特許第6453397号(P6453397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6453397骨を通して湾曲経路を作り、骨内で神経を調節するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453397
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】骨を通して湾曲経路を作り、骨内で神経を調節するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20190107BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20190107BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A61B18/14
   A61B17/34
   A61B17/56
【請求項の数】17
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2017-156808(P2017-156808)
(22)【出願日】2017年8月15日
(62)【分割の表示】特願2015-540810(P2015-540810)の分割
【原出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2017-213428(P2017-213428A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/722,750
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511070455
【氏名又は名称】リリーバント メドシステムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】パテル サミット
(72)【発明者】
【氏名】ペレグリノ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フラグラー ロバート
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0192564(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0185161(US,A1)
【文献】 実開昭53−139791(JP,U)
【文献】 特表2003−522566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/34
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するためのシステムであって、
近位端、遠位端及び中央チャネルを備えるトロカールであって、
前記中央チャネルは、前記トロカールの中心軸に沿って配設され、前記近位端から前記遠位端に向かって延在し、
該トロカールは、該トロカールの前記遠位端にあるか又は前記遠位端の近くにある遠位開口部を備え、該開口部は前記中央チャネルと連通状態にある、
トロカールと、
処置プローブであって、
該処置プローブは、前記中央チャネル内に受け入れられ、前記近位端から前記遠位開口部に向けて送達されるサイズに作られ、
該処置プローブは、直線状近位端及び湾曲遠位端を備えるスタイレットを備え、
前記湾曲遠位端は、前記トロカールを通って直線状構成で送達され、前記トロカールの前記中心軸に対して或る角度で前記遠位開口部から外向きに湾曲構成で展開されるように変形可能であり、
前記湾曲遠位端は、治療用量のエネルギーを処置位置に送達するように構成される処置デバイスを備える、
処置プローブと、
を備え、
前記トロカールの前記近位端はハンドルを備え、
該ハンドルは、
近位リセスであって、
該近位リセスは、前記中央チャネル内での前記処置プローブの往復動を可能にするように前記中央チャネルと連通状態にある、
近位リセスと、
前記近位リセスと連通状態にある横スロットであって、前記ハンドルの近位表面において前記近位リセスから半径方向外向きに延在し、
該横スロットは、前記処置プローブの挿入を可能にするように構成され、それにより、前記処置プローブの前記湾曲遠位端が前記近位リセスに挿入されると、前記スタイレットの前記直線状近位端の中心軸が前記トロカールの前記中心軸に対して或る角度になる、
横スロットと、
を備える、
自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するためのシステム。
【請求項2】
前記湾曲遠位端は、椎体の海綿骨領域を通して経路形成するように構成される鋭利化された遠位先端を備え、
前記治療用量のエネルギーは、前記椎体に関連する椎体神経を除神経するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スロットは、前記処置プローブの前記湾曲遠位端が前記リセス及び前記中央チャネルに入るように摺動可能に前進させられることを可能にするように構成される曲線下部表面を備える
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記曲線下部表面は、前記処置プローブの前記湾曲遠位端のアールに実質的に一致するアールを備える、
請求項に記載のシステム。
【請求項5】
直線状近位本体及び鋭利化された遠位端を備える直線状スタイレットを更に備え、
前記スタイレットは、前記トロカール内に設置されると、該トロカールの前記遠位開口部から突出するように構成され、
前記スタイレットは、前記椎体の皮質骨領域を通って前記トロカールを前進させるための衝当表面を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記処置プローブは、前記椎体の海綿骨領域を通って前記処置プローブを前進させるための衝当表面を有するハンドルを備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記処置プローブの前記遠位端は、複数の周方向逃げ付きセクションを備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処置プローブの前記遠位端は、双極RF処置デバイスを形成する一対のリング電極を備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記スタイレットは、前記湾曲遠位端から前記直線状近位端まで延在する縦チャネルを備え、該チャネルは、前記一対のリング電極に結合された可撓性リードを収容するように構成される、
請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記プローブハンドルは、電力源を前記可撓性リードに結合させるためのコネクタを備える、
請求項に記載のシステム。
【請求項11】
自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するためのシステムであって、
近位端、遠位端及び中央チャネルを備えるトロカールであって、
前記中央チャネルは、前記トロカールの中心軸に沿って配設され、前記近位端から前記遠位端に向かって延在し、
該トロカールは、該トロカールの前記遠位端にあるか又は前記遠位端の近くにある遠位開口部を備え、該開口部は前記中央チャネルと連通状態にある、
トロカールと、
処置プローブであって、
該処置プローブは、前記中央チャネル内に受け入れられ、前記近位端から前記遠位開口部に向けて送達されるサイズに作られ、
該処置プローブは、直線状近位端及び湾曲遠位端を備えるスタイレットを備え、
前記湾曲遠位端は、前記トロカールを通って直線状構成で送達され、前記トロカールの前記中心軸に対して或る角度で前記遠位開口部から外向きに湾曲構成で展開されるように変形可能であり、
前記湾曲遠位端は、治療用量のエネルギーを処置位置に送達するように構成される処置デバイスを備える、
処置プローブと、
を備え、
前記トロカールの前記近位端は、横スロットを備えるハンドルを備え、
該横スロットは、前記トロカールの前記中央チャネル内での前記処置プローブの挿入を可能にするように構成されている、
自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するためのシステム。
【請求項12】
前記湾曲遠位端は、椎体の海綿骨領域を通して経路形成するように構成される鋭利化された遠位先端を備え、
前記治療用量のエネルギーは、前記椎体に関連する椎体神経を除神経するように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記横スロットは、前記処置プローブの前記湾曲遠位端が前記トロカールの前記中央チャネルに入るように摺動可能に前進させられることを可能にするように構成される曲線下部表面を備える、
請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記曲線下部表面は、前記処置プローブの前記湾曲遠位端のアールに実質的に一致するアールを備える、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処置デバイスは、双極RF処置デバイスを形成する一対のリング電極を備える、
請求項11から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記スタイレットは、前記湾曲遠位端から前記直線状近位端まで延在する縦チャネルを備え、該チャネルは、前記一対のリング電極に結合された可撓性リードを収容するように構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハンドルは、電力源を前記可撓性リードに結合させるためのコネクタを備える、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の実施形態は、包括的に、組織を通して通路を生成すること及び骨内神経(「ION:intraosseous nerve」)の処置又はモニタリングに関し、より詳細には、骨内に経路を作ること及び脊椎の椎体内の椎体神経の処置(例えば、調節(modulation))に関する。
【背景技術】
【0002】
背部痛は、世界的に非常に一般的な健康問題であり、就業不能給付及び補償の主要な原因である。背部痛は、背部内の緊張した筋肉、靭帯、又は腱、及び/又は、骨又は脊椎円板に関する構造的問題から生じる場合がある。背部痛は、急性又は慢性であり得る。慢性背部痛についての処置は、幅広く変動し、身体的治療及び運動、カイロプラクティック処置、休息、鎮痛剤又は抗炎症薬等の薬理学的治療、並びに、脊椎椎体固定術(vertebral fusion)、椎間板切除、又は椎間板修復等の外科的介入を含む。既存の処置は、高価で、習慣性で、一時的で、効果的でない可能性があり、及び/又は、疼痛を増加させるか又は長い回復時間を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
椎弓根を通って椎体の側部/前部の内部へ向かって脊椎の椎骨分節にアクセスすることは、処置デバイス又は神経調節デバイス(例えば、骨セメント送達デバイス、化学薬剤送達デバイス、及び/又はRFプローブ)を椎骨の内部に留置する主要な方法であるが、プローブを椎骨の後正中線部内に留置することは難しい可能性がある。さらに、直線状のアクセス路では脊椎のS1分節の後正中線部にアクセスすることは難しい可能性がある。一実施の形態では、プローブ又は他の処置デバイス(例えば、神経調節デバイス)は有利には、S1椎骨分節の後部並びに腰椎分節内の同じ標的エリアにナビゲートすることが可能であり得る。さらに、幾つかの実施の形態によれば、脊椎の頚部及び胸部領域内の椎骨分節もまた標的にされ得る。
【0004】
腰椎体、仙椎体、又は他のレベルの椎体の後部内に処置デバイス(例えば、エネルギー又は流体送達カテーテル又はプローブ等の神経調節デバイス)を正確かつ予測可能に留置するために、幾つかの実施の形態では、デバイス又はプローブは、様々な密度の骨を通ってターゲットエリアにナビゲートし得る。しかし、骨の密度が様々であるため、骨の内部でデバイス又はプローブをナビゲートし、このデバイス又はプローブの位置決めが椎体の後部(例えば、正中線に対して後)又は後正中線部内になることを保証することは難しい可能性がある。本明細書で述べる神経調節デバイスは、本明細書において挙げる方法ステップのうちの任意のものを実行するように構成することができる。
【0005】
本発明の幾つかの実施の形態は、骨の内部で神経調節デバイス(例えば、無線周波数(RF)双極プローブ、マイクロ波エネルギー送達デバイス、又は流体若しくは薬剤送達デバイス)等の可撓性処置器具を展開及びナビゲートするシステム及び方法を対象とする。幾つかの実施の形態によれば、所定の湾曲経路に予測可能に追従する骨内の経路を生成するシステム及び方法が提供される。本明細書の幾つかの実施の形態は、主に、脊椎の椎骨部材の骨を通してナビゲートすること、特に、椎骨部材の椎体神経(BVN:basivertebral nerve)を処置することを対象とする。その処置はまた、身体のいかなる組織分節にも適用され得る。
【0006】
幾つかの実施の形態によれば、本発明は、有利には、様々な密度の海綿骨内での湾曲又は角度のナビゲーション、及び、ナビゲートされた湾曲又は角度の端における直線状チャネルの生成を容易にする。
【0007】
幾つかの実施の形態によれば、外側皮質骨領域及び内側海綿骨領域を有する椎体、並びに、椎体の外側皮質骨領域から椎体の内側海綿骨領域内に延在する神経幹及び神経幹から延在して椎体神経分岐点又は末端を画定する複数の神経枝を有する椎体神経を治療的に処置する方法が、a)1つ又は複数のエネルギーデバイスを椎体に挿入するステップと、b)椎体神経を除神経するため、椎体神経分岐点と外側皮質骨領域との間の椎体の内側海綿骨領域内(椎体神経分岐点及び外側皮質骨領域は除外する)にエネルギーを排他的に投入するステップとを含む。幾つかの実施の形態では、方法は、椎体神経分岐点又は末端において又はそれに近接して(例えば、その後に)エネルギー、流体、又は他の物質を投入又は送達することを含む。幾つかの実施の形態では、非エネルギー治療剤を送達するための送達プローブが、エネルギーデバイスの代わりに又はそれに加えて設けられる。
【0008】
幾つかの実施の形態では、入れ子式チューブ(tube-within-tube)は、直線状カニューレから展開する展開可能湾曲チューブ(例えば、ニチノール、又は、他の可撓性、弾性、若しくは形状記憶材料からなる)を備える。チューブは、直線状カニューレから完全に展開されると、約0度〜約180度(例えば、約45度〜約110度、約15度〜約145度、約30度〜約120度、約60度〜約90度、約10度〜約45度、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の角度)の角度範囲を作るように予め湾曲することができる。湾曲の設計は、可撓性要素(例えば、処置デバイスを保持するプローブ)が湾曲チューブの展開の角度範囲を通してナビゲートできるようなものとすることができる。湾曲チューブは、可撓性要素が、意図しない方向へ逸らすことなく海綿骨組織内の湾曲部を通ってナビゲートすることを可能にし得る。
【0009】
海綿骨の密度は人によって変動する。したがって、様々な密度の海綿骨内に湾曲チャネルを作ることは、可撓性要素が湾曲チャネルをナビゲートしようとするときに、予測可能に又は正確に処置デバイスを支持及び収容しない場合がある。幾つかの実施の形態によって、可撓性要素は湾曲チューブを通して骨の内部に展開され、湾曲チューブは可撓性要素が湾曲部を横断するときにこの可撓性要素をサポートし、それにより、可撓性要素がそれ自身の経路を形成する(channel)ことを防止する。可撓性要素(例えば、エネルギー又は薬剤送達プローブ)は、チューブから逸脱するときに、標的ゾーン又は標的位置に向かって直線方向に逸脱することができる。幾つかの実施の形態によれば、この設計は、ユーザーが、海綿骨の密度によらず、標的ゾーン又は位置に向けて可撓性要素(例えば、処置デバイス)を予測可能にかつ正確に展開することを可能にする。
【0010】
本発明の一実施の形態は、骨の内部に経路を形成するシステムを備える。システムは、中央チャネル及びその遠位先端の開口部を有するトロカールと、中央チャネル内に受け入れられ、遠位開口部に送達されるサイズに作られたカニューレと、を備える。カニューレは、予成形湾曲を有する偏向可能又は変形可能な先端を備えることができ、それにより、この先端は、トロカールを通って送達されている間は直線化され、トロカールの遠位開口部から出て開口部を通過して延在すると湾曲に移行して(例えば、その予成形湾曲を回復して)、偏向可能又は変形可能な先端の予成形湾曲に対応する湾曲経路を骨の内部に生成する。カニューレの少なくとも遠位先端又は遠位部は、弾性変形可能な材料(ニチノール又は他の形状記憶材料等)を含み得る。カニューレは、中央通路又は管腔を備えることができ、この中央通路又は管腔は、処置デバイスが骨内でこの中央通路を通って湾曲経路を越えた位置に送達されることを可能にするように構成される内径を有する。
【0011】
一実施の形態では、本システムは、トロカール内に設定するように構成されている直線状スタイレットを更に備え、この直線状スタイレットは、トロカールが骨の内部(例えば、椎体の内側海綿骨領域内)の処置位置まで送達される際にトロカールの遠位開口部を越えて延びることで骨に穿孔するように構成されている鋭利な遠位先端を含む。
【0012】
本システムの更なる実施の形態は、カニューレ内に導入されるように構成されている直線化スタイレットを更に備えることができ、この直線化スタイレットは、トロカール内に位置決めされたときに湾曲カニューレの遠位先端を直線化するように構成される剛性構造を含む。幾つかの一実施の形態では、直線化スタイレットは、骨に穿孔するための鋭利な遠位端を更に含み、直線化スタイレット及び湾曲カニューレは、トロカールが骨の内部に送達される際に、直線状スタイレットの代わりにトロカール内に設置又は挿入される。
【0013】
幾つかの一実施の形態では、本システムは、湾曲カニューレの中央通路の内部に適合するサイズに作られた外径を有する湾曲スタイレットを更に含む。湾曲スタイレットは、湾曲カニューレがトロカールの遠位開口部を越えて延びる間は、湾曲カニューレ内に設置又は挿入されるように構成されており、骨の内部に送達される間は、湾曲カニューレの遠位開口部を塞ぐように構成されている。幾つかの実施の形態では、湾曲スタイレットは有利には、湾曲カニューレの湾曲部に対応する湾曲した遠位端を有する。
【0014】
一実施の形態では、湾曲スタイレットは、カニューレがトロカールの遠位開口部を越えて送達される際に湾曲カニューレを越えて延びることで骨に穿孔するように構成されている鋭利な遠位先端を有する。湾曲スタイレットはまた、有利には、トロカールの遠位開口部を越えて骨の内部に送達される際に湾曲スタイレットのアールを更に支持及び維持するように構成されている角度付き遠位先端を含む。湾曲スタイレット及び湾曲カニューレは、湾曲スタイレットの湾曲部と湾曲カニューレの湾曲部とを位置合わせする嵌合近位端(例えば、視覚的印又は対応する物理的嵌合要素)を有し得る。一実施の形態では、角度付き遠位先端は鈍くされるか又は非鋭利である。
【0015】
一実施の形態では、本システムは、湾曲スタイレットを取り外した後で湾曲カニューレ内に設置されるように構成されている直線状の経路形成用(channeling)スタイレットを更に備え、この直線状の経路形成用スタイレットは、湾曲カニューレをナビゲートするように柔軟に変形可能であるが、湾曲カニューレを出ると直線形状を保つ。直線状の経路形成用スタイレットは、完全に延びた場合に湾曲カニューレの遠位端を越えて直線経路を形成するように湾曲カニューレよりも長さが長い。湾曲スタイレット及び/又は直線化(straightening)スタイレットは、非脊椎の実施の形態のために使用され得る。
【0016】
幾つかの実施の形態によれば、患者の体内の処置位置まで骨の内部に経路を形成する方法が提供される。一実施の形態では、本方法は、中央チャネルと遠位先端の開口部とを有するトロカールを、処置位置にあるか又は処置位置の近くにある骨の領域の内部に挿入することと、上記中央チャネルを通して上記遠位開口部までカニューレを送達することと、を含む。一実施の形態では、カニューレは、予成形湾曲部を有する偏向可能な又は変形可能な先端を備え、それにより、この先端は、トロカールを通って送達されている間は直線化され、トロカールを出ると湾曲に移行し(例えば、その予成形湾曲を回復し)、また、カニューレは、偏向可能な先端の予成形湾曲部に対応する湾曲経路を骨の内部に生成するようにトロカールの遠位開口部を越えて延在する。幾つかの実施の形態では、処置デバイスは、上記カニューレ内の中央通路又は管腔を通って湾曲経路を越えて処置位置まで送達され得る。処置デバイスは、エネルギー送達、流体送達、薬剤送達等を容易にし得る又は行い得る。
【0017】
一実施の形態では、トロカールを骨の領域の内部に挿入することは、スタイレットがトロカールの遠位開口部を越えて延びるようにスタイレットをトロカールに挿入することと、トロカールが処置位置まで送達される際にスタイレットが骨に穿孔するようにスタイレット及びトロカールを同時に骨の領域の内部に挿入することとを含む。
【0018】
一実施の形態では、中央チャネルを通してカニューレを送達することは、カニューレの中央通路に直線化スタイレットを挿入することと、トロカールに直線化スタイレット及び被直線化カニューレを同時に挿入することと、を含む。一実施の形態では、直線化スタイレットは、カニューレの湾曲遠位先端を直線化するように構成される剛性構造を含む。一実施の形態では、直線化スタイレットは、骨に穿孔するための鋭利な遠位端を更に備える。一実施の形態では、直線化スタイレット及びカニューレは、トロカールが骨の内部へ送達される際にトロカールとともに同時に設置される。
【0019】
一実施の形態では、遠位開口部を越えてカニューレを延ばすことは、湾曲スタイレットの遠位先端が湾曲カニューレの少なくとも遠位開口部に延びるように湾曲カニューレの中央通路に湾曲スタイレットを挿入することによって、かつ、骨の内部へ送達される間、湾曲スタイレットが湾曲カニューレの遠位開口部を塞ぐように、トロカールの遠位端から湾曲カニューレ及び湾曲スタイレットを同時に延ばすことによって行われる。
【0020】
幾つかの実施の形態では、湾曲スタイレットは、湾曲カニューレの湾曲部に対応する湾曲した遠位端を有し、それにより、湾曲スタイレットは、湾曲カニューレがトロカールの遠位開口部を越えて延びる際に湾曲カニューレの湾曲形状を強める。湾曲スタイレットは鋭利な遠位先端を有しており、そのため、湾曲スタイレットが湾曲カニューレの遠位開口部を越えて延在するとき、湾曲スタイレットは、湾曲カニューレがトロカールの遠位開口部を越えて送達される際に海線骨組織に穿孔するように構成される。幾つかの実施の形態では、湾曲スタイレットの遠位先端は、角度が付けられ、及び/又は鈍くされる。
【0021】
幾つかの実施の形態によれば、次いで、湾曲スタイレットを湾曲カニューレから取り外し、このカニューレの湾曲した遠位端に直線状の経路形成用スタイレットを挿入する。直線状の経路形成用スタイレットは、湾曲カニューレをナビゲートするように柔軟に変形可能にすることができるが、湾曲カニューレを出ると直線形状を保つ。直線状の経路形成用スタイレットは、有利には、湾曲カニューレの遠位先端を超えて直線チャネルを作るように湾曲カニューレよりも長くすることができる。
【0022】
幾つかの実施の形態では、トロカールは、皮質骨領域を通して椎体の海綿骨領域に挿入され、湾曲カニューレは、海綿骨領域の少なくとも一部分を通って、標的処置位置に又はその位置の近くに延ばされる。標的処置位置は、椎骨内の椎体神経を含み、椎体神経の少なくとも一部分(例えば、椎体神経の末端か、椎体神経の分岐点か、又は末端若しくは分岐点と後壁との間の椎体神経の部分)を調節(例えば、除神経、アブレーション、刺激、遮断(block)、撹乱(disrupt))するため、処置が標的処置位置に送達され得る。一実施の形態では、椎体神経の一部分は、集束された治療加熱(例えば、加熱量)を椎体神経の隔離領域に送達することによって調節される。別の実施の形態では、椎体神経の一部分は、薬剤を処置領域に送達して、処置をその領域に隔離することによって調節される。本発明の幾つかの実施の形態によれば、処置は、有利には、椎体神経の1つ又は複数の神経枝の下流にある椎体神経の位置に集束する。
【0023】
幾つかの実施の形態は、骨の内部に経路を形成するキットを含むことができる。本キットは、中央チャネルと遠位先端の開口部とを有するトロカールと、中央チャネル内に受け入れられるサイズに作られ、上記遠位開口部に送達される一組のカニューレから選択されるカニューレとを含む。カニューレは、予成形湾曲部を有する偏向可能又は変形可能な遠位先端を有しており、それにより、この先端は、トロカールを通って送達されている間は直線化され、トロカールの遠位開口部を出てこの開口部を越えて延びるとその予成形湾曲を回復することで、偏向可能な先端の予成形湾曲部に対応する湾曲経路を骨の内部に生成する。カニューレは、中央通路又は管腔を備えることができ、この中央通路又は管腔は、処置デバイスがこの中央通路又は管腔を通って骨内の湾曲経路を越えた位置まで送達されることを可能にするように構成される内径を有し、一組のカニューレは、遠位先端に様々な予成形湾曲部を有する1つ又は複数のカニューレを含む。
【0024】
幾つかの実施の形態では、1つ又は複数のカニューレは、遠位先端に様々な予成形アールを有する。加えて、1つ又は複数のカニューレはそれぞれ、トロカールの中央チャネルに対して様々な角度で終端する遠位先端を有することができる。遠位先端の長さもまた様々とすることができる。トロカールの中央チャネルに対する遠位先端の角度は、0度〜180度まで様々とすることができる。幾つかの実施の形態によれば、t(例えば、10度〜60度、15度〜45度、20度〜80度、30度〜90度、20度〜120度、15度〜150度、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の角度)。本キットは、トロカール内に設置されるように構成されている直線状スタイレットを更に備えることができ、この直線状スタイレットは、トロカールが骨の内部の処置位置まで送達される際にトロカールの遠位開口部を越えて延びて骨に穿孔するように構成されている鋭利な遠位先端を含む。本キットは、非脊椎の実施の形態に適合され得る。
【0025】
幾つかの実施の形態では、本キットは、湾曲カニューレの中央通路内に適合するサイズに作られた外側半径を有する一組の湾曲スタイレットを含み、各湾曲スタイレットは、湾曲カニューレがトロカールの遠位開口部を越えて延びる間、湾曲カニューレ内に設置されるように構成されている。湾曲スタイレットは、骨の内部に送達される間、湾曲カニューレの遠位開口部を塞ぐように構成され得る。一実施の形態では、各湾曲スタイレットは、一組の湾曲カニューレの中の整合する湾曲カニューレの湾曲部に対応する様々な湾曲した遠位端を有し得る。
【0026】
幾つかの実施の形態では、本キットは、一組の直線状の経路形成用スタイレットを含み、一組のスタイレットのうちの1つは、湾曲スタイレットを取り外した後でカニューレ内に設置されるように構成されている。直線状の経路形成用スタイレットは、湾曲カニューレをナビゲートするように柔軟に変形可能とすることができるが、湾曲カニューレを出ると直線形状を保つ。直線状の経路形成用スタイレットのそれぞれは湾曲カニューレよりも長い様々な長さを有しており、そのため、この直線状の経路形成用スタイレットは、完全に延びると湾曲カニューレの遠位端を越えて所定の長さの直線経路を作る。
【0027】
幾つかの実施の形態によれば、骨の内部に経路を形成するシステムが提供され、このシステムは、近位端、遠位端及び中央チャネルを有するトロカールを備え、中央チャネルは、トロカールの中心軸に沿って配設され、近位端から遠位端に向かって延びている。一実施の形態では、トロカールは、このトロカールの遠位端にあるか又はこの遠位端の近くにある半径方向開口部を備え、この半径方向開口部は中央チャネルと連通状態にある。幾つかの実施の形態では、本システムは上記中央チャネル内に受け入れられるサイズに作られ、近位端から上記半径方向開口部に向けて送達される湾曲可能又は操向可能なカニューレを更に備える。幾つかの実施の形態では、湾曲可能なカニューレは、半径方向開口部から横方向外向きに、トロカールから離れるように延びる湾曲経路内に延びるように構成されている湾曲可能及び/又は操向可能な遠位端と、中央通路と、を備え、この中央通路は、処置デバイス(例えば、プローブ、カテーテル)がこの中央通路を通って湾曲経路を越えた位置まで送達されることを可能にするように構成されている直径を有する。
【0028】
幾つかの実施の形態では、湾曲可能カニューレは、近位本体を有する近位端を備える。一実施の形態では、トロカールの近位端はハウジングを備える。ハウジングは、湾曲可能カニューレの近位本体の往復動(例えば、交互の前後運動又は他の振動性運動)を可能にするように構成される近位リセスを備え得る。ハウジングの近位リセスは、トロカールの中央チャネルと連通状態にあり得る。幾つかの実施の形態では、湾曲可能カニューレの近位本体は、トロカールハウジング内での並進に対して解放可能に拘束されるように構成される。幾つかの実施の形態では、システムは、カニューレの中央チャネル内に適合するサイズに作られたプローブを備える。プローブは、湾曲可能カニューレの近位本体内での並進に対して解放可能に拘束されるように構成される近位端を備え得る。一実施の形態では、プローブは、嵌合ねじ山を備え、嵌合ねじ山は、ドライブナットの遠位リセスの対応する嵌合ねじ山に嵌合して、ドライブナットに対するプローブの制御された並進を可能にする。
【0029】
幾つかの実施の形態では、脊椎治療システムが提供される。一実施の形態では、システムは、近位端と、遠位端と、中央チャネルと、を有するトロカールを備える。中央チャネルは、トロカールの中心軸に沿って配設され、近位端から遠位端に向かって延在し得る。一実施の形態では、トロカールは、トロカールの遠位端にあるか又はこの遠位端の近くにある半径方向開口部を備え、この半径方向開口部は中央チャネルと連通状態にある。一実施の形態では、トロカールは、皮質骨領域を通して椎体の海綿骨領域内に展開するように構成される。一実施の形態では、湾曲可能カニューレは、上記中央チャネル内に受け入れられ、近位端から遠位開口部に向けて送達されるように構成される(例えば、そのようなサイズに作られる)。湾曲可能カニューレは、中央通路と、トロカールから離れるように延在する湾曲経路内で半径方向開口部から横方向外向きに延在するように構成される湾曲可能及び/又は操向可能遠位端とを備え得る。湾曲経路は、椎体の海綿骨領域の少なくとも一部分を通して生成され得る。一実施の形態では、処置デバイス又はプローブは、中央通路を通して湾曲経路を超える位置に送達されるように構成される。トロカール、湾曲可能カニューレ、及び/又は処置デバイスは、骨組織に貫入するように構成される鋭利遠位端又は先端を有し得る。幾つかの実施の形態では、トロカール、湾曲可能カニューレ、及び/又は処置デバイスの遠位端は、丸みを帯びるか又は鈍らされる。幾つかの実施の形態では、トロカール、又は湾曲カニューレ若しくは湾曲可能カニューレの遠位端は、この遠位端から外に送達された後、この遠位端に引戻されるとき他のデバイスが捕捉することを防止するため内径及び/又は外径上で全半径を有する。
【0030】
幾つかの実施の形態によれば、患者の身体内で処置位置に対する経路を骨の内部に形成するための方法が提供される。骨は、椎体内にあるか又は椎体に近接する場合もあるし、非脊椎(例えば、膝又は他の関節)の場合もある。一実施の形態では、本方法は、トロカールを処置位置の近くの骨の領域内に挿入することを含む。一実施の形態では、トロカールは、近位端と、遠位端と、2つの端の間に配設される中央チャネルと、を備える。一実施の形態では、本方法は、湾曲可能カニューレを、中央チャネルを通して、湾曲可能カニューレの遠位端にあるか又はこの遠位端の近くにある半径方向開口部に送達することを含む。一実施の形態では、本方法は、トロカールから離れるように延在する湾曲経路内で半径方向開口部から横方向外向きに湾曲可能カニューレを展開することを含む。一実施の形態では、本方法は、湾曲経路内で湾曲可能カニューレを偏倚させるため、湾曲可能カニューレを(例えば、湾曲可能カニューレの遠位先端に結合されたプルコードによって、又は、他の操向機構によって)操向させることを含む。次いで、エネルギー及び/又は別の診断又は治療薬剤が、任意選択で、処置位置に送達される。
【0031】
幾つかの実施の形態によれば、背部痛を処置する方法が提供される。幾つかの実施の形態では、本方法は、処置のために椎体(例えば、慢性背部痛を処置するための標的)を同定することを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体の内側海綿骨領域内で処置ゾーン、エリア、又は部位を同定することを含む。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン、エリア、又は部位は、椎体の後部内(例えば、前後正中線の後ろ)である。幾つかの実施の形態では、処置ゾーンは、前後視からの椎骨の中間高さに対応する位置を含む。幾つかの実施の形態では、処置ゾーンの境界は、椎体の後壁から少なくとも1cm(例えば、1cm〜2cm、2cm〜3cm、3cm〜4cm、又はそれ以上)である。幾つかの実施の形態では、処置ゾーンは、後壁から椎孔までの距離を、椎体の後壁から前壁までの総距離のパーセンテージとして測定することによって決定される。
【0032】
幾つかの実施の形態では、処置ゾーンを同定することは、磁気共鳴イメージング(MRI)又はコンピュータ断層撮影(CT)イメージングモダリティ等のイメージング法を使用して術前に実施される。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン、部位、又は位置は、椎体の上終板表面と下終板表面との間でほぼ中間の高さである位置(前後視からのイメージング法によって同定され得る)に対応する。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン、部位、又は位置は、椎体の画像(例えば、前後及び/又は側部MRI又はCT画像)からの椎体の後壁から椎孔までの距離を、椎体の後壁から前壁までの総距離のパーセンテージとして測定することによって同定される。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン内に神経調節デバイスを挿入することは、(例えば、X線透視を使用した)視覚化の下で実施される。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン内で神経調節デバイスの遠位端部分を位置決めすることは、上述した、測定された距離パーセンテージに対応する位置に遠位端部分(及び、遠位端部分に位置付けられた電極等の任意のアクティブ要素)を位置決めすることを含む。幾つかの実施の形態では、パーセンテージは、処置される個々の被検者又は椎体について個々に測定されない標準化された距離パーセンテージである。幾つかの実施の形態では、処置ゾーン、部位、又は位置は、椎孔の末端にあるか又は末端に近接する(例えば、後ろの)位置に対応する。
【0033】
幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体の外側皮質骨領域を通して椎体の内側皮質骨領域に湾曲カニューレを挿入することを含む。湾曲カニューレは、予め湾曲された又は操向可能な遠位端を有する可撓性のカテーテル、チューブ、又は他の導管を備え得る。湾曲カニューレは、ニチノール、PEEK、又は、他の熱可塑性材料、形状記憶材料、又は弾性変形可能材料を含み得る。幾つかの実施の形態では、本方法は、湾曲カニューレ内に神経調節デバイスを挿入することを含む。神経調節デバイスは、エネルギー送達デバイス、流体送達デバイス、又は薬剤送達デバイスを含むことができる。流体は、化学薬剤等の薬剤を含む場合もあるし、含まない場合もある。一実施の形態では、化学薬剤は、溶菌剤を含む。
【0034】
種々の実施の形態では、エネルギー送達デバイスは、無線周波数エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギー、熱エネルギー、超音波エネルギー、及び/又は他の形態の電磁エネルギー、及び/又は、それらの2つ以上の組合せを送達するように構成される。幾つかの実施の形態によれば、エネルギーは、骨内神経(例えば、椎体神経又は骨内に部分的に若しくは完全に位置付けられた他の神経)を調節(例えば、除神経、アブレーション)するのに十分に骨内の組織(例えば、椎体)を加熱するように構成される。他の実施の形態では、エネルギーは、脊椎の外の、例えば、非脊椎関節において又は非整形外科用途(例えば、心臓処置、肺処置、腎臓処置、又は、他の器官及び/又はそれらの周囲神経の処置)において組織を処置するように構成される。エネルギーの温度は、40℃と100℃との間、50℃と95℃との間、60℃と80℃との間、75℃と95℃との間、80℃と90℃との間の範囲内に、その重複する範囲内に、又は挙げた範囲の間の任意の温度であり得る。幾つかの実施の形態では、処置の温度及び長さは、加熱量が神経を調節する(例えば、少なくとも一時的に、除神経する、アブレーションする、遮断する、撹乱する)のに十分である限り、変動する可能性がある。幾つかの実施の形態では、処置(例えば、エネルギーの送達)の長さは、約5分から約30分の範囲(例えば、約5分〜15分、約10分〜20分、約15分〜25分、約20分〜30分、その重複する範囲、15分、又は、挙げた範囲の間の任意の他のおよその時間長)である。幾つかの実施の形態では、神経調節デバイスは、処置ゾーンにおける神経の神経伝導を測定するセンサーを備える。
【0035】
エネルギー送達デバイスは、1つ又は複数のプローブ(例えば、無線周波数プローブ)を備え得る。幾つかの実施の形態では、プローブは、骨内の組織を加熱する電流を生成するように構成される1つ又は複数の電極を備える。一実施の形態では、プローブは、2つの電極を有する双極プローブを備える。2つの電極は、アクティブ電極とリターン電極とを備え得る。一実施の形態では、アクティブ電極は、無線周波数プローブの遠位先端に位置決めされた先端電極を備え、リターン電極は、2つの電極間で絶縁材料によってアクティブ電極から近位に離間されたリング電極を備える。一実施の形態では、リターン電極は、プローブ(例えば、無線周波数プローブ)の遠位先端に位置きめされた先端電極を備え、アクティブ電極は、リターン電極から近位に離間されたリング電極を備える。2つの電極は、約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は1cm離間され得る。種々の実施の形態では、電極は、円柱電極、先端電極、平板電極、湾曲電極、円電極、又は他の形状を備える。幾つかの実施の形態では、電極は電極アレイを備える。種々の実施の形態では、エネルギーの周波数は、約100kHzと1MHzとの間、400kHzと600kHzとの間、300kHzと500kHzとの間、350kHzと600kHzとの間、450kHzと600kHzとの間、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の周波数であり得る。
【0036】
一実施の形態では、エネルギー送達デバイスは、1つ又は複数の超音波変換器を有する超音波プローブを備える。超音波プローブは、神経を調節するのに十分な、高強度集束超音波エネルギー、低強度超音波エネルギー、又は他の形態の超音波エネルギーを送達するように構成され得る。超音波エネルギーは、キャビテーション又は非キャビテーションのために使用され得る。一実施の形態では、エネルギー送達デバイスは、神経を調節するのに十分な光エネルギーを送達するように構成されるレーザー又は光エネルギー送達デバイスを備える。一実施の形態では、エネルギー送達デバイスは、神経を調節するのに十分な放射を送達するように構成される。一実施の形態では、エネルギー送達デバイスは、神経の調節をもたらすのに十分なマイクロ波エネルギーを送達するように構成される1つ又は複数のマイクロ波アンテナを備えるマイクロ波エネルギー送達デバイスを備える。
【0037】
一実施の形態では、流体送達デバイスは、椎間板内の位置における温度変化をもたらすために使用される。例えば、流体送達デバイスは凍結融解壊死性流体を送達するために使用され得る。別の実施の形態では、流体送達デバイスは、治療とともに、熱を発生する領域を冷却する冷却用流体を送達するために使用され得る。幾つかの実施の形態では、湾曲カニューレの遠位部分は、神経調節デバイスの遠位端を椎体の正中線(又は、脊椎の外の他の処置エリア)に向けて誘導するように形作られる。幾つかの実施の形態では、流体送達デバイスの近位端は、流体源又はリザーバー(例えば、シリンジ、流体ポンプ)に結合される。幾つかの実施の形態では、流体送達デバイスは、カテーテル、チューブ、スリーブ、針、カニューレ、ウィッキングデバイス、又は流体を送達するように構成される他の導管を備える。流体は、神経破壊剤、化学療法剤、放射性物質、薬物(medication)、薬(drug)、医薬品(pharmaceutical)、アルコール、酸、溶剤、冷却剤、神経遮断剤、及び/又は他の化学薬剤を含み得る。
【0038】
幾つかの実施の形態では、本方法は、神経調節デバイスの遠位端を、上記カニューレの遠位開口部から出て椎体又は処置エリアの内側海綿骨領域内に前進させることを含む。遠位開口部は、軸方向開口部又は半径方向開口部であり得る。幾つかの実施の形態では、本方法は、上記神経調節デバイスの遠位端を、椎体又は処置エリアの処置ゾーン、エリア、部位、又は位置内に、そこに、又はそれに近接して位置決めすることを含む。
【0039】
幾つかの実施の形態では、本方法は、神経調節デバイスを使用して神経(椎体神経又は骨内神経)の少なくとも一部分の調節をもたらすことを含む。調節(例えば、神経調節)は、部分的な又は完全な及び/又は一時的な又は永久的な神経の遮断、撹乱、除神経、又はアブレーションを含むことができる。種々の実施の形態では、調節は、神経の無線周波数アブレーション、マイクロ波エネルギーアブレーション、化学アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、音響アブレーション、レーザーアブレーション、熱アブレーション、熱的加熱、冷却、機械的切断、神経調節、及び/又は刺激を含む。一実施の形態では、神経の刺激は、疼痛を示すシグナルの進行を遮断するために実施される。刺激は、機械的、電気的、又は電磁的刺激とすることができ、アブレーション又は調節に関して本明細書で述べるモダリティ又は方法のうちの任意のものによって実施され得る。刺激は、連続的又はパルス状であり得る。種々の実施の形態では、調節は、放射性インプラントによって又は外部放射線ビーム(例えば、電子ビーム、ガンマナイフ等)によって実施され得る。
【0040】
幾つかの実施の形態によれば、疼痛(例えば、背部痛)を処置する方法が提供される。幾つかの実施の形態では、本方法は、処置のための椎体等の処置ゾーン(例えば、おそらく疼痛を処置するための同定された疼痛源又は位置)を同定することを含む。幾つかの実施の形態では、処置ゾーンは、椎体神経の一部分(例えば、椎孔の主幹、分岐点、末端等)がその中に存在する可能性が高い椎体存在ゾーンを含む。幾つかの実施の形態では、処置ゾーンは、椎体神経の正確な位置を知ることなく同定される。幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体の後部内の内側海綿骨領域内で処置ゾーン、部位、領域、又は位置を同定することを含む。後部は、前後正中線の後ろのセクション又は後壁からの距離の、約10%と約50%との間、約20%と約50%との間、約10%と約40%との間の距離内の領域を含み得る。幾つかの実施の形態では、本方法は、神経調節デバイス(例えば、エネルギー及び/又は流体送達プローブ)の遠位端部分及びその上に配設された任意のアクティブ要素を、処置ゾーン内に又は処置ゾーンに近接して挿入することを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、エネルギー送達プローブによって椎体内の椎体神経の機能の調節を熱的に誘発することを含む。
【0041】
幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体の後部に対するアクセスを容易にするため、予め湾曲された遠位端部分を有するカニューレによって、椎体の正中線に向かって内側海綿骨領域内で湾曲経路を生成することを含む。幾つかの実施の形態では、湾曲カニューレを通した神経調節デバイスの挿入は、解剖学的制約のため幾つかのレベルの椎骨にとって難しい場合がある中心を外れたアクセスの代わりに、椎弓根を通るアプローチ(transpedicular approach)において椎弓根を直線状に通る(例えば、同心上に通る)アクセスを可能にする。幾つかの実施の形態では、本方法は、神経調節デバイスをカニューレによって作られた湾曲経路内に挿入することを含む。幾つかの実施の形態では、カニューレは、神経調節デバイスの遠位端部分を椎体の正中線に向かって誘導するように形作られる。幾つかの実施の形態では、本方法は、カニューレによって作られた湾曲経路を超えて、椎体の骨組織に貫入するように適合されるスタイレットをカニューレ内に挿入することを含む。
【0042】
幾つかの実施の形態によれば、背部痛を処置するため椎体を治療的に加熱する方法が提供される。幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体の内側海綿骨領域内で椎体神経の存在ゾーンを同定することを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、2つの電極を椎体に挿入することを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、2つの電極を存在ゾーン内に又はこの存在ゾーンに近接して位置決めすることを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、椎体神経を加熱するため、2つの電極間に加熱ゾーンを生成することを含む。例えば、第1の電極は、第1の電極と第2の電極との間に電流を生成するためアクティブ化され得る。電流は、骨組織内に熱を生成し得る。加熱ゾーンは、内側抵抗加熱ゾーン及び外側伝導性加熱ゾーンを備え得る。幾つかの実施の形態では、加熱ゾーンは、約0.5cmと2cmとの間(例えば、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1cm、1.1cm、1.2cm、1.3cm、1.4cm、1.5cm、1.6cm、1.7cm、1.8cm、1.9cm、2cm)の半径又は直径を有するように構成される。幾つかの実施の形態によれば、特定のサイズ及び形状の加熱ゾーン(また、場合によっては病変部)を形成することは、電極の直径及びアクティブな長さ、初期電力入力及び定常状態電力入力、処置の長さ、並びにデバイス制御温度等のパラメーターを調整することによって改善することができる。
【0043】
幾つかの実施の形態では、2つの電極を椎体に挿入することは、内側海綿骨領域内で第1の電極を有する第1のエネルギー送達プローブを挿入すること、及び、内側海綿骨領域内で第2の電極を有する第2のエネルギー送達プローブを位置決めすることを含む。幾つかの実施の形態では、2つの電極を椎体に挿入することは、内側の海綿骨領域内で2つの電極を有する単一のエネルギー送達プローブを挿入することを含む。
【0044】
幾つかの実施の形態では、2つの電極を存在ゾーン内に又はそれに近接して位置決めすることは、別個の下流調節(例えば、除神経、アブレーション)処置を必要とすることなく、単一加熱処置が椎体神経系全体を調節(例えば、除神経、アブレーション)するような位置に電極を位置決めすることを含む。幾つかの実施の形態では、2つの電極を存在ゾーン内に又はそれに近接して位置決めすることは、存在ゾーンにまたがるように2つの電極を位置決めすることを含む。幾つかの実施の形態では、2つの電極を存在ゾーン内に又はそれに近接して位置決めすることは、第1の電極を椎体の第1の側に位置決めすること、及び、第2の電極を椎体の第2の側に位置決めすることを含む(第1の側及び第2の側は、椎体の中心点を通って引かれる任意の線の対向する側である)。
【0045】
本発明の幾つかの実施の形態によれば、方法及びシステムは、椎体神経の正確な位置を知ることなく、椎体神経と接触状態で又は椎体神経に非常に近接して処置デバイスを位置決めすることを可能にする。少なくとも1つの電極を椎体神経に非常に近接して留置しようと試みるとき、当技術分野の教示において開示されるアプローチは多少問題がある。特に、椎体神経の位置は或る程度よく知られているが、椎体神経はX線透過性であるため、その正確な位置をX線によって容易には同定できない。椎体神経はまた著しく薄いため、椎体神経に非常に近接して電極を故意に留置することは、場合によっては問題となる場合がある。さらに、一実施の形態では、或る特定のRF電極が骨のかなり制限された体積だけを加熱するように見えるため、椎体神経に対する(vis-a-vis)電極の誤留置は、椎体神経を含まない骨の体積を加熱することをもたらす場合がある。骨内神経又は椎体神経に関する「極近接性(close proximity)」は、神経調節デバイスをアクティブ化すると又は神経調節デバイスが流体若しくは他の物質を送達すると神経が調節されるような位置に位置付けられることを意味することができる。
【0046】
本明細書で使用される用語「調節」又は「神経調節」は、その通常の意味を与えられるものとし、また、アブレーション、永久的な除神経、一時的除神経、撹乱、遮断、阻害、治療刺激、診断刺激、阻害、壊死、減感作(desensitization)、又は組織に対する他の作用を含むものとする。神経調節は、神経の(構造的及び/又は機能的)調節及び/又は神経伝達を指すものとする。調節は、神経に限定されず、また、他の組織に対する作用を含む場合がある。
【0047】
本発明の幾つかの実施の形態は、加熱ゾーン内でIONを治療的に処置(例えば、調節)するための、骨組織内での大きいがよく制御された加熱ゾーンの生成に関する。他の実施の形態は、非脊椎組織(例えば、神経)の調節を提供する。
【0048】
したがって、本発明の幾つかの実施の形態は、ION(例えば、椎体神経)に対する直接アクセスを必要とすることなく、IONを治療的に処置するための十分に大きな加熱ゾーンを臨床医が作ることを可能にするため有利である。本発明の幾つかの実施の形態は、こうした実施の形態が、(i)IONの正確な位置を知ることを必要とせず、(ii)IONに直接アクセスすることを必要とせず、及び/又は、(iii)臨床医が、隣接する健全な海綿骨組織、脊髄、又は対向する椎骨終板等の隣接構造を加熱することを回避することを可能にする制御された加熱プロファイルを有するため、特に有利である。
【0049】
幾つかの実施の形態によれば、骨の内部に経路を形成するシステムが提供される。本システムは、近位端と、遠位端と、中央チャネルと、を有するトロカールを備え得る。一実施の形態では、中央チャネルは、トロカールの中心軸に沿って配設され、近位端から遠位端に向かって延在する。一実施の形態では、トロカールは、トロカールの遠位端にあるか又は遠位端の近くにある遠位開口部を備え、遠位開口部は中央チャネルと連通状態にある。システムは、中央チャネル内に受け入れられ、トロカールの近位端から遠位開口部に向けて送達されるサイズに作られた湾曲カニューレを備え得る。一実施の形態では、湾曲カニューレは、湾曲カニューレの近位端にある直線状管状本体及び湾曲遠位端を備える。湾曲遠位端は、トロカールから離れるように延在する湾曲経路内で遠位開口部から横方向外向きに延在するように構成されることができ、湾曲カニューレは中央通路を備え、この中央通路は、プローブがこの中央通路を通って湾曲経路を越えた位置に送達されることを可能にするように構成される直径を有する。
【0050】
幾つかの実施の形態では、湾曲カニューレの遠位端は、トロカールを通して直線状構成で送達され、中心軸に対して或る角度で遠位開口部から外向きに湾曲構成で展開されるように変形可能である。種々の実施の形態では、トロカールの近位端はハンドルを備え、このハンドルは、中央チャネル内での湾曲カニューレの往復動を可能にするためトロカールの中央チャネルと連通状態にある近位リセスと、この近位リセスと連通状態にある横スロットとを有する。一実施の形態では、横スロットは、ハンドルの近位表面において近位リセスから半径方向外向きに延在する。スロットは、湾曲カニューレの挿入を可能にするように構成されることができ、それにより、湾曲カニューレの湾曲遠位端が近位リセスに挿入されると、直線状管状本体の中心軸がトロカールの中心軸に対して或る角度になる。一実施の形態では、湾曲カニューレは、挿入前に湾曲カニューレを直線化する直線化スリーブ又は他の構造を必要とすることなく、トロカール内に挿入することができる。
【0051】
一実施の形態では、横スロットは、湾曲カニューレの湾曲遠位端が近位リセス及び中央チャネルに入るように摺動可能に前進させられることを可能にするように構成される曲線下部表面を備え、それにより、直線状チャネルへの湾曲器具の挿入の容易さを促進する。一実施の形態では、横スロットの曲線下部表面は、湾曲カニューレの湾曲遠位端の半径に実質的に一致する半径を備える。
【0052】
幾つかの実施の形態では、システムは、直線状近位本体及び予成形湾曲遠位端を備える湾曲スタイレットを備える。一実施の形態では、湾曲カニューレは、湾曲経路を超えた位置への処置デバイスの送達を可能にするように構成されるカニューレチャネルを備える。湾曲カニューレの近位端は、カニューレハンドルを備えることができ、カニューレハンドルは、カニューレチャネル内での湾曲スタイレットの往復動を可能にするためカニューレチャネルと連通状態にある中央リセスと、中央リセスと連通状態にある横カニューレスロットとを有する。一実施の形態では、このカニューレスロットは、カニューレハンドルの近位表面において中央リセスから半径方向外向きに延在し、それにより、この横カニューレスロットは、湾曲スタイレットの予成形湾曲遠位端が中央リセスに挿入されると、直線状近位本体の中心軸がカニューレチャネルの中心軸に対して或る角度になるよう、湾曲スタイレットの挿入を可能にするように構成される。
【0053】
幾つかの実施の形態では、横カニューレスロットは、湾曲スタイレットの予成形湾曲遠位端が中央リセス及び中央チャネルに入るように摺動可能に前進させられることを可能にするように構成される曲線下部表面を備える。カニューレハンドルの曲線下部表面は、湾曲スタイレットの予成形湾曲遠位端の半径に実質的に一致する半径を備え得る。幾つかの実施の形態では、湾曲カニューレは、ねじ切りされた部分の周りにねじ込まれる止めナットを備え、ねじ切りされた部分は、カニューレハンドルの遠位でかつ直線状近位本体の近位にある。一実施の形態では、止めナットは、ねじ切りされた部分上に第1の位置を有するように構成される。止めナットは、トロカール内での湾曲カニューレの前進を抑制するように構成されることができ、それにより、止めナットが第1の位置にあるとき、カニューレの湾曲遠位端は、トロカールの遠位端を通り過ぎて延在しない。一実施の形態では、止めナットは、トロカールに関する湾曲カニューレの更なる並進を可能にするように構成される、ねじ切りされた部分上の第2の位置を備える。止めナットは、湾曲カニューレの湾曲遠位端をトロカールの遠位開口部から横方向外向きに延在させる前に、第2の位置まで回転され得るか、又はそうでなければ並進され得る。幾つかの実施の形態では、本システムは、中央通路を通って湾曲経路にあるか又は湾曲経路を超える位置に送達されるように構成される処置プローブ(例えば、RFエネルギー送達プローブ)を備える。
【0054】
幾つかの実施の形態によれば、上述した、トロカール、湾曲カニューレ、及び/又は湾曲スタイレットを使用して患者の椎体の内部に経路を形成する方法が提供される。本方法は、椎体にトロカールを挿入することを含む。トロカールは、本明細書で述べるトロカールの構造的特徴のうちの任意の特徴(例えば、スロット付きハンドル)を有して、挿入前に湾曲器具の直線化を必要とすることなく湾曲器具の挿入を容易にし、それにより、脊椎治療システムにおけるステップ及び/又は器具の数を低減し得る。幾つかの実施の形態では、本方法は、湾曲カニューレの湾曲遠位端を、湾曲カニューレの直線状管状本体の中心軸がトロカールの中心軸に対して或る角度になるようにトロカールハンドルの横スロットを通してトロカールハンドルの近位リセスに挿入することを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、湾曲カニューレをトロカールの近位リセス内に前進させることであって、それにより、湾曲カニューレの湾曲遠位端を直線化することを含む。一実施の形態では、本方法は、トロカールの近位端から遠位開口部に向かってトロカールの中央チャネル内で湾曲カニューレを前進させることと、湾曲経路をトロカールから半径方向外向きに生成するように湾曲カニューレの湾曲遠位端をトロカールの遠位開口部から横方向外向きに延在させることと、を含む。一実施の形態では、本方法は、処置プローブを、湾曲カニューレを通して、湾曲経路を超える位置に送達することを含む。
【0055】
幾つかの実施の形態では、本方法は、湾曲スタイレットを湾曲カニューレから後退させることと、トロカールから半径方向外向きに湾曲経路を超えて直線状経路を生成するように直線状スタイレットを湾曲カニューレ内に送達することと、を含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、直線状スタイレットを湾曲カニューレから後退させることと、処置プローブを、湾曲カニューレを通して、湾曲経路を超える位置に送達することと、を含む。
【0056】
幾つかの実施の形態によれば、自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するシステムが提供される。本システムは、近位端と、遠位端と、中央チャネルと、を備えるトロカールを備え得る。一実施の形態では、中央チャネルは、トロカールの中心軸に沿って配設され、近位端から遠位端に向かって延在し、トロカールは、このトロカールの遠位端にあるか又は遠位端の近くにある遠位開口部を備え、この遠位開口部は中央チャネルと連通状態にある。本システムはまた、中央チャネル内に受け入れられ、トロカールの近位端から遠位開口部に向けて送達されるサイズに作られた処置プローブを備え得る。一実施の形態では、処置プローブは、直線状近位端及び湾曲遠位端を備えるスタイレットを備える。一実施の形態では、湾曲遠位端は、トロカールを通って直線状構成で送達され、トロカールの中心軸に対して或る角度で遠位開口部から外向きに湾曲構成で展開されるように変形可能である。幾つかの実施の形態では、湾曲遠位端は、治療用量のエネルギーを処置位置に送達するように構成される処置デバイスを備える。
【0057】
幾つかの実施の形態では、処置プローブの湾曲遠位端は、椎体の海綿骨領域を通して形成するように構成される鋭利化された遠位先端を備える。幾つかの実施の形態では、処置デバイスによって送達される治療用量のエネルギーは、椎体に関連する椎体神経を除神経するように構成される。一実施の形態では、トロカールの近位端はハンドルを備え、このハンドルは、中央チャネル内での湾曲カニューレの往復動を可能にするため中央チャネルと連通状態にある近位リセスと、近位リセスと連通状態にある横スロットとを備える。一実施の形態では、横スロットは、トロカールのハンドルの近位表面において近位リセスから半径方向外向きに延在し、それにより、処置プローブの湾曲遠位端がトロカールの近位リセスに挿入されると、スタイレットの直線状近位端の中心軸がトロカールの中心軸に対して或る角度になるように、横スロットは、処置プローブの挿入を可能にするように構成される。横スロットは、処置プローブの湾曲遠位端がトロカールの近位リセス及び中央チャネルに入るように摺動可能に前進させられることを可能にするように構成される曲線下部表面を備え得る。一実施の形態では、曲線下部表面は、処置プローブの湾曲遠位端の半径に実質的に一致する半径を備える。
【0058】
幾つかの実施の形態では、本システムは、直線状近位本体及び鋭利化された遠位端を備える直線状スタイレットを備える。当該スタイレットは、トロカール内に設置されると、トロカールの遠位開口部から突出するように構成され得る。一実施の形態では、スタイレットは、椎体の皮質骨領域を通ってトロカールを前進させるための衝当表面を備える。一実施の形態では、処置プローブは、椎体の海綿骨領域を通って処置プローブを前進させるための衝当表面を有するハンドルを備える。
【0059】
一実施の形態では、処置プローブの遠位端は、複数の円周方向逃げ付き(circumferentially relieved)セクションを備える。一実施の形態では、処置プローブの遠位端は、双極RF処置デバイスを形成する一対のリング電極を備える。幾つかの実施の形態では、処置プローブのスタイレットは、湾曲遠位端から直線状近位端まで延在する縦チャネルを備え、このチャネルは、一対のリング電極に結合された可撓性リードを収容するように構成される。一実施の形態では、プローブハンドルは、電力源を可撓性リードに結合させるためのコネクタを備える。
【0060】
幾つかの実施の形態によれば、自己誘導式処置デバイスを骨の内部に送達するための方法が提供される。本方法は、トロカールを骨に挿入することを含み得る。トロカールは、本明細書で述べるトロカールの構造的特徴のうちの任意の特徴(例えば、スロット付きハンドル)を備えて、挿入前に、湾曲器具の直線化を必要とすることなく湾曲器具の挿入を容易にし、それにより、処置システムにおけるステップ及び/又は器具の数を低減し得る。一実施の形態では、本方法は、処置プローブ(上述した処置プローブ等)の湾曲遠位端を、処置プローブの直線状管状本体の中心軸がトロカールの中心軸に対して或る角度になるように横スロットを通してトロカールの近位リセスに挿入することを含む。本方法は、処置プローブをトロカールの近位リセス内に前進させることであって、それにより、処置プローブの湾曲遠位端を、挿入前ではなく、挿入時に(例えば、スリーブ又は他の拘束具によって)直線化することを含み得る。一実施の形態では、本方法は、トロカールの近位端から遠位開口部に向かってトロカールの中央チャネル内で処置プローブを前進させることと、湾曲経路をトロカールから半径方向外向きに生成するように処置プローブの湾曲遠位端をトロカールの遠位開口部から横方向外向きに延在させることとを含む。一実施の形態では、本方法は、治療用量のエネルギーを、骨内の処置位置に送達することを含む。幾つかの実施の形態では、治療用量のエネルギーは、椎体に関連する椎体神経を除神経するように構成される。一実施の形態では、治療用量のエネルギーを処置位置に送達することは、椎体神経を除神経するためのRFエネルギー送達することを含む。
【0061】
幾つかの実施の形態では、システムは、直線状近位本体及び湾曲遠位端を備える湾曲スタイレットを備え得る。湾曲スタイレットは、内側コア及び外側層を更に備え得る。幾つかの実施の形態では、内側コアは弾性金属合金を含む。幾つかの実施の形態では、外側層はポリマーを含む。幾つかの実施の形態では、内側コアの直径は内側コアの長さに沿って一定である。幾つかの実施の形態によれば、製造中、湾曲スタイレットの硬質性は、内側コアの直径、外側層の壁厚、又はその組合せを操作することによって変更することができる。湾曲スタイレットは、トロカール内に設置されると、トロカールの遠位開口部から突出するように構成され得る。
【0062】
幾つかの実施の形態によれば、湾曲スタイレットを製造する方法が提供される。本方法は、内側コアを設けること、また、幾つかの実施の形態では、一定の直径の内側コアを設けることを含み得る。本方法は、内側コアの少なくとも一部分を外側層で覆うことを含み得る。幾つかの実施の形態では、内側コアは弾性金属合金を含む。幾つかの実施の形態では、外側層はポリマーを含む。幾つかの実施の形態では、本方法は、所望の硬質性を達成するため、内側コアの直径、外側層の壁厚、又はその組合せを操作することを含み得る。
【0063】
上記で要約されまた以下で更に詳細に述べられる方法は、専門家によって行われる或る特定の行為を述べる。しかし、それらの方策がまた、別の関係者による行為の指示を含む可能性があることが理解されるべきである。そのため、「治療用量のエネルギーを送達すること」等の行為は、「治療用量のエネルギーの送達を指示すること」を含む。本発明の実施の形態の更なる態様は、本明細書の以下の部分で論じられる。図面に関して、1つの図からの要素は、他の図からの要素と組み合され得る。
【0064】
本発明の幾つかの実施の形態は、単に説明目的である添付の図面の参照によって、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】骨の内部に湾曲経路を生成するシステムの一実施形態を示す図である。
図2図1のシステムの一実施形態の断面図である。
図3】皮質シェルを貫通する経路があけられた椎体の一実施形態の断面図である。
図4A】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図4B】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図4C】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図4D】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図4E】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図4F】幾つかの実施形態に係る、椎体神経にアクセスする方法を示す図である。
図5】骨の内部に湾曲経路を生成するシステムの代替的な実施形態を示す図である。
図6】椎体の内部に設置されている、図5のシステムの一実施形態を示す図である。
図7A】湾曲スタイレットの実施形態を示す図である。
図7B】湾曲スタイレットの実施形態を示す図である。
図8】骨の内部に湾曲経路を生成するシステムの一実施形態の斜視図である。
図9図8のシステムの分解図である。
図10A】手順中の、展開の種々の可能な段階における、図8のシステムの一実施形態の概略図である。
図10B】手順中の、展開の種々の可能な段階における、図8のシステムの一実施形態の概略図である。
図10C】手順中の、展開の種々の可能な段階における、図8のシステムの一実施形態の概略図である。
図10D】手順中の、展開の種々の可能な段階における、図8のシステムの一実施形態の概略図である。
図10E】手順中の、展開の種々の可能な段階における、図8のシステムの一実施形態の概略図である。
図11】椎体の内部へのシステムの導入時の、図8のシステムの一実施形態の近位端の断面図である。
図12】椎体の内部へのシステムの導入時の、図8のシステムの一実施形態の遠位端の側面図である。
図13】椎体の内部への湾曲可能なカニューレの展開後の、図8のシステムの一実施形態の近位端の断面図である。
図14】椎体の内部への湾曲可能なカニューレの展開後の、図8のシステムの一実施形態の遠位端の側面図である。
図15】駆動ナットが後退した、図8のシステムの一実施形態の近位端の断面図である。
図16】椎体の内部へのプローブの展開後の、図8のシステムの一実施形態の近位端の断面図である。
図17】椎体の内部へのプローブの展開後の、図8のシステムの一実施形態の遠位端の側面図である。
図18A】湾曲可能なカニューレが収容位置にある、図8のシステムの一実施形態の遠位端の側面図である。
図18B】湾曲可能なカニューレが展開位置にある、図8のシステムの一実施形態の遠位端の側面図である。
図19A】骨の内部に湾曲経路を生成する代替的なシステムの一実施形態の斜視図である。
図19B】展開形態にある、図19Aのシステムを示す図である。
図20】骨を通って経路を形成するための、スロット付きトロカールを有するシステム又はキットの側面図である。
図21】スタイレットがトロカール及び湾曲カニューレ内に設置された状態の、図20のシステムの一実施形態の斜視図である。
図22図20のトロカールの一実施形態の断面図である。
図23図20のトロカールの一実施形態の断面図である。
図24A】湾曲カニューレがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図20のトロカールの実施形態の断面図である。
図24B】湾曲カニューレがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図20のトロカールの実施形態の断面図である。
図24C】湾曲カニューレがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図20のトロカールの実施形態の断面図である。
図25図20のスロット付き湾曲カニューレの一実施形態の断面図である。
図26図20のスロット付き湾曲カニューレの一実施形態の上面図である。
図27】自己誘導湾曲可能処置デバイスの一実施形態の斜視図である。
図28図27の湾曲可能処置デバイスの一実施形態の断面図である。
図29図27のスロット付きトロカールの一実施形態の断面図である。
図30図27のスロット付きトロカールの一実施形態の上面図である。
図31A】湾曲可能処置デバイスがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図30のトロカールの実施形態の断面図である。
図31B】湾曲可能処置デバイスがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図30のトロカールの実施形態の断面図である。
図31C】湾曲可能処置デバイスがトロカール内で考えられる様々な挿入段階にある状態の、図30のトロカールの実施形態の断面図である。
図32】完全に展開された状態にある、図27の処置デバイスの遠位端の一実施形態の斜視図である。
図33図27の湾曲可能処置デバイスの一実施形態の遠位端の斜視図である。
図34】経路が皮質シェルを通して穿孔された状態の、椎体の一実施形態の断面図である。
図35A】椎体を通る、考えられる様々な展開段階を通した図27の自己誘導湾曲可能処置デバイスの実施形態を示す図である。
図35B】椎体を通る、考えられる様々な展開段階を通した図27の自己誘導湾曲可能処置デバイスの実施形態を示す図である。
図35C】椎体を通る、考えられる様々な展開段階を通した図27の自己誘導湾曲可能処置デバイスの実施形態を示す図である。
図36A】サムホイールを有する近位ハンドルを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図36B】サムホイールを有する近位ハンドルを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図36C】サムホイールを有する近位ハンドルを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図36D】サムホイールを有する近位ハンドルを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図37A】スロット付きハイポチューブを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図37B】スロット付きハイポチューブを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図37C】スロット付きハイポチューブを有する操向可能プローブの一実施形態を示す図である。
図38A】人間工学的な設計及びサムホイールを有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図38B】人間工学的な設計及びサムホイールを有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図38C】人間工学的な設計及びサムホイールを有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図39A】「スティックシフト(stick shift)」タイプ構成のプリセット角度を有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図39B】「スティックシフト」タイプ構成のプリセット角度を有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図39C】「スティックシフト」タイプ構成のプリセット角度を有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図39D】「スティックシフト」タイプ構成のプリセット角度を有する操向可能プローブ近位ハンドルの実施形態を示す図である。
図40A】操向可能プローブ遠位端の実施形態を示し、骨内の湾曲経路内でプローブを誘導するための巻上げられたセラミック遠位先端を有する遠位端を示す図である。
図40B】操向可能プローブ遠位端の実施形態を示し、骨内の湾曲経路内でプローブを誘導するための巻上げられたセラミック遠位先端を有する遠位端を示す図である。
図40C】操向可能プローブ遠位端の実施形態を示し、骨内の湾曲経路内でプローブを誘導するための巻上げられたセラミック遠位先端を有する遠位端を示す図である。
図41A】操向可能スリーブ及びパッシブ操向式(passively steered)プローブを備える操向可能プローブシステムの複数の実施形態を示す図である。
図41B】操向可能スリーブ及びパッシブ操向式プローブを備える操向可能プローブシステムの複数の実施形態を示す図である。
図41C】操向可能スリーブ及びパッシブ操向式プローブを備える操向可能プローブシステムの複数の実施形態を示す図である。
図41D】操向可能スリーブ及びパッシブ操向式プローブを備える操向可能プローブシステムの複数の実施形態を示す図である。
図41E】操向可能スリーブ及びパッシブ操向式プローブを備える操向可能プローブシステムの複数の実施形態を示す図である。
図42A】操向可能内側プローブ及び後退可能スリーブを有する1器具設計を備える操向可能プローブシステムの一実施形態を示す図である。
図42B】操向可能内側プローブ及び後退可能スリーブを有する1器具設計を備える操向可能プローブシステムの一実施形態を示す図である。
図42C】湾曲スタイレットの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明の幾つかの実施形態は、骨内で神経調節デバイス(例えば、無線周波数(RF)双極エネルギー送達デバイス、マイクロ波エネルギー送達デバイス、又は流体若しくは薬剤送達デバイス)等の処置器具を展開しナビゲートするシステム及び方法を対象とする。本明細書で述べるシステム及び方法は主に、脊椎の椎骨部材の骨を通してナビゲートすること、特に椎骨部材の椎体神経(BVN)を処置することを対象とするが、処置は、身体のいかなる神経及び/又はいかなる組織分節にも適用され得る。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、本明細書で述べる背面痛を処置するか又は骨内神経の神経調節を容易にするシステム及び方法は、外科的切除無しで、全身麻酔無しで、及び/又は血液喪失が事実上ない状態で実施することができる。幾つかの実施形態では、本明細書で述べる背面痛を処置するか又は骨内神経の神経調節を容易にするシステム及び方法は、必要である場合、容易な再処置を容易にする。本発明の幾つかの実施形態によれば、難易度が高いか又はアクセスするのが難しい位置において好結果の処置を実施することができ、骨構造に応じてアクセスを変動させることができる。これらの利点の1つ又は複数はまた、脊椎の外の組織(例えば、他の整形外科応用又は他の組織)の処置に適用される。
【0068】
図1及び図2は、骨を通って経路を形成するシステムすなわちキット10を含む一実施形態を示す。本システムは針トロカール20(器具セットの本体)を含む。トロカール20は、その近位端32にあるハンドル24と、トロカール20の遠位端22まで貫通するトロカールチャネル36と、を有する細長いシャフト28を含む。トロカールチャネル36は概して、システム10における他の器具が患者内の処置領域まで摺動可能に導入されることを可能にするサイズに作られる。システム10は、軟組織及び皮質シェルを貫通して初期経路を作って海綿骨へのアクセスを可能にするのに針トロカール20とともに用いられる鋭利な先端付き針84をその遠位端に有する直線状スタイレット80と、骨/組織の内部に湾曲経路を作る/維持するのに用いられる湾曲カニューレ50とを更に含む。湾曲部を直線化するとともに、湾曲カニューレ50を針トロカール20に装填するのに直線化スタイレット40が用いられ得る。骨/組織の内部に湾曲経路を作るのに、湾曲スタイレット60を湾曲カニューレ50と併用することができ、湾曲カニューレ50によって作られた湾曲経路の端を越えて(RFプローブ100のような)処置デバイスのための作業用チャネルを作るのに経路形成用スタイレット90が用いられる。
【0069】
記載の手術用デバイス及び手術用システムを用いて、数多くのタイプの処置デバイスを体の様々な領域に送達することができる。デバイス及びシステムの実施形態は、骨を通って誘導する際に特に有用であるが、一実施形態では、軟組織又は体内のチャネルすなわち管腔、特に或る管腔が別の管腔から分岐し得る場所を通ってナビゲートするのにも用いることができる。
【0070】
以下の例は、椎体の内部に湾曲した骨経路を生成するために、より詳細には、脊椎の内部の標的領域にアクセスするのに椎弓根を通るアプローチを介して骨経路を作るために適用されるシステム10を示す。特に、システム10の実施形態は、処置デバイスを送達して骨内神経、特に椎体神経を処置するか又はアブレーションするのに使用され得る。本システム及び本方法は、椎体神経にアクセスする際に有意な利点を与えるが、幾つかの実施形態によれば、システム10は、身体の任意の部分(上腕骨、大腿骨、骨盤、腓骨、脛骨、尺骨、橈骨等)に骨経路を作るために同様に使用され得る。
【0071】
図3は、椎骨120の断面図を示す。近年、ヒトの椎体の内部に多量の骨内神経122及び神経枝130(椎体神経)が存在することが同定された。椎体神経122は、その神経122に沿った位置に少なくとも1つの出口点142を有し、この出口点において神経122は椎体126を出て椎孔132に入る。腰痛のための最小侵襲性介入処置は、既存の非外科的保存治療又は脊椎椎体固定術を含む脊椎外科処置に対する有望な代替法である。椎体神経は、椎体の海綿骨に対する神経支配を提供し得る。椎体神経は、大きな後部神経血管孔を通して椎骨に入る椎骨静脈を伴う。椎体神経は、5mmと8mmとの間の長さ及び0.25mm〜0.5mmの直径を有する分節を備え得る。椎体神経は、骨内ソースから痛覚受容性シグナルを伝達すると信じられている。したがって、椎体神経の調節(例えば、機能低下、アブレーション)は、本明細書の幾つかの実施形態では、慢性又は急性背部痛を低減するために提供される。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、椎体神経は、出口点142にあるか又は出口点142に非常に近接している。幾つかの実施形態では、出口点142は椎体神経に沿った位置にあり、この出口点において椎体神経は椎体を出る。したがって、椎体神経122の標的領域は、骨の海綿状部分124内で(すなわち外側皮質骨領域128の内部で)かつ複数の神経枝130を有する椎体神経122の分岐点Jに近接して位置付けられる。この標的領域における処置は、調節する(例えば、椎体神経系全体を除神経するか又はその他の方法で系全体に影響を及ぼす)のに椎体神経122の単一の部分だけが効果的に処置される必要があることから有利である。処置は、一実施形態によれば、椎体の前端と後端との間の距離の60%(地点A)と90%(地点B)との間に位置する椎体の領域に的を絞ることによって行われる可能性がある。幾つかの実施形態では、処置は、分岐点Jに又は分岐点Jに近接して(例えば、その後部に)位置付けられる。幾つかの実施形態では、分岐点Jよりも下流の位置における椎体神経122の処置は、各神経枝130の除神経を必要とする。標的領域は、MRI又はCT画像から等、術前イメージングによって同定又は決定され得る。種々の実施形態では、処置は、椎体の外側皮質壁から1cm以上のところの領域に、椎体の後部外壁から前部外壁までの距離の50%又は約50%を中心にする領域内に、及び/又は、椎体の後部外壁から前部外壁までの距離の10%と90%との間(例えば、約10%と約60%との間、約20%と約80%との間、約35%と約65%との間、約5%と約65%との間、約10%と約55%との間、又はその重複する範囲)にある領域内に位置する椎体の領域に的を絞ることによって行うことができる。
【0073】
種々の実施形態では、分岐点Jは、椎体孔の末端の位置に、椎体神経122の主幹と初期下流神経枝との間の分岐点に、初期下流神経枝の少なくとも1つの神経枝とそのそれぞれの副神経枝との間の分岐点に対応する位置に、又は、椎体神経122に沿う他の位置に位置する。
【0074】
幾つかの実施形態によれば、椎体神経にアクセスする1つのアプローチは、手術用器具によって患者の皮膚に貫入することを伴い、次いで、この手術用器具を用いて、所望の椎体神経に、例えば経皮的にアクセスする。一実施形態では、椎骨皮質に貫入して椎体神経122にアクセスするのに椎弓根を通るアプローチが用いられる。横突起134と棘突起136との間には、椎弓根138を通って椎体126の海綿骨領域124に至ることで、神経122の基部にあるか又はこの基部の近くにある領域にアクセスするための通路140が作られる。一実施形態では、神経にアクセスするのに後外側からのアプローチ(図示せず)も用いることができる。椎弓根を通るアプローチ、後外側からのアプローチ、椎体孔アプローチ、及び他のアプローチは、参照によりその全体が本明細書に組込まれる米国特許第6,699,242号に、より詳細に記載されている。
【0075】
図4A図4Fは、システム10を用いて椎体神経にアクセスする一実施形態を示す。最初に、直線状スタイレット80を、針トロカール20の近位端32にある孔26に挿入することができる。近位止め部82がトロカール20のハンドル24に当接するまで、直線状スタイレット80をトロカール20のトロカールチャネル36(図2を参照)内を下方に前進させることができ、当接した地点で直線状スタイレットの遠位先端84がトロカール20の遠位端22から突き出る。一実施形態では、直線状スタイレット80の先端84は、軟組織及び骨に穿孔するための鋭利な先端を含む。
【0076】
ここで図4Aを参照すると、幾つかの実施形態では、アセンブリ(トロカール20及び直線状スタイレット80)を、軟組織を通って骨の表面まで前進させる。適切な位置合わせが確定されると、アセンブリを、椎弓根138の皮質シェルを貫通して骨の海綿状内部構造部124まで前進させることができる。
【0077】
幾つかの実施形態では、適切な深さに達した後、トロカール20を椎骨120の内部に固定したまま、直線状スタイレット80をトロカール20から取り外す。次いで、直線化スタイレット40を、湾曲カニューレ50の近位孔52(図2を参照)に挿入し、このスタイレット40の止め部42が湾曲カニューレ50の近位端まで当接するまで湾曲カニューレの中央管腔に沿って前進させることができる。幾つかの実施形態では、この前進により、直線状スタイレットの遠位先端が湾曲カニューレ50の湾曲セクション56に押し通されてこの湾曲部56を直線化する。幾つかの実施形態では、直線状スタイレットは硬い非柔軟性材料を含み、湾曲カニューレ50の遠位端56は、柔軟であるが記憶を保持する材料(例えばニチノール、成形PEEK等)を含み、そのため、湾曲セクション56は、直線化スタイレット40が導入されるとこのスタイレットの剛性に屈するが、スタイレット40が取り外されるとこの湾曲セクションの元の湾曲形状を保つ。
【0078】
図4Bに示されているように、直線化スタイレット40が固定され、湾曲カニューレ50が真っ直ぐになると、直線化スタイレット40及び湾曲カニューレ50を共に針トロカール20に挿入して固定することができる。湾曲カニューレ50の上部57の平坦部と、針トロカール20のハンドル24に垂直に固定された位置合わせピンとを位置合わせすることによって、適正な位置合わせ(例えば、回転防止、展開時の湾曲方向の向き)を維持することができる。他の位置合わせ要素(例えば、線、テキスト、形、向き、又は色付け等の視覚的印)を用いてもよい。幾つかの実施形態では、湾曲カニューレ50が固定されると、湾曲カニューレ50をトロカール20内に固定したまま、直線化スタイレット40を取り外す。
【0079】
図4Cを参照すると、幾つかの実施形態によれば、次いで、小管68を近位側から遠位側へ遠位先端64に向けてそのシャフト上で又は遠位先端64から近位側へ近位端62に向けてそのシャフト上で摺動させることによって、湾曲スタイレット60を直線化することができる。幾つかの実施形態では、湾曲した遠位先端66が直線化され、小管68の内側に完全に後退すると、湾曲スタイレット60を、依然として針トロカール20内にある湾曲カニューレ50の近位孔52に挿入することができる。湾曲スタイレット60が湾曲カニューレ50内へ前進する際に、小管68は止め部55(図4Cを参照)と合わさることができる。湾曲スタイレット60が前進し続けると、小管68は湾曲カニューレ50のハンドルの内部に保持することができる。これにより、スタイレット60の湾曲部を湾曲カニューレ50の内部に露出させることを可能にすることができる。最大限の力を生むために、2つの部品(50及び60)の湾曲部を位置合わせすることができる。位置合わせを容易にするために、湾曲スタイレット60のキャップは、湾曲カニューレ50の近位端の位置合わせノッチ52と係合する位置合わせピン70を有することができる。他の位置合わせ要素(例えば、線、テキスト、形、向き、又は色付け等の視覚的印)を用いてもよい。
【0080】
スタイレット60が完全に着座し、湾曲カニューレ50と位置合わせされると、湾曲スタイレット60の先端が湾曲カニューレ50の先端から約1/16インチ〜3/16インチだけ突出することができる。この突出は、展開時に湾曲部をその向きの方向に駆動させる助けとなることができる。
【0081】
ここで図4Dを参照すると、幾つかの実施形態によれば、湾曲スタイレット60と湾曲カニューレ50とが係合した状態で、湾曲カニューレ50の頂部にある係止ナット58を反時計回りに回転させてカニューレ50及びスタイレット60を針トロカール20に対して前進させることを可能にすることができ、それによって、近位端52が係止ナット58に載るか又は当接することで、湾曲カニューレ50及び湾曲スタイレット60をトロカール20の遠位開口部を越えて前進させて、海綿骨領域124の内部に湾曲経路を生成する。湾曲カニューレ50及び湾曲スタイレット60は、前進するにつれて、海綿骨を通って0.4インチ〜1.0インチの半径で湾曲し、約0度〜約180度の角度(例えば、約5度〜約110度、約45度〜約110度、約15度〜約145度、約30度〜約120度、約60度〜約90度、約10度〜約45度、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の角度)まで弧をなすことができる。湾曲カニューレ50及び湾曲スタイレット60が目的角度まで展開すると、湾曲カニューレ50の頂部にある係止ナットが針トロカール20と係合して、湾曲スタイレットと湾曲カニューレのアセンブリのいかなる更なる前進も止めることができる。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、図7A及び図7Bは、2つの角度で形成されている、湾曲スタイレット60の先端を示す。適切な方向への湾曲部の展開を助けるために、湾曲スタイレット60の湾曲部66は所定の向きに成形することができる。湾曲部72の内側の角度は湾曲部74の外側の角度よりも小さくすることができる。一実施形態によれば、この角度差は、骨が湾曲面74の外側に押し当たることで展開時に湾曲アールが維持されることが確実となるため、スタイレットとカニューレのアセンブリ(まとめて50、60)が骨の内部で湾曲することを助ける。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、ここで図4Eを参照すると、次いで、湾曲スタイレット60を取り外し、経路形成用スタイレット90に置き換えることができる。経路形成用スタイレット90の先端94を、湾曲カニューレ50の端54を越えて対象の標的処置ゾーンに向けて前進させることができる。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、ここで図4Fを参照すると、経路形成用スタイレット90が標的処置ゾーンに達すると、経路形成用スタイレット90を取り外すことで作業用チャネルを形成する。幾つかの実施形態では、チャネル140は概して、椎弓根138の皮質骨を横断する第1の部分142とこれに続く湾曲経路とを有する。これらのセクションは湾曲カニューレ50が占めることができるため、このカニューレ50を通して給送される処置デバイスは、カニューレ50の湾曲部を辿らざるを得ず、別の方向に逸れることがない。チャネル140は、処置デバイスを処置部位Tに向けて更に前進させるために、海綿骨124の内部に直線延長部146を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、処置部位Tは、神経122の末端(例えば、椎体孔の末端又は椎体神経の主幹とその副神経枝との間の分岐点)の位置に対応する。幾つかの実施形態では、処置部位又は位置Tは、椎体神経122の正確な位置を知ることなく同定される。
【0085】
トロカール20及び湾曲カニューレ50が依然として適所にある状態で、細長い可撓性カテーテル110の遠位端104に能動要素102を有する処置デバイス(例えば、図2に示されている処置プローブ100)が、標的処置位置Tまで送達され、局部処置を行うことができる。幾つかの実施形態では、標的処置位置Tは、トロカール20を導入する前に、磁気共鳴(MR)イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、又は他のイメージングモダリティによって同定される。トロカール20、湾曲カニューレ50、処置デバイス、及び/又は他の器具の導入は、X線透視又は他のイメージングを使用してリアルタイムに視覚化されて、標的処置位置内での適切な導入及び向きを確保することができる。幾つかの実施形態によれば、処置(例えば、神経調節)は、複数レベルの椎骨において(1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの処置デバイスによって同時に又は順次に)実施することができる。そのレベルは隣接するか又は離間され得る。例えば、処置は、L4レベル及びL5レベルで、L3レベル〜L5レベルで、L5レベル及びS1レベルで、又は、腰椎、仙骨、頸椎、若しくは胸椎レベルの他の組合せにおいて実施することができる。幾つかの実施形態では、単一の処置システム若しくはデバイス(例えば、発生器、及び1つ又は複数の電極対を有する1つ又は複数の無線周波数プローブ)又は複数の処置システム若しくはデバイス(例えば、それぞれが、1つ、2つ、3つ、又はそれより多い無線周波数プローブを有する2つ以上の発生器)が、処置を施すために使用される。一実施形態では、複数の処置プローブは、互いに及び/又は単一の発生器又は他のエネルギー発生モジュールに、デイジーチェーン接続されるか又はそうでなければ可逆的に若しくは一体的に結合されて(又は、それと一体となって)、離間する複数レベルの椎骨を同時に処置することができる。幾つかの実施形態では、「y」形状デバイスが使用され得る。種々の実施形態では、処置デバイスは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多いエネルギー源(例えば、電極)を備え、それらのエネルギー源は、1つ又は複数の接続部材又は要素によって接続されて、エネルギー源を離間させ、それにより、複数レベルの椎骨を同時に処置することができる。2つ以上の椎骨の同時の処置は、無線周波数又は他の治療モダリティ(超音波、放射線、蒸気、マイクロ波、レーザー、凍結アブレーション等)によって処置され得る。幾つかの実施形態では、同時に働く異なる治療モダリティ又は異なるエネルギーレベルの同じ治療モダリティが設けられる。
【0086】
一実施形態では、アクティブ要素102は、処置部位に送達され、アクティブ化されて、治療処置エネルギーを送達する。種々の実施形態では、処置デバイスは、プローブ、カテーテル、アンテナ、ワイヤー、チューブ、針、カニューレ、スリーブ、又は導管を備える。処置デバイスは、双極電極106及び108を有するRF送達プローブを備えることができ、双極電極106及び108は、治療レベルの加熱(例えば、加熱量)を送達して、神経122の少なくとも一部分を調節(例えば、刺激又はアブレーション)する。
【0087】
幾つかの実施形態では、処置デバイスは、1つ又は複数のアンテナを備えるマイクロ波エネルギー送達デバイスを備える。幾つかの実施形態では、処置デバイスは、神経をアブレーションするか、刺激するか、除神経するか、遮断するか、撹乱するか、又はその他の方法で調節することが可能な流体、化学物質、又は薬剤(例えば、神経破壊剤)を送達(例えば、注入)するための流体導管を備える化学アブレーション又は凍結アブレーションデバイスを備える。幾つかの実施形態では、処置デバイスは、1つ若しくは複数の変換器を有する超音波送達デバイス又は1つ若しくは複数の光送達要素を備えるレーザーエネルギー送達デバイス(例えば、光ファイバレーザー又は垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)等のレーザー又は発光ダイオード(LED))を備える。
【0088】
本発明の幾つかの実施形態によれば、多くの処置モダリティは、神経又は他の組織の調節(例えば、神経調節、アブレーション、一時的な又は永久的な除神経、刺激、阻害、遮断、撹乱、又はモニタリング)のための処置部位に送達することができる。例えば、処置は、単極又は3極RF、超音波、放射線、蒸気、マイクロ波、レーザー、又は他の加熱手段によって影響を及ぼされ得る。これらのモダリティは、本明細書で開示されるシステム及び/又は方法の実施形態の1つ又は複数を通して処置部位に送達することができ、神経が、所望の継続時間の間、所望のレベルまで加熱されて(例えば、十分な加熱量が適用されて)、刺激、除神経、アブレーション、又は所望の治療効果に影響を及ぼすように、処置を適用することができる。
【0089】
例えば、超音波エネルギーを、用量、パルス、又は周波数選択によって制御して、所望の継続時間の間、所望の加熱レベルを達成することができる。同様に、マイクロ波処置を、マイクロ波エネルギー送達カテーテル及び/又は1つ若しくは複数のアンテナを使用して適用することができる。マイクロ波は、300GHz〜300MHzの範囲、1GHzと5GHzとの間、2GHzと10GHzとの間、10GHzと100GHzとの間、100GHzと300GHzとの間、50GHzと200GHzとの間、200GHzと300GHzとの間、又はその重複する範囲の周波数を持つように生成され得る。継続時間が1秒〜5秒、2秒〜3秒、0.5秒〜2秒、4秒〜5秒、5秒〜10秒、10秒〜30秒、又はその間の重複する範囲のパルスが生成され得る。幾つかの実施形態では、単一パルス、1個〜3個のパルス、2個〜4個のパルス、3個〜8個のパルス、8個〜20個のパルス、又はその間の重複する範囲のパルスが生成され得る。
【0090】
放射線治療は、限定はしないが、粒子ビーム(陽子ビーム治療)、コバルト60ベース(ガンマナイフにおいて見出されるような光子又はガンマ線源)又は線形加速器ベース(例えば、リニアック線源)等の幾つかの異なるタイプのうちのいずれか1つのタイプを備える放射線源を使用し得る。患者に送達される放射線の線量は、通常、10Gyと70Gyとの間の範囲をとることになる。しかし、処置領域が椎体の大きな骨塊内に含まれるため、脆弱性が高い周囲組織に対するリスクがほとんど存在しないことから、より高い線量が企図され得る。線量は、処置体積、又は、処置時間及び線量集中度等の他の変数に基づいて変動し得る。2Gy線量の35事例の処方が、3Gy線量の15事例によって置換される場合がある(「寡分割照射(hypofractionation)」として知られる技法)。論理的に極端に考えると、健全な組織に送達される投与量が大幅に低減される可能性がある場合、これは、単一の45Gy線量と置換される場合がある。幾つかの実施形態では、例えば、患者の疼痛に関連する何らかの応答を患者から引出すため、同定線量が、処置線量の前に使用され得る。同定線量は、一般に、健全な組織を損傷しないように、処置線量TDよりずっと小さな線量である。線量は、0.5Gy〜5Gyの範囲にあり得る。しかし、この範囲はまた、解剖学的構造、患者等の考慮事項に基づいて変化し得る。
【0091】
さらに又は代替的に、処置デバイスは、流体又は薬剤送達カテーテルを備えることができ、流体又は薬剤送達カテーテルは、薬剤又は流体、例えば、神経アブレーション若しくは永久的若しくは一時的な除神経のための骨セメント、フェノール、アルコール、神経毒、阻害薬若しくは刺激薬、化学物質、若しくは薬品、又は、処置部位若しくは位置Tに対する他の治療薬剤を投入する。成長因子、幹細胞、遺伝子治療又は他の生物学的治療薬剤もまた送達され得る。
【0092】
幾つかの実施形態では、極低温冷却は、例えば、液体窒素、液体亜酸化窒素、液体空気、又はアルゴンガスを使用して椎体神経又は骨内神経の局在化処置のために送達され得る。凍結治療は、1つ又は複数の凍結サイクルで送達され得る。幾つかの実施形態では、2つの凍結溶解サイクルが使用される。幾つかの実施形態では、3〜5の凍結溶解サイクルが使用される。幾つかの実施形態では、単一の凍結溶解サイクルが使用される。幾つかの実施形態では、組織の所望の温度は、−40℃〜−50℃、−20℃〜−40℃、−35℃〜−45℃、−50℃〜−80℃、又はその重複する範囲である。所望の温度は、温度及び所望される加熱量に応じて、5分〜20分、10分〜15分、又は10分より長い時間の間、維持され得る。さらに、処置は、椎体神経を切除又は除神経することが可能な、任意の機械的破壊及び/又は除去手段によって行われ得る。例えば、切刃、バー、電気焼灼ナイフ、又は機械作動式カッターを用いて、椎体神経の除神経を行い得る。
【0093】
椎体神経若しくは骨内神経の処置(例えば、調節)に加えて、又はそれとは別に、センサーを処置領域に送達して、その領域における神経伝導を術前又は術後に測定することができる。この構成では、センサーを可撓性プローブの遠位先端に載せて送達することができ、この可撓性プローブは処置要素を有していてもよく又は有していなくてもよい。
【0094】
幾つかの実施形態によれば、処置の目的は、椎体神経を除神経するための、標的神経又は組織のアブレーション若しくは壊死、又は、程度が幾分軽い処置であり得る。例えば、処置エネルギー又は周波数は、神経を刺激して、神経のアブレーション又は壊死なしで、神経がシグナル(例えば、疼痛を示すシグナル)を伝達するのを遮断するのにちょうど十分なものであり得る。調節は一時的か又は永久的であり得る。
【0095】
幾つかの実施形態によれば、本明細書で述べる治療モダリティ(エネルギー又は薬剤送達を含む)は、神経伝達(例えば、神経伝達物質の合成、放出、分解、及び/又は受容体機能等)を調節する。幾つかの実施形態では、痛覚のシグナルが影響を受ける。幾つかの実施形態では、ニューロキニンA、ニューロペプチドY、P物質、セロトニン、及び/又は他のシグナル経路が設けられる。一実施形態では、カルシウム及び/又はナトリウムチャネル効果が提供される。幾つかの実施形態では、Gタンパク質共役受容体が影響を受ける。
【0096】
処置が完了すると、プローブ100を引き抜くことができる。次いで、湾曲カニューレ50を針トロカール20内に引っ込めることができる。次いで、湾曲カニューレ50とともに針トロカール20を取り外すことができ、医師又は他の医療専門家が指示するようにアクセス部位を閉じることができる。
【0097】
幾つかの実施形態によれば、上記システム10では、湾曲カニューレ50の湾曲部56及び湾曲スタイレット60の湾曲部66の設計は、可撓性要素(例えば、処置デバイスの遠位部)を湾曲カニューレ50(例えば、ニチノール製チューブ又は他の材料のチューブ)の展開の角度範囲にわたってナビゲートすることができるようなものとなっている。湾曲カニューレ50は、可撓性要素を、意図しない方向に向かって逸らすことなく骨の内部の湾曲部を通ってナビゲートすることを可能にする。海綿骨の密度は人によって様々である。したがって、様々な密度の海綿骨124の内部に湾曲チャネルを作ることでは、処置デバイスが湾曲チャネルをナビゲートしようとするとき、概して予測可能に又は正確に処置デバイスを支持及び収容しない。
【0098】
システム10を用いて、処置デバイス100を湾曲カニューレ50(例えば、ニチノール製チューブ)を通して骨の内部に展開させることができ、湾曲カニューレ50は要素が湾曲部を横断する際、この要素を支持する(例えば、処置デバイスの遠位部)。処置デバイスは、チューブから離れるときに、経路146に沿って標的ゾーンに向かって直線方向に離れる。幾つかの実施形態によれば、これにより有利には、海綿骨の密度に関係なく、ユーザーが処置デバイスを標的ゾーン又は位置Tに向けて予測可能かつ正確に展開することが可能となる。
【0099】
幾つかの実施形態では、直径の大きなニチノール製チューブを用いて達成することができる曲率半径よりも小さい曲率半径が有利である場合がある。これを達成するために、湾曲カニューレ50の湾曲チューブは幾つかの形態のうちの1つを呈することができる。一実施形態では、湾曲カニューレ50は、特定の湾曲部において熱硬化することができる硬質ポリマー(例えば、成形PEEK)から形成される。ポリマーが所望の湾曲部を保持することが不可能であれば、ニチノール、可撓性ステンレス鋼、形状記憶材料、金属材料若しくは金属系材料、又は他の適切な材料製の付加的なスタイレット(例えば、湾曲スタイレット60)をポリマー製チューブと併用して所望の湾曲部を達成することもできる。幾つかの実施形態では、スタイレットは、編んだチューブ、ロッド、又はワイヤーを備える。幾つかの実施形態では、スタイレットは、編まれていないチューブ、ロッド、若しくはワイヤー、又はその組合せを備える。提案されるこの材料の組合せは、所望の湾曲部を達成するために複数の異なる直径の任意の数の又は多様な材料を包含することができる。これらの組合せは、最終的な外部要素(例えば、トロカール20)が内部要素から「離脱可能」であり、かつ、所望の処置デバイス100を処置領域Tまで通すことを可能にするのに十分な内径を有することを確実にすることしか必要としない。幾つかの実施形態によれば、処置領域Tは、椎体の後部(例えば、正中線に対する後部)にある。処置領域Tは、椎体孔の末端の予想される位置に対応し得る。
【0100】
一実施形態では、湾曲カニューレ50は、ニチノール、形状記憶材料、ステンレス鋼、又は、壁に(特に、屈曲部の外半径上に)逃げ又はカットのパターン(図示せず)を有する、他の金属チューブを備え得る。カット又は逃げのパターンは、チューブ壁の完全性を損なうことなく、中実チューブが曲がるよりも狭い半径になるようにチューブが曲がることを可能とし得る。湾曲カニューレ50の湾曲部分は、湾曲カニューレの主本体と異なる材料又は同じ材料を含み得る。
【0101】
図5は、手順に必要とされるステップの数を減らすのに使用され得る、システムすなわちキット200の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、針トロカール20と、針トロカール20及び湾曲カニューレ50とともに用いられて、軟組織及び皮質シェルを通る初期経路を作ることで海綿骨へのアクセスを可能にする直線化スタイレット40と、湾曲カニューレ50と併用されて、骨/組織の内部に湾曲経路を作る湾曲スタイレット60と、湾曲スタイレットによって作られた湾曲経路の端を越えて、処置デバイス(例えば、プローブ)のための作業用チャネルを作るのに用いられる経路形成用スタイレット90とを含む。
【0102】
本方法の一実施形態では、直線化スタイレット40を湾曲カニューレ50に挿入して固定する。この実施形態では、直線化スタイレット40は、骨に貫入するように設計されている鋭利な先端46を有する。直線化スタイレット40が固定され、湾曲カニューレ50が真っ直ぐになると、直線化スタイレット40及び湾曲カニューレ50を針トロカール20に挿入して固定する。一実施形態では、直線化スタイレット40の鋭利な先端46をトロカール20の遠位端22から突き出させるところまでのみ、湾曲カニューレ50及び直線化スタイレット40をトロカール20のシャフト28に挿入する。湾曲カニューレ50の上部にある平坦部と、針トロカール20のハンドル内に垂直に固定されたピンとを位置合わせすることによって、適切な位置合わせが維持される。他の位置合わせ要素(例えば、線、テキスト、形、向き、又は色付け等の視覚的印)を用いてもよい。
【0103】
ここで図6を参照すると、幾つかの実施形態によれば、湾曲カニューレ50が固定されると、アセンブリ(トロカール20、湾曲カニューレ50及び直線化スタイレット40)を、軟組織を貫通して骨の表面まで前進させることができる。椎骨120の椎弓根138にて適切な位置合わせが見つかった後、アセンブリ(トロカール20、湾曲カニューレ50及び直線化スタイレット40)を、皮質シェル128を通って骨の海綿状内部構造部124の内部に前進させることができる。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、適切な深さに達した後、直線化スタイレット40を取り外すことができる。次いで、小管68を遠位先端64に向けてそのシャフト上で摺動させることによって、湾曲スタイレット60を直線化することができる。幾つかの実施形態では、湾曲した遠位先端66を直線化し、小管68の内部に完全に後退させ、次いで、湾曲スタイレット60を、依然として針トロカール20の内部にある湾曲カニューレ50に挿入する。湾曲スタイレット60が湾曲カニューレ50内に挿入されると、図4Cに示すように、小管68は止め部55と合わさることができる。湾曲スタイレット60が前進し続けると、小管68は湾曲カニューレ50のハンドルの内部に保持することができる。これにより、スタイレット60の湾曲部を湾曲カニューレ50の内部に露出させることを可能にすることができる。
【0105】
幾つかの実施形態によれば、最大限の力を生むために、2つの部品(50及び60)の湾曲部を位置合わせすることができる。位置合わせを確実にするために、湾曲スタイレット60のキャップが、湾曲カニューレ50の頂部のノッチと係合する位置合わせピンを有することができる。他の位置合わせ要素(例えば、線、テキスト、形、向き、又は色付け等の視覚的印)を用いてもよい。
【0106】
一実施形態では、スタイレット60が完全に着座し、湾曲カニューレ50と位置合わせされると、湾曲スタイレット60の先端が、湾曲カニューレ50の先端から約1/16インチ〜3/16インチだけ突出することができる。この突出は、展開時に湾曲カニューレ50をその向きの方向に駆動させる助けとなることができる。湾曲スタイレット60及び湾曲カニューレ50が係合すると、湾曲カニューレ50の頂部にある係止ナットを反時計回りに回転させて、図4Dに示されているように、カニューレ50及びスタイレット60を針トロカール20に対して前進させることを可能にすることができる。湾曲カニューレ及び湾曲スタイレットは、前進するにつれて、処置位置Tに向かう湾曲経路を生成する。湾曲カニューレ50及び湾曲スタイレット60が目的角度まで展開すると、湾曲カニューレ50の頂部にある係止ナットが針トロカール20と係合して、湾曲スタイレットと湾曲カニューレのアセンブリのいかなる更なる前進も止めることができる。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、次いで、湾曲スタイレット60を取り外し、経路形成用スタイレット90に置き換える。幾つかの実施形態によれば、図4Eに示すように、経路形成用スタイレット90を湾曲カニューレ50の端を越えて、対象の標的処置ゾーンに向けて前進させることで、挿入すべき能動要素のための作業用チャネルを作る。経路形成用スタイレット80が標的処置ゾーンに達すると、この経路形成用スタイレットを取り外し、処置デバイス100に置き換えることができ、この処置デバイス100を処置部位Tに送達してアクティブ化することができる。
【0108】
処置が完了すると、処置デバイス100を引き抜くことができる。幾つかの実施形態では、次いで、湾曲カニューレ50を針トロカール20内に引っ込める。次いで、湾曲カニューレ50とともに針トロカール20を取り外すことができ、医師又は他の医療専門家が指示するようにアクセス部位を閉じることができる。
【0109】
幾つかの実施形態によれば、図7A及び図7Bは、湾曲スタイレット60(近位端は図示せず)用のニチノール又は他の形状記憶材料製のワイヤー、ロッド、又はチューブの詳細図を示す。ワイヤーは、一定の直径D及び長さLSを有するシャフト78を含み、直径D及び長さLSは用途と処置位置までの所望の深さとに応じて様々とすることができる。ワイヤーは、シャフトに対して角度σで遠位先端64の方向を変更するアールrを有するように湾曲している予成形遠位先端を有する。図7Aに示されているように、角度σは約110度であるものと示されている。幾つかの実施形態によれば、予成形先端は数度(軸からの僅かな偏向)〜180度(例えば、近位端へ向かって戻るように方向付ける)までの範囲の角度を有していてもよい。
【0110】
遠位先端64を詳細に示す図7Bに示されているように、この先端は、シャフト78から離れるように延びている遠位延長部LTを有することができる。アールrを辿る経路に沿った経路形成を促すために、遠位先端64は、2段平面であるベベル面74及び72を有して構成されている。平面74は角度βでオフセットされており、平面72は角度αでオフセットされている。この構成により、スタイレット及び/又は湾曲カニューレが骨を通ってこのスタイレット及び/又はカニューレの特定の湾曲部と対応する経路の内部を進むことが可能となる。
【0111】
図7A及び図7Bに示されている例では、湾曲スタイレット60はシャフトの長さLSが約2インチ〜約5インチ(例えば、3.6インチ)であり、直径Dが約0.02インチ〜約0.06インチ(例えば、0.040インチ)であり、遠位先端の長さLTが約0.08インチ〜約0.16インチ(例えば、0.125インチ)であり、アールrが約0.2インチ〜約0.6インチ(例えば、0.4インチ)であり、角度βが35度であり、角度αが31度であるシャフトを有する。角度は、いずれかの方向に約10度まで、15度まで、又は20度まで変動し得る。上記寸法は単に説明のためのものであって、解剖学的構造及び組織タイプに応じて様々であってもよいことに留意すべきである。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書で開示される調節デバイスは、神経を調節するか又は脊椎の他のエリア内の組織を処置するために用いることができる。非脊椎への応用もまた企図される。例えば、腎臓神経の除神経、心臓アブレーション、及び他の非脊椎処置を、本明細書で述べる幾つかの実施形態に従って達成することができる。
【0112】
本明細書で述べる実施形態はいずれも、体の種々の領域を処置する器具のキットとして提供されることができる。例えば、トロカール20に対する処置デバイスの位置、向き及び角度は、増分が様々である一組の器具を提供することによって様々とすることができる。これは、湾曲カニューレ50及び湾曲スタイレット60の湾曲部56、66を変動させることによって達成され得る。湾曲部は、曲率半径r、挿入深さ(シャフトの長さLS及び先端の長さLT)、及び/又はトロカール20の中央穴に対する最終出口角度σを変動させることによって変動され得る。したがって、形成される必要のある経路を解剖学的構造が示す通りに、医師又は他の医療専門家は、頚椎分節ではなく腰椎分節を処置するための異なるキットを選択し得る。
【0113】
したがって、幾つかの実施形態によれば、種々の脊椎分節を処置する場合、椎骨(又は処置される他の領域)に適合するようにキットからセットを選択することができる。例えば、腰椎の場合に椎体神経の分岐点若しくは末端に又はその近くに処置デバイスを送達することは、仙骨又は頚椎の場合とは異なる角度を有する場合があり、患者によって様々である場合がある。このセットは、手術中にキットから選択されてもよく、又は手術前の診断評価(例えば、標的領域の放射線画像形成)により選択されてもよい。
【0114】
図8図18Bは、骨の内部に湾曲経路を生成するシステム201の一実施形態を示す。図8は、患者の体内での展開の準備が完了した形態にあるシステム201の斜視図を示す。システム201は、細長い送達チューブ204に連結されている近位端ハウジング202を有する誘導針/トロカール210を含む。遠位先端208は、椎体のような骨塊の少なくとも一部に入り、該骨塊の少なくとも一部を通って送達するのを容易にするために、鋭利な、及び/又はベベル面の先端を有する。アセンブリの近位端(例えば、駆動ナット270)は、トロカール210がマレット等を用いてタッピングされて適所にくることを可能にする硬い剛性材料を含むことができる。
【0115】
細長い送達チューブ204は、遠位先端208にごく近接して又は遠位先端208に配置された側方に位置決めされた半径方向開口部又は窓212を含む。窓212は、チューブ204の中央チャネル218からの半径方向のアクセスを提供し、そのため、器具又はプローブ(例えばプローブ250の遠位端)をチューブ軸又は中央チャネル218に対して(例えば非軸方向に)或る角度で送達することができる。
【0116】
図9は、患者内に送達する前のシステム201の一実施形態の分解図を示す。一実施形態では、トロカール210は、図8に示されているアセンブリ全体として、標的処置部位近くの位置に導入される。一実施形態では、トロカールをそれ自体だけでその位置に導入してもよく、その場合、トロカール210が適所にきてから付加的な構成部材が位置決めされる。そのような構成では、骨片又は他の組織物質が中央チャネル218に入らないよう、孔212を塞ぐようにスタイレット(図示せず)をトロカール204のチャネル218の下方へ位置決めすることができる。スタイレットは、トロカール210をタッピングして適所にくることを可能にするように硬い幅広の近位端を有することができる。
【0117】
一実施形態では、トロカールのハウジング202の近位端206は、トロカールのチャネル218と連通する、中心に位置付けられたカウンターボア又はリセス216を含む。トロカールのリセス216は、このトロカールのリセス216及びトロカールの中央チャネル218内での湾曲可能なカニューレ230の配置及び往復動を可能にする。湾曲可能なカニューレ230は、この湾曲可能なカニューレ230の近位本体246の回りに螺合する止めナット240を介してトロカールリセス216内の特定位置で適所に保持されることができる。湾曲可能なカニューレ230はまた、カニューレのチャネル245と中心方向に位置合わせされる中央リセス268を近位本体246内に含む。中央リセス268及びカニューレチャネル245は、駆動ナット270にねじ込まれるプローブ250を受け入れてこのプローブ250の往復動を可能にするように構成されている。幾つかの実施形態では、駆動ナット270は、骨を通してトロカール、湾曲可能カニューレ、又はプローブの1つ又は複数を前進させる衝撃力を加えるのに適した硬化近位表面を備える。
【0118】
図10A図10Eは、展開の種々の段階にあるシステム201の一実施形態を概略的に示す。図11図13図15及び図16は、図10A図10Eにおいて具体的に示されている種々の段階による一実施形態のシステム201の近位端の断面図を示す。これに対応して、図12図14は、図10A図10Eにおいて具体的に示されている種々の段階によるシステム201の一実施形態の遠位端の拡大図を示す。
【0119】
図11は、患者の体内の所望の処置位置へのトロカール210の挿入前又は挿入時の、非展開状態にあるシステム201の一実施形態の近位端の断面図を示す。椎体120への送達のために(例えば椎体神経にアクセスするために)、トロカール210を、(図3に示されているように)チャネル140を介して椎弓根138を通って送達することができる。チャネル140は予め穿孔された穴であってもよく、又は鋭利化された先端208を骨に挿入することによって生成してもよい。挿入を容易にするために、駆動ナット270のキャップ290の近位面292が剛性材料(例えばステンレス鋼等)を含むことができ、そのため、マレット又は同様の器具を面292に衝当させることでトロカール本体204をタッピングして適所にこさせることができる。
【0120】
幾つかの実施形態によれば、トロカール210の挿入時、止めナット240を湾曲可能なカニューレ230の近位本体246の雄ねじ248に沿って遠位方向に螺合させて、トロカールリセス216の遠位方向下方へのカニューレ230の動きを制限することができ。この制限された動きは、トロカール210が送達されている間、カニューレ230の遠位端232が尚早に展開しないようにすることができる。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、湾曲可能カニューレの遠位端は、トロカールを通して直線状構成で送達され、中心軸に対して或る角度で半径方向開口部から外向きに湾曲構成で展開されるように変形可能である。図12に示されているように、湾曲可能なカニューレ230の遠位先端233は、カニューレチューブ244とともに連続したカニューレチャネル245を提供するように、中央穴をそれぞれが有する一連の筒状の嵌合リンク234を含むことができる。結合リンク234は、湾曲可能カニューレの遠位先端233が湾曲形状になるよう関節連結するようにさせ、また、操向可能であるように構成され得る。カニューレチャネル245は、近位本体246のカニューレの中央リセス268から先端233にある遠位リンク232に延びている。遠位リンク232は、下記に詳述するように、湾曲可能なカニューレ230が骨を通って経路を生成するのを容易にするためにベベル面先端233を含む。遠位リンク232はまた、湾曲可能なカニューレ230の剛性前縁を提供するために硬い材料(例えば、ステンレス鋼、熱可塑性物質等)を含むことができる。
【0122】
一実施形態では、嵌合リンク234はコード242によって一緒に保持されており、このコード242は湾曲可能なカニューレ230の近位本体246から延出し、遠位リンク232にある孔236で終端している。幾つかの実施形態によれば、コード242の遠位端は、孔236の表面を保持して遠位リンク232内にコードを保持するカウンターボア、カウンターシンク等の内部に配置されているボール238で終端している。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、ここで図10Bを参照すると、トロカール210が適所にくると、止めナット240が、湾曲可能なカニューレ230の近位端246の雄ねじ248に沿って近位方向に螺合して、リセス214内での遠位方向下方へのカニューレ230の動きを可能にする。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、次いで、図13に示されているように、湾曲可能なカニューレ230の近位本体246をトロカールリセス216内で下方に展開させることができる。椎体の骨塊(又は他の骨塊)による抵抗がある可能性があるため、トロカールをハウジング202に保持したまま、(例えばマレット等を用いて)キャップ290の近位面をたたくことによってカニューレ230を下方にタッピングすることができる。幾つかの実施形態によれば、近位本体246の動きにより、チューブ244がトロカール本体204のチャネル218内で遠位方向に押される。この動きにより、図14に示されているように、前縁232及び後続の嵌合リンク234がチューブ204の半径方向窓212から押し出される。開口部又は窓212の遠位端が斜面209を含んでいることで、トロカールのチューブ204の中心軸に対して適切な角度で、トロカールの遠位端にて捕捉されることも動かなくなることもなく、前縁232を窓212から出すのを容易にする。
【0125】
幾つかの実施形態では、プルコード242は、湾曲可能カニューレ230の遠位先端に結合され、プルコードはトロカール210の近位端まで延在する。斜面209に加え、コード242が与える張力によって、遠位先端233の湾曲経路が容易となり、これにより、張力が印加されると嵌合リンク232、234が押されて弧状になる。プルコードは、湾曲可能カニューレ230の遠位端に引張力を加えて、湾曲可能カニューレを湾曲構成になるように偏倚させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、コード242は、上記張力を印加するためにプルコードとして働くように、雄ねじダイアル212(図8を参照)に連結されている。ダイアル212を、雌ねじアーム214内で時計回り又は反時計回りに回して、コード242の張力を増加又は弛緩させることによって、遠位先端233の操作を行うことができ、一方、湾曲可能カニューレ230をトロカール本体204の下方へ前進させて窓212から出す(例えば、張力増加はより鋭利なアールをもたらし、張力減少はより緩やかなアールをもたらすか又は全くアールをもたらさない)。湾曲可能カニューレ230の遠位先端に加えられる引張力は、湾曲可能カニューレ230を所望の経路に沿って操向するようにトロカールの近位端から制御され得る。
【0126】
代替的な実施形態では、コード242は、予成形湾曲形状でチューブ244及びリンク232、234を締め付けるニチノール製ワイヤーのような記憶材料を含むことができる。この構成のコード246は延びて、湾曲可能なカニューレ230をチャネル218内へ真っ直ぐな形態で送達して該チャネル内に収容することを可能にし、チャネル218内に拘束されなくなると後退して、窓212を出ると湾曲経路を進む。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、図13及び図14に示されているように、湾曲可能なカニューレ230は、近位端246がリセス216の底部に配置され、遠位先端233が骨を通って処置部位に(後続リンク234とともに)湾曲経路を形成する展開向きにある状態で完全に展開する。この構成では、プローブ250は、近位端246にある止め部258によって遠位の動きを抑制されている駆動ナット270のねじ切りされたリセス部分の内部に螺合しているため、湾曲カニューレ230に対して(遠位方向の)軸方向の動きを抑制される。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、図15に示されているように、駆動ナット270は、この駆動ナット270を回転させることによって、湾曲可能なカニューレ230及びプローブ近位本体254に対して上昇させる(キャビティ268から近位方向に前進させる)ことができる。プローブ250の近位本体254は、駆動ナット270の遠位リセスにおける雌ねじ262と嵌合する雄ねじ256を含む。ねじパターン256/262は、駆動ナット270の回転が湾曲カニューレ230の回転をもたらさないように、止めナット240と湾曲可能なカニューレ230の近位端246との間のねじパターンの逆(例えば右ねじ対左ねじ)とすることができる。
【0129】
さらに、プローブ250の近位端254は複数の縦溝264を含み、これらの縦溝264のうちの少なくとも1つは、湾曲可能なカニューレ230のキー266と相互作用する。一実施形態では、この相互作用により、湾曲可能なカニューレ230との近位本体264の軸方向の動きのみが可能となり、湾曲可能なカニューレ230との近位本体264の回転を制限する。したがって、駆動ナット270の回転はこの駆動ナット270の近位方向の移動のみをもたらす。図15に見られるように、この時点で、プローブ近位本体254がキャビティ268内を下方に自由に移動する。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、ここで図16及び図17を参照すると、システム201は、プローブ250の遠位シャフトが湾曲可能なカニューレの中央チャネル245の遠位端233を越えて前進した状態で、完全に展開した状態で示されている。幾つかの実施形態では、この展開は、湾曲可能なカニューレ230のキャビティ268内で近位本体254を前進させることによって達成される。幾つかの実施形態では、近位本体254及び駆動ナット270は、幾つかの実施形態に従って(例えば、キャップ290をタッピングすることによって)キャビティ268内をユニットとして前進され、衝撃力を与え、それにより衝撃力を与えてプローブ先端274を前進させてカニューレ230から出し、組織/骨を通って体内の所望の処置位置又は診断位置に至らせる。
【0131】
一実施形態では、(図1のキット10に示されているスタイレット90のような)経路形成用スタイレットを用いて、処置デバイス又は診断デバイス用のプローブを展開させる前に、湾曲可能なカニューレ230によって作られた湾曲経路の端を越えて作業用チャネルを作ってもよい。
【0132】
プローブ250の遠位先端274が所望の位置に位置決めされると、標的組織の処置を行うことができる。図17に示されているように、プローブ遠位端274は、治療量のRFエネルギーを標的位置まで送達するように構成されている第1の電極274を含むことができる。図17に示されている構成では、プローブ250は、戻り電極276を有する双極プローブを含むが、幾つかの実施形態によればプローブ250は本明細書に記載の任意の処置器具又は処置デバイスを含む。
【0133】
キャップ290は、プローブ250に連結するための電源(例えば、バッテリー)及びコンセント(図示せず)を含む(例えば、自給式ユニット)ように更に構成することができ、これによって、治療レベルのエネルギーを組織に送達するようにエネルギーを供給する。この構成では、キャップ290は、椎体の椎体神経の少なくとも一部分を調節(例えば、除神経)するために、特異的に測定された1つ又は複数の計量投与量のエネルギーを送達するのに十分な電力を有することができる。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、キャップ290は、用途又はステップ手順に応じて交換可能であるものとなるように駆動ナット270にねじ込む(又は別様に解放可能に連結する)ことができる。例えば、システム201を骨の内部に駆動するのに用いられる強化/硬化表面292を有するキャップ290を、プローブ250用の継手(図示せず)、内部電源(図示せず)、又は組織の或る領域の処置及び/又は診断のためにエネルギーを送達する外部電源/制御デバイス(図示せず)用の継手を有する別のキャップに置き換えることができる。流体及び/又は作用物質を標的組織に送達させる実施形態の場合、キャップ290を、1つ又は複数の流体送達チャネルを有するプローブを通して流体の送達を容易にするように構成することができる。幾つかの実施形態では、交換可能キャップ290は、治療エネルギーを提供するためのプローブ250に対するアクセスを提供するように構成される。
【0135】
図18A及び図18Bはそれぞれ、湾曲可能なカニューレ230が収容位置及び展開位置にある、システム201の遠位端の一実施形態の側面図である。遠位リンク232及び後続リンク234は、カニューレの遠位端が一方向に湾曲することを可能にする嵌合面/インターロック面を有するように構成されている。嵌合対のより遠位のリンクは、その近位のリンクにおける対応凹部237と嵌合する延長部235を有する。これにより、図18Bに示されているようにこれらのリンクが互いに対して回転して、湾曲した遠位端をもたらすことが可能となる。
【0136】
図19A及び図19Bは、骨を通って湾曲チャネルを生成するシステム300の代替的な実施形態を示す。システム300は筒状のトロカール本体302を含み、この筒状のトロカール本体の近位端(図示せず)は、本明細書中に開示されているデバイス10、200又は201について前述した近位端のいずれかの一部又は全てを含むことができる。遠位先端334は、骨を通って前進するための前縁面と、トロカール本体302の中央チャネルへのアクセスを可能にする半径方向窓又は側方窓304とを含む。窓304は、遠位先端334に近接した短い距離のところに位置決めされている。
【0137】
一実施形態では、リンク機構326を介して枢動可能なアーム310に連結されている遠位端324を有する湾曲可能なカニューレ322が、トロカール302内に位置決めされている。湾曲可能なカニューレの近位端(図示せず)は、本明細書に開示したデバイス10、200又は201について前述した近位端のいずれかの一部又は全てを含むことができる。枢動可能なアーム310は、トロカール334の遠位先端334にあるか又は遠位先端334の近くの位置にあるジョイント314に枢動可能に連結されている第1の端を有する。収容形態(図19Aに示されている)では、枢動可能なアームは、トロカール302内の、ピボット314から半径方向開口部又は窓304に近接して延在しているスロット306内に軸方向に横倒するように構成されている。アーム310の近位(収容されている場合)端312はリンク機構326に連結される。
【0138】
幾つかの実施形態によれば、図19Bに示されているように、カニューレ322を、このカニューレ322を単にトロカール302の遠位方向に下方に前進させることによって、窓304から横方向外向きに前進させることができる。枢動可能なアーム310は、カニューレの湾曲可能な端320の移動を(アーム310の長さによって決まる)特定のアールの湾曲経路に制約する。枢動可能なアームが完全な回転(図19Bでは約90度で示されているが、そのような角度は任意の所望の量であるように指定することができる)に達すると、カニューレ端320が、トロカールから外向きに所望の処置部位に向かって湾曲経路を作る。(図1の湾曲スタイレット60、経路形成用スタイレット90又はプローブ100のような)プローブ、スタイレット又は同様のデバイスを、遠位端320の開口部に位置決めして、組織又は骨をカニューレに入らせることなく、湾曲した穴を生成するのを容易にすることができる。次いで、プローブ又は処置デバイス及び/又は診断デバイスを、カニューレ端320を通して、トロカール本体302から軸外の組織/骨の領域まで経路付けることができる。
【0139】
図20図26は、骨を通して経路を形成するためのシステム又はキット400を備える本発明の幾つかの実施形態を示す。システム400は、椎体に入る導入器として機能するスロット付き針トロカール410(例えば、器具セットの主本体)を備える。スロット付き針トロカール410は、その近位端にスロット付きハンドル412を有する細長いシャフト414及びトロカール410の遠位端416まで貫通して通過するトロカールチャネル418を備える。トロカールチャネル418は、全体的に、システム400内の他の器具(例えば、湾曲カニューレ、治療デバイス等)が、所望の処置領域(例えば、背部痛の発生源として同定された椎体)まで患者の内部に摺動可能に導入されることを可能にするサイズに作られる。
【0140】
一実施形態では、システム400は、スロット付き針トロカール410のトロカールチャネル418内に受け入れられるように構成される細長いシャフト454を有する直線状スタイレット450を更に備える。細長いシャフト454は、鋭利先端付き遠位端456を有し、鋭利先端付き遠位端456は、スロット付き針トロカール410内に完全に設置されると、トロカールチューブ410(図21を参照)の遠位端416をわずかに超えて延在して、開口部418を閉鎖し、後縁を提供して、軟部組織及び皮質シェルを通る初期経路を作り、それにより、椎体の海綿骨に対するアクセスを可能にする。
【0141】
一実施形態では、カニューレスタイレット450は、スタイレットハンドル452の長さに関して直角に向けられた一対のキー突出部458を備える。キー突出部は、トロカール410に完全に挿入した後にスタイレットハンドル452を回転させることによって、トロカールハンドル412上のキースロット426にロックするように構成される。スタイレットハンドル452が図21に示す向きまで完全に回転すると、キー突出部458は、トロカール410に関する直線運動からスタイレット450をロックする。
【0142】
スタイレット450がトロカールハンドル412に関して所定の場所にロックされると、スタイレット450及びスロット付き針トロカール410は、患者の組織に同時に挿入されるように構成され得る。幾つかの実施形態によれば、このステップは、患者に挿入する前に又は患者に挿入した後に実施され得る。
【0143】
一実施形態では、スタイレットハンドル452は、硬質で剛性の材料(例えば、ステンレス鋼又は同様の金属若しくはプラスチック材料)で作られた隆起衝当表面460を備えて、特に、椎体の硬質皮質シェルに穿孔するとき、マレット等によってトロカール410がタッピングされて所定の場所にくることを可能にする。
【0144】
幾つかの実施形態によれば、図20及び図21は、患者の内部に送達する前のシステム400の分解図を示す。図22は、患者の所望の処置位置へのトロカール410の挿入前又は挿入中の、未展開状態におけるスロット付き針トロカール410の近位端の断面図を示す。(例えば、椎体神経にアクセスするため)椎体120内に挿入するため、スロット付き針トロカール410は、チャネル140を介して椎弓骨138を通して送達され得る(図3に示す)。チャネル140は、予め穿孔された穴であり得るか、又は鋭利化された先端208を骨に挿入することによって生成され得る。挿入を容易にするために、スタイレット450の衝当表面460は、マレット等によってタッピングされて、スロット付き針トロカール410を所定の場所に押しやり得る。
【0145】
一実施形態では、システム400は、湾曲カニューレ430を更に備え、湾曲カニューレ430は、トロカール410の遠位端416を通過して延在すると、骨及び/又は組織内に湾曲経路を作る及び/又は維持するために使用される。湾曲カニューレ430は、ねじ切りされたチューブ446の近位にあるスロット付きハンドル432と細長い直線状管状本体434セクションと予成形湾曲遠位端436とを備え得る。幾つかの実施形態によれば、管状本体434の湾曲遠位端436は、形状記憶材料(例えば、ニチノール)で作られ、湾曲遠位端が屈曲されて直線状構成になり、拘束が解除されると、その湾曲形状を保持することを可能にする。
【0146】
図22及び図23を参照すると、幾つかの実施形態によれば、スロット付き針トロカール410のハンドル412は、トロカールチャネル418と連通状態にある、中心に位置付けられたボア又はリセス420を備える。トロカールリセス420は、このトロカールリセス420及びトロカールチャネル418内での湾曲カニューレ430の配置及び移動を可能にする。トロカールリセス420は、鋭利縁が全く存在しないようにハンドル412の下部にテーパー付きセクション428を有して、中央チャネル418に入る器具が捕捉されるか又は引っかかるのを防止する。トロカールリセス420と連通状態にあるのは、このトロカールリセス420の軸及び中央チャネル418に対して全体的に直角に又は半径方向にハンドル412を貫通して延びる横スロット422である。横スロット422は、曲線下部表面424を有することができ、曲線下部表面424は、湾曲カニューレ430の湾曲遠位端436が、湾曲カニューレ430を再び直線化する必要なくトロカール410に挿入されることを可能にするように構成される。
【0147】
一実施形態では、湾曲カニューレ430は、湾曲カニューレ430の近位本体446の回りに螺合する止めナット440を介してトロカールリセス420及びトロカールチャネル418内の指定位置で所定の場所に保持される。止めナット440が図20に示す位置にある状態で、湾曲カニューレ430の遠位端436は、スロット付き針トロカール410の遠位端416において開口部418を通過して移動するのを抑制されることができる。湾曲カニューレ430が、(例えば、湾曲スタイレット470の設置が完了した後)スロット付き針トロカール410の遠位端416を超えて送達する準備ができると、止めナットは、ねじ切りされた本体446を上方に回転させられて、スロット付き針トロカール410内での湾曲カニューレ430の下方移動を可能にする。止め部442及びキー444は、トロカール410と相互作用して、湾曲遠位端436の軌跡が正しく向けられることを確保するのに役立つ。
【0148】
幾つかの実施形態によれば、図24A図24Cは、湾曲カニューレ遠位端436のスロット付き針トロカール410内への挿入を示す。幾つかの実施形態によれば、このステップは、(例えば、図3に示すように、横突起134と棘突起136との間で椎弓根138を通って椎体126の海綿骨領域124に入るように通路140を生成するため)椎体内の適切な位置にトロカール410が位置決めされた後に実施される。トロカール410が所定の位置にある状態で、直線状スタイレット450が取り外されて、更なる器具類のために中央チャネル418を開口し得る。
【0149】
図24Aに示すように、一実施形態では、湾曲カニューレ本体434の湾曲遠位端436は、トロカールリセス420の遠い壁及び横スロット422の曲線下部表面424に接触するまで、横スロット422内に横方向に挿入される。横スロット422及び曲線下部表面424は、有利には、カニューレ430が中央チャネル418に対して或る角度で設置されることを可能にし(例えば、カニューレ430の直線状部分434が、トロカールチャネル418の軸から直角に又は実質的に軸外に挿入される)、それにより、湾曲遠位端436のかなりの部分が、トロカールチャネル418に接触する前にテーパー付き領域428及びトロカールチャネル418に入ることを可能にする)。
【0150】
一実施形態では、曲線下部表面424は、湾曲遠位端436の自然なアールに実質的に整合するアールを備える。こうした整合するアールを有する曲線下部表面424は、有利には、湾曲遠位端436がテーパー付きセクション428内に前進させられ、トロカールチャネル418に入るように直線化される間に、湾曲遠位端436に沿って負荷が均等に分布することを促進し得る。
【0151】
湾曲カニューレ430の適切な軌跡を確保するため、湾曲カニューレハンドル432の矢印404(図26を参照)は、トロカールハンドル412上の対応する矢印402と同じ方向に整列され得る。幾つかの実施形態では、他の印(例えば、スロット、線、ノッチ、リブ、又はレーザーマーキング)が使用され得る。
【0152】
ここで図24Bを参照すると、幾つかの実施形態によれば、内向き及び/又は下向きの力が、湾曲カニューレ430に加えられて、湾曲遠位端436及びチューブ本体434をトロカールリセス420及び中央チャネル418内に前進させ、それにより、湾曲カニューレ430をより縦の向きに直線化する。
【0153】
図24Cを参照すると、一実施形態では、湾曲端436の全体が中央チャネル418内に配設される(したがって、実質的に直線状の構成に偏向される)と、カニューレチューブ本体434は実質的に縦の向きになる。止めナット440がトロカールハンドル412の上部に達するまで更なる下向き力を湾曲カニューレ430に加えることができる。止めナット440の下のキー突出部444は、さらに、湾曲カニューレ430が横スロット422を直線的に下方に移動するよう拘束されるように、湾曲カニューレ430の適切な向きを誘導するよう作用し得る。
【0154】
図25及び図26を参照すると、湾曲スタイレット470は、次いで、湾曲カニューレ430の内部に設置され得る。湾曲スタイレット470は、直線状近位スタイレット本体474及び湾曲遠位端476を備える。幾つかの実施形態によれば、湾曲スタイレット470は、予成形された変形可能記憶材料を含み、この予成形された変形可能記憶材料は、湾曲カニューレ430内に設置されると、カニューレ430の湾曲遠位端426に更なる剛性及び慣性を提供する。幾つかの実施形態では、湾曲スタイレット470はまた、湾曲カニューレ430がトロカールの遠位端416を超えて湾曲経路を生成するときに、湾曲カニューレ430用の前縁を提供する。
【0155】
一実施形態では、湾曲カニューレ430は、カニューレチャネル438と連通状態にありかつカニューレチャネル438と中心で整列するカニューレハンドル432内の中央リセス448を備える。中央リセス448及びカニューレチャネル438は、湾曲スタイレット470を受け入れ、湾曲スタイレット470(及びその後展開され得る処置プローブ)の往復動を可能にするように構成され得る。トロカールハンドル412と同様に、カニューレハンドル432は、中央リセス448と連通状態にある横スロット433を備え得る。一実施形態では、横スロット433は、(例えば、湾曲カニューレ430のトロカール410への挿入を示す図24A図24Cの例証と同様に)スタイレット本体474の湾曲先端476の中央リセス448及びカニューレチャネル438への挿入を容易にする湾曲下部表面435を備える。一実施形態では、カニューレハンドル432の曲線下部表面435は、湾曲スタイレット470の予成形湾曲遠位端476の半径に実質的に整合する半径を含む。
【0156】
幾つかの実施形態によれば、湾曲カニューレ430の湾曲遠位端436に関するスタイレット450の湾曲端476の適切な向きを容易にするため、矢印406(図21を参照)が、湾曲スタイレットハンドル472上に配設されて、湾曲カニューレ430の矢印404に関する向きの視覚化を提供する。幾つかの実施形態では、他の印(例えば、スロット、線、ノッチ、リブ、又はレーザーマーキング)が使用され得る。一実施形態では、キータブ478は、スロット433と整列しなければ、湾曲カニューレ430内への湾曲スタイレット470の完全な伸張を制限する。
【0157】
湾曲スタイレット470が湾曲カニューレ430内に設置された状態で、ロックナット440を、湾曲カニューレ430の近位本体446に沿って上昇させることができ、湾曲スタイレット470と湾曲カニューレ430のアセンブリは、トロカール中央チャネル418を下方に更に延在できるため、湾曲遠位端476は、トロカール410の遠位端416を超えて湾曲経路を生成する。
【0158】
幾つかの実施形態によれば、湾曲経路が作られると、湾曲スタイレット470は取り外される。次いで、処置プローブ(本明細書で述べる処置プローブ等)は、湾曲カニューレ430を通して処置部位に送達され得る。
【0159】
幾つかの実施形態では、経路形成用スタイレット490は、診断デバイス用の処置プローブを展開する前に、湾曲可能カニューレ430によって作られた湾曲経路の端を超えて作業チャネルを作るために使用される。一実施形態では、経路形成用スタイレット490の細長い本体494は、カニューレハンドル432のリセス448に挿入され、カニューレチャネル438を通して送達されるため、経路形成用スタイレット490の遠位端496は湾曲カニューレ430の湾曲遠位端436を超えて指定された距離だけ延在し、海綿骨を通る湾曲状と直線状のハイブリッドチャネルを作る。次いで、経路形成用スタイレット490を取り外すことができ、処置プローブをその所定の場所に設置して、治療処置を標的処置部位に送達することができる。
【0160】
本発明の幾つかの実施形態は、図27図35Cに示される。幾つかの実施形態によれば、本明細書で開示される基本概念から逸脱することなく、装置が、構成に関してまた部品(part)の詳細に関して変動し、方法が、特定のステップ及びシーケンスに関して変動し得る。
【0161】
幾つかの実施形態によれば、本明細書で述べる外科デバイス及び外科システムは、多数のタイプの処置モダリティを身体のいろいろな領域に送達するために使用され得る。骨を通してナビゲートする幾つかの実施形態の特定の有用性に加えて、システム及び方法はまた、軟部組織を通して、又は、特に1つの管腔が別の管腔から分岐し得る場合に、身体内のチャネル若しくは管腔を通してナビゲートするために使用され得る。
【0162】
以下の例は、椎体内の湾曲骨経路を生成するための、より詳細には、脊椎内の標的領域にアクセスするのに椎弓根を通るアプローチを介して骨経路を作るためのシステム510の幾つかの実施形態を示す。特に、システム510は、処置デバイスを送達して、骨内神経、特に椎体神経を処置又は調節(例えば、アブレーション)するのに使用され得る。幾つかの実施形態によれば、システム及び方法が椎体神経にアクセスするときに有意の利益を提供することに加えて、システム及び方法は、身体の任意の部分内に骨経路を作るために同様に使用され得る。
【0163】
図27を参照すると、システム510の一実施形態は、椎体内への導入器として機能するスロット付き針トロカール520(器具セットの主本体)を備える。スロット付き針トロカール520は、その近位端にスロット付きハンドル522を有する細長いシャフト又はハイポチューブ524及びトロカール520の遠位端526まで貫通して通過するトロカールチャネル528を備える。トロカールチャネル528は、全体的に、湾曲プローブ550の細長い本体558が、所望の処置領域まで患者の内部に摺動可能に導入されることを可能するサイズに作ることができる。
【0164】
図28は、処置プローブ550の近位端の一実施形態の断面図を示し、処置プローブ550は、衝当表面554を有するハンドル552と、無線周波数発生器(RFG)ケーブル接続部556と、デュアルリードフレックス導管572と、を備え、デュアルリードフレックス導管572は、スタイレット558内のスロット574によって、RFGケーブル接続部556を1つ又は複数の電極554に結合する近位端570を有し、スタイレット558は、近位端576にて衝当表面554に結合され得る。スタイレット558は、直線状近位端576及び湾曲遠位端560を備える。一実施形態では、RFGケーブル接続部556は、電極554の電力操作部(power operation)に電力源を結合するために構成され得る。幾つかの実施形態によれば、他の結合が、ケーブルをデバイスに接続するために使用され得る。
【0165】
図29及び図30を参照すると、スロット付き針トロカール520のハンドル522の一実施形態は、トロカールチャネル528と連通状態にある、中心に位置付けられたボア又はリセス534を備える。トロカールリセス534は、トロカールリセス534及びトロカール中央チャネル528内での処置プローブ550の配置及び往復動を容易にする。トロカールリセス534は、(例えば、器具がトロカールチャネル528に入るのを防止するため、鋭利縁が全く存在しないように)ハンドル536の下部においてテーパーが付く。
【0166】
一実施形態では、トロカールリセス534と連通状態にあるのは、トロカールリセス534の軸及びトロカールチャネル528に対して全体的に直角にハンドル522を貫通して延びる横スロット530である。横スロットは、曲線下部表面532を備え、この曲線下部表面532は、処置プローブ550の湾曲遠位端560が、処置プローブ550の湾曲遠位端560を再び直線化する必要なくトロカール520に挿入されることを可能にするように構成され得る。印540は、ハンドル522の上部に位置決めされて、処置プローブ550の適切な向きを誘導し得る。
【0167】
幾つかの実施形態によれば、図31A図31Cは、トロカール520への処置プローブ550の湾曲遠位端560の挿入を示す。幾つかの実施形態では、このステップは、(例えば、図59A及び図59Bに示すように、皮質シェルに穿孔し、椎骨620内に通路640を生成するため)トロカール520が椎体内の適切な位置に位置決めされた後に実施される。
【0168】
図31Aに示すように、幾つかの実施形態によれば、処置プローブ550の湾曲遠位端560は、リセス534の遠い壁及び横スロット530の曲線下部表面532に接触するまで、横スロット530内に横方向に挿入される。スロット530及び曲線下部表面532は、スタイレット558がトロカールチャネル528に対して或る角度で設置されることを可能にし(例えば、スタイレット558の直線状部分574が、トロカールチャネル528の軸から直角に又は実質的に軸外に挿入される)、それにより、処置プローブ550の先端562及び湾曲遠位端560のかなりの部分が、トロカールチャネル528の壁に接触する前にトロカールチャネル528に入ることを可能にし得る。
【0169】
一実施形態では、曲線下部表面532は、処置プローブ560の湾曲遠位端560の自然なアールに実質的に整合するアールを備え得る。こうした整合するアールを有する曲線下部表面532は、有利には、湾曲遠位端560がトロカールチャネル528内に前進させられ、トロカールチャネル528に入るように直線化される間に、湾曲遠位端650に沿って負荷を均等に分布することを促進し得る。
【0170】
プローブ550の適切な軌跡を確保するため、一実施形態では、プローブハンドル522の矢印(図示せず)は、トロカールハンドル522上の矢印540(図30)と同じ方向に整列され得る。幾つかの実施形態では、他の印(例えば、スロット、線、ノッチ、リブ、若しくはレーザーマーキング、又はそれらの組合せ)が使用され得る。
【0171】
ここで図31Bを参照すると、幾つかの実施形態によれば、内向き及び/又は下向きの力が、プローブ550に加えられて、スタイレット558をリセス534及びトロカールチャネル528内に前進させ、それにより、スタイレット558の湾曲端560をより縦の向きに直線化する。
【0172】
図31Cを参照すると、幾つかの実施形態によれば、湾曲端560の全体がトロカールチャネル528内に配設される(したがって、実質的に直線状の構成に偏向される)と、スタイレット558は実質的に縦の向きになる。遠位先端がチューブ524の端526に達するまで更なる下向き力を処置プローブ550に加えることができる。
【0173】
図32は、完全に展開した状態の処置プローブ550の遠位端の一実施形態の斜視図を示す。スタイレット558は、ベベル面又は鋭利化遠位先端562を有する予成形湾曲遠位端560を備える。幾つかの実施形態によれば、スタイレット558、特に、遠位端560は、記憶金属(例えば、ニチノール)か、ポリマー(例えば、PEEK、DELRIN、NYLON、VALOX等)か、又は両方の組合せ(例えば、熱可塑性外側の内部のニチノールコア)等の、柔軟であるが記憶を保持する材料を備え、それにより、湾曲遠位端560は、設置されるとトロカールチャネル528の内壁の剛性により撓むが、スタイレット558の湾曲端560がトロカール520から又はトロカール520の外側から取り外されると、その元の湾曲形状を保持する。
【0174】
スタイレット558の遠位端560は、予め湾曲されて、トロカール520から完全に展開されると、約0度〜約180度(例えば、約45度〜約110度又は約75度〜約100度)の角度範囲を作り得る。
【0175】
幾つかの実施形態では、湾曲遠位端560は、複数のボス566によって分離された複数の周方向逃げ付きセクション578を備える。ボス566は、ハイポチューブ524のトロカールチャネル528の内径にぴったり対応する外径を有する(例えば、各ボス566の直径は、トロカールチャネル528の直径より約0.025’’〜0.060’’小さいことになる)。周方向逃げ付きセクション578は、湾曲遠位端560がその予成形湾曲状態に保持されることを促進しながら、湾曲遠位端560がトロカールチャネル528の直線状境界に一致することを可能にし得る。一実施形態では、スタイレット552は、湾曲端560を熱硬化する前に、溝574及びリセス578、582を機械加工される。
【0176】
図33は、湾曲可能処置プローブ550の遠位端560の一実施形態の拡大図を示す。チャネル又はスロット574は、スタイレット558の遠位に延在して、スタイレット558の長さに沿ってフレックス回路572を収容する。スタイレット558の湾曲遠位端560は、溝580の両側でボス566の直径と同一高さの一対の電極564(例えば、管状電極)を収容するように構成される一対のリセス582を備える。絶縁層(図示せず)は、第1及び第2の電極564とスタイレット552との間に配設され得る。デュアルリードフレックス回路572は、双極RFアプリケーターとして適用するため各電極564に電気結合される。電極564はまた、絶縁のために(例えば、パリレン等で)コーティングされ得る。幾つかの実施形態では、電極は、異なるタイプ又は形状(例えば、楕円又は平坦)であり得る。
【0177】
図34は、椎骨620の断面図を示す。ヒトの椎体内の実質的な骨内神経622(例えば、椎体神経)及び神経枝630の存在が同定された。椎体神経622は神経622に沿った位置に少なくとも1つの出口点642を有し、この出口点642において神経622は椎体626を出て椎体孔632に入る。
【0178】
幾つかの実施形態によれば、椎体神経は、出口点642にあるか又は出口点642に非常に近接している。そのため、椎体神経622の標的領域は、骨の海綿部分624内で(すなわち、外側皮質骨領域628の内部で)かつ複数の神経枝を有する椎体神経622の分岐点Jの近位に(例えば、神経622に沿う点Aと点Bとの間に)位置付けられる。この領域における処置は、系全体を除神経するか又は系全体に影響を及ぼすのに椎体神経622の単一の部分だけが効果的に処置される必要があることから有利であり得る。通常、この実施形態による処置は、椎体の前端と後端との間の距離の60%、643と90%、644との間に位置する椎体の領域に的を絞ることによって行うことができる。対照的に、分岐点Jよりも下流の位置における椎体神経622の処置は、各神経枝630の除神経を必要とし得る。
【0179】
椎体神経にアクセスするための幾つかの実施形態によれば、患者の皮膚は、所望の椎体神経にアクセスするためにその後使用される外科器具によって、すなわち経皮的に貫入される。一実施形態では、椎弓根を通るアプローチは、椎体神経622にアクセスするため椎骨皮質に貫入するために使用される。横突起634と棘突起636との間で、椎弓根638を通って椎体626の海綿骨領域124に入るように、神経622の基部にあるか又は基部の近くの領域にアクセスする通路640が作られる。神経にアクセスするための後外側からのアプローチ(図示せず)もまた使用され得ることが認識される。
【0180】
幾つかの実施形態によれば、図35A図35Cは、本発明の幾つかの実施形態によるシステム10によって、椎骨皮質にアクセスし、椎骨の椎体神経を処置するための方法を示す。
【0181】
図35Aに示すように、直線状スタイレット650は、トロカール520の近位リセス534に挿入され、スタイレット本体652の鋭利化された先端654がトロカール遠位端56から突出するように前進させられ得る。直線状スタイレット650は、スタイレット650をトロカールハンドル522にロックするための突出部658をスタイレットハンドル556の真下に有し得る。スタイレット650がトロカール520内に完全に着座すると、直線状スタイレット650の先端654は、トロカール220の遠位端526から(例えば、約1/16インチ〜3/16インチだけ)突出し得る。突出部又は先端654は、椎体626の海綿骨624の方向に皮質シェル628を通してトロカール520を押しやるのに役立ち得る。
【0182】
ここで図35Bを参照すると、トロカール520及びスタイレット650は、椎体626内の所望の位置内に前進され得る。スタイレット650は、皮質シェル628に穿孔し、横突起634と棘突起636との間で椎弓根638を通って椎体626の海綿骨領域624に入るように直線状通路640を生成することによって、椎骨620内にトロカール510を押しやる衝当表面660を備える。トロカール520が所定の位置にある状態で、直線状スタイレット650は、取り外されて、更なる器具類の送達のためにトロカールチャネル528を開口し得る。
【0183】
代替の実施形態では、プローブの先端562は、皮質シェル628に穿孔し、椎骨620を通る経路640を生成するためのスタイレットとして使用され得る。この構成では、プローブ先端662は、トロカールの前進用のスタイレットとして働くためトロカールハイポチューブ524の遠位端526からわずかに前進されるだけである。解放可能(releasable)カラー(図示せず)が、プローブハンドル552とトロカールハンドル522との間で使用されて、湾曲遠位端560がトロカール本体524の遠位開口部526を通過して前進するのを制限し得る。一実施形態では、トロカール520は、次いで、衝当表面554によって椎体626内の適切な位置に押しやられて、横突起634と棘突起636との間で椎弓根638を通って椎体626の海綿骨領域624に入るように通路640を生成する。
【0184】
ここで図35Cを参照すると、トロカール510が所定の場所にある状態で、処置プローブ550は、トロカールチャネル528に沿って前進させられることができ、それにより、遠位開口部526を出る湾曲遠位端560は海綿骨624を通って湾曲経路670を生成する。
【0185】
幾つかの実施形態によれば、処置エネルギーは、次いで、双極電極564によって、椎体神経622の標的処置位置Tに送達されて、治療レベルの加熱の送達によって局在化処置を実施し、それにより、椎体神経622を刺激又はアブレーションし得る。
【0186】
一実施形態では、RFエネルギーは、電極564によって処置部位に送達され、アクティブ化されて、治療処置エネルギーを送達する。一実施形態では、処置プローブは、双極電極を有するRF送達プローブを備える。
【0187】
幾つかの実施形態によれば、任意の数の処置モダリティが、治療処置のために処置部位に送達され得る。例えば、処置は、単極、3極、又はセスキ極RF、超音波、放射線、蒸気、マイクロ波、レーザー、又は他の加熱手段によって影響を及ぼされ得る。一実施形態では、処置デバイスは、処置部位Tに薬剤(例えば、骨セメント又は他の治療薬剤)を投入する流体送達カテーテルを備える。
【0188】
幾つかの実施形態によれば、極低温冷却(図示せず)は、椎体神経の局在化処置のために送達され得る。さらに、処置は、椎体神経を切除又は除神経することが可能な、任意の機械的破壊及び/又は除去手段によって行われ得る。例えば、視力矯正手術の技術分野で通常使用される切刃、バー、又は機械作動式カッターを用いて、椎体神経の除神経を行い得る。
【0189】
椎体神経の処置に加えて又は椎体神経の処置とは別に、センサー(図示せず)がその領域に送達されて、処置領域における神経伝導を術前に又は術後に測定し得る。この構成では、センサーは、可撓性プローブの遠位先端に載せて送達することができ、この可撓性プローブは処置要素を有していてもよく又は有していなくてもよい。
【0190】
他の実施形態では、処置の目的は、椎体神経を除神経するための、標的神経又は組織のアブレーション若しくは壊死、又は、程度が幾分軽い処置であり得る。例えば、処置エネルギー又は周波数は、神経を刺激して神経がシグナル(例えば、疼痛を示すシグナル)を伝達するのを遮断するのにちょうど十分であり得る。
【0191】
処置が完了すると、湾曲プローブ550は、カニューレ内に引き抜かれ得る。次いで、湾曲カニューレ550とともに針トロカール550が取り外され、アクセス部位は、医師が指示するように閉じられる。
【0192】
幾つかの実施形態によれば、上記システム10、200、201、300、400、及び510は、身体の異なる領域を処置する器具のキットとして設けられ得る。一例として、位置、向き、及び角度の変動は、湾曲カニューレ又は湾曲可能カニューレ(例えば、230、322、430、又は550)の湾曲部を変動させることによって達成され得る。湾曲部は、曲率の半径、挿入深さ(シャフト長及び先端長)、及び/又はトロカールチャネル528に対する最終出口角度を変動させることによって変動され得る。そのため、形成される必要がある経路を解剖学的構造が示す通りに、医師は、頚椎分節ではなく腰椎分節を処置するための異なるキットを選択し得る。
【0193】
幾つかの実施形態によれば、上記に詳述したシステム10、200、201、300、400、及び510における器具のそれぞれは、処置領域及び/又は診断領域(例えば、骨内神経又は椎体神経幹)へのアクセスを提供するのに所望又は所要の任意の長さ、形状又は直径を有することができ、それによって、標的領域の効果的な処置及び/又は診断を容易にする。例えば、処置すべき骨内神経のサイズと、骨内神経にアクセスするための骨(例えば、椎弓根138又は638)内の通路のサイズと、骨(すなわち、骨内神経)の位置とが、個々の器具の所望のサイズ及び形状を決める際に役立ち得る因子である。幾つかの実施形態では、処置デバイス(例えば、RFプローブ)は、1mmと5mmとの間(例えば、1mmと3mmとの間、2mmと4mmとの間、3mmと5mmとの間、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、又は挙げた範囲の間の任意の直径)の直径を有する。
【0194】
幾つかの実施形態によれば、上述のシステム10、200、201、300、400、及び510は、脊椎又は非脊椎であり得る標的領域を治療処置するための数多くの異なる処置モダリティとともに用いることができる。例えば、一実施形態では、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす米国特許第6,699,242号に記載されているように、熱を生成するよう、標的領域(例えば、椎体神経)の組織をアブレーションするようにシステム10、200、201、300、400、及び510における処置デバイス又はプローブを操作することが望ましい。
【0195】
別の実施形態では、処置デバイスは治療処置を送達するように構成されており、この治療処置は、神経をアブレーションすることなく神経伝導を阻害すること、すなわち、熱処置を神経に(例えば、温熱治療、作用物質等を介して)施し、その結果、組織を壊死させることなく椎体神経の除神経をもたらすことを目的とする。これは、アブレーションに必要とされるよりも少ない量であるが、或る量の一時的又は永続的な除神経を達成するのに十分な量のエネルギー又は作用物質の組織部位への(曝露時間が短い、濃度が低い、強度が低い、加熱量が低い等の形態のいずれかでの)送達により達成することができる。
【0196】
幾つかの実施形態によれば、本明細書で述べるプローブは、組織の領域の処置と関係がないか又は関係する組織の領域を診断するために診断デバイス(例えば、超音波、カメラ等)のような非治療的なデバイスを含むことができる。
【0197】
幾つかの実施形態では、上記に詳述したシステム10、200、201、300、400、及び510のいずれかの個々の要素は、適用可能な場合は入替可能に用いることができる。例えば、湾曲可能なカニューレ230、320が骨の内部に駆動されている間、このカニューレに更なる湾曲付勢を与えるために、システム10及び200において示されている湾曲スタイレット60をシステム201及び300のプローブの代わりに一時的に実装することができる。さらに、経路形成用スタイレット90を用いて、湾曲可能なカニューレ230、320によってもたらされる湾曲経路を越えてチャネルを更に生成することができる。
【0198】
遠位プローブの湾曲/操向を作動させるための操向可能デバイス又はシステム(例えば、遠位処置プローブ及び近位ハンドルを含む)の幾つかの実施形態が図36図42に示される。遠位プローブ設計の任意の設計が、近位ハンドル設計と交換可能であるため、どの1つのハンドル設計も近位プローブ設計に特有ではなく、またその逆も同様であることが更に想定される。少なくとも1つの実施形態によれば、システムは、骨内の湾曲経路、特に、椎弓根から椎骨に入り、湾曲して椎体に入り、椎体神経叢の処置位置に至る経路を生成するように構成される。幾つかの実施形態によれば、本明細書で述べる操向可能システムは、骨を通して移動するとともに、骨内で関節式連結するのに十分に頑健である。
【0199】
図36A図36Dは、プローブの遠位端701の操向を操作するように構成されるサムホイール790を有する近位ハンドル710を有する操向可能プローブ700の一実施形態を示す。一実施形態では、近位ハンドル710は、相互接続される1つ又は2つのサムホイール790を含む。一実施形態では、サムホイール790の回転は、ラック730及びピニオン735によってプルワイヤー711の直線運動を駆動する。幾つかの実施形態では、操向可能プローブ700は、電極ワイヤーリング713、電極リード715、ラック730とピニオン735との間の係合歯731、736、及びラック730内に埋め込まれたプルワイヤー711を備える。ラック730の下部側は、一連のノッチ732を有することができ、この一連のノッチ732は、ハンドル710内の突出部750と相互作用して、サムホイール790の抵抗性「クリックタイプ(click type)」運動を生成する。図36Aに示すように、サムホイール790は、遠位端701について種々の程度の湾曲の1つ又は複数のマーキング又は印799を有し得る。一実施形態では、ハンドル710の近位端は、皮質骨を通るように遠位端701を打付けるための衝当表面780を含む。
【0200】
図36Bに示すように、操向可能プローブ700の一実施形態は、管状電極760、762、プルワイヤー711、及び中央チューブ720(例えば、ハイポチューブ)を含むことができ、中央チューブ720は、横方向にスロット721が付けられて、遠位端701が骨を通してタッピングされることを可能にする軸方向剛性を依然として提供しながら、プルワイヤー711が作動するとチューブ720が屈曲することを可能にする。
【0201】
図37A図37Cは、ワイヤーリング用のスロット及び/又は逃げとともに、プルワイヤー811が作動するとハイプチューブ820が屈曲することを可能にするように横方向にスロット821が付けられたハイポチューブ820を有する操向可能プローブ800の一実施形態を示す。操向可能プローブ800の遠位端は、円錐遠位先端802及び管状電極860、862を含み得る。図37Bは、ハイポチューブ820の管腔823内の電極ワイヤーリング813を示す操向可能プローブ800の側面図を示す。種々の実施形態では、ハイポチューブ820は、ステンレス鋼又はDELRIN(商標)材料を含む。製造の種々の実施形態では、PEBAX(商標)(熱可塑性エラストマーの間で広い範囲の性能を提供するブロックコポリマー)又は他のコポリマー又は熱可塑性エラストマー材料の外側層840は、電極860と862との間に堆積され、電極860、862の外径と同一高さである直径を有するように形成される。幾つかの実施形態では、外側層840は、プルワイヤー811用の管腔841、電極リードワイヤーリング815用の管腔845、及び(例えば、ハイポチューブ820用の)中央チャネル842を備える。幾つかの実施形態では、外側層840は、電極リードワイヤーリング815及び/又は電極ワイヤーリング813を収容するポケットを備える。幾つかの実施形態では、ハイポチューブ820は、電極リードワイヤーリング815及び/又は電極ワイヤーリング813用の長円形スロットを含む。幾つかの実施形態では、外側層840は、図37Cに示すように、遠位先端802の近くでハイポチューブ820上にオーバモールド先端を備える。
【0202】
図38A図38Cは、より人間工学的な設計及びより大きなサムホイール890を有する操向可能デバイス近位ハンドル810の実施形態を示す。サムホイール890の回転は、プローブの遠位端801の操向を操作し、幾つかの実施形態では、先端802を屈曲させるように構成され得る。一実施形態では、サムホイール890は、ばね891によって軸方向にばね付勢されて、(例えば、パールノッチ付きホイール892及びデテント893により)ハンドル810に対して半径方向にロックされた位置にサムホイール890を保持する。図38Bを参照すると、幾つかの実施形態によれば、プローブの遠位端801の曲線運動を作動させるため、サムホイール890は、近位ハンドル810に向かって内向きに押されて、ばね891を圧縮し、パールノッチ付きホイール892からデテント893を係脱させ、それにより、サムホイール890の回転を可能にする。サムホイール890は、プルワイヤー811の直線運動を駆動する。幾つかの実施形態では、プルワイヤー811はパールノッチ付きホイール892内に埋め込まれる。
【0203】
図38Bは、プルワイヤー811の直線運動がノッチ付きホイール892によって駆動される一実施形態を示す。幾つかの実施形態では、プルワイヤー811はラック830内に埋め込まれる。図38Cは、プルワイヤー811の直線運動がラック830及びピニオン835によって駆動される実施形態を示す。一実施形態では、ハイポチューブ820は、ラック830に対して固定され、プルワイヤー811は、ピニオン835を駆動するサムホイール890の半径方向運動に基づいて後退及び/伸張する。ラック830及びピニオン835は、異なる実施形態では、他のコンポーネントと相互交換可能であり得る。
【0204】
図39A図39Dは、「スティックシフト」タイプ構成で遠位端についての湾曲のプリセット角度(例えば、0度、30度、60度、及び90度)のマーキング又は印9999を有し得る操向可能プローブ9900近位ハンドル9910の一実施形態を示す。図39Dに示すように、ノブ9980は、ハイポチューブ9920上に搭載され、湾曲スロット9932をナビゲートするため自由に回転可能である。ノブ9980は、ばね9991によってばね付勢されて、ノブ9980をそれぞれのスロット9932内に所与の増分で拘束/保持し得る。幾つかの実施形態では、プルワイヤー9911は、ノブ9980内に埋め込まれる。幾つかの実施形態では、プルワイヤー9911は、図39Dに示すように、ノブ9980内に保持される球状端を有する。ノブ9980が移動するにつれて、プルワイヤー9911が後退して、プルワイヤー9911が作動すると遠位端が屈曲することを可能にし得る。幾つかの実施形態は、(例えば、皮質骨を通るように遠位端を打付けるための)ハンドル9910の近位端に位置する衝当表面9980を含み得る。幾つかの実施形態では、リード9913は、衝当表面9980の中央ピースを通して配線され得る。
【0205】
一実施形態では、図示しないが、作動ノブは、(例えば、「上昇する梯子(escalating ladder)」の実施形態で)ばね付勢されて、ノブをそれぞれのスロット内に所与の増分で拘束/保持する。ハンドル9910は、固定レールと、固定レールに沿って摺動するばね保持器と、を有し得る。ノブが90度マーキングに向かって移動するにつれて、プルワイヤーが後退して、プルワイヤーが作動すると遠位端が屈曲することを可能にする。この上昇する梯子の実施形態は、ハンドル9910上の或るプリセット位置でノブが停止することを可能にし得る。一実施形態では、操向可能プローブ9900は湾曲スロット9932を備える。
【0206】
図40A図40Cは、操向可能プローブ9100の遠位端9101の幾つかの実施形態を示す。幾つかの実施形態では、遠位端9101は、骨内の湾曲経路を通してプローブを誘導するための巻上げられたセラミック遠位端9102を有し得る。さらに、レーザー溶接されたプルワイヤー9111は、周方向逃げ付きチャネル9132の湾曲部にごく近接して、巻上げられた先端9102の遠位端に巻付けられ得る。巻上げられた先端9102の近位端は、ポリマー外側構造9140に結合するためのリフローチャネル9122を備え得る。一実施形態では、ポリマー(例えば、PEBAX(商標))外側構造9140は、プルワイヤー及び/又は電極ワイヤーリング(図示せず)用の別個の管腔を有する単一ユニットを形成する。ポリマー外側構造9140は、横屈曲を促進するため、電極9160と9162との間に横方向周方向溝9141を備え得る。一実施形態では、この構成は、鋭利スタイレット等によって皮質シェルが穿孔された後に、椎骨チャネルに挿入され得る。一実施形態では、少なくとも2つの器具(例えば、器具を誘導するための鋭利スタイレット及びスリーブ)が、処置部位に対して湾曲経路を生成するために必要である。
【0207】
図41A図41Eは、操向可能スリーブ9240及びパッシブ操向式処置プローブ9220を備える操向可能プローブ遠位端9201の一実施形態を示す。一実施形態では、操向可能スリーブ9240は、処置プローブ9220を受け入れるサイズに作られたトロカールチャネルと、ガイドワイヤー9211を受け入れ、その往復動を可能にするための側壁内の管腔と、を有する屈曲可能チューブ(例えば、PEBAX(商標))を備える。一実施形態では、ガイドワイヤー9211は、チューブ9240の遠位端9201に配設されるエンドキャップ9202にレーザー溶接される。一実施形態では、エンドキャップ9202はステンレス鋼である。一実施形態では、エンドキャップ9202は、図41Cに示すように球半径を有する。一実施形態では、処置プローブ9220は、一方向(又は、別の実施形態では、複数の方向)への屈曲を促進するため、横スロット9221を有する細長いシャフト(例えば、ポリオキシメチレンとしても知られるDELRIN(商標)、アセタール、ポリアセタール、及びポリホルムアルデヒド)を備える。図41Bは、操向可能プローブ9200の管状電極9260の一実施形態を示す。一実施形態では、細長いシャフトは、球状電極先端9261を備え、細長いシャフトは、管状電極9260を収容するための逃げを遠位先端に近接して有する。細長いシャフトは、電極ワイヤーリング9213及び電極リード9215用の中央チャネルを備え得る。他の実施形態では、細長いシャフトは、高い硬質性及び低い摩擦特性を立証する異なる熱可塑性物質(例えば、Celcon(商標)又はHostaform(商標))からなり得る。
【0208】
一実施形態では、操作中、処置プローブ9220は、操向可能スリーブ9240内に配設されるように構成され、それにより、電極9261の球状先端が、スリーブ9240の中央チャネルの遠位端から突出し、プローブ9220及びスリーブ9240が処置部位に対して湾曲経路内を誘導される間、スタイレットとして働く。処置プローブ9220を送達する前に、鋭利スタイレット(図示せず)は、椎体の外側皮質シェルに穿孔するため、スリーブ9240に挿入され得る。次いで、スタイレットは取り外され、処置プローブ9220は、操向式の湾曲経路によって処置部位に送達するために挿入され得る。処置部位に達すると、スリーブ9240を後退させて(又は、プローブ9220を前進させて)、処置のため2つの双極電極を露出し得る。
【0209】
図42A図42Bは、操向可能内側プローブ920及び後退可能スリーブ940を有する単一器具設計を備える操向可能プローブ遠位端901を有する操向可能プローブ900の一実施形態を示す。操向可能プローブ900は、皮質シェルに穿孔し、海綿骨を通して経路を形成するための鋭利遠位先端902を備える。一実施形態では、鋭利遠位先端902の近位に取り付けられるのは、螺旋状管状セグメント924であり、この螺旋状管状セグメント924は、シースが図42Bに示す位置にあるとき、依然として軸方向に硬質でありながら、横屈曲性を提供する。図42Aに示すように、プルワイヤー911は、ポリマースペーサ925を通って経路形成しながら、遠位先端902に結合され得る。一実施形態では、2つの離間した管状電極960、962は、図42Aに示すように、遠位端にごく近接して螺旋状セグメント924を囲み、電極960、962と螺旋状セグメント924との間に配設されたポリマー層926を有する。シース940は、経路形成のために、図42Aに示す遠位位置に配設され、次いで、後退して、処置のために電極が露出されることを可能にし得る。
【0210】
図42Cは、本明細書で述べるシステム(例えば、骨経路形成システム、骨内神経アクセスシステム、及び/又は神経調節システム)の任意のシステムとともに使用することが可能な湾曲スタイレット7500(例えば、J形状スタイレット)の一実施形態を示す。湾曲スタイレット7500は、内側コア7510及び外側チューブ7520を備え得る。幾つかの実施形態では、内側コア7510は弾性金属合金(例えば、ニチノール、ステンレス鋼等)を含む。内側コア7510の直径7511は、約0.010’’〜約0.080’’(例えば、0.010’’〜0.050’’、0.015’’〜0.045’’、0.020’’〜0.080’’、0.025’’〜0.075’’、0.030’’〜0.080’’、0.050’’〜0.080’’、0.010’’〜0.030’’、又はその重複する範囲)の範囲にあり得る。一実施形態では、直径7511は内側コア7510の全長に沿って一定である。幾つかの実施形態では、外側チューブ7520はポリマー(例えば、PEEK、PEBAX(商標)、ポリオレフィン等)を含む。外側チューブ7520の壁厚7521の範囲は、約0.005’’〜約0.040’’の範囲内にあり得る。幾つかの実施形態では、スタイレット7500の全径は約0.090’’である。一実施形態では、スタイレット7500の全径は、スタイレット7500の全長に沿って一定であり、有利には、スタイレット7500が、カニューレ(例えば、本明細書で述べる湾曲カニューレ又は湾曲可能カニューレの任意のカニューレ)の全長に沿って内径に一致することを可能にする。全径が増加する場合、壁厚及び内側コアの直径の範囲もまたともに増加し得る。幾つかの実施形態によれば、スタイレット7500の硬質性は、有利には、内側コア7510の直径7511を処理すること、外側チューブ7520の壁厚7521を処理すること、又は、両方の組合せによって変更することができる。幾つかの実施形態では、スタイレット7500の遠位先端は、傾斜するが鋭利でない。一実施形態では、スタイレット7500の遠位先端は、少なくとも部分的に丸みを帯びるか又は鈍らされる。幾つかの実施形態では、外側チューブ7520は、内側コア7510を超えて横に延在し、内側コア7510の遠位先端を囲む。スタイレット7500は、上記の任意の実施形態のカニューレ、管腔、又はハイポチューブ内に配設されると、カニューレ、管腔、又はハイポチューブと接所幾状態になり、カニューレ、管腔、又はハイポチューブ用の横支持を提供し得る。
【0211】
一般に、約80℃と約95℃との間の標的組織のピーク温度を生成するように、本発明の実施形態を操作することが望ましい場合がある。ピーク温度が80℃未満であるとき、オフピーク温度は、約45℃より急速に下がり得る。ピーク温度が95℃を超えるとき、ピーク温度に暴露される骨組織は、壊死を受け、炭化を生じ得る。この炭化は、炭化組織の電気伝導率を減少させ、それにより、炭化物を超えて標的組織を通してRF電流を流すこと、及び、炭化物を超えて標的組織を抵抗加熱することをより難しくする。幾つかの実施形態では、ピーク温度は、86℃と94℃との間、80℃と90℃との間、85℃、その重複する範囲、又は80℃と95℃との間の任意の温度である。
【0212】
幾つかの実施形態に従って、標的組織の体積を少なくとも42℃の最低温度に加熱することが望ましい場合がある。組織が42℃を超える温度を受けると、標的組織内の神経は、望ましいことには損傷を受ける場合がある。しかし、除神経が、標的組織に送達されるエネルギーの総量の関数である、すなわち、暴露温度及び暴露時間がともに、送達されるエネルギーの総用量を決定することが信じられている。
【0213】
通常、骨内神経が治療温度に暴露される期間は、一般に、電極がアクティブ化される時間の長さに関連する。幾つかの実施形態では、電極は、ピーク温度が80℃と95℃との間にあるとき、10分と20分との間、10分と15分との間、12分、15分、10分未満、20分より長い時間、又は10分と20分との間の任意の継続時間、アクティブ化されて、神経組織が調節(例えば、除神経)されるような最低標的組織温度を達成し得る。しかし、電力がオフにされた後(そして、電界がなくなった後)でも、全加熱ゾーンが比較的熱いままであることが観測されたため、暴露時間は、電流が電極を通して流れない期間を含むことができる。
【0214】
一般に、電極が離れれば離れるほど、全加熱ゾーン内にIONが含まれることになる可能性が高くなる。したがって、幾つかの実施形態では、電極は、少なくとも5mm離れて、又は、少なくとも10mm離れて配置される。しかし、電極があまりにも遠くに離間する場合、電界は、望ましくないほどに極端なダンベル形状をとる。したがって、多くの実施形態では、電極は、1mmと25mmとの間、5mmと15mmとの間、10mmと15mmとの間、3mmと10mmとの間、8mmと13mmとの間、10mmと18mmとの間、12mmと20mmとの間、20mmと25mmとの間、1mmと3mmとの間、又は1mmと25mmとの間の任意の整数又は値の距離だけ離れて配置される。
【0215】
幾つかの実施形態では、骨組織の少なくとも約1ccが最低温度を受けるように標的組織を加熱することが望ましい。この体積は、約0.6cmの半径を有する球に対応する。換言すると、ピーク温度を受ける点の0.6cm以内の骨の全ての部分が最低温度を達成するように標的組織を加熱することが望ましい。
【0216】
幾つかの実施形態によれば、骨の少なくとも約3ccが最低温度を受けるように標的組織を加熱することが望ましい。この体積は、約1cm(例えば、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1.0cm、1.1cm、1.2cm、1.3cm、1.4cm)の半径を有する球に対応する。
【0217】
幾つかの実施形態は、約80℃と約95℃との間(例えば、86℃と94℃との間、80℃と90℃との間、又はその重複する範囲)のピーク温度を有する定常状態加熱ゾーンを提供し、骨の少なくとも約1cc(例えば、骨の少なくとも約2cc、骨の少なくとも約3cc、骨の少なくとも約4cc、骨の少なくとも約5cc)を少なくとも50℃(例えば、60℃)の温度に加熱する。
【0218】
幾つかの実施形態によれば、椎体神経を有する椎体を治療的に処置する方法は、アクティブ電極及びリターン電極を有するエネルギーデバイスを設けること、アクティブ電極を椎体に挿入すること、リターン電極を椎体に挿入すること、及び、アクティブ電極とリターン電極との間に電流を生成するのに十分に高い周波数の電圧差をアクティブ電極とリターン電極との間に印加し、それにより、少なくとも0.5cmの直径を有する全加熱ゾーン及び少なくとも50℃の定常状態温度を生成することを含む。
【0219】
上記で述べたように、約100℃未満又は約105℃未満のピーク温度は、隣接組織の炭化、蒸気形成、及び組織ポピングを防止するために望ましい。幾つかの実施形態では、これは、加熱ゾーン内のピーク温度が90℃等の所望の標的温度で維持されることを可能にするフィードバック手段を有する電源を設けることによって達成される。幾つかの実施形態では、ピーク温度は85℃〜95℃の範囲内にある。他の実施形態では、ピーク温度は70℃〜90℃の範囲内にある。
【0220】
幾つかの実施形態では、約24ワットと30ワットとの間の電力が、デバイスに最初に供給されて、最大アンペア数が約10秒〜15秒以内で得られる状態で、比較的冷たい骨を急速に加熱する。他の実施形態では、約28ワットと32ワットとの間の電力、約20ワットと26ワットとの間の電力、30ワットと40ワットとの間の電力、15ワットと24ワットとの間の電力、その重複する範囲、又はその範囲内の任意の電力レベルがデバイスに最初に供給される。幾つかの実施形態では、最大アンペア数は、5秒〜10秒以内に、約15秒〜25秒以内に、約7秒〜12秒以内に、約13秒〜18秒以内に、その重複する範囲内に、又は挙げた範囲内の任意の継続時間内に得られ得る。骨が標的温度に更に加熱されるにつれて、フィードバック手段は、デバイスへの電力入力を約6ワット〜10ワットまで徐々に減少させる。幾つかの実施形態では、電力入力は、4ワット〜7ワット、8ワット〜12ワット、2ワット〜6ワット、7ワット〜15ワット、又はその重複する範囲まで減少される。
【0221】
冷却は、本明細書で述べる神経調節デバイス(例えば、エネルギー送達デバイス)の任意のデバイスについて使用され得る。幾つかの実施形態では、冷却バルーン又は他の冷却用デバイス若しくは流体(例えば、熱除去要素、ヒートシンク、神経調節デバイスの1つ又は複数の管腔を通して循環する冷却用流体)が、処置ゾーン若しくは位置、又は処置ゾーン若しくは位置を囲むエリアを冷却するために使用される。
【0222】
アクティブ電極がアクティブな冷却手段を持たない場合、アクティブ電極は、加熱された組織による伝導加熱にさらされる場合があり、電極の結果として得られる温度上昇は、隣接する骨組織を炭化することによって性能に悪い影響を及ぼし得る。したがって、幾つかの実施形態では、cool−tip型アクティブ電極が使用され得る。冷却された電極は、電極の温度を所望の温度に維持するのに役立つ。cool−tip型アクティブ電極は当技術分野で知られている。代替的に、電源は、パルス状エネルギー入力を提供するように設計され得る。電流をパルス駆動することが、好都合には、熱が電極先端から消散することを可能にするため、アクティブ電極が比較的冷たいままになることが見出された。
【0223】
種々の実施形態では、神経調節デバイスは、近位端、遠位端、及び遠位端にあるか又は遠位端の近くの少なくとも1つのアクティブ電極を有するシャフトを有する電気手術プローブを備える。アクティブ電極を高周波電圧源に電気結合するためのコネクタが、シャフトの近位端に又は近位端の近くに設けられ得る。幾つかの実施形態では、電圧源に結合されたリターン電極は、アクティブ電極から十分な距離に離間されて、両方の電極間の電流短絡を実質的に回避又は最小にする。リターン電極はプローブのシャフトと一体に設けられ得るか、又は、リターン電極はシャフトと別個であり得る。
【0224】
幾つかの実施形態では、電気手術プローブ又はカテーテルは、近位端及び1つ又は複数の電極端子を支持する遠位端を有するシャフト又はハンドピースを備える。シャフト又はハンドピースは、いろいろな種類の構成をとることができ、主要な目的は、アクティブ電極を機械的に支持し、処置する医師が、シャフトの近位端から電極を操作することを可能にすることである。シャフトは、剛性又は可撓性とすることができ、可撓性シャフトは、任意選択で、機械的支持のために全体的に剛性の外部チューブと組み合わされる。可撓性シャフトは、プルワイヤー、形状記憶アクチュエーター、及び、電極アレイの位置決めを容易にするためこのシャフトの遠位端の選択的な偏向を行うための他の知られている機構と組み合わされ得る。シャフトは、通常、このシャフトの近位端でコネクタに対する電極アレイの接続を可能にするため、複数のワイヤー、又は、このシャフトを通って軸方向に延びる他の伝導性要素を含むことになる。
【0225】
幾つかの実施形態では、シャフトは、経皮的貫入を通して患者に導入される剛性針である。しかし、脊椎内の内視鏡手技の場合、シャフトは、胸腔、腹部等を通してシャフトを送達することによって、外科医が標的部位(例えば、椎間板)に達することを可能にするのに適した直径及び長さを有し得る。そのため、シャフトは、約5.0cm〜30.0cm(例えば、約5cm〜10cm、10cm〜15cm、10cm〜20cm、若しくは10cm〜30cm、又はその重複する範囲)の範囲内の長さ、及び、約0.2mm〜約10mm(例えば、約0.2mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜4mm、2〜6mm、6mm〜8mm、若しくは5mm〜10mm、又はその重複する範囲)の範囲内の直径を有し得る。これらの実施形態の任意の実施形態では、シャフトはまた、剛性又は可撓性内視鏡を通して導入され得る。
【0226】
プローブは、脊椎内の組織に電気エネルギーを印加するための1つ又は複数のアクティブ電極を含み得る。プローブは、1つ若しくは複数のリターン電極を含み得るか、又は、リターン電極は、分散パッドとして患者の背部上に位置決めされ得る。いずれの実施形態でも、十分な電気エネルギーがプローブを通してアクティブ電極(複数の場合もある)に印加されて、血液供給部又は椎体内の神経を壊死させる。
【0227】
電気手術器具はまた、従来の又は専用のガイドカテーテルを通して挿入することによって経皮的に及び/又は管腔内的に患者の内部に送達されるカテーテルであり得るか、又は、本発明は、カテーテルの遠位端と一体のアクティブ電極又は電極アレイを有するカテーテルを含み得る。カテーテルシャフトは、剛性又は可撓性であることができ、可撓性シャフトは、任意選択で、機械的支持のために全体的に剛性の外部チューブと組み合わされる。可撓性シャフトは、プルワイヤー、形状記憶アクチュエーター、及び、電極又は電極アレイの位置決めを容易にするためシャフトの遠位端の選択的な偏向を行うための他の知られている機構と組み合わされ得る。カテーテルシャフトは、このカテーテルシャフトの近位端でコネクタに対する電極又は電極アレイ及びリターン電極の接続を可能にするため、複数のワイヤー、又は、このカテーテルシャフトを通って軸方向に延びる他の伝導性要素を含み得る。カテーテルシャフトは、カテーテルを標的部位に誘導するためのガイドワイヤーを含み得るか、又はカテーテルは操向可能ガイドカテーテルを含み得る。カテーテルはまた、実質的に剛性の遠位端部分を含んで、カテーテルが患者の身体の内部に更に前進させられるにつれて、遠位端部分のトルク制御を増加させ得る。特定の展開手段が、以降の図に関連して詳細に述べられる。
【0228】
幾つかの実施形態では、電気伝導性ワイヤーは、無制約モードでカテーテルボアの内部で又はカテーテルボア内の複数の管腔内で自由に延び得る。
【0229】
器具の先端領域は、先端の近傍で電気エネルギーを送達するように設計された多くの独立した電極端子を備え得る。電気エネルギーの選択的印加は、それぞれの個々の電極端子及びリターン電極を、独立制御式又は電流制限式チャネルを有する電力源に接続することによって達成される。リターン電極(複数の場合もある)は、電極アレイに近接して伝導性材料の単一管状部材を備え得る。代替的に、器具は、先端において電流を維持するため、(アクティブ電極とともに)器具の遠位先端にリターン電極のアレイを備え得る。リターン電極(複数の場合もある)と電極アレイとの間での高周波電圧の印加は、それぞれの個々の電極端子からリターン電極への高周波電流の伝導によって、電極端子の遠位先端における高い電界強度の発生をもたらす。それぞれの個々の電極端子からリターン電極(複数の場合もある)への電流は、アクティブ手段若しくはパッシブ手段又はその組合せによって制御されて、脊髄等の周囲(非標的)組織に対するエネルギー送達を最小にするか又は防止しながら、周囲伝導性流体に電気エネルギーを送達する。
【0230】
装置に関連する温度プローブは、電極キャリア上に又は電極キャリア内に、電極間に(双極の実施形態において好ましい場合がある)、又は、電極内に(単極の実施形態において好ましい場合がある)配設され得る。電極がIONの両側に配置される幾つかの実施形態では、温度プローブは、電極間又は電極内に配設される。代替の実施形態では、温度プローブの展開可能部分は記憶金属を含む。
【0231】
電極端子(複数の場合もある)は、器具シャフトの遠位端の近くに位置決めされた無機絶縁支持体内に又は無機絶縁支持体によって支持され得る。リターン電極は、器具シャフト上に、別の器具上に、又は患者の外部表面(すなわち、分散パッド)上に位置付けられ得る。幾つかの実施形態では、骨内神経に対する2重針の極近接性設計は、非標的組織及び周囲神経を通る電流を最小にするため、双極設計をより好ましいものにする。したがって、リターン電極は、器具本体と、又は、器具本体に非常に近接して位置付けられた別の器具と一体化され得る。器具(複数の場合もある)の近位端は、リターン電極(複数の場合もある)及び電極端子(複数の場合もある)を、電気手術発生器等の高周波電源に結合させるための適切な電気接続部を含み得る。
【0232】
幾つかの実施形態では、アクティブ電極(複数の場合もある)は、電極の前縁に沿って電界強度及び関連する電流密度を促進するように形作られた表面幾何形状を有するアクティブな部分又は表面を有する。適した表面幾何形状は、鋭利縁を含む電極形状を作ることによって、又は、電極のアクティブ表面(複数の場合もある)上に隆起若しくは他の表面粗さを作ることによって得られ得る。電極形状は、正方形、長方形、L形状、又はV形状等の種々の断面形状を有する電極を形成するため、(例えば、整形ダイを通して丸いワイヤーを引き抜くことによる)成形ワイヤーの使用を含む可能性がある。電極は、先端電極、リング電極、平板電極、円柱電極、円錐台電極、又は任意の他の形状の電極であり得る。電極縁はまた、細長い金属電極の一部分を取り外して、断面を再整形することによって作られ得る。例えば、丸いか又は中空のワイヤー電極の長さに沿って材料を接地して、縁が切断方向に向く状態で、D形状又はC形状ワイヤーをそれぞれ形成することができる。代替的に、電極の長さに沿って密接に配置された間隔で材料を取り外して、電極に沿って横断溝、スロット、ねじ山等を形成することができる。他の実施形態では、プローブは、所与の外周が電極領域及び非アクティブ領域を備えるようにセクタ化することができる。幾つかの実施形態では、非アクティブ領域はマスクされる。
【0233】
リターン電極は、幾つかの実施形態では、アクティブ電極(複数の場合もある)から近位に、適した距離だけ離間される。本明細書で述べる実施形態のほとんどでは、リターン電極の露出表面の遠位縁は、2重針挿入時に、アクティブ電極(複数の場合もある)の露出表面の近位縁から約1mm〜25mm(又は両方の電極間の任意の距離)だけ離間する。もちろん、この距離は、異なる電圧範囲、電極幾何形状によって変動し、また、アクティブ電極及びリターン電極に対する組織構造の近接性に依存し得る。幾つかの実施形態では、リターン電極は、約1mm〜20mm、約2mm〜6mm、約3mm〜5mm、約1mm〜8mm、約4mm〜12mm、約6mm〜16mm、約10mm〜20mm、4mm、5mm、10mm、又は1mmと20mmとの間の任意の長さの範囲内の露出長さを有する。適切な時間間隔の間、リターン電極(複数の場合もある)と電極端子(複数の場合もある)との間に高周波電圧を印加することは、標的組織を修飾することをもたらす。幾つかの実施形態では、電極は、1mmと2mmとの間(例えば、1mmと1.5mmとの間、1.2mmと1.8mmとの間、1.5mmと1.7mmとの間、1.6mmと2mmとの間、1.65mm、又は挙げた範囲の間の任意の外径)の外径を有する。幾つかの実施形態では、電極は、0.5mmと1.5mmとの間(例えば、0.5mmと0.8mmとの間、0.75mmと0.9mmとの間、0.8mmと1mmとの間、1mmと1.5mmとの間、0.85mm、又は挙げた範囲の間の任意の内径)の内径を有する。
【0234】
実施形態は、単一のアクティブ電極端子又はカテーテル若しくはプローブの遠位表面の周りに配置された電極端子のアレイを使用し得る。後者の実施形態では、電極アレイは、通常、複数の独立電流制限式及び/又は独立電力制御式の電極端子を含んで、血液、通常の生理食塩水等の周囲の電気伝導性流体内への電力消散に起因する周囲組織及び環境に対する電気エネルギーの好ましくない印加を制限しながら、標的組織に電気エネルギーを選択的に印加する。電気端子は、端子を互いから絶縁し、各端子を、他の電極端子から絶縁される別個の電力源に接続することによって、独立に電流制限され得る。代替的に、電極端子は、カテーテルの近位端又は遠位端で互いに接続されて、電力源に結合する単一ワイヤーを形成し得る。
【0235】
一構成では、電極アレイ内のそれぞれの個々の電極端子は、上記器具内でアレイ内の全ての他の電極端子から電気的に絶縁され、また、アレイ内の他の電極端子のそれぞれから絶縁される電力に、又は、低抵抗材料(例えば、血液)がリターン電極と個々の電極端子との間に低インピーダンス経路をもたらすとき、電極端子に対する電流を制限若しくは阻止する回路要素に接続される。それぞれの個々の電極端子用の絶縁式電力源は、低インピーダンスリターン経路に遭遇すると、関連する電極端子に対する電力を制限する内部インピーダンス特性を有する別個の電源回路であり得る。例によれば、絶縁式電力源は、ユーザー選択可能な定電流源であり得る。一実施形態では、加熱が、動作電流の2乗にインピーダンスを掛けた値に比例するため、より低いインピーダンス経路は、より低い抵抗性加熱レベルを自動的にもたらし得る。代替的に、単一電力源は、独立に作動可能なスイッチを通して、又は、インダクター、キャパシター、抵抗器、及び/又はその組合せ等の独立の電流制限要素によって電極端子のそれぞれに接続され得る。電流制限要素は、器具、コネクタ、ケーブル、コントローラー内に、又は、コントローラーから器具の遠位先端までの伝導性経路に沿って設けられ得る。代替的に、抵抗及び/又はキャパシタンスは、選択される電極端子を形成する酸化物層(例えば、プラチナ等の金属の表面上のチタン又は抵抗性コーティング)に起因して、アクティブ電極端子(複数の場合もある)の表面上で発生し得る。
【0236】
本発明の一実施形態では、アクティブ電極は、接触表面にわたって配設された複数の電気絶縁式電極端子を有する電極アレイを備え、接触表面は、平面又は非平面であり、また、遠位先端に、シャフトの横表面にわたって、又は、先端と横表面(複数の場合もある)との両方にわたって位置付けられ得る。電極アレイは、少なくとも2つ以上の電極端子を含み、温度センサーを更に備え得る。一実施形態では、各電極端子は、シャフト内に配設された電気絶縁式導体によって近位コネクタに接続され得る。導体は、高周波電源及びプローブの動作用のオプションの温度モニターを有する制御システムに対する電極端子の独立した電気結合を可能にする。制御システムは、有利には、アクティブ及び/又はパッシブ電流制限構造を組み込むことができ、この電流制限構造は、関連する電極端子が、リターン電極に戻る低抵抗リターン経路と接触状態になると、電流を制限するように設計される。
【0237】
一実施形態では、電気手術手技におけるこうした電極アレイの使用は特に有利であり得る。その理由は、そうすることが、電力送達を実質的に減少させることなく組織壊死の深さを制限することがわかったからである。各電極端子に印加される電圧は、全ての低電気インピーダンス経路を通る電流が制限され得る電極端子によって接触されるか又はその電極端子に非常に近接するようになる任意の身体構造に電気エネルギーが与えられるようにする。針の幾つかが中空であるため、伝導性流体が、針を通して骨構造内に付加されて、電気インピーダンスを下げ、海綿骨内の空間を充填して、海綿骨を針にとってより良好な導体にする可能性がある。
【0238】
本発明の実施形態が、電気絶縁式電極端子又は更に複数の電極端子に限定されないことが明確に理解されるべきでる。例えば、アクティブ電極端子のアレイは、カテーテルシャフトを通して高周波電流の電力源まで延在する単一リードに接続され得る。代替的に、器具は、カテーテルシャフトを通して電力源まで直接延在するか又は電力源まで延在する単一リードに接続される単一電極を組み込み得る。アクティブ電極(複数の場合もある)は、ボール形状、トゥイズル形状、ばね形状、ねじれ金属形状、円錐形状、環状又は中実チューブ形状等を有し得る。代替的に、電極(複数の場合もある)は、複数のフィラメント、剛性又は可撓性ブラシ電極(複数の場合もある)、シャフトの横表面上の側面作用(side-effect)ブラシ電極(複数の場合もある)、コイル電極(複数の場合もある)等を備え得る。
【0239】
リターン電極(複数の場合もある)と電極端子(複数の場合もある)との間に印加される電圧差は、高周波数又は無線周波数(例えば、約50kHzと20MHzとの間、約100kHzと2.5MHzとの間、約400kHzと1000kHzとの間、600kHz未満、約400kHzと600kHzとの間、その重複する範囲、500kHz、又は挙げた範囲内の任意の周波数)であり得る。印加されるRMS(2乗平均平方根)電圧は、特定の手技の電極端子サイズ、動作周波数、及び動作モードに応じて、約5ボルト〜1000ボルトの範囲、約10ボルト〜200ボルトの範囲、約20ボルトと100ボルトとの間、約40ボルトと60ボルトとの間であり得る。より低いピーク間電圧が、組織凝固、組織の熱的加熱、又はコラーゲン収縮のために使用され、また、50ボルト〜1500ボルト、100ボルト〜1000ボルト、120ボルト〜400ボルト、100ボルト〜250ボルト、200ボルト〜600ボルト、150ボルト〜350ボルトのピーク間電圧、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の電圧であり得る。上記で論じたように、電圧は、(例えば、一般に約10Hz〜20Hzでパルス駆動される、浅い深さの壊死を必要とするレーザーと比較して)十分に高い周波数(例えば、50kHz〜20MHzのオーダー)で連続的に送達され得る。さらに、正弦波デューティサイクル(すなわち、エネルギーが印加される任意の1秒間隔内の累積時間)は、約0.0001%のデューティサイクルを通常有するパルス駆動式レーザーと比較して、約100%のオーダーであり得る。種々の実施形態では、電流は、50mA〜300mA(例えば、50mA〜150mA、100mA〜200mA、150mA〜300mA、その重複する範囲、又は挙げた範囲内の任意の電流レベル)の範囲である。
【0240】
電力源は、加熱される標的組織の体積、及び/又は器具、先端のために選択される許容可能な最大温度に応じて、1電極当たり数ミリワットから数十ワットの範囲にある平均電力レベルを生成するように選択可能な高周波電流を送達し得る。電力源は、ユーザーが特定の手技の特定の要件に従って電力レベルを選択することを可能にする。
【0241】
電力源は、標的組織又は周囲(非標的)組織の所望されない加熱が起こらないように電流制限されるか又はその他の方法で制御され得る。一実施形態では、電流制限インダクターが、それぞれの独立した電極端子と直列に配置され、インダクターのインダクタンスは、標的組織の電気特性、所望の組織加熱レート、及び動作周波数に応じて、10μH〜50000μHの範囲内にある。代替的に、キャパシター−インダクター(LC)回路構造が、米国特許第5,697,909号において以前に記載されたように使用され得る。さらに、電流制限抵抗器が選択され得る。幾つかの実施形態では、マイクロプロセッサを使用して、測定電流をモニターし、電流を制限するよう出力を制御する。
【0242】
組織処置表面のエリアは幅広く変動する可能性があり、組織処置表面は、種々の幾何形状をとる可能性があり、特定のエリア及び幾何形状が特定の用途のために選択される。幾何形状は、平面、凹、凸、半球、円錐、直線「インライン(in-line)」アレイ、又は事実上任意の他の規則的形状又は不規則的形状である可能性がある。最も一般的に、アクティブ電極(複数の場合もある)又は電極端子(複数の場合もある)は、電気手術器具シャフトの遠位先端において形成することができ、しばしば、再整形手技で使用するため平面状、円板状、リング状、若しくは半球状表面であるか、又は、切除で使用するため直線アレイである。代替的に又はさらに、アクティブ電極(複数の場合もある)は、(例えば、スパチュラのように)電気手術器具シャフトの横表面上に形成され、内視鏡手技において一定の身体構造に対するアクセスを容易にすることができる。
【0243】
デバイスは、人体内の任意の硬質組織内への挿入のために適切に使用され得る。幾つかの実施形態では、硬質組織は骨である。他の実施形態では、硬質組織は軟骨である。幾つかの実施形態では、骨が、最適な組織として選択されるとき、骨は椎体である。幾つかの実施形態では、デバイスは、骨の硬質皮質シェルに穿孔し、下にある海綿骨の少なくとも一部分に貫入するように適合される。幾つかの実施形態では、プローブは、プローブの前進によって規定される骨の断面の少なくとも1/3の距離まで骨の内部に前進する。幾つかの方法の実施形態は、実質的に腫瘍がない椎体内で実施される。他の方法の実施形態は、腫瘍を有する椎体内で実施され、腫瘍の処置とともに使用され得る。
【0244】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の幾つかの実施形態を示し、本開示の範囲を制限することをいずれの点でも意図されない。さらに、以下の実施例及び上記の開示で述べる方法及び手技は、提示された順序で実施される必要はない。
【0245】
パイロットヒト臨床研究が実施されて、慢性の腰痛を病む患者に軽減を提供するときの、椎体神経のアブレーションを含む最小侵襲性技法の効果を判定した。
【0246】
本研究では、無線周波数デバイスが使用されて、疼痛シグナルを伝達する椎骨内の神経をアブレーションした。研究は、少なくとも3か月の非外科的保存的介護に対して反応がない慢性の(6か月以上)散発性腰痛を病む16人のヒト患者の処置を含んだ。研究において処置され観察された患者は、平均47.6歳であり、平均32.4か月の保存的処置を受けた。患者は全て、標的の変性椎間板レベルで、30より大きいオスウェストリー障害指数(ODI)及び病的変化又はポジティブな疼痛誘発椎間板造影を有した。
【0247】
幾つかの実施形態によれば、標的椎体用の椎体孔の骨内進路は、MRIイメージング(例えば、前後画像及び側部静止画像)を使用して可視化されマッピングされた。CT又は他のイメージング技法もまた使用される可能性がある。研究では、処置は、術中X線透視、及び椎弓根を通るアプローチを使用して実施された。しかし、他の視覚化及びアプローチ技法が使用される可能性がある。研究中に使用された処置デバイスは、湾曲栓子(obturator)を有する双極無線周波数プローブであった。研究では、双極RFプローブは、骨バイオプシ針を通して挿入され、X線透視下で標的処置位置に誘導された。次いで、双極RFプローブが使用されて、制御された方法で椎体神経をアブレーションした。研究において送達されたRFエネルギーは500kHzの周波数を有し、電極の温度は85℃であり、処置の継続時間は5分と15分との間で変動した。幾つかの実施形態によれば、送達されるRFエネルギーは400kHzと600kHzとの間(例えば、450kHz、500kHz、550kHz)であり、電極の温度は80℃と100℃との間(例えば、85℃、90℃、95℃)であり、処置の継続時間は4分と20分との間(例えば、6分、8分、10分、12分、15分)であり得る。
【0248】
幾つかの実施形態によれば、処置は、L3、L4、L5、及びS1椎骨に限定された。2レベル及び3レベル骨内アブレーション処置が種々の患者に関して実施された。研究中に処置された複数のレベルは、隣接するレベルであった。12人の患者がL4及びL5レベルにて処置され、2人の患者がL3レベル〜L5レベルにて処置され、2人の患者がL5レベル及びS1レベルにて処置された。
【0249】
フォローアップ期間中に破損が皆無であることがX線写真により見出され、骨のリモデリングは観測されなかった。16人のうちの13人の患者が、「大きくかつ即座の軽減(profound and immediate relief)」を報告した。処置手技は、改善されたODIスコア及び改善された視覚的アナログ疼痛スケール(VAS:Visual Analogue Pain Scale)値をもたらし、それらは1年の時点で持続した。ODIスコアは、6週、3か月、6か月、及び12か月で大幅に改善された。1年の時点でのODIスコアの平均減少は、31ポイントであった。VAS値は、1年のフォローアップ時点で術前平均61.1から平均45.6まで減少した。デバイスに関連する重篤な有害事象は全く報告されなかった。したがって、一実施形態では、椎体神経アブレーションは、活動不能性背部痛(disabling back pain)を病む患者について処置の早期段階中に適用可能である安全で簡単な手技である。
【0250】
条件付き言語、例えば、とりわけ、「する可能性がある、し得る(can、could、might、may)」は、別途具体的に述べられない限り、又は、使用される文脈内で別様に理解されない限り、一般に、他の実施形態は含まないが、或る特定の実施形態が或る特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むことを伝えることを意図される。
【0251】
或る特定の実施形態及び例が本明細書で述べられたが、本開示において示され述べられる方法及びデバイスの態様は、異なるように組み合わされ及び/又は修正されて、なお更なる実施形態を形成し得る。さらに、本明細書で述べる方法は、挙げたステップを実施するのに適した任意のデバイスを使用して実施され得る。幾つかの実施形態は、添付図面に関連して述べられた。しかし、図が一定比例尺に従って描かれていないことが理解されるべきである。距離、角度等は、例証に過ぎず、示すデバイスの実際の寸法及びレイアウトに対して正確な関係を必ずしも持たない。コンポーネントは、追加、取外し、及び/又は再配置される可能性がある。さらに、種々の実施形態に関連しての、任意の特定の特徴、態様、方法、特質、特性、品質、属性、要素等についての本明細書での開示(図を含む)は、本明細書で述べる全ての他の実施形態のセットにおいて使用される可能性がある。
【0252】
この開示のために、本発明の或る特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書で述べられる。或る方法で具現化されるか又は実行される実施形態は、必ずしも他の利点を達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は利点のグループを達成し得る。本明細書で使用される見出しは、単に読みやすくするために使用され、特定の節で開示される実施形態の範囲を、その節で開示される特徴又は要素に限定することを意図されない。本開示の一実施形態からの特徴又は要素は、本開示の他の実施形態によって使用される可能性がある。例えば、1つの図で述べる特徴は、他の図において示す実施形態に関連して使用され得る。
【0253】
本発明は種々の変更及び代替の形態を受け入れるが、それらの特定の例が図面に示され、本明細書で詳細に述べられる。しかし、本発明が、開示される特定の形態又は方法に限定されるのではなく、逆に、本発明が、述べる種々の実施形態及び添付特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に入る全ての変更形態、等価形態、及び代替形態を包含することが理解されるべきである。本明細書で開示されるいずれの方法も、挙げた順序で実施される必要はない。本明細書で開示される方法は、専門家によって行われる或る特定の行為を含む。しかし、それらの方法はまた、それらの行為の任意の第3者の命令を明示的に又は暗黙的に含む可能性がある。例えば、「治療用量のエネルギーを送達すること」等の行為は、「治療用量のエネルギーの送達を指示すること」を含む。
【0254】
本発明の種々の実施形態は、範囲形式で提示された。範囲形式での記述が、便宜のためまた簡潔にするために過ぎず、本発明の範囲に対する融通の利かない制限として解釈されるべきでないことが理解されるべきである。本明細書で開示される範囲は、任意のまた全てのオーバラップ、部分範囲、及びその組合せ、並びに、その範囲内の個々の数値を包含する。例えば、約5分〜約30分等の範囲の記述は、5度〜10度、10分〜20分、5分〜25分、15分〜30分等のような具体的に開示される部分範囲、並びに、その範囲内の個々の数値、例えば、5、10、15、20、25、12、15.5、及びそれらの間の任意の全体及び部分的増分を有すると考えられるべきである。「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「の間」等の言語は、挙げた数値を含む。「約」又は「ほぼ」等の用語によって先行される数値は、挙げた数値を含む。例えば、「約10%」は「10%」を含む。例えば、本明細書で使用される用語「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」は、依然として所望の機能を実施するか又は所望の結果を達成する、述べた量に近い量を示す。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図32
図33
図34
図35A
図35B
図35C
図36A
図36B
図36C
図36D
図37A
図37B
図37C
図38A
図38B
図38C
図39A
図39B
図39C
図39D
図40A
図40B
図40C
図41A
図41B
図41C
図41D
図41E
図42A
図42B
図42C