【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<透過光の色彩の測定方法>
光学フィルターの透過光の色彩の測定には、日本電色工業株式会社製の分光式色彩計SE−2000を使用した。光源はD65/10とし、色彩の測定結果はCIE 1976 (L*, a*, b*) 色空間で表した。L*は明度、a*は赤色、b*は黄色を表す。彩度C*及び色相∠H°は以下の式で算出した。ただし、∠H°の値に関してはa*>0かつb*<0のときは360°を加え、a*<0のときには180°を加えて、∠H°が0°から360°の範囲になるようにした。
【0038】
【数1】
【0039】
<偏光板の作製>
まず偏光子として以下の市販の着色偏光フィルム(販売:株式会社松謙)を用意した。
グレーの偏光子(L*=70.8、a*=−2.6、b*=3.4、C*=4.3、色相=128°)
赤の偏光子(L*=78.7、a*=26.7、b*=4.3、C*=27.1、色相=9°)
緑の偏光子(L*=76.7、a*=−19.7、b*=8.7、C*=21.6、色相=156°)
青の偏光子(L*=79.4、a*=−8.1、b*=−16.0、C*=18.0、色相=243°)
そして、各々の偏光フィルムを無色透明の基材(厚さ2mmのアクリル板)に貼り、各色の偏光板を得た。
【0040】
<実施例1>
固定偏光板20にグレーの偏光板、回転偏光板30に赤の偏光板を用いて、
図1〜5に示す変色光学フィルターを以下の通り作製した。
【0041】
外径53mm、内径50mm、高さ6mmの円柱形樹脂からなるフレーム10の内面に、幅21mm、深さ1mmの溝11及び12を付けた。溝12の一部はさらに切削してスリット13を開けた。スリット13の長さはフレーム10の円周の4分の1よりも長くした。直径51mmの円形に加工したグレーの偏光板を溝11にはめ込み、固定偏光板20とした。直径51mmの円形に突出部31がある赤の偏光板を加工して、これをスリット13と溝12にはめ込み、回転偏光板30とした。
【0042】
このようにして得た光学フィルターの回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く白色光であった(L*=63.8、a*=1.4、b*=3.9、C*=4.1、色相=70°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は赤色であり、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=36.7、a*=53.3、b*=14.4、C*=55.2、色相=15°)。
【0043】
<実施例2>
固定偏光板20にグレーの偏光板、回転偏光板30に緑の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く白色光であった(L*=62.3、a*=−7.8、b*=7.7、C*=10.9、色相=136°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は緑色であり、赤色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=33.9、a*=−49.7、b*=14.6、C*=51.8、色相=164°)。
【0044】
<実施例3>
固定偏光板20にグレーの偏光板、回転偏光板30に青の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く白色光であった(L*=63.4、a*=−3.6、b*=3.1、C*=4.8、色相=139°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は青色であり、赤色や緑色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=37.7、a*=−19.5、b*=−27.3、C*=33.6、色相=234°)。
【0045】
<実施例4>
固定偏光板20に赤の偏光板、回転偏光板30に赤の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は赤色であった(L*=72.4、a*=25.8、b*=8.2、C*=27.1、色相=18°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は赤色であるが、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=52.7、a*=69.5、b*=16.9、C*=71.5、色相=14°)。
【0046】
<実施例5>
固定偏光板20に赤の偏光板、回転偏光板30に緑の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く白色光であった(L*=63.0、a*=0.8、b*=5.7、C*=5.8、色相=82°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光はオレンジ色であり、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=48.6、a*=13.8、b*=17.2、C*=22.1、色相=51°)。
【0047】
<実施例6>
固定偏光板20に赤の偏光板、回転偏光板30に青の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く白色光であった(L*=66.0、a*=5.5、b*=−4.1、C*=6.9、色相=323°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は紫色であり、緑色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=51.4、a*=27.7、b*=−19.2、C*=33.7、色相=325°)。
【0048】
<実施例7>
固定偏光板20に緑の偏光板、回転偏光板30に緑の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は緑色であった(L*=64.1、a*=−17.2、b*=10.5、C*=20.1、色相=149°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は緑色であり、赤色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=47.7、a*=−64.7、b*=19.2、C*=67.5、色相=164°)。
【0049】
<実施例8>
固定偏光板20に緑の偏光板、回転偏光板30に青の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は緑色であった(L*=67.5、a*=−13.9、b*=3.8、C*=14.4、色相=165°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は青緑色であり、赤色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=50.7、a*=−43.3、b*=−13.7、C*=45.4、色相=198°であった)。
【0050】
<比較例1>
固定偏光板20にグレーの偏光板、回転偏光板30にグレーの偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学フィルターを作製した。回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は彩度が低く薄いグレーであった(L*=63.8、a*=−4.1、b*=6.1、C*=7.4、色相=124°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は彩度が低く濃いグレーであり、明度は変化したが色相及び彩度は変化しなかった(L*=0.4、a*=0.1、b*=−0.7、C*=0.7、色相=277°)。
【0051】
<実施例9>
固定偏光板20に青の偏光板、回転偏光板30に青の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を0°から90°に回転させたところ、透過光の彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は青色であった(L*=69.6、a*=−4.9、b*=−15.9、C*=16.6、色相=253°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は青色であるが、赤色や緑色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=53.9、a*=−22.1、b*=−39.5、C*=45.2、色相=241°)。
【0052】
<実施例10>
赤の偏光子と緑の偏光子を回転角90°で固定して貼り付けたこと以外は他の偏光板と同様にして赤×緑90°の偏光板を作製した。固定偏光板20にこの赤×緑90°の偏光板(L*=49.9、a*=16.6、b*=17.6、C*=24.2、色相=47°)、回転偏光板30にグレーの偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を赤色偏光子に対して0°から、45°、90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転偏光板30の回転角が0°のときの透過光は緑色であり、赤色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=31.8、a*=−46.9、b*=13.8、C*=48.8、色相=164°)。回転偏光板30の回転角が45°のときの透過光は彩度が低くグレーであった(L*=30.6、a*=−0.2、b*=9.6C*=9.6、色相=91°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は赤色であり、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=32.5、a*=47.5、b*=13.8、C*=49.5、色相=16°)。
【0053】
<実施例11>
緑の偏光子とグレーの偏光子を回転角30°で固定して貼り付けたこと以外は他の偏光板と同様にして赤×グレー30°の偏光板を作製した。固定偏光板20にこの緑×グレー30°の偏光板(L*=58.3、a*=−10.5、b*=7.6、C*=12.9、色相=144°)、回転偏光板30に赤の偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして変色光学フィルターを作製した。その回転偏光板30を赤色偏光子に対して0°から90°に回転させたところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、回転角が0°のときの透過光は緑色であった(L*=54.9、a*=−5.6、b*=7.5、C*=9.4、色相=127°)。回転偏光板30の回転角が90°のときの透過光は赤色であり、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=28.8、a*=44.3、b*=13.5、C*=46.4、色相=17°)。
【0054】
<実施例12>
図6に示すように、2つのフレーム10をブリッジ40で接合し、これにテンプル50を付けてメガネ型フレームを作製し、この2つのフレーム10に実施例1〜11と同様にして偏光子をはめ込み、本発明のメガネを得た。
【0055】
<実施例13>
図7に示す偏光フィルム60として以下の市販の着色偏光フィルム(販売:株式会社松謙)を用意した。
グレーの偏光フィルム(L*=70.8、a*=−2.6、b*=3.4、C*=4.3、色相=128°)
赤の偏光フィルム(L*=78.7、a*=26.7、b*=4.3、C*=27.1、色相=9°)
緑の偏光フィルム(L*=76.7、a*=−19.7、b*=8.7、C*=21.6、色相=156°)
青の偏光フィルム(L*=79.4、a*=−8.1、b*=−16.0、C*=18.0、色相=243°)
【0056】
図7に示す2枚の偏光フィルム60間の、透明電極61/配向膜62/ネマティック液晶63/配向膜62/透明電極61の積層構造からなるネマティック液晶デバイスとして、液晶ポラリゼーションローテイター(Liquid Crystal Polarization Rotator、販売:ARCoptix社)を用意した。液晶デバイスの電圧印加前の透過は白色光であり(L*=95.0、a*=−1.1、b*=6.1、C*=6.2、色相=100.19°)、9Vの電圧印加中も白色光であった(L*=93.8、a*=−1.0、b*=6.1、C*=6.2、色相=99.5°)。
【0057】
このネマティック液晶デバイスの一方の偏光フィルム60として前記グレーの偏光フィルムを貼り付け、もう一方の偏光フィルム60として前記赤の偏光フィルムを貼り付けて、
図7に示すような液晶デバイスを用いた変色光学フィルターを得た。液晶デバイスに9Vの電圧を印加したところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、電圧印加前の透過光は彩度が低く白色光であった(L*=62.6、a*=0.9、b*=6.0、C*=6.1、色相=81.7°)。9Vの電圧印加中の透過光は赤色であり、緑色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=43.0、a*=34.4、b*=6.6、C*=35.1、色相=11.0°)。
【0058】
<実施例14>
赤の偏光フィルムの代わりに緑の偏光フィルムを用いたこと以外は、実施例13と同様にして
図7に示すような液晶デバイスを用いた変色光学フィルターを作製した。液晶デバイスに9Vの電圧を印加したところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、電圧印加前の透過光は彩度が低く白色光であった(L*=65.2、a*=−8.2、b*=12.4、C*=14.8、色相=123.6°)。9Vの電圧印加中の透過光は緑色であり、赤色や青色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=49.6、a*=−22.4、b*=13.2、C*=26.0、色相=149.5°)。
【0059】
<実施例15>
赤の偏光フィルムの代わりに青の偏光フィルムを用いたこと以外は、実施例13と同様にして
図7に示すような液晶デバイスを用いた変色光学フィルターを作製した。液晶デバイスに9Vの電圧を印加したところ、透過光の色相及び彩度が実際に変化した。具体的には、電圧印加前の透過光は彩度が低く白色光であった(L*=66.4、a*=−4.6、b*=7.6、C*=8.9、色相=121.0°)。9Vの電圧印加中の透過光は青色であり、赤色や緑色成分を有する色彩は明度が低下した(L*=40.0、a*=−20.7、b*=−25.2、C*=32.6、色相=230.4°)。