(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明の特徴及び利点、並びにそれらを実現する方法は、以下の本発明の実施形態の説明文を添付の図面と併せて参照することでより明らかとなり、発明自体のより深い理解が得られるであろう。
【
図1A】移植式ステープルカートリッジの一実施形態の斜視図である。
【
図1B】移植式ステープルカートリッジによって組織をクランプ締め及びステープル留めするエンドエフェクタの部分を示す。
【
図1C】移植式ステープルカートリッジによって組織をクランプ締め及びステープル留めするエンドエフェクタの部分を示す。
【
図1D】移植式ステープルカートリッジによって組織をクランプ締め及びステープル留めするエンドエフェクタの部分を示す。
【
図1E】移植式ステープルカートリッジによって組織をクランプ締め及びステープル留めするエンドエフェクタの部分を示す。
【
図2】エンドエフェクタが外科用ステープルカートリッジを支持し、そのアンビルが開位置にある、外科用器具の一部に連結された別のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図3】閉位置にある
図2のエンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図4】ナイフバーがエンドエフェクタを通じて前進し始める際の、
図2及び
図3のエンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図5】ナイフバーが内部を通じて部分的に前進させられた
図2〜4のエンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
【
図6】外科用切断及びステープル留め装置内に設置された別のステープルカートリッジの実施形態の斜視図である。
【
図7】
図6に示される装置の外科用ステープルカートリッジ及び長尺状溝部材の平面図である。
【
図8】エンドエフェクタの長尺状溝部材内に設置された別の外科用ステープルカートリッジの実施形態の平面図である。
【
図10】ステープル列の一部を成形する複数のステープルの部分斜視図である。
【
図11】外科用切断及びステープル留め装置のアンビルと接触することによりそのステープルが成形された後の
図10のステープル列の別の部分斜視図である。
【
図12】別のステープル列の一部を成形する、別のステープルの部分斜視図である。
【
図13】別のステープル列の一部を成形する、別のステープルの部分斜視図である。
【
図14】別のステープル列の実施形態の一部を成形する、別のステープルの部分斜視図である。
【
図15】ステープルカートリッジを支持するエンドエフェクタの断面図である。
【
図16】移植式ステープルカートリッジ本体部分及びステープルが取り外された後の
図15のエンドエフェクタの長尺状溝部分の断面図である。
【
図17】別のステープルカートリッジを支持するエンドエフェクタの断面図である。
【
図18A】少なくとも1つの実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図18B】少なくとも1つの実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図18C】少なくとも1つの実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図18D】少なくとも1つの実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置された外科用ステープルの変形を示す図である。
【
図19A】圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置されたステープルを示す図である。
【
図19B】アンビルにより圧潰された、
図19Aの圧潰可能なステープルカートリッジ本体を示す図である。
【
図19C】アンビルにより更に圧潰された、
図19Aの圧潰可能なステープルカートリッジを示す図である。
【
図19D】完全に成形された状態の
図19Aのステープル及び完全に圧潰した状態の
図19Aの圧潰可能なステープルカートリッジを示す図である。
【
図20】ステープルカートリッジ支持表面に接して配置されたステープルを示し、それらの間で可能な相対的運動を示す図である。
【
図21】
図20のステープルの基部を安定化させるように構成された、スロット又はトラフを含む、ステープルカートリッジ支持表面の断面図である。
【
図22】少なくとも1つの別の実施形態により、オーバーモールドされたクラウン、及びクラウンの一部分を受容するように構成されたスロット又はトラフを含む、ステープルの断面図である。
【
図23】圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に埋め込まれたステープルを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの平面図である。
【
図25】圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に配置された、ステープルを囲む、保護層を含む、少なくとも1つの実施形態によるステープルカートリッジの立面図である。
【
図27】圧潰可能なステープルカートリッジ本体の外側で少なくとも部分的に延びるステープルと、ステープルカートリッジ本体を囲む保護層とを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの立面図である。
【
図29】ステープルは、少なくとも一部が、ステープルカートリッジ本体のステープルキャビティ空間内に配置される、少なくとも一部が圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に埋め込まれた、ステープルを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図31】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図32】少なくとも一部が圧潰可能なステープルカートリッジ本体内に埋め込まれステープルと、ステープルを連結し、ステープルを互いに対して整列させる、アラインメントマトリックスとを含む、少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図34】圧縮可能なカートリッジ本体の内側層の部分切り欠き図である。
【
図35】移送プレートと支持プレートとの間で圧縮される、
図34の内側層を示す図である。
【
図36】
図35の圧縮された内側層内に挿入されたステープルを示す図である。
【
図37】内側層から取り除かれた、
図35の支持プレートの図である。
【
図38】
図34の内側層と、外側層に挿入された
図36のステープルとを含む、サブアセンブリの図である。
【
図39】封止したステープルカートリッジを形成するために封止された、
図38の外側層を示す図である。
【
図40】
図39の封止したステープルカートリッジの断面図である。
【
図41】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジ溝部材の断面図である。
【
図42】変形した状態の
図41のステープルカートリッジの一部分を示す図である。
【
図43】開位置におけるアンビルと、ステープルカートリッジ溝部材内に配置されたステープルカートリッジとを含む、外科用ステープラのエンドエファクタの立面図である。
【
図44】閉位置にあるアンビル、及びアンビルとステープルカートリッジ溝部材との間で圧縮されたステープルカートリッジを例示する、
図43のエンドエフェクタの立面図である。
【
図45】別の様式でステープルカートリッジ溝部材内に配置された、
図43のステープルカートリッジを例示する、
図43のエンドエフェクタの立面図である。
【
図46】ステープルカートリッジ溝部材内に配置された圧縮可能なステープルカートリッジ、及びアンビルに取り付けられた一片のバットレス材料を含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの断面図である。
【
図47】閉位置にあるアンビルを例示する、
図46のエンドエフェクタの断面図である。
【
図48】水不透過性層を含むステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の実施形態の断面図である。
【
図49】外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図50】段差が形成されたアンビルを含む外科用ステープラのエンドエフェクタ、及び、段差が形成されたカートリッジ本体を含むステープルカートリッジの別の一実施形態の断面図である。
【
図51】外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図52】傾斜した組織接触表面を含む外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図53】傾斜した組織接触表面を含む外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図54】ステープルカートリッジを支持するように構成された支持インサートを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図55】複数の圧縮可能な層を含む、ステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図56】段差が形成された圧縮可能カートリッジ本体を含む、ステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図57】段差が形成された圧縮可能なカートリッジ本体を含む、ステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の他の一実施形態の断面図である。
【
図58】湾曲した組織接触表面を含む、ステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図59】傾斜した組織接触表面を有する、ステープルカートリッジを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの別の一実施形態の断面図である。
【
図60】ステープル及び内部に貯蔵された少なくとも1種の薬剤を含む、圧縮可能なステープルの断面図である。
【
図61】圧縮され、内部に収容されたステープルが変形した後の、
図60の圧縮可能なステープルカートリッジを示す図である。
【
図62】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図64】少なくとも1つの別の実施形態による、移植されたステープルカートリッジの斜視図である。
【
図65】
図64の移植されたステープルカートリッジの断面図である。
【
図66】ステープルカートリッジの外側層から延びる変形可能な部材を含む、ステープルカートリッジの代替的実施形態の斜視図である。
【
図67】内側層に組み合わされたステープルカートリッジの外側層を含むステープルカートリッジの代替的実施形態の斜視図である。
【
図68】複数のステープル、圧縮可能な層、及びプレジット層を含む、ステープルカートリッジの代替的実施形態の断面図である。
【
図70】
図68のプレジット層から分離にされたプレジット、及びプレジットの溝と整列されたステープルの斜視図である。
【
図71】
図68のプレジット層からの、2つの連結されたプレジットの斜視図である。
【
図72】分離されたプレジットから取り除かれた、
図68のプレジット層のプレジット支持フレームの斜視図である。
【
図73】内部にステープルを含む圧縮可能なステープルカートリッジ、及びアンビルに対してステープルを駆動するためのシステムの代替的実施形態の分解斜視図である。
【
図73A】
図73のステープルカートリッジの代替的実施形態の部分切り欠き図である。
【
図75】
図73のステープルカートリッジを横断し、ステープルをアンビルの方向に動かすように構成されたスレッドの立面図である。
【
図76】
図75のスレッドによって、アンビルの方に持ち上げられうる、ステープルドライバの図である。
【
図77】ステープルドライバ内に配置された、ステープルを含む少なくとも1つの代替的実施形態による、ステープルカートリッジの切り欠き図である。
【
図78】ステープルカートリッジ溝部材内に配置された、
図77のステープルカートリッジの断面図である。
【
図79】閉位置に動かされたアンビル、及びアンビルにより変形されたステープルカートリッジ内に収容されるステープルを例示する、
図77のステープルカートリッジの断面図である。
【
図80】アンビルから上方に動かされたステープルを例示する、
図77のステープルカートリッジの断面図である。
【
図81】ステープルカートリッジの可撓性側部を連結するストラップを含む、ステープルカートリッジの代替的実施形態の斜視図である。
【
図82】スレッド及び切断部材アセンブリの斜視図である。
【
図83】
図77のステープルカートリッジのステープルを持ち上げるために使用される、
図82のスレッド及び切断部材アセンブリの図である。
【
図84】ステープルと係合してこれをアンビルの方に持ち上げるように構成されたスレッド及び、スレッドが遠位方向に移動することを選択的に可能にするように構成されたロックアウトシステムを示す図である。
【
図85】A〜Cは、ステープルクラウン内に挿入されるステープルの前進を例示する。
【
図86】支持パン又はリテーナを含むステープルカートリッジの断面図である。
【
図87】少なくとも1つの代替的実施形態による、圧縮可能なステープルカートリッジの部分断面図である。
【
図88】移植された状態の
図87のステープルカートリッジを示す図である。
【
図89】少なくとも1つの代替的な実施形態による、圧縮可能なステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図90】
図89のステープルカートリッジの部分断面図である。
【
図91】移植された状態の
図89のステープルカートリッジを示す図である。
【
図92】少なくとも1つの代替的実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジの部分断面図である。
【
図93】複数の圧潰可能な要素を含む、少なくとも1つの実施形態による、圧潰可能なステープルカートリッジの部分切り欠き図である。
【
図94】圧し潰されていない状態の、
図93の圧潰可能な要素の斜視図である。
【
図95】圧し潰された状態の、
図94の圧潰可能な要素の斜視図である。
【
図96A】ジョーがそこに取り付けられた保持マトリックスを含むジョー、ジョーと反対側に配置されたステープルカートリッジ溝部材、及びステープルカートリッジ溝部材内に配置されたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図96B】ステープルカートリッジ溝部材の方向に動かされるジョー、アンビル及び保持マトリックによって圧縮されるステープルカートリッジ、並びに保持マトリックス及びステープルカートリッジの中間に配置された組織を通じて少なくとも部分的に延びるステープルを例示する、
図96Aのエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図96C】最終位置にあるジョー、及び
図96Bのステープルと係合する保持マトリックスを示す
図96Aのエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図96D】移植されたステープルカートリッジ及び保持マトリックスからジョー及びステープルカートリッジ溝部材が取り除かれていることを例示する、
図96Aのエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図97】内部を通じて延びる締結具脚と係合するように構成された複数の保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図98】6つの保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図99】8つの保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図100】内部を通じて延びる締結具脚と係合するように構成された複数の保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図101】6つの保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図102】8つの保持部材を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図103】金属シートからスタンピングされた、複数の保持部材を含む、少なくとも1つの他の実施形態による、保持マトリックの保持開口部の斜視図である。
【
図104】保持開口部の外周部の周囲に延びる、複数の開口部を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、保持マトリックスの保持開口部の斜視図である。
【
図105】少なくとも1つの別の実施形態による保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図106】少なくとも1つの別の実施形態による保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図107】少なくとも1つの別の実施形態による保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図108】少なくとも1つの別の実施形態による保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図109】少なくとも1つの別の実施形態による保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図110】少なくとも1つの実施形態による、保持開口部内に延びる保持タブを含む、保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図111】少なくとも1つの別の実施形態による、保持開口部内に延びる保持タブを含む、保持マトリックスの保持開口部の平面図である。
【
図112】複数のステープル、ステープルと係合する保持マトリックス、及びステープルを整列するように構成されたアラインメントマトリックスを含む、締結システムの斜視図である。
【
図121】ステープルの脚に組み合わせられた保護キャップを更に含む、
図112の締結システムの斜視図である。
【
図125】開位置にあるジョー、ジョー内に配置された保持マトリックス及び複数の保護キャップ、並びにステープルカートリッジ溝部材内に配置されたステープルカートリッジを含む、少なくとも1つの実施形態による、エンドエフェクタの立面図である。
【
図128】
図125のステープルカートリッジに組み合わされた、
図125の保持マトリックス及び保護キャップの立面図である。
【
図130】ジョーが開位置にあり、保持マトリックスとステープルカートリッジとの間により薄い組織が配置されているのを例示する、
図125のエンドエフェクタの立面図である。
【
図131】
図130のより薄い組織に対して閉鎖した位置にある、ジョーを例示する、
図125のエンドエフェクタの立面図である。
【
図132】保持マトリックスとステープルカートリッジとの間に、
図130のより薄い組織を捕捉するために、発射位置にあるジョーを例示する、
図125のエンドエフェクタの立面図である。
【
図133】
図130の薄い組織がその間に配置されている、
図125のステープルカートリッジに組み合わされた、
図125の保持マトリックス及び保護キャップの立面図である。
【
図135】少なくとも1つの別の実施形態により、ステープル脚の先端部状に配置された、保護キャップの断面図である。
【
図136】材料シート内に埋め込まれた複数の保護キャップの斜視図である。
【
図137】内部に複数の保護キャップを受容するように構成された、複数の凹部を含む、ジョーの斜視図である。
【
図138】
図137のジョー内に配置された、保護キャップを被覆するシートを含む、ジョーの一部分の詳細図である。
【
図139】保護キャップが内部成形表面を含む、少なくとも1つの別の実施形態による、ステープル脚の先端部上に配置された保護キャップの断面図である。
【
図140】成形表面に対して変形された、ステープル脚を例示する、
図139の保護キャップの別の断面図である。
【
図141】複数の連結されたマトリックス要素を含む、保持マトリックスの別の実施形態の平面図である。
【
図142】複数の連結されたマトリックス要素を含む、保持マトリックスの別の実施形態の平面図である。
【
図143】複数の連結されたマトリックス要素を含む、保持マトリックスの別の実施形態の平面図である。
【
図144】複数の連結されたマトリックス要素を含む、保持マトリックスの別の実施形態の平面図である。
【
図145】複数の連結されたマトリックス要素を含む、保持マトリックスの別の実施形態の平面図である。
【
図146】圧縮可能なカバーを含む保持マトリックスを含むジョーの部分分解図である。
【
図148】圧縮可能な層、及び1つ又は2つ以上の薬剤を封入する複数のセルを含む保持マトリックスを含む、締結システムの部分断面図である。
【
図149】保持マトリックスと係合する際に、
図148のセルを貫通したステープル脚を示す図である。
【
図150】圧縮可能な層を含む、保持マトリックスを含む締結システムの部分断面図である。
【
図151】ホルダ、第1の締結カートリッジ、及び第2の締結カートリッジを含む、締結カートリッジ挿入アセンブリの立面図である。
【
図152】第1のジョー及び第2のジョーを含む、外科用ステープラのエンドエフェクタの立面図であり、第2のジョーは開放構成において例示されている。
【
図153】第2のジョーが閉鎖構成にあり、
図151の締結カートリッジ挿入アセンブリが、第1のジョーを第1カートリッジに、第2のジョーを第2カートリッジに充填するために使用されるのを例示する、
図152のエンドエフェクタの立面図である。
【
図154】カートリッジ挿入アセンブリがエンドエフェクタから取り除かれ、第2のジョーが再び開放構成にあり、組織が第1のジョーと第2のジョーの中間に配置された状態を例示する、
図153の充填されたエンドエフェクタの立面図である。
【
図155】発射構成にある、
図154の充填されたエンドエフェクタの立面図である。
【
図156】移植された状態にある、第1カートリッジ及び第2カートリッジの立面図である。
【
図157】少なくとも1つの実施形態により、第1カートリッジの一部分が依然として第1のジョーと係合しているのを例示する、
図152のエンドエフェクタの立面図である。
【
図158】ホルダ、第1の締結カートリッジ、及び第2の締結カートリッジを含む、締結カートリッジ挿入アセンブリの別の実施形態の立面図である。
【
図159】エンドエフェクタの第1のジョーに第1カートリッジを充填し、第2のジョーに第2カートリッジを充填するために使用される、
図158の締結具カートリッジ挿入アセンブリの立面図である。
【
図161】外科用ステープラの部分が取り除かれた、少なくとも1つの実施形態による、下側ジョー及び上側ジョーを含む、外科用ステープラの斜視図である。
【
図162】上側ジョーが取り除かれた、
図161の外科用ステープラの斜視図である。
【
図163】第1摺動可能アンビル及び第2摺動可能アンビルを含む、
図161の外科用ステープラの上側ジョーの摺動可能アンビルシステムの斜視図である。
【
図166】非発射状態にある、
図163の摺動可能アンビルシステムを示す図である。
【
図167】非発射位置にある
図163の摺動可能アンビルシステムの第1摺動可能アンビル、及び非配備位置にある下側ジョー内に配置されたステープルを示す図である。
【
図168】配備構成にある、下側ジョー内のステープル、及びステープルの第1の群のステープル脚を変形させるように近位方向に引かれた、
図167の第1摺動可能アンビルを示す図である。
【
図169】完全に変形した状態へと変形された、
図168の第1の群のステープルを示す図である。
【
図170】第2の群のステープル脚を変形するように、遠位方向に押された、
図163の摺動可能アンビルシステムの第2摺動可能アンビルを示す図である。
【
図171】少なくとも1つの実施形態において、複数の成形ポケットを構成するアンビルの部分斜視図である。
【
図176】アンビルを製造するための製造プロセスの第1工程を示す図である。
【
図179】リンクトリガによる自動後退と、ラチェット手動後退機構とを含むハンドル部分を備えた、外科用ステープル留め及び切断器具の左正面斜視図である。
【
図180】
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の、長尺状シャフトの一部を切り取りハンドルハウジングの右半分シェルを除去して、自動の発射終了移動後退機構と手動の発射後退機構とを露出させた、右後部斜視図である。
【
図181】
図179の外科用ステープル留め及び切断器具のハンドル部分及び長尺状シャフトの右後部斜視分解図である。
【
図182】右半分シェルと実施部分の外側部分が除去されて、初期状態の閉鎖及び発射機構が露出されている、
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の右後部斜視図である。
【
図183】
図182の一部分解した外科用ステープル留め及び切断器具の右側面立面図である。
【
図184】閉鎖機構を閉じてクランプした状態であり、側面つめ発射機構が第1のストロークを完了しており、手動後退機構が除去されて、発射機構の自動後退をトリガする連結ラックの遠位側リンクが露出している、
図182の一部分解した外科用ステープル留め及び切断器具の右後部斜視図である。
【
図185】側面つめ発射機構が解除され、遠位側リンクが自動後退にアプローチしている、
図183の一部分解した外科用ステープル留め及び切断器具の右後部斜視図である。
【
図186】エンドエフェクタが開き、後退防止機構がかかった初期状態である、
図183の一部分解した外科用ステープル留め及び切断器具の左側面立面図である。
【
図187】
図186のハンドル部分の右半分シェルと後退防止リリースレバーの左側面詳細図である。
【
図188】閉鎖トリガがクランプ締めされ、発射トリガが最後のストロークを実施しており、遠位側リンクが自動後退を外すよう配置されている、
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の左側面詳細立面図である。
【
図189】遠位側リンクが後退防止リリースレバーを作動させ前にロックした直後に、連結ラックを後退させる状態にある、
図188の分解した外科用ステープル留め及び切断器具の左側詳細立面図である。
【
図190】
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の手動後退機構の、アイドラー及び後方ギアと手動後退レバー並びにラチェットつめの右分解斜視図である。
【
図191】手動後退レバーが部分的に切除されて、ラチェットつめに係合する後側ギア上の小直径ラチェットギアが露出されている、
図190の手動後退機構の右斜視図である。
【
図192】後退防止機構が完全に発射された連結ラックに係合しており、これは、
図190の手動後退レバーの作動の前に、張力/圧縮併用ばねから外されている、
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の一部分解した左側面立面図である。
【
図193】後退防止リリースレバー、後側ギア、及び手動発射リリースレバーの隠れた部分は点線で示されている、
図192の外科用ステープル留め及び切断器具の一部分解した左側面立面図である。
【
図194】手動発射リリースレバーの作動により手動で連結ラックを後退させた後である、
図193の外科用ステープル留め及び切断器具の一部分解した左側面立面図である。
【
図195】連結ラックが省略され、手動発射リリースレバーが後退防止機構を外している、
図194の外科用ステープル留め及び切断器具の一部分解した左側面立面図である。
【
図196】
図179の外科用ステープル留め及び切断器具の別の後退防止リリースレバー及びハンドルハウジングの左側面詳細図である。
【
図197】
図196の別の後退防止リリースレバー、後側ギア軸、及び自動後退カムホイールの左側分解斜視図である。
【
図198】
図196の別の後退防止解放機構の右側面立面図であり、連結ラックが後退位置にあり、後退防止リリースレバーが近位側に配置され、後退防止プレートが発射ロッドに係合している。
【
図198A】
図198の後側ギア、自動後退カムホイール及び最も遠位側リンクの右詳細側面立面図である。
【
図199】最初の発射ストローク後の、
図198の後退防止解放機構の右側面立面図である。
【
図199A】
図199の後側ギア、自動後退カムホイール及び第2のリンクの右詳細側面立面図である。
【
図200】第2の発射ストローク後の、
図199の後退防止解放機構の右側面立面図である。
【
図200A】
図200の後側ギア、自動後退カムホイール及び第3のリンクの右詳細側面立面図である。
【
図201】第3発射及び最終ストローク後の、
図200の後退防止解放機構の右側面立面図である。
【
図201A】
図201の後側ギア、自動後退カムホイール及び最も近位側第4のリンクの右詳細側面立面図である。
【
図202】更なる発射ストロークにより自動後退カムホイールが遠位側に摺動して後退防止リリースレバーをロックさせ、後退防止機構が外れた後の状態である、
図201の自動解放機構の右側面立面図である。
【
図203】ステープル溝部材に含まれている交換可能ステープルカートリッジの右半分を伴った、開いた状態のステープル適用アセンブリの左前側斜視図である。
【
図204】完全な交換可能ステープルカートリッジと非関節接合シャフト構成を伴う、
図203のステープル適用アセンブリの分解斜視図である。
【
図205】
図203のステープル適用アセンブリの、2ピースのナイフ及び発射バー(Eビーム)の斜視図である。
【
図206】ステープル適用アセンブリのステープルカートリッジのウェッジスレッドの斜視図である。
【
図207】
図203のステープル適用アセンブリの中心線207−207に沿った長手方向断面の左側面立面図である。
【
図208】交換可能ステープルカートリッジがなく、ステープル溝部材の一部が2ピースのナイフ及び発射バーの中間ピンに隣接し、ステープル溝部材の遠位部分がない、
図203の、開いた状態のステープル適用アセンブリの斜視図である。
【
図209】ステープルカートリッジの内部ステープルドライバと、2ピースのナイフ及び発射バーの一部が示されている、
図203のステープル適用アセンブリの線209−209に沿った断面の正面立面図である。
【
図210】2ピースのナイフとウェッジスレッドとの間の中央接触点が含まれ、また、ステープルカートリッジ内のステープルとステープルドライバを示すため横方向にずれている、
図203の閉じたステープル適用アセンブリの線207−207の長手方向軸に概ね沿った左側面立面図である。
【
図211】ステープルカートリッジ交換に典型的な、2ピースのナイフがわずかに後退した状態である。
図210のステープル適用アセンブリ左側面詳細立面図である。
【
図212】
図210に示される構造に対応し、2ピースのナイフが発射し始めている、
図211のステープル適用アセンブリの左側面詳細立面図である。
【
図213】2ピースのナイフ及び発射バーが遠位側に発射された後の、
図210の閉じたステープル適用アセンブリの左側断面立面図である。
【
図214】ステープルカートリッジの発射と2ピースナイフの後退の後の、
図213の閉じたステープル適用アセンブリの左側断面立面図である。
【
図215】2ピースナイフがロックアウト位置に落ちることができるようになっている、
図214のステープル適用アセンブリの左側断面詳細立面図である。
【
図216】本発明の少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープル留め器具とともに使用するための、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの斜視図である。
【
図219】組織厚さコンペンセータを覆うラップがない、
図216のステープルカートリッジの別の分解図である。
【
図220】
図216のステープルカートリッジのカートリッジ本体(又は支持部分)の斜視図である。
【
図221】ステープルカートリッジからステープルを配備するための、
図216のステープルカートリッジ内で動くことができるスレッドの上面斜視図である。
【
図224】ステープルカートリッジからステープルを発射するための、1つ以上のステープルを支持し、
図221のスレッドにより上に持ち上げられるように構成されたドライバの上面斜視図である。
【
図226】ステープルカートリッジの圧縮可能な組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に取り巻くように構成されたラップである。
【
図227】第1シーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動した状態を示している、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの一部切除図である。
【
図233】第1シーケンス中にステープルが未発射位置から発射済み位置へと移動した状態を示している、閉位置のアンビル、並びに、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの、長手方向断面図である。
【
図234】発射シーケンスが完了した後の開位置にあるアンビルを示している、
図233のアンビル及びステープルカートリッジの別の断面図である。
【
図235】未発射位置にあるステープルを示している、
図233のステープルカートリッジの部分詳細図である。
【
図236】未発射位置にあるステープルを示している、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを備えるステープルカートリッジの断面立面図である。
【
図238】未発射位置にあるステープルを示している、開位置にあるアンビルと、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの立面図である。
【
図239】未発射位置にあるステープルと、アンビルと組織厚さコンペンセータとの間に捕捉された組織を示している、閉位置にあるアンビルと、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの立面図である。
【
図241】未発射位置にあるステープルと、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉されたより厚い組織を示している、閉位置にあるアンビルと、剛性支持部分及び圧縮可能な組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの立面図である。
【
図243】アンビルとステープルカートリッジとの間に配置された、異なる厚さを有する組織を示している、
図241のアンビル及びステープルカートリッジの立面図である。
【
図245】異なるステープル内に捕捉された異なる組織厚さを補償する、組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図246】ステープル列により切断された1本以上の脈管に対して圧縮圧力を適用している組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図247】1本以上のステープルが成形不良である状況を示している図である。
【
図248】成形不良ステープルを補償しうる組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図249】複数のステープル列が交差する組織領域に配置された組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図250】ステープル内に捕捉された組織を示している図である。
【
図251】ステープル内に捕捉された組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図252】ステープル内に捕捉された組織を示している図である。
【
図253】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図254】ステープル内に捕捉された薄い組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図255】ステープル内に捕捉された中間の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図256】ステープル内に捕捉された別の中間の厚さを有する組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図257】ステープル内に捕捉された厚い組織及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図258】後退した未発射位置にある発射バーとステープル発射スレッドを示している、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図259】部分的に前進した位置にある発射バーとステープル発射スレッドを示している、
図258のエンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図260】完全に前進した(発射済み)位置にある発射バーを示している、
図258のエンドエフェクタの断面図である。
【
図261】発射後の後退位置にある発射バーと、完全発射済み位置に残されているステープル発射スレッドを示している、
図258のエンドエフェクタの断面図である。
【
図263】少なくともその中に部分的に配置された状態で組織厚さコンペンセータとステープルを含むステープルカートリッジを備えた、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図264】ステープルが、ステープルカートリッジと反対側に配置されているアンビルに対して、少なくとも部分的に移動及び/又は回転していることを示している、
図263のエンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図265】少なくとも1つの実施形態による外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図266】少なくとも1つの別の実施形態による、エンドエフェクタの部分断面図である。
【
図267】別の他の実施形態による、エンドエフェクタの別の部分断面図である。
【
図268】少なくとも1つの実施形態による外科用ステープル器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図271】組織厚さコンペンセータソックスを含むエンドエフェクタの斜視図である。
【
図273】支持部分から延びる複数のレールと、内部に画定された長手方向キャビティを有する組織厚さコンペンセータとを含む、エンドエフェクタの斜視図である。
【
図275】支持部分から延びる複数の歯と、そこに係合する組織厚さコンペンセータとを含む、エンドエフェクタの斜視図である。
【
図276】少なくとも1つの実施形態による、ポケット配列を含むアンビルの斜視図である。
【
図280】ほぼB字型形状を含む発射済みステープルの立面図である。
【
図281】内側に変形された1本の脚と、外側に変形された1本の脚とを含む、発射済みステープルの立面図である。
【
図282】外側に変形された両方の脚を含む、発射済みステープルの立面図である。
【
図283】取り外し可能及び/又は交換可能なステープル脚ガイドを含む、ステープルカートリッジの支持部分の部分斜視図である。
【
図284】ステープルカートリッジから配備されているステープルを示している、
図283のステープルカートリッジの部分断面図である。
【
図285】ステープルカートリッジが発射された後の、
図284の断面詳細図である。
【
図286】内部に画定された空間を含む組織厚さコンペンセータを備えた、ステープルカートリッジの分解図である。
【
図287】組織に対して移植された、
図286の組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図288】組織に対して移植された、
図286の組織厚さコンペンセータを示す別の図である。
【
図289】組織厚さコンペンセータを定位置に保持するように構成された、支持部分から延びる横方向保持部材を含む、ステープルカートリッジの断面斜視図である。
【
図290】組織にステープル適用を行っている、
図289のステープルカートリッジの断面図である。
【
図291】移植された組織厚さコンペンセータから離れるよう移動している支持部分を示す、
図289のステープルカートリッジの別の断面図である。
【
図292】組織厚さコンペンセータを支持部分に対して保持するように構成された横方向保持部材を含む、ステープルカートリッジの断面斜視図である。
【
図293】組織にステープル適用を行っている、
図292のステープルカートリッジの断面図である。
【
図294】移植された組織厚さコンペンセータから離れるよう移動している支持部分を示す、
図292のステープルカートリッジの別の断面図である。
【
図295】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの支持部分に対して組織厚さコンペンセータを保持するリテーナの、断面詳細図である。
【
図296】少なくとも1つの実施形態による、異なる高さを有するステープルドライバを含む、ステープルカートリッジの部分切除図である。
【
図296A】
図296のステープルドライバと、その上に支持されている異なる未発射高さを有するステープルと、を示している図である。
【
図297】変化する厚さを含む組織厚さコンペンセータ、異なる高さを有するステープルドライバ、及び異なる未成形高さを有するステープルを示している図である。
【
図298】組織に移植された、
図297のステープル及び組織厚さコンペンセータを示している図である。
【
図299】少なくとも1つの実施形態による、変化する厚さを含む組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの部分断面図である。
【
図300】開位置にある外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図302】再び開いた状態で示されている、
図300のエンドエフェクタの断面図である。
【
図303】少なくとも1つの実施形態による、異なる高さ及び凹凸があるデッキ表面を有するステープルドライバを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図304】少なくとも1つの実施形態による、異なる高さ及び段付きのデッキ表面を有するステープルドライバを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図305】ステープルカートリッジアプリケータを利用する外科用ステープル留め器具のエフェクタに装填されたステープルカートリッジの斜視図である。
【
図307】ステープルカートリッジに組み立てられた
図305のステープルカートリッジアプリケータの側面図である。
【
図309】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジアプリケータの上側表面に配置された、上側組織厚さコンペンセータを更に含む、ステープルカートリッジアプリケータアセンブリの斜視図である。
【
図310】
図309の上側組織厚さコンペンセータ及びステープルカートリッジアプリケータの分解図である。
【
図310A】ステープルカートリッジアプリケータに接着された上側組織厚さコンペンセータを取り外すように構成された引っ張り部材を含む、ステープルカートリッジアプリケータアセンブリの分解図である。
【
図311】少なくとも1つの別の実施形態による、ステープルカートリッジアプリケータアセンブリの部分分解図である。
【
図312】それ自体から延びる複数の保持機構を備えた上側組織厚さコンペンセータと、下側組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジと、を含むステープルカートリッジアプリケータアセンブリの、斜視図である。
【
図313】アンビルがステープルカートリッジアプリケータアセンブリ上に閉じられている、ステープルカートリッジ溝部材内に配置された
図312のステープルカートリッジアプリケータアセンブリの立面図である。
【
図314】
図312のステープルカートリッジアプリケータがエンドエフェクタから取り出されつつある、再び開位置にある
図313のアンビルの立面図である。
【
図314A】
図312の上側組織厚さコンペンセータと下側組織厚さコンペンセータの中間に配置された組織の断面図である。
【
図314B】組織にステープルで止められ、切断部材によって切断された、上側組織厚さコンペンセータと下側組織厚さコンペンセータを示している断面図である。
【
図315】少なくとも1つの実施形態による、アンビルに挿入されている組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図317】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータとアンビルの分解図である。
【
図318】少なくとも1つの実施形態による、アンビルに取り付けられるように構成された上側組織厚さコンペンセータを含む、ステープルカートリッジアプリケータアセンブリの斜視図である。
【
図319】アンビルが上側組織厚さコンペンセータに向かって移動しつつある、ステープルカートリッジ溝部材内に配置された
図318のステープルカートリッジアプリケータアセンブリの立面図である。
【
図320】上側組織厚さコンペンセータがアンビルに係合した後、エンドエフェクタから取り外された、
図318のステープルカートリッジアプリケータを示す。
【
図321】
図318の上側組織厚さコンペンセータに向かって移動されているアンビルの断面端面図である。
【
図322】上側組織厚さコンペンセータと係合したアンビルの断面端面図である。
【
図323】複数の締結具によってステープルカートリッジの支持部分に取り付けられた、分離可能な組織厚さコンペンセータを備えたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図324】部分的に発射済み位置にある発射部材を示している、
図323のエンドエフェクタの断面図である。
【
図325】部分的に移植された組織厚さコンペンセータから離れるよう移動している支持部分を示している、
図323のエンドエフェクタの断面図である。
【
図327】本発明の少なくとも1つの実施形態によるステープル配備スレッドの斜視図である。
【
図329】組織厚さコンペンセータと、組織厚さコンペンセータ上に配置された複数のステープルガイドとを備えたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図330】未発射状態にある
図329の組織厚さコンペンセータ及びステープルガイドの部分断面図である。
【
図331】発射済み状態にある
図329の組織厚さコンペンセータ及びステープルガイドの部分断面図である。
【
図332】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータ及び支持部分を含むステープルカートリッジの断面図である。
【
図333】組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図334】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図335】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図336】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図337】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図338】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図339】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図341】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図343】少なくとも1つの別の実施形態による、組織厚さコンペンセータ、ステープルガイド層、及び未発射位置にあるステープルの部分断面図である。
【
図344】少なくとも1つの別の実施形態による、ステープルガイド層、及び未発射位置にある複数のステープルの斜視図である。
【
図345】外科用円形ステープラとともに使用するように構成された組織厚さコンペンセータの端面図である。
【
図346】組織厚さコンペンセータ及び
図345の外科用円形ステープラの斜視図である。
【
図347】少なくとも1つの別の実施形態による、外科用円形ステープラとともに使用するように構成された組織厚さコンペンセータの端面図である。
【
図348】組織厚さコンペンセータ及び
図347の外科用円形ステープラの斜視図である。
【
図349】外科用円形ステープラとともに使用するように構成された組織厚さコンペンセータの端面図である。
【
図350】
図349の組織厚さコンペンセータの部分的に膨張した構成の端面図である。
【
図351】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジを含む外科用ステープル留め器具の立面図である。
【
図352】組織に対して配置された、
図351の外科用ステープル留め器具の端面図である。
【
図353】ステープルカートリッジと組織との間に配置された組織厚さコンペンセータを更に含む、
図351の外科用ステープル留め器具の端面図である。
【
図354】組織厚さコンペンセータなしで、
図351の外科用ステープル留め器具から組織内に配備されたステープルの部分斜視図である。
【
図355】組織厚さコンペンセータを伴って、
図351の外科用ステープル留め器具から組織内に配備されたステープルの部分斜視図である。
【
図356】第1の配置にあるアンビルプレートを含む、
図351の外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図357】第2の配置にある
図356のアンビルプレートを示す、
図351の外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの部分断面図である。
【
図358】隙間設定エレメントを備えたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図359】発射部材の発射ストロークの終了時における、
図358の隙間設定エレメントを切断する発射部材を示す斜視図である。
【
図360】可撓性ノーズを備えたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図361】屈曲状態にあるノーズを示している、
図360のエンドエフェクタの断面図である。
【
図362】摺動可能部分を備えたステープルカートリッジを含む、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図363】遠位側に摺動した摺動可能部分を示す、
図362のエンドエフェクタの断面図である。
【
図364】上り傾斜のデッキ表面と、厚さ変化を含む組織厚さコンペンセータとを含む支持部分を含んだ、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図365】上り傾斜のデッキ表面と、均一な厚さを含む組織厚さコンペンセータとを含む支持部分を含んだ、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図366】厚さ変化を有する組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの斜視図である。
【
図368】長手方向層を含む組織厚さコンペンセータの断面斜視図である。
【
図369】少なくとも1つの別の実施形態による、複数の層を含む組織厚さコンペンセータの断面斜視図である。
【
図370】それ自体に組織厚さコンペンセータを解放可能に保持するように構成された保持部材を含む、使い捨て装填ユニットの斜視図である。
【
図371】組織厚さコンペンセータを使い捨て装填ユニットに解放可能に保持するように構成された保持部材を含む、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図372】使い捨て装填ユニットに取り付けられた
図371の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図374】組織厚さコンペンセータを使い捨て装填ユニットに解放可能に保持するように構成された保持部材を含む、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図375】使い捨て装填ユニットに取り付けられた
図374の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図377】組織厚さコンペンセータを使い捨て装填ユニットに解放可能に保持するように構成された保持部材を含む、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図378】使い捨て装填ユニットに取り付けられた
図377の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図379】使い捨て装填ユニットのエフェクタ内に配置された組織厚さコンペンセータアプリケータの斜視図である。
【
図382】少なくとも1つの別の実施形態による、使い捨て装填ユニットのエフェクタ内に配置された組織厚さコンペンセータアプリケータの斜視図である。
【
図385】ステープルカートリッジを支持するように構成された枢動可能なジョーを備えた、使い捨て装填ユニットの立面図である。
【
図386】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの支持部分に対して取り付けられた組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの断面図である。
【
図387】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの支持部分に対して取り付けられた組織厚さコンペンセータを含むステープルカートリッジの断面図である。
【
図388】少なくとも1つの実施形態による、ステープルカートリッジの支持部分に対して取り付けられた組織厚さコンペンセータを備えるステープルカートリッジの断面図である。
【
図390】本発明の少なくとも1つの実施形態による、リテーナ及び2つの組織厚さコンペンセータを含むリテーナアセンブリの分解図である。
【
図392】これとともに
図390のリテーナアセンブリを使用することができるアンビルの斜視図である。
【
図393】アンビル及びステープルカートリッジを有する外科用ステープラのエンドエフェクタに挿入されつつある
図390のリテーナアセンブリを示す図である。
【
図395】閉位置にあるアンビルを示す、
図393のステープル及びアンビルと係合された
図390に示されるリテーナアセンブリの側面図である。
【
図398】一方の組織厚さコンペンセータが、アンビルを有する外科用ステープラ内のステープルカートリッジと係合している状態を示す、上面及び下面に組織厚さコンペンセータが取り付けられた
図397のリテーナの側面図である。
【
図400】少なくとも1つの実施形態による、リテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解斜視図である。
【
図401】
図400の組織厚さコンペンセータ及び外科用ステープラのアンビルの斜視図である。
【
図402】少なくとも1つの実施形態による、リテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解上面斜視図である。
【
図403】
図402のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの分解底面斜視図である。
【
図404】外科用ステープラに係合した
図402のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの上面斜視図である。
【
図407】
図404の外科用ステープラのアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータを示す
図402のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの底面斜視図である。
【
図408】
図407のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータを示す
図402のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの上面斜視図である。
【
図410】外科用ステープラのステープルカートリッジ及び溝部材に取り付けられた
図402及び403のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図411】組織厚さコンペンセータと係合した外科用ステープラのアンビルを示す、
図410の外科用ステープラのステープルカートリッジ及び溝部材に取り付けられた
図402及び403のリテーナ及び組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図412】外科用ステープラのアンビルに取り付けられ、リテーナから離れる方向に動かされつつある
図402の組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図413】少なくとも1つの実施形態による、リテーナ、リテーナの第1及び第2の表面に取り付けられた組織厚さコンペンセータ、及びリテーナの穴に通されたコネクタを有するリテーナアセンブリの側面断面図である。
【
図414】説明の目的で組織厚さコンペンセータの一部を取り除いて示した
図413のリテーナアセンブリの斜視図である。
【
図415】開位置で示されたアンビルを有する外科用ステープラに係合された
図413のリテーナアセンブリの側面図である。
【
図417】リテーナアセンブリの組織厚さコンペンセータの間から引き抜かれるリテーナを示す、
図413のリテーナアセンブリの側面図である。
【
図418】
図413の組織厚さコンペンセータから引き抜かれたリテーナの側面図である。
【
図419】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープラのアンビルと係合するように構成されたリテーナの斜視図である。
【
図423】
図419のリテーナ及び外科用ステープラ用のステープルカートリッジに取り付けられる組織厚さコンペンセータを含むリテーナアセンブリを示す。
【
図424】外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルと係合する
図423のリテーナ及びステープルカートリッジを示す。
【
図425】
図424の外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルと係合する
図423のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジを示す。
【
図427】
図424の外科用ステープラのアンビル上に係合した
図423のリテーナアセンブリ及びステープルカートリッジと、閉位置に動かされつつあるアンビルを示す。
【
図428】組織厚さコンペンセータが取り付けられた、開位置にある
図424の外科用ステープラのアンビル及び外科用ステープラのステープルカートリッジ溝部材に嵌合されたリテーナを示す。
【
図429】
図424の外科用ステープラのステープルカートリッジ溝部材に嵌合された
図423のリテーナ及び開位置にあるアンビルを示す。
【
図430】外科用ステープラのアンビルと係合するように構成された突起部又は翼状部を有する組織厚さコンペンセータを有するリテーナの断面図である。
【
図431】外科用ステープラのアンビルと係合するように構成されたソックスを有する組織厚さコンペンセータを有するリテーナの断面図である。
【
図432】少なくとも1つの実施形態による、ヒンジによって連結された2枚のプレートを有するリテーナの斜視図である。
【
図434】
図432のリテーナとともに使用されるように構成された挿入ツールの一実施形態の背面斜視図である。
【
図436】説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれた
図434の挿入ツールの背面斜視図である。
【
図437】説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれた
図434の挿入ツールの側面図である。
【
図439】
図432のリテーナ、リテーナ上に配置された組織厚さコンペンセータ、リテーナ上に配置されたステープルカートリッジ、及びリテーナと係合した
図434の挿入ツールを有するリテーナアセンブリの斜視図であり、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図440】
図432のリテーナ、リテーナ上に配置された組織厚さコンペンセータ、及びリテーナと係合した
図434の挿入ツールを有するリテーナアセンブリの側面図であり、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図441】アンビル及びステープルカートリッジ溝部材を有する外科用器具に挿入されつつある
図439のリテーナアセンブリを示し、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図442】アンビル及びステープルカートリッジ溝部材を有する外科用器具に挿入されつつある
図439のリテーナアセンブリを示し、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図443】ステープルカートリッジ溝部材内にステープルカートリッジを係合させるとともに、組織厚さコンペンセータをアンビルと係合させるようにリテーナに対して動かされつつある
図434の挿入ツールを示し、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図444】リテーナを組織厚さコンペンセータから、更に、ステープルカートリッジから離脱させるようにリテーナに対して動かされつつある
図434の挿入ツールを示し、説明の目的で挿入ツールの一部が取り除かれている。
【
図445】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープル留め器具のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図446】
図445の組織厚さコンペンセータをその中に少なくとも部分的に捕捉した変形後のステープルを示す図である。
【
図447】少なくとも1つの実施形態による、第1の組織厚さコンペンセータを有するステープルカートリッジと、第2の組織厚さコンペンセータを有するアンビルとを含む外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図448】ステープルカートリッジからのステープルが非発射位置から発射位置へと動かされた状態を示す、
図447のエンドエフェクタの断面図である。
【
図449】少なくとも1つの実施形態による、エンドエフェクタのアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図であり、組織厚さコンペンセータは複数のカプセルを有している。
【
図450】非発射位置から発射位置に動かされることによって
図449の組織厚さコンペンセータのカプセルに穿孔しているステープルの断面図である。
【
図451】少なくとも1つの実施形態による、アンビル及び組織厚さコンペンセータの分解図である。
【
図452】少なくとも1つの実施形態による、複数のステープル成形ポケットを有するアンビル、及び成形ポケットと整列された複数のカプセルを有する組織厚さコンペンセータの断面図である。
【
図454】組織の両側に配置されたステープルカートリッジからのステープルによってステープル留めしようとする組織に対して配置された
図452のアンビル及び組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図455】
図454のステープルカートリッジの方向に動かされた
図452のアンビル、及びステープルカートリッジから部分的に発射されたステープルを示す図である。
【
図456】完全に発射された形態にある
図455のステープル、及び破裂した状態の
図452の組織厚さコンペンセータのカプセルを示す図である。
【
図458】完全に発射された形態にある
図455のステープル、及び少なくとも部分的に切断された状態の
図452の組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図459】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの代替的実施形態の断面斜視図である。
【
図460】外科用ステープル留め器具の切断部材と整列された複数のカプセルを有する組織厚さコンペンセータの代替的実施形態の斜視図である。
【
図462】外科用ステープル留め器具のアンビルのナイフスロットと整列された複数のカプセルを有する
図460の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図463】アンビルに取り付けられつつある組織厚さコンペンセータの代替的実施形態を示す。
【
図464】アンビルに取り付けられつつある組織厚さコンペンセータの代替的実施形態を示す。
【
図465】少なくとも1つの実施形態による、アンビル及びコンペンセータの断面分解図である。
【
図467】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータ及び組織厚さコンペンセータを切開する切断部材の部分斜視図である。
【
図468】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの代替的実施形態の部分断面図である。
【
図469】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの別の代替的実施形態の部分断面図である。
【
図470】異なる実施形態による、複数の不規則かつ/又は非対称的なキャビティを有する組織厚さコンペンセータを示す図である。
【
図471】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープル留め器具のアンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの部分切欠き図である。
【
図472】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータのシームレス押出成形されたケーシング又は外側チューブの斜視図である。
【
図473】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの別のシームレス押出成形されたケーシング又は外側チューブの斜視図である。
【
図474】酸化再生セルロース繊維の斜視図である。
【
図477】毛羽立たせられ、少なくとも部分的に切断された
図476のストランドを示す。
【
図478】組織厚さコンペンセータのケーシング又は外側チューブを通して挿入され、
図476のストランドを把持するように配置されたグラスパを示す。
【
図479】ケーシングから引き出されつつある
図478のグラスパ及びケーシングを通じて引かれつつある
図476のストランドを示す。
【
図481】熱溶接及び/又は封止されつつあるケーシングの両端を示す。
【
図482】側部シームなしで組織厚さコンペンセータを形成するプロセスを示す。
【
図483】外科用ステープル留め器具のアンビル及びアンビルに選択的に取り付けることが可能な複数のコンペンセータを示しており、コンペンセータのそれぞれは毛管溝のアレイを有している。
【
図484】アンビルに取り付けられるように構成されたコンペンセータの平面図である。
【
図486】外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図487】エンドエフェクタの組織厚さコンペンセータ上に配置されつつある液体を示す、
図486のエンドエフェクタの別の斜視図である。
【
図488】エンドエフェクタのアンビルに取り付けられたコンペンセータを示す
図488のエンドエフェクタの別の斜視図である。
【
図490】少なくとも1つの実施形態による、複数の層を有するコンペンセータの分解図である。
【
図491】少なくとも1つの実施形態による、外科用ステープル留め器具のコンペンセータ及びアンビルの分解図である。
【
図493】少なくとも1つの実施形態による、細胞の内部成長マトリックスを有するコンペンセータの分解図である。
【
図495】コンペンセータの材料の繊維質層の斜視図である。
【
図496】少なくとも1つの実施形態による、互いに積層された複数の繊維質層の斜視図である。
【
図497】少なくとも1つの実施形態による、互いに積層された別の複数の繊維質層の斜視図である。
【
図498】コンペンセータの材料の繊維質層の斜視図である。
【
図499】少なくとも1つの実施形態による、互いに積層された複数の繊維質層の斜視図であり、繊維は異なる方向に配列されている。
【
図500】少なくとも1つの実施形態による、互いに積層された別の複数の繊維質層の斜視図である。
【
図501】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図502】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタ内に配置された組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図503】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタ内に配置された組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図504】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビル上に配置されたスリーブの斜視図である。
【
図509】少なくとも1つの実施形態による、スリーブの組織コンペンセータの平面図である。
【
図512】少なくとも1つの実施形態による、スリーブの組織コンペンセータの平面図である。
【
図522】破線で示された直進運動する発射バーを示す、アンビル上に配置された
図504のスリーブの平面図である。
【
図523】破線で示された直進運動する発射バーを示す、アンビル上に配置された
図504のスリーブの立面図である。
【
図524】スリーブからノーズが外される様子を示した、アンビル上に配置された
図504のスリーブの平面図である。
【
図525】スリーブからノーズが外される様子を示した、アンビル上に配置された
図504のスリーブの立面図である。
【
図526】発射バーを破線で示し、スリーブからノーズが外される様子を示した、アンビル上に配置された
図504のスリーブの平面図である。
【
図527】発射バーを破線で示し、スリーブからノーズが外される様子を示した、アンビル上に配置された
図504のスリーブの立面図である。
【
図531】スリーブから組織コンペンセータが外される様子を示した、
図504のアンビルの立面断面図である。
【
図532】少なくとも1つの実施形態による、エンドエフェクタインサートの平面図である。
【
図535】外科用器具のエンドエフェクタのアンビルと嵌合するエンドエフェクタインサートを示す、
図532のエンドエフェクタインサートの部分斜視図である。
【
図536】外科用器具のエンドエフェクタのステープルカートリッジと嵌合するエンドエフェクタインサートを示す、
図532のエンドエフェクタインサートの部分斜視図である。
【
図537】外科用器具のエンドエフェクタと嵌合するエンドエフェクタインサートを示す、
図532のエンドエフェクタインサートの立面図である。
【
図538】外科用器具のエンドエフェクタ内に配置された
図532のエンドエフェクタインサートの立面図である。
【
図539】組織厚さコンペンセータの一部が切欠きにより示された、少なくとも1つの実施形態による外科用器具のエンドエフェクタ内に配置された組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図540】静電荷によってエンドエフェクタのアンビルに固定された
図539の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図541】吸引要素によってエンドエフェクタのアンビルに固定された
図539の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図542】フック・アンド・ループ式ファスナによってエンドエフェクタのアンビルに固定された
図539の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図543】バンドによってエンドエフェクタのアンビルに固定された
図539の組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
【
図544】組織厚さコンペンセータの遠位端のソックスによってエンドエフェクタのアンビルに固定された
図539の組織厚さコンペンセータの部分斜視図である。
【
図545】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視部分断面図である。
【
図548】少なくとも1つの実施形態による、閉位置にあるラッチを示した、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図549】開位置にあるラッチを示した、
図548の組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図550】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図551】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図552】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図553】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図554】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視部分分解図である。
【
図555】アンビルに向かう組織厚さコンペンセータの運動を示した、
図554の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図556】アンビルと係合した
図554の組織厚さコンペンセータの立面断面図である。
【
図557】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに固定された組織厚さコンペンセータの斜視断面図である。
【
図558】
図557の組織厚さコンペンセータ及びアンビルの斜視断面分解図である。
【
図559】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの立面図である。
【
図562】外科用器具のエンドエフェクタのアンビルに向かう組織厚さコンペンセータの運動を示す、
図559の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図563】アンビル上に配置された
図559の組織厚さコンペンセータの平面断面図である。
【
図564】アンビル上に配置された
図559の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図565】切断要素が組織厚さコンペンセータを切断する様子を示す、アンビル上に配置された
図559の組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図566】少なくとも1つの実施形態による、アンビル及び帯電可能層を有する外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタの断面立面図である。
【
図568】
図566のアンビル及び帯電可能層、並びに帯電可能層に着脱可能に取り付け可能な組織厚さコンペンセータの分解図である。
【
図569】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図569A】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図571】少なくとも1つの代替的実施形態による、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図573】少なくとも1つの実施形態による、組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図574】少なくとも1つの実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図577】少なくとも1つの代替的実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図580】少なくとも1つの代替的実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図582】少なくとも1つの代替的実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図584】少なくとも1つの代替的実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【
図586】少なくとも1つの代替的実施形態による、アンビルに取り付けられた組織厚さコンペンセータの斜視図である。
【0004】
対応する参照符合は、複数の図面を通じて対応する部材を示す。本明細書に記載される例示は、本発明の特定の実施形態を1つの形態として示すものであり、このような例示は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本願の出願人は、各出願の全容を参照により本明細書にそれぞれ援用するところの、下記に示す米国特許出願も所有するものである。すなわち、
発明の名称が「SURGICAL INSTRUMENTS WITH RECONFIGURABLE SHAFT SEGMENTS」である米国特許出願第12/894,311号(代理人整理番号END6734USNP/100058);
発明の名称が「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES SUPPORTING NON−LINEARLY ARRANGED STAPLES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH COMMON STAPLE−FORMING POCKETS」である米国特許出願第12/894,340号(代理人整理番号END6735USNP/100059);
発明の名称が「JAW CLOSURE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」である米国特許出願第12/894,327号(代理人整理番号END6736USNP/100060);
発明の名称が「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH SEPARATE AND DISTINCT FASTENER DEPLOYMENT AND TISSUE CUTTING SYSTEMS」である米国特許出願第12/894,351号(代理人整理番号END6839USNP/100524);
発明の名称が「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE HAVING A NON−UNIFORM ARRANGEMENT」である米国特許出願第12/894,338号(代理人整理番号END6840USNP/100525);
発明の名称が「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING A SUPPORT RETAINER」である米国特許出願第12/894,369号(代理人整理番号END6841USNP/100526);
発明の名称が「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING MULTIPLE LAYERS」である米国特許出願第12/894,312号(代理人整理番号END6842USNP/100527);
発明の名称が「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」である米国特許出願第12/894,377号(代理人整理番号END6843USNP/100528);
発明の名称が「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH COMPACT ARTICULATION CONTROL ARRANGEMENT」である米国特許出願第12/894,339号(代理人整理番号END6847USNP/100532);
発明の名称が「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH A VARIABLE STAPLE FORMING SYSTEM」である米国特許出願第12/894,360号(代理人整理番号END6848USNP/100533);
発明の名称が「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH INTERCHANGEABLE STAPLE CARTRIDGE ARRANGEMENTS」である米国特許出願第12/894,322号(代理人整理番号END6849USNP/100534);
発明の名称が「SURGICAL STAPLE CARTRIDGES WITH DETACHABLE SUPPORT STRUCTURES AND SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH SYSTEMS FOR PREVENTING ACTUATION MOTIONS WHEN A CARTRIDGE IS NOT PRESENT」である米国特許出願第12/894,350号(代理人整理番号END6855USNP/100540);
発明の名称が「IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE COMPRISING BIOABSORBABLE LAYERS」である米国特許出願第12/894,383号(代理人整理番号END6856USNP/100541);
発明の名称が「COMPRESSIBLE FASTENER CARTRIDGE」である米国特許出願第12/894,389号(代理人整理番号END6857USNP/100542);
発明の名称が「FASTENERS SUPPORTED BY A FASTENER CARTRIDGE SUPPORT」である米国特許出願第12/894,345号(代理人整理番号END6858USNP/100543);
発明の名称が「COLLAPSIBLE FASTENER CARTRIDGE」である米国特許出願第12/894,306号(代理人整理番号END6859USNP/100544);
発明の名称が「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF CONNECTED RETENTION MATRIX ELEMENTS」である米国特許出願第12/894,318号(代理人整理番号END6860USNP/100546);
発明の名称が「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND AN ALIGNMENT MATRIX」である米国特許出願第12/894,330号(代理人整理番号END6861USNP/100547);
発明の名称が「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」である米国特許出願第12/894,361号(代理人整理番号END6862USNP/100548);
発明の名称が「FASTENING INSTRUMENT FOR DEPLOYING A FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX」である米国特許出願第12/894,367号(代理人整理番号END6863USNP/100549);
発明の名称が「FASTENER SYSTEM COMPRISING A RETENTION MATRIX AND A COVER」である米国特許出願第12/894,388号(代理人整理番号END6864USNP/100550);
発明の名称が「FASTENER SYSTEM COMPRISING A PLURALITY OF FASTENER CARTRIDGES」である米国特許出願第12/894,376号(代理人整理番号END6865USNP/100551);
発明の名称が「SURGICAL STAPLER ANVIL COMPRISING A PLURALITY OF FORMING POCKETS」である米国特許出願第13/097,865号(代理人整理番号END6735USCIP1/100059CIP1);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER」である米国特許出願第13/097,936号(代理人整理番号END6736USCIP1/100060CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A VARIABLE THICKNESS COMPRESSIBLE PORTION」である米国特許出願第13/097,954号(代理人整理番号END6840USCIP1/100525CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING STAPLES POSITIONED WITHIN A COMPRESSIBLE PORTION THEREOF」である米国特許出願第13/097,856号(代理人整理番号END6841USCIP1/100526CIP1);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING DETACHABLE PORTIONS」である米国特許出願第13/097,928号(代理人整理番号END6842USCIP1/100527CIP1);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR FOR A SURGICAL STAPLER COMPRISING AN ADJUSTABLE ANVIL」である米国特許出願第13/097,891号(代理人整理番号END6843USCIP1/100528CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING AN ADJUSTABLE DISTAL PORTION」である米国特許出願第13/097,948号(代理人整理番号END6847USCIP1/100532CIP1);
発明の名称が「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE ASSEMBLY」である米国特許出願第13/097,907号(代理人整理番号END6848USCIP1/100533CIP1);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING PORTIONS HAVING DIFFERENT PROPERTIES」である米国特許出願第13/097,861号(代理人整理番号END6849USCIP1/100534CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE LOADING ASSEMBLY」である米国特許出願第13/097,869号(代理人整理番号END6855USCIP1/100540CIP1);
発明の名称が「COMPRESSIBLE STAPLE CARTRIDGE COMPRISING ALIGNMENT MEMBERS」である米国特許出願第13/097,917号(代理人整理番号END6856USCIP1/100541CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A RELEASABLE PORTION」である米国特許出願第13/097,873号(代理人整理番号END6857USCIP1/100542CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING COMPRESSIBLE DISTORTION RESISTANT COMPONENTS」である米国特許出願第13/097,938号(代理人整理番号END6858USCIP1/100543CIP1);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」である米国特許出願第13/097,924号(代理人整理番号END6859USCIP1/100544CIP1);
発明の名称が「SURGICAL STAPLER WITH FLOATING ANVIL」である米国特許出願第13/242,029号(代理人整理番号END6841USCIP2/100526CIP2);
発明の名称が「CURVED END EFFECTOR FOR A STAPLING INSTRUMENT」である米国特許出願第13/242,066号(代理人整理番号END6841USCIP3/100526CIP3);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK」である米国特許出願第13/242,086号(代理人整理番号END7020USNP/110374);
発明の名称が「STAPLE CARTRIDGE INCLUDING COLLAPSIBLE DECK ARRANGEMENT」である米国特許出願第13/241,912号(代理人整理番号END7019USNP/110375);
発明の名称が「SURGICAL STAPLER WITH STATIONARY STAPLE DRIVERS」である米国特許出願第13/241,922号(代理人整理番号END7013USNP/110377);
発明の名称が「SURGICAL INSTRUMENT WITH TRIGGER ASSEMBLY FOR GENERATING MULTIPLE ACTUATION MOTIONS」である米国特許出願第13/241,637号(代理人整理番号END6888USNP3/110378);及び
発明の名称が「SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVELY ARTICULATABLE END EFFECTOR」である米国特許出願第13/241,629号(代理人整理番号END6888USNP2/110379)。
【0006】
本願の出願人はまた、本願と同一出願日に出願され、各出願の全容を参照によって本明細書にそれぞれ援用するところの、下記に示す米国特許出願も所有するものである。すなわち、
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF CAPSULES」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6864USCIP1/100550CIP1);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF LAYERS」である米国特許出願第_________号(代理人整理番号END6864USCIP2/100550CIP2);
発明の名称が「EXPANDABLE TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP2/100528CIP2)。
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A RESERVOIR」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP3/100528CIP3);
発明の名称が「RETAINER ASSEMBLY INCLUDING A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP4/100528CIP4);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING AT LEAST ONE MEDICAMENT」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP5/100528CIP5);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CONTROLLED RELEASE AND EXPANSION」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP6/100528CIP6);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING FIBERS TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP7/100528CIP7);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING STRUCTURE TO PRODUCE A RESILIENT LOAD」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP8/100528CIP8);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING RESILIENT MEMBERS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP9/100528CIP9);
発明の名称が「METHODS FOR FORMING TISSUE THICKNESS COMPENSATOR ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLERS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP10/100528CP10);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP11/100528CP11);
発明の名称が「LAYERED TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP12/100528CP12);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATORS FOR CIRCULAR SURGICAL STAPLERS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END6843USCIP13/100528CP13);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CAPSULES DEFINING A LOW PRESSURE ENVIRONMENT」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7100USNP/110601);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISED OF A PLURALITY OF MATERIALS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7101USNP/110602);
発明の名称が「MOVABLE MEMBER FOR USE WITH A TISSUE THICKNESS COMPENSATOR」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7107USNP/110603);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING A PLURALITY OF MEDICAMENTS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7102USNP/110604);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR AND METHOD FOR MAKING THE SAME」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7103USNP/110605);
発明の名称が「TISSUE THICKNESS COMPENSATOR COMPRISING CHANNELS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7104USNP/110606);及び
発明の名称が「DEVICES AND METHODS FOR ATTACHING TISSUE THICKNESS COMPENSATING MATERIALS TO SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」である米国特許出願第__________号(代理人整理番号END7106USNP/110608)である。
【0007】
本明細書で開示される装置並びに方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が与えられるよう、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の例を添付図面に示す。当業者であれば、本明細書に詳細に述べられ、添付の図面に示される装置及び方法は、非限定的かつ例示的な実施形態である点は理解されるであろう。1つの例示的な実施形態との関連において例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることが可能である。そのような改変及び変形は本発明の範囲に含まれるものとする。
【0008】
ある物品又は製品を作製、生成、又は他の何らかの形態で製造するための、本明細書において開示又は特許請求される方法のいずれを用いることによっても、対象となる物品又は製品の全体若しくは部分を作製、生成、又は他の何らかの形態で製造することが可能であり、このような方法を用いて、対象となる物品又は製品の部分が作製、生成、又は他の何らかの態様で製造される場合、物品又は製品の残りの部分は、対象となる物品又は製品を作製、生成、又は他の何らかの態様で製造するために開示又は特許請求される他の方法のいずれかを用いることを含むあらゆる方法によって製造することが可能であり、そのようにして製造された異なる部分は任意の方法で組み合わせることが可能である。同様に、本明細書において開示又は特許請求されるすべての物品又は製品は、単独で、又はそれが適合性を有する本明細書において開示される他の任意の物品又は製品と組み合わせるか若しくはその一体の部分として存在しうるものである。したがって、ある物品、製品又は方法との関連で図示又は述べられる特定の機能、構造、又は特徴は、その全体又は部分において、1又は2以上の他の適合する物品、製品又は方法の機能、構造、又は特徴と制限なく組み合わせることが可能である。そのような改変及び変形は本発明の範囲に含まれるものとする。
【0009】
特定の図面を参照するにせよ、参照しないにせよ、本発明の特定の実施形態、又は特定の物品、製品若しくは方法が特定の構造、特徴、又は機能を有しうることが本明細書において開示される場合、このことは、これらの構造、特徴、又は機能が、対象となる物品、製品、又は方法において任意の適合する組み合わせで実施されうることは読者により理解されるところであろう。詳細には、多くの任意構造、特徴、又は機能のこのような開示は、これらの構造、特徴又は機能の組み合わせのすべてを、互いの代替物として開示される構造、特徴、又は機能の場合を除いて開示するためのものでもあることは理解されたい。このような構造、特徴、又は機能が互いの代替物として開示される場合、これはこれらの代替物を互いの代用物として開示するものと理解されたい。
【0010】
「近位」及び「遠位」なる用語は、本明細書において、外科用器具のハンドル部分を操作する医師を基準として用いられる。「近位」なる用語は、医師に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上、また分かりやすさのため、「垂直」、「水平」、「上」、「下」といった空間的用語は、本明細書では、図面に対して使用される場合がある点は更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び/又は絶対的なものであることを意図するものではない。
【0011】
腹腔鏡下及び低侵襲の外科手術を行うための様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書で開示する様々な方法及び装置は、開放的外科手術と関連するものを含む多くの外科手術及び用途で用いられうる点は読者には直ちに理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、天然の開口部を通じて、組織に形成された切開又は穿刺穴を通じてなど、任意の方法で体内に挿入されうることを更に認識するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び長尺状シャフトを進めることが可能な作用通路を有するトロカールのようなアクセス装置を通じて挿入することもできる。
【0012】
同様の参照符号が複数の図を通じて同様の構成要素を示している図面に戻ると、
図1は、いくつかの固有の効果を実施することが可能な外科用器具10を示している。外科用ステープル留め器具10は、これに動作可能に取り付けられる、様々な形状及び大きさのエンドエフェクタ12を操作及び/又は作動させるように設計されている。
図1〜1Eにおいて、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタ12の下側ジョー13を形成する長尺状溝部材14を有している。長尺状溝部材14は、「移植式」ステープル留めカートリッジ30を支持するように構成され、またエンドエフェクタ12の上側ジョー15として機能するアンビル20を動作可能に支持している。
【0013】
長尺状溝部材14は、300 & 400シリーズ、17−4 & 17−7ステンレス鋼、チタンなどから作製されてもよく、離間した側壁16が形成されてもよい。アンビル20は、例えば、300 & 400シリーズ、17−4 & 17−7ステンレス鋼、チタンなどから作製されてもよく、内部に形成された複数のステープル成形ポケット23を有する、一般的に22として示される、ステープル成形下面を有しうる。
図1B〜1Eを参照されたい。更に、アンビル20は、近位方向に突出する二叉の傾斜アセンブリ24を有している。アンビルピン26が傾斜アセンブリ24の各側壁から突出して長尺状溝部材14の側壁16内の対応するスロット又は開口部18内に受容されており、長尺状溝部材14に対する可動又は枢動可能な取り付けが容易となっている。
【0014】
様々な形態の移植式ステープルカートリッジを、本明細書において開示される外科用器具とともに使用することができる。特定のステープルカートリッジ構成及び構造について、以下で更に詳細に述べる。しかしながら、
図1Aには、移植式ステープルカートリッジ30が示されている。ステープルカートリッジ30は、内部に未成形の金属ステープル32が支持されている、例えば、酸化再生セルロース(「ORC」)又は生体吸収性発泡材などの圧縮可能な止血材料で形成された本体部分31を有している。導入及び配置過程においてステープルが影響を受け、止血材料が活性化されることを防ぐため、カートリッジ全体を、生分解性フィルム38、例えば、商標名PDS(登録商標)で販売されるポリジオキサノンフィルム、又はポリグリセロールセバケート(PGS)フィルム、又はPGA(商品名Vicrylで販売されるポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25)、又は破裂するまでは不透過性であるPGA、PCL、PLA、PDSの複合材料で形成された他の生分解性フィルムでコーティング又は被覆することができる。ステープルカートリッジ30の本体31は、図示されるように、長尺状溝部材14内に取り外し可能に支持されるような大きさであり、これにより、アンビル20がステープルカートリッジ30と成形接触する際に、内部の各ステープル32が、アンビル内の対応するステープル成形ポケット23と整列される。
【0015】
使用時には、エンドエフェクタ12が標的組織に隣接して配置されたなら、エンドエフェクタ12を操作して、ステープルカートリッジ30の上面36と、アンビル20のステープル成形表面22との間に、標的組織を捕捉又はクランプ締めする。ステープル32は、アンビル20を長尺状溝部材14にほぼ平行な経路で動かし、ステープル成形表面22、より詳細にはその内部のステープル成形ポケット23を、ステープルカートリッジ30の上面36とほぼ同時に接触させることによって成形される。アンビル20がステープルカートリッジ30内に動き続けると、ステープル32の脚34がアンビル20の対応するステープル成形ポケット23と接触し、ステープル成形ポケット23は、ステープル脚34を折り曲げてステープル32を「B字型」に成形するように機能する。アンビル20が長尺状溝部材14に更に近づく運動により、ステープル32が更に圧縮され、所望の最終的に成形された高さ「FF」へと成形される。
【0016】
上記のステープル成形プロセスが、
図1B〜1Eに一般的に示されている。例えば
図1Bは、アンビル20と移植式ステープルカートリッジ30の上面36との間に標的組織「T」が位置した状態のエンドエフェクタ12を示している。
図1Cは、アンビル20の初期クランプ締め位置を例示し、アンビル20は標的組織「T」の上に閉じられて、アンビル20とステープルカートリッジ30の上面36との間で標的組織「T」をクランプ締めしている。
図1Dは、初期のステープル成形状態を示しており、アンビル20はステープルカートリッジ30を圧縮しはじめ、これによりステープル32の脚34は、アンビル20内のステープル成形ポケット23によって成形され始めている。
図1Eは、分かりやすくする目的でアンビル20が取り除かれた、標的組織「T」を貫通したその最終的な成形状態にあるステープル32を示している。ステープル32が成形され、標的組織「T」に締結された時点で、外科医がアンビル20を開位置へと動かすとエンドエフェクタ12が患者から引き抜かれる間、カートリッジ本体31及びステープル32は標的組織に固定されたままとなる。エンドエフェクタ12は、2つのジョー13、15が互いにクランプ締めされる際にすべてのステープルを同時に成形する。残りの「圧し潰された」本体材料31は、止血剤(ORC)及びステープル列補強部(PGA、PDS又は上記の他のいずれかのフィルム組成物38)の両方として機能する。更に、ステープル32は、成形時にカートリッジ本体31を離れることはないため、ステープル32が成形時に不適切に成形される可能性が最小に抑えられる。本明細書において使用する「移植式」なる用語は、ステープル以外に、ステープルを支持するカートリッジ本体の材料も患者の体内に留まり、最終的に患者の身体に吸収されうることを意味する。このような移植式ステープルカートリッジは、発射された後に全体がエンドエフェクタ内に位置したままである従来のカートリッジの構成とは区別される。
【0017】
様々な実現形態において、エンドエフェクタ12は、ハンドルアセンブリ100から突出する長尺状シャフトアセンブリ40と連結されるように構成される。エンドエフェクタ12(閉鎖時)及び長尺状シャフトアセンブリ40は、同様の断面形状を有してもよく、トロカール管又は別の形状のアクセス器具内の作業通路を動作可能に通過するようなサイズとすることができる。本明細書において使用する「動作可能に通過する」なる用語は、エンドエフェクタ及び長尺状シャフトアセンブリの少なくとも一部を通路又は管路の開口部を通じて挿入するか、又は通過させることができ、外科用ステープル留め手術を完了するために必要に応じて内部で操作することができることを意味する。エンドエフェクタ12のジョー13及び15は、閉位置にある場合に、概ね円形の横断面形状をエンドエフェクタに与えることができ、その形状により、エンドエフェクタが円形の通路/開口部を通り抜けることが容易となる。しかしながら、本発明のエンドエフェクタ及び長尺状シャフトアセンブリに、非円形の横断面形状を有するアクセス通路及び開口部を通過することができる他の横断面形状を与えることも考えられる。したがって、閉じたエンドエフェクタの横断面の全体的な大きさは、エンドエフェクタを通すための通路又は開口部の大きさと関連する。したがって、あるエンドエフェクタを例えば「5mmの」エンドエフェクタと呼ぶ場合があるが、これは、直径が少なくとも約5mmである開口部をそのエンドエフェクタが動作可能に通り抜けうることを意味する。
【0018】
長尺状シャフトアセンブリ40は、閉位置にあるエンドエフェクタ12の外径とほぼ同じ外径を有しうる。例えば、5mmのエンドエフェクタは、5mmの断面直径を有する長尺状シャフトアセンブリ40と連結することができる。しかしながら、本発明の詳細な説明を読み進めるにつれ、本発明は、異なるサイズのエンドエフェクタとともに効果的に使用されうる点が明らかとなろう。例えば、10mmのエンドエフェクタは、5mmの断面直径を有する長尺状シャフトと連結することができる。逆に、10mm以上のアクセス開口部又は経路が与えられる用途において、長尺状シャフトアセンブリ40は10mm(又はそれ以上)の断面直径を有してもよいが、5mm又は10mmのエンドエフェクタを作動させることも可能である。したがって、外側シャフト40は、これに取り付けられる閉じたエンドエフェクタ12の外径と同じか又はこれと異なる外径を有することができる。
【0019】
図に示されるように、長尺状シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からほぼ真っ直ぐ遠位方向に延びて長手方向軸A−Aを規定する。例えば、長尺状シャフトアセンブリ40は、約229〜406ミリメートル(9〜16インチ)の長さとすることができる。しかしながら、長尺状シャフトアセンブリ40は他の長さで与えられてもよく、又はその内部に関節を有してもよく、又は下記に詳しく述べるようにシャフト又はハンドルアセンブリの他の部分に対してエンドエフェクタ12の関節運動を容易にするような構成とすることができる。長尺状シャフトアセンブリ40は、ハンドルアセンブリ100からエンドエフェクタ12に延びる脊柱部材50を有している。エンドエフェクタ12の長尺状溝部材14の近位端は、そこから突出する一対の保持トラニオン17を有しており、保持トラニオン17は、エンドエフェクタ12を長尺状シャフトアセンブリ40と取り外し可能に連結することを可能にするために脊柱部材50の遠位端に設けられた対応するトラニオン開口部又はクレードル52に受容されるサイズとなっている。脊柱部材50は、例えば、6061又は7075アルミニウム、ステンレス鋼、チタンなどから作製することができる。
【0020】
ハンドルアセンブリ100は、組み立ての目的のために2以上の部品で作製されうるピストルグリップ型のハウジングを有している。例えば、図示されるハンドルアセンブリ100は、ポリマー又はプラスチック部材から成形又は他の方法で作製された、互いに嵌合するように設計された右側ケース部材102及び左側ケース部材を有している(図示せず)。このようなケース部材は、その内側に成形又は他の方法により形成されたスナップ機構、ペグ、及びソケットにより、かつ/又は接着剤、ねじなどによって互いに取り付けることができる。脊椎部材50はフランジ56が形成された近位端54を有している。フランジ56は、各ケース部材102、104から内側に突出する嵌合リブ108によって形成される溝106内に回転可能に支持されるような構成となっている。このような構成は、脊柱部材50のハンドルアセンブリ100への取り付けを促す一方で脊柱部材50がハンドルアセンブリ100に対して長手方向軸A−Aを中心として360°の経路で回転することを可能にするものである。
【0021】
図1に更に見られるように、脊柱部材50は、ハンドルアセンブリ100に回転可能に取り付けられた取り付けブッシング60を通過し、これによって支持されている。取り付けブッシング60は、ハンドルアセンブリ100のノーズ部分101をそれらの間に回転可能に受容するように構成された回転溝65を形成する近位フランジ62と遠位フランジ64とを有している。このような構成は、取り付けブッシング60がハンドルアセンブリ100に対して長手方向軸A−Aを中心として回転することを可能とするものである。脊柱部材50は、脊柱ピン66によって取り付けブッシング60に回転不能にピン留めされている。更に、取り付けブッシング60には回転ノブ70が取り付けられている。例えば、回転ノブ70は、取り付けブッシング60の一部を内部に受容するような大きさに構成された中空の取り付けフランジ部分72を有する。回転ノブ70は、例えば、ガラス又は炭素充填ナイロン、ポリカーボネート、Ultem(登録商標)などから作製されてもよく、また同様に脊柱ピン66によって取り付けブッシング60に取り付けられる。更に、内側に突出する保持フランジ74は、取り付けフランジ部分72に形成され、取り付けブッシング60に形成された径方向溝68内に延びるように構成されている。したがって、医師は、回転ノブ70を把持し、これをハンドルアセンブリ100に対して回転させることによって、脊柱部材50(及びこれに取り付けられたエンドエフェクタ12)を長手方向軸A−Aを中心として360°の経路で回転させることができる。
【0022】
アンビル20は、アンビルばね21及び/又は他の付勢機構によって開位置に維持されている。アンビル20は、一般的に109として示される発射システムによって、開位置から異なる閉位置又はクランプ締め位置及び発射位置へと選択的に動かすことができる。発射システム109は、「発射部材」110を有しており、これは異なる実施形態において、中空発射管110を含む。中空発射管110は、脊柱部材50上で軸方向に可動であり、したがって長尺状シャフトアセンブリ40の外部を形成する。発射管110は、ポリマー、又は他の好適な材料から作製されてもよく、発射システム109の発射ヨーク114に取り付けられる近位端を有しうる。例えば、発射ヨーク114は、発射管110の近位端にオーバーモールドすることができる。しかしながら、他の締結具機構を用いることもできる。
【0023】
図1に見られるように、発射ヨーク114は、ハンドルアセンブリ100内で軸方向に動くように構成された、支持カラー120内で回転可能に支持されうる。支持カラー120は、それぞれ、右側ケース部材及び左側ケース部材に形成されるフィンスロット内に摺動可能に受容されるようなサイズに構成された一対の横方向に延びるフィンを有している。したがって、支持カラー120は、ハンドルハウジング100内において軸方向に摺動可能である一方で、発射ヨーク114及び発射管110がこれに対して長手方向軸A−Aを中心として回転することを可能とする。本発明によれば、長手方向スロットが発射管110を通るように設けられていることにより、脊柱ピン66が内部を通じて脊柱部材50内に延びることを可能とする一方で、脊柱部材50上における発射管110の軸方向の移動を促す。
【0024】
発射システム109は更に、脊柱部材50上の発射管110の軸方向の運動を制御するように機能する発射トリガ130を有している。
図1を参照されたい。発射管110をこのように遠位方向に軸方向に移動させて発射のためにアンビル20と相互作用させることをここでは「発射運動」と称する。
図1に見られるように、発射トリガ130は枢動ピン132によってハンドルアセンブリ100に可動、又は枢動可能に連結されている。発射トリガ130を、非作動の「開」位置又は始点位置へとハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107から離れる方向に付勢するためにトーションばね135が利用されている。
図1に見られるように、発射トリガ130は、支持カラー120に可動に取り付けられた(ピン留めされた)発射リンク136に可動に取り付けられた(ピン留めされた)上側部分134を有している。したがって、始点位置(
図1)から、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107に隣接する終点位置に向かう発射トリガ130の運動によって、発射ヨーク114及び発射管110は遠位方向「DD」に動く。発射トリガ130の、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107から離れる方向への運動(トーションばね135の付勢による)により、発射ヨーク114及び発射管110は、脊柱部材50上で近位方向「PD」に動く。
【0025】
本発明は、異なるサイズ及び構成の移植式ステープルカートリッジとともに使用することができる。例えば、外科用器具10は、第1の発射アダプタ140とともに使用される場合、移植式ステープルカートリッジ30を支持する長さ約20mm(又は他の長さ)の5mmエンドエフェクタ12とともに使用することができる。このようなエンドエフェクタのサイズは、例えば、比較的微細な切開及び血管切断を行ううえで特に好適である。しかしながら、下記により詳細に述べるように、外科用器具10は、例えば、第1の発射アダプタ140を第2の発射アダプタと交換することにより、他の大きさのエンドエフェクタ及びステープルカートリッジとともに用いることもできる。更なる代替例として、長尺状シャフトアセンブリ40を、少なくとも1つの形状又はサイズのエンドエフェクタに取り付けられるように構成することもできる。
【0026】
次に、エンドエフェクタ12を脊柱部材50に着脱可能に連結する一方法について説明する。この連結プロセスは、長尺状溝部材14上の保持トラニオン17を、脊柱部材50のトラニオンクレードル52内に挿入することにより開始される。その後、外科医が、発射トリガ130を、ハウジングアセンブリ100のピストルグリップ107の方向に前進させ、発射管110及び第1の発射アダプタ140を、長尺状溝部材14の近位端部分47上で遠位方向に前進させるとトラニオン17がそれぞれのクレードル52内に保持される。トラニオン17上の第1の発射アダプタ140のこの位置は、本明細書において「連結位置」と称される。本発明は、エンドエフェクタ12が脊柱部材50に取り付けられた後、発射トリガ130を定位置にロックするために、エンドエフェクタロックアセンブリを有してもよい。
【0027】
より詳細には、エンドエフェクタロックアセンブリ160の一実施形態は、発射トリガ130の上側部分134内に可動に支持された保持ピン162を有する。上記に述べたように、発射管110は最初に、第1の発射アダプタ140がエンドエフェクタ12の保持トラニオン17を脊柱部材50のトラニオンクレードル52内に保持する連結位置へと、遠位方向に前進されなくてはならない。外科医は、発射トリガ130を始点位置からピストルグリップ107の方向に引くことによって、発射アダプタ140を連結位置へと遠位方向に前進させる。発射トリガ130が最初に作動されると、保持ピン162は、発射管110が第1の発射アダプタ140を連結位置まで前進させるまで遠位方向に動き、その時点で保持ピン162は、ケース部材内に形成されたロックキャビティ164内に付勢される。場合により、保持ピン162がロックキャビティ164に入るとき、ピン162は、耳に聞こえるような「カチッ」という音、又は他の音を生じてもよく、またエンドエフェクタ12が脊柱部材50に「ロックされた」という触覚的指示を外科医に与えることができる。加えて、外科医は、保持ピン162をロックキャビティ164から外れるように意図的に付勢しないかぎり、不注意によって発射トリガ130を作動し続けて、エンドエフェクタ12内でステープル32を成形し始めることはない。同様に、発射トリガ130が連結位置にある場合に外科医が発射トリガ130を解放する場合、発射トリガ130は保持ピン162によってその位置に保持されるために、発射トリガ130が始点位置に戻ってエンドエフェクタ12が脊柱部材50から解放することが防止される。
【0028】
本発明は、ハンドルアセンブリ100に枢動可能に取り付けられた発射システムロックボタン137を更に含みうる。一形態において、発射システムロックボタン137は、その遠位端に形成されたラッチ138を有し、ラッチ138は、発射解放ボタンが第1のラッチ位置にある場合に発射ヨーク114と係合する向きとなる。
図1に見られるように、ラッチばね139は、発射システムロックボタン137を第1のラッチ位置へと付勢するように機能する。異なる状況において、ラッチ138は、脊柱部材50上の発射ヨーク114の位置が、第1の発射アダプタ140がアンビル20上のクランプ締め傾斜面28を遠位方向へと前進して登り始める点と対応する点において、発射ヨーク114と係合するように機能する。第1の発射アダプタ140がクランプ締め傾斜面28を軸方向に前進して登ると、アンビル20は、そのステープル成形表面部分22がステープルカートリッジ30の上面36とほぼ平行となるような経路で動く点は理解されるであろう。
【0029】
エンドエフェクタ12が脊柱部材50と連結された後、発射システムロックボタン137を最初に押し込むことによってステープル成形プロセスが開始され、発射ヨーク114が脊柱部材50上で遠位方向に更に動き、最終的にアンビル20をステープルカートリッジ30に押し付ける。発射システムロックボタン137を押し込んだ後、外科医が発射トリガ130をピストルグリップ107の方に作動し続けることによって第1のステープルカラー140が、対応するステープル成形傾斜面29を登るように駆動され、アンビル20をステープルカートリッジ30内のステープル32と成形接触させる。発射システムロックボタン137は、外科医がプロセスを開始する準備が整うまで、ステープル32の不注意による成形を防止する。この実施形態では、発射トリガ130が更に作動されてステープル成形プロセスが開始されるのに先だって、外科医が発射システムロックボタン137を押し込まなくてはならない。
【0030】
外科用器具10は、それが望ましい場合には、単に組織ステープル留め装置として使用することができる。しかしながら、本発明は、一般的に170として示される組織切断システムも含みうる。少なくとも一形態において、組織切断システム170は、ナイフ前進トリガ200を作動することによってエンドエフェクタ12の近位端に隣接する非作動位置から作動位置へと選択的に進めることができるナイフ部材172を含む。ナイフ部材172は脊柱部材50内に可動に支持されて取り付けられるか、又は別の方法によりナイフロッド180から突出している。ナイフ部材172は、例えば、38HRC超の硬度(Rockwell硬度Cスケール)を有する420又は440ステンレス鋼から作製されてもよく、その遠位端174に形成され、アンビル20のスロット及びステープルカートリッジ30の中央に配置されたスロット33を通って摺動可能に延びてエンドエフェクタ12内でクランプ締めされた組織を切断するように構成された組織切断刃176を有している。ナイフロッド180は脊柱部材50を通って延び、ナイフ前進トリガ200に動作可能に取り付けられたナイフトランスミッションと駆動可能にインターフェースする近位端部分を有している。ナイフ前進トリガ200は発射トリガ130を作動させることなく枢動させるか又は他の方法で作動させることができるように枢動ピン132に取り付けられている。本発明によれば、枢動ピン132には第1のナイフギア192も取り付けられているため、ナイフ前進トリガ200の作動により第1のナイフギア192も枢動する。発射戻りばね202は、第1のナイフギア192とハンドルハウジング100との間に取り付けられて、ナイフ前進トリガ200を始点位置すなわち非作動位置に付勢する。
【0031】
ナイフトランスミッションは更に、第2のギアスピンドル上に回転可能に支持され、第1のナイフギア192と噛合した第2のナイフギア194を含んでいる。第2のナイフギア194は、第3のギアスピンドル上に支持された第3のナイフギア196と噛合している。第3のギアスピンドル195には第4のナイフギア198も支持されている。第4のナイフギア198は、ナイフロッド180の近位端の一連の環状ギア歯又はリングと駆動可能に係合するように構成されている。したがって、このような構成により、第4のナイフギア198がナイフロッド180を遠位方向「DD」又は近位方向「PD」に軸方向に駆動することが可能である一方で、発射ロッド180が第4のナイフギア198に対して長手方向軸A−Aを中心として回転することが可能である。したがって、外科医は、ナイフ前進トリガ200をハンドルアセンブリ100のピストルグリップ107の方向に引くことによって、発射ロッド180を軸方向に前進させ、最終的にナイフ部材172を遠位方向に前進させることができる。
【0032】
本発明は更に、発射トリガ130が完全な発射位置にまで引かれないかぎり、ナイフ部材172の前進を防止するナイフロックアウトシステム210を含んでいる。したがってこのような機構は、ステープルが最初に組織内に発射されるか又は成形されないかぎり、ナイフ前進システム170の作動を防止するものである。
図1に見られるように、ナイフロックアウトシステム210の異なる実現形態は、ハンドルアセンブリ100のピストルグリップ部分107内に枢動可能に支持されたナイフロックアウトバー211を含んでいる。ナイフロックアウトバー211は、発射トリガ130が完全に発射位置にある場合に発射トリガ130と係合するように構成された作動端部212を有している。更に、ナイフロックアウトバー211は、第1の切断ギア192のラッチロッド216に引っ掛かるように係合するように構成された保持フック214をその他端に有している。ナイフロックアウトバー211を「ロック」位置に付勢するためにナイフロックばね218が用いられており、保持フック214がラッチロッド216と係合した状態に維持されることにより、発射トリガ130が完全に発射位置にある場合を除いてナイフ前進トリガ200の作動が防止される。
【0033】
ステープルが標的組織内に「発射」(成形)された後、外科医が発射トリガ解放ボタン167を押し込むことで発射トリガ130がトーションばね135の付勢力により始点位置に戻ることが可能となり、これによりアンビル20はばね21の付勢力により開位置へと付勢される。開位置にある場合に、外科医は、移植式ステープルカートリッジ30及びステープル32を後ろに残してエンドエフェクタ12を引くことができる。エンドエフェクタが通路、作業通路などから挿入される用途では、外科医は、発射トリガ130を作動することによってアンビル20を閉位置に戻すことにより、経路又は作業通路からエンドエフェクタ12を引き抜くことができる。しかしながら、ステープルの発射の後に外科医が標的組織を切断することを望む場合、外科医はナイフ前進トリガ200を上記の要領で作動させて、標的組織を通じてナイフバー172をエンドエフェクタの端部まで押し込む。その後、外科医はナイフ前進トリガ200を解放することができ、これにより発射戻しばね202は、発射トランスミッションがナイフバー172を始点(非作動)位置に戻すことを可能とする。ナイフバー172が始点位置に戻った時点で、外科医はエンドエフェクタのジョー13、15を開いて移植式カートリッジ30を患者の体内で解放し、その後エンドエフェクタ12を患者から引き抜く。したがって、このような外科用器具は、比較的小さな作業通路及び通路を通じて挿入することができる小型の移植式ステープルカートリッジの使用を促進する一方で、外科医に、組織を切断せずにステープルを発射するか又は必要な場合にはステープルが発射された後に組織の切断も行う選択肢を提供するものである。
【0034】
本発明の様々な固有かつ新規の実施形態では、アンビルと接触成形するための実質的な固定位置にステープルを支持する圧縮可能なステープルカートリッジを使用する。アンビルは未成形ステープルに押し込まれるが、例えば、達成されるステープル成形の程度はアンビルがどこまでステープルに押し込まれるかによって決まる。このような構成は、外科医がステープルに作用する成形圧力又は発射圧力の大きさを調節することで最終的に成形されるステープルの高さを変えることを可能とするものである。本発明では、外科用ステープル留め機構は、ステープルをアンビルの方向に持ち上げることができるステープル駆動要素を使用することができる。これについては下記に更に詳述する。
【0035】
場合により、上記に関して可動アンビルに加えられる発射運動の量は、発射トリガの作動の程度によって決まる。例えば、外科医が部分的にのみ成形されたステープルを得ることを望む場合、発射トリガは、ピストルグリップ107に向かって内側に部分的にのみ押し込まれる。更なるステープルの成形を行うには、外科医が単純に発射トリガを更に押すと、これによりアンビルは、ステープルと接触成形するように更に駆動される。本明細書において使用する「接触成形する」なる用語は、ステープル成形表面又はステープル成形ポケットがステープル脚の端部と接触し、脚を成形された位置へと成形又は曲げはじめていることを意味する。ステープル成形の程度とは、ステープル脚がどれだけ折り畳まれたかを指し、ひいては、上記のステープル成形高さと関係する。発射運動が加えられる際、アンビル20がステープルカートリッジとほぼ平行な関係で移動するため、各ステープルはほぼ同時に、ほぼ同じ成形高さで成形される点は、当業者であれば更に理解されるであろう。
【0036】
図2及び
図3は、ナイフバー172’を収容するように構成された以下の相違点を除けば、上記のエンドエフェクタ12’と同様の別のエンドエフェクタ12”を示している。ナイフバー172’は、ナイフロッド180に連結されるか又はこれから突出し、それ以外の点においては、ナイフバー172に関して上記に述べた要領で操作される。しかしながら、本実施形態では、ナイフバー172’は、エンドエフェクタ12”の全長を横断するだけの充分な長さであり、したがって別個の遠位ナイフ部材はエンドエフェクタ12”では用いられていない。ナイフバー172’は、その上に形成された上側横断部材173’及び下側横断部材175’を有している。上側横断部材173’は、アンビル20”の対応する長尺状スロット250を摺動可能に横断する方向に向けられ、下側横断部材175’は、エンドエフェクタ12”の長尺状溝部材14”の長尺状スロット252を横断する方向に向けられている。アンビル20”内には離脱スロット(図示せず)も設けられ、これによりナイフバー172’が薄いエンドエフェクタ12”とともに終点位置にまで駆動されると、上側横断部材173’は対応するスロットを通って降下し、アンビル20”が開位置へと動いてステープル留め及び切断された組織から離脱する。アンビル20”は、その他の点においては上記のアンビル20と同じであってよく、長尺状溝部材14”はその他の点においては上記の長尺状溝部材14と同じであってよい。
【0037】
これらの実施形態では、アンビル20”は、ばね又は他の開放機構(図示なし)によって、完全に開いた位置(
図2)に付勢される。アンビル20”は、上記の要領により、発射アダプタ150の軸方向の移動によって、開位置と、完全にクランプ締めされた位置との間で動かされる。発射アダプタ150が完全にクランプ締めされた位置(
図3)まで前進させられた時点で、外科医は更にナイフバー172”を上記の要領で遠位方向に前進させることができる。外科医がエンドエフェクタを、組織を操作するための把持装置として使用する場合、発射アダプタは近位方向に動かされて、アンビル20”が長尺状溝部材14”から離れる方向に動くことが可能となる(
図4に破線で表される)。この実施形態では、ナイフバー172”が遠位方向に動くと、上側横断部材173’及び下側横断部材175’がアンビル20”及び長尺状溝部材14”を一緒に引くことにより、ナイフバー172”がエンドエフェクタ12”を通じて遠位方向に前進するのにしたがって、所望のステープル成形が行われる。
図5を参照されたい。したがって、この実施形態では、ステープル成形は組織切断と同時に行われるが、ステープル自体は、ナイフバー172”が遠位方向に駆動される際に順次成形されてもよい。
【0038】
本発明の様々な外科用ステープルカートリッジ及び外科用器具の固有かつ新規な特徴は、これらのカートリッジの各ステープルが1又は2以上の直線状又は非直線状の列に配列されることを可能にする。複数のこのようなステープル列は、内部を通じて組織切断部材を受容するためにステープルカートリッジ内の中央に配置された長尺状スロットの両側に設けることができる。一構成において、例えば、1つの列内の各ステープルは、隣接するステープル列内の各ステープルとほぼ平行であってよいが、各ステープルからオフセットされていてもよい。更なる代替例として、1又は2以上のステープルの列は、非直線的なものでもよい。すなわち、あるステープルの列内の少なくとも1つのステープルの基部が、同じステープル列内の他のステープルの基部に対してほぼ横断方向となる軸に沿って延びてもよい。例えば、以下でより詳細に検討するように、代替例として長尺状スロットの両側のステープル列はジグザグの外観を有してもよい。このような非直線状のステープル配列は、従来のステープルカートリッジにおいて用いられる様々な直線状ステープル配列よりも少ないステープルでより良好な組織締結の結果を得ることできる。
【0039】
図6は、エンドエフェクタの実施形態612’における外科用ステープルカートリッジの実施形態900の使用を示している。
図6及び
図7に見られるように、外科用ステープルカートリッジ900の実施形態は、近位端903を通じて遠位端905に隣接する領域まで延びる、中央に配置された長尺状スロット904を有するカートリッジ本体902を有している。長尺状スロット904は、上記の要領による組織切断操作において、ナイフ本体がその内部を通って軸方向に動くことが可能であるように構成されている。カートリッジ本体902は、例えば、酸化再生セルロース(「ORC」)、又は例えば、PGA(商品名Vicrylで販売されるポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PDS(ポリジオキサノン)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25)、若しくはPGA、PCL、PLA及びPDSの複合物から作製される生体吸収性発泡材などの圧縮可能な止血材料で構成され、この中に未成形のステープル922の列920、930が支持される。しかしながら、カートリッジ本体902は、所望の向きで未成形ステープル922を支持するように機能する他の材料から作製されてもよく、それによりこれらの材料は、アンビル910’が材料と接触する際に圧縮されうる。ステープルカートリッジ900は移植可能であり、ステープル留め手術が完了した後に、ステープル留めされた組織に取り付けられたまま残置される。ステープル922が影響を受け、止血材料が導入及び配置課程において活性化されることを防ぐため、カートリッジ900全体を、生分解性フィルム906、例えば、商品名PDS(登録商標)で販売されるポリジオキサノンフィルム、又はポリグリセロールセバケート(PGS)フィルム、又は例えば、PGA(商標Vicrylの商品名で販売されるポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA、若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25)、又はPGA、PCL、PLA、PDSの複合物(破裂するまでは不透過性である)から作製された他の生分解性フィルムでコーティング又は被覆することができる。ステープルカートリッジ900のカートリッジ本体902は、エンドエフェクタ612’の長尺状溝部材内に着脱可能に支持されるようなサイズに構成されている。
【0040】
図6、10及び11では、外科用ステープルカートリッジ900は、長尺状スロット904の一方の横方向側部907のステープル922の第1の列920、及び長尺状スロット904の他方の横方向側部909のステープル922の第2の列930を動作可能に支持している。ステープル922は、例えば、チタン、チタン合金(例えば、6AI−4Vチタン、3al−2.5Vチタン)、ステンレス鋼などの金属材料で作製することができ、ステープル基部924及びそこから突出する2つの起立したステープル脚926を有している。各ステープル脚926は、上部に形成された組織貫通先端部928を有しうる。ステープル922の第1の列920において、少なくとも1つのステープル922のステープル基部924は、別のステープル922のステープル基部と重なり合っている。各ステープル922のステープル基部924は、第1のステープルの列920の各端部の最後のステープル922の基部924を除き、2個の隣接するステープル922のステープル基部924と重なり合うことが好ましい。
図10を参照されたい。したがって、第1のステープルの列920は、ほぼ非直線状の形状を有している。より詳細には、上から見た場合に、第1のステープルの列920はほぼジグザグの外観を有している。
【0041】
図9に見られるように、アンビル90は、2つの連続した長手方向のステープル成形ポケット912を有しており、そのそれぞれが、ステープル922の第1の列920の形状に対応したほぼジグザグの形状を有していることにより、アンビル910が各ステープル922と成形接触させられる際に、その脚926は
図11に示されるように成形されることになる。したがって、1つのステープルの遠位の脚は、長手方向の次のステープルの近位の脚と同じポケットを共有する。このような構成は、ステープル同士が相互作用する(例えば、互いの上に折り畳まれる)点にまで、より密度の高いポケットパターンを可能とするものである。従来のステープルポケットの構成では、一般的に、1つのポケットの群から次の群まで、0.13〜0.38mm(0.005〜0.015インチ)の金属/間隔が存在しなければならない。しかしながら、本発明のこの実施形態では、例えば、1つのステープルが次のステープルと嵌まり合うことから、例えば、0〜0.5mm(0〜0.02インチ)の干渉/重なり合い(ほぼ−0.5mm(−0.02”))の間隔の構成を有している。このような構成では、同じ空間内に15〜30%多いステープルを配置することが可能となる。更に、ステープル同士が連結される場合、複数の横方向のステープル列を設ける必要性が小さくなる。従来の構成では、一般的に組織切断線の両側に3つの列を用いて、血液が通過しうる開放経路が存在することを防止している。連結されたステープルの列では、血液が通過しうる経路が残る可能性はより低くなる。本発明の様々な連結ステープル機構によって提供される別の明らかな利点は、ステープルの列を引き裂いて開くために必要な力の量に関する「破裂強度」の向上に関するものである。
【0042】
別のステープル成形ポケットの構成は、共通のステープル成形ポケットを含むことができる。本明細書において使用する用語「共通のステープル成形ポケット」とは、成形される各ステープルの各脚に対して別個の成形ポケットが設けられた従来のアンビルの設計と異なり、1個の成形ポケットによって単一のステープル列内のすべてのステープルを成形することが可能であることを意味する。
【0043】
図12は、基部924’が、基部924’同士のより緊密な重なり合いを促すオフセット部分929を有する更に別のステープルの実施形態922’を示している。上記に述べたように、ステープルカートリッジ900は、長尺状スロット904の第2の横方向側部909に支持されたステープル922の第2の列930を有している。ステープル922の第2の列930は、ステープル922の第1の列920とほぼ同様である。したがって、アンビル910は、ステープルの第2の列930と成形接触するためにステープルの第2の列930と対応した第2の共通ステープル成形ポケット912を有している。しかしながら、代替例では、ステープル922の第2の列930は、ステープルの第1の列920と、形状、及び場合によりステープルの数が異なってもよい。
【0044】
図8は、内部に支持されたステープル922の列920’、930’を除き、上記のステープルカートリッジ900とほぼ同様である外科用ステープルカートリッジ900’を示している。例えば、この実施形態では、ステープル922の列920’は、少なくとも1つのステープル基部924の基部軸S−Sが、少なくとも1つの他の隣接するステープル922のステープル基部924の基部軸S−Sに対してほぼ横断方向となるようにして互いに配置されている。ステープルのこのような所定のパターンは、上から見た場合にほぼジグザグの配列を有している。
図13では、ステープル922の各基部924は更に、図示されるように基部924を覆ってオーバーモールドされた基部支持部材927を有している。基部支持部材927は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン「PEEK」などの非吸収性プラスチック、又はポリグリコール酸「PGA」、ポリ乳酸「PLA」又は「PLLA」、ポリジオキサノン「PDS」、PCL(ポリカプロラクトン)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(ポリグレカプロン25、商品名Monocrylで販売されるもの)、若しくはPGS、PDS、PLA、PGA及びPCLの様々な複合混合物などの吸収性プラスチックから作製することができる。基部支持部材927は、ステープル自体を重なり合わせることなく、ステープル間の連結を促進する。したがって、このような構成によれば、ステープルの脚が互いに重なり合うことなく、「B」字形、又は反転した「W」字形の形状を形成することができる。しかしながら、各クラウンは、基部支持部材によって連結されるため、重なり合ったステープルと同様に機能する。このような構成によれば、組み合わされたポケットが、各脚に対して2つの別個の経路を有することができる。
【0045】
図14は、ステープルの列920”を用いたものであり、この場合、隣接したステープル922の脚926同士は、成形又は別の方法でこれに取り付けられたカップラ部分929によって互いに連結されている。各カップラ部分929は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン「PEEK」、又はポリグリコール酸「PGA」、ポリ乳酸「PLA」又は「PLLA」、ポリジオキサノン「PDS」、PCL(ポリカプロラクトン)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(ポリグレカプロン25、商品名Monocrylで販売)、若しくはPGS、PDS、PLA、PGA及びPCLの様々な合成混合物、などの吸収性プラスチックから作製することができる。このようなステープル列920”は、上から見た場合、ほぼジグザグの外観を有している。以上、異なる外科用ステープルカートリッジの実施形態900、900’について、エンドエフェクタ612’との使用に関連して説明したが、ステープル留めカートリッジ900、900’は、本明細書において上記に述べた他の様々なエンドエフェクタ及び外科用器具とともに効果的に使用することが可能であり、アンビルが動いてステープルと成形接触する際に所望の量のステープル成形を実現するためにこれらの器具のアンビルに適切なステープル成形ポケット機構が設けられる点は理解されるであろう。
【0046】
図15及び
図16は、外科用器具10の長尺状溝部材14内に支持された別の外科用ステープルカートリッジ940の実施形態を示している。外科用ステープルカートリッジ940は、その内部を通じて少なくとも部分的に延びる、中央に配置された長尺状スロット944を有するカートリッジ本体942を有している。長尺状スロット944は、上記の要領による組織切断操作において、外科用器具10のナイフ本体が内部を通って軸方向に動くことができるように構成されている。カートリッジ本体942は、未成形ステープル922の列946、948、950、952が内部に支持された、上記又は下記の種類の酸化再生セルロース(「ORC」)又は生体吸収性発泡材など、圧縮可能な止血材料からなる。ステープル922が影響を受け、止血材料が導入及び配置課程において活性化されることを防ぐため、カートリッジ940全体を、生分解性フィルム954、例えば、商品名PDS(登録商標)で販売されるポリジオキサノンフィルム、又はポリグリセロールセバケート(PGS)フィルム、又は例えば、PGA(商品名Vicrylの商標名で販売されるポリグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA、若しくはPLLA(ポリ乳酸)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PGCL(商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25)、又はPGA、PCL、PLA、PDSの複合物(破裂するまでは不透過性である)から作製される他の生分解性フィルムでコーティング又は被覆することができる。
【0047】
図15では、カートリッジ940は、カートリッジ本体942に連結されたカートリッジ支持部材960を更に有している。カートリッジ支持部材960は、例えば、チタン、ステンレススチール、アルミニウム、これらの合金などの剛性材料から作製されてもよく、かつカートリッジ本体942内に部分的に埋め込まれてもよい。カートリッジ支持部材960は、例えば、フィルム954によって定位置に保持されてもよい。また、限定的な接着が望ましい場合には、2つの構成要素を互いに「接着」するためにシアノアクリレートを散発的に使用することもできる。更なる代替例として、カートリッジ本体942は、加熱してカートリッジ支持部材960に「溶接」又は「融着」することができる。カートリッジ支持部材960は、長尺状溝部材14と嵌合するようにカートリッジ本体942の底面の少なくとも一部を形成している。カートリッジ支持部材960は、カートリッジ支持部材960を長尺状溝部材14に解放可能に連結するためにそこから突出した1つ又は2つ以上のスナップ機構962を有している。カートリッジ支持部材960を長尺状溝部材14に解放可能に連結するために他の形態のスナップ機構/締結機構を用いることもできる。
【0048】
カートリッジ支持部材960には一連の支持隆起部964、966、968、970、972、974、976が形成されているため、
図15に示されるように、ステープルの列946、948、950、952のステープル922の基部924に一定の横方向の支持が与えられる。このため、支持隆起部はステープル列とほぼ同じ範囲に拡がっている。
図17は、ステープル922に更なる横方向の支持を与えるために各支持隆起部964、966、968、970、972、976から突出した起立フィン部分978、979、980、981、982、983を含む点を除いて、カートリッジ940とほぼ同様の別のステープルカートリッジ実施形態940’を示している。フィン部分は、カートリッジ支持部材960と一体に形成されてもよく、カートリッジの高さの約1/2以下の高さを有しうる。したがって、例えば、発泡材を支持する起立機構は、発泡材の最大圧縮高さよりも上方にまで延びることはない。したがって、例えば、発射される際にその元の高さの1/3にまで圧縮するようにカートリッジが設計されている場合、フィンは、非圧縮高さの66%から非圧縮高さの10%の範囲に及ぶ。
【0049】
使用時には、上記の要領でステープル922がアンビル20との接触によって成形された時点で、アンビル20が開かれ、エンドエフェクタ12がステープル留めされた組織から引き抜かれる。エンドエフェクタ12がステープル留めされた組織から引き抜かれる際、カートリッジ本体942は、ステープル留めされた組織に締結されたままであり、その後、カートリッジ支持部材960から分離され、カートリッジ支持部材960は長尺状溝部材14と連結されたままとなる。カートリッジ支持部材960は、カートリッジ本体942を構成する材料の色及び長尺状溝部材14の色とは異なる色を有している。このような構成は、エンドエフェクタ内にステープルカートリッジが存在しないことを示す、容易に認識可能な指示を外科医に与えるものである。したがって、外科医が、誤って、始めに新しいステープルカートリッジをエンドエフェクタ内に置かずにエンドエフェクタを再挿入/使用することがなくなる。そのためには、外科医は、カートリッジ支持部材960のスナップ機構を長尺状溝部材14から単純に外すことで、新しいステープルカートリッジ940のカートリッジ支持部材960を内部に配置することが可能となる。以上、ステープルカートリッジ940、940’を、外科用器具10との関連において説明したが、これらのカートリッジは、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に開示される他の外科用器具の多くとともに効果的に使用することができる点は理解されるであろう。
【0050】
本発明によれば、ステープルカートリッジは、カートリッジ本体、及びカートリッジ本体内に格納された複数のステープルを含みうる。使用時には、ステープルカートリッジを手術部位に導入し、治療される組織の一方の側に配置することができる。更に、ステープル成形アンビルを組織の反対側に配置することができる。アンビルは第1のジョーにより保持されてよく、ステープルカートリッジは第2のジョーによって保持されてよく、第1のジョー及び/又は第2のジョーは他方の方向に動くことができる。ステープルカートリッジ及びアンビルを組織に対して配置した時点で、ステープルをステープルカートリッジ本体から発射することができ、ステープルは組織を貫通してステープル成形アンビルと接触することができる。ステープルがステープルカートリッジ本体から配備された時点で、ステープルカートリッジ本体を手術部位から引き抜くことができる。ステープルカートリッジ又はステープルカートリッジの少なくとも一部はステープルとともに移植することができる。例えば、下記により詳細に述べるように、ステープルカートリッジは、アンビルが開位置から閉位置へと動く際、アンビルによって圧縮、圧壊、及び/又は圧潰されうるカートリッジ本体を有しうる。カートリッジ本体が圧縮、圧壊及び/又は圧潰される際、カートリッジ本体内に配置されたステープルは、アンビルによって変形される。あるいは、ステープルカートリッジを支持するジョーが、アンビルの方向に閉位置に動いてもよい。いずれの場合にも、ステープルは少なくとも部分的にカートリッジ本体内に配置された状態で変形されうる。特定の場合では、ステープルはステープルカートリッジから射出されずともよく、他の場合では、ステープルはカートリッジ本体の一部とともにステープルカートリッジから射出されてもよい。
【0051】
次に
図18A〜18Dを参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1000などの圧縮可能なステープルカートリッジは、圧縮可能な移植式カートリッジ本体1010、及び、更に、圧縮可能なカートリッジ本体1010内に配置された複数のステープル1020を含みうるが、
図18A〜18Dでは、1つのステープル1020のみが示されている。
図18Aは、ステープルカートリッジ支持体又はステープルカートリッジ溝部材1030によって支持されたステープルカートリッジ1000を示しており、ステープルカートリッジ1000は非圧縮状態で示されている。このような非圧縮状態では、アンビル1040は、組織Tと接触してもしなくてもよい。使用時には、アンビル1040は、開位置から動いて
図18Bに示されるように組織Tと接触し、組織Tをカートリッジ本体1010に押しつけて配置することができる。再び
図18Bを参照すると、アンビル1040は、組織Tをステープルカートリッジ本体1010の組織接触表面1019に押しつけて配置することができるが、ステープルカートリッジ本体1010は、この時点では圧縮力又は圧力を(受けたとしても)ほとんど受けず、ステープル1020は未成形又は非発射状態に留まりうる。
図18A及び
図18Bに示されるように、ステープルカートリッジ本体1010は、1又は2以上の層を含んでもよく、ステープル1020のステープル脚1021がこれらの層を貫通して上方に延びることができる。カートリッジ本体1010は、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013を有してよく、第2の層1012は、第1の層1011と第3の層1013及び第4の層1014との間に配置することができ、第3の層1013は、第2の層1012と第4の層1014との間に配置することができる。ステープル1020の基部1022は第4の層1014のキャビティ1015内に配置され、ステープル脚1021は基部1022から第4の層1014、第3の層1013、及び第2の層1012を貫通して上方に延びることができる。必要に応じて、各変形可能な脚1021は例えば鋭い先端部1023のような先端部を有してもよく、先端部は例えばステープルカートリッジ1000が非圧縮状態にある場合には第2の層1012内に位置しうる。例えば、先端部1023は、第1の層1011内にかつ/又は第1の層1011を貫通して延びない場合もあり、先端部1023は、ステープルカートリッジ1000が非圧縮状態にある場合には組織接触表面1019を貫通して突出しなくともよい。ステープルカートリッジが非圧縮状態にある場合、鋭い先端部1023は、第3の層1013及び/又は他の任意の適当な層内に位置してもよい。あるいは、ステープルカートリッジのカートリッジ本体は、例えば4層よりも少ないか、又は4層よりも多い任意の適当な数の層を有してもよい。
【0052】
必要に応じて、下記により詳細に述べるように、第1の層1011は、バットレス材料及び/又はプラスチック材料、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)で構成することができ、第2の層1012は、生体吸収性発泡材料及び/又は圧縮可能な止血材料、例えば、酸化再生セルロース(ORC)で構成することができる。必要に応じて、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013、及び第4の層1014の1又は2以上が、ステープルカートリッジ本体1010内部にステープル1020を保持することができ、更に、各ステープル1020を互いに整列された状態に維持することができる。第3の層1013は、ステープル1020のステープル脚1021を互いに対して定位置に保持するように構成することが可能なバットレス材料又は比較的非圧縮性又は非弾性の材料で構成することができる。更に、第3の層1013の両側に配置される第2の層1012及び第4の層1014は圧縮可能な発泡材又は弾性材料で構成される場合もあるが、ステープル1020を安定化させるか又はその動きを低減させることができる。ステープル脚1021のステープル先端部1023は、その一部が第1の層1011内に埋め込まれてもよい。例えば、第1の層1011及び第3の層1013は、協働してしっかりとステープル脚1021を定位置に保持するように構成することができる。第1の層1011及び第3の層1013はそれぞれ、生体吸収性プラスチックのシート、例えば、商品名Vicrylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、及び/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物で構成することができ、第2の層1012及び第4の層1014はそれぞれ、少なくとも1種類の止血材料又は薬剤で構成することができる。
【0053】
第1の層1011は圧縮性を有するものでよく、第2の層1012は第1の層1011よりも大幅に高い圧縮性を有しうる。例えば、第2の層1012は、第1の層1011の約2倍の圧縮性、約3倍の圧縮性、約4倍の圧縮性、約5倍の圧縮性、及び/又は約10倍の圧縮性を有しうる。別の言い方をすると、第2の層1012は、所定の力によって第1の層1011の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍の量で圧縮しうる。第2の層1012は、第1の層1011の約2倍〜約10倍の圧縮性を有しうる。第2の層1012は、内部に複数の空気空間が画定されてもよく、第2の層1012の空気空間の量及び/又は大きさは、第2の層1012の所望の圧縮性を与えるために調節することができる。上記と同様、第3の層1013が圧縮性を有してもよいが、第4の層1014は第3の層1013よりも大幅に高い圧縮性を有するものとすることができる。例えば、第4の層1014は、第3の層1013の約2倍の圧縮性、約3倍の圧縮性、約4倍の圧縮性、約5倍の圧縮性、及び/又は約10倍の圧縮性を有しうる。別の言い方をすると、第4の層1014は、所定の力によって第3の層1013の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、及び/又は約10倍の量で圧縮しうる。第4の層1014は、第3の層1013の、約2倍〜約10倍の圧縮性を有しうる。第4の層1014は、内部に複数の空気空間が画定されてもよく、第4の層1014の空気空間の量及び/又は大きさは、第4の層1014の所望の圧縮性を与えるために調節することができる。様々な状況において、カートリッジ本体、又はカートリッジ本体層の圧縮性は、圧縮率(すなわち、所定量の力によって層が圧縮される距離)によって表すことができる。例えば、高い圧縮率を有する層は、その層に作用する所定量の圧縮力によって、より低い圧縮率を有する層と比較してより大きな距離だけ圧縮する。すなわち、第2の層1012は、第1の層1011よりも高い圧縮率を有しうるものであり、同様に第4の層1014は、第3の層1013よりも高い圧縮率を有しうる。第2の層1012及び第4の層1014は、同じ材料で構成されてもよく、同じ圧縮率を有してもよい。第2の層1012及び第4の層1014は、異なる圧縮率を有する材料で構成することもできる。同様に第1の層1011及び第3の層1013は、同じ材料で構成されてもよく、同じ圧縮率を有してもよい。第1の層1011及び第3の層1013は、異なる圧縮率を有する材料で構成することもできる。
【0054】
図18Cに示されるように、アンビル1040が閉位置に動くと、アンビル1040は組織Tと接触し、組織T及びステープルカートリッジ1000に圧縮力を加えることができる。このような状況では、アンビル1040は、カートリッジ本体1010の上面又は組織接触表面1019をステープルカートリッジ支持体1030の方向に下方に押すことができる。ステープルカートリッジ支持体1030は、カートリッジ支持表面1031を有してよく、カートリッジ支持表面1031は、ステープルカートリッジ1000がカートリッジ支持表面1031とアンビル1040の組織接触表面1041との間で圧縮される際に、ステープルカートリッジ1000を支持するように構成することができる。アンビル1040によって加えられる圧力により、カートリッジ本体1010が圧縮され、アンビル1040がステープル1020と接触することができる。より詳細には、カートリッジ本体1010の圧縮、及び組織接触表面1019の下方への移動により、ステープル脚1021の先端1023がカートリッジ本体1010の第1の層1011を貫通し、組織Tを貫通して、アンビル1040の成形ポケット1042内に入ることができる。カートリッジ本体1010が、アンビル1040によって更に圧縮されると、先端部1023は成形ポケット1042を画定する壁部と接触し、その結果、脚1021は例えば
図18Cに示されるように、変形するか又は内側に湾曲することができる。やはり
図18Cに見られるように、ステープル脚1021が変形すると、ステープル1020の基部1022は、ステープルカートリッジ支持体1030と接触するか又はこれによって支持されうる。必要に応じて、下記により詳細に述べるように、ステープルカートリッジ支持体1030は、ステープル1020が変形される際にステープル1020又は少なくともステープル1020の基部1022を支持するように構成することができる、例えばステープル支持溝、スロット又はトラフ1032のような複数の支持機構を有することができる。やはり
図18Cに示されるように、第4の層1014のキャビティ1015は、ステープルカートリッジ本体1010に加えられる圧縮力の結果として圧潰しうる。キャビティ1015に加えて、ステープルカートリッジ本体1010は、例えば空間1016のような1つ又は2つ以上の空間を更に有してもよく、こうした空間は、内部にステープルの一部分が配置されてもされなくてもよく、カートリッジ本体1010が圧潰するように構成することができる。キャビティ1015及び/又は空間1016は、キャビティ及び/又は壁部を画定する壁が下方に撓んでカートリッジ支持表面1031と接触し、かつ/又はキャビティ及び/若しくは空間の下に位置するカートリッジ本体1010の層と接触するようにして圧潰するように構成することができる。
【0055】
図18Bと
図18Cとを比較すると、第2の層1012及び第4の層1014が、アンビル1040によって加えられた圧縮圧力によって大きく圧縮されていることがはっきりと分かる。第1の層1011及び第3の層1013も同様に圧縮されていることは認識されるであろう。アンビル1040がその閉位置に動かされると、アンビル1040は、組織接触表面1019をステープルカートリッジ支持体1030の方向に下方に押すことによって、カートリッジ本体1010を更に圧縮し続けることができる。
図18Dに示されるように、カートリッジ本体1010が更に圧縮されると、アンビル1040はステープル1020をその完全に成形された形状へと変形させることができる。
図18Dを参照すると、各ステープル1020の脚1021は、各ステープル1020の基部1022の方向に下方に変形されることによって、変形可能な脚1021と基部1022との間に、組織Tの少なくとも一部、第1の層1011、第2の層1012、第3の層1013、及び第4の層1014を捕捉することができる。
図18Cと
図18Dとを比較すると、第2の層1012及び第4の層1014が、アンビル1040によって加えられた圧縮圧力によって更に大きく圧縮されていることが更にはっきりと分かる。
図18Cと
図18Dを比較すると、第1の層1011及び第3の層1013も同様に更に圧縮されていることが認識されるであろう。ステープル1020が完全に、又は少なくとも充分に成形された後、アンビル1040を組織Tから離れる方向に持ち上げると、ステープルカートリッジ1030はステープルカートリッジ1000から離れる方向に動くか、かつ/又はステープルカートリッジ1000から分離しうる。
図18Dに示されるように、上記の結果として、カートリッジ本体1010は、ステープル1020とともに移植することができる。様々な状況において、移植されたカートリッジ本体1010は、ステープルの列に沿って組織を支持することができる。特定の状況において、移植されたカートリッジ本体1010内に含まれる止血剤及び/又は他の任意の適当な治療用薬剤は、時間の経過とともに組織を治療することができる。上記のように、止血剤が、ステープル留め及び/又は切開された組織の出血を低減させる一方で、結合剤又は組織接着剤は、時間の経過とともに組織に強度を与えることができる。移植されたカートリッジ本体1010は、例えば、ORC(酸化再生セルロース)、タンパク質マトリックス、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの材料で構成することができる。特定の状況において、カートリッジ本体1010は、手術部位における感染の可能性を低減させることが可能な、例えばコロイド銀及び/又はトリクロサンのような抗生物質及び/又は抗菌物質を含むことができる。
【0056】
カートリッジ本体1010の各層は、互いに結合されてもよい。例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤を使用して、第2の層1012を第1の層1011と接着し、第3の層1013を第2の層1012と接着し、第4の層1014を第3の層1013と接着することができる。図示はしないが、カートリッジ本体1010の各層が、連結機械機構によって互いに結合されてもよい。例えば、第1の層1011及び第2の層1012はそれぞれ、例えば、舌部及び溝部機構及び/又はあり継手機構などの対応した連結機構を有することができる。同様に、第2の層1012及び第3の層1013がそれぞれ、対応した連結機構を有してもよく、第3の層1013及び第4の層1014がそれぞれ、対応した連結機構を有してもよい。図示はしないが、ステープルカートリッジ1000は、例えば、カートリッジ本体1010の1つ又は2つ以上の層を貫通して延びうる1つ又は2つ以上のリベットを有してもよい。例えば、各リベットは、第1の層1011と隣接して配置される第1の端部又はヘッド、及びこのリベットの第2の端部に組み付けられるか又は第2の端部によって形成されうる、第4の層1014と隣接して配置される第2のヘッドを有しうる。カートリッジ本体1010の圧縮可能な性質により、リベットはカートリッジ本体1010を圧縮することができ、これにより、リベットのヘッドは、例えば、組織接触表面1019及び/又はカートリッジ本体1010の底面1018に対して陥凹することができる。例えば、リベットは、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの生体吸収性材料で構成することができる。カートリッジ本体1010の各層は、内部に含まれるステープル1020以外によって互いに結合されなくてもよい。例えば、ステープル脚1021とカートリッジ本体1010との摩擦嵌合によってカートリッジ本体1010の各層を一体に保持することができ、ステープルが成形された時点で各層はステープル1020内に捕捉されうる。ステープル脚1021の少なくとも一部が、ステープル1020とカートリッジ本体1010との間の摩擦力を大きくすることができる非平坦化表面又は非平坦化コーティングを有してもよい。
【0057】
上記のように、外科用器具は、ステープルカートリッジ1030を含む第1のジョーと、アンビル1040を含む第2のジョーとを有しうる。必要に応じて、下記により詳しく述べるように、ステープルカートリッジ1000は、ステープルカートリッジ支持体1030と係合する結果、ステープルカートリッジ1000をステープルカートリッジ支持体1030に解放可能に保持するように構成することができる1つ又は2つ以上の保持機構を含んでもよい。ステープルカートリッジ1000は、例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤によってステープルカートリッジ支持体1030と接着することができる。使用時には、少なくとも1つの状況、特に腹腔鏡及び/又は内視鏡手術において、例えば、第1及び第2のジョーをトロカールに通して手術部位に挿入することができるように、第2のジョーを第1のジョーと対向する閉位置に動かすことができる。例えば、トロカールは、約5mmの開口部又はカニューレを画定してよく、これを通じて第1及び第2のジョーを挿入することができる。第2のジョーは、ステープルカートリッジ本体1010内に含まれるステープル1020を変形させることなく、トロカールを通じて第1及び第2のジョーを挿入することを可能とする、開位置と閉位置との中間の部分的に閉じた位置に動かすことができる。例えば、第2のジョーが部分的に閉じたその中間位置にある場合、アンビル1040がステープルカートリッジ本体1010に圧縮力を作用させる場合もあるが、第2のジョーが部分的に閉じた中間位置にある場合に、アンビル1040がステープルカートリッジ本体1010を圧縮する場合もある。アンビル1040はそのような中間位置にある場合にステープルカートリッジ本体1010を圧縮しうるが、アンビル1040は、アンビル1040がステープル1020と接触するうえで、かつ/又はステープル1020がアンビル1040によって変形されるうえでステープルカートリッジ本体1010を充分に圧縮しない場合がある。第1及び第2のジョーがトロカールを通じて手術部位に挿入された時点で、第2のジョーを再び開くことができ、アンビル1040及びステープルカートリッジ1000を上記に述べたように標的組織に対して配置することができる。
【0058】
次に
図19A〜19Dを参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル1140とステープルカートリッジ支持体1130との間に配置された移植可能なステープルカートリッジ1100を含みうる。上記と同様、アンビル1140は組織接触表面1141を有してもよく、ステープルカートリッジ1100は組織接触表面1119を有してもよく、ステープルカートリッジ支持体1130はステープルカートリッジ1100を支持するように構成することが可能な支持表面1131を有してもよい。
図19Aを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ1100を変形することなく、ステープルカートリッジ1100の組織接触表面1119に対して組織Tを配置するために使用され、アンビル1140がこのような位置にある場合、組織接触表面1141は、ステープルカートリッジ支持表面1131から距離1101aに位置し、組織接触表面1119はステープルカートリッジ支持表面1131から距離1102aに位置しうる。この後、アンビル1140がステープルカートリッジ支持体1130の方向に動かされ、次に
図19Bを参照すると、アンビル1140は、ステープルカートリッジ1100の上面又は組織接触表面1119を下方に押し、カートリッジ本体1110の第1の層1111及び第2の層1112を圧縮することができる。再び
図19Bを参照すると、層1111及び1112が圧縮されるにしたがって、第2の層1112が圧し潰され、ステープル1120の脚1121が、第1の層1111を貫通して組織T内に進入しうる。例えば、ステープル1120は第2の層1112のステープルキャビティ又は空間1115内に少なくとも一部が配置されてよく、第2の層1112が圧縮される際、ステープルキャビティ1115が圧潰し、その結果、第2の層1112がステープル1120の周囲に圧潰することが可能となる。第2の層1112は、ステープルキャビティ1115上に延び、かつステープルキャビティ1115を包囲するか又は少なくとも部分的に包囲しうるカバー部分1116を含んでもよい。
図19Bは、ステープルキャビティ1115内へと下方に圧潰されるカバー部分1116を示している。第2の層1112は、第2の層1112の圧潰を促進しうる1つ又は2つ以上の脆弱化部分を含んでもよい。必要に応じて、このような脆弱化部分は、カートリッジ本体1110の制御された圧潰を促しうる、例えば、刻み目、ミシン目、及び/又は薄い断面を有しうる。第1の層1111は、第1の層1111にステープル脚1121を貫通しやすくする1つ又は2つ以上の脆弱化部分を含んでもよい。必要に応じて、このような脆弱化部分は、例えば、刻み目、ミシン目、及び/又は薄い断面を含んでもよく、これはステープル脚1121と整列されるか又は少なくともほぼ整列されうる。
【0059】
再び
図19Aを参照すると、アンビル1140が、部分的に閉じた未発射位置にある場合、アンビル1140は、カートリッジ支持表面1131から距離1101aに配置されることにより、それらの間に間隙が画定される。この間隙はステープルカートリッジ高さ1102aを有するステープルカートリッジ1100及び組織Tで充填されうる。再び
図19Bを参照すると、アンビル1140が下方に動かされてステープルカートリッジ1100を圧縮すると、組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は、距離1101aよりも短い距離1101bによって規定されうる。様々な状況において、距離1101bにより規定されるアンビル1140の組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の間隙は、元の未変形のステープルカートリッジ高さ1102aよりも大きくなりうる。次に
図19Cを参照すると、アンビル1140がカートリッジ支持表面1131に近づく方向に動かされるにしたがって、第2の層1112は引き続き圧潰し、ステープル脚1121と成形ポケット1142との間の距離は接近しうる。同様に、組織接触表面1141とカートリッジ支持表面1131との間の距離は、距離1101cまで接近しうるが、距離1101cは元の未変形のカートリッジ高さ1102aよりも大きいか、これと等しいか、又はこれより小さくなりうる。
図19Dを参照すると、アンビル1140は、ステープル1120が完全に成形されるか又は少なくとも所望の高さまで成形された最終的な発射位置まで動かすことができる。この位置では、アンビル1140の組織接触表面1141は、カートリッジ支持表面1131から距離1101dの距離にあってよく、その場合、距離1101dは元の未変形のカートリッジ高さ1102aより短くなりうる。やはり
図19Dに示されるように、ステープルキャビティ1115は、完全に、又は少なくともほぼ圧潰しており、ステープル1120は圧潰した第2の層1112によって完全に、又は少なくともほぼ囲まれうる。様々な状況において、アンビル1140はこの後、ステープルカートリッジ1100から離れる方向に動かすことができる。アンビル1140がステープルカートリッジ1100から離脱した後、カートリッジ本体1110は、様々な位置(すなわち例えば隣接するステープル1120の間の位置)において少なくとも部分的に再拡張しうる。圧潰したカートリッジ本体1110は弾性的に再拡張しない場合もある。成形されたステープル1120及び、更に、隣接するステープル1120間に位置するカートリッジ本体1110が組織Tに圧力又は圧縮力を作用する場合があり、これにより様々な治療的効果が与えられうる。
【0060】
再び
図19Aを参照すると、上記に述べたように、各ステープル1120からはステープル脚1121が延出しうる。ステープル1120は、2本のステープル脚1121を有するものとして示されているが、1本のステープル脚、又は2本よりも多いステープル脚、例えば3本のステープル脚、又は4本のステープル脚を有する様々なステープルを使用することができる。
図19Aに示されるように、各ステープル脚1121はカートリッジ本体1110の第2の層1112内に包埋されてよく、これによりステープル1120が第2の層1112内で固定される。ステープル1120は、ステープル脚1121の先端部1123が基部1122よりも先にキャビティ1115内に入るようにして、カートリッジ本体1110のステープルキャビティ1115内に挿入することができる。先端1123は、キャビティ1115内に挿入された後、カバー部分1116内に押し込まれて、第2の層1112を切開する。ステープル1120は、ステープル1120が第2の層1112に対して動かないか又は少なくともほぼ動かないように、第2の層1112内部の充分な深さに置くことができる。ステープル1120は、基部1122がステープルキャビティ1115内に位置するか又は包埋されるように第2の層1112内部の充分な深さに置くことができる。あるいは、基部1122は、第2の層1112内に位置しないか、又は包埋されない場合もある。再び
図19Aを参照すると、基部1122は、カートリッジ本体1110の底面1118の下に延びてもよい。基部1122は、カートリッジ支持表面1130上に置かれるか、又はカートリッジ支持表面1130と直接接して配置されうる。カートリッジ支持表面1130は、ここから貫通して延びるか、及び/又は内部に画定される支持機構を有してもよく、その場合、下記により詳しく述べるように、例えばステープル1120の基部1122は、ステープルカートリッジ支持体1130の1又は2以上の支持溝、スロット、又はトラフ1132内に配置されるか、又はこれによって支持されうる。
【0061】
次に
図20を参照すると、上記に加えて、ステープル1120の基部1122は、ステープルカートリッジ支持体1130の支持表面1131に直接接して直接配置することができる。必要に応じて、例えば、ステープル基部1122が円形又は円弧状の底面1124を含む場合などでは、ステープル基部1122は、ステープルカートリッジ支持表面1131に沿って動くか又は摺動することができる。このような摺動は、ステープル成形過程においてアンビル1140がステープル脚1121の先端部1123に対して押し付けられる際に生じうる。上記に述べたように、また、次に
図21を参照すると、ステープルカートリッジ支持体1130には1又は2以上の支持スロット1132が設けられてもよく、こうした支持スロット1132は、ステープル基部1122とカートリッジ支持表面1131との相対運動を防止するか又は少なくとも低減するように構成することができる。例えば、各支持スロット1132は、その中に配置されるステープルの底面の外形と一致するか、又は少なくともほぼ一致する表面外形によって画定されうる。例えば、
図21に示される基部1122の底面1124は円形又は少なくともほぼ円形の表面を有してもよく、支持スロット1132も円形又は少なくともほぼ円形の表面を有しうる。例えば、スロット1132を画定する表面は、底面1124を画定する曲率半径よりも大きいか又はこれと等しい曲率半径によって画定されうる。スロット1132は、ステープル1120とステープルカートリッジ支持体1130との相対的な摺動運動を防止するか又は低減する助けとなりうるが、スロット1132は、ステープル1120とステープルカートリッジ支持体1130と間の回転運動を防止するか又は低減するように構成することもできる。より詳細には、スロット1132を、基部1122を緊密に受容するように構成することによって軸1129を中心としたステープル1120の回転を防止するか又は低減することができ、これにより、ステープル1120が変形される際に回転したり捻れることがなくなる。
【0062】
上記に加えて、各ステープル1120は丸いか又は少なくともほぼ丸いワイヤで形成することができる。各ステープルの脚及び基部は、例えば、矩形の断面のような非円形の断面を有するワイヤで形成することもできる。例えば、ステープルカートリッジ1130は、例えば、こうしたステープルの基部を受容するように構成された矩形のスロットなどの対応する非円形のスロットを有してもよい。次に
図22を参照すると、各ステープル1120は、例えば、基部1122にオーバーモールドされたクラウン1125のようなクラウンを有してもよく、その場合、各クラウン1125は、ステープルカートリッジ支持体1130の支持スロット内に配置されうる。例えば、各クラウン1125は正方形及び/又は矩形の断面を有してもよく、こうした断面は、例えばステープルカートリッジ支持体1130の正方形及び/又は長方形のスロット1134内に受容されるように構成することができる。クラウン1125は、商品名Vicrylで市販されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで市販されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの生体吸収性プラスチックで構成することができ、例えば、射出成形プロセスによって、ステープル1120の基部1122の周囲に形成することができる。様々なクラウン及び様々なクラウンを形成する方法は、発明の名称が「SURGICAL STAPLES HAVING COMPRESSIBLE OR CRUSHABLE MEMBERS FOR SECURING TISSUE THEREIN AND STAPLING INSTRUMENTS FOR DEPLOYING THE SAME」である2006年9月29日出願の米国特許出願第11/541,123号に開示されており、その開示内容の全体を本明細書に参照によって援用する。再び
図22を参照すると、スロット1134は、スロット1134内へのクラウン1125の挿入を促すように構成することができる導入部又はベベル1135を更に有しうる。ステープル1120の基部及び/又はクラウンは、ステープルカートリッジ1100がステープルカートリッジ支持体1130に組み付けられる際にスロット1134内に配置することができる。ステープル1120のクラウン1125は、ステープルカートリッジ1100がステープルカートリッジ支持体1130に組み付けられる際にスロット1134と整列させてもよい。例えば、クラウン1125は、圧縮力がステープル脚1121に加えられ、ステープル1120の基部及び/又はクラウンがスロット1134内へと下方に押されるまで、スロット1134内に入らないようにすることもできる。
【0063】
次に
図23及び
図24を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1200のようなステープルカートリッジは、外側層1211及び内側層1212を有する圧縮可能な移植式カートリッジ本体1210を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ1200は、カートリッジ本体1210内に配置された複数のステープル1220を有しうる。必要に応じて、各ステープル1220は、基部1222及び基部1222から延びる1本又は2本以上のステープル脚1221を有しうる。例えば、ステープル脚1221は内側層1212内に挿入され、例えば、ステープル1220の基部1222が内側層1212の底面1218と当接するか、かつ/又は底面1218に隣接して配置されるような深さに置かれうる。
図23及び
図24では、内側層1212はステープル1220の一部を受容するように構成されたステープルキャビティを有していないが、代替例として内側層1212がこのようなステープルキャビティを有してもよい。上記に加えて、内側層1212は、圧縮荷重が加えられる際にカートリッジ本体1210が圧潰するように構成することができる、例えば生体吸収性発泡材及び/又は酸化再生セルロース(ORC)などの圧縮可能な材料で構成することができる。内側層1212は、例えば、ポリ乳酸(PLA)及び/又はポリグリコール酸(PGA)を含む凍結乾燥発泡材で構成することができる。ORCは、商品名Surgicelで市販されており、緩く編まれた(外科用スポンジのような)ファブリック、(コットンボールのような)緩い繊維、及び/又は発泡材を含みうる。内側層1212は、例えば、水で活性化されるかかつ/又は患者の体液によって活性化されうる、内側層1212に含まれるかかつ/又は内側層1212にコーティングされた凍結乾燥トロンビン及び/又はフィブリンのような医薬品を含む材料で構成されうる。例えば、凍結乾燥したトロンビン及び/又はフィブリンをVicryl(PGA)マトリックス上に保持することができる。しかしながら、特定の状況では、ステープルカートリッジ1200が例えば患者の体内の手術部位に挿入される際、活性化可能な医薬品が意図せずして活性化される場合がある。再び
図23及び
図24を参照すると、外側層1211は、水不透過性、又は少なくともほぼ水不透過性の材料で構成することができ、これにより、カートリッジ本体1210が圧縮されてステープル脚が外側層1211を貫通する後、及び/又は外側層1211が何らかの方法により切開される後まで、液体が内側層1212と接触しないか又は少なくともほぼ接触しない。外側層1211は、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などのバットレス材料及び/又はプラスチック材料で構成することができる。外側層1211は、内側層1212及びステープル1220を包囲するラップを含みうる。より詳細には、ステープル1220を内側層1212内に挿入することができ、外側層1211を内側層1212及びステープル1220を含むサブアセンブリの周囲に巻き、その後封止することができる。
【0064】
次に
図25及び
図26を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1300のようなステープルカートリッジは、外側層1311及び内側層1312を含む、圧縮可能な移植式カートリッジ本体1310を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ1300は、カートリッジ本体1310内に配置されたステープル1320を更に有してよく、各ステープル1320は、基部1322及び基部1322から延びる1本又は2本以上の脚1321を有しうる。ステープルカートリッジ1200と同様、ステープル1320の基部1322は、内側層1312の底面1318の下に延びてもよく、外側層1311が基部1322を囲むことができる。例えば、外側層1311は各ステープル基部1322を包み込むような充分な可撓性を有してよく、これにより、外側層1311は基部1322の外形と一致する。あるいは、再び
図24を参照すると、外側層1211は、各基部1222と形状一致することなく基部1222の周囲に延びるような充分な剛性を有するものでもよい。いずれの場合も、外側層1311は、ステープル1320の基部1322と、例えばステープルカートリッジ1300を支持する支持表面1031又は1131のようなステープルカートリッジ支持表面との間に配置されうる。例えば、外側層1311は、基部1322と、例えばステープルカートリッジ支持表面に画定されるスロット1032又は1132などの支持スロットとの間に配置することができる。例えば、上記に加えて、外側層1311は、基部1322の運動を制限し、かつ/又は基部1322とステープルカートリッジ支持表面及び/若しくは支持スロットとの間の摩擦係数を増大させることによってそれらの間の相対運動を低減させるように構成することができる。あるいは、次に
図27及び
図28を参照すると、例えばステープルカートリッジ1400のようなステープルカートリッジの外側層は、その内部に配置されたステープルを完全に包囲せずともよい。例えば、圧縮可能な移植式カートリッジ本体1410の外側層1411は、ステープル1420のステープル脚1421をカートリッジ本体1410内に挿入する前に、内側層1412に組み付けることができる。上記の結果として、ステープル1420の基部1422は外側層1411の外側に延びてもよく、基部1422を例えばカートリッジ支持表面1031又は1131内の支持スロット1032又は1132内に直接配置することができる。ステープル脚1421が外側層1411を貫通して挿入される際にステープル脚1421が外側層1411を切開してもよい。様々な状況において、ステープル脚1421によって形成される穴は、ステープル脚1421と外側層1411との間で流体が(漏れたとしても)ほとんど漏れないように、ステープル脚1421を緊密に囲むことができ、これにより、ステープルカートリッジ本体1410内に含まれる薬剤が、早期に活性化され、かつ/又はカートリッジ本体1410から漏出する可能性を低減するか又はこれを防止することができる。
【0065】
再び
図23及び
図24を参照すると、上記に述べたように、ステープル1220の脚1221は、カートリッジ本体1210内に包埋されてもよく、ステープル1220の基部1222が内側層1212の底面1218から外側に延びてもよい。上記に加えて、内側層1212は、ステープル1220を受容するように構成されたステープルキャビティを有さずともよい。あるいは、次に
図29及び
図30を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1500のようなステープルカートリッジは、ステープル1520の少なくとも一部をその内部に受容するように構成することができるステープルキャビティ1515を有する圧縮可能な移植式カートリッジ本体1510を有してもよい。例えば、ステープル1520のステープル脚1521の上部が内側層1512内に包埋されうるのに対して、ステープル脚1521の底部及び基部1522はステープルキャビティ1515内に配置されうる。基部1522は、ステープルキャビティ1515内に全体が配置されてもよく、又は、少なくともその一部が内側層1512の底面1518の下に延びてもよい。上記と同様、外側層1511は、内側層1512及び内部に配置されたステープル1520を包囲することができる。あるいは、次に
図31を参照すると、ステープルカートリッジ1600は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体1610内のステープルキャビティ1615内に配置されたステープル1620を有してもよく、その場合、ステープル1620の少なくとも一部が外側層1611によって包囲されない。例えば、ステープル1620は、内側層1612内に少なくとも部分的に包埋されたステープル脚1621、及び、更に、外側層1611の周囲に外側に延びた基部1622を有しうる。
【0066】
次に
図32及び
図33を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1700のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な移植式カートリッジ本体1710、及び少なくとも一部がカートリッジ本体1710内に配置された複数のステープル1720を有しうる。カートリッジ本体1710は、外側層1711、内側層1712、及び、更に、ステープル1720をカートリッジ本体1710内の定位置に整列及び/又は保持するように構成することができるアラインメントマトリックス1740を含みうる。内側層1712は、アラインメントマトリックス1740をその内部に受容するように構成することができる凹部1741を有しうる。アラインメントマトリックス1140は、凹部1741内に圧入するか、及び/ないしは別の方法により、例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤を使用して内側層1712に好適に固定することができる。凹部1741は、アラインメントマトリックス1740の底面1742が内側層1712の底面1718と整列するか又は少なくともほぼ整列するように構成することができる。アラインメントマトリックスの底面1742は、第2の層1712の底面1718に対して陥没しうる、及び/又はここから延在しうる。必要に応じて、各ステープル1720は、基部1722及び基部1722から延びる1本又は2本以上の脚1721を有してもよく、ステープル脚1721の少なくとも一部がアラインメントマトリックス1740を通じて延びてもよい。アラインメントマトリックス1740は、例えば、内部を通じて延びる複数の開口部及び/又はスロットを更に有してもよく、複数の開口部及び/又はスロットは内部にステープル脚1721を受容するように構成することができる。例えば、各開口部は、ステープル脚1721と開口部の側壁との間に(あったとして)相対的運動がほとんどないように、ステープル脚1721を緊密に受容するように構成することができる。アラインメントマトリックス開口部は、アラインメントマトリックス1740全体を通じて延びずともよく、ステープル脚1721はステープル脚1721がアラインメントマトリックス1740を通じて押される際にアラインメントマトリックス1740を切開する必要が生じる場合もある。
【0067】
アラインメントマトリックス1740は、例えば、内側層1712及び/又は外側層1711よりも堅いか又はより圧縮性が低い、成形されたプラスチック本体で構成することができる。例えば、アラインメントマトリックス1740は、プラスチック材料及び/又は他の任意の適当な材料、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などで構成することができる。アラインメントマトリックス1740は内側層1712に組み付けることができ、その後、ステープル脚1721をアラインメントマトリックス1740を通じて挿入し、内側層1712内に包埋することができる。アラインメントマトリックス1740の底面1742は、例えば、1つ又は2つ以上の溝、スロット又はトラフを有してもよく、これらは、ステープル1720の基部1722の少なくとも一部を受容するように構成することができる。上記と同様、この後、外側層1711を、内側層1712、アラインメントマトリックス1740及びステープル1720を含むサブアセンブリの周囲に配置することができる。あるいは、外側層1711は、内側層1712及びアラインメントマトリックス1740を含むサブアセンブリの周囲に配置してもよく、その後、ステープル1720を、外側層1711、アラインメントマトリックス1740及び内側層1712を通じて挿入することもできる。いずれの場合も、上記の結果として、内側層1712、アラインメントマトリックス1740、及び/又は外側層1711は、上記のようにこれらがアンビルによって変形されるまで及び/又はその後にステープル1720を定位置に保持するように構成することができる。例えば、アラインメントマトリックス1740は、ステープルカートリッジ1700が患者内に移植される前にはステープル1720を定位置に保持するように機能し、更にステープルカートリッジ1700が埋め込まれた後にはステープルの列に沿って組織を固定するように機能しうる。例えば、ステープル1720は、内側層1712及び/又は外側層1711内に包埋されることなく、アラインメントマトリックス1740内に固定することができる。
【0068】
次に
図34〜40を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1800のようなステープルカートリッジは、内側層1812を圧縮し、例えばステープル1820のようなステープルを内側層1812内に挿入し、内側層1812を外側層1811で包むことによって組み立てることができる。主に
図34を参照すると、圧縮可能な内側層1812が、内部に画定された複数のステープルキャビティ1815を有するものとして示されているが、上記に述べたように内側層1812がステープルキャビティを含まない代替例も考えられる。
図35を参照すると、圧縮可能な内側層1812は、移送プレート1850と支持プレート1860との間に配置され、それらのそれぞれの圧縮表面1852と1862との間で圧縮されうる。
図35に示されるように、内側層1812の上面及び底面は互いの方向に圧縮され、これに応じて内側層1812は横方向に外側に膨らみうる。内側層1812は、例えば、その元の高さの約1/3の高さまで圧縮されうるものであり、例えばその圧縮状態において約1.5mm(0.06”)〜約2.0mm(0.08”)の高さ又は厚さを有しうる。やはり
図35に示されるように、移送プレート1850は、複数のステープルウェル1853内に配置された、例えばステープル1820のような複数のステープルを更に含みうる。更に、移送プレート1850は、ステープル1820を上方に、ステープルウェル1853の外に押すように構成することができる複数のドライバ1851を更に有しうる。次に
図36を参照すると、ドライバ1851を用いてステープル1820のステープル脚1821を、圧縮された内側層1812内に内側層1812に貫通させて押しこむことができる。ドライバ1851は、ステープル1820が移送プレート1850のステープルウェル1853から完全に配備された際に、その上面が移送プレート1850の圧縮表面1852と同一平面になるか、又は少なくとも同一平面に近くなるように構成することができる。やはり
図36に示されるように、支持プレート1860は、ステープル脚1821又は少なくともステープル脚1821の先端部が内側層1812を通じて押し込まれた後に先端部を受容するように構成することができる複数の受容開口部1861を有しうる。受容開口部1861又はこれに準ずる構成は、内側層1812がステープル1820の高さよりも低い高さにまで圧縮される場合に必要とされ、したがって、ステープル1820がステープルウェル1853から完全に射出される際にステープル脚1821は、圧縮された内側層1812の上面から突出しうる。内側層1812は、ステープル1820の高さよりも高い高さにまで圧縮されてもよく、その結果、支持プレート1860の受容開口部1861が必要とされない場合もある。
【0069】
ステープル1820が内側層1812内に挿入された後、次に
図37を参照すると、支持プレート1860を移送プレート1850から離れる方向に動かすことによって内側層1812の圧縮を解くことができる。このような状況では、内側層1812は、弾性的にその元の高さ、又は少なくとも元の高さに近い非圧縮高さまで弾力的に再膨張することができる。内側層1812が再膨張すると、内側層1812の高さは、これがステープル1820の高さを超えるように増大することができるが、これにより、ステープル1820のステープル脚1821は内側層1812の上面から突出しなくなる。様々な実施形態において、受容開口部1861は、少なくとも脚1821が受容開口部1861内に位置しなくなるように支持プレート1860が充分に遠くに動くまで、ステープル脚1821を定位置に保持するように構成することができる。このような状況では、受容開口部1861は、内側層1812が再膨張する際に、内側層1812の内部でステープル1820の相対的アラインメントを維持する助けとなりうる。様々な状況において、内側層1812及びその内部に配置されたステープル1820はサブアセンブリ1801を構成してもよく、これを、例えば次に
図38を参照して、外側層1811内に挿入することができる。例えば、外側層1811は、内部にサブアセンブリ1801を受容するように構成することができるキャビティ1802が内部に画定されてもよい。様々な状況において、例えばプライヤ1855などのツールを使用して外側層1811をサブアセンブリ1801に被せて引くことができる。次に
図39を参照すると、サブアセンブリ1801が外側層1811の充分に内側に配置された時点で外側層1811を封止することができる。外側層1811は、その一部に熱エネルギーを加えることによって封止することができる。より詳細には、外側層1811はプラスチック材料で構成することができ、外側層1811の開放端部は、1つ又は2つ以上の熱要素又はアイロン1856により熱かしめすることによって外側層1811の開放端部の外周を互いに接着及び/又は封止することができる。例えば、次に
図40を参照すると、外側層1811の余剰部分1857は取り除くことができ、この後、ステープルカートリッジ1800を本明細書で述べるように使用することができる。
【0070】
上記のように、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ取り付け部分内に配置され、かつ/又はこれに固定されうる。
図41及び
図42を参照すると、ステープルカートリッジ取り付け部分は、その内部にステープルカートリッジ1900のようなステープルカートリッジの少なくとも一部を受容するように構成することができる、例えばステープルカートリッジ溝部材1930のようなステープルカートリッジ溝部材を有することができる。ステープルカートリッジ溝部材1930は、底部支持表面1931、第1の側部支持壁1940及び第2の側部支持壁1941を有しうる。使用時には、ステープルカートリッジ1900は、底部支持表面1931に接するかかつ/又は底部支持表面1931と隣接して配置され、かつ第1の側部支持壁1940と第2の側部支持壁1941との間に配置されるようにしてステープルカートリッジ溝部材1930内に配置することができる。第1の側部支持壁1940及び第2の側部支持壁1941は、それらの間に横方向間隙を画定しうる。例えば、ステープルカートリッジ1900は、支持壁部1940と1941との間に画定される横方向間隙と同じかかつ/又はこれよりも広い横幅1903を有してよく、これにより、ステープルカートリッジ1900の圧縮可能な移植式カートリッジ本体1910は壁部1940と1941との間にしっかりと嵌まり込むことができる。ステープルカートリッジ1900の横幅1903は、第1の側壁1940と第2の側壁1941との間に画定される間隙よりも短くてよい。必要に応じて、壁1940及び1941並びに底部支持表面1931の少なくとも一部を、スタンピングした金属溝部材によって形成するか、又は、代わりに側部支持壁1940及び/又は側部支持壁1941の少なくとも一部を、例えばエラストマー材などの可撓性材料で構成することができる。主に
図41を参照すると、ステープルカートリッジ溝部材1930の第1の側壁1940及び第2の側壁1941はそれぞれ、底部支持表面1931から上方に延びる剛性部分1933、及び剛性部分1933から上方に延びる可撓性部分1934で構成されうる。
【0071】
上記に加えて、ステープルカートリッジ1900のカートリッジ本体1910は、例えば第1の層1911及び第2の層1912などの1又は2以上の圧縮可能な層を含みうる。カートリッジ本体1910が、上記に述べたようにアンビルによって底部支持表面1931に対して圧縮されるとカートリッジ本体1910の側部が横方向に膨張しうる。ステープルカートリッジ1930が剛性の側壁を有する場合、カートリッジ本体1910のこのような横方向の膨張は剛性の側壁によって防止されるか又は少なくとも制限され、その結果、相当量の内圧又は応力がカートリッジ本体1910内に生じうる。ステープルカートリッジ1930の少なくとも一部が可撓性側壁で構成されている場合、可撓性側壁は横方向に撓んでカートリッジ本体1910の側部が横方向に膨張することを許容し、これにより、カートリッジ本体1910内に生じる内圧又は応力を低減させる。カートリッジ溝部材が側部側壁を有さないか、又はステープルカートリッジよりも比較的短い側部側壁を有する場合には、ステープルカートリッジの側部は横方向に妨害されずに、又は少なくともほぼ妨害されずに膨張することができる。いずれの場合も、次に
図42を参照すると、ステープルカートリッジ溝部材2030は、例えば、エラストマー材料などの可撓性材料で全体を構成することができる側部側壁2040及び2041を有しうる。ステープルカートリッジ2030は、側部側壁2040及び2041の少なくとも一部をその内部に受容して固定するように構成することができる、ステープルカートリッジ溝部材2030の底部支持表面2031の側部に沿って延びる側部スロット2033を更に有しうる。側部側壁2040及び2041はスナップ嵌め及び/又は圧入機構によりスロット2033内に固定することができるが、1以上の接着剤によってスロット2033内に固定することもできる。側壁2040及び2041は、使用時に底部支持表面2031から分離することができる。いずれの場合も、圧縮可能な移植式カートリッジ本体2010は、カートリッジ本体2010がステープル2020とともに移植される際、側部側壁2040及び2041から分離及び/又は離脱させることができる。
【0072】
次に
図43を参照すると、外科用器具は、シャフト2150及びシャフト2150の遠位端から延びるエンドエフェクタを有しうる。エンドエフェクタは、上記と同様、ステープルカートリッジ溝部材2130、開位置と閉位置との間で動くことができるアンビル2140、及び、ステープルカートリッジ溝部材2130とアンビル2140との間に配置されうるステープルカートリッジ2100を有しうる。やはり上記と同様、ステープルカートリッジ2100は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体2110、及びカートリッジ本体2110内に配置された複数のステープル2120を有しうる。ステープルカートリッジ溝部材2130は、1)ステープルカートリッジ2100をこれに接して配置することができる底部支持表面2131、2)遠位端2135、及び3)近位端2136を有しうる。
図43に示されるように、ステープルカートリッジ2100は、ステープルカートリッジ溝部材2130の遠位端2135内に配置可能な第1の端部2105と、ステープルカートリッジ溝部材2130の近位端2136内に配置可能な第2の端部2106とを有しうる。ステープルカートリッジ溝部材2130の遠位端2135は、例えば保持壁2137のような少なくとも1つの遠位保持機構を有してもよく、同様に、近位端2136は、例えば保持壁2138のような少なくとも1つの近位保持機構を含みうる。例えば、遠位保持壁2137と近位保持壁2138とは、ステープルカートリッジ2100の長さと等しいか又はそれよりも短い間隙をそれらの間に画定してよく、これによりステープルカートリッジ2100はステープルカートリッジ溝部材2130内に挿入される際にステープルカートリッジ溝部材2130内に緊密に嵌まり込むことができる。
【0073】
再び
図23及び
図24を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ1200のようなステープルカートリッジは、平坦又は少なくともほぼ平坦な組織接触表面1219を有しうる。例えば、ステープルカートリッジ1200のステープルカートリッジ本体1210は、第1の高さ又は厚さ1207によって規定されうる第1の端部1205、及び第2の高さ又は厚さ1208によって規定されうる第2の端部1206を有してよく、第1の高さ1207は、第2の高さ1208と同等であるか、又は少なくともほぼ同等でありうる。カートリッジ本体1210の高さ又は厚さは、第1の端部1205と第2の端部1206との間で一定又は少なくともほぼ一定であってよい。例えば、組織接触表面1219は、カートリッジ本体1210の底面1218と平行であるか、又は少なくともほぼ平行でありうる。再び
図43を参照すると、ステープルカートリッジ2100のカートリッジ本体2110の第1の端部2105は、第2の端部2106の第2の高さ2108とは異なる第1の高さ2107により画定されうる。図に示されるように、第1の高さ2107は、第2の高さ2108よりも大きいが、代わりに第2の高さ2108が第1の高さ2107よりも大きい場合もある。カートリッジ本体2110の高さは、第1の端部2105と第2の端部2106との間で直線的に及び/又は幾何級数的に減少しうる。例えば、第1の端部2105と第2の端部2106との間に延びる組織接触表面2119は、その間に画定される所定の角度に沿った向きを有しうる。例えば、組織接触表面2119は、カートリッジ本体2110の底面2118及び/又はステープルカートリッジ溝部材2130の支持表面2131と平行でない場合もある。
【0074】
再び
図43及び
図44を参照すると、アンビル2140は組織接触表面2141を有してもよく、組織接触表面2141は、
図44に示されるようにアンビル2140が閉位置にある場合、ステープルカートリッジ溝部材2130の支持表面2131と平行又は少なくともほぼ平行でありうる。アンビル2140が閉位置にある場合、アンビル2140は、第1の端部2105のより高い高さ、及び第2の端部2106のより低い高さのために、ステープルカートリッジ2100の第1の端部2105を第2の端部2106よりも圧縮するように構成することができる。組織接触表面2119と2141との間に配置される組織Tが一定又は少なくともほぼ一定の厚さを有する状況を含む、特定の状況において、組織T及びカートリッジ2100内に生じる圧力は、エンドエフェクタの遠位端において、エンドエフェクタの近位端におけるよりも大きくなりうる。より詳細には、アンビル2140とステープルカートリッジ2100との間の組織Tがほぼ一定の厚さを有する場合、アンビル2140の遠位端2145とステープルカートリッジ2100の第1の端部2105との間に配置される組織Tは、アンビル2140の近位端2146とステープルカートリッジ2100の第2の端部2106との間に配置される組織Tよりも圧縮されうる。本発明によれば、エンドエフェクタの近位端と遠位端との間の組織T内に圧力勾配が生じうる。より詳細には、アンビル2140とステープルカートリッジ2100との間の組織Tがほぼ一定の厚さを有し、ステープルカートリッジ2100の高さがエンドエフェクタの遠位端から近位端へと直線的に減少する場合、組織T内の圧力は、エンドエフェクタの遠位端からエンドエフェクタの近位端へと直線的に減少しうる。同様に、アンビル2140とステープルカートリッジ2100との間の組織Tがほぼ一定の厚さを有し、ステープルカートリッジ2100の高さがエンドエフェクタの遠位端から近位端へと幾何級数的に減少する際、組織T内の圧力は、エンドエフェクタの遠位端からエンドエフェクタの近位端へと幾何級数的に減少しうる。
【0075】
再び
図43を参照すると、ステープルカートリッジ2100とアンビル2140との間に配置される組織Tは、全体を通じて一定の厚さを有さない場合がある。少なくとも1つのこのような状況において、アンビル2140の近位端2146とステープルカートリッジ2100の第2の端部2106との間に配置される組織Tは、アンビル2140の遠位端2145とステープルカートリッジ2100の第1の端部2105との間に配置される組織Tよりも厚い場合がある。このような状況では、その結果、より厚い組織Tをステープルカートリッジ2100のより短い近位端2106の上に一般的に配置し、より薄い組織Tをより高い遠位端2105の上に一般的に配置することができる。
図44に示されるように、使用時には、シャフト2150の発射カラー2152をシャフト脊柱2151に沿って遠位方向に前進させることにより、発射カラー2152がアンビル2140のカム部分2143と係合し、アンビル2140をステープルカートリッジ2100の方向に回転させる。アンビル2140が完全に閉じた位置へと回転した時点で、組織Tは、組織接触表面2119と2141との間で圧縮され、ステープルカートリッジ2100の高さがエンドエフェクタの近位端と遠位端との間で一定でない場合があるにもかかわらず、組織Tに作用する圧力又は圧縮力は組織全体にわたって一定であるか、又は少なくともほぼ一定となりうる。より詳細には、より薄い組織Tはステープルカートリッジ2100のより高い高さに関連付けられ、より厚い組織Tは、ステープルカートリッジ2100のより短い高さに関連付けられうるため、組織T及びステープルカートリッジ2100の累積又は合計高さは、エンドエフェクタの近位端と遠位端との間で一定又は少なくともほぼ一定となりうるため、その結果、アンビル2140によるこの累積高さの圧縮は、組織全体にわたって一定か又は少なくともほぼ一定となりうる。
【0076】
再び
図43及び
図44を参照すると、ステープルカートリッジ2100は、非対称的な形態を有してもよい。例えば、ステープルカートリッジ2100の第1の端部2105における高さが、カートリッジ2100の第2の端部2106における高さよりも高くともよい。ステープルカートリッジ2100及び/又はステープルカートリッジ溝部材2130は、ステープルカートリッジ2100がステープルカートリッジ溝部材2130内において1つの向き(すなわち、第1の端部2105がステープルカートリッジ2130の遠位端2135内に配置され、第2の端部2106が近位端2136内に配置される向き)で確実に配置されるように構成することができる1つ又は2つ以上のアラインメント及び/又は保持機構を有してもよい。あるいは、ステープルカートリッジ2100及び/又はステープルカートリッジ溝部材2130は、ステープルカートリッジ2100が、ステープルカートリッジ溝部材2130内において、2つ以上の向きで配置されることを可能とするように構成することができる1つ又は2つ以上のアラインメント及び/又は保持機構を有してもよい。次に
図45を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ2100は、ステープルカートリッジ2100の第1の端部2105がステープルカートリッジ溝部材2130の近位端2136内に配置され、第2の端部2106が遠位端2135内に配置されるようにしてステープルカートリッジ溝部材2130内に配置することができる。必要に応じて、その結果、ステープルカートリッジ2100のより低い高さが、遠位保持壁2137に隣接して配置され、ステープルカートリッジ2100のより高い高さが近位保持壁2138に隣接して配置されうる。例えば、ステープルカートリッジ2100は、エンドエフェクタの遠位端内においてより厚い部分を有し、エンドエフェクタの近位端内においてより薄い部分を有する組織Tに一定又は少なくともほぼ一定のクランプ締め圧を作用させるように適宜構成することができる。ステープルカートリッジ2100は例えば、ステープルカートリッジ溝部材2130内で選択的に方向付けすることができる。例えば、ステープルカートリッジ2100のアラインメント及び/又は保持機構は対称的であってよく、外科医は、ステープルカートリッジ溝部材2130内のステープルカートリッジ2100を、例えば、
図43及び
図45に示される向きで選択的に配置することができる。
【0077】
上記に加えて、移植式カートリッジ本体2110は、ステープルカートリッジ2100がステープルカートリッジ溝部材2130内に配置される際にエンドエフェクタの近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸2109を有しうる。カートリッジ本体2110の厚さは、第1の端部2105と、第2の端部2106との間で、長手方向軸2109に沿って一般的に減少するか、かつ/又は一般的に増加しうる。例えば、底面2118と組織接触表面2119との間の距離又は高さは、第1の端部2105と、第2の端部2106との間で一般的に減少する及び/又は一般的に増加しうる。カートリッジ本体2110の厚さは、長手方向軸2109に沿って増加、及び減少しうる。例えば、カートリッジ本体2110の厚さは、厚さが増加する1つ又は2つ以上の部分、及び厚さが減少しうる1つ又は2つ以上の部分を含みうる。ステープルカートリッジ2100の内部には複数のステープル2120が配置されうる。使用時には、上記に述べたように、ステープル2120は、アンビル2140が閉位置に動かされる際に変形されうる。各ステープル2120は、同じか又は少なくともほぼ同じ高さを有してもよい。例えば、ステープルの高さは、例えば、ステープルの基部の底部から、ステープルの最も高い脚の頂部又は先端部までで測定することができる。
【0078】
ステープルカートリッジ内のステープルは、異なるステープル高さを有してもよい。例えば、ステープルカートリッジは、圧縮可能なカートリッジ本体の第1の部分内に配置された第1のステープル高さを有する第1のステープル群と、圧縮可能なカートリッジ本体の第2の部分内に配置された第2のステープル高さを有する第2のステープル群とを含みうる。第1のステープル高さは、第2のステープル高さよりも高くともよく、第1のステープル群がステープルカートリッジ2100の第1の端部2105に配置されうる一方で、第2のステープル群は第2の端部2106に配置されうる。あるいは、より高い第1のステープル群がステープルカートリッジ2100の第2の端部2106に配置されてもよく、より短い第2のステープル群が第1の端部2105に配置されてもよい。各群が異なるステープル高さを有する複数のステープル群を使用することができる。例えば、中間的なステープル高さを有する第3の群を、カートリッジ本体2110内の第1のステープル群と第2のステープル群との間に配置することもできる。必要に応じて、ステープルカートリッジ内のステープル列内の各ステープルが異なるステープル高さを有してもよい。あるステープル列内の最も高いステープルをステープル列の第1の端部に配置し、最も短いステープルを、そのステープル列の反対側の端部に配置することができる。例えば、最も高いステープルと最も短いステープルとの間に配置されるステープルは、例えば、最も高いステープルと最も短いステープルとの間でステープル高さが下降するように構成することができる。
【0079】
次に
図46を参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル2240、ステープルカートリッジ溝部材2230、及びステープルカートリッジ溝部材2230によって支持されたステープルカートリッジ2200を有しうる。ステープルカートリッジ2200は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体2210、及び例えばステープルカートリッジ2200内に配置された、例えばステープル2220a及びステープル2220bのような複数のステープルを有しうる。ステープルカートリッジ溝部材2230は、カートリッジ支持表面2231、及びステープルカートリッジ溝部材2230に画定された、例えば支持スロット2232a及び2232bのような複数のステープル支持スロットを有しうる。例えば、ステープルカートリッジ2200は、2列の外側ステープル列2220a及び2列の内側ステープル列2220bを含んでよく、その場合、支持スロット2232aをステープル2220aを支持するように構成し、支持スロット2232bをステープル2220bを支持するように構成することができる。
図46及び
図47を参照すると、アンビル2240には、アンビル2240がステープルカートリッジ2200の方向に動かされる際に、ステープル2220a及び2220bを受容してこれを変形するように構成することができる複数のステープル成形ポケット2242が画定されうる。例えば、支持スロット2232aの底面は、ステープル成形ポケット2242の上面から第1の距離2201aだけ離れていてよく、支持スロット2232bの底面は、ステープル成形ポケット2242の上面から第2の距離2201bだけ離れていてよい。例えば、支持スロット2232bは、支持スロット2232bが画定された支持表面2231内の隆起段差により、アンビル2240のより近くに配置される。異なる距離2201a及び2201bのため、ステープル2220aの外側列とステープル2220bの内側列とは、異なる形成される高さに変形されうる。様々な状況において、異なる成形高さに変形されたステープルは、ステープル留めされた組織Tに対して異なるクランプ締め圧又は力を加えることができる。上記に加えて、ステープルは、異なる未成形ステープル高さから開始することもできる。例えば、再び
図46を参照すると、外側ステープル2220aは、内側ステープル2220bの初期の未成形高さよりも高い初期の未成形高さを有しうる。
図46及び
図47に示されるように、外側ステープル2220aよりも短い未成形高さを有する内側ステープル2220bはまた、外側ステープル2220bよりも低い成形高さを有しうる。あるいは、内側ステープル2220bが外側ステープル2220aよりも高い未成形高さを有し、外側ステープル2220aよりも低い変形後のステープル高さを有してもよい。
【0080】
上記に加えて、アンビル2240を
図47に示されるような閉位置に動かすことにより、カートリッジ本体2210を圧縮してステープル2220a及び2220bを変形することができる。例えば、
図46及び
図47に示されるエンドエフェクタを有する外科用ステープラは、アンビル2240とステープルカートリッジ2200との間に配置された組織Tを切断するように構成することができる切断部材を更に有してもよい。例えば、アンビル2240、ステープルカートリッジ溝部材2230、及び/又はステープルカートリッジ2200は、内部に切断部材を摺動可能に受容するように構成されたスロットを画定しうる。より詳細には、アンビル2240がスロット部分2249を有し、ステープルカートリッジ溝部材2230がスロット部分2239を有してよく、ステープルカートリッジ2200が、アンビル2240が閉じた、又は少なくともほぼ閉じた位置にある場合に互いに整列又は少なくともほぼ整列されうるスロット部分2203を有することができる。切断部材は、アンビル2240が閉じ、ステープル2220a、2220bが変形された後に、エンドエフェクタの近位端からエンドエフェクタの遠位端の方向に動かすことができる。切断部材はステープルの変形プロセスとは独立して動かすことができる。切断部材はステープルが変形されるのと同時に前進させることもできる。いずれの場合も、切断部材は、ステープル2220bの内側列の間に配置された経路に沿って組織を切開するように構成することができる。
【0081】
必要に応じて、
図47に示されるように、内側ステープル2220bは、外側ステープル2220aよりも低い高さまで成形されてもよく、その場合、内側ステープル2220bは、切断部材によって形成される切断線に隣接する組織により大きなクランプ締め圧又は力を加えることができる。例えば、内側ステープル2220bによって発生されるより大きなクランプ締め圧又は力が、切開した組織Tからの出血の低減などの様々な治療的効果をもたらしうる一方で、外側ステープル2220aによって発生されるより小さいクランプ締め圧は、ステープル留めされた組織内に可撓性を与えることができる。
図46及び
図47を参照すると、アンビル2240には、例えばバットレス材料2260のような少なくとも1つのバットレス材料が更に取り付けられてもよい。例えば、ステープル2220a、2220bの脚は、ステープルカートリッジ2200がアンビル2240により圧縮される際にバットレス材料2260を切開し、かつ/又はバットレス材料2260の開口部を通過し、その後、アンビル2240のステープル成形ポケット2242と接触するように構成することができる。ステープル2220a、2220bの脚が変形されるにしたがって、各脚はバットレス材料2260と再び接触し、かつ/又はこれを切開することができる。バットレス材料2260は、ステープル留めされる組織の止血性を高め、かつ/又は強度を与えることができる。
【0082】
図46及び
図47を参照すると、カートリッジ本体2210の底面は、カートリッジ支持表面2231の段差が形成された外形と一致又は少なくともほぼ一致する段差が形成された外形を有してもよい。カートリッジ本体2210の底面は、カートリッジ支持表面2231の外形と一致又は少なくともほぼ一致するように変形することができる。次に
図48を参照すると、例えば、
図46に示されるエンドエフェクタと同様のエンドエフェクタは、内部に配置されたステープルカートリッジ2300を有しうる。ステープルカートリッジ2300は、内側層2312及び外側層2311を有する圧縮可能かつ移植可能な本体2310を有してもよく、上記に加えて、外側層2311は水不透過性材料で構成することができる。外側層2311はステープル2220a、2220bの周囲に延びてよく、それぞれ、ステープル2220a、2220bと、支持スロット2232a、2232bとの間に配置されうる。次に
図49を参照すると、例えば、
図46に示されるエンドエフェクタと同様のエンドエフェクタは、内部に配置されたステープルカートリッジ2400を有しうる。ステープルカートリッジ2300と同様、ステープルカートリッジ2400の圧縮可能な移植式カートリッジ本体2410は、内側層2412及び外側層2411を有しうるが、カートリッジ本体2410は内部に切断部材スロットを有さなくともよい。例えば、切断部材は、ステープルカートリッジを通じて前進させられる際に、例えば内側層2412及び/又は外側層2411を切開することが求められる場合もある。
【0083】
次に
図50を参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル2540、ステープルカートリッジ溝部材2530、及びステープルカートリッジ溝部材2530内に配置されたステープルカートリッジ2500を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ2500は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体2510、外側ステープル列2220a、及び内側ステープル列2220bを含みうる。ステープルカートリッジ溝部材2530は、平坦又は少なくともほぼ平坦なカートリッジ支持表面2531、及び溝部材2530に画定されたステープル支持スロット2532を有しうる。アンビル2540は、段差形成表面2541、及びアンビル2540に画定された例えば成形ポケット2542a及び2542bのような複数のステープル成形ポケットを有しうる。上記と同様、成形ポケット2542aと支持スロット2532との間には、成形ポケット2452bと支持スロット2532との間の距離よりも大きな距離が規定されうる。アンビル2540は、アンビル2540の段差形成表面2541に取り付けられたバットレス材料2560を更に有しうる。例えば、バットレス材料2560は、段差形成表面2541の形状と一致又は少なくともほぼ一致しうる。バットレス材料2560は、例えばフィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤によって表面2541に着脱可能に取り付けることができる。カートリッジ本体2510もまた、例えばアンビル2540の段差形成表面2541と平行又は少なくともほぼ平行である段差が形成された外形を有してもよい。より詳細には、アンビル2540は、ステープルカートリッジ2500の方向に延びる段差2548を有してもよく、その場合、段差2548は、カートリッジ本体2510から延びる段差2508の段差高さに等しいか又は少なくともほぼ等しい段差高さを有してもよい。例えば、上記の結果として、第1のステープル2220a内に捕捉されうる圧縮可能なカートリッジ本体2510の量は、例えば第2のステープル2220b内に捕捉されうる圧縮可能なカートリッジ本体2510の量と異なりうる。
【0084】
次に
図51を参照すると、エンドエフェクタは、アンビル2640、ステープルカートリッジ溝部材2530、及びそれらの間に配置されたステープルカートリッジ2600を有しうる。ステープルカートリッジ2600は、内側層2612、外側層2611、及び内部に配置されたステープル2220a及び2200bのような複数のステープルを含む圧縮可能な移植式カートリッジ本体2610を有しうる。アンビル2640は、表面2641に複数のステープル成形ポケット2642を有してもよく、ステープルカートリッジ溝部材2530は、支持表面2531に画定された複数のステープル成形スロット2532を有しうる。
図51に示されるように、アンビル表面2641は、カートリッジ支持表面2531と平行又はほぼ平行であってよく、各成形ポケット2642は、対向した対応するステープル支持スロット2532から等距離又は少なくともほぼ等距離に配置されうる。ステープルカートリッジ2600は、同じか又は少なくともほぼ同じ初期の未成形のステープル高さ、更に、同じか又は少なくともほぼ同じ成形後のステープル高さを有するステープルを含みうる。外側ステープル列はステープル2220aを含んでよく、内側ステープル列はステープル2220bを含んでよく、上記に述べたように、ステープル2220aと2220bとは異なる未成形のステープル高さを有しうる。アンビル2640がステープルカートリッジ2600の方向に閉位置へと動かされる際、ステープル2220a及び2220bは、それらが同じか又は少なくともほぼ同じ成形後のステープル高さを有するように成形されうる。例えば、上記の結果として、成形後の外側ステープル2220aと内側ステープル2220bとは、内部に収容される圧縮可能なカートリッジ本体2610の量が同じか又は少なくともほぼ同じでありうるが、例えば、外側ステープル2220aは内側ステープル2220bよりも高い未成形のステープル高さを有しながらも同じ成形後のステープル高さを有するため、外側ステープル2220aには内側ステープル2220bよりも高いクランプ締め圧が発生しうる。
【0085】
次に
図52を参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル2740、ステープルカートリッジ溝部材2530、及びステープルカートリッジ溝部材2530内に配置されたステープルカートリッジ2700を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ2700は、内側層2712、外側層2711、並びに、例えばその内部に配置されたステープル2220a及び2220bのような複数のステープルを含む圧縮可能な移植式ステープルカートリッジ本体2710を有しうる。カートリッジ本体2710の厚さはその幅にわたって変化しうる。例えば、カートリッジ本体2710は中央部分2708及び側部2709を含んでよく、中央部分2708は、側部2709よりも大きな厚さを有しうる。カートリッジ本体2710の最も厚い部分は中央部分2708に位置し、カートリッジ本体2710の最も薄い部分は側部2709に位置しうる。例えば、カートリッジ本体2710の厚さは中央部分2708と側部2709との間で徐々に減少しうる。カートリッジ本体2710の厚さは、中央部分2708と側部2709との間で直線的及び/又は幾何学的に減少しうる。例えば、カートリッジ本体2710の組織接触表面2719は、中央部分2708から側部2709に向かって下方に傾斜する2つの傾斜表面又は角度付け表面を含みうる。アンビル2740は、傾斜した組織接触表面2719と平行又は少なくともほぼ平行である2つの傾斜表面又は角度付け表面を含みうる。アンビル2740は、アンビル2740の傾斜表面に取り付けられた少なくとも1つのバットレス材料2760を更に有しうる。
【0086】
上記に加えて、ステープルカートリッジ2700内の内側ステープル列はより高いステープル2220aを含んでよく、外側ステープル列はより短いステープル2220bを含みうる。より高いステープル2220aは、より厚い中央部分2708内及び/又はこれに隣接して配置することができるのに対して、ステープル2220bは、側部2709内及び/又はこれに隣接して配置することができる。例えば、上記の結果として、より高いステープル2220aは、より短いステープル2220bよりも移植式カートリッジ本体2710の材料をより多く捕捉しうる。このような状況では、ステープル2220aは、ステープル2220bよりも大きなクランプ締め圧を組織Tに作用させることになる。より高いステープル2220aは、より短いステープル2220bよりもより多くのカートリッジ本体2710の材料をその中に捕捉しうるが、ステープル成形ポケット2742a及び2742bの傾斜した構成のため、ステープル2220aは、より短いステープル2220bよりも、より高い成形後のステープル高さを有しうる。このような考慮を行うことにより、ステープル2220a及び2220bによって捕捉される組織内において所望のクランプ締め圧が実現され、その結果、例えばステープル2220a内のクランプ締め圧を、ステープル2220bによって組織に加えられるクランプ締め圧よりも大きくするか、小さくするか、又は同等とすることができる。
図52に示されるエンドエフェクタの代替例として、より短いステープル2220bは、カートリッジ本体2710のより厚い中央部分2708の内部、かつ/又はこれに隣接するように配置され、より高いステープル2220aは、より薄い側部2709の内部、かつ/又はこれに隣接するように配置することができる。更に、ステープルカートリッジ2700はステープルの内側列及び外側列を含むものとして示されているが、ステープルカートリッジ2700は、例えば、ステープルの内側列と外側列との間に配置されるステープル列のような更なるステープル列を含みうる。例えば、中間のステープル列は、ステープル2220a及び2220bの未成形のステープル高さ、並びに、例えば、ステープル2220a及び2220bの成形後のステープル高さの中間の未成形のステープル高さを有するステープルを含みうる。
【0087】
次に
図53を参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル2840、ステープルカートリッジ溝部材2530、及びステープルカートリッジ溝部材2530内に配置されたステープルカートリッジ2800を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ2800は、内側層2812、外側層2811、並びに、例えば、その内部に配置されたステープル2220a及び2220bなどの複数のステープルを含む圧縮可能な移植式ステープルカートリッジ本体2810を含みうる。カートリッジ本体2810の厚さは、その幅にわたって変化しうる。例えば、カートリッジ本体2810は、中央部分2808及び側部2809を含むことができ、中央部分2808は側部2809の厚さよりも小さな厚さを有しうる。カートリッジ本体2810の最も薄い部分は中央部分2808に位置してよく、カートリッジ本体2810の最も厚い部分は、側部2809に位置してよい。例えば、カートリッジ本体2810の厚さは、中央部分2808と側部2809との間で徐々に減少しうる。カートリッジ本体2810の厚さは、中央部分2808と側部2809との間で直線的及び/又は幾何学的に増大しうる。例えば、カートリッジ本体2810の組織接触表面2819は、中央部分2808から側部2809に向かって上方に傾斜する2つの傾斜表面又は角度付け表面を含みうる。アンビル2840は、傾斜した組織接触表面2819と平行又は少なくともほぼ平行である2つの傾斜表面又は角度付け表面を含みうる。アンビル2840は、アンビル2840の傾いた表面に取り付けられた少なくとも1つのバットレス材料2860を更に有しうる。上記に加えて、ステープルカートリッジ2800内の外側ステープル列は、より高いステープル2220aを含んでよく、内側ステープル列は、より短いステープル2220bを含みうる。より高いステープル2220aがより厚い側部2809内及び/又はこれに隣接して配置することができるのに対してステープル2220bは、中央部分2808内及び/又はこれに隣接して配置することができる。例えば、上記の結果として、より高いステープル2220aは、より短いステープル2220bよりも移植式カートリッジ本体2810の材料をより多く捕捉しうる。
【0088】
例えば、
図46に関して上記に述べたように、ステープルカートリッジ溝部材2230は、アンビル2240に対して異なる高さでステープル2220a及び2220bを支持するように構成することが可能な段差形成支持表面2231を有しうる。ステープルカートリッジ溝部材2230は金属で構成することができ、支持表面2231の段差は、例えば、グラインダー操作によって支持表面2231に形成することができる。
図54を参照すると、外科用器具のエンドエフェクタは、その内部に支持インサート2935が配置されたステープルカートリッジ溝部材2930を含みうる。より詳細には、ステープルカートリッジ溝部材2930は、ステープルカートリッジ2200のステープル2220a及び2220bを異なる高さで支持するための段差形成表面を有するインサート2935を支持するように構成することが可能な例えば平坦又は少なくともほぼ平坦な支持表面2931を有するように形成することができる。例えば、インサート2935は、支持表面2931に接して配置されうる平坦又は少なくともほぼ平坦な底面を有しうる。インサート2935は、支持スロット、溝又はトラフ2932a及び2932bを更に有してもよく、これらはそれぞれ、ステープル2220a及び2220bを異なる高さで支持するように構成することができる。上記と同様、インサート2935は、切断部材が内部を通過できるように構成することが可能なナイフスロット2939がその内部に画定されてもよい。ステープルカートリッジ溝部材2930は、支持インサート2935と同じ材料又はこれと異なる材料で構成することができる。ステープルカートリッジ溝部材2930及び支持インサート2935は両方とも、例えば金属で構成してもよいが、代わりにステープルカートリッジ溝部材2930を例えば金属から構成し、支持インサート2935を例えばプラスチックで構成することができる。支持インサート2935は、ステープルカートリッジ溝部材2930内に締結するか、かつ/又はこれに溶接することができる。支持インサート2935は、ステープルカートリッジ溝部材2930内にスナップ嵌め及び/又は圧入されてもよい。支持インサート2935は、接着剤を使用してステープルカートリッジ溝部材2930に固定することもできる。
【0089】
次に
図55を参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、アンビル3040、ステープルカートリッジ溝部材3030、及びステープルカートリッジ溝部材3030内に配置された圧縮可能な移植式ステープルカートリッジ3000を有することができる。上記と同様、アンビル3040は、内部に画定された複数のステープル成形ポケット3042、及び内部に切断部材を摺動可能に受容するように構成することが可能なナイフスロット3049を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ溝部材3030は、内部に画定された複数のステープル支持スロット3032、及びやはり内部に切断部材を摺動可能に受容するように構成することができるナイフスロット3039を有しうる。ステープルカートリッジ3000は、第1の層3011、第2の層3012、並びに、例えばその内部に配置されたステープル3020a及び3020bのような複数のステープルを有しうる。ステープル3020aは、ステープル3020bの未成形ステープル高さよりも高い未成形ステープル高さを有しうる。第1の層3011は第1の圧縮性材料で構成することができ、第2の層3012は第2の圧縮性材料で構成することができる。第1の圧縮性材料は第2の圧縮性材料よりも大きな速度で圧縮されてもよいが、第1の圧縮性材料は第2の圧縮性材料よりも低い速度で圧縮されてもよい。第1の圧縮性材料は、第1のばね定数を有しうる弾性材料で構成することができ、第2の圧縮性材料は、第1のばね定数とは異なる第2のばね定数を有しうる弾性材料で構成することができる。第1の圧縮性材料は、第2の圧縮性材料のばね定数よりも高いばね定数を有しうる。第1の圧縮性材料は、第2の圧縮性材料のばね定数よりも低いばね定数を有しうる。第1の圧縮性層は第1の剛性を有してよく、第2の圧縮性層は第2の剛性を有してよく、第1の剛性は第2の剛性とは異なる。第1の圧縮性層は、第2の圧縮性層の剛性よりも高い剛性を有しうる。第1の圧縮性層は、第2の圧縮性層の剛性よりも低い剛性を有しうる。
【0090】
再び
図55を参照すると、ステープルカートリッジ3000の第2の層3012は、その幅にわたって一定又は少なくともほぼ一定の厚さを有しうる。第1の層3011は、その幅にわたって変動する厚さを有しうる。例えば、第1の層3011は、例えば中央部分のようなカートリッジ本体3010の中央部分においてカートリッジ3010の厚さを増加させうる1つ又は2つ以上の段差3008を有しうる。再び
図55を参照すると、より短いステープル3020bは、段差3008(すなわち、カートリッジ本体3010のより厚い部分)に配置されるか又はこれと整列されてよく、より高いステープル3020aは、カートリッジ本体3010のより薄い部分に配置されるか又はこれと整列されうる。必要に応じて、カートリッジ本体3010のより厚い部分及びより薄い部分の結果として、カートリッジ本体3010の剛性は、内側ステープル列3020bに沿って外側ステープル3020a列よりも高くなりうる。第1の層3011は第2の層3012と結合されうる。例えば第1の層3011及び第2の層3012は、層3011と3012とを一体に保持しうる連結機構を含みうる。第1の層3011は第1の積層体を含んでよく、第2の層3012は第2の積層体を含んでよく、第1の積層体は1又は2以上の接着剤により第2の積層体に接着することができる。ステープルカートリッジ3000は、その内部に切断部材を摺動可能に受容するように構成することができるナイフスロット3003を有しうる。
【0091】
次に
図56を参照すると、ステープルカートリッジ3100は、単一層の圧縮可能な材料、更に、例えばその内部に配置されたステープル3020bのような複数のステープルを含む圧縮可能な移植式カートリッジ本体3110を含みうる。カートリッジ本体3110の厚さはその幅にわたって変化しうる。例えば、カートリッジ本体3110はその側部に沿って延びる段差3108を含みうる。次に
図57を参照すると、ステープルカートリッジ3200は、単一層の圧縮可能な材料、更に、例えばその内部に配置されたステープル3020bのような複数のステープルを含む圧縮可能な移植式カートリッジ本体3210を含みうる。カートリッジ本体3210の厚さはその幅にわたって変化しうる。例えば、カートリッジ本体3210はその中央部分に沿って延びる段差3208を含みうる。次に
図58を参照すると、ステープルカートリッジ3300は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体3310を有してもよく、上記と同様、カートリッジ本体3310の厚さはその幅にわたって変化しうる。カートリッジ本体3310の厚さは、カートリッジ本体3310の側部と中央部分との間で幾何級数的に増大しうる。例えば、カートリッジ本体3310の厚さは円弧状又は湾曲した外形によって画定されてよく、円弧状又は湾曲した組織接触表面3319を形成しうる。本体3310の厚さ及び組織接触表面3319の外形は、例えば1つの曲率半径、あるいは複数の曲率半径によって画定されうる。次に
図59を参照すると、ステープルカートリッジ3400は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体3410を有してもよく、その場合、カートリッジ本体3410の厚さは、カートリッジ本体3410の側部と中央部分との間で直線的又は少なくともほぼ直線的に増大しうる。
【0092】
次に
図60を参照すると、ステープルカートリッジ3500は、圧縮可能な移植式カートリッジ本体3510及びその内部に配置された複数のステープル3520を含みうる。移植式カートリッジ本体3510は、第1の内側層3512、第2の内側層3513、及び外側層3511を含みうる。第1の内側層3512は第1の厚さを有してよく、第2の内側層3513は第2の厚さを有してよく、第2の内側層3513は第1の層3512よりも厚くてよい。あるいは、第1の内側層3512が第2の内側層3513よりも厚くともよい。更なる代替例として、第1の内側層3512は、第2の内側層3513と同じか又はほぼ同じ厚さを有してもよい。各ステープル3520は、基部3522及び基部3522から延出する1本又は2本以上の変形可能な脚3521を有しうる。必要に応じて、各脚3521は、第1の内側層3511内に包埋された先端部3523を有してもよく、更に、ステープル3520の各基部3522は第2の内側層3512内に包埋されうる。第1の内側層3512及び/又は第2の層3513は、その内部に貯蔵された少なくとも1つの薬剤を含んでよく、外側層3511は、第1の内側層3512及び第2の内側層3513を封入及び密封することができ、これにより、外側層3511がステープル3520によって穿孔される後まで、薬剤はステープルカートリッジ本体3510から流出しない。より詳細には、上記に加えて、アンビルは、ステープルカートリッジ3500の組織接触表面3519に接して配置された組織に対して下方に押され、これによりカートリッジ本体3510が圧縮されて表面3519が下方に、ステープル先端部3523よりも少なくとも部分的に下に動かされ、これにより先端部3523が外側層3511を破裂させるか又は穿孔する。外側層3511がステープル脚3521によって裂かれた後、少なくとも1種類の薬剤Mが、ステープル脚3521の周囲のカートリッジ本体3510から流出しうる。様々な状況において、カートリッジ本体3510の更なる圧縮によって、
図61に示されるように、カートリッジ本体3510から更なる薬剤Mが絞り出される。
【0093】
再び
図60を参照すると、外側層3511は、水に対して不透過性又は少なくともほぼ不透過性のラップを含んでもよく、このラップは、1)薬剤がステープルカートリッジ3500から早期に流出することを防止し、2)手術部位内の液体がステープルカートリッジ3500に早期に流入することを防止するように構成することができる。第1の内側層3512はその内部に第1の薬剤を貯蔵又は吸収することができ、第2の内側層3513はその内部に第2の薬剤を貯蔵又は吸収することができ、第2の薬剤は第1の薬剤と異なりうる。外側層3511の破裂を生じるカートリッジ本体3510の最初の圧縮は、一般的に第1の薬剤を第1の内側層3512から絞り出すことができ、その後のカートリッジ本体3510の圧縮が、一般的に第2の薬剤を第2の内側層3513から絞り出すことができる。しかしながら、このような場合、第1の薬剤及び第2の薬剤の一部が同時に搾り出されうるが、最初に搾り出される薬剤の大部分が第1の薬剤からなり、その後搾り出される薬剤の大部分が第2の薬剤からなりうる。上記に加えて、第1の内側層3512は第2の内側層3513よりも圧縮性の高い材料で構成されてよく、これにより、後の圧縮力又は圧力よりも低い場合がある最初の圧縮力又は圧力が、第1の内側層3512内において第2の内側層3513よりも大きい最初の撓みを生じうる。第1の内側層3512内のこのようなより大きな最初の撓みにより、第2の内側層3513から絞り出される第2の薬剤よりも大きな割合の第1の薬剤が第1の内側層3512から搾り出される。第1の内側層3512は、第2の内側層3513よりもより多孔質及び/又は可撓性でありうる。例えば、第1の内側層3512は、内部に画定された複数の孔又は空間3508を有してもよく、第2の内側層3513は、内部に画定された複数の孔又は空間3509を有してもよく、孔3508を、第1の内側層3512内に第1の薬剤を貯蔵するように構成し、孔3509を、第2の内側層3513内に第2の薬剤を貯蔵するように構成することができる。第1の内側層3512内の孔3508、及び第2の内側層3513内の孔3509の大きさ及び密度は、本明細書に述べられる所望の結果を与えるように選択することができる。
【0094】
図60及び
図61を参照すると、外側層3511、第1の内側層3512、及び/又は第2の内側層3513は生体吸収性材料で構成することができる。第1の内側層3512を第1の生体吸収性材料で構成し、第2の内側層3513を第2の生体吸収性材料で構成し、外側層3511を第3の生体吸収性材料で構成し、第1の生体吸収解性材料、第2の生体吸収性材料、及び/又は第3の生体吸収性材料を異なる材料で構成することができる。第1の生体吸収解性材料は第1の速度で生体吸収されてよく、第2の生体吸収性材料は第2の速度で生体吸収されてよく、第3の生体吸収性材料は第3の速度で生体吸収されてよく、第1の速度、第2の速度及び/又は第3の速度は異なってよい。例えば、材料が特定の速度で生体吸収される場合、このような速度は、単位時間に患者の身体に吸収される材料の質量として定義することができる。知られているように、異なる患者の身体は、異なる材料を異なる速度で吸収しうるため、このような速度はこのようなばらつきを説明するため平均速度として表すことができる。いずれの場合も、より速い速度とは、より遅い速度に比べ、単位時間により多くの質量が生体吸収されうるような速度である。
図60及び
図61を参照すると、第1の内側層3512及び/又は第2の内側層3513は、外側層3511を構成する材料よりも大きな速度で生体吸収する材料で構成することができる。例えば、第1の内側層3512及び/又は第2の内側層3513は、生体吸収性発泡材料、組織シーラント、及び/又は、例えば、酸化再生セルロース(ORC)などの止血材料から構成することができ、外側層3511は、バットレス材料及び/又は例えばポリグリコール酸(PGA)(商品名Vicrylで市販される)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリグレカプロン25(PGCL)(商品名Monocrylで市販される)、ポリカプロラクトン(PCL)、及び/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/又はPCLの複合物などのプラスチック材料で構成することができる。このような場合、第1の内側層3512及び/又は第2の内側層3513は速やかに組織を治療することができるとともに組織からの出血を低減することができ、例えば、外側層3514は、長期の構造的支持を与えることができ、より遅い速度で生体吸収されうる。
【0095】
上記に加えて、外側層3511の生体吸収性のより遅い速度のため、外側層3511は、ステープルの列内の組織が治癒する際に組織を強化又は構造的に補強することができる。第1の内側層3512及び第2の内側層3513の一方を他方よりも早く生体吸収されうる材料で構成することができ、これにより、層の一方が治療物質の初期放出を行うことができ、他方の層が、同じ治療物質及び/又は異なる治療物質の持続的放出を行うことができる。例えば、治療物質が層3512、3513から放出される速度は、薬剤が吸収又は分散される基材層の生体吸収性の関数でありうる。例えば、第1の内側層3512を構成する基材が第2の内側層3513を構成する基材よりも早く生体吸収されてもよく、その結果、薬剤は、例えば第2の層3513よりも早く第1の内側層3512から放出されうる。必要に応じて、本明細書に述べられるように、カートリッジ本体3510の層3511、3512及び3513の1つ又は2つ以上を、例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤によって互いに接着することができる。接着剤は、水溶性のものとし、ステープルカートリッジ3500が埋め込まれる際に、かつ/又はその少し後に、層間の結合を剥離するように構成することができる。例えば、接着剤は、外側層3511、第1の内側層3512及び/又は第2の内側層3513よりも早く生体吸収するように構成することができる。
【0096】
次に
図62及び
図63を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ3600のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な第1の層3611、第1の層3611に取り付けられた第2の層3612、及び第2の層3612に取り付けられた剥離可能な圧縮性層3613を含む、カートリッジ本体3610を有しうる。例えば、第1の層3611は、圧縮可能な発泡材料で構成することができ、第2の層3612は、1つ又は2つ以上の接着剤を使用して第1の層3611に接着された積層体材料を含んでよく、第3の層3613は、例えば1つ又は2つ以上の接着剤を使用して第2の層3612に剥離可能に取り付けられた圧縮性発泡材料で構成することができる。ステープルカートリッジ3600は、カートリッジ本体3610内に配置された、例えば、ステープル3620のような複数のステープルを更に含みうる。例えば、各ステープル3620は、第3の層3613内に配置される基部3622、及び基部3622から第2の層3612を貫通して第1の層3611内へと上方に延びる1つ又は2つ以上の変形可能な脚3621を含みうる。上記に加えて、使用時には、ステープルカートリッジ本体3610の上面3619は、ステープル脚3621が上面3619及び標的組織を貫通してアンビルと接触するまでアンビルによって下方に押されうる。ステープル脚3621が充分に変形された後、アンビルをステープルカートリッジ3600から離れる方向に動かすことにより、圧縮可能な各層が少なくとも部分的に再膨張することができる。様々な状況において、組織を貫通するステープルの挿入によって組織の出血を生じる場合がある。第3の層3613は、ステープル留めされた組織から血液を吸収することができる例えばタンパク質ヒドロゲルなどの吸収性材料で構成することができる。上記に加えて、又は上記の代わりに、第3の層3613は、組織からの出血を低減するように構成することができる止血材料及び/又は組織シーラント、例えば、凍結乾燥トロンビン及び/又はフィブリンで構成することができる。第3の層3613は、第1の層3611及び第2の層3612に構造的支持を与えることができ、その場合、第3の層3613は生体吸収性材料及び/又は非生体吸収性材料で構成することができる。いずれの場合も、第3の層3613は、ステープルカートリッジ3610が移植された後に第2の層3612から分離することができる。第3の層3613が移植可能な品質の材料を含む場合、外科医は、カートリッジ本体3610の第3の層3613を剥離するかどうかを選択することができる。第3の層3613は、第2の層3612から一体として剥離されるように構成することができる。
【0097】
第1の層3611は第1の発泡材料で構成することができ、第3の層3613は第1の発泡材料とは異なりうる第2の発泡材料で構成することができる。第1の発泡材料は第1の密度を有してよく、第2の発泡材料は第2の密度を有してよく、第1の密度は第2の密度と異なってよい。例えば、第2の密度は第1の密度よりも高くてもよく、その結果、第3の層3613は第1の層3611よりも圧縮性が低くなるか又はより低い圧縮速度を有しうる。あるいは、第1の密度は第2の密度よりも高くてもよく、その結果、第1の層3611は第3の層3613より圧縮性が低くなるか又はより低い圧縮速度を有しうる。次に
図64及び
図65を参照すると、ステープルカートリッジ3600と同様、ステープルカートリッジ3700は、第1の圧縮性発泡材料層3711、第1の層3711に取り付けられた第2の層3712、及び第2の層3712に剥離可能に取り付けられた分離可能な第3の圧縮性発泡材料層3713を含むカートリッジ本体3710を含みうる。例えば、第3の層3713は、それぞれ内部に例えばステープル基部3622のようなステープル3620の少なくとも一部を受容するように構成することができる複数のステープル受容スロット又は切り抜き部3709を有しうる。ステープル3620はステープル受容スロット3709内で摺動するように構成することができ、換言すると、第3の層3713は、ステープルカートリッジ3700が標的組織に接して配置され、アンビルによって圧縮される際にステープル3620に対して摺動するように構成することができる。受容スロット3709は、ステープル3620と受容スロット3709の側壁との間に隙間が存在するように構成することができる。例えば、
図64及び
図65に示されるように、上記の結果として、ステープル3620は、ステープル3620が変形される際、その内部に第3の層3713の一部を捕捉しないことがある。第2の層3712に隣接するステープル受容スロット3709の両端が第3の層3713の一部によって閉鎖されるうるため、その結果、第3の層3713の少なくとも一部が、ステープル3620が変形する際にステープル3620内に捕捉されうる。いずれの場合も、第3の層3713は例えば
図64に示されるように、第3の層3713が2つ以上の部分として第2の層3712から剥離されうるように構成することができる1本又は2本以上のミシン目及び/又は刻み目3708を有しうる。
図64では、第3の層3713の部分の1つがツール3755から剥離されつつある様子が示されている。ミシン目3708は、第1のステープル列と、第2のステープル列との間に位置する線に沿って配置されうる。
【0098】
再び
図64及び
図65を参照すると、ステープル3620の基部3622は受容スロット3709内に配置することができ、受容スロット3709の側壁はステープル脚3621と接触してステープル脚3621を解放可能に定位置に保持するように構成することができる。図には示されていないが、第3の層3713は、1つのステープルの列内のステープルのすべてを囲む、長尺状スロットを有しうる。例えば、4つのステープル列を含むステープルカートリッジは、ステープルカートリッジの底層内の各ステープル列と整列された長尺状スロットを含みうる。上記に加えて、ステープルカートリッジ3600及び/又はステープルカートリッジ3700の少なくとも一部を患者の体内に移植することが可能であり、ステープルカートリッジの少なくとも一部を患者から取り出し可能とすることができる。再び
図64及び
図65を参照すると、第1の層3711及び第2の層3712は、ステープル3620内に捕捉されうるものであり、ステープル3620とともに移植することができ、第3の層3713は、必要に応じて、ステープルカートリッジ3700から剥離するか又は分離することができる。様々な状況において、移植されたステープルカートリッジの一部を除去することにより、患者の身体が再吸収しなければならない、様々な治療的効果をもたらしうる物質の量を低減することができる。例えば、ステープルカートリッジの一部が腹腔鏡3755によって分離されて取り除かれる場合、分離されたステープルカートリッジ部分は、例えば5mmの開口部を有するトロカールのようなトロカールを通じて手術部位から取り除くことができる。カートリッジ本体は、取り除くことが可能な2つ以上の層を有しうる。例えば、カートリッジ本体3710は第4の層を含んでもよく、カートリッジ本体3710の第3の層3713は止血材料で構成することができ、第4の層は支持層で構成することができる。例えば、外科医は支持層を除去し、その後例えば、止血層を除去するかどうかを選択することができる。
【0099】
次に
図66を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ3800のようなステープルカートリッジは、外側層3811及び内側層3812を有するカートリッジ本体3810を含みうる。内側層3812は、圧縮可能な発泡材料で構成することができ、外側層3811は内側層3812の周囲に少なくとも部分的に巻きつけることができる。外側層3811は、内側層3812の第1の側面上に配置されるように構成された第1の部分3811a、及び内側層3812の第2の側面上に配置されるように構成された第2の部分3811bを有してよく、第1の部分3811aと第2の部分3811bとは、例えばヒンジ3809のような可撓性ヒンジによって連結することができる。例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤を内側層3812の第1の側面及び/又は第2の側面に外側層3811の一部を固定するために塗布することができる。外側層3811は、外側層3811から延出する1つ又は2つ以上の締結部材を有しうる。例えば、外側層3811は、圧縮可能な内側層3812内に配置されうる、外側層3811の一方の側面から延びる複数の変形可能な脚3821を有しうる。例えば、脚3821は内側層3812の第2の側面から突出せずともよく、あるいは、代わりに脚3821は内側層3812から少なくとも部分的に突出してもよい。圧縮可能なカートリッジ本体3810が使用時に圧縮される際、脚3821は、内側層3812及び外側層3811の第2の部分3811bを貫通するように構成されうる。外側層3811の第2の部分3811bには、ステープル脚3821を受容するように構成することができる、例えば開口部3808のような開口部が画定されうる。ステープルカートリッジ3800の少なくとも一部は、内部に切断部材を摺動可能に受容するように構成することができるナイフスロット3803を有しうる。例えば、ナイフスロット3803は、カートリッジ本体3810の厚さを完全に貫通して延在してもよく、その結果、切断部材がカートリッジ本体3810に対して動かされる際にカートリッジ本体3810を切開することができる。
【0100】
次に
図67を参照し、ステープルカートリッジ3900は、ステープルカートリッジ3800と同様に、内側層3812及び外側層3811を有するカートリッジ本体3910を含むことができ、外側層3811は、内側層3812の第1の側面に隣接して配置された第1の部分3811a、及び内側層3812の第2の側面に隣接して配置された第2の部分3811bを含みうる。上記と同様、外側層3811は、外側層3811から延出する1つ又は2つ以上の締結部材を有しうる。例えば、外側層3811は、圧縮可能な内側層3812内に配置されうる、外側層3811の一方の側面から延びる複数の変形可能な脚3921を有しうる。各変形可能な脚3921からは、外側層3811の第2の部分3811bと係合する結果、外側層3811を内側層3812に対して保持するように構成することができる少なくとも1つのフック又は返し部3923が突出してもよい。例えば、返し部3923は、内側層3812の第2の側面から突出して外側層3811の第2の部分3811bの開口部3808を貫通して延びるように構成することができ、これにより、返し部3923が外側層3811の外側表面と係合して、外側層3811を内側層3812に固定することができる。ステープルカートリッジ3900を構成するには、内側層3812を少なくとも部分的に圧縮することによって、内側層3812から返し部を突出させて開口部3808内に入るようにすればよい。例えば、ステープルカートリッジ3900は、例えばステープルカートリッジに挿入される際に少なくとも部分的に予め圧縮することができる。上記に加えて、脚3921の少なくとも一部を外側層3811の第1の部分3811a内に埋め込むことができ、その場合、外側層3811を例えばポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などのプラスチック材料で構成することができ、プラスチック材料を脚3921の少なくとも一部の周囲にオーバーモールドすることができる。
【0101】
次に
図68〜72を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ4000のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な第1の層4011及び第2の層4012を含む、カートリッジ本体4010、更に、カートリッジ本体4010内に配置された複数のステープル4020を有しうる。
図70を参照すると、各ステープル4020は、基部4022、及び基部4022から延びる変形可能な少なくとも1本の脚4023を含みうる。
図68を参照すると、ステープルカートリッジ4000は、ステープルカートリッジ溝部材4030と、外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビル4040との間に配置され、カートリッジ本体4010の第2の層4012及び/又はステープル4020の基部4022は、ステープルカートリッジ溝部材4030に接して配置されうる。次に
図69を参照すると、第2の層4012は、プレジット支持フレーム4061によって互いに連結されたプレジットの層4060を含みうる。例えば、プレジット4060及びプレジット支持フレーム4061は、例えばポリグリコール酸(PGA)などの、成形されたプラスチック材料で構成することができる。各プレジット4060は、
図70及び
図71において示されるように、内部を通じて延びるステープル脚4021を受容するように構成することができる、1つ又は2つ以上の開口部又はスロット4062を有しうる。各プレジット4060は、ステープル4020の基部4022を受容するように構成することができる、内部に画定された受容スロット4063を更に有しうる。再び
図69を参照すると、プレジット4060及び/又はプレジット支持フレーム4061は、プレジット4060を所望の位置においてプレジット支持フレーム4061から分離できるように構成することができる複数の刻み目、ミシン目などを有しうる。同様に、
図71を参照すると、1つ又は2つ以上のプレジット4060は、例えば、ミシン目及び/又は刻み目4064を含む線に沿って互いに連結されうる。使用時には、圧縮可能な発泡材層4011は標的組織Tに接して配置することができ、カートリッジ本体4010がアンビル4040によって圧縮されることによって、アンビル4040がステープル4020を変形することができる。ステープル4020が変形される際、各ステープル4020のステープル脚4021は、組織T、第1の層4011の一部、及びプレジット4060を、変形されたステープル内に捕捉しうる。例えば、ステープルカートリッジ溝部材4030が、移植されたステープルカートリッジ4060から離れる方向に動かされると、プレジット支持フレーム4061がプレジット4060から分離され、かつ/又はプレジット4060が互いに分離されうる。特定の状況において、プレジット4060は、上記のようにステープル4020がアンビル4040によって変形される際に、フレーム4061から、かつ/又は互いから分離されうる。
【0102】
本明細書に述べられるように、ステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉位置に動かされる際、アンビルによって完全に成形されうる。あるいは、次に
図73〜76を参照すると、例えばステープルカートリッジ4100のようなステープルカートリッジのステープルは、アンビルが閉位置へと動く際、アンビルによって、更に、ステープルを閉じたアンビルの方向に動かすステープルドライバシステムによって、変形されうる。ステープルカートリッジ4100は、例えば、発泡材材料及び圧縮可能なカートリッジ本体4110内に少なくとも部分的に配置された複数のステープル4120で構成することができる圧縮可能なカートリッジ本体4110を含みうる。ステープルドライバシステムは、ドライバホルダ4160、ドライバホルダ4160内に配置された複数のステープルドライバ4162、及びドライバホルダ4160内にステープルドライバ4162を保持するように構成することができるステープルカートリッジパン4180を含みうる。例えば、ステープルドライバ4162は、ドライバホルダ4160の1つ又は2つ以上のスロット4163内に配置することができ、その場合、スロット4163の側壁がステープルドライバ4162をアンビルに向かって上方に案内する助けとなりうる。ステープル4120はステープルドライバ4162によってスロット4163内において支持され、ステープル4120は、ステープル4120及びステープルドライバ4162がそれらの非発射位置にある場合、スロット4163内に完全に配置されうる。あるいは、ステープル4120の少なくとも一部が、ステープル4120及びステープルドライバ4162がそれらの非発射位置にある場合、スロット4163の開放端部4161を通じて上方に延びてもよい。例えば、次に主に
図74を参照すると、ステープル4120の基部はドライバホルダ4160内に配置することができ、ステープル4120の先端部は圧縮可能なカートリッジ本体4110内に埋め込まれうる。ステープル4120の高さの約1/3がドライバホルダ4160内に配置されてよく、ステープル4120の高さの約2/3がカートリッジ本体4110内に配置されうる。
図73Aを参照すると、ステープルカートリッジ4100は、例えばカートリッジ本体4110及びドライバホルダ4160を囲む水不透過性ラップ又は膜4111を更に含みうる。
【0103】
使用時には、ステープルカートリッジ4100は、例えばステープルカートリッジ溝部材内に配置することができ、アンビルをステープルカートリッジ4100に向かって閉位置へと動かすことができる。アンビルは、その閉位置に動かされる際、圧縮可能なカートリッジ本体4110と接触し、かつこれを圧縮することができる。アンビルは、その閉位置にある場合、ステープル4120に接触しなくてもよい。アンビルは、その閉位置に動かされる際に、ステープル4120の脚と接触し、ステープル4120を少なくとも部分的に変形させることができる。いずれの場合も、ステープルカートリッジ4100は、ステープルカートリッジ4100内で長手方向に前進させることができる1つ又は2つ以上のスレッド4170を更に含んでもよく、それにより、スレッド4170はステープルドライバ4162と順次係合し、ステープルドライバ4162及びステープル4120をアンビルの方向に動かすことができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジパン4180とステープルドライバ4162との間で摺動しうる。アンビルを閉じることによってステープル4120の成形プロセスが開始される場合、アンビルに向かうステープル4120の上方への動きによって成形プロセスが完了し、ステープル4120をその完全に成形された、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。アンビルを閉じることによってステープル4120が変形されない場合、アンビルに向かうステープル4120の上方への動きによって成形プロセスが開始及び完了し、ステープル4120をその完全に成形した、又は少なくとも所望の高さへと変形させることができる。スレッド4170がステープルカートリッジ4100の近位端からステープルカートリッジ4100の遠位端まで前進することができることにより、ステープルカートリッジ4100の近位端に配置されたステープル4120は、ステープルカートリッジ4100の遠位端に配置されたステープル4120が完全に成形されるよりも前に完全に成形される。
図75を参照すると、スレッド4170は、それぞれ少なくとも1つの角度付き表面又は傾いた表面4711を含むことができ、表面4711は、
図76に示されるように、ステープルドライバ4162の下で摺動し、ステープルドライバ4162を持ち上げるように構成することができる。
【0104】
上記に加えて、ステープル4120が成形されることによって、組織Tの少なくとも一部及びステープルカートリッジ4100の圧縮可能なカートリッジ本体4110の少なくとも一部がその内部に捕捉されうる。ステープル4120が成形された後、外科用ステープラのアンビル及びステープルカートリッジ溝部材4130を、移植されたステープルカートリッジ4100から離れる方向に動かすことができる。様々な状況において、カートリッジパン4180はステープルカートリッジ溝部材4130と固定的に嵌合され、その結果、カートリッジパン4180は、ステープルカートリッジ溝部材4130が、移植されたカートリッジ本体4110から引き離される際に圧縮可能なカートリッジ本体4110から分離されうる。再び
図73を参照すると、カートリッジパン4180は、その間にカートリッジ本体4110が取り外し可能に取り付けられうる、対向した側壁4181を有しうる。例えば、圧縮可能なカートリッジ本体4110が側壁4181の間で圧縮されることにより、カートリッジ本体4110は使用中に側壁4181の間に取り外し可能に保持され、カートリッジパン4180が引き離される際にカートリッジパン4180から解放可能に離脱されうる。例えば、ドライバホルダ4160は、カートリッジパン4180が手術部位から取り出される際、ドライバホルダ4160、ドライバ4162、及び/又はスレッド4170がカートリッジパン4180内に留まるようにしてカートリッジパン4180と連結されうる。ドライバ4162はドライバホルダ4160から射出されて手術部位に残置されてもよい。例えば、ドライバ4162は、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの生体吸収性材料で構成することができる。ドライバ4162は、ステープル4120とともに配備されるようにステープル4120に取り付けることができる。例えば各ドライバ4162は、例えばステープル4120の基部を受容するように構成されたトラフを有してもよく、その場合、各トラフは、圧入及び/又はスナップ嵌めにより、ステープル基部を受容するように構成することができる。
【0105】
上記に加えて、ドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170はカートリッジパン4180から射出されうる。例えば、スレッド4170がカートリッジパン4180とドライバホルダ4160との間で摺動することができることにより、スレッド4170が前進させられてステープルドライバ4162及びステープル4120を上方に押し上げる際、スレッド4170は、ドライバホルダ4160も同様にカートリッジパン4180の外部へ上方に動かすことができる。例えば、ドライバホルダ4160及び/又はスレッド4170は、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの生体吸収性材料で構成することができる。スレッド4170は、ステープルカートリッジ4100を通じてスレッド4170を押すドライババー又は切断部材と一体的に形成するか、かつ/又はこれに取り付けることができる。そのような場合、スレッド4170はカートリッジパン4180から射出されなくてもよく、外科用ステープラとともに留まりうるが、スレッド4170がドライババーに取り付けられない他の場合では、スレッド4170は手術部位に残置されてもよい。いずれの場合も、上記に加えて、カートリッジ本体4110の圧縮性のために、ステープラのアンビルが閉じられる際にカートリッジ本体4110が圧縮又は収縮しうることから、より厚いステープルカートリッジを外科用ステープラのエンドエフェクタ内において使用することができる。アンビルが閉じる際にステープルが少なくとも部分的に変形される結果、例えば、約4.6mm(0.18”)のステープル高さを有するステープルのようなより高いステープルを使用することが可能であり、その場合、ステープル高さの約3.0mm(0.12”)を圧縮可能な層4110内に配置することができ、圧縮可能な層4110は例えば約3.6mm(0.14”)の非圧縮高さを有しうる。
【0106】
次に
図77〜80を参照すると、例えばステープルカートリッジ4200のようなステープルカートリッジは、圧縮可能なカートリッジ本体4210、その内部に配置された複数のステープル4220、及び複数の可撓性側部支持部材4234を含みうる。次に
図78を参照すると、ステープルカートリッジ4200は、アンビル4240とステープルカートリッジ溝部材4230との間に配置され、側部支持部材4234はステープルカートリッジ溝部材4230に取り付けることができる。
図79に示されるように、アンビル4240が下方に動かされてカートリッジ本体4210を圧縮し、ステープル4220を少なくとも部分的に変形させる際、カートリッジ本体4210の側部は、横方向に膨らんで側部支持部材4234を外側に押しうる。例えば、側部支持部材4234はカートリッジ本体4210に取り付けてもよく、上記のようにカートリッジ本体4210が横方向に膨らむ際、
図79に示されるように、側部支持部材4234はカートリッジ本体4210から分離しうる。側部支持部材4234は、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤を使用してカートリッジ本体4210に接着することができる。上記と同様、アンビル4240が閉じることにより、ステープル4220が部分的にしか変形しない場合があり、その場合、ステープル4220の成形は、
図80に示されるようにステープルカートリッジ4200を通じた1つ又は2つ以上のスレッド4270の前進によって完了されうる。次に
図82及び
図83を参照すると、スレッド4270は切断部材4280によってステープルカートリッジ4200の近位端からステープルカートリッジ4200の遠位端へと前進させることができる。例えば、切断部材4280は、組織T及び/又は圧縮可能なカートリッジ本体4210を通じて前進させることができる切断要素又はナイフ4283を含みうる。切断部材4280は、ジョー4230及び4240の外側表面に沿って移動してジョーを動かすか又は定位置に保持することができるカム部材4282を有しうる。必要に応じて、上記の結果として、ステープル4220は、組織Tが切開されると同時又は少なくともほぼ同時にこれらの最終的な形状へと成形されうる。例えば、スレッド4270は、ナイフ4283に対して遠位に配置することができ、これにより組織Tは、例えば、組織の処置部分が完全にステープル留めされた場合にのみ切開される。
【0107】
再び
図82及び
図83を参照すると、スレッド4270は、切断部材4280によって一緒に前進させられる別個の摺動可能な部材を含みうる。例えば、スレッド4270をステープルカートリッジ4200内に収容し、切断部材4280を発射バー4281によってステープルカートリッジ4200内に前進させることができ、これにより、切断部材4280はスレッド4270と係合してスレッド4270を遠位方向に前進させる。スレッド4270は互いに連結されてもよい。いずれの場合も、各スレッド4270は、ステープル列内で整列されたステープル4220を持ち上げるように構成することができる角度付けされた表面又はカム4271を有しうる。角度付けされた表面4271は、切断部材4280と一体に形成することができる。再び
図82及び
図83を参照すると、各ステープル4200は、基部、基部から延びる少なくとも1つの変形可能な部材、並びに、基部及び/又はステープル4200の変形可能な部材の少なくとも一部の周囲にオーバーモールドされるかかつ/又は配置されたクラウン4229を有しうる。必要に応じて、このようなクラウン4229は、例えばスレッド4270によって直接押されるように構成することができる。より詳細には、ステープル4220のクラウン4229は、スレッド4270の角度付けされた表面4271が下方で摺動し、それらの間にステープルドライバが配置されることなく、クラウン4229と直接接触するように構成することができる。このような場合、各クラウン4229は、スレッド4270の角度付けされた表面4271と係合することができる少なくとも1つの協働する角度付けされた、又は傾いた表面を有してもよく、これにより、スレッド4270がステープル4220の下で摺動する際に、協働する角度付けされた表面がステープル4220を上方に押すことができる。
【0108】
次に
図81を参照すると、例えばステープルカートリッジ4300のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な本体4310及び圧縮可能な本体4310内に配置された複数のステープル4320を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ4300は、ステープルカートリッジ溝部材に取り付けられるか、かつ/又は圧縮可能な本体4310に接着することができる可撓性の側部支持体4334を有しうる。上記に加えて、可撓性側部支持体4334は、側部支持体4334を一体に保持するように構成することができる1つ又は2つ以上の支材、又は連結部材4335によって互いに連結されうる。使用時には、連結部材4335は、側部支持体4334がカートリッジ本体4310から早期に分離することを防止又は少なくとも抑制するように構成することができる。連結部材4335は、ステープルカートリッジ4300がアンビルによって圧縮された後に、側部支持体4334を一体に保持するように構成することができる。このような場合、側部支持体4334は、カートリッジ本体4310の側部の横方向への膨らみ又は変位に抗することができる。例えば、切断部材4280のような切断部材は、切断部材4280がカートリッジ本体4310内で遠位方向に動く際に連結部材4335を切断するように構成することができる。例えば、切断部材4280は、スレッド4270などの1つ又は2つ以上のスレッドを例えば遠位方向に押すことによってステープル4320をアンビルに押しつけて成形するように構成することができる。スレッド4270は、連結部材4335に隣接するステープル4320が完全に成形されるか又は少なくとも所望の高さに成形されるまで切断部材4280がその連結部材4335を切断しないように切断刃4283を導くことができる。様々な状況において、連結部材4335は、側部支持体4334と協働して圧縮可能なカートリッジ本体4310の横方向の動きを防止するか又は少なくとも低減することができ、同時に、カートリッジ本体4310内に配置されたステープル4320の横方向の動きを防止するか又は少なくとも低減することができる。特定の状況において、連結部材4335は、ステープル4320が変形されるまでステープル4320を定位置に保持することができ、連結部材4335はその後切断されてカートリッジ本体4310の側部が解放されうる。上記のように、側部支持体4334は、ステープルカートリッジ溝部材と連結することも可能であり、その結果、ステープルカートリッジ4300が移植された後に側部支持体4334をステープルカートリッジ溝部材とともに手術部位から取り出すことができる。側部支持体4334は、移植可能な材料で構成し、手術部位に残置させることもできる。連結部材4335はカートリッジ本体4310と組織Tとの間に配置され、連結部材4335が側部支持体4334から分離された後に連結部材4335を患者の体内に移植したままとすることができる。例えば、連結部材4335は移植可能な材料で構成することができ、連結部材4335は例えば側部支持体4334と同じ材料で構成することができる。連結部材4335及び/又は側部支持体4334は、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの可撓性生体吸収性材料で構成することができる。本発明によれば、連結部材は側部支持体4334を連結する材料のシートを有しうる。ステープルカートリッジは、カートリッジ本体4310の上面にわたって延びる連結部材と、更にカートリッジ本体4310の底面の周囲に延びる連結部材とを含みうる。
【0109】
次に
図84を参照すると、ステープルカートリッジは、クラウン部分に挿入されたワイヤ部分を含みうるステープル4420のようなステープルを有しうる。ワイヤ部分は、例えば、チタン及び/ステンレススチールなどの金属、並びに/又は、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/若しくはポリグリコール酸などのプラスチックで構成することができる。クラウン部分は、例えば、チタン及び/ステンレス鋼などの金属、並びに/又は、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などのプラスチックで構成することができる。各ステープル4420のワイヤ部分は、基部4422及び基部4422から延びる変形可能な脚4421を有してもよく、各ステープル4420のクラウン部分は、基部4422の少なくとも一部を内部に受容するように構成することができるクラウン4429を含みうる。次に
図85A〜85Cを参照すると、各ステープル4420の各部分を組み立てるには、ワイヤ部分の脚4421をクラウン4429の開口部4426内に挿入すればよく、その場合、開口部4426は、脚4421を基部チャンバ4427に案内するように構成することができる。ワイヤ部分を更にクラウン4429内に挿入することにより、脚4421が基部チャンバ4427を脱出し、ワイヤ部分の基部4422が基部チャンバ4427内に入る。例えば、基部チャンバ4427を、基部4422が基部チャンバ4427に入る際にクラウン4429内でワイヤ部分が回転するように構成することができ、これにより、ステープル脚4421は上方向又は少なくともほぼ上方向に向けられる。再び
図84を参照すると、クラウン4429は、内部にステープル脚4421を受容するように構成することができる出口孔4425を有しうる。
【0110】
上記に加えて、外科用ステープラは、ステープルカートリッジ4400及びステープルカートリッジ溝部材4430を横断して、カートリッジ本体4410内に収容されたステープル4420をアンビルの方向に動かすように構成されたスレッド4470を有しうる。様々な状況において、スレッド4470は、ステープルカートリッジ溝部材4430の近位端からカートリッジ溝部材4430の遠位端へと動かされることによって、カートリッジ本体4410及びステープル4420を移植することができる。特定の状況において、スレッド4470をカートリッジ溝部材4430の近位端にまで後退させるか又は戻すことができ、別のステープルカートリッジ4400をカートリッジ溝部材4430内に挿入することができる。新しいステープルカートリッジ4400がカートリッジ溝部材4430内に配置された時点で、スレッド4470を再び遠位方向に前進させることができる。外科用ステープラは、新しいカートリッジ4400がカートリッジ溝部材4430内に配置されないまま、スレッド4470が遠位方向に再び前進させられることを防止することができる1つ又は2つ以上のロックアウト機構を有しうる。例えば、再び
図84を参照すると、ステープルカートリッジ溝部材4430は、スレッド4470のこのような遠位方向の動きを防止するか又は少なくとも制限するように構成することができるロックアウト肩部4439を含みうる。より詳細には、スレッド4470は、例えばステープルカートリッジ4400内の最も近位のステープル4420間に延在する持ち上げ機構4428によって、スレッド4470が肩部4439上に少なくとも部分的に上方に持ち上げられない限りは、肩部4439と当接するように構成することができる。換言すれば、新しいステープルカートリッジ4400内に最も近位のステープル4420が存在しなければ、ステープル4470を前進させることはできない。したがって、カートリッジ溝部材4430内に使用済みのステープルカートリッジ4400が存在するか、又はカートリッジ溝部材4430内にステープルカートリッジ4400がまったく存在しない場合、スレッド4470をカートリッジ溝部材4430内で前進させることはできない。
【0111】
図86を参照すると、上記に加えて、例えばステープルカートリッジ4500のようなステープルカートリッジをステープルカートリッジ溝部材4530内に配置することができ、ステープルカートリッジ4500は、圧縮可能なカートリッジ本体4510、カートリッジ本体4510内に配置された複数のステープル4520、及びカートリッジパン又はリテーナ4580を含みうる。圧縮可能なカートリッジ本体4510は、外側層4511及び内側層4512を含んでよく、外側層4511は、内側層4512を封止状態で封入することができる。例えば、外側層4511は内側層4512とカートリッジパン4580との間に延在してよい。外側層4511は内側層4512を部分的にのみ包囲すればよく、例えば、外側層4511とカートリッジパン4580とが協働して、内側層4512を包囲又は少なくともほぼ包囲することができる。上記に加えて、ステープル4520は、カートリッジパン4580によって支持されてもよく、カートリッジパン4580はステープル4520を支持するように構成された1つ又は2つ以上のステープル支持溝部材を含みうる。カートリッジパン4580は、カートリッジ本体4510に取り付けられてもよく、その場合、例えばカートリッジ本体4510は、カートリッジパン4580の対向する側壁の間で横方向に圧縮されうる。カートリッジパン4580の側壁は、カートリッジ本体4510を横方向に支持することが可能であり、例えば、カートリッジパン4580は下方支持体4583からカートリッジ本体4510まで上方に延びる1つ又は2つ以上の壁又はフィン4582を含みうる。例えば、カートリッジ本体4510は、壁4582を受容するか、かつ/又はこれと嵌まり合うように構成することができる1つ又は2つ以上のスロット又は溝部材を内部に有してもよい。壁4582は、カートリッジ本体4510の一部又はほぼ全体を貫通して延びうる。例えば、壁部4582は、第1のステープル列4520と第2のステープルの列4520との間で、ステープルカートリッジ4500を長手方向に貫通して延びてよい。
【0112】
カートリッジ本体4510及び/又はカートリッジパン4580は、カートリッジパン4580とカートリッジ本体4510との間のスナップ嵌めを与える、協働する保持機構を有してもよい。ステープルカートリッジ4500は、カートリッジ溝部材4530内に配置されてもよく、これにより、カートリッジパン4580は、カートリッジ溝部材4530に接して配置されるか、及び/又はこれに取り付けられる。カートリッジパン4580はカートリッジ溝部材4530に分離可能に連結されてもよく、これにより、ステープルカートリッジ4500がアンビル4540によって圧縮されてステープル4520が変形された後、カートリッジパン4580をカートリッジ溝部材4530から分離することができ、カートリッジ本体4510とともに移植することができる。例えば、カートリッジパン4580は、商品名Vircylで販売されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで販売されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などの生体吸収性材料で構成することができる。外科用ステープラは、カートリッジパン4580をカートリッジ溝部材4530から持ち上げるか又は射出するように構成することができる、ステープルカートリッジ溝部材4530とカートリッジパン4580の底部駆動表面との間で摺動されうる発射機構及び/又はドライバを更に有してもよい。カートリッジ本体4510はカートリッジパン4580と分離可能に連結することが可能であり、これにより、ステープルカートリッジ4500がアンビル4540によって圧縮されてステープル4520が変形された後にカートリッジ本体4510をカートリッジパン4580から分離することができる。例えば、カートリッジパン4580は、カートリッジ溝部材4530と固定的に嵌合した状態に維持されてもよく、これにより、カートリッジパン4580をカートリッジ溝部材4530とともに手術部位から取り出すことができる。外科用ステープラは、カートリッジ本体4510をカートリッジパン4580から持ち上げるか又は射出するように構成することができる、ステープルカートリッジパン4580とカートリッジパン4510の底部駆動表面との間で摺動されうる発射機構及び/又はドライバを更に含みうる。例えば、ステープルカートリッジ4500は、カートリッジパン4580とステープル4520との間に配置されたステープルドライバを更に有してもよく、これにより、発射機構が遠位方向に摺動される際、ステープルドライバ及びステープル4520がアンビルの方向に上方に押されうる。例えば、ステープルドライバは少なくともその一部が圧縮可能なカートリッジ本体4510内に埋め込まれうる。
【0113】
必要に応じて、上記と同様、ステープルカートリッジ4500は、未発射ステープルカートリッジ4500がステープルカートリッジ溝部材4530内に配置されない限り、切断部材の遠位方向への動きを防止するか又は少なくとも制限するように構成することができるロックアウト機構を含みうる。ステープルカートリッジパン4580は、例えば、ステープルカートリッジ溝部材4530内で切断部材を上方かつ固定表面上に持ち上げる表面を有しうる。カートリッジパン4580を含むステープルカートリッジ4500がカートリッジ溝部材4530内に存在しない場合、切断部材を前進させることはできない。ステープルカートリッジ4500内の最も近位のステープル、及び/又は他の任意の適当なステープルは、固定表面上に切断部材を充分に持ち上げることができる持ち上げ表面を含みうる。上記に加えて、又はその代わりに、ステープルカートリッジ4500の異なる部分を異なる色を有する材料で構成することができる。このような場合、外科医は未発射及び/又は発射済みステープルカートリッジが、ステープルカートリッジ溝部材4530内に存在する場合に、これを視覚的に特定することができる。例えば、カートリッジ本体4510の外側層4511は第1の色を有してよく、カートリッジパン4580は第2の色を有してよく、ステープルカートリッジ溝部材4530は第3の色を有してよい。第1の色が見える場合、外科医は非発射のカートリッジ4500がステープルカートリッジ溝部材4530内に存在していることを知ることができ、第2の色が見える場合、外科医は発射済みカートリッジ4500がステープルカートリッジ溝部材4530内に存在しており、残留するカートリッジパン4580を取り出す必要があることを知ることができ、第3の色が見える場合、外科医は、ステープルカートリッジ4500のいずれの部分もカートリッジ溝部材4530内に残留していないことを知ることができる。
【0114】
次に
図87を参照すると、例えばステープルカートリッジ4600のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な移植式カートリッジ本体4610及び内部に配置された複数のステープル4620を有しうる。カートリッジ本体4610は、外側層4611及び内側層4612を有しうる。内側層4612は、カートリッジ本体4610の圧潰を促すことができる例えば内部に画定されたポケット又はキャビティ4615のような複数のポケットを含みうる。例えば、内側層4612は、圧縮力又は圧力が一定の閾値を上回らない範囲において、圧縮力又は圧力に耐えるように構成することができる波形又はハニカム状の格子を有してもよい。閾値を上回らない場合、内側層4612は、作用する圧縮力又は圧力に対して直線的又は少なくともほぼ直線的な速度で変形しうる。圧縮力又は圧力が閾値を上回った後、内側層4612は、圧縮荷重の結果、大きな撓曲に対して急に降伏して圧潰又は座屈する場合がある。内側層4612の格子は、互いに連結されうる複数の副層4612aを含みうる。各副層4612aは、交互に配された複数の谷部及び山部、すなわち波形部を有してよく、これらの谷部及び山部は、隣接する副層4612aの交互に配された谷部及び山部と整列されうる。例えば、第1の副層4612aの谷部を第2の副層4612aの山部と隣接して配置することができ、同様に、第1の副層4612aの山部を第2の副層4612aの谷部と隣接して配置することができる。隣接する副層4612aは、例えば、フィブリン及び/又はタンパク質ヒドロゲルなどの少なくとも1種類の接着剤によって互いにかつ/又は外側層4611に接着されうる。
図88は、カートリッジ本体4610が圧し潰され、ステープル4620が変形されることによって組織Tを捕捉し、カートリッジ本体4610に接して保持した後のステープルカートリッジ4600を示している。
【0115】
図89〜91を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ4700のようなステープルカートリッジは、圧縮可能な移植式カートリッジ本体4710、及びカートリッジ本体4710内に配置された複数のステープル4720を有しうる。上記と同様、カートリッジ本体4710は外側層4711及び内側層4712を含んでよく、その場合、内側層4712は複数の副層4712aを含みうる。上記と同様、各副層4712aは、交互に配された谷部4717及び山部4718を含んでよく、これらの谷部4717及び山部4718は互いに整列されることによってそれらの間にポケット又はキャビティ4715を画定しうる。例えば、谷部4717及び/又は山部4718は、互いに平行であり、かつ/又は長手方向軸4709と平行な軸に沿って延びうる。ステープル4720は、互いに平行でありかつ/又は長手方向軸4709と平行な軸に沿って延びうる複数のステープル列内で整列されうる。あるいは、再び
図87及び
図88を参照すると、カートリッジ本体4600内に収容されたステープル4620は、副層4612aの谷部及び山部によって画定される軸に対して横方向又は垂直な軸に沿って延びうる。
図89〜91を再び参照すると、ステープル4720は谷部4717及び山部4718を通じて延びてよく、ステープル4720と副層4712aとの間の摩擦力が、ステープル4720をカートリッジ本体4710内に保持することができる。複数の副層4712aは、例えば、
図89及び
図90に示されるようにステープル4720を直立方向に保持し、かつ/又はステープル4720を互いに対して整列させるように構成することができるバットレス材料及び/又はプラスチック材料、例えば、ポリジオキサノン(PDS)及び/又はポリグリコール酸(PGA)などで構成することができる。
図91は、カートリッジ本体4710が圧し潰され、ステープル4720が変形されることによって組織Tを捕捉し、カートリッジ本体4700に対して保持した後のステープルカートリッジ4710を示している。
【0116】
再び
図89〜91を参照すると、カートリッジ本体4710は圧縮される際、弾力的に又は弾性的に圧し潰されうる。例えば、谷部4717及び山部4718によって各副層4712a内に形成される波形部は、カートリッジ本体4710が圧縮される際に平坦化するか、又は少なくともほぼ平坦化され、これにより、それらの間に画定されるキャビティ4715が圧し潰されるか又は少なくともほぼ圧し潰されうる。様々な状況において、圧縮力又は圧力がカートリッジ本体4710から取り除かれた後、カートリッジ本体4710又はカートリッジ本体4710の少なくとも一部が弾力的又は弾性的に再膨張しうる。例えば、カートリッジ本体4710が圧縮される際、隣接する副層4712aの谷部4717と山部4718との間の連結が完全又はほぼ完全な状態に維持されうることにより、圧縮力がカートリッジ本体4710から取り除かれた後、副層4712aはこれらを互いから離れる方向に付勢することができ、その結果、カートリッジ本体4710が少なくとも部分的に再膨張しうる。カートリッジ本体4710は圧縮される際、塑性的に変形又は圧壊し、その結果、カートリッジ本体4710から圧縮力又は圧力が取り除かれた後にカートリッジ本体4710が再膨張しない場合もある。
図92を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ4800のようなステープルカートリッジは、外側層4811及び内側層4812を有する圧壊可能なカートリッジ本体4810を有してもよく、その場合、内側層4812は、複数のポケット又はキャビティ4815が内部に画定された波形のハニカム状の格子を有しうる。内側層4812の格子を画定する壁は、カートリッジ本体4810が圧縮される際に、格子を画定する壁が破断することを可能とするように構成することができる1つ又は2つ以上の脆弱化された、又は薄い断面4819を有しうる。このような状況では、カートリッジ本体4810は、ステープルカートリッジ4800が移植される際に圧壊しうる。
【0117】
次に
図93〜95を参照すると、例えばステープルカートリッジ4900のようなステープルカートリッジは、外側層4911、及び外側層4911の上部と下部との間に配置された複数の圧潰可能要素4912を含むカートリッジ本体4910を含みうる。主に
図93及び
図94を参照すると、ステープルカートリッジ4900は、複数のステープル4920を更に有してもよく、その場合、各ステープル4920は圧潰可能要素4912内に配置されうる。より詳細には、各圧潰可能要素4912は、第1の部分4912a、第2の部分4012b、及び第3の部分4012cを含んでよく、これらは協働して、ステープル4920を受容するように構成されたキャビティ4915を内部に画定しうる。上記に加えて、使用時には、ステープルカートリッジ4900はステープルカートリッジ溝部材内に配置され、組織接触表面4919に圧縮力が加えられることによってカートリッジ本体4910が圧縮されうる。組織接触表面4919が下方に動かされるにしたがって圧潰可能要素4912は圧し潰れることができる。このような状況では、圧潰可能要素4912の第2の部分4912bは、対応する第1の部分4912a内に圧し潰れることができ、同様に、各圧潰可能要素4912の第3の部分4912cは、対応する第2の部分4912b内に圧し潰れることができる。カートリッジ本体4910が圧縮され、圧潰可能要素4912が圧し潰されると、圧潰可能要素4912内に配置されたステープル4920は、
図95に示されるように変形されうる。各圧潰可能要素4912の第2の部分4912bは、対応する第1の部分4912a内に摩擦を介して嵌合及び/又は圧入され、これにより、圧潰可能要素4912に加えられる圧縮力が、第1の部分4912a及び第2の部分4912bをその延長位置(
図94)に保持する保持力を上回ると、第1の部分4912aと第2の部分4912bとは互いに対して摺動し始める。同様に、各圧潰可能要素4912の第3の部分4912cは、対応する第2の部分4912b内に摩擦を介して嵌合及び/又は圧入され、これにより、圧潰可能要素4912に加えられる圧縮力が、第2の部分4912b及び第3の部分4912cをその延長位置(
図94)に保持する保持力を上回ると、第2の部分4912bと第3の部分4912cとは互いに対して摺動し始める。
【0118】
本明細書に述べられるように、ステープルカートリッジは、内部に複数のステープルを有しうる。必要に応じて、このようなステープルは、2本のステープル脚を有するほぼU字型の形態に変形される金属ワイヤで構成することができる。ステープルが、3本以上のステープル脚を有する互いに連結された2本以上のワイヤなどの異なる形態を有する代替例も考えられる。ステープルを形成するために使用されるワイヤは、丸いか又は少なくともほぼ丸い断面を有しうる。ステープルワイヤは、例えば正方形及び/又は長方形の断面などの他の任意の適当な断面を有しうる。ステープルは、プラスチックワイヤで構成することができる。ステープルは、プラスチックコーティングされた金属ワイヤで構成することができる。本発明によれば、カートリッジは、ステープルに加えて、又はその代わりに、任意の適当な種類の締結具を含んでもよい。例えば、このような締結具は、アンビルと係合する際に折り畳まれる枢動可能なアームを含みうる。2つの部分からなる締結具を使用することができる。例えば、ステープルカートリッジは複数の第1の締結部分を含んでよく、アンビルはステープルカートリッジに対して圧縮される際に第1の締結部分と連結される複数の第2の締結部分を有することができる。上記のように、スレッド又はドライバをステープルカートリッジ内で前進されることによってステープルの成形プロセスを完了することができる。スレッド又はドライバをアンビル内で前進させることによって、1つ又は2つ以上の成形部材を下方に動かして、内部に配置された対向するステープルカートリッジ及びステープル又は締結具と係合させることができる。
【0119】
本明細書において述べられるように、ステープルカートリッジは、内部に格納された4列のステープルを有しうる。4つのステープル列は、2つの内側ステープル列及び2つの外側ステープル列として配列することができる。例えば、1つの内側ステープル及び1つの外側ステープル列をステープルカートリッジ内の切断部材又はナイフスロットの第1の側部に配置することができ、同様に、1つの内側ステープル列及び1つの外側ステープル列を切断部材又はナイフスロットの第2の側部に配置することができる。ステープルカートリッジは切断部材スロットを有さなくともよいが、このようなステープルカートリッジは、ステープルカートリッジスロットの代わりに、切断部材によって切開されるように構成された指定部分を有しうる。各内側ステープル列は、ステープルカートリッジ内において、切断部材スロットから均等又は少なくともほぼ均等に離間するように配置することができる。同様に、各外側ステープル列は、ステープルカートリッジ内において、切断部材スロットから均等又は少なくともほぼ均等に離間するように配置することができる。本発明によれば、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ内に格納された4列よりも多いか又は少ないステープルを含みうる。ステープルカートリッジは、6列のステープルを有しうる。例えば、ステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1の側部に3列のステープルを有し、切断部材スロットの第2の側部に3列のステープルを有することができる。ステープルカートリッジは、奇数のステープル列を有してもよい。例えば、ステープルカートリッジは、切断部材スロットの第1の側部に2列のステープルを有し、切断部材スロットの第2の側部に3列のステープルを有することができる。ステープル列は、同じか又は少なくともほぼ同じ未成形のステープル高さを有することができる。あるいは、1つ又は2つ以上のステープル列が、他のステープルとは異なる未成形のステープル高さを有するステープルを含んでもよい。例えば、切断部材スロットの第1の側部のステープルが第1の未成形高さを有してよく、切断部材スロットの第2の側部のステープルが第1の高さとは異なる第2の未成形高さを有してよい。
【0120】
図96A〜96Dを参照すると、外科用ステープラのエンドエフェクタは、例えば、ステープルカートリッジ5030のようなカートリッジ取り付け部分、ステープルカートリッジ5000のような、ステープルカートリッジ溝部材5030内に着脱可能に配置された締結具カートリッジ、並びに、ステープルカートリッジ5000及びステープルカートリッジ溝部材5030に対向して配置されたジョー5040を含みうる。ステープルカートリッジ5000は、圧縮可能な本体5010、及び複数のステープル5020、並びに/又は少なくとも一部が圧縮可能な本体5010内に配置された他の任意の適当な締結具を含みうる。例えば、各ステープル5020は、基部5022、更に基部5022から上方に延びる脚5021を含むことができ、その場合、脚5021の少なくとも一部はカートリッジ本体5010内に埋め込まれうる。圧縮可能な本体5010は、上面又は組織接触表面5019及び下面5018を有してよく、下面5018は、ステープルカートリッジ溝部材5030の支持表面5031に接して配置され、支持表面5031により支持されうる。上記と同様、支持表面5031は、例えばステープル5020の基部5022を受容して支持するように構成することができる、内部に画定された複数の支持スロット5032(
図96D)を有することができる。外科用ステープラのエンドエフェクタは、例えばステープル5020と係合してそれらの間に組織を捕捉するように構成することができる、保持マトリックス5050のような保持マトリックスを更に有することができる。例えば保持マトリックス5050は、ジョー5040に着脱可能に取り付けることができる。使用時には、カートリッジ5000がステープルカートリッジ溝部材5030内に配置された時点で、ジョー5040及びこれに取り付けられた保持マトリックス5050を、ステープルカートリッジ5000及びステープルカートリッジ溝部材5030の方向に動かすことができる。ジョー5040は軸5099に沿って下方に動かすことができ、これにより、ジョー5040が閉じられる際、ジョー5040とステープルカートリッジ溝部材5030とは互いに平行又は少なくともほぼ平行な状態に維持される。より詳細には、ジョー5040は、ジョー5040がステープルカートリッジ5000の方向に動かされる際、保持マトリックス5050の組織接触表面5051がステープルカートリッジ5000の組織接触表面5019と平行又は少なくともほぼ平行であるようにして閉じることができる。
【0121】
次に
図96Aを参照すると、保持マトリックス5050は、ジョー5040に取り付けられる際、保持マトリックス5050とジョー5040との間にほとんど(あるとしても)相対運動がないようにジョー5040に分離可能に固定されうる。ジョー5040は、保持マトリックス5050を定位置に保持するように構成することができる1つ又は2つ以上の保持機構を含みうる。例えば、保持マトリックス5050は、ジョー5040内にスナップ嵌め及び/又は圧入することができる。保持マトリックス5050は、少なくとも1種類の接着剤を使用してジョー5040に接着することができる。いずれの場合も、ジョー5040は、保持マトリックス5050が組織Tと接触し、組織Tがステープルカートリッジ5000の組織接触表面5019に接して配置されるような位置に動かすことができる。組織Tがジョー5040によってステープルカートリッジ5000に接して配置される際、ステープルカートリッジ5000の圧縮可能な本体5010は、ジョー5040によって圧縮されても、されなくてもよい。いずれの場合も、ステープル5200の脚5021は、
図96Aに示されるように、ステープルカートリッジ5000の組織接触表面5019を貫通して突出せずともよい。更に、やはり
図96Aに示されるように、ジョー5040は、保持マトリックス5050をステープル5020と係合させることなく、圧縮可能な本体5010に対して組織Tを保持することができる。これらの構成により、外科医は、例えば組織Tを損傷することなく、ジョー5040を複数回開閉することによって手術部位内でエンドエフェクタの望ましい位置を得ることができる。しかしながら、カートリッジ本体5010がアンビル5040によって圧縮される前にステープル先端部5023が組織接触表面5019から突出しうる代替例も考えられる。次に
図96Bを参照すると、エンドエフェクタが適当に配置された時点で、ジョー5040をステープルカートリッジ溝部材5030に向かって下方に動かすことができ、これにより、圧縮可能な本体5010はアンビル5040によって圧縮され、組織接触表面5019がステープル5020に対して下方に押される。組織接触表面5019が下方に押されると、ステープル脚5021の先端部5023が組織接触表面5019を貫通し、更に組織Tの少なくとも一部に貫通しうる。そのような状況では、保持マトリックス5050の保持開口部5052がステープル脚5021の先端部5023と整列するか又は少なくともほぼ整列するようにして保持マトリックス5050をステープル5020の上に配置することができる。
【0122】
次に
図96Cを参照すると、保持マトリックス5050が軸5099に沿って下方に押されるにしたがって、ステープル5020のステープル脚5021が保持開口部5052内に進入しうる。ステープル脚5021は、保持開口部5052の側壁と係合しうる。下記により詳細に述べるように、保持マトリックス5050は、ステープル脚5021と係合しうる、保持開口部5052内及び/又は周囲に延びる1つ又は2つ以上の保持部材を含みうる。いずれの場合も、ステープル脚5021を保持開口部5052内に保持することができる。様々な状況において、ステープル脚5021の先端部5023は、保持開口部5052内に進入することができ、開口部5052の保持部材及び/又は側壁と摩擦を介して係合しうる。保持マトリックス5050がステープル5020の基部5022の方向に押されるにしたがって、ステープル脚5021は側壁及び/又は保持部材に対して摺動することができる。上記の結果、ステープル脚5021と保持マトリックス5050との間に摺動摩擦力が生じうるが、このような摺動摩擦力は、保持マトリックス5050のステープル5020上への挿入に抗しうるものである。保持マトリックス5050とステープル5020との間の摺動摩擦力は、ステープル5020のステープル脚5021に沿って保持マトリックス5050が下方に摺動する際に一定又は少なくともほぼ一定でありうる。例えば、ステープル脚5021、保持開口部5052、及び/又は保持開口部5052内にかつ/又は周囲に延びる保持部材の形状の変動のため、保持マトリックス5050がステープル脚5021に沿って下方に摺動する際に、摺動摩擦力は増加及び/又は減少しうる。保持マトリックス5050のステープル5020上への挿入はまた、ステープルカートリッジ5000の圧縮可能な本体5010による抵抗も受けうる。より詳細には、圧縮可能な本体5010は、圧縮可能な本体5010が圧縮される距離が増加するのにともなって増加する抵抗力を保持マトリックス5050に加えることができる例えば弾性材料で構成することができる。例えば、カートリッジ本体5010によって生じる抵抗力の増大は、カートリッジ本体5010が圧縮される距離に直線的に比例、又は少なくともほぼ直線的に比例しうる。カートリッジ本体5010によって生じる抵抗力の増加は、カートリッジ本体5010が圧縮される距離に対して幾何級数的に比例してもよい。
【0123】
上記に加えて、充分な発射力をジョー5040及び保持マトリックス5050に作用させることによって上記の抵抗及び摩擦力を克服することができる。使用時には、保持マトリックス5050は、ステープル5020に対して任意の適当な深さに配置されうる。保持マトリックス5050をステープル5020の基部5022に対して所定の深さで配置することによって、組織の2つ以上の層を互いに固定し、組織内部に圧縮力又は圧力を生じさせることができる。様々な状況において、保持マトリックス5050及びステープル5020を含むシステムは、外科医が保持マトリックス5050が配置される深さを選択することによって、組織に加えられる圧縮力又は圧力の量を選択することを可能とするものである。保持マトリックス5050は、支持スロット5032の底部から一定の深さ5011に保持マトリックス5050が位置するまでステープル5020のステープル基部5022に向かって下方に押されてよく、その場合、より短い深さ5011では、組織Tに加えられる圧縮力又は圧力がより低くなりうる、より高い深さ5011と比較して、より高い圧縮力又は圧力が組織Tに作用することになる。組織Tに作用する圧縮力又は圧力は、保持マトリックス5050が配置される深さ5011に対して直線的に比例するか、又は少なくともほぼ直線的に比例しうる。様々な状況において、組織Tに作用する圧縮力又は圧力は、保持マトリックス5050とステープルカートリッジ5020との間に配置される組織Tの厚さに依存しうる。より詳細には、所定の距離5011では、より厚い組織Tの存在により、より薄い組織Tよりも高い圧縮力又は圧力が生じうる。
【0124】
上記に加えて、様々な状況において、外科医は、保持マトリックス5050が配置される深さを調節することによって、エンドエフェクタ内に配置された、より厚い及び/又はより薄い組織に適合させて、組織の厚さにかかわらず組織Tに一定又は所定の圧力を作用させることができる。例えば、外科医は、より薄い組織Tを締結する際にはより短い深さ5011に、又はより厚い組織Tを締結する際にはより高い深さ5011に保持マトリックス5050を配置することによって、組織内部において同じか又はほぼ同じ圧縮圧力を得ることができる。上記に加えて、外科医は、保持マトリックス5050とステープルカートリッジ5010との間に配置された組織Tに作用する圧縮圧力の量を選択的に決定することもできる。様々な状況において、外科医は保持マトリックス5050をステープル5020と係合させ、保持マトリックス5050をステープル5020の基部5022から第1の距離だけ離れた位置に配置することによって、組織に第1の圧縮圧力を作用させることができる。あるいは、外科医は、第1の距離よりも短い第2の距離だけ基部5022から離れた位置に保持マトリックス5050を配置することによって、組織に第1の圧力よりも高い第2の圧縮圧力を作用させることができる。あるいは、外科医は、第2の距離よりも短い第3の距離だけ基部5022から離れた位置に保持マトリックス5050を配置することによって、組織に第2の圧力よりも高い第3の圧縮圧力を作用させることができる。保持マトリックス5050及びステープル5020を含む締結システムは、外科医が標的組織に広範な圧縮圧力を作用させることができるように構成することができる。
【0125】
次に
図96Dを参照すると、ステープル脚5021は、ステープル脚先端部5023が、保持マトリックス5050の上面の上に延びるように、保持マトリックス5050を貫通して挿入することができる。再び
図96Cを参照すると、ジョー5040は更に、ステープル先端5023が保持マトリックス5050内の保持開口部5052を通過する際に、ステープル脚先端5023を受容するように構成することができる隙間開口部5042がその内部に画定されてもよい。例えば、隙間開口部5042は、脚5021がジョー5040と接触しないように保持開口部5052と整列することができる。隙間開口部5042は、保持マトリックス5050が配置される距離にかかわらず、ステープル脚5021がジョー5040と接触しないような充分な深さを有することができる。次に
図96Dを参照すると、保持マトリックス5050がステープル5020と係合して望ましい位置に配置された後、ステープルカートリッジ溝部材5030及びジョー5040を組織Tから離れる方向に動かすことができる。より詳細には、ステープルカートリッジ溝部材5030を、移植されたステープルカートリッジ5000から分離することができ、アンビル5040を、移植された保持マトリックス5050から分離することができる。ジョー5040が保持マトリックス5050から離れる方向に動かされ、ステープル支持体5032がステープル基部5022から離れる方向に動かされる際、保持マトリックス5050と基部5022の底部との間の距離5011は、ジョー5040及びステープルカートリッジ溝部材5030がもはやそこに支持を与えていないにもかかわらず、維持されうる。ステープル脚5021と保持マトリックス5050との間の静摩擦力は、圧縮されたカートリッジ本体5010及び/又は圧縮された組織Tによって保持マトリックス5050に対して作用する付勢力にもかかわらず、保持マトリックス5050を定位置に維持するうえで充分でありうる。例えば、カートリッジ本体5010は、圧縮された場合に、保持マトリックス5050とステープル5020とが離れる方向に押すように保持マトリックス5050及びステープル5020に対して弾性付勢力を作用させる弾力性材料で構成することができるが、このような動きはステープル脚5021と保持マトリックス5050との間の摩擦係合によって妨げられる。
【0126】
必要に応じて、上記のように、保持マトリックスは複数の保持開口部を有してもよく、その場合、それぞれの保持開口部は内部に締結具脚を受容するように構成することができる。次に
図97を参照すると、外周部5156によって画定される保持開口部5152を有しうる保持マトリックス5150の一部が示されている。開口部5152の外周部5156は、円形又は少なくともほぼ円形の外形及び/又は他の任意の適当な外形を有しうる。保持マトリックス5150は、開口部5152内に延びて、締結具脚が挿通される際に締結具脚と係合するように構成することができる例えば保持部材5153のような1つ又は2つ以上の保持部材を有しうる。例えば、各保持部材5153は、中心軸5159に向かって、すなわち、開口部5152の中央に向かって内側に延びるカンチレバーを含みうる。必要に応じて、各カンチレバーは、保持マトリックス本体5158に取り付けられる第1の端部と、保持開口部5152の外周部5156を形成する第2の端部とを有しうる。保持開口部5152の外周部5156は、第1の直径又は幅によって規定することができ、締結具脚は、第2の直径又は幅によって規定することができ、第2の直径は第1の直径よりも大きくてよい。例えば、締結具脚は、保持部材5153の1つ又は2つ以上と接触してこれを撓曲させるように構成することにより、締結具脚が挿通される際に保持開口部5152の直径が大きくなりうる。上記に加えて、締結具脚は保持開口部5152の外周部5156よりも大きい外周部を画定してもよく、これにより、締結具脚が保持開口部5152に挿通される際に外周部5156を拡張することができる。
【0127】
図97を参照すると、開口部5152は、変形可能部材5153によって画定されてもよく、各変形可能部材5153は、他の変形可能部材5153に対して、又は独立して撓曲するように構成することができる。例えば、隣接する変形可能部材5153は、各変形可能部材5153が他の変形可能部材5153に対して撓曲できるように構成することができるスロット5154によって分離されうる。各スロット5154は、保持マトリックス本体5158内の第1の端部5155、保持開口部5152内に開く第2の端部開口部、及び第1の端部5155と第2の端部との間に延びる一定又は少なくともほぼ一定の幅を有しうる。あるいは、各スロット5154の幅は一定でなくともよく、各スロット5154はその第1の端部と第2の端部との間で幅が増大かつ/又は減少しうる。スロット5154の第1の端部5155は、1)保持マトリックス本体5158に取り付けられた変形可能部材5153の基部に歪み解放を与え、かつ、2)変形可能部材5153の可撓性を増大させるための手段を与えることができる円形部分などの拡大部分を有しうる。変形可能部材5153及び/又はスロット5154の形状は、変形可能部材5153に所望の可撓性を与えるように選択することができる。例えば、スロット5154を長くすることにより、より長さが短い変形可能部材5153よりも高い可撓性を有しうる、より長い変形可能部材5153が与えられる。各変形可能部材5153の幅は、その所望の可撓性を与えるように選択することができる。より詳細には、より薄い幅を有する変形可能部材は、より厚い幅を有する変形可能部材よりも高い可撓性を有しうる。
図97を参照すると、保持マトリックス本体5158に取り付けられた変形可能部材5153のカンチレバーの第1の端部は、カンチレバーの第2の端部よりも幅を広くすることができる。例えば、カンチレバーは、その第1の端部と第2の端部との間で直線的又は少なくともほぼ直線的にテーパ状に形成することができる。
【0128】
再び
図97を参照すると、保持マトリックス本体5158は、組織接触表面5151及び上面5157を有する平坦又は少なくともほぼ平坦な材料のシートを含みうる。例えば、組織接触表面5151及び上面5157は、互いに平行又は少なくともほぼ平行とすることができる。必要に応じて、各変形可能部材5153は、第1の部分5153a及び第2の部分5153bを有してもよく、その場合、第1の部分5153aは第1の方向に延びてよく、第2の部分5253bは異なる方向又は第2の方向に延びてよい。例えば、保持マトリックス本体5158は平面を画定してよく、変形可能部材5153の第1の部分5253aはその平面内に位置しうる。変形可能部材5153の第2の部分5153bは、第1の部分5153aに対して所定の角度をなして延びることができる。例えば、第2の部分5153bは、保持マトリックス本体5158の上面5157から離れる方向を向くように延びてよく、第2の部分5153bは、保持開口部5152の中心軸5159に向かって収束することができる。いずれの場合も、第2の部分5153bは、締結具脚が挿通される際に中心軸5159から離れる方向に撓曲するように構成することができる。ステープル5020のステープル脚5021が保持開口部5152内に挿入される場合、変形可能部材5153はステープル5120の基部5122から一般的に離れる方向に変形することができる。その結果、変形可能部材5153は、ステープル脚5021が挿入されつつある方向と同じか又は少なくともほぼ同じ一般的方向に撓曲しうる。
【0129】
図BDを参照すると、変形可能部材5153の第2の部分5153bはそれぞれ、ステープル脚5021が挿入される際にステープル脚5021と接して摺動するように構成することができる例えば鋭利な先端部を有してもよい。第2の部分5153bの鋭利な先端部は、ステープル脚5021が反対方向(すなわち、ステープル脚5021を保持開口部5052から引き抜く方向)に引かれる際にステープル脚5021に食い込むように構成することもできる。特定の状況では、第2の部分5153bは90°よりも大きい所定の角度でステープル脚5021の側面に対して傾斜してもよく、その結果、ステープル脚5021にステープル脚5021を保持開口部5052から引き抜こうとする力がかかると第2の部分5153bがステープル脚5021の側面に食い込むか又は入り込むことができる。ステープル脚5021はその表面に、例えばその中に変形部材5053の先端部を受容するように構成することができる例えば微小凹部のような凹み及び/又は凹部を有することができる。例えば、変形可能部材5053の先端部は、引き抜こうとする力がステープル脚5021に作用すると、ステープル脚5021の凹部に引っ掛かってこれに食い込むことができる。必要に応じて、第2の部分5153bがステープル脚5021内に食い込む結果、ステープル脚5021を保持開口部5022から引き抜くように働く力は、第2の部分5153bをステープル脚5021内により深く配置させるだけであり、ステープル脚5021を引き抜くために要する力を増大させうる。更に、第2の部分5153bが上方に傾斜していることにより、第2の部分5153bは、保持開口部5152内へのステープル脚5021の挿入をより容易とすると同時にステープル脚5021の引き抜きに対してはより大きな抵抗を与えうる。その結果、ステープル脚5021を保持開口部5022内に挿入するのに要する力は、ステープル脚5021を保持開口部5022から引き抜くのに要する力よりも小さくなりうる。例えば、ステープル脚5021を保持開口部5022から引き抜くのに要する力は、ステープル脚5021を保持開口部5022に挿入するのに要する力よりも約50%大きくてよい。あるいは、例えば、ステープル脚5021を引き抜くのに要する力は、ステープル脚5021を挿入するのに要する力よりも約10%〜100%大きくてもよい。例えば、ステープル脚5021を引き抜くのに要する力は、ステープル脚5021を挿入するのに要する力よりも約100%、約150%、約200%、及び/又は約200%超大きくてもよい。
【0130】
再び
図97を参照すると、第2の部分5153bは、開口部5152の周囲に周方向に配置され、それらの間にポケットを画定することができる。より詳細には、第2の部分5153bは、締結具脚が保持開口部5152に挿入される際に締結具脚の先端部を受容するように構成することができるポケット5160を画定することができる。例えば、変形可能部材5153の第2の部分5153bは、協働してポケット1560の環状又は少なくともほぼ環状の外形を画定することができる環状又は少なくともほぼ環状の外形を有しうる。例えば、第2の部分5153bは円錐又は切頭円錐状のポケットを画定しうる。ポケットは、適当な数の変形可能部材、例えば4つの変形可能部材5153(
図97)、6つの変形可能部材5153(
図98)、又は8つの変形可能部材5153(
図99)によって画定されうる。次に
図100を参照すると、保持マトリックス5250のような保持マトリックスの変形可能部材は、角錐形状又は少なくともほぼ角錐形状を形成しうる。本発明によれば、保持マトリックス5250は、外周部5256によって画定されうる、例えば保持開口部5252のような複数の保持開口部を有しうる。外周部5256は、多角形又は少なくともほぼ多角形の外形及び/又は他の任意の適当な外形を有しうる。保持マトリックス5250は、開口部5252内に延びて、締結具脚が挿通される際に締結具脚と係合するように構成することができる例えば保持部材5253のような1つ又は2つ以上の保持部材を有しうる。例えば、各保持部材5253は、中心軸5259に向かって、すなわち、開口部5252の中央に向かって内側に延びるカンチレバーを含みうる。必要に応じて、各カンチレバーは、保持マトリックス本体5258に取り付けられる第1の端部と、保持開口部5252の外周部5256を形成する第2の端部とを有しうる。保持開口部5252の外周部5256は、第1の直径又は幅によって規定することができ、締結具脚は、第2の直径又は幅によって規定することができ、第2の直径は第1の直径よりも大きくてよい。例えば、締結具脚は、保持部材5253の1つ又は2つ以上と接触してこれを撓曲させるように構成することにより、締結具脚が挿通される際に保持開口部5252の直径が大きくなりうる。上記に加えて、締結具脚は保持開口部5252の外周部5256よりも大きい外周部を画定してもよく、これにより、締結具脚が保持開口部5252に挿通される際に外周部5256を拡張することができる。
【0131】
図100を参照すると、開口部5252は、変形可能部材5253によって画定されてもよく、各変形可能部材5253は、他の変形可能部材5253に対して、又は独立して撓曲するように構成することができる。例えば、隣接する変形可能部材5253は、各変形可能部材5253が他の変形可能部材5253に対して撓曲できるように構成することができるスロット5254によって分離されうる。保持マトリックス本体5258は、組織接触表面5251及び上面5257を有する平坦又は少なくともほぼ平坦な材料のシートを含みうる。例えば、組織接触表面5251及び上面5257は、互いに平行又は少なくともほぼ平行とすることができる。必要に応じて、各変形可能部材5253は、第1の部分5253a及び第2の部分5253bを有してもよく、その場合、第1の部分5253aは第1の方向に延びてよく、第2の部分5253bは異なる方向又は第2の方向に延びてよい。例えば、保持マトリックス5258は平面を画定してよく、変形可能部材5253の第1の部分5253aはその平面内に位置しうる。変形可能部材5253の第2の部分5253bは、第1の部分5253aに対して所定の角度をなして延びることができる。例えば、第2の部分5253bは、保持マトリックス本体5258の上面5257から離れる方向を向くように延びてよく、第2の部分5253bは、保持開口部5252の中心軸5259に向かって収束することができる。いずれの場合も、第2の部分5253bは、締結具脚が挿通される際に中心軸5259から離れる方向に撓曲するように構成することができる。
図100を参照すると、第2の部分5253bは、開口部5252の周囲に周方向に配置され、それらの間にポケットを画定することができる。より詳細には、第2の部分5253bは、締結具脚が保持開口部5252に挿入される際に締結具脚の先端部を受容するように構成することができるポケットを画定することができる。例えば、変形可能部材5253の第2の部分5253bは、多角形又は少なくともほぼ多角形のポケットを画定することができる。ポケットは例えば、正方形を画定しうる4つの変形可能部材5253(
図100)、六角形を画定しうる6つの変形可能部材5253(
図101)、又は八角形を画定しうる8つの変形可能部材5253(
図102)などの任意の数の変形可能部材によって画定されうる。
【0132】
次に
図103を参照すると、例えば、保持マトリックス5350のような保持マトリックスは、例えばチタン及び/又はステンレスシートなどの平坦又は少なくともほぼ平坦な材料のシートから形成することができる。例えば、複数の開口部5352は、1又は2以上のスタンピングプロセスにより、保持マトリックス5350の本体5358に形成することができる。材料のシートは、スタンピングダイ内に置くことができ、こうしたスタンピングダイは作動されると材料の特定の部分を打ち抜くことによって、スロット5354、スロット5354の開口部5355、及び/又は保持開口部5352の外周部5356を形成することができる。スタンピングダイはまた、変形可能部材5353を適当な形態に曲げるように構成することもできる。例えば、スタンピングダイは、第2の部分5353bを、折り目線5353cに沿って第1の部分5353aに対して上方に変形することができる。次に
図104を参照すると、保持マトリックス5450のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部5452を有しうる。上記と同様、各保持開口部5452の外周部5456は、スロット又はスリット5454によって隔てられた複数の変形可能部材5453によって画定されうる。例えば、各変形可能部材5453の全体が上方に曲げられてもよく、その場合、変形可能部材5453を構成するカンチレバーの自由端が外周部5456を画定しうる。保持マトリックス5450は、保持開口部5452を囲むか又は少なくともほぼ囲む複数の開口部5455を有しうる。例えば、開口部5455は、変形可能部材5453のカンチレバーの固定端によって画定される外周を囲むか又はこれを包囲する円形の配列に配置することができる。各開口部5455は、円形又は少なくともほぼ円形の外周及び/又は他の任意の適当な外周を有しうる。使用時には、開口部5455は、1)保持マトリックス本体5458に取り付けられた変形可能部材5453の基部に歪み解放を与え、かつ、2)変形可能部材5453の可撓性を増大させるための手段を与えることができる。必要に応じて、より大きな開口部5455は、より小さい開口部5455と比較してより高い可撓性を変形可能部材5453に与えることができる。更に、変形可能部材5453により近い開口部5455は、より遠い開口部5455と比較してより高い可撓性を与えることができる。
【0133】
次に
図105を参照すると、保持マトリックス5550のような保持マトリックスは例えば複数の保持開口部5552を有しうる。各保持開口部5552は、拡大された円形又は少なくともほぼ円形の端部5555を有する長尺状スロット5554を有しうる。例えば、端部5555は、スロット5554よりも広い直径によって画定されうる。長尺状スロット5554及び端部5555は長手方向軸5559に沿って配置されるか、かつ/又は長手方向軸5559に沿って中心が合わせられる。スロット5554及び端部5555は、締結具脚が挿通される際に締結具脚と係合して撓曲するように構成することができる2つの対向するタブ5553を画定することができる。より大きな外周又は直径を有する端部5555は、より小さい外周又は直径を有する端部5555によって画定されるタブ5553よりも高い可撓性を有しうる、より長いタブ5553を画定することができる。端部5555は同じ外周及び直径を有してよく、例えば各タブ5553は、長手方向軸5559と垂直又は少なくともほぼ垂直な軸に対して対称でありうる。あるいは、端部5555は異なる外周及び/又は直径を有してもよく、その場合、各端部5553はその軸に対して対称でなくともよい。例えばタブ5553は、締結具脚が保持開口部5552に挿通される際にそれらの軸を中心として捩れてもよい。次に
図106を参照すると、保持マトリックス5650のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部5652を有しうる。各保持開口部5652は、円形又は少なくともほぼ円形の端部5655を有する長尺状スロット5654を有しうる。例えば、長尺状スロット5654及び端部5655は、長手方向軸5659に沿って配置されるか、かつ/又は長手方向軸5659に沿って中心が合わせられる。必要に応じて、各端部5655は、スロット5654の幅と同じか又は少なくともほぼ同じ直径によって画定されうる。
【0134】
次に
図107を参照すると、保持マトリックス5750のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部5752を有しうる。各保持開口部5752は、拡大した端部5755を有する例えばスロット5754のような複数のスロットを含みうる。例えば、長尺状スロット5754及び端部5755は、長手方向軸5759に沿って配置されるか、かつ/又は長手方向軸5759に沿って中心が合わせられる。各軸5759は、互いに垂直又は横断する方向に延びうる。スロット5754及び端5755は、締結具脚が保持開口部5752に挿通される際に、締結具脚と係合して撓曲するように構成することができる例えば4つのタブ5753を画定することができる。各タブ5753は、例えば正三角形などの三角形又は少なくともほぼ三角形の形態を有しうる。あるいは、次に
図108を参照すると、例えば保持マトリックス5850のような保持マトリックスは複数の保持開口部5852を有しうる。各保持開口部5852は、端部5855を有する例えばスロット5854のような複数のスロットを含んでよく、その場合、スロット5854及び端部5855は、長手方向軸5859に沿って配置されるか、かつ/又は長手方向軸5859に沿って中心が合わせられる。軸5859は、互いに垂直又は横断する方向に延びうる。例えば、スロット5854及び端部5855は、締結具脚が保持開口部5852に挿通される際、締結具脚と係合して撓曲するように構成することができるタブ5853を画定しうる。各タブ5853は、円弧状の断面を有しうる。より詳細には、各タブ5853は、締結具脚と接触するように構成することができる、
図105に示された尖った端部とは異なる、湾曲した端部を含みうる。
【0135】
次に
図109を参照すると、保持マトリックス5950のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部5952を有しうる。各保持開口部5952は、例えばスロット5954のような複数のスロットを含んでよく、その場合、各スロット5954は、軸5959に沿って延びるか、かつ/又は軸5959に沿って中心が合わせられる。各軸5959は、互いに横断方向であり、例えば軸5959は、すべての軸5959が保持開口部5952の中心を通り、互いに等間隔又は少なくともほぼ等間隔で離間するように配置されうる。各スロット5954は、保持開口部5952の中心に面した開放端部と、スロット5954の反対側の端部の第2の閉鎖端部5955とを有しうる。上記と同様、スロット5954及び端部5955は、締結具脚が保持開口部5952に挿入される際に締結具脚と係合して撓曲するように構成することができる、例えば3つのタブ5953を画定することができる。必要に応じて、各端部5953は、スロット5954の隣り合う端部5955の間に延びる円弧状の形態を構成してもよい。次に
図110を参照すると、保持マトリックス6050のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部6052を有しうる。各保持開口部6052は、締結具脚が保持開口部6052に挿入される際に締結具脚と係合して撓曲するように構成することができるタブ6053を有しうる。例えば、タブ6053は、保持マトリックス本体6058に固定された基部、及び締結具脚に接触するように構成することができる、円弧状又は湾曲した外形6056を有する自由端を有しうる。締結具脚は、丸いワイヤで構成されたステープル脚であってよく、その場合、湾曲した外形6056は、丸いワイヤの湾曲した外側表面と一致するか又は少なくともほぼ一致するように構成することができる。
【0136】
再び
図110を参照すると、保持マトリックス本体6058は、保持開口部6052のタブ6053及び異なる部分を画定するように構成することができる複数のスロット6054及び開口部6055を有しうる。タブ6053は、平行又は少なくともほぼ平行な辺を有する長方形の構成を有しうる。次に
図111を参照すると、保持マトリックス6150のような保持マトリックスは、例えば複数の保持開口部6152を有しうる。各保持開口部6152は、は、締結具脚が保持開口部6152に挿入される際に締結具脚と係合して撓曲するように構成することができるタブ6153を有しうる。例えば、タブ6153は、保持マトリックス本体6158に固定された基部と、締結具脚に接触するように構成することができる、円弧状又は湾曲した外形6156を有する自由端とを有しうる。保持マトリックス本体6158は、保持開口部6152のタブ6153及び異なる部分を画定するように構成することができる複数のスロット6154及び開口部6155を含みうる。タブ6153は、円弧状の辺を有するテーパ状の構成を有しうる。例えば、タブ6153は、例えば基部が自由端部よりも広くなった、幾何学的なテーパ状の形状でありうる。
【0137】
必要に応じて、上記のように、締結システムは、保持マトリックスの複数の保持開口部を通じて挿入されるステープル脚を有する複数のステープルを含みうる。下記により詳細に述べるように、ステープルは第1のジョーに保持されてよく、保持マトリックスは第2のジョーに保持されてよく、第1のジョー及び第2のジョーの少なくとも一方を互いに対して動かすことができる。様々な状況において、第1のジョー内に配置されたステープルは、保持マトリックスがステープル脚と係合する際に、ステープル脚が保持開口部と整列するようにその内部に固定することができる。
図112及び
図113を参照すると、締結システムは、例えば外科用ステープラの第1のジョー内に配置されたステープルカートリッジ6200、及び例えば外科用ステープラの第2のジョー内に配置された保持マトリックス6250を含むことができる。上記に加えて、
図119及び
図120を参照すると、保持マトリックス6250は複数の保持開口部6252を含んでよく、各保持開口部6252は1つ又は2つ以上の撓曲可能な部材6253により画定された外周部6256を含みうる。例えば、上記に加えて、各開口部6252を画定する撓曲可能な部材6253は、ポケット6201を画定しうる。必要に応じて、各ポケット6201は、例えばステープル脚が保持開口部6252とずれており、撓曲可能な部材6253及び/又は組織接触表面6251と最初に接触した場合に、ステープル脚の先端部を開口部6252に案内するように構成することができる、例えば湾曲かつ/又は凹状の表面を有してもよい。
【0138】
上記に加えて、締結システムは、保持マトリックス6250の保持開口部6252に挿通されうるステープル脚6221を有する複数のステープル6220を更に含みうる。例えば、各ステープル6220は、そこから上方にステープル脚6221が延びうる基部6222を含む例えばほぼU字形の形態を有しうる。次に
図115及び
図116を参照すると、保持マトリックス6250の保持開口部6252は、保持マトリックスの長手方向軸に沿って、又は長手方向軸と平行に延びうる例えば平行又は少なくともほぼ平行な2つの列に配列することができる。第1の列の保持開口部6252は、第2の列の保持開口部6252に対してオフセットしているか、又は互い違いに配置されている。例えば、各ステープル6220は、第1のステープル脚6221が第1の列の保持開口部6252内に配置され、第2のステープル脚6221が第2の列の保持開口部6252内に配置されてよく、その結果、基部6222は、保持マトリックス6250の長手方向軸に対して横断する方向に延びうる。例えば、ステープル6220は、互いに平行又は少なくともほぼ平行でありうる。より詳細には、例えばステープル6220aの基部6222aは、ステープル6220bの基部6222bと平行又は少なくともほぼ平行であり、基部6222bは、ステープル6220cの基部6222cと平行又は少なくともほぼ平行でありうる。ステープル6220aのステープル脚6221aは平面を画定してよく、これはステープル6220bのステープル脚6221bにより画定される平面と平行又は少なくともほぼ平行であり、この平面は例えば、ステープル6220cのステープル脚6221により画定される平面と平行又は少なくともほぼ平行でありうる。
【0139】
図112及び
図114を参照すると、ステープルカートリッジ6200は、複数のステープル6220、及び、更に例えばステープル6220を整列させるように構成することができるスロット、溝及び/又は開口部などの複数の整列ガイドを有するアラインメントマトリックス6260を含みうる。様々な状況において、アラインメントマトリックス6260は、保持マトリックス6250がステープル脚6221と係合するより前に、ステープル6220のステープル脚6221が、保持マトリックス6250の保持開口部6252と整列されるように構成することができる。次に
図117及び
図118を参照すると、アラインメントマトリックス6260は、ステープル6220のステープル脚6221を緊密に受容するように構成することができる複数のアラインメント開口部6262を有しうる。例えば、各ステープル6220は、基部6222及び基部6222から延びる2本のステープル脚6221を有してよく、その場合、ステープル6220の基部6222は、保持マトリックス6260の底部表面6264の周囲に延びてよく、ステープル脚6221は、アラインメント開口部6262を通じて上方に延びうる。各アラインメント開口部6262は、円形又は少なくともほぼ円形であり、これに通されるステープル脚6221の直径に等しいか、又はわずかに大きい直径によって画定されうる。アラインメントマトリックス6260は、アラインメントマトリックス6260の上面6261から上方に延びてアラインメント開口部6262を囲むか又は少なくとも部分的に囲みうる複数の隆起部材6263を更に有しうる。隆起部材6263は、より長いアラインメント開口部6262を与えうるものであり、様々な状況において、より長い開口部6262はステープル脚6221のアラインメントに対して、より短い開口部6262よりも高い制御性を与えることができる。
【0140】
使用時には、ステープルカートリッジ6200を支持する第1のジョーを、ステープル留めされる組織の一方の側に配置し、保持マトリックス6250を支持する第2のジョーを、組織の他方の側に配置することができる。ジョーが組織に対して適当に配置された時点で、第2のジョー及び保持マトリックス6250を、ステープルカートリッジ6200の方向に動かすことができる。ステープル脚6221が保持マトリックス6250aの保持開口部6252に挿通されると、保持マトリックス6250の組織接触表面又は底面6251が、組織と接触し、組織をアラインメントマトリックス6260の組織接触表面又は上面6261に対して押し付ける。あるいは、下記により詳細に述べるように、ステープルカートリッジ6200は、組織と接触しうる、例えばアラインメントマトリックス6260の上面6261の上に配置された圧縮可能なカートリッジ本体を更に有してもよい。
図114及び
図118を参照すると、アラインメントマトリックス6260には、アラインメントマトリックス6260が組織に接して配置される際、その中に組織の一部を受容するように構成することができる1つ又は2つ以上の開口部6203が更に画定されてもよい。圧縮可能なカートリッジ本体が、アラインメントマトリックス6260の上、及び/又はこれに接して配置される場合、カートリッジ本体が圧縮される際に、圧縮可能カートリッジ本体の一部が開口部6203内に入ることができる。同様に、保持マトリックス6250は、保持マトリックス6250が組織に接して配置されるときに、その中に組織の少なくとも一部を受容するように構成することができる複数の開口部6202を有しうる。
【0141】
上記に加えて、ステープル6220のステープル脚6221が、保持マトリックス6250の保持開口部6252に挿通される際、ステープル脚6221の先端部は、保持マトリックス6250の上面6257から上方に突出しうる。上記のように、様々な状況において、ステープル脚6221の先端部は、保持開口部6252に挿通された後に曲げられないままである場合もある。次に
図121〜124を参照すると、ステープルカートリッジ6200及び保持マトリックス6250を含む締結システムは、保持マトリックス6250上に突出するステープル脚6221に組み付けることができる、例えばキャップ6270のような複数の保護キャップ又はカバーを更に有してもよい。必要に応じて、各キャップ6270は、ステープル脚6221の鋭利な端部を全体的又は少なくとも部分的に被覆することができ、これにより鋭利な端部は、これに隣接して配置される組織に接触しない。次に
図124を参照すると、各キャップ6270には、その内部にステープル脚6221の先端を緊密に受容するように構成することができる開口部6271が画定されてもよい。キャップ6270は、例えば、シリコーン、ポリイソプレン、サノプレン、及び/又は天然ゴムなどの弾性材料で構成することができる。開口部6271は、内部に挿入されるステープル脚6221の外周又は直径よりも小さい外周又は直径を有することができる。例えば、保護キャップ6270内の開口部6271は、その内部にステープル脚6221を受容するように拡がることができる。あるいは、キャップ6270が開口部を有さない場合もあり、ステープル脚6221の先端部を、脚6221がキャップ6270の内部に挿入される際に、キャップ6270を切開するように構成することができる。いずれの場合も、各キャップ6270は、キャップ6270の基部6272が、保持マトリックス6250の上面6257に当接するか又は上面6257に隣接して位置するまで、ステープル脚6221上に嵌め込まれる。様々な状況において、キャップ6270は、キャップ6270が容易に外れないように、ステープル脚6221の先端部上にぴったりと嵌まるように構成することができる。各キャップ6270は例えば、円錐状又は少なくともほぼ円錐状の外側表面を含みうる。キャップ6270は、例えば、放物線状又は少なくともほぼ放物線状の外側表面を含む形状など、任意の適当な形状を有しうる。
【0142】
例えば、上記の締結システムは、例えば、
図125〜127に示される外科用ステープラを使用して運用することができる。エンドエフェクタは、その内部にステープルカートリッジ6200を支持するように構成することができる第1のジョー又はステープルカートリッジ溝部材6230と、保持マトリックス6250及び複数の保護キャップ6270を支持するように構成することができる第2のジョー6240とを含みうる。開いた形態の第2のジョー6240を示す
図125を主に参照すると、組織Tが、保持マトリックス6250とステープルカートリッジ6200との間に配置されるようにして、ジョー6230及び6240を組織Tに対して配置することができる。必要に応じて、上記のように、ステープルカートリッジ6200は、その内部にステープル6220及びアラインメントマトリックス6260が配置される、例えばカートリッジ本体6210のような圧縮可能カートリッジ本体を更に有しうる。組織Tは、例えばカートリッジ本体6210の上面に接して配置することができる。第2のジョー6240は、複数の保護キャップ6270を受容するように構成された複数の凹部又は開口部6245、及び更に、保持マトリックス6250をキャップ6270上の定位置に保持するように構成することができる1つ又は2つ以上の保持機構又は保持部を含みうる。例えば、保持マトリックス6250は、開口部6245内にキャップ6270を保持するように構成することができる。
図137を参照すると、各開口部6245は、キャップ6270の一部又は全体をその内部に受容するように構成することができる。開口部6245は、例えば、キャップ6270が、圧入及び/又はスナップ嵌め機構の少なくとも一方により内部に固定されうるように充分な大きさ及び構成とすることができる。少なくとも1種類の接着剤を使用してキャップ6270を開口部6245内に固定することができる。例えば、このような接着剤は、キャップ6270がステープル脚6221と係合し、第2のジョー6240が移植された締結アセンブリから分離された後に、キャップ6270を第2のジョー6240から外れるように選択することができる。次に
図138を参照すると、第2のジョー6240は、第2のジョー6240に組み付けられ、キャップ6270覆って延在してキャップ6270を開口部6245内に保持することができる少なくとも1つのカバーシート6246を有してもよい。例えば、カバーシート6246の少なくとも一部を、例えば少なくとも1種類の接着剤を使用してジョー6240に固定することができる。使用時には、カバーシート6246は、エンドエフェクタが手術部位に挿入される前に、ジョー6240から少なくとも部分的に取り外すことができる。カバーシート6246は、ステープル脚6221が保持マトリックス6250から突出する際にステープル脚6221によって切開されうる例えばPDS及び/又はPGAなどの移植可能な材料で構成することができる。カバーシート6246は、例えば、カバー6270と保持マトリックス6250との間で締結システムに固定されうる。
【0143】
上記に加えて、次に
図126を参照すると、ジョー6240は、開位置から、組織Tが保持マトリックス6250及びカートリッジ本体6210に接して配置される閉位置へと動かすことができる。この位置では、保持マトリックス6250は、ステープル6220とまだ係合しなくともよい。ジョー6240は、アクチュエータ6235によって、その開位置とその閉位置との間で動かされる。例えば、ジョー6240は、これから延びる遠位ピン6243及び近位ピン6244を有してよく、遠位ピン6243は、カートリッジ溝部材6230に画定された遠位スロット6233内において垂直又は少なくともほぼ垂直に摺動することができ、近位ピン6244はやはりステープルカートリッジ溝部材6230に画定された近位スロット6234内で垂直又は少なくともほぼ垂直に摺動することができる。
図126に示されるように、使用時には、アクチュエータ6235を近位方向に後退させることによって、ピン6243及び6244が各スロット6233及び6234の上端へと動かされる。例えば、アクチュエータ6235は、遠位駆動スロット6236及び近位駆動スロット6237を有してよく、その場合、駆動スロット6236及び6237の側壁を、アクチュエータ6235が近位方向に動くにしたがって遠位ピン6243及び近位ピン6244とそれぞれ接触してピン6243及び6244を上方に動かすように構成することができる。より詳細には、アクチュエータ6235が近位方向に動くにしたがって、遠位ピン6243は、遠位駆動スロット6236の傾斜した第1の部分6236aを摺動して上り、中間の又は第2の部分6236bへと入り、同様に、近位ピン6244は、遠位駆動スロット6237の傾斜した第1の部分6237aを摺動して上り、中間の又は第2の部分6237bへと入ることができる。ピン6243及び6244が両方とも上方に動くにしたがって、ジョー6240は、組織Tに向かって下方に、閉位置へと回転しうる。
【0144】
上記に加えて、次に
図127を参照すると、アクチュエータ6235を更に近位方向に引くことにより、第2のジョー6240が第1のジョー6230に向かって下方に押され、カートリッジ本体6210が圧縮され、保持マトリックス6250及び複数の保護キャップ6270がステープル6220のステープル脚と係合しうる。例えば、アクチュエータ6235の更なる近位方向への動きにより、駆動スロット6236及び6237の側壁がピン6243及び6244と接触し、ピン6243及び6244をスロット6233及び6234の下端の方向に下方にそれぞれ動かす。このような状況では、アクチュエータ6235を近位方向に引くことができ、これにより、1)遠位ピン6243が駆動スロット6236の第2の部分6236bを出て、傾斜した第3の部分6236cに入り、同様に、近位ピン6244が駆動スロット6237の第2の部分6237bから出て、傾斜した第3の部分6237cに入る。ピン6243及び6244が両方とも下方に動くにしたがって、第2のジョー6240は、第1のジョー6230に向かって、発射後の位置へと下方に動くことができる。例えば、第2のジョー6240は、保持マトリックス6250がカートリッジ本体6210の上面と平行若しくは少なくともほぼ平行かつ/又はアラインメントマトリックス6260と平行又は少なくともほぼ平行な状態に保たれたままで下方に動かすことができる。いずれの場合も、
図129に示されるように、保持マトリックス6250及び保護キャップ6270がステープル6220のステープル脚6221と係合した時点で、第2のジョー6240を、開位置又は少なくともほぼ開位置に戻すことができる。例えば、アクチュエータ6235を遠位方向に押すことによって、ピン6243及び6244がそれぞれスロット6233及び6234の上端に動かされた後、各ピンが各駆動スロット6236及び6237の中間部分6236b及び6237bを通過した時点で、スロット6233及び6234の下端に向かって下方に動かされうる。
図128に示されるように、第2のジョー6240が開かれた時点で、第1のジョー6230を、移植されたステープルカートリッジ6200から分離することができ、第1のジョー6230及び第2のジョー6240を、移植された締結アセンブリから取り外すことができる。
【0145】
再び
図127を参照すると、保持マトリックス6250及びキャップ6270がステープル脚6221と係合しているにもかかわらず、ピン6243及び6244はそれぞれのスロット6233及び6234の最下端に位置している状態で示されていない点に読者は気付くであろう。このような状況は、保持マトリックス6250とカートリッジ本体6210との間に厚い組織Tが配置される場合に生じうる。次に
図130を参照すると、より薄い組織Tが保持マトリックス6250とカートリッジ本体6210との間に配置される状況では、ピン6243及び6244は、
図132に示されるように、それぞれのスロット6233及び6234内へ更に下方に動かされうる。一般的に、例えば、アクチュエータ6235を近位方向に引くことによって、上記に述べ、
図130〜132に示した過程によりピン6243及び6244が上方及び下方に動かされ、より薄い組織Tのために、保持マトリックス6250及び保護キャップ6270は、
図133及び
図134に示されるように、ステープル6220のステープル脚6221上に更に押し込まれうる。必要に応じて、保持マトリックス6250によって得られる調節可能性の結果として、エンドエフェクタ内に捕捉される組織が厚いか薄いかにかかわらず、同じか又は少なくともほぼ同じ圧縮圧力が締結された組織内で得られる。保持マトリックス6250によって得られる調節可能性は、外科医が、保持マトリックス6250が配置される深さを選択することによって、組織に対してより大きな圧縮圧力を作用させるか、又はより小さな圧縮圧力を作用させるかを選択することを可能とする。例えば、保持マトリックス6250がステープル脚6221に嵌め付けられる範囲は、例えば、スロット6233及び6234の長さ又は範囲によって決定されうる。
【0146】
必要に応じて、上記に述べたように、保護キャップ6270は、ステープル脚6221の端部をしっかりつかむように構成することができる、例えば柔らかな又は可撓性材料で構成することができる。保護キャップ6270は、生体吸収性プラスチック、商品名Vicrylで市販されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで市販されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの合成体、並びに/あるいは、チタン及び/又はステンレス鋼などの生体適合性金属で構成することができる。
図124に示されるように、各キャップ6270は、他のキャップ6270に連結されなくともよい。あるいは、1つ又は2つ以上のキャップ6270は、保持マトリックス6250に取り付けることもできる。例えば、キャップ6270は、例えば、少なくとも1種類の接着剤によって保持マトリックス6250に取り付けることができ、その場合、キャップ6270の開口部6271は、保持マトリックス6270内の保持開口部6252と整列されるか又は少なくともほぼ整列されうる。
図135を参照すると、例えばキャップ6370のような保護キャップは、例えばその内部にステープル脚6221の先端部を受容するように構成することができる内側キャビティ又はドーム6374を画定しうる。例えば、キャップ6370は、底部6372、及び底部6372を貫通して延びる開口部6371を有しうる。開口部6371は、ステープル脚6221が挿通される際に撓曲するように構成することができる1つ又は2つ以上の撓曲可能部材6373によって画定されうる。例えば、2つ以上のキャップ6370は、互いに連結されてキャップ6370の配列を形成しうる。例えば、
図136を参照すると、複数のキャップ6370は材料のシート6375によって互いに連結されうる。シート6375は、充分な剛性を有しているため、所望の配置及び/又はキャップ6370のアラインメントが維持されうる。キャップ6370は、チタン及び/又はステンレス鋼などの生体適合性金属を含んでよく、シート6375は、生体吸収性プラスチック、商品名Vicrylで市販されるポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、商品名Monocrylで市販されるポリグレカプロン25(PGCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/若しくはPCLの複合物などで構成することができる。本発明によれば、シート6375は、例えば、内部に貯蔵及び/又は分散されるコロイド状銀及び/又はトリクロサンなどの抗菌剤を含む生体吸収性材料を含んでよく、これらは例えば、シート6375が生体吸収される際に放出されうる。
【0147】
上記に加えて、シート6375は、例えば射出成形プロセスを利用してキャップ6370の周囲に射出成形することができ、これにより、キャップ6370は、シート6375内に埋め込まれる。シート6375は、例えば、射出成形プロセスを使用して成形することができ、開口部6376は、射出成形プロセスの間、及び/又は射出成形プロセスの後に、スタンピングプロセスを使用してシート6375に形成することができる。いずれの場合も、キャップ6370は、圧入及び/又はスナップ嵌め連結、及び/又は少なくとも1種類の接着剤を使用して開口部6376に挿入して固定することができる。各キャップ6370は、その中に開口部6376の外周を受容するように構成することができる、キャップ6370の外周を囲むか又は少なくとも部分的に囲む環状の溝を有してもよい。シート6375は、キャップ6370内の相対運動を可能にしうる可撓性及び/又は柔軟な材料で構成することができる。例えば、可撓性シート6375は、例えば、ゴム、プラスチック及び/又はシリコーン材料で構成することができ、キャップ6370は、例えば金属などの剛性材料で構成することができる。例えば、上記と同様、可撓性材料をキャップ6370の周囲に成形することができる。キャップ6370は例えば、事前に成形したシート6375内に押し込まれうる。所望の硬度のシート6375を与えるために可撓性材料のジュロ硬度を選択することができる。シート6375は可撓性バンドを含むように構成することができる。いずれの場合も、シート6375は、複数のキャップ6370がエンドエフェクタ内に同時に配置され、かつ/又は整列される際、キャップ6370をエンドエフェクタへの組み付けを容易にしうる。更に、キャップ6370を連結するシート6375は、移植された場合、例えばステープル列に沿った組織を強化又は補強することができる。キャップ6370を連結するシートに加えるか、又はその代わりに、キャップ6370は、複数の連結部によって互いに連結することもできる。例えば、このような連結部は可撓性であってよく、キャップ6370間の相対運動を可能とする。
【0148】
次に
図139及び
図140を参照すると、例えば、キャップ6470のような保護キャップは、ステープル脚の先端部を変形するように構成することができる成形表面を含んでもよい。例えば、キャップ6470は、これを貫通して延びる開口部6471を含みうる基部6472を有しうる。開口部6471は、例えば、ステープル脚6221のようなステープル脚を、その内部に緊密に受容するように構成することができる。開口部6471は、ステープル脚6221の直径又は外周に等しいか又はそれよりも大きくてよい直径又は外周によって画定されうる。キャップ6470は、ステープル脚6221の先端部がキャップ6470に挿入される際にこれを受容するように構成することができるキャビティ又はドーム6474を更に有しうる。主に
図140を参照すると、キャップ6470は、ステープル脚6221を撓曲及び変形するように構成することができるアンビル又は成形表面6473を更に有してもよい。様々な状況において、成形表面6473は、例えば、湾曲しているかかつ/又は凹状であってよく、ステープル脚6221がキャップ6470に挿入される際にこれを曲げるように構成することができる。ステープル脚6221は、開口部6471から引き抜くことができないように充分に変形されてよく、その結果、キャップ6470は、ステープル脚6221に固定されうる。例えば、キャップ6470の基部6472は、変形されたステープル脚6221がキャビティ6474から外れることを防止することができる、開口部6471の周囲に延びるリップを画定することができる。様々な状況において、上記の結果として、1つ又は2つ以上のキャップ6470は、例えば、保持マトリックス6250のような保持マトリックスが、ステープル6220から後退するか又は離脱することを防止又は制限することができる。必要に応じて、図に示されていないが、キャップ6470は、対称的又は少なくともほぼ対称的に形成することができ、開口部6471は、キャップ6470を通じて延びる中心軸6479に沿って配置することができる。あるいは、再び
図139を参照すると、開口部6471は、中心軸6479に対してオフセットしてもよい。例えば、オフセットした開口部6471は、上記の中央合わせされた開口部6471を含む実施形態において生じうるように成形表面6473の中心と接触する代わりに、ステープル脚6221が成形表面6473の側部に接触し、成形表面6473のもう一方の側部の方へと湾曲することを可能にしうる。
【0149】
必要に応じて、上記に述べたように、保持マトリックス6250のような保持マトリックスは例えば材料のシート及び材料のシートを貫通して延びる複数の保持開口部6252から構成することができる。保持マトリックス6250を構成する材料のシートは、剛性又はほぼ非可撓性のものとすることができる。あるいは、保持マトリックスは、保持マトリックス要素の配列、保持マトリックス要素を連結する複数の可撓性コネクタ又は連結部から構成することもできる。
図141を参照すると、保持マトリックス6550又は保持マトリックスの一部は、1つ又は2つ以上の連結接続部6507によって互いに連結されうる複数の要素本体6505を含みうる。各要素本体6505は、保持開口部6552が画定された複数の変形可能部材6553を有しうる。保持マトリックス6550の要素本体6505と連結接続部6507とは、一体に形成することができ、一体形成された材料で構成されうる。保持マトリックス6550は、例えばチタン及び/又はステンレス鋼などの金属材料から例えばスタンピング又はキャスティングすることができる。保持マトリックス6550はプラスチック、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、商標名Proleneで市販されるポリプロピレン、ポリエステル、商標名Ethibond及びMersileneで市販される、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロピレン、商標名Pronovaで市販される、ポリヘキサフルオロプロピレン−VDF、及び/又はEthilon & Nurolonで市販される、長鎖脂肪酸ポリマーナイロン6及びナイロン6,6などで構成することができ、例えば射出成形プロセスによって形成することができる。要素本体6505は、連結接続部6507と一体に形成することができる。本発明によれば、複数の単一の要素本体6505を作製し、次いでこれらを互いに連結して保持マトリックス内に埋め込むことができる。例えば、要素本体6505は、例えば、チタン及び/又はステンレス鋼などの金属材料からスタンピングされて、プラスチック射出成形型に入れられ、プラスチック材料が成形型内に射出されることにより、1)要素本体6505を囲むか又は少なくともほぼ囲む材料のリム6506、及び2)リム6506から延びる連結接続部6507を形成することができる。あるいは、複数のリム6506内に画定された開口部を含む1つ又は2つ以上のコネクタ格子を形成してもよく、その場合、このような開口部はそれぞれ内部に要素本体6505を受容するように構成することができる。各要素本体6505は、円形又は少なくともほぼ円形の外周を有してよく、同様に各リム6506には円形又は少なくともほぼ円形の開口部が画定されてよく、開口部の直径は、要素本体6505の直径に等しいか又はそれより小さくてよい。例えば、要素本体6505は、リム6505の開口部内に圧入されるか又は埋め込むことができる。要素本体6505は、少なくとも1種類の接着剤を使用して開口部内に固定することができる。
【0150】
上記に加えて、例えば、
図142〜145に示されるように、保持マトリックスは、複数の要素本体6505、及び要素本体6505を任意の適当な配列で連結しうる複数の連結接続部6507を有しうる。配列のパターンとは関係なく、連結接続部6507は、要素本体6505及び保持開口部6552が互いに対して動くことを可能にするように構成することができる。例えば、保持マトリックス6550を構成する要素本体6505の格子及び連結接続部6507は、組織と係合すると、伸張するか、捻れるか、収縮するか、かつ/又は別の形態で曲がることによって、組織内での少なくともある程度の運動を許容する一方で、同時に大きな運動には抵抗するように構成することができる。必要に応じて、各連結接続部6507は、伸張するか、捻れるか、収縮するか、かつ/又は別の形態で曲がることによって保持マトリックス6550が各マトリックス保持要素6505間で曲がることを可能とするように構成された可撓性部材を含みうる。再び
図141を参照すると、リム6506から延びる各接続部6507は、要素本体6505及び/又はリム6506の幅よりも狭い幅によって画定されうる。
図142〜145を参照すると、1つ又は2つ以上の接続部6507は、例えば、隣接する要素本体6506間の直線に沿って延びる直線部分を有しうる。例えば、各接続部6507は、第1のリム6506に取り付けられた第1の端部、及び第2のリム6506に取り付けられた第2の端部を有しうる。再び
図141を参照すると、2つ以上の接続部6507を互いに連結することもできる。例えば、2つ以上の接続部6507は、例えば、中間ヒンジ6509で連結されうる。ヒンジ6509は、接続部6507の断面厚さと比較して1つ又は2つ以上の方向に断面厚さが低減されてもよく、これにより例えば、連結された接続部6507同士が互いに対して動くことが可能となる。保持マトリックス6550は、接続部6507をリム6506に連結して接続部6507とリム6506との間の相対運動を可能とするヒンジ6508を更に有してもよい。ヒンジ6509と同様に、ヒンジ6508は、例えば、接続部6507の断面厚さと比較して、1つ又は2つ以上の方向に断面厚さが低減されてもよい。
【0151】
上記に加えて、連結接続部6507は異なる方向に延びてもよい。例えば、第1の接続部6507は、第1の方向に延びてよく、第2の接続部6507は第2の方向に延びてよく、第1の方向は第2の方向と異なってよい。第1の接続部6507は、第1の線に沿って延びてよく、第2の接続部6507は、第2の線に沿って延びてよく、第1の線と第2の線とは、例えば、約30°、約45°、約60°、及び/又は約90°の角度で互いに交差しうる。ヒンジ6508及び/又はヒンジ6509は、接続部6507が、破断することなく互いに対して何度も動くことを可能とするリビングヒンジを含んでもよい。ヒンジ6508及び/又はヒンジ6509は、大きく曲げすぎるかかつ/又は過剰な回数で曲げると破断しうる、脆弱な、又は容易に破断する部分を有しうる。例えば、このような脆弱部分は、保持マトリックス6550の1つ又は2つ以上の部分が、保持マトリックス6550の別の部分から破断して分離することを可能にしうる。例えば、ヒンジ6508及び/又はヒンジ6509は、保持マトリックス6550の他の部分よりも切開が容易な保持マトリックス6550の区画を有しうる。より詳細には、移植された保持マトリックス及び移植された保持マトリックスによって締結された組織は、しばしば、様々な理由により、切断部材によって切開されうるが、このような切断を促すために、ヒンジ6508及び/又はヒンジ6509は、例えば、そこを通って切断部材がより容易に保持マトリックス6550を通過することができる通路又は薄い区画を与えることができる。上記に加えて、連結接続部6507は、連結接続部6507の曲げ、破断、及び/又は切開を促すことができる、例えば1つ又は2つ以上の圧印部又は材料据込みが画定されてもよい。
【0152】
本発明によれば、保持マトリックスは、材料の可撓性シート又はバンド内に埋め込むことができる、例えばマトリックス要素本体6505のような複数の保持マトリックス要素を有してもよい。材料の可撓性シートは、生体吸収性、エラストマー材料、例えば、シリコーンで形成することができ、可撓性シートは、複数の開口部が画定されたものを作製することができる。例えば、中実の可撓性シートを成形し、この可撓性シートに複数の開口部を打ち抜くことができる。あるいは、可撓性シートを成形し、成形プロセスの間に内部に画定された開口部を形成することもできる。いずれの場合も、保持マトリックス要素6505を例えば可撓性シート内に挿入及び保持することができる。あるいは、上記と同様、可撓性シートは、マトリックス要素6505の周囲に形成することもできる。可撓性シートは、例えば、織布メッシュ、及び/又は他の任意の適当な材料で構成することができる。上記に加えて、このような織布メッシュは、容易に切断されうる。
【0153】
次に
図146及び
図147を参照すると、例えば、保持マトリックス6250のような保持マトリックスを含む締結システムは、ステープル脚6221が保持マトリックス6250の上面6257を超えて延びる際にその先端部を被覆することができる、例えばカバー6670のようなカバーを含みうる。カバー6670は、保持マトリックス6250に取り付けることができる。カバー6670及び/又は保持マトリックス6250は、カバー6670を保持マトリックス6250に対して保持するように構成することができる保持機構を含みうる。少なくとも1種類の接着剤を使用してカバー6670を保持マトリックス6250に接着することができる。下記により詳細に述べるように、カバー6670は、2つの層を含むものとして示されているが、カバー6670は単一の層で構成することもできる。主に
図147を参照すると、ステープル脚6221の先端部は、カバー6670の底面6673を貫通して延びてよいが、カバー6670は、ステープル先端部がカバー6670の上面6675を貫通しないように充分な厚さを有しうる。例えば、その結果、ステープル脚6221の先端部は、カバー6670から突出しないことがある。カバー6670は、複数の層を有しうる。例えば、カバー6670は、第1の層6671及び第2の層6672を含みうる。第1の層6671及び第2の層6672は互いに取り付けられてよく、第2の層6672は、第1の層6671に接着された底面6676を有しうる。第1の層6671及び第2の層6672は、異なる厚さを有してもよいが同じ厚さを有してもよい。第1の層6671及び第2の層6672は、ほぼ同じ幅及び/又は長さを有しうる。あるいは、層6671及び6672は、異なる幅及び/又は長さを有してもよい。
【0154】
上記に加えて、第1の層6671は、ステープル脚6211によって切開されうる、例えば、圧縮可能な発泡材料、メッシュ材料、及び/又はヒドロゲルで構成することができる。第2の層6672は、より硬い材料又は例えば、PGA及び/又はPDSのようなスキン、及び/又は任意の適当なバットレス材料で構成することができる。例えば、ステープル脚6221は、第1の層6671を貫通するように構成することができるが、ステープル脚6221は、第2の層6672を貫通できなくともよい。第2の層6672は、第2の層6672がステープル脚6221と接触してステープル脚6221によって変位されることは可能とするが、ステープル脚6221のステープル先端部によって切開されないか又はわずかに切開されるのみであるような充分な弾力性及び/又は靭性を有する材料で構成することができる。図には示されていないが、カバーは3層以上を含んでよく、このような層の1つ又は2つ以上を貫通性のないものとすることができる。使用時には、例えば、保持マトリックス6250は、締結される組織に接して配置されて下方に押され、これにより、ステープル6220のステープル脚6221が組織T及び保持マトリックス6250の保持開口部6252を通じて押され、カバー6270の第1の層6271内に入る。ステープル脚6221の先端部は、カバー6270の第2の層6272に入らないか、又は少なくともほとんど入らずともよい。
図146に示されるように、保持マトリックス6250が適当に配置された後、ジョー6240が開放され、カバー6670及び保持マトリックス6250は、ジョー6240から分離されうる。
図146に示されるように、ジョー6640は、2つ以上の保持マトリックス6250及びカバー6670を保持するように構成することができる。例えば、ジョー6640は2つの溝部材6679を含むことができ、これらはそれぞれ内部のカバー6670と、その上に配置された保持マトリックス6250を受容するように構成することができ、各保持マトリックス6250の組織接触表面6251は、ジョー6240の底部から下方に位置する。例えば、保持マトリックス6250及びカバー6270は、ナイフスロット6678の各側において、ジョー6640内に収容される。使用時には、保持マトリックス6250及びカバー6670は、同時に、及び/又は、例えば、これにわたって配置される、カートリッジ6200などの対向するステープルカートリッジに対して同じ深さに配備される場合がある。その後、締結された組織は、ナイフスロット6678を横断する切断部材によって切断線に沿って切開され、ジョー6640がその再び開放される。カバー6670は、保持マトリックス6250に取り付けられないことがある。例えば、カバー6670は、溝部材6679に配置することができ、ジョー6640に固定されうる保持マトリックス6250によって溝部材6679に保持される場合がある。各保持マトリックス6250は、これらの各カバー6670よりも広い及び/又は長くてよく、それによって保持マトリックス6250は、カバー6670の全体を定位置に保持することができる。各保持マトリックス6250は、例えば、これらの各カバー6670と同じ幅及び/又は長さを有しうる。
【0155】
必要に応じて、上記のように、締結システムは、材料層を含んでよく、これは、例えば、保持マトリックス6250のような保持マトリックスに取り付けることができる。次に
図150を参照すると、材料の層6870は、保持マトリックス6250の底面6251に取り付けられうる。層6870及び/又は保持マトリックス6250は、保持機構を含んでよく、これは、層6870を保持マトリックス6250に保持するように構成することができる。層6870を保持マトリックス6250に接着させるために、少なくとも1種類の接着剤が使用されうる。いずれの場合も、層6870は、底面又は組織接触表面6873を含んでよく、これは、保持マトリックス6250がステープル6220に向かって下方に動かされ、保持開口部6252をステープル脚6221と係合させるときに、組織Tと接触するように構成することができる。例えば、層6870は、例えば生体吸収性発泡材料などの圧縮可能な材料で構成することができ、これが保持マトリックス6250の底面6251と組織Tとの間で圧縮されうる。層6870は、その内部に貯蔵及び/又は吸収された少なくとも1つの薬剤を更に含むことができ、層6870が圧縮されるとこの層6870からこの薬剤が搾り出される。薬剤は、少なくとも1つの組織封止剤、止血剤、及び/又は抗菌剤物質、例えば、イオン化銀、及び/又はトリクロサンを含みうる。層6870の圧縮は、層6870から薬剤を絞り出すことができ、それにより組織Tの表面の全体、又は少なくとも多くの部分が、薬剤によって被覆される。更に、層6870が圧縮され、ステープル脚6221が組織T及び層6870を貫通すると、薬剤がステープル脚6221から流れ落ち、例えば、ステープル脚6221によって切開されたばかりの組織を治療しうる。保持マトリックス6250の本体は、例えば、チタン及び/又はステンレス鋼などの生体適合性の材料を含む第1の層を含んでもよく、底面6870は、例えば、酸化再生セルロース(ORC)、フィブリン及び/又はトロンビンなどの生物学的に活性の薬剤(液状又は乾燥凍結のいずれか)、グリセリン、吸収性ブタゼラチン(煙又は発泡材状)、及び/又は抗菌、例えば、イオン化銀及び/又はトリクロサンなどの生体適合性材料を含む第2の層を含んでもよい。追加的な生体適合性材料は、Surgicel Nu−Knit、Surgicel Fibrillar、コラーゲン/ORC(組み込まれたコラーゲンマトリックスとの複合であり、商標名Promogranで市販されている)、ポリグリコール酸(PGA)(商品名Vicrylで市販されている)、ポリ乳酸(PLA又はPLLA)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリグレカプロン25(PGCL)(商品名Monocrylで市販される)、ポリカプロラクトン(PCL)、及び/又はPGA、PLA、PDS、PHA、PGCL及び/又はPCLの複合物を含みうる。
図150においては1つの層6870のみが例示されるが、任意の適当な数の層が使用されうる。第1の薬剤を含む第1の層が保持マトリックス6250に取り付けられ得、第2及び異なる薬剤を含む第2の層が、第1の層に取り付けられうる。例えば、複数の層が使用され、各層は、異なる薬剤及び/又は内部に収容される薬剤の異なる組み合わせを含みうる。
【0156】
次に
図148を参照すると、締結システムは、保持マトリックス6250の底面6251に取り付けられた、材料の層6770を有しうる。層6770及び/又は保持マトリックス6250は、保持機構を含んでよく、これは、層6770を保持マトリックス6250に保持するように構成することができる。層6770を保持マトリックス6250に接着させるために、少なくとも1種類の接着剤が使用されうる。いずれの場合も、層6770は、底面又は組織接触表面6773を含んでよく、これは、保持マトリックス6250がステープル6220に向かって下方に動かされ、保持開口部6252をステープル脚6221と係合させるときに、組織Tと接触するように構成することができる。例えば、層6770は、例えば、生体吸収性発泡材料などの圧縮可能な材料で構成することができ、これが保持マトリックス6250の面6251と組織Tとの間で圧縮されうる。層6770は更に1つ又は2つ以上の封入部又はセル6774を有してもよく、これは内部に少なくとも1つの薬剤を貯蔵するように構成することができる。
図149を参照すると、封入部6774は、保持開口部6252と整列されるか、少なくともほぼ整列され、それによりステープル脚6221が組織T及び層6770を通じて押される際に、ステープル脚6221が、封入部6774を穿刺及び/又は別の方法で破裂させることができる。封入部6774が破裂した後、封入部6774内に貯蔵されていた少なくとも1つの薬剤Mが組織Tへと流出しうる。例えば、薬剤Mはステープル脚6221を流れ落ちるか又は伝って落ちる液体を含み、ステープル脚によって切開されたばかりの組織Tを治療する。上記の結果として、封入部6774内に貯蔵された薬剤は、組織に対して局所的な治療を提供する。シート6770の封入部6774は、内部に貯蔵された異なる薬剤を含みうる。例えば、封入部6774の第1の群は、内部に貯蔵された、第1の薬剤又は薬剤の第1の組み合わせを含んでよく、封入部の第2の群は、内部に貯蔵された異なる薬剤、又は異なる薬剤の組み合わせを含みうる。層6770は、可撓性シリコーンシートを含んでよく、封入部6774は、シリコーンシートに空間をもたらすことができる。例えば、シリコーンシートは、互いに取り付けられうる2つの層を含んでよく、封入部6774は、これら2つの層の間で画定されうる。層6770は、1つ又は2つ以上の薄い区画又は脆弱化部分、例えば、部分的穿孔を有してもよく、これは、脚6221による、層6770の切開、及び封入部6774の破裂を促進する場合がある。封入部6774の少なくとも一部が、ドーム6777内に配置できて、ドーム6777は、シート6770から上方に延びうる。例えば、ドーム6777及び/又は封入部6774の少なくとも一部が、保持マトリックス6250内に形成されたポケット6201内に配置されうる。封入部6774は、互いに連結されていない別個のセルを有しうる。あるいは、封入部6774の1つ又は2つ以上が、例えば、層6770を通じて延びる1つ又は2つ以上の経路、導管及び/又は溝部材を通じて互いに流体連通しうる。2010年8月24日に発行された、米国特許第7,780,685号、表題「ADHESIVE AND MECHANICAL FASTENER」の全容を、本明細書に参照により援用する。
【0157】
上記に加えて、内部にカートリッジ本体、ステープル、及び/又はアラインメントマトリックスを含むステープルカートリッジが、エンドエフェクタの第1のジョー内に充填され、同様に保持マトリックス及び/又は1つ又は2つ以上のカバーが、エンドエフェクタの第2のジョー内に充填されうる。次に
図151を参照すると、例えば、カートリッジ充填器6990などの器具が、2つ以上の締結具カートリッジを同時にエンドエフェクタ内に挿入するために使用されうる。カートリッジ充填器6990は、ハンドル6991及びカートリッジキャリア6992を含むことができ、カートリッジキャリア6992は、そこにステープルカートリッジ6200のカートリッジ本体6210を保持するように構成された第1の保持部分と、カートリッジ本体6980を保持するように構成された第2の保持部分を含むことができ、この第2の部分は、1)内部に複数の保護キャップ6270を、2)その底部表面に沿って保持マトリックス6250を支持する。第1の保持部分及び第2の保持部分は、それぞれ、カートリッジ本体6210及び6980を解放可能に係合させるように構成された、1つ又は2つ以上の保持部材を含みうる。次に
図152及び
図153を参照すると、エンドエフェクタは、第1の、又は下側ジョー6230と、第2の、又は上側ジョー6940を含んでよく、ステープルカートリッジ6200は、第1のジョー6230に充填され、カートリッジ本体6980は、第2のジョー6940に充填されうる。様々な状況において、上側ジョー6940は、アクチュエータ6235によって開位置(
図152)から閉位置(
図153)に回転される場合があり、アクチュエータ6235の動作は、先に記載されており、簡潔さのためにここで繰り返さない。次に
図153を参照すると、上側ジョー6940がその閉位置となった時点で、カートリッジキャリア6992の遠位端6993は、エンドエフェクタに挿入される場合があり、それによりステープルカートリッジ6200は、第1のジョー6930の遠位端6938を通じて、第1のジョー6230内の第1の取り付け部分又は溝部材6939へと摺動する。同様に、カートリッジキャリア6992の遠位端6993は、エンドエフェクタ内に挿入される場合があり、それによりカートリッジ本体6980は、第2のジョー6940の遠位端6948を通じて、第2のジョー6940内の第2の取り付け部分又は溝部材6949へと摺動される。カートリッジ充填器6990のハンドル6991を保持する、外科医又は他の臨床医は、ステープルカートリッジ6200及びカートリッジ本体6980を、それぞれ溝部材6939及び6949を通じて、ステープルカートリッジ6200及びカートリッジ本体6980が完全に内部に位置するまで、押すことができる。
【0158】
ステープルカートリッジ6200及びステープル本体6980が配置されると、下記により詳しく述べるように、ステープルカートリッジ6200及びカートリッジ本体6980はそれぞれ、これらの各ジョー6230及び6940内の1つ又は2つ以上の保持位置に係合することができる。いずれの場合も、次に
図154を参照して、ステープルカートリッジ6200及びカートリッジ本体6980が配置された時点で、カートリッジ充填器6990がステープルカートリッジ6200から分離され、かつカートリッジ本体6980がエンドエフェクタから取り外される。例えば、第1のジョー6230内にステープルカートリッジ6200を保持する保持力は、ステープルカートリッジ6200をカートリッジキャリア6992に保持する保持力よりも大きく、それにより、カートリッジキャリア6992がエンドエフェクタから遠位方向に引き出される際に、ステープルカートリッジ6200は、第1のジョー6230の後ろに残り得る。同様に、カートリッジ本体6980を第2のジョー6940内に保持する保持力は、カートリッジ本体6940をカートリッジキャリア6992に保持する保持力よりも高い場合があり、カートリッジキャリア6992がエンドエフェクタから遠位方向に引き出される際に、カートリッジ本体6940は、第2のジョー6940の後ろに残る場合がある。カートリッジ充填器6990がエンドエフェクタから取り外された時点で、充填された第1のジョー6230及び充填された第2のジョー6940は、ステープル留めされる組織Tに対して配置されうる。次に
図155を参照すると、第2のジョー6940は、カートリッジ本体6980によって保持される保持マトリックス6250及び複数の保護キャップ6270を、ステープルカートリッジ6200内に配置されたステープル6220と係合させるため、開位置(
図154)から発射位置(
図155)へと動かされる。
【0159】
次に
図156及び
図157を参照すると、第2のジョー6940は、再び開放され、複数の保護キャップ6270及び保持マトリックス6250は、カートリッジ本体6980から分離され、それによってキャップ6270及び保持マトリックス6250は、組織T及びステープルカートリッジ6200と係合したままでありうる。カートリッジ本体6980は、複数のキャップ6270が取り外し可能に配置されうる複数のポケットと、そこに保持マトリックス6250を取り外し可能に保持するように構成された1つ又は2つ以上の保持スロットとを含む。カートリッジ本体6980と係合した第2のジョー6940の保持部材が、第2のジョー6940が開放された後に、第2のジョー6940内にカートリッジ本体6980を保持しうる。カートリッジ本体6980は、第2のジョー6940が開放される際に破断するように構成することができ、それにより、カートリッジ本体6980の一部分が、キャップ6270及び保持マトリックス6250とともに埋め込まれ、カートリッジ本体6980の一部分が第2のジョー6940内に残る。同様に、再び
図156及び157を参照すると、カートリッジ本体6210と係合した第1のジョー6230の保持部材が、第2のジョー6940が開放された後に、第1のジョー6230内にカートリッジ本体6210を保持しうる。カートリッジ本体6210は、第1のジョー6230が移植されたカートリッジ6200から引き離される際に破断するように構成され、それによってカートリッジ本体6210の一部分がステープル6220及びアラインメントマトリックス6260とともに埋め込まれ、カートリッジ本体6210の一部分が第1のジョー6230内に残る。次に
図158〜160を参照すると、例えば、ステープルカートリッジ6900のようなステープルカートリッジは、カートリッジ本体6910の長さに沿って延びる1つ又は2つ以上の細長保持スロット6913を含んでよく、これは、例えば、ステープルカートリッジ6900がジョー6930内に挿入される際に、内部においてジョー6930から延びる1つ又は2つ以上の長手方向保持レール6916を受容するように構成することができる。使用時には、保持スロット6913の端が、ステープルカートリッジ6900が例えば、保持溝部材6939の遠位端6938を通じて摺動する前に、保持レール6916の遠位端と整列されうる。
【0160】
再び
図160を参照すると、ジョー6940は、2つの保持溝部材6949を含んでよく、各保持溝部材6949は、複数のキャップ6270及び保持マトリックス6250を内部に含むカートリッジ本体6980を受容するように構成することができる。各カートリッジ本体6980は、1つ又は2つ以上の長手方向保持肩部6917を含んでよく、これらは、カートリッジ本体6980が、ジョー6940内のこれらの対応する保持溝部材6949内に挿入される際に、第2のジョー6940の1つ又は2つ以上の長手方向保持レール6918に沿って摺動するように構成することができる。保持レール6918及び保持肩部6917は、カートリッジ本体6980が、内部に格納されるキャップ6270及び保持マトリックス6250から分離される際に、協働してカートリッジ本体6980を第2のジョー6940内に保持しうる。次に
図159を参照すると、第2のジョー6940は、そこから延びる1つ又は2つ以上の遠位突起部、又は保持部材6915を更に含み、これはカートリッジ本体6980をこれらの対応する保持溝部材内に取り外し可能に固定するように構成することができる。例えば、第2のジョー6940は、カートリッジ本体6980が溝部材6949内に挿入される際に、各カートリッジ本体6980が突起部6915の周囲で屈曲しうるようにして、各保持溝部材6949に対して構成され、配置された、遠位突起部6915を有してもよく、カートリッジ本体6915が溝部材6949内に完全に配置される際に、カートリッジ本体6980の遠位端が突起部6915を超えてその上で嵌る。上記のように、カートリッジ本体6980を、これらが使用された後に取り外すため、カートリッジ本体6980が突起部6915の上で引き戻され、保持溝部材6949から取り外されうる。上記と同様、第1のジョー6930は、そこから延びる1つ又は2つ以上の遠位保持突起部6914を含んでよく、これは、ステープルカートリッジ6900が完全に配置された際に、カートリッジ本体6910の1つ又は2つ以上の保持溝又はスロット6912に受容されるように構成することができる(
図158)。
【0161】
上記に加えて、内部配置された複数の第1の締結具を含む第1の締結カートリッジは、外科用締結装置の第1のジョー内に配置することができ、内部に配置された複数の第2の締結具を含む第2の締結カートリッジは、外科用締結装置の第2のジョー内に配置される場合がある。使用時には、第1の締結具と第2の締結具とを係合させ、組織をその間に固定するために、第1のジョー及び/又は第2のジョーは、互いに対して動かされうる。第1の締結カートリッジ、及び第2の締結カートリッジは、第1の締結具が第2の締結具と係合する際に、互いに係合されうる。第1の締結カートリッジの本体は、第1の圧縮性材料を含んでよく、第2の締結カートリッジの本体は、第2の圧縮性材料を含んでよく、第1の本体及び/又は第2の本体は、締結される組織に対して圧縮される場合がある。組織が締結された後、第1のジョーは、移植された第1の締結カートリッジから動かされる場合があり、第2のジョーは、移植された締結カートリッジから動かされる場合がある。その後、第1のジョーは、別の第1の締結カートリッジなどを再充填される場合があり、第2のジョーは、別の第2の締結カートリッジなどを再充填される場合があり、外科用締結器具が再使用されうる。ステープルが使用されうるが、例えば、互いに係合する際に、一緒に固定される二部構成締結具などの、他の種類の締結具を含む代替例が想到される。例えば、第1の締結具部分を格納するための第1の格納部分を含むことができ、第2の締結カートリッジは、第2の締結具部分を格納するための第2の格納部分を含みうる。本発明において記載される締結システムは、任意の適当な種類の材料及び/又は形状を含む締結具を使用しうる。締結具は貫通部材を有することができる。このような貫通部材は、例えば、ポリマー、複合物、及び/又は多層基材で構成することができる。多層基材の例は、エラストマー又はポリマーコーティングを有するワイヤ又はシート基材でありうる。貫通部材が、連結部材に対して垂直、又は少なくともほぼ垂直に向けられるように形成された薄いシートでありうる。貫通部材は、矩形の外形の、半円形の外形、及び/又は任意のビーム外形を有しうる。本明細書において記載される締結具は、例えば、ワイヤ押出プロセスなどの任意の適当なプロセスを使用して製造されうる。別の可能性は、中空の貫通部材を生じるための、微細繊維化の使用である。これらの貫通部材は、ワイヤ押出プロセスとは異なるプロセスで作製される場合があり、材料の組み合わせを使用する場合がある。
【0162】
上記のように、保持マトリックスを通じて突出するステープル脚の先端部は、1つ又は2つ以上のキャップ及び/又はカバーによって被覆されうる。ステープル脚の先端は、これらが保持マトリックスを通じて挿入された後に、変形されうる。保持マトリックスを保持するジョーは、保持開口部の上に配置された及び/又はこれと整列されるアンビルポケットを更に有してもよく、これらは、ステープル脚が保持マトリックスの上に突出する際に、これらを変形させるように構成することができる。各ステープルのステープル脚は、例えば、互いに向かって内側に、及び/又はステープルの中心に向かって歪曲させられうる。あるいは、ステープルの1つ又は2つ以上のステープル脚は、他のステープルから、及び/又はステープルの中央から離れるように外側に歪曲させることができる。必要に応じて、ステープル脚が歪曲させられる方向とは無関係に、ステープル脚の先端は、保持マトリックスの本体と接触することができ、ステープルによって締結された組織に再び入らないことがある。保持マトリックスを通過した後のステープル脚の変形は、保持マトリックスを適所に固定しうる。
【0163】
次に
図161及び
図162を参照すると、例えば、外科用ステープラ7000などの外科用ステープル留め器具は、第1のジョー7030及び第2のジョー7040を有してもよく、第2のジョー7040は、アクチュエータ6235の動きによって、第1のジョー7030に向かい、及び第1のジョー7030から離れる方向に動きうる。アクチュエータ6235の動作は上記の通りであり、簡潔さのためにここで繰り返すことはしない。第1のジョー7030は、遠位端7031及び近位端7032を含むことができ、第1のジョー7030は、遠位端7031と近位端7032との間に延びる溝部材を画定することができ、これは、ステープルカートリッジを受容するように構成される。例示目的のため、このようなステープルカートリッジのカートリッジ本体は、
図161に示されないが、このようなステープルカートリッジは、カートリッジ本体、カートリッジ本体内に配置されたステープル6220、及びステープル6220の下に配置されたステープルドライバ7012を有しうる。明確性のために
図161には示されていないが、第2のジョー7040は、ステープル6220の上で、例えば、保持マトリックス6250のような保持マトリックスを保持し、及び/又は、上記のように、保持マトリックスをステープル6220の脚と係合させるように動かすように構成することができる。外科用ステープル7000は、第1のジョー7030内に配置されたスレッド7010を更に含むことができ、これは例えば、第1のジョー7030の遠位端7031から近位端7032の方へと摺動することができ、ステープルドライバ7012及び上部に支持されるステープル6220を、保持マトリックス及び第2のジョー7040の方向に持ち上げる。あるいは、スレッド7010は、例えば、ステープル6020を配備するために、近位端7032から遠位端7031に向かって動かされうる。スレッド7010は、1つ又は2つ以上の傾斜した傾斜面又はカム7011を含んでよく、これらは、ステープルドライバ7012の下で摺動し、ステープルドライバ7012を情報に持ち上げるように構成することができる。外科用ステープル7000は更に、スレッド7010に動作可能に連結された、引く又は押すためのロッドを有してもよく、これは、ハンドル上に位置する作動装置、及び/又は外科用ステープル7000のシャフトによって近位方向及び/又は遠位方向に動かされうる。
【0164】
再び
図161を参照すると、外科用ステープラ7000の第2のジョー7040は、フレーム7041、遠位端7048、及び遠位端7048の反対側に配置された近位端部7049を含みうる。第2のジョー7040は、更に、フレーム7041の長手方向軸に沿って延びる、例えば、ガイドレール7045及び7046などの、1つ又は2つ以上のガイドレールを含むガイドシステムを更に有してもよく、これは、下記により詳細に述べるように、ステープル6220のステープル脚6221が保持マトリックスを通過した後に、ステープル6220のステープル脚と係合し、変形しうる1つ又は2つ以上のアンビル又はカムを案内するように構成することができる。例えば、ガイドレール7045及び7046は、例えば、フレーム7041の頂部又は表面に沿って、遠位ポスト7047の周囲から戻ってフレーム7041の頂部又は上面に沿って延びるガイドワイヤ又はケーブルを含みうる。必要に応じて、上記のように、かつここで主に
図163及び
図165を参照すると、第2のジョー7040は更に、例えば、第1のアンビル7050及び第2のアンビル7060などの、1つ又は2つ以上のアンビル又はカムを更に有してもよく、これは、ステープル6220の脚が、保持マトリックスを通過した後に、これらを変形させるために、第2のジョー7040に沿って長手方向に動く場合がある。外科用ステープラ7000は更に、第1のアンビル7050に連結される及び/又は動作可能に連結された、第1のアンビルドライバ又は作動装置7051を更に有してもよく、これは、第1のアンビル7050を近位方向に引く、及び/又は第1のアンビル7050を遠位方向に押すように構成することができる。同様に、外科用ステープル7000は更に、第2のアンビル7060に連結される及び/又は動作可能に連結された、第2のアンビルドライバ又は作動装置を更に有してもよく、これは、第2のアンビル7060を遠位方向に押す、及び/又は第2のアンビル7060を近位方向に引くように構成することができる。第1のアンビル7050はガイドスロット7052を含むことができ、第2のアンビル7060はガイドスロット7062を含むことができ、これらはそれぞれ、内部にガイドレール7045又はガイドレール7046を摺動可能に受容するように構成することができる。例えば、ガイドレール7045及び7046は、ガイドスロット7052及び7062内に緊密に受容され、それによってその間の相対的な横方向の、又は横から横への移動が防がれるか、又は少なくとも制限される。
【0165】
上記に加えて、第1のアンビル7050は、近位方向に引くことができ、第2のアンビル7060は遠位方向に引くことができる。
図161を参照すると、ガイドレール7045及び7046、並びに遠位ポスト7047は、第2のアンビル7060を遠位方向に引き、及び/又は第2のアンビル7060を近位方向に引くように構成された滑車システムを含みうる。例えば、ガイドレール7045及びガイドレール7046は、遠位ポスト7047の周囲に延びる、連続的なワイヤ又はケーブルを有してもよく、連続的なワイヤの一部分が、ワイヤを遠位ポスト7047で周回するように引かれうる。例えば、ガイドレール7046は、第2のアンビル7060に取り付けられてよく、それにより、連続的なケーブルが第1の方向に周回されるときに、第2のアンビル7060は、ジョー7040の遠位端7048に向かって遠位方向に引かれることができ、連続的なケーブルが第2又は反対方向に周回するとき、第2のアンビル7060は、近位端7049に向かって近位方向に引かれうる。次に
図163を参照すると、ガイドレール7046は、ガイドスロット7062内に固定することができ、それによりその間に牽引力が伝達されうる。例えば、ガイドレール7045は、他方のガイドスロット8062内で摺動するように構成することができる。第1のアンビル7050は、第2のアンビル7060と別個に動作してよく、滑車システム及び第1のアンビル7050内に画定されるガイドスロット7052は、その間の相対移動が可能にされるように、ガイドレール7045及び7046を摺動可能に受容するように構成することができる。ガイドレール7045及び7046を含む連続的なケーブルは、上方ジョー7040の開閉に適合するように、充分に可撓性でありうる。連続的なケーブルはまた、第2のアンビル7060の下側ジョー7030に向かう、及びこれから離れる垂直運動に適合するために充分に可撓性であってよく、これは下記により詳細に述べる。
【0166】
再び
図163及び
図165を参照すると、アンビル7050は、そこから延びるカム従動部7055を含むことができ、これは第2のジョー7040のフレーム7041内に画定される、例えばカムスロット7070(
図166)などの1つ又は2つ以上のカムスロット又はガイドスロット内に位置するように構成することができる。より詳細には、フレーム7041は、フレーム7041の第1の側部に沿って長手方向に延びる第1のカムスロット7070、及びフレーム7041の第2の反対側の側部に沿って長手方向に延びる第2のカム7070を含んでよく、第1のアンビル7050の第1の側部から延びるカム従動部7055は、第1のカムスロット7070内に位置する場合があり、第1のアンビル7050の第2の側部から延びるカム従動部7055は、第2のカムスロット7070内に位置する場合がある。例えば、各カムスロット7070の外形は、同一又は少なくともほぼ同一であり、互いに整列されるか、又は少なくともほぼ整列される場合がある。同様に、第2のアンビル7060は、そこから延びるカム従動部7065を有してもよく、これは第2のジョー7040のフレーム7041内に画定されるカムスロット7070(
図166)内に位置するように構成することができる。より詳細には、第2のアンビル7060の第1の側部から延びるカム従動部7065は、第1のカムスロット7070内に位置する場合があり、第2のアンビル7060の第2の側部から延びるカム従動部7065は、第2のカムスロット7070内に位置しうる。使用時には、第1のアンビル7050のカム従動部7055、及び第2のアンビル7060のカム従動部7065は、カムスロット7070内で摺動することができ、それによって第1のアンビル7050及び第2のアンビル7060が近位方向に引かれ及び/又は遠位方向に押される際に、第1のアンビル7050及び第2のアンビル7060は、カムスロット7070の外形に従う。必要に応じて、下記により詳細に述べるように、各カムスロット7070は、複数の平行部又は上部7071、及び複数のドライバ又は下部7072を含むことができ、これは、アンビル7050及び7060が長手方向に動かされる(フレーム7041の遠位端7048と近位端7049との間で)のと同時に、アンビル7050及び7060を垂直方向に動かすように構成することができる(すなわち、下方ジョー7030にむかって、及びこれから離れるように)。
【0167】
図166を参照すると、外科用ステープラ7000が非発射状態にあるとき、第1のアンビル7050は、フレーム7041の遠位端7048に配置される場合があり、第2のアンビル7060は、フレーム7041の近位端7049に配置される場合があり、更に次に
図167を参照すると、外科用ステープラ7000が非発射状態にあるとき、第1のジョー7030内に配置されたステープル6220はまだ組織Tに挿入されていなくともよく、及び/又は保持マトリックスはその上に配置されている。使用時には、次に
図168を参照すると、ステープル6220は、ステープルドライバ7012によってステープルカートリッジのステープルキャビティ7033内で上方に駆動される場合があり、更に、第1のアンビル7050は、ステープル6220のステープル脚6221に係合するために、フレーム7041の遠位端7048から遠位端7049へと近位方向に動かされる場合がある。ステープル6220は、第1のアンビル7050がそのステープル脚6221と係合する前に上方に駆動されうる。必要に応じて、すべてのステープル6220は、第1のアンビル7050がステープル脚6221と接触するように前進させられる前に、スレッド7010によって上方に配備されてもよく、あるいは、スレッド7010は、第1のアンビル7050が近位方向に動かされるのと同時に近位方向に動かされてもよいが、スレッド7010は、ステープル6220を第1のアンビル7050の前方に配備するために、第1のアンビル7050を充分に導くことがある。必要に応じて、
図168に示されるように、カムスロット7070は、第1のカム7050が平行部又は上部を通過する際に、第1のカム7050の例えば、成形表面又はカム表面7053及び7054などの成形表面が、ステープル脚6221の少なくとも一部と接触しうるように、構成及び配置されうる。様々な状況において、第1のアンビル7050のカム従動部7055はそれぞれ、カムスロット7070の平行部7071内に配置され、それによって成形表面7053及び7054は、隆起部分にあり、ステープル脚6221は、アンビル7050が平行部においてそこを通過する際に部分的にのみ変形される。
図169に示されるように、第1のカム7050は、カムスロット7070に沿って更に動かれる際に、第1のアンビル7050のカム従動部7055は、カムスロット7070の駆動された又はより低い部分7072へと駆動される場合があり、それにより成形表面7053及び7054は、ステープル脚6021をこれらの最終的に成形された構成へと駆動するために、ステープル脚6021に向かって垂直に下方に動く。その後、第1のアンビル7050は、カムスロット7070に沿って更に前進すると、第1のアンビル7050は、カムスロット7070の平行部7071の別の組へと垂直に上方に駆動されうる。
図168及び
図169に示されるように、読者には、第1のアンビル7050がステープル脚のいくつかとのみ係合し、他のものとはしない場合があることがわかるであろう。例えば、第1のアンビル7050は、例えば、ステープル6220の遠位ステープル脚6221を含むステープル脚の群のみを変形させるように構成することができる。例えば、第1のアンビル7050は、遠位ステープル脚6221をステープル6220の中心に向かって変形させるように構成することができる。必要に応じて、各近位ステープル脚6221は、第1のアンビル7050と2度、(すなわち、第1の成形表面7053、及び第1の成形表面7053と整列された第2の成形表面7054と)接触しうる。例えば、第1の成形表面7053は、第1のアンビル7050がへ平行部又は上部にある際に、遠位ステープル脚6221を部分的に変形された構成へと変形させることができ、第2の成形表面7054は、第1のアンビル7050が駆動部又は下部へと移動される際に、遠位ステープル脚6221を完全に成形された構成へと変形することができる。次に
図163及び
図164を参照すると、ステープル脚6221が2つ以上の列又はラインに構成される際に、ステープル6220の遠位ステープル脚6221を変形させるために、第1のアンビル7050は、複数の第1の成形表面7053及び複数の第2の成形表面7054を有しうる。必要に応じて、下記により詳細に述べるように、ステープル6020の近位ステープル脚6221は、例えば、第2のアンビル7060によって変形されうる。
【0168】
上記に加えて、第1のアンビル7050は、ステープル6220の遠位ステープル脚6221すべてを変形させるために、フレーム7041の遠位端部7048から近位端7049へと動かされる場合がある。読者が気付くように、第1のアンビル7050は、変形していない近位ステープル脚6221に対して上下に動かすことができ、かつそのような移動に適合するために、第1のアンビル7050は1つ又は2つ以上の隙間スロット7057(
図165)を含んでよく、これは、第1のアンビル7050が遠位ステープル脚6221を曲げる際に、曲がっていない近位ステープル脚6221を受容するように構成することができる。同様に、
図163を再び参照すると、第2のアンビル7060は、上記のように、アンビル7050がその平行部と駆動部との間で動かされる際に、上下に動く、第1のカム作動装置7051の垂直移動に適合されるように構成することができる、隙間スロット7067を有しうる。すべての遠位ステープル脚6221が曲げられた後、第2のアンビル7060は、アンビル作動装置7061により、フレーム7041の近位端7049から、遠位端7048へと動かされうる。次に
図170を参照すると、上記と同様、第2のアンビル7060のカム従動部7065は、カムスロット7070内で摺動することができ、近位ステープル脚6221を、例えば、ステープル6220の中央に向かって内側に変形させるために、第2のアンビル7060は、平行部又は上部と、駆動部又は下部との間で動かされうる。上記と同様、第2のアンビル7060は、複数の第1の成形又はカム表面7063と、複数の第2の成形又はカム表面7064とを含んでよく、これらはそれぞれ、近位ステープル脚6021の1つ又は2つ以上を少なくとも部分的に変形させ、及び/又は完全に変形させるように構成することができる。
図164を再び参照すると、第2のアンビル7060は、複数の第1の成形表面7063、及び複数の第2の成形表面7064を含んでよく、これらは、例えば、複数の列又は線に配置された、ステープル6220の近位ステープル脚6221を変形させるように構成することができる。また
図164に示されるように、第2のアンビル7060の第1の成形表面7063及び第2の成形表面7064は、第1のアンビル7050の第1の成形表面7053及び第2の成形表面7054と整列されなくてもよく、結果としてステープル6220の近位脚6221は、ステープル6220の遠位脚6221とは異なる列又は線に配置されうる。読者が気付くように、第2のアンビル7060は、第2のアンビル7060が遠位方向に動かされる際に、第1のアンビル7050を押すことがある。例えば、第2のアンビル7060は、フレーム7041の遠位端7048内に第1のアンビル7050を押し戻し、それにより第1のアンビル7050は、その最初の発射前の位置へと戻されうる。ステープル6220の近位ステープル脚6221のすべてが変形された後、第2のアンビル7060は、その最初の又は非発射位置へと近位方向に後退し、戻されうる。このようにして、外科用ステープラ7000をもう一度使用するために、新しいステープルカートリッジが第1のジョー7030内に配置され、新しい保持マトリックスが第2のジョー7040内に配置されうるように、外科用ステープル7000はリセットされうる。
【0169】
必要に応じて、上記のように、外科用ステープルは、横方向において複数のステープルの脚に係合するように、長手方向に移動しうる2つ以上のアンビルを有しうる。外科用ステープラは、第1の群のステープル脚を変形させるために、近位方向に動かされ、第2の群のステープル脚を変形させるために遠位方向に移動される、アンビルを含みうる。例えば、このようなアンビルは、例えば、近位方向に向く成形表面、及び遠位方向に向く成形表面を含みうる。
【0170】
次に
図171を参照すると、例えば、アンビル7140などのアンビルは、底面又は組織接触表面7141、及び内部に画定される複数の成形ポケット7142を有しうる。アンビル7140は、例えば、ポケットプレート7143などの、2つ以上のプレートを有してもよく、これは、フレーム7144に溶接されうる。例えば、各ポケットプレート7143は、フレーム7144内のプレート溝部材7145内に配置され、長手方向の溶接7147を形成するために、フレーム7144を貫通して延びる溶接スロット7146を通じてフレーム7144に溶接されうる。様々な状況において、長手方向の溶接7147は、溶接スロット7146の全長に沿って延びる連続的な溶接と、その長さに沿って延びる、一連の離間した点溶接とを有しうる。必要に応じて、各ポケットプレート7143は、互いに溶接された、2つ以上のプレート部分を含みうる。例えば、各ポケットプレート7143は、第1プレート7143a及び第2プレート部分7143bを有してもよく、これらは、シーム7148に沿って一緒に溶接される場合がある。各プレート7143において、第1プレート部分7143a及び第2プレート部分7143bは、プレート7143がフレーム7144内のプレート溝部材7145に溶接される前に一緒に溶接されうる。例えば、第1プレート部分7143a及び第2プレート部分7143bは、例えば、
図171に示される歯付き外形などの協調する外形を含むことができ、これらは、互いに適合して緊密なシーム7148を形成する。各プレート7143は、例えば、プレート溝部材7145の深さよりも高いことがある、約0.5mm(0.02”)の高さを含んでよく、それによってその組織接触表面7141は、アンビル7040のフレーム7044から延びる。次に
図172を参照すると、プレート7143は、例えば、プレート7143の遠位端における少なくとも1つの溶接7149によって互いに連結されうる。
【0171】
図171及び
図172に示されるように、各ポケットプレート7143は、内部に画定される複数の成形ポケット7142を含みうる。成形ポケット7142は例えば、粉砕プロセス及び/又は電極燃焼プロセスなどの、任意の適当な製造プロセスによって、プレート7143内に形成されうる。例えば、次に
図173及び
図174を参照すると、各成形ポケット7142は、最初に深いウェル7150を形成し、その後、深いウェル7150を囲む、円弧状の又は湾曲した表面7151を形成し、かつその後湾曲した表面7151内にステープル脚ガイド溝7152を形成することによって製造されうる。あるいは、これらの工程は、任意の適当な順序で行うことができる。次に
図175を参照すると、ステープル成形ポケット7142は、成形ポケットの内縁部7153が、一定の又は少なくともほぼ一定の間隙7154によって隔てられるように、形成されうる。例えば、間隙7154は、例えば、約0.2mm(.008”)でありうる。更に、成形ポケット7142は、2つ以上の列又はラインに沿って配置でき、その中央線は、一定又は少なくともほぼ一定の間隔7155によって隔てられうる。例えば、中央線の間の間隔7155は、例えば、約0.89mm(.035”)でありうる。
図175を再び参照すると、各成形ポケット7142は、狭い幅7156と広い幅7157との間で先細になる場合がある。例えば、狭い幅7156は、約1.1mm(.045”)であり、広い幅7157は、約1.9mm(.075”)でありうる。プレート7143は、フレーム7144と同じ材料で構成することができる。例えば、プレート7143及びフレーム7144は両方とも、例えば、300シリーズ若しくは400シリーズステンレススチールなどの、ステンレススチール、及び/又はチタンなどで構成することができる。あるいは、プレート7143及びフレーム7144は、異なる材料で構成することができる。例えば、プレート7143は、例えば、セラミック材料で構成することができ、フレーム7144は、ステンレス鋼及び/又はチタンなどで構成することができる。使用される材料により、様々な状況において、例えば、上記の溶接プロセスに加えて、又はその代わりに、プレート7143をフレーム7144内に固定するために少なくとも1つの鑞着プロセスが使用されうる。
【0172】
次に
図176〜178を参照すると、アンビル7240は、フレーム7244、及びフレーム7244に挿入されうる複数のポケットプレート7243を有しうる。上記と同様、各ポケットプレート7243は、内部に画定される複数の成形ポケット7242を有しうる。アンビルフレーム7244は、内部に画定された保持スロット7246を含むことができ、これらはそれぞれ、ポケットプレート7243から延びる保持レール7247を受容するように構成することができる。ポケットプレート7243をアンビルフレーム7244に組み合わせるため、各保持スロット7246が内部のポケットプレート7243の保持レール7247を受容しうるように、保持スロット7246を広げるため、
図177に示されるように、アンビルフレーム7244の側壁7245は、外側に屈折するか又は広がってもよい。保持レール7247が保持スロット7246内に配置された時点で、側壁7245は、
図178に示されるように、解放される場合があり、それによって、フレーム7244がその非屈曲状態へと弾力的に収縮する及び/又は戻ることを可能にする。このような状況において、保持スロット7246は収縮し、かつそれによって内部に保持レール7247を捕捉しうる。保持レール7247及び/又は保持スロット7246は、1つ又は2つ以上の協働するテーパ状表面を含んでよく、これは、屈折した保持スロット7246が解放された後、カムは保持スロット7246内に保持レール7247を保持しうる、テーパ固定係合を形成しうる。上記と同様、ポケットプレート7243は、フレーム7244と同じ材料、又はこれとは異なる材料で構成することができる。例えば、プレート7243は、例えば、セラミック材料で構成することができ、フレーム7244は、ステンレス鋼及び/又はチタンなどで構成することができる。使用される材料により、様々な状況において、プレート7243をフレーム7244内に固定するために、少なくとも1つの鑞着プロセス、及び/又は少なくとも1つの溶接プロセスが使用されうる。
【0173】
図179及び180において、外科用ステープル留め及び切断器具8010はアンビル8014を含んでよく、これは長尺状ステープル溝部材8016への枢動可能取り付けを中心に繰り返し開閉することができる。ステープル適用アセンブリ8012はアンビル8014と溝部材8016を含み、このアセンブリ8012の近位側が長尺状シャフト8018に近位側に取り付けられて実施部分8022を形成しうる。ステープル適用アセンブリ8012が閉じているとき、又は少なくともほぼ閉じているとき、実施部分8022は、トロカールにステープル適用アセンブリ8012を挿入するのに好適な、充分に小さな断面を呈しうる。アセンブリ8012は、シャフト8018に連結されたハンドル8020によって操作することができる。このハンドル8020は、例えば、長尺状シャフト8018とステープル適用アセンブリ8012とをシャフト8018の長手方向軸を中心に回転させる回転ノブ8030などのような、ユーザー制御を含みうる。閉鎖トリガ8026は、ピストルグリップ8036の前で、ハンドルハウジング8154を横断して横方向に係合する閉鎖トリガピン8152(
図181)を中心に枢動することができ、これを押圧することでステープル適用アセンブリ8012を閉じることができる。本発明によれば、詳しくは後述されるように、閉鎖トリガ8026がクランプされたとき、閉鎖解放ボタン8038はハンドル8020上の外側にあってもよく、これにより解放ボタン8038を押圧して閉鎖トリガ8026のクランプを解除してステープル適用アセンブリ8012を開くことができる。発射トリガ8034は、閉鎖トリガ8026の前で枢動することができ、これによりステープル適用アセンブリ8012に、その中にクランプ締めされた組織の切断とステープルを同時に行わせることができる。様々な状況において、詳しくは後述されるように、発射トリガ8034を用いて複数の発射ストロークを利用し、ストローク1回につき、外科医の手がかける必要な力の量を低減することができる。ハンドル8020は、回転可能な右及び/又は左インジケーターホイール8040、8041(
図181)を含んでもよく、これが発射の進行を示しうる。例えば、発射全行程は、発射トリガ8034の発射全ストローク3回分を必要としてよく、よってインジケーターホイール8040、8041は、発射トリガ8034の各ストローク当たり3分の1回転まで回転しうる。詳しくは後述されるように、手動発射解放レバー8042は、望ましい場合、発射全行程が完了する前に発射システムを後退させることができ、これに加えて、発射解放レバー8042は、発射システムが固着及び/又は失敗した場合に、外科医又は他の医師が、発射システムを後退させることを可能にする。
【0174】
図179及び181を参照すると、長尺状シャフト8018は長手方向に回帰する閉鎖管8024を含む外側構造を含んでいてよく、これが、ハンドル8020の閉鎖トリガ8026の近位方向押圧に応答して、アンビル8014を閉位置方向へと枢動させ得る。長尺状溝部材8018は、閉鎖管8024の内部にあるフレーム8028(
図181)によってハンドル8020に連結されうる。フレーム8028は回転可能にハンドル8020に対して係合していてよく、これにより回転ノブ8030(
図179)の回転が、実施部分8022を回転させることができる。
図181を特に参照し、回転ノブ8030は2つの半シェルから構成されていてよく、これらは1つ以上の内向き突起8031を有してよく、これが、閉鎖管8024内の1つ以上の長尺状側面開口部8070を通って延在し、フレーム8028と係合することが可能である。上記の結果、回転ノブ8030とフレーム8028は一緒、又は同期的に回転することができ、これによりノブ8030の回転位置が、実施部分8022の回転位置を決定する。長い開口部8070の長手方向長さは、閉鎖管8024の長手方向の閉鎖方向の動きと開放方向の動きを可能にするのに充分な長さである。閉鎖管8024の閉じる動きの生成に関して、主に
図181及び183を参照して、閉鎖トリガ8026の上部分8160は、閉鎖リンク8164を介して閉鎖ヨーク8162に向かって押すことができる。閉鎖リンク8164は閉鎖ヨークピン8166によってその遠位側が閉鎖ヨーク8162に枢動可能に取り付けられており、また閉鎖リンクピン8168によってその近位側が枢動可能に取り付けられている。閉鎖トリガ8026は、閉鎖トリガ張力ばね8246によって開位置に付勢され、このばねは近位側が閉鎖トリガ8026の上部分8160と、右半分及び左半分のシェル8156、8158によって形成されるハンドルハウジング8154とに連結されている。張力ばね8246によって適用された張力は、ヨーク8162、閉鎖リンク8164、及び閉鎖管8024を遠位方向に前進させるために閉鎖トリガ8026に適用される閉鎖力によって打ち負かされうる。
【0175】
上記のように閉鎖トリガ8026が作動又は押圧される際、閉鎖解放ボタン8038は、外科医又は他の医師が、望ましい場合に閉鎖解放ボタン8038を押して、閉鎖トリガ8026及び他の外科用器具を、非作動状態へと戻すことを可能にすることができる。閉鎖解放ボタン8038は中央外側枢動軸8173によって枢動するロッキングアーム8172に連結され、これにより、解放ボタン8038とロッキングアーム8172との間で動きが伝達されうる。
図181を再び参照して、圧縮ばね8174は閉鎖解放ボタン8038を近位側に(すなわち、右から見たときに中央外側枢動軸8173を中心として時計方向に)付勢することができ、閉鎖トリガ8026の上部分8160は、後部ノッチ8171を備えた近位稜8170を含みうる。閉鎖トリガ8026が押圧されると、枢動ロッキングアーム8172が近位稜8170の上に乗り、閉鎖トリガ8026が完全に押圧された位置に達すると、後部ノッチ8171が枢動ロッキングアーム8172の下になり、後部ノッチ8171内に落下して後部ノッチ8171に対して、圧縮ばね8174の付勢力の下でロックされる。この時点で、閉鎖解放ボタン8038を手動押圧すると、枢動ロッキングアーム8172を上方向に回転させ、後部ノッチ8171から外れ、これによって閉鎖トリガ8026がアンロックされ、閉鎖トリガ8026が、クランプ締めされていない位置に戻ることができる。
【0176】
閉鎖トリガ8026が近位側でクランプ締めされると、上述のように、発射ロッド8032をハンドル8020から遠位方向に前進させるために、発射トリガ8034がピストルグリップ8036に向かって引っ張られうる。発射トリガ8034は横方向に横切る発射トリガピン8202を中心に枢動することができ、かつハンドル8020の右半分及び左半分のシェル8156、8158と係合している。発射トリガ8034は、作動されると、リンクされている伝達発射機構8150を前進させ得る。リンクされている伝達発射機構8150は、ばね8184によって後退された未発射位置へと付勢され、詳しくは後述されるように、このばねは第1に、ハンドル8020のピストルグリップ8036に取り付けられ、第2に、リンクされている伝達発射機構8150のリンクの1つに取り付けられる。ばね8184は、ハウジング8154に連結された不動端8186と、スチールバンド8192の近位端8190に連結された移動端8188とを含みうる。スチールバンド8192の遠位側端8194は、複数のリンク8196a〜8196dの前側リンク8196a上の取り付け機構8195に取り付けることができる。連結ラック8200は可撓性であってよく、これによりピストルグリップ8036側に容易に後退させてハンドル8020の長さを最小化する一方、まっすぐで剛性のラックアセンブリを形成することができ、これが発射ロッド8032に対して及び/又はこれを通して、顕著な発射力を伝達することができる。詳しくは後述されるように、発射トリガ8034は、発射トリガ8034の第1の作動中に第1のリンク8196aと係合し、発射トリガ8034の第2の作動中に第2のリンク8196bと係合し、発射トリガ8034の第3の作動中に第3のリンク8196cと係合し、及び発射トリガ8034の第4の作動中に第4のリンク8196dと係合することができ、発射トリガ8034の各作動により、連結ラック8200を遠位側に増分量前進させることができる。上記に対して更に、発射トリガ1034の複数のストロークが左右のインジケーターゲージホイール1040、1041を回転させ、これにより、連結ラック8200が前進した距離を示すことができる。
【0177】
次に
図181及び183を参照して、後退防止機構8250は、発射ストロークの合間に、張力/圧縮併用ばね8184が、連結ラック8200を後退させるのを防ぐことができる。本発明によれば、連結スライドチューブ8131は第1のリンク8196aを支え、発射ロッド8032に連結して、発射運動を伝達する。発射ロッド8032は、フレーム8028の近位端から近位側に出て、後退防止プレート8266の貫通穴8408を通って延びる。貫通穴8408は、垂直に整列しているときに発射ロッド8032を摺動的に受容するが、傾いているときには拘束するような寸法にされている。下側タブアタッチメント8271はフレーム8028の近位端の下側リップから近位側に延び、後退防止プレート8266の下側エッジの開口部8296を通って延びる。この下側タブアタッチメント8271は、後退防止プレート8266の下側部分フレーム8028に近接するよう引っ張り、これによりこの後退防止プレート8266は、発射ロッド8032が遠位側に前進したときに垂直になり、発射ロッド8032が後退しようと試みると、上部後側を拘束状態に傾けることができる。後退防止圧縮ばね8264はフレーム8028の近位端によって遠位方向に拘束され、後退防止プレート8266の上部を近位方向に支えて、この後退防止プレート8266をロック状態に付勢している。ばねの付勢に対抗して、後退防止カムチューブ8268が連結スライドチューブ8131を摺動可能に包囲し、後退防止プレート8266を支える。後退防止カムチューブ8268に取り付けられた、近位側に突出している後退防止ヨーク8256は、閉鎖ヨーク8162の上を覆って延びる。
【0178】
図181を参照すると、リンクトリガによる自動後退機8289が、外科用ステープル留め及び切断器具8010に組み込まれており、全発射行程の終わりにナイフを後退させる。この際、遠位リンク8196dにはタング8290が含まれ、これは、遠位リンク8196dが、閉鎖ヨーク8162内に形成されたラック溝部材8291(
図181)内に前進すると、上向きに突出する。このタング8290は後退防止リリースレバー8248(
図186)上の下側近位カム8292を起動するよう整列される。
図186及び187を特に参照して、右半分及び左半分のシェル8156、8158内に形成された構造が、後退防止リリースレバー8248の動きを拘束する。右半分及び左半分のシェル8156、8158の間にそれぞれ形成されたピン受容部8296と円形ピン8293が、後退防止リリースレバー8248内に形成された長手方向に長尺の開口部8294を通って下側近位カム8292の遠位側に受容され、これにより、長手方向の並進とともに円形ピン8293を中心とする回転が可能になる。右半分シェル8156において、近位側開放溝部材8295には、近位側水平部8295aが含まれ、この部分は、後退防止リリースレバー8248の近位端近くで右向き後側ピン8297(
図187)を受容する、上方及び遠位に角度がつけられた部分8295bと連通しており、これにより、後退防止リリースレバー8248が並進運動の最も遠位の部分に達したときに、上向きの回転を付与する。後退防止リリースレバー8248の近位側にある、右半分シェル8156内に形成されたブロック構造は、近位側開放溝部材8295内の右向き後側ピン8297を維持するよう組み立てられると、その近位側の動きを阻止する。
【0179】
上記に対して更に、
図187及び188に示すように、後退防止リリースレバー8248の遠位端8254はこれにより遠位側及び下向きに付勢され、右向き前側ピン8298がこれによって右半分シェル8156内に形成された遠位側開放段差構造8299内に落とされ、これは、右向き前側ピン8298と長手方向に長尺の開口部8294との間の後退防止リリースレバー8248に上の左向きフック8301に引っ掛けられた圧縮ばね8300(
図188)によってこの係合に付勢されている。圧縮ばね8300のもう一方の端は、閉鎖ヨーク8266の直上の、より近位側で下側の位置にある、右半分シェル8156内に形成されたフック8302(
図186、188、189)に取り付けられている。圧縮ばね8300はこのようにして、後退防止リリースレバー8248の遠位端8254を下向き及び後ろ側に引っ張り、これにより、遠位側に前進したときに、右向き前側ピン8298が遠位側開放段差構造8299内に固定される。よって、
図189を参照すると、いったん外されると、後退防止リリースレバー8248が前進したまま後退防止プレート8266を垂直に保持し、よって、連結ラック8200を後退させることができる。エンドエフェクタ8012のクランプを外して、これにより閉鎖ヨーク8266が後退すると、閉鎖ヨーク8266上の、上向きに突出しているリセットタング8303が、後退防止リリースレバー8248の下側遠位カム8305に接触し、右向き前側ピン8298を持ち上げて遠位側開放段差構造8299から出し、これにより、後退防止圧縮ばね8264が後退防止カムチューブ8268と後退防止リリースレバー8248を近位側に押して、それらの後退位置にすることができる(
図186)。
【0180】
図179及び189を参照すると、発射トリガ8034は、任意の適当な方法で、連結ラック8200に操作可能に係合させることができる。
図180及び185を特に参照し、発射トリガ8034は、ハウジング8154に連結された発射トリガピン8202を中心に枢動する。発射トリガ8034の上側部分8204は、発射トリガ8034がピストルグリップ8036の方へと押圧されると、発射トリガピン8202を中心に遠位方向に動き、発射トリガ8034の上側部分8204とハウジング8154との間で近位側に連結された、近位方向に定置された発射トリガ張力ばね8206(
図181)を伸張する。発射トリガ8034の上側部分8204は、ばねで付勢された側面つめ機構8210を介して、毎回の発射トリガ押圧の間、連結ラック8200を係合する。発射トリガが解放されると、この側面つめ機構が、連結ラック8200から外れ、発射トリガが非押圧(非発射)位置に戻ることができる。使用時には、リンク8196a〜8196dのそれぞれにおいて、近位側及び右側に向いた斜面8284によって形成されている、傾斜面右側トラックが、側面つめアセンブリ8285によって係合される。特に、つめスライド8270(
図181及び183)は、右下及び左下ガイド8272を有し、これらはそれぞれ、ラック溝部材8291の下の閉鎖ヨーク8266内に形成された左側トラック8274(
図181)と、ラック溝部材8291に平行でラック溝部材カバー8277に取り付けられている閉鎖ヨーク8276内の右側トラック8275とに、それぞれ摺動し、ここで溝部材カバー8277は、つめスライド8270の行程に対して遠位側の閉鎖ヨーク8266内で、ラック溝部材8291の右向き開放部分を閉じる。
図181、182、及び185において、圧縮ばね8278は、閉鎖ヨークレール8276の上の上側近位位置にあるフック8279と、つめスライド8270の遠位右側にあるフック8280との間に取り付けられており、これが、つめスライド8270を近位側に引っ張って、発射トリガ8034の上側部分8204に接触させた状態にしている。
【0181】
図181を特に参照し、つめブロック8318は、垂直後方ピン8320を中心に枢動するつめスライド8270の上に乗っており、このピンはつめブロック8318とつめスライド8230の左近位角を貫通している。キックアウトブロック凹部8322が、垂直ピン8236により枢動可能にピン止めされているキックアウトブロック8324を受容するよう、ブロック8318の上面の遠位部分に形成されており、このピンの下側先端は、つめスライド8270の上面のつめばね凹部8328内へと延在している。つめばね凹部8328内のつめばね8330は、垂直前側ピン8326の右側に延び、つめブロック8318を、上から見て時計方向に回転するよう付勢し、傾斜した右側トラック8282に係合させる。キックアウトブロック凹部8322内の小さなコイルばね8322は、キックアウトブロック8324を、上から見て時計方向に回転するよう付勢し、その近位端は、ラック溝部材8291の上の閉鎖ヨーク8266内に形成された凹凸のあるリップ8334に接触するよう付勢されている。
図184に示すように、小さなコイルばね8332よりも、つめばね8330の方がより強い機械的利点を有しているため、このことは、つめブロック8318が、時計方向に回転したキックアウトブロック8324と係合する傾向になることを意味する。
図185において、発射トリガ8034が完全に押圧され、解放され始めると、つめスライド8270が後退する際に、キックアウトブロック8324が、凹凸のあるリップ8334内の隆起部8336に当たり、キックアウトブロック8324を上から見て時計方向に回転させ、これによってつめブロック8318を、連結ラック8200との係合から追い出す。キックアウトブロック凹部8322の形状により、キックアウトブロック8324の時計方向回転が停止して、凹凸のあるリップ8334に対して垂直の向きになり、完全後退の間中、この外れた状態を維持し、これによりラチェットノイズを解消する。
【0182】
図181、183、190、及び195において、外科用ステープル留め及び切断器具8010は、発射機構の手動解放、手動後退を提供し、及び1つのバージョン(
図196〜202)では更に、完全発射行程の最後に自動後退を実施する、手動後退機構8500を含みうる。次に
図181、190、及び191を参照すると、特に、前側アイドラーギア8220は、連結ラック8200の歯のある左上側表面8222に係合し、このとき前側アイドラーギア8220は、小さな右側ラチェットギア8231を有する後側アイドラーギア8230にも係合する。前側アイドラーギア8220と後側アイドラーギア8230は、それぞれ前側アイドラー軸8232と後側アイドラー軸8234の上で、ハンドルハウジング8154に回動可能に連結されている。後側軸8232の両端はそれぞれハウジング右半分シェルと左半分シェル8156、8158を貫通して延在し、左右のインジケーターゲージホイール8040、8041に取り付けられているため、後側軸8234がハンドルハウジング8154内で自由にスピンし後側ギア8230へのキー係合を有していることにより、インジケーターゲージホイール8040、8041が後側ギア8230とともに回転する。連結ラック8200とアイドラーギア8220と後側ギア8230との間のギアの関係は、歯状上方表面8222が好適な強さの歯寸法を有し、連結した伝送発射機構8150の完全な発射移動中に後側ギア8230が1回転未満回転するように、有利に選択されうる。発射行程又は進行を視覚的に示すギア機構8502に加えて、ギア機構8502は更に、ナイフを手動で後退させるのに使用することもできる。後側アイドラーギア8230の右側の小さなラチェットギア8231は、手動後退レバー8042のハブ8506内に延在し、特にハブ8506を二分する、垂直長手方向に揃えて整列されたスロット8508(
図190)に整列される。ハブ8506の横貫通穴8510は、上側凹部8512と連通している。前側部分8514は、近位側に導かれるロックつめ8516を受容するよう形作られ、このロックつめは、上側凹部8512の遠位端に形成された右向き横方向ピン8518を中心に枢動する。後側部分8520は、L字型ばねタブ8522を受容するよう形作られ、これがロックつめ8516を下方向に付勢し、右側の小さなラチェットギア8231に係合させる。保持構造8524(
図186及び193)は右半分シェル8156から上側凹部8512内に突出しており、手動後退レバー8042が下りているときは、右側の小さなラチェットギア8231に係合しないようにロックつめ8516を上に保持する(
図193)。コイルばね8525(
図181)は、手動後退レバー8042を下方向に付勢する。
【0183】
使用時には、
図192及び193に示されるように、張力/圧縮併用ばね8184は、遠位側に配置された連結ラックとの連結が外れた状態になりうる。
図194及び195において、手動後退レバー8042が上がると、ロックつめ8516が時計方向に回転し、保持構造8524により保持されなくなり、小さな右側ラチェットギア8231に係合し、後側アイドラーギア8230を左から見て時計方向に回転させる。よって、前側アイドラーギア8220は反時計方向に動き、連結ラック8200を後退させる。加えて、右側にカーブした稜8510が、ハブ8506から突出し、後退防止リリースレバー8248と接触して遠位方向に動かすような寸法にされており、これにより、手動後退レバー8042が回転すると、後退防止機構8250が解放される。
【0184】
図196〜202において、外科用ステープル留め及び切断器具8010a用の自動後退機構8600には、完全発射行程の最後に、歯8602を有する前側アイドラーギア8220aに入り、この歯は、3回の発射ストロークに対応するほぼ完全な1回転を行った後、ブロック8608に当たるまで、カムホイール8606内の円形溝8604内で動くような、自動後退が組み込まれうる。そのような状況において、右側稜8610は上方向に回転されて下側カム凹部8612に接触し、後退防止リリースレバー8248aを遠位方向に動かす。
図197を特に参照して、後退防止リリースレバー8248aには、前述のように作動する遠位端8254が含まれる。右半分及び左半分のシェル8156、8158に形成された円形ピン8293とピン受容部8296は、下側カム8192の後側の後退防止リリースレバー8248a内に形成された、概ね矩形の開口部8294aを通って受容され、これにより、後退防止リリースレバー8248aの遠位端8254の長手方向並進と下向きのロック運動とが可能になる。右半分シェル8156において、水平近位開放溝部材8295aが、後退防止リリースレバー8248aの近位端近くの右向き後側ピン8297を受容する。
【0185】
操作中、発射前に、
図198、198Aにおいて、連結ラック8200と後退防止カムチューブ8268は後退位置にあり、後退防止圧縮ばね8264が近位側で後退防止プレート8266に接触して、後退防止機構8250を固定している。自動後退機構8600は、後退防止リリースレバー8248aが、前側アイドラーギア8220aに接触するリンク8196aで後退された状態の初期状態である。歯8602は、反時計方向に進行する円形溝8604の全行程で、歯8602のすぐ近位側に右向き稜8610がある状態で、6時の位置にある。
図199、199Aにおいて、1回の発射ストロークにより、1つの遠位リンク8196bを前進させ、前側アイドラーギア8220aに接触させる。歯8602は、静止カムホイール8606の円形溝8604を通って3分の1回転進行する。
図200、200Aにおいて、第2の発射ストロークにより、もう1つのリンク8196cを前進させ、前側アイドラーギア8220aに接触させる。歯8602は、静止カムホイール8606の円形溝8604を通って3分の2回転進行する。
図201、201Aにおいて、第3の発射ストロークにより、1つの遠位リンク8196dを前進させ、前側アイドラーギア8220aに接触させる。歯8602は円形溝8604を完全に1回転してブロック8608に接触し、カムホイール8606の反時計方向回転(右から見たときに)を開始し、右向き稜8608を後退防止リリースレバー8248aに接触させる。
図202において、後退防止リリースレバー8248aは、それに応答して遠位側に動き、右向き前側ピン8298を遠位側開放段差構造8299に固定し、後退防止機構8250を解放する。同様の外科用ステープル留め器具が、米国特許第7,083,075号(2006年8月1日発行)に開示されており、その開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0186】
図203を参照すると、外科用ステープル留め器具9010のステープル適用アセンブリ9012は、シャフトフレーム9070に対してシャフト9016を長手方向に下げるよう伝達される2つの異なる動きによって、組織上にクランプし、ステープルを駆動し、組織を切断する機能を達成する。このシャフトフレーム9070は、外科用ステープル留め器具のハンドルに近位側が取り付けられ、長手方向軸を中心に回転するよう連結されている。外科用ステープル留め及び切断用器具の例示的なマルチストロークハンドルは、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用する、同時係属かつ共同出願の米国特許出願第10/374,026号「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM」に詳細が記述されている。本発明と共通する他の適用では、例えば、同時係属かつ共同出願の、本明細書にその開示内容の全体を援用するところの米国特許出願第10/441,632号「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」に述べられるような単一発射ストロークを組み込むことができる。
【0187】
図204を特に参照して、シャフトフレーム9070の遠位端が、ステープル溝部材9018に取り付けられている。アンビル9022は、ステープル溝部材9018の近位端9074内に枢動可能に受容される近位枢動端9072を有し、これはシャフトフレーム9070との係合のすぐ遠位側である。アンビル9022が下向きに枢動すると、アンビル9022が、組織接触表面9028を動かし、相対するステープルカートリッジに向かってポケット9026を形成し、これについては下記に詳述される。アンビル9022の枢動端9072には、近位側であるが、ステープル溝部材9018との枢動可能な取付よりも遠位側にある、閉鎖機構9076が含まれる。よって、閉鎖管9078は、その遠位端にこの閉鎖機構9076と係合する馬蹄形開口部9080が含まれ、上述と同様に、閉鎖トリガに応じてシャフトフレーム9070の上を摺動しながら、閉鎖管907の、近位側長手方向運動中にアンビル9022に対する開放運動と、遠位側長手方向運動中にアンビル9022に対する閉鎖運動とを選択的に付与する。シャフトフレーム9070は、長手方向に往復する2ピースのナイフ及び発射バー9090を介して、ハンドルからの発射運動を包含しガイドする。特に、シャフトフレーム9070には、長手方向に往復する2ピースのナイフ及び発射バー9090の近位部分を受容する長手方向発射バースロット9092が含まれ、具体的にはラミネート先細発射バー9094が含まれる。ラミネート先細発射バー9094は、固体の発射バー及び/又はその他の好適な材料で置き換えられうることが理解されよう。
【0188】
Eビーム9102は、2ピースのナイフ及び発射バー9090の遠位部分であり、これは別々の閉鎖と発射を促進し、また発射中に長尺状ステープル溝部材9018からのアンビル9022の間隔あけを促進する。特に
図204及び205を参照して、鑞付け又は接着剤などの任意の取付処理に加えて、ナイフ及び発射バー9090は、Eビーム9102内に近位側に形成されたメスの垂直取付開口部9104で形成され、これが、ラミネート先細発射バー9094により遠位側に置かれる、対応するオスの取付部材9106を受容し、これにより、それぞれの部分が、それぞれ異なる機能に好適な選択された材料及びプロセスで形成される(例えば強度、可撓性、摩擦)。Eビーム9102は、一対の上側ピン9110、一対の中間ピン9112、及び下側ピン又は脚9114を形成するのに好適な材料特性を有し、かつ鋭い刃先9116を得ることができるような材料で、有利なように形成されうる。加えて、刃先9116の各垂直端を支えて保持している、一体形成され近位側に突出している上側ガイド9118及び中間ガイド9120は更に、切断の前に組織を鋭い刃先9116の方へガイドするのを補助する組織準備エリア9122を画定する。中間ガイド9120は更に、ウェッジスレッド9126(
図206)の段付き中央部材9124を支えることによりステープル適用器具9012を係合かつ発射するのに使用され、詳しくは後述されるように、ステープル適用アセンブリ9012によるステープル成形を行う。これらの形状(例えば上側ピン9110、中間ピン9112及び下側脚9114)をEビーム9102とともに一体形成することで、複数の部品を組み立てた場合に比べ、互いに対しての許容誤差を小さくして製造することが促進され、これによって、ステープル適用アセンブリ9012の、発射中の望ましい動作及び/又は様々なロックアウト機能との効果的な相互作用が確実になる。
【0189】
図207及び208において、ステープル適用アセンブリ9012は開いた状態で、Eビーム9102は完全に後退した状態で示されている。組立中、Eビーム9102の下側脚9114は、ステープル溝部材9018内の広がった穴9130を通ってこの中に落ち、次にEビーム9102が前進し、これによってEビーム9102が、ステープル溝部材9018内に形成された下側トラック9132に沿って遠位側に摺動する。特に、下側トラック9132には、ステープル溝部材9018の下側表面の広がったスロット9134として開放している狭いスロット9133が含まれ、これは
図208及び209に特に示すように、広がった穴9130と連通した、横断面における逆T字型を形成する。いったん組み立てると、ラミネート先細発射バー9094に近位側が連結されたコンポーネントにより、下側脚9114が再び近位側に移動して広がった穴9130に入り係合を外すことは許さない。
図210を参照すると、ラミネート先細発射バー9094は、ステープル適用アセンブリ9012をトロカールを通して挿入することを促進する。特に、完全に後退したときに、より遠位で下側の突起9136がEビーム9102を持ち上げる。これは、ステープル溝部材9018内の広がった穴9130の近位側エッジに、上向きにカムが係合する点の、下向き突起9136の配置によって達成される。次に
図211を参照すると、ラミネート先細発射バー9094は更に、特定のロックアウト機構の操作を強化し、このような機構は、発射行程の最初の部分の間にシャフトフレーム9070によって下向きに付勢される、より近位側の上向き突起9138を含めることによって、ステープル溝部材9018に組み込まれうる。特に、横方向バー9140は、シャフトフレーム9070内の一対の矩形開口部9142の間で画定される(
図204)。横方向バー9140を包むクリップばね9144が、長手方向発射バースロット9092から遠位側に突出しているラミネート先細発射バー9094の一部分を下向きに付勢し、これにより、適切な場合に、特定の有利なロックアウト機構が確実に係合される。この付勢は、上向き突起9138がクリップばね9144に接触するとき、発射行程の一部だけに対していっそう際立ち、又はいっそう制限される。
【0190】
図207及び208において、Eビーム9102は、アンビル9022の枢動近位端近くのアンビルポケット9150内で、Eビーム9102の上側ピン9110によって後退される。下向きの開放垂直アンビルスロット9152(
図203)は、アンビル9022内で横方向に広げてアンビル内部トラック9154にし、発射中にこれが遠位側に前進する際、
図210及び211に示すように、ステープル溝部材9018からのアンビル9022の間隔を積極的にあけて、Eビーム9102の上側ピン9110を捕捉する。よって、Eビーム9102が後退した状態で、外科医は、ステープルと切断のために中に捕捉した組織の配置と向きに満足するまで、繰り返して、ステープル適用アセンブリ9012を開閉することができ、しかも、Eビーム9102は、直径が小さく、それに対応して剛性が低減したステープル適用アセンブリ9012にであっても、組織の適切な配置を支援する。
図203、204、206、207、209、及び215において、ステープル適用アセンブリ9012が、ウェッジスレッド9126を含む交換可能ステープルカートリッジ9020とともに示されている。長手方向に整列した平行な複数の下向き開放ウェッジスロット9202(
図209)は、ウェッジスレッド9126に一体化されたそれぞれのウェッジ9204を受容する。
図209〜211において、ウェッジスレッド9126は複数のステープルドライバ9206に上向きにカム係合し、このドライバはステープルドライバ凹部9208内で垂直に摺動可能である。この例示バージョンにおいて、各ステープルドライバ9206には、2本の垂直の尖った突起があり、それぞれが、それぞれのステープル穴9210又はキャビティ9024内へと上向きに移動して、ステープル9023を上向きに押し出して変形させ、アンビル9022のステープル成形表面9214(
図211)に対して収まるようにする。中央発射凹部9216(
図204)は、ステープル溝部材9018に近接するステープルカートリッジ9020内で画定されており、これによりウェッジスレッド9126の下部水平部分9218(
図206)と、Eビーム9102の中間ピン9112との通過が可能になる。特に、ステープルカートリッジトレイ9220(
図204、209)がポリマー製ステープルカートリッジ本体9222に取り付けられてその下側にあり、このポリマー製ステープルカートリッジ本体は、それ自体に成形されたステープルドライバ凹部9208、ステープル穴9210、及び中央発射凹部9216を有する。ステープル9023がこれによりいずれかの側に形成されると、鋭い刃先9116が、最も遠位の端のみを除き、ステープルカートリッジ9020の長手方向軸を通過するスロット9230を垂直に通って入り込む。
【0191】
図211に示すように、ステープル適用アセンブリ9012の発射は、2ピースのナイフ及び発射バー9090を、下向き突起9136がEビーム上の中間ガイド9120を上側及び後側にカム係合するまで、近位側に引くことで開始され、これによって、
図203及び207に示すように、アンビル9022が開いているときに、新しいステープルカートリッジ9020がステープル溝部材9018に挿入される。
図212において、2ピースのナイフ及び発射バー9090は、小さな距離だけ遠位側に前進しており、これにより、ラミネート先細発射バー9094の上向き突起9138に対するクリップばね9144の付勢力の下で、下向き突起9136が下側トラック9132の広がった穴9130の中に落ちる。中間ガイド9120が、ウェッジスレッド9126の段付き中央部材9124の上に乗ることにより、更なる下向き回転を防ぎ、これにより、Eビームの中間ピン9112を、中央発射凹部9216内に保持する。
図213において、2ピースのナイフ及び発射バー9090が遠位方向に発射されており、ウェッジスレッド9126が前進してステープル9023を成形させている一方、アンビル9022と、鋭い刃先9116を有するステープルカートリッジ9020との間に挟まれた組織9242を切断する。その後、
図214において、2ピースのナイフ及び発射バー9090を後退させ、ウェッジスレッド9126を遠位側に配置されたまま残す。
図215において、中間ピン9112は、ステープル溝部材9018内に形成されたロックアウト凹部9240内に平行移動して下りることができる(
図208、211も参照)。このようにして、ウェッジスレッド9126(
図215には図示なし)が近位側に配置されていない状態(すなわち、ステープルカートリッジ9020又は使用済みステープルカートリッジ9020がない状態)のときに、中間ピン9112がロックアウト凹部9240の遠位エッジに当たる際に、手術者は触覚的指標を受け取ることができる。同様の外科用ステープル留め器具が、米国特許第7,380,696号(2008年6月3日発行)に開示されており、その開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0192】
必要に応じて、上述のように、ステープルカートリッジは、内部に画定された複数のステープルキャビティを有するカートリッジ本体を含みうる。カートリッジ本体は、デッキ及びデッキ上表面を有してよく、各ステープルキャビティは、デッキ表面に開口部を画定しうる。上述のように、ステープルは、そこから発射されるまでの間、カートリッジ本体内に格納されるように、各ステープルキャビティ内に配置することができる。ステープルは、カートリッジ本体から発射される前に、ステープルがデッキ表面の上に突出しないように、カートリッジ本体内に受容されうる。ステープルはデッキ表面の下に配置されているため、そのような場合、ステープルの損傷及び/又は標的組織に早期に接触する可能性を低減することができる。様々な状況において、ステープルは、カートリッジ本体から突出していない未発射位置と、カートリッジ本体から出現して、ステープルカートリッジに対向して配置されているアンビルに接触することができる発射済み位置との間で、移動することができる。アンビル、及び/又はアンビル内に画定されている成形ポケットは、デッキ表面の上の所定距離に配置することができ、これにより、ステープルがカートリッジ本体から配備される際に、ステープルが所定の成形高さに変形される。特定の状況において、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織の厚さは変化する可能性があり、その結果、より厚い組織が特定のステープル内に捕捉されることがある一方、より薄い組織が他の特定のステープル内に捕捉されうる。いずれの場合においても、ステープルによって組織にかかるクランプ圧力又はクランプ力は、ステープルによって変化する可能性があり、あるいは、例えば、ステープル列の一方の端にあるステープルと、そのステープル列の他方の端にあるステープルとの間で変わる可能性がある。特定の状況において、アンビルとステープルカートリッジデッキとの間の隙間は、ステープルが各ステープル内に所定の最低クランプ圧力を適用するように制御することができる。しかしながら、いくつかのそのような状況において、異なるステープル内でクランプ圧力の顕著な変動が依然として存在しうる。
【0193】
本明細書に述べられるように、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジから配備されるステープル内に捕捉される組織の厚さに関して補償を行う手段を含みうる。
図216を参照すると、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ10000)は、剛性の第1の部分(例えば、支持部分10010)と、圧縮可能な第2の部分(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)とを含みうる。主に
図218を参照すると、支持部分10010は、カートリッジ本体、デッキ上側表面10011、及び複数のステープルキャビティ10012を有してよく、上記と同様、各ステープルキャビティ10012はデッキ表面10011に開口部を画定しうる。例えばステープル10030は、各ステープルキャビティ10012内に取り外し可能に配置することができる。例えば、
図245を主に参照し、かつ詳しくは後述されるように、各ステープル10030は、底面10031と、底面10031から延びる1本又は複数の脚10032と、を含みうる。ステープル10030が配備される前に、これも詳しくは後述されるように、ステープル10030の底面10031は、支持部分10010内に配置されているステープルドライバによって支持することができ、同時に、ステープル10030の脚10032は、ステープルキャビティ10012内に少なくとも部分的に収容されうる。ステープル10030は、脚10032が組織厚さコンペンセータ10020を貫通して動き、組織厚さコンペンセータ10020の上側表面を貫通し、組織Tに入り込み、ステープルカートリッジ10000に対向して配置されるアンビルに接触するよう、未発射位置と発射済み位置との間に配備することができる。脚10032がアンビルに当たって変形されると、各ステープル10030の脚10032が、各ステープル10030内で、組織厚さコンペンセータ10020の一部と組織Tの一部とを捕捉し、この組織に圧縮力をかけることができる。上記に対して更に、各ステープル10030の脚10032は、ステープルの底面10031に向かって下向きに変形して、ステープル捕捉領域10039を形成することができ、組織Tと組織厚さコンペンセータ10020が捕捉されうる。様々な状況において、ステープル捕捉領域10039は、変形した脚10032の内側表面と、底面10031の内側表面との間で画定されうる。ステープルの捕捉領域の大きさは、例えば脚の長さ、脚の直径、底面の幅、及び/又は脚の変形の程度などのいくつかの要素に依存しうる。
【0194】
過去においては、外科医はしばしば、ステープルを適用する組織に対して適切なステープル高さを有する適切なステープルを選択する必要があった。例えば外科医は、厚い組織に使用するには長いステープルを選択し、薄い組織に使用するには短いステープルを選択することができた。しかしながら特定の状況において、ステープルが適用される組織は均一な厚さを有しておらず、ステープルによっては、望ましい発射形状を達成することができなかった。例えば、
図250は、薄い組織に使用された長いステープルを示す。次に
図251を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10020)を薄い組織に使用した場合、大きなステープルであっても、望ましい発射形状に成形することができる。
【0195】
組織厚さコンペンセータの圧縮性のおかげで、組織厚さコンペンセータは、各ステープル内に捕捉された組織の厚さを補償することができる。より詳細には、次に
図245及び246を参照して、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10020)は、ステープル捕捉領域10039内に捕捉された組織の厚さ及び/又はタイプに応じて、各ステープル10030のステープル捕捉領域10039のより大きな部分及び/又はより小さな部分を占めることができる。例えば、より薄い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より厚い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039のより大きな部分を占めることができる。これに対応して、より厚い組織Tがステープル10030内に捕捉された場合、組織厚さコンペンセータ10020は、より薄い組織Tがそのステープル10030内に捕捉された場合に比べ、ステープル捕捉領域10039の中で、より小さな部分を占めることができる。このようにして、組織厚さコンペンセータは、より薄い組織及び/又はより厚い組織を補償することができ、ステープル内に捕捉された組織厚さとは無関係に、又は少なくともほぼ無関係に、圧縮圧力を組織に適用することができる。上記に加えて、組織厚さコンペンセータ10020は、異なるステープル10030内に捕捉された組織の様々なタイプ又は圧縮性を、補償することができる。次に
図246を参照して、組織厚さコンペンセータ10020は、管Vを含みうる脈管組織Tに対して圧縮力を適用することができ、その結果、圧縮性のより低い管Vを通る血流を制限する一方、周囲の組織Tに対して望ましい圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ10020はまた、成形不良ステープルをも補償することができる。
図247を参照して、様々なステープル10030の成形不良により、そのようなステープル内で画定される、より大きなステープル捕捉領域10039が生じることがある。組織厚さコンペンセータ10020の弾力性のおかげで、次に
図248を参照すると、成形不良ステープル10030内に配置された組織厚さコンペンセータ10020は、そのような成形不良ステープル10030内に画定されたステープル捕捉領域10039が増大している場合であっても、依然として組織Tに充分な圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、例えば、隣接するステープル10030の中間にある組織厚さコンペンセータ10020は、成形不良ステープル10030を取り囲む適正成形ステープル10030により、組織Tに対して付勢することができ、その結果、周囲の組織、及び/又は成形不良ステープル10030内に捕捉された組織に対して、圧縮圧力を適用することができる。様々な状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば石灰化、線維性領域、及び/又は以前にステープル又は治療が行われた組織などによって生じうる、異なる組織密度を補償することができる。
【0196】
本明細書によれば、固定された(変更不能な)組織間隔は、支持部分とアンビルとの間で画定することができ、その結果、ステープルは、ステープル内に捕捉された組織の厚さにかかわらず、所定の高さに変形されうる。組織厚さコンペンセータをこれらの場合に使用すると、組織厚さコンペンセータが、アンビルと支持部分ステープルカートリッジとの間に捕捉された組織に対して適合することができ、この組織厚さコンペンセータのおかげで、組織厚さコンペンセータが追加の圧縮圧力を組織に対して適用することができる。次に
図252〜257を参照すると、ステープル10030は、所定の高さHに成形されている。
図252に関して、組織厚さコンペンセータは使用されておらず、組織Tがステープル捕捉領域10039の全体を占めている。
図259に関して、組織厚さコンペンセータ10020の一部がステープル10030内に捕捉され、組織Tを圧縮し、ステープル捕捉領域10039の少なくとも一部を占めている。次に
図254を参照して、薄い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約2/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約7/9Hの高さを有する。次に
図255を参照すると、中間の厚さを有する組織Tが、ステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約4/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約5/9Hの高さを有する。次に
図256を参照すると、中間の厚さを有する組織Tが、ステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約2/3Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約1/3Hの高さを有する。次に
図255を参照して、厚い組織Tがステープル10030内に捕捉されている。この実施形態では、例えば、圧縮された組織Tは約8/9Hの高さを有し、圧縮された組織厚さコンペンセータ10020は約1/9Hの高さを有する。様々な状況において、この組織厚さコンペンセータは、例えば、ステープル捕捉高さの約10%、ステープル捕捉高さの約20%、ステープル捕捉高さの約30%、ステープル捕捉高さの約40%、ステープル捕捉高さの約50%、ステープル捕捉高さの約60%、ステープル捕捉高さの約70%、ステープル捕捉高さの約80%、及び/又はステープル捕捉高さの約90%を含む圧縮高さを有しうる。
【0197】
ステープル10030は任意の適当な未成形高さを含みうる。ステープル10030は、例えば約2mm〜4.8mmの未成形高さを有しうる。ステープル10030は、例えば約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.8mm、約4.0mm、約4.1mm、及び/又は約4.8mmの未成形高さを有しうる。ステープルが変形されうる高さHは、支持部分10010のデッキ表面10011と、それに相対するアンビルとの間の距離によって規定されうる。デッキ表面10011とアンビルの組織接触表面との間の距離は、例えば約2.5mm(0.097”)でありうる。高さHは、アンビル内に画定される成形ポケットの深さによっても規定されうる。成形ポケットは、例えば、組織接触表面から測定される深さを有しうる。必要に応じて、詳しくは後述されるように、ステープルカートリッジ10000は更にステープルドライバを有してよく、これはステープル10030をアンビルに向かって持ち上げることができ、ステープルをデッキ表面10011の上に持ち上げる(又は「オーバードライブさせる」)ことができる。そのような場合、ステープル10030が成形される高さHは、ステープル10030がオーバードライブされる距離によっても規定されうる。例えば、ステープル10030は、例えば約0.71mm(.028”)オーバードライブされてよく、これによりステープル10030が例えば約4.80mm(0.189”)の高さに成形されうる。ステープル10030は例えば、約0.8mm、約1.0mm、約1.5mm、約1.8mm、約2.0mm、及び/又は約2.25mmの高さに成形されうる。ステープルは例えば、約2.25mm〜約3.0mmの高さに成形されうる。上記に対して更に、ステープルのステープル捕捉領域の高さは、ステープルの成形高さと、そのステープルを構成するワイヤの幅(又は直径)とによって決定されうる。ステープル10030のステープル捕捉領域10039の高さは、ステープルの成形高さHから、ワイヤの直径幅の2倍を引いたものとなりうる。ステープルワイヤは、例えば、約0.23mm(0.0089”)の直径を含みうる。ステープルワイヤは、例えば、約0.18mm(0.0069”)〜約0.30mm(0.0119”)の直径を含みうる。例えば、ステープル10030の成形された高さHは、約4.8mm(0.189”)であってもよく、ステープルワイヤ直径は約0.23mm(0.0089”)であってもよく、これによりステープル捕捉高さは約4.34mm(0.171”)となる。
【0198】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、未圧縮(又は配備前の)高さを有し、複数の圧縮高さの1つに変形されるように構成することができる。組織厚さコンペンセータは例えば、約3.18mm(0.125”)の未圧縮高さを含みうる。組織厚さコンペンセータは例えば、約2.0mm(0.080”)以上の未圧縮高さを含みうる。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さよりも高い、未圧縮(又は配備前)高さを含みうる。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、未発射のステープル高さよりも、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、及び/又は約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、最高約100%高くてもよい。組織厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、未発射のステープル高さよりも、100%以上高くてもよい。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さに等しい未圧縮高さを含みうる。組織厚さコンペンセータは、ステープルの未発射高さより低い未圧縮高さを含みうる。厚さコンペンセータの未圧縮(又は配備前)高さは、例えば、ステープルの未発射高さよりも、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及び/又は約90%小さくてもよい。圧縮可能な第2の部分は、ステープル適用される組織Tの未圧縮高さよりも高い、未圧縮高さを有しうる。組織厚さコンペンセータは、ステープル適用される組織Tの未圧縮高さに等しい未圧縮高さを有しうる。組織厚さコンペンセータは、ステープル適用される組織Tの未圧縮高さよりも低い未圧縮高さを有しうる。
【0199】
上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル内に捕捉される組織が厚いか薄いかにかかわらず、複数の成形されたステープル内に圧縮されうる。例えば、ステープルライン(列)内のステープルは、各ステープルのステープル捕捉領域が例えば、約2.0mmの高さを含むように変形され、組織Tと組織厚さコンペンセータが、この高さ内に圧縮されうる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.0mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.75mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.25mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約1.50mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約0.50mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。特定の状況において、例えば、組織Tは、ステープル捕捉領域内に約0.25mmの圧縮高さを含みうる一方、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内に約1.75mmの圧縮高さを有してよく、これによって合計で約2.0mmのステープル捕捉領域高さとなる。
【0200】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも低い未圧縮高さを有しうる。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さに等しい未圧縮高さを有しうる。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも高い未圧縮高さを有しうる。例えば、組織厚さコンペンセータの未圧縮高さは例えば、成形済みステープル高さの約110%、成形済みステープル高さの約120%、成形済みステープル高さの約130%、成形済みステープル高さの約140%、成形済みステープル高さの約150%、成形済みステープル高さの約160%、成形済みステープル高さの約170%、成形済みステープル高さの約180%、成形済みステープル高さの約190%、及び/又は成形済みステープル高さの約200%の厚さを含みうる。組織厚さコンペンセータは、ステープルの発射済み高さよりも2倍以上高い未圧縮高さを有しうる。組織厚さコンペンセータは例えば、成形済みステープル高さの約85%〜約150%の圧縮高さを有しうる。必要に応じて、上述のように、組織厚さコンペンセータは、未圧縮厚さと圧縮済み厚さとの間まで圧縮されうる。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは例えば、未圧縮厚さの約10%、未圧縮厚さの約20%、未圧縮厚さの約30%、未圧縮厚さの約40%、未圧縮厚さの約50%、未圧縮厚さの約60%、未圧縮厚さの約70%、未圧縮厚さの約80%、及び/又は未圧縮厚さの約90%でありうる。組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さは例えば、圧縮済み厚さの約2倍、約10倍、約50倍、及び/又は約100倍でありうる。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、未圧縮厚さの約60%〜約99%でありうる。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、圧縮済み厚さより少なくとも50%厚くてもよい。組織厚さコンペンセータの圧縮済み厚さは、圧縮済み厚さより最高100倍厚くてもよい。圧縮可能な第2の部分は、弾性、又は少なくとも部分的に弾性であってもよく、ステープルの変形した脚に対して組織Tを付勢しうる。例えば、圧縮可能な第2の部分は、組織Tをステープルの脚に対して押し付けるために、組織Tとステープルの底面との間で弾力的に膨張しうる。詳しくは後述されるように、組織厚さコンペンセータは組織Tと変形したステープル脚との中間に配置されうる。様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータは、ステープル捕捉領域内の任意の隙間を埋めるように構成することができる。
【0201】
組織厚さコンペンセータは、ポリマー組成物を含みうる。このポリマー組成物は、1つ以上の合成ポリマー及び/又は1つ以上の非合成ポリマーを含みうる。この合成ポリマーは、吸収性合成ポリマー及び/又は非吸収性合成ポリマーを含みうる。ポリマー組成物は例えば、生体適合性発泡材料を含みうる。生体適合性発泡材には例えば、多孔質連続気泡発泡材、及び/又は多孔質独立気泡発泡材が含まれうる。生体適合性発泡材は均一の孔形態を有していてよく、あるいは勾配のある孔形態(すなわち、発泡材の厚さにわたって一方向に、小さい孔から大きい孔へと徐々に大きくなる)を有していてもよい。ポリマー組成物は、多孔質足場、多孔質マトリックス、ゲルマトリックス、ヒドロゲル溶液、溶液マトリックス、繊維状マトリックス、管状マトリックス、複合体マトリックス、膜状マトリックス、生体安定性ポリマー、及び生分解性ポリマー、及びこれらの組み合わせのうち1つ又は2つ以上を含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータは、繊維状マトリックスにより補強された発泡材を含んでもよく、また、体液の存在下で膨張して組織に更に圧力を提供する追加のヒドロゲル層を有する発泡材を含んでもよい。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、更に材料の上のコーティングから構成されてもよく、及び/又は体液の存在下で膨張して組織に更に圧力を提供する第2若しくは第3の層を含んでもよい。そのような層は、例えば、合成及び/又は天然由来の材料でありうるヒドロゲルであってよく、かつ、生体耐久性及び/又は生分解性であってもよい。組織厚さコンペンセータは、追加の柔軟性、合成、及び/又は強度を提供しうるような、例えば、繊維性不織布材料又は繊維性メッシュタイプ構成要素で強化されうる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、多孔質形態を有し、これは例えば、一方の表面に小さい孔、もう一方の表面により大きい孔を備えた勾配構造を呈する。そのような形態は、成長中の組織又は止血処置用に、より最適でありうる。更に、この勾配は、様々な生体吸収性プロフィールとともに構成することもできる。短期的な吸収プロフィールは、止血対処のために好ましく、一方、長期的な吸収プロフィールは、漏れを生じずにより良い組織治癒を行いうる。
【0202】
非合成ポリマーの例には、凍結乾燥した多糖類、糖たんぱく、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び酸化再生セルロースが挙げられるがこれらに限定されない。合成吸収性ポリマーの例には、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(TMC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、グリコリドとε−カプロラクトンのコポリマー(PGCL)、グリコリドとトリメチレンカーボネートのコポリマー、ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)、ポリジオキサノン、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、多糖類、ポリ(エステル−アミド)、チロシン系ポリアリレート、チロシン系ポリイミノカーボネート、チロシン系ポリカーボネート、ポリ(D,L−ラクチド−ウレタン)、ポリ(B−ヒドロキシブチレート)、ポリ(E−カプロラクトン)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[ビス(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン]、ポリ(アミノ酸)、擬似ポリ(アミノ酸)、吸収性ポリウレタン、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。このポリマー組成物には例えば、PLLAのポリマー組成物が約50重量%〜約90重量%、PCLのポリマー組成物が約50重量%〜約10重量%含まれうる。このポリマー組成物には例えば、PLLAが約70重量%、PCLが約30重量%含まれうる。このポリマー組成物には例えば、PGAのポリマー組成物が約55重量%〜約85重量%、PCLのポリマー組成物が15重量%〜45重量%含まれうる。このポリマー組成物には例えば、PGAが約65重量%、PCLが約35重量%含まれうる。このポリマー組成物には例えば、PGAのポリマー組成物が約90重量%〜約95重量%、PLAのポリマー組成物が約5重量%〜約10重量%含まれうる。
【0203】
合成吸収性ポリマーは、生体吸収性で生体適合性のエラストマーコポリマーを含みうる。適した生体吸収性、生体適合性のエラストマーコポリマーは、イプシロン−カプロラクトンとグリコリドとのコポリマー(好ましくは、イプシロン−カプロラクトン対グリコリドのモル比が、約30:70〜約70:30、好ましくは35:65〜約65:35、より好ましくは45:55〜35:65);イプシロン−カプロラクトンとラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの配合物、又は乳酸コポリマーを含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、イプシロン−カプロラクトン対ラクチドのモル比が、約35:65〜約65:35、より好ましくは45:55〜30:70);p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)とラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、及び乳酸を含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、p−ジオキサノン対ラクチドのモル比が、約40:60〜約60:40);イプシロン−カプロラクトンとp−ジオキサノンとのエラストマーコポリマー(好ましくは、イプシロン−カプロラクトン対p−ジオキサノンのモル比が、約30:70〜約70:30);p−ジオキサノンと炭酸トリメチレンとのエラストマーコポリマー(好ましくは、p−ジオキサノン対炭酸トリメチレンのモル比が、約30:70〜約70:30);炭酸トリメチレンとグリコリドとのエラストマーコポリマー(好ましくは、炭酸トリメチレン対グリコリドのモル比が、約30:70〜約70:30);炭酸トリメチレンとラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、これらの配合物、又は乳酸コポリマーを含む)とのエラストマーコポリマー(好ましくは、炭酸トリメチレン対ラクチドのモル比が、約30:70〜約70:30)及びこれらの配合物が挙げられるが、これらに限定されない。エラストマーコポリマーは、グリコリドとイプシロン−カプロラクトンとのコポリマーであってよい。あるいは、エラストマーコポリマーは、ラクチドとイプシロン−カプロラクトンとのコポリマーである。
【0204】
米国特許第5,468,253号「ELASTOMERIC MEDICAL DEVICE」(1995年11月21日発行)、及び同第6,325,810号「FOAM BUTTRESS FOR STAPLING APPARATUS」(2001年12月4日)に開示されており、そのそれぞれの全容を参照により本明細書に援用する。
【0205】
合成吸収性ポリマーは例えば、90/10ポリ(グリコリド−L−ラクチド)コポリマー(Ethicon、Inc.から商品名VICRYL(ポリグラクチン(polyglactic)910)として市販)、ポリグリコリド(American Cyanamid Co.から商品名DEXONとして市販)、ポリジオキサノン(Ethicon、Inc.から商品名PDSとして市販)、ポリ(グリコリド−トリメチレンカーボネート)ランダムブロックコポリマー(American Cyanamid Co.から商品名MAXONとして市販)、75/25ポリ(グリコリド−E−カプロラクトン−ポリグレカプロラクトン25)コポリマー(Ethiconから商品名MONOCRYLとして市販)のうち1つ以上を含みうる。
【0206】
合成非吸収性ポリマーの例としては、発泡ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロクロロエチレン(PTFCE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリアセタール、ポリスルホン、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。合成非吸収性ポリマーには、例えばシリコーン、ポリイソプレン、及びゴムなどの発泡エラストマー及び多孔質エラストマーが挙げられうるがこれらに限定されない。合成ポリマーは、W.L.Gore & Associates,Inc.社から商品名GORE−TEX Soft Tissue patchで市販される拡大ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、及び、Polyganics社から商品名NASOPOREで市販されるco−ポリエーテルエステルウレタン発泡体を含みうる。
【0207】
組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば、パーセント有孔率、孔サイズ、及び/又は硬度によって特性付けられうる。ポリマー組成物は例えば、約30体積%〜約99体積%のパーセント有孔率を有しうる。ポリマー組成物は例えば、約60体積%〜約98体積%のパーセント有孔率を有しうる。ポリマー組成物は例えば、約85体積%〜約97体積%のパーセント有孔率を有しうる。ポリマー組成物は例えば、約70重量%のPLLAと約30重量%のPCLを有してよく、例えば約90体積%の有孔率を有しうる。例えば、その結果、ポリマー組成物は約10体積%のコポリマーを含みうる。ポリマー組成物は例えば、約65重量%のPGAと約35重量%のPCLを有してよく、例えば、約93体積%〜約95体積%の有孔率を有しうる。ポリマー組成物は、85%超の有孔率を有しうる。ポリマー組成物は、例えば、約5マイクロメートル〜約2000マイクロメートルの孔サイズを有しうる。ポリマー組成物は、例えば、約10マイクロメートル〜約100マイクロメートルの孔サイズを有しうる。例えば、ポリマー組成物は例えば、PGAとPClのコポリマーを含みうる。ポリマー組成物は、例えば、約100マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの孔サイズを有しうる。例えば、ポリマー組成物は例えば、PLLAとPClのコポリマーを含みうる。特定の態様により、ポリマー組成物の硬度は、ショア硬度で表わすことができ、これは例えばショアデュロメータなどのデュロメータで測定される、材料の恒久的な陥凹に対する抵抗として定義されうる。所与の材料のデュロメータ値を評価するために、ASTM手順D2240−00「Standard Test Method for Rubber Property−Durometer Hardness」に従って、デュロメータインデンターフットで、材料に対して圧力が適用される。デュロメータインデンターフットは、例えば15秒間などの充分な時間、材料に対して適用してよく、この測定値が適切な目盛で取得される。使用する目盛のタイプに応じて、インデンターフットが材料に完全に貫入したときに読取り値0が得られ、材料に対する貫入が起こらなかった場合に読取り値100が得られる。この読取り値は無次元である。デュロメータは、ASTM D2240−00に従って、任意の適当な目盛、例えばタイプA及び/又はタイプOOに従って測定されうる。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、例えば約4A〜約16AのショアA硬度値を有してよく、これはショアOO範囲で約45 OO〜約65 OOである。例えば、ポリマー組成物は例えば、PLLA/PCLコポリマー又はPGA/PCLコポリマーを含みうる。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、15A未満のショアA硬度値を有しうる。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、15A未満のショアA硬度値を有しうる。組織厚さコンペンセータのポリマー組成物は、15A未満のショアA硬度値を有しうる。ポリマー組成物は例えば、約35 OO〜約75 OOのショアOO組成物値を有しうる。
【0208】
ポリマー組成物は、上述の特性のうち少なくとも2つを有しうる。ポリマー組成物は、上述の特性のうち少なくとも3つを有しうる。ポリマー組成物は、85体積%〜97体積%の有孔率、5マイクロメートル〜2000マイクロメートルの孔サイズ、及び4A〜16AのショアA硬度、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有しうる。ポリマー組成物は例えば、70重量%のPLLAポリマー組成物と30重量%のPCLポリマー組成物を含み、90体積%の有孔率、100マイクロメートル〜1000マイクロメートルの孔サイズ、及び4A〜16AのショアA硬度、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有しうる。ポリマー組成物は例えば、65重量%のPGAポリマー組成物と35重量%のPCLポリマー組成物を含み、93体積%〜95体積%の有孔率、10マイクロメートル〜100マイクロメートルの孔サイズ、及び4A〜16AのショアA硬度値、及び45 OO〜65 OOのショアOO硬度値を有しうる。
【0209】
ポリマー組成物は、製薬的活性薬剤を含みうる。ポリマー組成物は、治療有効量の製薬的活性薬剤を放出しうる。製薬的活性薬剤は、ポリマー組成物が脱着/吸着される際に放出されうる。製薬的活性薬剤は、そのポリマー組成物の上又は中を通過する液体(例えば、血液)内に放出されうる。製薬的活性薬剤の例としては、止血薬剤及び薬剤(例えばフィブリン、トロンビン、及び酸化再生セルロース(ORC))、抗炎症薬(例えばジクロフェナク、アスピリン、ナプロキセン、スリンダク、及びヒドロコルチゾン)、抗生物質及び抗菌薬剤又は薬剤(例えば、トリクロサン、銀イオン、アンピシリン、ゲンタマイシン、ポリミキシンB、クロラムフェニコール)、並びに抗癌剤(例えばシスプラチン、ミトマイシン、アドリアマイシン)が挙げられうるがこれらに限定されない。
【0210】
次に
図216を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ10000)は、支持部分10010と圧縮可能な組織厚さコンペンセータ10020とを含みうる。次に
図218〜220を参照して、支持部分10010は、支持部分10010内に画定されたデッキ表面10011及び複数のステープルキャビティ10012を含みうる。各ステープルキャビティ10012は、例えば、その中にステープル(例えばステープル10030)を取り外し可能に保管するような寸法で構成されうる。ステープルカートリッジ10000は更に、複数のステープルドライバ10040を有してよく、これはそれぞれ、ステープル10030とステープルドライバ10040が未発射位置にあるときに、ステープルキャビティ10012内に1つ以上のステープル10030を支持するように構成することができる。例えば、
図224及び225を主に参照すると、各ステープルドライバ10040は、例えば、1つ又は2つ以上の受台(又はトラフ)10041を有してよく、これはステープルを支持し、かつステープル10030とステープルドライバ10040との間の相対的な動きを制限するように構成することができる。再び
図218を参照すると、ステープルカートリッジ10000は、ステープル発射スレッド10050を更に有してよく、これは、ステープルドライバ10040とステープル10030とを、それらの未発射位置から、ステープルカートリッジ10000に対向して配置されているアンビルに向かって連続的に持ち上げるために、ステープルカートリッジの近位端10001から遠位端10002へと動くことができる。
図218及び220を主に参照すると、各ステープル10030は、底面10031と、その底面10031から延びる1本又は複数の脚10032とを含み、各ステープルは例えば、ほぼU字型及びほぼV字型の少なくとも1つでありうる。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚10032の先端が支持部分10010のデッキ表面10011に対して引っ込んでいるように構成することができる。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚10032の先端が支持部分10010のデッキ表面10011に対して同一面であるように構成することができる。ステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル脚10032の先端、又はステープル脚10032の少なくとも一部が、支持部分10010のデッキ表面10011の上に延出するように構成することができる。そのような場合、ステープル脚10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ10020内に延出し、この中に埋め込まれうる。例えば、ステープル脚10032は例えば、デッキ表面10011の上に約1.9mm(0.075”)延出しうる。ステープル脚10032は例えば、デッキ表面10011の上に約0.64mm(0.025”)〜約3.18mm(0.125”)の距離延出しうる。上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ10020は例えば、約2.0mm(0.08”)〜約3.18mm(0.125”)の未圧縮厚さを含みうる。
【0211】
使用時には、上記に対して更に、
図233を主に参照して、アンビル(例えばアンビル10060)は、ステープルカートリッジ10000に相対する閉位置に動くことができる。詳しくは後述されるように、アンビル10060は、組織厚さコンペンセータ10020に対するように組織を配置することができ、かつ、例えば、組織厚さコンペンセータ10020を、支持部分10010のデッキ表面10011に対して圧縮することができる。アンビル10060が適当に配置されると、
図233にも示されているように、ステープル10030を配備することができる。必要に応じて、前述のように、ステープル発射スレッド10050は、
図234に示すように、ステープルカートリッジ10000の近位端10001から、遠位端10002に向かって動くことができる。スレッド10050が前進すると、スレッド10050がステープルドライバ10040に接触して、ステープルドライバ10040をステープルキャビティ10012内で上方向に持ち上げる。スレッド10050とステープルドライバ10040はそれぞれ、1つ又は2つ以上の傾斜面(斜めの面)を有してよく、これが協働して、ステープルドライバ10040を未発射位置から上側に動かすことができる。例えば、
図221〜225を参照して、各ステープルドライバ10040は、少なくとも1つの傾斜面10042を有してよく、スレッド10050は、少なくとも1つ又は複数の傾斜面10052を有してよく、これは、スレッド10050がステープルカートリッジ内で遠位方向に前進する際に、傾斜面10052が傾斜面10042の下を摺動できるように構成することができる。ステープルドライバ10040がそれぞれのステープルキャビティ10012内で上側に持ち上げられると、ステープルドライバ10040がステープル10030を上側に持ち上げ、これによりステープル10030がステープルデッキ10011の開口部を通ってステープルキャビティ10012から上に現われることができる。代表的な発射シーケンス中に、
図227〜229を主に参照して、スレッド10050は最初にステープル10030aに接触し、ステープル10030aを上に持ち上げ始めることができる。スレッド10050が更に遠位方向に前進すると、スレッド10050が順に、ステープル10030b、10030c、10030d、10030e、及び10030f、及び他の後続ステープルを、更に持ち上げ始めることができる。
図229に示すように、スレッド10050はステープル10030を上方向に駆動することができ、これによりステープル脚10032が相対するアンビルに接触し、望ましい形状に変形され、支持部分10010から発射される。様々な状況において、スレッド10030は、発射シーケンスの一部として同時に、いくつかのステープルを上側に動かすことができる。
図229に示す発射シーケンスに関して、ステープル10030a及び10030bは、完全に発射済みの位置に動かされ、支持部分10010から発射されており、ステープル10030c及び10030dは発射が進行中で、少なくとも部分的に支持部分10010内に収容されており、ステープル10030e及び10030fはまだ未発射位置にある。
【0212】
前述のように、
図235を参照すると、ステープル10030のステープル脚10032は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、支持部分10010のデッキ表面10011の上に延出しうる。更に、
図229に示されるこの発射シーケンスに関して、ステープル10030e及び10030fは未発射位置に図示されており、そのステープル脚10032は、デッキ表面10011の上に出て、組織厚さコンペンセータ10020内に延出している。ステープル10030が未発射位置にあるときには、ステープル脚10032の先端、又はステープル脚10032のいずれの部分も、組織厚さコンペンセータ10020の組織接触上側表面10021を貫通して突出することはできない。ステープル10030が未発射位置から発射済み位置へと動くと、
図229に示すように、ステープル脚の先端が、組織接触表面10032を貫通して突出しうる。ステープル脚10032の先端は鋭い先端を有してよく、これが組織厚さコンペンセータ10020を切開し貫入することができる。組織厚さコンペンセータ10020は複数の開口部を有してよく、これはステープル脚10032を受容して、ステープル脚10032が組織厚さコンペンセータ10020に対して相対的に摺動することができるように構成することができる。支持部分10010は更に、デッキ表面10011から延出する複数のガイド10013を含みうる。ガイド10013は、デッキ表面10011内のステープルキャビティ開口部に隣接して配置することができ、これによりステープル脚10032は、ガイド10013により少なくとも部分的に支持されうる。ガイド10013は、ステープルキャビティ開口部の近位端及び/又は遠位端に配置されうる。本発明によれば、第1のガイド10013は、各ステープルキャビティ開口部の第1の端に配置することができ、第2のガイド10013は、各ステープルキャビティ開口部の第2の端に配置することができ、これにより各第1のガイド10013は、ステープル10030の第1のステープル脚10032を支持することができ、各第2のガイド10013は、ステープルの第2のステープル脚10032を支持することができる。
図235を参照すると、各ガイド10013は、溝又はスロット(例えば溝10016)を有してよく、この中にステープル脚10032が摺動可能に収容されうる。必要に応じて、各ガイド10013は、デッキ表面10011から延出しうる滑り止め、突起、及び/又はスパイクを含んでよく、これが組織厚さコンペンセータ10020内に延びることができる。詳しくは後述されるように、滑り止め、突起、及び/又はスパイクは、組織厚さコンペンセータ10020と支持部分10010との間の相対的な動きを低減させることができる。ステープル脚10032の先端は、ガイド10013内に配置することができ、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ガイド10013の上側表面の上に延びることはできない。例えば、ガイド10013はガイド高さを画定し、ステープル10030は未発射位置にあるときにこのガイド高さを超えて延びることはできない。
【0213】
本発明によれば、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)は、1枚のシート材料で構成することができる。組織厚さコンペンセータは、支持部分10010のデッキ上側表面10011全体を覆うことができる、あるいは、デッキ表面10011全体よりも小さい領域を覆うことができる、1枚の連続シート材料を含みうる。シート材料は、支持部分10010のステープルキャビティ開口部を覆うことができる一方、代替例として、シート材料は開口部を有してよく、これはステープルキャビティ開口部と整列、又は少なくとも部分的に整列させることができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、複数層の材料で構成することができる。次に
図217を参照すると、組織厚さコンペンセータは、圧縮可能コアと、その圧縮可能コアを包むラップとを含みうる。ラップ10022は、圧縮可能コアを支持部分10010に対して解放可能に保持するように構成することができる。例えば、支持部分10010は、そこから延出する1つ又は2つ以上の突起(例えば、突起10014(
図220))を含み、これは、ラップ10022内に画定された1つ又は2つ以上の開口部及び/又はスロット(例えば、開口部10024)内に受容されうる。突起10014と開口部10024は、突起10014がラップ10022を支持部分10010に対して固定できるように構成することができる。突起10014の端は、例えば、熱カシメ工程などによって変形させることができ、これにより突起10014の端を大きくし、その結果、ラップ10022と支持部分10010の間の相対的動きを制限することができる。
図217に示すように、ラップ10022は1つ以上の穿孔10025を含み、これがラップ10022を支持部分10010から剥がすのを促進しうる。次に
図226を参照すると、組織厚さコンペンセータは、複数の開口部10223を備えるラップ10222を有してよく、開口部10223は、支持部分10010のステープルキャビティ開口部と整列、又は少なくとも部分的に整列させることができる。組織厚さコンペンセータのコアも、開口部を有してよく、これらは、ラップ10222の開口部10223と整列、又は少なくとも部分的に整列されうる。あるいは、組織厚さコンペンセータのコアは連続体を有してよく、これは、連続体がデッキ表面10011のステープルキャビティ開口部を覆うように、開口部10223の下側に延在させることができる。
【0214】
必要に応じて、上述のように、組織厚さコンペンセータは、圧縮可能コアを支持部分10010に対して解放可能に保持しているラップを含みうる。例えば、
図218を参照すると、ステープルカートリッジは更に保持クリップ10026を有してよく、これは、ラップ及び圧縮可能コアが、支持部分10010から早期に外れるのを阻止するように構成することができる。必要に応じて、各保持クリップ10026は開口部10028を有してよく、これは、支持部分10010から延びる突起10014を受容し、これにより保持クリップ10026が支持部分10010に固定されうるように構成することができる。保持クリップ10026は、それぞれ、少なくとも1つの皿状部分10027を有してよく、これは支持部分10010の下側に延在し、ステープルドライバ10040を支持部分10010内に保持することができる。上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープル10030によって支持部分10010に取り外し可能に取り付けることができる。より詳細には、これも上述のように、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル10030の脚が組織厚さコンペンセータ10020内に延びることができ、その結果、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に解放可能に保持することができる。ステープル10030の脚は、各ステープルキャビティ10012の側壁と接触状態にあってよく、ステープル脚10032と側壁との間の摩擦のおかげで、ステープル10030がステープルカートリッジ10000から配備されるまでの間、ステープル10030と組織厚さコンペンセータ10020が定位置に保持されうる。ステープル10030が配備されたとき、組織厚さコンペンセータ10020は、ステープル10030内に捕捉され、ステープル適用された組織Tに対して保持されうる。次にアンビルが開位置に動いて組織Tを解放すると、組織に固定されている支持部分10010が組織厚さコンペンセータ10020から離れる方向に動くことができる。接着剤を使用して、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に取り外し可能に保持することができる。2成分接着剤を使用することができ、接着剤の第1の成分をデッキ表面10011上に配置し、接着剤の第2の成分を組織厚さコンペンセータ10020上に配置することができ、これにより、組織厚さコンペンセータ10020がデッキ表面10011に対向して配置されたときに、第1の成分が第2の成分と接触して接着剤を活性化させ、組織厚さコンペンセータ10020を支持部分10010に対して取り外し可能に結合させることができる。必要に応じて、任意の他の好適な手段を使用して、組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジの支持部分に取り外し可能に保持することができる。
【0215】
上記に対して更に、スレッド10050を近位端10001から遠位端10002に前進させて、ステープルカートリッジ10000内に受容されているステープル10030すべてを完全に配備させることができる。次に
図258〜262を参照すると、スレッド10050は、外科用ステープラの発射部材(又はナイフバー)10052によって、支持部分10010内の長手方向キャビティ10016内で遠位方向に前進することができる。使用時には、ステープルカートリッジ10000は、外科用ステープラのジョー内のステープルカートリッジ溝部材(例えばステープルカートリッジ溝部材10070)に挿入され、これにより、
図258に示すように、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触することができる。スレッド10050が発射部材10052によって遠位方向に前進すると、スレッド10050が最も近位側のステープルドライバ(又はドライバ10040)に接触でき、上述のように、カートリッジ本体10010からステープル10030を発射又は発出させることができる。
図258に示すように、発射部材10052は更に刃先10053を有してよく、ステープル10030が発射されると、これが、支持部分10010内のナイフスロットを通って遠位方向に前進しうる。本発明によれば、対応するナイフスロットは、ステープルカートリッジ10000に対向して配置されるアンビルを通って延びることができ、これにより、刃先10053がアンビルと支持部分10010との間に延在し、その間にある組織及び組織厚さコンペンセータを切断することができる。様々な状況において、スレッド10050は、
図260に示すように、スレッド10050がステープルカートリッジ10000の遠位端10002に達するまで、発射部材10052により遠位側に前進することができる。その時点において、発射部材10052は近位側に後退させることができる。スレッド10050は、発射部材10052で近位側に後退させることができるが、次に
図261を参照すると、スレッド10050は、発射部材10052が後退したときに、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002側に残されうる。発射部材10052が充分に後退すると、アンビルが再び開き、組織厚さコンペンセータ10020が支持部分10010から離れ、消費されたステープルカートリッジ10000の残りの非インプラント部分(支持部分10010を含む)が、ステープルカートリッジ溝部材10070から除去されうる。
【0216】
消費されたステープルカートリッジ10000がステープルカートリッジ溝部材から除去された後、上記に対して更に、新しいステープルカートリッジ10000、又は任意の他の好適なステープルカートリッジを、ステープルカートリッジ溝部材10070に挿入することができる。上記に対して更に、ステープルカートリッジ溝部材10070、発射部材10052、及び/又はステープルカートリッジ10000は、協働機能を構成することができ、これは、ステープルカートリッジ溝部材10070内に配置される新しい(又は未発射の)ステープルカートリッジ10000なしに、2回目(又は後続)に発射部材10052が遠位側に前進するのを阻止することができる。より詳細には、再び
図258を参照して、発射部材10052が前進してスレッド10050に接触し、スレッド10050が近位側の未発射位置にあるとき、発射部材10052の支持ノーズ10055は、スレッド10050の支持棚部10056の上及び/又は上方に配置することができ、これにより、発射部材10052が充分に上側の位置に保持され、発射部材10052から延びるロック(又はビーム)10054が、ステープルカートリッジ溝部材内に画定されるロック凹部内に落ちるのを防ぐことができる。ロック10054がロック凹部に落ちない場合、そのような状況において、ロック10054は、発射部材10052が前進する際に、ロック凹部の遠位側側壁10057に接しない。発射部材10052がスレッド10050を遠位側に押すと、発射部材10052は、支持棚部10056の上に乗った支持ノーズ10055のおかげで、上側の発射位置に支持されうる。発射部材10052がスレッド10050に対して後退されると、前述のように、かつ
図261に示すように、支持ノーズ10055がスレッド10050の支持棚部10056の上に乗った状態ではなくなり、発射部材10052がその上側位置から下に向かって落ちうる。例えば、外科用ステープルは、ばね10058、及び/又は任意の他の好適な付勢構成要素を有してよく、これは、発射部材10052を下側位置に付勢するように構成することができる。発射部材10052がいったん完全に後退すると、
図262に示すように、発射部材10052は使用済みステープルカートリッジ10000を通って再び遠位方向に前進することはできない。より詳細には、スレッド10050は、操作シーケンスのこの時点において、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に残されているため、発射部材10052は、スレッド10050によって上位置に保持することができない。よって、前述のように、発射部材10052が再び、ステープルカートリッジの交換なしに前進された場合、ロックビーム10054がロック凹部の側壁10057に接触し、これにより発射部材10052がステープルカートリッジ10000に対して再び遠位方向に前進するのを妨げる。換言すれば、使用済みステープルカートリッジ10000を新しいステープルカートリッジと交換すれば、その新しいステープルカートリッジは近位側に配置されたスレッド10050を有し、これが発射部材10052を上側位置に保持することができ、発射部材10052が再び遠位方向に前進するのが可能になる。
【0217】
上述のように、スレッド10050は、支持部分10010からステープル10030を発射するために、第1の未発射位置と、第2の発射済み位置との間で、ステープルドライバ10040を動かすように構成することができる。ステープル10030が支持部分10010から発射された後、ステープルドライバ10040は、ステープルキャビティ10012内に受容されうる。支持部分10010は1つ以上の保持機構を構成することができ、これは、ステープルドライバ10040がステープルキャビティ10012から発射され又は脱落するのを阻止するように構成することができる。あるいは、スレッド10050は、ステープル10030内の支持部分10010からステープルドライバ10040を発射するように構成することができる。例えば、ステープルドライバ10040は、生体吸収性及び/又は生体適合性の材料(例えばUltemなど)で構成することができる。ステープルドライバは、ステープル10030に取り付けることができる。例えば、ステープルドライバは、ドライバがステープルと一体成形されるように、各ステープル10030の底面の上及び/又は周囲に成形することができる。米国特許出願番号第11/541,123号「SURGICAL STAPLES HAVING COMPRESSIBLE OR CRUSHABLE MEMBERS FOR SECURING TISSUE THEREIN AND STAPLING INSTRUMENTS FOR DEPLOYING THE SAME」(2006年9月29日出願)を、参照によりその全容を本明細書に援用する。
【0218】
様々な状況において、上記に対して更に、圧縮可能な組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジの下の剛性支持部分に対して、動き、ねじれ、及び/又は撓曲することができる。支持部分、及び/又は任意の他の好適なステープルカートリッジの部分は、組織厚さコンペンセータと支持部分との間での相対的な動きを制限するように構成された1つ又は2つ以上の機構を含みうる。上述のように、ステープル10030の少なくとも一部が、支持部分10010のデッキ表面10011の上に延びていてよく、特定の状況において、次に
図263及び264を参照すると、例えば、組織厚さコンペンセータ10120にかけられた横方向の力は、ステープル10030及び/又は支持部分10010から延びる滑り止め10013による抵抗を受ける。様々な状況において、ステープル10030は、ステープルキャビティ10012内で傾き及び/又は屈曲することができる一方、組織厚さコンペンセータ10120の横方向の動きに抵抗し、ステープルキャビティ10012とステープル10030は、ステープル10030の脚10032と、相対するアンビル10060内の成形ポケット10062との間の相対的なアラインメントを維持するような寸法と構成にすることができ、これによりステープル10000は、ステープル成形プロセス中に適切に成形される。ステープル10030及び/又は滑り止め10013は、
図264に示すように、組織厚さコンペンセータ10020内の横方向ひずみを阻止又は少なくとも制限するように構成することができる。例えば、ステープル10030及び/又は滑り止め10013は、例えば、硬化するか、あるいは、組織厚さコンペンセータの第2(下側)表面10029に対する、第1(組織接触側)表面10021の、横方向及び/又は長手方向の動きを制限するように構成することができる。本発明によれば、ステープルカートリッジ、及び/又はステープルカートリッジが配置されるステープルカートリッジ溝部材は、少なくとも1つのひずみ最小化部材を含むことができ、これは上側に延在して、組織厚さコンペンセータの横方向及び/又は長手方向の動き、あるいはひずみを、制限することができる。前述のように、組織厚さコンペンセータを少なくとも部分的に包むラップも、組織厚さコンペンセータの横方向及び/又は長手方向の動き、あるいはひずみを、防止し、あるいは少なくとも制限することができる。
【0219】
再び
図263及び264を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10120)は、コア10128と被覆10122を含みうる。被覆10122と圧縮可能コア10128は、異なる材料から構成することができ、またあるいは、同じ材料から構成することもできる。いずれの場合でも、被覆10122はコア10128よりも高い密度を有しうる。被覆10122が組織厚さコンペンセータ10120の上面を構成する状況において、ステープル脚10032の先端は、被覆10122内に埋め込まれうる。被覆が組織厚さコンペンセータ10120の下側を含む場合、ステープル脚10032は、被覆を貫通して延び、コア内に入ることができる。いずれの場合でも、組織厚さコンペンセータの被覆は、ステープル脚10032をアンビル10060の成形ポケット10062と整列させて保持するのに役立ちうる。被覆10122は、例えば、コア10128の密度より約10%高い密度、コア10128の密度より約20%高い密度、コア10128の密度より約30%高い密度、コア10128の密度より約40%高い密度、コア10128の密度より約50%高い密度、コア10128の密度より約60%高い密度、コア10128の密度より約70%高い密度、コア10128の密度より約80%高い密度、コア10128の密度より約90%高い密度、及び/又はコア10128の密度より約100%高い密度を有しうる。被覆10122は、例えば、コア10128の密度より高く、かつコア10128の密度の2倍より低い密度を有しうる。被覆10122は、例えば、コア10128の密度の2倍を超える密度を有しうる。上記に対して更に、被覆10122とコア10128は、同時に形成又は製造することができる。例えば、本明細書に開示される任意の適当な材料を含む液体を、皿又は型に流し込み、液体が固化する際に、この液体が被膜又は層を形成することができ、これが材料の他の部分よりも高い密度を有しうる。必要に応じて、材料内の複数層は、1つ又は複数の後続の材料層をすでに固化した層の上に流し込むプロセスを利用することによって、形成することができる。2層以上の層を、例えば、接着剤で互いに接着することができる。2層以上の層を、例えば、1つ以上の締結具及び/又は1つ以上の機械的係合機構によって、互いに取り付けることができる。例えば、隣接する層は、例えば、1つ以上のあり継手で合わせて接合することができる。被覆は、液体の流れを妨げ、又は少なくとも制限することができるような、密封表面を含みうる。被覆は、例えば、開放セル連続気泡構造を含みうる。
【0220】
上記に対して更に、被覆は組織厚さコンペンセータから切り出されうる。組織厚さコンペンセータは、より大きな材料ブロックから切り出し、これにより組織厚さコンペンセータが被覆を含まないようにすることができる。例えば、組織厚さコンペンセータは、例えば、大きな孔を含んだ均質な、又は少なくともほぼ均質な材料で構成することができる。
【0221】
本発明によれば、ステープルカートリッジは、それぞれが内部に配置されたステープルを含む複数のステープルキャビティを有してよく、ステープルキャビティは複数の列に配列することができ、かつ、ステープルカートリッジに対向して配置されたアンビルは、ステープルカートリッジ内のステープルキャビティに対応する複数の成形ポケットを含みうる。換言すれば、アンビルは、複数の成形ポケット列を有してよく、各成形ポケットは、ステープルカートリッジ内のステープルキャビティに対向して配置されうる。必要に応じて、各成形ポケットは、ステープル10030のステープル脚10032を受容するように構成された2つの成形カップを有してよく、各成形カップは、例えば、ステープル脚10032を受容し、他のステープル脚10032に向かってステープル脚10032を成形又は湾曲させるように構成される。様々な状況において、脚10032は、成形カップから外れ、又は適切に入らないことがあり、その結果、ステープル脚10032は発射シーケンス中に成形不良となることがある。本明細書に述べられるように、アンビルは、成形ポケットの配列又はグリッドを有してよく、これらはそれぞれ、ステープル脚を受容して成形するように構成される。例えば、成形ポケットの配列は、ステープルカートリッジ内に含まれるステープルの数を超える、一定量の成形ポケットを含みうる。ステープルカートリッジは、例えば、長手方向に6列のステープルキャビティを有してよく、アンビルは、6列のステープルキャビティと整列した6列の成形ポケットを有してよく、更に、成形ポケットの列の間に配置された成形ポケットも含みうる。例えば、アンビルの一方の面において、アンビルは、第1の列のステープルキャビティの上に配置することができる第1の列の成形ポケットと、第1の列のステープルキャビティに隣接する第2の列のステープルキャビティの上に配置することができる第2の列の成形ポケットとを含み、更に、第1の列の成形ポケットと第2の列の成形ポケットとの間に配置された1列の成形ポケットを含みうる。次に
図276〜279を参照すると、アンビル10260は、6列の成形ポケット10261を有してよく、これはステープルカートリッジ10200内のステープルキャビティの対応する6列の上に配置されるように構成することができる。例えば、成形ポケット10262の中間列は、成形ポケット10261の列の間及び/又はこれに隣接して配置されうる。次に
図277、278、及び280を参照すると、各成形ポケット10261及び10262は、2つの成形カップを有してよく、各成形カップは、ステープル脚10032を近位側に成形又は湾曲するように構成しうる遠位部分10263と、ステープル脚10032を遠位側に成形又は湾曲するように構成しうる近位部分10264と、を含みうる。様々なその他の状況において、ステープル10030は、様々な他の方法で成形することができる。例えば、ステープル10030は、一方の脚10032を外向きに成形し、もう一方の脚10032を内向きに成形するよう成形することができ(
図281)、あるいは、両方の脚10032を外向きに成形することができ(
図282)、これらは例えば、(1)ステープル脚10032がどの成形カップに入るか、(2)脚10032が各成形カップの近位部分10263に入るか遠位部分10064に入るか、によって変わる。
【0222】
上記に対して更に、各成形ポケット10261及び/又は成形ポケット10262は、例えば、三角形又は菱形形状を有しうる。成形ポケットの各遠位部分10263及び/又は各近位部分10264は、三角形形状を有してよく、例えば、遠位部分10263と近位部分10264の三角形形状は、頂点が互いに反対を向くように配置することができる。アンビルは、例えば、ほぼ正方形の成形ポケットの配列を含みうる。例えば、各正方形成形ポケットの成形表面は、正方形の辺の間に延びる円弧状表面を含みうる。アンビルは、例えば、円形又は球形のくぼみの配列を含みうる。上記に対して更に、成形ポケット10261は、1本又は複数の線に沿って配置することができ、同様に、成形ポケット10262も1本又は複数の線に沿って配置することができる。あるいは、成形ポケット10261及び/又は成形ポケット10262は、1本以上の円形列に配列することができる。例えば、成形ポケット10261は主円周に沿って配列することができ、成形ポケット10262は別の円周に沿って配列することができる。主円周と別の円周は同心円であってよく、又は少なくともほぼ同心円でありうる。例えば、成形ポケット10262は、主円周に対して内側の径方向に配置された内側円周に沿って配置することができ、及び/又は、主円周に対して外側の径方向に配置された外側円周に沿って配置することができる。主円周は、主直径によって画定することができ、内側円周は内側直径によって画定することができ、また外側円周は外側直径によって画定することができる。例えば、内側直径は主直径よりも短くてもよく、外側直径は主直径よりも長くてもよい。
【0223】
必要に応じて、上述のように、アンビルは、開位置から閉位置へと動くことができ、これにより、組織をステープルカートリッジの組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ10020)に対して圧縮することができる。様々な状況において、組織厚さコンペンセータは、組織厚さコンペンセータが組織に対して配置されるより前に、ステープルカートリッジの支持部分に隣接して配置することができる。組織厚さコンペンセータ10020は、アンビルが閉位置に移動する前に、支持部分10018に接する位置にありうる。組織厚さコンペンセータ10020は、コンペンセータ10020と支持部分10018との間に隙間が存在するような位置に配置することができる。例えば、アンビルは、組織厚さコンペンセータ10020が支持部分10018に接するまで、組織及び組織厚さコンペンセータ10020を下にずらすことができ、そのような時点で、アンビルは閉位置に移動して、組織内に圧縮をもたらすことができる。アンビルとステープルカートリッジとの間の組織の配置に外科医が満足しない場合には、外科医はアンビルを開き、アンビルとステープルカートリッジの位置を調整し、アンビルを再び閉じることができる。組織に対するステープルカートリッジのそのような配置と再配置のおかげで、様々な状況において、例えば、組織厚さコンペンセータ10020の遠位端が、支持部分10010から外れうる。いくつかのそのような状況において、組織厚さコンペンセータ10020の遠位端は、組織に接触し、支持部分10010から剥がれ、又は支持部分に対して巻き込まれることがありうる。必要に応じて、詳しくは後述されるように、ステープルカートリッジは、組織厚さコンペンセータを、ステープルカートリッジの下の支持部分に対して、解放可能に保持するように構成された、1つ又は2つ以上の機能を含みうる。
【0224】
次に
図265を参照すると、ステープルカートリッジ10300は、支持部分10310と、支持部分10310により支持される組織厚さコンペンセータ10320と、組織厚さコンペンセータ10320の遠位端10325を定位置に解放可能に保持するように構成されたノーズ10303を備えた遠位端10302と、を含みうる。ノーズ10303は、組織厚さコンペンセータ10320の遠位端10325を受容するように構成されたスロット10305を含みうる。遠位端10325は、スロット10305内で圧縮又はくさびで締めることができ、これにより遠位端10325は、ステープルカートリッジ10300が組織に対して配置される際に、定位置に保持されうる。例えば、スロット10305は、支持部分10310のデッキ表面10311に対して平行、又は少なくともほぼ平行である方向に向きうる。スロット10305は、デッキ表面10311に対して水平でありうる。あるいは、次に
図266を参照すると、ステープルカートリッジ10400は、支持部分と、支持部分により支持される組織厚さコンペンセータ10420と、組織厚さコンペンセータ10420の遠位端10425を定位置に解放可能に保持するように構成されたノーズ10403を備えた遠位端10402と、を含みうる。遠位端10425は、そこから延出する突起を有してよく、ノーズ10403は、この遠位端10425の突起を受容するように構成された垂直スロット10405を含みうる。遠位端10425、及び/又はそこから延出する突起は、スロット10405内で圧縮又はくさびで締めることができ、これにより遠位端10425は、ステープルカートリッジ10400が組織に対して配置される際に、定位置に保持されうる。組織厚さコンペンセータ10420は、例えば、スロット10429などのスロットを有してよく、これはその中にノーズ10403の少なくとも一部を受容するように構成することができる。スロット10405は、支持部分のデッキ表面10411に対して垂直、又は少なくともほぼ垂直である方向に向きうる。次に
図267を参照すると、ステープルカートリッジ10500は、支持部分と、支持部分により支持される組織厚さコンペンセータ10520と、組織厚さコンペンセータ10520の遠位端10525を定位置に解放可能に保持するように構成されたノーズを備えた遠位端10502と、を含みうる。ノーズは、組織厚さコンペンセータ10520の遠位端10525を受容するように構成された垂直スロット10505を含みうる。遠位端10525は、スロット10505内で圧縮又はくさびで締めることができ、これにより遠位端10525は、ステープルカートリッジ10500が組織に対して配置される際に、定位置に保持されうる。
【0225】
再び
図265を参照すると、組織厚さコンペンセータ10320は、上側表面10324を有してよく、これはノーズ10303の上側表面10304の上に配置することができる。組織厚さコンペンセータの上側表面がステープルカートリッジのノーズの上に配置される別の例が、
図238に示されており、例えば、組織厚さコンペンセータ10720の上側表面10721は、ノーズ10003の上側表面10004の上に配置される。使用時には、再び
図265を参照して、組織はノーズ10303の上側表面10304の上を摺動することができ、また特定の状況において、組織は組織厚さコンペンセータ10320の遠位端10325に接することができ、組織厚さコンペンセータ10320に対して力をかける可能性があり、支持部分10310から組織厚さコンペンセータ10320を剥離させる傾向をもたらす。この剥離力は、ノーズ10303内でくさびにより締め付けられた遠位端10325の部分によって抵抗されうる。いずれの場合も、組織がいったん、ステープルカートリッジ13000に対して適当に配置されると、アンビルを回転させて閉位置にし、支持部分10310に対して、組織と組織厚さコンペンセータ10320とを圧縮することができる。例えば、アンビルは、ノーズ10303の上側表面10304に接触する位置へと回転することができ、この結果、アンビルが更に回転することが阻止されうる。様々な状況において、組織厚さコンペンセータ10320の上側表面10324がノーズ10303の上側表面10304の上に配置されることにより、例えば、上側表面10324は、アンビルが閉じる際に支持部分10310に向かって下側に押され、またある状況において、上側表面10324は、ノーズ10303の上側表面10304の下に押されうる。ステープルカートリッジ10300内に収容されているステープルが配備され、組織厚さコンペンセータ10320が切断されると、本明細書に述べられるように、支持部分10310とノーズ10303が組織厚さコンペンセータ10320から離れる方向に動くことができ、これにより組織厚さコンペンセータ10320の遠位端10325がスロット10305から滑り出ることができる。
【0226】
上述のように、アンビル(例えばアンビル10060)は、回転して閉位置になることができ、ここでアンビル10060はステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ10000)のノーズ上側表面10004に接触する。いったんアンビルが閉位置に達すると、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10020)が圧縮される程度は、特に、組織厚さコンペンセータの未圧縮厚さ又は高さと、組織の厚さとに依存する。次に
図236及び237を参照すると、組織厚さコンペンセータ10920は、ノーズ10003の上側表面10004に対して同一面である、又は少なくともほぼ同一面である、上側表面を含みうる。そのような場合、組織厚さコンペンセータ10920の上側表面は、ノーズ10003の上側表面10004の下に押されうる。次に
図241及び242を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10820)は、組織厚さコンペンセータ10820が組織Tとアンビル10060によって圧縮される前に、ノーズ上側表面10004の下に配置される上側表面10821を含みうる。組織Tが比較的薄い状況において、
図239及び240に示すように、組織厚さコンペンセータ10920は、比較的小さな圧縮をもたらしうる。次に
図241及び242を参照すると、組織厚さコンペンセータ10820は、組織Tが比較的厚い場合に、より大きな圧縮をもたらしうる。組織Tが薄い部分とより厚い部分の両方を有する状況において、
図243及び244に示すように、例えば、組織厚さコンペンセータ10820は、より厚い組織Tの下に配置されたときはより大量に圧縮され、より薄い組織Tの下に配置されたときはより少なく圧縮されうる。このようにして、上述のように、組織厚さコンペンセータは、異なる組織厚さについて補償することができる。
【0227】
次に
図268〜270を参照すると、外科用ステープル留め器具は、(1)ステープルカートリッジ16600を受容するように構成されたカートリッジ溝部材16670と、(2)カートリッジ溝部材16670に枢動可能に連結されたアンビル16660と、を含みうる。ステープルカートリッジ16600は、支持部分16610と、組織厚さコンペンセータ16620とを有してよく、組織厚さコンペンセータ16620の遠位端16625は、ステープルカートリッジ16600の遠位端16602においてノーズ16603により、支持部分16610に対して解放可能に保持されうる。ノーズ16603はスロット16605を有してよく、可撓性材料で構成することができる。使用時には、主に
図269を参照して、ノーズ16603は、スロット16605の開口部を拡張するため、下側に曲げることができる。ノーズ16603は、ノッチ又は切り欠き16606を有してよく、これはノーズ16603が下側に曲がれるように構成することができる。いずれの場合も、様々な状況において、スロット16605の拡張された開口部によって、組織厚さコンペンセータ16620の遠位端16625をスロット16605に挿入するのが容易になる。組織厚さコンペンセータ16620が適当に配置された時点で、ノーズ16603が解放され、ノーズ16603を構成する材料の弾性のおかげで、ノーズ16603は、屈曲されていない状態へと戻るか、少なくともほぼ戻ることができ、
図270に示すように、デッキ表面16611に対して組織厚さコンペンセータ16620の遠位端16625が挟み込まれる。使用時には、上記と同様、支持部分16610がステープル留めされた組織から離れるよう動くと、遠位端16625はスロット16605から引き抜かれうる。様々な状況において、可撓性ノーズ16603は、組織厚さコンペンセータ16620が支持部分16610から外れる際に、撓曲するように構成することができる。再び
図270を参照すると、組織厚さコンペンセータ16620は、ノーズ16603の上側表面16604と整列している、又は少なくともほぼ整列している、上側表面16621を含みうる。
【0228】
図271を参照すると、外科用ステープル留め器具は、(1)ステープルカートリッジ10700を受容するように構成された溝部材10770と、(2)溝部材10770に回転可能に連結されたアンビル10760と、を含みうる。ステープルカートリッジ10700は、支持部分10710と組織厚さコンペンセータ10720と、を含みうる。組織厚さコンペンセータ10720は、支持部分10710に摺動して重なることができるノーズソックス10703によって定位置に保持されうる。主に
図272を参照すると、ノーズソックス10703は1つ以上の側面スロット10707を有してよく、これは、例えば、支持部分10710に沿って延びる1本以上の取付レールを取り外し可能に受容するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ10720は、側面スロット10707の中間に配置されうる。ノーズソックス10703は更に、遠位端10702と、遠位端10702に画定されたキャビティ10706とを有してよく、キャビティ10706はまた、例えば、支持部分10710の少なくとも一部を受容するように構成することができる。使用時には、ノーズソックス10703は、遠位側から近位側への方向に、支持部分10710の上に滑らせることができる。組織厚さコンペンセータ10720は、ノーズソックス10703に取り外し可能に取り付けることができ、これにより、ステープルが組織厚さコンペンセータ10720を通って発射された後、支持部分10710とノーズソックス10703が組織厚さコンペンセータ10720から離れるよう動く際に、組織厚さコンペンセータ10720をノーズソックス10703から外すことができる。組織厚さコンペンセータ10720の上側表面10721は、ノーズ10703の上側表面10704の下に配置されうる。
【0229】
次に
図273及び274を参照すると、外科用ステープル留め器具は、(1)ステープルカートリッジ11000を受容するように構成されたステープルカートリッジ溝部材11070と、(2)溝部材11070に回転可能に連結されたアンビル11060と、を含みうる。ステープルカートリッジ11000は、支持部分11010と組織厚さコンペンセータ11020とを含みうる。組織厚さコンペンセータ11020は、支持部分11010のデッキ11011から延びる1本以上の長手方向レール11019によって定位置に保持されうる。長手方向レール11019は、組織厚さコンペンセータ11020内に埋め込むことができる。主に
図274を参照して、組織厚さコンペンセータ11020は長手方向凹部11029を有してよく、これは長手方向レール11019を受容するように構成することができる。例えば、凹部11029は、例えば、圧入機構でレール11019を受容するような寸法及び構成にすることができる。そのような機構は、上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ11020と支持部分11010との間の相対的横方向の動きを阻止、又は少なくとも制限するように構成することができ、更に、例えば、支持部分11010からの組織厚さコンペンセータ11020の時期尚早の解放を制限することができる。次に
図275を参照すると、外科用ステープル留め器具は、(1)ステープルカートリッジ11100を受容するように構成されたステープルカートリッジ溝部材11170と、(2)溝部材11770に回転可能に連結されたアンビル11160と、を含みうる。ステープルカートリッジ11100は、支持部分11110と組織厚さコンペンセータ11120とを含みうる。組織厚さコンペンセータ11120は、支持部分11110のデッキ11111から延びるスパイク(又は歯)11119の、1本以上の長手方向列によって、定位置に保持されうる。スパイク11119の長手方向列は、組織厚さコンペンセータ11120内に埋め込むことができる。
【0230】
図273に関して、上記に対して更に、ステープルカートリッジ11000の組織厚さコンペンセータ11020は、その中に画定されたステープルキャビティ10012からステープルが発射される際に、支持部分11010から連続的に解放されうる。より詳細には、上記に対して更に、ステープルキャビティ10012内に配置されたステープルが、ステープルカートリッジ11000の近位端11001とステープルカートリッジ11000の遠位端11002との間で連続的に発射され、これによって、ステープルが発射される際に、ステープルが組織厚さコンペンセータ11020に対して上向きの付勢力を適用し、これが組織厚さコンペンセータ11020を押してレール11019から外すよう作用する。そのような状況において、組織厚さコンペンセータ11020の近位端11006は、ステープルが最も近位側のステープルキャビティ10012から発射される際に、支持部分11010から解放されうる。すると、ステープルがステープルカートリッジ11000の近位端11001と遠位端11002との間で支持部分11010から連続的に発射される際に、組織厚さコンペンセータ11020が、支持部分11010から連続的に解放されうる。最も遠位側のステープルキャビティ10012内に配置されたステープルが支持部分11010から発射されるとき、組織厚さコンペンセータ11020の遠位端11007が支持部分11010から解放されうる。
図275に関して、組織厚さコンペンセータ11120は、ステープルがステープルカートリッジの近位端11101と遠位端11102との間から連続的に発射される際に、支持部分11110から延びるスパイク11119から連続的に解放されうる。
【0231】
前述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープルが支持部分から連続的に発射されて組織厚さコンペンセータに接触する際に、ステープルカートリッジの支持部分から連続的に解放されうる。ステープルの脚(例えば、ステープル脚10032)は、支持部分から組織厚さコンペンセータを解放することなく、組織厚さコンペンセータを貫通することができる。そのような場合、組織厚さコンペンセータは、ステープルの底面(例えば、底面10031)が組織厚さコンペンセータに接触して上側に押し上げるまで、支持部分に係合したままになりうる。しかしながら、必要に応じて、支持部分から延びる滑り止め及び/又はその他の機構が、例えば、支持部分からの組織厚さコンペンセータの解放に対抗しうる。詳しくは後述されるように、ステープルがステープルカートリッジから連続的に発射される際に、支持部分は、支持部分から組織厚さコンペンセータを連続的に解放するように構成することができる保持機構を含みうる。次に
図283を参照すると、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ11200)は、組織厚さコンペンセータ11220(
図284)を支持部分11210に解放可能に保持するように構成することができる保持機構11213を備えた支持部分11210を含みうる。例えば、保持機構11213は、各ステープルキャビティ11212の端に配置することができ、各保持機構11213は、それ自体の中に画定され、ステープル10030のステープル脚10032を摺動可能に受容するように構成されたガイド溝11216を含みうる。そのような場合、ステープル脚10032と保持機構11213は両方とも、組織厚さコンペンセータ11220を支持部分11210に解放可能に保持するように構成することができる。使用時には、次に
図284を参照して、上述のように、支持部分11210内に収容されたステープルドライバ10040は、スレッド10050によって上向きに駆動されてよく、ステープルドライバ10040は、保持機構11213に接触し、支持部分11210から保持機構11213を少なくとも部分的に外し、保持機構11213をステープル10030及びステープルキャビティ11212から外側に離すよう移動させるように構成することができる。
図284に示すように、保持機構11213が、支持部分11210から外れるか、かつ/又は外側に動かされると、保持機構11213は組織厚さコンペンセータ11220をもはや支持部分11210に対して保持することはできなくなり、その結果、組織厚さコンペンセータ11220は支持部分11210から解放されうる。上記と同様、組織厚さコンペンセータ11220は、ステープル10030がステープルカートリッジからアンビル(例えばアンビル11260)に向かって連続的に発射される際、支持部分11210から連続的に解放されうる。例えば、ステープルドライバ10040の上側表面が、支持部分11210のデッキ表面11211と同一平面上、又は少なくともほぼ同一平面上となった場合、ステープルドライバ10040は、保持機構11213に接触しうる。そのような場合、ステープル10030が完全に成形又は完全に発射された形状に成形されると同時に、及び/又はその直前に、組織厚さコンペンセータ11220は、支持部分11210から解放されうる。例えば、主に
図285を参照して、ドライバ10040はオーバードライブすることができ、これによってデッキ表面11211の上方に押されて、ステープル10030を完全に成形し、オーバードライブのプロセス中に、保持機構11213を突破して支持部分11210から離れる。再び
図284を参照すると、保持機構11213は、外側に外れるか動かされる前に、ステープルキャビティ11212内に延出し(又は張り出し)てもよく、これにより、ドライバ10040がデッキ表面11211に到達すると同時に、ドライバ10040は保持機構11213に接触できる。いずれの場合も、組織厚さコンペンセータ11220がいったん支持部分11210から解放されると、次に
図285を参照して、支持部分11210は、移植された組織厚さコンペンセータ11220から離れるよう動かすことができる。
【0232】
上述のように、ステープルカートリッジの圧縮可能な組織厚さコンペンセータは、ステープルがステープルカートリッジから発射又は配備されると、ステープルカートリッジの支持部分又はカートリッジ本体から、連続的に解放されうる。様々な状況において、そのような解放は、支持部分から組織厚さコンペンセータを連続的に放つことを含んでよく、ある状況において、組織厚さコンペンセータの支持部分からの完全な離脱は、アンビルが開いて、移植された組織厚さコンペンセータから支持部分が離れるよう移動するまでは起こらない。次に
図289を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ11300)は、支持部分11310に解放可能に保持されている組織厚さコンペンセータ11320を含みうる。支持部分11310は、そこから延びる複数の保持部材11313を含み、これは、組織厚さコンペンセータ11320の長手方向側面を支持部分11310に解放可能に圧縮して保持するように構成される。例えば、各保持部材11313は、内向きの溝部材又はスロット11316を有してよく、これは、その中に組織厚さコンペンセータ11320の長手方向側面を受容するように構成することができる。様々な状況において、複数の保持部材11313は、支持部分11310の第1の長手方向側面に沿って延びることができ、複数の保持部材11313は、支持部分11310の第2の長手方向側面に沿って延びることができ、特定の状況において、保持部材11313は、組織厚さコンペンセータ11320と支持部分11310との間の相対的な横方向の動きを阻止又は少なくとも制限するように構成することができ、更に加えて、組織厚さコンペンセータ11320が支持部分11310から早期に解放されるのを阻止又は少なくとも制限することができる。例えば、保持部材11313は支持部分11310とともに一体成形することができ、更に
図290を参照すると、保持部材11313は、支持部分11310から離脱又は少なくとも部分的に離脱するように構成することができ、これによって、
図291に示すように、組織厚さコンペンセータ11320が支持部分11310から離脱することができる。アンビル(例えばアンビル11360)は、組織厚さコンペンセータ11320を圧縮するように構成することができ、更に、組織厚さコンペンセータ11320内に生じた圧力に応じて、組織厚さコンペンセータ11320が横方向に膨張して、保持部材11313を組織厚さコンペンセータ11320から少なくとも部分的に離脱させ、又は外すことができる。上述のように、アンビル11360及びステープルカートリッジ11300を通るナイフ部材の前進によって、その中に含まれるステープルを配備することができ、同時に、アンビル11360とステープルカートリッジ11300を互いに近づけるよう押し込み、これが組織厚さコンペンセータ11320への追加の圧縮圧力を適用することができ、よって、ナイフ部材がステープルカートリッジ11300を通過する際に保持部材11313が連続的に離脱されうる。
【0233】
次に
図292〜294を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ11400)は、支持部分11410に取り外し可能に取り付けられた組織厚さコンペンセータ11420を含みうる。ステープルカートリッジ11400は、1本以上の保持バー11413を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ11420の長手方向側面をデッキ表面11411に対して保持するように構成することができる。例えば、各保持バー11413は、相対するアーム11418を有してよく、この間に溝部材11416を画定することができる。そのような場合、アーム11418の一方が組織厚さコンペンセータ11420の上に延びるように構成することができ、もう一方のアーム11418が、支持部分11410から延びるリップ11419の下に延びるように構成することができる。主に
図292を参照して、各保持バー11413の溝部材11416は、ステープルカートリッジ11400を使用する前に、組織厚さコンペンセータ11420の長手方向側面に対して圧縮力を適用するような寸法及び構成にすることができる。使用時には、主に
図293を参照して、ステープルカートリッジ11400は、ステープルカートリッジ溝部材内に配置することができ、ステープルカートリッジ11400がいったん適当に配置されると、アンビル(例えばアンビル11460)は、組織厚さコンペンセータ11420を圧縮できる位置に動かすことができる。上記と同様、組織厚さコンペンセータ11420は、圧縮されると、横方向又は外側に膨張し、その結果、保持バー11413をステープルカートリッジ11400から外すことができる。アンビル11460を閉じることで、保持バー11413がステープルカートリッジから外れることはなく、又は完全に外れることはない。例えば、上記の、発射バーをステープルカートリッジ11400を通して前進させることにより、支持部分11410からステープル10030を配備することができ、同時に、アンビル11460とステープルカートリッジ11400を互いに近づけるよう押し込んで、組織厚さコンペンセータ11420に対する圧縮力を適用し、これは、組織厚さコンペンセータ11420を横方向に膨張させて保持バー11413をステープルカートリッジ11400から外すのに充分である。保持バー11413がステープルカートリッジ11400からいったん外れると、
図294を参照して、支持部分11410が、移植された組織厚さコンペンセータ11420から離れるよう移動でき、手術部位から除去されうる。あるいは、次に
図295を参照すると、ステープルカートリッジ11400’は保持バー11413’を有してよく、これは上記と同様、そこから延びるアーム11418’を含みうる。例えば、各アーム11418’は、ウェッジロック斜面11417’を有してよく、これはステープルカートリッジ11400’に保持バー11413’を解放可能に引っ掛けるように構成することができる。より詳細には、ステープルカートリッジ11400’の支持部分11410’は、アンダーカット11419’を有してよく、これはウェッジロック斜面11417’と協働して、保持バー11413’をステープルカートリッジ11400に対して解放可能に保持し、かつ組織厚さコンペンセータ11420が支持部分11410’から早期に外れるのを防ぐように構成することができる。使用時には、上記と同様、例えば、充分な圧縮力が組織厚さコンペンセータ11420に適用されたとき、保持バー11413’はステープルカートリッジ11400’から外れることができる。
【0234】
様々な状況において、上述のように、また再び
図259及び260を参照すると、ステープルカートリッジ10000のスレッド10050と、外科用ステープル留め器具の発射部材10052は、ステープルカートリッジ10000の近位端10001からステープルカートリッジ10000の遠位端10002(
図219)へと移動でき、これによりステープル10030が支持部分10010から配備される。少なくとも1つのそのような状況において、各ステープル10030は、未発射位置から発射済み位置へと移動でき、支持部分10010から発射されて、アンビル10060とステープルカートリッジ10000との間に配置されている組織に対して、組織厚さコンペンセータ10020を全体に捕捉することができる。特定の状況において、外科医はステープル10030全部をステープルカートリッジ10000から発射する必要はない場合があり、外科医は、ステープルカートリッジ10000の近位端10001と遠位端10002との中間にある点においてスレッド10050と発射バー10052の進行を止めることがある。そのような状況において、組織厚さコンペンセータ10020は、組織Tに部分的にのみ埋め込むことができ、組織厚さコンペンセータ10020の埋め込まれていない部分を支持部分10010から外すために、外科医は、支持部分10010を、部分的に埋め込まれている組織厚さコンペンセータ10020から引っ張って離し、これにより埋め込まれていない部分を支持部分10010から剥離又は引き剥がすことができる。これらの構成は様々な状況において好適であるが、改善が
図300〜302に示されており、ステープルカートリッジ11500の組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ11520)は、互いに外せるように構成できる複数の連結されたセグメントを含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータ11520には、第1の(最も近位側の)セグメント11520a、第1のセグメント11520aに取り外し可能に連結された第2のセグメント11520b、第2のセグメント11520bに取り外し可能に連結された第3のセグメント11520c、第3のセグメント11520cに取り外し可能に連結された第4のセグメント11520d、及び第4のセグメント11520dに取り外し可能に連結された第5のセグメント11520e、が含まれうる。組織厚さコンペンセータ11520は、任意の2つの隣接するセグメント11520a〜11520eの中間に配置された、少なくとも1つの薄い部分11529を有してよく、これは、組織厚さコンペンセータセグメントが互いに分離できる所定の断裂点又は分離点を画定するように構成できる。組織厚さコンペンセータは、穿孔、薄い部分、及び/又はその他の、組織厚さコンペンセータ内に分離点を形成する任意の他の手段の、任意の適当な配列を含みうる。主に
図301を参照して、アンビル11560は閉位置で示されており、発射部材10052はステープルカートリッジ11500内を部分的に前進した状態で示されており、これにより、第1のセグメント11520a、第2のセグメント11520b、及び第3のセグメント11520cの下にあるステープル10030が発射されて、組織Tに対する組織厚さコンペンセータ11520を捕捉する。そのような位置において、例えば、発射部材10052は、まだ第4のセグメント11520d及び第5のセグメント11520eの下にあるステープル10030を配備するところまで前進していない。次に
図302を参照して、アンビル11560は開位置に移動しており、ステープルカートリッジ11500の支持部分11510は、埋め込まれている組織厚さコンペンセータ11520の部分から離れるよう移動されている。
図302に示すように、第3のセグメント11520cと第4のセグメント11520dとの中間にある薄い部分11529(
図300)によって、組織厚さコンペンセータ11520の移植されていない部分を、移植された部分から分離することが可能になる。
【0235】
上記に対して更に、ステープルカートリッジは、組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジの支持部分に対して解放可能に保持するように構成された複数の締結具を含みうる。支持部分は、例えば、デッキ表面に画定された複数の開口部を含み、締結具が組織厚さコンペンセータを貫通して延び、支持部分開口部内に解放可能に保持されうる。使用時には、締結具は、ステープルが支持部分から連続的に発射される際に、支持部分から連続的に解放されうる。例えば、締結具は組織厚さコンペンセータとともに埋め込むことができ、例えば、締結具は少なくとも1つの生体吸収性材料で構成することができる。組織厚さコンペンセータが少なくとも部分的に移植された後、移植された組織厚さコンペンセータから支持部分が離れるように移動すると、締結具は支持部分から外れることができる。次に
図323〜325を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ11600)は、複数の締結具11613によって支持部分11610に解放可能に取り付けられた組織厚さコンペンセータ11620を含みうる。各締結具11613は、組織厚さコンペンセータ11620内に埋め込まれ及び/又はその他の方法で係合されている第1の端部11618と、支持部分11610に係合している第2の端部11618と、第1の端部11618を第2の端部11618に連結しているコネクタ11616と、を含みうる。締結具11613は、支持部分11610内に画定されたナイフスロット11615を貫通して延在しうる。使用時には、上述の発射部材10052は、支持部分11610のナイフスロット11615を通ってナイフエッジを動かし、締結具11613を切断することができ、これにより、組織厚さコンペンセータ11620を支持部分11610から解放することができる。例えば、発射バー10052は、ステープルカートリッジ11600の近位端11601からステープルカートリッジ11600の遠位端11602へと前進させることができ、これによって、前述のように、(1)スレッド10050を遠位が泡に前進させ、連続的にステープル10030を発射させ、(2)締結具11613を連続的に切断及び/又は破壊し、組織厚さコンペンセータ11620を支持部分11610から連続的に解放する。上記と同様、例えば、組織厚さコンペンセータ11620は、複数の取り外し可能なセグメント11620a〜11620eを有してよく、これらはそれぞれ、1つ又は2つ以上の締結具11613によって支持部分11610に対して保持されうる。発射部材10052がステープルカートリッジ11600の近位端11601と遠位端11602との中間で停止した場合、アンビル11660が開き、支持部分11610が組織Tから離れる方向に動いた後(
図325に示される)、締結具11613が支持部分11610に対して組織厚さコンペンセータ11620の埋め込まれていない部分を保持するのを支援する(
図324)。上記に対して更に、発射部材10052の刃先10053は、締結具11613を切断及び/又は破壊するように構成することができる。あるいは、次に
図327及び328を参照すると、ステープル配備スレッド(例えば、スレッド11650)は、スレッド11650がステープルカートリッジ11600を横切る際に締結具11613のコネクタ11616を切断するように構成可能な、ナイフエッジ11653を含みうる。例えば、各コネクタ11616は、締結具11613のT字端11618の間に延びる円柱状部材を有してよく、ナイフエッジ11653は、例えば円柱状コネクタ11616を受容するように構成することができる凹形状11653を含みうる。
【0236】
前述のように、ステープルカートリッジは、外科用ステープル留め器具のステープルカートリッジ溝部材に装填することができる。様々な状況において、外科医又は他の医師が、ステープルカートリッジに下向きの力をかけて、ステープルカートリッジを定位置にロックすることで、ステープルカートリッジをステープルカートリッジ溝部材に挿入することができる。いくつかのそのような状況において、例えば、医師が親指をステープルカートリッジの上側表面に置いて、そのような下向きの力をかけることができる。ステープルカートリッジの上側表面は、組織厚さコンペンセータの上側表面を有してよく、上述のように、組織厚さコンペンセータは圧縮可能であってよく、組織厚さコンペンセータに下向きの力をかけると、支持部分内に保管されているステープルの先端に医師の親指が接触する程度まで、組織厚さコンペンセータが圧縮されうる。本発明によれば、ステープルカートリッジアプリケータを利用して、ステープルカートリッジをステープルカートリッジ溝部材に挿入することができ、これは、医師がステープルカートリッジ内のステープルに触れる可能性を阻止するか、少なくとも制限するように構成することができる。ステープルカートリッジがステープルカートリッジ溝部材内に適当に配置された後、詳しくは後述されるように、アプリケータはステープルカートリッジから取り外すことができる。
【0237】
次に
図305及び306を参照すると、ステープルカートリッジアプリケータは、剛性のカバー(例えば、カバー10080)を有してよく、これはステープルカートリッジ10000に取り付けることができる。上記に対して更に、カバー10080は、ステープルカートリッジ10000がステープルカートリッジ溝部材に挿入されたときに、ステープルカートリッジ10000内に配置されているステープル10030の先端に、例えば、医師の親指が触れる可能性を阻止するか、少なくとも抑制するように構成することができる。次に
図307及び308を参照して、カバー10080は、組織厚さコンペンセータ10020の、上側表面10021の上、又は少なくとも上側表面10021の一部分の上に延びることができ、これには、(1)組織厚さコンペンセータ10020の上に延在及び/又は接しうる下側表面10081と、(2)医師が下向きの力をかけるための押圧表面を提供できる上側表面10082と、が含まれうる。使用時には、医師はカバー10080のハンドル部分10084を握り、ステープルカートリッジ10000の支持部分10010をステープルカートリッジ溝部材に整列させ、ステープルカートリッジ10000をステープルカートリッジ溝部材内に少なくとも部分的に挿入することができる。この後、医師は、カバー10880の上側表面10082に下向きの力をかけ、支持部分10010に直接下向きの力が伝達しうることによって、ステープルカートリッジ10000をステープルカートリッジ溝部材内に完全に収めることができる。例えば、カバー10080は近位側支持体10087を有してよく、これは下側に延びて支持部分のデッキ表面10011に接触することができる。カバー10080は更に、ノーズ10003に接するように構成できる遠位側支持部分10083を含みうる。下向きの力がカバー10080にかかると、この下向きの力は近位側支持体10087及び/又は遠位側支持部分10083を介して伝達され、この下向きの力は、組織厚さコンペンセータ10020を介して支持部分10010に伝達されることはないか、又は少なくともほぼ伝達されることはない。様々な状況において、上記の結果、医師は組織厚さコンペンセータ10020に直接接触することはない。また上記の結果、ステープルカートリッジ10000がステープルカートリッジ溝部材に挿入される際、カバー10080は、組織厚さコンペンセータ10020を圧縮することはなく、又は少なくともほぼ圧縮することはない。本発明によれば、カバーは、任意の適当な数の支持体を含むことができ、これらは、下向きの力を組織厚さコンペンセータを介して伝達することなく、又は少なくともほぼ伝達することなしに、下向きの力を支持部分に伝達するように構成される。支持体は、組織厚さコンペンセータの遠位端、近位端、及び/又は長手方向側面の周囲に延在しうる。支持体は組織厚さコンペンセータを貫通して延在しうる。例えば、支持体は組織厚さコンペンセータ内の開口部を通って延在し、支持部分のデッキに接することができる。支持体の少なくともいくつかは、下向きの力がカバーにかかる前はデッキに接触できない。しかしながら、カバーは、支持体が支持部分のデッキに接触するまで、下向きに屈曲又は動くように構成することができる。そのような点において、カバーの下向きの屈曲又は動きは、更に屈曲しないよう、妨げるか、又は少なくともほぼ妨げることができる。
【0238】
上述のように、カバー10080はステープルカートリッジ10000に取り付けることができ、ステープルカートリッジ10000の位置を操作するのに使用することができる。カバー10080は、任意の適当な数のグリップ部材を含むことができ、これは例えば、ステープルカートリッジ10000の支持部分10010に対してカバー10080を解放可能に保持するように構成することができる。例えば、カバー10080は更に、例えば、1つ以上の保持部材、例えばラッチアーム10088及び/又は10089を含みうる。ラッチアーム10089はノーズ10003の側面周囲に延在し、かつノーズ10003の下側表面10009(
図306)に係合するように構成することができる。同様に、ラッチアーム10088は支持部分10010のロック突起10008の側面周囲に延在し、ロック突起10008の下側表面と係合することができる。これらのラッチアームは、ステープルが支持部分10010内に保管されるゾーン又は領域の上に、カバー10080を配置するように構成することができる。いずれの場合も、ステープルカートリッジ10000がいったん適当に配置されると、カバー10080はステープルカートリッジ10000から取り外すことができる。医師は、カバー10080の遠位端をステープルカートリッジ10000の遠位端10002から外すために、ハンドル10084に上向きの持ち上げ力をかけることができる。例えば、ハンドル10084が上側に持ち上げられると、ラッチアーム10088及び10089は外側に屈曲でき、これによりラッチアーム10088及び10089はそれぞれ、ロック突起10008とノーズ10003の回りで屈曲することができる。この後、カバー10080の近位端を、ステープルカートリッジの近位端10001から離すよう持ち上げることができ、カバー10080をステープルカートリッジ10000から離れるよう動かすことができる。
【0239】
次に
図309及び310を参照すると、ステープルカートリッジアプリケータ(例えばステープルカートリッジアプリケータ10680)は、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ10600)を、ステープルカートリッジ溝部材内で配置することに加え、例えば、上側組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ10690)を、アンビルに対して配置するように構成することができる。上記と同様、アプリケータ10680はラッチアーム10688を有してよく、これはステープルカートリッジ10600の支持部分10610から延びるロック突起10608と解放可能に係合することができ、これによってアプリケータ10680は、ステープルカートリッジ10600の組織厚さコンペンセータ10620の上の位置に保持されうる。上側組織厚さコンペンセータ10690は、ステープルカートリッジアプリケータ10680に取り外し可能に取り付けることができ、これによって外科用器具のアンビル(例えば、アンビル10060)が、アプリケータ10680上で閉じ、組織厚さコンペンセータ10690に係合し、組織厚さコンペンセータ10690をアプリケータ10680から外すことができる。組織厚さコンペンセータ10690及び/又はアンビル10060は、1つ以上の保持機構を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ10690をアンビル10060に対して解放可能に保持するように構成することができる。例えば、組織厚さコンペンセータ10690は長手方向レール10695を有してよく、これは例えば、組織厚さコンペンセータ10690の上側表面10691から延びて、アンビル10060内に画定された長手方向ナイフスロット10065内に受容されうる。組織厚さコンペンセータ10690と長手方向レール10695は、例えば、本特許出願に記述されているもののような、任意の適当な圧縮性材料から構成することができ、例えば、長手方向レール10695は、例えば、ナイフスロット10065内で圧縮及び/又は締め付けられうる。アンビル10060がいったん組織厚さコンペンセータ10690内で係合すると、アンビル10060は開位置に戻ることができ、そのような状況において、組織厚さコンペンセータ10690はアプリケータ10680から外れることができる。この後、アプリケータ10680はステープルカートリッジ10600から外すことができ、これによってアンビル10060とステープルカートリッジ10600は、ステープル及び/又は切断される予定の組織に対して配置することができる。使用時には、ステープル配備スレッド(例えばスレッド10050(
図236))は、発射部材10052(
図236)によってステープルカートリッジ10600を通って遠位側に前進し、例えば、これにより、上記で概説したようにステープルがステープルカートリッジ10060から発射される。ステープルが変形されると、各ステープルが、組織の上側表面に対する組織厚さコンペンセータ10690の一部と、組織の下側表面に対する組織厚さコンペンセータ10620の一部とを捕捉することができる。同時に、発射部材10052は、組織厚さコンペンセータ10620及び/又は組織厚さコンペンセータ10690を通ってナイフエッジ10053(
図236)を前進させることができ、ここで、長手方向レール10695を切断し組織厚さコンペンセータ10690をアンビル10060から連続的に外すために、ナイフエッジ10053は長手方向レール10695を通って前進することができる。ステープルを配備した後、アンビル10060を再び開放し、移植された組織厚さコンペンセータ10690から離れるよう移動することができ、同様に、ステープルカートリッジ10600の支持部分10610が、移植された組織厚さコンペンセータ10620から離れるよう移動することができる。上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ10620及び/又は組織厚さコンペンセータ10690は、複数の取り外し可能セグメントを有してよく、これは、組織厚さコンペンセータ10620及び10690の一部のみがステープルによって埋め込まれている場合に、互いに分離できるように構成することができる。
【0240】
上記に対して更に、アプリケータ10680は1つ又は2つ以上の保持機構を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ10690をアプリケータ10680に対して解放可能に保持するように構成することができる。例えば、主に
図310を参照すると、アプリケータ10680は長手方向保持レール10685を有してよく、これは例えば、組織厚さコンペンセータ10690の下側表面10692内に画定された長手方向保持スロット10694に圧入により受容されるように構成することができる。様々な状況において、保持レール10685と保持スロット10694は、上述のように、アンビル10060によって充分な上向きの持ち上げ力が組織厚さコンペンセータ10690に掛けられるまで、組織厚さコンペンセータ10690をアプリケータ10680に対して保持するように構成することができる。例えば、アプリケータ10680から延びる保持レール10685は更に、保持レール10685の近位端と遠位端に配置されたエンドストップ10686を有してよく、これは、組織厚さコンペンセータ10690とアプリケータ10680との間の相対的長手方向の動きを阻止又は少なくとも制限するように構成することができる。再び
図310を参照すると、1つ又は2つ以上の接着剤(例えば、長手方向接着剤ストリップ10693)を、組織厚さコンペンセータ10690の接触表面10691に配置することができ、これにより、アンビル10060が組織厚さコンペンセータ10690に接触するとき、上述のように、接着剤が組織厚さコンペンセータ10690をアンビル10060に対して解放可能に接合することができる。必要に応じて、例えば、上述の圧縮可能保持機構に加えて、又はその代わりに、1つ以上の接着剤を利用することができる。1つ又は2つ以上の接着剤を利用して、組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジアプリケータに対して解放可能に保持することができる。次に
図310Aを参照して、カバー10080は、例えば、1つ以上の接着剤パッド12185を有してよく、これは上側組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ12190)を、カバー10080の上側表面10082に解放可能に保持するように構成できる。例えば、上記と同様に、アンビルは、組織厚さコンペンセータ12190に対して閉じ、組織厚さコンペンセータ12190の長手方向保持レール12195に係合することができる。解放機構を、組織厚さコンペンセータ12190とカバー10080との中間に配置することができ、これを利用して、組織厚さコンペンセータ12190をカバー10080に保持している接着剤結合を破壊し、組織厚さコンペンセータ12190をカバー10080から外すことができる。解放機構はプルタブ12196とループ12197を有してよく、ループ12197は、プルタブ12196に取り付けられた第1及び第2末端を含みうる。ループ12197は縫合糸を有してよく、例えば、これは接着剤パッド12185を取り囲む外周を画定することができ、これにより、プルタブ12196が遠位方向に引っ張られると、縫合糸が組織厚さコンペンセータ12190とカバー10080との間で摺動し、組織パッド12185に接触することができる。そのような状況において、縫合糸は、例えば、接着剤パッド12185を組織厚さコンペンセータ12190から分離すること、接着剤パッド12185をカバー10080から分離すること、及び/又は接着剤パッド12185を切断することのうち、少なくとも1つを行うことができる。
【0241】
次に
図311を参照すると、ステープルカートリッジは支持部分10710を有してよく、例えば、これは、上記と同様、それ自体を貫通して延びる長手方向ナイフスロット10715を含みうる。例えば、ステープルカートリッジアプリケータ(例えばアプリケータ10780)は、長手方向保持及びアラインメント部材10786を有してよく、これが支持部分10710内のナイフスロット10715に延びうる。保持部材10786は、例えば圧入によりナイフスロット10715の側壁に係合するように構成することができ、これによりアプリケータ10780は、支持部分10710に対して解放可能に保持されうる。必要に応じて、図示されていないが、組織厚さコンペンセータの第1の部分は保持部材10786の第1の側面に配置することができ、組織厚さコンペンセータの第2の部分は、保持部材10786の相対する第2の側面に配置することができる。上記と同様、組織厚さコンペンセータの第1及び第2の部分は、例えば、保持部材10013を介してステープルカートリッジの支持部分10710に取り付けることができる。また上記と同様、上側組織厚さコンペンセータ10790は、アプリケータ10780の装填表面10782から延びる長手方向保持部材10785を介して、アプリケータ10780に取り外し可能に取り付けることができ、保持部材10785は、例えば、組織厚さコンペンセータ10790の下側表面10792に画定された長手方向スロット10794に解放可能に圧入することができる。必要に応じて、また上記と同様、組織厚さコンペンセータ10790は更に、組織厚さコンペンセータ10790の上側表面10791から延びる長手方向保持部材10795を有してよく、これは、アンビル10060内に画定される長手方向ナイフスロット10065に解放可能に保持されうる。例えば、長手方向保持部材10795は、下側部分より大きい上側部分を含む楔形断面を有してよく、下側部分は例えば、保持部材10795を組織厚さコンペンセータ10790に取り付けることができる。
【0242】
次に
図312及び313を参照すると、支持部分10810と組織厚さコンペンセータ10820を含むステープルカートリッジ10800は、例えば、ステープルカートリッジアプリケータ10880とともにステープルカートリッジ溝部材に装填することができる。上記と同様、ステープルカートリッジアプリケータ10880は、例えば、アンビル(例えばアンビル10060)に対して上側組織厚さコンペンセータ10890を配置するように構成することができ、これにより、アンビル10060が閉じているとき、アンビル10060が組織厚さコンペンセータ10890に接触して係合できる。組織厚さコンペンセータ10890は、組織厚さコンペンセータ10890の上側表面10891から延びる複数の保持脚10895を有してよく、これは、アンビル10060と係合し、アンビル10060に対して組織厚さコンペンセータ10890を解放可能に保持するように構成できる。例えば、脚10895は長手方向の列に配列することができ、各脚10895は、アンビル10060内に画定されたナイフスロット10065に入って係合するように構成された少なくとも1つの足部を含みうる。脚10895のうちいくつかの足部は一方向に延在してもよく、他の足部は別の方向に延在していてもよい。足部の一部のものは反対方向に延びてもよい。いずれの場合も、アンビル10060が組織厚さコンペンセータ10890といったん係合すると、次に
図313及び314を参照して、アンビル10060が再び開き、医師はステープルカートリッジアプリケータ10880を、組織厚さコンペンセータ10820及び10890から離すよう動かすことができる。この後、
図314Aを参照すると、上側組織厚さコンペンセータ10890は標的組織と組織厚さコンペンセータ10820の第1の側面に配置することができ、これは下側組織厚さコンペンセータを有してよく、組織の第2の側面に配置することができる。組織厚さコンペンセータ10820及び10890が適当に配置された後、次に
図314Bを参照して、発射部材のナイフエッジ(例えばナイフエッジ10053)は、組織及び組織厚さコンペンセータを通って前進することができる。次に
図318を参照すると、ステープルカートリッジアプリケータ(例えば、アプリケータ12280)は、その上に取り外し可能に取り付けられた組織厚さコンペンセータ12290を有してよく、これは、上記と同様、
図319に示すように、ステープルカートリッジ溝部材に挿入され、アンビル10060が閉位置に移動すると、アンビル10060によって係合されうる。例えば、組織厚さコンペンセータ12290は、組織厚さコンペンセータ12290の上側表面12291から上向きに延びる複数の保持部材12295を有してよく、各保持部材12295は複数の可撓性脚12296を有してよく、これらはアンビル10060内のナイフスロット10065に挿入されるように構成することができる。主に
図321及び322を参照して、各保持部材12295の可撓性脚12296が、隙間12298によって分離されていてよく、これにより、脚12296がナイフスロット10065に挿入されると、脚12296が内側に屈曲し、可撓性脚12296の膨張した足部がナイフスロット10065を通過した後、弾性的に外側に戻ることができる。可撓性脚12296の膨張した足部が、アンビル10060内に画定された対向した保持リップ12997の向こう側に屈曲でき、脚12296とリップ12297との相互作用の結果、組織厚さコンペンセータ12290がアンビル10060に保持されうる。その後、ステープルカートリッジアプリケータ12280は、
図320に示すように、組織厚さコンペンセータ12290から離れるよう動かすことができる。使用時には、組織厚さコンペンセータ12290が、ステープルカートリッジ10000から配備されたステープルによって組織に対していったん埋め込まれると、例えば、アンビル10060が再び開くことができ、更に、アンビル10060が、移植された組織厚さコンペンセータ12290から離れるよう動かされると、保持部材12995の脚12296が内側に屈曲し、これによりナイフスロット10065から引き抜かれうる。
【0243】
次に
図315及び316を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ11990)は、アンビル(例えば、アンビル11960)に長手方向に装填されうる。より詳細には、組織厚さコンペンセータ11990は1本以上の長手方向レール11995を有してよく、これは、アンビル11960のナイフスロット11965の遠位側開口部に挿入してから、組織厚さコンペンセータ11990がアンビル11960内に適正に収まるまで、近位側に押し込むことができる。例えば、各レール11995は、長手方向保持足部11996を有してよく、これは例えば、ナイフスロット11965を少なくとも部分的に画定している長手方向保持リップ11997の向こう側に配置することができる。
図316に示すように、足部11996は、ナイフスロット11965の反対側に配置される保持リップ11997の向こう側に配置するために、反対方向に延ばすことができる。本発明によれば、長手方向隙間11998は、レール11995の間に画定され、これは、組織厚さコンペンセータ11990がアンビル11960から外れた時に、レール11995が互いに内側に向かって屈曲できるように構成することができる。次に
図317を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ12090)は、1本以上のロックアーム12098を有してよく、これは、アンビル(例えば、アンビル12060)の側面に回り込んで延在しうる。使用時には、ロックアーム12098はアンビル12060に係合し、組織厚さコンペンセータ12090をアンビル12060に対して解放可能に保持することができる。例えば、アンビル12060は1つ以上のノッチ又はロックショルダー12097を有してよく、これはそれぞれ、ロックアーム12098から延びる足部を受容するように構成することができる。使用時には、組織厚さコンペンセータ12090が少なくとも部分的に移植された後、アンビル12060が組織厚さコンペンセータ12090から離れたときに、アーム12098は外側に屈曲してアンビル12060から外れることができる。
【0244】
上述のように、外科用ステープル留め器具は、ステープルカートリッジと、ステープルカートリッジ溝部材に回転可能に連結されたアンビルと、アンビル及びステープルカートリッジ溝部材に対して移動可能なナイフエッジを含む発射部材とを受容するように構成された、ステープルカートリッジ溝部材を含みうる。使用時には、ステープルカートリッジはステープルカートリッジ溝部材内に配置され、ステープルカートリッジが少なくとも部分的に消費された後、ステープルカートリッジをステープルカートリッジ溝部材から取り出し、新しいステープルカートリッジに交換することができる。例えば、外科用ステープル留め器具のステープルカートリッジ溝部材、アンビル、及び/又は発射部材は、交換用ステープルカートリッジとともに再使用することができる。あるいは、ステープルカートリッジは、使い捨て装填ユニットアセンブリの一部を含むことができ、これには、ステープルカートリッジ溝部材、アンビル、及び/又は発射部材が含まれてよく、例えば、これは、使い捨て装填ユニットアセンブリの交換の一環として、ステープルカートリッジとともに交換することができる。特定の使い捨て装填ユニットアセンブリは、米国特許出願第12/031,817号「END EFFECTOR COUPLING ARRANGEMENTS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」(2008年2月15日出願)に開示されており、この開示全体を参照により本明細書に援用する。次に
図370を参照して、使い捨て装填ユニット(例えば使い捨て装填ユニット12500)は、支持部分12510、支持部分12510に回転可能に連結されたアンビル12560、及び支持部分12510から延びる長尺状シャフト12570を含みうる。本明細書に記述されるステープルカートリッジと同様、支持部分12510は、複数のステープルキャビティ10012と、例えば各ステープルキャビティ10012に配置されたステープル(例えばステープル10030)とを含みうる。使い捨て装填ユニット12500は更に発射部材12552を有してよく、これは、
図370に示す開位置から閉位置へとアンビル12560を動かすために、遠位方向に前進させることができる。使い捨て装填ユニット12500は更に、支持部分12510の上に配置又はこれに取り付けられた組織厚さコンペンセータ12520を有してよく、アンビル12560が閉位置にあるときに、アンビル12560は組織厚さコンペンセータ12520に相対するよう配置することができ、場合によっては、アンビル12560が閉位置にあるとき、アンビル12560は少なくとも部分的に組織厚さコンペンセータ12520を圧縮することができる。いずれの場合でも、発射部材12552は、支持部分12510からステープルを発射するために、更に前進させることができる。ステープルが発射されると、そのステープルはアンビル12560によって変形され、その中に組織厚さコンペンセータ12520の少なくとも一部を捕らえることができる。その後、発射部材12552を近位側に後退させることができ、アンビル12560は再び開き、支持部分12510は、移植された組織厚さコンペンセータ12520から離れるよう移動されうる。
【0245】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ12520は、支持部分12510取り外し可能に取り付けることができる。例えば、支持部分12510は、その各側メインに取り付けられた長手方向保持レール12526を含み、各レール12526は、1つ以上の開口部12528を有してよく、これはその中に組織厚さコンペンセータ12520の少なくとも一部を受容するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ12520がいったん、少なくとも部分的に埋め込まれると、支持部分12510が除去され、組織厚さコンペンセータ12520を開口部12528から引き出すことができる。次に
図371〜373を参照して、使い捨て装填ユニット12600は、支持部分12610、その支持部分12610に取り外し可能に取り付けられた組織厚さコンペンセータ12620、及び、組織厚さコンペンセータ12620の下に延在しかつ組織厚さコンペンセータ12620を支持部分12610に取り付けるように構成することができる1本以上の保持レール12626を含みうる。各保持レール12626は、例えば複数の保持フック12628を有してよく、これは、例えば支持部分12610内に画定される保持スロット12614を介して、支持部分12610に係合されうる。使用時には、例えば、組織厚さコンペンセータ12620は、組織厚さコンペンセータ12620が少なくとも部分的に埋め込まれ、かつ支持部分12610が組織厚さコンペンセータ12620から離れるよう動かされた後、保持レール12626から外れるように構成することができる。次に
図374〜376を参照すると、使い捨て装填ユニット12700は、1本以上の保持レール12726を有してよく、これはそれぞれ、組織厚さコンペンセータ12720の下に延びる下側バー12725と、組織厚さコンペンセータ12620の上側表面12621の上に延びる上側バー12727と、を含みうる。組織厚さコンペンセータ12620は、上側バー12727と下側バー12725との間で少なくとも部分的に圧縮され、これにより、保持レール12726が、組織厚さコンペンセータ12620を支持部分12610に対して解放可能に保持することができる。例えば、各保持レール12726は、1本以上の保持フック12728を有してよく、これが支持部分12610に係合して保持レール12726を支持部分12610に保持することができる。
【0246】
次に
図377及び378を参照して、使い捨て装填ユニット12800は保持部材12822を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ12620を支持部分12610に取り付けるように構成することができる。例えば、保持部材12822は、支持部分のデッキ表面12611に対して配置される1枚のシート材料を有してよく、組織厚さコンペンセータ12620が、例えば、少なくとも1種類の接着剤によって、この1枚のシート材料に取り付けられうる。保持部材12822は更に、支持部分12610内に画定されたナイフスロット12615内に下向きに延びるように構成された長手方向保持レール12825を含みうる。例えば、保持レール12825は、ナイフスロット12615の側壁間で圧縮されるような寸法及び構成にすることができる。使用時には、発射部材12552は、発射部材12552が遠位側に前進して組織厚さコンペンセータ12620と保持レール12825を長手方向に切断する際に、ナイフスロット12615を通過することができるナイフエッジを含みうる。また、使用時には、支持部分12610から発射されたステープルは、保持部材12822、組織厚さコンペンセータ12820、及び、組織厚さコンペンセータ12820とアンビル12560との間に配置された組織を、貫通することができる。保持部材12822は、生体適合性及び/又は生体吸収性材料で構成することができる。保持部材12822は、組織厚さコンペンセータ12620の下にある組織厚さコンペンセータを含むよう、充分に圧縮可能な材料で構成することができる。次に
図379〜381を参照すると、使い捨て装填ユニット12900は、支持部分12610に取り外し可能に取り付けられうる下側部分12922と、アンビル12560に取り外し可能に取り付けられうる上側部分12990と、下側部分12922と上側部分12990を連結する可撓性継手12991とを備えた、装填アセンブリを含みうる。上記と同様、長手方向保持レール12825は、下側部分12922から下向きに延びて、支持部分12610内に画定されたナイフスロット12615内に入るようになっていてよく、これにより、下側部分12922が支持部分12610に対して解放可能に保持されうる。同様に、長手方向保持レール12995は、上側部分12990から上向きに延びて、アンビル12560内に画定されたナイフスロット内に入るようになっていてよく、これにより、上側部分12990がアンビル12560に対して解放可能に保持されうる。
図380及び381に示すように、組織厚さコンペンセータ12620は装填アセンブリの下側部分12922に取り付けることができ、組織厚さコンペンセータ12620を支持部分12610に対して配置するために、医師は、上側部分12990と下側部分12922を互いに近づけるよう曲げて、アンビル12560と支持部分12610との間に装填アセンブリを配置し、曲げた装填アセンブリを解放することで、弾性的に膨張させて上側部分12990をアンビル12560に対して付勢し、下側部分12922を支持部分12610に対して付勢することができる。次に
図382〜384を参照すると、装填アセンブリは更に、それ自体から延びる1本以上のラッチフック(例えば、ラッチフック12994)を有してよく、これは、上側部分12990をアンビル12560に対して解放可能に連結し、及び/又は下側部分12922を支持部分12610に対して解放可能に連結するように構成することができる。
【0247】
次に
図385を参照して、使い捨て装填ユニット15900は、例えば、アンビル15960とステープルカートリッジ溝部材15970を有してよく、ステープルカートリッジ溝部材15970はアンビル15960に対して回転することができる。例えばアンビル15960は回転できなくともよい。組織は、アンビル15960とステープルカートリッジ溝部材15970との間に配置することができ、その後、ステープルカートリッジ溝部材15970を組織に向かって回転させ、組織をアンビルに対してクランプすることができる。例えば、使い捨て装填ユニット15900は更に、組織に接触するように構成することができる組織厚さコンペンセータ15920を含みうる。
【0248】
前述のように、また
図332を参照して、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ10000)は、支持部分10010及び組織厚さコンペンセータ10020を有してよく、複数のステープル10030は少なくとも部分的に支持部分10010に保管され、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ10020内に延びることができる。ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル10030の先端は組織厚さコンペンセータ10020から突出しない。ステープル10030がステープルドライバ10040によって、未発射位置から発射済み位置へと動かされると、前述のように、ステープル10030の先端は、組織厚さコンペンセータ10020を貫通でき、及び/又は上側層又は被覆10022を貫通できる。あるいは、ステープル10030が未発射位置にあるときに、ステープル10030の先端は、組織厚さコンペンセータ10020の上側表面及び/又は被覆10022を通って突出できる。いずれの場合でも、ステープル10030は、配備される前に支持部分10010から上向きに延出しているため、上述のように、支持部分に対して傾き及び/又は撓曲することがある。次に
図329を参照すると、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ13000)は、複数のガイド部材又は保持具を有してよく、これは、ステープルカートリッジ13000の支持部分13010とその中に配置されるステープルの先端との間の相対的な動きを制限するように構成できる。主に
図330を参照して、ステープルカートリッジ13000は、支持部分13010に取り付けられた組織厚さコンペンセータ13020を有してよく、更に、組織厚さコンペンセータ13020の上側表面13021に取り付けられた複数のプレジット13022を含みうる。必要に応じて、各プレジット13022は、その中に画定された複数の開口部13029を有してよく、これはその中のステープル13030の脚13022を摺動可能に受容及び/又はガイドするように構成することができる。開口部に加え、又はその代わりに、プレジットは、スロット、ガイド、及び/又は溝などの、任意の適当な開口部を有してよく、これらは脚13022を摺動可能に受容及び/又はガイドするように構成することができる。
図330に示すように、ステープル脚13032の先端は、ステープル13030が未発射位置にあるときに、開口部13029内に配置されうる。例えば、ステープル脚13032の先端は、ステープルが未発射位置にあるときに、プレジット13022の上に突出しうる。ステープル脚13032の先端は、ステープル13030が未発射位置にあるときに、プレジット13022のすぐ下にあってもよく、これにより、ステープル13030が組織厚さコンペンセータ13020を通って上に移動すると、ステープル脚13032がプレジット13022の開口部13029に入り、その中を摺動することができる。いずれの場合も、ステープル13030の脚13032がプレジット内に配置されたとき、ステープル脚13032の横方向及び/又は長手方向の動きは、ステープル13030が配備されるときにステープル脚13032の上向きの動きを妨げることなく、制限することができる。ステープル13030が配備されると、次に
図331を参照して、ステープル脚13032はプレジット13022を通って上向きに摺動し、組織Tに進入し、ステープルカートリッジ13030に対向して配置されているアンビルに接触し、下向きに変形されて、その中にある組織Tと組織厚さコンペンセータ13030とを捕捉することができる。
【0249】
上記に対して更に、プレジット13022は、例えば少なくとも1つの生体適合性及び/又は生体吸収性接着剤を利用して、組織厚さコンペンセータ13020に取り付けることができる。プレジット13022、及び/又は各プレジットから延びる保持部材は、組織厚さコンペンセータ13020内に少なくとも部分的に埋め込まれうる。例えば、組織厚さコンペンセータ13020はその中に画定されたポケットを含み、これはプレジット13022を少なくとも部分的に受容するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ13020は、成形製造工程中に、プレジット13022を一体成形又はその周囲に成形することができる。プレジット13022は、互いに独立して動くことができる個別の保持具を有しうる。主に
図330を参照して、各プレジット13022は、相互係合及び/又はキー係合機能を有してよく、これは、プレジット13022間の相対的な横方向及び長手方向の動きを可能にし、かつある程度制限するように構成することができる。例えば、各プレジット13022は、突起13026と1つ以上の凹部13027とを有してよく、例えば、第1プレジット13022の突起13026は、隣接する第2及び第3のプレジット13022の凹部13027の中に、かつ/又はこれに対して整列させて、配置することができる。必要に応じて、隣接するプレジット13022の間には隙間があってもよく、これによって、プレジット13022が、隣接するプレジット13022に接触するまで、互いに相対的に移動又は摺動することができる。プレジット13022はゆるやかに相互連結させることができる。プレジット13022は取り外し可能に連結させることができる。例えば、プレジット13022は、相互連結されたプレジットのシートとして製造することができ、充分な力がシートにかかると、1つ以上のプレジット13022が破断して他のプレジットから離れうる。再び
図329を参照すると、プレジット13022の第1のシート13024は、長手方向スロット13025の第1の側面上に配置することができ、プレジット13022の第2のシート13024は、スロット13025の第2の側面上に配置することができる。上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ13020を貫通して延びる長手方向スロット13025は、発射部材のナイフエッジが組織厚さコンペンセータ13020を通るのを促進し、かつ、発射部材が通過する際、発射部材がシート13024に対して圧縮力をかけてプレジット13022の少なくともいくつかを分離又はバラバラにするように、構成することができる。
【0250】
プレジット13022は、例えば、生体適合性及び/又は生体吸収性プラスチックで構成することができる。プレジット13022は、例えば、固体材料、準固体材料、及び/又は可撓性材料で構成することができる。プレジット13022は組織厚さコンペンセータ内に埋め込まれてよく、これによりプレジット13022は組織厚さコンペンセータとともに動くことができる。例えば、プレジット13022は充分に可撓性であってよく、これにより組織厚さコンペンセータの上側表面とともに屈曲することができる。プレジット13022は組織厚さコンペンセータ内に埋め込まれたままになるように構成することができるが、一方、プレジット13022は、組織厚さコンペンセータから飛び出し、又は外れるように構成することができる。プレジット13022は、組織厚さコンペンセータの上側表面に対して同一面である上側表面を含みうる。プレジット13022の上側表面は、組織厚さコンペンセータの上側表面より上及び/又は下に配置されうる。プレジット13022の上側表面は、組織厚さコンペンセータの上側表面を見たときに見えるように配置することができ、一方、代替例として、プレジット13022の上側表面は例えば、組織厚さコンペンセータの層の下に配置することができる。例えば、組織厚さコンペンセータの上側表面に、ガイド機構を成形することができる。例えば、組織厚さコンペンセータは、複合材料から構成されてはならず、例えば、一体型の材料を含みうる。
【0251】
次に
図338を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13620及び被覆又は上層13621を有しうる。例えば、1つ又は2つ以上のプレジット又は保持具13622は、例えば、被覆13621内に埋め込むことができる。各保持具13622は、その中に画定された1つ又は2つ以上の開口部13629を有してよく、これは、
図338に示すように、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032をその中に受容するように構成することができる。使用時には、上記に対して更に、例えば、ステープル13030が未発射位置から発射済み位置まで動くとき、ステープル13030の底面13031が組織厚さコンペンセータ13620に接し、プレジット13622の下側表面に対して組織厚さコンペンセータ13620の少なくとも一部を圧縮するまで、ステープル脚10032は、開口部13629を通って摺動することができる。次に
図333を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13120及び被覆又は上層13122を有しうる。例えば、組織厚さコンペンセータ13120は、円錐形隆起、突起、及び/又は突出部13128を有してよく、例えば、これは組織厚さコンペンセータ13120の上側表面13121から上向きに延出しうる。この突起13128は、
図333に示すように、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の先端を受容し包み込むように構成することができる。上側層13122も、円錐形隆起、突起、及び/又は突出部13129を有してよく、これらは突起13128と整列、又は少なくともほぼ整列しうる。使用時には、ステープル脚10032は突起13128及び13129に貫通し、組織厚さコンペンセータ13120から出現しうる。次に
図337を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13520及び被覆又は上層13522を有しうる。例えば、被覆13522は、円錐形隆起、突起、及び/又は突出部13529を有してよく、例えば、これは組織厚さコンペンセータ13520の上側表面13521から上向きに延出しうる。上記と同様、突起13529は、
図337に示すように、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の先端を受容し包み込むように構成することができる。使用時には、ステープル脚10032は突起13529に貫通し、被覆13522から出現しうる。
【0252】
次に
図334を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13220及び被覆又は上層13222を有しうる。例えば、組織厚さコンペンセータ13220は、円錐形くぼみ及び/又は凹部13128を有してよく、例えば、これは組織厚さコンペンセータ13220の上側表面13221に下向きに延在しうる。
図334に示すように、ステープル脚13032の先端は、ステープル13030が未発射位置にあるときに、凹部13128を貫通して延在しうる。上側層13222も、円錐形くぼみ及び/又は凹部13129を有してよく、これらは突起13128と整列、又は少なくともほぼ整列しうる。次に
図335を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13320及び被覆又は上層13322を有しうる。例えば、被覆13320は、厚い部分13329を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ13320の上側表面13321内に下向きに延出しうる。様々な状況において、
図335に示すように、この厚い部分13329は、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の少なくとも一部を受容するように構成することができる。そのような場合、厚い部分13329は、ステープル脚13032を定位置に保持することができ、これにより脚13032は、組織厚さコンペンセータ13320に対向して配置されるアンビルのステープル成形ポケットと整列、又は少なくともほぼ整列しうる。次に
図336を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13420及び被覆又は上層13422を有しうる。被覆13422は厚い部分13429を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ13420の上側表面13421内に上向きに延出しうる。様々な状況において、
図336に示すように、この厚い部分13429は、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の少なくとも一部を受容するように構成することができる。そのような場合、厚い部分13429は、ステープル脚13032を定位置に保持することができ、これにより脚13032は、組織厚さコンペンセータ13420に対向して配置されるアンビルのステープル成形ポケットと整列、又は少なくともほぼ整列しうる。
【0253】
次に
図339及び340を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13720と、被覆(又は上側層)13721とを含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータ13720は角錐形及び/又は階段状隆起、突起及び/又は突出部13728を有してよく、例えば、これは組織厚さコンペンセータ13720の上側表面13721から上向きに延出しうる。この突起13728は、
図340に示すように、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の先端を受容し包み込むように構成することができる。同様に、上側層13721は、角錐形及び/又は階段状隆起、突起及び/又は突出部13729を有してよく、これらは突起13728と整列、又は少なくともほぼ整列しうる。被覆13721は更に、突起13729から上向きに延出する1つ又は2つ以上の歯13727を含み、これは上側層13721に対して配置された組織を係合し、かつ、組織、上側層13721、及び/又はステープル脚13032の先端の間の相対的な横方向及び/又は長手方向の動きを阻止するか、又は少なくとも制限するように構成することができる。使用時には、ステープル脚13032は、ステープル13030が未発射位置から発射済み位置へと動く際に、突起13728及び13729に貫入し、組織厚さコンペンセータ13720から出現することができる。次に
図341及び342を参照すると、ステープルカートリッジは、例えば、組織厚さコンペンセータ13820と、被覆(又は上側層)13821とを含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータ13820は角錐形及び/又は階段状隆起、突起及び/又は突出部13828を有してよく、例えば、これは組織厚さコンペンセータ13820の上側表面13821から上向きに延出しうる。この突起13828は、
図342に示すように、ステープル13030が未発射位置にあるときに、ステープル13030のステープル脚13032の先端を受容し包み込むように構成することができる。同様に、上側層13821は、角錐形及び/又は階段状隆起、突起及び/又は突出部13829を有してよく、これらは突起13828と整列、又は少なくともほぼ整列しうる。上側層13821は更に、組織厚さコンペンセータ13820内に向かって下向きに延びる1つ以上の歯13827を有してよく、これは例えば、上側層13821と組織厚さコンペンセータ13820との間の相対的な横方向及び/又は長手方向の動きを阻止するか、又は少なくとも制限するように構成することができる。使用時には、ステープル脚10032は、ステープル13030が未発射位置から発射済み位置へと動く際に、突起13828及び13829に貫入し、組織厚さコンペンセータ13820から出現することができる。
【0254】
次に
図343を参照すると、ステープルカートリッジは組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ13920)を有してよく、これはその中に画定された山13923と谷13924を備え、谷13924は山13923の間に画定されうる。必要に応じて、各山13923は同じ高さ、ほぼ同じ高さ、又は異なる高さを有しうる。同様に、各谷13924は同じ深さ、ほぼ同じ深さ、又は異なる深さを有しうる。本発明によれば、複数のステープル13030が、組織厚さコンペンセータ13920内に少なくとも部分的に保管されていてよく、これによりステープル13030の先端が山13923内に配置されるようにすることができる。例えば、例えばステープル13030が未発射位置に保管されているときに、ステープル13030のステープル脚13032は、組織厚さコンペンセータ13920、及び/又は組織厚さコンペンセータ13920に取り付けられている被覆(又は上側層)13921から突出することはない。山13923及び/又は谷13924は、ステープルカートリッジの横断方向に延在しうる。例えば、ステープルカートリッジは長手方向ナイフスロットを有してよく、山13923と谷13924は、横断方向、及び/又はナイフスロットに対して垂直方向に延在しうる。様々な状況において、山13923は、ステープル13030が未発射位置から発射済み位置へと移動するまで、ステープル脚13032の先端を定位置に保持するように構成することができる。次に
図344を参照すると、組織厚さコンペンセータ、及び/又は組織厚さコンペンセータを覆う被覆は、長手方向の山及び/又は谷を含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータは、山14023及び谷14024により画定される上側表面を含み、谷14024は、例えば、山14023の間に画定されうる。組織厚さコンペンセータは被覆14021を有してよく、これは、ステープル脚13032を受容するようそれぞれ構成されうる、内部に画定された複数の開口部14029を含みうる。開口部14029は山14023の中に画定することができ、ステープル脚13032の先端は、山14029の頂点14028より下に配置され、頂点14028と同一面に配置され、及び/又は頂点14028より上に配置されうる。上記に加えて、又は上記の代わりに、開口部14029は例えば、谷14024の中に画定することができる。各開口部は、浮き出しによって取り囲まれ、又は浮き出しによって少なくとも部分的に取り囲まれており、開口部を取り囲む被覆及び/又は組織厚さコンペンセータを補強することができる。いずれの場合も、上記に対して更に、被覆14021は、例えば少なくとも1種類の接着剤を含む任意の適当な方法で、組織厚さコンペンセータに取り付けることができる。
【0255】
上述のように、再び
図233を参照すると、外科用ステープル留め器具は、アンビル(例えばアンビル10060)を有してよく、これは、例えば、ステープルカートリッジ10000の組織厚さコンペンセータ10020に対して組織Tを圧縮するために、開位置と閉位置との間で動かすことができる。様々な状況において、アンビル10060は、ステープルカートリッジ10000の何らかの部分、及び/又は、ステープルカートリッジ10000が配置される溝部材の何らかの部分によって、下向きの動きが停止されるまで、ステープルカートリッジ10000に向かって回転することができる。少なくとも1つのそのような状況において、アンビル10060は、下向きの動きがステープルカートリッジ10000のノーズ10003、及び/又は、ノーズ10003とステープルカートリッジ10000の中間に配置された組織Tによって抵抗を受けるまで、下向きに回転することができる。特定の状況において、アンビル10060は、組織Tがステープル10030の先端に接触できるよう、組織厚さコンペンセータ10020を充分に圧縮しうる。特定の状況において、組織Tの厚さによっては、アンビル10060は組織厚さコンペンセータ10020を充分に圧縮することができ、これによってアンビル10060は、アンビル10060が完全に閉位置に達する時までに、ステープル10030と接触する。換言すれば、そのような状況において、アンビル10060は、発射部材10052がステープルカートリッジ10000内を前進してステープル10030を発射させるより前に、ステープル10030を変形しうる。そのような状況は特定の場合において許容できる場合がある。しかしながら、次に
図358及び359を参照すると、代替例では、遠位側隙間設定エレメント(例えば、エレメント10059)を利用して、発射バー10052がステープルカートリッジ10000内を前進する前にアンビル10060が閉じることができる距離を制限することができるように構想されている。エレメント10059は、組織厚さコンペンセータ10020の上側表面10021から上向きに延在していてもよく、これにより、組織Tがエレメント10059に対して圧縮され、その間に抵抗力が生じる際に、アンビル10060の下向きの動きを止めることができる。使用時には、上述のように、発射部材10052はステープルカートリッジ10000の中を、ステープルカートリッジ10000の遠位端10002に向かって遠位方向に前進することができ、これにより、ステープル10030を支持部分10010から発射させる。同時に、発射部材10052はアンビル10060に係合でき、支持部分10010のデッキ表面10011(
図218)からの望ましい距離で、成形されるステープル10030の上にアンビル10060を配置することができる。このようにして、発射部材10052がアンビル10060の組織接触表面とデッキ表面10011との間の距離又は隙間を特定の位置で制御することができ、この特定の位置は、発射部材10052が遠位方向に前進する際に、遠位方向に前進させることができる。様々な状況において、この隙間距離は、組織厚さコンペンセータ10020の遠位端で遠位端で隙間設定エレメント10059により制御又は規定されるアンビル10060とデッキ表面10011との間の隙間よりも、短いことがある。次に
図359を参照して、発射部材10052のナイフエッジ10053は、発射部材10052が組織厚さコンペンセータ10020の遠位端に達するときに、遠位端隙間設定エレメント10059を横断するように構成することができ、これにより、エレメント10059が横断した後、発射部材10052がアンビル10060を支持部分10010に向かって下向きに引っ張り、ステープル10030をステープルカートリッジ10000の遠位端で発射する際の望ましい隙間高さまでこの隙間を閉じる。あるいは、遠位端隙間設定エレメントは、発射部材がステープルカートリッジの遠位端に近づくと潰れるように構成することができる。例えば、遠位端隙間設定エレメントは、上述のようにアンビルに対して抵抗力を提供しうる柱を有してよく、これは、発射部材がステープルカートリッジの遠位端に近づいて、隙間設定エレメントの座屈強度に達すると、突然座屈しうる。この座屈力は例えば約44N(10lbf)でありうる。隙間設定エレメントは、例えば、所定量を超える力が隙間設定エレメントにかかったときに、支持部分のデッキ内に下向きに落ちるように構成することができる。遠位端隙間は、ステープルカートリッジのノーズによって制御することができる。例えば、アンビル10060の下向きの動きは、発射部材がカートリッジの遠位端に達するまでの間、ノーズによって制御され、発射部材がカートリッジの遠位端に達する時点で、ノーズにかかる圧縮力によってノーズを潰すことができる。ノーズはキャビティ壁によって画定されるキャビティを有してよく、これにより、適用される圧縮力が所定の力を超えると、このキャビティが潰れるようにすることができる。例えば、キャビティは、圧潰可能な壁によって画定されうる。
【0256】
必要に応じて、上述のように、アンビル(例えば、アンビル10060)は、アンビルとステープルカートリッジの支持部分との間の組織厚さコンペンセータを圧縮するために、開位置と閉位置との間で動くことができる。特定の状況において、次に
図360及び361を参照して、ステープルカートリッジの組織厚さコンペンセータ(例えばステープルカートリッジ14100の組織厚さコンペンセータ14120)は、組織厚さコンペンセータ14120がステープルカートリッジ14100の支持部分14110に対して圧縮されるとき、横方向及び/又は長手方向に膨張しうる。組織厚さコンペンセータ14120の端及び/又は側面は、支持部分14110及び/又はアンビル10060によって拘束されておらず、その結果、組織厚さコンペンセータ14120は、組織厚さコンペンセータ14120内に、圧縮圧力を生成することなく、又は少なくとも望ましくない圧縮圧力を生成することなく、これらの方向に膨張することができる。そのような場合、組織厚さコンペンセータ14120を通過する発射部材(例えば、発射部材10052(
図236))は、例えば、組織厚さコンペンセータ14120内の望ましくない圧縮圧力によって、過度に妨げられることがない。あるいは、再び
図360を参照すると、組織厚さコンペンセータ14120の遠位端14125は、例えば、ステープルカートリッジ14100のノーズ14103によって拘束されうる。この特定の実施形態では、上記と同様、組織厚さコンペンセータ14120が早期に支持部分14110から外れる可能性を低減するために、組織厚さコンペンセータ14120の遠位端14125を、ノーズ14103によって拘束することができる。いずれの場合も、上記の結果、遠位端14125内に大きな内部圧力が生じ得、これが、特に発射部材10052が遠位端14125に達したときに、発射部材10052の前進を妨げることができる。より詳細には、特定の状況において、発射部材10052は、組織厚さコンペンセータ14120を横断する際に、組織厚さコンペンセータ14120を押し、かき分け、及び/又は遠位方向にずらすことができ、その結果、組織厚さコンペンセータ14120の遠位端14125内に更に大きな内部圧力が生じうる。組織厚さコンペンセータ14120内のこの圧力を少なくとも部分的に分散させるために、ノーズ14103は可撓性材料から構成することができ、これによりノーズ14103は例えば遠位方向に屈曲することができ、組織厚さコンペンセータ14120のために追加のスペースを生み出すことができる。次に
図362及び363を参照して、ステープルカートリッジのノーズは、遠位方向に摺動できる部分を含みうる。より詳細には、ステープルカートリッジ14200のノーズ14203は、ノーズ14203に摺動可能に連結されうる摺動可能部分14204を有してよく、これにより、アンビル10060が閉じるか、及び/又は発射部材10052がステープルカートリッジの遠位端14200に前進するとき、摺動可能部分14204が遠位方向に摺動し、組織厚さコンペンセータ14200のために追加の余地をつくりだし、その中の内部圧力を少なくとも部分的に緩和することができる。ノーズ14203と摺動可能部分14204のうちいずれか一方が、1本以上のレールを有してよく、ノーズ14203と摺動可能部分14204のうちもう一方が、そのレールを摺動可能に受容するように構成された1本以上の溝部材を含みうる。例えば、溝部材とレールは、例えば、長手方向の遠位側経路への摺動可能部分14204の動きを協働的に制限するよう成すことができる。
【0257】
様々な状況において、上記に対して更に、特定のステープル、例えばステープルカートリッジ内で最も遠位側のステープルは、ステープルカートリッジ内の近位側のステープルよりも、より大きな部分の組織厚さコンペンセータを捕捉しうる。そのような状況において、その結果、遠位側ステープル内には、近位側ステープルに比べ、大きなクランプ圧力が捕捉された組織にかかる可能性がある。このような状況は、上述のように、組織厚さコンペンセータがほぼ均一の厚さを有するほぼ均質な材料から構成されていたとしても、使用中に、組織厚さコンペンセータの少なくとも一部が遠位側にずれた場合、及び/又は遠位側に集まった場合に起こり得る。様々な状況において、特定のステープルが、他のステープルよりも、組織に対してより高いクランプ圧力をかけることが望ましい場合があり、支持部分及び/又は組織厚さコンペンセータは、どのステープルが組織に対してより高いクランプ圧力をかけ得るか、また、どのステープルが組織に対してより低いクランプ圧力をかけ得るかを制御できるよう、構築かつ配置することができる。次に
図364を参照すると、ステープルカートリッジ14300は支持部分14310と、それに加えて、支持部分14310のデッキ表面14311に配置された組織厚さコンペンセータ14320とを含みうる。平坦な、又は少なくともほぼ平坦なデッキ表面を有する支持部分14310を含む、本出願に開示されている他の実施形態と比較して、デッキ表面14311は、支持部分14310の遠位端14305と近位端14306との間で上り勾配及び/又は下り勾配でありうる。支持部分14310のデッキ表面14311は、近位端14306でのデッキ高さよりも低い遠位端14305でのデッキ高さを有しうる。例えば、ステープルカートリッジの遠位端14300でのステープル10030は、近位端のステープル10030よりも、デッキ表面14311からより長い距離離れて上に延在しうる。あるいは、支持部分のデッキ表面は、近位端の高さよりも高い遠位端側の高さを有しうる。再び
図364を参照すると、組織厚さコンペンセータ14320は、その長手方向長さに沿って異なる厚さを有しうる。組織厚さコンペンセータ14320は、例えば、近位端14326での厚さよりも厚い遠位端14325での厚さを含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータ14322は、支持部分14310の上り勾配又は下り勾配のデッキ表面14311に合わせ、又は少なくともほぼ合わせて、上り勾配又は下り勾配になりうる、下側表面14322を含みうる。その結果、組織厚さコンペンセータ14320の上側(又は組織接触)表面14321は、平坦、又は少なくともほぼ平坦な、組織Tを配置しうる表面を含みうる。いずれの場合も、組織厚さコンペンセータ14320が遠位端14325でより厚い場合、遠位側ステープル10030は近位側ステープル10030に比べ、内部により大きな部分の組織厚さコンペンセータ14320を捕捉することができ、その結果、特にアンビル10060とデッキ表面14311との間の隙間距離がステープルカートリッジの近位端と遠位端で一定である場合、又は少なくともほぼ一定である場合に、遠位側ステープル10030は組織Tに対してより大きな圧縮力をかけることができる。しかしながら特定の状況において、アンビル10060は完全な閉位置に達しないことがあり、その結果、アンビル10060とデッキ表面14311との間の隙間距離は、ステープルカートリッジ14300の近位端よりも遠位端でより大きくなりうる。様々な状況において、遠位側ステープル10030は完全に成形されないことがあり、その結果、遠位側ステープル10030は、望ましいクランプ圧力を組織Tにかけることができなくなりうる。組織厚さコンペンセータがステープルカートリッジの遠位端で厚くなっている場合、組織厚さコンペンセータは、ステープルの成形不足を補償することし、組織Tに充分な圧力をかけることができる。
【0258】
次に
図365を参照すると、ステープルカートリッジ(例えばステープルカートリッジ14400)は、支持部分14410と、それに加えて、支持部分14410のデッキ表面14411上に配置された組織厚さコンペンセータ14420とを含みうる。上記と同様、デッキ表面14411は、上り勾配及び/又は下り勾配であってよく、これにより、例えば、支持部分14410の遠位端14405は、近位端14406でのデッキ高さよりも低いデッキ高さを有しうる。組織厚さコンペンセータ14420は、その長さに沿って均一、又は少なくともほぼ均一の厚さを有してよく、その結果、組織厚さコンペンセータ14420の上側(又は組織接触)表面14421は、デッキ表面14411の外形と平行、又は少なくともほぼ平行でありうる。ステープルカートリッジ14400のステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ14420及び支持部分14410内に完全に埋め込まれうる。ステープルカートリッジ14400の近位端に配置されているステープル10030は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ14420及び支持部分14410内に完全に埋め込まれている場合があり、一方、デッキ14411と上側表面14421の下り勾配により、特定のステープル10030(ステープルカートリッジの遠位端14400にあるステープル10030を含む)の先端は、ステープル10030が未発射位置にあるときに、組織厚さコンペンセータ14420の上側表面14421を貫通して突出しうる。
【0259】
必要に応じて、上述のように、組織厚さコンペンセータは単一材料から構成され、組織厚さコンペンセータ全体が、同じ、又は少なくともほぼ同じ、例えば、密度、剛性、ばね定数、デュロメータ、及び/又は弾性などの材料特性を全体にわたって有しうる。あるいは、次に
図368を参照すると、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ14520)は、複数の材料又は材料層を含みうる。組織厚さコンペンセータ14520は、第1(中央)層14520aと、第1の層14520aの相対する面に取り付けられている第2(中間)層14520bと、各第2の層14520bそれぞれに取り付けられている第3(外側)層14520cとを含みうる。中間層14520bは、少なくとも1種類の接着剤を用いて中央層14520aに取り付けることができ、同様に、外側層14520cは、少なくとも1種類の接着剤を用いて第2の層14520に取り付けることができる。接着剤に加えて、又はその代わりに、層14520a〜14520cは、例えば1つ以上の相互係合及び/又は締結具によって合わせて保持することができる。いずれの場合も、内側層14520aは、第1の群の材料特性を有する第1の材料から構成することができ、中間層14520bは、第2の群の材料特性を有する第2の材料から構成することができ、かつ外側層14520cは、第3の群の材料特性を有する第3の材料から構成することができる。これらの材料特性群には、例えば密度、剛性、ばね定数、デュロメータ、及び/又は弾性が挙げられうる。ステープルカートリッジは例えば、6列のステープル10030を有してよく、ステープル10030の列は少なくとも、例えば、各外側層14520cと各中間層14520bに、少なくとも部分的に配置することができ、2列のステープル10030が、内側層14520aに、少なくとも部分的に配置することができる。使用時には、上記と同様、ステープル10030は、ステープルカートリッジから発射されうる。ステープル10030のステープル脚10032が組織厚さコンペンセータ14520の上側表面14521を貫通し、アンビルにより上側表面14521に対して配置されている組織を貫通することができ、次にアンビルに接触して、脚10032が変形され、ステープル10030内の組織厚さコンペンセータ14520と組織を捕捉することができる。また上記と同様、発射部材がステープルカートリッジを通って前進する際、組織厚さコンペンセータ14520を発射部材が横断しうる。例えば、発射部材は、例えば、内側層14520aと、軸14529によって画定される経路に沿った組織と、を横断することができる。
【0260】
上記に対して更に、内側層14520a内に配置されたステープル10030の列は、横断された組織の端に最も近いステープル列を含みうる。これに対応して、外側層14520c内に配置されたステープル10030の列は、横断された組織の端から最も遠いステープル列を含みうる。例えば、内側層14520aを含む第1の材料は、中間層14520bを含む第2の材料の密度よりも高い密度を有してよく、同様に、第2の材料の密度は、外側層14520cを含む第3の材料の密度よりも高い場合がありうる。様々な状況において、その結果、中間層14520b及び外側層14520c内に配置されたステープル10030内に生じる圧縮力に比べて、内側層14520a内に配置されたステープル10030内の方に、より大きな圧縮力が生じうる。同様に、例えば、外側層14520c内に配置されたステープル10030内に生じる圧縮力に比べて、中間層14520b内に配置されたステープル10030内の方に、より大きな圧縮力が生じうる。あるいは、例えば、内側層14520aを含む第1の材料は、中間層14520bを含む第2の材料の密度よりも低い密度を有してよく、同様に、第2の材料の密度は、外側層14520cを含む第3の材料の密度よりも低い場合がありうる。様々な状況において、その結果、中間層14520b及び内側層14520a内に配置されたステープル10030内に生じる圧縮力に比べて、外側層14520c内に配置されたステープル10030内の方に、より大きな圧縮力が生じうる。同様に、例えば、内側層14520a内に配置されたステープル10030内に生じる圧縮力に比べて、中間層14520b内に配置されたステープル10030内の方に、より大きな圧縮力が生じうる。あるいは、任意の他の好適な層、材料、及び/又は材料特性を利用することができる。いずれの場合も、組織厚さコンペンセータ14520の層14520a〜14520cは、移植された後に互いに取り付けられたままになるように構成することができる。組織厚さコンペンセータ14520の層14520a〜14520cは、移植された後に互いに分離されるように構成することができる。例えば、層14520a〜14520cは、1つ以上の生体吸収性接着剤を利用して合わせて接合することができ、これは最初に層を一緒に保持することができ、時間経過後に層が互いに解放されるようにすることができる。
【0261】
上述のように、ステープルカートリッジの組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ14520)は、複数の長手方向層を含みうる。あるいは、次に
図369を参照すると、ステープルカートリッジは、組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ14620)を有してよく、これは複数の水平層を含みうる。例えば、組織厚さコンペンセータ14620は、第1(下側)層14620a、下側層14620aに取り付けられた第2(中間)層14620b、及び中間層14620bに取り付けられた第3(上側)層14620cを含みうる。第1の層14620aは、例えば、平坦又はほぼ平坦な下側表面14626aと、三角形又は角錐形の上側表面14625aと、を含みうる。例えば、第2の層14620bは三角形又は角錐形の下側表面14626bを有してよく、これは第1の層14620aの上側表面14625aに平行でこれに接するように構成することができる。上記と同様、第2の層14620bは三角形又は角錐形の上側表面14625bを有してよく、これは例えば、第3の層14620cの三角形又は角錐形の下側表面14626cに平行でこれに接しうる。第3の層の上側表面14626cは、平坦、又は少なくともほぼ平坦な、組織接触表面14621を含みうる。また上記と同様、組織厚さコンペンセータ14620は、内部に6列のステープル(例えばステープル10030)を少なくとも部分的に保管するように構成することができ、発射部材は、例えば、軸14629を通って延びる経路に沿って最も内側の2列のステープルの間にある組織厚さコンペンセータ14620を横断することができる。上記と同様、各層14620a、14620b、及び14620cは、異なる材料特性を有しうる異なる材料から構成することができ、層14620a〜14620cの三角形又は角錐形の形状の結果、組織厚さコンペンセータ14620が内部の様々な場所で全体に異なる特性を有しうる。例えば、最も外側の列のステープル10030は、内部に第1の層14620aより多くの第3の層14620cを捕捉することができ、一方、最も内側の列のステープル10030は、第1の層14620aよりも少ない第3の層14620cを捕捉することができ、その結果、組織厚さコンペンセータ14620は、例えば、組織厚さコンペンセータ14620は、全体にわたる厚さが同じ、又は少なくともほぼ同じであるにもかかわらず、最も内側のステープル10030内に捕捉される組織とは異なった程度で、最も外側のステープル10030内に捕捉された組織を圧縮することができる。
【0262】
次に
図286を参照すると、ステープルカートリッジの組織厚さコンペンセータ(例えば、ステープルカートリッジ14700の組織厚さコンペンセータ14720)は、例えば、それ自体の中に画定される空間、ポケット、溝部材、及び/又は溝を有してよく、これにより組織厚さコンペンセータ14720の厚さが変わり得る。例えば、組織厚さコンペンセータ14720は、ステープルカートリッジ14700の支持部分14710のデッキ表面14711に対して配置することができ、これにより、組織厚さコンペンセータ14720の下側表面14722内に画定された空間14723は、特定のステープルキャビティ10012に重なるが、他の場所には重ならない状態になりうる。空間14723は、例えば、支持部分14710のナイフスロット14715を横切って、ナイフスロット14715に対して垂直で、及び/又はナイフスロット14715に平行で、延在しうる。空間14723は、組織厚さコンペンセータ14720の下側表面14722におけるトレッドパターンを画定しうる。いずれの場合も、ステープル(例えばステープル10030)が支持部分14710から配備されるとき、次に
図287及び288を参照して、特定のステープル10030は、空間14723を含む領域内の組織厚さコンペンセータ14720を捕捉することができる一方、他のステープル10030は、空間14723の中間に配置された領域内の組織厚さコンペンセータ14720を捕捉しうる。上記に加えて、又は上記に代わり、組織厚さコンペンセータ14720は、例えば、上側(組織接触)表面14721の中に画定される空間、ポケット、溝部材、及び/又は溝を含みうる。次に
図366及び367を参照すると、ステープルカートリッジ14800は、組織厚さコンペンセータ14820を有してよく、これには、組織厚さコンペンセータ14820の上側表面14821から上向き方向、中央溝14825に向かって内側方向、及び/又はステープルカートリッジの遠位端14800に向かって遠位方向のうち少なくとも1つの方向に延びる、複数のトレッド14823が含まれうる。例えば、トレッド14823は、溝部材、スロット、及び/又は溝(例えば、溝部材14824)によって分離されうる。様々な状況において、上記の結果、組織厚さコンペンセータの全体的厚さは、ステープル列の間で変化し、及び/又はステープル列内のステープル間で変化しうる。特定の状況において、トレッド(又は厚い部分)は、組織厚さコンペンセータが圧縮されたときに、望ましい方向(例えば内向き方向)に流れるよう構築及び配置することができる。
【0263】
次に
図303を参照すると、ステープルカートリッジ(例えば、ステープルカートリッジ14900)は、支持部分14910と、それに加えて、支持部分14910に対して配置された組織厚さコンペンセータ14920とを含みうる。上記と同様、支持部分14910は、支持部分14910内に少なくとも部分的に配置されたステープル(例えばステープル10030)を、ステープルカートリッジ14900に対向して配置されたアンビル(例えばアンビル10060)に向かって持ち上げるために、ステープル配備スレッドにより上に持ち上げることができるステープルドライバを含みうる。支持部分14910は、例えば、6列のステープルキャビティ(例えば、外側2列のステープルキャビティ、内側2列のステープルキャビティ、及び内側列と外側列の中間に配列された中間2列のステープルキャビティ)を有してよく、アンビル10060は、ステープルキャビティに整列、又は少なくともほぼ整列した、6列の成形ポケット10062を含みうる。ステープルキャビティの内側列には、その中に配置されたステープルドライバ14940aが含まれてよく、ステープルキャビティの中間列には、その中に配置されたステープルドライバ14940bが含まれてよく、ステープルキャビティの外側列には、その中に配置されたステープルドライバ14940cが含まれてよく、ステープルドライバ14940aはそれぞれ、ステープル10030を支えるように構成された受台14949aを有してよく、ステープルドライバ14940bはそれぞれ、ステープル10030を支えるように構成された受台14949bを有してよく、ステープルドライバ14940cはそれぞれ、ステープル10030を支えるように構成された受台14949cを含みうる。未発射位置において、すなわち、ステープルドライバ14940a〜14940cが、支持部分14910の下側に延びるドライバ支持台14926の上にあるとき、ステープルドライバ14940aのクレードル14949aは、ステープルドライバ14940bのクレードル14949b及びステープルドライバ14940cのクレードル14949cよりも、アンビル10060の近くに配置されうる。そのような位置において、第1の成形距離は、受台14949aと、受台14949aの上に配置された成形ポケット10062との間で画定することができ、第2の成形距離は、受台14949bと、受台14949bの上に配置された成形ポケット10062との間で画定することができ、第3の成形距離は、受台14949cと、受台14949cの上に配置された成形ポケット10062との間で画定することができ、例えば、第1の成形距離は第2の成形距離よりも短くともよく、また第2の成形距離は第3の成形距離よりも短いことがある。ステープルドライバ14940a〜14940cがその未発射位置(
図303)から発射済み位置へと移動するとき、各ステープルドライバ14940a〜14940cは、ステープル配備スレッドによりアンビル10060に向かって等距離、又は少なくともほぼ等距離、上に移動することができ、これにより、第1のドライバ14940aはそれぞれのステープル10030を第1の成形高さへと駆動し、第2のドライバ14940bはそれぞれのステープル10030を第2の成形高さへと駆動し、第3のドライバ14940cはそれぞれのステープル10030を第3の成形高さへと駆動し、例えば、第1の成形高さは第2の成形高さより短くともよく、第2の成形高さは第3の成形高さより短いことがある。様々な代替例が構想され、第1のステープルドライバ14940aは第1の距離分上に移動し、第2のステープルドライバ14940bは第2の距離分上に移動し、第3のステープルドライバ14940cは第3の距離分上に移動し、第1の距離、第2の距離、及び第3の距離のうち1つ以上が異なりうる。
【0264】
再び
図303を参照すると、支持部分14910のデッキ表面14911は、アンビル10060の組織接触表面10061に対する高さが変わり得る。この高さの変動は横方向に生じてよく、例えば、内側列のステープルキャビティを取り囲むデッキ表面14911の高さは、外側列のステープルキャビティを取り囲むデッキ表面14911の高さよりも高いことがある。組織厚さコンペンセータ14920の下側表面14922は、支持部分14910のデッキ表面14911に対して平行か、又は少なくともほぼ平行であるように構成することができる。上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ14920は、厚さも変わることがあり、組織厚さコンペンセータ14920の上側(組織接触)表面14921は、その外側エッジから内側に向かって傾斜しうる。例えば、上記の結果、組織厚さコンペンセータ14920は、例えば、内側列のステープルキャビティの上に配置された領域で薄く、外側列のステープルキャビティの上に配置された領域で厚くなりうる。次に
図304を参照すると、支持部分15010のデッキ表面は、例えば、段付きデッキ表面を有してよく、例えば、段付き表面の最も高い段は、内側列のステープルキャビティを取り囲むことができ、段付き表面の最も低い段は、外側列のステープルキャビティを取り囲むことができる。例えば、中間高さを有する段は、中間列のステープルキャビティを取り囲みうる。組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ15020)は、支持部分15010のデッキ表面に平行でこれに接しうる。組織厚さコンペンセータの上側(組織接触)表面15021は、円弧状、放物線状、及び/又は曲面表面を有してよく、これは例えば、ステープルカートリッジ15000に整列した軸、又は少なくともほぼ整列した軸を備えて、組織厚さコンペンセータ15020の第1の外側側面から組織厚さコンペンセータ15020の第2の外側側面へと延在しうる。次に
図299を参照すると、ステープルカートリッジ15300は、例えば、支持部分15310と、その支持部分15310内に画定されたステープルキャビティ内に移動可能に配置された複数のステープルドライバ15340と、支持部分15310のデッキ表面15311の上方に配置された組織厚さコンペンセータ15320と、を含みうる。ステープルカートリッジ15300は更に、1つ以上の下側皿状部分15326を有してよく、これは支持部分15310に取り付けられて、支持部分15310の下側を回って延在し、未発射位置にあるドライバ15340、及びステープル15330を支持することができる。ステープル配備スレッドがステープルカートリッジを通って前進すると、スレッドが組織厚さコンペンセータ15320を通してステープルドライバ15340とステープル15330を上に持ち上げる際に、スレッドも、下側皿状部分15326によって支持されうる。組織厚さコンペンセータ15320は、内側列のステープルキャビティの上に配置された第1(内側)の部分15322a、中間列のステープルキャビティの上に配置された第2(中間)の部分15322b、及び外側列のステープルキャビティの上に配置された第3(外側)の部分15322cを有してよく、例えば、内側部分15322aは中間部分15322bより厚くてよく、中間部分15322bは外側部分15322cより厚くてよい。組織厚さコンペンセータ15320は、例えば、その中に画定された長手方向溝部材を有してよく、これは組織厚さコンペンセータ15320のより薄い部分15322b及び15322cを形成しうる。あるいは、長手方向溝部材は、組織厚さコンペンセータの上側表面及び/又は下側表面内に画定することができる。組織厚さコンペンセータ15320の上側表面15321は、例えば、平坦な、又は少なくともほぼ平坦な表面を含みうる。
【0265】
次に
図296を参照すると、ステープルカートリッジは、組織厚さコンペンセータ(例えば組織厚さコンペンセータ15120)を有してよく、これは異なる厚さを有する複数の部分を含みうる。組織厚さコンペンセータ15120は、第1の厚さを有しうる第1(内側)の部分15122aと、それぞれ第2の厚さを有してよく、第1の部分15122aから延びる第2(中間)の部分15122bと、それぞれ第3の厚さを有してよく、第2の部分15122bから延びる第3(中間)の部分15122cと、を含みうる。例えば、第3の厚さは、第2の厚さよりも厚くてよく、第2の厚さは、第1の厚さよりも厚くてよいが、任意の適当な厚さを用いることができる。組織厚さコンペンセータ15120の部分15122a〜15122cは、異なる厚さを有する段を含みうる。上記と同様、ステープルカートリッジは、いくつかの列のステープル10030と、ステープル10030を異なる成形高さに変形できる、異なる高さを有する複数のステープルドライバと、を含みうる。また上記と同様、ステープルカートリッジは、それ自体の上に支持されているステープル10030を第1の成形高さに駆動することができる第1のステープルドライバ15140aと、それ自体の上に支持されているステープル10030を第2の成形高さに駆動することができる第2のステープルドライバ15140bと、それ自体の上に支持されているステープル10030を第3の成形高さに駆動することができる第3のステープルドライバ15140cと、を有してよく、例えば、第1の成形高さは第2の成形高さより短くてよく、第2の成形高さは第3の成形高さより短くてよい。必要に応じて、
図296に示すように、各ステープル10030は、同じ、又はほぼ同じの未発射又は発射済みの高さを含みうる。あるいは、次に
図296Aを参照すると、第1のドライバ15140a、第2のドライバ15140b、及び/又は第3のドライバ15140cは、異なる未成形高さを有するステープルを支持しうる。例えば、第1のステープルドライバ15140aは第1の未成形高さを有するステープル15130aを支持することができ、第2のステープルドライバ15140bは第2の未成形高さを有するステープル15130bを支持することができ、第3のステープルドライバ15140cは第3の未成形高さを有するステープル15130cを支持することができ、例えば、第1の未成形高さは第2の未成形高さより短くてよく、第2の未成形高さは第3の未成形高さより短くてよい。再び
図296Aを参照すると、ステープル15130a、15130b、及び/又は15130cの先端は、同じ平面内、又は少なくともほぼ同じ平面内にあってよく、一方、代替例において、ステープル15130a、15130b、及び/又は15130cの先端は、同じ平面内にはないことがある。次に
図297を参照すると、上述のように、ステープルカートリッジには、ステープル15130a、15130b、及び/又は15130cによって組織Tに埋め込まれうる、異なる厚さを有する複数の部分を有する組織厚さコンペンセータ15220が含まれうる。次に
図298を参照して、ステープル15130a、15130b、及び/又は15130cは、異なる成形高さに変形することができ、第1のステープル15130aは第1の成形高さに変形され、第2のステープル15130bは第2の成形高さに変形され、第3のステープル15130cは第3の成形高さに変形され、例えば、第1の成形高さは第2の成形高さより短くてよく、第2の成形高さは第3の成形高さより短くてよい。代替例が構想され、ステープル15130a、15130b、及び15130cは、任意の適当な成形高さ及び/又は任意の相対的な成形高さに成形することができる。
【0266】
必要に応じて、上述のように、外科用ステープル留め器具のアンビルは、開位置と閉位置との間を動くことができる。そのような状況において、アンビルの組織接触表面は、アンビルが閉位置に移動する際に、その最終(成形)位置に移動されうる。アンビルがいったん閉位置になると、組織接触表面はもはや調整不能になりうる。あるいは、次に
図351を参照して、外科用ステープラ(例えば外科用ステープラ15500)は、アンビル溝部材15560と、そのアンビル溝部材15560内に配置される調整可能な組織接触アンビル調整プレート15561と、を含みうる。そのような場合、アンビルプレート15561は、アンビルプレート15561に対向して配置されるステープルカートリッジに対して、アンビルプレート15561の組織接触表面の位置を調整するため、アンビル溝部材15560内で上下させることができる。外科用ステープラ15500は、調整スライド15564を有してよく、これは、
図356及び357を参照すると、アンビルプレート15561とステープルカートリッジとの間の距離を制御するために、アンビル溝部材15560とアンビルプレート15561の中間で摺動しうる。再び
図351及び352を参照すると、外科用ステープラ15500は更に、調整スライド15564に連結されたアクチュエータ15562を有してよく、これは、調整スライド15564を近位側に摺動させるために近位側に摺動され、及び/又は調整スライド15564を遠位側に摺動させるために遠位側に摺動されうる。再び
図356及び357を参照すると、アクチュエータ15562は、アンビルプレート15561を2つ以上のそれぞれの位置の間で調整するために、2つ以上の定義済み位置の間で摺動させることができる。そのような定義済み位置は、例えば、外科用ステープラ15500上に目印15563(
図351)として印をつけることができる。
図357を参照すると、調整スライド15564は複数の支持表面(例えば、第1の支持表面15565a、第2の支持表面15565b、及び第3の支持表面15565c)を有してよく、これは、アンビルプレート15561を第1の配置に配置するために、アンビルプレート15561の裏側で、複数のプレート配置表面(例えば、第1の配置表面15569a、第2の配置表面15569b、及び第3の配置表面15569c)とそれぞれ整列させることができる。アンビルプレート15561を第2の配置に配置するために、例えば、アンビルプレート15561の配置表面15569a〜15569cに対して、スライド15564の支持表面15565a〜15565cを再整列させるために、アクチュエータ15562とスライド15564を近位側に摺動させることができる。より詳細には、
図356を参照して、スライド15564は遠位側に摺動させることができ、これにより、アンビルプレート15561をステープルカートリッジに近づけるために、スライド15564の第1の支持表面15565aを、アンビルプレート15561の第2の配置表面15569bの向こう側に配置することができ、また、スライド15564の第2の支持表面15565bを、アンビルプレート15561の第3の配置表面15569cの向こう側に配置することができる。アンビルプレート15561が第1の配置から第2の配置へと移動されるとき、そのような状況において、調整可能アンビルプレート15561は、アンビルプレート15561とステープルカートリッジとの間に配置されている組織Tを更に圧縮することができる。上記に加えて、アンビルプレート15561を調整して、アンビルプレート15561内に画定されている成形ポケットがステープルカートリッジに近づき及び/又は離れるよう動くことによって、ステープルの成形高さは、ステープルカートリッジに対するアンビルプレート15561の位置によって制御されうる。上記では2つの位置のみについて検討したが、スライド15564は、アンビルプレート15561をステープルカートリッジに近づけ及び/又は離すよう動かすのに、好適な数の位置に摺動させることができる。いずれの場合も、アンビルプレート15561がいったん適当に配置されると、ステープル配備スレッド15550をステープルカートリッジ内で遠位方向に摺動させることができ、これによって、
図354に示すように、アンビルプレート15561に向かってステープルドライバ15540とステープル15530を持ち上げ、組織Tにステープルを行うことができる。同様の外科用ステープラが、米国特許出願番号第13/036,647号「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」(2011年2月28日出願)に開示されており、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0267】
次に
図353を参照すると、ステープルカートリッジは、外科用ステープラ15500のステープルカートリッジ溝部材15570内に配置することができ、これは組織厚さコンペンセータ(例えば、組織厚さコンペンセータ15520)を含みうる。アンビルプレート15561がステープルカートリッジに向かって移動すると、上述のように、アンビルプレート15561は、アンビルプレート15561と組織厚さコンペンセータ15520の中間に配置された、組織厚さコンペンセータ15520及び/又は組織Tを圧縮することができる。ステープル15530がステープルカートリッジから配備されると、
図355を参照して、ステープル15530は、組織Tに対して組織厚さコンペンセータを圧縮し、埋め込むことができる。必要に応じて、アンビルプレート15561がスライド15564に対して配置され、組織がまだアンビルプレート15561と組織厚さコンペンセータ15520との間に配置されていない場合、アンビルプレート15561が第1の配置にあるときの組織厚さコンペンセータ15520の上側表面15521とアンビルプレート15561との間に、隙間が画定されうる。アンビルプレート15561が第2の配置に移動されると、アンビルプレート15561が組織厚さコンペンセータ15520に接触しうる。あるいは、アンビルプレート15561がスライド15564に対して配置され、組織がまだアンビルプレート15561と組織厚さコンペンセータ15520との間に配置されていない場合、アンビルプレート15561が第1の配置及び/又は第2の配置にあるときの組織厚さコンペンセータ15520の上側表面15521とアンビルプレート15561との間に、隙間が画定されうる。例えば、アンビルプレート15561は、組織厚さコンペンセータ15520と接触しえない。あるいは、アンビルプレート15561がスライド15564に対して配置され、組織がまだアンビルプレート15561と組織厚さコンペンセータ15520との間に配置されていない場合、例えば、アンビルプレート15561が第1の配置及び/又は第2の配置のいずれにあるかにかかわらず、アンビルプレート15561は、組織厚さコンペンセータ15520の上側表面15521に接触しうる。本明細書ではアンビルプレート15611の2つの位置のみについて記述されているが、アンビルプレート15611は、任意の適当な数の位置に配置することができる。
【0268】
必要に応じて、上記の結果、外科用ステープル留め器具は、異なる状況において異なる組織厚さの補償を行うことができる、ステープルの成形高さを調整するための手段を有しうる。加えて、外科用ステープル留め器具は、例えば、異なる組織厚さ及び/又は組織内の厚さ偏差について補償するための他の手段を含みうる。例えば、アンビルプレート15561は、ステープルの成形(発射済み)高さを増加させるため、相対するステープルカートリッジから上向きに、又は離れるように調整することができる。同様に、アンビルプレート15561は、ステープルの成形(発射済み)高さを減少させるため、相対するステープルカートリッジから下向きに、又は近づくように調整することができる。アンビルプレート15561の調整には、例えば、アンビルプレート15561内に画定される成形ポケットと、ステープルドライバの発射高さ、又はより具体的には例えば、ステープルドライバ受台の発射高さとの間の隙間を調整することができる。より厚い及び/又は薄い組織のために、ステープルの成形高さを調整するそのような機能を伴っていても、例えば、組織厚さコンペンセータは更に、より厚い及び/又は薄い組織の補償を行うことができ、及び/又は、上述のように、組織内の厚さ偏差を補償することができる。そのような場合、外科医には、同じ外科用ステープル留め器具内で、いくつかの補償手段が提供されうる。
【0269】
上述のように、外科用ステープル留め器具は、ステープルキャビティとステープルの線形配列を有するステープルカートリッジを利用することができ、発射部材はステープルカートリッジを通って遠位側に前進し、ステープルキャビティからステープルを配備することができる。ステープルカートリッジは、曲線であるステープルキャビティ及びステープルの列を含みうる。次に
図345及び346を参照すると、外科用ステープル留め器具(例えば、ステープラ15600)は、円形又は環状の支持部分15610内に画定された1つ又は2つ以上の円形又は環状のステープルキャビティ列を含みうる。そのような円形ステープル列は、例えば、内側ステープルキャビティ15612の円形列と、外側ステープルキャビティ15613の円形列とを含みうる。例えば、ステープルキャビティの円形列は、ステープラ15600内に画定された円形又は環状の開口部15615を取り囲むことができ、これが、その中に移動可能に配置される円形又は環状のナイフを受容しうる。使用時には、組織は支持部分15610のデッキ表面15611に対して配置され、アンビル(図示なし)は、開口部15615を通って延びる及び/又はこの中に配置されるアクチュエータを介して外科用ステープラ15600に組み入れることができ、これによって、アクチュエータが作動すると、アンビルが支持部分15610に向かってクランプ締めされ、デッキ表面15611に対して組織を圧縮することができる。組織が充分に圧縮されると、ステープルキャビティ15612及び15613内に配置されたステープルが、支持部分15610から発射されて組織を貫通し、これにより、ステープルがアンビルに接触でき、その中に組織を捕捉するのに充分なように変形されうる。ステープルが発射される際、及び/又はステープルが発射された後、円形ナイフが前進して、組織を切断する。その後、アンビルが支持部分15610から離れ、及び/又は外科用ステープラ15600から外れることができ、これによりアンビルと外科用ステープラ15600を、手術部位から除去することができる。そのような外科用ステープラ15600とそのような外科的技法は、例えば、大腸の2つの部分を接合するのに利用することができる。様々な状況において、大腸の部分を互いに保持しながら組織を治癒させ、同時に、大腸の各部分を弾性的に拡張させるよう、円形ステープル列を構成することができる。類似の外科用ステープル留め器具及び外科的技法が、米国特許第5,285,945号「SURGICAL ANASTOMOSIS STAPLING INSTRUMENT」(1994年2月15日発行)に開示されており、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0270】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、例えば、外科用ステープラ15600の支持部分15610に対して配置されうるか、及び/又はこれに対して取り付けられうる。組織厚さコンペンセータは、例えば、内径と外径を含む円形又は環状のリング材料で構成することができる。特定の状況において、組織は、このリング材料に対して配置することができ、アンビルを使って組織を支持部分15610に向かって移動させると、組織厚さコンペンセータが、組織とデッキ表面15611との間で圧縮されうる。使用時には、ステープルは組織厚さコンペンセータと組織を貫通して発射することができ、これによりステープルはアンビルに接触してその発射位置で変形され、ステープル内に組織及び組織厚さコンペンセータの一部を捕捉することができる。様々な状況において、上記に対して更に、組織厚さコンペンセータを含むリング材料は、ステープル列を取り囲む大腸の部分が膨張できるよう、充分に弾力性でなければならない。再び
図345及び346を参照すると、可撓性組織厚さコンペンセータ15620は、例えば、円形又は環状の可撓性内側リング15624を備えてよく、例えば、これは、円形又は環状の開口部15625を画定しうる。内側リング15624は、外科用ステープラ15600から配備されたステープル内に捕捉されないように構成されうる。すなわちむしろ、内側リング15624は、ステープルキャビティ15612の内側列に対して半径方向内側に配置されうる。例えば、組織厚さコンペンセータ15620は、それ自体から延びる複数のタグ(例えば内側タグ15622及び外側タグ15623)を含んでよく、これにより、タグは、ステープルが変形されるときにステープル内に少なくとも部分的に捕捉されうる。より詳細には、主に
図345を参照して、各内側タグ15622は、外科用ステープラ15600内に画定されたステープルキャビティ15612の上に配置されるヘッド部を有してよく、ヘッド部は、例えば、ネック部15626によって内側リング15624に取り付けることができ、また同様に、各外側タグ15623は、外科用ステープラ15600内に画定されたステープルキャビティ15613の上に配置されるヘッド部を有してよく、ヘッド部は、例えば、ネック部156267によって内側リング15624に取り付けることができる。内側タグ15622と外側タグ15623のヘッド部は、例えば円形、卵形、及び/又は楕円形など、任意の適当な形状を含みうる。ネック部15626及び/又は15627も、任意の適当な形状を有してよく、外側タグ15623のヘッド部を内側リング15624に連結するネック部15627は、支持部分15610の隣接する内側ステープルキャビティ15612の間に延びるように構成することができ、これによってネック部15627は、内側ステープルキャビティ15612から配備されたステープル内には捕捉されない。
【0271】
次に
図347及び348を参照すると、可撓性組織厚さコンペンセータ15720は、例えば、円形又は環状の可撓性外側リング15724を含みうる。外側リング15724は、外科用ステープラ15600から配備されたステープル内に捕捉されないように構成することができる。すなわちむしろ、外側リング15724は、ステープルキャビティ15613の外側列に対して半径方向外側に配置されうる。例えば、組織厚さコンペンセータ15720は、それ自体から延びる複数のタグ(例えば内側タグ15622及び外側タグ15623)を有してよく、これにより、タグは、ステープルが変形されるときにステープル内に少なくとも部分的に捕捉されうる。より詳細には、主に
図347を参照して、各内側タグ15622は、外科用ステープラ15600内に画定されたステープルキャビティ15612の上に配置されるヘッド部を有してよく、ヘッド部は、例えば、ネック部15726によって外側リング15724に取り付けることができ、また同様に、各外側タグ15623は、外科用ステープラ15600内に画定されたステープルキャビティ15613の上に配置されるヘッド部を有してよく、ヘッド部は、例えば、ネック部15727によって外側リング15724に取り付けることができる。内側タグ15622と外側タグ15623のヘッド部は、例えば円形、卵形、及び/又は楕円形など、任意の適当な形状を含みうる。ネック部15726及び/又は15727も、任意の適当な形状を有してよく、内側タグ15622のヘッド部を外側リング15724に連結するネック部15726は、隣接する外側ステープルキャビティ15613の間に延びるように構成することができ、これによってネック部15726は、外側ステープルキャビティ15613から配備されたステープル内には捕捉されない。あるいは、組織厚さコンペンセータは、円形又は環状の可撓性内側リング、円形又は環状の可撓性外側リング、及び、これに加えて、内側リング及び/又は外側リングに連結できる複数のタグを含みうる。特定のタグを内側リングに連結し、特定の他のタグを外側リングに連結することができる。少なくともいくつかのタグが、内側リングと外側リングの両方に連結できる。いずれの場合も、上記に対して更に、移植された組織の膨張及び/又は収縮に対処するために、組織厚さコンペンセータ15620の内側リング15624、組織厚さコンペンセータ15720の外側リング15724、及び/又は他の任意の適当な組織厚さコンペンセータを、弾性的に膨張及び/又は収縮するように構成することができる。更に、円形又は環状支持リングを含む様々な実施形態が本明細書で記述されているが、組織厚さコンペンセータは、タグを連結するための任意の適当な形状の支持構造を含みうる。上記に対して更に、アンビルと支持部分との間に捕捉された組織を切断するために、外科用ステープラによって前進された円形ナイフは、バットレス材料も切断しうる。ナイフは例えば、ネック部を切断することによって、内側支持リングとタグを分離することができる。
【0272】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータは、取り外し可能及び/又は相対的に運動可能な部分を有してよく、これは、移植された組織の動きに対処するために、組織厚さコンペンセータが膨張及び/又は収縮できるように構成しうる。次に
図349及び350を参照して、円形又は環状の組織厚さコンペンセータ15820は、外科用ステープラ15600のデッキ表面15611に対して配置され、及び/又はこれによって支持され、組織に対して移植されたものであるためこれは未膨張位置に保持されうる(
図349)。組織厚さコンペンセータ15820が移植された後、組織厚さコンペンセータ15820は、
図350に示すように、外側に膨張するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ15820は、例えば、内側リング15824によって互いに連結されうる複数の円弧状部分15822を含みうる。円弧状部分15822はシーム15828によって互いに分離されうる。あるいは、円弧状部分15822は互いに連結することができ、例えば、互いに分離するために、穿孔を配置することにより、円弧状部分15822を互いに分離させることができる。いずれの場合でも、円弧状部分15822はそれぞれ、相互係合機構(例えば突起15826及びノッチ15823)を有してよく、これが協働して、組織厚さコンペンセータ15820が埋め込まれる前の、円弧状部分15822間の相対的な動きを制限することができる。上記に対して更に、各円弧状部分15822は、1つ以上のコネクタ15827で内側リング15824に連結することができ、例えばこれは、円弧状部分15822を定位置で解放可能に保持するように構成することができる。支持部分15610に保管されているステープル(例えばステープル10030)が組織に対して組織厚さコンペンセータ15620を埋め込むのに利用された後、主に
図350を参照して、コネクタ15827は、内側リング15824から分離することができ、これにより組織厚さコンペンセータ15820が少なくとも部分的に膨張して、下にある組織内の動きに対応できる。様々な状況において、円弧状部分15822のすべてが内側リング15824から取り外せる一方、他の状況においては、円弧状部分15822の一部だけが内側リング15824から取り外すことができる。あるいは、円弧状部分15822は可撓性部分によって連結することができ、これにより、円弧状部分15822が互いに相対的に動くことができるが、互いに分離されることはない。例えば、可撓性部分はその中にステープルを受容することはなく、円弧状部分15822の相対的な動きに対処するために伸縮するように構成することができる。
図349及び350において、組織厚さコンペンセータ15820は、例えば、8つの円弧状部分15822を含みうる。あるいは、組織厚さコンペンセータは、任意の適当な数の円弧状部分を有してよく、例えば、2つ以上の円弧状部分を含みうる。
【0273】
上記に対して更に、組織厚さコンペンセータ15620、15720、及び/又は15820は、例えば、外科用器具15600のアンビルと支持部分15610の間に捕捉された、より厚い及び/又はより薄い組織に対して、補償するように構成することができる。必要に応じて、上記と同様、ステープルの成形(発射済み)高さは、アンビルを支持部分15610に近づけ及び/又は遠ざける移動によって調整することができる。より詳細には、アンビルを支持部分15610に近づくように移動させて、ステープルの成形高さを減少させることができ、一方、アンビルを支持部分15610から遠ざけるよう移動させて、ステープルの成形高さを増加させることができる。そのような場合、その結果、外科医は、厚い組織に対応するためにアンビルを支持部分15610から離すように調整し、薄い組織に対応するためにアンビルを支持部分15610に近づけるように調整することができる。様々なその他の状況において、外科医は、より薄い及び/又は厚い組織に対処するために、アンビルを全く調整せず、組織厚さコンペンセータに頼るように判断することができる。必要に応じて、その結果、外科用器具15600は、異なる組織厚さ及び/又は組織厚さの偏差に対する補償のために、少なくとも2つの方法を含みうる。
【0274】
必要に応じて、上述のように、組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジの支持部分に取り付けることができる。組織厚さコンペンセータの下側表面は、フック層又はループ層のうち一方を有してよく、支持部分のデッキ表面は、フック層又はループ層のうちもう一方を含みうる。例えば、このフック層とループ層は互いに係合し、組織厚さコンペンセータを支持部分に解放可能に保持するように構成することができる。必要に応じて、各フックは、例えば、ネック部から延びる膨張したヘッド部を含みうる。例えば、ループを含む複数のパッドを、組織厚さコンペンセータの下側表面に接着することができ、一方、フックを含む複数のパッドを、支持部分のデッキ表面に接着することができる。支持部分は、例えば、1つ以上の開口部及び/又は凹部を有してよく、これはフック及び/又はループを含みその中に挿入物を受容するように構成することができる。上記に加えて、又は上記に代わり、組織厚さコンペンセータは、例えば、そのようなフック・ループの面ファスナ配列を利用してアンビルに取り外し可能に取り付けることができる。フック・ループの面ファスナ配列は繊維性表面を含みうる。
【0275】
必要に応じて、上述のように、ステープルカートリッジは、支持部分と、その支持部分に取り付けられた組織厚さコンペンセータとを含みうる。これも上述のように、支持部分は、その中に切断部材を受容するように構成された長手方向スロットを有してよく、また、組織厚さコンペンセータは、長手方向スロット内に保持されうる保持部材を含みうる。次に
図386を参照すると、ステープルカートリッジ16000は、デッキ表面16011と長手方向スロット16015を含む支持部分16010を含みうる。ステープルカートリッジ16000は更に、デッキ表面16011の上方に配置された組織厚さコンペンセータ16020を含みうる。組織厚さコンペンセータ16020は長手方向保持部材16025を有してよく、これは下向きに延びて長手方向スロット16015に入る。例えば、保持部材16025はスロット16015に圧入することができ、これにより、保持部材16025とスロット16015との間の相互作用によって、支持部分16010と組織厚さコンペンセータ16020との間の相対的な動きに抵抗することができる。組織厚さコンペンセータ16020の本体は、第1の材料から構成することができ、保持部材16025は、第2の、又は別の材料から構成することができる。組織厚さコンペンセータ16020の本体は、第1のデュロメータ硬度を有する材料から構成することができ、保持部材16025は、第2のデュロメータ硬度を有する材料から構成することができ、例えば、第2のデュロメータ硬度は第1のデュロメータ硬度よりも高いことがある。使用時には、ステープル10030はステープルドライバ10040によって上に押し上げることができ、これによりステープル10030の先端が組織厚さコンペンセータ16020の本体を貫通し、組織接触表面16021から出現し、標的組織に対して、少なくとも一部の組織厚さコンペンセータ16020を捕捉することができる。本発明によれば、スロット16015を通過する切断部材は、ステープル10030が配備される際に、保持部材16025を横断することができる。組織厚さコンペンセータ16020がいったん埋め込まれると、保持部材16025をスロット16015から引き出すことができる。組織厚さコンペンセータ16020の本体は、保持部材16025から分離するように構成することができる。
【0276】
次に
図387及び389を参照すると、ステープルカートリッジ17000は、デッキ表面17011と長手方向スロット17015を含む支持部分17010を含みうる。ステープルカートリッジ17000は更に、デッキ表面17011の上方に配置された組織厚さコンペンセータ17020を含みうる。組織厚さコンペンセータ17020は長手方向保持部材17025を有してよく、これは下向きに延びて長手方向スロット17015に入る。例えば、保持部材17025はスロット17015に圧入することができ、これにより、保持部材17025とスロット17015との間の相互作用によって、支持部分17010と組織厚さコンペンセータ17020との間の相対的な動きに抵抗することができる。保持部材17025は、上側表面17021に向かって組織厚さコンペンセータ17020全体を貫通して延び、組織厚さコンペンセータ17020の本体部分17024は、保持部材17025の相対する側に取り付けることができる。例えば、保持部材17025は、例えば、組織厚さコンペンセータ17020の横方向偏向に抵抗するように構成することができる。本体部分17024は第1の材料から構成することができ、保持部材17025は、第2の、又は別の材料から構成することができる。本体部分17024は第1のデュロメータ硬度を有する材料から構成することができ、保持部材17025は、第2のデュロメータ硬度を有する材料から構成することができ、例えば、第2のデュロメータ硬度は第1のデュロメータ硬度よりも高いことがある。上記に対して更に、スロット17015を通過する切断部材は、ステープル10030が配備される際に、保持部材17025を横断することができる。組織厚さコンペンセータ17020がいったん埋め込まれると、保持部材17025をスロット17015から引き出すことができる。本体部分17024は、保持部材17025から分離するように構成することができる。
【0277】
次に
図388を参照すると、ステープルカートリッジ18000は、デッキ表面18011と長手方向スロット18015を含む支持部分18010を含みうる。ステープルカートリッジ18000は更に、デッキ表面18011の上方に配置された組織厚さコンペンセータ18020を含みうる。組織厚さコンペンセータ18020は長手方向保持部材18025を有してよく、これは下向きに延びて長手方向スロット18015に入る。例えば、保持部材18025はスロット18015に圧入することができ、これにより、保持部材18025とスロット18015との間の相互作用によって、支持部分18010と組織厚さコンペンセータ18020との間の相対的な動きに抵抗することができる。保持部材18025は、上側表面18021に向かって組織厚さコンペンセータ18020全体を貫通して延び、組織厚さコンペンセータ18020の本体部分18024は、保持部材18025の相対する側に取り付けることができる。保持部材18025は、膨張した部分18026を有してよく、これがスロット18015内に画定されたキャビティ18016内に受容されうる。例えば、膨張した部分18026は、スロット18015からの保持部材18025の脱出に抵抗しうる。
【0278】
次に
図445を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ22020のような組織厚さコンペンセータを、例えばアンビル22060のような外科用ステープル留め器具のアンビルに取り付けることができる。組織厚さコンペンセータ22020は、第1のフィルム22026と第2のフィルム22027との間に画定されたキャビティ22024を有してよく、第1のフィルム22026の少なくとも一部は第2のフィルム22027に接着されている。例えば、第1のフィルム22026は、例えば側部シーム22028a及び22028bに沿って第2のフィルム22027と接着することができる。第1のフィルム22026は封止された外周部に沿って第2のフィルム22027と接着することでキャビティ22024を密封することができる。第1のフィルム22026と第2のフィルム22027とは、例えば、側部シーム22028a、22028b及び/又はフィルム22026とフィルム22027とを結合する他の任意のシームに沿って熱溶接することができる。再び
図445を参照すると、アンビル22060は、ステープルの脚を受容して変形させるようにそれぞれ構成することができる複数のステープル成形ポケット22062を有してよく、第2のフィルム22027は成形ポケット22062内に延びうる突起部22022を有しうる。突起部22022は、成形ポケット22062内にぴったりと嵌まり、組織厚さコンペンセータ22020をアンビル22060に対して保持することができるようなサイズ及び構成とすることができる。例えば、図に示されるように、アンビル22060は6列の成形ポケット22062を有してよく、その場合、組織厚さコンペンセータ22020は成形ポケット22062と整列した6列の突起部22022を有しうる。6列よりも多い、又は少ない成形ポケット22062及び/又は突起部22022を有する他の実施形態を用いることもできる。組織厚さコンペンセータ22020をアンビル22060に対して保持するために1以上の接着剤を使用することができる。
【0279】
上記に述べたように、組織厚さコンペンセータ22020は、内部に画定されたキャビティ22024を有しうる。キャビティ22024は、アンビル22060に沿って長手方向に延びうる。再び
図445を参照すると、組織厚さコンペンセータ22020は、キャビティ22024内に配置された圧縮可能な材料を有しうる。次に
図446を参照すると、例えばステープル22030のようなステープルをステープルカートリッジから射出することができ、これによりステープル22030は組織Tを貫通し、更にアンビル22060と接触する前に組織厚さコンペンセータ22020を貫通する。ステープル22030の脚がアンビル22060によって変形されると脚は下向きに曲げられて再び組織厚さコンペンセータ22020を再貫通することができる。いずれの場合にも、いったんステープル22030が組織厚さコンペンセータ22020を貫通すると、例えばキャビティ22024内に含まれる1以上の液体が組織厚さコンペンセータ22020から組織T上に流出又は滲出する。キャビティ22024内には1以上の粉末が含まれてもよく、この粉末は例えば組織厚さコンペンセータ22020がステープル22030によって少なくとも部分的に破られるとキャビティ22024から漏出しうる。本発明によれば、例えば、ステープル22030がその発射後の形態に変形されるとキャビティ22024内に配置された材料22025がステープル22030内で圧縮又は圧搾されることにより、材料22025内に貯蔵された液体が材料22025から絞り出される。再び
図446を参照すると、ステープル22030は、例えば組織Tの他方の側面に接してステープルカートリッジに着脱可能に取り付けられたコンペンセータ22029のような組織厚さコンペンセータを捕捉するように構成することもできる。
【0280】
上記に加えて、材料22025は、例えば凍結乾燥トロンビン、凍結乾燥フィブリン、及び/又は小径繊維不織布酸化再生セルロースを含みうる。材料22025は、圧縮粉末ウェーハを含んでもよい。密封キャビティ22024は、組織厚さコンペンセータ22020の周囲の大気圧よりも低い圧力を有する内部雰囲気を含んでもよい。そうした場合、内部キャビティ22024内の雰囲気と大気との間の圧力差のためにフィルム22027及び22028は内側に引かれうる。上記に述べたように内部キャビティ22024がステープル22030によって破られると、内部キャビティ22024内の真空が周囲の大気と等しくなり、やはり上記に述べたように材料22025が内部キャビティ22024から脱出することができる。こうした状況では、組織厚さコンペンセータ22020は膨張し、ステープル22030内に捕捉された組織Tに圧縮力を作用させうる。材料22025が組織厚さコンペンセータ22020内に真空パックされている場合、材料22025は内部キャビティ22024が穿孔された後に膨張することができる。フィルム22026、22027は生体吸収性材料で構成することができ、患者の体内への留置後に溶解するように構成することができる。例えば、各フィルム22026、22027は、例えば厚さ約0.0064mm(0.25ミル)〜約0.013mm(0.50ミル)の層又は積層体で構成することができる。いずれの場合も、上記に加えて、材料22025を含む組織厚さコンペンセータ22020は、ステープル22030がそのステープルカートリッジから発射される際に切断要素によって切断されてもよい。
【0281】
図445を再び参照すると、組織厚さコンペンセータ22020のキャビティ22024及び材料22025は、ステープル成形ポケット22062の内側の4列の下に配置することができるのに対して、シーム22028a,22028bは成形ポケット22062の外側の列の下に配置することができる。そうした場合、外側のステープルの列の各ステープルは材料22025と係合せず、したがって、その中に材料22025を捕捉しない場合がある。むしろ、このようなステープルは、シーム22028a,22028bに沿ってフィルム22026及び22027のみを捕捉しうる。あるいは、次に
図447及び448を参照すると、組織厚さコンペンセータ22120は、上記と同様、第1のフィルム22126、第2のフィルム22127、及び第1のフィルム22126と第2のフィルム22127との間に捕捉された複数の材料22125a〜dを有してもよい。例えば、主に
図447を参照すると、第1の材料22125aは、ステープルカートリッジ22000内の外側のステープル22030の列及びアンビル22060内の外側のステープルキャビティ22062の列と整列させることができ、第2の材料22125b及び第3の材料22125cは、ステープル22030及びステープルキャビティ22062の内側の2列とそれぞれ整列させることができ、第4の材料22126dは別の外側のステープル22030及びステープルキャビティ22062の列と整列させることができる。そうした場合、次に
図448を参照すると、ステープル22030のすべてを、材料22125a〜22125dの少なくとも1つをその中に捕捉することができるように配置することができる。
図447及び448に示されるように、上記に加えて、ステープル22030は、ステープルカートリッジ22000内に配置されたステープルドライバ22040によって未発射の位置と発射後の位置との間で上方に持ち上げることができる。
【0282】
再び
図447及び448を参照すると、層22126と層22127とは、内部に材料22125a〜dを配置することができる1以上の密封キャビティを画定することができる。層22126と層22127とは、例えば熱及び/又はレーザ溶接などの任意の適当なプロセスを用いて例えば側部シーム22128a及び22128bを含みうる外周部に沿って互いに封止することができる。材料22125a〜22125dのそれぞれを別々のキャビティ内に密封することもできるが、代わりに材料22125a〜22125dの内の2以上を同じキャビティ内に密封することもできる。材料22125a〜22125dは同じ材料で構成することもできるが、材料22125a〜22125dの内の1以上を異なる材料で構成することもできる。例えば、材料22125a〜22125dの内の1以上をステアリン酸ナトリウム及び/又はLAEで構成することができる。材料22125a〜22125dは潤滑剤を含んでもよい。そうした場合、ステープルの脚が組織厚さコンペンセータ22120の材料22125a〜22125dを貫通する際にステープル22030の脚が潤滑剤に曝露されうる。脚は、組織厚さコンペンセータ22120を貫通した後、アンビル22060と接触してよく、その際、潤滑剤がステープル脚とアンビル22060との間の摩擦係数及び摩擦力を低減させうる。こうした状況では、ステープル22030を発射するために必要とされる力が低減されうる。アンビル22060と接した組織厚さコンペンセータ22120の位置のため、ステープル22030のステープル脚は、組織厚さコンペンセータ22120から脱出した直後にアンビル22060と接触することができることから、ステープル脚がアンビル22060と接触する前に潤滑剤がステープル脚から拭い取られる可能性が低減される。同様に、ステープル22030のステープル脚は、組織厚さコンペンセータ22120内の1以上の薬剤に曝露された直後にアンビル22060と接触することができるため、ステープル脚が組織Tに再進入する前に薬剤がステープル脚から拭い取られる可能性が低減される。特定の状況では、例えば、ステープル脚は下向きに変形されながら組織厚さコンペンセータ22120に再進入しうるため、ステープル脚は組織Tに再進入する前に薬剤に再び曝露されうる。場合により、上記と同様、第2のフィルム22127が例えば複数の突起部22122を有してもよく、例えばこれらの突起部22122がステープルキャビティ22062内にぴったりと受容されることにより組織厚さコンペンセータ22120がアンビル22060に対して保持される。
【0283】
次に
図449及び450を参照すると、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタは、アンビル22060のステープル成形ポケット22062と整列した複数のキャビティ22222を有しうる例えばコンペンセータ22220のような組織厚さコンペンセータを有しうる。コンペンセータ22220は、第1の層すなわち下層22226と第2の層すなわち上層22227とから構成することができ、その場合、第1の層22226及び/又は第2の層22227は、キャビティ22222を画定しうる複数の隆起部又は部分球状部を有しうる。
図449に示されるように、組織厚さコンペンセータ22220は、各キャビティ22222がアンビル22060のステープル成形ポケット22062と整列するか又は少なくともほぼ整列するようにしてアンビル22060に取り付けることができる。場合により、各キャビティ22222は、例えば酸化再生セルロース、カルシウム、及び/又はアルギン酸塩などの1以上の薬剤を内部に含んでもよい。例えば、使用時には、各キャビティ22222は、ステープルカートリッジ22000から射出されるステープル22030によって穿孔されるまでは、密封された穿孔されていない状態であってよい。次に
図450を参照すると、ステープル22030の脚が組織Tを貫通した後、各ステープル脚は第1の層22226に穿孔及び貫通し、キャビティ22222内に進入し、そこでステープル脚は、第2の層22227に穿孔及び貫通する前にキャビティ22222内に含まれる1以上の薬剤を通過することができる。上記と同様、ステープル22030の脚はこの後、アンビル22060と接触することができる。
【0284】
キャビティ22222は、破られるまで、内部に貯蔵された前記1以上の薬剤を乾燥状態又は少なくともほぼ乾燥状態に維持することができる。キャビティ22222が破られた後、例えば血液などの液体がキャビティ22222に入り込み、前記1以上の薬剤と混ざり合うことができる。液体と薬剤との混合によって薬剤はキャビティ22222内で膨張しうるが、その場合、薬剤は例えば少なくとも1種類のヒドロゲルを含みうる。薬剤は例えば少なくとも1種類の止血材料を含んでもよい。第1の層22226及び第2の層22227の少なくともいずれかを、延伸することによって薬剤の膨張を吸収することができる柔軟な材料で構成することができる。層22226,22227は、例えばCAP/GLY材料で構成することができる。いずれの場合も、薬剤の膨張によって、例えばステープル22030内に捕捉された、かつ/又はその周囲に位置する組織Tに圧縮力が作用しうる。異なる状況において、薬剤の膨張によってキャビティ22222の破裂が生じる。例えば、キャビティ22222の第1の群が内部に第1の薬剤を含んでよく、キャビティ22222の第2の群が内部に第2の薬剤を含んでよい。例えば、第1の薬剤を、第1の量だけ、かつ/又は第1の速度で膨張するように構成し、第2の薬剤を第2の量だけ、かつ/又は第2の速度で膨張するように構成することができ、その場合、第1の量は第2の量と異なってよく、かつ/又は第1の速度は第2の速度と異なってよい。上記に加えて、1以上のキャビティ22222が、各キャビティ内に貯蔵された2以上の薬剤を含んでもよく、その場合、薬剤は例えば第1の薬剤及び第2の薬剤を含みうる。キャビティ22222は、破られるまで、第1の薬剤及び第2の薬剤を乾燥状態又は少なくともほぼ乾燥状態に維持することができる。キャビティ22222が破られた後、上記に述べたように例えば血液がキャビティ22222に入り込み、前記第1及び第2の薬剤と混ざり合うことができ、その場合、第1及び第2の薬剤は膨張するゲルを形成することができる。
【0285】
次に
図451〜453を参照すると、例えばコンペンセータ22320のような組織厚さコンペンセータは、ステープル成形ポケット22062a及び22062bとそれぞれ整列させることが可能な複数の第1のキャビティ22322a及び複数の第2のキャビティ22322bを有しうる。主に
図452を参照すると、ステープル成形ポケット22062a及び22062bは、アンビル22060上の別々の段差表面に画定することができる。より詳細には、成形ポケット22062aはアンビル22060の第1の表面22069aに画定し、成形ポケット22062bは第2の表面22069bに画定することができるが、その際、例えば、第1の表面22069aは第2の表面22069bに対してオフセットした、又はより高い位置に位置しうる。組織厚さコンペンセータ22320の第1のキャビティ22322aは、第2のキャビティ22322bよりも大きくすることができ、その場合、例えば、第1のキャビティ22322aは第2のキャビティ22322bよりも高く延在してよい。上記の結果、第1のキャビティ22322aは第1のステープル成形ポケット22062a内へと上方に延び、同時に第2のキャビティ22322bは第2のステープル成形ポケット22062b内へと上方に延びうる。場合により、第1のキャビティ22322aのそれぞれを、例えば第2のキャビティ22322bよりも多量の薬剤を含むように構成することができる。あるいは、第1のキャビティ22322a及び第2のキャビティ22322bは、キャビティ22322aとキャビティ22322bとは大きさが異なりうるものの、同じか又は少なくともほぼ同じ量の薬剤を含んでもよい。
【0286】
上記以外に第1のキャビティ22322aを特定の列に配置し、第2のキャビティ22322bを異なる列に配置することもできる。組織厚さコンペンセータは、各成形ポケットと整列したキャビティを有しうるが、代わりに、
図459を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ22420のような組織厚さコンペンセータは、一部の成形ポケットのみと整列したキャビティを有してもよい。再び
図452を参照すると、コンペンセータ22320はアンビル22060に取り付けることができる。キャビティ22322a及び/又はキャビティ22322bは、それぞれステープル成形ポケット22062a及び22062b内にぴったりと嵌まるように構成することができる。コンペンセータ22320は、コンペンセータ22320の第2の層22327がアンビル22060の第2の表面22069bと接して位置するようにアンビル22060に組み付けることができる。あるいは、次に
図454及び455を参照すると、コンペンセータ22320は、アンビル22060がステープルカートリッジ22000の方向に変位してその間で組織Tを圧縮する際に、コンペンセータ22320がアンビル22060と当接するように、アンビル22060に隣接して配置することもできる。次に
図456を参照すると、ステープル22030がステープルカートリッジ22000から発射されてアンビル22060により変形させられた時点で、コンペンセータ22320はステープル22030により組織Tと接して捕捉され、アンビル22060をコンペンセータ22320から離れる方向に動かすことができる。次に
図457を参照すると、特定の状況では、ステープル22030の内の1以上のものがアンビル22030によって適切に変形されない場合がある。次に
図458を参照すると、こうした状況では、誤って発射又は誤って変形されたステープルに重なる位置の組織厚さコンペンセータのキャビティが、ステープルが発射された際に穿孔されない可能性がある。例えば、組織厚さコンペンセータは、溶解した後、穿孔されていないキャビティ内に含まれる薬剤を放出することができる生体吸収性材料で構成することができる。
【0287】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータ22320の第1のキャビティ22322a及び/又は第2のキャビティ22322bは、内部に空気、二酸化炭素、及び/又は窒素などのガスが封じ込められてもよい。キャビティ22322a及び/又はキャビティ22322bは、キャビティ22322a及び/又はキャビティ22322bを貫通してステープル22030が発射される際に破裂することによって内部のガスを放出することができる気泡を含みうる。このような破裂により、キャビティ22322a及びキャビティ22322bが破裂しつつあるという音によるフィードバックが外科医に与えられる。しかしながら、特定の状況では、上記に述べたようにステープル22030の一部が誤って発射される場合があり、そのステープルに付随するキャビティ22322a及びキャビティ22322bが破裂しない場合がある。異なる状況において、外科医は破裂しなかった気泡又はキャビティ22322a及びキャビティ22322bについて、ステープル留めされた組織をスキャンして、何らかの修正措置を取る必要があるかどうかを判断することができる。
【0288】
次に
図460を参照すると、上記に述べたように、外科用ステープル留め器具は例えば発射部材22080を有してもよく、この発射部材22080は、カートリッジ22000からステープル22030を配備するために発射部材22080がカートリッジ22000を通って前進される際に組織T及び1以上の組織厚さコンペンセータを通じて前進させることができる切断部材又は切断刃22081を有しうる。主に
図462を参照すると、例えばコンペンセータ22520のようなコンペンセータを外科用ステープル留め器具のアンビル22060に取り付けることができ、この場合、アンビル22060は切断部材22081の少なくとも一部を受容するようなサイズ及び構成を有するナイフスロット22061を有しうる。同様に、ステープルカートリッジ22000は、やはり切断部材22081の少なくとも一部を受容するサイズ及び構成を有するナイフスロット22011を有しうる。再び
図460を参照すると、コンペンセータ22520は、コンペンセータ22520の切断線22521に沿って配置される例えばキャビティ22522のような1以上のキャビティを有してよく、その場合、キャビティ22522はアンビル22060内に画定されたナイフスロット22061と整列しうる。ステープル22030を配備するために切断部材22081がステープルカートリッジ22000を通って遠位方向に進められると、切断部材22081が組織T及びコンペンセータ22520のキャビティ22522を切断する。主に
図461を参照すると、上記と同様、各キャビティ22522は、内部に1以上の薬剤22525を含みうる密封キャビティ22524を画定しうる。キャビティ22522の1以上のものを、切断部材22081によってキャビティ22522が少なくとも部分的に切断された場合に放出されうる液体を含むように構成することができる。異なる状況において、切断部材22081は各キャビティ22522を順次切断し、その結果、内部に含まれる薬剤を順次放出させることができる。
【0289】
主に
図462を参照すると、コンペンセータ22520は、コンペンセータ22520の両側に沿って延びる横突出部又は翼状部22529を有しうる。突出部22529は、例えば1種類以上の接着剤を用いてアンビル表面22069a及び/又はアンビル表面22069bに固定することができる。突出部22522は、アンビル22060のナイフスロット22061内にぴったりと嵌まるようなサイズ及び構成となっているため、突出部22522はコンペンセータ22520をアンビル22060に対して保持することができる。横突出部22529は、ステープル成形ポケット22062b及び/又はステープル成形ポケット22062aを覆って延びる、又はこれと重なるようなサイズ及び構成とすることができる。あるいは、次に
図463及び464を参照すると、コンペンセータ22620は、例えば、アンビル22060のステープル成形ポケット22062a及び22062b及び/又は他の任意のステープル成形ポケットを覆って延びていない、又はこれと重なっていない横突出部22629を有してもよい。例えば、コンペンセータ22620はステープルカートリッジ22030から射出されたステープル22030内に捕捉されない場合がある。再び
図460を参照すると、いずれの場合も、ステープル22030によってコンペンセータ22520が組織Tに固定されるのにしたがって切断部材22081はコンペンセータ22520を切断することができる。そうした場合、コンペンセータ22520はアンビル22060から取り外しても組織Tに固定された状態に維持されうる。
図463及び464に示されるコンペンセータ22620を再び参照すると、ステープル22030が、コンペンセータ22620をアンビル22060に固定しない場合があり、切断部材22081がコンペンセータ22620を切断した後にアンビル22060にくっついたままとなる場合がある。
【0290】
次に
図465及び466を参照すると、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタは、とりわけアンビル22760のようなアンビルに取り付けるか、又は取り付けられるように構成することができる、例えばコンペンセータ22720のような組織厚さコンペンセータを有しうる。上記と同様、アンビル22760は、複数のステープル成形ポケット22762、及び、切断部材がエンドエフェクタを通じて前進される際に切断部材を受容するように構成された長手方向のナイフスロット22761を有しうる。コンペンセータ22720は、互いに接着されてキャビティ22724を画定する第1のフィルム層22726と第2のフィルム層22727とを有しうる。例えば、第1のフィルム層22726は、封止された外周部22728に沿って第2のフィルム層22727と接着することができ、その場合、封止された外周部22728は例えばキャビティ22724内に少なくとも1種類の薬剤22725を封じ込めることができる。
図466に示されるように、キャビティ22724及び薬剤22725は、すべてのステープルキャビティ22762の下に延びてよく、封止された外周部22728は最も外側のステープルキャビティ22762に対して側方に位置しうる。コンペンセータ22720は、ナイフスロット22761内に上方に延びるように構成することができる例えば長手方向のリブ22721を更に有してもよい。例えば、リブ22721は、コンペンセータ22720をアンビル22760に固定するためにナイフスロット22761内にぴったりと嵌まるようなサイズ及び構成とすることができる。リブ22721は、コンペンセータ22720をアンビル22760と整列させるか又はアンビル22760に対して中心に位置決めするように構成することができる。
図467を参照すると、同様に、組織厚さコンペンセータ22820は、コンペンセータ22820をアンビル22760に固定するために例えばナイフスロット22761内に配置することができる保持リブ22821を有してもよい。再び
図466を参照すると、異なる状況において、切断部材がナイフスロット22761を通じて前進させられると切断部材はリブ22721を切断してアンビル22760からコンペンセータ22720を解放することができる。このような切断部材が例えば発射部材22080の一部として
図467に示されている。
【0291】
再び
図467を参照すると、組織厚さコンペンセータ22820は、複数の第1のパケット22824a及び複数の第2のパケット22824bを画定するように構成及び配置することができる第1の層22826及び第2の層22827を有しうる。第1のパケット22824aのそれぞれを第1の薬剤を含むように構成し、第2のパケット22824bのそれぞれを第2の薬剤を含むように構成することができ、その場合、第2の薬剤は第1の薬剤と異なるものとすることができる。第1のパケット22824aと第2のパケット22824bとは交互の配列に配置することができる。例えば、第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bは、例えば第2のパケット22824bが2つの第1のパケット22824aの間に位置し、第1のパケット22824aが2つの第2のパケット22824bの間に位置するようにして組織厚さコンペンセータ22820を横にまたいで延在してよい。
図467に示されるように、切断部材22080がコンペンセータ22820を通じて進められるにしたがって、切断部材22080は、第1のパケット22824a、次いで第2のパケット22824b、次いで第1のパケット22824a、次いで第2のパケット22824b、といった要領で切断する。これに対応して、こうした場合では、切断部材22080は、例えば交互に配置された第1のパケット22824aに含まれた第1の薬剤と、第2のパケット22824bに含まれた第2の薬剤とを順次放出させることができる。第1のパケット22824aと第2のパケット22824bとが互いに隣接して配置される場合、第1の薬剤及び第2の薬剤がそれぞれの第1のパケット22824a及び第2のキャビティ22322bから放出される際に第1の薬剤が第2の薬剤と混ざり合うように構成することができる。例えば、コンペンセータ22820を通じて切断部材を前進させることにより、第1の薬剤を第2の薬剤と混合することができる。
【0292】
上記に加えて、第1の薬剤が第1の粉末を含み、第2の薬剤が第2の粉末を含んでもよい。第1の薬剤及び/又は第2の薬剤は、例えば、止血材料、酸化再生セルロース、アルギン酸塩、及び/又はカルシウムで構成することができる。第1の薬剤及び/又は第2の薬剤は液体を含んでもよい。1以上の第1のパケット22824a及び/又は1以上の第2のパケット22824bが、コンペンセータ22820及び/又は組織Tを通じて発射部材22080を前進させるのに要する力を低減することができる潤滑剤を含んでもよい。第1のフィルム層22826及び/又は第2のフィルム層22827は、例えばPDSのような生体吸収性材料で構成することができる。第1のフィルム層22826と第2のフィルム層22827とは、発射部材22080によって切断される前に第1のパケット22824aが第2のパケット22824bから封止されるように互いに接着することができる。第1のパケット22824a及び/又は第2のパケット22825bは、特定の破裂圧に耐えるように所定の破裂強度を有するものとすることができる。より詳細には、例えばアンビル22760のようなアンビルがアンビル22760と対向して配置されたステープルカートリッジに向かってコンペンセータ22820を動かす際、パケット22824a,22824bは、パケット22824a,22824bとステープルカートリッジとの間に配置された組織と接して配置することができ、その場合、アンビル22760をステープルカートリッジに向かって下方に押すか又はクランプ締めすることによってその間に配置された組織を圧縮することができる。このような状況では、パケット22824a,22824bには圧縮力が作用しうる。特定の状況では、パケット22824a及び/又はパケット22824bは、切断部材22080によって切断されるか、かつ/又はステープルカートリッジから発射されたステープルによって穿孔されるまで破られないことが望ましい場合がある。他の特定の状況では、パケット22824a及び/又はパケット22824bはこれらに作用するクランプ締め荷重によって破裂することが望ましい場合がある。
【0293】
上記に述べたように、第1のパケット22824a及び第2のパケット22824bは、コンペンセータ22820を横にまたいで延在してよい。例えば、第1のパケット22824aが横軸22823aに沿って延びてよく、第2のパケット22824bが横軸22823bに沿って延びてよい。第1の軸22823a及び/又は第2の軸22823bは、コンペンセータ22820の長手方向軸22083に対して垂直又は少なくともほぼ垂直であってよい。例えば、長手方向軸22083は発射部材22080の切断経路を規定することができる。第1の軸22823a及び/又は第2の軸22823bは、長手方向軸22083に対して垂直でなくともよく、長手方向軸22083に対して斜めでもよい。場合により、上記に述べたように、第1のパケット22824aと第2のパケット22824bとを交互の配列に配置することができる。あるいは、第1のパケット22824aと第2のパケット22824bとの他の任意の適当な配列を用いることもできる。例えば、組織厚さコンペンセータ内に配置された一連のパケットが、第1のパケット22824a、第2のパケット22824b、第2のパケット22824b、及び第1のパケット22824aを含んでもよい。組織厚さコンペンセータは、第1の薬剤及び第2の薬剤と異なる第3の薬剤を含む複数の第3のパケットを更に有してもよい。例えば、第1のパケット、第2のパケット、及び第3のパケットを交互の配列に配置することができる。例えば、組織厚さコンペンセータ内に配置された一連のパケットが、例えば、第1のパケット、次いで第2のパケット、及びこれに続く第3のパケットを含んでもよい。
【0294】
再び
図467を参照すると、組織厚さコンペンセータ22820の第1のパケット22824a及び/又は第2のパケット22824bは、例えばU字形状、又は少なくともほぼU字形状の断面を画定してもよい。次に
図468を参照すると、組織厚さコンペンセータ22920の各パケット22924は、例えば、円形又は少なくともほぼ円形の断面を画定してもよい。次に
図469を参照すると、組織厚さコンペンセータ23020の各パケット23024は、例えば、卵形及び/又は楕円形の断面を画定してもよい。再び
図467を参照すると、第1のキャビティ22824a及び第2のキャビティ22824bは、平行又は少なくともほぼ平行な列として画定された対称的、又は少なくともほぼ対称的な形態を有してもよい。あるいは、次に
図470を参照すると、コンペンセータ23120のような組織厚さコンペンセータは、例えば不規則かつ/又は非繰り返しパターンを有しうる、内部に画定された非対称的キャビティ23122を有してもよい。例えば、キャビティ23122のそれぞれはその内部に1以上の異なる薬剤を含むことができる。
【0295】
次に
図471を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ23220のような組織厚さコンペンセータは、内部にキャビティ23224を画定するケーシング23226、及びキャビティ23224内に配置された材料23225を有しうる。ケーシング23226は、例えば吸収性ポリマーPDS、PGA、PLLA、Cap Gly、及び/又はPCLで構成されてよく、材料23225は、粉末、繊維、及び/又はゲルなどの任意の適当な形態を取りうる例えば止血剤、酸化再生セルロース、Hercules、フィブリン、及び/又はトロンビンで構成することができる。ケーシング23226は、押出プロセスを用いて製造することができる。そのような場合、ケーシング23226は、その長さに沿って一定又は少なくともほぼ一定の断面を有してよく、こうした断面はシームを互いに溶接する必要なく形成することができる。例えば、キャビティ23224は、開口部が形成されていないその外周全体を囲んで延びる側壁によって画定することができる。ケーシング23226は、開口部が形成されたメッシュ及び/又はストロー状材料で構成することができる。開口部は、例えば、レーザ切削プロセス及び/又は打抜きプロセスによってケーシング23226に切り抜くことができる。
【0296】
次に
図474〜476を参照すると、材料23225の製造の一環として、例えば、酸化再生セルロースなどの繊維及び/又は繊維質材料を用いて撚り糸を形成することができる。
図474に示されるより長い繊維23325と、
図475に示されるより短い繊維23425とを
図476に示されるように互いに混合することによって材料23225の撚り糸を形成することができる。こうした撚り糸を、引っ張るかかつ/又は張力を加えることによって内部に含まれる繊維を長手方向に延伸することができる。次に
図477を参照すると、材料23225の撚り糸は、材料23225を把持して撚ることによって撚り糸の体積を増すことができるグラスパ23290によって毛羽立たせることができる。例えば、グラスパ23290は、例えば撚り糸がグラスパ23290に対して動くのにしたがって材料23225を毛羽立たせることができる。再び
図477を参照すると、切断部材23291を使用して材料23225の撚り糸に例えば小さい切開及び/又は微小切開を形成することができる。上記と同様、切断部材23291は、撚り糸が切断部材23291に対して動くのにしたがって材料23225を切断することができる。材料23225の撚り糸は、上記の切開が形成される前に毛羽立たせてもよく、あるいは材料23225の撚り糸が毛羽立たされる前に撚り糸に切開を形成してもよい。
【0297】
材料23225の撚り糸が適宜調製されたならば、材料23225をケーシング23226内に配置することができる。次に
図478を参照すると、上記に述べたような押出プロセスの一部として2以上のケーシング23226を同時に形成し、これらのケーシング23226同士を管23227の一部として連結することができる。材料23225の撚り糸は、管23227内に画定されたキャビティ23224内に配置するか又は引き込むことができる。材料23225の撚り糸は、キャビティ23224の第1の開口端23221に隣接するかかつ/又はその内部に配置することができ、その場合、グラスパ23292をキャビティ23224の第2の開口端23222から挿入することができる。次にグラスパ23292を、グラスパ23292のジョー23292aが第1の開口端23222を通過するか、かつ/又は第1の開口端23222に対して配置されるまでキャビティ23224を通じて押し込むことができる。グラスパは、材料23225の撚り糸を把持するように構成することができる例えばフック部材を有しうる。いずれの場合も、グラスパ23292が材料23225の撚り糸を充分に把持した時点で、グラスパ23292をキャビティ23224内に引き戻すことによって材料23225の撚り糸をキャビティ23224内に引き込むことができる。グラスパ23292は、撚り糸が管23227内に引き込まれる前、その間、及び/又はその後で材料23225の撚り糸を撚るように構成することができる。
【0298】
材料23225の撚り糸が管23227内に適切に配置された時点でグラスパ23292を操作して材料23225の撚り糸を解放することができる。撚り糸は、管23227の第2の開口端23222から撚り糸が引かれる前に解放してもよいが、代わりに
図479に示されるように第2の開口端23222から撚り糸が引かれた後で解放してもよい。特定の状況では、第2の開口端23222から撚り糸を引くことができ、これにより、撚り糸が解放されると撚り糸は第2の開口端23222から管23227内に収縮するか又は跳ね戻ることができる。異なる状況において、撚り糸を第1の開口端23221に隣接した位置で切断することができ、これにより上記と同様、撚り糸は第1の開口端23222から管23227内に収縮するか又は跳ね戻ることができる。異なる状況において、上記に加えて、グラスパ23292によって材料23225の撚り糸に張力を加えることができ、これにより、グラスパ23292が撚り糸を解放するかかつ/又は撚り糸が切断されると、撚り糸の内部の張力が解放されることによって撚り糸が収縮することが可能となる。
【0299】
次に
図480を参照すると、材料23225の撚り糸が充分に管23227内に配置された時点で、管23227及び材料23225を複数のセグメントに切断することができ、その場合、各セグメントを例えば組織厚さコンペンセータ23220とすることができる。それぞれのこのようなセグメントのカバー23226を通じて延びるキャビティ23224はその両端に開口端を有しうる。例えば、開口端の一方又は両方を、例えば、熱かしめ、熱溶接、及び/又はレーザ溶接プロセスによって閉鎖又は封止することができる。
図481を参照すると、カバー23226及びその内部の材料23225の一部を有するセグメントを、カバー23226の開口端を閉鎖及び/又は封止するように構成された金型内に配置することができる。より詳細には、金型は、例えば底部23294及び可動部23296を有してよく、その場合、セグメントは底部23294内に画定されたキャビティ23295内に配置することができる。可動部23296はいったん配置された後、下方に動かすことによってセグメントに力を加えることができる。必要に応じて、底部23294及び/又は可動部23296を介してセグメントに熱を加えることができるが、その場合、セグメントに加えられる熱及び/又は力が、カバー23226を歪める場合がある。より詳細には、可動部23296は、カバー23226の開口端などのカバー23226の特定の部分に締め付け力を作用させるような形状とすることができるポケット23297を画定してよく、これにより組織厚さコンペンセータ23220のこうした部分を閉鎖するか、平らに圧し潰すか、かつ/又はネック形状に細くすることができる。例えば、ポケット23297は、組織厚さコンペンセータ23220の閉鎖端23228を成形し、両閉鎖端23228の中間に位置する組織厚さコンペンセータ23220の部分を平らに圧し潰すように構成することができる。組織厚さコンペンセータ23220が適当に成形された後、可動部23296を開位置に動かして組織厚さコンペンセータ23220を金型から取り出すことができる。次いで組織厚さコンペンセータ23220を冷却容器内に配置することができ、コンペンセータ23220を室温及び/又は他の任意の適当な温度にまで冷却することができる。
【0300】
あるいは、上記に加えて、管23227を、その内部に材料23225が配置された後で熱成形型内に配置してもよい。管23227及びその内部に配置された材料23225が成形された後、管23227及び材料23225を例えば複数の組織厚さコンペンセータ23220にセグメント化することができる。再び
図471を参照すると、組織厚さコンペンセータ23220は、例えばアンビル22060に取り付けられるように構成することができる側部翼状部又はクリップ23229を有しうる。例えば側部翼状部23229は、上記に述べたように金型部分23294と23296との間で組織厚さコンペンセータ23220が成形される際にカバー23226に成形することができる。次に
図472を参照すると、組織厚さコンペンセータ23220は、カバー23326から延びる側部翼状部23329を有してもよい。次に
図473を参照すると、組織厚さコンペンセータ23420は、上記に述べた熱成形型内でカバー23426に圧縮圧力が作用する際にカバー23426が撓んで平らに潰れることを可能とする、例えば1以上の側部可撓性接合部23428を有してもよい。場合により、上記の結果として、組織厚さコンペンセータ23220は側部シームを有さない場合もある。そのような場合、
図471を再び参照すると、材料23225が例えばアンビル22060の側縁部にまで延在してもよい。
【0301】
上記に述べたように、撚り糸を管を通じて引いてから所定の長さに切断することによって1以上の組織厚さコンペンセータを形成することができる。上記に加えて、剛性の材料のストランドを使用して撚り糸を管を通じて引くか又は押すことができる。例えばPCLなどの剛性ポリマー材料のストランドをそのガラス転移温度よりも高い温度に加熱し、変形した形状に延伸することができる。例えば、剛性ストランドは、その変形した形状に延伸された際に例えば真っ直ぐ、又は少なくともほぼ真っ直ぐな形状を有しうる未変形のS字状の形状を有しうる。その後、剛性ストランドがその変形した形状を維持できるように剛性ストランドを拘束した状態で剛性ストランドをその材料のガラス転移温度よりも低い温度にまで冷却することができる。剛性ストランドがその変形した形状となった時点で、例えばORC繊維を剛性ストランドの周囲に成形することができる。例えばORCの撚り糸を剛性ストランドの周囲に巻回するか、ストランドを覆ってフロックするか、かつ/又は折り重ねることができる。あるいは、剛性ストランドを例えばORC繊維内に挿入することもできる。剛性ストランドは、ORC繊維内に圧延するかかつ/又は浸漬することができる粘着性表面を有してもよい。いずれの場合も、この後、剛性ストランド及びORC繊維を上記と同様の管に挿入し、剛性ストランドのガラス転移温度よりも高い温度にまで再加熱することができる。そのような状況では、剛性ストランドは非拘束状態、又は少なくともほぼ非拘束状態としてよく、その元の変形していない形状に復帰又は少なくともほぼ復帰させることができる。例えば、剛性ストランドはその元の形状に復帰する際に収縮してORC繊維を管内に引き込むことができる。管の中心をクランプ締めすることによって、剛性の管が収縮する際に管の中心内の剛性ストランド及びORC繊維を保持することができる。上記と同様、管の両端を封止して剛性ストランド及びORC繊維をその内部に封入することができる。
【0302】
次に
図573を参照すると、組織厚さコンペンセータ33320は、シェル33326、シェル33326内に配置された圧縮可能なコア、及びシェル33326内の圧縮可能なコアを封じ込めるように構成することができる閉鎖端33328を有しうる。上記に加えて、シェル33326は連続押出プロセスで製造することができ、その長さに沿って連続的な断面形状を有しうる。次に
図574〜576を参照すると、組織厚さコンペンセータ33420は、シェル33426、シェル33426内に画定されたキャビティ33424、及びキャビティ33424内に配置されたコア33425を有しうる。例えば、シェル33426は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33425は例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。シェル33426は、アンビル22060内に画定されたナイフスロット22063内に延びて組織厚さコンペンセータ33420をアンビル22060に対して解放可能に保持するように構成することができる1以上の可撓性脚33423を有しうる。次に
図577〜579を参照すると、組織厚さコンペンセータ33520は、シェル33526、シェル33526内に画定されたキャビティ33524、及びキャビティ33524内に配置されたコア33425を有しうる。例えば、シェル33526は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33425は例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。シェル33526は、アンビル22060の外表面の周囲に延びて組織厚さコンペンセータ33520をアンビル22060に対して解放可能に保持するように構成することができる1以上の保持部材33528を有しうる。例えば、主に
図579を参照すると、シェル33526は、可動部分33527、及び各可動部分33527の間に画定される間隙33523を有してよく、その場合、組織厚さコンペンセータ33520がアンビル22060から取り外された後、可動部分33527が弾性的に開いてその中に封じ込められたコア33425を露出することができる。次に
図580〜581を参照すると、組織厚さコンペンセータ33620は、シェル33626、シェル33626内に画定されたキャビティ33424、及びキャビティ33424内に配置されたコア33425を有しうる。例えば、シェル33626は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33425は例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。シェル33626は、アンビル22060内に画定されたナイフスロット22063と整列されうる薄肉部分33623を有してよく、これにより、組織厚さコンペンセータ33620を通過する切断部材が薄肉部分33623を通過し、組織厚さコンペンセータ33620を切断するのに要する力又はエネルギーが低減されうる。次に
図582〜583を参照すると、組織厚さコンペンセータ33720は、シェル33726、シェル33726内に画定されたキャビティ33424、及びキャビティ33424内に配置されたコア33425を有しうる。例えば、シェル33726は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33425は例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。シェル33726は、アンビル22060の外表面の周囲を包み込んで組織厚さコンペンセータ33720をアンビル22060に対して解放可能に保持するように構成することができる1以上の保持部材33723を有しうる。次に
図584〜585を参照すると、組織厚さコンペンセータ33820は、シェル33826、シェル33826内に画定されたキャビティ33424、及びキャビティ33424内に配置されたコア33425を有しうる。例えば、シェル33826は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33425は例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。シェル33826は、例えば
図583に示されるアーチ形のキャビティ33424及び組織接触表面と異なり、ほぼ矩形のキャビティ33424及びほぼ平坦な組織接触表面33829を有しうる。次に
図586〜587を参照すると、組織厚さコンペンセータ33920は、シェル33926内に画定された複数のキャビティ33924、及びキャビティ33924のそれぞれの内部に配置されたコア33925を有しうる。例えば、シェル33926は、連続押出しされた形状から形成されたフィルム本体を有してよく、コア33925はそれぞれ、例えばORCなどの繊維質薬剤コアを含みうる。コア33925は異なる材料で構成することができる。シェル33926は、アンビル22060のナイフスロット22063内に延びるように構成することができる1以上の保持部材33923を有しうる。
【0303】
次に
図482を参照すると、折りたたみプロセスを用いて組織厚さコンペンセータを形成することができる。本発明によれば、例えば酸化再生セルロースのような材料23525をカバーシート23526上に置き、このカバーシート23526を折り畳んでから封止することによって材料23525を封入することができる。例えば、カバーシート23526は例えばCap Glyで構成することができる。材料23525をカバーシート23526上に分注するように構成されたホッパ23592の下を通過させる連続プロセスを用いることができる。例えば、材料23525がカバーシート23526上に置かれる前にカバーシート23526をローラ23591とアンビル23590との間で平らに圧し潰すことができる。材料23525は、カバーシート23526の一方の側すなわち半分の上に置くことができ、その場合、カバーシート23526の他方の側すなわち半分を材料23525の上に折り畳むか又は裏返すことができる。材料23525がカバーシート23526上に置かれる前、その間、及び/又はその後で、カバーシート23526を折り畳むか又は少なくとも部分的に折り畳むことができる。例えば、アンビル23590は、例えば、長手方向に動くカバーシート23526の縁部又は一辺を持ち上げてからカバーシート23526を折り畳むように構成することができるカム面23594を有しうる。カム面23594は、カバーシート23526がカム面23594を通過する際にカバーシート23526の一部を徐々に持ち上げて裏返す3次元カム、又はバレルカムを含みうる。
【0304】
カバーシート23526が材料23525上に折り畳まれた後、折り畳まれたカバーシート23526とその内部に配置された材料23525は金型23593を通り抜け、金型23593は折り畳まれたカバーシート23526と材料23525を圧縮かつ/又は押し固めて管23527を形成することができる。折り畳まれたカバーシート23526の縁部は、例えば熱溶接及び/又はレーザ溶接などの任意の適当なプロセスを用いて封止して閉鎖することができる。管23527は、管23527の側壁が封止される前に例えば1以上のローラ23595によって更に平らに圧し潰すことができる。管23527は、管23527の側壁が封止された後で1以上のローラ23595によって更に平らに圧し潰されてもよい。いずれの場合も管23527は、別々の組織厚さコンペンセータを形成するために複数の部分にセグメント化される。組織厚さコンペンセータの端部は、例えば熱溶接及び/又はレーザ溶接などの任意の適当なプロセスを用いて封止することができるが、代わりに例えば組織厚さコンペンセータの端部の一方又は両方を開放した形態としたままとすることもできる。
【0305】
次に
図483を参照すると、コンペンセータは、例えばアンビル22060のようなアンビルに取り付けることができ、その場合、コンペンセータは少なくとも1種類の薬剤を内部に貯蔵するように構成することができる。コンペンセータ23620は、中央本体部分23626及びアンビル22060に取り付けられるように構成することができる側部取り付け部分23628を有しうる。コンペンセータ23620は、コンペンセータ23620の組織接触表面23625内に画定された毛管溝23627のアレイを更に有してよく、その場合、毛管溝23627は内部に1種類以上の薬剤を貯蔵するように構成することができる。例えば、薬剤は、液体の張力のために毛管溝23627の側壁管に保持されうる液体を含みうる。異なる状況において、薬剤は、コンペンセータ23620がアンビル22060に取り付けられる前にコンペンセータ23620に塗布されてもよいが、特定の状況では、薬剤は例えばコンペンセータ23620がアンビル22060に取り付けられた後にコンペンセータ23620に塗布されてもよい。いずれの場合も、コンペンセータ23620は、アンビル22060とアンビル22060に対向して配置されるステープルカートリッジとの間に配置される組織と接触するように構成することができ、その場合、毛管溝23627内に貯蔵された薬剤が組織上に流れることができる。異なる状況において、薬剤は毛管溝23627内を流れることができる。
【0306】
再び
図483に示されるコンペンセータ23620を参照すると、毛管溝23627のアレイは、第1の量の溝23627が第1の方向に延び、第2の量の溝23627が第2の方向に延びうる斜交平行パターンに構成及び配列することができる。第1の量の溝23627は、第2の量の溝23627と交差し、流体連通することができる。次に
図484を参照すると、コンペンセータ23920は、組織接触表面23925内に画定された毛管溝23927のアレイを含む本体23926を有しうる。溝23927は直線経路に沿って画定されてもよいが、非直線経路に沿って画定されてもよい。例えば、第1の量の溝23927が軸23923に沿って延びてよく、第2の量の溝23927が軸23924に沿って延びてよく、その場合、軸23923は軸23924と異なる方向に延びてよい。軸線23923は、軸線23924に対して垂直又は少なくともほぼ垂直であってよく、その場合、溝23627はそれらの間に島23922を画定しうる。例えば、各島23922の上面は、コンペンセータ23920の組織接触表面23925を画定することができる。コンペンセータ23920は、長手方向軸23921を有してよく、各溝23627は長手方向軸23921に対して横断する方向又は斜めの方向に延びてよい。再び
図483を参照すると、コンペンセータ23720は、本体23726及び本体23726に画定された複数の毛管溝23727を有しうる。コンペンセータ23720は、毛管溝23727と流体連通しうる長手方向溝23721を更に有しうる。必要に応じて、1種類以上の薬剤が長手方向溝23721内に貯蔵されてよく、その場合、各薬剤は例えば溝23721と毛管溝23727との間に流れることができる。溝23721は、アンビル22060に画定された長手方向ナイフスロット22061内へと上方に延びうる長手方向の突起部を画定しうる。
【0307】
上記で述べたように、再び
図483を参照すると、コンペンセータに画定された毛管溝のアレイは、斜交平行パターンを有しうる。しかしながら、代わりに毛管溝のアレイは任意の適当な形状又は形態を有してもよい。例えば、
図483に示されるコンペンセータ23820を参照すると、コンペンセータ23820の本体23826に画定された溝23827は、例えば中央溝23821に近づく方向に収束するかかつ/又は離れる方向に発散する平行な斜め溝を有しうる。次に
図487を参照すると、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタは、組織厚さコンペンセータ24010を有するステープルカートリッジ24000を有してよく、その場合、組織厚さコンペンセータ24010はその内部又はその表面に例えば薬剤24001のような少なくとも1種類の薬剤を含みうる。次に
図488を参照すると、アンビル24060に取り付けられたコンペンセータ24020を閉位置に動かすことによって、コンペンセータ24020を組織厚さコンペンセータ24010と接触させることができる。このような状況では、例えば薬剤24001は、組織厚さコンペンセータ24010からコンペンセータ24020へと移行することができる。次に
図489を参照すると、コンペンセータ24020は、組織厚さコンペンセータ24010と接触させることができる組織接触表面24025を有してよく、その場合、薬剤24001は、組織接触表面24025に画定された毛管溝24027に流入しうる。次に
図486を参照すると、コンペンセータ24020は、その表面及び/又はその内部に、コンペンセータ24020から組織厚さコンペンセータ24010へと移行しうる薬剤24002のような少なくとも1種類の薬剤を含みうる。
【0308】
次に
図569及び570を参照すると、組織厚さコンペンセータ33020は、その表面に画定された複数の溝及び/又はウェルを有しうる。組織厚さコンペンセータ33020は、組織厚さコンペンセータ33020を通じて規定される長手方向軸に沿って延びる長手方向溝33026を有しうる。例えば、長手方向溝33026の端部は、組織厚さコンペンセータ33020の外周と流体連通してよい。組織厚さコンペンセータ33020は、複数のウェル33022、更にウェル33022及び長手方向溝33026と流体連通する複数の斜め溝33024を更に有しうる。組織厚さコンペンセータ33020は、ウェル33022及び組織厚さコンペンセータ33020の外周と流体連通しうる複数の流入/流出溝33027を更に有しうる。必要に応じて、上記の結果として、流体は、組織厚さコンペンセータ33020が患者の組織に接して移植される前、その間、及び/又はその後で組織厚さコンペンセータ33020に流入し、かつ/又は組織厚さコンペンセータ33020から流出することができる。組織厚さコンペンセータ33020の組織接触表面33025に画定される溝33024、33026及び33027及びウェル33022のパターンは、組織と接触して組織厚さコンペンセータ33020と組織との間の滑りを抑制するように構成することができるグリップエッジを画定することができる。次に
図569A及び570Aを参照すると、組織厚さコンペンセータ33120は、その表面に画定された複数の円形溝を有しうる。組織厚さコンペンセータ33120は、組織厚さコンペンセータ33120の外周に画定される開口部を有する同心円状溝33127を有しうる。上記と同様、液体は溝33127を通って組織厚さコンペンセータ33120に流入し、かつ/又は組織厚さコンペンセータ33020から流出することができる。組織厚さコンペンセータ33120は、組織厚さコンペンセータ33120の外周に画定される開口部を有さなくともよい同心円状溝33122を有してもよい。次に
図571及び572を参照すると、組織厚さコンペンセータ33020は、組織厚さコンペンセータ33220に接して配置される組織をグリップするように構成することができる、組織厚さコンペンセータ33220から延びる複数の隆起部33227を有しうる。隆起部33227は真っ直ぐであってもよく、又は隆起部33227は例えば湾曲した外形を有してもよい。上記に述べた隆起部及び溝は組織厚さコンペンセータにおいて有用でありうるが、このような隆起部及び溝は任意の適当な生体吸収性及び/又は生体適合性の層とともに用いることもできる。
【0309】
本発明によれば、コンペンセータは複数の層で構成することができる。コンペンセータは、例えば第1の層及び第1の層に接着された第2の層を有することができる。第1の層は、組織接触表面及び組織接触表面に画定された複数の毛管溝を有しうる。第1の層は、第2の層に面し、組織接触表面の反対側に面する面に画定される毛管溝を有してもよい。第2の層には毛管溝が画定されてもよい。コンペンセータの第1の層と第2の層との間にウェルが画定されてもよい。毛管溝は、例えば、各層が形成される成形プロセスにおいて、及び/又は熱かしめプロセスにおいてなど、任意の適当なプロセスを用いてコンペンセータの各層に形成することができる。例えば、熱かしめプロセスを用いてコンペンセータの各層を互いに接着することができる。例えば、各層は、例えばCAP/GLY(36/64)などの、熱が加えられると変形可能となりうる材料で構成することができる。いずれの場合も、コンペンセータの組織接触表面に画定された毛管溝は、外科用ステープル留め器具のアンビルとステープルカートリッジとの間に配置された組織に作用させられるグリップ又は制御性を向上させうるグリップ表面をそれらの間に画定しうる。別の言い方をすれば、コンペンセータの組織接触表面に画定される毛管溝は、コンペンセータが組織と接触することができる面積を小さくしうるものである。このような状況では、より小さい接触面積のために、一定の力に対して、コンペンセータと組織との接触圧力はより高くなる。異なる状況では、より高い接触圧力のために、コンペンセータと組織との間の滑りが低減されうる。
【0310】
必要に応じて、毛管溝及び/又はその内部に画定される空間及び/又は第1の層と第2の層との間に1以上の薬剤を配置刷ることができる。コンペンセータを構成する複数の層は、治療薬層のパック又は治療薬を含みうる。例えば、第1の層が第1の薬剤で構成され、第2の層は第2の薬剤で構成されてよく、その場合、第1の薬剤は第2の薬剤と異なりうる。例えば、第1の層に画定された毛管溝が第3の薬剤を貯蔵し、第2の層に画定された毛管溝が第4の薬剤を貯蔵してもよく、その場合、例えば第1、第2、第3、及び/又は第4の薬剤は異なってよい。例えば第1、第2、第3、及び/又は第4の薬剤は異なりうる。次に
図490を参照すると、コンペンセータ24120は、例えば層24121〜24125のような複数の層を含みうる。第1の層14121及び/又は第5の層24125は、それらの間に第2の層24122、第3の層24123、及び/又は第4の層24124を挟み込むことができる平坦な材料のシートを含みうる。必要に応じて、1以上の層24121〜24125はその内部に1以上の溝24127が画定されてもよい。溝24127は、コンペンセータ24120の一端から他端まで延びてよく、また、溝24127はコンペンセータ24120の一方の側面から他方の側面へと延びてよい。溝24127は、コンペンセータ24120の任意の適当な側面及び/又は端部の間で任意の適当な方向に延びることができる。次に
図493及び
図494を参照すると、コンペンセータ24820は、例えば、コンペンセータ24820の一方の側面から他方の側面に延びる横溝24822を画定しうる2以上の内側層24827を有しうる。再び
図490を参照すると、層24121〜24125の1つに画定された溝24127は、その層に隣接して配置される層に画定される溝と整列しうる。層24121〜24125の1つに画定された溝24127は、その層に隣接して配置される層の平坦面に面するか、又はその方向に開放しうる。
図490を再び参照すると、層24121〜24125の内の1以上が、内部に画定された少なくとも1つのウェル24129を有してもよい。各ウェル24129は、その層に画定された1以上の溝24127と流体連通しうる。上記と同様、各ウェル24129は、隣接層に向かって開放するか、又は隣接層に面する開口部を有してよく、その場合、隣接層が開口部を覆うことができる。
【0311】
上記に加えて、溝24127及び/又はウェル24129は内部に1以上の薬剤を含むように構成することができる。溝24127は、薬剤が溝24127から流出することを可能とする1以上の開放端を有しうる。同様に、溝24127は、例えば血液のような液体が溝24127に流入することを可能とするように構成された1以上の開口部を有しうる。そのような場合、液体はコンペンセータ24120に流入し、薬剤及び/又は層24121〜24125の少なくとも一部を吸収し、その後、コンペンセータ24120から流出することができる。再び
図493及び494を参照すると、コンペンセータ24820は、例えば外側層24846に画定された開口部24828を有しうる。再び
図490を参照すると、層24121〜24125は、例えば生体吸収性ポリマー、PLA、及び/又はPGAなどの任意の適当な材料で構成されうる。層24121〜24125のすべてを同じ材料で構成することができる。あるいは、層24121〜24125の内の1以上を異なる材料で構成することができる。必要に応じて、層24121〜24125の内の1以上には、例えば血液などの液体が溝24127、ウェル24126内に、かつ/又は層24121〜24125の内の2以上の間に流入することを可能とするように構成することができる通孔24128が貫通して延びてもよい。層24121〜24125の内の1以上を、例えば熱溶接及び/又はレーザ溶接によって互いに連結することができる。そのような場合、コンペンセータ24120に流入する1乃至複数の液体によって、層24121〜24125の溶接部分を溶解し、層24121〜24125を分離及び/又は剥離させることができる。層24121〜24125の内の1以上を、他の層24121〜24125を構成する1乃至複数の材料よりも速い速度及び/又は遅い速度で溶解する材料で構成することもできる。例えば、コンペンセータ24120の内側層24122〜24124を、例えば外側層24121及び24125を構成する1乃至複数の材料よりも速い速度で溶解する材料で構成することができる。そのような場合、コンペンセータ24120が一定、又はほぼ一定の大まかな形状を維持しうる一方で、コンペンセータ24120の内部は溶けさる。例えば、コンペンセータの最も外側の層を、例えばコンペンセータの最も内側の層を構成する1乃至複数の材料よりも速い速度で溶解する材料で構成することができる。各層は、例えば厚さ約0.025mm(1ミル)〜約0.01mm(4ミル)の材料のシートを含みうる。
【0312】
次に
図491及び492を参照すると、例えばコンペンセータ24220のようなコンペンセータは、例えばアンビル22060のようなアンビル及び/又はステープルカートリッジに取り付けられるように構成することができる支持層24226を有しうる。コンペンセータ24220は、支持層24226に取り付けられた足場24222を更に有してもよく、足場24222は複数の足場層24227を含みうる。足場は、例えば3次元構造マトリックスを構成しうる。必要に応じて、足場層24227のそれぞれは複数の繊維で構成されうる。次に
図495を参照すると、各足場層は、第1の方向に延びる第1の複数の繊維24228、及び第2の(又は異なる)方向に延びる第2の複数の繊維24229を含む繊維織物で構成することができる。各繊維織物は、複数のポケット又はキャビティ24223を有してよく、その場合、層24227、繊維24228,24229、及びキャビティ24223は組織及び細胞の内部成長にとって好ましいマトリックスを画定することができる。繊維24228、24229及び/又は他の任意の適当な繊維を生体適合性材料で構成することができる。繊維は、互いに編み込むことができる例えば止血材、生物学的及び/又は薬学的に活性であるものなどの結合活性成分、及び/又は支持部材で構成することができる。いずれの場合も、繊維の材料は、例えば構造支持細胞の足場24222内への細胞遊走、ECM分泌及び/又は増殖などの所望の生物学的応答を誘導するように選択することができる。
【0313】
上記に加えて、支持層24226は、支持層24226は足場24222を構造的に支持するように構成することができる。足場24222は、例えば1以上の生体吸収性接着剤を用いて支持層24226に接着することができる。同様に、支持層24226は、例えば1以上の生体適合性接着剤を用いてアンビル又はステープルカートリッジに接着することができる。足場24222の層24227は、任意の適当な要領で配置又は積層することができる。各層24227は所定の繊維のパターンを有してよく、その場合、各層24227は、層24227のパターンが互いに整列されるように足場24222内に配置することができる。
図496を参照すると、各層24227は、第1の層24227内の繊維24228が第2の層24227内の繊維24228と整列されるように互いに積層することができる。同様に、各層24227は、第1の層24227内の繊維24229が第2の層24227内の繊維24229と整列されるように互いに積層することができる。次に
図497を参照すると、足場24422は、複数の足場層24427を含んでもよく、その場合、各足場層24427内の繊維24429は例えば長手方向のような同じ方向に配向される。次に
図499を参照すると、各足場層24427は所定の繊維のパターンを有してよく、その場合、各層24427は、各層24427のパターンが互いに整列されないように足場24322内に配置することができる。各層24427は、第1の層24227内の繊維24228が、第2の層24227内の繊維24228に対して横断する方向か又は斜めとなる方向に延びるように互いに積層することができる。同様に、各層24427は、第1の層24227内の繊維24229が、第2の層24227内の繊維24229に対して横断する方向か又は斜めとなる方向に延びるように互いに積層することができる。次に
図500を参照すると、足場24522は、例えば各足場層24427内の繊維24229が異なる方向に配向するように配向された複数の足場層24427を含んでもよい。
【0314】
上記に加えて、例えば足場24222の第1の足場層24227を第1の材料で構成し、足場24222の第2の足場層24427を第2の(又は異なる)材料で構成することができる。例えば、第1の材料は第1の薬剤を含んでよく、第2の材料は第2の(又は異なる)薬剤を含んでよい。上記に加えて、例えば、足場24222の第1の足場層24227がその繊維内に吸収された第1の薬剤を有してよく、足場24222の第2の足場層24227がその繊維内に吸収された第2の(又は異なる)薬剤を有してもよい。例えば、第1の材料は第1の薬剤を含んでよく、第2の材料は第2の(又は異なる)薬剤を含んでよい。足場は、任意の適当な数の材料で構成された任意の適当な繊維密度を有する任意の適当な数の層を有しうる。
【0315】
組織厚さコンペンセータは、リテーナを用いて例えば外科用切断及びステープル留め器具のような外科用装置内に設置することができる。リテーナは、グリップ表面を有し、外科医、看護師、技師、又は他の人員が、例えば1以上の組織厚さコンペンセータを、アンビル及び/又はステープルカートリッジのような外科用器具の要素と整列させることを可能とする。リテーナは、外科用器具のステープルカートリッジと係合することによって1以上の組織厚さコンペンセータを整列させる要素を有することができる。リテーナは、外科用器具のアンビルと係合することによって1以上の組織厚さコンペンセータを整列させる要素を含みうる。外科用器具のステープルカートリッジは、リテーナとともに含まれてよく、リテーナを外科用器具と係合させることでステープルカートリッジを外科用器具内に設置し、1以上の組織厚さコンペンセータを整列させることができる。組織厚さコンペンセータが外科用器具と整列され、外科用器具に取り付けられた後、リテーナを組織厚さコンペンセータから取り外し、次いで外科用器具から取り出すことができる。
【0316】
図390〜396は、例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に取り付け、第2の組織厚さコンペンセータ19004を外科用ステープラのステープルカートリッジ19050に取り付けるために使用することができるリテーナ19000の一実施形態を示している。リテーナ19000、第1の組織厚さコンペンセータ19002、及び第2の組織厚さコンペンセータ19004を有するリテーナアセンブリ19060を提供することができる。使用時には、リテーナアセンブリ19060は、アンビル19040とステープルカートリッジ19050との間に挿入することができる。その後、アンビル19040を閉じることができる。アンビル19040を閉じることにより、アンビル19040は下方に第1の組織厚さコンペンセータ19002上に押し付けられ、これにより第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に取り付けることができる。アンビル19040を閉じると、リテーナ19000を下方に押して、ステープルカートリッジ19050が外科用器具の溝内に位置する。アンビル19040が再び開かれると、第1の組織厚さコンペンセータ19002がリテーナ19000から外れ、それに続いて、リテーナ19000が外科用器具から取り外されると、リテーナ19000は第2の組織厚さコンペンセータ19004から外れることができる。これにより、外科用器具は、アンビル19040に第1の組織厚さコンペンセータ19002が取り付けられ、ステープルカートリッジ19050に第2の組織厚さコンペンセータ19004が取り付けられた状態で使用できる状態にある。
【0317】
図390を参照すると、リテーナ19000は、外科器具を準備する外科医、看護師、又は技師などの人がリテーナ19000を把持することができるグリップ19014を有しうる。リテーナ19000は、第1の組織厚さコンペンセータ19002を配置することができる第1の表面19001、及び、第2の組織厚さコンペンセータ19004を配置することができる反対側の第2の表面19003を有しうる。必要に応じて、第1及び第2の組織厚さコンペンセータ19002及び19004を取り付けるために第1の表面19001及び/又は第2の表面19003に1以上の接着剤を塗布することができる。リテーナ19000は、例えば外科用器具のステープルカートリッジ19050と係合することができるクリップを更に有しうる。
図393を参照すると、リテーナ19000は、ステープルカートリッジ19050の遠位端の凹部19056と係合するように構成された遠位クリップ19108、及び/又はステープルカートリッジ19050上の隆起部又は縁部と係合するように構成された近位クリップ19106を有しうる。
【0318】
図390を参照すると、第1の組織厚さコンペンセータ19002は、リテーナ対向表面19006及びアンビル対向表面19010を有している。リテーナ対向表面19006は、例えば接着剤及び/又は係合機構によってリテーナ19000の第1の表面19001に取り付けることができる。アンビル対向表面19010は、第1の組織厚さコンペンセータ19002を外科用器具のアンビル19040に取り付けることができる少なくとも1種類の接着剤をその表面上に有しうる。例えば、接着剤は、アンビル19040のステープル成形表面19044(
図392)に接着しうる活性化可能な接着剤を含みうる。
【0319】
図390及び392〜395を参照すると、第1の組織厚さコンペンセータのアンビル対向表面19010は、アンビル19040上の同様の係合機構19042と係合する係合機構19020を有している。これにより、第1の保持力が第1の組織厚さコンペンセータ19002をリテーナ19000に対して保持することができ、第2の保持力が第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に対して保持することができる。第2の保持力は第1の保持力よりも大きくてよく、これにより、リテーナ19000がエンドエフェクタから取り外される際、第1の組織厚さコンペンセータ19002は、アンビル19040には取り付けられたままで、リテーナ19000からは分離することができる。
【0320】
再び
図390を参照すると、第2の組織厚さコンペンセータ19004は、リテーナ対向表面19008及びステープルカートリッジ対向表面19012を有しうる。リテーナ対向表面19006は、例えば接着剤及び/又は係合機構によってリテーナ19000の第1の表面19001に取り付けることができる。ステープルカートリッジ対向表面19012は、第2の組織厚さコンペンセータ19004を外科用器具のステープルカートリッジ19050に接着することができる接着剤を有してもよい。例えば、
図393を参照すると、接着剤は、第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050のステープルデッキ19052に接着することができる。ステープルカートリッジ対向表面19012は、ステープルカートリッジ19050上の協働する係合機構と係合する係合機構を有しうる。これにより、第1の保持力が第2の組織厚さコンペンセータ19004をリテーナ19000に対して保持することができ、第2の保持力が第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050に対して保持することができる。第2の保持力は第1の保持力よりも大きくてよく、これにより、リテーナ19000がエンドエフェクタから取り外される際、第2の組織厚さコンペンセータ19004は、ステープルカートリッジ19050には取り付けられたままで、リテーナ19000からは分離することができる。
【0321】
図393に示されるように、リテーナアセンブリ19060は、矢印Aにより示されるようにステープルカートリッジ19050に取り付けることができる。上記に述べたように、リテーナ19000上の遠位クリップ19018は、ステープルカートリッジ19050の凹部19056と係合し、リテーナ上の近位クリップ19016は、ステープルカートリッジ19050上の縁部又は隆起部19054と係合することができる。この時点で、リテーナ19000は、
図394に示されるようにステープルカートリッジ19050に取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050に取り付けることができる。
図395に示されるように、外科用器具のアンビル19040を矢印Bの方向に閉じることにより、例えば、ステープル成形表面及び/又は組織接触表面のようなアンビルの表面19044が第1の組織厚さコンペンセータ19002と接触することができる。上記に述べたように、アンビル19040が第1の組織厚さコンペンセータ19002と接触することで、第1の組織厚さコンペンセータ19002はアンビル19040に取り付けられる。
【0322】
リテーナアセンブリ19060がステープルカートリッジ19050に取り付けられ、アンビル19040が閉じられた後、第1の組織厚さコンペンセータ19002はアンビル19040に取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータ19004はステープルカートリッジ19050に取り付けられうる。上記に述べたように、第1の組織厚さコンペンセータ19002をリテーナ19000に対して保持する保持力は、第1の組織厚さコンペンセータ19002をアンビル19040に対して保持する保持力よりも小さくてよい。このため、アンビル19040が再び開かれると、第1の組織厚さコンペンセータ19002は、
図396に示されるように、リテーナ19000から外れ、アンビル19040に残る。やはり上記に述べたように、第2の組織厚さコンペンセータ19004をリテーナ19000に対して保持する保持力は、第2の組織厚さコンペンセータ19004をステープルカートリッジ19050に対して保持する保持力よりも小さくてよい。このため、リテーナ19000が
図396において矢印C及びDの方向に取り外される際にリテーナ19000は第2の組織厚さコンペンセータ19004から外れることができる。
図396に示される外科用ステープラは、アンビル19040に取り付けられた第1の組織厚さコンペンセータ19002、及びステープルカートリッジ19050に取り付けられた第2の組織厚さコンペンセータ19004を有し、使用できる状態にある。
【0323】
図390〜396は、第1の組織厚さコンペンセータ19002及び第2の組織厚さコンペンセータ19004とともに使用されているリテーナ19000を示している。リテーナ19000は、第1の組織厚さコンペンセータ19002及び第2の組織厚さコンペンセータ19004の一方のみとともに使用することもできる。例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19002を省略することができる。
【0324】
図397〜399は、表面19101上に係合機構を有しうるリテーナ19100の一実施形態を示している。
図398及び399に示されるように、リテーナ19100上の嵌合機構19108は第1の組織厚さコンペンセータ19102上の協働する係合機構19109と係合する。
【0325】
図400〜401は、組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230と整列させ、アンビル19230に取り付けるように構成された表面19202を有しうるリテーナ19200の一実施形態を示している。リテーナ19200は、表面19202から延びるアラインメントペグ19204を有しうる。
図400及び401に示されるリテーナ19200は、4個のアラインメントペグ19204を有しているが、これよりも多いか又は少ないアラインメントペグ19204が存在してもよい。
図401を参照すると、組織厚さコンペンセータ19210は、リテーナ19200から延びるアラインメントペグ19204の位置に対応するように配置することができる穴19216を有する本体19212を有することができる。組織厚さコンペンセータ19210のそれぞれの穴19216は、アラインメントペグ19204の上から嵌まり、穴19216とペグ19204との緊密な嵌め合いにより、組織厚さコンペンセータ19210をリテーナ19200と整列させることができる。必要に応じて、それぞれの穴19216はその対応するペグ19204よりわずかに小さくともよく、これにより、それぞれの穴19216はそのペグ19204上に被されると拡がる。このような拡がりによって穴19216はペグ19204を保持することができる。それぞれの穴19216が内部に接着剤を含むことにより、ペグ19204と組織厚さコンペンセータ19210との間に解放可能な接合を形成することができる。
【0326】
組織厚さコンペンセータ19220は、アンビル19230のスロット19234によって受容されるように構成することができる、組織厚さコンペンセータ19220の本体19212から延びるタブ19220を有しうる。アンビル19230のスロット19234は、例えばステープル成形表面19232内に配置することができる。リテーナ19200がステープルカートリッジに取り付けられた後、上記と同様、アンビル19230をリテーナ19200上の組織厚さコンペンセータ19210に対して閉じることができる。
図401を参照すると、アンビル19230が閉じられると、組織厚さコンペンセータ19210上のタブ19220がスロット19234と嵌合することにより、組織厚さコンペンセータ19210がアンビル19230に取り付けられる。主に
図400を参照すると、各タブ19220は、タブ19220をアンビル19230のスロット19234内に案内するテーパ部分19222を有しうる。テーパ部分19222は、傾斜壁を有してよく、その長さに沿って断面積が増大しうる。各タブ19220の基部19226は、テーパ部分19222の最大断面積よりも小さな断面積を有しうる。テーパ部分19222はロック表面19224を有してもよく、その場合、タブ19220がスロット19234に入るとロック表面19224がスロット19234内のリップ19235に引っ掛かることができる。その結果、ロック表面19224がスロット19234内にタブ19220を保持することによって、組織厚さコンペンセータ19210がアンビル19230に保持されうる。組織厚さコンペンセータ19210に画定され、各タブ19220間に延びるスロット19228により、各タブ19220は内側に撓み、スロット19234内に嵌まることが可能である。スロット19234によって保持されたタブ19220は、組織厚さコンペンセータ19210をアンビル19230に対して保持する第1の保持力を規定することができ、ペグ19204上に保持された組織厚さコンペンセータ19210の穴19216は第2の保持力を規定することができる。第1の保持力は第2の保持力よりも大きくてよく、これにより、リテーナ19200がエンドエフェクタから取り外される際、組織厚さコンペンセータ19210は、アンビル19230には取り付けられたままで、リテーナ19200からは分離することができる。
【0327】
図400及び401の組織厚さコンペンセータ19210の本体19212は、その内部にスロット19214を更に画定しうる。スロット19214は、組織厚さコンペンセータ19210の長手方向軸に沿って整列しうる。例えば、スロット19214は長手方向軸上に配置することができ、これにより、組織厚さコンペンセータ19210がアンビル19230に取り付けられる際、スロット19214が外科用器具の切断刃の長手方向の経路と整列される。スロット19214は、組織厚さコンペンセータ19210を切り開く切断刃によって必要とされるエネルギーの量を低減することができる。
【0328】
図402〜412は、リテーナ19300の第1の表面19302上にコンペンセータ19340を保持するように構成されたクリップ19310を有するリテーナ19300の一実施形態を示している。アンビル19360がリテーナ19300上に閉じられると、上記と同様、アンビル19360がクリップ19310を押して外側に変位させ、その結果、リテーナ19300が組織厚さコンペンセータ19340から外れることができる。組織厚さコンペンセータ19340は、アンビル19360が再び開かれる際にアンビル19360が組織厚さコンペンセータ19340に対して押し付けられてリテーナ19300から離れる方向に動かされる際、アンビル19360に取り付けられる。
【0329】
リテーナ19300は、
図390〜399に関して上記に述べたものと同様のステープルカートリッジ取り付けクリップ19312及び19314を有しうる。上記に述べた第1の表面19302以外に、リテーナ19300は、第2の組織厚さコンペンセータが取り付けられるように構成することができる第2の表面19304を更に有しうる。第2の表面19304は例えば隆起稜線部19308のようなアラインメント機構を有しうる。隆起稜線部19308は、例えば第2の組織厚さコンペンセータのスロット及び/又はステープルカートリッジ19370のスロットに嵌合することができる。
【0330】
図404〜406を参照すると、リテーナ19300はクリップ19314及び19312によってステープルカートリッジ19370に取り付けることができる。第1の組織厚さコンペンセータ19340は、リテーナ19300の第1の表面19302上に置き、クリップ19310によって定位置に保持することができる。主に
図410〜412を参照すると、各クリップは、リテーナ19300の第1の表面19302に対して第1の組織厚さコンペンセータ19340を固定することができる平坦部19313を有している。各クリップ19310は、内側に面したテーパ表面又は湾曲表面19311を有しうる。
図411を参照すると、アンビル19360が矢印Eの方向に動くにしたがい、アンビル19360の縁部19366が、クリップ19310の内側に面した湾曲表面19311と接触することができる。アンビル19360が、矢印Eの方向に引き続き動くと、アンビル19360の縁部19366とクリップ19310の湾曲表面19311との間の干渉によって、クリップ19310が
図411に示される矢印Fの方向に外側に押されうる。クリップ19310が矢印Fの方向に動くと、第1の組織厚さコンペンセータ19340はクリップ19310の平坦部19313から解放される。
【0331】
アンビル19360が矢印Eの方向に引き続き動くと、アンビル19360も組織厚さコンペンセータ19340と接触してこれに取り付けられる。例えばアンビル19360が矢印Eの方向に動くにしたがい、例えば隆起稜線部19344のような係合機構が、アンビル19360の溝19364と係合する。隆起稜線部19344は、溝19364と締まりばめするように構成されており、これにより組織厚さコンペンセータ19340がアンビル19360に取り付けられる。組織厚さコンペンセータ19340は、アンビル19360の表面と接着する接着剤を有してもよい。隆起稜線部19344は、溝19364の表面と接着する接着剤を有してもよい。同様に、組織厚さコンペンセータ19340の本体19342は、アンビル19360の表面19362と接着する接着剤を有してもよい。組織厚さコンペンセータ19340がアンビル19360に取り付けられた後、
図412に示されるようにアンビル19360を矢印Gの方向に動かすことによりアンビル19360がその開いた位置に戻るのにしたがい、組織厚さコンペンセータ19340がリテーナ19300から持ち上がるが、アンビル19360には取り付けられたままとなる。
【0332】
図413は、リテーナ19400の一実施形態の断面側面図を示している。第1の組織厚さコンペンセータ19410がリテーナ19400の第1の面19402上に配置され、第2の組織厚さコンペンセータ19420がリテーナ19400の反対側の第2の面19404上に配置されている。リテーナ19400には、これを貫通して延びる1以上の穴19406が画定されている。第1の組織厚さコンペンセータ19410と第2の組織厚さコンペンセータ19420とは、穴19406を通じて延びるコネクタ19430によって穴を介して連結されている。第1の組織厚さコンペンセータ19410、第2の組織厚さコンペンセータ19420、及びコネクタ19430のすべてを一体の材料で形成することができる。例えば、第1の組織厚さコンペンセータ19410、第2の組織厚さコンペンセータ19420、及びコネクタ19430を、リテーナ19400上にオーバーモールドすることができる。あるいは、コネクタ19430を例えば第1の組織厚さコンペンセータ19410のような組織厚さコンペンセータの一部として成形することもできる。コネクタ19430を穴19406に通過させ、次いで例えば第2の組織厚さコンペンセータ19420のような残りの組織厚さコンペンセータに取り付けることができる。コネクタ19430は、例えばコネクタの端部と第2の組織厚さコンペンセータ19420の受容ポート(図示せず)との間に接着剤を用いるか又は締まりばめを用いることにより第2の組織厚さコンペンセータ19420に取り付けることができる。コネクタ19430は、穴19406内に置かれる別体の要素とし、例えば、コネクタ19430の端部と第1の組織厚さコンペンセータ19410及び第2の組織厚さコンペンセータ19420の受容ポートとの間に接着剤又は締まりばめを用いることによって第1の組織厚さコンペンセータ19410及び第2の組織厚さコンペンセータ19410に取り付けることができる。
【0333】
例えばリテーナ19400がステープルカートリッジ19450上に置かれた後、外科用装置のアンビル19440を矢印Hの方向に閉じた位置へと動かすことができる。第1の組織厚さコンペンセータ19410の表面19414上の接着剤及び/又は係合機構により、アンビル19440が閉じると第1の組織厚さコンペンセータ19410がアンビル19440に取り付けられる。同様に、第2の組織厚さコンペンセータ19420の表面19424上の接着剤及び/又は係合機構により、第2の組織厚さコンペンセータ19420がステープルカートリッジ19450に取り付けられる。アンビル19440が閉じられ、第1及び第2の組織厚さコンペンセータ19410及び19420が、アンビル19440及びステープルカートリッジ19450にそれぞれ取り付けられた後、リテーナ19400を矢印I(
図417)の方向に引くことによって第1の組織厚さコンペンセータ19410と第2の組織厚さコンペンセータ19420との間からリテーナ19400を引き抜き、コネクタ19430を破断することができる。
図418に示されるように、コネクタ19430が破断され、リテーナ19400が引き抜かれた後、アンビル19440を再び開くことができ、第1の組織厚さコンペンセータ19410がアンビル19440に取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータ19420がステープルカートリッジ19450に取り付けられている。
【0334】
本発明によれば、リテーナ19400の各穴19406の近位部分19407は切断縁部を有してよい。リテーナが矢印I(
図417)の方向に引かれると、引く力が穴19406の近位部分19407に伝達されてコネクタが破断する。各穴19406の近位部分19407の切断縁部が、伝達された力を各コネクタの比較的小さい面積に集中させる。その結果、コネクタはより簡単に破断し、第1の組織厚さコンペンセータ19410と第2の組織厚さコンペンセータ19420との間からリテーナ19400を引き抜くのに要する力がより小さくなりうる。
【0335】
上記に述べたように、リテーナアセンブリは、第1の組織厚さコンペンセータと第2の組織厚さコンペンセータとの間に配置されたリテーナを有しており、その場合、2つの組織厚さコンペンセータが外科用器具のエンドエフェクタに挿入され、エンドエフェクタに取り付けられた後で、リテーナを組織厚さコンペンセータの間から引き抜き、エンドエフェクタから取り外すことができる。リテーナは、第1及び第2の第1の組織厚さコンペンセータの間にバリアを与えることができる。リテーナが第1及び第2の第1の組織厚さコンペンセータの間から引き抜かれると、例えば、第1の組織厚さコンペンセータ内及び/又は第1の組織厚さコンペンセータ上の物質が、第2の組織厚さコンペンセータ内及び/又は第2の組織厚さコンペンセータ上の物質と反応しうる。組織厚さコンペンセータの一方又は両方が、組織厚さコンペンセータ内に物質を閉じ込めることができるフィルムを有してもよい。これらのフィルムはリテーナに接着させることができ、その場合、上記に述べたようにリテーナが組織厚さコンペンセータの間から引き抜かれると、リテーナが組織厚さコンペンセータからフィルムを引き剥がして内部に含まれる物質が曝露されうる。この時点で、組織厚さコンペンセータのそれぞれの内部の物質は互いに相互作用することが可能となる。
【0336】
図419〜429は、例えば外科用ステープラのような外科用装置のアンビルと係合するリテーナの一実施形態を示している。リテーナは、第1の組織厚さコンペンセータをアンビルと整列させ、第2の組織厚さコンペンセータをステープルカートリッジと整列させることができる。アンビルを閉じることにより、第1の組織厚さコンペンセータがアンビルに取り付けられ、第2の組織厚さコンペンセータがステープルカートリッジに取り付けられる。リテーナは、ステープルカートリッジを保持することもでき、必要に応じて組織厚さコンペンセータがリテーナとステープルカートリッジとの間に配置される。アンビルを閉じることにより、ステープルカートリッジが外科用ステープラの溝に取り付けられ、第1の組織厚さコンペンセータがアンビルに取り付けられる。
【0337】
図419〜422は、リテーナ19500の一実施形態を示している。リテーナ19500は、それにより外科医、看護師、技師、又は他の人員がリテーナ19500を操作することができるグリップ19502を有している。グリップ19502は、良好なグリップ表面を与えることができる例えば隆起部19503のような非平滑化表面を有しうる。リテーナ19500は、組織厚さコンペンセータを取り付けることができる表面19504を有しうる。表面19504は、組織厚さコンペンセータの凹部と嵌合し、組織厚さコンペンセータをリテーナ19500の表面19504に対して整列させることができる1以上の突起19506を有してもよい。組織厚さコンペンセータの凹部は突起19506よりもわずかに小さくてよく、これにより、突起19506が凹部と嵌合する際、突起19506は組織厚さコンペンセータを表面19504に対して保持することができる。突起19506は、組織厚さコンペンセータの穴に通され、例えば
図424に示されるアンビル19550の切断刃スロット19558のようなスロットと嵌合することにより、組織厚さコンペンセータをリテーナ19500と整列させるとともにリテーナ19500のアンビル19550との更なるアラインメントを与えることができる。組織厚さコンペンセータ19540は、組織厚さコンペンセータをアンビル19550に取り付けるため、表面19542上に上記に述べたような接着剤及び/又は係合機構を有しうる。
【0338】
図423aに示されるように、ステープルカートリッジ19530はリテーナ19500に取り付けることができる。ステープルカートリッジ19530は、リテーナ19500から延びるクリップ19510及び19512によってリテーナ19500に取り付けることができる。リテーナ19500上のクリップ19512は、ステープルカートリッジ19530のスロット19534と係合することができる。リテーナ19500のクリップ19510は、ステープルカートリッジ19532の底部19532を包囲することができる。本発明によれば、第2の組織厚さコンペンセータはステープルカートリッジ19530に取り付けることができる。第2の組織厚さコンペンセータは、ステープルカートリッジ19530のステープルデッキ19536に取り付けることができる。
【0339】
図424及び425に示されるように、リテーナ19500、組織厚さコンペンセータ19540、及びステープルカートリッジ19530を含むリテーナアセンブリ19590は、矢印Lの方向に外科用ステープラのような外科用装置のアンビル19550上で摺動することができる。リテーナ19500上の案内タブ19508が、アンビル19550の縁部19552を包囲し、アンビル19550に対してリテーナアセンブリ19590を配置することができる。
図426及び427に示されるようにリテーナアセンブリ19590がアンビル19550と係合した後、アンビルを矢印Mの方向に閉じることができる。アンビル19550を閉じることにより、ステープルカートリッジ19530を外科用装置の溝19560内に配置することができる。アンビル19550を閉じることにより、リテーナ19500から延びるクリップ19510が溝19560の稜線部19562と係合することでステープルカートリッジ19530が溝19560内にしっかりと配置される。次に
図428及び429を参照すると、アンビル19550が矢印Nの方向に再び開かれると、組織厚さコンペンセータ19540はアンビル19550には取り付けられたままであるが、リテーナ19500からは分離することができる。次いでリテーナ19500を外科用器具から矢印O(
図428及び429)の方向に引き抜くと、ステープルカートリッジ19530は外科用装置の溝19560内に残り、組織厚さコンペンセータ19540はアンビル19550に取り付けられたままとなる。
【0340】
図430及び431は、組織厚さコンペンセータ19570及び19580の2つの代替的実施形態の例をそれぞれ示している。
図430は、リテーナ19501に取り付けられた組織厚さコンペンセータ19570の断面図であり、その場合、組織厚さコンペンセータ19570は、アンビル19550の縁部19552と接触してアンビル19550の外側表面19556を部分的に包囲しうる突起部19574を有しうる。突起部は、アンビル19550を把持するか、かつ/又は1以上の接着剤を使用してアンビル19550に接着することができる。コンペンセータ19570が患者の組織に対して移植された後で組織厚さコンペンセータ19570をアンビル19550から解放するには、突起部19574がアンビル19550から外側に撓むことにより、組織厚さコンペンセータ19570をアンビル19550から引き離すことが可能となる。
図431は、
図430に示されるリテーナ19501に取り付けられた組織厚さコンペンセータ19580の断面図である。組織厚さコンペンセータ19580はアンビル19550を包囲して組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550と整列させ、かつ/又は組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550上に保持することができるソックス19584を有している。ソックス19584は、組織厚さコンペンセータ19580をアンビル19550上に保持することができる。ソックス19584をアンビル19550から取り外すには、組織厚さコンペンセータ19580を例えばミシン目19586においてソックス19584から破り取ることができる。これにより、ソックス19584がアンビル19550上に残ったままとなる一方で、組織厚さコンペンセータ19580の残りの部分は患者組織にステープル留めされたままとなりうる。
【0341】
例えば組織厚さコンペンセータ19570のような組織厚さコンペンセータは、内部に生体適合性物質が配置された内側部分を有しうる。このような生体適合性物質には、例えば抗炎症剤、凝固剤、及び/又は抗生物質が含まれる。本発明によれば、例えばウェーハのような本体を組織厚さコンペンセータ内部の内側部分内に挿入することができる。例えば、ウェーハは、組織厚さコンペンセータの開口端からその内部に画定されたキャビティ内に挿入することができる。ウェーハは締まりばめによって組織厚さコンペンセータのキャビティ内に保持することができる。ウェーハを組織厚さコンペンセータに組み付けるための工程は、組織厚さコンペンセータが膨張するように組織厚さコンペンセータを加熱する第1の工程を含みうる。組織厚さコンペンセータが膨張すると、その内部に画定されたキャビティも膨張しうる。組織厚さコンペンセータが膨張した状態にある場合、第2の工程によって、ウェーハをキャビティ内に挿入することができる。この後、組織厚さコンペンセータが冷却する際、第3の工程によって、キャビティがウェーハ上に収縮してウェーハをキャビティ内部の定位置に保持することができる。
【0342】
図432〜444は、別体の挿入ツールを有するリテーナの一実施形態を示している。挿入ツールを使用して、例えば外科用ステープラのような外科用器具内にアセンブリを挿入することができる。挿入ツールは、ステープルカートリッジ及びリテーナアセンブリの1以上の組織厚さコンペンセータを外科用器具内の定位置に押し付けることもできる。
図432及び433を参照すると、リテーナ19600は第1のプレート19620及び第2のプレート19622を有しうる。第1のプレート19620と第2のプレート19622とは、ヒンジ19612によって連結することができる。ヒンジ19612は、第1のプレート19620を第2のプレート19622に対して所定の角度に位置決めするとともに、第1のプレート19620がヒンジ19612を中心として第2のプレート19622に対して回転することを可能とする。
【0343】
第1のプレート19620は、外側対向表面19604及び内側対向表面19606を有しうる。同様に、第2のプレート19622は、外側対向表面19610及び内側対向表面19608を有しうる。第1のプレート19620の内側対向表面19606は、カム突起19614を有しうる。同様に、第2のプレート19622の内側対向表面19608は、カム突起19616を有しうる。
図439〜444を参照すると、第1のプレートの外側対向表面19604は、その上に配置された組織厚さコンペンセータを有しうる。第2のプレート19622の外側対向表面19601もその上に配置された組織厚さコンペンセータを有しうる。各組織厚さコンペンセータは、接着剤、係合機構、及び/又は例えば
図318〜322に関して上記に述べた保持部材12295のような他の適当な取り付け手段を用いて外側表面19604及び19610に取り付けることができる。リテーナ19600は、第2のプレート19622から延び、
図439及び441〜444に示されるようなステープルカートリッジ19690と係合するように構成することができるクリップ19618を有してもよい。
【0344】
次に
図434〜438を参照すると、挿入ツール19630は第1の端部19632及び第2の端部19634を有しうる。第1の端部19632は、例えば外科医、看護師、及び/又は技師によって把持されるだけ充分な大きさを有しうる。第2の端部19634には、内部にカム19648が配置されうるキャビティ19640が画定されている。カム19648の第1の面は、第1のローブ19642、第2のローブ19644、及びそれらの間に配置される第1のアンチローブ19646を含みうる。カム19648の第2の面は、第3のローブ19643、第4のローブ19645、及びそれらの間に配置される第2のアンチローブ19647を含みうる。例えば各ローブ及び各アンチローブは鏡像関係に配置することができる。換言すれば、第1のローブ19642は、カム19648の第1の面上で、カム19648の第2の面上の第3のローブ19643の正反対に配置することができる。同様に、第2のローブ19644は、カム19648の第1の面上で、カム19648の第2の面上の第4のローブ19645の正反対に配置することができる。更に、第1のアンチローブ19464は、カム19648の第1の面上で、カム19648の第2の面上の第2のアンチローブ19647の正反対に配置することができる。
【0345】
使用時には、挿入ツール19630の第2の端部19634がリテーナ19600の第1のプレート19620と第2のプレート19622との間に配置されることにより、例えば、第1のプレート19620上のカム突起19614がアンチローブ19646と係合し、第2のプレート19622上のカム突起19616がアンチローブ19647と係合する。
図441及び442に示されるように、リテーナ19600、挿入ツール19630、1以上の組織厚さコンペンセータ、及びステープルカートリッジ19690を含む挿入アセンブリ19700を外科用器具に挿入することができる。外科用ステープラのような外科用器具は、ステープルカートリッジ19690を受容するように構成された溝19740、及びアンビル19720を有している。挿入アセンブリ19700は、ステープルカートリッジ19690を溝19740内にロックするために矢印P(
図442)の方向に外科器具に挿入することができる。このような位置では、カム19614及び19616がアンチローブ19646及び19647とそれぞれ整列することができる。
【0346】
図443に示されるようにステープルカートリッジ19690が溝19740内にロックされた後、挿入ツール19600を外科用器具に対して矢印Qの方向に引き続き動かすことができる。矢印Qの方向に挿入ツール19600を更に動かすと、第1のローブ19642が第1のカム突起19614と、第3のローブ19643が第2のカム突起19616と整列される。このようなアラインメントにより、リテーナプレート19620と19622とは、矢印R(
図443)の方向にヒンジ19612を中心として互いから離れる方向に回転することができる。このような状況では、リテーナプレート19620及び組織厚さコンペンセータ19670がアンビル19720の方向に動き、リテーナプレート19622がアンビル19720の方向に動いてこれと接触することができる。必要に応じて、上記の結果、組織厚さコンペンセータ19670がアンビル19720上に配置されてもよい。組織厚さコンペンセータ19670がアンビル19720に取り付けられた後、挿入ツール19630を矢印S(
図444に示される)の方向に引くか又は動かすことができる。挿入ツール19630を矢印Sの方向に動かすことにより、カム突起19614及び19616が第1のローブ19642及び第3のローブ19643からそれぞれ離れ、第1のアンチローブ19646及び第2のアンチローブ19647とそれぞれ再整列することができる。第2のローブ19642及び第4のローブ19645がカム突起19614及び19616とそれぞれ当接して、挿入ツール19630がリテーナ19600から完全に分離することを防止することができる。カム突起19614及び19616がアンチローブ19646及び19647と再整列すると、第1のプレート19620はヒンジ19612を中心として第2のプレート19622に近づく方向でアンビル19720から遠ざかる方向に少なくとも部分的に回転することができる。リテーナ19600もまた、溝19740から外れ、矢印Sの方向に引き抜くことができ、例えば組織厚さコンペンセータ19670がアンビル19720に取り付けられたままとなる。
【0347】
本明細書に述べるように、リテーナアセンブリを使用して1以上の組織厚さコンペンセータを外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタ内に設置することができる。リテーナアセンブリは、組織厚さコンペンセータ以外に各層を外科用器具内に設置することができる。これらの層は、例えば、吸収性材料及び/又は生体適合性材料を含みうる。
【0348】
図501を参照すると、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタインサート25002を受容するように構成することができる。エンドエフェクタ12は、下側ジョー25070、及び下側ジョー25070に対して枢動するように構成されたアンビル19720を有しうる。エンドエフェクタインサート25002は、アンビルインサート25004に枢動可能に連結されたステープルカートリッジ25000を有しうる。エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタインサート25002を受容するように構成することができ、これにより、例えばステープルカートリッジ25000が下側ジョー25070のステープルカートリッジ溝27072内に嵌合し、例えばアンビルインサート25004がアンビル25060と接触する。下側ジョー25070は、ステープルカートリッジ25000をステープルカートリッジ溝27072に対して固定するように構成された複数の固定部材25074を有しうる。アンビルインサート25004は、アンビル25060の少なくとも1つの保持溝と嵌合するように構成された少なくとも1つの保持突起を有しうる。アンビルインサート25004は、本明細書により詳しく述べるようにアンビル25060が下側ジョー25070に向かって枢動する際、ステープルカートリッジ25000に向かって対応して枢動するように構成することができる。
【0349】
引き続き
図501を参照すると、エンドエフェクタインサート25002はリテーナ25010を更に有しうる。リテーナ25010は、ステープルカートリッジ25000及びアンビルインサート25004の少なくとも一方としっかりと係合することができる。リテーナ25010は、ステープルカートリッジ25000をクリップ留め、係合、スナップ嵌め、クランプ締め、及び/又は引っ掛けることが可能な少なくとも1つの固定クリップ25012を有しうる。
図501に示されるように、リテーナ25010は、例えばその長手方向の側面のそれぞれに2個の固定クリップ25012を有しうる。例えば、固定クリップ25012は、例えばステープルカートリッジ25000の一部にクリップ留めされるように構成することができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、リテーナ25010によってエンドエフェクタインサート25002に対して定位置に保持することができる。例えば、組織厚さコンペンセータは、リテーナ25010とステープルカートリッジ25000との間に配置することができる。
【0350】
必要に応じて、リテーナ25010は、操作者がエンドエフェクタインサート25002をエンドエフェクタ12に挿入する際に操作者が把持するための堅い又はほぼ堅い要素を与えることができる。更に、リテーナ25010は、例えばリテーナ25010によって拘束された組織厚さコンペンセータの早期の変形を防止することができる。リテーナ25010は、エンドエフェクタ12を使用して組織を切断及び/又は締結する前にエンドエフェクタ12から取り外すことができる。また、リテーナ25010はエンドエフェクタ12内に配置したままとすることもできる。例えば、リテーナ25010は、ステープルがステープルカートリッジ25000内のステープルキャビティ25002(
図536)から発射される際に切断要素25052(
図536)によって切断されうる。リテーナ25010は、例えば、生体吸収性、生体適合性のエラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。リテーナ25010は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。リテーナ25010は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。
【0351】
図502を参照すると、エンドエフェクタ26012は、アンビル26060及び下側ジョー26070を有しうる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータ26020は、アンビル26060、下側ジョー26070、及び/又はアンビル26060及び下側ジョー26070の両方に対して解放可能に固定することができる。例えば、第1の組織厚さコンペンセータ26020は下側ジョー26070内のステープルカートリッジ26000に解放可能に固定することができ、第2の組織厚さコンペンセータ26022はアンビル26060に開放可能に固定することができる。第1及び第2の組織厚さコンペンセータ26020、26022は、本明細書に述べられる少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様、変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、第1及び第2の組織厚さコンペンセータ26020、26022は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。第1及び第2の組織厚さコンペンセータ26020、26022は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。第1及び第2の組織厚さコンペンセータ26020、26022は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。
【0352】
組織厚さコンペンセータ26020、26022は、堅い、又はほぼ堅い先端部26024,26026を有しうる。例えば、第1の先端部26024は、第1の組織厚さコンペンセータ26020の遠位端に配置することができ、第2の先端部26026は、第2の組織厚さコンペンセータ26022の遠位端に配置することができる。先端部26024、26026は、組織厚さコンペンセータ26020、26022の早期の変形を防止又は抑制することができる。例えば、先端部26024、26026は、組織厚さコンペンセータ26020、26022が例えばトロカールを通じて動かされるかかつ/又は患者の組織の周囲に誘導される際、組織コンペンセータ26020、26022を保護することができる。同様に、
図503を参照すると、エンドエフェクタ12は、下側ジョー25070内のステープルカートリッジ25000に解放可能に固定された第1の組織厚さコンペンセータ25020、及びアンビル25060に解放可能に固定された第2の組織厚さコンペンセータ25022を有しうる。本発明によれば、先端部25026を第2の組織厚さコンペンセータ25022の遠位端に配置することができる。先端部25026は、組織コンペンセータ25022の変形可能かつ/又は弾性部分に隣接して配置刷ることができる。先端部25026は、組織コンペンセータ25022の一部を覆って、かつ/又はその周囲に延びてよく、これにより、先端部25026が組織コンペンセータ25022の遠位端及び中間部分を保護することになる。
【0353】
図504〜531を参照すると、スリーブ27010を、例えば外科用器具のエンドエフェクタ12のアンビル25060と係合するように構成することができる。スリーブ27010は、叉状部分27040(
図505〜508)、ノーズ27080(
図515〜518)、及びコンペンセータ27120(
図509〜511)を有しうる。スリーブ27010は、直進運動する発射バー25052(
図525)がエンドエフェクタ12の遠位端に近づく際にコンペンセータ27020を解放するように構成することができる。コンペンセータ27020は、本明細書に述べられる少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様、変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、コンペンセータ27020は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。コンペンセータ27020は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。コンペンセータ27020は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。主に
図504を参照すると、叉状部分27040は、アンビル25060の外側表面25061上及び/又はその周囲に配置することができる。スリーブ27010のノーズ27080は、アンビル25060の遠位部分に、及び/又はその周囲に配置することができる。コンペンセータ27020は、アンビル25060の内側表面上、及び/又はその周囲に配置することができる。
【0354】
引き続き
図504を参照すると、叉状部分27040は少なくとも1つの叉27042aを有している。必要に応じて、
図505〜508に示されるように、叉状部分27040は第1の叉27042a及び第2の叉27042bを含みうる。叉27042a、27042bは、例えば対称的又はほぼ対称的なものとすることができる。第1の叉27042aは、第2の叉27042bに対して非対称的であってもよい。第1及び/又は第2の叉27042a、27042bは、それらの遠位端において細く形成することができる。例えば、各叉27042a、27042bは、幅狭端部27048を有しうる。主に
図507を参照すると、叉状部分27040は例えば外形を形成することができる。再び
図504を参照すると、叉状部分27040の外形は、例えばアンビル25060の外側表面25061の外形と一致させるか又はほぼ一致させることができる。主に
図507及び508を参照すると、叉状部分27040は、第1の叉27042aから延びる少なくとも1つのキャッチ27044aを更に有しうる。第1のキャッチ27044aは叉状部分27040の第1の側に配置することができ、第2のキャッチ27044bは叉状部分27040の第2の側に配置することができる。キャッチ27044a、27044bは、例えば叉状部分27040の近位端、又はその近くに配置することができる。キャッチ27044a、27044bは、例えば第1及び/又は第2の叉27042a、27042bに沿ってなど、叉状部分27040の遠位端、又はその近くに配置することができる。キャッチ27044a、27044bは、叉状部分27040の相当の長さに沿って、かつ/又は叉状部分27040のより短い長さに沿って延在しうる。例えば、複数のキャッチ27044a、27044bを、叉状部分の長手方向のそれぞれの側に沿って配置することができる。主に
図508を参照すると、第1のキャッチ27044aは第1のキャッチ延長部27046aを有してよく、かつ/又は第2の27044bは第2のキャッチ延長部27046bを有してよい。第1のキャッチ延長部27046aは、例えばキャッチ27044aの少なくとも一部から突出してよく、第2のキャッチ延長部27046bは、キャッチ27044bの少なくとも一部から突出してよい。更に、第1のキャッチ延長部27046a及び第2のキャッチ延長部27046bは、本明細書で更に詳しく述べるように、コンペンセータ27020の隙間27128(
図510)と嵌合するようにそれぞれ構成することができる。
【0355】
次に
図530を参照すると、スリーブ27010のコンペンセータ27020は、長手方向の突起部27024、及びコンペンセータ27020の両側の長手方向の縁部27026を有しうる。コンペンセータ27020は、アンビル25060の内側表面25063に隣接して配置することができる。更に、スリーブ27010がアンビル25060上に配置される際、長手方向の突起部27024は、アンビル25060の長手方向のスロット25062とほぼ整列するか、かつ/又はその内部に配置されうる。コンペンセータ27020の各縁部27026は、アンビル25060の周囲をアンビル25060の外側表面に向かって少なくとも部分的に包み込むことができる。主に
図509〜511を参照すると、スリーブ27110のコンペンセータ27120は、本体27122を有してよく、本体27122は少なくとも本体27122の一部に沿って延びる長手方向の突起部27124を有している。長手方向の突起部27124は、例えば本体27122の中心線に沿って長手方向の経路を規定することができる。長手方向の突起部27124は、スリーブ27110がアンビル25060上に配置される際にアンビル25060の長手方向のスロット25062(
図530)によって受容されうる。主に
図511を参照すると、長手方向の突起部27124は丸みを帯びた突起部を構成しうる。例えば、長手方向の突起部27124の断面は、アーチ及び/又は部分環を形成しうる。あるいは、長手方向の突起部27124は、角張った、かつ/又は段差のある突起部を構成してもよい。コンペンセータ27120は、縁部27126を更に有してよく、縁部27126は例えば直線状であっても、折れ曲がっていても、ひだ状であっても、波状であっても、かつ/又はジグザグ状であってもよい。縁部27126は、組み立てられたスリーブ27110がアンビル25060上に配置される際にキャッチ延長部27046a、27046b(
図508)を受容するように構成することが可能な隙間27128を有しうる。キャッチ延長部27046a、27046bは、アンビル25060と係合するように隙間27128に嵌合し、これにより、例えばキャッチ延長部27046a、27046bがスリーブ27110をアンビル25060に固定する助けとなる。
【0356】
主に
図512〜514を参照すると、スリーブ27210のコンペンセータ27220は、本体27222を有してよく、本体27222は少なくとも本体27222の一部に沿って延びる長手方向の突起部27224を有している。必要に応じて、上記と同様、長手方向の突起部27224は、スリーブ27210がアンビル25060上に配置される際にアンビル25060の長手方向のスロット25062(
図531)によって受容されうる。主に
図514を参照すると、長手方向の突起部27224は、突起部70224の断面がほぼ矩形の形状を形成するような角張った突起部を構成してもよい。コンペンセータ27220は、縁部27226を更に有してよく、縁部27226は例えば直線状であっても、折れ曲がっていても、ひだ状であっても、波状であっても、かつ/又はジグザグ状であってもよい。縁部27226は、組み立てられたスリーブ27210がアンビル25060上に配置される際にキャッチ延長部27046a、27046b(
図508)を受容するように構成することが可能な隙間27228を有しうる。キャッチ延長部27046a、27046bは、隙間27228に嵌合してアンビル25060と係合し、これにより、例えばキャッチ延長部27046a、27046bがスリーブ27210をアンビル25060に固定する助けとなる。コンペンセータ27220は、コンペンセータ27220の本体27222を横方向に横断する複数のリブ27229を更に有しうる。リブ27229は、スリーブ27210がアンビル25060上に配置される際、かつ/又はコンペンセータ27220が組織と接触する際に、コンペンセータ27220の本体27222を支持することができる。
【0357】
図515〜519を参照すると、スリーブ27010のノーズ27080は、アンビル25060の長手方向のスロット25062(
図530)とほぼ整列しうるアラインメント隆起部27082を有しうる。アラインメント隆起部27082が長手方向のスロット25062と整列し、スリーブ27010がアンビル25060上に配置されると、ノーズ27082はスリーブ27010の叉状部分27040の遠位部分を少なくとも部分的に包囲することができる。例えば、各叉27042a、27042bの幅狭端部27048を、スリーブ27010がアンビル25060上に配置される際にノーズ27080内に配置することができる。本明細書でより詳細に述べるように、ノーズ27080は、叉状部分27042がノーズ27080と嵌合する際に叉27042a、27042bを互いに近づくように、かつ/又は下方に撓ませることができる。更に、
図519に示されるように、叉状部分27040の幅狭端部27048がノーズ27080内に配置される際、例えば、叉状部分27040上のキャッチ27044a、27044bがコンペンセータ27020の各縁部27026と係合することができる。この係合の結果、コンペンセータ27010をアンビル25060に固定することができる。
【0358】
図520〜524を参照すると、ノーズ27080がスリーブ27010の叉状部分27040に嵌合される際、コンペンセータ27020をアンビル25060に固定することができる。ノーズ27080は、発射バー25050がアンビル25060の長手方向のスロット25062の一部に沿って直進運動する際、叉状部分27040と嵌合したままでありうる。次に
図524〜529を参照すると、発射バー25050上の切断要素25052、及び/又は、例えば保持フランジ25054のような発射バー25050の他の任意の適当な部分がアンビル25060の遠位端に近づく際、発射バー25050がノーズ27080を叉状部分27040から外すことができる。発射バー25050は例えばノーズ27080と接触し、ノーズ27080をアンビル25060から外れるように押し、これによりノーズ27080はスリーブ27010の叉状部分27040から分離される。次に
図531を参照すると、第1及び第2の叉27042a、27042bは、ノーズ27080が叉状部分27040から外れる際に、アンビル25060から離れる方向に撓むように構成することができる。例えば、叉状部分27070がノーズ27080に嵌合されると、叉27042a、27042bは、互いに近づくように、かつ/又はアンビル25060に向かって下方に撓み、ノーズ27080によってその位置に保持される。叉27042a、27042bがノーズ27080によるばね荷重下で保持されることにより、叉27042a、27042bは、ノーズ27080が叉27042a、27042bから外れるとニュートラルな形態に戻ろうとする。また、叉27042a、27042bは、ノーズ27080が叉27042a、27042bから外されると発射バー25050によって叉27042a、27042bが外側に変形又は広げられるように充分に変形可能なものであってもよい。叉27042a、27042bがアンビル25060から離れる方向に動くと、各叉27042a、27042bの長手方向の側部に沿ったキャッチ27044a、27044bがコンペンセータ27020から外れ、これによりコンペンセータ27020がアンビル25060から解放される。
【0359】
図532〜538を参照すると、外科用器具のエンドエフェクタ12は、例えばエンドエフェクタインサート28010を受容するように構成することができる。エンドエフェクタインサート28010は、コンペンセータ本体28012及び少なくとも1つのクリップ28014a、28014bを有しうる。エンドエフェクタインサート28010は、例えばコンペンセータ本体28012の近位端の近位クリップ28014b及びコンペンセータ本体28012の遠位端の遠位クリップ28014aを有しうる。主に
図535を参照すると、遠位クリップ28014aは、アンビル25060の遠位端、又はその近くにおいてエンドエフェクタ12のアンビル25060に固定することができる。例えば、遠位クリップ28014aは、アンビル25060の長手方向のスロット25062とほぼ整列させるか、かつ/又は長手方向のスロット25062内に部分的に配置することができる。主に
図536を参照すると、近位クリップ28014bは、エンドエフェクタ12の下側ジョー25070内でステープルカートリッジ25000に固定することができる(
図537)。近位クリップ28014bは、ステープルカートリッジ25000の近位端、又はその近くにおいてステープルカートリッジ25000に固定することができる。例えば、近位クリップ28014bは、ステープルカートリッジ25000の長手方向のスロット25004とほぼ整列させるか、かつ/又は長手方向のスロット25004内に配置することができる。
【0360】
次に
図537及び538を参照すると、エンドエフェクタインサート28010を、外科用器具のエンドエフェクタ12内に挿入することができる。必要に応じて、コンペンセータ本体28012、遠位クリップ28014a、及び/又は近位クリップ28014bなどのエンドエフェクタインサート28010の少なくとも一部を、変形可能及び/又は弾性を有するものとすることができる。エンドエフェクタインサート28010がエンドエフェクタ12内に挿入されると、遠位及び/又は近位クリップ28014a、28014bが曲がるか又は撓むことができる。クリップ28014a、28014bが撓む際、例えば、クリップ28014a、28014bはそれらの初期の変形していない形態に戻ろうとし、例えば対応したスプリングバック又は復元力を発生しうる。必要に応じて、エンドエフェクタインサート28010は、エンドエフェクタ12内に配置される際、エンドエフェクタ12にばね荷重を作用させることができる。エンドエフェクタインサート28010は、操作者がエンドエフェクタインサート28010及びステープルカートリッジ25000をエンドエフェクタ12内に挿入する際にインサート28010を把持することができるように堅い又はほぼ堅いものとすることができる。
【0361】
エンドエフェクタインサート28010は、エンドエフェクタ12の切断及び/又は締結動作に先立ってエンドエフェクタ12から取り出すことができる。あるいは、エンドエフェクタインサート28010は、切断及び/又は発射動作の間、エンドエフェクタ12内に配置されたままとすることもできる。例えば、エンドエフェクタインサート28010は、ステープルがステープルカートリッジ25000内のステープルキャビティ25002(
図536)から発射される際に切断要素25052によって切断されうる。エンドエフェクタインサート28010は、本明細書に述べられる組織厚さコンペンセータの少なくとも1つと同様の組織厚さ補償材料を含みうる。例えば、エンドエフェクタインサート28010は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。エンドエフェクタインサート28010は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。エンドエフェクタインサート28010は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。
【0362】
図539〜544を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020を、外科用器具のエンドエフェクタ12内に配置することができる。組織厚さコンペンセータ29020は、本明細書に述べられる組織厚さコンペンセータの少なくとも1つとほぼ同様のものでありうる。例えば、組織厚さコンペンセータ29020は、組織厚さコンペンセータ29020の変形がスプリングバック又は復元力を発生するように充分に変形可能又は弾性を有するものとすることができる。主に
図540を参照すると、静電荷が組織厚さコンペンセータ29020をエンドエフェクタ12のアンビル25060に引き寄せることにより、静電荷によって組織厚さコンペンセータ29020がアンビル25060に固定される。この静電荷は、アンビル25060が組織厚さコンペンセータ29020を解放するように中和することができる。これに加えるか又はこれに代えて、次に
図541を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020は少なくとも1つの吸引要素29022によってアンビル25060に固定することができる。例えば、組織厚さコンペンセータ29020の表面上の複数の微小吸引要素29022は、組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に解放可能に固定することができる。これに加えるか又はこれに代えて、
図542を参照すると、フック・アンド・ループ式ファスナ29024によって組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に固定することもできる。例えば、組織厚さコンペンセータ29020の表面が複数のフックファスナ29024aを有し、例えばアンビル25060の表面が複数のループファスナ29024bを有することができる。フックファスナ29024aがループファスナ29024bと係合することにより、組織厚さコンペンセータ29020がアンビル25060に解放可能に固定される。
【0363】
これに加えるか又はこれに代えて、次に
図543を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020はバンド29026によってアンビル25060に固定することができる。バンド29026はエラストマーポリマーで構成することができ、アンビル25060の周囲に巻くか、又は結びつけることができる。バンド29026がアンビル25060から取り外されると、組織厚さコンペンセータ29020はアンビル25060から解放されうる。バンド29026の取り外しを容易にするため、バンド29026は例えば伸ばすか、かつ/又は切断することができるものでよい。本発明によれば、複数のバンド29026によって組織厚さコンペンセータ29020をアンビル25060に固定することができる。これに代えるか又はこれに加えて、次に
図544を参照すると、組織厚さコンペンセータ29020は、組織厚さコンペンセータ29020の遠位端に配置されたソックス29028によってアンビル25060に固定することができる。ソックス29028は、例えばアンビル25060の遠位端をその内部に受容するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ29020上のアラインメント棚部29029は、アンビル25060の長手方向のスロット25062と整列するか、かつ又は長手方向のスロット25062内に配置されうる。例えば、アラインメント棚部29029は、組織厚さコンペンセータ29020が長手方向のスロット25062上に配置されるか、かつ/又は長手方向のスロット25062から取り出される際、長手方向のスロット25062内で摺動することができる。
【0364】
図545〜547を参照すると、組織厚さコンペンセータ30020を、外科用器具のエンドエフェクタ12のアンビル25060内に配置することができる。組織厚さコンペンセータ30020は、本体30022及びポケット30024を有しうる。例えば本体30022とポケット30024との間にコンペンセータ材料30026が保持されうる。コンペンセータ材料30026は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。これに加えるか又はこれに代えて、コンペンセータ材料30026は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ30020は、本明細書に述べられる少なくとも1つの組織厚さコンペンセータと同様、変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、組織厚さコンペンセータ30020は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。組織厚さコンペンセータ30020は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。
【0365】
主に
図546を参照すると、組織厚さコンペンセータ30020の本体30022は、組織厚さコンペンセータ30020がアンビル25060に固定される際にアンビル25060の長手方向のスロット25062内に受容されうるアラインメント要素30028を有しうる。本体30022は、本体30022の形状がアンビル25060の形状とほぼ一致するように段差状の厚さを有することができる。更に、本体30022は、長手方向のフランジ30029を有しうる。例えば、長手方向のフランジ30029は、例えば組織厚さコンペンセータ30020の本体30022の長手方向のそれぞれの側部に沿って延びることができる。長手方向のフランジ30029は、アンビル25060の周囲を少なくとも部分的に包み込むことによってアンビル25060に組織厚さコンペンセータ30020を固定することができる。更に、長手方向のフランジ30029は、例えば、アンビル25060を収容し、かつ/又はアンビル25060と係合するように撓むことができるような充分な弾力性を有することができる。長手方向のフランジ30029は、フランジ30029がアンビル25060と係合する際にアンビル25060に締め付け力を作用させることができる。ポケット30024は凹み30025を有しうる。組織厚さコンペンセータ30020がアンビル25060に固定される際、凹み30025は例えばアンビル25060の長手方向のスロット25062とほぼ整列することができる。組織厚さコンペンセータ30020は凹み30025において薄くすることができ、これにより、薄くなっている部分において直進運動する切断要素25052(
図536)が組織厚さコンペンセータ30020を切断する。
【0366】
次に
図548及び549を参照すると、組織厚さコンペンセータ30120は、内部に補償材料30026を保持するように構成された本体30122を有しうる。組織厚さコンペンセータ30120は、アラインメント要素30128、凹み30125、及び/又は長手方向のフランジ30129を有しうる。組織厚さコンペンセータ30120は、開位置と閉位置との間で動かすことができるラッチ30124を更に有しうる。ラッチ30124が
図548に示されるような閉位置にある場合には、補償材料30026を組織厚さコンペンセータ30120の本体30122内に封入することができ、ラッチ30124が
図549に示されるような開位置にある場合には、補償材料30026は本体30122から脱出することができる。本発明に述べられる組織厚さコンペンセータの少なくとも1つと同様、組織厚さコンペンセータ30120は変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、組織厚さコンペンセータ30120は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。組織厚さコンペンセータ30120は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。組織厚さコンペンセータ30120の弾性のため、本体30122の少なくとも一部は、ラッチ30124を開位置と閉位置との間で動かすように撓むことができる。組織厚さコンペンセータ30120の本体30122は、アンビルが手術部位から引き抜かれる際、アンビルに取り付けられたままでありうる。例えば、本体30122は、内部に本体30122を捕捉したステープルから引き剥がされるように構成することができる。
【0367】
図550を参照すると、組織厚さコンペンセータ30220は、本体30222及びポケット30224を有しうる。補償材料30026が、例えば、本体30222とポケット30224との間に保持されうる。組織厚さコンペンセータ30220は、アラインメント要素、凹み、及び/又は長手方向のフランジ30229を有しうる。更に、少なくとも1つの長手方向のフランジ30229が、組織厚さコンペンセータ30220のポケット30224から延びるタブ30225を受容するように構成することができる、溝、又はスロット30228を有しうる。そのような場合、溝30228とタブ30225との嵌合により、本体30222とポケット30224とが連結されうる。更にそのような場合、溝30228とタブ30225との連結により、組織厚さコンペンセータ30220内部に補償材料30026が封入及び/又は保持されうる。次に
図551を参照すると、組織厚さコンペンセータ30320のポケット30324は、ポケット30324から延出するアンカー30325を有しうる。更に、組織厚さコンペンセータ30320は、開口部30328を有する本体30322を有しうる。アンカー30325はポケット30324から延びて本体30322の開口部30328と嵌合することができる。このような構成では、ポケット30324と本体30322とはその間に補償材料30026を封入することができる。組織厚さコンペンセータ30320は、本体30322をアンビルに対して保持するためにアンビルに取り付けることができる1以上のフランジ30229を更に有してもよい。
【0368】
次に
図552を参照すると、組織厚さコンペンセータ30420は、本体30422及びポケット30424を有しうる。組織厚さコンペンセータ30420の本体30422とポケット30424との間に補償材料30026が保持されうる。本体30422はオリフィス30428を有してよく、ポケット30424はアンカー30425を有しうる。アンカー30425は、例えば、ポケット30424から、本体30422のオリフィス30428を通って延びることができる。アンカー30425は、例えば組織厚さコンペンセータ30420がアンビル25060に固定される際、アンビル25060と係合することができる。アンカー30525は、アンビル25060と係合する際にアンカー30425が撓むように充分に変形可能かつ弾性を有するものでありうる。更に、撓んだアンカー30425は、アンビル25060に締め付け力を作用させることによって組織厚さコンペンセータ30420をアンビル25060に固定するか、又は固定する助けとなりうる。また、アンカーは、コンペンセータ本体のオリフィスを完全に貫通して延びなくてもよい。
図553を参照すると、コンペンセータ30520のポケット30524上のアンカー30525は、組織厚さコンペンセータ30520の本体30522のオリフィス30528と嵌合することができる。アンカー30525がオリフィス30528と嵌合することでポケット30524を本体30522に固定することができる。例えば、オリフィス30528はソケットにまで延びるネック部分を有してもよい。アンカー30525は、ネック部分を通過してソケットと係合することによりアンカー30525をオリフィス30528内に固定することができる固定縁部を有しうる。組織厚さコンペンセータ30520は、例えば、アラインメント要素、凹み、及び/又は長手方向のフランジ30529を更に有しうる。
【0369】
図554〜556を参照すると、組織厚さコンペンセータ31020を、例えば外科用器具のエンドエフェクタ31012のアンビル31060と係合するように構成することができる。組織厚さコンペンセータ31020は、外側フィルム31022、内側フィルム31024、及びその間に配置された補償材料31026を有しうる。本発明に述べられる組織厚さコンペンセータの少なくとも1つと同様、組織厚さコンペンセータ31020は変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、補償材料31026は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。組織厚さコンペンセータ31020は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。組織厚さコンペンセータ31020は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含んでもよい。組織厚さコンペンセータ31020の補償材料31026が治療薬を含んでもよい。
【0370】
内側フィルム31024は、例えば、アンビル31060のステープル成形ポケット31066に隣接して配置することができる。主に
図554を参照すると、内側フィルム31024は、内側フィルム31024の形状がアンビル31060の形状とほぼ一致するように段差状の形態を有しうる。内側フィルム31024は、例えばアンビル31060の長手方向のスロット31062とほぼ整列するか、かつ/又は平行であってよいアラインメント稜線部31028を更に有しうる。本明細書により詳細に述べるように、内側フィルム31024は、内側フィルム31024の長手方向のそれぞれの側部から延び、キャッチ31027で終端する内側フランジ31025を有しうる。外側フィルム31022は、例えば、本体31021及び少なくとも1つの外側フランジ31023を有しうる。必要に応じて、外側フランジ30123は、例えば本体31021の長手方向のそれぞれの側部から延びてよい。外側フランジ31023を内側フランジ31025に固定することにより、補償材料31026を外側フィルム31022と内側フィルム31024との間に保持することができる。
【0371】
主に
図556を参照すると、アンビル31060は、外側表面31061、及び外側表面31061の少なくとも一部に沿った少なくとも1つの溝31064を有しうる。本発明によれば、内側フィルム31024の内側フランジ31025上のキャッチ31027は、溝31064内に配置することができる。
図555を参照すると、例えば組織厚さコンペンセータ31020はアンビル31060の周囲に滑らせることができる。アンビル31060上の溝31064は、アンビル31060の遠位端まで延びることができる。そのような場合、組織厚さコンペンセータ31020のキャッチ31027は、溝31064内で、組織厚さコンペンセータ31020の長さに沿って滑ることができる。
【0372】
次に
図557及び558を参照すると、組織厚さコンペンセータ31120は、補償材料31026及び少なくとも1つのコネクタ31124を有しうる。各コネクタ31124は、補償材料31026の周囲に延びてよく、その両端のキャッチ31127で終端しうる。キャッチ31127をアンビル31060の溝31064内に配置することにより、組織厚さコンペンセータ31120をアンビル31060に固定することができる。アンビル31060上の溝31164は、アンビル31060の遠位端まで延びることができる。そのような場合、コネクタ31124のキャッチ31127は、溝31064内で滑ることができる。また、コネクタ31124は、アンビル31060の周囲に撓んでスナップ嵌めされるように弾性を有するものでもよい。使用時には、コネクタ31124は、補償材料31026がアンビル31060から外れるまで補償材料31026を定位置に保持することができる。特定の状況では、コネクタ31124はアンビル31060に取り付けられたままであってよく、アンビルとともに手術部位から引き抜くことができる。特定の他の状況では、コネクタ31124はアンビル31060から取り外して、補償材料31026とともに移植することができる。
【0373】
図559〜565を参照すると、組織厚さコンペンセータ32120は、本体部分32022、少なくとも1つの長手方向のフランジ32024、及び少なくとも1つのポケット32026を有している。本発明に述べられる組織厚さコンペンセータの少なくとも1つと同様、組織厚さコンペンセータ31020は変形可能かつ/又は弾性のものとすることができる。例えば、補償材料31026は、例えば、生体吸収性、生体適合性エラストマーポリマーなどのポリマー組成物を含みうる。組織厚さコンペンセータ31020は、例えば凍結乾燥多糖類、糖タンパク質、エラスチン、プロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、及び/又は酸化再生セルロース(ORC)のような生体吸収性ポリマーを更に含みうる。長手方向のフランジ32024は、本体部分32022の長手方向のそれぞれの側部に沿って延びることができる。主に
図562を参照すると、組織厚さコンペンセータ32020の長手方向のフランジ32024はアンビル25060と係合するように構成することができる。例えば、組織厚さコンペンセータ32020はアンビル25060及び長手方向のフランジ32024上に滑らせることができ、アンビル25060の一部を少なくとも部分的に包み込むことができる。そのような場合、フランジ32024は、例えば組織厚さコンペンセータ32020をアンビル25060に固定することができる。必要に応じて、組織厚さコンペンセータ32020がアンビルに固定される際、組織厚さコンペンセータ32020の本体部分32022は、アンビル25060の内側表面上のステープル成形ポケット25066と重なり合うことができる。
【0374】
上記に加えて、複数のポケット32026が、本体部分32022を横方向に横断しうる。主に
図563を参照すると、複数のポケット32026は、薬学的な活性成分又は薬剤のような少なくとも1種類の治療薬を含むことができる。本発明によれば、複数の第1のポケット32026aは、第1の治療薬又はその組み合わせを含んでよく、複数の第2のポケット32026bは、第2の治療薬又はその組み合わせを含みうる。第1のポケット32026a及び第2のポケット32026bは、例えば本体部分32022に沿って交互に配置することができる。更に、第1のポケット32026aから第1の治療薬が放出され、第2のポケット32026bから第2の医薬品が放出される際、第1及び第2の治療薬が互いに反応するように構成することができる。
図565を参照すると、ポケット32026は、例えば発射バー25050がアンビル25060の長手方向のスロット25062に沿って直進運動する際に内部に保持された治療薬を放出することができる。
【0375】
次に
図566を参照すると、外科用ステープル留め器具のエンドエフェクタは、アンビル32060及び組織厚さコンペンセータ32520を有するステープルカートリッジ32500を有しうる。上記と同様、ステープルカートリッジ32500は、その内部に少なくとも部分的に含まれ、ステープルカートリッジ32500から射出されてその中に組織厚さコンペンセータ32520を捕捉することができる複数のステープル32530を有しうる。やはり上記と同様、ステープル32530は、組織厚さコンペンセータ32520を貫通して、アンビル32560に画定されたステープル成形ポケット32562と接触することができる。次に
図568を参照すると、アンビル32560は、組織厚さコンペンセータ32580をアンビル32560に対して保持するように構成することが可能な、アンビル32560に取り付けられる層32570を更に有しうる。例えば、層32570は、静電荷を保持及び/又は発生させ、組織厚さコンペンセータ32580を引きつけるように構成することができる帯電可能層を含みうる。より詳細には、例えば、能動的に作動されるものか又は受動的に作動されるものかによらず、ファンデルワールス分子間力によって組織厚さコンペンセータ32580を層32570に対して保持することができる。帯電可能層32570は、帯電可能層32570を電源と選択的に連結し、その結果、帯電可能層32570内に選択的に静電荷を発生させるように構成された制御部を有しうる外科用ステープル留め器具のハンドルと電気的に連絡していてよい。例えば、帯電可能層32570は、例えばポリマー内に包埋された導電性電極を有しうる。いずれの場合も、静電荷を帯電した層32570は、組織厚さコンペンセータ32580内の逆に帯電した粒子を引きつけて、組織厚さコンペンセータ32580をアンビルに対して保持することができる。次に
図567を参照すると、帯電可能層32570は、互いに電気的に連絡した導電体のグリッド又は格子32571を有しうる。例えば、導電体は、アンビル32560内に画定されたステープル成形ポケット32562を包囲するように配置及び配列することができる。そのような場合、ステープル32530は、ステープルカートリッジ32500から射出された後、その中に導電体32571を捕捉することなくアンビル32560によって成形されうる。異なる状況において、ステープル32530が組織厚さコンペンセータ32580と係合した後で帯電可能層32570を電源から遮断することで層32570内の静電荷が消散しうる。特定の他の状況では、層32570は、ステープル32530が発射される前に電源から遮断することができる。いずれの場合も、静電荷が消散すると、アンビル32560を再び開いて、層32570を組織厚さコンペンセータ32580から離れる方向に動かすことができる。静電荷は、層32570を組織厚さコンペンセータ32580から取り外す前に完全に消失させなければならない場合もあるが、あるいは、層32570内の静電荷が完全に消散する前に層32570を組織厚さコンペンセータ32580から取り外すこともできる。上記の結果、組織厚さコンペンセータ32580を、化学接着剤を使用せずにアンビル32560に取り付けることができる。
【0376】
上記に加えて、層32570は、外科用ステープル留め器具のハンドルにフィードバック機能を与えることもできる。例えば、層32570は、感圧性であってよく、例えばアンビル32560によって層32570に加えられるクランプ締め圧を検出するように構成することができる。
【0377】
上記に加えて、組織厚さコンペンセータは生体適合性材料で構成することができる。発泡材のような生体適合性材料は、粘着付与剤、界面活性剤、充填剤、架橋剤、顔料、色素、酸化防止剤及び他の安定化剤、並びに/又はこれらの組み合わせを含むことによって材料に所望の性質を与えることができる。生体適合性発泡材は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、材料の表面に塗布するか、かつ/又は材料内に分散させることができる。いずれの特定の理論に束縛されることも望むものではないが、生体適合性材料に塗布される界面活性剤は、材料と接触する液体の表面張力を低減させるものと考えられる。例えば、界面活性剤は、材料と接触する水の表面張力を低下させることによって材料内への水の浸透を加速させると考えられる。水は触媒として作用する。界面活性剤は材料の親水性を高めることができる。
【0378】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又は非イオン性界面活性剤を含みうる。界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリアクリル酸、メタロース(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びポリオキサマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤は、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーを含みうる。界面活性剤は、リン脂質界面活性剤を含んでもよい。リン脂質界面活性剤は、抗菌安定化特性を与え、かつ/又は生体適合性材料中に他の材料を分散させることができる。
【0379】
組織厚さコンペンセータは、少なくとも1種類の薬剤を含むことができる。組織厚さコンペンセータは、本明細書に述べられる1以上の天然材料、非合成材料、及び/又は合成材料を含むことができる。組織厚さコンペンセータは、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、酸化再生セルロース、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグレカプロン、及びこれらの組み合わせを含む生体適合性発泡材を含みうる。組織厚さコンペンセータは、前記少なくとも1種類の薬剤を含むフィルムを含みうる。組織厚さコンペンセータは、前記少なくとも1種類の薬剤を含む生分解性フィルムを含みうる。薬剤は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含みうる。薬剤は、例えばシスプラチン、マイトマイシン、及び/又はアドリアマイシンなどの抗がん剤を含みうる。
【0380】
組織厚さコンペンセータは、生分解性材料が分解する際に前記少なくとも1種類の薬剤の制御された溶出又は放出を可能とする生分解性材料を含む事ができる。生分解性材料は、例えば活性化液のような活性化物質と接触する際に劣化するか、分解するか、又は構造的一体性を喪失する。活性化液は、例えば食塩水又は他の任意の電解液を含みうる。生分解性材料は、これらに限定されるものではないが、スプレー、浸漬、及び/又はブラッシングを含む従来の方法によって活性化液と接触させることができる。使用時には、例えば、外科医は、前記少なくとも1種類の薬剤を含む組織厚さコンペンセータを有するエンドエフェクタ及び/又はステープルカートリッジを、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び/又は塩化カリウムなどの塩溶液を含む活性化液中に浸漬することができる。組織厚さコンペンセータは、組織厚さコンペンセータが分解する際に薬剤を放出することができる。組織厚さコンペンセータからの薬剤の溶出又は放出は、速やかな初期溶出又は放出速度、及びより遅い持続的溶出又は放出速度によって特徴付けることができる。
【0381】
本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば酸化剤を含みうる生体適合性材料で構成することができる。酸化剤は、有機過酸化物及び/又は無機過酸化物であってよい。酸化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、及び過酸化マグネシウム、及び過炭酸ナトリウムを挙げることができる。酸化剤は、例えば過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、ハイポコダイト(hypocodite)、及び過炭酸塩などの過酸素系酸化剤及び次亜ハロゲン酸塩系酸化剤を含みうる。酸化剤は、例えば亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及び過ホウ酸ナトリウムなどのアルカリ金属の亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、及び過ホウ酸塩を含みうる。酸化剤は、バナジウム酸塩を含んでもよい。酸化剤は、アスコルビン酸を含んでもよい。酸化剤は、活性酸素発生物質を含んでもよい。本発明によれば、組織足場は、酸化剤を含む生体適合性材料を含みうる。
【0382】
生体適合性材料は、液体、ゲル、及び/又は粉末を含みうる。酸化剤は、例えば微小粒子及び/又はナノ粒子を含みうる。例えば、酸化剤は、微小粒子及び/又はナノ粒子に粉砕することができる。酸化剤は、ポリマー溶液中に酸化剤を懸濁することによって生体適合性材料中に取り込ませることができる。酸化剤は、凍結乾燥プロセスの間に生体適合性材料中に取り込ませることもできる。凍結乾燥後、酸化剤を生体適合性材料の細胞壁に付着させることによって接触時に組織と相互作用させることができる。酸化剤は生体適合性材料に化学的に結合されなくともよい。過炭酸塩乾燥粉末を、生体適合性発泡材中に包埋することによって酸素の持続放出による長期の生物学的作用を与えることができる。過炭酸塩乾燥粉末を、不織布構造中のポリマー繊維内に包埋することによって、酸素の持続放出による長期の生物学的作用を与えることができる。生体適合性材料は、酸化剤及び例えばドキシサイクリン及びアスコルビン酸などの薬剤を含みうる。
【0383】
生体適合性材料は、速やかに放出される酸化剤及び/又はより遅く持続的に放出される酸化剤を含むことができる。生体適合性材料からの酸化剤の溶出又は放出は、速やかな初期溶出又は放出速度、及びより遅い持続的溶出又は放出速度によって特徴付けることができる。酸化剤は、例えば水などの体液と接触する際に酸素を発生してもよい。体液の例としては、これらに限定されるものではないが、血液、血漿、腹腔液、脳脊髄液、尿、リンパ液、滑液、硝子体液、唾液、胃腸管腔内容物、及び/又は胆汁が挙げられる。いずれの特定の理論に束縛されることも望むものではないが、酸化剤は、細胞死を低減させ、組織の生存率を高め、かつ/又は、切断及び/又はステープル留めの際に損傷しうる組織の機械的強度を維持するものと考えられる。
【0384】
生体適合性材料は、少なくとも1種類の微小粒子及び/又はナノ粒子を含みうる。生体適合性材料は、本明細書に述べられる1以上の天然材料、非合成材料、及び/又は合成材料を含むことができる。生体適合性材料は、約10nm〜約100nm、及び/又は約10μm〜約100μm、例えば45〜50nm及び/又は45〜50μmの平均直径を有する粒子を含みうる。生体適合性材料は、少なくとも1種類の微小粒子及び/又はナノ粒子が包埋された生体適合性発泡材を含みうる。微小粒子及び/又はナノ粒子は、生体適合性材料に化学的に結合されなくともよい。微小粒子及び/又はナノ粒子は、薬剤の制御放出を与えることができる。微小粒子及び/又はナノ粒子は、少なくとも1種類の薬剤を含みうる。微小粒子及び/又はナノ粒子は、例えば、止血剤、抗菌剤、及び/又は酸化剤を含みうる。組織厚さコンペンセータは、酸化再生セルロースを含む止血剤、ドキシサイクリン及び/又はゲンタマイシンを含む抗菌剤、及び/又はパーカーバント(percarbant)を含む酸化剤を含む生体適合性発泡材を含むことができる。微小粒子及び/又はナノ粒子は、例えば最大3日間にわたる薬剤の制御放出を与えることができる。
【0385】
微小粒子及び/又はナノ粒子は、製造プロセスにおいて生体適合性材料中に包埋することができる。例えば、PGA/PCLなどの生体適合性ポリマーは例えばジオキサンなどの溶媒と接触して混合物を形成しうる。生体適合性ポリマーは粉砕して粒子を形成することもできる。ORC粒子を含むか又は含まない乾燥粒子をこの混合物と接触させて懸濁液を形成することができる。この懸濁液を凍結乾燥することによって、乾燥粒子及び/又はORC粒子が包埋されたPGA/PCLを含む生体適合性発泡材を形成することができる。
【0386】
本明細書に開示される組織厚さコンペンセータ又は層は、例えば吸収性ポリマーで構成することができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、発泡材、フィルム、繊維質織布、繊維質不織布PGA、PGA/PCL(ポリ(グリコール酸−コ−カプロラクトン))、PLA/PCL(ポリ(乳酸−コ−ポリカプロラクトン))、PLLA/PCL、PGA/TMC(ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート))、PDS、PEPBO又は他の吸収性ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリエステルアミド、及び/又はポリオキサエステルで構成することができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば、PGA/PLA(ポリ(グリコール酸−コ−乳酸))及び/又はPDS/PLA(ポリ(p−ジオキサノン−コ−乳酸))で構成することができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば有機材料で構成することができる。組織厚さコンペンセータは、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、架橋ヒアルロン酸、及び/又は酸化再生セルロースで構成することができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば、ショアA=3〜7(ショアOO=30〜50)の範囲のジュロ高度を有してよく、最大硬さはショアA=15(ショアOO=65)である。組織厚さコンペンセータは、例えば、13N(3lbf)の荷重下で40%の圧縮率、27N(6lbf)の荷重下で60%の圧縮率、及び/又は89N(20lbf)の荷重下で80%の圧縮率を示しうる。例えば、空気、窒素、二酸化炭素、及び/又は酸素のような1以上のガスを組織厚さコンペンセータに通じるか、かつ/又は組織厚さコンペンセータ内に封じ込めることができる。組織厚さコンペンセータは、組織厚さコンペンセータを構成する材料硬さの約50%〜約75%を構成するビーズを含みうる。
【0387】
本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、例えば、ヒアルロン酸、栄養素、フィブリン、トロンビン、高血小板血漿、スルファサラジン(アザルフィジン(登録商標)5ASA+スルファピリジンジアゾ結合))−プロドラッグ−結腸細菌(アゾレダクターゼ)、メサラミン(遅延放出のための異なるプロドラッグ形態を有する5ASA)、アサコール(登録商標)(5ASA+オイドラギット−Sコーティングしたもの−pH>7(コーティング溶解))、ペンタサ(登録商標)(5ASA+エチルセルロースコーティングしたものー時間/pH依存形徐放)、メササール(登録商標)(5ASA+オイドラギット−LコーティングしたものーpH>6)、オルサラジン(5ASA+5ASAー結腸細菌(アゾレダクターゼ))、バルサラジド(5ASA+4アミノベンゾイル−B−アラニン)−結腸細菌(アゾレダクターゼ))、顆粒化メサラミン、リアルダ(メサラミンの遅延及びSR製剤)、HMPL−004(TNF−α、インターロイキン−1β,及び核−κB活性化を阻害しうるハーブ混合物)、CCX282−B(腸粘膜内へのTリンパ球の移動を阻害する経口ケモカイン受容体アンタゴニスト)、リファキシミン(非吸収性広域スペクトラム抗生物質)、インフリキシマブ、マウスキメラ抗体(chymieric)(従来の治療に対する応答が不適切である中度/重度管腔及び瘻孔形成クローン病を有する成人/小児患者における兆候/症状の軽減及び臨床的寛解の維持について承認されたTNF−αを標的とするモノクローナル抗体)、アダリムマブ、全ヒトIgG1(クローン病の兆候/症状の軽減について、また、従来の治療に対する反応が不適切であるか又はインフリキシマブに対して不耐となった中度/重度活性クローン病を有する成人患者における臨床的寛解の誘導及び維持について承認された抗TNF−αモノクローナル抗体)、セルトリズマブペゴール、ヒト化抗−TNF FAB’(クローン病の兆候/症状の軽減について、又は従来の治療に対する反応が不適切である中度/重度疾患を有する成人患者における応答の誘導及び維持について承認された、ポリエチレングリコールに結合されたモノクローナル抗体フラグメント)、ナタリズマブ、第1非TNF−α阻害剤(クローン病に対して承認された生物学的化合物)、ヒト化モノクローナルIgG4抗体(α4インテグリンを標的とするもの。炎症のエビデンスを有し、従来のクローン病治療及びTNFαの阻害剤に対する反応が不適切であるか又は耐性を有さない中度/重度疾患を有する患者における臨床的応答及び寛解の誘導及び維持についてFDAにより承認されている。)、インフリキシマブと併用することが可能な同時投与免疫調節物質、アザチオプリン6−メルカプトプリン(プリン合成阻害剤ープロドラッグ)、メトトレキサート(テトレヒドロ葉酸合成に関与するジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)酵素と結合し、すべてのプリン合成を阻害する)、アロプリノール及びチオプリン療法、PPI、治癒線を保護するための酸抑制用のH2、C−Diff−フラジール、バンコマイシン(糞便転移治療(fecal translocation treatment);プロバイオティクス;正常な腸管内細菌叢の再増殖)、及び/又はリファキシミン(細菌過剰増殖の治療(特に肝性脳症)、消化管で吸収されず、腸管内細菌に作用する)を含みうる。
【0388】
本明細書に述べられるように、組織厚さコンペンセータは、例えば、ステープルカートリッジから射出されたステープル内に捕捉された、かつ/又はステープル列内に含まれる組織の厚さの変化を補償することができる。別の言い方をすると、あるステープル列内の特定のステープルが組織の厚い部分を捕捉しうるのに対して、そのステープル列内の他のステープルは組織の薄い部分を捕捉しうる。そのような状況において、組織厚さコンペンセータは、ステープル内で異なる高さ及び厚さをとることができ、捕捉された組織が厚いか薄いかに関係なく、ステープル内に捕捉された組織に一定の圧縮力を加えることができる。本発明によれば、組織厚さコンペンセータは、組織の硬さの変化を補償することができる。例えば、あるステープル列内の特定のステープルが組織の圧縮性の高い部分を捕捉することができる一方で、そのステープル列内の他のステープルは組織のより圧縮性の低い部分を捕捉する場合がある。そのような状況において、組織厚さコンペンセータは、例えば、より圧縮性の高い、又はより低い硬さを有する組織を捕捉したステープル内におけるよりも、より圧縮性の低い、又はより高い硬さを有し、それに対応したより大きな高さを有するステープル内においてより小さい高さをとるように構成することができる。いずれの場合も、組織厚さコンペンセータは、組織の厚さの変化及び/又は組織の硬さの変化を補償するかによらず、例えば「組織コンペンセータ」及び/又は例えば「コンペンセータ」と呼ぶことができる。
【0389】
本明細書において開示される装置は、1回の使用の後に廃棄されるような設計とするか、又は複数回使用されるような設計とすることができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整することができる。再調整は、装置の分解工程、これに続く洗浄工程又は特定部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含みうる。詳細には、装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部材を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部材の洗浄及び/又は交換に際し、装置を再調整施設において、あるいは外科手術の直前に手術チームによって再組み立てしてからその後の使用に供することができる。当業者であれば、装置の再調整に、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できる点は認識されるであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、すべて、本出願の範囲に含まれる。
【0390】
好ましくは、本明細書に述べられる本発明は、手術の前に処理される。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖かつ密封された容器に器具を入れる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子線などの、容器を貫通することができる放射線野の中に置く。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は医療施設において開封されるまで器具を無菌状態に保つ。
【0391】
全体又は部分において、本明細書に参照により援用するものとされるいずれの特許公報又は他の開示物も、援用する文献が既存の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用される。このように、また必要な範囲で、本明細書に明確に記載される開示は、参照により本明細書に援用するあらゆる矛盾する内容に優先するものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾するすべての内容、又はそれらの部分は、援用された内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0392】
以上、本発明を例示的な構成を有するものとして説明したが、本発明は本開示の趣旨及び範囲内で更に改変することができる。したがって、本出願はその一般的原理を利用した本発明のあらゆる変形、使用又は適応を網羅するものとする。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における公知の、又は従来の実施に含まれる本開示からの発展形を網羅するものとする。
【0393】
〔実施の態様〕
(1) 成形表面を有する締結器具のアンビルに取り付け可能なコンペンセータであって、
前記アンビルに取り付けられるように構成された支持層と、
前記支持層に取り付けられた足場であって、
生体適合性材料で構成された複数の足場層と、
複数のキャビティと、を有する足場と、を有し、前記層と前記キャビティとが組織及び細胞の内部成長にとって好ましいマトリックスを画定する、コンペンセータ。
(2) 前記各足場層が繊維織物で構成される、実施態様1に記載のコンペンセータ。
(3) 前記複数の足場層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の繊維のパターンを有し、前記第2の層が第2の繊維のパターンを有し、前記第1の繊維のパターンが前記第2の繊維のパターンと異なる、実施態様1又は2に記載のコンペンセータ。
(4) 前記複数の足場層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の方向に配向した繊維を有し、前記第2の層が第2の方向に配向した繊維を有し、前記第1の方向が前記第2の方向に対して斜めである、実施態様1〜3のいずれかに記載のコンペンセータ。
(5) 前記複数の足場層内に含まれる薬剤を更に有する、実施態様1〜4のいずれかに記載のコンペンセータ。
【0394】
(6) 前記複数の足場層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の材料で構成され、前記第2の層が第2の材料で構成され、前記第1の材料が前記第2の材料と異なる、実施態様1〜5のいずれかに記載のコンペンセータ。
(7) 前記複数の足場層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層内に第1の薬剤が吸収され、前記第2の層内に第2の薬剤が吸収され、前記第1の薬剤が前記第2の薬剤と異なる、実施態様1〜6のいずれかに記載のコンペンセータ。
(8) 前記足場が外表面を有し、前記各キャビティが前記外表面に開口部を有する、実施態様1〜7のいずれかに記載のコンペンセータ。
(9) 成形表面を有する締結器具のアンビルに取り付け可能なコンペンセータであって、
前記アンビルに取り付けられるように構成された取り付け層と、
前記取り付け層に取り付けられた構造マトリックスであって、
生体適合性材料で構成された複数のマトリックス層と、
複数のウェルと、を有する構造マトリックスと、を有し、前記マトリックス層と前記ウェルとが組織及び細胞の内部成長にとって好ましい構造支持体を画定する、コンペンセータ。
(10) 前記各マトリックス層が繊維織物で構成される、実施態様9に記載のコンペンセータ。
【0395】
(11) 前記複数のマトリックス層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の繊維のパターンを有し、前記第2の層が第2の繊維のパターンを有し、前記第1の繊維のパターンが前記第2の繊維のパターンと異なる、実施態様9又は10に記載のコンペンセータ。
(12) 前記複数のマトリックス層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の方向に配向した繊維を有し、前記第2の層が第2の方向に配向した繊維を有し、前記第1の方向が前記第2の方向に対して斜めである、実施態様9〜11のいずれかに記載のコンペンセータ。
(13) 前記複数のマトリックス層内に含まれる薬剤を更に有する、実施態様9〜12のいずれかに記載のコンペンセータ。
(14) 前記複数のマトリックス層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層が第1の材料で構成され、前記第2の層が第2の材料で構成され、前記第1の材料が前記第2の材料と異なる、実施態様9〜13のいずれかに記載のコンペンセータ。
(15) 前記複数のマトリックス層が第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層内に第1の薬剤が吸収され、前記第2の層内に第2の薬剤が吸収され、前記第1の薬剤が前記第2の薬剤と異なる、実施態様9〜14のいずれかに記載のコンペンセータ。
【0396】
(16) 前記構造マトリックスが外表面を有し、前記各ウェルが前記外表面に開口部を有する、実施態様9〜15のいずれかに記載のコンペンセータ。
(17) 締結器具と共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
成形表面を有するアンビルと、
コンペンセータであって、
前記アンビルに取り付けられた支持層と、
前記支持層に取り付けられた足場であって、
生体適合性材料で構成された複数の足場層と、
前記足場層に埋め込まれた薬剤と、
複数のキャビティと、を有する足場と、を有するコンペンセータと、を有し、前記層と前記キャビティとが組織及び細胞の内部成長にとって好ましいマトリックスを画定する、ステープル留めアセンブリ。