(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記コネクタ間への異物付着が無いと判定し、かつ前記センサが使用済みでないことを判定した後、前記電圧供給部によって前記第1、第2、第3コネクタ間に電圧を供給し、前記第1、第2、第3のコネクタ間に流れる電流に基づいて前記生体情報の測定を行なう、
請求項1または請求項2に記載の生体情報測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
[1−1 構成]
[1−1−1 血糖値測定器100の外観]
図1は、本実施形態に係る血糖値測定器100(生体情報測定装置の一例)の外観を概略的に示す。血糖値測定器100は、本体ケース1、本体ケース1の一端側にバイオセンサ2の挿入口3(センサ装着部の一例)、本体ケース1の表面に液晶(LCD)や有機EL(OLED)等の表示部24を有する。
【0014】
[1−1−2 バイオセンサの構成]
バイオセンサ2は、
図2に示すごとく、長方形状である絶縁基板4の一端側(
図2の右側)上に、所定の間隔を置いて対向して配置されている3個の電極を有する。電極は、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、血液成分検知極7からなる。
また、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、及び血液成分検知極7は、
図1に示す血糖値測定器100の挿入口3から本体ケース1内に挿入され、後述する入力端子部8(
図4)において、コネクタ9、10、11に接触することにより電気的に接続される。具体的には、バイオセンサ2の血液成分測定作用極5はコネクタ9に接続され、血液成分測定対極6はコネクタ11に接続され、血液成分検知極7はコネクタ10に接続されるようになっている。
【0015】
また、
図2及び
図3(a)に示すごとく、バイオセンサ2の他端側(
図2の左側;挿入口3への挿入側とは反対側)においては、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、血液成分検知極7にわたり、試薬12が配置されている。この状態により、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、血液成分検知極7が、試薬12を介して、接続された状態となっている。
【0016】
試薬12は、グルコースデヒドロゲナーゼ等の酸化還元酵素、メディエータを含み、その他には、緩衝剤、高分子材料、酵素安定化剤、結晶均質化剤等の添加剤を選択的に含む構成となっている。
図2に示すように、前記絶縁基板4及び試薬12の上には、スペーサー13を介して、カバー14が配置されている。一方、絶縁基板4の一端側(
図2の右側)においては、
図2及び
図3(b)に示すように、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、血液成分検知極7が、これらのスペーサー13、カバー14では覆われず、露出した状態となっている。そして、この露出した血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6、血液成分検知極7が上述のごとく、入力端子部8において、コネクタ9〜11に電気的に接続されるようになっているのである。
【0017】
また、
図2に示すごとく、バイオセンサ2のスペーサー13には、血液を導入するための生体試料導入路15が形成されている。この生体試料導入路15は、バイオセンサ2の他端側(
図2の左側)から試薬12の上方まで延びており、外部に対し開口する他端部側が、生体試料供給口16となっている。
また、
図2からも理解されるように、生体試料供給口16に最も近く配置されているのは、血液成分測定対極6で、その次に、血液成分測定作用極5、最後に、血液成分検知極7が配置されている。つまり、生体試料供給口16側から順に、血液成分測定対極6、血液成分測定作用極5、血液成分検知極7が配置された状態となっている。
【0018】
なお、前記バイオセンサ2のカバー14には、空気孔17が形成されている。
空気孔17は、血液が生体試料供給口16に点着された際に毛細管現象を促進させ、血液成分測定対極6の血液成分測定作用極5を越した部分(血液成分検知極7)まで浸入させるためのものである。よって、この空気孔17は、血液成分検知極7部部分に対向した箇所に設けられている。
【0019】
次に、バイオセンサ2の各構成要素についてさらに詳細に述べる。
前記絶縁基板4の材質は特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラス等が使用でき、このなかで、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0020】
また、絶縁基板4の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.05〜2mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.1〜1mmであり、より好ましくは、全長10〜40mm、幅3〜10mm、厚み0.1〜0.6mmである。
絶縁基板4上の各電極は、例えば、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザーにより特定の電極パターンに加工し、血液成分測定対極6、血液成分測定作用極5、血液成分検知極7を形成する。レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる。
【0021】
血液成分測定対極6、血液成分測定作用極5、血液成分検知極7表面の被覆は、例えば、高分子材料の溶液を調製し、これを前記電極表面に滴下若しくは塗布し、ついで乾燥させることにより実施できる。乾燥は、例えば、自然乾燥、風乾、熱風乾燥、加熱乾燥等がある。
試薬12は、上述のごとく、グルコースデヒドロゲナーゼ等の酸化還元酵素、メディエータ、接着剤、含み、任意成分として、緩衝剤、高分子材料、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を選択的に含む構成となっている。なお、試薬12を、水を用いて調合する時には、水が最も多く、次に酸化還元酵素、次にメディエータ、次に接着剤や緩衝剤等の添加剤を含むその他の物質としている。また、乾燥後の試薬12においては、水が蒸発しているので、酸化還元酵素、が最も多く、次にメディエータ、次に添加剤等その他の物質となる。
【0022】
使用されるバイオセンサのメディエータは、特に制限されず、例えば、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン、フェノチアジン及びその誘導体等が挙げられる。キノン類化合物は、キノンを含有する化合物である。キノン類化合物には、キノン及びキノン誘導体が含まれる。キノン誘導体としては、キノンに種々の官能基(置換基と言い換えてもよい)が付加された化合物が挙げられる。キノン類化合物におけるキノンとしては、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、フェナンスレンキノン、及びフェナントロリンキノン等が挙げられる。フェナンスレンキノンとして、特に具体的には、9、10‐フェナンスレンキノンが挙げられる。メディエータの配合量は、特に制限されず、1回の測定当り若しくはバイオセンサ1個当り、例えば、0.1〜1000mMであり、好ましくは1〜500mMであり、より好ましくは、10〜200mMである。
【0023】
酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ等がある。前記酸化還元酵素の量は、例えば、センサ1個当り、もしくは1回の測定当り、例えば、0.01〜100Uであり、好ましくは、0.05〜10Uであり、より好ましくは、0.1〜5Uである。このなかでも、グルコースを測定対象にすることが好ましく、この場合の酸化還元酵素は、グルコースオキシダーゼ及びグルコースデヒドロゲナーゼが好ましい。
【0024】
試薬12は、上述のごとく、グルコースデヒドロゲナーゼ等の酸化還元酵素、メディエータ、接着剤、含み、任意成分として、緩衝剤、高分子材料、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を選択的に含む構成となっているが、それを調合するためには、略全体の80%の水内にこれらの各物質を溶解させ、これを、血液成分測定対極6、血液成分測定作用極5、血液成分検知極7上に滴下し、乾燥させることで形成できる。なお、調合時には、水分が最も多く、次に酵素(酸化還元酵素等)、次にメディエータ、次に添加剤等その他の物質の状態となっているが、乾燥した状態では、水が全量蒸発するので、酵素(酸化還元酵素等)が最も多く、次にメディエータ、次に添加剤等その他の物質の状態となっている。
【0025】
次に、スペーサー13の材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板4と同様の材料が使用できる。また、スペーサー13の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.01〜1mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.5mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.05〜0.25mmである。さらに、スペーサー13には、血液導入のための生体試料導入路15となるI字形状の切欠部が形成されている。
【0026】
また、カバー14の材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板4と同様の材料が使用できる。カバー14の生体試料導入路15の天井部に相当する部分は、親水性処理することが、更に好ましい。親水性処理としては、例えば、界面活性剤を塗布する方法、プラズマ処理等によりカバー14表面(裏面)に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基等の親水性官能基を導入する方法がある。カバー14の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜0.5mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.25mmであり、より好ましくは、全長15〜30mm、幅5〜10mm、厚み0.05〜0.1mmである。カバー14には、空気孔17が形成されていることが好ましく、形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等であり、その大きさは、例えば、最大直径0.01〜10mm、好ましくは、最大直径0.05〜5mm、より好ましくは、最大直径0.1〜2mmである。この空気孔17は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、カバー14の形成時に、空気抜き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。
【0027】
このバイオセンサ2は、
図2のごとく、絶縁基板4、スペーサー13及びカバー14をこの順序で積層し、一体化することにより製造できる。一体化には、絶縁基板4、スペーサー13及びカバー14を接着剤で貼付けたり、もしくは熱融着してもよい。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、また熱硬化性接着剤(ホットメルト接着剤等)、UV硬化性接着剤等が使用できる。
【0028】
なお、カバー14は、生体試料導入路15への血液進入を目視することが出来るように透明または半透明としている。
[1−1−3 血糖値測定器100の構成]
次に、
図4により、血糖値測定器100の本体ケース1内の構成について説明する。血糖値測定器100は、コネクタ9〜11と、コネクタ9〜11に接続される切替回路18と、基準電圧源19(電圧供給部の一例)と、電源部20と、電流/電圧変換回路21と、A/D変換回路22と、制御部23(制御部の一例)と、表示部24と、センサ検出部25(センサ検出部の一例)を備える。
【0029】
コネクタ9〜11には切替回路18を介して基準電圧源19が接続される。さらにこの基準電圧源19には各部に電源を供給する電源部20が接続されている。また、切替回路18には電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22を介して制御部23が接続されている。
制御部23は、CPU等のプロセッサを含み、メモリから読み出した所定のプログラムを実行することによって後述する処理を実行する。
【0030】
電流/電圧変換回路21は、コネクタ9〜11に流れる電流を検出すると共に、電圧に変換し、同電圧をA/D変換回路22によりデジタル信号に変換し、制御部23にて同デジタル信号に基づいて電圧値(電流値から変換したもの)を検出する。制御部23は、その値から、血糖値やその他の情報を判定する。したがって、本実施形態では、電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により、電流測定手段を構成する。
【0031】
また、制御部23には、表示部24が接続され、これにより表示部24に血糖値等の生体情報や、その他の情報(不具合情報を含む)が表示されるようになっている。更に、制御部23は、センサ検出部25が接続され、これによりセンサ挿入口3にバイオセンサ2が装着されたことを検知する。なお、このセンサ検出部25は、例えば、上記特許文献1でも用いられている検出手段を用いてもよい。
【0032】
[1−2 動作]
[1−2−1 血糖値測定]
図5は、この種のバイオセンサ2と、血糖値測定器100を用いた血糖値の測定時における印加電圧と電流量を示したものである。
図1のごとく、バイオセンサ2が挿入口3に挿入されると、その挿入を、センサ検出部25によって検出する。制御部23がバイオセンサ2の挿入を検知すると、基準電圧源19から切替回路18を介してコネクタ9、11間に電圧を印加する。この電圧は、
図5(a)の第1印加時間T1の期間に供給される印加電圧VAである。なお、コネクタ9、11には、バイオセンサ2の血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6が接続されている。
【0033】
その後、
図5(a)の第2印加時間T2の期間に、切替回路18を介して基準電圧源19から印加電圧VBの電圧が供給される。そして、
図5(a)の15秒地点で、制御部23によって血糖値が測定され、その測定値が表示部24に表示される。
図5(b)は、上記
図5(a)の電圧印加時に、バイオセンサ2の血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6間に流れる電流を示している。
図5(b)において、実線は正常時の電流量を示し、破線は、例えば不用意に、血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6に血液等の異物が付着してしまった場合の電流量を示している。
【0034】
例えば、
図1の状態で測定しているとき、バイオセンサ2の表面に多量の血液を点着させてしまった場合には、その血液はバイオセンサ2の表面を伝わり、挿入口3から本体ケース1内に浸入し、コネクタ9、10、11部分にまで到達する。このような状態で上述したバイオセンサ2の血液成分測定作用極5、血液成分測定対極6間に流れる電流を測定すると、コネクタ9、11間に流れる電流が加味され、その結果として
図5(b)の破線のごとく、制御部23において検出される電流量は、通常状態よりも大きなものとなり、これが測定誤差になってしまう。つまり、
図5(b)の破線は、上記のようなノイズ成分が追加された波形を示している。
【0035】
そこで、本実施形態では、
図5(a)の第1印加時間T1の期間の前(つまり、測定のための電圧を印加する前)に、コネクタ9、11間、コネクタ9、10間、コネクタ10、11間の電流を測定し、その結果として、上述した不用意なコネクタ9、10、11部分への血液浸入(異物付着の一例)を検出しようとするものである。
なお、本実施形態においては、上述のごとく電流量は電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により電圧に変換して、制御部23により検出するようにしている。
【0036】
[1−2−2 血糖値測定器100の全体の動作]
図6は、本実施形態に係る血糖値測定器100の全体動作を示すフローチャートである。
まず、本実施形態では、
図1のごとく、バイオセンサ2が挿入口3に挿入されると、その挿入を、センサ検出部25によって検出される(ステップS101)。
【0037】
バイオセンサ2の挿入を検出した場合は、制御部23は、血糖値測定器100のメイン電源を起動する(ステップS102)。
その後、制御部23は、所定の起動時処理1を行なう(ステップS103)。ここでの起動時処理1は、血糖値測定器100のセルフチェック、温度確認、センサの表裏判別等を行なう。
【0038】
起動時処理1の処理後、制御部23は、エラー判定を行なう(ステップS104)。各チェックにおいてエラーが検出された場合は、エラーを出力し、表示部24に表示させ(ステップS114)、所定のエラー処理を行なう(ステップS115)。
所定のエラー処理とは、例えばエラーの履歴をメモリに蓄積したり、エラーの種類別(つまり、エラーコード別)に、発生したそのエラー回数をカウントアップして、メモリへ記録したりすることなどである。
【0039】
その後、制御部23は、センサ検出部25によりバイオセンサ2が挿入口3より抜き取られたことを検知したかどうか、ユーザの操作によりメイン電源のOFFを検知したかどうか、或いは前処理の終了後所定時間(例えば、3分)が経過したかどうかを判定する(ステップS112)。いずれかの条件が満たされた場合は、後述するようにエラーのフラグなどをリセットした後、メイン電源をOFFにする(これは、通常、終了処理という。以下同じ)。
【0040】
一方、起動時処理1においてエラーが検出されなかった場合、制御部23は、後述する液浸入判定処理を行なう(ステップS105〜S106)。
制御部23は、液浸入判定処理において液浸入を検出した場合は、エラー(この場合は、「液浸入」エラー)を出力し、表示部24に、そのエラー内容を示す表示(この場合は、「液浸入」エラーを示す表示)をさせ(ステップS114)、所定のエラー処理を行なう(ステップS115)。
【0041】
一方、制御部23は、液浸入判定処理において液浸入を検出しなかった場合は、所定の起動時処理2を行なう(ステップS107)。起動時処理2においては、例えば、非互換センサの判定、使用済みセンサの判定等を行なう。
起動時処理2の処理後、制御部23は、エラー判定を行なう(ステップS108)。このとき、各判定においてエラーが検出された場合、制御部23はエラーを出力し、表示部24に表示させる(ステップS114)。例えば、制御部23は、バイオセンサ2が測定器100に対し非互換のセンサである場合では、「非互換」エラーを出力して表示部24に表示させ、所定のエラー処理後(ステップS115)、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。また、制御部23は、バイオセンサ2が使用済みセンサである場合では、「使用済み」エラーを出力して表示部24に表示させ、所定のエラー処理後(ステップS115)、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。
【0042】
起動時処理2においてエラーが検出されなかった場合、制御部23は、後述する血糖値の測定処理を行なう(ステップS109)。
制御部23は、上記測定処理の後、血糖値が測定されたかどうかを判定する(ステップS110)。血糖値が測定された場合は、測定された結果を表示部24に表示後(ステップS111)、上述した終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。つまり、制御部23は、センサ検出部25によりバイオセンサ2が挿入口3より抜き取られたことを検知した場合、ユーザの操作によりメイン電源のOFFを検知した場合、或いは前処理の終了後所定時間(例えば、3分)経過したかどうかを判定し(ステップS112)いずれかの条件が満たされた場合は、後述するようにエラーのフラグなどをリセットした後、メイン電源をOFFにする(ステップS113)。
【0043】
一方、血糖値が測定されなかった場合(例えば、点着の待ち時間経過しても、点着がされなかった場合など)は、制御部23は、表示部24の表示を、後述する点着待機状態の表示から、測定がされずに終了したことを示す表示に切り替え(ステップS116)、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。
また、この場合、点着の待ち時間経過後、何も処理せず、すぐに電源をオフしても良い。
【0044】
[1−2−3 エラー判定処理]
図7は、
図6のS105の処理の詳細を示し、本実施形態の特徴である液浸入によるエラー判定処理(以下、液浸入判定処理とも呼ぶ。)を示す。
制御部23は、起動時処理1後(エラーが判定されなかった場合)、コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間に、切替回路18を介して基準電圧源19から、所定の電圧を供給する。コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間にそれぞれ流れる電流は、電流/電圧変換回路21により電圧に変換後、A/D変換回路(アナログ/デジタル変換回路)22により電圧が数値化される。制御部23は、この数値化された電圧値を検出電圧値として測定する。
【0045】
具体的には、制御部23は、
図8に示すように、コネクタ9、10間(図中ではC9−C10間と表記する)の電流A[μA]、コネクタ10、11間(図中ではC10−C11間とも表記する)の電流B[μA]、コネクタ9、11間(図中ではC9−C11間とも表記する)の電流C[μA]を取得する(ステップS1051)。
次に、制御部23は、電流A、電流B、電流Cを電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により変換した電圧値Va,Vb,Vcについて、それぞれ所定の閾値M(第2の閾値の一例)以下であるかどうかを判定する(ステップS1052)。Mは、端子間の導通確認のための電流量に相当する値であり、例えば、0μA〜3μAに相当する値の範囲で設定される。例えば、導通確認のためのみであれば、0μA(0V)に設定してもよいが、試薬吸湿等液浸入以外の導通を排除する場合は、0μAを超える値を設定してもよい。Va、Vb、Vcの全てが所定の閾値M以下である場合は、少なくとも液浸入が生じていないとして、液浸入判定処理を終了し、
図6のステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。
【0046】
Va、Vb、Vcのいずれかが所定の閾値Mを超える場合は、制御部23は、Va、Vb、Vc間の差分(ここでは、それぞれ|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|)が所定の範囲内であるかどうかをそれぞれ判定し、うち一つが所定の範囲内である場合は、液浸入があると判定する。以下に述べる閾値X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2は、多数の実測値から最適値を求めて決定される。また、X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2は、システムによって個別に設定してもよいし、個別に設定する必要がなければ、X1=Y1=Z1、X2=Y2=Z2としてもよい。各範囲は、例えば、X1、Y1、Z1がそれぞれ0〜3μAに相当する値であり、X2、Y2、Z2がそれぞれ3〜25μAに相当する値に設定される。
【0047】
但し、X1<X2、Y1<Y2、Z1<Z2の各条件を満たすように設定される。
具体的には、制御部23は、X1≦|Va−Vb|≦X2を判定し(ステップS1053)、|Va−Vb|がX1からX2の範囲内であれば、「液浸入エラー」フラグをセットし(ステップS1056)、液浸入判定処理を終了する。
その後、上述したエラー表示及びエラー処理に移行する(
図6のステップS114〜S115)。
【0048】
制御部23は、|Va−Vb|がX1からX2の範囲外であれば、ステップS1054に進む。
制御部23は、Y1≦|Vb−Vc|≦Y2を判定し(ステップS1054)、|Vb−Vc|がY1からY2の範囲内であれば、「液浸入エラー」フラグをセットし(ステップS1056)、上述したように、液浸入判定処理終了し、エラー表示及びエラー処理に移行する(
図6のステップS114〜S115)。
【0049】
制御部23は、|Vb−Vc|がY1からY2の範囲外であれば、ステップS1055に進む。
制御部23は、Z1≦|Va−Vc|≦Z2を判定し(ステップS1055)、|Va−Vc|がZ1からZ2の範囲内であれば、「液浸入エラー」フラグをセットし(ステップS1056)、上述したように、液浸入判定処理終了し、エラー表示及びエラー処理に移行する(
図6のステップS114〜S115)。
【0050】
一方、制御部23は、|Va−Vc|がZ1からZ2の範囲外であれば、液浸入はないと判定し、
図6のステップS107の測定処理前の起動時処理2(ステップS107)に進む。
図9は、上述の液浸入判定処理による判定表を示す。同図に示す通り、|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|すべてが所定の閾値の範囲外である場合は、コネクタ9、10、11部分に血液等の浸入はないと判定される。一方、|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|のうち一つでも所定の閾値の範囲内にある場合は、コネクタ9、10、11部分に血液等が浸入している可能性が高いと判定される。つまり、コネクタ9、10、11部分にまで血液等が浸入していない状態では、電流はほとんど流れず、端子間の検出電圧はいずれもほぼ0Vであるが、血液が浸入すると、端子間に電流が流れ、これらの端子間の検出電圧には差異が発生する。これを利用して、液浸入があると判定する。
【0051】
なお、図示された判定表では、説明のため「0」(エラー無し)又は「1」(エラー有り)のいずれかを示しているが、
図7のフローチャートで示すように|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|のいずれかが「1」(Yes)と判定された時点で、その後の判定は行なわなくてもよい。また、|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|の判定の順番は、図示されたものに限定されない。いずれの順番で行なわれても、|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|のうち一つでも所定の閾値の範囲内にある場合は、液浸入によるエラー判定がなされる。
【0052】
制御部23は、液浸入があると判定した場合は、液浸入によるエラーの発生を示す情報を生成・出力し、その情報(この場合は、液浸入エラーが発生したこと)を表示部24に表示する(
図6のステップS114)。なお、液浸入によるエラーであることを示す情報は、例えば、発生したエラー内容に対応したエラーコードなどの記号や、文字、イラスト等により示してもよい。
【0053】
そして、制御部23は、エラー結果を表示し、上述した所定のエラー処理を実行した後(
図6のステップS115)、終了処理を行なう(同図ステップS112〜S113)。
なお、上記処理においては、|Va−Vb|、|Vb−Vc|、|Va−Vc|に代えて、Va/Vb、Vb/Vc、Va/Vc等の比に基づいてエラー判定処理を行ってもよい。
【0054】
[1−2−4 測定処理]
上記液浸入判定処理(ステップS105)においてコネクタ9,10,11間の液浸入がないと判定された場合は、起動時処理2後、血糖値の測定処理を行なう(
図6のステップS109)。
図10は、同測定処理の詳細な処理のフローを示す。
起動時処理2後、エラー判定がなかった場合は(
図6のステップS108)、制御部23は、血液の点着の待機状態となり、点着を促すメッセージ(メッセージの代わりに、記号や、文字、イラストなどでも良い)を表示部24に表示させる(ステップS1071)。このとき、ユーザは表示部24に表示されるガイド情報や音声情報等に従って、自身の血液をバイオセンサ2の試薬配置側に点着させる。点着された血液は、生体試料供給口16を介して血液成分測定対極6、血液成分測定作用極5、血液成分検知極7に至る。
【0055】
制御部23は、血液の点着を検出する(ステップS1072)。血液の点着を検出した場合は、ステップS1073に進む。
血液の点着を検出すると、制御部23は、コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間における電流を測定し、同電流値を電圧値に変換した値を取得する(ステップS1073)。
【0056】
制御部23は、測定された電流に基づいて血液中のグルコース濃度を計算し、測定値として出力する(ステップS1074)。
制御部23は、測定が成功した場合、血糖値を測定値として出力し、表示部24に表示させる(
図6のステップS111)。
一方、制御部23は、血液の点着を所定時間経過しても検出しない場合(ステップS1075)、「未測定」フラグをセット(ステップS1079)し、測定処理を終了する。その後、
図6のメイン処理に移行し、制御部23は、表示部24に測定が終了(キャンセル)したことを示す表示をさせ(
図6のステップS116)、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。
【0057】
[1−3 効果等]
以上のように、上記実施の形態に係る血糖値測定器100においては、バイオセンサ2を装着した状態においても、コネクタ9、10、11部分への血液浸入等の異物付着によるエラーを検出することができるため、測定結果として大きな誤差が生じることを防ぐことできる。
【0058】
また、バイオセンサ2への血液の点着前にエラーを検出することができるため、皮膚への無駄な穿刺を防ぎ、使用者の負担を軽減することができる。
また、エラーと共にその原因も出力・表示するため、血糖値測定器100の使用者はエラーの原因を知ることができ、適切な測定を促すことができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、コネクタ9,10,11間の電流A,B,Cを変換したVa、Vb、Vcのそれぞれの差分又は比に基づいて、コネクタ9、10、11部分への血液浸入のエラーを判定していたが、本実施形態においては、Va、Vb、Vcの最大値と最小値を利用して液浸入のエラー判定を行なう。
【0059】
以下、上記実施の形態1と異なる本実施形態に係るエラー判定処理について説明する。なお、その他の構成及び機能について、実施の形態1と同様であるため、同一の図面及び符号を引用し、説明は省略する。
[2−1 エラー判定処理]
図11は、本実施形態に係るエラー判定処理を示す。なお、このエラー判定処理は、
図6のS103〜S104の起動時処理1後、
図7の液浸入判定処理に代わって実行される。つまり、液浸入判定処理の別の実施の形態2である。
【0060】
制御部23は、コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間に、切替回路18を介して基準電圧源19から、所定の電圧を供給する。コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間にそれぞれ流れる電流は、電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により電圧が数値化される。制御部23は、この数値化された電圧値を検出電圧値として測定する。
【0061】
具体的には、制御部23は、
図8に示すように、コネクタ9、10間(図中ではC9−C10間と表記する)の電流A[μA]、コネクタ10、11間(図中ではC10−C11間とも表記する)の電流B[μA]、コネクタ9、11間(図中ではC9−C11間とも表記する)の電流C[μA]を取得する(ステップS201)。
次に、制御部23は、電流A、電流B、電流Cを電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により変換した電圧値Va,Vb,Vcについて、それぞれ所定の閾値M(第2の閾値の一例)以下であるかどうかを判定する(ステップS202)。Mは、端子間の導通確認のための電流量に相当する値であり、例えば、0μA〜3μAに相当する値の範囲で設定される。例えば、導通確認のためのみであれば、0μA(0V)に設定してもよいが、試薬吸湿等液浸入以外の導通を排除する場合は、0μAを超える値を設定してもよい。Va、Vb、Vcの全てが所定の閾値M以下である場合は、少なくとも液浸入が生じていないとして、このエラー判定処理(液浸入判定処理2)を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後、測定処理(同図ステップS109)に移行する。
【0062】
Va、Vb、Vcのいずれかが所定の閾値Mを超える場合は、制御部23は、Va、Vb、Vcのうち最も大きい値Vmaxを取得する(ステップS203)。制御部23はまた、Va、Vb、Vcのうち最も小さい値Vminを取得する(ステップS204)。
続いて制御部23は、Vmaxが所定の閾値L1以下であるかどうかを判定する(ステップS205)。閾値L1は、例えば3〜25μAに相当する値の範囲で設定される。制御部23は、Vmaxが所定の閾値L1を越える場合は、液浸入はないと判定し、上記同様、このエラー判定処理を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。一方、Vmaxが所定の閾値L1以下である場合は、ステップS206に進む。
【0063】
制御部23は、また、Vminが所定の閾値L2以下であるかどうかを判定する(ステップS206)。閾値L2は、例えば0.1〜3μAに相当する値の範囲で設定される。制御部23は、VminがL2を超えると判定した場合は、変数UをL3に設定し(ステップS207)、VminがL2以下であると判定した場合は、変数UをL4に設定する(ステップS208)。閾値L3及びL4はそれぞれ、例えば0.1〜10μAに相当する値の範囲で設定されるが、L3<L4に設定する。
【0064】
制御部23は、VmaxとVminの差分がステップS207又はS208で設定した閾値U(第1の閾値の一例)以上であるかどうかを判定する(ステップS209)。
制御部23は、ステップS209において、VmaxとVminの差分が閾値U以上であれば、「液浸入エラー」フラグをセットし(ステップS210)、このエラー判定処理を終了する。その後、
図6のメイン処理に移行し、上述したエラー表示及びエラー処理に移行する(
図6のステップS114〜S115)。その後、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。
【0065】
一方、制御部23は、VmaxとVminの差分が閾値U未満であれば、液浸入はないと判定し、上記同様、このエラー判定処理を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。
図12は、実施の形態2に係る液浸入判定処理による判定表を示す。同図に示す通り、Vmax≦L1及びVmax−Vmin≧Uのうちいずれかの条件が満たされなければ、コネクタ9、10、11部分に血液等の浸入はないと判定される。また、Vmax≦L1及びVmax−Vmin≧Uの双方の条件が満たされている場合は、コネクタ9、10、11部分に血液等が浸入している可能性が高いと判定される。
【0066】
なお、図示された判定表では、説明のため「0」(エラー無し)又は「1」(エラー有り)のいずれかを示しているが、
図11のフローチャートで示すようにVmax≦L1が「0」(No)と判定された時点で、その後の判定は行なわなくてもよい。また、これらの判定処理の順番は、図示されたものに限定されず、変更してもよい。
また、上記処理においては、Vmax−Vminに代えて、Vmin/Vmax等の比に基づいてエラー判定処理を行ってもよい。
【0067】
[2−2 効果等]
以上のように、上記実施の形態に係る血糖値測定器100においては、バイオセンサ2を装着した状態においても、コネクタ9、10、11部分への血液浸入等の異物付着によるエラーを検出することができるため、測定結果として大きな誤差が生じることを防ぐことできる。
【0068】
また、バイオセンサ2への血液の点着前にエラーを検出することができるため、皮膚への無駄な穿刺を防ぎ、使用者の負担を軽減することができる。
また、エラーと共にその原因も出力・表示するため、血糖値測定器100の使用者はエラーの原因を知ることができ、適切な測定を促すことができる。
(実施の形態3)
本実施形態においては、実施の形態2と同様にコネクタ9,10,11間の電流A,B,Cを変換したVa、Vb、Vcの最大値と最小値を利用して液浸入のエラー判定を行なうが、異なる閾値を用いる点で実施の形態2と異なる。なお、その他の構成及び機能について、実施の形態1と同様であるため、同一の図面及び符号を引用し、説明は省略する。
【0069】
[3−1 エラー判定処理]
図13は、本実施形態に係るエラー判定処理を示す。なお、このエラー判定処理は、
図6のS103の起動時処理1後、
図7の液浸入判定処理に代わって実行される。
つまり、液浸入判定処理の別の実施の形態3である。
制御部23は、コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間に、切替回路18を介して基準電圧源19から、所定の電圧を供給する。コネクタ9、10間、コネクタ10、11間、コネクタ9、11間にそれぞれ流れる電流は、電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により電圧が数値化される。制御部23は、この数値化された電圧値を検出電圧値として測定する。
【0070】
具体的には、制御部23は、
図8に示すように、コネクタ9、10間(図中ではC9−C10間と表記する)の電流A[μA]、コネクタ10、11間(図中ではC10−C11間とも表記する)の電流B[μA]、コネクタ9、11間(図中ではC9−C11間とも表記する)の電流C[μA]を取得する(ステップS301)。
次に、制御部23は、電流A、電流B、電流Cを電流/電圧変換回路21、A/D変換回路22により変換した電圧値Va,Vb,Vcについて、それぞれ所定の閾値M(第2の閾値の一例)以下であるかどうかを判定する(ステップS302)。Mは、端子間の導通確認のための電流量に相当する値であり、例えば、0μA〜3μAに相当する値の範囲で設定される。例えば、導通確認のためのみであれば、0μA(0V)に設定してもよいが、試薬吸湿等液浸入以外の導通を排除する場合は、0μAを超える値を設定してもよい。Va、Vb、Vcの全てが所定の閾値M以下である場合は、少なくとも液浸入が生じていないとして、このエラー判定処理(液浸入判定処理3)を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。
【0071】
Va、Vb、Vcのいずれかが所定の閾値Mを超える場合は、制御部23は、Va、Vb、Vcのうち最も大きい値Vmaxを取得する(ステップS303)。制御部23はまた、Va、Vb、Vcのうち最も小さい値Vminを取得する(ステップS304)。
続いて制御部23は、Vmaxが所定の閾値L5からL6の範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS305)。閾値L5は、例えば0〜3μAに相当する値の範囲で設定される。また、閾値L6は、例えば3〜25μAに相当する値の範囲で設定される。Vmaxが所定の閾値L5からL6の範囲外であれば、制御部23は、液浸入はないと判定し、このエラー判定処理を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。
【0072】
制御部23は、Vmaxが所定の閾値L5からL6の範囲内である場合は、更にVminが0であるかどうかを判定する(ステップS306)。
制御部23は、Vminが0である場合は、Vminを0.1と設定する(ステップS307)。
制御部23は、VmaxとVminの差分が閾値V(第1の閾値の一例)以上であるかどうかを判定する(ステップS308)。閾値Vは、例えば0.1〜10μAに相当する値の範囲で設定される。VmaxとVminの差分が閾値V以上であれば、「液浸入エラー」フラグをセットし(ステップS309)、このエラー判定処理を終了する。その後、
図6のメイン処理に移行し、上述したエラー表示及びエラー処理に移行する(
図6のステップS114〜S115)。その後、終了処理を行なう(ステップS112〜S113)。
【0073】
一方、制御部23は、VmaxとVminの差分が閾値V未満であれば、液浸入はないと判定し、このエラー判定処理を終了し、
図6のメイン処理に移行し、ステップS107の起動時処理2に進み、その後測定処理(同図ステップS109)に移行する。
図14は、実施の形態3に係る液浸入判定処理による判定表を示す。同図に示す通り、L5≦Vmax≦L6及びVmax−Vmin≧Vのうちいずれかの条件が満たされなければ、コネクタ9、10、11部分に血液等の浸入はないと判定される。一方、L5≦Vmax≦L6及びVmax−Vmin≧Vの双方の条件が満たされている場合は、コネクタ9、10、11部分に血液等が浸入している可能性が高いと判定される。
【0074】
なお、図示された判定表では、説明のため「0」(エラー無し)又は「1」(エラー有り)のいずれかを示しているが、
図13のフローチャートで示すようにL5≦Vmax≦L6が「0」(No)と判定された時点で、その後の判定は行なわなくてもよい。また、これらの判定処理の順番は、図示されたものに限定されず、変更してもよい。
また、上記処理においては、Vmax−Vminに代えて、Vmin/Vmax等の比に基づいてエラー判定処理を行ってもよい。
【0075】
[3−2 効果等]
以上のように、上記実施の形態に係る血糖値測定器100においては、バイオセンサ2を装着した状態においても、コネクタ9、10、11部分への血液浸入等の異物付着によるエラーを検出することができるため、測定結果として大きな誤差が生じることを防ぐことできる。
【0076】
また、バイオセンサ2への血液の点着前にエラーを検出することができるため、皮膚への無駄な穿刺を防ぎ、使用者の負担を軽減することができる。
また、エラーと共にその原因も出力・表示するため、血糖値測定器100の使用者はエラーの原因を知ることができ、適切な測定を促すことができる。
(その他実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0077】
また、上記実施の形態1及び2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
[1]
上記の実施の形態では、コネクタが3つの場合を示したが、これに限らず、コネクタ数が4つ以上の場合も上記実施の形態と同様にエラー判定することが出来る。
【0078】
[2]
上記実施の形態に係る生体情報測定装置のエラー検知は、コネクタ9,10,11間における生体試料である血液等の付着に限らない。その他に、導電性のある液体や固体の付着(異物付着の一例)に対しても、エラー検知が可能である。
[3]
上記実施の形態においては、生体情報測定装置として血糖値測定器100を例にしていたが、これに限定されない。生体試料として生体から得られる物質(例えば、血液、尿、組織、細胞等)を用いて生体情報(コレステロール量、中性脂肪量、アルブミン量、グロブリン量、酸素飽和度、ヘモグロビン量、ミオグロビン量、尿酸値等)を測定する装置であってもよい。
【0079】
[4]
上記実施の形態において、起動時処理1(
図6のステップS103)と起動時処理2(同図ステップS107)は、図示された順番に限定されず、入れ替えてもよい。
[5]
上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0080】
[6]
本願発明は、上記実施形態における生体情報測定装置として実現されることに限定されず、生体情報測定装置とバイオセンサを含むバイオセンサシステムや、生体情報測定装置におけるエラー検知方法としても実現可能である。