特許第6453622号(P6453622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デクセリアルズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000002
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000003
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000004
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000005
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000006
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000007
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000008
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000009
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000010
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000011
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000012
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000013
  • 特許6453622-配線基板の製造方法、及び配線基板 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453622
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法、及び配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/20 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   H05K3/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-237191(P2014-237191)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-100490(P2016-100490A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 牧八
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮介
【審査官】 鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−067566(JP,A)
【文献】 特開2009−071037(JP,A)
【文献】 特開2008−066567(JP,A)
【文献】 特開2003−209339(JP,A)
【文献】 特開2006−165422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/20
H05K 3/10
H05K 3/12
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、
前記基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有する配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、
前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、20〜60mJ/cmであり、
前記低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜25mJ/cmである請求項1記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性塗布組成物が、銀を含有する請求項1又は2記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の化合物が、パーフルオロポリエーテル誘導体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、光硬化型のアクリル樹脂組成物であり、
前記第1の化合物が、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレートである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、
前記高表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備え
前記導体パターンが、前記高表面自由エネルギー領域上に形成され、
前記低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜25mJ/cmであり、
前記高表面自由エネルギー領域と前記低表面自由エネルギー領域とが、光学的に平滑である配線基板。
【請求項7】
前記高表面自由エネルギー領域と前記低表面自由エネルギー領域との段差が10nm未満である請求項6記載の配線基板。
【請求項8】
前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、20〜60mJ/cmである請求項6記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原版の表面自由エネルギー差を転写した基材上に導体パターンを形成する配線基板の製造方法、及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体、ディスプレイ、電子製品などにおける電子回路の微細パターンのほとんどは、フォトリソグラフィー技術を用いて作製されているが、フォトリソグラフィー技術では、安価な製品の製造に限界がある。しかも、大面積化を目指すエレクトロニクス製品の製造においては、フォトリソグラフィー技術を用いた作製方法では、製造コストを抑えることが困難である。
【0003】
このような現状を踏まえ、プリンティング(印刷)技術を活用し、電子回路、センサー、素子などを製造する、所謂「プリンテッド・エレクトロニクス」が検討されている。この方法は、化学物質の使用量の低減が期待でき、地球環境にやさしい製造プロセスとして注目されている。また、この方法の一部は、メンブレン・キーボードの電極印刷、自動車の窓ガラス熱線、RFID(Radio Frequency Identification)タグアンテナなどに既に応用されている。
【0004】
プリンテッド・エレクトロニクスでは、基材(印刷される側)の濡れ性をコントロールすることが重要である。濡れ性のコントロールは、表面自由エネルギーをコントロールすることで達成され、種々の方法が提案されている。その中で表面自由エネルギー差をパターンニングした基材の提案もなされている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の技術では、フォトマスクを介して電磁波を照射し、表面自由エネルギーが異なる少なくとも2つの領域から構成されるパターン化された基板を得ている。また、特許文献2に記載の技術では、アクリル樹脂系の感光性のある材料に、フッ素樹脂系、シリコーン樹脂系の表面移行性のある添加剤を添加したものを塗布し、乾燥、露光硬化し、表面が低臨界表面張力である層を形成している。しかしながら、特許文献1の基材は、フォトリソグラフィー法により作製するため、基材の作製方法が煩雑であり、特許文献2の基材は、表面が凹凸のため、その表面にインクを塗布しただけでは塗り分けが困難である。
【0006】
また、特許文献3に記載の技術では、マスクを介して放射線若しくは発生したオゾンで表面を改質し、表面自由エネルギー差によりパターンを形成している。また、特許文献4に記載の技術では、フレネルレンズの光の透過性の差で部分的に低表面自由エネルギー部分を露光により作成し、その後、未露光の部分を水中で露光することにより高表面自由エネルギー部分を形成している。また、そこに作成されたパターンにインクを塗布し、その後、不要のインクを剥ぎ取る事によりパターンを形成している。また、特許文献5に記載の技術では、フレネルレンズの光の透過性の差で部分的に低表面自由エネルギー部分を露光により作成し、その後、未露光の部分を水中で露光することにより高表面自由エネルギー部分を形成している。
【0007】
しかしながら、特許文献3の基材は、表面自由エネルギー差は形成されているものの、その表面自由エネルギー差は小さい。そのため、表面にインクを塗布した場合、完全な塗り分けができず、塗膜の膜厚の差ができるのみである。
【0008】
また、特許文献4の基材は、特許文献3と同様に、表面自由エネルギー差は形成されているものの、その表面にインクを塗布しただけでは塗り分けができず、インクを付着させたくない部分(低表面自由エネルギーの部分)からインクを剥ぎ取る工程が必要である。
【0009】
また、特許文献5においては、表面自由エネルギーのパターンに対して機能性インク層の転写によりパターンを形成するが、転写時に加熱、加圧を必要とし、余剰分を剥ぎ取るという工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−91380号公報
【特許文献2】特開2007−164070号公報
【特許文献3】特開2005−52686号公報
【特許文献4】特開2003−240916号公報
【特許文献5】特開2011−14829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、簡便に導体パターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び配線基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決するために、本発明に係る配線基板の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、前記基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有することを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る配線基板は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、前記高表面自由エネルギー領域上又は低表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備え、前記導体パターンが、前記高表面自由エネルギー領域上に形成され、前記低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜25mJ/cmであり、前記高表面自由エネルギー領域と前記低表面自由エネルギー領域とが、光学的に平滑であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面に表面自由エネルギー差のパターンを有する基材を用いることにより、導電性塗布組成物の塗布によって、簡便に導体パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、支持フィルム上に樹脂組成物を塗布する塗布工程の概略を示す断面図である。
図2図2は、樹脂組成物を、原版に接触させて硬化させる硬化工程の概略を示す断面図である。
図3図3は、パターンが転写された基材の一例を示す断面図である。
図4図4は、基材表面に導体パターンが形成された配線基板の一例を示す断面図である。
図5図5は、原版Aの概略を示す斜視図である。
図6図6は、原版Aのパターンを転写させる転写工程の概略を示す断面図である。
図7図7は、実施例1において基材A上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。
図8図8は、実施例1において基材A上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
図9図9は、実施例1において基材B上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
図10図10は、実施例1において基材C上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
図11図11は、実施例2において基材A上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
図12図12は、実施例2において基材B上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
図13図13は、実施例2において基材C上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.配線基板の製造方法
2.配線基板
3.実施例
【0017】
<1.配線基板の製造方法>
本発明の一実施の形態に係る配線基板の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有する。
【0018】
[転写工程]
転写工程では、先ず、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を調製する。樹脂組成物としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、これら中でも、硬化反応が速い光硬化型のアクリル樹脂組成物が好適に用いられる。以下では、第1の化合物と、第2の化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化型のアクリル樹脂組成物を例に挙げて説明する。
【0019】
第1の化合物は、低い表面自由エネルギーを発現させる、所謂「ブロッキング防止剤」、「スリッピング剤」、「レベリング剤」、「防汚剤」などの表面調整剤を用いることが可能であり、フッ素樹脂系化合物、又はシリコーン樹脂系化合物が好ましく用いられる。フッ素樹脂系化合物としては、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられ、シリコーン樹脂系化合物としては、ポリジメチルシロキサン含有(メタ)アクリレート、ポリアルキルシロキサン含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性などの観点から、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「KY−1203」(信越化学工業(株))などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステル(アクリレート)とメタクリル酸エステル(メタクリレート)とを包含する意味である。
【0020】
第1の化合物の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると表面自由エネルギー差のパターンが得られず、多すぎると表面自由エネルギー差が小さくなる傾向があるため、好ましくは、第2の化合物100質量部に対し0.01質量部以上30質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。
【0021】
第2の化合物は、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる化合物であればよく、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリアルキレングリコールエステル単量体、直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ポリアルキレングリコールエステル単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、架橋性、表面硬度などの点から、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「AE−400」(日油(株))などが挙げられる。
【0023】
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAEO変性ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
3官能以上の(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリストリールトリ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレート、EO変性ペンタエリストリールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(−2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)(メタ)アクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリア(メタ)クリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、架橋性、表面硬度などの点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレートを好ましく使用することができる。ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「TMM−3」(新中村化学(株))などが挙げられ、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレートの市販品としては、例えば商品名「OTA−480」(ダイセル・オルネクス(株))などが挙げられる。
【0025】
第2の化合物は、単官能(メタ)アクリレートと、2官能以上の(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。また、第2の化合物100質量部中の2官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、少なすぎると反応性、架橋性などが低下する傾向にあるため、好ましくは60質量部以上、より好ましくは80質量部以上である。
【0026】
光重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−アミノアルキルフェノンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
光重合開始剤の市場で入手可能な具体例としては、α−ヒドロキシアルキルフェノンとして、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン(株))、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)1173、BASFジャパン(株))、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)2959、BASFジャパン(株))、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン(株))などが挙げられる。また、ベンジルジメチルケタールとして、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)651、BASFジャパン(株))などが挙げられる。また、α−アミノアルキルフェノンとして、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)907、BASFジャパン(株))、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア(IRGACURE)369、BASFジャパン(株))などが挙げられる。これらの中でも、円滑な光硬化を実現する観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン(株))を用いることが好ましい。
【0028】
光重合開始剤の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると硬度性能の低下による密着性の低下や硬度不足が生ずる傾向があり、多すぎると重合の不具合による密着性などの特性が低下する傾向があるので、好ましくは、第2の化合物100質量部に対し0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは1質量部以上5質量部以下である。
【0029】
また、樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、溶剤、レベリング剤、色相調整剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、各種熱可塑性樹脂材料などの添加剤を含有することができる。
【0030】
図1は、支持フィルム上に樹脂組成物を塗布する塗布工程の概略を示す断面図である。塗布には、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーターなどを用いることができる。
【0031】
支持フィルム11としては、特に制限されず、PET(Polyethylene terephthalate)、ガラス、ポリイミドなどを用いることができる。また、透明材料又は不透明材料のいずれも用いることができるが、紫外線を透過する透明材料用いることにより、支持フィルム11側から紫外線照射を行うことができる。
【0032】
樹脂組成物12は、前述のように、第1の化合物と、第2の化合物と、光重合開始剤とを含有し、第1の化合物が表面に存在している。なお、図1中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
【0033】
次に、転写工程では、樹脂組成物12を、原版20に接触させて硬化させ、原版20の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る。
【0034】
図2は、樹脂組成物を、原版に接触させて硬化させる硬化工程の概略を示す断面図である。この硬化工程では、樹脂組成物12を表面自由エネルギー差によるパターンが形成された原版20に接触させて硬化させ、支持フィルム11上に原版20のパターンが転写された硬化樹脂層を形成する。
【0035】
原版20は、表面に高表面自由エネルギー領域21と、低表面自由エネルギー領域22とを有する。高表面自由エネルギー領域21は、例えば、シリコン、アルミニウム、銅などの金属、ガラス、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどを含む金属酸化物などの領域であり、低表面自由エネルギー領域22は、例えばフッ素コーティング、シリコーンコーティングなどの低表面自由エネルギーコーティング膜、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどの領域である。また、原版20の材料は、フッ素コーティングなどが容易なガラスであることが好ましい。また、原版20の表面は、平滑であることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、原版20を樹脂組成物12に接触させた場合、原版20と樹脂組成物12との界面状態は、下記(1)式のΔγが小さくなろうとするため、樹脂組成物12表面の第1の化合物は、原版20の低表面自由エネルギー領域21に移動し、第2の化合物は、高表面自由エネルギー領域22に移動する。なお、図2中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
【0037】
Δγ=γ−γ (1)
上記(1)式中、γは原版20表面の表面自由エネルギーであり、γは樹脂組成物12表面の表面自由エネルギーである。
【0038】
原版20を樹脂組成物12に接触させた状態で樹脂組成物12を硬化させることにより、支持フィルム11上に原版20のパターンが転写された硬化樹脂層からなる基材13を得ることができる。樹脂組成物12の硬化方法は、樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、熱、紫外線などのエネルギー線照射を用いることができる。
【0039】
図3は、パターンが転写された基材の一例を示す断面図である。なお、図3中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
【0040】
基材13は、硬化樹脂層の表面に高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとのパターンを有する。基材13は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物が硬化したものであり、表面に高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとを有する。また、高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとは、光学的に平滑面であり、両者の段差は、数10nm未満であることが好ましい。
【0041】
また、高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとの表面自由エネルギーの差は、10mJ/m以上であることが好ましく、20mJ/m以上であることがより好ましい。より具体的には、高表面自由エネルギー領域aの表面自由エネルギーは20〜60mJ/cm、及び低表面自由エネルギー領域bの表面自由エネルギーは10〜25mJ/cmであることが好ましい。これにより、高表面自由エネルギー領域a又は低表面自由エネルギー領域bに導電性塗布組成物を選択的に塗布することができる。
【0042】
[導体パターン形成工程]
導体パターン形成工程では、基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する。導体パターンは、高表面自由エネルギー部分又は低表面自由エネルギー部分に選択的に形成される。
【0043】
導電性塗布組成物の塗布方法としては、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレー塗布、スキージ法などが挙げられ、これらの中でも、装置が簡便なディップコートを用いることが好ましい。
【0044】
導電性塗布組成物は、基材表面の高表面自由エネルギー領域又は低表面自由エネルギー領域に選択的に塗布され、乾燥、加熱、焼成などにより、導体パターンとなる。導電性塗布組成物としては、溶媒に粒径が1〜100nmの金属粒子が高濃度に分散された導電性インク、金属インクなどと呼ばれるものが挙げられる。金属粒子としては、銀、金、銅、ニッケル、パラジウムなどの導電性金属が挙げられ、これらの中でも、高い導電性を示す銀を用いることが好ましい。また、導電性塗布組成物は、有機化合物(配位子)を含有し、配位子の分散力によって、金属粒子を溶液中に溶解させることが好ましい。また、溶媒としては、配位子の溶解性の観点から、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒を使用し、導電性塗布組成物が、親水性を示すことが好ましい。導電性塗布組成物の市販品としては、例えば商品名「TEC−PR−010」(InkTec(株))、「TEC−IJ−010」(InkTec(株))、「ドライキュアAg」(コロイダル・インク(株))などが挙げられる。
【0045】
このように導体パターン形成工程では、表面に表面自由エネルギー差のパターンを有する基材を用いることにより、導電性塗布組成物の塗布によって、選択的に塗り分けが行われ、簡便にファインピッチかつ寸法安定性に優れた配線パターンを描画することができる。
【0046】
また、導体パターン形成工程では、フォトマスクを用いて露光する工程、フォトレジスト工程などの複雑な工程はなく、また、導電性塗布組成物の余剰分を剥ぎ取る工程なども必要としない。このため、必要量の導電性塗布組成物で導体パターンを得ることができる。
【0047】
<2.配線基板>
本発明の一実施の形態に係る配線基板は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、高表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備える。
【0048】
図4は、基材表面に導体パターンが形成された配線基板の一例を示す断面図である。図4に示すように、配線基板は、支持フィルム11上に、表面に低表面自由エネルギー領域と高表面自由エネルギー領域とを有する基材13と、高表面自由エネルギー領域に形成された導電パターン14とを備える。なお、図4中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。また、支持フィルム11及び基材13は、図1〜3に示す支持フィルム11及び基材13と同様のため、ここでは説明を省略する。
【0049】
導体パターンは、前述した導電性塗布組成物が乾燥、加熱、焼成などにより、基材13表面の高表面自由エネルギー領域に固着されたものである。
【0050】
また、導体パターンは、高表面自由エネルギー領域上に形成され、導体パターンが形成されていない低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜25mJ/cmであることが好ましい。これにより、導電性塗布組成物が配線間に留まることが無くなり、配線間ショートが発生するのを防ぐことができる。よって、本実施の形態に係る配線基板は、電子回路パターンなどのエレクトロニクス分野において、非常に有用である。
【実施例】
【0051】
<4.実施例>
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本実施例では、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を作製し、基材のパターン転写面に親水性の導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成した。そして、導体パターンを光学顕微鏡、及びAFM(Atomic Force Microscope)により観察した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
顕微鏡、及びAFM(Atomic Force Microscope)は、次の装置を使用した。
顕微鏡:VHX−1000(株式会社キーエンス製)
AFM:SPA400(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
【0053】
また、原版の作製、及び基材の作製は、次のように行った。
【0054】
[原版の作製]
先ず、10cm×10cmのガラス基板にネガ型フォトレジスト(商品名:OFPR−800LB、東京応化工業社製)をスピンコート法により塗布し、110℃、90秒ホットプレート上で乾燥させた。フォトレジストがコーティングされた基板と、下記パターンがパターニングされたフォトマスクA〜Cを配置し、露光機A(マスクアライナー MA−20、ミカサ(株))で露光した。
【0055】
フォトマスクA:5μmのライン&スペース
フォトマスクB:5μmのドットピッチ
フォトマスクC:0.5μmのライン&スペース
【0056】
露光後、この基板を2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に1分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬し、室温で乾燥し、現像を行った。現像された基板を純水、洗浄液(Novec7300、3M(株))の順番で洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(DURASURFDS5200、HARVES(株))を液滴滴下にて塗布した。一晩放置後、洗浄液(Novec7300、3M(株))にて洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(DURASURFDS5200、HARVES(株))を液滴滴下にて塗布した。さらに一晩放置後、洗浄液(Novec7300、3M(株))にて洗浄し、室温で乾燥した。この基板を剥離液に5分間浸漬し、残ったレジスト膜を取り除き、アセトン、洗浄液(Novec7300、3M(株))順で洗浄した。これにより、ガラス基板上に高表面自由エネルギー領域と低表面自由エネルギー領域とがパターンニングされた(部分的にフッ素コーティングされた)原版A〜Cを得た。
【0057】
図5は、原版Aの概略を示す斜視図である。図5に示すように、原版A30は、低表面自由エネルギー領域31と高表面自由エネルギー領域32とがフォトマスクAの5μmのライン&スペース(以下、5μmL&Sと記す。)でパターニングされていた。また、原版Bは、高表面自由エネルギー領域がフォトマスクBの5μmのドットピッチ(以下、5μmdotと記す。)でパターニングされていた。また、原版Cは、高表面自由エネルギー領域がフォトマスクCの0.5μmのライン&スペース(以下、0.5μmL&Sと記す。)でパターニングされていた。
【0058】
[基材の作製]
TMM−3Lを80質量部、OTA−480を15質量部、AE−400を5質量部、KY−1203を1質量部、イルガキュア184を3質量部添加し、樹脂組成物を調製した。
【0059】
TMM−3L(新中村化学工業(株)):ペンタエリスリトールトリアクリレート
OTA−480(ダイセル・オルネクス(株)):プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレート
AE−400(日油(株)):ポリエチレングリコールモノアクリレート #400
KY−1203(信越化学工業(株)):パーフルオロポリエーテル含有アクリレート
イルガキュア184(BASF(株)):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0060】
図6は、原版Aのパターンを転写させる転写工程の概略を示す断面図である。図6に示すように、PETフィルム41上に樹脂組成物42をバーコーター(wet膜厚8μm相当)で塗布し、これをパターニング原版30に密着させ、露光機B(アライメント露光装置、東芝ライテック(株))を用いてPET面より露光硬化させた。このときの照射量は、6J/cmであった。硬化樹脂層表面より原版A〜Cを剥離し、PETフィルム上に原版A〜Cの表面自由エネルギーが転写された基材A〜Cを得た。
【0061】
また、全面がフッ素コーティングされていない原版Dと、全面がフッ素コーティングされた原版Eとを用いて、原版Aの5μmL&Sが転写された基材A、原版Bの5μmdotが転写された基材B、及び原版Cの0.5μmL&Sが転写された基材Cの高表面自由エネルギー領域、及び低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーについて、評価した。
【0062】
10cm×10cmのガラス基板を純水、洗浄液(Novec7300、3M(株))の順番で洗浄し、原版Dを得た。そして、原版Dを用いて、前述の樹脂組成物を露光硬化させ、全面が高表面自由エネルギー領域である基材Dを得た。
【0063】
また、10cm×10cmのガラス基板を純水、洗浄液(Novec7300、3M(株))の順番で洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(DURASURF DS5200、HARVES(株))を液滴滴下にて塗布した。一晩放置後、洗浄液(Novec7300、3M(株))にて洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(DURASURF DS5200、HARVES(株))を液滴滴下にて塗布した。さらに一晩放置後、洗浄液(Novec7300、3M(株))にて洗浄し、室温で乾燥した。この基板を、アセトン、洗浄液(Novec7300、3M(株))順で洗浄した。これにより、全面がフッ素コーティングされた原版Eを得た。そして、原版Eを用いて、前述の樹脂組成物を露光硬化させ、全面が低表面自由エネルギー領域である基材Eを得た。
【0064】
基材D及び基材Eの表面自由エネルギーを接触角計(DM−701、協和界面科学(株))を用いて、ケルブル・ウー法により算出した。その結果、基材Dの表面自由エネルギーは51.3mJ/cm、及び基材Eの表面自由エネルギーは16.7mJ/cmであった。
【0065】
<実施例1>
導電性塗布組成物として、InkTec(株)の商品名「TEC−PR−010」(金属:Ag、金属含量:10%、粘度:100−800Pa・S、外観:無色透明)を使用した。導電性塗布組成物をサンプル瓶に充填し、基材A〜Cをディップし、1cm/minのスピードで垂直に引き上げた。引き上げ後、120℃で5分間、ホットプレート上で乾燥した。この操作を5回繰り返し、基材A〜Cに導体パターンを形成した。
【0066】
図7は、基材A上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像であり、図8は、基材A上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図7及び図8より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、5μmのAg配線が形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約20nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【0067】
図9は、基材B上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図9より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、5μmのAg配線がドット状に形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約20nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【0068】
図10は、基材C上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図10より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、0.5μmのAg配線が形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約10nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【0069】
<実施例2>
導電性塗布組成物として、InkTec(株)の商品名「TEC−IJ−010」(金属:Ag、金属含量:15%、表面張力:30−32mN/m、粘度:9−15Pa・S、外観:淡黄色透明)を使用した。これ以外は、実施例1と同様に、基材A〜Cに導体パターンを形成した。
【0070】
図11は、基材A上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図11より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、5μmのAg配線が形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約30nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【0071】
図12は、基材B上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図12より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、5μmのAg配線がドット状に形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約30nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【0072】
図13は、基材C上に形成された導体パターンのAFMによる観察画像である。図13より、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布され、0.5μmのAg配線が形成されていることが確認できた。Ag配線の高さは、約10nmであった。また、低表面自由エネルギー部分には導電性塗布組成物が付着していないこと確認ができた。
【符号の説明】
【0073】
11 支持フィルム、12 樹脂組成物、13 基材、14 導体パターン、20 原版、21 低表面自由エネルギー領域、22 高表面自由エネルギー領域、30 ガラス基板、31 低表面自由エネルギー領域、32 高表面自由エネルギー領域、41 PETフィルム、42 樹脂組成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13