特許第6453276号(P6453276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453276
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20190107BHJP
   B65G 57/32 20060101ALI20190107BHJP
   B65G 19/22 20060101ALI20190107BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20190107BHJP
   B65B 35/50 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   B65G47/30 E
   B65G57/32
   B65G19/22 C
   B65G47/82 C
   B65B35/50
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-134225(P2016-134225)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-2443(P2018-2443A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勲
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−46813(JP,U)
【文献】 実開昭63−17124(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0084247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22 − 47/32
B65G 57/00 − 57/32
B65B 35/00 − 35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を不規則な搬送間隔で搬送する第1コンベヤの搬送路と該物品を所定間隔で包装機等の処理機に向けて搬送する第2コンベヤの搬送路の間で搬送路を構成する物品載置部と、該物品載置部に亘って該物品載置部に載置された物品を押送し得る押送体を複数有した押送手段を備えた搬送装置であって、
前記物品載置部は、
前記第1コンベヤと前記第2コンベヤに接続される下段物品載置部と、
該下段物品載置部に載置される前記物品の高さより上方の位置で該物品を載置し得る載置部を有すると共に該載置部に前記押送体が通過し得る幅の溝部を有する上段物品載置部と、
前記下段物品載置部の一部として設けられ、前記第1コンベヤから順次受け取った各物品を前記下段物品載置部と前記上段物品載置部へ交互に振り分ける振分手段と、
前記上段物品載置部より下流側に前記下段物品載置部の一部として設けられており、前記押送体で押された物品を上下に重ねた段積品にして搬送方向に沿って複数載置し得る貯留部を備えており、
前記押送手段は、
磁界を発する固定子が設けられた周回走行路と、
該周回走行路に複数配設されており、前記固定子が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路を各々が互いに独立して一方向に縦回りで循環走行する走行体と、
前記走行体に配設された前記押送体が前記振分手段と連携して前記上段物品載置部における載置部又は該載置部の直下にある前記下段物品載置部の何れか一方へ前記物品を押送する際に、該物品に対して該押送体を上下方向に退避して該物品を残した状態で前記貯留部に向けて前進する押送解除手段と、
前記第1コンベヤから搬出される物品ごとに得られる該物品の位置に関する情報に基づき、前記第1コンベヤから先に到来する物品に対応付けられた前記複数の走行体の一つである先行の走行体が前記押送解除手段によって該物品を残した後に、該残された物品の次に到来する物品に対応付けられた後続の走行体が該次に到来する物品を押送しながら前記残された物品と上下に重ねた段積品にして前記貯留部に移送する段積移送手段と、
前記貯留部に到来している複数の走行体が、前記処理機で設定された単位時間当たりの物品処理数に対応した前記第2コンベヤにおける前記段積品の搬送間隔になるよう、前記貯留部における最下流側にいる走行体から順次移動して、前記段積品を前記第2コンベヤの前記搬送路に送り出す送出手段を備えている搬送装置。
【請求項2】
前記走行体は、前記押送体を回動可能に支持する第1走行部と、該第1走行部の後方に設けられると共に該押送体と回動可能に連結された連結体に対して回動可能に連結された第2走行部を備え、
前記周回走行路は、前記物品載置部の搬送路に沿う直線状の走行路と該直線状の走行路に接続された曲線状の走行路を備えており、前記段積品を押送しながら前記直線状の走行路を走行している前記走行体が前記貯留部又は前記第2コンベヤにおける前記搬送路の上方又は下方の何れかに配設された前記曲線状の走行路を走行し始める際に、
前記第1走行部に対する前記第2走行部の移動を遅くして前記段積品を押送している前記押送体の先端部を後方に倒して、該押送体を該段積品から離間させながら前記曲線状の走行路を走行させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記周回走行路は、前記物品載置部の搬送路に沿う直線状の走行路と該直線状の走行路に接続された曲線状の走行路を備えており、前記段積品を押送しながら前記直線状の走行路を走行している前記走行体が前記貯留部又は前記第2コンベヤにおける前記搬送路の上方又は下方の何れかに配設された前記曲線状の走行路を走行し始める際に、
前記段積品を押送する前記走行体は、走行を一時的に停止した状態で前記第2コンベヤによる走行によって前記段積品を前記押送体から前方に離間させた後、前進するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記走行体は、前記周回走行路を走行する走行部と、該走行部に対して前記周回走行路の内周側に向けて移動可能に支持された押送体と、該押送体の側方に設けられた係合部と、を備えており、
前記周回走行路は、前記物品載置部の搬送路に沿う直線状の走行路と該直線状の走行路に接続された曲線状の走行路と、前記第2コンベヤにおける前記搬送路の上方又は下方の何れかに離れた位置に設けられていると共に該位置に到来した前記押送体における前記係合部に係合する被係合部を備えており、
前記走行体は、前記段積品を押送しながら前記直線状の走行路を走行し、前記第2コンベヤにおける搬送路から上下方向に離間して配設された前記曲線状の走行路を走行し始める際に、前記係合部と前記被係合部との係合により前記押送体が前記段積品を前方に押し出すことなく、前記内周側に移動するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を段積みして搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装機等に向けて搬送されている物品の上方に、後続の物品を載置して搬送する搬送装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1には、チェーンなどに一定の間隔で配設された押送体を下方から搬送路に向けて突出させて、製品を一定の間隔で押送する過程で、上下に2段に分岐した搬送路に交互に物品を振分けてから、上段の搬送路の物品を下段の搬送路の物品に載置して段積品にして搬送する搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−17124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の搬送装置では、物品が不規則な搬送間隔で搬送されてくる際に、次の物品が搬送装置に到来するまで搬送装置における押送体を全て一時停止させなければならない。そのため、上述の搬送装置では、段積品をその下流側に配設された包装機等に向けて一定の搬送間隔で送出することが困難であった。
【0005】
本発明は、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を受け入れて段積みして一定の搬送間隔で送出することが可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、物品(P)を不規則な搬送間隔で搬送する第1コンベヤ(10)の搬送路と該物品(P)を所定間隔で包装機等の処理機に向けて搬送する第2コンベヤ(20)の搬送路(22)の間で搬送路(113)を構成する物品載置部(110)と、該物品載置部(110)に亘って該物品載置部(110)に載置された物品(P)を押送し得る押送体(134)を複数有した押送手段(120)を備えた搬送装置であって、前記物品載置部(110)は、前記第1コンベヤ(10)と前記第2コンベヤ(20)に接続される下段物品載置部(112)と、該下段物品載置部(112)に載置される前記物品(P)の高さより上方の位置で該物品(P)を載置し得る載置部(115)を有すると共に該載置部(115)に前記押送体(134)が通過し得る幅の溝部(114B)を有する上段物品載置部(114)と、前記下段物品載置部(112)の一部として設けられ、前記第1コンベヤ(10)から順次受け取った各物品(P)を前記下段物品載置部(112)と前記上段物品載置部(114)へ交互に振り分ける振分手段(116)と、前記上段物品載置部(114)より下流側に前記下段物品載置部(112)の一部として設けられており、前記押送体(134)で押された物品(P)を上下に重ねた段積品(W)にして搬送方向に沿って複数載置し得る貯留部(118)を備えており、前記押送手段(120)は、磁界を発する固定子(125)が設けられた周回走行路(122)と、該周回走行路(122)に複数配設されており、前記固定子(125)が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路(122)を各々が互いに独立して一方向に縦回りで循環走行する走行体(130)と、前記走行体(130)に配設された前記押送体(134)が前記振分手段(116)と連携して前記上段物品載置部(114)における載置部(115)又は該載置部(115)の直下にある前記下段物品載置部(112)の何れか一方へ前記物品(P)を押送する際に、該物品(P)に対して該押送体(134)を上下方向に退避して該物品(P)を残した状態で前記貯留部(118)に向けて前進する押送解除手段と、前記第1コンベヤ(10)から搬出される物品(P)ごとに得られる該物品(P)の位置に関する情報に基づき、前記第1コンベヤ(10)から先に到来する物品(P)に対応付けられた前記複数の走行体(130)の一つである先行の走行体(130)が前記押送解除手段によって該物品(P)を残した後に、該残された物品(P)の次に到来する物品(P)に対応付けられた後続の走行体(130)が該次に到来する物品(P)を押送しながら前記残された物品(P)と上下に重ねた段積品(W)にして前記貯留部(118)に移送する段積移送手段と、前記貯留部(118)に到来している複数の走行体(130)が、前記処理機で設定された単位時間当たりの物品処理数に対応した前記第2コンベヤ(20)における前記段積品(W)の搬送間隔になるよう、前記貯留部(118)における最下流側にいる走行体(130)から順次移動して、前記段積品(W)を前記第2コンベヤ(20)の前記搬送路(22)に送り出す送出手段を備えている。
【0007】
この請求項1に係る発明によれば、押送手段(120)は、走行体(130)が周回走行路(122)を各々が互いに独立して一方向に循環走行するため、走行体(130)に配設された押送体(134)によって、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品(P)をそれぞれ受け入れることができる。また、押送手段(120)は、押送解除手段と段積移送手段によって物品(P)を上下に重ねた段積品(W)として貯留部(118)に移送し、送出手段によって処理機で設定された単位時間当たりの物品処理数に対応した第2コンベヤ(20)の搬送路(22)における段積品(W)の搬送間隔になるよう、貯留部(118)における最下流側にいる走行体(130)から順次移動して、段積品(W)を搬送路(22)に送り出す。これにより、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品(P)を受け入れて段積みして一定の搬送間隔で送出することが可能な搬送装置を提供することができる。
【0008】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記走行体(130)は、前記押送体(134)を回動可能に支持する第1走行部(131)と、該第1走行部(131)の後方に設けられると共に該押送体(134)と回動可能に連結された連結体(138)に対して回動可能に連結された第2走行部(132)を備え、前記周回走行路(122)は、前記物品載置部(110)の搬送路(113)に沿う直線状の走行路(126)と該直線状の走行路(126)に接続された曲線状の走行路(128)を備えており、前記段積品(W)を押送しながら前記直線状の走行路(126)を走行している前記走行体(130)が前記貯留部(118)又は前記第2コンベヤ(20)における前記搬送路(22)の上方又は下方の何れかに配設された前記曲線状の走行路(128)を走行し始める際に、前記第1走行部(131)に対する前記第2走行部(132)の移動を遅くして前記段積品(W)を押送している前記押送体(134)の先端部(136)を後方に倒して、該押送体(134)を該段積品(W)から離間させながら前記曲線状の走行路(128)を走行させることを特徴とする。
【0009】
この請求項2に係る発明によれば、走行体(130)は、段積品(W)を押送しながら直線状の走行路(126)を走行している走行体(130)が貯留部(118)又は第2コンベヤ(20)における搬送路(22)の上方又は下方の何れかに配設された曲線状の走行路(128)を走行し始める際に、第1走行部(131)に対する第2走行部(132)の移動を遅くして連結体(138)を介して段積品(W)を押送している押送体(134)の先端部(136)を後方に倒して、押送体(134)を段積品(W)から離間させながら曲線状の走行路(128)を走行させる。そのため、押送体(134)が、第2コンベヤ(20)の搬送路(22)に段積品(W)を送出した後に段積品(W)と接触して段積品(W)の位置を前方にずらしたり、上側の物品(P)の姿勢を乱したりすることを防ぎ得る。
【0010】
次に、請求項1に従属する請求項3に係る発明は、前記周回走行路(122)は、前記物品載置部(110)の搬送路(113)に沿う直線状の走行路(126)と該直線状の走行路(126)に接続された曲線状の走行路(128)を備えており、前記段積品(W)を押送しながら前記直線状の走行路(126)を走行している前記走行体(230)が前記貯留部(118)又は前記第2コンベヤ(20)における前記搬送路(22)の上方又は下方の何れかに配設された前記曲線状の走行路(128)を走行し始める際に、前記段積品(W)を押送する前記走行体(230)は、走行を一時的に停止した状態で前記第2コンベヤ(20)による走行によって前記段積品(W)を前記押送体(234)から前方に離間させた後、前進するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
この請求項3に係る発明によれば、段積品(W)を押送する走行体(230)は、走行を一時的に停止した状態で前記第2コンベヤ(20)による走行によって前記段積品(W)を前記押送体(234)から前方に離間させた後、前進する構成をとることにより段積品(W)と接触して、段積品(W)の位置を前方にずらしたり、上側の物品(P)の姿勢を乱したりすることを防ぎ得る。
【0012】
次に、請求項1に従属する請求項4に係る発明は、前記走行体(330)は、前記周回走行路(122)を走行する走行部(331)と、該走行部(331)に対して前記周回走行路(122)の内周側に向けて移動可能に支持された押送体(334)と、該押送体(334)の側方に設けられた係合部(335)と、を備えており、前記周回走行路(122)は、前記物品載置部(110)の搬送路(113)に沿う直線状の走行路(126)と該直線状の走行路(126)に接続された曲線状の走行路(128)と、前記第2コンベヤ(20)における前記搬送路(22)の上方又は下方の何れかに離れた位置に設けられていると共に該位置に到来した前記押送体(334)における前記係合部(335)に係合する被係合部(342)を備えており、前記走行体(330)は、前記段積品(W)を押送しながら前記直線状の走行路(126)を走行し、前記第2コンベヤ(20)における搬送路(22)から上下方向に離間して配設された前記曲線状の走行路(128)を走行し始める際に、前記係合部(335)と前記被係合部(342)との係合により前記押送体(334)が前記段積品(W)を前方に押し出すことなく、前記内周側に移動するよう構成したことを特徴とする。
【0013】
この請求項4に係る発明によれば、押送体(334)の側方に設けた係合部(335)が周回走行路(122)の被係合部(342)に係合することで、押送体(334)の先端部(336)が段積品(W)を前方に押し出すことなく、周回走行路(122)の内周側に向けて押送体(334)を移動させ段積品(W)の位置がずれたり、上側の物品(P)の姿勢が乱れたりすることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を受け入れて段積みして一定の搬送間隔で送出することが可能な搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る搬送装置の全体を示した正面図である。
図2図1のIIA、IIB部を拡大した図であり、(A)は、実施形態1に係る押送体が物品を上段ベッドの直下に残して移動する工程を示した図であり、(B)は、押送体が次の物品を上段ベッドに押送した後、先行の物品の上に重ねて貯留部に移動する工程を示した図である。
図3図1のIII部を拡大した図であり、走行体に配設された押送体が第2コンベヤに物品を送出する際に、押送体の先端部を後方に倒す工程を示した図である。
図4】実施形態2に係る搬送装置の全体を示した正面図である。
図5図4のVA、VB部を拡大した図であり、(A)は、実施形態2に係る押送体が物品を上段ベッドへ押送する工程を示した図であり、(B)は、押送体によって押送される物品の上に上段ベッドに載置された物品を上下に重ねて貯留部に移動する工程を示した図である。
図6図4のVI部を拡大した図であり、走行体に配設された押送体が、第2コンベヤ上で一時的に停止した後、前進する工程を示した図である。
図7】実施形態3に係る搬送装置の全体を示した正面図である。
図8図7のVIIIA、VIIIB部を拡大した図であり、(A)は、実施形態3に係る押送体が物品を上段ベッドへ押送する工程を示した図であり、(B)は、押送体によって押送される物品の上に上段ベッドに載置された物品を上下に重ねて貯留部に移動する工程を示した図である。
図9図7のIX部を拡大した図であり、走行体に配設された押送体が、第2コンベヤに送出された物品に接触しない位置まで退避する工程を示した図である。
図10図8のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の搬送装置における実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1コンベヤ10と、第2コンベヤ20との間に搬送装置としての搬送ベッド110とその上方にオーバーヘッド式のコンベヤ120が配設されている。
【0018】
第1コンベヤ10は、物品Pをベルトからなる搬送面に載置して搬送する搬送路12を備えており、この搬送面に搬送方向における前後不定間隔(ランダム)に載置した物品Pを、一定の速度で送出する装置である。この第1コンベヤ10の搬送路12における終端部14は、物品Pが押送される搬送路113を構成する物品載置部としての搬送ベッド110に接続されている。また、第1コンベヤ10の終端部14近傍であって搬送方向に交差する幅方向における側方には、第1コンベヤ10の搬送路12の終端部14に到来した物品Pを検知する光電センサなどからなる物品検知手段16が配設されている。
【0019】
第2コンベヤ20は、物品Pをベルトからなる搬送面に載置して搬送する搬送路22を備えており、横形製袋充填機(処理機)における供給コンベヤとして機能し、搬送装置から受け取った物品Pを一定速度で搬送する。この第2コンベヤ20の搬送路22における始端部24は、搬送ベッド110に接続されている。
【0020】
図示を省略するが、横形製袋充填機(処理機)は、フィルム供給源としての原反ロールから引出した帯状のフィルムをフィルム成形手段でそのフィルムの両端縁を重合して筒状に成形する際に、その成形中のフィルムに供給コンベヤ(第2コンベヤ20)から物品Pを所定間隔ごとに供給し、フィルム送り方向に沿って重合したフィルムの重合部に縦シールを施すと共にフィルム送り方向に交差する左右方向に沿って横シールを施して、包装品を得る周知の包装機である。これらフィルム送り、縦シール、横シール、物品供給などの包装動作等に関する制御を行う横形製袋充填機の制御部には、単位時間当たりの包装処理数を設定し得るようになっており、その設定に基づき各包装動作の制御がなされる。
【0021】
搬送装置は、平坦な搬送面を有した搬送ベッド110と、その上方において、搬送ベッド110に載置された物品Pを押送し得る押送体134を複数有したオーバーヘッド式のコンベヤ120と、物品検知手段16と、その物品検知手段16による物品Pの検知情報などに基づき各押送体134の走行および後述する可動式ベッド116による振分動作の指令を司る制御部(不図示)を備えている。
【0022】
搬送ベッド110は、物品Pを直線的に搬送する平坦な搬送面を有した下段物品載置部としての下段ベッド112と、下段ベッド112から物品Pの高さより高い上方位置に離間するよう設けられた上段物品載置部としての上段ベッド114を有しており、下段ベッド112の一部としてシリンダ等の駆動源からの駆動力によって回動する可動式ベッド116を有する。上段ベッド114より搬送方向における下流側の下段ベッド112上には、押送体134で押された物品Pをそれぞれ段積状態で搬送方向に沿って複数載置し得る貯留部118が構成される。
【0023】
上段ベッド114は、搬送方向において下段ベッド112の中間位置に設けられており、上段ベッド114の上面は、物品Pを載置し得る載置部115として構成される。また、上段ベッド114は搬送方向に交差する幅方向における中央部に、物品Pの幅より狭く、後述する押送体134の幅より広い幅の溝部114B(図10参照)が搬送方向に沿って形成されている。
【0024】
下段ベッド112は、上流ベッド112aと、下流ベッド112bとエアシリンダ等の駆動源からの駆動力によって回動する可動式ベッド116によって構成されている。可動式ベッド116は、搬送装置の制御部からの指令によって、第1コンベヤ10から順次受け取った各物品Pを下段ベッド112と上段ベッド114へ交互に振り分ける振分手段の一部として機能するものであり、搬送方向上流側の端部116aを中心に、搬送方向下流側の端部を上下に移動するように回動可能に構成されており、シリンダ等の駆動源によって上流ベッド112aと下流ベッド112bと可動式ベッド116が面一になるよう搬送方向に沿った水平姿勢と、上流ベッド112aの終端と上段ベッド114の始端114aを架け渡す傾斜姿勢とに回動切換え可能に構成される。係るシリンダ等の駆動源への作動指令は、後述する搬送装置における制御部(不図示)が、第1コンベヤ10から受け取った物品Pを押送する走行体130の位置に関する情報に基づいて行われる。可動式ベッド116が傾斜姿勢になった際に押送体134が可動式ベッド116を通過しうるように、可動式ベッド116には、搬送方向に交差する幅方向における中央部に、物品Pの幅より狭く、後述する押送体134の幅より広い幅の溝部(不図示)が搬送方向に沿って形成されている。また、上段ベッド114についても可動式ベッド116と同様に搬送方向に交差する幅方向における中央部に物品Pの幅より狭く、後述する押送体134の幅より広い幅の溝部(不図示)が搬送方向に沿って形成されている。
【0025】
オーバーヘッド式のコンベヤ120は、本体枠124と、この本体枠124の上下に対向離間して配設された一対の直線状の走行レール126と、上下の直線状の走行レール126の両端部をそれぞれ接続する一対の曲線状の走行レール128と、を有しており、これら上下の直線状の走行レール126の夫々と曲線状の走行レール128の夫々により縦向きの周回走行路122が構成される。
【0026】
周回走行路122上には、複数の走行体130がリニアモータにより得た推力で互いに独立して、一方向に循環走行し得るように配設されている。リニアモータは、周回走行路22の全域に亘って磁界を発生する固定子としてのコイル125が周回走行路122に沿って配設され、可動子として永久磁石(不図示)が各走行体130に固定され、搬送装置における制御部による指令に基づきコイル125への電流供給が制御されることで固定子が発する磁界によって推力を発生させるものである。
【0027】
各走行体130は、それぞれ推進力を生み出すことが可能な第1走行部131と、第1走行部131の走行方向における後方側に第2走行部132を有している。第1走行部131と第2走行部132は、それぞれ本体部133と、永久磁石による可動子(不図示)と、RF(Radio Frequency)タグ(不図示)とを有する。本体部133は、上述の一対の直線状の走行レール126及び曲線状の走行レール128に摺動可能に嵌合される。これにより、下側の直線状の走行レール126上を移動する走行体130は、押送体134を下方に向けて垂下させた状態で移動する際にも脱落することなく移動可能となる。また、本体部133の内部には、一対の直線状の走行レール126及び曲線状の走行レール128に沿った固定子に対向する位置に可動子として永久磁石が固定される。これにより、固定子としてのコイル125に電流供給が制御されて、係るコイル125に生じる磁束と可動子としての永久磁石の磁束との相互作用によって推力が発生し、走行体130が一対の直線状の走行レール126及び曲線状の走行レールからなる周回走行路122に沿って移動可能となる。また、本体部133は、RFタグが配設されている。RFタグは、各走行体130の固有情報(各走行体130の識別データや、固有の移動誤差情報)などが記憶されている。第1走行部131の本体部133には、棒状の押送体134が搬送方向に回動可能に配設されている。各押送体134は、第2走行部132の本体部133に回動可能に連結されたリンク138(連結体)に対して回動可能に連結されており、上流ベッド112aや下流ベッド112bなどの搬送路を走行する際には、通常は上流ベッド112a、下流ベッド112bの搬送面に対し垂直になるように指示される。
【0028】
本体枠124には、周回走行路122に沿って各走行体130の位置や固有情報を検出する各種のセンサが配設されている。搬送装置における制御部は、これらセンサからの各走行体130の位置などに関する情報と、物品検知手段16による物品検知情報と、第1コンベヤに付設されたエンコーダ(不図示)により得られた物品Pが搬送装置に到来する情報と、横形製袋充填機の制御部から得た包装機に関する情報に基づき、各走行体130の移動量や移動速度など移載に関する指令情報を生成し、コイル125への電流供給に関する指令を行う。なお、ここでいう、包装動作に関する情報には、単位時間当りの包装数や、包装長さなど予め包装機の制御部にオペレータによって登録された登録情報から求められた第2コンベヤ20の物品Pの搬送間隔や搬送速度や、第2コンベヤ20の供給(搬送)タイミングに関する情報や、包装機の作動情報が含まれる。
【0029】
次に、搬送装置の動きについて説明する。図1に示すように、各走行体130は、物品検知手段16により得られた物品検知情報と、第1コンベヤ10に付設されたエンコーダ(不図示)により得られた物品Pの送り量に関する情報に基づく搬送装置における制御部からの指令によって、第1コンベヤ10から搬送ベッド110に物品Pが送り出されるタイミングに合わせて、その物品Pの後方に、待機位置(搬送路113に進入する直前の曲線状の走行レール128上)に待機している先頭の走行体130を移動させると共に、待機位置にいる後続の走行体130を夫々、1つ先行の走行体130の位置に前進させる制御がなされる。
【0030】
図2(A)に示すように、搬送装置における制御部は、シリンダ等の駆動源へ作動指令を出力して可動式ベッド116を下流ベッド112bと接続するように回動させる。走行体130は、第1コンベヤ10から搬送ベッド110に送り出された物品Pを水平姿勢になっている可動式ベッド116を経由して上段ベッド114の直下にある下流ベッド112bまで押送すると、第1走行部131に対する第2走行部132の移動速度を遅くして両者の前後間隔を拡げて、押送体134の先端部136を搬送方向における後方に倒すことによって、上段ベッド114の直下における下流ベッド112b上に物品Pを残した状態で前進走行した後、第2走行部132の移動速度を回復させて第1走行部131と第2走行部132の間隔を元に戻して、その押送体134を下段ベッド112に対して直立状態に復帰させ、後述する貯留部118に向けて前進する。ここで、物品Pに対して押送体134の先端部136を上下方向に退避して物品Pを残した状態で貯留部118に向けて前進する態様が、本発明の「押送解除手段」に相当する。
【0031】
図2(B)に示すように、搬送装置における制御部は、上段ベッド114の直下における下流ベッド112bに物品Pを残して前進走行した後に、一つ後続(次)の物品Pが一つ後続(次)の走行体130によって可動式ベッド116に到来するまでにシリンダ等の駆動源へ作動指令を出力して可動式ベッド116を上段ベッド114と接続した傾斜姿勢となるように回動させる。ここで、走行体130が第1コンベヤ10から順次受け取った各物品Pを可動式ベッド116の回動動作を順次繰り返しによって下段ベッド112と上段ベッド114へ交互に振り分ける態様が本発明の「振分手段」に相当する。
【0032】
次に、一つ後続の走行体130は、物品検知手段16により得られた物品検知情報、制御部からの指令に基づいて、次に上流ベッド112aに到来する一つ後続の物品Pを後方側から押送し得るように搬送路113に向けて移動する。一つ後続の走行体130における押送体134が、上流ベッド112aに載り移る位置にいる物品Pを押送しながら、傾斜姿勢の可動式ベッド116の幅方向における中央部に設けられた溝部(不図示)を通過して、上段ベッド114の幅方向における中央部に設けられた溝部(不図示)の間を通る際に、下流ベッド112b上に置かれている先行の物品Pも押送する。そしてその押送体134が上段ベッド114を通り抜けた際には、後続の物品Pが下流ベッド112b上の先行の物品P上に落下して載った状態の段積品Wにして貯留部118へ押送される。係る両物品Pを上下に重ねた段積品Wにして貯留部118に移送する態様が本発明における「段積移送手段」に相当する。
【0033】
図1に示すように、搬送装置における貯留部118は、物品Pが不定間隔で第1コンベヤ10から搬送されてきても横形製袋充填機において予め設定された単位時間当たりの包装数に対応して一定の搬送間隔で第2コンベヤ20に段積品Wを送り出し得るように、上段ベッド114より搬送方向における下流側の下流ベッド112b上に所定包装数分に相当する段積品Wを貯留させるために機能する。貯留部118に到来している複数の走行体130は、横形製袋充填機(処理機)で設定された単位時間当たりの物品処理数に対応した第2コンベヤ20によって構成された搬送路22における段積品Wの搬送間隔になるよう、貯留部118における最下流側にいる走行体130から第2コンベヤ20の搬送速度と同じ速度で順次移動して、段積品Wを一定の速度で連続搬送する第2コンベヤ20の搬送路22に送り出す。この、貯留部118に到来している走行体130が順次移動して横形製袋充填機(処理機)で設定された単位時間当たりの包装数に対応した一定の搬送間隔で物品Pを第2コンベヤ20の搬送路22に送り出す態様が本発明における「送出手段」に相当する。
【0034】
走行体130における押送体134による押送によって貯留部118に置かれた段積品Wのうち最下流位置にある段積品Wを第2コンベヤ20に送り出すと、最下流位置にあった段積品Wの位置に、貯留部118に置かれた残りの段積品Wのうち最下流位置にある段積品Wが位置するように、貯留部118に置かれた残りの段積品W全体を第2コンベヤ20の搬送速度と同じ速度でシフトさせる制御が繰り返しなされる。
【0035】
図3に示すように、最下流位置にある段積品Wを押送しながら直線状の走行レール126を走行している走行体130が第2コンベヤ20における搬送路22の上方に配設された曲線状の走行レール128を走行し始める際に、第1走行部131に対する第2走行部132の移動を遅くして段積品Wを押送している押送体134の先端部136を後方に倒して、押送体134を段積品Wから離間させながら曲線状の走行レール128を走行させる。搬送装置の周回走行路122における曲線状の走行レール128に進入を開始した走行体130は、押送体134の先端部136が段積品Wに接触しない動きとなり、先端部136が第2コンベヤ20の搬送面から上方に離れる距離が段積品Wの高さを超えるまで押送体134が直立姿勢状態となるように第1走行部131に対し第2走行部132を遅らせる制御がなされる。
【0036】
押送体134の先端部136が第2コンベヤ20の搬送面から離れる距離が段積品Wの高さを超えると、第2走行部132の走行速度を回復させて、第1走行部131と第2走行部132の間隔を元に戻して、押送体134の先端を周回走行路122におけるコーナー部の径方向に沿う方向に向けて走行体130を待機位置に移動させる。
【0037】
以上のような搬送装置は、次のような効果がある。
・オーバーヘッド式のコンベヤ120(押送手段)は、走行体130が周回走行路122を各々が互いに独立して一方向に循環走行するため、走行体130に配設された押送体134によって、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品Pをそれぞれ受け入れることができる。また、オーバーヘッド式のコンベヤ120は、押送解除手段と段積移送手段によって物品Pを物品Pを上下に重ねて段積品Wにして貯留部118に移送し、送出手段によって横形製袋充填機で設定された単位時間当たりの物品処理数に対応した第2コンベヤ20の搬送路22における段積品Wの搬送間隔になるよう、最下流側にいる走行体130から順次移動して、上下に重なった物品Pを第2コンベヤ20の搬送路22に送り出す。これにより、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品Pを受け入れて段積みして一定の搬送間隔で送出することが可能な搬送装置を提供することができる。
・走行体130は、押送体134が第2コンベヤ20における搬送路22に段積品Wを送出する際に、第1走行部131に対する第2走行部132の移動を遅くして押送体134の先端部136を後方に倒す。そのため、押送体134が、第2コンベヤ20の搬送路22に段積品Wを送出する際に段積品Wと接触して上側の物品Pの姿勢が乱れたり、脱落したり、段積品Wが前方に押し出されて段積品Wの位置がずれたりしないよう抑制し得る。そのため、横形製袋充填機において、物品Pの噛み込みなどの不良を抑制し得る。
・横形製袋充填機において設定された一定の段積品Wの搬送間隔と同じ間隔にして複数の段積品Wを貯留部118に貯留すると共に、第2コンベヤ20の搬送速度と同じ速度でシフトさせて第2コンベヤ20における搬送路22に送ることから、貯留部118を各走行体130が走行する際に、磁界を発生させるパターンを各走行体130に応じて変化させる必要がなく、この為、搬送装置の制御部の制御応答性を安定的に確保することができる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態を説明するにあたって、第1実施形態と同じ構造については第1実施形態と同一の符号を付与して詳細構造の説明については省略する。図4に示すように、第2実施形態の搬送装置における各走行体230は、単一の走行部231のみで構成されており、第1実施形態の第1走行部131と同様に、走行部231の本体部に対して押送体234が搬送方向に回動可能に支持されている。そして、その押送体234の先端部236(図6参照)側の幅方向両側にカムフォロアとしてのローラ235が設けられている。なお、押送体234は、直線状の走行レール126においては走行レール126に対し直立する関係になるように向き、曲線状の走行レール128においては、法線方向に先端部236が向くように、図示しないバネなどの付勢手段からの付勢力を受けている。
【0039】
可動式ベッド116は、カムレールとしての可動式レール217と共に不図示のフレームに固定されており、そのフレームごとエアシリンダなどの駆動源の作動切替によって一体的に回動して、第1実施形態と同様に順次到来した物品Pを上段ベッド114と下段ベッド112に交互に案内する。係合手段として、カムフォロアとしてのローラ235とカムレールとしての可動式レール217は、上段ベッド114より幅方向外方に離れた位置で互いが係合するように配設されている。
【0040】
図5(A)に示すように、走行部231の押送体234は、可動式ベッド116と上段ベッド114が接続された状態では、その側方に設けられたローラ235が可動式レール217に係合しながら搬送方向に前進することによって、押送体234の先端部236が後方に向くように倒れながら先行の物品Pを押送して上段ベッド114に物品Pを案内する。走行部231の押送体234は、上段ベッド114に物品Pを案内した後、可動式レール217によって、押送体234の先端部236(図6参照)が上段ベッド114の物品Pに接触することなく物品Pより高い位置に案内された状態で上段ベッド114の物品Pを残して前進する(押送解除手段)。押送体234は、その前進に伴い可動式レール217とローラ235の係合が解除されると、不図示のバネの付勢力によって下段ベッド112に対して直立状態に戻る。
【0041】
図5(B)に示すように、走行部231の押送体234は、可動式ベッド116と下段ベッド112が接続された状態では、可動式レール217も倒れた状態となることから押送体234が下段ベッド112と上段ベッド114に夫々載置されている物品Pを直立状態で押送する際に可動式レール217とローラ235とが接触することがないため、第1実施形態と同様に物品Pを段積状態で押送する。
【0042】
図6に示すように、走行部231は、貯留部118(図4参照)に置かれた物品P(図4参照)のうち最下流位置にある段積品Wを押送しながら直線状の走行レール126を走行し、第2コンベヤ20における搬送路22の上方に配設された曲線状の走行レール128を走行し始める際に、走行を一時的に停止した状態で第2コンベヤ20によって段積品Wを押送体234から前方に離間させた後、前進する。
【0043】
以上のような第2実施形態の搬送装置は、次のような効果がある。
・走行体230は、走行部231のみの構成であるため、第1実施形態と比べて各押送体234間を短く設定することができるため、搬送方向における物品Pの長さが短いなどコンパクトな物品Pを搬送するのに適している。
・走行体230の走行部231は、貯留部118に置かれた段積品Wのうち最下流位置にある段積品Wを押送しながら直線状の走行レール126を走行し、第2コンベヤ20における搬送路22の上方に配設された曲線状の走行レール128を走行し始める際に、走行を一時的に停止すると共にその停止中に第2コンベヤ20による走行によって段積品Wが押送体234から前方に離間した後、前進する構成をとることにより、第2コンベヤ20の搬送路22に段積品Wを送出する際に、第1実施形態と同様に、段積品Wの位置ずれや姿勢の乱れなどを防ぎ得る。
【0044】
<第3実施形態>
図7、8に示すように、搬送装置における走行体330は、単一の走行部331のみで構成されており、本体部333の左右両側(搬送方向に交差する幅方向両側)において上下方向に切り欠かれた長孔333Aが設けられている。図10に示すように、長孔333Aには、連結軸338が貫通しており、両端にカムフォロアとしてのローラ335が配設されている。また、連結軸338の略中央において押送体334が下方に垂下状に配設されている。すなわち押送体334は、連結軸338を介して本体フレーム333に支持されている。押送体334の上端部337側と本体フレーム333の間には、ばね333B介装されており、このばね333Bによって常時は押送体334の先端部336が下段ベッド112側に近接する方向に付勢されている。
【0045】
搬送装置には、下段ベッド112に対し交差する上下方向にスライド移動し得るカムレールとしての第1ガイドレール341が可動式ベッド116と連動するように設けられている。第1ガイドレール341は、不図示のフレームに固定されており、フレームごとシリンダなどの駆動源の作動切替によって一体的に上下方向にスライド移動して、第1実施形態と同様に物品Pが上段ベッド114と下段ベッド112に交互に案内される。カムフォロアとしてのローラ335とカムレールとしての第1ガイドレール341は、上段ベッド114に接触することがないように上段ベッド114より幅方向外方に離れた位置で互いが係合するように配設されている。
【0046】
カムレールとしての第1ガイドレール341は、到来する物品Pに対応して、シリンダなどの駆動源の作動切換えによる上昇と下降を交互に繰り返すことにより、可動式ベッド116と同様に上昇位置と下降位置の間で交互に変化する。図8(A)に示すように、第1ガイドレール341が上昇した際には、ローラ335が第1ガイドレール341に案内されて上昇することから押送体334が上昇する(本体フレーム333内に押し込まれる)。これにより、走行体330の押送体334は、上段ベッド114に物品Pを案内した後、第1ガイドレール341によって、押送体334の先端部336が上段ベッド114の物品Pに接触することなく物品Pより高い位置に案内された状態で上段ベッド114の物品Pを残して前進する(押送解除手段)。
【0047】
図8(B)に示すように、第1ガイドレール341が下降した際には、ローラ335は第1ガイドレール341と接触しない関係となる。そのため、押送体334は、上段ベッド114の間を通過する際には、上段ベッド114に載置されている物品Pを下段ベッド112に載置されている物品Pと共に下流に押送することになる。
【0048】
周回走行路22には、図9に示すように、走行体330の走行が直線状の走行レール126から曲線状の走行レール128に移行する手前から走行レール128に移行した走行レール128の下部近傍(第2コンベヤ20における搬送路22から上方に離間した位置)に前述のローラ335と係合するカムレールとしての第2ガイドレール342(被係合部)が設けられている。この位置では、ローラ335が係合部となって第2ガイドレール342と共同して係合手段を構成し、走行体330が前進するに連れて、ローラ335が第2ガイドレール342によって案内されて上昇することから押送体334が上昇し、押送体334の先端部336が、第2コンベヤ20の搬送路22に送出された段積品Wの高さより高い位置、即ち接触しない位置に上昇するまで押送体334が段積品Wを前方に押し出すことなく周回走行路の内周側に向けて移動する(押送退避手段)。
【0049】
以上のような搬送装置は、次のような効果がある。
・走行体330は、押送体334の先端部336を上下に重なった段積品Wに接触しない位置まで上下方向に退避させるため、第2コンベヤ20に送出した段積品Wの姿勢が乱れたり上側の物品Pが脱落したりすることを抑制し得る。
・横形製袋充填機において設定された一定の段積品Wの搬送間隔と同じ間隔にして複数の段積品Wを貯留部118に貯留すると共に、第2コンベヤ20の搬送速度と同じ速度でシフトさせて第2コンベヤ20における搬送路22に送ることから、貯留部118を各走行体330が走行する際に、磁界を発生させるパターンを各走行体330に応じて変化させる必要がなく、この為、搬送装置の制御部の制御応答性を安定的に確保することができる。
・押送解除手段の一部を構成するローラ335が、押送解除手段の一部として用いられることから、構成部品の簡素化が図れる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の搬送装置は、実施形態に限定されず、以下のようにその他各種の形態で実施することができるものである。
・第1実施形態の押送体134及び第3実施形態の334は、下段ベッド112に向けて下方から出現させてもよい。この場合には、上段ベッド114と下段ベッド112の両方に押送体134、334が通過し得る幅の溝部114Bを設けると共に、上段ベッド114に物品Pを載置した際に押送体134が下方に退避するように構成することによって実現可能である。
・第1コンベヤ10の搬送路12乃至第2コンベヤ20の搬送路22を一直線に接続したが、このようなレイアウトに限られず、例えば、所定角度ずつ回転するごとに物品Pを搬送装置への受渡位置に順次、搬送するターンテーブルのような搬送手段を第1コンベヤ10として採用するなどすれば、搬送装置の搬送ベッド110に対して第1コンベヤ10の搬送路12は直交するもので、このような搬送路でもよい。この場合における第1コンベヤ10における物品Pの搬送間隔は、前後の物品Pの距離ではなく、送出位置から搬送位置に物品Pを送出してから送出位置に後続の物品Pが到来するまでの時間に相当する。
・第2実施形態の可動式レール217と可動式ベッド116を一緒に回動させる構成を例示したが、可動式レール217と可動式ベッド116が別々に可動し得る構成でもよく、可動式レール217と可動式ベッド116が個々に昇降する構造なども採用し得る。
・物品Pの搬送列を複数列にして、各列の物品P受け入れが完了した際に、単一の押送体134が横一列にならんだ物品Pをまとめて押送するようにしてもよい。なお、物品Pが搬送装置にランダムに到来することから、横一列物品Pが並ぶ前に特定の列に物品Pが続けて搬送されてくることが、製品検知手段で検知された際には、先に受け入れている物品Pを排除・迂回させるなどの対策を講じることが好ましい。
・搬送方向後方側に傾動する第2実施形態の押送体234については、コイルばねなどの弾性力で傾動状態から復帰するようにしてもよい。
・搬送方向に交差する上下方向に移動する第3実施形態の押送体334については、上下が反転する復路を走行する際に下方へのスライド移動を防ぐために、押送体334を走行体本体部に対しコイルばねなどの弾性力によって付勢することが好ましい。
・リニアモータとしては、磁石に換えて電磁コイルを配設した可動子を走行体にするなどして、固定子に発生する磁界によって各走行体が推力を得て直線的に走行するなどの構成であってもよい。
・処理機としては、横形製袋充填機に限られるものではなく、カートナーなどの箱詰め装置などでもよい。
・溝部は、載置部の幅方向両端に設けるものでもよい。
・第2コンベヤ20については、平ベルトに段積品Wを載置して搬送するベルトコンベヤの他に、チェーン等の無端索体に付いた押送体によって各段積品Wを押送するコンベヤなど様々な搬送装置を採用し得る。
・上段ベッド114の終端位置より下流側に設けた貯留部118を下流ベッド112bに代えて、第2コンベヤ20のベルトからなる走行する搬送面として上流ベッド112aなどと共同して下段物品載置部を構成すると共に、該貯留部118を構成する第2コンベヤ20のベルトを下流側に延長して、その貯留部の下流に同じベルトによって、本発明の第2コンベヤの搬送路22を構成してもよい。即ち、本発明における第2コンベヤの搬送路22とは、貯留部118よりも下流側に設けられる段積品Wが所定間隔で処理機に向けて搬送される搬送路を指すものである。
・第3実施形態において、第2ガイドレール342とローラ335によって係合手段を構成したが、例えば、ローラ335に代えて磁石を押送体334に配設すると共にその磁石と引き合う磁性体を第2ガイドレールに代えて配設して、押送体334を磁力で上昇させる構造やその他様々な構造で係合手段を構成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
P:物品 W:段積品 10:第1コンベヤ 20:第2コンベヤ
22:搬送路 110:搬送ベッド(物品載置部)
112:下段ベッド(下段物品載置部) 114:上段ベッド(上段物品載置部) 115:載置部 114B:溝部 118:貯留部
120:オーバーヘッド式のコンベヤ(押送手段) 122:周回走行路
125:コイル(固定子) 130、230、330:走行体
131:第1走行部 132:第2走行部 134、234、334:押送体
136、236、336:先端部 138:連結体 335:ローラ(係合部)
342:第2ガイドレール(被係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10