(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
日本人の死因のうち死亡者数のトップは「がん」であり、その部位別では肺がんや胃がん、大腸がんなどの死亡者数が多い。一方で、口腔・咽頭がん(以下ではこれらを「口腔がん」と総称する場合がある)は、部位別の死亡者数では少ないものの、主な発病原因の一つ(HPV(ヒトパピローマウィルス)感染)を同じくする子宮頸がんが、企業を中心とする健康診断や人間ドックなどの普及により、死亡者数が頭打ちとなっているのに対して、現在でも死亡者数が増えているという状況にある。口腔がんは、早期発見すれば8割程度の割合で存命できるにも関わらず、日本では、早期発見する仕組みとシステム(機器)が米国等と比較して乏しく、早期発見がしにくいということが原因として考えられている。
【0003】
また、各種の生活習慣病や感染症などは、その発生原因を遡ると、栄養摂取に関わる咀嚼や咬合機能、さらには口腔内細菌の影響などにたどり着き、裏を返せば、これらの病気は、可能な限り上流、すなわち口腔をケアすることで効果的に予防することができるということが研究されている。定期的に歯科医を受診している人ほど、全ての病気に要する年間の総医療費が低くなる傾向があるという調査結果もあり、定期的な口腔内検診は、口腔がんの早期発見につながるとともに、国民の医療費の抑制にも効果的であることが認識されてきている。
【0004】
口腔内検診に関連する技術や取り組みとして、例えば、特開平10−91703号公報(特許文献1)には、デジタルカメラにより被検診者の口腔内をカラー写真で撮影し、その写真と被検診者の健康診断アンケートを仲介業者へ送信し、仲介業者がこれらに基づいてサーバ上に電子カルテの検診データベースを作成するとともに、予め契約している歯科医師が検診データベースから被検診者の電子カルテを読み出し、口腔写真画像およびアンケート結果を見て歯科健康診断を行ない、電子カルテを完成させて検診データベースに格納し、仲介業者が完成した電子カルテを被検診者に送信あるいは郵送する歯科健康診断システムが記載されている。
【0005】
また、特開2002−83060号公報(特許文献2)には、カメラ機能を備えた情報端末で写した被検診者の口腔内写真画像を仲介業者へ送信し、仲介業者が、専属の歯科医師または歯科衛生士によって前記口腔内写真画像に対する歯科チェックを行い、被検診者に対して前記歯科チェックの判断結果を通知するとともに、会員登録してある歯科医院の紹介を行う歯科医院紹介システムが記載されている。
【0006】
また、例えば、一般社団法人市川市歯科医師会では、指定歯科医院にて市川市市民が口腔がん検診を受診できるようにするという取り組みを行っている(非特許文献1)。
【0007】
上記のようなシステムや取り組みとは別に、口腔がんなどの異常口腔内組織を検出するための特殊な検査鏡に係る技術として、例えば、特開2013−135845号公報(特許文献3)には、口腔内等の標的組織から発光する蛍光あるいは他の微弱光を検出することで、視診や触診では検出できないような早期のものも含めた口腔がん等の異常組織を検出する検査鏡(ベルスコープ:VELSCOPE(登録商標))を含む疾病検出システムが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
上述したように、近年でも死亡者数が上昇している口腔がんについて、口腔がん検診を含む口腔内検診を定期的に行うことは、早期発見と予防の観点から非常に重要かつ効果的である。そして、これを実施するのに最適な機関は、日常的に口腔を診ており、かつ数もコンビニエンスストアより多い歯科医院であると考えられる。現状でも歯科医院における口腔内検診の仕組みや取り組みは存在するが、視診や触診にとどまり、その段階で異常が検出されてももはやがん化した組織を切除するしかないという場合も生じやすい。口腔がんの場合、部位が口腔であることから、視診や触診が比較的容易であるという反面、病変部を切除した場合に外貌への影響が大きく、これに伴う自殺率も高いとされ、早期発見の要請は強い。
【0022】
一方、予防歯科という意識の高い米国等では、例えば、特許文献3に記載されているような検査鏡などの蛍光可視装置を用いた検査が歯科医院においても普及しており、視診・触診のみの場合に比べて、口腔がんの早期発見、検出率の向上に効果を上げている。
【0023】
そこで、本発明の一実施の形態である口腔内検診管理システムは、国民に対して口腔がんの危険性を伝えて、定期的な口腔内検診の受診を推進するとともに、多数存在する歯科医院において、視診・触診に加えて、蛍光可視装置を用いた口腔がん検診を含む口腔内検診を容易に受けられるようにし、検査結果に基づくコンサルティングも行って次回の検診につなげることで、口腔内検診の恒常化を可能とするものである。
【0024】
これにより、口腔がんの早期発見による死亡者数の低減を可能とするとともに、口腔内の問題を早期発見して、従来の保険診療と、自由診療である口腔内検診とによる歯科医院の収益向上も可能とする。また、国民に口腔ケアによる予防医療の意識を浸透させ、健康増進、ひいては国全体の医療費の削減につなげることも可能となる。
【0025】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である口腔内検診管理システムの構成例について概要を示した図である。口腔内検診管理システム1は、サーバ機器もしくはクラウドコンピューティング環境上に構築された仮想サーバなどにより実装されたサーバシステムである口腔内検診管理サーバ100に対して、インターネット等のネットワーク200を介して、提携する歯科医院300にそれぞれ設置された歯科医院端末310、およびカラープリンタ340が、それぞれ、無線もしくは有線のLAN(Local Area Network)等により接続される構成を有する。各歯科医院300には、患者302の口腔内を撮影するためのデジタルカメラ等のカメラ320、および口腔内等の標的組織から発光する蛍光あるいは他の微弱光を検出することでがん化する前の口腔内の異常組織を検出することができる蛍光可視装置330が設置されている。蛍光可視装置330としては、例えば、上述した特許文献3に記載されているような検査鏡(ベルスコープ)などを用いることができる。
【0026】
各歯科医院300において歯科医師301もしくは図示しないスタッフが操作する歯科医院端末310は、例えば、検診現場での直感的な操作が容易なタブレット型端末により構成されるが、これに限らず、ノートPC(Personal Computer)や据置型PCであってもよい。歯科医院端末310は、例えば、図示しないOS(Operating System)上で動作するソフトウェアとして実装される問診受付部311および検診結果取得部312などの各部を有する。
【0027】
問診受付部311は、患者302が口腔内検診を受診するにあたって記入した問診票303の内容を、図示しないスタッフ(もしくは歯科医師301)が問診データとして転記・入力するための画面等のユーザインタフェースを提供する。検診結果取得部312は、歯科医師301が患者302に対して行った口腔内検診の結果データを取得し、問診データと併せて口腔内検診管理サーバ100にネットワーク200を介して送信する機能を有する。
【0028】
検診結果取得部312による口腔内検診の結果データの取得には、例えば、カメラ320や蛍光可視装置330が撮影した患者302の口腔内のデジタル画像データをWi−Fi(登録商標)等の近距離無線通信により自動的に取得することが含まれる。これらの画像データ以外にも、例えば、図示しないX線透視撮影装置などにより撮影されたデジタル画像データが含まれていてもよい。さらに、取得した複数の画像データから、歯科医師301(もしくはスタッフ)が、口腔内の部位毎に適切な画像データを選択したり、視診・触診の結果や、画像データの内容、問診データ等に基づいて所見を入力したりすることも含まれる。検診結果取得部312は、画像データの選択や所見の入力を受け付けるための画面等のユーザインタフェースも提供する。
【0029】
問診受付部311や検診結果取得部312は、例えば、歯科医院端末310に導入されたアプリケーションプログラムとして実装されるが、これに限られない。例えば、図示しないWebブラウザを利用して口腔内検診管理サーバ100にアクセスし、口腔内検診管理サーバ100上に実装された図示しないアプリケーションプログラムによりWebブラウザ上に表示された画面を介して処理を行うものであってもよい。
【0030】
カラープリンタ340は、口腔内検診管理サーバ100において作成されてネットワーク200を介して送信される診断書データに基づいて診断書341を印刷出力する機能を有する。出力された診断書341は患者302に対して提供され、その際、当該診断書341に基づいて、歯科医師301による検診結果の説明や、今後の口腔ケアについてのコンサルティングなどが実施される。
【0031】
なお、
図1の例ではカラープリンタ340が直接ネットワーク200に接続し、口腔内検診管理サーバ100から送信される診断書データを受信して診断書341を出力する構成としているが、このような構成に限られない。例えば、プリンタサーバとなるPC等の端末や歯科医院端末310が口腔内検診管理サーバ100から診断書データを取得し、カラープリンタ340は、これらのプリンタサーバからの指示に基づいて診断書341を印刷出力する(言い換えれば、口腔内検診管理サーバ100は、歯科医院端末310等のプリンタサーバを介してカラープリンタ340に診断書341を出力させる)という構成であってもよい。
【0032】
口腔内検診管理サーバ100は、各歯科医院300からの問診データや口腔内検診の結果データを取得して蓄積・管理するとともに、取得したデータに基づいて診断書データを作成して歯科医院300のカラープリンタ340(もしくはプリンタサーバ)に送信する機能を有するサーバシステムである。
【0033】
口腔内検診管理サーバ100は、例えば、図示しないOSやDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装される検診結果管理部110および診断書作成部120などの各部を有する。また、データベースやファイルなどにより実装される歯科医院マスタデータベース(DB)101、患者マスタDB102、検診データDB103、画像データDB104、および診断書データDB105などの各データストアを有する。
【0034】
検診結果管理部110は、各歯科医院300の歯科医院端末310からネットワーク200を介して取得した口腔内検診の結果データや問診データを検診データDB103や画像データDB104に記録する機能を有する。後述するように、例えば、画像データDB104では、歯科医院300での口腔内検診においてカメラ320や蛍光可視装置330などにより撮影された口腔の画像データを管理し、検診データDB103ではその他のデータを管理する。
【0035】
診断書作成部120は、例えば、検診結果管理部110が検診データDB103および画像データDB104に口腔内検診の結果データや問診データを記録したのをトリガーとして、これらのデータの内容に基づいてカラープリンタ340により印刷可能な診断書341のデータを作成し、診断書データDB105に当該データに係る情報を記録するとともに、歯科医院300のカラープリンタ340(もしくはプリンタサーバ)に対してネットワーク200を介して送信する機能を有する。
【0036】
診断書データの作成方法は、例えば、検診データDB103に記録された内容に含まれる問診データや検診の結果データ、歯科医師301による所見のデータなどに基づいて、所定のロジックや条件に従って診断結果を自動的に判定し、対応する画像データとともに診断書341についての図示しないテンプレートデータに埋め込むことで作成する。診断書データは、例えば、PDF(Portable Document Format)などの汎用的なフォーマットのファイルとして作成する。
【0037】
以上の構成により、各歯科医院300では、視診・触診に加えて、蛍光可視装置330を用いた口腔がん検診を含む口腔内検診を行い、画像データを含む検診結果を歯科医院端末310に入力した上で口腔内検診管理サーバ100に送信することで、口腔内検診管理サーバ100により診断書341のデータを自動的に作成して、歯科医院300のカラープリンタ340に印刷出力することができる。
【0038】
<口腔内検診の全体的な流れ>
図2は、定期的な口腔内検診の全体の流れの例について概要を示したフローチャートである。まず、患者(利用者)は、例えば、自身が有する情報処理端末を利用して、口腔内検診についてのポータルサイトにアクセスする(S01)。このポータルサイトは、例えば、図示しないWebサーバシステムにより実装されるが、当該Webサーバシステムは、独立したサーバシステムであってもよいし、口腔内検診管理サーバ100に統合されていてもよい。
【0039】
このポータルサイトは、広く国民一般に対して年1回等の口腔がん検診および口腔内検診の受診の必要性を強く認知させるためのものであり、例えば、口腔がんの死亡者数等の現状、進行した場合の症例や手術状況など、怖さや危険性、早期発見の重要性などを積極的に伝えることで受診の必要性を認知させるものであるのが望ましい。また、当該ポータルサイトの存在を広く知らしめるため、例えば、大学や学会、全国の歯科医院などと連携したり、著名人を用いた広報活動を行ったり、SNS(Social Networking Service)等の各種メディアを用いた宣伝広告などを行うのが望ましい。
【0040】
当該ポータルサイトでは、本実施の形態の口腔内検診を受けることができる提携先の歯科医院300の検索を行うことができる(S02)。検索は、例えば、歯科医院300の名称や歯科医師301の氏名、歯科医院300の所在地、その他の条件をキーとして行うことができる。
【0041】
その後、患者(利用者)は、検索結果等から選定した歯科医院300に対して口腔内検診の受診を申し込む(S03)。申し込みは、当該ポータルサイトが予約受付窓口となって一括して受け付けた上で対象の歯科医院300に対して通知等する構成としてもよいし、対象の歯科医院300のホームページ等に連携して当該ホームページから直接行ってもよい。電話等により別途行ってもよい。
【0042】
その後、予約した日時において歯科医院300で患者302に対する口腔内検診が行われる(S04)。上述したように、本実施の形態では、蛍光可視装置330を用いた口腔がん検診も行うことができる。検診の結果等のデータは、歯科医院端末310から口腔内検診管理サーバ100に送信され、口腔内検診管理サーバ100により自動的に診断書データが作成され、歯科医院300のカラープリンタ340から診断書341が出力される。
【0043】
診断書341の内容や、歯科医師301の所見などに基づいて、歯科医師301から患者302に対して口腔ケアに係るコンサルティングなどが行われるとともに、患者302に口腔がんの疑いが認められる場合は(S05:Yes)、歯科医師301は患者302に対して即時に大学病院などを紹介し、患者302は病理検査や精密検査などを行った上で必要に応じて治療を実施する(S06)。
【0044】
一方、患者302に口腔がんの疑いがない場合(S05:No)、もしくはステップS06にて患者302が必要な治療の実施を完了した場合は、その後、口腔内治療や定期通院、歯科人間ドックなどの口腔ケアを定期的かつ継続的に繰り返すよう促すことでこれを習慣化させる(S07)。
【0045】
<口腔内検診の流れ>
図3は、歯科医院300における口腔内検診(
図2のステップS04)の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。歯科医院300では、まず、患者302が問診票303に患者情報や症状の内容などを記入する(S41)。その後、歯科医院300のスタッフ等(もしくは歯科医師301)が問診票303に記入された内容を歯科医院端末310の問診受付部311を介して転記・入力する(S42)。
図4は、歯科医院端末310の問診受付部311により表示された問診票303の内容を入力する画面の例について概要を示した図である。上述したように、ここでは、歯科医院端末310をタブレット型とすることにより、入力の際の場所的制約を緩和しつつ、タッチパネル上での直感的操作で簡易迅速に入力可能とすることができる。
【0046】
図3に戻り、その後、歯科医師301により対象の患者302に対する口腔内検診を開始する。ここでは、必要に応じてX線透視撮影装置により口腔部分のX線パノラマ撮影を行い(S43)、口腔内の視診・触診を行い(S44)、カメラ320による口腔内の通常撮影(S45)、および蛍光可視装置330による口腔内の特殊撮影(S46)を行う。
図3の例では、上記の順に撮影や診察が行われるよう記載されているが、順序はこれに限られるものではないし、可能な場合には並行的に行うこともできる。なお、上述したように、各機器により撮影された画像データは、Wi−Fi等の無線通信により、もしくは外部記憶装置などの媒体を介して歯科医院端末310に送信等されるものとする。
【0047】
上記の口腔内検診が終了すると、歯科医師301(およびスタッフ)は、歯科医院端末310に送信等されて記録された画像データの中から、診断に用いる画像データを選択する(S47)。
図5は、歯科医院端末310の検診結果取得部312により表示された画像データを選択する際の画面の例について概要を示した図である。
図5の例では、蛍光可視装置330により撮影された画像を選択する場合を示しており、右側に表示された蛍光可視装置330により撮影された画像データの一覧から、各部位に対応する画像データをドラッグ&ドロップにより選択することを示している。X線パノラマ撮影やカメラ320により撮影された画像データについても同様の処理により選択することができる。
【0048】
図3に戻り、その後、歯科医師301は、歯科医院端末310に入力された問診データや、選択された画像データ、視診・触診の結果などに基づいて所見を入力する(S48)。
図6は、歯科医院端末310の検診結果取得部312により表示された所見を入力する際の画面の例について概要を示した図である。
図6(a)では、問診データに対する所見を入力する画面の例を示しており、
図6(b)では、選択した画像データに対する所見を入力する画面の例を示している。
【0049】
図3に戻り、歯科医師301による所見が入力されると、歯科医院端末310は、口腔内検診の結果として、問診データや所見を含む検診の結果データ、画像データなどを口腔内検診管理サーバ100に対して送信する(S49)。口腔内検診管理サーバ100では、検診結果管理部110により、歯科医院端末310から送信されたデータを検診データDB103および画像データDB104に記録し、さらに診断書作成部120により診断書データを自動作成して診断書データDB105に情報を記録するとともに、歯科医院300のカラープリンタ340(もしくはプリンタサーバ)に対して診断書データを送信し、診断書341を出力させる(S50)。歯科医師301は、患者302に対して診断書341を渡すとともに、その内容に基づいて結果説明やコンサルティングなどを行い(S51)、口腔内検診を終了する。
【0050】
図7、
図8は、口腔内検診管理サーバ100によって作成され、カラープリンタ340により印刷出力される診断書341の一部の例について概要を示した図である。ここでは、歯科医院300および歯科医師301の情報や、患者情報などに加えて、検診の結果として、選択した画像データや、これに対する歯科医師301による所見の情報などがテンプレートファイルに自動的に埋め込まれて出力される。諸々の数値データ(例えば、問診データから得られる生活習慣のスコアや、検診の結果得られる歯の状況の評価値など)から所定のロジックにより算出された評価数値(例えば、「歯年齢」や、口腔がんのリスク度など)を表示するようにしてもよい。
【0051】
<データ構成>
図9は、口腔内検診管理サーバ100の歯科医院マスタDB101のデータ構成の例について概要を示した図である。歯科医院マスタDB101は、口腔内検診管理システム1により提供される口腔内検診の支援・推進サービスに参加・提携している各歯科医院300についての情報を保持するマスタテーブルであり、例えば、医院ID、医院名称、医院名称カナ、都道府県、市区町村、ユーザID、パスワード、および権限などの各項目を有する。
【0052】
医院IDの項目は、各歯科医院300を一意に特定するためのID等の識別情報を保持する。医院名称および医院名称カナの項目は、対象の歯科医院300の名称に係る情報を保持する。都道府県および市区町村の項目は、対象の歯科医院300の所在地に係る情報を保持する。ユーザIDおよびパスワードの各項目は、対象の歯科医院300(の歯科医師301)に対して割り当てられたアカウントの情報を保持する。権限の項目は、上記のアカウントに対して設定されたアクセス権限や操作権限などの情報を保持する。これらの各情報は、例えば、各歯科医院300が口腔内検診の支援・推進サービスに参加・提携した際の申請情報などに基づいて設定される。
【0053】
図10は、口腔内検診管理サーバ100の患者マスタDB102のデータ構成の例について概要を示した図である。患者マスタDB102は、口腔内検診管理システム1により提供される口腔内検診の支援・推進サービスに参加・提携している歯科医院300にて口腔内検診を受診する(受診した)患者302の情報を保持するマスタテーブルであり、例えば、患者ID、患者氏名、患者氏名カナ、性別、生年月日、職業、自宅電話番号、および携帯電話番号などの各項目を有する。
【0054】
患者IDの項目は、各患者302を一意に特定するためのID等の識別情報を保持する。患者氏名および患者氏名カナの項目は、対象の患者302の氏名に係る情報を保持する。性別、生年月日および職業の各項目は、それぞれ、対象の患者302の性別、生年月日および職業の情報を保持する。自宅電話番号および携帯電話番号の各項目は、それぞれ、対象の患者302の連絡先としての自宅電話および携帯電話の番号の情報を保持する。これらの各情報は、例えば、各患者302が最初に問診票303を記入した際の内容に基づいて設定される。
【0055】
図11は、口腔内検診管理サーバ100の検診データDB103のデータ構成の例について概要を示した図である。検診データDB103は、口腔内検診に係るデータとして、問診データや検診の結果データ、歯科医師301による所見のデータなどを保持するテーブルであり、例えば、問診票No.、医院ID、患者ID、検診日時、問診データ、および所見データなどの各項目を有する。
【0056】
問診票No.の項目は、各口腔内検診を一意に特定するための識別情報として、検診の際に記入した問診票に付されている番号情報を保持する。各検診について個別にID等の識別情報を割り振るようにしてもよい。医院IDおよび患者IDの各項目は、それぞれ、対象の口腔内検診を実施した歯科医院300を特定するID情報、および受診した患者302を特定するID情報を保持する。これらのID情報は、上述した歯科医院マスタDB101および患者マスタDB102にそれぞれ定義されているものである。検診日時の項目は、対象の口腔内検診が実施された日時の情報を保持する。当該レコードを検診データDB103に記録する際の日時を便宜上対象の検診の実施日時としてもよい。
【0057】
問診データおよび所見データの各項目は、それぞれ、対象の口腔内検診における患者302が記入した問診票303の各項目の内容に係る情報、および口腔内検診の結果の各項目に対する歯科医師301による所見に係る情報を保持する。これらのデータの保持方法は特に限定されないが、問診票303や所見の複数の項目について、それぞれをまとめた形で1レコードとして保持してもよいし、各項目を別レコードとして保持してもよい。
【0058】
図12は、口腔内検診管理サーバ100の画像データDB104のデータ構成の例について概要を示した図である。画像データDB104は、口腔内検診においてカメラ320や蛍光可視装置330、X線パノラマ撮影などにより撮影された口腔の画像データを保持するテーブルであり、例えば、画像No.、医院ID、患者ID、撮影日時、画像種別、画像データ、および対応部位などの各項目を有する。
【0059】
画像No.の項目は、各画像データを一意に特定するための番号等の識別情報を保持する。医院IDおよび患者IDの各項目は、それぞれ、対象の画像データが取得された口腔内検診を実施した歯科医院300を特定するID情報、および受診した患者302を特定するID情報を保持する。これらのID情報は、上述した歯科医院マスタDB101および患者マスタDB102にそれぞれ定義されているものである。これらの項目に代えて、上述した検診データDB103の問診票No.の項目により、対象の画像データが取得された口腔内検診を特定するようにしてもよい。
【0060】
撮影日時の項目は、対象の画像データが取得された日時の情報を保持する。画像データおよび対応部位の各項目は、それぞれ、対象の画像データに係る情報、および対象の画像データが対応する部位の情報を保持する。画像種別の項目は、対象の画像データの種別、すなわち、撮影機器がカメラ320であるのか、蛍光可視装置330であるのか、X線透視撮影装置であるのか、などを識別するコード値等の情報を保持する。画像データの項目においては、データ自体を保持してもよいし、対象の画像データのファイルを特定するパスの情報を保持するようにしてもよい。対応部位の項目の値は、上述の
図5の例に示したような画面において歯科医師301により対象の画像データが選択された部位の情報が設定される。
【0061】
図13は、口腔内検診管理サーバ100の診断書データDB105のデータ構成の例について概要を示した図である。診断書データDB105は、診断書作成部120により作成された診断書データに係る情報を保持するテーブルであり、例えば、診断書No.、医院ID、患者ID、作成日時、診断書データおよび診断書結果データなどの各項目を有する。
【0062】
診断書No.の項目は、各診断書データを一意に特定するための番号等の識別情報を保持する。医院IDおよび患者IDの各項目は、それぞれ、対象の診断書データに係る口腔内検診を実施した歯科医院300を特定するID情報、および受診した患者302を特定するID情報を保持する。これらのID情報は、上述した歯科医院マスタDB101および患者マスタDB102にそれぞれ定義されているものである。これらの項目に代えて、上述した検診データDB103の問診票No.の項目により、対象の診断書データに係る口腔内検診を特定するようにしてもよい。
【0063】
作成日時の項目は、対象の診断書データが作成された日時の情報を保持する。診断書データの項目は、対象の診断書データに係る情報を保持する。データ自体を保持してもよいし、対象の診断書データのファイルを特定するパスの情報を保持するようにしてもよい。診断結果データの項目は、診断書作成部120において自動的に算出される評価値などの各項目およびその内容に係る情報を保持する。当該データの保持方法は特に限定されないが、診断書341における複数の項目について、それぞれをまとめた形で1レコードとして保持してもよいし、各項目を別レコードとして保持してもよい。
【0064】
なお、上述の
図9〜
図13で示した各テーブルのデータ構成(項目)はあくまで一例であり、同様のデータを保持・管理することが可能な構成であれば、他のテーブル構成やデータ構成であってもよい。
【0065】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である口腔内検診管理システム1によれば、ポータルサイトを介して国民に対して口腔がんの危険性を伝えて、定期的な口腔内検診の受診を推進するとともに、多数存在する歯科医院300において、視診・触診に加えて、蛍光可視装置330を用いた口腔がん検診を含む口腔内検診を容易に受けられるようにし、検査結果に基づくコンサルティングも行って次回の検診につなげることで、口腔内検診を恒常化させることが可能となる。
【0066】
そして、これにより、口腔がんの早期発見による死亡者数の低減を可能とするとともに、口腔内の問題を早期発見して、従来の保険診療と、自由診療である口腔内検診とによる歯科医院の収益向上も可能とする。また、国民に口腔ケアによる予防医療の意識を浸透させ、健康増進、ひいては国全体の医療費の削減につなげることも可能となる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。