【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例のリーフスプリング式サスペンション(以下、サスペンションという)10の一部を示す斜視図である。
図1に示すように、上記サスペンション10は、車両前後方向A1に複数枚(本実施例では3枚)の板ばね12a、12b、12cが重ねられた一対のリーフスプリング(車両用リーフスプリング)12を配設して後輪の車軸を懸架する方式の車軸懸架式サスペンションである。また、リーフスプリング12の両端部と図示しない車体側部材のサイドフレームとの間には、そのリーフスプリング12とそのサイドフレームとを連結する第1連結装置であるシャックル14と第2連結装置16とが備えられている。なお、上記サイドフレームを含む車体は、上記第1連結装置であるシャックル14および第2連結装置16を介してリーフスプリング12に懸架されている。また、
図1では、一対のリーフスプリング12の一方が省略されている。
【0012】
図2は、
図1のシャックル14のII-II視断面図であり、そのシャックル14の構造を説明する断面図である。
図2に示すように、上記シャックル14には、車両幅方向A2において互いに対向する長手平板状の第1長手状板部材(長手状板部材)18および第2長手状板部材(長手状板部材)20と、それら第1長手状板部材18と第2長手状板部材20の両端部をそれらの間が車両幅方向A2において所定距離離れた状態で締結する第1締結装置(締結装置)22および第2締結装置(締結装置)24とが備えられている。なお、第1長手状板部材18のリーフスプリング12側とは反対側の端部と第2長手状板部材20のリーフスプリング12側とは反対側の端部との間が車両幅方向A2において第1距離(所定距離)D1離れた状態で第1締結装置22により締結され、第1長手状板部材18のリーフスプリング12側の端部と第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部との間が車両幅方向A2において第1距離D1よりも短い第2距離(所定距離)D2離れた状態で第2締結装置24により締結されている。
【0013】
図2に示すように、上記第1締結装置22には、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側とは反対側の端部にそれぞれ貫通した第1貫通穴18a、20aに軸部26aが挿通された第1ボルト26と、その第1ボルト26の軸部26aの頭部26b側とは反対側の端部に螺合された第1ナット28と、第1長手状板部材18と第2長手状板部材20との間において第1ボルト26の軸部26aの外周側に配設された円筒状の第1スペーサ30とが備えられている。また、上記第2締結装置24には、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部にそれぞれ貫通した第2貫通穴18b、20bに軸部32aが挿通された第2ボルト32と、その第2ボルト32の軸部32aの頭部32b側とは反対側の端部に螺合された第2ナット34と、第1長手状板部材18と第2長手状板部材20との間において第2ボルト32の軸部32aの外周側に配設された円筒状の第2スペーサ36とが備えられている。
【0014】
このように構成された第1締結装置22および第2締結装置24によれば、第1ナット28および第2ナット34が締め付けられることによって、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の両端部が第1スペーサ30および第2スペーサ36の両端部に当接されるので、その第1長手状板部材18と第2長手状板部材20の間が所定距離離れた状態でそれら第1長手状板部材18と第2長手状板部材20とが締結される。
【0015】
また、
図2に示すように、シャックル14には、第1締結装置22の第1スペーサ30の外周側に配設された円筒状の第1円筒部材38と、その第1円筒部材38と第1スペーサ30との間に介在された例えば合成ゴム等の弾性振動吸収部材からなる第1振動吸収部40と、第2締結装置24の第2スペーサ36の外周側に配設された円筒状の第2円筒部材42と、その第2円筒部材42と第2スペーサ36との間に介在された例えば合成ゴム等の弾性振動吸収部材からなる第2振動吸収部44とが備えられている。
【0016】
シャックル14では、
図2に示すように、第1長手状板部材18と第2長手状板部材20との間において、第1締結装置22の第1円筒部材38に前記サイドフレームに取り付けられた取付部材(車体側部材)46が連結されると共に第2締結装置24の第2円筒部材42にリーフスプリング12の一端部が連結されている。なお、上記取付部材46は、その取付部材46に形成された嵌合穴46aに第1円筒部材38が第1ボルト26の第1軸心C1回りに相対回転可能に嵌め入れられることによって、第1円筒部材38すなわち第1締結装置22と連結されている。また、リーフスプリング12の最も長い板ばね12a(
図1参照)の両端部にはそれぞれの端部が環状に曲げられた環状曲部12dが形成されており、リーフスプリング12の一端部は、そのリーフスプリング12の環状曲部12dの中央部に形成された穴12eに第2円筒部材42が第2ボルト32の第2軸心C2回りに相対回転可能に嵌め入れられることによって、第2円筒部材42すなわち第2締結装置24と連結されている。
【0017】
また、
図2に示すように、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部には、それら第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の上記端部とは他の部分の厚みTより厚い肉厚部18c、20cがそれぞれプレース加工によって形成されている。なお、上記第1長手状板部材18および第2長手状板部材20に形成された肉厚部18c、20cは、サスペンション10の周辺等の振動(音)を低減させるために形成されたものである。また、上記第1長手状板部材18および第2長手状板部材20が使用された本実施例のシャックル14は、例えば
図6に示す溶接によって肉厚部100aが形成された長手状板部材100が使用されるシャックルや、例えば
図7および
図8に示す鋳造によって肉厚部102aが形成された長手状板部材102が使用されるシャックルと同様の、車両走行時のノイズおよび振動の低減効果を有している。また、上記車両走行時のノイズおよび振動の低減効果は、例えば試作車による実車走行評価等で確認されたものである。
【0018】
以上のように構成されたシャックル14によれば、車両走行中においてリーフスプリング12の板ばね12a、12b、12cが例えばたわんでその板ばね12a、12b、12cの長手方向の長さが変化すると、シャックル14が第1軸心C1回りにその板ばね12a、12b、12cの長さの変化に追従して回動する。
【0019】
ここでは、上記第1長手状板部材18および第2長手状板部材20に形成された肉厚部18c、20cがプレス加工によって形成される形成方法を
図3を用いて説明する。なお、上記第1長手状板部材18および第2長手状板部材20を製造するために使用される長手平板状の板材48は、
図3に示すように、その板材48の端部が曲げ加工によって曲げられる。
【0020】
上記板材48の端部が曲げられた曲部48aは、
図3に示すように、プレス加工機50によってプレス加工されて肉厚部48bに形成される。なお、上記板材48の肉厚部48bは、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の肉厚部18c、20cに相当するものである。
【0021】
上記プレス加工機50は、板材48の曲部48aを保持する第1保持金型52および第2保持金型54と、それら第1保持金型52と第2保持金型54とによって形成された肉厚部形成空間A内で矢印F1方向に移動して曲部48aを圧縮する圧縮金型(ポンチ)56とを備えている。このように構成されたプレス加工機50によれば、圧縮金型56が矢印F1方向に移動して板材48の曲部48aすなわち板材48の端部がその端部の面方向に圧縮されると、
図4に示すように板材48の曲部48aが肉厚部48bに変形させられる。
【0022】
上述のように、本実施例のリーフスプリング12のシャックル14によれば、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部には、それら第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の他の部分の厚みTより厚い肉厚部18c、20cが形成されており、その肉厚部18c、20cは、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部すなわち板材48の端部を、その端部の面方向に圧縮するプレス加工によって形成される。このため、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20に形成された肉厚部18c、20cが製造コストが比較的高い例えば溶接、鋳造によって形成されず製造コストが比較的安いプレス加工によって形成されるので、肉厚部18c、20cが形成された第1長手状板部材18および第2長手状板部材20を従来に比較して安価に製造することができる。
【0023】
続いて、本発明の他の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0024】
本実施例のリーフスプリング12のシャックルは、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の肉厚部18c、20cをプレス加工によって形成させる際において、実施例1では板材48の曲部48aがプレス加工機50によって肉厚部48bに変形させられたが、本実施例では長手平板状の板材58の端部58aを曲げずにその板材58の端部58aがプレス加工機60によって肉厚部58bに変形させられる点で相違しており、その他は前述の実施例1と略同様である。
【0025】
上記プレス加工機60は、
図5に示すように、板材58の端部58aを保持する第1保持金型62および第2保持金型64と、それら第1保持金型62と第2保持金型64とによって形成された肉厚部形成空間B内で矢印F2方向に移動して板材58の端部58aを圧縮する圧縮金型(ポンチ)66とを備えている。このように構成されたプレス加工機60によれば、圧縮金型66が矢印F2方向に移動して板材58の端部58aがその端部58aの面方向に圧縮されると、板材58の端部58aが肉厚部58bに変形させられる。なお、板材58の肉厚部58bは、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20の肉厚部18c、20cに相当するものである。
【0026】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0027】
例えば、本実施例において、第1長手状板部材18および第2長手状板部材20のリーフスプリング12側の端部には、それぞれ肉厚部18c、20cが形成されていたが、例えば第1長手状板部材18と第2長手状板部材20とのいずれか一方だけに肉厚部18c、20cが形成されても良い。
【0028】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。