特許第6453247号(P6453247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453247
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】制動ヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20190107BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   E05D3/14 A
   E05D7/086
【請求項の数】16
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-558403(P2015-558403)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-507681(P2016-507681A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2014052850
(87)【国際公開番号】WO2014128050
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】1303093.7
(32)【優先日】2013年2月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507277859
【氏名又は名称】タイタス ディ.オウ.オウ.デカニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スヴァラ,ヴアルター
(72)【発明者】
【氏名】コズロヴィチ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペカル,デービッド
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/053354(WO,A1)
【文献】 特許第4908393(JP,B2)
【文献】 特表2008−530410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 3/14
E05D 7/086
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジユニット、
制動ユニット、及び
移送及び取扱いを行うために前記二つのユニットをともに保持する接続手段を備え、
前記ヒンジユニットをドアまたは他の部材へ固定するのを可能にする移行状態と、前記制動ユニットが、前記ドアまたは他の部材の移動に対して抵抗するように作動する作動位置との間において、前記接続手段は前記二つのユニットが互いに相対的に移動するのを可能にし、
前記接続手段は、前記2つのユニットの一方における一対のピンを備え、前記一対のピンは前記2つのユニットの他方における複数の穴の各々に係合され、
前記ヒンジユニットはフランジ付きのヒンジカップを備え、前記接続手段の前記ピン又は前記複数の穴は前記ヒンジカップに設けられる、制動ヒンジ装置。
【請求項2】
前記接続手段の前記ピンは回転軸を構成し、前記回転軸の回りで、前記二つのユニット間の相対的な回動を可能にする、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記ヒンジカップに対して、通路に沿って移動可能である、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記ヒンジカップは、湾曲曲線に沿って前記回転軸の移動を案内する案内手段を備えている、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記制動ユニットは一対のアームを備え、前記一対のアームは前記二つのユニットを互いに接続するための前記接続手段の一部を形成し、前記制動ユニットを前記ヒンジユニットに固定する際に作用する、求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記一対のピンは、前記制動ユニットから伸びる前記一対のアームに設けられている、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記一対のアームは弾性的に屈曲可能である、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の穴は複数の湾曲縁を有し、前記複数の湾曲縁は、湾曲通路に沿って前記回転軸の移動を案内する前記案内手段を構成する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の穴は複数の縁を有し、前記複数の縁は前記一対のアームによる係合に対して複数の反作用面として作用する、請求項5から7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記複数の穴は細長い、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記一対のピンは、弾性スナップフィットによって前記複数の穴に係合可能である、請求項から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記制動ユニットは、前記ヒンジユニットの前記ヒンジカップとフランジ両方との係合によって、前記ヒンジユニットに固定可能である、求項1から11のいずれかのいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記作動位置での、前記制動ユニットの前記ヒンジユニットへの固定は弾性スナップフィットによるものである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
移送及び取扱いを行うために、前記ヒンジユニットと前記制動ユニットを共に、その移行状態において、一時的に保持する保持手段をさらに備えている、求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記保持手段は圧縮力、及び/または、摩擦力を用いる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
求項1から15のいずれかに記載の制動ヒンジ装置を内蔵した家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ヒンジ装置に関し、特に、台所の食器棚に、制動装置と共に使用されるようなトグル型ヒンジを備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ヒンジユニット、制動ユニット、及び移送及び取扱いを行うために上記二つのユニットを互いに接続する手段を備え、上記ヒンジユニットをドアまたは他の部材へ固定するのを可能にする移行状態と、上記制動ユニットが、上記ドアまたは他の部材の移動に対して抵抗するように作動する作動位置との間において、上記接続手段は上記ユニットが互いに相対的に移動するのを可能にすることを特徴とする制動ヒンジ装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
例を用いて、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。ここで、
図1A】、
図1B】、及び
図1C】は第一の状態にある、本発明による制動ヒンジ装置の第一形態を示す。
図2A】、
図2B】、及び
図2C】は第二の状態にある上記装置を示す。
図3】は上記装置の制動ユニットを示す。
図4】は第一の状態にある、本発明による制動ヒンジ装置の変形例を示す。
図5】は第二の状態にある、上記変形例による装置を示す。
図6】は上記変形例による装置の上記制動ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
図1A、1B、及び1Cに示す制動ヒンジ装置は、例えば、台所の食器棚にドアを吊るすための周知のトグルタイプのヒンジユニット10を備えている。ヒンジユニット10は、公知の方法でドア枠に取り付け可能なアーム装置11、及び、公知の方法でドアに取り付け可能なヒンジカップ12を備えている。ヒンジカップ12は、複合接続部13による公知の方法で、アーム装置11に回動可能に接続されている。
【0005】
上記装置は制動ユニット14を備え、制動ユニット14は、上記ドアの閉移動に対して、少なくとも上記移動の最終部分に関し、公知の方法で制動抵抗力を作用させるように配置された制動器を有している。上記制動器は翼15により駆動され、翼15は制動ユニット14から延出し、使用中は、公知の方法でヒンジアーム11に接触するように配置されている。
【0006】
ヒンジユニット10と、制動ユニット14は互いに接続された状態を維持するように設計される。このことは移送や取扱いの際に便利である。図示の実施形態において、一対の離間したアーム16(図3が最も分かりやすい)は制動ユニット14から延出し、夫々のアームはそこから横方向に延びるピン17を有している。複数のピン17は、ヒンジカップ12の反対側に形成された複数のスロット18に係合可能に設計されている。ここで、複数のアーム16は、ダイカスト品の一部として設けられ、その結果、複数のピン17が複数のスロット18の所定位置に入り込むのを可能にするのに十分な弾性を有している。このように複数のピン17が所定位置にある状態で、ヒンジユニット10と、制動ユニット14は互いに効果的に接続される。
【0007】
複数のピン17は互いに一列に並ぶように設計され、これにより、事実上回転軸を形成し、この回転軸の回りに、制動ユニット14はヒンジユニット10に対して相対的に回動することができる。複数のスロット18の形状は一般に細長く、複数のピン17は上記スロットに沿って移動可能である。これは、複数のピン17によって構成された上記回転軸がヒンジユニット10に対して移動可能であることを意味する。ここで、複数のスロット18は、その長手方向軸が、通常、ヒンジカップ12のフランジ21に平行になった状態で配置される。これは、複数のピン17が、ヒンジカップフランジ12に対して通常平行な通路に沿って移動可能であることを意味する。
【0008】
複数のピン17が自在に回転移動及び並進移動することにより、制動ユニット14をヒンジユニット10に取り付けることが可能になるということを考慮する必要がある。これは、上記取り付けは、一方のヒンジカップ12と、他方のヒンジカップフランジ21との間で行われるからである。特に、これは、複数のピン17と制動ユニット14の縁との間に、ヒンジカップ12のフランジ21をクリアするのに十分なクリアランスがなければならないことを意味する。
【0009】
同じ効果を達成するために、上記接続機構は異なる方法で実現しても良いことは理解されるはずである。例えば、複数のピン17を別な部品として設け、複数のスロット18内に挿入した後、複数のアーム16に取り付けることが可能である。また、上記ピンと上記スロットの配置を逆にする、つまり、上記複数のスロットを上記複数のアームに設け、上記複数のピンを上記ヒンジカップに設けることが可能である。
【0010】
図1A図1Cは、上記装置は、制動ユニット14がヒンジカップフランジ21に対してほぼ直角である状態にあることを示している。これにより、穴23にねじを通すか、または、合い釘24等の他の固定具によって、公知の方法で、ヒンジカップ12をドアや他の部材に固定する際に、ヒンジカップフランジ21にアクセスするのが可能になることが理解できる。通常の取り扱いや移送を行うために、上記装置はこの状態にあることが便利であるが、これは、設置する際に直ちに準備できるからである。
【0011】
図2A図2Cでは、上記装置は異なった状態にあり、この状態では、制動ユニット14は、ヒンジユニット10の作動位置に移動されている。この状態では、制動ユニット14はヒンジカップフランジ21に固定され、翼15はヒンジアーム11と係合するために所定位置に延出し、上記ドアの閉移動に対して制動抵抗を与えている。設置後、上記装置はこの状態になる。制動ユニット14はこの状態でヒンジカップ12を覆い、上記装置の外観を小ぎれいでさっぱりしたものにしていることが分かる。
【0012】
複数のスロット18の底縁はわずかに曲がっていることが分かる。制動ユニット14を図1Aの移行状態からその作動位置に移動する際に、複数のピン17は上記複数の縁に対して逆に作用する傾向があるが、曲面を有することで、この移動は容易になる。
【0013】
制動ユニット14をその作動位置に固定することは、複数のアーム16がヒンジカップ12と係合することで一部達成される。複数のアーム16はヒンジカップ12の複数のスロット18を介して延びるように設計されており、上記複数のアームの上面(図3に参照符号22で示す)は上記複数のスロットの上縁(図1Bに参照符号25で示す)と係合する。複数のアーム16と反対側の縁に沿って、制動ユニット14は一対のホック19を有している。これらのホック19は、ヒンジカップ12(図2Aが最も分かりやすい)のフランジ21の縁に沿って形成された複数の凹部20と係合するように設計されている。複数のホック19は手で押圧されて、スナップフィットによって各凹部20と係合するのに十分な弾性を有するように設計されている。これにより、一方では、複数のホック19が複数の凹部20に係合し、他方では、上記したように、複数のアーム16が複数のスロット18に係合することによって、制動ユニット14はヒンジカップ12に保持される。
【0014】
制動ユニット14をその作動位置に固定する方法は、上記ドアの閉移動によって上記装置にかかる可能性のある力に耐えられるように設計されていることは注目されるとになろう。これらの力は翼15を介して上記装置に伝達され、これにより制動ユニット14にモーメントがかかり、カップ12から外れてしまうことになるが、これに対しては、複数のアーム16が複数のスロット18内でしっかりと係合するので、抵抗する。
【0015】
変形例によるヒンジ装置を図4、5、及び6に示す。この装置はその移行位置に一時的に保持するため特別な備えを有している。それは、制動ユニット14’に追加された一対のピン26である。複数の追加ピン26は、複数のアーム16’上で、複数のピン17’に隣接しており、複数のピン17’と同様にアーム16’から伸びている。ここでは、複数のアーム16’は弾性的に湾曲可能に設計されている。
【0016】
図4は移行状態にある上記装置を示す。この状態では、複数の追加ピン26は複数のスロット18’の外側にあるのに対して、複数のピン17’は複数のスロット18’内で係合している。これは、複数の追加ピン26はヒンジカップ12’の内面に接触していることを意味する。これにより、干渉嵌め合い(interference fit)が行われ、複数のアーム16’の弾性湾曲により、複数の追加ピン26は効果的に圧縮保持される。これによって生成される圧縮力及び摩擦力は、通常の取り扱い及び移送を行う間、上記装置はその移行状態に確実に保持されるように設計される。
【0017】
制動ユニット14’は、先に述べた装置と同じ方法で、その作動位置に移動可能であるが、この場合、初めのうちは、複数の追加ピン26に作用し、上記装置をその移行位置に保持する上記圧縮力及び摩擦力に打ち勝つ少し大きな力が必要である。制動ユニット14’がその作動位置に移動するのに伴い、複数の追加ピン26はヒンジカップ12’との接触から抜け出し、複数のピン17’と共に、複数のスロット18’内に移動することが分かる(図5参照)。
【0018】
上記装置をその移行位置に一時的に保持する機構は、多くの異なった形態が可能であることは理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6