特許第6453539号(P6453539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453539
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】自走式機器
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   G05D1/02 F
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-2707(P2014-2707)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-132892(P2015-132892A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 功一
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−244020(JP,A)
【文献】 特開2000−299364(JP,A)
【文献】 特開2007−213180(JP,A)
【文献】 米国特許第04679152(US,A)
【文献】 米国特許第05165064(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
この走行体を誘導するマーカとを具備し、
前記走行体は、
本体ケースと、
この本体ケースに回転可能に設けられ、この本体ケースを走行可能とする駆動輪と、
この駆動輪を回転駆動させるモータと、
走行体側識別情報を含む信号を所定幅の指向性で送信する走行体側送信手段と、
信号を前記走行体側送信手段の指向性よりも広い指向性で受信可能な走行体側受信手段と、
前記走行体側送信手段を制御して複数の方向に向けて信号を送信させる送信制御手段と、
前記モータの駆動を制御するモータ制御手段とを備え、
前記マーカは、
前記走行体側識別情報を含む信号を受信するマーカ側受信手段と、
このマーカ側受信手段により前記走行体側識別情報を含む信号を受信したときに、マーカ側識別情報を含む信号を送信するマーカ側送信手段とを備え、
前記送信制御手段は、前記走行体側識別情報を含む信号を前記走行体側送信手段から複数の方向に向けて順次送信させ、
前記モータ制御手段は、前記複数の方向のそれぞれについて前記マーカ側識別情報を含む信号を前記走行体側受信手段により受できたかを順次判断し受信できたと判断した方向に基づいて前記本体ケースを走行させるように前記モータの駆動を制御し、
前記送信制御手段は、前記マーカ側識別情報を含む信号を前記走行体側受信手段が所定以上の複数の方向から受信したときに、前記走行体側送信手段の出力強度と前記走行体側受信手段の受信感度との少なくともいずれか一方を低下させる
ことを特徴とした自走式機器。
【請求項2】
送信制御手段は、モータ制御手段であり、モータの駆動を制御して本体ケースの方向を変えることにより走行体側送信手段による信号の送信と走行体側受信手段による信号の受信とを複数の方向で順次行わせる
ことを特徴とした請求項1記載の自走式機器。
【請求項3】
走行体側送信手段および走行体側受信手段は、本体ケースにそれぞれ複数配置され、
送信制御手段は、前記走行体側送信手段および前記走行体側受信手段により前記本体ケースの周囲に複数の方向へと信号の送受信を順次行わせる
ことを特徴とした請求項1記載の自走式機器。
【請求項4】
走行体は、二次電池を備えた電気掃除機であり、
マーカは、前記電気掃除機が接続可能で、接続された前記電気掃除機の前記二次電池を充電する充電器である
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の自走式機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、走行体の位置を誘導するマーカを備えた自走式機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばセンサなどを用いて障害物などを検出しつつ、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自走式の電気掃除機(掃除ロボット)が知られている。このような電気掃除機は、集塵部などを有する本体ケースの下部に走行用の駆動輪が配置されており、この駆動輪が本体ケース内に収容された二次電池からの給電により動作するモータによって駆動されることで、床面上を走行可能となっている。
【0003】
このような電気掃除機は、掃除が終了すると、走行体を誘導するマーカを兼ねる所定の充電器へと帰還して二次電池を充電するようになっている。そこで、マーカを兼ねる充電器から、電気掃除機を充電器へと誘導するための信号を、例えば赤外線などのキャリアを用いて広い送信範囲で常時送信している。そのため、電気掃除機が掃除中など、充電器に帰還するとき以外であっても、充電器の近傍に位置していると、充電器から送信されている信号が電気掃除機へと外部のリモコンなどから送信される他の信号と干渉することで、電気掃除機がこの信号を受信できなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−125861号公報
【特許文献2】特開平7−322977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、走行体へ送信される他の信号をマーカからの信号によって妨げにくく、かつ、走行体をマーカによって確実に誘導できる自走式機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自走式機器は、走行体を有する。また、この自走式機器は、走行体を誘導するマーカを有する。走行体は、本体ケースを備える。また、この走行体は、本体ケースに回転可能に設けられ、この本体ケースを走行可能とする駆動輪を備える。さらに、この走行体は、駆動輪を回転駆動させるモータを備える。また、この走行体は、走行体側識別情報を含む信号を所定幅の指向性で送信する走行体側送信手段を備える。さらに、この走行体は、信号を走行体側送信手段の指向性よりも広い指向性で受信可能な走行体側受信手段を備える。また、この走行体は、走行体側送信手段を制御して複数の方向に向けて信号を送信させる送信制御手段を備える。そして、この走行体は、モータの駆動を制御するモータ制御手段を備える。マーカは、走行体側識別情報を含む信号を受信するマーカ側受信手段を備える。また、このマーカは、マーカ側受信手段により走行体側識別情報を含む信号を受信したときに、マーカ側識別情報を含む信号を送信するマーカ側送信手段を備える。送信制御手段は、走行体側識別情報を含む信号を走行体側送信手段から複数の方向に向けて順次送信させる。モータ制御手段は、複数の方向のそれぞれについてマーカ側識別情報を含む信号を走行体側受信手段により受できたかを順次判断し受信できたと判断した方向に基づいて本体ケースを走行させるようにモータの駆動を制御する。また、送信制御手段は、マーカ側識別情報を含む信号を走行体側受信手段が所定以上の複数の方向から受信したときに、走行体側送信手段の出力強度と走行体側受信手段の受信感度との少なくともいずれか一方を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の自走式機器を示す平面図であり、(a)は走行体側送信手段からの信号をマーカ側受信手段が受信しない状態を示し、(b)は走行体側送信手段からの信号をマーカ側受信手段が受信した状態を示す。
図2】同上電気掃除機を下方から示す平面図である。
図3】同上電気掃除機の側面図である。
図4】同上電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
図5】同上自走式機器の制御を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態の自走式機器を示す平面図であり、(a)は走行体側送信手段からの信号をマーカ側受信手段が受信しない状態を示し、(b)は走行体側送信手段からの信号をマーカ側受信手段が受信した状態を示す。
図7】同上自走式機器の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1ないし図4において、10は自走式機器である電気掃除装置を示し、この電気掃除装置10は、走行体である電気掃除機11と、この電気掃除機11を誘導可能なマーカである充電器12とを備えている。
【0010】
電気掃除機11は、本実施形態では、被掃除面としての床面F上を自律走行(自走)しつつ床面Fを掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナである。そして、この電気掃除機11は、中空状の本体ケース15と、この本体ケース15内に収容された動作部である電動送風機16と、この電動送風機16の吸込側に連通する集塵部17と、例えば複数(一対)の駆動輪18と、これら駆動輪18を駆動させる動作部である駆動手段としてのモータ19と、旋回用の旋回輪20と、本体ケース15の下部に床面F上を旋回可能に取り付けられた例えば一対の補助清掃部(旋回清掃部)としてのサイドブラシ21と、これらサイドブラシ21をそれぞれ駆動させる旋回駆動手段としての旋回モータ22と、壁や家具などの障害物を検出する障害物検出手段(障害物センサ)23と、充電器12へと赤外線などで信号を送信する走行体側送信手段である第1送信手段(掃除機側送信手段)24と、充電器12やリモコン(図示せず)などから赤外線などで送信された信号を受信する走行体側受信手段である第1受信手段(掃除機側受信手段)25と、第1送信手段24、第1受信手段25、電動送風機16および各モータ19などの駆動を制御する送信制御手段としてのモータ制御手段である第1制御手段(掃除機側制御手段)26と、電源部を構成する電池である二次電池27とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース15)の走行方向に沿った方向を前後方向(図2などに示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0011】
本体ケース15は、例えば合成樹脂などにより平坦な円柱状(円盤状)などに形成されており、円形状の下面15aに、集塵部17に連通する集塵口としての吸込口31が床面Fに対向して開口形成されている。また、本体ケース15の上部には、図示しないが、各種操作パネルおよび表示部などが配置されている。
【0012】
吸込口31は、左右方向に長手状、すなわち横長に形成され、本体ケース15の下面15aの中央部よりも後方の位置で、かつ、左右方向の中央部に開口されている。この吸込口31は、外縁部が本体ケース15の下面15aから床面F側である下方に向けて突出するノズル部32によって囲まれている。また、この吸込口31には、回転清掃体としての回転ブラシ33が回転可能に配置されている。
【0013】
ノズル部32は、開口面積が下側(先端側)へと徐々に狭くなるように形成されており、その下端(先端)が吸込口31の前部および後部を区画している。
【0014】
回転ブラシ33は、例えば長尺の軸部の外周面に、径方向に螺旋状に複数の清掃体部が壁状に突出して取り付けられて構成されている。この回転ブラシ33は、下側が吸込口31から本体ケース15の下面15aの下方へと突出しており、電気掃除機11を床面F上に載置した状態で下側に位置する清掃体部の先端が床面Fに接触するように構成されている。そして、この回転ブラシ33は、回転清掃体駆動手段としての駆動モータ34により回転駆動される。
【0015】
駆動モータ34は、本体ケース15の内部に収容されており、機構部としての図示しないギヤ機構を介して回転ブラシ33と接続されている。
【0016】
電動送風機16は、例えば吸込側を後方に向けて、かつ、軸方向を前後方向(水平方向)に沿わせて本体ケース15の内部に収容されており、吸込側が集塵部17と連通している。なお、この電動送風機16は、例えば回転ブラシ33の回転駆動によって床面Fの塵埃を集塵部17に捕集できる場合には不要となる場合もある。
【0017】
集塵部17は、電動送風機16の駆動により吸込口31から吸い込まれた塵埃を捕集するものであり、例えば本体ケース15の後部に位置している。
【0018】
各駆動輪18は、本体ケース15(電気掃除機11)を床面F上で走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有する扁平な円盤状に形成されている。また、これら駆動輪18は、本体ケース15の下部の前後方向の中心付近の位置にて、吸込口31の両側方に幅方向に互いに離間されて配置されており、幅方向に対称な位置となっている。
【0019】
各モータ19は、例えば駆動輪18のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪18を独立して駆動させることが可能となっている。これらモータ19は、各駆動輪18に直接接続されていてもよいし、ギヤ、あるいはベルトなどの図示しない伝達手段を介して各駆動輪18と接続されていてもよい。
【0020】
旋回輪20は、本体ケース15の幅方向の略中央部で、かつ、前部、すなわち駆動輪18よりも前方に位置しており、床面Fに沿って旋回可能で床面Fとの接触によって本体ケース15の進行方向に回動する従動輪である。
【0021】
各サイドブラシ21は、旋回本体部としての清掃部本体であるハブ部36と、このハブ部36から径方向へと放射状に突出して床面Fと接触する複数の清掃体としてのブラシ毛37とをそれぞれ有している。そして、サイドブラシ21,21は、本体ケース15の下部にて駆動輪18,18の前方でかつ旋回輪20の後方の両側方の位置に配置されている。
【0022】
ハブ部36は、中央部が本体ケース15の下面15aに旋回可能に軸支されている旋回軸となっている。
【0023】
また、各ブラシ毛37は、例えば可撓性(弾性)を有する合成樹脂などの部材により線状に形成されており、ハブ部36の外部から放射状に突出し、ハブ部36の回転(旋回)によってこのハブ部36と一体的に回転して床面Fの塵埃を掻き取るようになっている。
【0024】
各旋回モータ22は、下方に突出する図示しない回転軸が各ハブ部36に接続されており、各サイドブラシ21を、本体ケース15の幅方向中心側へと、換言すれば右側のサイドブラシ21を左側へと、左側のサイドブラシ21を右側へと、すなわち各サイドブラシ21により塵埃を吸込口31側へと掻き集めるようにそれぞれ回転可能である。
【0025】
なお、サイドブラシ21および旋回モータ22は必須の構成ではない。
【0026】
障害物検出手段23は、例えば超音波センサ、赤外線センサ、あるいは画像センサなどの非接触のセンサであり、例えば本体ケース15の外周の前部ないし両側部に亘って配置され、本体ケース15の前方の障害物(壁部)および側方の障害物(壁部)などの有無、およびそれらと本体ケース15との距離などをそれぞれ検出可能となっている。
【0027】
第1送信手段24は、例えば赤外線発光ダイオードなどの発信手段である発光手段と、この発光手段からの発光の指向幅を設定する例えばレンズなどの発信指向性設定手段とを備えている。そして、この第1送信手段24は、第1制御手段26と電気的に接続されており、例えばこの第1制御手段26により生成された走行体側識別情報である第1識別情報(掃除機側識別情報)を含む信号を比較的狭い所定幅(例えば鋭角の範囲)の指向性D1で本体ケース15の上部から前方に向けて送信可能となっている。この第1識別情報を含む信号とは、例えば赤外線に第1識別情報を変調し重畳した信号であり、第1識別情報とは、この情報を含む信号が電気掃除機11から送信されていることを示す、いわば電気掃除機11のIDである。なお、第1送信手段24は、信号を本体ケース15の上部から前方に向けて送信可能であれば、全体が本体ケース15の上部の前側に配置されている構成だけでなく、信号を送信する部分(例えば発信指向性設定手段の一部)のみが本体ケース15の上部の前側に位置し、他の部分は本体ケース15の他の位置に配置されている構成でもよい。
【0028】
第1受信手段25は、例えばフォトトランジスタやフォトカプラなどの受光手段と、この受光手段による受光の指向幅を設定する例えばレンズなどの受信指向性設定手段とを備えている。そして、この第1受信手段25は、第1制御手段26と電気的に接続されており、例えば第1送信手段24の指向性D1よりも広い幅(例えば鈍角の範囲)の指向性D2で外部からの信号。例えば充電器12からの信号、あるいは、電気掃除機11の操作用の図示しない操作手段(リモコン)などからの信号などを本体ケース15の上部にて前方から受信可能であるとともに、この受信した信号を第1制御手段26へと出力するように構成されている。なお、第1受信手段25は、信号を本体ケース15の上部にて前方から受信可能であれば、全体が本体ケース15の上部の前側に配置されている構成だけでなく、信号を受信する部分(例えば受信指向性設定手段の一部)のみが本体ケース15の上部の前側に位置し、他の部分は本体ケース15の他の位置に配置されている構成でもよい。
【0029】
第1制御手段26は、例えばタイマなどの計時手段、メモリなどの記憶手段およびマイコンなどの制御部を備えており、電動送風機16、各モータ19、障害物検出手段23、第1送信手段24、第1受信手段25、および、駆動モータ34などと電気的に接続され、障害物検出手段23による検出結果および第1受信手段25により受信した信号の解析結果に基づいて、電動送風機16および各モータ19などの駆動を制御可能である。
【0030】
二次電池27は、第1制御手段26、電動送風機16、各モータ19、障害物検出手段23、第1送信手段24、第1受信手段25、および、駆動モータ34などに給電するものである。そして、この二次電池27は、例えば本体ケース15の下面15aなどに位置する充電端子39,39と電気的に接続されており、これら充電端子39,39が充電器12に対して電気的に接続されることで二次電池27が充電可能となっている。
【0031】
一方、充電器12は、マーカ本体である充電器本体41と、この充電器本体41に設けられた接続端子42,42と、二次電池27の充電用の充電回路43と、電気掃除機11から赤外線などで送信される信号を受信するマーカ側受信手段である第2受信手段(充電器側受信手段)44、電気掃除機11へと赤外線などで信号を送信するマーカ側送信手段である第2送信手段(充電器側送信手段)45、および、第2送信手段45などの駆動を制御するマーカ側制御手段である第2制御手段(充電器側制御手段)46とを備えている。
【0032】
接続端子42,42は、充電回路43と電気的に接続されており、充電器本体41の外部に露出し、電気掃除機11の充電端子39,39と機械的および電気的に接続可能となっている。
【0033】
充電回路43は、充電器本体41の内部に収容されており、例えば外部電源である商用交流電源eと電気的に接続され、二次電池27に対して接続端子42,42を介して定電流を供給してこの二次電池27を定電流充電する定電流回路である。
【0034】
第2受信手段44は、例えばフォトトランジスタやフォトカプラなどの受光手段と、この受光手段による受光の指向幅を設定する例えばレンズなどの受信指向性設定手段とを備えている。そして、この第2受信手段44は、第2制御手段46と電気的に接続されており、例えば第1送信手段24の指向性D1よりも広い幅(例えば鈍角の範囲)の指向性D3で外部からの信号を充電器本体41の上部の位置にて受信可能であるとともに、この受信した信号を第2制御手段46へと出力するように構成されている。なお、第2受信手段44は、信号を充電器本体41の上部にて前方から受信可能であれば、全体が本体ケース15の上部の前側に配置されている構成だけでなく、信号を受信する部分(例えば受信指向性設定手段の一部)のみが充電器本体41の上部の前側に位置し、他の部分は充電器本体41の他の位置に配置されている構成でもよい。
【0035】
第2送信手段45は、例えば赤外線発光ダイオードなどの発信手段である発光手段と、この発光手段からの発光の指向幅を設定する例えばレンズなどの発信指向性設定手段とを備えている。そして、この第2送信手段45は、第2制御手段46と電気的に接続されており、例えばこの第2制御手段46により生成されたマーカ側識別情報である第2識別情報(充電器側識別情報)を含む信号を第1送信手段24の指向性D1よりも広い幅(例えば鈍角の範囲)の指向性D4で充電器本体41の上部から正面方向に向けて送信可能となっている。この第2識別情報を含む信号とは、例えば赤外線に第2識別情報を変調し重畳した信号であり、第2識別情報とは、この情報を含む信号が充電器12から送信されていることを示す、いわば充電器12のIDである。そして、この第2送信手段45と第1送信手段24とは、互いに信号を時分割で送信するように構成され、これらの信号が混信することなく分離識別できるようになっている。なお、第2送信手段45は、信号を充電器本体41の上部から前方に向けて送信可能であれば、全体が充電器本体41の上部の前側に配置されている構成だけでなく、信号を送信する部分(例えば発信指向性設定手段の一部)のみが充電器本体41の上部の前側に位置し、他の部分は充電器本体41の他の位置に配置されている構成でもよい。また、第2受信手段44の指向性D3と第2送信手段45の指向性D4とは、同じ幅でも異なる幅でもよく、電気掃除機11の第1受信手段25の指向性D2の幅に対して広くても狭くてもよい。
【0036】
第2制御手段46は、例えばタイマなどの計時手段、メモリなどの記憶手段およびマイコンなどの制御部を備えており、充電回路43、第2受信手段44、および、第2送信手段45などと電気的に接続され、第2受信手段44により受信した信号の解析結果に基づいて、第2送信手段45などの駆動を制御可能である。
【0037】
次に、上記第1の実施形態の動作を、図5に示すフローチャートも参照しながら説明する。
【0038】
電気掃除機11は、例えば第1制御手段26に予め設定された所定時刻などとなると、第1制御手段26が電動送風機16、各旋回モータ22(各サイドブラシ21)および駆動モータ34(回転ブラシ33)を駆動させ、例えば充電器12から掃除を開始する。なお、掃除の開始位置は、電気掃除機11の走行開始位置、あるいは部屋の出入り口など、任意の場所に設定可能である。
【0039】
この電気掃除機11は、第1制御手段26がモータ19,19を回転駆動させて駆動輪18,18により床面F上を自律走行する。このとき、第1制御手段26は、障害物検出手段23を介して例えば掃除領域の周囲を囲む壁部や掃除領域内の障害物などとの距離を検出したり、図示しない段差センサを介して本体ケース15の下部のクリアランスを検出したりすることで電気掃除機11の位置や走行状態を監視し、障害物検出手段23および段差センサからの検出に対応して、障害物を回避したり段差を乗り越えたりしながら床面F上を走行する。
【0040】
そして、電気掃除機11は、各サイドブラシ21によって掻き集められた床面F上の塵埃を、電動送風機16の駆動によって発生した負圧が集塵部17を介して作用した吸込口31により空気とともに吸い込み、かつ、回転ブラシ33によって集塵部17へと掻き上げる。この塵埃は、集塵部17により分離および捕集されるとともに、塵埃が分離された空気は、電動送風機16に吸い込まれ、この電動送風機16を冷却した後、排気風となって本体ケース15に設けられた図示しない排気口から外部へと排気される。
【0041】
掃除領域の掃除が終了したと判断した場合には、第1制御手段26は、電気掃除機11を充電器12の位置まで自律走行させる。このとき、第1制御手段26は、モータ19,19の駆動を制御して本体ケース15を所定角度ずつ旋回(超信地旋回)させて方向を変えつつ第1送信手段24による信号の送信と第1受信手段25による信号の受信とを複数の方向で順次行わせて1周旋回することで、電気掃除機11(本体ケース15)の現在位置に対する充電器12の方向を識別し、第1識別情報を含む信号を送信した方向に基づいて本体ケース15(電気掃除機11)を走行させる。
【0042】
具体的に、まず、第1制御手段26は、第1送信手段24から送信する信号の出力強度(信号レベル)を所定値、例えば3に設定する(ステップ1)。
【0043】
次いで、第1制御手段26は、記憶している受信テーブルをクリアし(ステップ2)、第1送信手段24から第1識別情報を含む信号を送信させる(ステップ3)。ここで、受信テーブルとは、電気掃除機11の例えば前方を基準として所定方向、例えば時計回り方向へと所定角度毎に、充電器12の第2送信手段45から送信された第2識別情報を含む信号を第1受信手段25によって受信したかどうかを記憶するテーブルである。本実施形態では、電気掃除機11を時計回り方向に10°ずつ旋回させながら第1受信手段25によって信号を受信したかどうかを判断するので、受信テーブルは、10°、20°、…、350°、360°(0°)の36の角度に対応する結果(数値)を独立して記憶するテーブルとなっている。
【0044】
そして、第1制御手段26は、第1受信手段25により充電器12の第2送信手段45から送信された第2識別情報を含む信号を受信したかどうかを判断する(ステップ4)。すなわち、充電器12は、第1識別情報を含む信号を第2受信手段44により受信したときにのみ、第2送信手段45から第2識別情報を含む信号を送信するので、第1受信手段25により第2識別情報を含む信号を受信したかどうかを判断することで、充電器12が第1識別情報を含む信号を第2受信手段44により受信したかどうか、換言すれば、電気掃除機11の略前方(第1識別情報を含む信号の略送信方向)に充電器12が位置しているかどうかを判断できる。このステップ4において、信号を受信したと判断した場合には、第1制御手段26は、電気掃除機11の現在の旋回角度に対応する受信テーブルに、信号を受信したことを数値として記録し(ステップ5、以下、受信記録という)、ステップ6に進む。ステップ4において、信号を受信していないと第1制御手段26により判断した場合には、そのままステップ6に進む。
【0045】
次いで、第1制御手段26は、モータ19,19の駆動を制御することで、本体ケース15を所定方向、例えば右方向(時計回り方向)に所定角度、例えば10°旋回させる(ステップ6)。
【0046】
この後、第1制御手段26は、本体ケース15が360°旋回したかどうかを判断する(ステップ7)。そして、このステップ7において、360°旋回していないと第1制御手段26により判断した場合には、ステップ3に戻る。また、ステップ7において、360°旋回したと判断した場合には、第1制御手段26は受信テーブルを参照し、各旋回角度に対応する受信記録が1つの旋回角度のみに記録されているかを判断する(ステップ8)。そして、このステップ8において、受信記録が1つの旋回角度のみであると判断した場合には、その方向に充電器12が位置しているものと判断し、第1制御手段26は、本体ケース15をその角度に旋回させ(ステップ9)、その方向へと所定距離前進し(ステップ10)、ステップ1に戻る。
【0047】
また、ステップ8において、受信記録が1つの旋回角度のみでないと判断した場合には、第1制御手段26は、受信記録が受信テーブル中の2つの旋回角度で連続しているかどうかを判断する(ステップ11)。このステップ11において、受信記録が2つの旋回角度で連続していると判断した場合には、それらの方向の中間の方向に充電器12が位置しているものと判断し、第1制御手段26は、本体ケース15をそれらの旋回角度の中間の角度に旋回させ(ステップ12)、ステップ10に進む。
【0048】
さらに、ステップ11において、受信記録が2つの旋回角度で連続していないと判断した場合には、第1制御手段26は、受信記録が受信テーブル中の3つの旋回角度で連続しているかどうかを判断する(ステップ13)。このステップ13において、受信記録が3つの旋回角度で連続していると判断した場合には、それらの方向の中間の方向に充電器12が位置しているものと判断し、第1制御手段26は、本体ケース15をそれらの旋回角度の中間の角度に旋回させ(ステップ14)、ステップ10に進む。
【0049】
また、ステップ13において、受信記録が3つの旋回角度で連続していないと判断した場合には、第1制御手段26は、受信記録が受信テーブル中の4つ以上の旋回角度で連続しているかどうかを判断する(ステップ15)。このステップ15において、受信記録が4つ以上の旋回角度で連続していると判断した場合には、電気掃除機11の第1送信手段24から送信された信号を充電器12の第2受信手段44が直接受信した場合と、その信号が掃除領域に配置された壁や障害物などによって反射された信号を第2受信手段44が受信した場合とを含むものと判断し、第1制御手段26は、第1送信手段24から送信する信号の出力強度を所定量、例えば1低下させる(ステップ16)。ここで、電気掃除機11の第1送信手段24から送信された信号を充電器12の第2受信手段44が直接受信した場合と、その信号が掃除領域に配置された壁や障害物などによって反射された信号を第2受信手段44が受信した場合(間接受信)とでは、受信強度が異なり、直接受信した場合の方が、受信強度が大きい。そのため、ステップ16の処理は、第1送信手段24から送信する信号の出力強度を低下させることで、その信号が壁や障害物などによって反射されたときの信号の強度を第2受信手段44によって受信できないレベルに低下させることにより、電気掃除機11の第1送信手段24から送信する信号の方向とは異なる方向に充電器12が位置しているにも拘らず、その信号が壁や障害物などによって反射されて第2受信手段44によって間接受信されることを抑制し、電気掃除機11と充電器12との相対的な位置関係をより明確にすることを意図している。
【0050】
次いで、第1制御手段26は、第1送信手段24から送信する信号の出力強度が0になったかどうかを判断する(ステップ17)。そして、このステップ17において、信号の出力強度が0になっていないと第1制御手段26により判断した場合には、ステップ2に戻る。また、ステップ17において、信号の出力強度が0になったと第1制御手段26により判断した場合には、電気掃除機11に対する充電器12の方向の特定を一旦保留し、任意の方向へと本体ケース15を走行させ(ステップ18)た後、ステップ1に戻る。
【0051】
一方、ステップ15において、受信記録が4つ以上の旋回角度で連続していないと判断した場合には、受信記録が受信テーブル中の不連続な複数の旋回角度で存在しているかどうかを判断する(ステップ19)。このステップ19において、受信記録が不連続な複数の旋回角度で存在していると判断した場合には、電気掃除機11の第1送信手段24から送信された信号を充電器12の第2受信手段44が直接受信した場合と、その信号が掃除領域に配置された壁や障害物などによって反射された信号を第2受信手段44が受信した場合とを含むものと判断し、ステップ16に進む。また、ステップ19において、受信記録が不連続な複数の旋回角度で存在していないと判断した場合には、ステップ18に進む。
【0052】
このように信号の送受信と走行とを交互に繰り返すことで、電気掃除機11は充電器12へと段階的に接近するように帰還する。
【0053】
そして、充電器12の位置まで帰還した電気掃除機11は、電動送風機16などを停止させるとともに、充電器12の接続端子42,42に充電端子39,39を(機械的および電気的に)接続させてモータ19,19を停止させ、運転を終了して二次電池27を充電する。
【0054】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、第1制御手段26によりモータ19,19の駆動を制御して本体ケース15の方向を変える(本体ケース15を旋回させる)ことで第1送信手段24による信号の送信と第1受信手段25による信号の受信とを複数の方向で順次行わせることにより、第1送信手段24と第1受信手段25とをそれぞれ少なくとも1つ備えるだけで、複数の方向に対して信号の送受信が可能となる。したがって、第1送信手段24および第1受信手段25を複数備える場合と比較して、電気掃除機11をより安価に構成できる。
【0055】
なお、上記第1の実施形態において、充電器12の第2送信手段45から送信された信号に基づいて電気掃除機11が所定距離走行した後、再度第1送信手段24から信号を送信する際には、本体ケース15を全周旋回させてそれぞれの旋回角度において第1送信手段24から信号を送信するのではなく、その走行方向を含むその走行方向近傍に位置する角度にのみ本体ケース15を旋回させて信号を送信するようにしてもよい。すなわち、電気掃除機11を充電器12へと帰還させるように走行させる場合、充電器12の第2送信手段45から送信された信号を受信して電気掃除機11が一旦走行したときには、その走行方向側に充電器12が存在し、その反対側などには充電器12が存在しないものと判断されるので、充電器12が存在すると判断される側にのみ本体ケース15を旋回させて第1送信手段24から信号を送信するようにすることで、不要な信号送信や本体ケース15の走行制御(旋回)を省略して、充電器12へとより短時間で帰還できる。
【0056】
次に、第2の実施形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の第1送信手段24および第1受信手段25がそれぞれ複数ずつ本体ケース15に配置され、第1制御手段26が、これら第1送信手段24および第1受信手段25により、本体ケース15の周囲に複数の方向へと信号の送受信を順次行わせるものである。
【0058】
第1送信手段24は、本体ケース15の上部の周囲、すなわち周方向に所定角度、例えば10°毎に離間された位置から信号を送信可能となっている。
【0059】
また、第1受信手段25は、本体ケース15の上部の周囲、すなわち周方向に所定角度離間された位置にて信号を受信可能となっている。ここで、この第1受信手段25は、本体ケース15の全周方向からの信号を受信できるようにすればよい。すなわち、この第1受信手段25の指向性D2は、第1送信手段24の指向性D1よりも指向性の幅が広いため、第1送信手段24と比較して配置する個数は少なくてよい。したがって、第1制御手段26に記憶される受信テーブルは、複数の第1受信手段25全体で360°分をカバーするように設定されている。
【0060】
そして、この第2の実施形態では、上記第1の実施形態のステップ3ないしステップ7の処理に代えて、以下のステップ21ないしステップ25の処理をする。
【0061】
すなわち、第1制御手段26は、いずれかの第1送信手段24から第1識別情報を含む信号を送信し(ステップ21)、第1受信手段25により充電器12の第2送信手段45から送信された第2識別情報を含む信号を受信したかどうかを判断する(ステップ22)。このステップ22において、信号を受信したと判断した場合には、第1制御手段26は、信号を送信した第1送信手段24の電気掃除機11の前方に対する角度に対応する受信テーブルに、信号を受信した旨を記録し(ステップ23、受信記録)、ステップ24に進む。ステップ22において、信号を受信していないと第1制御手段26により判断した場合には、そのままステップ24に進む。
【0062】
次いで、第1制御手段26は、次に信号を送信する第1送信手段24を、ステップ21において信号を送信した第1送信手段24に対して、所定方向、例えば時計回り方向に隣接する第1送信手段24に切り換える(ステップ24)。
【0063】
この後、第1制御手段26は、信号を送信する第1送信手段24が最初に信号を送信した第1送信手段24に戻ったか、換言すれば、全ての第1送信手段24から信号を送信したかどうか(信号を送信する第1送信手段24が1周したかどうか)を判断する(ステップ25)。そして、このステップ25において、全ての第1送信手段24から信号を送信していないと第1制御手段26により判断した場合には、ステップ21に戻る。また、ステップ25において、全ての第1送信手段24から信号を送信したと第1制御手段26により判断した場合には、ステップ8に進む。
【0064】
このように、第1送信手段24および第1受信手段25を、本体ケース15にそれぞれ複数配置し、第1制御手段26がこれら第1送信手段24および第1受信手段25により本体ケース15の周囲に複数の方向へと信号の送受信を順次行わせることで、本体ケース15の方向を変えることなく複数の方向に対して信号を送受信できるので、制御がより簡単であるとともに、本体ケース15の方向を変える時間なども不要で、より短時間で複数の方向に対して信号の送受信ができるため、充電器12へとより短時間で帰還可能となる。しかも、本体ケース15の方向を変える際に要する二次電池27の電力の消費が不要となるので、二次電池27の容量をより有効に利用でき、より長時間の掃除が可能になる。
【0065】
なお、上記第2の実施形態において、充電器12の第2送信手段45から送信された信号に基づいて電気掃除機11が所定距離走行した後、再度第1送信手段24から信号を送信する際には、全ての第1送信手段24からではなく、その走行方向を含むその走行方向近傍に位置する第1送信手段24のみから信号を送信するようにしてもよい。すなわち、電気掃除機11を充電器12へと帰還させるように走行させる場合、充電器12の第2送信手段45から送信された信号を受信して電気掃除機11が一旦走行したときには、その走行方向側に充電器12が存在し、その反対側などには充電器12が存在しないものと判断されるので、充電器12が存在すると判断される側に位置する第1送信手段24のみから信号を送信するようにすることで、不要な信号送信や制御を省略して、充電器12へとより短時間で帰還できる。
【0066】
上記各実施形態において、第1送信手段24から送信する信号の出力強度を低下させることでこの信号の第2受信手段44による間接受信を抑制するようにしたが、第2受信手段44により受信する信号の受信感度を低下させても同様の作用効果を奏することができる。また、第2送信手段45から送信する信号の第1受信手段25による間接受信を抑制するように、第1受信手段25により受信する信号の受信感度を低下させたり、第2送信手段45から送信する信号の出力強度を低下させたりしても同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
また、送信手段24,45および受信手段25,44は、それぞれ赤外線以外でも、例えば超音波やレーザ光線などを用いて信号を送受信してもよい。
【0068】
さらに、電気掃除機11は、基本的に第2送信手段45からの信号を受信した方向側へと走行するが、例えば受信方向に対して所定角度の方向を走行方向とするなど、受信方向と走行方向とが所定の関係を有していれば、受信方向と走行方向とは必ずしも一致しなくてもよい。
【0069】
そして、電気掃除機11と、その二次電池27を充電するための充電器12とにより構成された電気掃除装置10だけでなく、任意の走行体と、その走行体の位置を誘導するマーカとにより構成された自走式機器に対しても適用できる。例えば、走行体として撮像手段(カメラ)を備えたものを用い、使用者が屋外などから携帯型端末などによりマーカに対して指令を出し、走行体をマーカによって所定の位置に誘導してその位置を撮像するなどの、屋内監視用の自走式機器などとしても用いることができる。
【0070】
また、送信制御手段とモータ制御手段とは、別個に備えることもできる。
【0071】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、第1識別情報を含む信号を所定幅の指向性D1で電気掃除機11の第1送信手段24により送信し、この信号を充電器12の第2受信手段44により受信したときにのみ、第2識別情報を含む信号を第2送信手段45から送信するので、第2送信手段45から第2識別情報を含む信号を常時送信している場合と比較して、第2送信手段45から送信される信号によって第1受信手段25が受信する例えば操作手段などからの他の信号を妨げにくい。すなわち、第2送信手段45から送信される信号によって電気掃除機11への信号の混信が生じにくい。
【0072】
そして、第1送信手段24の指向性D1よりも広い幅の指向性D2を有する第1受信手段25により第2識別情報を含む信号を受信したときに、第1識別情報を含む信号を送信した方向に基づいて本体ケース15を走行させるように第1制御手段26がモータ19,19の駆動を制御することにより、充電器12によって電気掃除機11を確実に誘導でき、例えば掃除が終了した電気掃除機11などを充電器12へと確実に帰還させることができる。
【0073】
また、電気掃除機11は、基本的に第2送信手段45から送信された第2識別情報を含む信号を受信した方向に向けて走行することとなるため、充電器12へと帰還する際に無駄な走行が少なく、二次電池27の容量をより有効に利用でき、掃除時間をより長く取ることができる。
【0074】
さらに、第2識別情報を含む信号を第1受信手段25が所定以上(4つ以上)の複数の方向から受信したときに、第1送信手段24の出力強度を低下させることで、電気掃除機11の第1送信手段24から送信された信号を第2受信手段44が間接受信することを抑制し、電気掃除機11と充電器12との相対的な位置関係をより明確にできる。
【0075】
また、送信手段24,45および受信手段25,44として赤外線を利用することで、安価な部品によって構成できるとともに、送信手段24,45の指向性D1,D4を容易に制御できる。特に、第1送信手段24は、例えばスリットなどの簡単な構成を用いて容易に狭い指向性D1を設定できる。
【0076】
そして、電気掃除装置10とすることで、掃除が終了すると二次電池27を充電するために電気掃除機11を充電器12へと確実に帰還させることができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10 自走式機器である電気掃除装置
11 走行体である電気掃除機
12 マーカである充電器
15 本体ケース
18 駆動輪
19 モータ
24 走行体側送信手段である第1送信手段
25 走行体側受信手段である第1受信手段
26 送信制御手段としてのモータ制御手段である第1制御手段
27 二次電池
44 マーカ側受信手段である第2受信手段
45 マーカ側送信手段である第2送信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7