(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面とともに説明する。
【0014】
まず、
図1を参照して、本願の一実施形態における取引モニタリングシステム10について説明する。取引モニタリングシステム10は、マネーロンダリングの対策を行う銀行などの金融機関に設置されている。ここで取引モニタリングシステム10は単独で実装されてもよいし、従来から存在する金融機関のシステムにおけるサーバもしくはホストコンピュータに実装されてもよい。
【0015】
取引モニタリングシステム10は、ネットワーク30を介して端末20a〜20cに接続される。ネットワーク30は、インターネットであっても、LAN(Local Area Network)やWAN(WideArea Network)であってもよい。
【0016】
なお、以下において各端末20a〜20cを特に区別して記載する必要がない場合には、端末20と記載する。また、
図1において、説明を簡単にするために端末20を3台だけ示しているが、これ以上存在しても良いことは言うまでもない。
【0017】
ここで端末20は、金融機関で働く者、例えば銀行の行員といったユーザが通常業務のために用いる端末を表す。なお、この端末20は本店や支店といった社内で用いるだけでなく社外で用いることもできる。
【0018】
端末20は、キーボードやタッチパネルなどのヒューマンインターフェースを持つものであり、具体的には、デスクトップ型のパーソナル・コンピュータやノート型のパーソナル・コンピュータ、スマートフォン、タブレット型またはPDA(Personal Digital Assistant)のようなモバイル型の情報処理端末などがあげられる。
【0019】
次に
図2を用いて、本願の一実施形態における取引モニタリングシステム10の構成について説明する。ここでは
図7乃至
図14の図面を参照して説明する。
図2に示すように、取引モニタリングシステム10は、送受信部11と、制御部12と、記憶部16とを備えており、記憶部16は、取引データベース17と、顧客データベース18と、口座データベース19と、ケースデータベース21と、機械学習データベース22と、明細データベース23と、習熟度データベース24と、アラートデータベース25とを備えている。
【0020】
まず、取引モニタリングシステム10の記憶部16について説明する。
【0021】
取引モニタリングシステム10の記憶部16は、端末20から送信された情報や各種データを記憶する機能を有する。記憶部16は、例えば、ハードディスクドライブ、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0022】
次に記憶部16に格納されている取引データベース17と、顧客データベース18と、口座データベース19と、ケースデータベース21と、機械学習データベース22と、明細データベース23と、習熟度データベース24と、アラートデータベース25とについて説明する。
【0023】
取引データベース17は、口座取引の履歴が格納されたデータベースである。
図6に示すように、「種目」、「振込依頼人コード」、口座取引が行われた「日付」、入金や出金を示す「入払区分」、「金額」、および口座取引の内容を表す「摘要」が口座名義人ごとに割り振られた「支店コード」及び「口座番号」に対応付けられて格納されている。
【0024】
顧客データベース18は、顧客の登録情報が格納されたデータベースである。
図7に示すように、口座の「種目」、顧客である口座名義人の「住所」、「氏名」、及び「電話番号」などが口座名義人ごとに割り振られた「支店コード」及び「口座番号」に対応付けられて格納されている。
【0025】
口座データベース19は、口座情報が格納されたデータベースである。
図8に示すように、「支店名」、口座の「種目」、「名義人」の名称などが口座名義人ごとに割り振られた「支店コード」及び「口座番号」に対応付けられて格納されている。
【0026】
ケースデータベース21は、「疑わしい取引」と判断される事例が格納されたデータベースである。当該事例の内容を記載した「ケース名」、疑わしい取引としての「抽出基準」、「更新日」が、「ケース名」ごとに付された「番号」に対応付けられてケースデータベース21に格納されている。
【0027】
例えば、
図9に示すように、「ケース名」には「疑わしい取引」の1つとされ得る「多額の入出金」が記載されている。したがって、その「抽出基準」である「1回の入出金額が基準以上」に該当する口座取引は「疑わしい取引」の可能性があるといえる。
【0028】
機械学習データベース22には、過去のアラートデータを含むデータのうち「疑わしい取引」としての届け出のあった取引、なかった取引の傾向について機械学習アルゴリズムにより機械学習が行われ、「疑わしい取引」と判断され得る取引の金額の範囲とそのスコアとが算定されて学習データとして格納されている。ここで、アラートデータとは
図13の口座取引データのうち「疑わしい取引」の可能性があると取引モニタリングシステム10において判断されたものをいう。なお、ここで口座取引データとアラートデータのファイルフォーマットは同じである。
【0029】
ここで機械学習データベース22では、スコアの値が低くなるにつれて、「疑わしい取引」である可能性が高くなる。例えば、
図10においては「月末口座残高」が「1000円以下」の場合はスコアが−50と低く、スコアが20の「1000円超から30000円以下」よりも「疑わしい取引」である可能性が高くなることが示されている。
【0030】
明細データベース23には、取引モニタリングシステム10において「疑わしい取引」である可能性が低いため届出不要と自動的に判定されたアラートデータを含むデータが出力されるデータベースである。なお、「アラートデータを含むデータ」については後述する。
【0031】
習熟度データベース24は、「疑わしい取引」に該当するか否かの判断についての担当者の習熟度を格納したデータベースである。
図11では、「担当者名」と、疑わしい取引かについて担当者の判断できる難易度の範囲を示す「対応可能範囲」とが、担当者ごとに割り振られた「担当者ID」に対応づけられて習熟度データベース24に格納されている。
【0032】
アラートデータベース25は、「疑わしい取引」に該当する可能性が高いアラートデータを含むデータが格納されている。ここで「アラートデータを含むデータ」とは、
図12で示すように、アラートデータに「番号」と、ケースデータベース21の「ケース名」と、疑わしい取引である可能性の度合いを示す「信頼度」と、ケースデータベース21の「番号」を示す「検知ケース」を付加したデータを指す。
【0033】
ここで、取引モニタリングシステム10の制御部12の詳細な構成について説明する。
【0034】
制御部12は、取得手段13と、算定手段14と、決定手段15とから構成される。
【0035】
次に制御部12を構成する各手段13乃至15の処理について説明する。なお、制御部12を構成する各手段13乃至15の処理は全てプロセッサにより実施される。
【0036】
図3は制御部12の取得手段13の処理を記載したものであり、ここでは
図6乃至
図8、及び
図13を参照しながら以下に説明する。
【0037】
取得手段13は、支店コードと口座番号とをキーにして、取引データベース17、顧客データベース18、及び口座データベース19からそれぞれデータを読み込む(ステップS101)。
【0038】
次に、取得手段13は、ステップS101で読み込んだデータを元に
図13に示す口座取引データを作成する(ステップS102)。この口座取引データは、口座名義人の口座取引の履歴や内容を示したものである。
【0039】
この口座取引データは、「支店名」、口座の「種目」、口座名義人の「名義人」名、「住所」、「振込依頼人コード」、口座取引を行った「日付」、「入払区分」、「金額」、「摘要」の項目などが、口座名義人ごとに割り振られた「支店コード」及び「口座番号」に対応付けられている。
【0040】
取得手段13は、ステップS102で作成した口座取引データについて、
図9のケースデータベース21を参照する(ステップS103)。そして、取得手段13は、ケースデータベース21の「抽出基準」に該当した口座取引データを「疑わしい取引」である可能性が高い「アラートデータ」として取得する。
【0041】
また、取得手段13は突合時にケースデータベース21から「番号」、「ケース名」を取得する。そして、取得された「番号」および「ケース名」は、以下で述べる決定手段15で「アラートデータを含むデータ」を作成するために用いられる。
【0042】
ここで
図9のケースデータベース21の番号「1」のレコードにおいて、ケース名が「多額の入出金」であり、抽出基準が「1回の入出金額が基準以上」である。例えば、「1回の入出金額が100万円以上」を疑わしい取引と判断する基準と定めている場合は、口座取引データの金額が「100万円」となっている口座取引データがアラートデータとして抽出される。
【0043】
図4は、制御部12の算定手段14の処理を記載したものである。ここでは、
図10を参照しながら以下に説明する。
【0044】
算定手段14は、取得手段13のステップS103で取得されたアラートデータと、
図10の機械学習データベース22に格納されている学習データとを突合する(ステップS201)。ここでは、アラートデータの「日付」、「入払区分」、「摘要」、及び「金額」などの口座取引内容と、学習データの「ATM現金出金額」などの取引内容、及び金額の「範囲」などとが突合される。
【0045】
次に、算定手段14はステップS201で突合された学習データの該当する「スコア」の値に基づき、全てのアラートデータのスコアを算定する。そして、算定手段14は、算定されたスコアの値に基づいて、全てのアラートデータの信頼度を算定する(ステップS202)。各アラートデータの信頼度の算定方法は、まず、1件のアラートデータについて算定された全てのスコアの値に対して、例えば金額など内容に応じた重み付けを各スコアに行う。そして、重み付けを行った各スコアを用いて、各アラートデータの信頼度が計算式に基づいて算定される。なお、信頼度の算定方法は既存のアプリケーションを用いても良く、特に限定されない。ここで信頼度とは、口座取引データの口座取引内容が「疑わしい取引」に該当する割合を表す。したがって、信頼度の値が高ければ高いほど、その口座取引データの内容は「疑わしい取引」に該当する可能性が高くなる。
【0046】
例えば、信頼度が「90%」と判断された口座取引データは「疑わしい取引」に該当する可能性が高い。一方、信頼度が「10%」と判断された口座取引データは「疑わしい取引」に該当しない可能性が高い。
【0047】
図5は、制御部12の決定手段15の処理を記載したものである。ここでは、
図10及び
図11を参照しながら以下に説明する。
【0048】
決定手段15は、ステップS202で算定されたアラートデータの信頼度が基準値以下かを判断する(ステップS301)。
【0049】
ここで、「アラートデータの信頼度が基準値以下」とは、例えば「アラートデータの信頼度が3%以下」など「疑わしい取引に該当しない可能性が非常に高い」と判断できる場合を表す。ここで、基準値の値は自由に設定できる。
【0050】
ステップS301において、決定手段15が、アラートデータの信頼度は基準値以下であると判定した場合、「疑わしい取引に該当しない可能性が非常に高いため行政官庁に届け出不要」とする。そして、当該アラートデータに「番号」と、ステップS103でケースデータベース21から取得した「ケース名」と、ステップS202で算定された「信頼度」と、ステップS103でケースデータベース21から取得した「番号」を「検知ケース」として付加した「アラートデータを含むデータ」を明細データベース23に自動的に出力する(ステップS302)。この場合は、アラートデータを含むデータに対して難易度は決定しない。なお、難易度については後述する。
【0051】
ステップS302で出力されたアラートデータを含むデータは、決定手段15において、「行政官庁への届け出を行わない事例」として、金額や「ケース名」、「日付」、「入払区分」といった口座取引の内容、信頼度などが機械学習アルゴリズムに基づいて機械学習される。
【0052】
そして、機械学習されたアラートデータを含むデータにより、学習データが新たに作成または更新される。すなわち、学習データを含む機械学習データベース22の内容が機械学習されたアラートデータを含むデータによって更新されることになる(ステップS303)。
【0053】
例えば、
図10の機械学習データベース22において、「ATM現金出金額」の範囲が「10,000円以下」の場合はスコア「30」となっている。しかし、アラートデータを含むデータの「ATM現金出金額」が「20,000円」の場合でも信頼度が低く、届け出が不要であると機械学習によって判断された場合は、「20,000円以下」の場合はスコア「30」とするなど学習データの内容を更新することができる。
【0054】
なお、機械学習データベース22の学習データの「範囲」と「スコア」の項目は、アラートデータを含むデータの口座取引の内容や信頼度などに基づき自由に変更することができる。
【0055】
一方、ステップS301において「アラートデータの信頼度が○○%より高い、すなわち基準値より高い」と決定手段15が判断した場合は、アラートデータの取引の疑わしさについての難易度、すなわちアラートデータが「疑わしい取引」に該当するか否かについての担当者による判断の難しさの度合いを決定手段15が決定する(ステップS304)。
【0056】
ここで、信頼度が90%など比較的高い場合や、10%や20%など比較的低い場合は「難易度が低い」と決定することができる。また、信頼度が50%や60%など中程度の場合は「難易度が高い」と決定することができる。
【0057】
つまり、S202で算定されたアラートデータの信頼度が90%など比較的高く算定される場合は口座取引の金額が高くスコアの値が低いためなど、理由が明確であることから「疑わしい取引」である可能性が高いと比較的容易に判断できる。そして信頼度の値が10%や20%など比較的低い場合は、口座取引の金額が低く、入出金の頻度も低いためスコアの値が高いなど、理由が明確であることから「疑わしい取引」でない可能性が高いと比較的容易に判断できる。このような場合は、決定手段15により判断の難易度は低い、と決定される。
【0058】
一方、信頼度の値が50%や60%など中程度の場合は、金額は低いが頻繁に口座から引き出されているなど「疑わしい取引」か否かの判断が難しいことを示す。このような場合は、決定手段15により判断の難易度は高い、と決定される
【0059】
さらに決定手段15は、ステップS304で難易度を決定したアラートデータに「番号」と、「ケース名」と、ステップS202で算定された「信頼度」と、「検知ケース」とを付加し、「アラートデータを含むデータ」として
図12のアラートデータベース25に出力する。
【0060】
決定手段15は、
図11の習熟度データベース24の「対応可能範囲」を参照する。そして、ステップS304で決定された難易度が低い場合は、「対応可能範囲」が「低難度〜普通」である担当者の端末20にアラートデータベース25からアラートデータを含むデータを送信する(ステップS306)。
【0061】
ここで、習熟度データベース24の「対応可能範囲」が「低難度〜普通」とは、該当する担当者の習熟度が比較的低いため、疑わしい取引か否かの判断の難易度が「低難度〜普通」の比較的容易なアラートデータを含むデータについて担当することを示す。
【0062】
一方、決定手段15は、ステップS304で決定された難易度が高い場合は、習熟度データベース24の「対応可能範囲」を参照して「対応可能範囲」が「普通〜高難度」である担当者の端末20にアラートデータベース25からアラートデータを含むデータを送信する(ステップS307)。
【0063】
ここで、習熟度データベース24の「対応可能範囲」が「普通〜高難度」とは、該当する担当者の習熟度が比較的高いため、疑わしい取引か否かの判断の難易度が「普通〜高難度」の比較的難しいアラートデータを含むデータについて担当することを示す。
【0064】
例えば、
図11の習熟度データベース24において、担当者ID「3333333」の担当者名「××花子」は、対応可能範囲が「普通〜高難度」である。したがって、疑わしい取引か否かの判断の難易度が比較的高いアラートデータを含むデータが決定手段15によって担当者名「××花子」の端末20に送信される。一方、担当者ID「4444444」の担当者名「□□三郎」は、対応可能範囲が「低難度〜普通」である。したがって、疑わしい取引か否かの判断の難易度が比較的低いアラートデータを含むデータが決定手段15によって担当者名「□□三郎」の端末20に送信される。
【0065】
担当者は送信されたアラートデータを含むデータが疑わしい取引に該当するか否かを調査する。調査した後に調査結果は承認者によって承認される。そして、届け出が必要であると判断されたアラートデータを含むデータは、担当者により疑わしい取引として行政官庁に届け出がされる。一方、届け出が必要でないと判断されたアラートデータを含むデータは、届け出は不要である。
【0066】
なお、ここで担当者によって届け出が必要、または不要と判断されたアラートデータを含むデータは、ステップS303と同様に決定手段15においてそれぞれ機械学習される。そして、機械学習されたアラートデータを含むデータは、学習データとして機械学習データベース22の内容を更新することができる。
【0067】
例えば、
図10の機械学習データベース22において、「月末口座残高」の範囲が「1,000円以下」の場合はスコア「−50」となっている。しかし、アラートデータを含むデータの「月末口座残高」が「10,000円」の場合でも信頼度が高く、届け出が必要であると機械学習によって判断された場合は、「10,000円以下」の場合はスコア「−50」とするなど学習データの内容を更新することができる。
【0068】
図14は、取引モニタリングシステム10のシステム構成を示す。取引モニタリングシステム10は、CPU40、RAM41、ROM42、ストレージ43、接続インターフェース44およびネットワークインターフェース45を備える。各コンポーネント40〜45は、バス46を介して相互に通信可能に接続される。
【0069】
CPU40は、デバイスおよび回路のそれぞれを制御し、並びに演算およびデータ処理を行う。RAM41は一時記憶領域であり、CPU40による演算実行時に使用される。ROM42は、種々のプログラムを格納する記憶領域である。ストレージ43は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などにより構成され、様々なデータを格納する。CPU40の制御に基づいて、データがストレージ43から読み取られ、およびデータがストレージ43に書き込まれる。
【0070】
接続インターフェース44は、取引モニタリングシステム10に種々のデバイスを接続するためのインターフェースである。例えば、接続インターフェース44を介して、ディスプレイ、キーボード、マウス、外部記憶装置等が取引モニタリングシステム10に接続されることができる。
【0071】
ネットワークインターフェース45は、通信回線を通じてネットワーク30に接続される。そして、ネットワークインターフェース45は、CPU40の制御に基づいてネットワーク30および取引モニタリングシステム10の間のデータの入出力を制御する。ネットワークインターフェース45およびネットワーク30の間の接続は、有線接続および無線接続のいずれであってもよい。
【0072】
なお、本願においては、ネットワークインターフェース45が送受信部11に対応し、CPU40が制御部12に対応する。また、ストレージ43が記憶部16に対応する。
【0073】
以上のとおり、本願の一実施形態に係る取引モニタリングシステム10が構成されている。次に、取引モニタリングシステム10の効果を説明する。
【0074】
本実施形態によれば、学習データは、アラートデータを含むデータに基づいて機械学習アルゴリズムにより作成される。したがって、過去のアラートデータについて、疑わしい取引としての行政官庁への届け出をしたものと届け出をしなかったものとの傾向を考慮した上で機械学習により自動的に学習データを更新し、また新しく作成することができるためアラートデータの件数が多い場合に特に効率的である。また、学習データ更新や新たな作成により、疑わしい取引か否かを判定するための機械学習データベースの内容を更新できるため、届け出をするか否かを判断することにおける正確性の度合いを自動的に高くすることができる。
【0075】
本実施形態によれば、決定手段15は、信頼度の値が基準値以下の場合は、アラートデータを含むデータについて届け出不要と自動的に判定する。したがって、アラートデータの信頼度の値が基準値以下であり、疑わしい取引ではないことが明確な場合は難易度を考慮することなく行政官庁への届け出不要と自動的に判定するため効率的である。
【0076】
本実施形態によれば、決定手段15は、習熟度記憶手段24を参照することにより、決定された難易度に応じて端末20にアラートデータを送信する。したがって、難易度が高い場合は習熟度の高い担当者にアラートデータを含むデータを送信し、難易度が低い場合は習熟度の低い担当者へアラートデータを送信する。よって、習熟度の低い担当者に難易度が高いアラートデータを送信して時間を無駄にするといったことがなく、効率的である。また、信頼度ではなく難易度によってアラートデータの取り扱いを変えている。したがって、金額が少額で口座の利用も低頻度だが疑わしい取引の可能性があるなど、疑わしい取引か否かの判断が難しい場合に金額で一律に決定など画一的に決定することなく、正確に判断することを支援することができる。
【0077】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。例えば、取引モニタリングシステム10や制御部12の各手段13乃至15の役割は、上述の例に限定されない。
【課題】疑わしい取引か否か判断しづらい複雑な場合であっても、判断の難易度を自動的に判定することにより正確にかつ効率的に判断を行うための支援を行う取引モニタリングシステム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】取得手段13と、算定手段14と、決定手段15とを備える取引モニタリングシステム10により、判断の難易度が高い場合は習熟度の高い担当者に判断させるなどして疑わしい取引か否かの判断が複雑であっても正確に判断するための支援をし、時間を効率的に使用することができる。