【課題を解決するための手段】
【0008】
本説明では、タービンリングが提供され、タービンリングは、略円筒形の支持体と、 円形を形成し、かつ空気流路のセグメントを画定するように構成される1つ以上のセクタであって、各セクタが支持体に取付装置を介して固定される、1つ以上のセクタと、を備え、取付装置は、支持体に属し、かつセクタに向かって突出するフック部分と、セクタに属し、かつ支持体に向かって突出するフック部分と、を備え、支持体のフック部分、およびセクタのフック部分は、セクタを支持体に固定するように協働して構成され、リングは更に、取付装置内に設けられ、かつセクタの一部分と支持体の一部分との間で半径方向に応力を受けて、セクタと支持体との間の相対運動を減衰させる制振装置を備え、制振装置は、支持体の内側表面に、そしてセクタのフック部分の外側表面に周方向に交互に接触するようになる。
【0009】
少なくとも1つの加圧領域をセクタの前記一部分を維持し、かつ少なくとも1つの加圧領域を支持体の前記一部分を維持するこの制振装置を使用することにより、セクタと支持体との間の相対運動が抑制され、より小さくなる。更に、これらの相対運動は、セクタおよび/または支持体の制振装置との摩擦により、半径方向に減衰される。この摩擦により、これらのセクタのエネルギーが放散されるので、エネルギーが蓄積されることがなくなって、これらのセクタが、作動範囲で共振を起こす危険を小さくすることができることにより、振動疲労に起因する破損を大幅に小さく抑えることができる。
【0010】
更に、制振装置は、セクタと支持体との間の相対運動を弾性的に抑制するので、セクタおよび支持体に作用する低サイクル疲労タイプの機械的応力を制限してセクタおよび支持体の寿命を延ばすのに十分な、セクタと支持体の間の半径方向クリアランスを維持することが可能である。
【0011】
制振装置によって更に、セクタを、振動を制限したいというセクタの二次的な目的から解放することができる。このような状況では、制振装置の形状を更に自由に選択することができる:制振装置の形状は従って、簡易化することができるので、コストを低減することができる、または制振装置の形状は、セクタの他の機能について更に効果的に最適化することができる。
【0012】
更に、制振装置は、セクタと支持体との間に残されることになるクリアランスに略一致する半径方向の寸法ガイドとして機能することにより、セクタを支持体に組み付ける作業を容易にすることができる:従って、セクタを制振装置に押圧して、確実にセクタが正確に位置決めされるようにすることができる。これにより、位置決め精度および再現性が向上するので、ブレードの先端におけるクリアランスの制御がより良好に行なわれるようになり、かつ不適格品の機械加工作業を減らすことができる。
【0013】
制振装置が、支持体の内側表面に、そしてセクタのフック部分の外側表面に周方向に交互に接触するようになるこのような構造によって確実に、制振装置を簡単に成形することができるが、その理由は、制振装置が、支持体の内側表面、およびセクタのフック部分の外側表面に連続的に、かつ同時に接触する必要が全くないからである。
【0014】
特定の実施形態では、制振装置は更に、セクタの一部分を支持体の一部分に押圧するように構成される。このような状況では、セクタの相対運動、および支持体の相対運動は、セクタの支持体との摩擦により減衰させることもできる。
【0015】
特定の実施形態では、支持体は、第1取付装置に類似する第2取付装置によって更に固定される;支持体には更に、第2取付装置内に設けられ、かつ第1制振装置に類似する第2制振装置が設けられる。
【0016】
特定の実施形態では、制振装置は可撓性ブレードを備える。この可撓性ブレードは、板状金属により形成される要素であることが好ましい。このような可撓性板状金属は、安価であり、成形が容易であり、そしてこのような制振に適する剛性を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタの前記一部分と支持体の前記一部分との間で、制振装置の全長に亘って半径方向に応力を受ける。このような状況では、セクタおよび支持体に加わる応力は、セクタの全長に亘って分散され、更には、制振作用がセクタ全体に亘って均一に働くことになる。
【0018】
特定の実施形態では、制振装置は、制振装置の全長に亘って、制振装置の長さに沿って分布された局所的な押込み部により略平滑になる。これらの押込み部は、具体的には、球状隆起部分により構成することができ、例えばプレス加工により形成することができる。
【0019】
他の実施形態では、装置は、波形板状金属により形成される要素を備える。
【0020】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタのフック部分の外側表面と支持体の内側表面との間に設けられる。このような構造は、組付けが容易であり、更に、この構造では、2つのフック部分が互いに対して押圧されることにより、セクタを強固に固定することができ、かつセクタの制振機能を高めることができる。
【0021】
他の実施形態では、制振装置は、支持体のフック部分の内側表面とセクタの外側表面との間に設けられる。
【0022】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタの一部分に形成される溝に少なくとも部分的に収容される。この溝により、制振装置をセクタに、制振装置を支持体に組み付ける前に取り付けることができるので、組み付け手順を容易にすることができる。更に、これにより、セクタと支持体との間の半径方向クリアランスを小さくすることができる。
【0023】
他の実施形態では、制振装置は、支持体の一部分に形成される溝に少なくとも部分的に収容される。
【0024】
特定の実施形態では、制振装置は、支持体のフック部分の遠位部分を少なくとも包み込む。制振装置は従って、所定の位置に容易に収容され、かつセクタがない状態でも、所定の位置に容易に留まる。
【0025】
特定の実施形態では、制振装置は恒久的に、第1に、少なくとも1つの加圧領域を支持体のフック部分の外側表面に維持し、かつ加圧領域をフック部分の内側表面に維持し、そして第2に、少なくとも1つの加圧領域をセクタのフック部分の内側表面に維持し、かつ/または加圧領域をセクタの外側表面に維持するように構成される。制振装置をこのようにして、フックの端部の周りに挟み付けることができるので、確実に制振装置を所定の位置に収容して静止状態に保持することができる。
【0026】
他の実施形態では、制振装置は、セクタのフック部分の遠位部分を少なくとも包み込む。
【0027】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタ(複数可)により形成されるリングの周方向の全長に沿って連続的に延在する単体要素である。しかしながら、制振装置は、装置の方位角平面に配置されるギャップで分断されるようにすることができる。
【0028】
他の実施形態では、制振装置は、複数のセクションに分割され、セクションは、セクタ(複数可)により形成される円形の周方向の全長に沿って互いに続く。
【0029】
特定の実施形態では、制振装置の1つのセクションは各セクタに結合される。
【0030】
他の実施形態では、制振装置の各セクションは、複数のセクタに結合される。
【0031】
特定の実施形態では、制振装置は更に、シール手段を支持体とセクタとの間に設けるように構成される。例えば、シール手段は編組ガスケットとすることができる。
【0032】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタに固定されるか、または支持体に固定されるかのいずれかである。この固定は、溶接により行なわれることが好ましい。
【0033】
本説明は更に、前述のこれらの実施形態のうちのいずれかの実施形態による少なくとも1つのリングを含むタービンエンジンを提供する。
【0034】
特定の実施形態では、タービンエンジンは、ヘリコプターのターボシャフトエンジンである。前記リングは、結合タービンに、かつ/またはフリータービンに取り付けられる。
【0035】
特定の実施形態では、タービンエンジンは、航空機のターボジェットである。
【0036】
前述の特徴および利点、および他の特徴および利点は、提案されるリングおよびタービンエンジンの種々実施形態についての以下の詳細な説明を読み取ることにより明らかになる。この詳細な説明では、添付の図面を参照する。
【0037】
添付の図面は概略図であり、何よりも、本発明の原理を例示しようとしている。
【0038】
これらの図面では、図ごとに、同一である要素(または、要素の一部)は、同じ参照記号により特定される。更に、異なる実施形態に属し、かつ類似の機能を有する要素(または、要素の一部)は、これらの図中に、100,200などの所定の値だけ増加する参照番号により特定される。