(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453419
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】組織サンプルホルダー、生検装置及び生検システム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
A61B10/02 110Z
A61B10/02 110J
A61B10/02 110K
【請求項の数】23
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-205126(P2017-205126)
(22)【出願日】2017年10月24日
(62)【分割の表示】特願2016-119679(P2016-119679)の分割
【原出願日】2009年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-38833(P2018-38833A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年10月24日
(31)【優先権主張番号】12/337,911
(32)【優先日】2008年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511148271
【氏名又は名称】デビコー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Devicor Medical Products, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パリハル・シャイレンドラ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒブナー・ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ルドザック・マイケル・アール
【審査官】
多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0214955(US,A1)
【文献】
特開2006−346341(JP,A)
【文献】
特開2008−194451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00−10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検システムにおいて、
(a)プローブ本体と、
(b)前記プローブ本体から遠位に延びる針部分であって、前記針部分は、横向きの組織受容孔を含む、針部分と、
(c)前記針部分内部に位置付けられた中空カッターであって、前記中空カッターは、前記孔を通って突出する組織から組織サンプルを切断するために前記針部分内部で並進可能であり、前記中空カッターは、カッター内腔を画定する、中空カッターと、
(d)組織サンプルホルダーであって、
(i)チャンバーを画定するハウジングと、
(ii)前記ハウジングの少なくとも一部を覆うように構成されたカバーであって、前記カバーが前記ハウジングから近位方向に取り外し可能である、カバーと、
(iii)前記ハウジングの前記チャンバーと取り外し可能に係合され、複数の組織サンプルチャンバーを画定するトレーであって、前記トレーが回転軸のまわりで前記複数の組織サンプルチャンバーを回転できるように構成されており、前記トレーが前記ハウジングの前記チャンバーから前記近位方向に取り外し可能であり、前記トレーは複数の半径方向に延びる壁を含み、前記複数の半径方向に延びる壁は前記複数の組織サンプルチャンバーを画定している、トレーと、
を含む、組織サンプルホルダーと、
を備え、
前記トレーは、前記組織サンプルを前記組織サンプルチャンバー内に受容するために、前記複数の組織サンプルチャンバーのそれぞれの前記組織サンプルチャンバーが前記カッター内腔と連絡するように位置付けるように回転可能である、生検システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダー内部で前記トレーを選択的に固定するよう動作可能なトレー保持器をさらに含む、生検システム。
【請求項3】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記ハウジングは複数のトレーチャンバーを画定しており、前記トレーの一部はそれぞれの前記トレーチャンバーと取り外し可能に係合可能である、生検システム。
【請求項4】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記トレーは近位壁を含み、前記半径方向に延びる壁は前記近位壁から離れて遠位に延びる、生検システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生検システムにおいて、
前記複数の組織サンプルチャンバーのそれぞれの前記組織サンプルチャンバーはフロアによって画定されており、前記フロアは、その中を通って形成された複数の孔を有する、生検システム。
【請求項6】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記トレーの前記回転軸が前記カッター内腔によって画定された軸に対して並行であるように、前記トレーは前記中空カッターに対して位置付けられている、生検システム。
【請求項7】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記組織サンプルホルダーは、前記カッター内腔に送られる流体を、第1の方向から第2の方向に向け直すように構成されている、生検システム。
【請求項8】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記組織サンプルホルダーは、前記プローブ本体に選択的に係合可能であり、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダーを前記プローブ本体に対して選択的に解放するよう動作可能な解放機構を含む、生検システム。
【請求項9】
請求項8に記載の生検システムにおいて、
前記プローブ本体から近位に延びる組織ホルダー回転シャフト、
をさらに含み、
前記解放機構は、前記組織ホルダー回転シャフトに選択的に係合するように構成されている、生検システム。
【請求項10】
生検システムにおいて、
(a)使い捨てプローブ部分であって、
(i)針軸、閉じた遠位端部、内腔、および組織受容開口部を有する針、ならびに
(ii)前記組織受容開口部に受容された組織を切断するために前記内腔内部を動くことができる遠位端部を有するカッター、
を含む、使い捨てプローブ部分と、
(b)前記使い捨てプローブ部分に解放可能に連結されるように適合された再利用可能部分であって、前記再利用可能部分は、前記カッターの運動をもたらす、少なくとも1つの歯車を含む、再利用可能部分と、
(c)前記使い捨てプローブ部分の近位端部に配され、かつ前記使い捨てプローブ部分と連絡した組織サンプルホルダーであって、前記組織サンプルホルダーは、外側カバー、前記外側カバー内のハウジング、および複数の切断された組織サンプルを受容するために前記ハウジングに受容されている部材を含み、前記外側カバーは近位方向に引かれることによって前記ハウジングに対して取り外されるように構成されており、前記部材は前記近位方向に引かれることによって前記ハウジングから取り外されるように構成されている、組織サンプルホルダーと、
(d)前記針の前記内腔への真空の制御をもたらすように動作可能な制御モジュールと、
を含み、
前記生検システムは、前記複数の切断された組織サンプルを前記組織サンプルホルダーに堆積させるために、前記複数の切断された組織サンプルを前記カッターを通じて輸送するように動作可能である、生検システム。
【請求項11】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記組織サンプルホルダーは前記使い捨てプローブ部分に連結されている、生検システム。
【請求項12】
請求項11に記載の生検システムにおいて、
前記部材の回転によって画定される回転軸は、前記カッターによって画定される軸に対して並行である、生検システム。
【請求項13】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記ハウジングは回転軸のまわりで前記部材を回転させるように構成されている、生検システム。
【請求項14】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記ハウジングは複数のトレーチャンバーを画定する、生検システム。
【請求項15】
請求項14に記載の生検システムにおいて、
前記部材は複数のトレーを画定しており、前記部材のそれぞれの前記トレーは前記ハウジングの対応する前記トレーチャンバーと取り外し可能に係合するように構成されている、生検システム。
【請求項16】
請求項15に記載の生検システムにおいて、
前記部材によって画定されたそれぞれの前記トレーは一対の側壁とフロアを含み、前記フロアはその中を通って延びる複数の開口を含む、生検システム。
【請求項17】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記部材は操縦部材を含み、前記操縦部材は前記部材を操作するためにオペレーターにつかまれるように構成されている、生検システム。
【請求項18】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記部材はフロアを含み、前記フロアは、前記フロアを通って流体が流れることを許容するように構成された複数の孔を含む、生検システム。
【請求項19】
請求項10に記載の生検システムにおいて、
前記部材は複数の組織サンプルチャンバーを画定する、生検システム。
【請求項20】
請求項19に記載の生検システムにおいて、
更にシャフトを含み、前記シャフトは、前記複数の組織サンプルチャンバーのそれぞれの前記組織サンプルチャンバーを前記カッターと連絡するように続けて位置付けるように、前記部材を回転軸のまわりで回転させるように、前記組織サンプルホルダーに対して回転するように構成されている、生検システム。
【請求項21】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
更にシャフトを含み、前記シャフトは、前記組織サンプルチャンバーのそれぞれを前記カッター内腔と連絡するように位置づけるように前記トレーの回転を駆動するように、前記ハウジングに関連付けられている、生検システム。
【請求項22】
請求項21に記載の生検システムにおいて、
前記シャフトは、前記ハウジングに対して遠位に位置づけられた歯車を含み、前記歯車は前記シャフトの回転を駆動するために回転機構と係合するように構成されている、生検システム。
【請求項23】
請求項21に記載の生検システムにおいて、
前記シャフトは、前記ハウジングに対して遠位に位置づけられた歯車と、前記歯車に対して近位に位置づけられたヘッドと、を有し、前記歯車は前記シャフトの回転を駆動するために回転機構と係合するように構成されており、前記ヘッドは、前記歯車の回転に応答して前記組織サンプルチャンバーのそれぞれを前記カッター内腔と連絡するように位置づけるように前記トレーの回転を駆動するように、前記ハウジングに関連付けられている、生検システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景〕
生検サンプルは、さまざまな装置を用いて、さまざまな医療処置においてさまざまな方法で入手されてきた。生検装置は、定位誘導、超音波誘導、MRI(磁気共鳴映像法)誘導、PEM(陽電子放射マンモグラフィー)誘導、BSGI(乳房特異的γ線映像法)誘導、MBI(分子的乳房映像法)誘導、またはその他の下、使用されることができる。単に例示的な生検装置が、「Method and Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」という名称の、1996年6月18日発行の米国特許第5,526,822号;「Control Apparatus for an Automated Surgical Biopsy Device」という名称の、2000年7月11日発行の米国特許第6,086,544号;「MRI Compatible Surgical Biopsy Device」という名称の、2003年6月12日公開の米国特許出願公開第2003/0109803号;「Remote Thumbwheel for a Surgical Biopsy Device」という名称の、2007年5月24日公開の米国特許出願公開第2007/0118048号;「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月8日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号;「Biopsy System」という名称の、2006年12月13日出願の米国仮特許出願第60/869,736号;および、「Biopsy Sample Storage」という名称の、2006年12月13日出願の米国仮特許出願第60/874,792号に開示されている。前記に上げた米国特許、米国特許出願公開、および米国仮特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。生検サンプルを入手するために、いくつかのシステムおよび方法が作られ使用されてきたが、発明者らより前に請求項に記載する発明を作るかまたは使用した者はいないと考える。
【0002】
明細書は、本発明を具体的に示し、明確に主張する請求項で締めくくられているが、本発明は、添付図面と共に理解される特定の実施例に関する以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。図面中、同様の符号は、いくつかの図面にわたり同じ要素を表している。
【0003】
〔詳細な説明〕
本発明のある実施例に関する以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、および利点は、以下の説明から当業者には明らかになるであろう。以下の説明は、例として、本発明を実施するために考えられる最良の形態のうちの1つである。認識されるであろうが、本発明は、本発明から逸脱しない、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものとしてみなされるべきであり、制限的なものではない。
【0004】
図1に示すように、例示的な生検システム(2)は、生検装置(100)と、真空制御モジュール(400)と、を含む。
図2〜
図3に示すように、生検装置(100)は、プローブ(102)と、ホルスター(202)と、組織サンプルホルダー(302)と、を含む。以下にさらに詳細に説明するように、また
図3に示すように、プローブ(102)は、その対応するホルスター(202)から分離可能である。本明細書中で「ホルスター」という用語を使用することは、プローブ(102)の任意の部分がホルスター(202)の任意の部分に挿入されることを必要とするものとして読み取られるべきではない。実際、生検装置(100)のいくつかのバリエーションでは、プローブ(102)は、単にホルスター(202)上に位置していてよい。いくつかの他のバリエーションでは、ホルスター(202)の一部分が、プローブ(102)に挿入されてよい。さらに、いくつかの生検装置(100)では、プローブ(102)およびホルスター(202)は、これら2つの構成要素が分離できないように、単一または一体的な構造のものであってよい。プローブ(102)とホルスター(202)との間の、さらに他の適切な構造的および機能的関係は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0005】
生検装置(100)のいくつかのバリエーションは、1つまたは複数のセンサー(不図示)を、プローブ(102)および/またはホルスター(202)の中に含んでよく、このセンサーは、プローブ(102)がいつホルスター(202)と連結されたのかを検出するように構成されている。そのようなセンサーまたは他の特徴部は、あるタイプのプローブ(102)およびホルスター(202)のみが互いに連結され得るようにさらに構成されてよい。さらに、または代替案では、そのようなセンサーは、適切なプローブ(102)およびホルスター(202)が互いに連結されるまで、プローブ(102)および/またはホルスター(202)の1つまたは複数の機能を無効にするように構成されてもよい。当然、そのようなセンサーおよび特徴部は、所望に応じて変更または省略されてよい。
【0006】
ほんの一例として、プローブ(102)は、使い捨て構成要素として設けられてよく、ホルスター(202)は、再利用可能構成要素として設けられてよい。真空制御モジュール(400)は、本実施例ではカート(不図示)上に設けられてよいが、本明細書に記載する他の構成要素と同様に、カートは単なるオプションである。制御モジュールインターフェース(不図示)も、生検装置(100)と真空制御モジュール(400)との間に設けられて、生検装置(100)への電気的および機械的通信、ならびに真空制御モジュール(400)との電気的通信をもたらすことができる。適切な制御モジュールが、「CONTROL MODULE INTERFACE」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6466USNP]に記載されており、その開示内容を参照により本明細書に組み込む。本明細書に記載される他の構成要素の中でも、フットスイッチ(不図示)および/または他の装置を使用して、生検システム(2)の少なくとも一部の、少なくともある程度の制御をもたらすことができる。
図1に示すように、導管(200)は、(例えば、ケーブルなどを通じた機械的なもの、電気的、空気式のものなどの)力、制御信号、食塩水、真空の伝達、および真空制御モジュール(400)から生検装置(100)への通気をもたらす。これらの構成要素はそれぞれ、以下でさらに詳細に説明される。
【0007】
I. 例示的なプローブ
図2〜
図5に示すように、本実施例のプローブ(102)は、針部分(10)と、本体部分(112)と、を含む。本体部分(112)は、カバー部材(114)と、背面部材(115)と、ベース部材(116)と、を含む。流体レベル(150)が、カバー部材(114)に固定されており、気泡(152)を提供している。使用者は、プローブ(102)が実質的に水平かどうかを判断するのに気泡(152)の位置を見ることができる。以下でさらに詳細に説明するように、組織サンプルホルダー(302)が、背面部材(115)に取り外し可能に固定されるが、組織サンプルホルダー(302)は、代わりにカバー部材(114)、ベース部材(116)、または何らかの他の構成要素に固定されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、一対のチューブ(402、404)がプローブ(102)と連結されて、プローブとの流体連通をもたらす。
【0008】
プローブ(102)の適切な構成は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。例えば、プローブ(102)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成されてよい。プローブ(102)を構成し得る他の方法は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「MECHANICAL TISSUE SAMPLE HOLDER INDEXING DEVICE」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6465USNP];開示内容を参照により本明細書に組み込む、「BIOPSY DEVICE WITH SLIDING CUTTER COVER」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6468USNP];または、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「TISSUE BIOPSY DEVICE WITH CENTRAL THUMBWHEEL」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6473USNP]に開示されている。代替的な技術、材料、および構成を含む、プローブ(102)を形成し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0009】
A. 例示的な針
本実施例では、針部分(10)は、先端部(20)、および先端部(20)に近接した横向きの組織受容孔(16)を有する、外側カニューレ(12)を含む。本実施例では、先端部(20)は、実質的に鈍いかまたは平坦である。例えば、カニューレ(12)は、組織貫通先端部、および外側カニューレ(12)の組織受容孔(16)と整列するように構成された孔を有する別のカニューレ(不図示)を通して患者の乳房に導入され得る。あるいは、カニューレ(12)は、それ自体の組織貫通先端部(例えば多量の力を必要とせずに、かつ先端部挿入前に組織に開口部を予め形成する必要なく、組織を貫通するように構成される)を有することができる。ほんの一例として、カニューレ(12)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成されてよい。代替的な技術、材料および構成を含む、外側カニューレ(12)を形成または構成し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0010】
図2〜
図3に示す実施例では、本実施例の外側カニューレ(12)の内側は、カニューレ内腔(不図示)および真空内腔(不図示)を画定し、壁(不図示)がカニューレ内腔を真空内腔から隔てている。このような内腔は、カニューレ(12)の長さの少なくとも一部に沿って長さ方向に延びることができる。いくつかのバージョンでは、壁(不図示)は、針部分(10)のかなりの量の長さにわたり延びている。他の実施形態では、壁は、以下で説明するカッター(50)の遠位端部が針部分(10)で終端をなす領域を過ぎて近位に延びている。例えば、カニューレ内腔は、カッター(50)が内部に配された状態で、隙間がカッター(50)の外側とカニューレ(12)の内側の少なくとも一部分との間に存在するように、サイズが決められ、構成されることができる。そのような隙間は、壁の近位端部に近接して位置付けられたカニューレ(12)の長さに沿って真空内腔(40)をもたらすことができる。真空内腔を提供し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0011】
さらに、複数の横向き開口部(不図示)が壁を貫通して形成され、カニューレ内腔を真空内腔から隔てて、カニューレ内腔と真空内腔との間の流体連通をもたらすことができる。以下でさらに詳細に説明するように、真空、食塩水および/または加圧空気が、横向き開口部を介して真空内腔からカニューレ内腔へ伝達されてよい。真空内腔およびカニューレ内腔を設け、構成し、かつ使用することができる、さまざまな例示的な方法が、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号に開示される。
【0012】
複数の外部開口部(不図示)が外側カニューレ(12)に形成されてよく、これらの開口部は、外側カニューレ(12)の真空内腔と流体連通する。例えば、そのような外部開口部は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Biopsy Device with Vacuum Assisted Bleeding Control」という名称の、2007年2月8日公開の米国特許出願公開第2007/0032742号の教示に従って構成されてよい。当然、本明細書に記載する他の構成要素と同様に、そのような外部開口部は、単なるオプションである。
【0013】
B. 例示的なカッター
中空カッター(50)が、本実施例では、外側カニューレ(12)のカニューレ内腔内部に配されている。カッター(50)の内側は、カッター内腔(52)を画定し、流体および組織は、カッター内腔(52)によりカッター(50)を通って送られることができる。以下でさらに詳細に説明するように、カッター(50)は、外側カニューレ(12)のカニューレ内腔内部で回転し、また、外側カニューレ(12)のカニューレ内腔内部で軸方向に並進するように構成される。具体的には、カッター(50)は、外側カニューレ(12)の横向きの孔(16)を通って突出する組織から生検サンプルを切断するように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、カッター(50)は、切断した組織サンプルが、カッター内腔(52)を通って近位に送られることを可能にするようにさらに構成される。そのような切断および近位への伝達の単に例示的な実施例が、開示内容を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,526,822号に記載されているが、生検システム(2)内部での組織サンプルの切断および/または伝達に、任意の他の適切な構造および技術を使用してもよい。
【0014】
カッター(50)は、カッター内腔(52)を通じた組織サンプル(4)の近位への伝達を容易にするために、さまざまな処理または構成にさらされ得る。カッター(50)の適切な構成は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。例えば、カッター(50)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成または処理されてよい。代替的な技術および材料を含む、カッター(50)を構成または処理し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0015】
C. 例示的な針ハブ
図2〜
図5に示すように、針ハブ(60)が外側カニューレ(12)に固定され、この針ハブは、指回し式円形板(62)を含む。本実施例の針ハブ(60)は、外側カニューレ(12)の近位部分の周りでオーバーモールドされるが、針ハブ(60)は、任意の他の適切な技術(例えば、止めねじ、接着剤等)を使用して、外側カニューレ(12)に対して形成および/または固定されてよい。さらに、本実施例の針ハブ(60)は、プラスチック材料で形成されるが、任意の他の適切な材料、または材料の組み合わせを用いることもできる。
【0016】
指回し式円形板(62)は、外側カニューレ(12)をその長さ方向の周りで、カバー部材(114)およびベース部材(116)に対して回転させるように操作可能である。例えば、指回し式円形板(62)は、孔(16)を、外側カニューレ(12)により定められる長さ方向軸の周りで、いくつかの所望の向きに向けるために使用されることができる。そのような複数の向きは、ほんの一例として、複数の組織サンプルを生検部位から入手する間に患者から針部分(10)を取り外す必要なく、そのような複数の組織サンプルを得るために、望ましい場合がある。そのような回転、および複数の組織サンプルの入手の例示的な実施例が、開示内容を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,526,822号に開示される。複数の組織サンプルをさまざまな場所で得ることができる他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。例えば、外側カニューレ(12)の回転は、任意の他の適切な構成要素または技術を用いて、電動化または自動化されてよい。別の限定的な(non-exhaustive)実施例として、そのような回転および組織サンプル入手の間に、生検装置(100)を必ずしも患者から取り外さずに、組織サンプルの入手中に生検装置(100)全体が回転されて、外側カニューレ(12)により定められる長さ方向軸の周りでのさまざまな向きから組織サンプルを得ることができる。
【0017】
外側カニューレ(12)は、ハブ(60)において、またはその内部で終端をなしてよい。ハブ(60)は、カッター(50)の長さの一部分の周りにおいて、指回し式円形板(62)から近位に延びる細長いスリーブ部分(不図示)をさらに含むことができる。本実施例のハブ(60)は、そのようなスリーブ部分と一体的な第2の指回し式円形板(64)をさらに含む。例えば、指回し式円形板(64)は、スリーブ部分と単一的に成型される(または、所望に応じて別個に形成される)ことができる。指回し式円形板(64)は、この実施例ではスプラインを有し、ホルスター(202)の歯車(264)と係合するように構成され、歯車(264)および指回し式円形板(64)(および、例えば外側カニューレ(12))は、同時に回転することができる。ハブ(60)の、この近位領域は、チューブ(402)と外側カニューレ(12)の真空内腔(外側または周辺)との間の流体連通をもたらすように構成された、マニホルド(不図示)も含んでよい。具体的には、ハブ(60)のスリーブ部分は、そのようなマニホルドと真空内腔との間の流体連通をもたらすことができる。そのような流体連通は、ハブ(60)の回転にもかかわらず、維持されることができる。
【0018】
いくつかのバージョンでは、ハブ(60)、ならびに、そのさまざまな構成要素および特徴部は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「TISSUE BIOPSY DEVICE WITH CENTRAL THUMBWHEEL」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6473USNP]の教示のいずれかに従って構成される。他のバージョンでは、ハブ(60)、ならびにそのさまざまな構成要素および特徴部は、開示内容を参照により本明細書に組み込む「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成される。代替的な技術、材料および構成を含む、針ハブ(60)を形成し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0019】
D. 例示的なカッター回転および並進機構
本実施例では、
図3および
図5に示すように、プローブ(102)の本体部分(112)は、外側カニューレ(12)内部でカッター(50)を回転および並進させるように動作可能な、カッター回転および並進機構(120)を含む。具体的には、カッター回転および並進機構(120)は、カッター(50)に堅く固定されたねじ山付きオーバーモールド(122)と、ねじ山付きオーバーモールド(122)に係合するように構成された内側ねじ切り(interior threading)を備えたナット(124)と、を含む。ナット(124)は、ベース部材(116)に対して固定される。スプライン付き歯車(126)は、オーバーモールド(122)の周りに位置付けられており、オーバーモールド(122)を駆動により回転させると共に、オーバーモールド(122)の六角形部分に対してスライドするように構成される。よって、そのような構成要素を用いて、歯車(126)の回転と同時にカッター(50)を回転および並進させることができる。当然、オーバーモールド(122)の六角形部分は、代わりにスプライン付き構成、キー付き構成(keyed configuration)、または任意の他の構成を有してもよい。同様に、歯車(126)の相補的な六角形の内側部分が、代わりにスプライン付き構成、キー付き構成、または任意の他の構成を有してもよい。歯車(126)の外側は、以下でさらに詳細に説明するように、カッター駆動歯車(226)と係合することができる。
【0020】
カッター回転および並進機構(120)は、任意の他の構成要素、特徴部、または構成を有することができる。ほんの一例として、カッター回転および並進機構(120)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成されてよい。代替的な技術、材料および構成を含め、カッター回転および並進機構(120)を形成し得る、さらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0021】
II. 例示的なホルスター
図2〜
図5に示すように、本実施例のホルスター(202)は、ハウジング(204)を含み、ハウジングから延びる駆動ケーブル(484)を有している。前記のとおり、本実施例のホルスター(202)は、前記の生検プローブ(102)などの生検プローブ(102)と連結されて、生検装置(100)を提供するように構成される。さらに、ホルスター(202)は、例えば定位またはX線環境;MRI環境;PEM環境;BSGI環境、またはMBI環境で使用するため、テーブル、固定具、または他の装置に取り付けられるように構成される。しかしながら、本明細書中の開示を考慮すれば、ホルスター(202)が、超音波誘導環境および/またはハンドヘルドの使用を含むがこれらに限定されない、さまざまな他の環境および組み合わせにおいて使用され得ることは、認識されるであろう。
【0022】
図4に示すように、駆動ケーブル(484)は、歯車(486)と連絡しており、それにより、歯車(486)を回転させるように動作可能である。ほんの一例として、駆動ケーブル(484)は、外側シース内部に設けられるか、または外側シース内部で回転可能であってよい。駆動ケーブル(484)は、速度計ケーブルに類似のものであってよく、ケーブル(484)の回転が、ケーブル(484)を著しくねじったり縛り付けたりせずに、ケーブルの長さに沿って伝達される。歯車(486)は、別の歯車(488)と連絡してよく、この歯車自体は、シャフト(490)と連絡していてよく、駆動ケーブル(484)、歯車(486)、歯車(488)、およびシャフト(490)はすべて、歯車比により同時に回転することができる。
図5に示すように、シャフト(490)は、別の歯車(492)とさらに連絡していてよく、シャフト(490)は歯車(492)を回転させることができる。歯車(492)は、間欠性遊び歯車(226)と係合されてよく、歯車(492)は、所望のrpmおよび方向で、歯車(226)を回転させることができる。前記のとおり、歯車(226)は、プローブ(102)がホルスター(202)と連結されると、歯車(126)と噛み合うように構成される。したがって、本明細書の教示を考慮すれば、当業者は、駆動ケーブル(484)を使用して、カッター回転および並進機構(120)を作動させ、それによりカッター(50)を駆動することができることを認識するであろう。あるいは、任意の他の適切な構成要素、特徴部、または構成を用いて、カッター(50)(例えばモーターなど)を、カッター(50)が任意の機構によって駆動される程度まで駆動することができる。
【0023】
前記のとおり、指回し式円形板(64)は、本実施例では、プローブ(102)およびホルスター(202)が係合すると、歯車(264)と係合される。
図5に示すように、歯車(264)は、適切に支持されたシャフト(266)と連結され、このシャフトは、シャフト(490)の中空の内部を通って延びている。シャフト(266)は、歯車(268)と連結され、歯車(268)は、別の歯車(270)と係合される。この他の歯車(270)は、さらに別の歯車(272)と係合され、歯車(272)自体は、シャフト(274)と係合される。このシャフト(274)は別の歯車(276)と係合される。ゆえに、これらの構成要素は、歯車(264、268、270、272、276)およびシャフト(266、274)がすべて同時に回転できるように、構成される。すべての歯車(264、268、270、272、276)は、この実施例では、適切な軸受により支持される。歯車(276)は、ハウジング(204)から突出しており、以下でさらに詳細に説明するように、組織サンプルホルダー(302)の歯車(350)に係合するように構成される。したがって、本明細書の教示を考慮すれば、指回し式円形板(64)の回転は、組織サンプルホルダー(302)内部の、同時に起こる回転をもたらし得ることが、理解されるべきである。
【0024】
ホルスター(202)の他の適切な構成要素、特徴部、およびホルスター内部に設けられ得る他の適切な構成が、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「TISSUE BIOPSY DEVICE WITH CENTRAL THUMBWHEEL」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6473USNP]に記載されている。あるいは、ホルスター(202)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号の教示のいずれかに従って構成されてよい。代替的な技術、材料、特徴部、構成要素、および構成を含め、ホルスター(202)の構成を形成し得る、さらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0025】
III. 例示的な組織サンプルホルダー
図6〜
図8は、組織サンプルホルダー(302)の例示的な構成要素を描いている。組織サンプルホルダー(302)は、
図9A〜
図9Cに示すように、プローブ(102)の本体部分(112)と選択的に係合するように構成される。
図7の分解組立図を用いて示すように、組織サンプルホルダー(302)は、外側カップ(303)、および内側ハウジング(304)を含む。ハウジング(304)は、複数の取り外し可能なトレー(306)を受容するように構成され、トレーはそれぞれ、複数の組織サンプルチャンバー(345)を画定している。以下でさらに詳細に説明するように、各組織サンプルチャンバー(345)は、カッター(50)により捕捉され、かつカッター内腔(52)を通じて近位に送られた少なくとも1つの組織サンプルを受容するように構成される。歯車(350)がハウジング(304)の回転のために設けられて、例えば内側で係合した指回し式円形板(64)を手で回転させることにより、組織サンプルチャンバー(345)のいずれかをカッター内腔(52)にうまく割出しする(index)。
【0026】
A. 外側カップ
本実施例では、外側カップ(303)は、遠位端部および近位端部を画定する円筒形状を有するが、任意の他の適切な形状または構成を使用することもできる。外側カップ(303)は、差込ピンのようにベース部材(116)に係合するように構成され、外側カップ(303)は、選択的に、ベース部材(116)から取り外されるか、またはベース部材(116)に固定されることができる。さらに具体的には、外側カップ(303)の遠位端部は、外側カップ(303)がベース部材(116)に対して十分に回転するとベース部材(116)の突出部(307)に係合することができる複数のスロット(305)を含む。外側カップ(303)とプローブ(112)との間の選択的な係合をもたらす、他の適切な構成は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。さらに、oリング(136)がベース部材(116)の周りに設けられて、ベース部材(116)とカップ(303)との間にシールを提供する。当然、任意の他の適切な構造体を用いて、ベース部材(116)とカップ(303)との間にシールを提供してもよい。カップ(303)は、内側ハウジング(304)を覆うように構成され、内側ハウジング(304)の回転または割出しは、外側のどの物体もこすらない。具体的には、カップ(303)は、ハウジング(304)がカップ(303)内部で回転する間、静止したままである。カップ(303)はまた、組織サンプルホルダー(302)全体に、追加の密封を提供することもできる。しかしながら、本明細書に記載の他の構成要素と同様に、カップ(303)は単なるオプションであり、所望によりさまざまな方法で省略または変更され得ることが理解されるべきである。
【0027】
本実施例のカップ(303)は、透明な材料で形成され、組織サンプルホルダー(302)が依然としてベース部材(116)と連結されている間に、使用者が組織サンプルホルダー(302)内の組織サンプルを視覚的に検査することができる。例えば、使用者は、色、サイズ、および密度について(例えば、チャンバー(316、345)が食塩水でいっぱいになる範囲内で、など)組織サンプルを検査することができる。あるいは、カップ(303)は、半透明;不透明;半透明、不透明、および/または透明の組み合わせであるか、あるいは、任意の他の所望の特性を有することができる。例えば、半透明カップ(303)は、患者が組織サンプルチャンバー(345)内の血液を見るのを防ぐことができる。
【0028】
本実施例では、
図4に示すように、カップ(303)は、後面(333)を有する。他のバージョンでは、カップ(303)には後面(333)がなく、カップ(303)は、ハウジング(304)を覆うシュラウドを提供すると共に、最初にカップ(303)を取り外す必要ことなくトレー(306)をハウジング(304)から取り外すことを可能にする。カップ(303)を構成および使用し得るさらに他の方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0029】
B. 内側ハウジング
図6〜
図8に示すように、外側カップ(303)は、組織サンプルホルダー(302)の内側ハウジング(304)を取り囲む。ハウジング(304)は、円筒形状を有しており、中央ボア(310)を形成する内側環状部分(308)と、内側環状部分(308)から外側環状部分(309)に向かって延び、半径方向に延びる複数の壁(312)と、を含む。内側環状部分(308)は、その遠位端部からその近位端部に向かって、中央ボア(310)の内側表面に沿って軸方向に延びるキー溝をさらに含む。用語「近位端部」は、この文脈で使用される場合、トレー(306)が挿入されるハウジング(304)の端部を指し、用語「遠位端部」は、この文脈で使用される場合、プローブ(102)のベース部材(116)の方に向くハウジング(304)の端部を指す。
【0030】
本実施例では、
図8および
図9A〜
図9Cに示すように、複数の弾性タブ(313)が中央ボア(310)に位置している。タブ(313)は、以下でさらに詳細に説明するように、内側環状部分(308)の内側表面から、遠位かつ半径方向内側方向に延び、シャフト(352)に選択的に係合するように構成される。
図9A〜
図9Cに示すように、中央ボア(310)は、多段円筒(multi-stage cylinder)をさらに画定し、この円筒は、その長さの異なる段に沿って異なる直径を有する。しかしながら、中央ボア(310)は、代わりに、任意の適切な形状、サイズ、特徴部、または構成を有することができる。
【0031】
図5〜
図7および
図9A〜
図9Cに示すように、中央ボア(310)は、シャフト(352)を受容するように構成される。
図7および
図9A〜
図9Cに示すように、シャフト(352)は、第1の長さ部分(360)(例えば軸受部分)、および第2の長さ部分(362)(例えばハウジング係合部分)を有する。シャフト(352)は、プローブ(102)の背面部材(115)内部に回転可能に固定される。具体的には、第1の長さ部分(360)は、プローブ(102)の背面部材(115)内部に固定され、第2の長さ部分(362)は、プローブ(102)の背面部材(115)から後方に突出する。第2の長さ部分(362)は、中央ボア(310)のキー溝(不図示)に係合するように構成された細長いキー(364)を含み、ハウジング(304)は、シャフト(352)と一体的に回転する。ほんの一例として、シャフト(352)は、最初にシャフト(352)を中央ボア(310)と整列させることにより、ハウジング(304)によって受容されてよく、キー(364)は、シャフト(352)が中央ボア(310)に入った際に中央ボア(310)のキー溝(不図示)に係合する。シャフト(352)は、第2の長さ部分(362)およびキー(364)が中央ボア(310)により実質的に取り囲まれるまで、中央ボア(310)に沿って軸方向に前進するように構成される。あるいは、シャフト(352)は、任意の他の適切な様式で、ハウジング(304)に対して固定されてよい。
【0032】
この実施例のシャフト(352)は、歯車(350)に係合するように構成された遠位端部を含む。歯車(350)は、シャフト(352)と一体的に回転するように構成される。したがって、本実施例では歯車(350)がハウジング(304)と一体的に回転することが理解されるべきである。さらに、前記のとおり、歯車(350)は、プローブ(102)がホルスター(202)と連結されると、歯車(276)と係合するように構成される。したがって、本明細書の教示を考慮すれば、ハウジング(304)および指回し式円形板(64)が同時に回転できることが認識されるであろう。例えば、使用者は、指回し式円形板(64)を回転させることにより、ハウジング(304)を回転させることができる。あるいは、使用者は、ハウジング(304)を回転させることにより、針部分(10)を回転させることができる。当然、これらの構成要素のいずれかが、任意の適切な方法で改変されてよく、また、互いと任意の他の所望の関係を有してよい(例えば全く関係がないなど)。
【0033】
本実施例のシャフト(352)はまた、ヘッド(358)を有する近位端部を有する。ヘッド(358)は環状凹部(363)を含む。本実施例では、
図9A〜
図9Cに例示するように、シャフト(352)と組織サンプルホルダー(302)との間の係合は、中央ボア(310)のタブ(313)を使用することで固定される。タブ(313)は、ヘッド(358)により最初に接触されると、外側に曲がるように構成される。タブ(313)によるこの動きによって、ヘッド(358)は、中央ボア(310)に沿って軸方向に移動し続けることができる。
図9Aに示すように、タブ(313)は、内側シャフト(362)が中央ボア(310)に十分に挿入されると、弛緩状態に向け弾性的に内側に戻り、ヘッド(358)の環状凹部(363)内へ突出する。タブ(313)は、その後ヘッド(358)をつかみ、それにより、ハウジング(304)をシャフト(352)に固定する。
【0034】
タブ(313)と環状凹部(363)との間の係合は、タブ(313)を外側に向かせて環状凹部(363)から離す力を、タブ(313)に及ぼすことにより終了させることができる。例えば、
図5、
図7、および
図9A〜
図9Cに示すように、組織サンプルホルダー(302)は、一端部にボタン(382)を、他端部にフレア状ヘッド(384)を提供する、シャフト(380)をさらに含んでよい。シャフト(380)は、トレー保持器(370)内部にスライドして位置付けられ、これは、以下でさらに詳細に説明する。
【0035】
図9Aに示すように、ボタン(382)は、シャフト(380)が弛緩状態にあるとき(例えばハウジング(304)がシャフト(352)に固定されたとき)、トレー保持器(370)から後方に突出する。図示のとおり、タブ(313)は、この状態でシャフト(352)の環状凹部(363)内に突出することにより、シャフト(352)のヘッド(358)をつかむ。さらに、タブ(313)は、フレア状ヘッド(384)と係合され、タブ(313)の弾性により、フレア状ヘッド(384)が後方に進められ、トレー保持器(370)は、フレア状ヘッド(384)とトレー保持器(370)との間の係合により、シャフト(380)の後方運動を制限する。
【0036】
図9Bに示すような活性状態において、オペレーターは、ボタン(382)を軸方向内側に前進させるかまたは押しながら(
図9Bの矢印により示されるように)ハウジング(304)を引き戻すことができ、フレア状ヘッド(384)が、タブ(313)を半径方向外側に進める。シャフト(380)は、バネで留めてあってよく、シャフト(380)が、軸方向後方に付勢される。タブ(313)が外側に動くと、タブ(313)は、シャフト(352)の環状凹部(363)を係合解除する。フレア状ヘッド(384)をプローブ(102)に向けて十分に押し進めることで、タブ(313)が外側に十分に曲がることができ、タブ(313)は、ヘッド(358)の外径より大きい内径を定める。言い換えれば、タブ(313)は、フレア状ヘッド(384)によって外側に十分曲げられて、ヘッド(358)のために十分な間隔を提供することができる。そのような間隔により、ハウジング(304)をシャフト(352)から係合解除することができ、それにより、
図9Cに示すように、ハウジング(304)をプローブ(102)から取り外すことができる。
【0037】
当然、ハウジング(304)とシャフト(352)との間(および/または組織サンプルホルダー(302)の任意の他の構成要素とプローブ(102)との間)に選択的な係合をもたらすために使用され得る、さまざまな他の構造体、特徴部、構成要素、装置、および技術がある。そのような代替案は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0038】
図8に示すように、ハウジング(304)の、半径方向に延びる壁(312)は、複数のチャンバー(316)を画定する。各チャンバー(316)は、近位端部、および遠位端部を有する。この実施例に示すように、ハウジング(304)は、12個のチャンバー(316)を有する。しかしながら、ハウジング(304)は、任意の他の適切な数のチャンバー(316)を有することができる。各チャンバー(316)の近位端部は、トレー(306)の一部分を受容するように構成される。各チャンバー(316)の遠位端部は、内部を貫通して形成された上方孔(322)および下方孔(324)を除いて、概ね取り囲まれている。ホルダー(302)およびプローブ(102)が係合されると、「12時の位置」に位置するチャンバー(316)の上方孔(322)および下方孔(324)は、上方oリング(140)および下方oリング(142)とそれぞれ自動整列するように構成される。本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろうが、このような自動整列をもたらす多くの適切な構造体および技術があり、それらは、プローブ(102)とハウジング(304)との間に密封係合ももたらし得る。
【0039】
Oリング(140、142)は、プローブ(102)の背面部材(115)と孔(322、324)との間にシールを提供するように構成される。具体的には、背面部材(115)は、カッター内腔(52)と同軸上に整列し、かつカッター内腔(52)と流体連通している、第1の内腔(117)を有する。Oリング(140)は、孔(322)と第1の内腔(117)との間に密封適合(sealing fit)をもたらす。したがって、「12時の位置」に位置するチャンバー(316)の孔(322)は、この実施例では、カッター内腔(52)と流体連通する。したがって、カッター(50)によって切断された組織サンプルは、カッター内腔(52)を通って(圧力勾配のため)、第1の内腔(117)を通って、孔(322)を通って、この実施例では「12時の位置」に位置するチャンバー(316)の中へと近位に送られ得る。背面部材(115)はまた、チューブ(404)と流体連通する第2の内腔(119)を提供する、マニホルドを有する。Oリング(142)は、孔(324)と第2の内腔(119)との間に密封適合をもたらす。したがって、「12時の位置」に位置するチャンバー(316)の孔(324)は、この実施例ではチューブ(404)と流体連通している。したがって、ほんの一例として、真空が、孔(324)、第2の内腔(119)、およびチューブ(404)を介して、「12時の位置」に位置するチャンバー(316)に誘発されることができる。以下でさらに詳細に説明するように、そのような真空は、孔(322)を通って、したがってカッター内腔(52)を通って、チャンバー(316)に挿入されるトレー(306)に形成された孔(344)を通って、さらに伝達されることができる。
【0040】
チャンバー(316)はまた、壁(312)の表面にガイドレール(326)を含むことができる。ガイドレール(326)は、それぞれのチャンバー(316)の向かい合う壁(312)において内側環状部分(308)に平行に延びている。以下でさらに詳細に説明するように、各チャンバー(316)における1組のガイドレール(326)は、トレー(306)がチャンバー(316)の中に受容されるとトレー(306)に係合するかまたはトレー(306)を支持する。
図7および
図11〜
図12に示すトレー(306)の実施例では、単一のトレー(306)がハウジング(304)の3つのチャンバー(316)に係合するように構成され、4つのトレー(306)がハウジング(304)により同時に支持されることができる。トレー(306)およびハウジング(304)の他の適切なバリエーションが、当業者には明らかであろう。例えば、
図13〜
図14を参照して以下で論じるように、各トレー(306)は、ハウジング(304)内部で一つの対応するチャンバー(316)にのみ係合するように構成されてよい。
【0041】
ハウジング(304)はさまざまな他の方法で構成され得ること、およびハウジング(304)は、さまざまな他の特徴部、構成要素、および構成を有し得ることが、理解されるべきである。例えば、ハウジング(304)は、代わりに、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214995号で教示された任意のマニホルドまたは他の構成要素に従って構成されてよい。ハウジング(304)および/またはカップ(303)はまた、ハウジング(304)および/もしくはカップ(303)をプローブ(102)から分離する際のハウジング(304)および/もしくはカップ(303)の保持を容易にするため、ならびに/または他の目的で、外側表面に隆起(knurling)または他の(例えば周方向および/または直線の)特徴部を有してよい。ハウジング(304)の、さらに他の適切な特徴部、構成要素、および構成が、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0042】
C. 組織サンプルトレー
前記のとおり、トレー(306)は、ハウジング(304)により受容されるように、そして組織サンプルを受容するように、構成される。より詳細には、トレー(306)は、ハウジング(304)のチャンバー(316)の中に受容されるように構成される。各トレー(306)は、剛性であってよく、概ね弓状の構成を有するように予め形成され得る。あるいは、トレー(306)は、可撓性および/または弾性材料で形成されてよく、トレー(306)は、チャンバー(316)の形状およびサイズに一致するように曲げられ、チャンバー(316)から取り外された後で平坦にされるなどしてよい。同様に、トレー(306)は、1つまたは複数の接合部を含んでよく、トレー(306)の一部がそのような接合部で屈曲するかまたは曲がることができる。トレー(306)の、さらに他の適切な特徴部、構成、および特性は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0043】
図11に示すように、本実施例のトレー(306)は、複数の側壁(332)を含む。各対の側壁(332)は、対応する後壁(334)から延びる。各対の側壁(332)はまた、対応するフロア(338)からも延びる。一対の隣接する側壁(332)、後壁(334)、およびフロア(338)は共に、対応する組織サンプルチャンバー(345)を画定している。ほんの一例として、以下でさらに詳細に説明するように、各組織サンプルチャンバー(345)は、カッター(50)により捕捉された少なくとも1つの組織サンプルを受容するように構成される。
【0044】
図示の実施例では、各側壁(332)は、それぞれ、遠位縁部および近位縁部を形成する。各側壁(332)の近位縁部は、対応する後壁(334)と一体的であるのに対し、各側壁(332)の遠位縁部は、束縛を受けていない(free)。各側壁(332)の遠位縁部は、複数の凹部を含んでよく、これらの凹部は、トレー(306)がハウジング(304)により受容されるとハウジング(304)のガイドレール(324)に係合するように構成される。あるいは、トレー(306)は、ガイドレール(324)が、側壁(332)およびフロア(338)により形成される角に係合するように、構成されてもよい。
【0045】
さらに
図11を参照すると、後壁(334)は、対応する側壁(332)の近位縁部を過ぎて半径方向外側に延びてよい。したがって、側壁(332)およびフロア(338)は、最初にトレー(306)の遠位端部を対応するチャンバー(316)の中に置き、側壁(332)およびフロア(338)をチャンバー(316)に沿って遠位方向に前進させることによって、チャンバー(316)に入ることができる。側壁(332)は次に、側壁(332)の長さにわたって、かつ/または後壁(334)がハウジング(304)の後面に係合するまで、チャンバー(316)の中に延びることができる。
【0046】
さらに、
図7に示すように、軟質のシリコーンガスケット(314)が、ハウジング(304)の後面に位置付けられて、後壁(334)とハウジング(304)との間に密封適合をもたらすことができる。本実施例のガスケット(314)は、一連のウェビングにより接続された外側円形表面および内側円形表面を概して画定する、円形状を有する。ガスケット(314)のウェブは、チャンバー(316)と一致する複数の孔を形成する。ウェブの形成により、ガスケット(314)はハウジング(304)の近位端部の形状に一致することができる。より具体的には、ガスケット(314)は、ハウジング(304)の近位端部に近接して位置付けられると、ウェブにより形成された各孔がハウジング(304)のそれぞれのチャンバー(316)と整列できるように、整列され得る。図示の実施例では、ガスケット(314)のウェブは、12個の孔を形成しており、各孔は、ハウジング(304)の12個のチャンバー(316)のうち1つとそれぞれ整列することができる。いくつかの他のバージョンでは、ガスケット(304)は、例えばシールを得るため軟質プラスチックまたはエラストマーで、ハウジング(304)の表面上にオーバーモールドされる。ガスケット(314)の他の適切な構成は、当業者には明らかであろう。あるいは、本明細書に記載の他の構成要素と同様に、ガスケット(314)は単に完全に省略されてもよい。
【0047】
図11に示す実施例では、トレー(306)の後壁(334)は、可撓性操縦部材(342)も含む。可撓性操縦部材(342)は、オペレーターによりつかまれ使用されて、トレー(306)を別様に扱い、トレー(306)をチャンバー(316)に入れ、かつ/またはトレー(306)をチャンバー(316)から取り外すことができる。可撓性操縦部材(342)は任意の適切なサイズまたは形状で設けられてよいことが、当業者により理解されるであろう。例えば、可撓性操縦部材(342)は、正方形または丸い形状を有してよい。この実施例に示す可撓性操縦部材(342)は、後壁(334)から延び、2つの端部分(348)に連結された中央部分(346)を含み、端部分(348)もそれぞれ、対応する後壁(334)から延びている。この実施例では、中央部分(346)は、それぞれの縁部に沿って各端部分(348)にそれぞれ接続される。これらの縁部の交点は、それぞれ軸を形成し、その軸の周りで、部分(346、348)が蝶番式に回転することができる。言い換えれば、この実施例の操縦部材(342)は、一対のリビングヒンジを画定し、各ヒンジは、中央部分(346)と端部分(348)との間に位置付けられる。ゆえに、トレー(306)は、平坦位置で構成されることができる。このようにトレー(306)を動かすか、または別様に扱う能力を有することは、組織サンプルチャンバー(345)内にある組織サンプルにアクセスしようとする場合に役立ち得る。この能力を有することは、トレー(306)を掃除するため、トレー(306)を平らに置いてトレー内の組織サンプルを検査するため、および/またはさまざまな他の目的のためにも、便利となり得る。
【0048】
この実施例に示すように、各フロア(338)は、フロアを貫通して形成された複数の孔(344)を含む。孔(344)は、任意の適切な形状およびサイズのものであってよい。例えば、孔(344)は、円形状または細長い形状(例えばスロットなど)を有してよい。同様に、異なるサイズおよび形状の孔(344)が、各フロア(338)内部に設けられてもよい。概して、孔(344)は、組織サンプルがそのような組織サンプルチャンバー(345)内部にある場合でも、血液、食塩水、および/または他の流体が組織サンプルチャンバー(345)を通過してチャンバー(316)に入り、孔(324)を介してチューブ(404)から出るのに十分大きいサイズを有する。よって、いくつかの実施例では、孔(344)は、概して、組織サンプルが孔を通って移動できるほど十分に大きくない。当然、孔(344)は、トレー(306)のどこか他の場所に位置してよく、あるいは、任意の他の所望の構成または有用性を有してよい。本実施例の孔(344)は、トレー(306)がチャンバー(316)に挿入されたときに孔(322)から孔(324)への流体連通のための通路を提供することが、理解されるべきである。前記の実施例を再び参照すると、チューブ(404)からの真空は、孔(324)から孔(322)を通って(したがって、カッター内腔(52)を通って)、「12時の位置」にあるトレー(306)の孔(324)を経由して伝達されることができる。
【0049】
生検システム(2)の操作中、トレー(306)は、チャンバー(316)の中に挿入により位置付けられるように構成される。より具体的には、トレー(306)は、トレー(306)がチャンバー(316)に挿入されるとフロア(338)の遠位端部が孔(322、324)の間に部分的に位置付けられるように、構成されてよい。例えば、トレー(306)は、
図9Aに示すようにフロア(338)が孔(322)より下、かつ孔(324)より上に位置するように構成されてよい。この構成では、フロア(338)の孔(344)を通過することができるあらゆる空気、気体、液体、または他の物質が、プローブ(102)の第1の内腔(117)を通ってトレー(306)内へと上方孔(322)を経由して移動し、その後、下方孔(324)を通って、次に第2の内腔(119)およびチューブ(404)を通って移動することによりトレー(306)から出ることができる。さらに、前記のoリング(140、142)の検討で記載したとおり、プローブ(102)および組織サンプルホルダー(302)は、これら2つの間の係合が第1の内腔(117)および第2の内腔(119)に近接して整列されるそれぞれのチャンバー(316)の気密シールを作るように、構成されることができる。この気密シールは、組織サンプルホルダー係合機構においてバネ(不図示)を使用することにより強化されるか、または別様に提供されることができる。本実施例では、孔(322)が内腔(117)と整列し、孔(324)が内腔(119)と整列する、この位置は、「12時の位置」とも呼ばれる。
【0050】
図11に示すように、トレー(306)の後壁(334)は、ノッチ(349)を含むように構成され得る。そのようなノッチ(349)は、トレー保持器(370)がハウジング(304)と係合されている間に、トレー(306)が前進してチャンバー(316)を出入りできるように構成され得る。
図10Aおよび
図10Bから分かるように、また、以下でさらに詳細に論じるように、ノッチ(349)は、トレー(306)の1つの後壁(334)の底縁に位置する。
【0051】
トレー保持器(370)は、トレー(306)とハウジング(304)との間の係合を固定するように構成される。
図7に示すように、本実施例のトレー保持器(370)は、遠位端部にロック部材(376)を、近位端部に半径方向突出部(386)を有するシャフト(372)を含む。環状フランジ(378)が、半径方向突出部(386)とロック部材(376)との間でシャフト(372)の一部分を取り囲んでいる。この実施例では、環状フランジ(386)が、ハウジング(304)の中央ボア(310)の直径より大きな直径を有する。前記のシャフト(380)は、トレー保持器(370)のシャフト(372)内部にスライドにより位置付けられて、ボタン(382)はトレー保持器(370)の後面から後方に突出する。
【0052】
トレー保持器(370)は、ハウジング(304)と取り外し可能に係合される。具体的には、ハウジング(304)の内側環状部分(308)は、その近位端部に複数の凹部(315)を画定する。
図8に示すように、各凹部(315)は、内側環状部分(308)の内側表面に沿って軸方向に間隔を提供する第1の段(317)と、内側環状部分(308)の内側表面に沿って環状に向けられる第2の段(318)と、を有する。ロック部材(376)は、凹部(315)と係合するように構成される。具体的には、トレー保持器(370)は、ロック部材(376)を有するシャフト(372)の遠位端部を最初に中央ボア(310)内に位置付けることにより、ハウジング(304)に係合する。最初に、ロック部材(376)は、凹部(315)の第1の段に沿って軸方向に移動する。しかしながら、ロック部材(376)は、環状フランジ(378)がいったんハウジング(304)に隣接すると、それ以上軸方向に移動することができない。ロック部材(376)は次に、角度方向に凹部(315)の第2の段に沿って前進することができる。このようにロック部材(376)を回転させて前進させることにより、ロック部材(376)の通路を反対にせずに、トレー保持器(370)の軸方向運動が妨げられる。当然、トレー保持器(370)は、任意の他の適切な様式でハウジングに固定されてよい。
【0053】
図10Aに示すように、トレー保持器(370)は、凹部(349)に関して位置付けられてよく、トレー保持器(370)は、トレー(306)がハウジング(304)から取り外されるのを防ぐ。具体的には、半径方向突出部(386)は、後壁(334)の後方運動を防ぎ、それにより、トレー(306)をハウジング(304)内に「ロック」することができる。トレー保持器(370)は、例えば
図10Aに示す矢印の方向に回転され、
図10Bに示すように位置付けられて、トレー(306)は、それぞれ前進してチャンバー(316)に出入りすることができる。例えば、
図10Bに示すように、トレー保持器(370)は、半径方向突出部(386)がトレー(306)のノッチ(349)に一致するように回転することができる。半径方向突出部(386)およびノッチ(349)は、これら2つの特徴部を整列させることにより、オペレーターが(例えば操縦部材(342)を握ることによって)トレー(306)を後方に引いてハウジング(304)から出すのに十分な間隔が提供されるように、構成されてよい。このようなトレー保持器(370)の回転位置は、トレー(306)がハウジング(304)に挿入されることも可能にし得る。当然、さまざまな代替の特徴部、構成要素、構造体、装置、構成、および技術を使用して、ハウジング(304)においてトレー(306)の位置を選択的に固定することができる。
【0054】
使用中、オペレーターは、針部分(10)が依然として患者に挿入されている間に、トレー(306)を取り外すことができる。「12時の位置」に位置するチャンバー(316)に対して、オペレーターは、生検部位マーキング装置のカニューレを、プローブ(102)の後部から、孔(322)に通し、カッター内腔(52)に通して挿入して、孔(16)を通して生検部位マーカーを配備することができる。このような生検部位マーカーを配備する適切な装置は、当技術分野で既知である。ハウジング(304)の回転位置が前記のように針部分(10)の回転位置まで割り出される範囲で、所望の各回転位置について前述したように単にプローブ(102)を通してマーカー装置を再導入することによって、針部分(10)により定められる軸の周りのさまざまな回転位置にさまざまなマーカーを配備することができる。
【0055】
各トレー(306)および/またはチャンバー(316)は、1つまたは複数のタイプのマーキングまたは他の印をそれぞれ含んで、1つのトレー(306)またはチャンバー(316)を別のトレー(306)またはチャンバー(316)と見分けることができる。例えば、いくつかの、または他の識別マーキングが、各トレー(306)またはチャンバー(316)上またはその近くに、例えばレリーフ形態、陥凹形態、または別の形態で、設けられてよい。別の実施形態では、放射線不透明性マーカーが、各トレー(306)の上またはその近くに設けられる。ほんの一例として、肉眼でみることができ、かつ放射線不透過性であるマーカーを、操縦部材(342)、またはトレー(306)の任意の他の部分に直接統合することができる。少なくとも1つの組織サンプルを持っているトレー(306)を、評価のためX線下に置いてよく、各組織サンプルチャンバー(345)と関連する(したがって各組織サンプルと関連する)放射線不透過性マーカーは、X線を用いて入手した画像で見ることができる。言い換えれば、組織サンプルは、組織サンプルのX線または放射線写真画像を得るために、必ずしもトレー(306)から取り外される必要はない。さらに、トレー(306)は、組織サンプルをトレー(306)上に静止させた状態で、ホルマリンまたは任意の他の液体中に直接落とされてよい。さらに、トレー(306)は、組織サンプルを保護するように、かつ/または、組織サンプルがトレー(306)内に確実にとどまるように、または他の目的で、個別に、または集団で、スリーブまたは容器などの中に入れられることができる。そのようなスリーブまたは容器は、可撓性であっても、剛性であっても、または他の特性を有してもよい。ほんの一例として、スリーブまたは他の容器は平坦であってよく、また、中に挿入された可撓性トレー(306)を平らにするように構成されることができる。組織サンプルがトレー(306)に送られた後などに、トレー(306)と共に使用され得る他の構造体および技術は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0056】
本明細書に記載したトレー(306)の特徴および構成は単に例示的なものであること、ならびに、任意の適切な代替案を使用してよいことが、理解されるべきである。例えば、トレーの他の構成の限定的な実施例が、
図12〜
図15に図示され、以下で説明される。トレー(306)の、他の適切な特徴部、構成、処理、または材料は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0057】
図12に示すように、トレー(306)と同じように組織サンプルホルダー(302)と共に使用され得る代替的なトレー(606)が描かれている。トレー(306)と同様に、トレー(606)は、単一の後壁(334)にそれぞれ接続された複数の側壁(632)を含む。各対の側壁(632)はまた、対応するフロア(638)に接続される。したがって、側壁(632)、フロア(638)、および後壁(334)は、共に、組織サンプルチャンバー(645)を画定する。各フロア(638)は、その中を通って形成された複数の孔(644)を有し、これらの孔は前記の孔(344)によく似ている。トレー(606)は、操縦部材(639)をさらに含む。この実施例では、操縦部材(639)は、後壁(334)に取り付けられた剛性部材を含む。後壁(334)および操縦部材(639)の剛性により、組織サンプルチャンバー(645)が互いに対して位置が変わることが実質的に妨げられる。しかしながら、側壁(632)および/またはフロア(638)は、別の状況では、所望に応じて、ある程度の可撓性を有してよい。さらに、後壁(334)および操縦部材(639)も、所望に応じて、ある程度の可撓性を有してよい。
【0058】
トレー(606)は、トレー(306)について前述したのと同じように使用されてよい。例えば、トレー(606)は、ハウジング(304)内へと軸方向に前進してよく、それぞれの組織サンプルチャンバー(645)は、ハウジング(304)のチャンバー(316)の中へそれぞれ前進する。この実施例では、トレー(606)は、3つのチャンバー(316)に同時に係合するように構成される。トレー(606)は、別の状況では、トレー保持器(370)によってハウジング(304)との係合にロックされるように構成されてよい。さらに、トレー(606)は、トレー(606)を選択的に、ハウジング(304)内へ前進させて、かつハウジング(304)から取り除くことができるように、ノッチまたは任意の他の適切な特徴部を含むよう構成されてもよい。あるいは、トレー(606)は、任意の他の適切な様式でハウジング(304)と選択的に連結することができる。
【0059】
図13〜
図14は、単一対の側壁(732)、単一のフロア(738)、および操縦部材(739)を有する後壁(734)を含む、別の代替的なトレー(706)を示す。側壁(732)、フロア(738)、および後壁(734)は共に、組織サンプルチャンバー(745)を画定する。この実施例では、トレー(706)は、ハウジング(304)内部の単一のチャンバー(316)に係合するように構成される。本実施例では、ハウジング(304)は、12個のトレー(706)を同時に支持することができる。トレー(306)のフロア(338)における孔(344)のように、トレー(706)のフロア(738)も、複数の孔(744)を含む。
【0060】
トレー(706)は、トレー(306)について前述したのと同じように使用され得る。例えば、トレー(706)は、ハウジング(304)内へと軸方向に前進されてよく、組織サンプルチャンバー(745)がハウジング(304)のチャンバー(316)内へと前進する。トレー(706)は、別の状況では、トレー保持器(370)によってハウジング(304)との係合にロックされるように構成されてもよい。さらに、トレー(706)は、トレー(706)が選択的にハウジング(304)内へ前進し、またハウジング(304)から取り外されることができるように、ノッチまたは任意の他の適切な構成要素を含むよう構成されてよい。あるいは、トレー(706)は、任意の他の適切な様式でハウジング(304)と選択的に連結することができる。
【0061】
図15は、トレー(306)と同じように、組織サンプルホルダー(302)と共に使用され得るさらに別の代替的なトレー(800)を示している。トレー(306)と同様に、トレー(800)は、単一の後壁(834)にそれぞれ接続された複数の側壁(832)を含む。各対の側壁(832)はまた、対応するフロア(838)に接続されている。したがって、側壁(832)、フロア(838)、および後壁(834)は共に、組織サンプルチャンバー(845)を画定背売る。各フロア(838)は、その中を通って形成された複数の孔(844)を有し、それらの孔は、前述した孔(344)によく似ている。トレー(806)は、一対の操縦部材(839)をさらに含み、これらの操縦部材はそれぞれ、この実施例では、後壁(834)に取り付けられた剛性部材を含む。後壁(834)および操縦部材(839)の剛性により、所望に応じて、組織サンプルチャンバー(845)が互いに対して位置を変えることが実質的に妨げられ得る。あるいは、後壁(834)および操縦部材(839)は、(例えば、トレー内の組織サンプルの評価または画像化などのためにトレー(800)を平らにするように)所望に応じてある程度の可撓性をもたらすこともできる。
【0062】
本実施例のトレー(800)は、側壁(832)を通して形成された複数の孔(833)も含み、これらの孔により、組織サンプルチャンバー(845)を通した流体連通が促進され得る。例えば、そのような孔(833)は、例えばそのような流体連通が別の状況で組織サンプルチャンバー(845)内の組織サンプルによって(例えば開口部(844)を遮断するなど)阻止または妨害された場合に、内腔(117)と内腔(119)との間の流体連通を維持することができる。さらに、本実施例のトレー(800)は、各フロア(838)から上方に延びる複数の突出部(843)を含む。そのような突出部(843)は、組織サンプルが中に引き込まれた組織サンプルチャンバー(845)のフロア(838)の孔(844)を組織サンプルがふさぐのを妨げることによって、流体連通を促進することができる。そのような突出部(843)はまた、組織サンプルの試験のためトレー(800)を輸送する間に、組織サンプルをそのチャンバー(845)内に保持するのに役立ち得る。この実施例のトレー(800)はまた、内部を通って形成された孔(852)を有する遠位壁(850)を含む。孔(852)は、ハウジング(304)の対応する上方孔(322)と整列するよう構成されてよく、上方孔(322)を通して引き込まれた組織は、孔(852)も通して引き込まれて組織サンプルチャンバー(845)に達する。遠位壁(850)および孔(852)はまた、トレー(800)がハウジング(304)から取り外されたときに組織サンプルがハウジング(304)に残る可能性を、遠位壁(850)および孔(852)が減少させるように、構成されることもできる。言い換えれば、遠位壁(850)は、トレー(800)がハウジング(304)から取り外されたとき、およびその後、少なくともある程度まで、組織サンプルを組織サンプルチャンバー(845)内部に保持するのを助けることができる。
【0063】
トレー(800)は、トレー(306)に対して前述したのと同様に使用されることができる。例えば、トレー(800)は、ハウジング(304)内へと軸方向に前進されてよく、それぞれの組織サンプルチャンバー(845)がハウジング(304)のチャンバー(316)内へそれぞれ前進する。この実施例では、トレー(800)は、6個のチャンバー(316)に同時に係合するように構成されるが、トレー(800)は、任意の他の所望の数のチャンバー(316)に同時に係合することができる。トレー(800)は、別の状況では、トレー保持器(370)によってハウジング(304)との係合にロックされるように構成されることもできる。さらに、トレー(800)は、トレー(800)が選択的にハウジング(304)内へ前進し、またハウジング(304)から取り外されることができるように、ノッチまたは任意の他の適切な特徴部を含むよう構成されてよい。あるいは、トレー(800)は、任意の他の適切な様式でハウジング(304)と選択的に連結することができる。
【0064】
トレー(306、606、706、800)の前述の特徴部および使用のいずれかは、所望に応じて、トレー(306、606、706、800)間で交換され得ることが理解されるべきである。言い換えれば、前述の特徴部は、特定のトレー(306、606、706、800)の文脈で任意に記載されたものであり、そのような特徴部がそのような特定のトレー(306、606、706、800)に限定されるためではない。トレー(306、606、706、800)の前述の特徴部および使用をトレー(306、606、706、800)間で交換し得る適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0065】
ハウジング(302)における壁(312)の構成が、チャンバー(316)間で流体隔離をもたらし得ることも理解されるべきである。言い換えれば、各チャンバー(316)は、第1の内腔(117)と第2の内腔(119)との間の流体連通のため、別個の導管を提供することができる。したがって、そのような流体連通は、「12時の位置」に向けられたチャンバー(316)のみに限られてよく、残りのチャンバー(316)のいずれにも流体連通が「流れ込んで(bleeding into)」いない。あるいは、組織サンプルホルダー(302)は、チャンバー(316)が互いに完全に流体隔離されないように、またはチャンバー(316)が集団で流体隔離される(例えば、3つのチャンバー(316)の組が3つのチャンバー(316)の隣接した集団から流体隔離されるなど)ように、構成されてよい。
【0066】
本明細書の教示を考慮すれば、カップ(303)およびトレー(306、606、706、800)を取り外しできることにより、使用者は、比較的短い時間で比較的多数の組織サンプルを得ることができることが、認識されるであろう。さらに、カップ(303)およびトレー(306、606、706、800)を取り外しできることにより、使用者は、不十分な組織サンプルを組織サンプルホルダー(302)から(例えばピンセットを使うなどして)取り外し、その後、さらなるサンプリングのためトレー(306、606、706、800)およびカップ(303)を再係合させることができる。本実施例の組織サンプルホルダー(302)の、取り外し可能なこと、および他の特性を使用し得る他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。ほんの一例として、組織サンプルホルダー(302)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214995号の教示のいずれかに従って構成または使用されることができる。
【0067】
本明細書に記載の組織サンプルホルダーはさまざまなタイプの生検装置において使用され得るが、必ずしも明細書に記載した特定の生検装置において使用される必要はないことも理解されるべきである。例えば、本出願は、さまざまな特許、特許出願公開、および特許出願に言及し、参照によりそれらを組み込んでいる。本明細書に記載の組織サンプルホルダー、ならびにそのバリエーションは、それらの特許、特許出願公開、および特許出願のいずれかに記載された生検装置のいずれかに組み込まれることができる。
【0068】
IV. 例示的な真空制御モジュールおよびキャニスター
図1に示すように、例示的な真空キャニスター(500)が真空制御モジュール(400)に連結されるように構成されている。真空制御モジュール(400)は、真空キャニスター(500)を通して真空を誘導するよう動作可能であり、そのような真空は、生検プローブ(102)へ送られ得る。例えば、真空制御モジュール(400)は、チューブ(404)を通して真空を伝達でき、チューブ(404)は次に、前述のとおり、組織サンプルホルダー(302)を通してカッター内腔(52)へ真空を伝達することができる。真空制御モジュール(400)はまた、チューブ(402)を通してハブ(60)のマニホルドへ真空を伝達することもでき、マニホルドは次に、前述のとおり、外側カニューレ(12)の真空内腔へ真空を伝達することができる。
【0069】
さらに、真空キャニスター(500)は、生検プローブ(102)の使用中に生検プローブ(102)から送られた流体を収集するよう動作することができる。したがって、真空キャニスター(500)は、生検プローブ(102)と真空制御モジュール(400)との間に流体界面をもたらすものとしてみなされ得る。「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号に記載のもののような、任意の適切な真空制御モジュールおよび真空キャニスターを使用することができる。さらに、任意の他の適切な構成要素、システム、技術、または装置を、適切な制御モジュールまたは真空キャニスターと共に使用することができる。
【0070】
図1に示すように、チューブ(408)がチューブ(402)に送り込まれる。チューブ(410)もチューブ(402)に送り込まれる。具体的には、コネクタ(446)が食塩水チューブ(408)をチューブ(402)と接続する。図示のとおり、コネクタ(446)は、キャニスター(500)に隣接して設けられ、コネクタ(448)は生検プローブ(102)付近に設けられる。本実施例では、コネクタ(446)は単に、チューブ(410、402)とチューブ(408、402)との間それぞれに、常に開いた導管を提供する。他の実施形態では、コネクタ(446、448)は、任意の他の適切な構成要素(例えばバルブなど)を有することができる。本明細書の開示を考慮すれば、チューブ(402、408、410)およびコネクタ(446、448)の構成により、真空、通気、または食塩水のいずれかが、チューブ(402)を通って送られることが、認識されるであろう。これらのうちどれがチューブ(402)を通して送られるかという例示的な決定は、以下でさらに詳細に説明する。これも図示されるように、食塩水袋(444)が、任意の適切な従来の取り付け部品を用いてチューブ(408)と連結される。
【0071】
本実施例の真空制御モジュール(400)は、ホルスター(202)の少なくともいくつかの構成要素を制御するように動作可能なモーター(480)も含む。例えば、モーター(480)は、駆動ケーブル(484)を回転させ、例えば、前述したようにカッター(50)を作動させることができる。具体的には、モーター(480)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「CONTROL MODULE INTERFACE」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6466USNP]に記載のもののような、制御モジュールインターフェースの一部であってよい。生検装置(100)は、1つまたは複数のエンコーダー(不図示)も含んでよく、このエンコーダーは、カッター(50)の位置、および組織サンプルホルダー(302)のハウジング(304)の位置などに関するデータを、そのような制御モジュールインターフェースに伝達するのに使用され得る。そのような制御モジュールインターフェースは、MRI環境、または他の環境での生検装置(100)の使用を容易にすることができる。当然、本明細書に記載するような、真空制御モジュール(400)および真空キャニスター(500)の特徴部および機能性は、単なる例である。
【0072】
V. 例示的な操作モード
本明細書の開示を考慮すれば、生検システム(2)を操作し得るさまざまな方法があることが認識されるであろう。例えば、チューブ(402、404、408、410)を通して、または別様に生検システム(2)内部で、流体(例えば食塩水、真空、通気(venting)など)の伝達を選択的に制御するのに使用される構造体または技術に関わらず、使用され得るさまざまなタイミングアルゴリズムがある。そのようなタイミングアルゴリズムは、使用者が選択する操作モードに基づいて変化してよい。さらに、操作モード間で重複があってよい(例えば、生検システム(2)は、所定の時間に2つ以上の操作モードにあることができるなど)。選択された操作モードに基づいて変化する流体連通タイミングアルゴリズムに加え、生検システム(2)の他の操作態様が、選択された操作モードに基づいて変化してよい。例えば、組織サンプルホルダー(302)の操作は、カッター(50)および生検システム(2)の他の構成要素の操作のように、選択された操作モードに基づいて変化してよい。いくつかの単に例示的な操作モードがあるが、他の操作モードは、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。使用され得る任意の適切な操作モードには、例えば、参照により開示内容を本明細書に組み込む、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」という名称の、2008年9月4日公開の米国特許出願公開第2008/0214955号に開示された任意の適切なモードが含まれる。
【0073】
針部分(10)が患者の乳房に挿入されている生検システム(2)の、1つの例としての操作をこれから説明する。針部分(10)が挿入された状態で、横および軸方向の真空が加えられる。具体的には、真空が、チューブ(402、404)を通して伝達される。針ハブ(60)、ならびに外側カニューレ(12)とのチューブ(402)の流体接続を仮定すれば、チューブ(402)を通した真空の伝達により、カニューレ内腔(20)に対して横向きの真空が引かれる。この実施例では組織サンプルホルダー(302)によるカッター内腔(52)へのチューブ(404)の流体接続を仮定すれば、チューブ(404)を通した真空の伝達により、カッター内腔(52)を通して軸方向の真空が引かれる。
【0074】
前記のように加えられた軸方向および横向きの真空により、カッター(50)は、軸方向に後退する。カッター(50)が軸方向に後退することは、孔(16)を「開く」のに役立ち、これにより、前述の真空の影響下で、組織が孔(16)内へ脱出する。カッター(50)は、しばらくの間、後退位置にあり、組織の十分な脱出を確実にすることができる。
【0075】
次に、カッター(50)は遠位に前進して、孔(16)を通って脱出した組織を切断する。カッター(50)の遠位端部が孔(16)の遠位縁部を過ぎて、カッター(50)が孔(16)を「閉じる」と、脱出組織は、切断され、少なくとも最初はカッター内腔(52)内部に収容されなければならない。横向き開口部は、カッター(50)が孔(16)を「閉じる」位置に達したときに、横向き開口部のうち少なくとも1つまたは複数がカッター(50)により覆われないように、構成されなければならない。孔(16)が閉じられ、チューブ(402)を通して横向き開口部により通気が提供された状態で、チューブ(404)によりカッター内腔(52)を通して伝達されている軸方向真空は、カッター内腔(52)を通して組織サンプルホルダー(302)の組織サンプルチャンバー(345)内へと、切断した組織サンプルを近位に引っ張らなければならない。カッター(50)は、遠位位置でわずかな運動範囲にわたり1回または複数回往復運動して、カッター(50)の最初の通過で完全に切断されなかったかもしれない残りの部分を切断することができる。
【0076】
組織サンプルがカッター内腔(52)を通して近位に送られる前に、孔(16)がカッター(50)により閉じられ、真空内腔(40)がチューブ(402、410)により通気され、軸方向真空がカッター内腔(52)を通じてチューブ(404)によりもたらされている状態で、カッター(50)はわずかに後退して、孔(16)の一部分を短時間、露出する。この時間の間に、食塩水が、大気圧で、チューブ(402、408)により真空内腔(40)へ提供される。カッター(50)のさらなる後退により、さらに横向き開口部が露出され、それにより、真空内腔(40)とカニューレ内腔(20)との間の流体連通が増大する。カッター(50)の後退により、組織腔(そこから組織サンプルを入手した)の圧力が、組織サンプルの遠位表面に向けられる。この特定の実施例におけるカッター(50)のわずかな後退の結果として、組織サンプルの遠位面に大気圧が加えられる可能性が増し、切断した組織サンプルが針部分(10)に残らない(「吸引不能(dry tap)」としても知られる)ことを確実にするのを助けることができる。カッター(50)は次に、遠位に完全に前進し、孔(16)および外側カニューレ(12)の全横向き開口部を閉じる。横向き開口部のこのような「閉鎖」により、薬物がこのときに(サンプル間に)与えられて痛みを軽減する場合に、薬物は、横向き開口部を通して、またカッター内腔(52)および組織サンプルホルダー(302)を通して吸引されるのではなく、外側カニューレ(12)の外部開口部を通って胸腔(breast cavity)に到達するであろう。
【0077】
カッター(50)が完全に前進し(例えば全ての横向き開口部および孔(16)が閉じるように)、切断した組織サンプルがチューブ(404)により引かれた軸方向真空によってカッター内腔(52)を通ってチャンバー(316)内へと近位に送られている状態で、生検装置(100)は、準備ができた状態となる。この準備ができた状態で、真空内腔(40)は、大気に放出され、軸方向真空チューブ(404)は密閉される(「ヘッドがふさがった(dead-headed)」としても知られる)。
【0078】
組織サンプルホルダー(302)は、さまざまな他の生検装置に容易に組み込まれ得ることが、理解されるべきである。例えば、組織サンプルホルダー(302)は、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「MECHANICAL TISSUE SAMPLE HOLDER INDEXING DEVICE」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6465USNP];開示内容を参照により本明細書に組み込む、「BIOPSY DEVICE WITH SLIDING CUTTER COVER」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6468USNP];開示内容を参照により本明細書に組み込む、「TISSUE BIOPSY DEVICE WITH CENTRAL THUMBWHEEL」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6473USNP]の教示のいずれかに従って構成される生検装置に組み込まれてもよい。あるいは、組織サンプルホルダー(302)は、任意の他のタイプの生検装置に組み込まれてもよい。
【0079】
開示内容を参照により本明細書に組み込む、「MUTLI-ORIENTATION TARGETING SET FOR MRI BIOPSY DEVICE」という名称の、本出願と同日出願の米国特許本出願[FBT整理番号0021680.END6474USNP];開示内容を参照により本明細書に組み込む、「MRI BIOPSY APPARATUS INCORPORATING A SLEEVE AND A MULTI-FUNCTION OBTURATOR」という名称の、2005年12月15日公開の米国特許出願公開第2005/0277829号;開示内容を参照により本明細書に組み込む、「MRI BIOPSY APPARATUS INCORPORATING AN IMAGEABLE PENETRATING PORTION」という名称の、2007年7月19日公開の米国特許出願公開第2007/0167736号;開示内容を参照により本明細書に組み込む、「LOCALIZATION MECHANISM FOR AN MRI COMPATIBLE BIOPSY DEVICE」という名称の、2003年10月23日公開の米国特許出願公開第2003/0199785号;または、開示内容を参照により本明細書に組み込む、「BIOPSY CANNULA ADJUSTABLE DEPTH STOP」という名称の、2007年11月1日公開の、米国特許出願公開第2007/0255170号に記載された標的化セット(targeting sets)のいずれかなどの、標的化セットと、生検装置(100)は連結され得ることも、理解されるべきである。生検装置(100)を製造および使用し得るさらに他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0080】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡的および切開手術器具類での適用、ならびにロボット支援手術における適用を有する。
【0081】
本明細書に開示した装置の実施形態は、1回使用した後で廃棄されるように設計されてよく、または、複数回使用されるように設計されてもよい。いずれかの場合または双方の場合に、実施形態は、少なくとも1回使用した後で、再利用のため再調整されることができる。再調整は、装置の分解工程、その後の特定の部品の洗浄もしくは取替工程、および、それに続く再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置の実施形態は、分解されてよく、装置の、任意の数の特定の部品または部分が、任意の組み合わせで、選択的に取り替えられるかまたは取り外されてよい。特定の部分が洗浄および/または取り替えられると、装置の実施形態は、再調整施設において、または外科処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために再組み立てされることができる。装置の再調整は、分解、洗浄/取替、および再組み立てのためのさまざまな技術を使用してよいことを、当業者は認識するであろう。そのような技術、および結果として得られる再調整済みの装置の使用はすべて、本出願の範囲内である。
【0082】
ほんの一例として、本明細書に記載の実施形態は、手術前に処理されてよい。最初に、新しいかまたは使用済みの器具が入手されてよく、必要であれば洗浄され得る。器具は次に、滅菌されることができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックまたはTYVEKバッグなどの、閉鎖され密封された容器の中に置かれる。容器および器具は次に、γ放射線、x線、または高エネルギー電子など、容器を貫通できる放射線の場の中に置かれることができる。放射線により、器具上および容器内の細菌を死滅させることができる。滅菌済みの器具は、次に、滅菌容器内で保管されてよい。密閉容器は、医療設備で開封されるまで、器具を無菌に保つことができる。装置は、βもしくはγ放射線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌されることもできる。
【0083】
本発明のさまざまな実施形態を図示および説明してきたが、本明細書に記載した方法およびシステムのさらなる改作が、本発明の範囲から逸脱せずに、当業者による適切な改変により達成され得る。そのような可能性のある改変のうちいくつかに言及しており、他のものは当業者には明らかであろう。例えば、前記に論じた実施例、実施形態、外形、材料、寸法、割合、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、請求項の観点から考慮されるべきであり、明細書および図面に示し説明した構造および操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0084】
〔実施の態様〕
(1) 生検プローブに係合し、組織サンプルを受容するように構成された組織サンプルホルダーにおいて、
(a)複数のチャンバーを含むハウジングであって、前記チャンバーはそれぞれ、軸方向に沿って延びる、ハウジングと、
(b)前記複数のチャンバーのうち1つまたは複数の内部に軸方向に受容されるように構成された少なくとも1つのトレーであって、組織サンプルを受容するように構成される、少なくとも1つのトレーと、
(c)前記ハウジングに係合し、前記少なくとも1つのトレーに選択的に係合するように構成されたトレー保持器と、
を含む、組織サンプルホルダー。
(2) 実施態様1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記ハウジングは、
(i)近位縁部および遠位縁部を有する内側部分であって、前記内側部材は中央ボアを画定する、内側部分と、
(ii)近位縁部および遠位縁部を有する外側部分であって、前記外側部材は、前記内側部分と同軸上にある、外側部分と、
(iii)前記内側部分から前記外側部分に延び、半径方向に延びる複数の壁と、
をさらに含み、
前記内側部分、前記外側部分、および前記壁は、前記チャンバーを画定する、組織サンプルホルダー。
(3) 実施態様2に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記複数のチャンバーの各チャンバーは、近位端部、および遠位端部を含み、前記近位端部は、トレーを受容するように構成され、前記遠位端部は、前記プローブに近接して位置付けられるように構成され、前記ハウジングの前記半径方向に延びる複数の壁は、前記近位端部と前記遠位端部との間に位置付けられる、組織サンプルホルダー。
(4) 実施態様3に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記複数のチャンバーの各チャンバーの前記遠位端部は、上方孔、および下方孔を含む、組織サンプルホルダー。
(5) 実施態様2に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記内側部分は、少なくとも1つの近位受容凹部を含み、前記少なくとも1つの近位受容凹部は、前記内側部分の前記中央ボアおよび前記近位縁部に近接して位置付けられ、前記少なくとも1つの近位受容凹部は、前記トレー保持器に係合するように構成される、組織サンプルホルダー。
【0085】
(6) 実施態様5に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記トレー保持器は、
(i)露出端部および非露出端部を有する、シャフトと、
(ii)前記露出端部の近位の少なくとも1つのロック部材であって、前記トレー保持器は、前記少なくとも1つのロック部材を前記少なくとも1つの近位受容凹部に係合させることにより、前記中央ボア内に受容されるように構成される、ロック部材と、
を含む、組織サンプルホルダー。
(7) 実施態様2に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記少なくとも1つのトレーは、
(i)一対の側壁であって、各側壁は、近位縁部および遠位縁部を有する、側壁と、
(ii)前記側壁と係合したフロアであって、近位縁部および遠位縁部を有する、フロアと、
(iii)前記側壁の前記近位縁部および前記フロアの前記近位縁部に連結された後壁と、
を含む、組織サンプルホルダー。
(8) 実施態様7に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記トレーは、最初に前記トレーの前記側壁の前記遠位縁部を、それぞれの前記チャンバーの中に位置付けることによって、前記複数のチャンバーのうち1つのチャンバー内部に受容されるように構成される、組織サンプルホルダー。
(9) 実施態様8に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記フロアは、複数の孔を含む、組織サンプルホルダー。
(10) 実施態様1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
カップ、
をさらに含み、
前記カップは、前記生検プローブと取り外し可能に連結されるように構成され、
前記カップは、前記ハウジングおよび前記少なくとも1つのトレーを覆うようにさらに構成される、組織サンプルホルダー。
【0086】
(11) 生検装置において、
(a)プローブ本体と、
(b)前記プローブ本体から遠位に延びる針部分であって、前記針部分は、横向きの組織受容孔を含む、針部分と、
(c)前記針部分内部に位置付けられた中空カッターであって、前記カッターは、前記孔を通って突出する組織から組織サンプルを切断するために前記針部分内部で並進可能であり、前記中空カッターは、カッター内腔を画定する、中空カッターと、
(d)組織サンプルホルダーであって
(i)複数のチャンバーであって、前記チャンバーはそれぞれ、軸方向に延び、前記軸方向は、前記カッター内腔と平行である、複数のチャンバー、および、
(ii)前記チャンバーと取り外し可能に係合された複数のトレーであって、前記トレーは、軸方向に前記チャンバーから取り外し可能である、複数のトレー、
を含む、組織サンプルホルダーと、
を含み、
前記組織サンプルホルダーは、前記カッター内腔と共に前記複数のチャンバーのうちの1つのチャンバーを選択的に割り出して、割り出されたチャンバーに組織サンプルを受容するように動作可能である、生検装置。
(12) 実施態様11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダー内部で前記トレーを選択的に固定するよう動作可能なトレー保持器をさらに含む、生検装置。
(13) 実施態様11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、内側ハウジングをさらに含み、前記内側ハウジングは、前記複数のチャンバーを画定し、前記トレーは、前記内側ハウジングと取り外し可能に係合可能である、生検装置。
(14) 実施態様11に記載の生検装置において、
前記トレーはそれぞれ、一対の側壁、一対の側壁それぞれの間に延びるフロア、ならびに一対の側壁それぞれおよび対応するフロアと一体的な後壁を含む、生検装置。
(15) 実施態様14に記載の生検装置において、
前記フロアは、その中を通って形成された複数の孔を有する、生検装置。
【0087】
(16) 実施態様11に記載の生検装置において、
各トレーは、複数の組織サンプルチャンバーを画定し、各トレーの各組織サンプルチャンバーは、前記複数のチャンバーの対応するチャンバーと関連している、生検装置。
(17) 実施態様11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記カッター内腔に送られる流体を、第1の方向から第2の方向に向け直すように構成される、生検装置。
(18) 実施態様11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記プローブ本体に選択的に係合可能であり、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダーを前記プローブ本体に対して選択的に解放するよう動作可能な解放機構を含む、生検装置。
(19) 実施態様18に記載の生検装置において、
前記プローブ本体から近位に延びる組織ホルダー回転シャフト、
をさらに含み、
前記解放機構は、前記組織ホルダー回転シャフトに選択的に係合するように構成される、生検装置。
(20) 生検装置を操作する方法において、
(a)生検装置を提供することであって、前記生検装置は、
(i)組織受容孔を有する針であって、針軸を定める、針、
(ii)前記孔において組織を切断するように構成されたカッター、
(iii)前記カッターにより切断された組織を送るように構成された内腔、および、
(iv)前記内腔を通じて送られた組織を受容するように構成された少なくとも1つのトレーを有する組織サンプルホルダー、
を含む、提供することと、
(b)前記針および前記カッターで組織サンプルを捕捉することと、
(c)前記内腔を通して前記トレーへ前記組織サンプルを送ることと、
(d)前記針軸に平行な軸方向に前記トレーを引っ張ることにより、前記組織サンプルホルダーから前記トレーを取り外すことと、
を含む、方法。
【0088】
[実施態様A]
(A1) 生検プローブに係合し、組織サンプルを受容するように構成された組織サンプルホルダーにおいて、
(a)複数のチャンバーを含むハウジングであって、前記チャンバーはそれぞれ、軸方向に沿って延びる、ハウジングと、
(b)前記複数のチャンバーのうち1つまたは複数のチャンバーの内部に軸方向に受容されるように構成された少なくとも1つのトレーであって、前記少なくとも1つのトレーは、組織サンプルを受容するように構成されており、前記少なくとも1つのトレーは、
(i)一対の側壁であって、各側壁は、近位縁部および遠位縁部を有する、一対の側壁、
(ii)前記側壁と係合したフロアであって、近位縁部および遠位縁部を有する、フロア、ならびに、
(iii)前記側壁の前記近位縁部および前記フロアの前記近位縁部に連結された後壁であって、前記後壁の少なくとも一部分が、密封適合をもたらすために前記複数のチャンバーのうち前記1つまたは複数のチャンバーの内壁に係合するように構成されている、後壁、
を含む、少なくとも1つのトレーと、
を含む、組織サンプルホルダー。
【0089】
(A2) 実施態様A1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記ハウジングは、
(i)近位縁部および遠位縁部を有する内側部分であって、前記内側部分は、中央ボアを画定する、内側部分と、
(ii)近位縁部および遠位縁部を有する外側部分であって、前記外側部分は、前記内側部分と同軸上にある、外側部分と、
(iii)前記内側部分から前記外側部分に延び、半径方向に延びる複数の壁と、
をさらに含み、
前記内側部分、前記外側部分、および前記壁は、前記チャンバーを画定する、組織サンプルホルダー。
(A3) 実施態様A2に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記複数のチャンバーの各チャンバーは、近位端部、および遠位端部を含み、前記近位端部は、トレーを受容するように構成され、前記遠位端部は、前記プローブに近接して位置付けられるように構成され、前記ハウジングの前記半径方向に延びる複数の壁は、前記近位端部と前記遠位端部との間に位置付けられている、組織サンプルホルダー。
【0090】
(A4) 実施態様A3に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記複数のチャンバーの各チャンバーの前記遠位端部は、上方孔、および下方孔を含む、組織サンプルホルダー。
【0091】
(A5) 実施態様A2に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記内側部分は、少なくとも1つの近位受容凹部を含み、前記少なくとも1つの近位受容凹部は、前記内側部分の前記中央ボアおよび前記近位縁部に近接して位置付けられている、組織サンプルホルダー。
(A6) 実施態様A5に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記ハウジングに係合し、前記少なくとも1つのトレーに選択的に係合するように構成されたトレー保持器、
をさらに含み、
前記トレー保持器は、
(i)露出端部および非露出端部を有する、シャフトと、
(ii)前記露出端部の近位の少なくとも1つのロック部材であって、前記トレー保持器は、前記少なくとも1つのロック部材を前記少なくとも1つの近位受容凹部に係合させることにより、前記中央ボア内に受容されるように構成されている、ロック部材と、
を含む、組織サンプルホルダー。
【0092】
(A7) 実施態様A1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記後壁の少なくとも一部分は、前記一対の側壁および前記フロアから外側に延びており、前記後壁の前記少なくとも一部分は、密封適合をもたらすために前記複数のチャンバーのうち前記1つまたは複数のチャンバーの前記内壁に係合するように構成されている、組織サンプルホルダー。
【0093】
(A8) 実施態様A1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記トレーは、最初に前記トレーの前記側壁の前記遠位縁部を、それぞれの前記チャンバーの中に位置付けることによって、前記複数のチャンバーのうち1つのチャンバー内部に受容されるように構成されている、組織サンプルホルダー。
(A9) 実施態様A8に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
前記フロアは、複数の孔を含む、組織サンプルホルダー。
(A10) 実施態様A1に記載の組織サンプルホルダーにおいて、
カップ、
をさらに含み、
前記カップは、前記生検プローブと取り外し可能に連結されるように構成され、
前記カップは、前記ハウジングおよび前記少なくとも1つのトレーを覆うようにさらに構成されている、組織サンプルホルダー。
【0094】
(A11) 生検装置において、
(a)プローブ本体と、
(b)前記プローブ本体から遠位に延びる針部分であって、前記針部分は、横向きの組織受容孔を含む、針部分と、
(c)前記針部分内部に位置付けられた中空カッターであって、前記カッターは、前記孔を通って突出する組織から組織サンプルを切断するために前記針部分内部で並進可能であり、前記中空カッターは、カッター内腔を画定する、中空カッターと、
(d)組織サンプルホルダーであって、
(i)複数のチャンバーであって、前記チャンバーはそれぞれ、軸方向に延び、前記軸方向は、前記カッター内腔と平行である、複数のチャンバー、および、
(ii)前記チャンバーと取り外し可能に係合された複数のトレーであって、前記トレーは、軸方向に前記チャンバーから取り外し可能であり、前記複数のトレーの各トレーは、前記複数のトレーの各トレーに対して前記チャンバーのそれぞれを実質的に密封するために、前記チャンバーのそれぞれの近位端部に係合するように構成された、近位壁を含む、複数のトレー、
を含む、組織サンプルホルダーと、
を含み、
前記組織サンプルホルダーは、前記カッター内腔と共に前記複数のチャンバーのうちの1つのチャンバーを選択的に割り出して、割り出されたチャンバーに組織サンプルを受容するように動作可能である、生検装置。
【0095】
(A12) 実施態様A11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダー内部で前記トレーを選択的に固定するよう動作可能なトレー保持器をさらに含む、生検装置。
(A13) 実施態様A11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、内側ハウジングをさらに含み、前記内側ハウジングは、前記複数のチャンバーを画定し、前記トレーは、前記内側ハウジングと取り外し可能に係合可能である、生検装置。
【0096】
(A14) 実施態様A11に記載の生検装置において、
前記トレーはそれぞれ、一対の側壁、一対の側壁それぞれの間に延びるフロアを含み、
前記近位壁は、一対の側壁それぞれおよび対応するフロアと一体的である、生検装置。
(A15) 実施態様A14に記載の生検装置において、
前記フロアは、その中を通って形成された複数の孔を有する、生検装置。
【0097】
(A16) 実施態様A11に記載の生検装置において、
各トレーは、複数の組織サンプルチャンバーを画定し、各トレーの各組織サンプルチャンバーは、前記複数のチャンバーの対応するチャンバーと関連している、生検装置。
(A17) 実施態様A11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記カッター内腔に送られる流体を、第1の方向から第2の方向に向け直すように構成されている、生検装置。
【0098】
(A18) 実施態様A11に記載の生検装置において、
前記組織サンプルホルダーは、前記プローブ本体に選択的に係合可能であり、
前記組織サンプルホルダーは、前記組織サンプルホルダーを前記プローブ本体に対して選択的に解放するよう動作可能な解放機構を含む、生検装置。
(A19) 実施態様A18に記載の生検装置において、
前記プローブ本体から近位に延びる組織ホルダー回転シャフト、
をさらに含み、
前記解放機構は、前記組織ホルダー回転シャフトに選択的に係合するように構成されている、生検装置。
【0099】
(A20) 生検システムにおいて、
(a)使い捨てプローブ部分であって、
(i)針軸、閉じた遠位端部、内腔、および組織受容開口部を有する針、
(ii)前記組織受容開口部に受容された組織を切断するために前記内腔内部を動くことができる遠位端部を有するカッター、ならびに、
(iii)前記使い捨てプローブ部分の近位端部に配された組織サンプルホルダー、
を含む、使い捨てプローブ部分と、
(b)前記使い捨てプローブ部分に解放可能に連結されるように構成された再利用可能部分であって、前記再利用可能部分は、前記カッターの運動をもたらす、少なくとも1つの歯車を含む、再利用可能部分と、
(c)前記プローブ部分と関連付けられた組織サンプルホルダーであって、前記組織サンプルホルダーは、ハウジング、および複数の切断された組織サンプルを受容するために前記ハウジングに受容されている部材を含み、前記部材は、前記ハウジングが定めた回転軸に沿って引っ張られることにより、前記ハウジングから取り外されることができる、組織サンプルホルダーと、
(d)前記内腔への真空の制御をもたらすように動作可能な制御モジュールと、
を含み、
前記生検システムは、前記カッターを通じて前記組織サンプルホルダーまで、複数の切断された組織サンプルを輸送するように動作可能である、生検システム。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図3】
図2の生検装置の斜視図であり、ホルスター部分から分離されたプローブ部分を示す。
【
図4】
図2の生検装置の部分側面図であり、例示的な組織サンプルホルダー回転機構を示し、ホルスターハウジングが明瞭化のため省略されている。
【
図5】
図2の生検装置の部分側面断面図であり、例示的な組織サンプルホルダー回転機構を示し、カッター回転機構構成要素が明瞭化のため省略されている。
【
図6】
図2の生検装置の組織サンプルホルダーの端面図である。
【
図7】
図6の生検装置の組織サンプルホルダーの分解組立斜視図である。
【
図8】
図6の組織サンプルホルダーのハウジングの斜視図である。
【
図9A】
図6の組織サンプルホルダーの部分側面断面図であり、組織サンプルホルダーが生検装置のプローブ部分から選択的に係合解除される一連の様子(series)を示す。
【
図9B】
図6の組織サンプルホルダーの部分側面断面図であり、組織サンプルホルダーが生検装置のプローブ部分から選択的に係合解除される一連の様子(series)を示す。
【
図9C】
図6の組織サンプルホルダーの部分側面断面図であり、組織サンプルホルダーが生検装置のプローブ部分から選択的に係合解除される一連の様子(series)を示す。
【
図10A】
図6の組織サンプルホルダーの部分端面図であり、組織サンプルホルダーからの組織トレーの取り外しを可能にするため組織トレーロックが回転させられる一連の様子を示す。
【
図10B】
図6の組織サンプルホルダーの部分端面図であり、組織サンプルホルダーからの組織トレーの取り外しを可能にするため組織トレーロックが回転させられる一連の様子を示す。
【
図11】
図6の組織サンプルホルダーの組織サンプルトレーのうちの1つの斜視図である。
【
図12】単に例示的な代替の組織サンプルトレーの斜視図である。
【
図13】別の単に例示的な代替の組織サンプルトレーの斜視図である。
【
図15】別の単に例示的な代替の組織サンプルトレーの斜視図である。