特許第6453100号(P6453100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453100
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】カメラ付玄関子機
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20190107BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20190107BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20190107BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20190107BHJP
   G03B 11/04 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   H04M1/02 G
   H04M9/00 D
   G03B15/00 U
   G03B15/03 P
   G03B11/04 C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-30326(P2015-30326)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-152577(P2016-152577A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 毅仙
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−099682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B11/00−11/06
15/00−15/035
15/06−15/16
H04M1/02−1/23
9/00−9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズと、
前方部材と後方部材とで構成され、前記カメラレンズを露出させるための開口部が前記前方部材の前面に形成された本体ケースと、
前記開口部の周囲を覆うとともに前記前面上に取り付けられる透光性のカバー部材と、
前記前面上において前記カバー部材で区画される内部領域内に形成され、前記本体ケースより上方に位置する光源から出射されて前記カメラレンズに入射する光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部材と、
前記前方部材と前記後方部材とで形成される収容空間の内部に配置されるとともに、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の向きを変化させることが可能なチルト機構と、
を備え、
前記遮蔽部材は、前記内部領域内の前記前面上から離れる方向に沿って突出するように前記前面上に形成されている、
カメラ付玄関子機。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記前面に対して垂直な方向から見て前記開口部と前記光源との間に配置されている、請求項1に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項3】
前記遮蔽部材の先端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されている、請求項1または請求項2に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、
前記内部領域内の前記前面上から離れる方向に沿って突出するように前記前面上に板状に形成される第一の遮蔽部と、
前記前面上であって前記第一の遮蔽部より前記光源に近い位置に、前記内部領域内の前記前面上から離れる方向に沿って突出するように板状に形成される第二の遮蔽部と、
を有する、請求項1または請求項2に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項5】
前記第一の遮蔽部の先端部は、前記第二の遮蔽部の先端部よりも前記内部領域内の前記前面に近い位置に配置されている、請求項4に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項6】
前記第一の遮蔽部の先端部と前記第二の遮蔽部の先端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されている、請求項4または請求項5に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項7】
前記遮蔽部材の先端面は、上端部から下端部に向けて前記内部領域内の前記前面に対して近づくように傾斜する傾斜面を有している、請求項1または請求項2に記載のカメラ付玄関子機。
【請求項8】
前記遮蔽部材の上端部と下端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されている、請求項7に記載のカメラ付玄関子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者が居住者を呼び出すためのカメラ付玄関子機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、訪問者を確認するためのカメラ機能を有するカメラ付きの玄関子機がある。このカメラ付玄関子機は、その設置場所や周囲の環境によっては、太陽光やダウンライトの照射光などがカメラレンズに入射してしまう場合がある。この場合、呼出時やモニタ時におけるカメラ映像が確認しづらくなってしまう。そこで、例えば、玄関子機とは別部品であるフード部品(直接光回避プレート)を玄関子機の本体ケースに取り付けることで、カメラレンズに入射する太陽光等を軽減することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−060908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のようにフード部品を玄関子機の本体ケースの上部に後から取り付ける構成では、玄関子機の全体の外観や意匠に与える影響が大きくなってしまう。しかし、この影響を考慮してフード部品を小さく設計すると、太陽光やダウンライトの照射光等の光を十分に遮蔽することができず、カメラレンズに入射する光を軽減することができない。
【0005】
そこで、本発明は、全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズに入射する光を軽減することが可能なカメラ付玄関子機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のカメラ付玄関子機は、
カメラレンズと、
前記カメラレンズを露出させるための開口部が形成された第一面を含む本体ケースと、
前記開口部の周囲を覆うとともに前記第一面上に取り付けられる透光性のカバー部材と、
前記第一面上において前記カバー部材で区画される内部領域内に形成され、前記本体ケースより上方に位置する光源から出射されて前記カメラレンズに入射する光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部材と、を備える。
【0007】
本体ケースの上部に遮蔽部材(フード部品)を取り付ける従来構成では、遮蔽部材を一定以上の大きさで形成しないと、カメラレンズに上方から入射する光を軽減することはできない。これに対し、上記構成によれば、遮蔽部材が、本体ケースの第一面におけるカバー部材の内部領域に設けられている。このように、従来構成と比較して遮蔽部材がカメラレンズに近い位置に配置されるため、遮蔽部材がカバー部材の内部領域に収容される程度の形状(大きさ)であっても、カメラレンズに上方から入射してくる光を遮蔽することができる。また、この遮蔽部材は、カバー部材によって覆われるため外部から見て目立たず、カメラ付玄関子機の全体の外観や意匠に与える影響は小さい。したがって、上記構成によれば、カメラ付玄関子機の全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズに入射する光を軽減することができる。
【0008】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材は、前記第一面に対して垂直な方向から見て前記開口部と前記光源との間に配置されていても良い。
【0009】
この構成によれば、開口部と光源との間に配置される遮蔽部材によって、カメラレンズの上方から入射する光を軽減することができる。
【0010】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材は、前記内部領域内の前記第一面上から離れる方向に沿って突出するように前記第一面上に板状に形成されていても良い。
【0011】
この構成によれば、外部から見て目立たない板状の構成によって、カメラレンズに入射する光を軽減することができる。
【0012】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材の先端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されていても良い。
【0013】
この構成によれば、板状の遮蔽部材の先端部がカメラ映像に映り込むことを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材は、
前記内部領域内の前記第一面上から離れる方向に沿って突出するように前記第一面上に板状に形成される第一の遮蔽部と、
前記第一面上であって前記第一の遮蔽部より前記光源に近い位置に、前記内部領域内の前記第一面上から離れる方向に沿って突出するように板状に形成される第二の遮蔽部と、を有していても良い。
【0015】
この構成によれば、カメラ付玄関子機に対する光源の位置が変化した場合であっても、第一遮蔽部と第二遮蔽部によって、カメラレンズに入射してくる光を遮蔽することができる。
【0016】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記第一の遮蔽部の先端部は、前記第二の遮蔽部の先端部よりも前記内部領域内の前記第一面に近い位置に配置されていても良い。
【0017】
この構成によれば、第一遮蔽部と第二遮蔽部によって、カメラレンズに入射してくる光に起因するフレア状ゴーストだけでなく、カバー部材の内部の反射光(迷光)に起因する点状ゴーストや輝線状ゴーストが発生することを抑制することができる。
【0018】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記第一の遮蔽部の先端部と前記第二の遮蔽部の先端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されていても良い。
【0019】
この構成によれば、第一遮蔽部の先端部と第二遮蔽部の先端部がカメラ映像に映り込むことを防ぐことができる。
【0020】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材の先端面は、上端部から下端部に向けて前記内部領域内の前記第一面に対して近づくように傾斜する傾斜面を有していても良い。
【0021】
この構成によれば、カメラ付玄関子機に対する光源の位置が変化した場合であっても、遮蔽部材によってカメラレンズに入射してくる光を遮蔽することができる。
【0022】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記遮蔽部材の上端部と下端部は、前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の外に配置されていても良い。
【0023】
この構成によれば、遮蔽部材がカメラ映像に映り込むことを防ぐことができる。
【0024】
また、本発明のカメラ付玄関子機において、
前記カメラレンズを用いたカメラの撮像範囲の向きを変化させることが可能なチルト機構を備えていても良い。
【0025】
この構成によれば、カメラレンズが、光源からの光が入射しやすい姿勢になった場合であっても、カメラ付玄関子機の全体の外観や意匠に影響を与えることなく、カメラレンズに入射する光を軽減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のカメラ付玄関子機によれば、全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズに入射する光を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るカメラ付玄関子機を示す正面図である。
図2図1に示すカメラ付玄関子機のA−A線における断面図である。
図3図1に示すカメラ付玄関子機の部分斜視図である。
図4図3に示すカメラ付玄関子機においてカバー部材を取り外したときの図である。
図5】遮蔽部材の機能を説明するための光線図であって、(a)は遮蔽部材を設けない場合、(b)は遮蔽部材を設けてダウンライトが近い位置にある場合、(c)は遮蔽部材を設けてダウンライトが遠い位置にある場合の図である。
図6】カメラの撮像画面に現れる光の映り込み現象を説明する図であって、(a)は遮蔽部材を設けない場合の画面、(b)は遮蔽部材を設けた場合の画面である。
図7】遮蔽部材の変形例1を説明するためのカメラ付玄関子機の斜視図である。
図8図7に示すカメラ付玄関子機のB−B線における断面図である。
図9】傾斜遮蔽部の機能を説明するための光線図である。
図10】遮蔽部材の変形例2を説明するためのカメラ付玄関子機の斜視図である。
図11】一段の遮蔽構造の機能を説明するための光線図である。
図12】一段の遮蔽構造を設けた場合の光の映り込み現象を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、カメラ付玄関子機1は、本体ケース10を備えている。本体ケース10は、前方部材10aと後方部材10bとを有している。前方部材10aと後方部材10bとで形成される収容空間の内部には、カメラ付玄関子機の各部品が収容されている。
【0029】
前方部材10aの前面(第一面の一例)11には、呼出しボタン12と、凹部31とが設けられている。凹部31の底面32には、開口部13と、第一の遮蔽部14A,第二の遮蔽部14B(遮蔽部材の一例)とが設けられている。また、凹部31を覆うように、カバー部材15が本体ケース10の前面11に取り付けられている。なお、本体ケース10の前面11とは、カメラ付玄関子機1の正面側に居る来訪者と対向する面、すなわち本体ケース10の前方部材10aの表側の面のことを意味し、凹部31の底面32も前面11に含まれる。
【0030】
呼出しボタン12は、居住者を呼び出す際に押下されるものである。
【0031】
前面11に対して垂直な前方側から見て開口部13の内側には、カメラレンズ24が配置されている。開口部13は、凹部31の底面32上に例えば円形状に形成されている。カメラレンズ24の球面の一部は、開口部13を介して本体ケース10の内部から外部へ露出している。カメラレンズ24の後方には、CCD(charge-coupled device),CMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子23が設けられている。撮像素子23とカメラレンズ24とでカメラユニット20が構成されている。このカメラユニット20が、カメラの撮像範囲の向きを変化させることが可能なチルト台(チルト機構の一例)22に取り付けられている。
【0032】
カバー部材15は、透光性を有する略透明の樹脂材で形成されており、カメラレンズ24を覆うように配置されることでカメラレンズ24を外部から保護する。カバー部材15は、開口部13の周囲を本体ケース10の前方側から覆うように前面11上に取り付けられている。カバー部材15と本体ケース10の前面11(底面32)とで空間(内部領域の一例)Sが形成されている。この空間S内に第一の遮蔽部14A,第二の遮蔽部14Bが設けられている。
【0033】
カバー部材15は、凹部31にカバー部材15の一部が嵌め込まれるように取り付けられている。嵌め込まれたカバー部材15の一部は、凹部31から前方へ突出している。カバー部材15の左右両側部には、カメラ付玄関子機1の前方へ向かう光を拡散させる光拡散部15a,15bが設けられている。なお、嵌め込まれたカバー部材15は、凹部31から外部へ突出しない構成としても良い。
【0034】
第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、本体ケース10より上方(例えば玄関の天井)に位置する光源(例えばダウンライト)から出射された光の一部がカメラレンズ24に入射するのを遮蔽する。第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、外部の上方からカバー部材15を通過してカメラレンズ24に向かって進む光を遮蔽する位置にそれぞれ設けられている。
【0035】
本例の第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、本体ケース10の左右方向へ延在する板状に形成されている。第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、前面11(底面32)から離れる方向に沿って突出するように前面11上に上下に並列して設けられている。第二の遮蔽部14Bは、前面11に対して垂直な前方側から見て、第一の遮蔽部14Aよりダウンライトに近い上側の位置に設けられている。また、第二の遮蔽部14Bは、第一の遮蔽部14Aよりも前面からの突出長さが大きくなるように形成されている。第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、前面11に対して垂直な前方側から見たとき、上下方向において天井のダウンライトと開口部13との間に配置されている。
【0036】
図3図4に示すように、第一の遮蔽部14Aの先端面33Aおよび第二の遮蔽部14Bの先端面33Bは、それぞれ円弧状に形成されている。カメラレンズ24に近い側の第一の遮蔽部14Aは、ダウンライトから遠い側の第二の遮蔽部14Bよりも円弧部分のR(曲率半径)の値が小さく形成されている。
【0037】
次に、図5図6を参照して、玄関の天井に設けられたダウンライト41の光を遮蔽する第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bの機能について説明する。なお、図5において、カメラレンズ24で撮像できる範囲は撮像範囲42として図示する。
【0038】
まず、本例の遮蔽部材の機能について説明をする前に、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bを設けない場合について図5(a),図6(a)を参照して説明する。
この場合、ダウンライト41から出射された光の一部は、例えば光L1で示すようにカバー部材15を透過してカメラレンズ24に直接入射し、撮像画像にフレア状ゴースト51を発生させる原因となる。また、光L1の一部は、カメラレンズ24の表面で反射されてカバー部材15方向へ進み、カバー部材15の内面でさらに反射された後にカメラレンズ24に入射し、撮像画像に点状ゴースト52を発生させる原因となる。このようにカメラレンズ24にダウンライト41の光が入射することにより、カメラレンズ24で撮像された画像50には照射光の映り込みがフレア状ゴースト51や点状ゴースト52となって現れる。
【0039】
これに対して、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bを設けた場合、図5(b),(c)に示すように、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bによってダウンライト41の光が遮蔽される。
【0040】
図5(b)に示すようにダウンライト41がカメラ付玄関子機1から近い位置に取り付けられている(間隔43が短い)場合、ダウンライト41から出射された光のうちカメラレンズ24へ向かって進む光の多くは、例えば光L2で示すように第二の遮蔽部14Bの上面によって遮蔽される。また、ダウンライト41から出射された光の一部L3は、第二の遮蔽部14Bの先端面33Bで反射された後にカバー部材15の内面でさらに反射された後、第一の遮蔽部14Aの上面によって遮蔽される。このようにして、ダウンライト41から出射されてカメラレンズ24に向かう光が第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bによって遮蔽される。
【0041】
次に、図5(c)に示すようにダウンライト41がカメラ付玄関子機1から遠い位置に取り付けられている(間隔44が長い)場合について説明する。この場合、ダウンライト41から出射された光のうちカメラレンズ24へ進む光の多くは、例えば光L4で示すように第一の遮蔽部14Aの上面によって遮蔽される。なお、ダウンライト41から出射されて第一の遮蔽部14Aの先端面33Aで反射された光は、例えば光L5で示すようにカメラレンズ24の撮像範囲42に入り込まない位置でカバー部材15の内面で反射された後、カメラレンズ24から逸れた方向へ進む。
【0042】
なお、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bの先端面を含む先端部は、図5(b),(c)に示すように、カメラユニット20がチルト台22によってチルトした場合であってもカメラの撮像画面に写らないように撮像範囲42の外側に配置されている。
【0043】
このようにダウンライト41の光を遮蔽する第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bを設けることにより、図6(b)に示すように、カメラレンズ24を用いて撮像された画像55には照射光の映り込みは発生しない。このようにして、フレア状ゴースト51や点状ゴースト52が現れないカメラ映像を得ることができる。
【0044】
ところで、従来のように本体ケースの上部に遮蔽部材(フード部品)を取り付ける構成では、遮蔽部材を一定以上の大きさで形成しないと、カメラレンズに上方から入射する光を十分に遮蔽することはできない。しかし、本体ケースの上部に大きなフード部品を取り付ける構成では、外部から目立ってしまい、製品の外観上好ましくない。
【0045】
これに対して、本実施形態のカメラ付玄関子機1によれば、第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bを、本体ケース10の前面11とカバー部材15とで区画された空間S内に設けている。このため、第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bは、カバー部材15によって覆われているので、外部から見て目立たない。
【0046】
また、上記従来構成のフード部品と比較して、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bは、カメラレンズ24に近い位置に配置される。このため、第一の遮蔽部14Aおよび第二の遮蔽部14Bが空間S内に収容される程度の形状(大きさ)であっても、カメラレンズ24に対して上方から入射してくるダウンライト41の光を十分に遮蔽することができる。
【0047】
また、カメラレンズ24の上側に並設された第一の遮蔽部14Aの先端面33Aと第二の遮蔽部14Bの先端面33Bとが円弧状に形成され、先端面33Aと先端面33Bとを撮像範囲42に入り込まないように配置されている。これらの二つの遮蔽部(14A,14B)によって二段式の遮蔽構造を設けることにより、ダウンライト41がカメラ付玄関子機1の近くに設置されていても遠くに設置されていても、図5(b),(c)に示すように、カメラレンズ24に入射してくる光を十分に遮蔽することができる。これにより、図6(b)に示すように、カメラレンズ24に入射してくる光に起因するフレア状ゴーストや、カバー部材15の内部の反射光(迷光)に起因する点状ゴーストや輝線状ゴーストが発生することを抑制することができる。
【0048】
また、本例では、カメラレンズ24の撮像範囲の向きを変化させることが可能なチルト台22を備えているが、カメラレンズ24の姿勢が変わった場合であっても、第一の遮蔽部14Aと第二の遮蔽部14Bによってダウンライト41の光を十分に遮蔽することができる。
【0049】
このように、カメラ付玄関子機1によれば、全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズ24に入射する光を軽減することができる。
【0050】
(変形例1)
次に、遮蔽部材の変形例1について図7図9を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
本例の遮蔽部材は、傾斜面を有する部材(以下、傾斜遮蔽部61と称する)である。傾斜遮蔽部61は、左右方向に長い略台形柱状に形成されており、凹部31の底面32(前面11)上において、カメラレンズ24の上側に本体ケース10の左右方向へ延在するように配置されている。傾斜遮蔽部61の先端面61Aは、上端部62から下端部63に向けて底面32に対して徐々に近づくように傾斜する傾斜面とされている。また、上端部62から下端部63は円弧状に形成されており、上端部62から下端部63に向けて徐々に曲率半径の値が小さくなるように形成されている。傾斜遮蔽部61の上端部62から下端部は、カメラレンズ24の撮像範囲42に入り込まないように配置されている。
【0051】
図9に示すように、ダウンライト41からカメラレンズ24方向へ進む光は、例えば光L6で示すように、傾斜遮蔽部61の上面64によって遮蔽される。また、傾斜遮蔽部61の先端面61Aで反射された光は、カメラレンズ24の撮像範囲42に入らずにカバー部材15で反射された後、カメラレンズ24から逸れた方向へ進む。なお、先端面61Aは円弧状に形成されているため、先端面61Aで反射された光は、分散されるように広がって進行する。
【0052】
このように、傾斜遮蔽部61を用いた場合も、上記実施形態と同様に、全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズ24に入射する光を軽減することができる。
【0053】
(変形例2)
次に、遮蔽部材の変形例2について図10図12を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
本例の遮蔽部材は、一段の遮蔽構造(以下、遮蔽部71と称する)を構成している。遮蔽部71は、底面32上に板状に形成されており、空間S内で底面32から離れる方向に沿って突出している。遮蔽部71は、空間Sにおいて、カメラレンズ24の上側に本体ケース10の左右方向へ延在するように設けられている。遮蔽部71の先端面72は、円弧状に形成されている。また、遮蔽部71の先端面72を含む先端部は、カメラレンズ24の撮像範囲42の外側に設けられている。
【0054】
図11に示すように、ダウンライト41からカメラレンズ24方向へ進む光は、例えば光L7で示すように、遮蔽部71の上面73によって遮蔽される。また、ダウンライト41から出射されて遮蔽部71の先端面72で反射された光は、例えば光L8で示すようにカバー部材15の内面で反射された後にカメラレンズ24に入射する。なお、先端面72は円弧状に形成されているため、先端面72で反射された光は、左右方向に分散されるように広がって進行する。
【0055】
このような構成によれば、図11に示すように、カメラレンズ24に対して上方から入射してくるダウンライト41の光のほとんどが遮蔽部71の上面73によって遮蔽される。これにより、カメラレンズ24に入射される光は、遮蔽部71の先端面72で反射されて、さらにカバー部材15の内面で反射された光だけとされる。この光は、遮蔽部71の円弧状の先端面72で左右に分散された後にカバー部材15の内面で反射される。このため、図12に示すように、カメラレンズ24で撮像された画像81には輝線状ゴースト82が出現し得るが、そのゴーストは薄く目立たないものとされる。このように、遮蔽部71を用いた場合も、全体の外観や意匠に与える影響を抑えつつ、カメラレンズ24に入射する光を軽減することができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
例えば、上記実施形態や各変形例では、前方部材10aの前面11に凹部31を設け、その凹部31の底面32上に開口部や遮蔽部材を設ける構成例を説明したがこの例に限らない。例えば、凹部31を設けずに、前方部材10aの前面11にカバー部材15を取り付けて、カバー部材15で区画される前面11の領域面上に開口部や遮蔽部材を設ける構成であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1:カメラ付玄関子機、10:本体ケース、11:前面(第一面の一例)、13:開口部、14A:第一の遮蔽部(遮蔽部材の一例)、14B:第二の遮蔽部材(遮蔽部材の一例)、15:カバー部材、S:空間、22:チルト台(チルト機構の一例)、23:撮像素子、24:カメラレンズ、31:凹部、32:底面、33A,33B:先端面、41:ダウンライト、42:撮像範囲、61:傾斜遮蔽部(遮蔽部材の一例)、61A:先端面、62:上端部、63:下端部、71:遮蔽部(遮蔽部材の一例)、72:先端面
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