特許第6453407号(P6453407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453407
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ガスタービンローター及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/06 20060101AFI20190107BHJP
   F01D 5/08 20060101ALI20190107BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20190107BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20190107BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20190107BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   F01D5/06
   F01D5/08
   F01D25/00 F
   F01D25/00 L
   F01D25/00 N
   F01D25/12 E
   F02C7/00 C
   F02C7/18 A
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-180277(P2017-180277)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2018-189080(P2018-189080A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0055165
(32)【優先日】2017年4月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598026253
【氏名又は名称】斗山重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,キベック
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−204255(JP,A)
【文献】 実開昭59−169480(JP,U)
【文献】 特開昭57−069116(JP,A)
【文献】 特開昭63−001890(JP,A)
【文献】 特開昭58−201040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/06
F01D 5/08
F01D 25/00
F01D 25/12
F02C 7/00
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に圧縮機及びタービンのブレードを装着して回転駆動するガスタービンローターであって、
一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第2ローターの挿入部が挿入できる挿入溝を有する第1ローターと、
一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第1ローターに設けられた挿入溝と対応する構造で所定の長さだけ延設される挿入部を有する第2ローターと、
前記挿入溝と前記挿入部との間に装着され、前記第1ローターと前記第2ローターとを互いに結束させ、前記第1ローター及び前記第2ローターを構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成された連結部材と、を含み、
前記第1ローター及び前記第2ローターの内部には、冷却流体が流動することが可能な第1流動路が設けられていることを特徴とするガスタービンローター。
【請求項2】
前記第1ローターの一端部には、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔が設けられ、
前記第1ローターの一端部に結束される連結部材の一側部には、前記ボルト孔と対応する位置に貫通孔が設けられ、
前記ボルト孔と前記貫通孔を用いて第1ローターと連結部材とが互いにボルト締結されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項3】
前記挿入部の一端部には、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔が設けられ、
前記挿入部の一端部に結束される連結部材の一側部には、ボルト孔と対応する位置に貫通孔が設けられ、
前記ボルト孔と前記貫通孔を用いて第2ローターと連結部材とが互いにボルト締結されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項4】
前記連結部材は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項5】
前記連結部材は、
前記第1ローターの一端部に結束される第1連結部と、
前記第2ローターの一端部に結束される第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部とを一体に連結し、前記挿入部の外周面に対応する構造で所定の長さだけ延設された延長部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項6】
前記挿入溝の内周面と前記挿入部の外周面とが互いに離隔した距離は、前記延長部の厚さに対して100〜110%であることを特徴とする請求項5に記載のガスタービンローター。
【請求項7】
前記連結部材は、側断面視で、前記第1ローター及び前記第2ローターの外径に対応する外径で形成された環状型の構造をなすことを特徴とする請求項5に記載のガスタービンローター。
【請求項8】
前記連結部材は、2つ以上が互いに結合され、側断面視で、前記第1ローター及び前記第2ローターの外径に対応する環状型の構造をなすことを特徴とする請求項5に記載のガスタービンローター。
【請求項9】
前記延長部は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする請求項5に記載のガスタービンローター。
【請求項10】
前記第1ローターと前記連結部材とが互いに接触する面、及び前記第2ローターと前記連結部材とが互いに接触する面には、熱伝達物質が塗布されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項11】
前記連結部材の内部には、前記第1流動路に連通する第2流動路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンローター。
【請求項12】
前記第2流動路は、前記連結部材の延長方向と平行な方向に設けられていることを特徴とする請求項11に記載のガスタービンローター。
【請求項13】
前記第2流動路は、一定の距離だけ離隔して複数個が設けられていることを特徴とする請求項12に記載のガスタービンローター。
【請求項14】
外周面に圧縮機及びガスタービンのブレードを装着して回転駆動するガスタービンローターを含むガスタービンであって、
前記ガスタービンローターは、
一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第2ローターの端部が挿入できる挿入溝を有する第1ローターと、
一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には前記第1ローターに設けられた挿入溝と対応する構造で所定の長さだけ延設された挿入部を有する第2ローターと、
前記挿入溝と前記挿入部との間に装着され、前記第1ローターと前記第2ローターとを互いに結束させ、前記第1ローター及び前記第2ローターを構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成された連結部材と、を含み、
前記連結部材は、側断面視で、前記第1ローター及び前記第2ローターの外径と対応する外径で形成された環状型の構造をなすことを特徴とするガスタービン。
【請求項15】
前記連結部材は、
前記第1ローターの一端部に結束される第1連結部と、
前記第2ローターの一端部に結束される第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部とを一体に連結し、前記挿入部の外周面に対応する構造で所定の長さだけ延設された延長部と、
を含むことを特徴とする請求項14に記載のガスタービン。
【請求項16】
前記連結部材は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする請求項14に記載のガスタービン。
【請求項17】
前記連結部材は、2つ以上が互いに結合され、側断面視で、前記第1ローター及び前記第2ローターの外径に対応する環状型の構造をなすことを特徴とする請求項14に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンローター及びガスタービンに係り、より詳しくは、ガスタービンローターの軸方向長さ調節構造を有するガスタービンローターと、これを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンは、圧縮機、燃焼器及びタービンから構成されている。空気導入口を介して吸入された空気が圧縮機で圧縮されることにより、高温、高圧の圧縮空気となり、この圧縮空気に対して燃焼器で燃料を供給して燃焼させることにより、高温・高圧の燃焼ガス(作動流体)を得、この燃焼ガスによってタービンを駆動し、このタービンに連結された発電機を駆動する。
ガスタービンエンジンは、一種の回転式内燃機関であり、高温・高圧の燃焼ガスを膨張させ、タービンを回して回転力を得る機関である。
すなわち、圧縮機を通過して昇圧した空気を燃焼室へ供給し、圧縮空気を燃料と混合して燃焼室で摂氏800〜1200℃の高温ガスにした後、圧縮機の所要出力が得られる圧力比までタービンで膨張させ、回転するタービンの出力を用いて発電機を回し、さらには排出される高温の燃焼ガスを複合発電に利用したりもする。その他の航空機用ガスタービンエンジンは、タービンから排出されるガスをジェットノズルから高速で噴出させて推進力を得ることもある。ガスタービンを構成する圧縮機とタービンは、それぞれベーン(vane)とブレード(blade)を含むが、回転体であるブレードは、一つの軸で連結されたローターによって一緒に回転する。すなわち、タービンの回転動力の一部を圧縮機の駆動動力として用いる。
【0003】
図1に示すように、従来技術によるガスタービンの場合は、非常に精密に製作されて運用されなければならない。特にガスタービンローターの場合、ガスタービンの始動区間で軸長が熱膨張によって次第に変化する。これまでの殆どのガスタービンは、ローターの軸方向クリアランス(clearance)を調節することが可能ではなく、ガスタービンローターの軸方向長さの変化に応じてベーン及びブレードの位置が変化し、ベーン及びブレードの位置変更は空力学的特性の変動を起こし、結果としてガスタービン全体の出力及び効率に変化が起こるという問題点がある。
したがって、上述の問題点を解決することができるガスタービンローター及びこれを含むガスタービンが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1539876号(2015年7月21日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、タービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができるガスタービンローター及びこれを含むガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるガスタービンローターは、外周面に圧縮機及びタービンのブレードを装着して回転駆動するガスタービンローターであって、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第2ローターの挿入部が挿入できる挿入溝を有する第1ローターと、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第1ローターに設けられた挿入溝と対応する構造で所定の長さだけ延設される挿入部を有する第2ローターと、前記挿入溝と前記挿入部との間に装着され、前記第1ローターと前記第2ローターとを互いに結束させ、前記第1ローター及び前記第2ローターを構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成された連結部材と、を含み、前記第1ローター及び前記第2ローターの内部には、冷却流体が流動することが可能な第1流動路が設けられていることを特徴とする。
【0007】
前記第1ローターの一端部には、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔が設けられ、第1ローターの一端部に結束される連結部材の一側部には、ボルト孔と対応する位置に貫通孔が設けられ、前記ボルト孔と前記貫通孔を用いて第1ローターと連結部材とが互いにボルト締結されることを特徴とする。
【0008】
前記挿入部の一端部には、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔が設けられ、挿入部の一端部に結束される連結部材の一側部には、ボルト孔と対応する位置に貫通孔が設けられ、前記ボルト孔と前記貫通孔を用いて第2ローターと連結部材とが互いにボルト締結されることを特徴とする。
【0009】
前記連結部材は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする。
【0010】
前記連結部材は、第1ローターの一端部に結束される第1連結部と、第1連結部と第2連結部とを一体に連結し、挿入部の外周面に対応する構造で所定の長さだけ延設された延長部と、第2ローターの一端部に結束される第2連結部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記挿入溝の内周面と挿入部の外周面とが互いに離隔した距離は、延長部の厚さに対して100〜110%であることが好ましい。
【0012】
また、前記連結部材は、側断面視で、第1ローター及び第2ローターの外径に対応する外径で形成された環状型の構造をなすことを特徴とする。
【0013】
前記連結部材は、2つ以上が互いに結合され、側断面視で第1ローター及び第2ローターの外径に対応する環状型の構造をなすことを特徴とする。明の一実施形態において、前記延長部は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする。
【0014】
前記第1ローターと連結部材とが互いに接触する面、及び第2ローターと連結部材とが互いに接触する面には、熱伝達物質が塗布されることを特徴とする。
【0016】
また、前記連結部材の内部には、第1流動路に連通する第2流動路が設けられることを特徴とする。
【0017】
また、前記第2流動路は、連結部材の延長方向と平行な方向に設けられることを特徴とする。
【0018】
また、前記第2流動路は、一定の距離だけ離隔して複数個が設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明によるガスタービンは、外周面に圧縮機及びガスタービンのブレードを装着して回転駆動するガスタービンローターを含むガスタービンであって、前記ガスタービンローターは、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第2ローターの端部が挿入できる挿入溝を有する第1ローターと、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には前記第1ローターに設けられた挿入溝と対応する構造で所定の長さだけ延設された挿入部を有する第2ローターと、前記挿入溝と前記挿入部との間に装着され、前記第1ローターと前記第2ローターとを互いに結束させ、前記第1ローター及び前記第2ローターを構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成された連結部材と、を含み、前記連結部材は、側断面視で、前記第1ローター及び前記第2ローターの外径と対応する外径で形成された環状型の構造をなすことを特徴とする。
【0020】
前記連結部材は、第1ローターの一端部に結束される第1連結部と、第1連結部と第2連結部とを一体に連結し、挿入部の外周面に対応する構造で所定の長さだけ延設された延長部と、第2ローターの一端部に結束される第2連結部と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0022】
前記連結部材は、熱膨張率の異なる2種以上の素材から一定のパターンで配置されて構成されることを特徴とする。
【0023】
前記連結部材は、2つ以上が互いに結合され、側断面視で、第1ローター及び第2ローターの外径に対応する環状型の構造をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガスタービンローターによれば、特定の構造の第1ローター、第2ローター及び連結部材を備えるので、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの軸方向長さを調節することにより、タービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができる。また、これを含むガスタービンを提供することができる。
また、本発明のガスタービンローターによれば、第1ローター及び第2ローターの一端部に設けられたボルト孔、及び連結部材に設けられた貫通孔を用いて、連結部材を第1ローターと第2ローターに強固かつ安定的にボルト締結することができるため、ガスタービンローターの安定な構造を実現することができる。
また、本発明のガスタービンローターによれば、第1ローターと第2ローターを構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で連結部材を構成することにより、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じてガスタービンローターの軸方向長さを調節することができ、これにより、タービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができる。また、これを含むガスタービンを提供することができる。
また、本発明のガスタービンローターによれば、用途及び順序に応じて、互いに異なる熱膨張率を持つ2種以上の素材を連結部材に適用することにより、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じてガスタービンローターの軸方向長さを調節することができる。これによりタービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができる。また、これを含むガスタービンを提供することができる。
また、本発明のガスタービンローターによれば、挿入溝の内周面と挿入部の外周面とが互いに離隔した距離を、延長部の厚さに対して特定の範囲に限定することにより、連結部材の熱変形によるガスタービンローターの全長の調節をより正確かつ安定的に実現することができる。
また、本発明のガスタービンローターによれば、特定の構造の第1流動路及び第2流動路を備えることにより、第1流動路と第2流動路を用いて冷却空気を流動させて第1ローター、第2ローター及び連結部材の熱変形による軸方向長さを容易に調節することができる。
また、本発明のガスタービンによれば、特定の構成のガスタービンローターを備えることにより、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じてガスタービンローターの軸方向長さを調節することができ、これによりタービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるガスタービンを示す正面図である。
図2】本発明によるガスタービンローターの一部分を示す斜視図である。
図3図2の切断斜視図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】本発明による第1ローター、第2ローター及び連結部材を示す部分拡大図である。
図6】本発明による他の実施形態で、第1ローター、第2ローター及び連結部材を示す分解組立図である。
図7図6に示された第1ローター、第2ローター及び連結部材が組み立てられた様子を示す部分拡大図である。
図8】本発明による他の実施形態で、連結部材を示す平面図である。
図9】本発明による他の実施形態で、連結部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図2は本発明によるガスタービンローターの一部分を示す斜視図、図3は、図2の切断斜視図、図4は、図3の部分拡大図、図5は、本発明による第1ローター、第2ローター及び連結部材を示す部分拡大図である。
これらの図を参照すると、本実施形態によるガスタービンローター100は、外周面に圧縮機及びタービンのブレードを装着して回転駆動するガスタービンローター100であって、特定の構造の第1ローター110、第2ローター120及び連結部材130を含む構成である。
本実施形態による連結部材130は、第1ローター110及び第2ローター120を構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成され、ガスタービンの始動の際に熱膨張により第1ローター110と第2ローター120との軸方向の離隔距離を変更させることにより、ガスタービンローター100の軸方向長さを効果的に調節することができ、結果としてタービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができるガスタービンローター、及びこれを含むガスタービンを提供することができる。
【0028】
以下、図面を参照して、本実施形態によるガスタービンローター100を構成する各構成について詳細に説明する。
本実施形態による第1ローター110は、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第2ローター120の挿入部121が挿入できる挿入溝111を有する構造である。
第2ローター120は、一方向に所定の長さだけ延長された軸構造であり、一端部には第1ローター110に設けられた挿入溝111と対応する構造で所定の長さだけ延設された挿入部121を有する構造である。
また、連結部材130は、第1ローター110の挿入溝111と第2ローター120の挿入部121との間に装着され、第1ローター110と第2ローター120とを互いに結束させ、第1ローター110及び第2ローター120を構成する素材とは熱膨張率が異なる素材で構成される。
図4及び図5に示すように、第1ローター110と第2ローター120とは連結部材130によって互いに結束される。
【0029】
具体的には、第1ローター110の一端部には、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔112が設けられ、第1ローター110の一端部と結束される連結部材130の一側部には、ボルト孔112と対応する位置に貫通孔131が設けられている。この際、ボルト孔112と貫通孔131を用いて第1ローター110と連結部材130とが互いにボルト締結される。
また、挿入部121の一端部にも、外周面に沿って一定の間隔でボルト孔122が設けられ、挿入部121の一端部に結束される連結部材130の一側部には、ボルト孔122と対応する位置に貫通孔132が設けられる。ここでも、ボルト孔122と貫通孔132を用いて第2ローター120と連結部材130とが互いにボルト締結される。
【0030】
この場合、本発明によれば、第1ローター110及び第2ローター120の一端部に設けられたボルト孔112、122、及び連結部材130に設けられた貫通孔131、132を用いて、連結部材130を第1ローター110と第2ローター120に対してそれぞれ強固かつ安定的にボルト締結することができるので、ガスタービンローター100の安定な構造を実現することができる。
本実施形態による連結部材130は、熱膨張率の異なる2種以上の素材が一定のパターンで配置されて構成できる。このとき、素材を配置するパターンは、設計者の意図に応じて適切に変更可能である。例えば、第1ローター110に連結される貫通孔131の周辺と、第2ローター120に連結される貫通孔132の周辺とを、互いに熱膨張率の異なる素材にすることにより、第1ローター110側の長さ変化と第2ローター120側の長さ変化を互いに異なるように調節することができる。もし第1ローター110側を圧縮機側とし、この第1ローター110側の連結部材130をより大きい熱膨張率の素材とする場合には、ガスタービンの始動区間で初期には圧縮機のブレードに対する半径方向クリアランスがさらに大きく調節され、逆にタービンブレードに対する半径方向クリアランスはもう少し小さく調節されるものとなる。
【0031】
この場合、本発明によれば、用途及び順序に応じて、互いに異なる熱膨張率を有する2種以上の素材を連結部材130に適用することにより、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じてガスタービンローターの軸方向長さを局部的に互いに異なるように調節することができ、これによりタービンの半径方向クリアランス(clearance)をより能動的に調節することができるガスタービンローター、及びこれを含むガスタービンを提供することができる。
【0032】
一方、本実施形態による連結部材130は、図4及び図5に示すように、特定の構造の第1連結部133、延長部134及び第2連結部135を含む構成である。
具体的には、第1連結部133と第2連結部135は、延長部134の両端に一体型にそれぞれ異なる方向に折り曲げられて所定の長さだけ延長された構造である。
このとき、第1連結部133と第2連結部135とを一体に連結する延長部134は、挿入部121の外周面に対応する構造で所定の長さだけ延長された構造である。
一方、挿入溝111の内周面と挿入部121の外周面とは、延長部134の厚さTを反映して所定の距離だけ離隔することが好ましい。例えば、挿入溝111の内周面と挿入部121の外周面とが互いに離隔した距離Dは、延長部134の厚さTに対して100〜110%であり得る。
【0033】
挿入溝111の内周面と挿入部121の外周面とが互いに離隔した距離Dは、連結部材130を構成する素材の種類、及び熱膨張により変化する距離などを考慮して適切に変更可能である。
この場合、挿入溝111の内周面と挿入部121の外周面とが互いに離隔した距離を、延長部134の厚さTに対して特定の範囲に限定することにより、連結部材130の熱変形によるガスタービンローター100の全長の調節をより正確かつ安定的に実現することができる。
【0034】
一方、本実施形態に係る連結部材130は、側断面視で、第1ローター110及び第2ローター120の外径に対応する外径で形成された環状型の構造をなすことができる。
場合によって、図9に示すように、複数の断片から構成された連結部材130を用いて、第1ローター110と第2ローター120とを互いに結束させることもできる。
具体的に、複数の断片から構成された連結部材130は、2つ以上が互いに結合して、図9に示すように、側断面視で、第1ローター110及び第2ローター120の外径に対応する環状型の構造をなすことができる。このような形態の実施形態は、連結部材130を比較的小さい断片に製作することができ、ハンドリングが容易な重量で製作することができるため、ガスタービンローターを製作するにあたり、製作効率を大幅に向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る延長部134は、熱膨張率の異なる2種以上の素材を一定のパターンで配置する構成として活用するのに容易である。このとき、素材を配置するパターンは設計者の意図に応じて適切に変更可能である。
場合によって、第1ローター110と連結部材130とが互いに接触する面A、及び第2ローター120と連結部材130とが互いに接触する面Bには、熱伝達物質が塗布できる。
この場合、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じる熱伝達を効果的に誘導して、連結部材130の長さ変化を積極的に誘導することにより、ガスタービンローターの軸方向長さを容易に調節することができ、これによりタービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができるガスタービンローター、及びこれを含むガスタービンを提供することができる。
【0036】
図6は本発明の他の実施形態で、第1ローター110、第2ローター120及び連結部材130を示す分解組立図、図7図6に示された第1ローター110、第2ローター120及び連結部材130が組み立てられた様子を示す部分拡大図である。
これらの図面を参照すると、本実施形態による第1ローター110及び第2ローター120の内部には、それぞれ冷却流体が流動することができる第1流動路151、153が設けられている。また、連結部材130の内部には、第1流動路151、153に連通する第2流動路152が設けられている。このとき、第2流動路152は、連結部材130の延長方向と平行な方向に設けられることが好ましい。
好ましくは、図8に示すように、第2流動路152は、一定の距離だけ離隔して多数個が設けられ得る。
【0037】
この場合、また、本発明のガスタービンローターによれば、特定の構造の第1流動路151、153及び第2流動路152を備えることにより、第1流動路151、153と第2流動路152を用いて冷却空気を流動させて第1ローター110、第2ローター120及び連結部材130の熱変形による軸方向長さを容易に調節することができる。
【0038】
上述のように、本発明に係るガスタービンローター100を含むガスタービンを提供することができるが、本発明は、特定の構成のガスタービンローター100を備えることにより、ガスタービンの始動区間でガスタービンローターの昇温に応じてガスタービンローターの軸方向長さを調節することができ、これによりタービンの半径方向クリアランス(clearance)を調節することができるガスタービンを提供することができる。
【0039】
以上、本発明の詳細な説明は、好適な実施形態で記述したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
100 ガスタービンローター
110 第1ローター
111 挿入溝
112 ボルト孔
120 第2ローター
121 挿入部
122 ボルト孔
130 連結部材
131 貫通孔
132 貫通孔
133 第1連結部
134 延長部
135 第2連結部
141、142 ボルト締結部材
151 第1流動路
152 第2流動路
153 第1流動路
A 第1ローターと連結部材とが互いに接触する面
B 第2ローターと連結部材とが互いに接触する面
D 挿入溝の内周面と挿入部の外周面とが互いに離隔した距離
T 延長部の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9