5)を得た。
【0276】
実施例32
樹脂溶液(L)の溶解液230部、顔料分散液(P)20部、ワックス分散液(1)20部及び分散液(D−12)80部を混合し、この混合液を目開き1μmのフィルターを通した。
【0277】
得られたトナー組成液を、8.0μmの吐出孔から吐出液滴化し、これを40℃のエアーで乾燥させることにより、トナー母体粒子(J’−6)を得た。なお、条件は下記の通りである。
−液柱共鳴条件−
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
−トナー母体粒子作製条件−
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :8.0μm
吐出孔の開口数 :1個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数 :100室
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :12.0V
駆動周波数 :280kHz
【0278】
得られたトナー母体粒子(J’−6)100.0質量部に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン株式会社製)1.0質量部及び酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、その後目開き30μmの篩を通し、トナー粒子(J−6)を得た。
【0279】
比較例9〜12
実施例27において、分散液(D−1)の代わりに、比較の分散液(D’−1)〜(D’−4)に変更したこと以外は実施例27と同様にして、それぞれ分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)、(A’−2)を含有するトナー母体粒子(Jx’−1)〜(Jx’−4)の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された、比較トナー粒子(Jx−1)〜(Jx−4)を得た。
比較トナー粒子(Jx−1)〜(Jx−3)はいずれも分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)の分散性が悪く、また十分に微細化されていない分散質(A−1)、(A−2)、(A’−1)がトナー粒子中に含まれずに析出しているのが確認された。一方 比較トナー粒子(Jx−4)では分散質(A’−2)の分散性は良好であった。
【0280】
実施例27〜32及び比較例9〜12の結果を表3に示す。
【0281】
【表3】
【0282】
実施例33
ビーカー内にIPソルベント2028(出光社製)170部と有機微粒子(E−1)の非水性分散液110部を投入し、ホモミキサー(プライミクス製)で回転数16000rpm、10秒混合した後、撹拌下に樹脂溶液(L−1)80部と分散液(D−8)19部、顔料分散液(P)3部を混合した液を一気に投入し、1分間分散して分散体を得た。さらにその分散体をエバポレータで40℃、0.01MPaで脱溶剤を行うことで系中の溶剤を除去し、分散質(A−8)が均一分散された粒子の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された粒子(J−7)がIPソルベント2028に分散した液体現像剤(K−1)を得た。
【0283】
比較例13
分散液(D−8)19部を分散液(D’−4)19部に変更する以外は実施例33と同様にし、分散質(A’−2)が均一分散された粒子の表面に有機微粒子(E−1)由来の皮膜が形成された粒子(Jx−5)がIPソルベント2028に分散した液体現像剤(Kx−1)を得た。
【0284】
液体現像剤の低温定着性評価
液体現像剤(K−1)をスポイトでサンプリングした後、光沢紙面上1点に0.08gの液滴を落とした後、バーコーターを用いて、液膜厚が10μmになるよう引き伸ばした。この液体現像剤(K−1)が塗布された光沢紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)5kg/cm
2の条件で通した時のMFT(最低定着温度)を測定した結果、MFTは120℃であった。同様に比較液体現像剤(Kx−1)を測定したところ、MFTは185℃であった。