(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、基板の両面に回路を形成することが多くなっている。この場合、ハンドの支持部材が、基板の回路形成部分に接触することを避ける必要がある。また、回路を形成する前の基板であっても、回路が形成される部分には傷がつかないように、できるだけ支持部材が接触しない方がよい。特許文献1〜3に記載されているハンドの場合、基板の裏面に回路が形成されることを想定していないので、回路形成部分を支持部材で支持することになる。
【0006】
各支持部材が回路形成部分を避けて基板の側端部のみを支持するように、支持部材の間隔を広げることが考えられる。しかし、基板が大きく薄い場合(例えば、各辺の長さが1メートル以上で、厚さが1ミリメートル以下の場合など)、基板の自重によって中央部が下方に大きくたわむ。さらに、ハンドが上下方向に移動するときには、加速度によって基板の中央部が振動して、たわみが大きくなる。この中央部のたわみによって、基板が変形、破損したり、基板の支持が不安定になる。場合によっては、基板が支持部から抜け落ちてしまう場合がある。
【0007】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、両面に回路が形成される基板をできるだけ安定に支持することができるハンド、および、このハンドを備えている搬送ロボットを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面によって提供されるハンドは、薄板状のワークを搬送する搬送ロボットにおいて、前記ワークを支持するハンドであって、前記搬送ロボットのアームの先端に固定される固定部と、前記固定部から同じ方向に延び、前記ワークが載置される第1支持部および第2支持部と、前記第1支持部および前記第2支持部の、前記ワークが載置される側の面に配置され、前記ワークに当接する緩衝部材とを備えており、前記第1支持部は、載置された前記ワークの一方の側端部の下部に位置する第1側端支持部と、前記載置されたワークの先端部の下部に位置する第1先端支持部と、を備えており、前記第2支持部は、前記載置されたワークの他方の側端部の下部に位置する第2側端支持部と、前記載置されたワークの先端部の下部に位置する第2先端支持部と、を備えており、前記緩衝部材は、前記第1先端支持部および第2先端支持部の、前記載置されたワークの側端部より内側と、前記第1側端支持部と、前記第2側端支持部と、に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ハンドは、前記載置されたワークの基端部の下部に位置する基端支持部をさらに備えており、前記緩衝部材は、さらに、前記基端支持部の、前記載置されたワークの側端部より内側に配置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1支持部および前記第2支持部は、それぞれ、前記基端支持部を備えている。
【0012】
本発明の第2の側面によって提供されるハンドは、薄板状のワークを搬送する搬送ロボットにおいて、前記ワークを支持するハンドであって、前記搬送ロボットのアームの先端に固定される固定部と、前記固定部から同じ方向に延び、前記ワークが載置される第1支持部および第2支持部と、前記第1支持部および前記第2支持部の、前記ワークが載置される側の面に配置され、前記ワークに当接する緩衝部材とを備えており、前記第1支持部は、載置された前記ワークの一方の側端部の下部に位置する第1側端支持部と、前記載置されたワークの基端部の下部に位置する第1基端支持部と、を備えており、前記第2支持部は、前記載置されたワークの他方の側端部の下部に位置する第2側端支持部と、前記載置されたワークの基端部の下部に位置する第2基端支持部と、を備えており、前記緩衝部材は、前記第1基端支持部および第2基端支持部の、前記載置されたワークの側端部より内側と、前記第1側端支持部と、前記第2側端支持部と、に配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1支持部は、前記載置されたワークの先端部の下部に位置する第1先端支持部をさらに備えており、前記第2支持部は、前記載置されたワークの先端部の下部に位置する第2先端支持部をさらに備えており、前記緩衝部材は、さらに、前記第1先端支持部および第2先端支持部の、前記載置されたワークの側端部より内側に配置されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記固定部、前記第1支持部および第2支持部は、一体に形成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1支持部および前記第2支持部は、前記固定部から前記ワークの先端側に延び、中間部分がそれぞれ前記ワークの側端部側に台形状に張り出した形状になっている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1側端支持部および前記第2側端支持部は、それぞれ、外側に突出した突出部を備えており、前記第1側端支持部および前記第2側端支持部の前記緩衝部材は、前記突出部に配置されている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記緩衝部材は、ゴム製である。
【0018】
本発明の第3の側面によって提供される搬送ロボットは、本発明の第1または第2の側面によって提供されるハンドを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、第1側端支持部、第2側端支持部、第1先端支持部および第2先端支持部(または、第1基端支持部および第2基端支持部)に配置された緩衝部材で、ワークが支持される。したがって、ワークの回路形成部分に接触しないように、ワークを支持することができる。また、第1先端支持部および第2先端支持部(または、第1基端支持部および第2基端支持部)の緩衝部材は、載置されたワークの側端部ではなく、より内側に配置される。したがって、ワークの側端部のみを支持するのではなく、先端部(または基端部)も支持するので、ワークの中央部が下方に大きくたわむことを抑制することができる。これにより、側端部のみを支持する場合と比べて、ワークを安定に支持することができる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態に係る搬送ロボット100を説明するための図である。
図1(a)は、搬送ロボットの一例を示す斜視図である。
【0024】
搬送ロボット100は、カセット200から当該カセット200内に多段収納された基板Wを取り出し、例えば、カセット200と反対側に配設される図略のプロセス装置や検査装置などの処理装置に搬送したり、逆にその処理装置から処理の終了した基板Wを排出し、カセット200に戻したりする作業を行う。
【0025】
搬送ロボット100をカセット200と正対した状態で、搬送ロボット100からカセット200に向かう方向をX方向、水平面内でX方向と直交する方向をY方向、垂直方向をZ方向とするローカル座標系を設定すると、搬送ロボット100は、基板Wを支持するハンド101をXYZの各方向にそれぞれ独立して移動させるためのX方向駆動機構102、Y方向駆動機構103、および、Z方向駆動機構104を備えている。なお、以下でも、このローカル座標系を用いて説明する場合がある。
【0026】
Y方向駆動機構103は、搬送ロボット100全体を搭載するするとともに、底面に敷設されたガイドレール105に沿って移動可能に構成されたベース盤103aと、モータなどの駆動源が収納されたY方向駆動部103bを備えている。
【0027】
Z方向駆動機構104は、ベース盤103a上の適所に固定されている。Z方向駆動機構104は、角柱状の支持体104aと、この支持体104a内に昇降可能に支持されたZ軸104bと、モータや油圧シリンダなどで構成される、Z軸104bを昇降動作させるためのZ方向駆動部とを備えている。なお、Z方向駆動部は支持体104a内の底部に設けられているため、図では見えていない。
【0028】
X方向駆動機構102は、Z軸104bの上面に設けられている。X方向駆動機構102は、一対のアーム102a,102bが回転可能に連結されたリンクで構成され、アーム102bの先端にハンド101が取り付けられている。ハンド101の詳細については後述する。ハンド101の上面が基板Wを載置する基板載置面となっている。搬送ロボット100は、ハンド101を水平に保った状態で基板載置面に基板Wを載置し、この状態でハンド101を昇降、XY面内での回転や移動などを行うことにより、カセット200内のスロット201に載置(カセット200への基板Wの収納)したり、スロット201に載置された基板Wをハンド101で受け取ってカセット200外に取り出し(基板Wのカセット200からの取出し)たりする。
【0029】
カセット200は、直方体形状の箱体を成し、少なくとも搬送ロボット100に対向する側面は基板Wを出し入れするための面として開口している。カセット200内の両側面には基板Wを多段収納するためのスロット201が複数個、内側に突設されている。基板Wは、同じ高さ位置の一対のスロット201の上面に載置されることにより、その高さ位置の段に収納される。カセット200内の向かい合う一対のスロット201で挟まれた隙間の間隔は、ハンド101がカセット200内でスロット201に干渉することなく上下動できるようにするために、ハンド101の基板載置面の横方向の長さ(ハンド101の幅)よりも長く設定されている。
【0030】
図1(b)は、搬送ロボット100の構成を示すブロック構成図である。
【0031】
搬送ロボット100は、ハンド101の移動を制御する移動制御装置106、サーボコントローラ107、マニピュレータ108、および、作業者がティーチング作業や手動操作を行うためのティーチペンダント109を備えている。マニピュレータ108は、
図1(a)に示したハンド101、X方向駆動機構102、Y方向駆動機構103およびZ方向駆動機構104からなる多関節機構に相当するものである。サーボコントローラ107は、マニピュレータ108に設けられた各サーボモータの駆動を制御するコントローラである。
【0032】
移動制御装置106は、予め教示された教示情報に基づいてサーボコントローラ107を制御し、マニピュレータ108のハンド101を教示された移動軌跡に沿って移動させる制御を行う。
【0033】
移動制御装置106は、マイクロコンピュータを主要な構成要素としている。移動制御装置106は、相互に接続されたCPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェイスなどを備えている。移動制御装置106は、ROMに予め記憶された制御プログラムを実行することにより、ハンド101の移動の制御を行う。移動制御装置106は、機能ブロックとして、制御部106aおよび教示情報記憶部106bを備えている。
【0034】
制御部106aは、教示情報記憶部106bに記憶されている教示情報に基づいて、サーボコントローラ107の駆動を制御する。また、制御部106aは、ティーチペンダント109からの入力される情報に基づいてサーボコントローラ107の駆動を制御する。
【0035】
教示情報記憶部106bは、ハンド101の移動の軌跡を示すための教示情報を記憶する。教示情報記憶部106bは、RAMの所定の記憶領域に設定されている。教示情報には、ハンド101の移動の軌跡を示すためのいくつかの教示点の情報が含まれている。なお、教示点の情報は、位置を示す情報であってもよいし、各教示点におけるマニピュレータ108の各軸の情報であってもよい。教示点の情報は、ティーチング処理によって予め取得されて、教示情報記憶部106bに記憶される。
【0036】
次に、ハンド101について説明する。
図2〜
図6は、第1実施形態に係るハンドを説明するための図である。
【0037】
図2(a)は、ハンド101を上方(ローカル座標系のZ軸の正の方向)から見た図であり、
図2(b)は、
図2(a)における、A−A線断面図である。ハンド101は、上面に載置される基板Wを支持する。
図2(a)においては、基板Wを、より下方にある部材が見えるように透過して、破線で示している。以下の
図6〜13も同様である。
【0038】
図3は、基板Wを説明するための図である。基板Wは、回路基板であり、両面に回路が形成されている。なお、基板Wは、回路が形成される前の回路基板であってもよいし、液晶基板などであってもよい。基板Wの中央部W1(破線で囲んでいる領域)は、回路が形成される領域である。中央部W1の外側の領域(W2〜W5)には、回路が形成されることがないので、ハンド101が接触してもよい。ハンド101は、この外側の領域(W2〜W5)で基板Wを支持する。基板Wがハンド101に支持されて直進する方向(同図において太矢印で示す方向であり、ローカル座標系のX軸の正の方向)を基準にして、領域W2を先端部、領域W3を基端部、領域W4を第1側端部、領域W5を第2側端部とする。基板Wは、例えば、縦(図に示すX方向の長さ)2メートル、横(図に示すY方向の長さ)2メートルの正方向であり、厚さが1ミリメートル以下である。領域W2〜W5の幅(領域W2およびW3においてはX方向の長さであり、領域W4およびW5においてはY方向の長さ)は、例えば、それぞれ20ミリメートル程度である。なお、基板Wの各寸法はこれに限られない。基板Wは正方形でなく長方形であってもよい。
【0039】
図2(a)に戻って、ハンド101は、固定部1、第1支持部2、および、第2支持部3を備えている。
【0040】
固定部1は、第1支持部2および第2支持部3を固定するものであり、アーム102bに対して回転可能に取り付けられる。第1支持部2および第2支持部3は、基板Wを支持するものであり、固定部1に固定されている。
【0041】
第1支持部2は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって一体に形成された、第1基端支持部21、第1側端支持部22、第1先端支持部23、および、接続部24,25を備えている。なお、第1基端支持部21、第1側端支持部22、第1先端支持部23、および、接続部24,25の素材は炭素繊維強化プラスチックに限定されず、他の繊維強化プラスチック(FRP)やセラミック、合成樹脂、アルミなどの軽量で強度の高い他の素材であってもよい。また、第1基端支持部21、第1側端支持部22、第1先端支持部23、および、接続部24,25は一体に形成されている場合に限定されず、複数の部材を組み合わせて固定したものであってもよい。ただし、一体成型の方が強度が高くなり、軽量化が図れ、組み立て工程も簡略化できるので、望ましい。
【0042】
また、第1支持部2は、基板Wに当接するための、例えばゴム製の緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aを備えている。
図4(a)は、第1支持部2の第1基端支持部21および緩衝部材21aを示す図であり、上側の図が側面からみた断面図であり、下側の図が上面から見た図である。
図4(a)に示すように、緩衝部材21aは、中心軸に直交する断面が円となるテーパ形状となっており、中心軸部分にネジを通すための穴が設けられている。緩衝部材21aは、当該穴を通したネジによって、第1基端支持部21に固定されている。緩衝部材22a,22b,22c,23aも同様である。緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aによって、基板Wは、すべったり傷ついたりすることなく、第1支持部2に支持される。なお、緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aの素材は、ゴムに限定されず、シリコンなどの他の素材であってもよい。また、緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aの固定方法はネジによる固定に限定されず、接着剤による固定など、他の方法であってもよい。また、緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aの形状も限定されず、例えば中心軸に直交する断面が楕円(
図4(b)参照)や四角形であってもよい。また、テーパ形状ではなく、例えば円柱形状であってもよい。また、配置される緩衝部材の数は限定されない。
【0043】
第1基端支持部21は、固定部1から、ハンド101の直進方向(図に示すX方向)に延びており、基板Wの基端部を支持する。第1基端支持部21の上面側には、緩衝部材21aが配置されている。緩衝部材21aが配置される位置は、ハンド101に基板Wが載置された時の基板Wの基端部の位置に応じて設計される。
【0044】
第1側端支持部22は、第1基端支持部21の、Xの正の方向でありYの負の方向に位置し、X方向に延びており、基板Wの第1側端部を支持する。第1側端支持部22には、外側(図に示すYの負の方向の側)に突出する3つの突出部が設けられている。当該突出部の上面側には、それぞれ緩衝部材22a,22b,22cが配置されている。ハンド101に基板Wが載置された時に、緩衝部材22a,22b,22cが基板Wの第1側端部に当接するように、第1側端支持部22の位置は設計される。第1基端支持部21と第1側端支持部22とは、接続部24によって接続されている。
【0045】
第1先端支持部23は、第1基端支持部21の延長方向に位置し、X方向に延びており、基板Wの先端部を支持する。第1先端支持部23の上面側には、緩衝部材23aが配置されている。緩衝部材23aが配置される位置は、ハンド101に基板Wが載置された時の基板Wの先端部の位置に応じて設計される。第1側端支持部22と第1先端支持部23とは、接続部25によって接続されている。
【0046】
第1支持部2は、全体でみると、固定部1からX方向に延び、中間部分が基板Wの第1側端部側に台形状(凸形状において突出側に向けて徐々に細くなる形状)に張り出した形状となっている。なお、台形状ではなく、凸形状に張り出した形状(すなわち、接続部24および25が、第1基端支持部21、第1側端支持部22、第1先端支持部23に対して直交する形状)としてもよい。ただし、接続部24および25と、第1基端支持部21、第1側端支持部22および第1先端支持部23とがなす角度が45°程度である台形状とした場合が、基板Wとの接触を回避する面積と使用する材料の量とのバランスがよい。すなわち、上記角度が大きくなって90°に近づくほど基板Wを回避する面積が広くなるが、使用する材料の量が多くなり、ハンド101自体のたわみ量が多くなって、ハンド101自体にかかる負荷が大きくなる。逆に、上記角度が小さくなって0°に近づくほど、使用する材料の量が少なくなって、ハンド101自体にかかる負荷が小さくなる。しかし、上記角度を0°に近づけた場合、第1基端支持部21および第1先端支持部23がそれぞれ基板Wの基端部および先端部の中央付近を支持できるように、第1支持部2を配置すると、第1支持部2が基板Wの中央付近と接触する可能性が高くなる。また、第1支持部2が基板Wの中央付近と接触しないように、第1支持部2を外側に配置すると、基板Wの中央部のたわみが大きくなってしまう。中間である45°程度が、基板Wとの接触を回避する面積と使用する材料の量とのバランスがよいので、望ましい。また、後述するように、第1支持部2の形成のための金型(
図5(a)参照)の効率化の面からも、45°程度が望ましい。ただし、基板Wの形状が縦横比の大きな長方形基板の場合は45°程度とは限らず、縦横比に応じて角度を設計する必要がある。なお、第1支持部2の各部の長さ、太さ、厚みは限定されず、載置される基板Wの大きさや重さなど、および、スロット201の形状や間隔などに応じて適宜設計すればよい。
【0047】
第2支持部3は、第1支持部2と対をなすものであり、同様の素材が用いられており、第1支持部2と対称的な構造になっている。第2支持部3は、第2基端支持部31、第2側端支持部32、第2先端支持部33、および、接続部34,35を備えている。また、第2支持部2は、緩衝部材31a,32a,32b,32c,33aを備えている。緩衝部材31a,32a,32b,32c,33aは、緩衝部材21a,22a,22b,22c,23aと同様の素材、形状であり、同様にして各支持部に固定されている。
【0048】
第2基端支持部31は、固定部1から、X方向に延びており、基板Wの基端部を支持する。第2基端支持部31の上面側には、緩衝部材31aが配置されている。緩衝部材31aが配置される位置は、ハンド101に基板Wが載置された時の基板Wの基端部の位置に応じて設計される。
【0049】
第2側端支持部32は、第2基端支持部31の、Xの正の方向でありYの正の方向に位置し、X方向に延びており、基板Wの第2側端部を支持する。第2側端支持部32には、外側(図に示すYの正の方向の側)に突出する3つの突出部が設けられている。当該突出部の上面側には、それぞれ緩衝部材32a,32b,32cが配置されている。ハンド101に基板Wが載置された時に、緩衝部材32a,32b,32cが基板Wの第2側端部に当接するように、第2側端支持部32の位置は設計される。第2基端支持部31と第2側端支持部32とは、接続部34によって接続されている。
【0050】
第2先端支持部33は、第2基端支持部31の延長方向に位置し、X方向に延びており、基板Wの先端部を支持する。第2先端支持部33の上面側には、緩衝部材33aが配置されている。緩衝部材33aが配置される位置は、ハンド101に基板Wが載置された時の基板Wの先端部の位置に応じて設計される。第2側端支持部32と第2先端支持部33とは、接続部35によって接続されている。
【0051】
第2支持部3は、全体でみると、固定部1からX方向に延び、中間部分が基板Wの第2側端部側に台形状に張り出した形状となっている。なお、台形状ではなく、凸形状に張り出した形状(すなわち、接続部34および35が、第2基端支持部31、第2側端支持部32、第2先端支持部33に対して直交する形状)としてもよい。ただし、接続部34および35と、第2基端支持部31、第2側端支持部32および第2先端支持部33とがなす角度が45°程度である台形状とするのが、望ましい。なお、第1支持部2の各部の長さ、太さ、厚みは限定されず、載置される基板Wの大きさや重さなど、および、スロット201の形状や間隔などに応じて適宜設計すればよい。第1支持部2と第2支持部3とは、対称的な構造とするのが望ましいが、対称的な構造であることに限定されるわけではなく、非対称な構造であってもよい。
【0052】
次に、
図5を参照して、ハンド101の製造方法について説明する。
【0053】
まず、
図5(a)に一例を示す金型を用いて、第1支持部2および第2支持部3の元になる部材を形成する。本実施形態では、第1支持部2と第2支持部3とを対称的な構造としているので、両者の区別なく、同じ部材を用いることができる。また、本実施形態では、第1支持部2および第2支持部3の全体形状を、中間部分が台形状に張り出した形状としているので、
図5(a)に示すように、1つの金型で複数の部材を形成する場合に、金型を小さくすることができる。
【0054】
次に、
図5(b)に示すように、上記金型で形成された部材に緩衝部材を固定するためのネジ穴を設けることで第1支持部2および第2支持部3とし、それぞれ固定部1に固定する。第1支持部2と第2支持部3とでは、ネジ穴を設ける面が逆になる。
【0055】
そして、
図5(c)に示すように、第1支持部2および第2支持部3に設けられたネジ穴の位置に、それぞれ、緩衝部材をネジで固定する(
図4(a)参照)。
図4(a)は、緩衝部材21aが第1支持部2の第1基端支持部21にネジで固定された状態を示している。
【0056】
次に、
図6を参照して、ハンド101が、基板Wをスロット201に載置する方法について説明する。
【0057】
まず、
図6(a)に示すように、基板Wを上面に載置したハンド101が、矢印の方向(Xの正の方向)に移動する。このとき、ハンド101の上下方向(
図6の紙面に直交する方向、Z方向)の位置は、スロット201の上面より上側になっている。ハンド101は、スロット201の中央部まで移動する(
図6(b)参照)。
【0058】
次に、
図6(b)に示す位置で、ハンド101は下方に移動する。当該位置でハンド101が上下方向に移動しても接触しないように、スロット201の内周の形状とハンド101の外周の形状とは設計されている。ハンド101の下方移動により、基板Wは、スロット201の内周の突出部の上面に載置される。
【0059】
そして、ハンド101の上下方向の位置がスロット201の下面より下側まで移動した後に、ハンド101は、Xの負の方向(
図6(c)の矢印の方向)に移動する。
【0060】
ハンド101が、スロット201に載置された基板Wを取り出す方法は、上記の逆の手順となる。すなわち、
図6(c)の状態で、ハンド101が、Xの正の方向(矢印の反対方向)に移動する。このとき、ハンド101の上下方向の位置は、スロット201の下面より下側になっている。ハンド101が
図6(b)に示す位置まで移動した後、上方に移動することにより、基板Wがハンド101の上面に載置される。そして、ハンド101の上下方向の位置がスロット201の上面より上側まで移動した後に、ハンド101は、Xの負の方向(
図6(a)の矢印の反対方向)に移動する。
【0061】
次に、ハンド101の作用と効果について説明する。
【0062】
ハンド101は、第1先端支持部23の上面に配置された緩衝部材23aと、第2先端支持部33の上面に配置された緩衝部材33aとで、基板Wの先端部を支持し、第1基端支持部21の上面に配置された緩衝部材21aと、第2基端支持部31の上面に配置された緩衝部材31aとで、基板Wの基端部を支持する。また、ハンド101は、第1側端支持部22の上面に配置された緩衝部材22a,22b,22cで、基板Wの第1側端部を支持し、第2側端支持部32の上面に配置された緩衝部材32a,32b,32cで、基板Wの第2側端部を支持する。したがって、基板Wの回路形成部分に接触しないように、基板Wを支持することができる。
【0063】
また、ハンド101は、基板Wの第1側端部および第2側端部のみを支持するのではなく、基板Wの先端部および基端部も支持する。したがって、基板Wの中央部が下方に大きくたわむことを抑制することができる。
【0064】
図2(b)に示すように、基板Wの中央部の下方へのたわみは抑制されており、わずかにたわんでいるだけである。また、ハンド101が上下方向に移動するとき(例えば、
図6(b)に示す位置での上下移動など)の基板の中央部の振動によるたわみ(
図2(b)に破線で示す)も抑制されている。
【0065】
図7は、従来の構成のハンド101’を用いた場合の、基板Wのたわみを説明するための図であり、本実施形態に係るハンド101と比較するためのものである。
図7(a)は、ハンド101’を上方から見た図であり、
図7(b)は、
図7(a)における、B−B線断面図である。
【0066】
図7(a)に示すように、ハンド101’は、基板Wの第1側端部および第2側端部のみを支持しており、基板Wの先端部および基端部を支持していない。この場合、
図7(b)に示すように、基板Wの中央部は下方に大きくたわんでいる。また、ハンド101’が上下方向に移動するときの基板の中央部の振動によるたわみ(
図7(b)に破線で示す)も大きくなっている。この中央部のたわみによって、基板が変形、破損したり、基板の支持が不安定になる。場合によっては、基板が支持部から抜け落ちてしまう場合がある。
【0067】
以上のように、ハンド101を用いた場合、基板Wの中央部のたわみを、ハンド101’を用いた場合より抑制することができる。したがって、ハンド101は、基板Wを従来のハンド101’より安定に支持することができる。
【0068】
図8は、他の従来の構成のハンド101”を用いた場合の、基板Wのたわみを説明するための図であり、本実施形態に係るハンド101と比較するためのものである。
図8(a)は、ハンド101”を上方から見た図であり、
図8(b)は、
図8(a)における、C−C線断面図である。
【0069】
図8(a)に示すように、ハンド101”は、第1支持部2の外側に直交するように3つの支持部が設けられており、第2支持部3の外側にも直交するように3つの支持部が設けられている。当該各支持部の先端付近には緩衝部材22a,22b,22c,32a,32b,32cがそれぞれ配置されている。ハンド101”は、基板Wの先端部、基端部、第1側端部および第2側端部を支持している。この場合、基板Wの中央部のたわみは抑制されるが、
図7(b)に示すように、基板Wの回路形成部が第1支持部2および第2支持部3に接触する。基板Wの回路形成部が第1支持部2および第2支持部3に接触しないように、各緩衝部材の高さを高くした場合(
図8(c)参照)でも、ハンド101”が上下方向に移動するときの基板Wの中央部の振動によるたわみ(
図8(c)に破線で示す)によって、基板Wの回路形成部が第1支持部2および第2支持部3に接触してしまう。また、各緩衝部材の高さを高くすると、基板Wの重心位置がハンド101”に対して高い位置になり、基板Wの安定性が低下してしまう。
【0070】
一方、本実施形態に係るハンド101の場合、第1側端支持部22と第2側端支持部32との間には基板Wと接触する部分が存在しないので、基板Wの回路形成部がハンド101に接触するという問題は生じない。したがって、各緩衝部材の高さを高くする必要もないので、基板Wの重心位置は高くならない。よって、基板Wの安定性を保つことができる。
【0071】
なお、ハンド101の構成は上述したものに限定されない。例えば、
図9(a)に示すように、固定部1、第1支持部2および第2支持部3が、一体に形成されていてもよい。この場合、生産工程を簡略化することができる。また、
図9(b)に示すように、固定部1に緩衝部材を配置して、当該緩衝部材で基板Wの基端部を支持するようにしてもよい。この場合、固定部1が本発明の「基端支持部」に相当する。
【0072】
また、
図10(a)に示すように、第1支持部2と第2支持部3との間に第3支持部4および第4支持部5を設け、第3支持部4の先端側の上面に緩衝部材4aを設け、第4支持部5の先端側の上面に緩衝部材5aを設けるようにしてもよい。この場合、第3支持部4および第4支持部5が、それぞれ、本発明の「基端支持部」に相当する。なお、第1支持部2と第2支持部3との間に設ける支持部の数は2つに限定されず、1つのみとしてもよいし、3つ以上としてもよい。
【0073】
また、
図10(b)に示すように、第1側端支持部22および第2側端支持部32に突出部を設けないようにしてもよい。この場合、スロット201の内周の形状を、例えば、図に示すような形状にすればよい。
【0074】
また、第1支持部2および第2支持部3の形状を、
図11(a)、(b)に示すような形状としてもよい。第1支持部2および第2支持部3の形状は、基板Wの先端部、基端部、第1側端部および第2側端部にそれぞれ当接する緩衝部材を配置できるものであればよい。
【0075】
本実施形態においては、ハンド101が基板Wの先端部および基端部の両方を支持する場合について説明したが、これに限られない。ハンド101が基板Wの先端部または基端部のいずれか一方を支持するようにしてもよい。
図12(a)は、基板Wの先端部を支持するが、基端部を支持しない場合の例であり、
図12(b)は、基板Wの基端部を支持するが、先端部を支持しない場合の例である。これらの場合でも、ハンド101は、基板Wの第1側端部および第2側端部の他に、基板Wの先端部(または基端部)を支持するので、基板Wの中央部のたわみを抑制することができる。したがって、基板Wを安定に支持することができる。ただし、たわみをより抑制して基板Wをより安定に支持するためには、基板Wの先端部および基端部の両方を支持するのが望ましい。
【0076】
本実施形態においては、ハンド101が基板Wを支持する場合について説明したが、これに限られない。ハンド101が基板W以外のワーク、例えば、ガラス板や、鉄板、紙板などを支持する場合にも、本発明を適用することができる。
【0077】
本実施形態においては、基板Wが四角形である場合について説明したが、これに限られない。基板Wは四角形以外の形状であってもよい。ハンド101は、載置される基板Wの形状に応じて、適宜設計すればよい。円形状の基板W’を支持するためのハンド101について、以下に説明する。
【0078】
図13(a)は、円形状の基板W’を説明するための図である。基板W’は、例えばシリコンウエハなどである。基板W’の中央部W1(破線で囲んでいる領域)は、ハンド101との接触を避けたい領域である。基板W’の場合も、基板Wの場合と同様に、中央部W1の外側の領域(W2〜W5)で支持される。基板W’がハンド101に支持されて直進する方向(同図において太矢印で示す方向であり、ローカル座標系のX軸の正の方向)を基準にして、領域W2を先端部、領域W3を基端部、領域W4を第1側端部、領域W5を第2側端部とする。
【0079】
図13(b)は、基板W’を支持するハンド101を説明するための図である。当該ハンド101は、
図2に示すハンド101において、緩衝部材22a,22c,32a,32cの配置場所をずらしたものである。緩衝部材22a,22cは、
図2の場合よりYの正の方向にずらされており、緩衝部材32a,32cは、
図2の場合よりYの負の方向にずらされている。これにより、ハンド101は、基板W’の先端部、基端部、第1側端部および第2側端部を適切に支持することができる。なお、第1支持部2および第2支持部3の形状を変えるようにしてもよい。
【0080】
本発明に係る搬送ロボット、および、搬送ロボット用ハンドは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る搬送ロボット、および、搬送ロボット用ハンドの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。