(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.本実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施形態としての自動運転システム10の構成を説明するための図である。道路は、車両30による自動運転が可能な自動運転可能区間と、自動運転ができない区間から構成されており、自動運転システム10は、自動運転可能区間において自動運転を行なうシステムである。自動運転システム10は、サーバ50と、車両30とを備える。車両30とサーバ50は、互いにインターネットINTによって接続されている。なお、通信キャリアBSには、送受信アンテナや、無線基地局、交換局が含まれる。
【0016】
車両30は、制御部300と、取得部310と、表示部320と、音声通信部330とを備える。制御部300は、RAMとROMとを備える。制御部300は、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、車両30の各部を制御する。より具体的には、制御部300は、取得部310、表示部320および音声通信部330のほか、アクセルやブレーキやハンドルなどの制御、例えば、運転者が手動運転から自動運転に切替える操作や自動運転から手動運手に切替える操作に応じて、自動運転を開始させたり、終了させる制御についても実行する。取得部310は、制御部300の制御によって、インターネットINTを介してサーバ50の車両30と通信を行なう装置である。取得部310は、後述する切替情報560をサーバ50から取得する。表示部320は、地図画像等の種々の画像を表示する装置である。音声通信部330は、音声を出力するためのスピーカ及びスピーカを駆動する回路などから構成される。検出部340は、現在位置に関する位置情報を検出する。例えば、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、車両30の現在位置を検出する。
【0017】
サーバ50は、通信部52と、制御部54と、記憶部56とを備える。制御部54は、RAMとROMを備え、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、サーバ50の各部を制御する。通信部52は、制御部54の制御によって、インターネットINTを介して車両30と通信を行なう装置である。記憶部56は、本実施形態においてはハードディスクで構成されている。
【0018】
記憶部56には、道路ネットワークデータ500が記憶されている。道路ネットワークデータ500は、複数の交差点のそれぞれに対応するノード情報と、各ノード間を接続する道路に対応するリンク情報とを備える。
【0019】
道路ネットワークデータ500は、切替情報560(「切替データ560」とも呼ぶ)と、切替データ560と対応した道路の区間の位置を示す位置データを含む。切替情報560は、道路の所定の区間に対応した情報であり、所定の区間が自動運転を開始もしくは終了する場所として不適切な区間(「不適切区間」ともよぶ)であるか否かが制御部300により判別可能な情報である。
【0020】
A2.切替情報:
図2は、切替情報560を説明するための図である。
図2において、道路ネットワークデータ500は、切替情報560として、自動運転終了適切フラグを備えている。切替情報560は、不適切区間情報562と、通常区間情報564と、適切区間情報566とを含む。不適切区間情報562は、道路の所定の区間に対応した情報であり、不適切区間D0に関する情報である。適切区間情報566は、道路の所定の区間に対応した情報であり、所定の区間が自動運転を開始もしくは終了する場所として適切な区間である適切区間D2に関する情報である。通常区間情報564は、道路の所定の区間に対応した情報であり、所定の区間が適切区間D2と比較して自動運転を開始もしくは終了する場所として適切ではないが、自動運転を開始もしくは終了することができる区間である通常区間D1に関する情報である。
【0021】
不適切区間D0は、(i)トンネル内である区間と、(ii)カーブである区間と、(iii)勾配である区間と、(iv)他の道路との合流地点である区間と、(v)信号機手前の所定区間と、(vi)交差点である区間と、の少なくとも1つを含む。本実施形態において、不適切区間D0は上記に例示した区間を全て含む。
【0022】
適切区間D2は、(i)運転者が方面案内標識を視認可能な区間と、(ii)トンネル内である区間、勾配である区間、他の道路との合流地点である区間、信号機手前の所定区間および交差点である区間を除くカーブのない区間との少なくとも1つを含む。本実施形態において、適切区間D2は上記に例示した区間を全て含む。
【0023】
図2に示すように、道路ネットワークデータ500は、さらに、(i)各リンク固有のIDであるリンクID、(ii)各リンクに含まれる座標点列であるリンク座標点列、(iii)トンネルやランプなどのリンクの属性を示すリンク属性、(iv)リンクの方向を示すリンク方向(「0」を順方向とし、「1」を逆方向として示す)、(v)リンクの勾配を示すリンク勾配(上りを「正」とし、下りを「負」として示す)、(vi)そのリンクと接続するリンクの数を表す接続リンク数、(vi)接続リンクのIDである接続リンクIDを備える。本実施形態において、リンク座標点列が、切替データ560と対応した道路の区間の位置を示す位置データに相当する。なお、
図2(A)は、後述する実施例1から実施例4に用い、
図2(B)は、後述する実施例5および実施例6に用いる。
【0024】
このデータ構造は、車両30の運転支援に用いる道路ネットワークデータのデータ構造である。このデータ構造によれば、現在位置が不適切区間であるか否かが判断可能な情報である切替データ560を取得できる。このため、安全に自動運転を開始もしくは終了することに利用できる。
【0025】
図3は、不適切区間D0の一例を示す図である。
図3(A)は、地点P1と地点P2との間がトンネルの例を示す。トンネル内においては、トンネルの外と比べて暗くなる。このため、車両30の運転者の目がトンネル内の環境に適応するまでに、一定の時間がかかる。自動運転の終了予告の報知がこの中で行なわれた場合、運転者が動揺する危険性がある。このため、トンネル内である区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として不適切な区間である。
【0026】
図3(B)は、地点P3と地点P4との間がカーブの例を示す。カーブがある区間は、運転者によって先を見渡すことができない。このため、自動運転の終了予告の報知がこの中で行なわれた場合、運転者が動揺する危険性がある。よって、カーブがある区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として不適切な区間である。
【0027】
図3(C)は、地点P5と地点P6との間に勾配がある例を示す。勾配がある区間は、速度調整が難しい。このため、勾配がある区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として不適切な区間である。
【0028】
図3(D)は、地点P8が他の道路との合流地点である区間の例を示す。
図3(D)における進行方向は、図面右側から図面左側とする。つまり、地点P9から地点P8を経由した地点P7と地点P10から地点P8を経由した地点P7とは、合流地点がある区間である。合流地点がある区間は、車両30と他の車両とが衝突する虞がある。このため、合流地点がある区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として不適切な区間である。
【0029】
図4は、適切区間D2の一例を示す図である。
図4(A)は、地点P11と地点P12との間において運転者が方面案内標識を視認可能な区間の例を示す。方面案内標識を視認可能な区間では、方面案内標識により、運転者はどちらに進めばいいかについて確認できる。このため、運転者が方面案内標識を視認可能な区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として適切な区間である。
【0030】
図4(B)は、地点P13と地点P14との間においてカーブのない区間の例を示す。この図におけるカーブのない区間とは、カーブがないことに加え、トンネル内でなく、勾配もなく、他の道路との合流地点もなく、信号機の手前でもなく、交差点もない区間である。このような区間は、他の区間と比較して運転が簡単である。よって、このような区間は、自動運転を開始もしくは終了する場所として適切な区間である。
【0031】
A3.終了予告の報知地点を決定する処理の概要:
図5は、終了予告の報知地点を決定する処理を説明するための図である。図面右側から図面左側へ車両30が走行するとする。自動運転の終了地点から所定の距離だけ手前の位置において、制御部300は、自動運転の終了予告の報知を表示部320により行なうとする。なお、自動運転の終了予告の報知から自動運転の終了地点までの間は、自動運転から手動運転へ移行する期間となる。
【0032】
図5において、地点Aが自動運転の終了地点であり、地点F1から地点F2はトンネルであるとし、地点Aから地点F3まで間隔を15kmとし、地点Aから地点F1、地点F1から地点F2、地点F2から地点F3の間隔をそれぞれ5kmとする。また、本実施形態では、自動運転の終了地点から10km手前において、自動運転の終了予告の報知がされるとする。この場合、地点Aから10km手前はトンネルの入口である。このため、車両30の制御部300は、その地点が不適切区間D0に属すると判断する。この結果、制御部300は地点Aから手前15kmの位置が不適切区間D0であるか否か判断する。そして、地点Aから手前15kmの位置(地点F3)が不適切区間D0でないと制御部300が判断した場合、制御部300は、地点F3において自動運転の終了予告の報知を行なう。このようにすることにより、不適切区間において自動運転の終了予告の報知が行なわれない。このため、安全に自動運転から手動運転に移行できる。
【0033】
A4.フローチャート:
図6は、切替情報に基づいて、不適切区間以外において、自動運転の終了予告の報知を行う制御部のフローチャートを示す図である。自動運転の開始により、このフローはスタートする。なお、予め、車両30の制御部300により、取得部310は切替情報560を取得しているとする。ステップS100において、制御部300は、自動運転終了地点である終了地点Aを決定する。本実施形態において、車両30にはナビゲーション装置が搭載されており、終了地点Aは運転者により設定された経路情報に基づいて決定する。例えば、高速道路のジャンクション分岐点手前付近や高速道路本線から料金所もしくは出口へ向かうレーン分岐点手前付近を終了地点に決定する。
【0034】
その後、ステップS110において、制御部300は、終了地点Aから所定距離α手前の自動運転終了予告仮地点B(「仮地点B」ともよぶ)を決定する。仮地点Bは、終了予告の報知を行なう仮の地点である。本実施形態において、所定距離αを10kmとする。
【0035】
その後、ステップS120において、制御部300は、切替情報560に基づいて、仮地点Bが通常区間D1に属するか否かを判断する。地点Bが通常区間D1に属すると制御部300が判断した場合(ステップS120:YES)、フローは通常区間処理のフローへ移行する。
【0036】
一方、地点Bが通常区間D1に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS120:NO)、ステップS140において、制御部300は、地点Bが適切区間D2に属するか否かを判断する。地点Bが適切区間D2に属すると制御部300が判断した場合(ステップS140:YES)、フローは適切区間処理のフローへ移行する。
【0037】
地点Bが適切区間D2に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS140:NO)、制御部300は、地点Bが不適切区間D0に属すると判断し、フローは不適切区間処理のフローへ移行する。
【0038】
図7は、通常区間処理のフローチャートを示す図である。制御部300により仮地点Bが通常区間D1に属すると判断された場合、ステップS200において、制御部300は、仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属するか否かを判断する。なお、本実施形態において、所定距離γは3kmとする。
【0039】
仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属すると制御部300が判断した場合(ステップS200:YES)、ステップS210において、制御部300は、仮地点Bの属する区間の手前側の端点から所定距離β手前の地点を報知点Zとして、フローを終了する。報知点Zは、自動運転の終了予告を報知する地点である。本実施形態において、所定距離βは1kmとする。なお、所定距離βを1kmとしたときに報知点Zが不適切区間D0となる場合、その報知点Zより手前側の地点であって、不適切区間D0以外の区間が開始する地点が真の報知点Zとなるように所定距離βを設定する。
【0040】
一方、仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS200:NO)、ステップS220において、制御部300は、仮地点Bの位置が妥当か否かを判断する。具体的には、地点Bが属する区間の終了地点A側の端点が仮地点Bから所定距離β内であり、かつ、地点Bが属する区間の終了地点A側の区間が不適切区間D0の場合においてのみ仮地点Bが妥当でないと判断する。
【0041】
仮地点Bの位置が妥当であると制御部300が判断した場合(ステップS220:YES)、ステップS230において、制御部300は、仮地点Bを報知点Zとして、フローを終了する。このようにすることにより終了の報知を通常区間D1において行なうことができる。
【0042】
一方、仮地点Bの位置が妥当でないと制御部300が判断した場合(ステップS220:NO)、ステップS240において、制御部300は、仮地点Bが属する区間の終了地点A側の端点から所定距離β手前の地点を報知点Zとして、フローを終了する。
【0043】
図8は、適切区間処理のフローチャートを示す図である。制御部300により仮地点Bが適切区間D2であると判断された場合、ステップS300において、制御部300は、仮地点Bの位置が妥当か否かを判断する。具体的には、地点Bが属する区間の終了地点A側の端点が仮地点Bから所定距離β内であり、かつ、地点Bが属する区間の終了地点A側の区間が不適切区間D0の場合においてのみ仮地点Bの位置が妥当でないと判断する。
【0044】
仮地点Bの位置が妥当と制御部300が判断した場合(ステップS300:YES)、ステップS310において、制御部300は、仮地点Bを報知点Zとして、フローを終了する。このようにすることにより終了の報知を適切区間D2において行なうことができる。一方、仮地点Bの位置が妥当でないと制御部300が判断した場合(ステップS300:NO)、ステップS320において、制御部300は、地点Bが属する区間の終了地点A側の端点から所定距離β手前の地点を報知点Zとして、フローを終了する。
【0045】
図9は、不適切区間処理のフローチャートを示す図である。制御部300により仮地点Bが不適切区間D0であると判断された場合、ステップS400において、制御部300は、仮地点Bが属する区間の終了地点A側ではない端点(手前側の端点)から所定距離β手前の地点を新たな仮地点Bとする。その後、ステップS410において、制御部300は、新たな仮地点Bが不適切区間D0に属するか否かを判断する。
【0046】
新たな仮地点Bが不適切区間D0に属すると制御部300が判断した場合(ステップS410:YES)、フローはステップS400に戻る。一方、新たな仮地点Bが不適切区間D0に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS410:NO)、ステップS420において、制御部300は、新たな仮地点Bが通常区間D1に属するか否かを判断する。
【0047】
新たな仮地点Bが通常区間D1に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS420:NO)、ステップS460において、制御部300は、新たな仮地点Bが適切区間D2に属すると判断し、新たな仮地点Bを報知点Zとしてフローを終了する。このようにすることにより終了の報知を適切区間D2において行なうことができる。一方、新たな仮地点Bが通常区間D1に属すると制御部300が判断した場合(ステップS420:YES)、ステップS430において、制御部300は、仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属するか否か判断する。
【0048】
仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属すると制御部300が判断した場合(ステップS430:YES)、ステップS440において、制御部300は、仮地点Bの属する区間の手前側の端点から所定距離β手前の地点を報知点Zとして、フローを終了する。
【0049】
仮地点Bから所定距離γ手前の地点が適切区間D2に属しないと制御部300が判断した場合(ステップS430:NO)、ステップS450において、制御部300は、仮地点Bを報知点Zとしてフローを終了する。このようにすることにより終了の報知を通常区間D1において行なうことができる。
【0050】
A5.実施例:
図10は、上記フローを実際に適用した実施例1を説明する図である。本実施例において、所定距離α(「自動運転終了予告距離α」ともよぶ)を10kmとし、所定距離β(「変更距離幅β」ともよぶ)を1kmとし、所定距離γ(「適切区間探索距離γ」ともよぶ)を3kmとする。なお、本実施例における区間1は勾配がある区間であるため不適切区間D0であり、区間2は方面案内標識が視認可能な区間であるため適切区間D2であり、区間3はトンネル内である区間であるため不適切区間D0である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0051】
まず、制御部300は、終了地点を決定した(
図6、ステップS100参照)後、終了地点Aから所定距離α(10km)手前の仮地点Bを決定する(ステップS110)。仮地点Bが属する区間3は通常区間D1でなく(ステップS120:NO)、適切区間D2でなく(ステップS140:NO)、不適切区間D0であるため、不適切区間処理へ移行する。
【0052】
次に、制御部300は、仮地点Bが属する区間の終了地点A側ではない端点B´から所定距離β(1km)手前を新たな仮地点Bとする(
図9、ステップS400参照)。その後、制御部300は、新たな仮地点Bが不適切区間D0に属せず(ステップS410:NO)、通常区間D1に属する(ステップS420:YES)と判断する。そして、制御部300は、新たな仮地点Bから所定距離γ(3km)手前の地点が適切区間D2に属しないと判断し(ステップS430:NO)、制御部300は、新たな仮地点Bを報知点Zと決定して(ステップS450)、フローを終了する。
【0053】
図11は、上記フローを実際に適用した実施例2を説明する図である。本実施例において、所定距離αを8kmとし、所定距離βを1kmとし、所定距離γを3kmとする。なお、本実施例における区間1は通常区間D1であり、区間2は方面案内標識が視認可能な区間であるため適切区間D2である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0054】
まず、制御部300は、終了地点を決定した(
図6、ステップS100参照)後、終了地点Aから所定距離α(8km)手前の仮地点Bを決定する(ステップS110)。仮地点Bが属する区間3は通常区間D1であるため(ステップS120:YES)、通常区間処理へ移行する。
【0055】
次に、制御部300は、仮地点Bの所定距離γ(3km)手前に適切区間D2である区間2が存在するため(
図7、ステップS200:YES)、制御部300は、仮地点Bの属する区間の手前側の端点から所定距離β(1km)手前の地点を報知点Zと決定して(ステップS210)、フローを終了する。
【0056】
図12は、上記フローを実際に適用した実施例3を説明する図である。本実施例において、所定距離αを8kmとし、所定距離βを2kmとし、所定距離γを3kmとする。なお、本実施例における区間1は勾配がある区間であるため不適切区間D0であり、区間2は通常区間D1である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0057】
まず、制御部300は、終了地点を決定した(
図6、ステップS100参照)後、終了地点Aから所定距離α(8km)手前の仮地点Bを決定する(ステップS110)。仮地点Bが属する区間3は通常区間D1であるため(ステップS120:YES)、通常区間処理へ移行する。
【0058】
次に、制御部300は、仮地点Bの所定距離γ(3km)手前に適切区間D2である区間2が存在しないため(
図7、ステップS200:NO)、制御部300は、仮地点Bの位置が妥当か否かを判断する。具体的には、仮地点Bが属する区間の終了地点A側の端点が所定距離β(2km)内であり、かつ仮地点Bが属する区間の終了地点A側の区間が不適切区間D0である区間1であるため、制御部300は、仮地点Bの位置が妥当ではないと判断する(ステップS220:NO)。その後、制御部300は、仮地点Bが属する区間の終了地点A側の端点から所定距離β手前の地点を報知点Zとして(ステップS240)、フローを終了する。
【0059】
図13は、上記フローを実際に適用した実施例4を説明する図である。本実施例において、所定距離αを5kmとし、所定距離βを1kmとし、所定距離γを3kmとする。なお、本実施例における区間1は勾配がある区間であるため不適切区間D0であり、区間2はトンネル内である区間であるため不適切区間D0であり、区間3は通常区間D1であり、区間4は方面案内標識が視認可能な区間であるため適切区間D2である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0060】
まず、制御部300は、終了地点を決定した(
図6、ステップS100参照)後、終了地点Aから所定距離α(5km)手前の仮地点B(地点B1とする)を決定する(ステップS110)。仮地点Bが属する区間1は通常区間D1でなく(ステップS120:NO)、適切区間D2でなく(ステップS140:NO)、不適切区間D0であるため、不適切区間処理へ移行する。
【0061】
次に、制御部300は、仮地点B1が属する区間の終了地点A側ではない端点から所定距離β(1km)手前を新たな仮地点B2とする(
図9、ステップS400参照)。仮地点B2は不適切区間D0に属するため(ステップS410:YES)、制御部300は、仮地点B2が属する区間の終了地点A側ではない端点から所定距離β(1km)手前を新たな仮地点B3とする(ステップS400)。仮地点B3は不適切区間D0に属せず(ステップS410:NO)、通常区間D1に属するため(ステップS420:YES)、ステップS430において、制御部300は、仮地点B3から所定距離γ(3km)手前の地点が適切区間D2に属するか否か判断する。
【0062】
仮地点B3から所定距離γ(3km)手前の地点は適切区間D2に属するため(ステップS430:YES)、制御部300は、仮地点B3が属する区間の手前側の端点から所定距離β(1km)手前の地点を報知点Zとして(ステップS440)、フローを終了する。
【0063】
図14は、実施例5を説明する図である。実施例5は、実施例1から4と比較して、車両30の進行方向に関する制御と制御部300の加減速に関する制御をそれぞれ自動運転から手動運転へ切り替える点が異なる。この部分においてフローが異なるが、それ以外は他の実施例と同じである。
【0064】
本変形例において、所定距離αを5kmとし、所定距離βを2kmとし、所定距離γを0kmとする。なお、本変形例における区間1はカーブである区間であるため不適切区間D0であり、区間2は勾配がある区間であるため不適切区間D0である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0065】
まず、制御部300は、終了地点を決定した(
図6、ステップS100参照)後、終了地点Aから所定距離α(5km)手前の仮地点Bを決定する(ステップS110)。仮地点Bが属する区間1は通常区間D1でなく(ステップS120:NO)、適切区間D2でなく(ステップS140:NO)、不適切区間D0であるため、不適切区間処理へ移行する。
【0066】
次に、制御部300は、仮地点Bが属する区間の終了地点A側ではない端点B´から所定距離β(2km)手前を新たな仮地点とする(
図9、ステップS400参照)。その新たな仮地点は不適切区間D0に属する(ステップS410:YES)。
【0067】
仮地点Bはカーブである区間1に属する。このため、ハンドルの制御である進行方向に関する制御を自動運転から手動運転に移行することは安全上好ましくないが、アクセルやブレーキの制御である加減速に関する制御を自動運転から手動運転に移行することは安全に遂行できる。よって、仮地点Bを加減速に関する自動運転の報知点Z2とする。
【0068】
また、新たな仮地点は勾配がある区間である区間2に属する。このため、アクセルやブレーキの制御である加減速に関する制御を自動運転から手動運転に移行することは安全上好ましくないが、ハンドルの制御である進行方向に関する制御を自動運転から手動運転に移行することは安全に遂行できる。よって、端点B´より変更距離幅β(2km)手前の地点を加減速に関する自動運転の報知点Z1とする。このように自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を、加減速に関する自動運転と進行方向に関する自動運転とに分けて、それぞれ遂行してもよい。換言すると、各制御にとって不適切な区間以外において、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を行なうことができる。
【0069】
図15は、実施例6を説明する図である。実施例6は、自動運転開始地点に関する。なお、本実施例における区間1はカーブである区間であるため不適切区間D0であり、区間2は勾配がある区間であるため不適切区間D0である。車両30の進行方向は、図面右側から図面左側とする。
【0070】
制御部300は、切替情報560に基づいて、不適切区間D0以外において、自動運転の開始予告の報知を行なう。このため、原則として、不適切区間D0である区間1と区間2においては、報知を行なわない。しかし、以下のように報知をしてもよい。
【0071】
区間1はカーブがある区間である。このため、ハンドルの制御である進行方向に関する制御を手動運転から自動運転に移行することは安全上好ましくないが、アクセルやブレーキの制御である加減速に関する制御を手動運転から自動運転に移行することは安全に遂行できる。よって、区間1を加減速に関する自動運転の報知点としてもよい。
【0072】
また、区間2は勾配がある区間である。このため、アクセルやブレーキの制御である加減速に関する制御を手動運転から自動運転に移行することは安全上好ましくないが、ハンドルの制御である進行方向に関する制御を手動運転から自動運転に移行することは安全に遂行できる。よって、区間2を進行方向に関する自動運転の報知点してもよい。
【0073】
A6.まとめ:
以上に説明したように、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知点が決定される。そして、制御部300は、検出部340によって現在位置を取得することにより、車両30が報知点Zを通過する際に、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を運転者へ行なう。
【0074】
制御部300は、不適切区間D0以外において、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を運転者へ行なう。このようにすることにより、安全な区間において、運転者自らが手動運転から自動運転に、自動運転から手動運転に切替えることができるため、安全に自動運転を開始もしくは終了できる。
【0075】
制御部300は、適切区間D2以外の区間と比較して優先的に、適切区間D2において、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を運転者へ行なう。また、制御部300は、通常区間D1と比較して優先的に、適切区間D2において、自動運転の開始予告の報知もしくは終了予告の報知の少なくとも一方を運転者へ行なう。このようにすることにより、より安全に自動運転を開始もしくは終了できる。
【0076】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0077】
B1.変形例1:
上記実施形態において、所定距離αや所定距離βや所定距離γなどの所定距離を固定値としたが、本発明はこれに限られない。所定距離は変動値としてもよく、例えば、車両の時速に基づいて決定してもよい。車両の時速に基づいて決定する方法としては、例えば、時速80km/hで車両が走行している場合、10分前に報知するとした場合、所定距離αは、時速(80km/h)×10分(1/6h)≒13.3kmと決定できる。
【0078】
B2.変形例2:
上記実施形態において、運転者へ自動運転の開始予告の報知および終了予告の報知として、表示部320への表示および音声通信部330からの音声ガイダンスが行なわれたが、本発明はこれに限られない。これらの報知としては、表示部320への表示もしくは音声通信部330からの音声ガイダンスの少なくとも一方としてもよく、振動や光などを用いてもよい。
【0079】
B3.変形例3:
上記実施形態において、切替情報560は、不適切区間情報562と通常区間情報564と適切区間情報566とを含む。しかし、本発明はこれに限られない。切替情報560として、不適切区間情報562と通常区間情報564のみでもよい。また、切替情報560として、不適切区間情報562と、通常区間情報564と、適切区間情報566とのいずれとも異なる区間情報をさらに含んでもよい。さらにまた、道路の特定の区間に不適切区間情報もしくは通常区間情報のいずれか一方のみを持たせ、それ以外の区間には切替情報560を持たせない構成でもよい。そうすることにより、切替情報560を持っていない区間は、不適切情報もしくは通常区間情報であることを判別することが可能となる。つまり、道路の区間に対する切替情報の持たせ方は、不適切区間か否かが判別できる情報であればよい。
【0080】
B4.変形例4:
上記実施形態において、車両30の制御部300により、取得部310は予め切替情報560を取得している。しかし、本発明は、これに限られない。制御部300は、検出部340により車両30の現在位置を取得し、現在位置の周辺(例えば、半径5km)の切替情報560を取得部310により定期的に取得させてもよい。
【0081】
B5.変形例5:
上記実施形態において、終了地点Aは、経路情報に基づいて決定されている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、車両30の進行方向に存在するジャンクションやインターチェンジ付近手前ごとに終了地点を決定してもよい。