(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453148
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】金封
(51)【国際特許分類】
B65D 79/00 20060101AFI20190107BHJP
B65D 27/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
B65D79/00
B65D27/00 X
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-83645(P2015-83645)
(22)【出願日】2015年4月15日
【出願変更の表示】実願2015-1225(U2015-1225)の変更
【原出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-172588(P2016-172588A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2015年8月20日
【審判番号】不服2017-14706(P2017-14706/J1)
【審判請求日】2017年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591254693
【氏名又は名称】株式会社ヤマト屋
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】正田 誠
【合議体】
【審判長】
高木 彰
【審判官】
長屋 陽二郎
【審判官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−346906(JP,A)
【文献】
特開平9−154707(JP,A)
【文献】
実開平2−26579(JP,U)
【文献】
実開昭58−43282(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3025771(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 79/00
B65D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状であって開閉可能な収納口部を有する金封本体と、前記金封本体内に収納され、硬貨が固定される硬貨固定用シートとを備え、前記硬貨固定用シートには、孔部を有する硬貨の前記孔部内に挿通されて硬貨を係止固定しうる係止片部が設けられ、前記係止片部は、前記硬貨固定用シートの一部を切り起こして形成された一対の係止片からなり、
前記金封本体は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、全体平面略長方形状の表側側面部と、前記表側側面部とマチ部を形成することなく連設された裏側側面部とを有し、前記収納口部は表側側面部及び裏側側面部の上端部に形成され、
前記収納口部には開閉可能に形成された蓋部が設けられていることを特徴とする金封。
【請求項2】
前記硬貨固定用シートは平面長方形状に形成され、前記係止片部に隣接して金封の趣旨を説明する趣旨説明部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の金封。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を固定する固定構造を備えた金封に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、金封は、祝儀袋、不祝儀袋、熨斗袋などと称して、主に冠婚葬祭において紙幣を贈る際に、紙幣を一時的に収納するものとして、広く利用されており、形状としては、袋型や折り紙型のものなどの種類がある。
【0003】
金封の利用方法としては、前述のように冠婚葬祭において紙幣を贈る場合に限られず、例えば、5円玉のような硬貨を封入して贈ることにより、贈る相手へ御縁がありますようにという贈り主の気持ちを伝達することもでき、縁起物として、贈呈することもできる。
【0004】
しかしながら、このような利用方法においては、硬貨を、硬貨よりも大きい面積に形成された金封に収納することから、例えば、持ち運ぶ際に、収納された硬貨が金封内方で移動することにより、音や重心の移動によって開封する前に硬貨が入っていることが判ってしまい、開封する楽しみが減少してしまう。そこで、内方で、硬貨を固定することができる固定手段を備えた金封が要望されていた。
【0005】
このような金封としては、特許文献1の金封が提案されている。特許文献1の金封においては、紙幣と共に硬貨をも入れることができるようにすることを課題として、金封の内面には硬貨を入れるためのポケット部を形成することが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の金封は、紙片上に紙幣または硬貨を載せて折曲して包む、所謂折り紙型の金封を前提とした発明であり、予め袋状に形成された金封に関するものではなかった。袋状の金封は、紙幣の封入や開封が容易であり、固定手段を備えた袋状金封が要望されていた。
【特許文献1】登録実用新案第3148005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の要請に基づくものであって、硬貨を固定することができる固定手段を備えた袋状の金封を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の金封にあっては、袋状であって開閉可能な収納口部を有する金封本体と、前記金封本体内に収納され、硬貨が固定される硬貨固定用シートとを備え、前記硬貨固定用シートには、孔部を有する硬貨の前記孔部内に挿通されて硬貨を係止固定しうる係止片部が設けられ、前記係止片部は、前記硬貨固定用シートの一部を切り起こして形成された一対の係止片からな
り、
前記金封本体は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、全体平面略長方形状の表側側面部と、前記表側側面部とマチ部を形成することなく連設された裏側側面部とを有し、前記収納口部は表側側面部及び裏側側面部の上端部に形成され、
前記収納口部には開閉可能に形成された蓋部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1に記載の金封は、袋状であって開閉可能な収納口部を有する金封本体と、前記金封本体内に収納され、硬貨が固定される硬貨固定用シートとを備えていることから、硬貨を硬貨固定用シートに固定して、収納口部より、金封本体内へと収納することができる。
また、収納口部を開いて金封本体内の硬貨固定用シートを取出すことができる。
【0010】
また、請求項1に記載の金封は、前記硬貨固定用シートには、孔部を有する硬貨の前記孔部内に挿通されて硬貨を係止固定しうる係止片部が設けられていることから、係止片部を硬貨の孔部へ挿通することによって、硬貨を係止することができる。
【0011】
また、請求項1に記載の金封は、前記係止片部は、前記硬貨固定用シートの一部を切り起こして形成された一対の係止片からなることから、係止片部は、硬貨固定用シートの一部として一体に形成されている。
【0012】
また、請求項1に記載の金封は、前記金封本体は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、全体平面略長方形状の表側側面部と、前記表側側面部とマチ部を形成することなく連設された裏側側面部とを有し、前記収納口部は表側側面部及び裏側側面部の上端部に形成されている。
【0013】
また、請求項1に記載の金封にあっては、前記収納口部には開閉可能に形成された蓋部が設けられている。
【0014】
従って、
請求項1に記載の金封は、前記金封本体は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、全体平面略長方形状の表側側面部と、前記表側側面部とマチ部を形成することなく連設された裏側側面部とを有していることから、金封本体内に収納された硬貨固定用シートの両面は其々、表側側面部及び裏側側面部に当接して硬貨固定用シートの動作が規制される。
【0015】
また、請求項1に記載の金封は、前記収納口部には開閉可能に形成された蓋部が設けられていることから、蓋部によって収納口部方向への硬貨固定用シートの移動を規制することができ、収納口部から硬貨固定用シートが飛び出すことを防ぐことができる。
【0016】
請求項2に記載の金封にあっては、前記硬貨固定用シートは平面長方形状に形成され、前記係止片部に隣接して金封の趣旨を説明する趣旨説明部が設けられている。
【0017】
従って、
請求項2に記載の金封にあっては、前記係止片部に隣接して金封の趣旨を説明する趣旨説明部が設けられていることから、硬貨固定用シートの係止片部に硬貨を係止した際には、係止された硬貨に隣接した箇所に、金封の趣旨を説明する趣旨説明部が設けられる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の金封にあっては、硬貨を硬貨固定用シートに固定して、収納口部より、金封本体内へと収納することができ、収納口部を開いて金封本体内の硬貨固定用シートを取出すことができる。
【0019】
従って、硬貨は硬貨固定用シートに固定されて収納されるため、金封本体内での硬貨の動作を規制することができ、受け取った人が、開封する前に内容物が硬貨であることを察知してしまう事態を抑制することができ、開封する楽しみを提供することができる。また、硬貨固定用シートの収納や取出しが容易である。
【0020】
また、請求項1に記載の金封にあっては、係止片部を硬貨の孔部へ挿通することによって、硬貨を係止することができるため、孔部を有する硬貨を確実に係止することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の金封にあっては、係止片部は、硬貨固定用シートの一部として一体に形成されているため、硬貨固定用シートは、1枚のシートにより形成することができ、製造コストを低減することができる。
【0022】
請求項1に記載の金封にあっては、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、金封本体内に収納された硬貨固定用シートの両面は其々、表側側面部及び裏側側面部に当接して硬貨固定用シートの動作が規制されるため、振られた際に、硬貨固定用シートが金封本体内で移動してしまうことを抑制することができる。
従って、受け取った人が、開封する前に内容物が硬貨であることを察知してしまう事態をより抑制することができ、開封する楽しみを提供することができる。
【0023】
また、請求項1に記載の金封にあっては
、蓋部によって収納口部から硬貨固定用シートが飛び出すことを防ぐことができるため、内容物を確実に相手へ届けることができる。
【0024】
請求項2に記載の金封にあっては、硬貨固定用シートの係止片部に硬貨を係止した際には、係止された硬貨に隣接した箇所に、金封の趣旨を説明する趣旨説明部が設けられることから、硬貨固定用シートを取出し、見た際には、硬貨と金封の趣旨説明とは、其々関連をもっていることを即座に認識することができ、例えば、趣旨説明にどのような想いがこめられた硬貨であるかを記載することにより、硬貨と贈ると共に、贈る人の想いを受け取る人へと伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明に係る金封の一実施の形態を示した平面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る金封の一実施の形態を示した裏面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る金封の一実施の形態を示し、硬貨固定用シートに5円硬貨を固定した状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る金封の一実施の形態を示し、硬貨固定用シートの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る金封を実施の形態に基づき、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る金封10は、日本の会社が商品を購入してくれた中国人顧客に対して感謝の意を表する観点から無償で配布されるものであり、中国において使用されている「紅包」(ホンバオ)と称されるものを模している。
【0027】
図1から
図4に示すように、本発明に係る金封10は、袋状であって開閉可能な収納口部11を有する金封本体12と、前記金封本体12内に収納され、硬貨が固定される硬貨固定用シート13とを備えている。硬貨固定用シート13は、全体平面長方形状に形成され、金封本体12よりもひと回り小さく形成されている。
【0028】
図1または
図2に示すように、前記金封本体12は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、全体平面長方形状の表側側面部14と、前記表側側面部14とマチ部を形成することなく連設された裏側側面部15とを有し、前記収納口部11は表側側面部14及び裏側側面部15の上端部16に形成されている。前記収納口部11には開閉可能に形成された蓋部17が設けられている。
【0029】
図2に示すように、蓋部17は、表側側面部14の上端部16より折線30を介して上方へ略台形に膨出して形成されており、左右方向中央には、半円状に膨出して形成された蓋部係止片29が設けられている。裏側側面部の上端部36には、左右方向に沿ってスリット部28が形成されている。
【0030】
図1及び
図2に示すように、金封本体12は、全体赤色に印刷された1枚の厚紙を折り畳んで袋体に形成され、裏側側面部の下端部23および裏側側面部の左端部24において、糊付されて袋体に形成されている。
【0031】
図1に示すように、表側側面部14の上端部16には、金色の文字で、「Best wishes for the New Year」と印刷されている。「Best wishes for the NewYear」という印刷の下方には「福」という文字が印刷されており、周囲には、図柄が印刷されている。
【0032】
表側側面部14の右端部25には、金色の文字で、上下方向に沿って「吉祥如意」と印刷されると共に、表側側面部14の左端部26には、「臨」「門」の文字が周囲を装飾されて印刷されている。表側側面部14の下端部27には、帯状の装飾が左右方向に印刷されて設けられている。
【0033】
このような金封10は、一般に中国において紅包(ホンバオ)と称され、例えば、日本における正月のお年玉のように、春節などに貨幣を包み、縁起物として贈られる。
【0034】
図3に示すように、前記硬貨固定用シート13には、孔部18を有する硬貨19の前記孔部18内に挿通されて硬貨19を係止固定しうる係止片部20が設けられている。
図4に示すように、前記係止片部20は、前記硬貨固定用シート13の一部を切り起こして形成された一対の係止片21,21からなる。本実施の形態においては、硬貨19は、5円貨幣である。
【0035】
図3及び
図4に示すように、一対の係止片21,21は、硬貨固定用シートの下端部31において、左右方向中央に硬貨固定用シート13との連結部35を残して左右方向に沿って其々細長長方形状に切込みが設けられており、切り起こすことにより形成されている。
【0036】
図3に示すように、係止片21は、5円貨幣19の孔部18の径よりもやや小さい幅寸法に形成されている。硬貨固定用シート13は平面長方形状に形成され、前記係止片部20に隣接して金封10の趣旨を説明する趣旨説明部22が設けられている。
【0037】
図3に示すように、本実施の形態においては、趣旨説明部22は、文言説明部33と写真説明部34とから形成されている。写真説明部34は、固定された5円貨幣19が、贈り手によって神社で清められた5円貨幣19であることを示す写真が3枚印刷され、係止片部20の上方に隣接して形成されている。
【0038】
写真説明部34の上方には、文言説明部33が形成されており、文言説明部33は、硬貨固定用シートの上端部32に印刷された「福銭」という主題と、「福銭」の下方に印刷された「皆様に良いご縁がありますように」という贈り手のメッセージとが印刷され、「皆様に良いご縁がありますように」というメッセージの印刷の下方には、中国語における金封10の趣旨説明が記載されている。
【0039】
即ち、係止固定された日本の5円貨幣19は、日本においては音から「ご縁」に関連付けられ、「これからもご縁がありますように」又は「良いご縁がありますように」という金封10を無償で配布する会社側の想いが込められている。
【0040】
さらに、写真説明部34において、当該会社の社長が自ら「東京銭洗い弁天 小綱神社」において係止固定された5円貨幣19を清水により清め、清められた5円貨幣19を弁天様に供えて日本式のお祈りを行いさらに清め、その5円貨幣19がこの金封10(紅包)に入っていることが説明されている。
【0041】
以下、本発明に係る金封の作成の仕方について、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図4に示すように、本発明に係る金封10を使用する際には、まず、係止片21,21をL字状に起こす。続いて、
図3に示すように係止片21,21を其々、5円貨幣19の孔部18へと挿通させて、係止片21,21の先端部を左右方向に拡開させることにより係止される。
【0043】
5円貨幣19が係止固定された硬貨固定用シート13は、収納口部11を通じて金封本体12内方へと収納する。収納された硬貨固定用シート13の両面は其々、表側側面部14及び裏側側面部15に当接して硬貨固定用シート13の動作が規制される。
【0044】
最後に、硬貨固定用シート13が収納された状態において、蓋部17を折線30より折り返し、蓋部17に形成された蓋部係止片29をスリット部28へと挿入して蓋部17を係止する。これにより、蓋部17によって収納口部11方向への硬貨固定用シート13の動作を規制することができる。
【0045】
本実施の形態においては、硬貨19は5円貨幣である例を説明したが、これに限定されることはなく、中央に孔部が開設された貨幣であればよい。
【0046】
従って、本発明に係る金封10を受け取った中国人顧客は、中国文化においてなじみの深い「紅包」の中に、日本文化の象徴である5円貨幣19による「良いご縁がありますように」という日本特有の祈りの文化に接することにより、文化を超えた感動を得ることができ、再来日を希望する中国人が多くなることから、「インバウンド」の動きを促進し、日本経済振興に大きく貢献することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る金封は、祝い事等において貨幣を封入して贈呈する際に用いることができ産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0048】
10 金封
11 収納口部
12 金封本体
13 硬貨固定用シート
14 表側側面部
15 裏側側面部
16 上端部
17 蓋部
18 孔部
19 硬貨(5円貨幣)
20 係止片部
21 係止片
22 趣旨説明部
23 裏側側面部の下端部
24 裏側側面部の左端部
25 右端部
26 左端部
27 下端部
28 スリット部
29 蓋部係止片
30 折線
31 硬貨固定用シートの下端部
32 硬貨固定用シートの上端部
33 文言説明部
34 写真説明部
35 連結部
36 裏側側面部の上端部