特許第6453197号(P6453197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453197
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】凝縮器の補助冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/04 20060101AFI20190107BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20190107BHJP
   F24F 1/30 20110101ALI20190107BHJP
【FI】
   F25B39/04 N
   F25B1/00 381G
   F24F1/30
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-198311(P2015-198311)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-72278(P2017-72278A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】500255753
【氏名又は名称】有限会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100100088
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 和雄
(72)【発明者】
【氏名】浜野 良平
(72)【発明者】
【氏名】浜野 充子
(72)【発明者】
【氏名】浜野 晃輔
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−214931(JP,A)
【文献】 米国特許第04353219(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/04
F25B 1/00
F24F 1/42
F24F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される室外機(1)の凝縮器(3)の風上側に近接して保水材(30)を配設し、
前記保水材(30)は、上方より滴下される水により湿潤されて、気化する際の潜熱にて吸気された空気の温度を低下させるものであり、
この温度が低下した空気により前記凝縮器(3)を冷却させ、
前記保水材(30)から流下した水を水回収装置(13)にて回収し、
前記水回収装置(13)の水をポンプ(14)を駆動して給水管(15)を介して前記保水材(30)へ循環させるようにした凝縮器の補助冷却装置であって、
前記室外機(1)と前記保水材(30)との間の空間の上面と下面とを閉塞する上板(71)及び下板(72)を該室外機(1)と保水材(30)との間に架橋すると共に、前記室外機(1)と前記保水材(30)との間の空間の左右の面を閉塞する平板を該室外機(1)と保水材(30)との間に架橋し、
前記上板(71)、下板(72)及び左右の平板の少なくともいずれかに開閉自在な扉(73)を設けていることを特徴とする凝縮器の補助冷却装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調、冷凍、冷蔵装置等に用いられている空冷式の凝縮器の補助冷却装置に関するものであり、より詳しくは夏場等の外気温が高い時に空気調和機の凝縮器の吸い込み空気の温度を冷却するための凝縮器の補助冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調、冷凍、冷蔵装置等の冷凍サイクルに用いられる凝縮器は、熱交換方式により水冷式と空冷式とがあり、水冷式は熱交換効率が高く、夏場の高温時にも、外気の影響が少なく、比較的安定した庫内、室内温度を保つことができるが、装置構造が複雑で高価であり、維持管理に経費が掛かるという問題がある。
一方、空冷式は装置構造が簡便なため安価であるが、夏場の高温時等に庫内、室内の冷却効率が落ちるという問題がある。この問題を補う空冷式の凝縮器の補助冷却装置としては、例えば、特許文献1に示すように、凝縮器の放熱フィンに水を直接散布して冷却効率を向上させる補助冷却装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−213361号公報
【0004】
上記特許文献1に記載の補助冷却装置は、空調室外機の凝縮器の放熱フィンに、スプレーノズルにより細かい粒状または霧状の水をほぼ均一に散布するものであり、この散布した水の蒸発潜熱によって放熱フィンを冷却するものである。
【0005】
しかしながら、この特許文献1は、夏場の高温時に凝縮器の放熱フィンにノズルにより直接水道水を散水し、冷却効率を向上させるものの、運転を長期にわたって続ける間に放熱フィンの表面に水垢・スケール等が付着するために、空冷運転時の熱交換効率の低下や放熱フィンの腐食などが発生するという問題がある。特に、放熱フィンの腐食、経年劣化が著しく、5〜6年で放熱フィンあるいは凝縮器自体を交換する必要が生じ、結果として高価になるという問題があった。
【0006】
この問題を補う空冷式凝縮器の補助冷却装置としては、例えば、下記に示す特許文献2が挙げられる。
【0007】
【特許文献2】特開2004−3806号公報
【0008】
この特許文献2示す補助冷却装置は、凝縮器の放熱フィンの近傍にクーリングマットを放熱フィンから一定距離を離して設置し、このクーリングマットに冷却水を流下させて凝縮器の吸い込み空気を冷却させるようにしたものである。
しかしながら、この特許文献2に用いられているクーリングマットは、繊維状のものを用いているために、構造上冷却効率が低く、さらに目詰まりによる圧力損失が増大していく等の不具合がある。
【0009】
この特許文献2の不具合を解決するようにしたものとして、例えば、下記に示す特許文献3が挙げられる。
【0010】
【特許文献3】特開2009−236370号公報
【0011】
この特許文献3に記載されている補助冷却装置は、図21に示すように、空冷式凝縮器100の吸い込み空気の上流側に充填材101が配置されたものであり、この充填材101は、吸い込み空気の方向に所定の厚みを有している。そして、充填材101に上方から水を流し、充填材101の下部から流れ出る水を回収容器102で回収している。
【0012】
この回収容器102に回収された水は、ポンプ103により給水管104を介して充填材101の上方まで汲み上げられ、この汲み上げられた水は、水供給容器105が備える複数の排水口を通って、充填材101の上方から内部に一様に流すようにしている。充填材101内で水を流下させて、凝縮器100の吸気によって充填材101内の水を蒸発させることで、気化熱の作用で吸気冷却を行なっている。
【0013】
また、本出願人が出願したものとして、下記の特許文献4が挙げられる。
【0014】
【特許文献4】実用新案登録第3178038号公報(発行日:平成24年8月30日)
【0015】
上記特許文献1は図22図29に示すような構成となっている。図22は室外機1の吸い込み空気の上流側に補助冷却装置10を設置した場合の凝縮器の空気冷却装置の概略構成を示しており、また、図23図22のA方向から見た概略正面図を示している。
室外機1は、周知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、室外機1のケース2の一方には凝縮器3が配置され、ケース2の上部には冷却ファン4が設けられている。なお、図示例では冷却ファン4をケース2の上部に設けているが、凝縮器3に対向した位置に冷却ファン4が設けられている場合もある。
【0016】
補助冷却装置10は、気化式空気冷却装置11と、この気化式空気冷却装置11から排水管12を介して排水される水を回収する水回収装置13と、この水回収装置13に貯溜している水をポンプ14を介して前記気化式空気冷却装置11側に送る給水管15と、この給水管15からの水を気化式空気冷却装置11の上面に給水する給水装置16等で構成されている。
【0017】
なお、図22では給水管15を室外機1より右方に描いているが、実際の施工は室外機1の左方で、気化式空気冷却装置11の側面に配管されるようになっている。しかし、補助冷却装置10の気化式空気冷却装置11は、凝縮器3の吸い込み空気の上流側に該室外機1に近接して配置されるが、他の水回収装置13や給水管15は任意の箇所に配置、施工される。
【0018】
気化式空気冷却装置11は、図23に示すように、凝縮器3の大きさとほぼ同じか、若干大きめの大きさとしており、気化式空気冷却装置11にて凝縮器3の空気の吸い込み面を覆う大きさである。
【0019】
図24は、周知な冷凍サイクルを示し、冷凍サイクルは、凝縮器3、圧縮器5、室内に設置される室内機内の蒸発器6、膨張弁7等で構成されており、それぞれ冷媒管8にて接続されている。
冷房運転時では、圧縮器5で冷媒管8内の冷媒が圧縮されて、冷媒は高温ガスになり、凝縮器3内を冷却ファン4にて気化する際の水の潜熱にて一定の温度に下げられ冷媒ガスは液化する。膨張弁7にて冷媒の圧力は急激に下げられ、冷媒ガスの潜熱で冷たくなり、蒸発器6で部屋の温度を熱交換を行ない、室内機から冷風が部屋内に送られて冷房が行なわれる。
【0020】
ここでは、水回収装置13内の水をポンプ14、給水管15を介して気化式空気冷却装置11へ循環させ、気化式空気冷却装置11内では水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置11内で吸気された空気の温度を低下させ、この低下させた空気にて凝縮器3を冷却させるものである。
気化式空気冷却装置11内を流下した水は排水管12を介して水回収装置13に回収される。
【0021】
図22に示すように、水回収装置13へは、水道水等の補給水が補給水管20から供給されるようになっており、補給水管20にはフロート弁21が介装されている。このフロート弁21は、液面に浮かぶフロート22が液面の高さに応じて上下方向に移動することにより開閉する弁である。
水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると、フロート22が下降してフロート弁21が開いて補給水管20から水が供給される。また、補給水が供給されていって液面が所定の高さ以上になると、フロート22が上昇してフロート弁21が閉じられ、補給水管20からの水の供給が停止される。
【0022】
気化式空気冷却装置11へ水回収装置13からの水を循環させて給水する給水装置16は、気化式空気冷却装置11の幅方向と略同じ長さとし、例えばパイプに複数の穴を穿孔しておき、これらの穴から水を気化式空気冷却装置11の上面に滴下ないし散水するものである。
【0023】
なお、図23に示すように気化式空気冷却装置11の下部には排水樋25が設けられており、この排水樋25の端部に排水管12が接続されて、気化式空気冷却装置11から流下した水は水回収装置13へ回収されるようになっている。
【0024】
次に、気化式空気冷却装置11の構成について説明する。気化式空気冷却装置11は、図22に示すように、外気が矢印に示すように吸い込まれて吐出される保水材30にて構成されている。なお、この保水材30は、一般に通称クーリングパッド( Cooling Pad )と呼ばれ、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成され従来より市販されている。
また、このクーリングパッドは、主に畜舎並びに園芸用施設の温度を下げるために用いられるものであり、日本では、無窓畜舎、施設園芸用温室で広く使用されているものである。
【0025】
図25図28は保水材30の作り方を示しており、保水材30の構造を理解し易いように、この保水材30の構造について説明する。図25において、波形形状をした波板材51を多層に積層して形成するものであり、それぞれの波板材51は、強固に加工された紙で出来ている。なお、波板材51の波形形状で形成されて連続して形成される溝52が、空気の流通路となる。
上下の波板材51を吸気方向に対して互い違いに任意の角度、例えば、30°前後に組み合わせ、上の波板材51の波の下側の頂点と、下の波板材51の波の上側の頂点とが交差する点、つまり、図26に示す黒丸(●)の部分を接着剤にて接着し、上下の波板材51を接着固定する。
【0026】
このようにして波板材51を多数積層したのが図27に示す保水材本体55であり、この保水材本体55を図中矢印のα方向にカッター等にて切断することで、任意の厚みの保水材片56を得る。そして、図28に示すように、縦方向、横方向の矢印β、γハに示すようにカッター等にて切断することで、任意の大きさの保水材30を形成することができる。
【0027】
なお、保水材30は、任意の厚みや大きさを容易に製作することができ、また、波板材51を上下に積層する際に、波板材51を任意の角度で傾斜して積層することで、外気の吸気方向に対する波板材51の各溝52の傾斜角度も任意に形成することができる。また、図25に示すように、溝52の幅寸法Lや高さ寸法Hを任意に製作することができる。
【0028】
図29は上記のようにして製作された保水材30の要部拡大断面図を示し、保水材30の右方に凝縮器3が位置し、左方から矢印に示すように空気が保水材30の溝52(以後、この溝を「空気流通路」と称する。)を通過する。
この実線で示している空気流通路52は例えば、30°の傾きで上昇し、この実線で示されている空気流通路52と幅方向で隣接し、破線で示している空気流通路52は、例えば、30°の傾きで下降している構成となっている。これらの空気流通路52が保水材30の上下方向及び左右方向に連続して形成されている。
【0029】
この保水材30に給水装置16からの水が滴下され、保水材30自体に水が吸水されて湿潤状態となり、同時に保水材30の表面、つまり各空気流通路52の表裏の面を水が流下していき、保水材30に吸収されなかった水は保水材30の表面を伝って水回収装置13へと流れて回収される。
【0030】
特に、保水材30の材料として上述したように、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成しているので、保水材30自体に水が吸収されて湿潤状態となり、保水材30から気化する際の潜熱にて保水材30側に吸気された空気の温度を低下させることができる。これにより、凝縮器3を効率良く冷却することができる。
つまり、気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、気化式空気冷却装置11を通過する室外機1の吸い込み温度が気化潜熱で外気温度よりも下がり、且つ加湿効果により冷房能力の向上を図ることができる。
【0031】
このように従来では、室外機1の凝縮器3の空気の吸い込み側に配設した気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、補給水は蒸発した水の分だけとなり、水道代の上昇を抑えるようにしている。
また、凝縮器3を冷却させることで、空気調和機全体の消費電力を抑えることができるので、水を循環させるためのポンプ14の電気代は、微々たるものであり、全体としての消費電力を抑えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
上記特許文献2〜特許文献4では、室外機の風上側に水を湿潤状態にした保水材を配置し、保水材にて冷却した空気を室外機へ送り、凝縮器の冷却効率を向上させるようにしている。
【0033】
図30は、特許文献4に示すように、室外機1の風上側に保水材30を配置した場合を示しており、保水材30を室外機1に近接して配置すると、保水材30に流下している水の飛沫が凝縮器の放熱フィンに当たり、放熱フィンの表面に水垢・スケール等が付着して腐食させるという特許文献1と同様の問題を発生させてしまうことになる。
【0034】
一方、保水材30と室外機1との間の距離Lを長くとって保水材30からの水の飛沫を凝縮器に当たらないように大きくとると、保水材30と室外機1との間の空間が大きくなって、夏場における熱風が入って、保水材30で冷却した空気を温めてしまったり、室外機1と保水材30との間の空間内の空気の温度ムラが生じて、凝縮器での冷却効率を損なうという問題がある。
【0035】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持った凝縮器の補助冷却装置を提供するものである。
(1)室外機と保水材との間の空間に夏場における熱風が入りにくく、あるいは熱風が入るのを防止し、凝縮器を効率良く冷却させること。
(2)室外機と保水材との間の空間をほぼ密閉すると同時に、保水材の固定の補強を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0036】
そこで、本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却装置では、屋外に設置される室外機1の凝縮器3の風上側に近接して保水材30を配設し、
前記保水材30は、上方より滴下される水により湿潤されて、気化する際の潜熱にて吸気された空気の温度を低下させるものであり、
この温度が低下した空気により前記凝縮器3を冷却させ、
前記保水材30から流下した水を水回収装置13にて回収し、
前記水回収装置13の水をポンプ14を駆動して給水管15を介して前記保水材30へ循環させるようにした凝縮器の補助冷却装置であって、
前記室外機1と前記保水材30との間の空間の上面と下面とを閉塞する上板71及び下板72を該室外機1と保水材30との間に架橋すると共に、前記室外機1と前記保水材30との間の空間の左右の面を閉塞する平板を該室外機1と保水材30との間に架橋し、
前記上板71、下板72及び左右の平板の少なくともいずれかに開閉自在な扉73を設けていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0039】
本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却装置によれば、前記室外機1と前記保水材30との間の空間の上面と下面とを閉塞する上板71及び下板72を該室外機1と保水材30との間に架橋しているので、少なくとも熱風が空間の上面や下面から入ってくるのを防止することができる。そのため、保水材30を通過した冷却された空気が温まるのを防止でき、凝縮器3を効率良く冷却することができる。
しかも、上板71と下板72とで、空気冷却装置本体28と室外機1とを架橋しているので、保水材30の設置を補強することができ、強風や突風が吹いた場合でも、保水材30が倒れたり、傾いたりするのを防止することができる。
また、前記室外機1と前記保水材30との間の空間の左右の面を閉塞する平板を該室外機1と保水材30との間に架橋しているので、両側の平板と、上板71と、下板72とで、保水材30と室外機1との間の空間をほぼ覆うことができる。そのため、保水材30と室外機1との間の空間には、熱風がほとんど入らないようになり、保水材30で冷却された空気はそのまま凝縮器3側に送られ、凝縮器3を一層効率良く冷却することができる。
また、室外機1と保水材30との間の空間を上板71、下板72及び左右の平板にて閉塞しているので、保水材30に流れる水の飛沫が室外機1の凝縮器3側に飛散するのを防止できる程度に離した場合でも、空間内の冷却された空気は外気の影響を受けることはなく、冷却された空気を凝縮器3へ送ることができると共に、凝縮器3側の放熱フィン等の劣化を防止することができる。
さらに、前記上板71、下板72及び左右の平板の少なくともいずれかに開閉自在な扉73を設けていることで、冬場においては、凝縮器3を冷却する必要がないので、補助冷却装置10は運転を停止する。空気冷却装置本体28と室外機1との間を上板71、下板72及び扉73等で密閉すると、空気の流れが悪くなる。そこで、扉73を開放させておくことで、凝縮器3への空気の流れをスムーズにさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の実施の形態における凝縮器の補助冷却装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態における凝縮器の補助冷却装置を正面から見た場合の概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体の分解斜視図である。
図4】(a)(b)は本発明の実施の形態における上ケースの断面図、及び給水板の平面図である。
図5】本発明の実施の形態における保水材に対する上ケースと下ケースとの配置状態を示す図である。
図6】本発明の実施の形態における下ケースの側面図である。
図7】本発明の実施の形態における下ケースの要部斜視図である。
図8】本発明の実施の形態における下ケースに上固定板と下固定板とを固定する場合の分解斜視図である。
図9】本発明の実施の形態における下ケースに上固定板と下固定板とをボルト止めした場合の側面図である。
図10】本発明の実施の形態における下ケースに上固定板と下固定板とをボルト止めした場合の要部平面図である。
図11】本発明の実施の形態における下ケースに側板を配置した場合の平面図である。
図12】本発明の実施の形態における下ケースに側板を配置した場合の側面図である。
図13】本発明の実施の形態における下ケースに側板を配置した場合の要部平面図である。
図14】本発明の実施の形態における下ケースに保水材を配設した場合の平面図である。
図15】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体の正面図である。
図16】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体の斜視図である。
図17】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体と室外機との上下に上板と下板とを架橋した場合の斜視図である。
図18】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体と室外機との上下に上板と下板とを架橋した場合の説明図である。
図19】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体と室外機との間の空間の左右に扉を設けた場合の斜視図である。
図20】本発明の実施の形態における空気冷却装置本体と室外機との間の空間の左右に扉を設けた場合の説明図である。
図21】従来例の室外機と補助冷却装置の概略構成図である。
図22】他の従来例の室外機と補助冷却装置の概略構成図である。
図23】他の従来例の補助冷却装置の正面図である。
図24】冷凍サイクルを示す図である。
図25】保水材を製作する場合の説明図である。
図26】保水材を製作する場合の説明図である。
図27】保水材を製作する場合の説明図である。
図28】保水材を製作する場合の説明図である。
図29】保水材の要部拡大断面図である。
図30】従来例の問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の補助冷却装置の概略構成図を示しており、図2図1のA方向から見た図である。また、補助冷却装置10の全体の構成は図22に示す従来例とほぼ同じであり、そのため、従来例と同様の機能を発揮する要素には同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
ここで、図3に示すように、保水材30を内部で保持する部材を枠本体32と称する。この枠本体32は、保水材30を両側から保持する左右の側板33、34と、保水材30を下側で保持する下ケース35と、保水材30を上から保持する上ケース36とで構成されている。なお、上ケース36は給水装置16を兼ねている。
また、上記保水材30と、この保水材30を内部で保持する枠本体32とで空気冷却装置本体28と称する。つまり、図3は上記空気冷却装置本体28の分解斜視図を示している。
【0045】
次に、枠本体32の各構成部材について説明する。なお、枠本体32の各構成部材は、金属製で、例えばアルミ材で構成されている。図3に示すように、左右の側板33、34は、それぞれ断面を略コ字型としており、対向して配置される。
【0046】
上ケース36は、図4に示すような構成としており、図4(a)は上ケース36の断面図を示し、図4(b)は上ケース36内に設けている給水板48の平面図を示している。上ケース36は、箱状で下面は開口されており、上ケース36の下部付近に給水板48を配設している。
【0047】
給水板48には多数の穴49が長手方向に沿って穿孔されており、図4及び図5に示すように、上ケース36の上部より挿入されているパイプ50により流入した水が給水板48上に落ち、さらに各穴49より水が保水材30の上面に落下する。そして、保水材30内に水が上述したように浸透していき、保水材30が湿潤状態となり、吸い込んだ空気を冷却させるようになっている。
なお、図1に示す給水管15の端部が図4及び図5に示すパイプ50に接続されるようになっており、パイプ50及び給水管15にて水が循環するようになっている。
【0048】
次に、下ケース35の構造について説明する。図6は下ケース35の側面図を示し、図7は下ケース35の要部斜視図を示している。下ケース35は断面を略コ字型に形成されており、下ケース35の下部の前後(図では左右)に断面を略L型にした載置部58、58が下ケース35の長手方向の略全長にわたって一体的に形成されている。
両載置部58、58の間の空所を保水材30からの水が排出される排出路59としている。この排出路59の端部に図1及び図2に示す排水管12が接続されるようになっている。
【0049】
図8図10は側板33、34を位置決めするための構成を示しており、載置部58、58の上面に略L型の上固定板60が配置され、排出路59の上部の載置部58、58より突出している突出片62、62の下面に略L型の下固定板61が配置される。
上固定板60の水平片60aには穴63が穿孔され、また、下固定板61の水平片61aにも穴64が穿孔されている。この穴63、64はボルト66が挿通される穴である。
【0050】
上固定板60の長さは、下ケース35の前後方向の長さ(図では左右方向の長さ)より若干短く形成されており、また、下固定板61の下固定板61の排出路59の前後方向の長さ(図では左右方向の長さ)より若干短く形成されている。
【0051】
先ず、上固定板60の垂直片60bを下ケース35の内側にして水平片60aを両載置部58、58に跨がるように配置する。次に、下固定板61を排出路59内に挿入すると共に、水平片61aの上面の両側を両突出片62、62の下面に当接し、下方からボルト66を下固定板61の穴64及び上固定板60の穴63に挿通する。
そして、ボルト66をナット67に螺着することで、上固定板60と下固定板61とで突出片62、62を挟持して、上固定板60が下ケース35に固定される。なお、下固定板61の垂直片61bは補強用である。
【0052】
保水材30の横幅の寸法に対応して、左右の上固定板60間の距離を決めて、上固定板60を上述のように固定するようにしている。図9はこのようにしてボルト66にて上固定板60及び下固定板61を固定した状態の側面図を示している。また、図10は要部平面図を示している。
【0053】
図11は、下ケース35の両側に上固定板60を配設し、上固定板60の内側であって、下ケース35の載置部58、58の上に側板33、34を配設した状態を示している。図12は側板33、34を配設した場合の下ケース35の側面図を示しており、図13は、要部平面図を示している。
【0054】
また、図14は、下ケース35の載置部58、58の上面であって、両側板33、34の間に保水材30を配設した場合の平面図を示している。
【0055】
図5は上述したように下ケース35に保水材30を配設し、さらに保水材30の上部を上ケース36にて覆設した状態を示している。保水材30の側面は、両側の側板33、34にて位置決めされており、また保水材30の上部は上ケース36を保水材30の上部を覆設することで、保水材30の上部は位置決めされている。
【0056】
これにより、保水材30は、枠本体32にて強固に保持されている。また、両側板33、34の下部と下ケース35、及び両側板33、34の上部と上ケース36とは、保水材30を内部に納装した後に両者をボルト止めをすることで、空空気冷却装置本体28を一体的に構成することができる。
空気冷却装置本体28を室外機1が設置されている場所で組み立てても良いが、空気冷却装置本体28を予め工場などで組み立てておくようにしても良い。
【0057】
図15は、空気冷却装置本体28の正面図を、図16は空気冷却装置本体28の斜視図をそれぞれ示している。
【0058】
本発明では、室外機1と空気冷却装置本体28の保水材30との間に熱風が入って来ないようにしているものであり、図1図17及び図18に示すように、室外機1と空気冷却装置本体28(保水材30)の空間の上面と下面を閉塞するように平板状の上板71と下板72を配設している。
上板71及び下板72は、アルミ材あるいは鉄製等の金属板で構成しており、上板71及び下板72の長さ寸法は、室外機1の横幅の寸法をほぼ同じとしている。
【0059】
空気冷却装置本体28の上ケース36の上面の端部と室外機1の上面の端部の上に上板71を架橋し、上板71と上ケース36及び室外機1とはボルト止めをすることで、上板71を介して空気冷却装置本体28と室外機1とを一体的な構成としている。
また、空気冷却装置本体28の下ケース35の下面と、室外機1の下面との間には、下板72を架橋し、下板72と下ケース35及び室外機1とはボルト止めを行なう。
【0060】
これにより、空気冷却装置本体28と室外機1とは上下の上板71及び下板72とで一体化されることになる。
なお、室外機1は一般的には、台座の上に設置されるものであり、地面からは少し上に位置した状態で設置されている。また、空気冷却装置本体28も室外機1の設置高さに合わせて図外の台座の上に設置されるようになっている。そのため、下板72を空気冷却装置本体28の下面と室外機1の下面との間に架橋してボルト止めを行なうことができる。
【0061】
ところで、従来のように、保水材30を室外機1の風上側に単に設置している場合、台風などの強風や突風が吹いた場合には設置している保水材30が倒れたり、傾いたりする恐れがある。
しかし、本実施形態では、このように、上板71と下板72とで、空気冷却装置本体28と室外機1とを連結しているので、空気冷却装置本体28の設置を補強することができ、強風や突風が吹いた場合でも、空気冷却装置本体28が倒れたり、傾いたりするのを防止することができる。
【0062】
しかも、空気冷却装置本体28の保水材30と室外機1との間の上面と下面には上板71及び下板72を配設しているので、少なくとも熱風が上面や下面から入ってくるのを防止することができる。そのため、保水材30を通過した冷却された空気が温まるのを防止でき、凝縮器3を効率良く冷却することができる。
【0063】
ところで、上記の実施形態では、空気冷却装置本体28の左右は開放されているので、この開放されている箇所から熱風が入って、保水材30からの冷却されている空気を温められることになる。かかる場合には凝縮器3を効率良く冷却できなくなる。
そこで、本実施形態では、図19及び図20に示すように、室外機1の左右に開閉自在な扉73をそれぞれ設けている。室外機1に蝶板74を配設し、この蝶板74を介して扉73を開閉自在としている。また、扉73には把手75を設けている。
【0064】
なお、図示例では、蝶板74を室外機1側に設けているが、空気冷却装置本体28側に設けるようにしても良い。
また、扉73は平板状であり、材料として、アルミ材あるいは鉄製等の金属板である。また、扉73は図外のフック等にて扉73が不用意に開閉しないように固定するようになっている。
【0065】
このように、空気冷却装置本体28と室外機1との左右の開放している左右の面に扉73をそれぞれ設けて閉じることで、両側の扉73と、上板71と、下板72とで、空気冷却装置本体28の保水材30と室外機1との間の空間をほぼ覆うことができる。そのため、保水材30と室外機1との間の空間には、熱風がほとんど入らないようになり、保水材30で冷却された空気はそのまま凝縮器3側に送られ、凝縮器3を一層効率良く冷却することができる。
【0066】
ところで、冬場においては、凝縮器3を冷却する必要がないので、補助冷却装置10は運転を停止する。空気冷却装置本体28と室外機1との間を上板71、下板72及び扉73等で密閉すると、空気の流れが悪くなる。
そこで、本実施形態では、扉73を開放させておくことで、凝縮器3への空気の流れをスムーズにさせることができる。
【0067】
また、室外機1と空気冷却装置本体28(保水材30)との間の空間を上板71、下板72及び左右の平板、あるいは左右の扉73にて閉塞しているので、保水材30に流れる水の飛沫が室外機1の凝縮器3側に飛散するのを防止できる程度に離した場合でも、空間内の冷却された空気は外気の影響を受けることはなく、冷却された空気を凝縮器3へ送ることができると共に、凝縮器3側の放熱フィン等の劣化を防止することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、室外機1と保水材30との間の空間の左右に扉73をそれぞれ設けていたが、扉73の代わりに平板を配設し、該平板を室外機1と空気冷却装置本体28の側板33、34との間にボルト止めをすることで、空気冷却装置本体28の固定を一層補強することができる。
【0069】
また、上板71、下板72や、左右の平板とした場合、これらのすべてに扉73を設けるようにしても良い。少なくとも1箇所以上に扉73を設けるようにしても良いものである。
室外機1と空気冷却装置本体28(保水材30)との間の空間を閉塞する少なくとも1箇所以上に扉73を設けることで、冬場においては扉73を開放することで、外気を室外機1側にスムーズに流入させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 室外機
3 凝縮器
13 水回収装置
14 ポンプ
15 給水管
30 保水材
71 上板
72 下板
73 扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30