特許第6453142号(P6453142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453142
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】研磨材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20190107BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20190107BHJP
【FI】
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550F
   B24B37/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-72505(P2015-72505)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-190983(P2016-190983A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】篠原 修一
(72)【発明者】
【氏名】若月 敦史
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−104443(JP,A)
【文献】 特開2003−286477(JP,A)
【文献】 特開2001−226666(JP,A)
【文献】 特表2009−537301(JP,A)
【文献】 特開2008−138085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0101237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
C09G 1/02
H01L 21/304
G11B 5/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子(B)の表面が(共)重合体(A)を含有する被覆層で被覆された研磨材であって、前記固体粒子(B)はシリカ、アルミナ、酸化セリウム及びダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上であって、固体粒子(B)の表面から内側に(共)重合体(A)が浸透した浸透層を有し、該固体粒子(B)の体積平均粒径が0.01μm以上5μm未満であって、(共)重合体(A)の浸透層の厚みが固体粒子(B)の体積平均粒径の10%以上30%以下である研磨材。
【請求項2】
(共)重合体(A)は単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体である請求項1記載の研磨材。
【請求項3】
固体粒子(B)及び単量体(a)の混合物を液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、分散させる工程を含む請求項2に記載の研磨材の製造方法。
【請求項4】
固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、単量体(a)を溶媒(S)に溶解させた溶液(L)を分散させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体である(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)と溶媒(S)を除去する工程を有する請求項2に記載の研磨材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被研磨物に対する高い平坦性と研磨速度の向上を目的にイタコン酸(塩)を含む単量体の(共)重合体を含有する研磨用組成物が提案されている(例えば特許文献1)。
また、研磨後の基板表面のうねりやナノ突起欠陥を低減するために、スルホン酸基を有する単量体の(共)重合体を含む研磨液組成物が提案されている(例えば特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−64632号公報
【特許文献2】特開2010−170648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜2に代表されるような従来の研磨材では被研磨物に対する平坦性と研磨速度が十分ではなく、また、その効果が持続しないため、一層の生産の効率化が求められている。
そこで、従来の研磨材と比較して被研磨物に対して高い平坦性と高い研磨速度を有し、その効果が持続する研磨用組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下のことを見出した。本発明は、固体粒子(B)の表面が(共)重合体(A)を含有する被覆層で被覆された研磨材であって、前記固体粒子(B)はシリカ、アルミナ、酸化セリウム及びダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上である研磨材である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、高い平坦性と高い研磨速度を有し、その効果が持続する研磨用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を詳述する。
本発明に用いられる(共)重合体(A)を構成する単量体(a)としては、特に制限はないが、例えば以下の例が挙げられ、二種類以上併用しても良い。
(a−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);炭素数4〜30のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
重合性二重結合を有する環状炭化水素:モノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及びモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
【0008】
(a−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:
スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
【0009】
(a−3)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及びの不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
【0010】
(a−4)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等。
【0011】
(a−5)アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等。
【0012】
(a−6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等。
【0013】
(a−7)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
アルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);スルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキルアリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(1)〜(3)で表される化合物;及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、ROが複数ある場合、1種でも2種以上でもよく、2種以上を併用した場合は、結合形式はランダムでもブロックでもよい;R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基;m及びnは、それぞれ独立に1〜50の数;Arはベンゼン環;Rは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を表す。
【0018】
(a−8)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(a−3)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
【0019】
(a−9)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
【0020】
(a−10)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
(a11−10−1)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(a−10−2)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(a−10−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(a−10−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する単量体:
ニトロスチレン等。
【0021】
(a−11)ラクタム基と重合性二重結合を有する単量体:
N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
(a−12)ラクトン基と重合性二重結合を有する単量体:
γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
(a−13)エポキシ基と重合性二重結合を有する単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0023】
(a−14)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
【0024】
(a−15)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
(a−16−1)重合性二重結合を有するエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(a−15−2)重合性二重結合を有するエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(a−15−3)重合性二重結合を有するケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(a−15−4)重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
【0025】
(a−16)イソシアネート基またはブロックイソシアネート基と重合性二重結合を有する単量体:
2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリラート、メタクリル酸2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
(a−17)エポキシ基を有する単量体:
モノおよびポリエポキシドとしては、芳香族系エポキシ化合物、複素環系エポキシ化合物、脂環族系エポキシ化合物及び脂肪族系エポキシ化合物等が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン並びにアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0027】
(a−18)アミノ基を有する単量体:
鎖状脂肪族モノアミンとしては、メチルアミン、エーテルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレンポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げれる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
芳香族モノアミンとしては、非置換芳香族モノアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族モノアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
非置換芳香族モノアミンとしては、アニリン等が挙げられる。
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族モノアミンとしては、トルイジン、エチルアニリン、イソプロピルアニリン、tert−ブチルアニリン、tert−ペンチルアニリン等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
(a−19)イソシアネート基を有する単量体:
モノイソシアネートとしては、芳香族モノイソシアネート、脂肪族モノイソシアネート、これらのモノイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる
【0029】
(a−20)ジオール:
ジオールとしては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);数平均分子量(以下Mnと略記する)=106〜10,000のアルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);Mn=100〜10,000の前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物(付加モル数2〜100)[例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)10モル付加物等];炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等]付加物(付加モル数2〜100)(例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);重量平均分子量(以下Mwと略記する)=100〜5,000のポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);Mw=1,000〜20,000のポリブタジエンジオール等が挙げられる。
【0030】
(a−21)カルボン酸:
モノカルボン酸としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸;炭素数8〜40の分岐アルケンカルボン酸;炭素数12〜40の分岐アルカンカルボン酸;炭素数8〜20の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えばダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えばアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
【0031】
(a−22)ラクタム:
α−ラクタム、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
【0032】
(a−23)ラクトン:
α−アセトラクトン、β−プロピオンラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0033】
本発明に用いられる固体粒子(B)としてはシリカ、アルミナ、酸化セリウム及びダイヤモンド等が挙げられ、これらの混合物でもよい。
【0034】
また、固体粒子(B)の形状としては、特に制限はないが、例えば粒状、多孔質状、板状及び繊維状等の固体粒子が挙げられる。
【0035】
本発明における固体粒子(B)は、固体粒子(B)の表面から内側に(共)重合体(A)が浸透した浸透層を有することが、研磨効果の持続性の観点から好ましい。
【0036】
(共)重合体(A)と固体粒子(B)が形成する浸透層は被覆層としての(共)重合体(A)の密着性の観点から浸透層の厚みが、固体粒子の物性の観点から、好ましくは(B)の体積平均粒径の2%以上50%以下であり、更に好ましくは体積平均粒径の4%以上50%以下であり、特に好ましくは体積平均粒径の10%以上30%以下である。
被覆層に含まれる物質の存在範囲は粒子をX線光電子分光(XPS)測定装置で測定される。浸透層の厚みの算出方法は、{(固体粒子(B)の粒径)+(被覆層の厚み)}−{(被覆層の厚み)+((共)重合体(A)を含まない固体粒子(B))}である。ただし、被覆層の厚みは0を含むものである。
【0037】
固体粒子(B)の体積平均粒径は、平坦性と研磨速度の観点から好ましくは0.01μm以上5μm未満である。
【0038】
本発明において固体粒子と液状又は超臨界二酸化炭素との混合物は、少なくとも固体粒子と液状又は超臨界二酸化炭素とから構成され、固体粒子が混合物中で固体として存在しているならば、他に例えば物性値(粘度、拡散係数、誘電率、溶解度、界面張力)を調製するために不活性気体、溶媒(S)等が併用されてもかまわない。
【0039】
不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の不活性気体等が挙げられる。二酸化炭素と他の物質の合計中の二酸化炭素の重量分率は、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、とくに好ましくは90重量%以上である。
【0040】
本発明における開始剤(D)としては、液状又は超臨界二酸化炭素、又は溶媒(S)との混合物に可溶であれば特に制限はないが、以下の化合物等が挙げられる。
【0041】
開始剤(D):
光重合開始剤(D−1)としては、アセトフェノン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、チタノセン誘導体など、およびこれらの併用があげられる。
アセトフェノン誘導体としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ジメチルベンジルケタール、メチルベンゾイルフォーメート、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン]が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド誘導体としては、例えば、2,4,6,−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
チタノセン誘導体としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロー3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
熱重合開始剤(D−2)としては、アゾ系重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル、およびアゾビスシアノ吉草酸)、および有機過酸化物系重合開始剤〔例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〕等が挙げられる。
酸発生剤(D−3)としては、オニウム塩系熱酸発生剤、スルホニウム塩系光酸発生剤、ヨードニウム塩系光酸発生剤、ジアゾスルホン酸系光酸発生剤、トリフェニルスルホニウム系光酸発生剤等が挙げられる。
塩基発生剤(D−4)としては、グアニジウム誘導体、イミダゾール誘導体、ピペリジン誘導体、カーバメート誘導体等が挙げられる。
酸化性開始剤(D−5)としては、過硫酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等が挙げられる。
還元性開始剤(D−6)としては、リボフラビン、アスコルビン酸等が挙げられる。
酸性開始剤(D−7)としては、塩酸、リンタングステン酸等が挙げられる。
塩基性開始剤(D−8)としては、水酸化ナトリウム、ピリジン等が挙げられる。
加水分解性開始剤(D−9)としては、水等が挙げられる。
【0042】
なお、上記被覆物質は、複数の異なる種類を混合してなる混合物であってもよい。これにより、各被覆物質を適宜選択することで目的に応じた表面処理を複数種類、粒子表面に施すことができる。したがって、例えば、目的に応じた官能基を複数種類、粒子表面に導入することができる。
【0043】
本発明における溶媒(S)としては、特に制限はないが、常温常圧で液体であり、例えばケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、環状エーテル等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール、フッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン等)、および脂肪族炭化水素溶剤(オクタン、デカン等)、水、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0044】
本発明の製造法において、固体粒子と共に、必要により、本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤〔分散剤、耐熱安定剤など〕を用いても差し支えない。
【0045】
分散剤としては特に限定はなく、公知のものを使用することができる。分散安定剤の添加量は、分散安定性の観点から、固体原料の重量に対し0.01〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは0.02〜50重量%、特に好ましくは0.03〜30重量%である。分散安定剤の好ましい重量平均分子量の範囲は100〜10万であり、さらに好ましくは200〜5万、特に好ましくは500〜3万である。この範囲内にすると、分散安定効果が向上する。
【0046】
研磨材(C)得る方法としては、次の〔1〕〜〔11〕の方法等が挙げられる。
〔1〕:粒子に単量体を浸透。超臨界中で重合。
〔2〕:粒子に単量体及び溶媒を浸透。超臨界中で重合。
〔3〕:粒子に単量体を浸透。常圧下で重合。
〔4〕:粒子に単量体を浸透。溶媒添加後に解圧。常圧下で重合。
〔5〕:粒子内部にのみ開始剤存在。粒子に単量体を浸透。超臨界中で重合。
〔6〕:粒子内部にのみ開始剤存在。粒子に単量体を浸透。常圧で重合。
〔7〕:粒子内部にのみ開始剤存在。粒子に単量体及び溶媒を浸透。超臨界中で重合。
〔8〕:粒子内部にのみ開始剤存在。粒子に単量体及び溶媒を浸透。常圧で重合。
〔9〕:粒子内部にのみ開始剤存在。粒子に単量体を浸透。溶媒を添加後に解圧。常圧で重合。
〔10〕:粒子にポリマーを浸透
〔11〕:粒子にポリマー及び溶媒を浸透。
〔1〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、単量体(a)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去することにより複合粒子を得ることができる。
〔2〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、単量体(a)を溶媒(S)に溶解させた溶液(L)を分散させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体である(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)と溶媒(S)を除去することにより複合粒子を得ることができる。
〔3〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、単量体(a)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去し、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、複合粒子を得ることができる。
〔4〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、単量体(a)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、溶媒(S)を混合後、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去し、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、複合粒子を得ることができる。
〔5〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、開始剤(D)を溶解させ、(D)を固体粒子(B)に浸透させ、浸透されていない開始剤(D)を除去し、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に単量体(a)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去することにより得ることができる。
〔6〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、開始剤(D)を溶解させ、(D)を固体粒子(B)に浸透させ、浸透されていない開始剤(D)を除去し、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に単量体(a)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、複合粒子を得ることができる。
〔7〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、開始剤(D)を溶解させ、(D)を固体粒子(B)に浸透させ、浸透されていない開始剤(D)を除去し、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に単量体(a)及び溶媒(S)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、重合反応させることにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)及び溶媒(S)を除去することにより複合粒子を得ることができる。
〔8〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、開始剤(D)を溶解させ、(D)を固体粒子(B)に浸透させ、浸透されていない開始剤(D)を除去し、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に単量体(a)及び溶媒(S)を溶解させ、単量体(a)を固体粒子(B)に浸透させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去、単量体(a)を重合反応させ、溶媒(S)を除去することにより、固体粒子(B)が単量体(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、複合粒子を得ることができる。
〔9〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、開始剤(D)を溶解させ、(D)を固体粒子(B)に浸透させ、浸透されていない開始剤(D)を除去し、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に単量体(a)を溶解させ、(a)を固体粒子(B)に浸透させ、溶媒(S)を混合後、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去、(a)を重合反応させ、溶媒(S)を除去することにより、固体粒子(B)が(a)を構成単量体とする(共)重合体を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、複合粒子を得ることができる。
〔10〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、樹脂(E)を溶解させ、固体粒子(B)に浸透させることにより、固体粒子(B)が樹脂(E)を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)を除去することにより複合粒子を得ることができる。
〔11〕固体粒子(B)が分散された、液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)中に、樹脂(E)及び溶媒(S)を溶解させ、樹脂(E)を固体粒子(B)に浸透させることにより、固体粒子(B)が樹脂(E)を含む(共)重合体(A)により被覆された研磨材(C)を形成させ、次いで液状又は超臨界状態の二酸化炭素(X)及び溶媒(S)を除去することにより研磨材(C)を得ることができる。
【0047】
製造方法としては粒子の物性の観点及び設備コストの観点から〔1〕〜〔9〕及び〔12〕が好ましく、より好ましくは〔5〕〜〔9〕及び〔12〕、さらに好ましくは〔5〕及び〔8〕、〔9〕、特に好ましくは〔9〕である。
【0048】
重合方法としては公知の方法を利用でき、特に制限はないが、例えば熱重合、電磁波の照射による重合、酸化剤又は還元剤を利用した重合、酸又は塩基を利用した重合等が利用できる。
【0049】
樹脂(E)としては特に限定はなく、公知のものを使用することができる。
【0050】
上記の粒子の製造方法で得られた粒子(C)を、更に樹脂(E)及び/又は溶媒(S)に分散させることにより粒子分散体を得ることができる。
【実施例】
【0051】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0052】
製造例1
撹拌棒及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部、水系コロイダルシリカスラリー(1次体積平均粒径38nm、有効成分濃度30%)100部を反応用耐圧容器の容積の40%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、メチルメタクリレート20部を反応用耐圧容器に投入した。7MPa、40℃で1時間撹拌した後、容器下部に取り付けたノズルから耐圧受け槽中に放出した。再び反応用耐圧容器に仕込み、80℃、12MPaで2時間撹拌させ減圧して二酸化炭素及び水を除去することにより、重合体(A−1)が被覆した被覆層を有する研磨材(C−1)を作成した。体積平均粒径は39nmであった。被覆層の平均厚みは1nmであり、浸透層の平均厚みは5nmであった。
【0053】
実施例1〜2、比較例1〜4
表1〜2に記載の組成にしたがい、均一になるまで撹拌し、研磨材組成物(S−1)〜(S−2)、(H−1)〜(H−4)を得た。なお、研磨材は下記の研磨材(C−1)〜(C−2)を使用した。
(C−1):製造例1記載の被覆粒子
(C−2);水系コロイダルシリカスラリー(1次体積平均粒径38nm、有効成分濃度30%)(表1及び2には、純分換算した値を記載した。)
【0054】
研磨材の性能評価として、被研磨物として磁気ディスク用ニッケル−リンめっき基板またはガラス基板を用い、基板の平坦性及び研磨速度の評価試験は下記の方法で行った。なお、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
【0055】
<基板の平坦性、研磨速度及び持続性の評価>
(1)重量を測定した2.5インチの磁気ディスク用基板及びポリウレタン樹脂製の研磨パッドを研磨装置(株式会社ナノファクター製、「NFD−4BL」)にセットした。
(2)回転数を20rpm、押し付け圧を60g重/cmに設定し、実施例1〜2、比較例1〜4の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら6分間研磨した。
(3)上記の研磨した基板を研磨装置から取り出し、1分間流水でリンスした後、窒素ブローで乾燥させた。
(4)基板の重量変化から研磨速度を算出し、原子間力顕微鏡(SII製 NanoNavi L−traceII、測定視野:20マイクロ角)で、基板の表面粗さを測定した。
(5)研磨後の液を再利用し、(1)〜(4)を3回繰り返し、以下の基準で持続性を評価した。
○:(3回目の研磨速度)/(1回目の研磨速度)≧0.9
×:(3回目の研磨速度)/(1回目の研磨速度)<0.9
【0056】
結果を表1〜2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
実施例1と比較例1〜2を比較することにより、また実施例2と比較例3〜4を比較することにより、実施例に関する研磨材は、比較例に関する研磨材に比べて高い平坦性と高い研磨速度を有し、かつその効果が持続することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の研磨材は、被研磨物に対して高い平坦性と高い研磨速度を有し、かつその効果が持続するため、生産効率を高める効果があり、製造工程に研磨工程を含む電子材料用研磨材、例えば磁気ディスク用ガラス基板、磁気ディスク用Ni−Pメッキされたアルミ基板、半導体用シリコン基板、及びLED用サファイヤ基板製造用の研磨材として有用である。