(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453325
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/03 20060101AFI20190107BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20190107BHJP
H02H 3/20 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
B60R16/03 K
B60R16/02 650P
H02H3/20 D
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-530587(P2016-530587)
(86)(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公表番号】特表2016-527141(P2016-527141A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2014051965
(87)【国際公開番号】WO2015015115
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年4月24日
(31)【優先権主張番号】1357725
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ティセラン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、シャサール
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、ド、ラマール
(72)【発明者】
【氏名】ティボー、アルー
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−236234(JP,A)
【文献】
特開2010−206959(JP,A)
【文献】
実開平06−052400(JP,U)
【文献】
特開2001−069798(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02246254(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/03
B60R 16/02
H02H 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧(B+A)を制御するためのシステム(17)であって、前記供給電圧(B+A)の調整のためのデジタル調整装置(2,4,9,16)と、前記オンボード電気ネットワークの過電圧からの保護装置(11)と、を備え、前記デジタル調整装置(2,4,9,16)および前記保護装置(11)は、前記オンボード電気ネットワークに供給を行うオルタネータの励起を合同で制御する、システム(17)において、
前記保護装置(11)は、前記デジタル調整装置(2,4,9,16)とは別個のものであり、前記保護装置(11)により生成され、かつ、前記励起を制御する過電圧信号(OVD)が、前記デジタル調整装置(2,4,9,16)により生成される励起信号(EXC)よりも優先され、前記オルタネータの励起回路(8)を切り替えることができ、かつ、前記過電圧信号(OVD)による前記励起信号(EXC)の確認のための確認システム(18)により生成される制御信号(EXC_DR)により制御される、半導体励起スイッチ(7)を備える電力回路(16)、を追加的に備える、ことを特徴とするシステム(17)。
【請求項2】
前記保護装置(11)は、
− 前記供給電圧(B+A)および/または前記オンボード電気ネットワークに接続されたバッテリの端子におけるバッテリ電圧(B+)を取得するための第1の取得システム(12)と、
− 前記供給電圧(B+A)および/または前記バッテリ電圧(B+)を、それぞれ、第1の基準電圧(Vref1)および/または第2の基準電圧(Vref2)と比較するための比較システム(13)と、
− 前記比較システム(13)の出力信号(S1)の積分のための積分システム(14)と、
− 前記積分された出力信号(S2)から、前記過電圧信号(OVD)を生成するインターフェイスシステム(15)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム(17)。
【請求項3】
前記比較システム(13)は、ヒステリシスを有する、ことを特徴とする、請求項2に記載のシステム(17)。
【請求項4】
前記取得のための第1の取得システム(12)は、前記供給電圧(B+A)および/または前記バッテリ電圧(B+)を取得するための第1のキャプチャシステム(19)と、第1のフィルタ(20)と、を備える、ことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のシステム(17)。
【請求項5】
前記積分システム(14)は、第1のクロック(26)により制御されるオフセットレジスタ(25)を備える、ことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のシステム(17)。
【請求項6】
前記デジタル調整装置(2,4,9,16)は、
− 前記バッテリ電圧(B+)の取得のための第2の取得システム(2,4)と、
− 前記バッテリ電圧(B+)に従い、前記励起信号(EXC)を生成する、デジタル調整ループ(9)と、
を備える、ことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のシステム(17)。
【請求項7】
前記第2の取得システム(2,4)は、レジスタ(34)の少なくとも1つのブリッジを含む前記バッテリ電圧(B+)を取得するための第2のキャプチャシステム(2)と、少なくとも1つのキャパシタ(35)を含む第2のフィルタ(4)と、を備える、ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム(17)。
【請求項8】
前記デジタル調整ループ(9)は、前記第2のフィルタ(4)の出力において、第2のクロック(36)により制御される、アナログ−デジタルコンバータ(3)と、
前記アナログ−デジタルコンバータ(3)の出力における、有線論理回路である処理装置(5)と、
を備える、ことを特徴とする、請求項7に記載のシステム(17)。
【請求項9】
前記デジタル調整装置(2,4,9,16)と、前記保護装置(11)とは、別々の基板上の2つの個別の電子ブロックとして製造される、ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム(17)。
【請求項10】
前記保護装置(11)は、前記過電圧信号(OVD)の命令により、前記オルタネータの励起回路(8)を開くことができる、半導体保護スイッチ(7’)および、専用の電力供給(28)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム(17)。
【請求項11】
請求項1に記載の、自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧(B+A)を制御するためのシステム(17)を備える、ことを特徴とする自動車のオルタネータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムに関する。
【0002】
本発明は、また、この種のシステムを備えた自動車のオルタネータに関する。
【背景技術】
【0003】
全ての自動車に存在するオルタネータは、調整ループを有し、調整ループは、オンボード電気ネットワークの電圧を、約14Vに維持することを可能にする。
【0004】
しかし、オルタネータのレギュレータは、時には、オンボードネットワークの過電圧(>18V)の検出などの、いわゆる保護機能を含む。
【0005】
特定のレギュレータは、オルタネータの電流の生成を止める一方、他のレギュレータは、ダッシュボードに赤い警告灯を点灯させることにより、車両およびエンジンを、可能な限り迅速に停止できるよう、運転者に警告を行う。
【0006】
オルタネータのレギュレータによって過電圧が検出された場合、バッテリおよび接続された構成部品の両方を破損し得る過電圧から機器を保護するために、励起を止めなければならない。
【0007】
現在のレギュレータのほとんどにおいて、この機能は、アナログデジタルコンバータ(CAN)から発せられた信号を処理することにより実行される。”アナログ”として知られる、最も古いレギュレータにおいては、この機能は、調整ループの小さな信号によって実行され、これは、上記のデジタルの解決策と、事実上同等である。
【0008】
しかし、取得チェーン全体およびデジタル処理手段は、この検出の経路上にあり、次いで、これらの機能の共通モードが参照される。
【0009】
この共通モードにおいて問題または欠陥が生じた場合、レギュレータは、この過電圧を検出しないかもしれず、バッテリの過負荷の一因となることがあり、これは、バッテリおよびその端子に接続される機器を損傷する場合がある。
【0010】
図1は、従来技術のこれらの既知のレギュレータの概略図を示している。
【0011】
例えば、検出器の抵抗器R1,R2またはR3が分流され、それらの値が過電圧を生成する程度まで増加した場合、フィルタのキャパシタC1が短絡されていると、アナログ−デジタルコンバータCANは、期待値よりも低い誤ったデータを供給し、そしてクロックHが”ON”コマンドによりブロックされていても、これらがいわゆる共通モードにあるため、アーキテクチャは、それ自体の故障を検出することができない。オルタネータの励起電流を切り替えるパワーMOSFETを含む、レギュレータの全ての機能は、共通モードに関連するこの問題によって潜在的に影響される。
【0012】
結論として、従来技術においては、過電圧の検出は、レギュレータに不良がないという原則の下に設計されている。
【0013】
しかし、オンボードネットワークの電圧は、不良を有し得るレギュレータの要素にも依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、よって、これらの不利益をなくすことである。
【0015】
特に、本発明の主題は、自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このシステムは、供給電圧の調整のためのデジタル型の装置と、オンボード電気ネットワークの過電圧からの保護のための装置と、を備える、それら自体は知られている種類のものである。
【0017】
この種のシステムにおいて、調整装置と、保護装置とは、オンボード電気ネットワークに供給を行うオルタネータの励起を、合同で制御する。
【0018】
本発明によれば、保護装置は、調整装置とは別個のものである。
【0019】
このシステムにおいて、保護装置により生成され、かつ、励起を制御する過電圧信号が、調整装置により生成される励起信号よりも優先される。
【0020】
特定の実施形態によれば、保護装置は、
− 供給電圧および/またはオンボード電気ネットワークに接続されたバッテリの端子におけるバッテリ電圧を取得するための第1の手段と、
− 供給電圧および/またはバッテリ電圧を、それぞれ、第1の基準電圧および/または第2の基準電圧と比較するための手段と、
− 比較のための手段の出力信号の積分のための手段と、
− 積分された出力信号から、過電圧信号を生成するインターフェイス手段と、を備える。
【0021】
特定の特徴によれば、比較のための手段は、ヒステリシスを有する。
【0022】
もう1つの特定の特徴によれば、取得のための第1の手段は、供給電圧および/またはバッテリ電圧を取得するための第1の手段と、第1のフィルタリング手段と、を備える。
【0023】
積分のための手段は、好ましくは、第1のクロックにより制御されるオフセットレジスタを備える。
【0024】
もう1つの特定の特徴によれば、保護装置は、過電圧信号の命令により、オルタネータの励起回路を開くことができる、半導体保護スイッチを備え、かつ、専用の電力供給を追加で備える。
【0025】
特定の特徴によれば、本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムは、オルタネータの励起回路を切り替えることができ、かつ、過電圧信号による励起信号の確認のための手段により生成される制御信号により制御される、半導体励起スイッチを備える電力回路、を追加的に備える。
【0026】
特定の実施形態によれば、調整装置は、
− バッテリ電圧の取得のための第2の手段と、
− バッテリ電圧に従い励起信号を生成する、例えばデジタル型の調整ループと、
を備える。
【0027】
特定の特徴によれば、これらの取得のための第2の手段は、レジスタのブリッジを備える、バッテリ電圧を取得するための第2の手段と、キャパシタを備える第2のフィルタリング手段と、を備える。
【0028】
もう1つの特定の実施形態によれば、デジタル調整ループは、第2のクロックにより制御される、第2のフィルタリング手段の出力における、アナログ−デジタルコンバータと、アナログ−デジタルコンバータの出力における、マイクロコントローラ、有線論理回路、または類似のものと、を備える。
【0029】
本発明に係る制御システムの特定の実施形態によれば、調整装置と、保護装置とは、別々の基板上の2つの個別の電子ブロックの形態で製造される。
【0030】
本発明は、また、自動車のオルタネータに関し、このオルタネータは、上述の自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムを備える点が、特徴となる。
【0031】
これらのいくつかの基本的な明細事項は、従来技術との比較における、本発明によって提供される利点を、当業者に対して明確にした。
【0032】
本発明の詳細な明細事項は、添付の図面と関連して、以下の明細書にて与えられる。これらの図面は、明細書の本文を単に例示する役割を果たすものであり、いかなるやり方でも、本発明の範囲の限定を構成しないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】調整装置に組み込まれた過電圧からの保護のための装置を備える、従来技術において既知の、自動車のオンボードネットワークの供給電圧を制御するためのシステムの概略図。
【
図2】本発明に係る調整装置とは別個の、過電圧からの保護のための装置の総観図。
【
図3】
図2に示された保護装置により生成される過電圧信号のタイミング図。
【
図4】本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムの実施形態の概略図。
【
図5】
図2に示された保護装置の特定の実施形態の詳細図。
【
図6】
図4に示された自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムの電力回路の実施形態の詳細図。
【
図7】本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムのもう1つの実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
前提部において既に示されているように、
図1は、自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧B+Aを制御するためのシステム1の包括的なアーキテクチャを示している。
【0035】
オルタネータは、このネットワークに供給電圧B+Aを供給し、ネットワークに接続されたバッテリを充電する。
【0036】
アナログ−デジタルコンバータ3と互換性のあるレベル2とされた後、バッテリ電圧B+は、フィルタリング4され、処理装置5によって処理される前に、サンプリングされる。
【0037】
主としてマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサにより、あるいは有線論理回路により構成される、この処理装置5は、変調パルス幅を有する励起信号EXCを生成し、励起信号EXCは、増幅6の後、オルタネータの励起回路8すなわち習慣的にはロータコイルと直列の、MOSFETトランジスタの形態の半導体励起スイッチ7を制御する。
【0038】
励起信号EXCのデューティサイクルは、オルタネータにより供給されるネットワークの供給電圧B+Aを制御する等のために、処理装置5により決定され、バッテリ電圧B+を公称電圧に維持する。
【0039】
図1に示される一般的に知られた制御システム1において、デジタル調整ループ9は、処理装置5と、励起スイッチ7を制御するドライバ増幅器6との間に、バッテリの端子における過電圧からの保護のための一体化された装置10を備えており、この装置は、送信される信号を分析する。
【0040】
デジタル調整ループ9に不良がある場合、一体化された保護装置10は、もはや機能しなくなる。
【0041】
他方で、
図2は、調整装置2,4,9,6、特にデジタル調整ループ9とは別個の、過電圧からの保護のための装置11を示している。
【0042】
本発明の第1の実施形態において、この保護装置11は、
− 車両のオンボード電気ネットワークに供給を行う、オルタネータにより供給される供給電圧B+Aを、取得およびフィルタリングする、第1の取得手段12と、
− この供給電圧B+Aを、第1の基準電圧Vref1と比較するための手段13と、
− 比較のための手段13の出力信号S1の積分のための手段14と、
− 供給電圧B+Aが第1の基準電圧Vref1を超えたことを示す、過電圧信号OVDを、積分された出力信号S2から生成する、インターフェイス手段15と、を備える。
【0043】
比較のための手段13は、すなわち
図3に明らかに示すように、ヒステリシスを有し、供給電圧B+Aは、過電圧信号OVDがアクティブとなるためには、供給電圧B+Aが高い閾値V_OVD_
Hに達するまで、第1の基準電圧Vref1を著しく超えなければならない。
【0044】
逆に、過電圧信号OVDは、供給電圧B+Aが、低い閾値V_OVD_
Lまで、第1の基準電圧Vref1よりも著しく低下した場合にのみ、非アクティブ化される。
【0045】
積分のための手段14は、また、過電圧信号OVDが1つの状態から別の状態にフリップするために、供給電圧B+Aが、所定の期間T_OVDよりも長い期間にわたって、高い閾値V_OVD_
Hの上に留まること、および低い閾値V_OVD_
Lの下に留まることを必要とする。
【0046】
図4は、過電圧信号OVDが、どのように電力回路16に作用するかを、明らかに示しており、電力回路16は、本発明に係る制御システム17において、オルタネータの励起を、制御信号EXC_DRに従い切り替える、励起スイッチ7(パワーMOSFET)を備える。
【0047】
過電圧信号OVDは、デジタル調整ループ9により生成された励起信号EXCよりも優先され(よって、調整ループ9は、過電圧からの保護のための装置を備えず)、すなわち、励起信号EXCは、過電圧信号OVDに従って、確認のための手段18により確認されるか、または確認されない。
【0048】
過電圧信号OVDが、アクティブでない(過電圧が検出されない)場合、調整ループ9は、オルタネータの励起を正常に制御し、制御信号EXC_DRは、励起信号EXCと同一である。
【0049】
過電圧信号OVDが、アクティブである(過電圧が検出された)場合、励起信号EXCは、この過電圧信号OVDにより置換され、すなわち、制御信号EXC_DRは、過電圧信号OVDと同一となり、これにより、オルタネータの励起は、
図3に示されるタイミング図に従って停止される。
【0050】
保護装置11および電力回路16の動作を、
図5および
図6と関連して説明するが、
図5および
図6は、その概略図が
図4に示されている本発明に係る制御システム17の、第2の特定の実施形態を詳細に示している。
【0051】
この第2の実施形態において、自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧B+Aのための制御システム17は、過電圧からの保護のための装置11を備えており、装置11は、オルタネータの端子に存在する供給電圧B+Aと、バッテリ電圧B+と、を生成する。
【0052】
第1の取得手段19は、供給電圧B+Aとバッテリ電圧B+とが、第1のフィルタリング手段20によりフィルタリングされる前に、供給電圧B+Aとバッテリ電圧B+とを、保護装置11の電気構成部品、特にデジタル構成部品と互換性のあるレベルに戻すことを可能にする。
【0053】
ヒステリシスと比較するための手段13は、供給電圧B+Aおよびバッテリ電圧B+、より具体的には比例電圧を、それぞれ、基準電圧発生器21により供給される第1の基準電圧Vref1および第2の基準電圧Vref2と比較すること、ならびに、これらの値Vref1,Vref2の一方または他方が超えられたことを表す出力信号S1を生成すること、を可能にする。
【0054】
本発明のこの第2の特定の実施形態におけるこれらの比較するための手段13は、
図5に明らかに示されている。
【0055】
これらの手段は、2つの比較器22,23により構成され、比較器22,23は、第1の取得手段19と第1のフィルタリング手段20とにより構成される第1の取得手段12により供給される供給電圧B+Aとバッテリ電圧B+とに比例する電圧を、それぞれの非反転入力において受け取り、かつ、第1および第2の基準電圧Vref1,Vref2を、それぞれの反転入力において受け取る。
【0056】
これらの比較器22,23の出力は、論理OR24により合成され、積分のための手段14の入力において出力信号S1を供給する。
【0057】
図5に明らかに示されるように、これらの積分のための手段14は、複数のトグルD25により形成されたオフセットレジスタにより構成されており、トグルD25は、第1のクロック26の各期間にて出力信号S1をサンプリングおよび保存する。
【0058】
いくつかの連続する期間にわたってアクティブに維持される出力信号S1のみが、ベクトルの形態にある、積分された出力信号S2を生成し、出力信号S2の全成分は、アクティブであり、かつ、特に複数の入力27を有する論理ANDとアクティブな過電圧信号OVDとを備える、出力インターフェイス手段15として生成することができる。
【0059】
本発明に係る保護装置11は、調整装置2,4,9,16に依存しないように、専用の電力供給28を備える。
【0060】
特に、この電力供給28は、基準電圧発生器21に供給を行う。
【0061】
自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧B+Aを制御するシステム17のこの第2の実施形態の、しかし第1の実施形態のものでもある、電力回路16は、
図6に詳細に示されている。
【0062】
確認のための手段18は、複数の入力29を有する論理NORを備えており、論理NORは、保護のためおよび他のサービス信号のための装置11により生成される過電圧信号OVDにより駆動される。
【0063】
このゲート29の出力は、もう1つのゲート30にて、励起信号EXCと合成され、ゲート30は、励起スイッチ7の制御信号EXC_DRを生成するために、AND機能を提供する。
【0064】
よって、この他のゲート30の出力EXC_DRは、過電圧信号OVDが非アクティブである場合に、励起信号EXCと同じであり、他のサービス信号も、非アクティブである。
【0065】
過電圧信号OVDがアクティブである場合、他のサービス信号の状態にかかわらず、ゲート29の出力は、非アクティブであり、オルタネータの励起EXC_OUTを遮断する、デジタル調整ループ9によって供給される励起信号EXCにかかわらず、他のゲート30の出力における、制御信号EXC_DRは、非アクティブである。
【0066】
本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給B+Aの制御システム17の電力回路16は、
図1に示されるような、一般的な既知の制御システム1の電力回路16とは、2つの論理ゲート29,30のみが異なることに留意すべきである。
【0067】
励起電流は、MOSFET型の励起スイッチ7によって切り替えられ、地帰路は、フリーホイールダイオード31を備える。
【0068】
励起電流IROTは、シャント32によって測定され、シャント32の端子にて、演算増幅器33によって、電位の差が測定される。
【0069】
本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給の制御のためのシステム17の調整のための装置2,4,9,16は、また、既知の一般的なシステム1の調整のための装置2,4,9,16と同じ要素を含み、それらは、
図4に示されるように、
− レジスタ34の少なくとも1つのブリッジにより構成される第2の取得手段2と、少なくとも1つのキャパシタ35により構成される第2のフィルタリング手段4と、を備える、バッテリ電圧B+の取得のための第2の手段2,4と、
− デジタル−アナログコンバータ3と、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサにより構成される、処理装置5と、を備えるデジタル調整ループ9と、
− 第2のクロック36と、
である。
【0070】
本質的な違いは、本発明に係るシステム17の調整ループ9は、どのような機能の共通モードも回避するために、一体化された保護装置10を含まないことである。
【0071】
同じ理由から、保護装置11の第1のクロック26は、調整ループ9の第2のクロック36とは別個のものである。
【0072】
本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧B+Aの制御のためのシステム17は、ASICの形態で製造される。
【0073】
このモジュール性の結果として、かつ調整装置2,4,9,16が、従来の調整装置2,4,9,10,16とほとんど変わらず、さらに簡素化されているため、新たなASICの開発は、縮小された投資しか必要としない。
【0074】
図7は、本発明に係る自動車のオンボード電気ネットワークの供給電圧を制御するためのシステムのもう1つの実施形態を示している。この実施形態において、この場合11’で示されている保護装置は、それ自体の半導体電力スイッチ(MOSFETトランジスタ)7’を備える。このスイッチ7’は、保護スイッチであり、保護スイッチは、OVD信号の命令により、オルタネータの励起回路を開くことができ、かつ供給電圧B+Aと回路16の励起スイッチ7との間に直列に介在される。
【0075】
図7に係る実施形態は、保護装置11’と、レギュレータの残り部分との間に、より大きな分離を提供し、保護装置11’に、励起スイッチ7’から独立して、オルタネータの励起電流を絶つ可能性を与え、これは、例えば、オルタネータの励起コイルにおける最大の励起電流を伴う、短絡時に、不良のある励起スイッチ7の場合に、より大きな利点を有する。この実施形態は、レギュレータの残り部分が埋め込まれている基板とは別個の、分離された基板上の保護装置11’の保護のために適しており、このことは、例えば励起スイッチ7の熱破壊の結果として、どのようなレギュレータの過熱に対しても耐性を向上させることを可能にすることにより、その保護機能を強化する。専用の電力供給28は、また、保護装置11’とレギュレータの残り部分との間のこの分離を強化する。
【0076】
本発明に係る制御システム17を備えるオルタネータは、よって、従来のモデルと比べて、明確な競争的利点の利益を得るものであり、それは、同等の費用で、過電圧からの保護を絶対的にするためである。
【0077】
本発明は、単に上述の好適な実施形態に、限定されないことが理解される。
【0078】
言及された電子構成部品の種類は、よって、単なる実施の例である。これらは、同じ機能または同じ機能の群を実行する、他の構成部品によって、必要なだけ代替的に置換することができる。
【0079】
本発明は、よって、以下の特許請求の範囲によって定義される文脈内に残る全ての可能な変形実施形態を包含する。