【実施例】
【0064】
(実施例1:細菌における短縮型CBSタンパク質の生成)
(a.細菌における短縮型CBSタンパク質の組換え発現)
非保存領域の特定の部分を欠いている短縮型ヒトCBS改変体(rhCBSΔC;配列番号3)を構築し、先に記載されたE.coliベースの発現系(Kozich and Kraus, 1992, 前出)を使用して過剰発現させた。上記短縮型ヒトCBSタンパク質改変体rhCBSΔCをコードする構築物(rhCBSΔCをコードするDNAは、配列番号4に示される)を、pKK388.1にクローニングされたCBS全長コード配列(配列番号1)を含む先に記載されたpHCS3 CBS発現構築物(Kozich and Kraus, 1992, Hum. Mutat. 1:113−123)の改変によって生成した。C末端欠失構築物を生成するために、所望のヌクレオチド残基にわたるCBS cDNAフラグメントを、PCR生成物の5’末端および3’末端それぞれにSph IおよびKpn I部位を組みこんだプライマーを使用して増幅した。次いで、全てのPCR生成物をSph IおよびKpn Iで切断し、Sph IおよびKpn Iで消化したpHCS3ベクターへのライゲーションによってクローニングした。Sph I部位は、上記CBS cDNAに、アンチセンスプライマーハイブリダイゼーション部位の直ぐ上流(配列番号1と番号付けされているCBS cDNAによれば、塩基対位置1012)に天然に存在する。次いで、そのようにして生成されたPCR生成物をNco IおよびSph Iで消化し、同じ酵素で切断したpHCS3プラスミドに連結した。
【0065】
【化1】
最後に、上記構築物を、E.coli BL21(Stratagene)へと形質転換した。上記構築物の真正を、Thermo Sequenase Cy5.5配列決定キット(Amersham Pharmacia Biotech)およびVisible Genetics Long−Read Tower System−V3.1 DNAシーケンサーを使用するDNA配列決定によって、製造業者の説明書に従って検証した。
【0066】
CBS欠失変異体の細菌発現分析に関しては、CBS短縮型変異体構築物を有するE.coli BL21細胞の増殖、発現の誘発および粗製細胞溶解物の生成を、以前に記載されるように行った(Macleanら、2002, Hum. Mutat. 19:641−55)。
【0067】
代替の方法もまた使用して、pET28a(+)ベクターにおいて配列最適化した短縮型ヒトCBS酵素(rhCBSΔC;配列番号3)を作製した。全長(551 aa)ヒトCBSコード配列を、細菌発現のために最適化し、GenScript USA Inc.(NJ, USA)によってEcoRV制限酵素での消化後に、pUC57ベクターにクローニングした。次いで、上記CBS配列を、プライマーA1およびA2を使用するPCRによって増幅して、上記短縮型酵素(aa 1−413)をコードする配列を生成した:
【0068】
【化2】
次いで、上記PCR生成物を、制限酵素NcoIおよびXhoIで消化し、同じ酵素で消化したpET−28a(+)ベクター(EMD Millipore, Billerica, MAから市販されている)に連結した。pET−28a(+)の最適なNcoI部位へのクローニングは、CBS野生型配列(プロリンの代わりにアラニンをコードする)と比較して、G→C変異を生じる。よって、プライマーB1およびB2を利用する部位指向性変異誘発キット(Stratagene, CA, USA)を使用して、プロリンをコードする野生型配列を再生した:
【0069】
【化3】
同じストラテジーを使用して、以下のプライマーを使用してC15S変異体(T→A変異)を生成した:
【0070】
【化4】
最適化されたrhCBSΔCおよびC15S変異体ポリヌクレオチド構築物の両方の全配列を、配列決定することによって検証した。
【0071】
上記短縮型CBSの発現は、pET−28a(+)ベクターの中の上流T7プロモーターによって制御され、DE3細菌への形質転換およびIPTGによる誘発を要する。
【0072】
(b.配列最適化した短縮型ヒトCBS酵素の発現)
上記短縮型ヒトCBSをコードする配列を有するpET−28a(+)ベクターを、DE3細菌、すなわち、HMS174(DE3)もしくはBL−21(DE3)に形質転換し、カナマイシン耐性クローンを選択し、さらに使用するために、−80℃においてストックグリセロールとして維持した。
【0073】
ストックグリセロールからの細菌を、30μg/ml カナマイシンを含む5mlのLuria−Bertani(LB)培地中で、275RPMの回転振盪機上で37℃において一晩増殖させた。翌朝、1mlの一晩培養物を、30μg/ml カナマイシンを含む100ml Terrific Broth(TB)培地に添加し、上記のように一晩増殖させた。次いで、10mlの一晩培養物を、以下の補充物を含む1リットルのTB培地に添加した:
・0.001%のチアミン−HCl(pH8.0)
・0.0025%のピリドキシン−HCl(pH8.0)
・0.3mM δ−(アミノレブリン酸)(δ−ALA) pH8.0
・150μM 塩化第二鉄
・30μg/mlのカナマイシン 。
【0074】
上記1リットル培養物を、次いで、OD
600が約0.6〜0.7の値に達するまで30℃において275RPMの回転振盪機上で増殖させ、タンパク質発現を、1mM IPTGを添加することによって誘発した。発酵をさらに16時間継続した。次いで、細胞を、10分間、4℃での6000 RCF遠心分離によって回収し、氷冷0.9% NaClで洗浄し、上記のように再度遠心分離し、−80℃で凍結した。
【0075】
次いで、アリコート(ペレット1gあたり4.45mlの溶解緩衝液(20mM NaH
2PO
4、pH=7.2、40mM NaCl、0.1mM PLP))を、上記細胞ペレットに添加し、後者を、細胞の凝集物が見えなくなるまでDounceホモジナイザー中でホモジナイズした。次いで、上記ホモジネートを、リゾチーム(2mg/ml 最終)で処理し、1時間4℃において振盪プラットフォーム上でインキュベートし、超音波処理して粘性を下げ、53,000 RCFで遠心分離した。次いで、可溶性画分を含む上清を、−80℃で貯蔵した。
【0076】
発現レベルを、ゲル電気泳動、続いて、クーマシーゲル染色によって検証し、比活性を放射活性アッセイによって決定した。
【0077】
(c.CBSアッセイ)
CBS活性を、標識基質として[
14C]セリンを使用する先に記載された放射性同位体アッセイによって決定した(Kraus, 1987, Methods Enzymol. 143,388−394)。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準物質として使用して、Bradford法(Bradford, 1976, Anal. Biochem. 72, 248−254)によって決定した。活性の1単位は、1時間37℃で、1μmolのシスタチオニンの形成を触媒するCBSの量として定義される。
【0078】
(d.変性および未変性ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動およびウェスタンブロッティング)
変性条件および未変性条件両方の下でのCBSサンプルのウェスタンブロット分析を、以前に記載されたように行った(Majtanら、2010 J Biol Chem. 2010; 285(21):15866−73)。
【0079】
(e.血漿代謝産物の決定)
Stable−Isotope−Dilution Liquid Chromatography-Mass Spectrometry法を使用して、Allenら、1993, Serum betaine N, N−dimethylglycine and N−methylglycine levels in individuals with cobalamin and folate deficiency and related inborn errors of metabolism, Metabolism 42: 1448-1460に実質的に開示されるように、マウス血漿中での含硫アミノ酸代謝化合物(sulfur amino acid metabolism compound)のレベルを測定した。
【0080】
(実施例2:インビボでの血漿保持時間は、rhCBSΔC PEG化の後に増強される)
血液循環中のrhCBSΔCの保持時間および活性を評価するために実験を行い、この実験でC57BL/6Jマウスに5mg/kg 体重のrhCBSΔCを、腹腔内(IP)、血管内(IV)もしくは皮下(SQ)経路によって注射した。過剰な採血を回避するために、各々5匹のマウスの2つの実験群(1および2と称する)を、各注射経路に使用した(合計n=30)。各注射経路に関して、群1から、注射して0時間後、1時間後、8時間後および24時間後に、ならびに群2から、注射して1時間後、4時間後、10時間後、および48時間後に血液を集めた。動物を、顎下採血のために、単回使用ランセットで出血させ、ゲル(Terumo Medical Corporation, NJ, USA)入りのCapiject T−MLHGヘパリンリチウム(12.5 IU)チューブの中に血液を集めた。次いで、チューブを1200Gで10分間、遠心分離し、続いて、1.5mlチューブに血漿を集め、−80℃で貯蔵した。
【0081】
血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。示された時点での注射した酵素のCBS酵素活性を、
図1aに示す。IPおよびIV経路に関しては、ピーク活性を注射して1時間後に記録したのに対して、SQ経路に関しては、活性は、SQ区画から循環への放出がよりゆっくりであることに起因して、注射して4時間後にピークに達した。興味深いことに、注射して8〜10時間後、上記活性は、全ての注射経路に関して同等になり、注射して24〜48時間後には、活性はほぼなかった。
【0082】
循環からのrhCBSΔCクリアランスが、上記で示されるようにインビボでの活性の迅速な喪失に寄与し得るかをモニターするために、上記の各群から2匹の代表的マウスの血漿タンパク質を、電気泳動によって分離し、PVDF膜に転写し、抗ヒトCBS抗体と反応させて、循環からのCBSクリアランスを追跡した。
図1bに示されるように、循環からのrhCBSΔCの漸進的なクリアランスは、注射後の時間の関数として起こり、注射後24時間との早期に酵素は検出されなくなった。よって、rhCBSΔCのクリアランスは、インビボでの活性の観察された迅速な喪失に寄与する。
【0083】
rhCBSΔCの保持時間を長くするために、ポリエチレングリコール(PEG)分子(PEG化)によって、ME−020MAもしくはGL4−400MA PEGで酵素を改変した。活性化PEG誘導体を、NOF Corporation(Tokyo, Japan)から購入した。PEG化を、製造業者の説明書に従って行った。例えば、CBS(5mg/ml)のSH基へのPEGマレイミド誘導体のカップリングを、100mM リン酸緩衝液 pH=6中で一晩、4℃において行った。PEG分子 対 CBSタンパク質のモル比は、活性化PEG誘導体に依存して、10:1もしくは5:1であった。
【0084】
PEG化rhCBSΔCの活性を評価するために、C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重のME020MA−もしくはGL4−400MA−PEG化rhCBSΔC、または非PEG化rhCBSΔCを、SQ経路によって注射した。各処置アームは、5匹のマウスの2群(合計30匹のマウス)からなり、上記に記載されるように採血した。血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。注射して24時間後および48時間後に、PEG化酵素の2つの形態について有意な活性を検出し、GL4−400MA PEG化rhCBSΔC活性は、
図1cに示されるように、24時間でピークに達した。このことは、これら同じ時点で低いかもしくは活性なしを示す非PEG化rhCBSΔCとは際だって対照的であった。これら結果は、rhCBSΔC酵素のPEG化がインビトロおよびインビボの両方でその活性を長期化するにあたって有効であることを示した。
【0085】
(実施例3:PEG化rhCBSΔCでの反復注射レジメンは、CBS活性の蓄積をインビボで示したが、非PEG化rhCBSΔCでのレジメンは示さなかった)
循環からのタンパク質の迅速なクリアランス速度は、より高い血漿濃度を維持するために、注射の回数を増やすことによって回避され得る。よって、反復注射レジメンを、非PEG化rhCBSΔCおよびPEG化rhCBSΔCの両方で試験した。C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重の非PEG化rhCBSΔC(n=5)もしくはGL4−400MA rhCBSΔC(n=5)を0時間、24時間、48時間で注射し(
図2の矢印)、示された時点で採血した。血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。
図2に示されるように、非PEG化酵素の反復注射は、循環において酵素活性の蓄積をもたらさず、各注射の24時間後には、ほぼ活性を生じなかった。対照的に、PEG化酵素の活性は、2回の注射の後にピークに達し、プラトーに達した。
【0086】
(実施例4:PEG化rhCBSΔCの単回注射は、血漿中で、ホモシステインを低下させ、シスタチオニンを増大させた)
先の実施例を、野生型マウスにおいで行い、注射したrhCBSΔCのクリアランスおよび活性の特徴付け、ならびにPEG化酵素と非PEG化酵素との間の比較に焦点を当てた。PEG化が循環時間を長期化することをいったん確立した後、PEG化CBS酵素分子の種々のレパートリーを、野生型マウスにおいてまず試験し、次いで、ホモシスチン尿症のマウスモデルにおいて評価した。
【0087】
種々のPEG分子で改変したrhCBSΔC酵素のレパートリーを、最良のPEG化ストラテジーを決定するために、野生型マウスにおいて試験した。27匹のC57BL/6Jマウスを、9つの実験群(n=3)に分けた。各実験群に、SQ経路によって、5mg/kg 体重の、
図3に示されるPEG分子でPEG化したrhCBSΔCを注射したか、または非PEG化酵素を注射した。血液サンプルを、
図3に示された時点で採取し、PEG化rhCBSΔC活性を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して決定した。データは、
図3Aにおいて、標準偏差(STD)付きのヒストグラム、および散布図として示される。一般に、より高分子量のPEG(GL2800MAは80kDa;ME−400MAおよびGL2−400MAは40kDa;ならびにME200−MA0Bは20kDa)でのPEG化は、20kDa未満のサイズであった分子でのPEG化後に観察されたものより大きな曝露をもたらし、システイン残基(マレイミド反応基の使用を示すために「MA」によって示される)を標的化した化学を使用するPEG化が、一般に、他の化学を利用するPEG化後に観察されたものより大きな曝露をもたらす。
【0088】
HOマウスに対する研究に進む前に、これらマウスにおけるホモシステイン、シスタチオニン、システインおよびメチオニンの毎日の変動を、これら動物におけるこれらアミノ酸の日内変動を決定するためにアッセイした。よって、6匹のHOマウスからの血液を、24時間サイクル全体を通じて
図3Bに示された時点で採血し、各示された時点について血漿代謝産物レベルを決定した。
図3Bに示されるように、シスタチオニンおよびシステインのレベルは、24時間サイクルを通してほとんど一定であった。ホモシステインおよびメチオニンレベルは、朝7:00から午前遅く〜午後早くまで低下する傾向にあった。これは、夜に摂食し、含硫置換基移動経路を介するホモシステイン代謝の能力を欠いている動物に関して一貫していた。よって、全ての注射および採血を、Hcyレベルが最低であった15:00(3PM)に行って、処置によって、Hcyおよび他の代謝産物のさらなる低下が生じたか否かを決定した。
【0089】
PEG化rhCBSΔCの分子量および比活性(S.A.)は、特徴付けの中心的な特性である。ME−400MA(レーン1,
図3C)、GL4−400MA(レーン2)もしくはME−200MA0B(レーン3)でのPEG化後に、上記生成物を、12% SDS−PAGEゲルでの電気泳動によって分離し、非PEG化酵素(レーン4)と比較した。得られたゲルを、クーマシーブルーで染色した。上記PEG化および非PEG化rhCBSΔCの各々のS.A.(U/mg)を、表添付の
図3Cに示す。示されるように、PEG化は、S.A.値に有意な影響は有さず、上記酵素は、PEG化前と同程度に活性なままであった。見かけ上の分子量によれば、この実験で使用される条件下でのrhCBSΔCのPEG化は、ジPEG化およびトリPEG化したrhCBSΔCを生じた。
【0090】
本明細書で記載される実験の全体の目的は、投与されるPEG化rhCBSΔCの薬力学的パラメーターを評価することであった。CBS欠損ホモシスチン尿症の動物モデルにおいて、血漿ホモシステインの低下および血漿シスタチオニンの増大に特別な重きがおかれた。通常のマウス飼料を与えたHOマウスを、酵素補充療法(ERT)のこのタイプを試験するためのモデル系として選択した。HOマウスに、時間0で、PEG分子(GL4−400MA、ME−400MA、ME−200MA0B)でPEG化したrhCBSΔCを1回注射し、時間0(注射前)、24時間、48時間および72時間で採血した。上記群の各々(n=5〜6)に関する血漿ホモシステインのレベル(
図3D)およびシスタチオニンのレベル(
図3E)を、示す。
図3Dに示されるように、ホモシステインレベルは、使用される各PEG化形態に対して有意に低下し、シスタチオニンレベル(
図3E)は、時間0と比較して、約6〜7倍増大した。従って、PEG化rhCBSΔCの投与は、インビボでホモシステインおよびシスタチオニンレベルに有意かつ正の影響を与えることが見出された。
【0091】
(実施例5:PEG化rhCBSΔCの反復注射は、ホモシステインおよびシスタチオニン血漿レベルに有意に影響を及ぼし、正常システインレベルを回復させる)
非PEG化およびPEG化rhCBSΔCを、ホモシステインを下げ、かつ低レベルのホモシステインを維持し、ならびにシスタチオニンおよびシステインレベルを増大させる能力について比較する、休薬期間を有する反復注射レジメンを、以下のように行った。6匹のHOマウスに、0日目、1日目、2日目、3日目および4日目に、GL4−400MA PEGでPEG化したrhCBSΔCを注射し(矢印,
図4)、続いて、10日間の休薬期間を設け、次いで、14日目、15日目、16日目、17日目および18日目に、再び注射した。血漿サンプルを、
図4に示された時点で(常に注射の前に)採取した。比較のために、同じ注射レジメンを、非PEG化酵素を注射した5匹のHOマウスにも行った。血漿代謝産物のレベルを、実施例1eに記載されるように、Stable−Isotope−Dilution Liquid Chromatography-Mass Spectrometryによって決定した。各マウスに関するホモシステイン(
図4aに示される結果)およびシスタチオニン(
図4b)の血漿濃度が示される。各実験群に関するホモシステインおよびシスタチオニンの平均値もまた、示される(
図4c中)。
図4a〜4cに示されるように、平均ホモシステイン濃度は、48時間で182μMから38μMへと低下し、週全体にわたって低いままであった。シスタチオニンは、時間0での最初の4.7μMから48時間で42μMの濃度に達し、第1週の間に高いままであった。休薬期間の間、代謝産物は、それらの初期値に戻った。その後のCBS注射は、ホモシステインレベルの鋭い低下およびシスタチオニンレベルの上昇を再びもたらした。その後、処置の中止は、再度、これらパラメーターの未処置レベルへの復帰を生じた。
【0092】
非PEG化rhCBSΔCと比較して、時間0でのパーセンテージとして
図4dに示されるように、血漿ホモシステインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果もまた決定した。
図4dは、PEG化rhCBSΔCとは対照的に、非PEG化酵素が血液サンプルが注射して24時間以上後であった場合に、ホモシステイン濃度に対して明らかな効果を有しなかったことを図示する。これは、非PEG化酵素が、循環から迅速に一掃され、注射して24時間後および48時間後に有意な活性がなかったことを示す実施例2および3に示される結果と一致する。
【0093】
非PEG化rhCBSΔCと比較して、血漿システインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果をまた、同じ実験法を使用して決定した。
図4Eに示されるように、システインレベルはPEG化酵素の注射期間の間に正常になった(時間0と比較して2倍)が、非PEG化酵素を使用してもシステインレベルの変化は何ら認められなかった。
【0094】
これら結果は、HOマウスにSQ投与したPEG化rhCBSΔC酵素が、ホモシステインおよびシスタチオニン濃度に対して有意に正の影響を及ぼし、同時に、システインレベルをそれらの正常値へと回復させることを示した。後者の実験結果は、細胞内含硫置換基移動経路がrhCBSΔCの投与後に活性化されたという指標である。
【0095】
(実施例6:ヒト短縮型CBS調製物(rhCBSΔC)の凝集の程度の変動性)
未変性PAGEゲル(4−15% すなわち、ドデシル硫酸ナトリウムのような変性剤の添加なし)を、rhCBSΔCの種々のバッチ(112、13、7、27および28)で行った。
図5Aに示した結果は、種々の調製物がテトラマー(T)およびダイマー(D)の種々の比、およびより高次の形態の凝集したCBSを有することを図示する。ゲル中のCBS活性(
図5B)は、4℃でのタンパク質サンプルに対する電気泳動を行うことによって、未変性ポリアクリルアミドゲルで(活性染色によって)決定した。次いで、上記ゲルを、活性染色溶液(表Aを参照のこと)中に沈め、37℃で約15分間インキュベートした。約15分後に、ロードした量に依存して、濃灰色のバンド(1−413 CBS種の約45kDaダイマー)が出現した。さらに長時間の後に;最大で1時間もしくは室温で一晩で、テトラマーが視認可能になった。このゲル中活性法で未変性ゲルを分析すると、
図5Bに例示されるように、
図5Aにおいてバッチ112および28で出現しているテトラマー(T)、ダイマー(D)、および他のより高次の凝集した形態のrhCBSΔCのバンドがCBS関連だったことが確認される。
【0096】
【表2】
バッチ28および112、ならびにそれらのPEG化生成物のSDS PAGE分析から、rhCBSΔCバッチのME−200MA0BでのPEG化は、PEG化後に形成される2つのPEG化バンド(P)の間で種々の比を示すことが示された(
図5Cを参照のこと)。従って、凝集を減らし、再現性を増大させる手段が求められた。
【0097】
(実施例7:ヒトC15S変異体CBSのみがダイマーを形成する)
システイン(rhCBSΔCの15位にある)はカップリングしないので、それは、凝集形成をもたらす考えられる因子と考えられた。従って、新たな組換えプラスミドを、rhCBSΔC変異体タンパク質(本明細書でC15Sといわれる)を生成するために調製した。rhCBSΔCを作製するために実施例1bで使用した同じストラテジーを、以下のプライマーを使用することによって、C15S変異体CBS酵素(T→Aヌクレオチド変異)を生成するために使用した:
【0098】
【化5】
C15S変異体CBS短縮型酵素のヌクレオチド配列全体(配列番号14)を、ヌクレオチド配列決定によって検証した。組換えヒトCBS短縮型のために実施例1で記載される同じ方法を、C15S変異体CBS酵素の発現および単離のために使用した。
【0099】
単離されたC15S CBS酵素の未変性PAGEは、ダイマー(D)およびテトラマー(T)、ならびにより高次のオリゴマー形態を形成した組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)について得られた結果とは異なって、C15S CBSがダイマーとしてのみ存在することを実証した(
図6Aを参照のこと)。C15S変異体CBSの複数のバッチ(51、60および73)および組換えヒト二重短縮型(バッチRC−2−76)は、それら両方が、上記組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは対照的に、ダイマーのみを形成することを実証した(
図6Bを参照のこと)。ME−200MA0BでのC15SのPEG化は、PEG化バンドの間で類似の比を有する均一なかつ再現性のあるバンドを生じた。変性SDS PAGEは、C15Sが組換えヒト二重短縮型(バッチRC−2−76)に類似して再現性のあるPEG化パターンを生じ、両方が組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)を使用して得られたパターンとは異なることを示した(
図6C)。これはまた、rhCBSΔCで再現性のないPEG化パターンを示す
図5Cに匹敵した。
【0100】
CBS調製物のHPLCサイズ排除クロマトグラフィーを行った。両方の組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)を、Yarra SEC−3000, 300×7.8mmサイズ排除カラム(Phenomenex, CA, USA)で分離した。上記カラムを較正し、100mM リン酸ナトリウム pH=6.8中、流速1ml/分で室温において操作した。
図7は、rhCBSΔC(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を示す。これら分析は、5つの異なるバッチから再現性のある単一ピークを与えたので、C15S変異体CBSがダイマーとしてのみ存在したという追加の証拠を提供する(
図7Bを参照のこと)。比較のために、
図7AにおけるrhCBSΔCの6つの異なるパターンおよび
図7BにおけるC15S変異体CBSの単一ピークに注目のこと。
【0101】
(実施例8:2匹のHOマウスにおいて20日間にわたるPEG化C15Sの連続投与は、血漿ホモシステインの減少を生じた)
ALZET(登録商標)浸透圧ポンプは、長期間にわたってC15S酵素の一定の制御された送達を可能にした。上記C15S CBS酵素を、ALZET(登録商標)ポンプ(Micro−osmotic ALZET(登録商標) Pump, Model 1002. Lot 10268−12)を使用して投与して、反復皮下注射の代わりに、C15S CBS酵素をマウスに連続送達した。これら実験において、平均ポンプ送達速度は、0.21μl/時であった;平均充填容積は、106.6μlであった;上記ポンプは、26.2μg/μlの濃度で約106μlのPEG化C15S CBS酵素が装填された。2匹のHOマウスでの20日間にわたるC15S CBSの連続投与は、血漿ホモシステインにおいて初期の有意なおよびその後持続した低下を生じた(
図8を参照のこと)。
【0102】
術前および術後の疼痛緩和のために、動物には、ALZET(登録商標)ポンプの埋め込み手術の前後48時間にわたって、ウォーターボトル中のTYLENOL(登録商標)(2mg/ml)を随意に与えられた。さらに、動物には、Carprofen 5mg/kgを、術後48時間にわたって、皮下に24時間ごとに与えられた。
【0103】
動物の麻酔および手術のために、イソフルランを吸入によって投与した。マウスを、5% イソフルランで誘導し、2〜3%で維持した。マウスに麻酔がかかっている間に、彼らは各々、安全キャビネット(Biological Safety Cabinet)中で無菌条件下で埋め込まれた医療グレードのALZET(登録商標)浸透圧ポンプを受けた。ポンプを、頸部の腹側のたるんだ皮膚領域の皮下に埋め込んだ。上記ポンプを埋め込む前に、上記マウスを剃毛し、皮膚領域をBETADINE(登録商標)で準備した。ポンプ埋め込みには、小さな外科的切開(5mm)を滅菌した鋏で作り出すことが必要であった。その切開を、創傷クリップで閉じた。クリップを、皮膚が完全に治癒した場合に1週間後に外した。ポンプ埋め込み直前および
図8に示される時間で、血液サンプルをホモシステインレベルを測定するために採取した。その結果は、この投与様式が、ホモシステインレベルを、毎日のrhCBSΔC投与によって達成されるのと類似の様式で低下させることを示す。非PEG化C15S変異体CBSを使用して行った類似の実験から、Hcy血漿レベルの明らかな低下は生じなかった(結果は示さず)。
【0104】
(実施例9:3種のPEG化短縮型ヒトCBS酵素の比較)
図9は、HOマウスに、単一用量(7.5mg/kg)で、時間0で、ME−200MA0BでPEG化したrhCBSΔC、C15S変異体(C15S)および二重短縮型構築物(二重短縮型)を注射した実験の結果を示す棒グラフである。時間0(注射前に)、注射して24時間後、48時間後および72時間後でマウスから採血した。上記群(n=5〜6)の各々の血漿ホモシステインのレベルを示す。結果は、3種の酵素形態全てが、Hcy血漿濃度の匹敵する低下をもたらすことを示す。
【0105】
【表3-1】
【0106】
【表3-2】
【0107】
【表3-3】
【0108】
【表3-4】
本発明を詳細に、およびその具体的実施形態への参照によって記載してきたが、改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲から逸脱することなく考えられることは、明らかである。より具体的には、本発明のいくつかの局面は、特に有利として本明細書で同定されるものの、本発明が、本発明のこれら特定の局面に必ずしも限定されないことは予期される。