特許第6453252号(P6453252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453252
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ターボ機械のタービンリング
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20190107BHJP
   F01D 25/04 20060101ALI20190107BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   F01D9/04
   F01D25/04
   F02C7/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-562286(P2015-562286)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-511362(P2016-511362A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】FR2014050579
(87)【国際公開番号】WO2014140493
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】1352257
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョレギベリー,カロル
(72)【発明者】
【氏名】シルバ,マニュエル
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−036443(JP,A)
【文献】 特開平09−228804(JP,A)
【文献】 特開2010−151046(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0083607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04、11/08、25/04
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンリングであって、
略円筒形の支持体(31)と、
円形を形成し、かつ空気流路のセグメントを画定するように構成される1つ以上のセクタ(32)であって、各セクタ(32)が支持体(31)に取付装置(33a,33b)を介して固定される、1つ以上のセクタ(32)と、を備え、
取付装置(33a)は、支持体(31)に属し、かつセクタ(32)に向かって突出するフック部分(35)と、セクタ(32)に属し、かつ支持体(31)に向かって突出するフック部分(34)と、を備え、支持体のフック部分(35)、およびセクタのフック部分(34)は、セクタ(32)を支持体(31)に固定するように協働して構成され、
前記タービンリングは、制振装置(50)をさらに備え、制振装置は、取付装置(33a)内に設けられ、かつセクタの一部分(34e)と支持体の一部分(31i)との間で半径方向に応力を受けて、セクタ(32)と支持体(31)との間の相対運動を減衰させ、
制振装置が恒久的に、少なくとも1つの加圧領域を支持体(131)のフック部分(135)の外側表面に維持し、かつ加圧領域をフック部分の内側表面に維持することを特徴とする、タービンリング。
【請求項2】
制振装置が、板状金属により形成されることを特徴とする、請求項1に記載のリング。
【請求項3】
制振装置(50)が、セクタの前記一部分(34e)と支持体の前記一部分(31i)との間で、制振装置の全長に亘って半径方向に応力を受けることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のリング。
【請求項4】
制振装置(50)が、セクタ(32)のフック部分(34)の外側表面(34e)と支持体(31)の内側表面(31i)との間に設けられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のリング。
【請求項5】
制振装置(52)が、セクタ(32)の一部分(34e)に形成される溝(42)に少なくとも部分的に収容されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のリング。
【請求項6】
制振装置(54)が、セクタ(複数可)(32)により形成される円形の周方向の全長に沿って互いに続く、複数の部分に分割されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のリング。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の少なくとも1つのリング(30)を含む、タービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタービンエンジンのタービンリングに関し、特に、ヘリコプターのタービンエンジンのタービンリングに関する。
【0002】
このようなリングは、任意の種類のタービンエンジンに使用されて、このようなリング内に生じてしまう振動運動を抑制することができる。
【背景技術】
【0003】
従来のヘリコプターのタービンエンジンでは、高圧タービンリングは普通、リング支持体に固定される円形のセクタを備える。図2から分かるように、これらのセクタは、支持体のフックと協働するために適するフックを用いてこの目的のために設けられる。
【0004】
空気流に触れる状態で、これらのリングセクタは、応力を空気力学的な流れから受け、これらの応力は、具体的には、上流段および下流段のウェイク(伴流)により生じ、そしてこれにより、振動運動が生じてしまう。具体的には、エンジンの動作範囲では、これらのセクタは共振状態になってしまう、すなわち振動疲労による割れを生じる、または早期摩耗現象を生じてしまう。
【0005】
現在、このような振動運動を、より良好に制御することができるようにするために、1つの改善方法では、これらのセクタの特定の形状を見直すことが行なわれている。しかしながら、機械的応力および空気力学的応力が作用する場合、特定の形状の設計が複雑になる。
【0006】
実行することがより容易である別の公知の解決策では、リングを組み付けるときのクリアランスを小さくする。しかしながら、半径方向の締め付け力がこれらのセクタと支持体との間に作用することにより、機械的応力が固定用フックに加わることになり、その結果、これらのフックが、大きな度合いの塑性変形を起こし、場合によっては割れを更に進行させてしまう。更に、このような作用によって、リングを取り付ける作業が更に複雑になるので、生産コストおよびメンテナンスコストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の公知の構造に固有の不具合を少なくとも相当程度回避できるタービンリングおよびタービンエンジンが実際に必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本説明では、タービンリングが提供され、タービンリングは、略円筒形の支持体と、 円形を形成し、かつ空気流路のセグメントを画定するように構成される1つ以上のセクタであって、各セクタが支持体に取付装置を介して固定される、1つ以上のセクタと、を備え、取付装置は、支持体に属し、かつセクタに向かって突出するフック部分と、セクタに属し、かつ支持体に向かって突出するフック部分と、を備え、支持体のフック部分、およびセクタのフック部分は、セクタを支持体に固定するように協働して構成され、リングは更に、取付装置内に設けられ、かつセクタの一部分と支持体の一部分との間で半径方向に応力を受けて、セクタと支持体との間の相対運動を減衰させる制振装置を備え、制振装置は、支持体の内側表面に、そしてセクタのフック部分の外側表面に周方向に交互に接触するようになる。
【0009】
少なくとも1つの加圧領域をセクタの前記一部分を維持し、かつ少なくとも1つの加圧領域を支持体の前記一部分を維持するこの制振装置を使用することにより、セクタと支持体との間の相対運動が抑制され、より小さくなる。更に、これらの相対運動は、セクタおよび/または支持体の制振装置との摩擦により、半径方向に減衰される。この摩擦により、これらのセクタのエネルギーが放散されるので、エネルギーが蓄積されることがなくなって、これらのセクタが、作動範囲で共振を起こす危険を小さくすることができることにより、振動疲労に起因する破損を大幅に小さく抑えることができる。
【0010】
更に、制振装置は、セクタと支持体との間の相対運動を弾性的に抑制するので、セクタおよび支持体に作用する低サイクル疲労タイプの機械的応力を制限してセクタおよび支持体の寿命を延ばすのに十分な、セクタと支持体の間の半径方向クリアランスを維持することが可能である。
【0011】
制振装置によって更に、セクタを、振動を制限したいというセクタの二次的な目的から解放することができる。このような状況では、制振装置の形状を更に自由に選択することができる:制振装置の形状は従って、簡易化することができるので、コストを低減することができる、または制振装置の形状は、セクタの他の機能について更に効果的に最適化することができる。
【0012】
更に、制振装置は、セクタと支持体との間に残されることになるクリアランスに略一致する半径方向の寸法ガイドとして機能することにより、セクタを支持体に組み付ける作業を容易にすることができる:従って、セクタを制振装置に押圧して、確実にセクタが正確に位置決めされるようにすることができる。これにより、位置決め精度および再現性が向上するので、ブレードの先端におけるクリアランスの制御がより良好に行なわれるようになり、かつ不適格品の機械加工作業を減らすことができる。
【0013】
制振装置が、支持体の内側表面に、そしてセクタのフック部分の外側表面に周方向に交互に接触するようになるこのような構造によって確実に、制振装置を簡単に成形することができるが、その理由は、制振装置が、支持体の内側表面、およびセクタのフック部分の外側表面に連続的に、かつ同時に接触する必要が全くないからである。
【0014】
特定の実施形態では、制振装置は更に、セクタの一部分を支持体の一部分に押圧するように構成される。このような状況では、セクタの相対運動、および支持体の相対運動は、セクタの支持体との摩擦により減衰させることもできる。
【0015】
特定の実施形態では、支持体は、第1取付装置に類似する第2取付装置によって更に固定される;支持体には更に、第2取付装置内に設けられ、かつ第1制振装置に類似する第2制振装置が設けられる。
【0016】
特定の実施形態では、制振装置は可撓性ブレードを備える。この可撓性ブレードは、板状金属により形成される要素であることが好ましい。このような可撓性板状金属は、安価であり、成形が容易であり、そしてこのような制振に適する剛性を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタの前記一部分と支持体の前記一部分との間で、制振装置の全長に亘って半径方向に応力を受ける。このような状況では、セクタおよび支持体に加わる応力は、セクタの全長に亘って分散され、更には、制振作用がセクタ全体に亘って均一に働くことになる。
【0018】
特定の実施形態では、制振装置は、制振装置の全長に亘って、制振装置の長さに沿って分布された局所的な押込み部により略平滑になる。これらの押込み部は、具体的には、球状隆起部分により構成することができ、例えばプレス加工により形成することができる。
【0019】
他の実施形態では、装置は、波形板状金属により形成される要素を備える。
【0020】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタのフック部分の外側表面と支持体の内側表面との間に設けられる。このような構造は、組付けが容易であり、更に、この構造では、2つのフック部分が互いに対して押圧されることにより、セクタを強固に固定することができ、かつセクタの制振機能を高めることができる。
【0021】
他の実施形態では、制振装置は、支持体のフック部分の内側表面とセクタの外側表面との間に設けられる。
【0022】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタの一部分に形成される溝に少なくとも部分的に収容される。この溝により、制振装置をセクタに、制振装置を支持体に組み付ける前に取り付けることができるので、組み付け手順を容易にすることができる。更に、これにより、セクタと支持体との間の半径方向クリアランスを小さくすることができる。
【0023】
他の実施形態では、制振装置は、支持体の一部分に形成される溝に少なくとも部分的に収容される。
【0024】
特定の実施形態では、制振装置は、支持体のフック部分の遠位部分を少なくとも包み込む。制振装置は従って、所定の位置に容易に収容され、かつセクタがない状態でも、所定の位置に容易に留まる。
【0025】
特定の実施形態では、制振装置は恒久的に、第1に、少なくとも1つの加圧領域を支持体のフック部分の外側表面に維持し、かつ加圧領域をフック部分の内側表面に維持し、そして第2に、少なくとも1つの加圧領域をセクタのフック部分の内側表面に維持し、かつ/または加圧領域をセクタの外側表面に維持するように構成される。制振装置をこのようにして、フックの端部の周りに挟み付けることができるので、確実に制振装置を所定の位置に収容して静止状態に保持することができる。
【0026】
他の実施形態では、制振装置は、セクタのフック部分の遠位部分を少なくとも包み込む。
【0027】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタ(複数可)により形成されるリングの周方向の全長に沿って連続的に延在する単体要素である。しかしながら、制振装置は、装置の方位角平面に配置されるギャップで分断されるようにすることができる。
【0028】
他の実施形態では、制振装置は、複数のセクションに分割され、セクションは、セクタ(複数可)により形成される円形の周方向の全長に沿って互いに続く。
【0029】
特定の実施形態では、制振装置の1つのセクションは各セクタに結合される。
【0030】
他の実施形態では、制振装置の各セクションは、複数のセクタに結合される。
【0031】
特定の実施形態では、制振装置は更に、シール手段を支持体とセクタとの間に設けるように構成される。例えば、シール手段は編組ガスケットとすることができる。
【0032】
特定の実施形態では、制振装置は、セクタに固定されるか、または支持体に固定されるかのいずれかである。この固定は、溶接により行なわれることが好ましい。
【0033】
本説明は更に、前述のこれらの実施形態のうちのいずれかの実施形態による少なくとも1つのリングを含むタービンエンジンを提供する。
【0034】
特定の実施形態では、タービンエンジンは、ヘリコプターのターボシャフトエンジンである。前記リングは、結合タービンに、かつ/またはフリータービンに取り付けられる。
【0035】
特定の実施形態では、タービンエンジンは、航空機のターボジェットである。
【0036】
前述の特徴および利点、および他の特徴および利点は、提案されるリングおよびタービンエンジンの種々実施形態についての以下の詳細な説明を読み取ることにより明らかになる。この詳細な説明では、添付の図面を参照する。
【0037】
添付の図面は概略図であり、何よりも、本発明の原理を例示しようとしている。
【0038】
これらの図面では、図ごとに、同一である要素(または、要素の一部)は、同じ参照記号により特定される。更に、異なる実施形態に属し、かつ類似の機能を有する要素(または、要素の一部)は、これらの図中に、100,200などの所定の値だけ増加する参照番号により特定される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】ヘリコプターのターボシャフトエンジンの一例の全体図である。
図2】タービンリングの第1例の切り欠き斜視図である。
図3図2のリングの軸線方向断面図である。
図4図2のリングの変形例を示している。
図5図2のリングの別の変形例の切り欠き斜視図である。
図6A】制振装置の変形例を示している。
図6B図6Aの制振装置を備えた図2のリングの半径方向断面図である。
図7A】制振装置の別の変形例を示している。
図7B図7Aの制振装置を備えた図2のリングの半径方向断面図である。
図8A】リングの第2の実施形態の軸線方向断面図である。
図8B図8Aのリングの変形例の軸線方向断面図である。
図8C図8Aのリングの変形例の軸線方向断面図である。
図9】リングの第3の実施形態の軸線方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を更に具体的にするために、タービンリングの例示的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0041】
図1は、タービンエンジン10、詳細にはヘリコプターのターボシャフトエンジンを示している。従来の如く、ターボシャフトエンジン10は、圧縮機11と、ガス発生装置12と、互いに結合され、かつ高圧タービンおよび低圧タービンとも表記されるフリータービン13および14と、を備え、フリータービン13および14は、燃焼室12から流出する燃焼ガス流によって回転駆動される。フリータービン14は、シャフト15の両側端部のうちの一方の端部に固定されるタービンホイール14aを備える。シャフト15の他方の端部は、中間歯車17と噛合する一次歯車16を有する。中間歯車17は出力歯車18と噛合する。中間歯車17および出力歯車18は、タービンエンジン10の減速ギアボックスの一部を形成する歯車である。出力歯車18は、出力シャフト19に結合されてヘリコプター(図示せず)のメインギアボックスに結合される。結合されるタービン13は、圧縮機11に駆動シャフト20を介して結合されるタービンホイール13aを有する。結合されるタービン13には更に、タービンリング30が取り付けられ、このタービンリング30は、空気流路を形成し、かつタービンホイール13aのブレードに対向している。
【0042】
図2は、このようなタービンリング30の第1の実施形態を示している。タービンリング30は、タービン13のケーシングの一体化部分を形成する略円筒形のリング支持体31と、リング支持体31に固定されてタービン13内を通過する空気流路を形成する円形のリングセクタ32と、を備える。
【0043】
図3から更に明確に分かるように、各リングセクタ32は、リング支持体31に、取付装置33aおよび33bを使用することにより固定される。各取付装置33a、33bでは、セクタ32のフック34が、支持体31に向かって延びて、リングセクタ32に向かって延びている支持体31のフック35と協働する。セクタ32のこれらのフック34の各々は従って、半径方向部分34aおよび接線方向部分34bを有し、これらの部分が一体となって、各セクタ32の全長に沿って連続して延びている。支持体31の各フック35もまた、半径方向部分35aおよび接線方向部分35bを有し、これらの部分が一体となって、支持体31の内周の全長に沿って連続的に内周に延設されている。
【0044】
この第1の実施形態では、セクタ32のこれらのフック34には、フック34の外側表面34eから、フック34の半径方向部分34aに少なくとも部分的に直線状に並んで突出するそれぞれのリブ41が設けられる。このリブ41は、フック34の外側表面34eと支持体31の内側表面31iとの間の半径方向のクリアランスとなって、制振装置50を所定の位置に格納することができる。
【0045】
制振装置50は、好ましくは板状金属から形成される可撓性ブレードであり、この軸線方向断面で見たときに略V字状となる:この断面形状は、制振装置50の全長に沿って略一定である。制振装置50は従って、セクタ32のフック34の外側表面34eと支持体31の内側表面31iとの間で応力を受けて、第1に、圧力がフック34に制振装置の中心領域を介して作用し、かつ第2に、圧力が支持体31に制振装置の2つの端部を介して作用するようになる。
【0046】
この制振装置50の剛性は、制振装置の厚さ、長さを調整することにより、広義には形状を調整することにより調整することができる。具体的には、この例では、制振装置は、約0.2ミリメートル(mm)の厚さを有する板状金属を用いて形成される。制振装置の材料は、所望の剛性に応じて選択することもできる。詳細には、板状金属はInconel(インコネル)718により形成することができる。
【0047】
図2から分かるように、この例では、各取付装置33a、33bの制振装置50は、ギャップを制振装置50の方位角平面に配置して制振装置をタービン13内の所定の位置に収納し易くしていることを除き、リング支持体31の全長に沿って連続して延設される単体要素である。しかしながら、他の例では、制振装置は、ギャップを取り入れることなくリング支持体の全長に沿って連続させることができる。
【0048】
この第1の実施形態の多数の変形例が適用可能である。例えば、図4の変形例では、溝42が、リングセクタ32のフック34の外側表面34eに形成される。このような溝42は、制振装置52を収容するように機能する。しかしながら、溝42の深さは、制振装置52の高さよりも浅いので、制振装置52がフック34の外側表面34eを超えて飛び出す:制振装置52は従って、支持体31とセクタ32のフック34との間で応力を受ける。
【0049】
更に、図4は、制振装置52を、図3の制振装置50の姿勢とは反対に上向きの姿勢で取り付けることが一般的に可能であることを示している。このような状況の下では、制振装置52から圧力が支持体31の内側表面31iに、制振装置の中心領域を介して加わるのに対し、圧力はセクタ32のフック34に、制振装置の2つの端部を介して加わる。
【0050】
図5は、リング30の第1の実施形態の別の変形例を示している。この変形例では、制振装置54は単体要素ではなく、複数セクタにより構成される:詳細には、制振装置54の分割は、リングセクタ32の分割に対応して、分割制振部54が各セクタ32に結合されるように設計される。しかしながら、制振装置54は当然、他の或る方法で分割することができる。
【0051】
図6Aおよび図6Bは、タービンリング30の第1の実施形態の別の変形例を示している。図3の実施形態とは異なり、制振装置56は、制振装置の全長に亘って成形されてはいない。この変形例では、制振装置56は、好ましくは板状金属により形成される可撓性ブレードであり、可撓性ブレードは、押込み部57が、ブレードの平滑表面に規則的に形成されていることを除き、ブレードの全長に亘って略平滑である。図6Bから分かるように、制振装置56は、制振装置の外側表面が、リング支持体31の内側表面31iを押圧するのに対し、これらの押込み部57の内側端部は、リングセクタ32のフック33の外側表面33eを押圧して、制振装置56が、支持体31の内側表面31iに、そしてリングセクタ32のフック33の外側表面33eに周方向に交互に接触するように構成される。
【0052】
図7Aおよび図7Bは、タービンリング30の第1の実施形態の最後の変形例を示している。この変形例では、制振装置58は、起伏によって制振装置58を支持体31の内側表面31i、およびリングセクタ32のフック33の外側表面34eに制振装置の周方向に沿って交互に接触させることができる構成の波形板材である。
【0053】
図8Aは、タービンリング130の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態では、制振装置160は、好ましくは板状金属により形成される可撓性ブレードであり、この可撓性ブレードは、この軸線方向断面で見たときに略U字状であり、支持体131のフック135の遠位部分の周りと協働する、すなわちフック135の接線方向部分135bの端部で協働する。制振装置160は従って、フック135の遠位面に押圧される平面部分161を有し、平面部分161から制振装置160の2つの分岐部が延びている。第1部分162では、2つの分岐部は、互いに向かって延びて、フック135の遠位部分を締め付け、その後、第2部分163では、2つの分岐部は、互いに離れて延びて、第1に、フック134の接線方向部分134bの内側表面134iを押圧し、そして第2に、リングセクタ132の外側表面132eを押圧する。この例では、制振装置160の2つの分岐部は対称である。
【0054】
図8Bは、タービンリング130の第2の実施形態の変形例を示している。この変形例では、異なる剛性を実現するために、制振装置160の内側分岐部は、制振装置の外側分岐部よりも長くなっている。従って、内側分岐部の第2部分163は、リングセクタ132の外側表面132eを図8Aの変形例におけるよりも更に下流側で押圧する。
【0055】
図8Cは、タービンリング130の第2の実施形態の別の変形例を示している。この変形例では、制振装置160の内側分岐部は、フック135の内側表面135iを押圧する第1傾斜部分162を有するが、リングセクタ132の外側表面132eを押圧する第2部分を有していない。
【0056】
図9は、タービンリング230の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態では、制振装置260は、好ましくは板状金属により形成される可撓性ブレードであり、この可撓性ブレードは、この軸線方向断面で見たときに略L字状であり、リングセクタ232のフック234の遠位部分の周りと協働する。制振装置260は、リング支持体231のフック235の半径方向部分235aに押圧される平面部分261を有し、この場合、略接線方向の分岐部が半径方向部分235aから突出している。第1部分262では、この分岐部は内側に向かって延びて、セクタ232のフック234の外側表面234eを押圧し、次に第2部分263では、この分岐部は外側に向かって延びて、支持体231の内側表面231iを押圧するようになっている。最後に、この分岐部を半径方向内側に折り返して、フック234の外側表面234iを直角に押圧するようにしている。セクタ232のフック部分234はこのようにして、支持体231のフック部分235に押圧される。
【0057】
本説明において記載されるこれらの実施形態は、非限定的な例として与えられ、この技術分野の当業者であれば、本説明に鑑みて、本発明の範囲から逸脱しない範囲で容易にこれらの実施形態を変更するか、または他の構成を想到することができるであろう。
【0058】
具体的には、記載されるこれらの実施形態の全ては、タービンエンジンの結合タービンに関するものであるが、本教示は、フリータービンに適用することもできる。同様に、本教示は、航空機のターボジェットの分野に直接言い換えることができる。
【0059】
更に、これらの実施形態の種々特徴は、これらの特徴そのままで使用することができる、または互いに組み合わせて使用することができる。これらの特徴を組み合わせる場合、これらの特徴は、前述の通りに、または他の方法で組み合わせることができるので、本発明は、本説明において記載される特定の組み合わせに限定されない。具体的には、逆のことが指示されていない限り、いずれか1つの実施形態について記載される特徴は、類似の方法で、他のいずれかの実施形態に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9