(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453704
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】回転対称本体を位置決め及び位置合わせするためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 3/40 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
G01N3/40 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-94626(P2015-94626)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-212697(P2015-212697A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】10 2014 106 242.6
(32)【優先日】2014年5月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ティーレ,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ボース,パウル
【審査官】
西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−033545(JP,U)
【文献】
特許第4034683(JP,B2)
【文献】
特開2003−337093(JP,A)
【文献】
米国特許第04635471(US,A)
【文献】
国際公開第2014/007660(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00−3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転対称本体(28)を、前記回転対称本体(28)の測定を実施するための測定デバイス(19)に対して位置決め及び位置合わせするためのデバイスであって、
スピゴット(23)上に接触表面(22)を有するか又は前記接触表面(22)に組み込まれた基部要素(24)を備え、
前記接触表面(22)上では、前記測定を実施できるように前記回転対称本体(28)が支持される、デバイスにおいて、
前記デバイスは:
前記接触表面(22)に対して可動である、プリズム型レシーバ(64)を備える位置決め要素(41)が前記基部要素(24)上に設けられ、
前記接触表面(22)は、前記プリズム型レシーバ(64)内に位置決めされるか、又は前記プリズム型レシーバ(64)に当接し、
前記位置決め要素(41)の、前記基部要素(24)への運動経路は、少なくとも前記プリズム型レシーバ(64)の高さに対応する
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記位置決め要素(41)の前記プリズム型レシーバ(64)は貫通孔(43)を有し、
前記貫通孔(43)内には前記スピゴット(23)が延在し、
前記基部要素(24)上の前記スピゴット(23)の長手方向軸が、前記プリズム型レシーバ(64)の互いに対に配置されている表面(66)と表面の交差する部分又は前記プリズム型レシーバ(64)の互いに対に配置されている複数の区画部分よりなる表面(67)と表面の交差する部分内に位置する
ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記位置決め要素(41)は、前記基部要素(24)方向への運動中に、前記プリズム型レシーバ(64)の貫通孔(43)を通して前記スピゴット(23)へと案内されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記位置決め要素(41)は、前記基部要素(24)方向への運動中に、クリアランスが存在しない状態で、前記貫通孔(43)を通して前記スピゴット(23)へと案内されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記位置決め要素(41)は、サスペンション軸受(48)によって、前記基部要素(24)に対する初期位置(58)に位置決めされ、
前記基部要素(24)内では、前記スピゴット(23)の前記接触表面(22)は、前記プリズム型レシーバ(64)の外側に位置決めされるか、又は前記プリズム型レシーバ(64)に当接する
ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記サスペンション軸受(48)は、前記位置決め要素(41)の孔(50)の肩部(51)に当接して前記基部要素(24)の方向に延在するフランジブッシュ(52)と、前記基部要素(24)の孔(54)の肩部に当接して前記フランジブッシュ(52)に接続された締結要素とを備え、
前記位置決め要素(41)と前記基部要素(24)との間には、好ましくは前記フランジブッシュ(52)に対して同軸に、少なくとも1つの圧縮ばね(56)要素が配設される
ことを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プリズム型レシーバ(64)は、互いに対に配置されている2つの平坦な表面(66)によって、若しくは互いに対に配置されている2つの凸状に湾曲した表面(66)によって、又は互いに対に配置されたいくつかのストリップ形状よりなる表面(67)によって、形成されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記基部要素(24)及び前記位置決め要素(41)それぞれに貫通孔(34、59)が設けられ、
前記貫通孔(34、59)は、互いに対して一致するように配設されており、また前記測定デバイス(19)上への好ましくは着脱可能な固定のための固定手段(38)を受承するために設けられる
ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記基部要素(24)は、前記測定デバイス(19)上への固定のための固定手段(38)を受承するための少なくとも1つの貫通孔(35)を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記基部要素(24)は、前記測定デバイス(19)上への着脱可能な固定のための前記固定手段(38)を受承するための少なくとも1つの前記貫通孔(35)を有することを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスの使用方法であって、
前記デバイスを、回転対称本体(28)を位置決めするために、硬度測定デバイス(11)のハウジング(18)上に配設して使用する方法。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスの使用方法であって、
前記デバイスを、回転対称本体(28)を、好ましくは集束したX線蛍光ビームの測定平面内に位置決めするために、携帯用X線蛍光測定デバイス(75)のハウジング(18)上に設けて使用する方法。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスの使用方法であって、
前記デバイスを、回転対称本体(28)上の薄層の厚さの接触式測定のための測定プローブ(21)のハウジング(18)上に配設して使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転対称本体を、上記本体の測定を実施するための測定プローブに対して位置決め及び位置合わせするためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシャフト等の回転対称本体を受承するために、測定プリズムの使用が知られており、これを用いて、その上に支持された回転対称本体の位置を固定する。このような測定プリズムは2つの表面を有し、これら2つの表面は互いに対して特定の角度で位置合わせされ、V字型になるように互いに対して取り付けられており、これにより例えばシャフト等の回転対称本体は上記2つの表面それぞれに、上記2つの表面それぞれが接線となるような状態で当接する。実際には、このような測定プリズムにより、回転対称本体の位置を測定プリズムに対して固定できるものの、測定デバイスに対する回転対称本体の正確な位置決めはこの方法では不可能である。特に、回転対称本体上の測定点は、この回転対称本体の直径に応じて変化する。
【0003】
例えばラッカー層、電気メッキ層、硬質材料層、ポリマー若しくは非コーティングシート材料層等といった回転対称本体上の表面の硬度測定中には、例えば「FISCHERSCOPE HM2000 S」等の硬度測定デバイスを使用する。このような硬度測定デバイスは、測定デバイスの一部として圧子が配設される測定用ハウジングを有するスタンドを備える。この圧子は、スピゴットの接触表面内に配設される。この接触表面に平坦な材料を適用し、上記スタンドの押圧用部品を用いて上記接触表面を押圧して、測定を実施する。従って圧子は所定の力を印加され、本体に貫入する。回転対称本体の場合、この本体を接触表面上に支持することはできるものの、高いレベルの繰り返し精度で圧子に対して正確に位置合わせすることはできず、これにより圧子はシェル表面の最高点又は最低点において貫入し、測定に誤差が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、回転対称本体を測定デバイスに対して位置決め及び位置合わせするためのデバイスを作製することであり、このデバイスは上記回転対称本体を、直径の違いに左右されることなく、測定デバイスに対して確実かつ正確に位置決め及び位置合わせできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、回転対称本体を位置決め及び位置合わせするためのデバイスによって達成され、このデバイスは、接触表面を有する基部要素を備え、上記接触表面上には、接触表面に対して可動である、プリズム型レシーバを備える位置決め要素が設けられる。接触表面を有するスピゴットがプリズム型レシーバ内に位置決めされるか、又はこのプリズム型レシーバに当接し、基部要素上のスピゴットの接触表面に対する位置決め要素の運動経路は、少なくともプリズム型レシーバの高さに対応する。その結果、このプリズム型レシーバによって回転対称本体を位置決め要素に対して所定の位置に固定でき、ここで位置決め要素は接触表面に対して、定められた移動を行うことができ、これにより、回転対称本体は、位置決め要素と基部要素との間の運動経路や回転対称本体の直径に左右されることなく、接触表面に当接し、同時にプリズム型レシーバによって所定の位置に固定される。このようにして、回転対称本体のサイズ又は直径に左右されることなく、不変の測定点又は不変の測定平面が測定デバイスに提供され、またこれと同時に、プリズム型レシーバによって、測定平面又は接触表面に対する回転対称本体の位置合わせが提供される。従って測定を、回転対称本体上に対して上記最低点又は最高点において行うことができ、また繰り返し精度により、高いレベルの測定品質を提供できる。
【0006】
このデバイスでは好ましくは、位置決め要素のプリズム型レシーバは貫通孔を備え、この貫通孔内にはスピゴットが延在し、このスピゴットの長手方向軸は基部要素上において、プリズム型レシーバの互いに対して組み込まれた上記表面間又は上記表面の一部間の交差部分内に位置する。従って、回転対称本体の軸が上記スピゴットの軸と交差するだけでなく、回転対称本体の直径に左右されることなく、接触表面に対して不変の測定点が得られる。
【0007】
本デバイスの更なる好ましい実施形態では、位置決め要素は、基部要素に対する又は基部要素上への運動中に、基部要素上のスピゴットに沿った貫通孔を通して案内される。これにより、簡潔かつ小型の構成が可能となる。基部要素のスピゴットと位置決め要素の貫通孔との間の案内にはクリアランスがないことが好ましい。あるいは又は更に、位置決め要素と基部要素との間に、ガイドとして機能する別個のピンを導入し、これにより位置決め要素を、基部要素に比較的固定して挿入されたピンとすることができる。この構成は交換可能でもある。
【0008】
位置決め要素は好ましくは、基部要素に対する初期位置においてサスペンション軸受によって保持され、この基部要素内において、スピゴットの接触表面はプリズム型レシーバの外側にあるか又はこれに当接している。このようにして本デバイスは、常に使用できる状態とすることができ、また測定の実施後は初期位置に戻り、位置決め要素は回転対称本体によって基部要素上に戻される。測定デバイスがスピゴット内にある場合、このスピゴットは同時に、内部に配設された測定デバイスの測定プローブ又はプローブ先端の保護の役割も果たす。
【0009】
サスペンション軸受は特に、位置決め要素の肩部に当接して基部要素の方向に延在するフランジブッシュと、基部要素の肩部に当接してフランジブッシュに接続された締結要素とを備え、位置決め要素と基部要素との間には圧縮ばね要素が設けられる。このようにして、事前に決定された好ましくは調整可能な位置決め要素と基部要素との間のストロークを有する、構造的に簡素な構造を作製できる。同時に、フランジブッシュにより、基部要素に対する位置決め要素の案内又は更なる案内を得ることができる。好ましくは圧縮ばね要素は、フランジブッシュを同時に案内できるよう、フランジブッシュに対して同軸に配設される。
【0010】
位置決め要素上のプリズム型レシーバは、互いに対してある角度を有するよう配設された2つの平坦な表面によって、又は互いに対して組み込まれたいくつかのストリップ形状の表面の一部分によって、又は互いに対して配設された2つの凸状に湾曲した表面によって、形成できる。実施形態によらず、回転対称本体は、上記表面又は表面の一部分それぞれに、これらが接線となるような状態で当接し、プリズム型レシーバに対して中央に位置決めされる。
【0011】
更なる有利な実施形態では、基部要素及び位置決め要素それぞれに貫通孔が設けられ、これら貫通孔は互いに対して一致するように位置合わせされており、測定デバイス上への好ましくは着脱可能な固定のための固定手段を受承するために設けられる。これにより、本デバイスを測定デバイス上に交換可能に配設できるようになる。アップグレードも可能である。またこれにより、測定作業又は検査対象の本体の幾何学的形状に応じて、対応する受承デバイスを使用して、検査対象の本体を測定デバイス上に位置決め及び位置合わせできるようになる。
【0012】
更に基部要素は、測定デバイスへの好ましくは着脱可能な固定のための、少なくとも1つの固定用孔を有することができる。アクセシビリティに応じて、このデバイスの固定は下から、即ち基部要素に対して直接行うことも、又は上から、即ち位置決め要素の上側において行うこともできる。
【0013】
このデバイスを硬度測定デバイスにおいて使用する場合、好ましくは測定デバイスの測定プローブを、基部要素のスピゴットの貫通孔内に配設できる。例えばこれは圧子であってよい。従ってこの測定プローブは、その長手方向軸がスピゴットの長手方向軸内となるように配設され、これにより、接触表面に対して及びプリズム型レシーバの2つのV字型表面又は表面の一部分の交差部分に対して不変の測定点が維持される。
【0014】
これより、本発明並びに本発明の更なる有利な実施形態及び発展形態について、図面に示した実施例を利用して更に詳細に記載及び説明する。以下の記載及び図面から明らかとなる特徴は、個別に、又は本発明によるいずれの組み合わせで共に、適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来技術による硬度測定デバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明によるデバイスを有する、
図1による硬度測定デバイスの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明によるデバイスの分解立体図である。
【
図6】
図6は、
図4の線VI−VIに沿った概略断面図である。
【
図7】
図7は、直径が異なる複数の回転対称本体を有する、
図3によるデバイスの概略側面図である。
【
図8】
図8は、プリズム型レシーバの代替実施形態の概略断面図である。
【
図9a】
図9aは、本発明によるデバイスの
図2に対する代替実施形態の概略断面図である。
【
図9b】
図9bは、
図9aの実施形態による、部分断面図を含む更なる概略側面図である。
【
図10a】
図10aは、本発明によるデバイスの
図2に対する更なる代替実施形態の概略側面図である。
【
図10b】
図10bは、本発明によるデバイスの
図2に対する更なる代替実施形態の概略側面図である。
【
図10c】
図10cは、本発明によるデバイスの
図2に対する更なる代替実施形態の概略底面斜視図である。
【
図10d】
図10dは、本発明によるデバイスの
図2に対する更なる代替実施形態の概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、硬度測定デバイス11を斜視図で示しており、この硬度測定デバイス11は「FISCHERSCOPE HM2000 S」という名称で販売されているものである。この硬度測定デバイス11は、ソケット14と、下方へ移動させることができる押圧用部品15とを有する測定スタンド12を備え、上記測定スタンド12は、操作レバー16を用いて下方へ移動させることができる。測定デバイス19を有するハウジング18はソケット上14に配設され、そこから測定プローブ21又はその先端が確認できる。この測定プローブ21は、基部要素24のスピゴット23上の接触表面によって取り囲まれており、基部要素24はハウジング18に着脱可能に固定されている。測定プローブ21は、平坦な測定対象を接触表面22上に載置し、押圧用部品15を用いて測定対象を接触表面22に対して所定の力で下向きに保持した後、検査すべき対象の表面へと押し付けられる圧子である。これは、更に詳細には図示されていない、ハウジング18内の測定デバイス19の力生成によって行われる。貫入深さは、これもまた図示されていない測定デバイス19の変位測定システムによって決定され、この貫入深さから、圧子の貫入部分の幾何学的形状との関連で、更に詳細には図示されていないデータ処理デバイスを用いて相対硬度値が決定される。この相対硬度値から、更なる材料のサイズを決定して出力できる。
【0017】
図2は、回転対称本体28(
図4を参照)の測定のために、測定デバイス19の測定プローブ21に対して回転対称本体28を位置決め及び位置合わせするための本発明によるデバイス30が設けられた、
図1による硬度測定デバイス11を示す。これより、本発明によるこのデバイス30について、
図3〜6においてより詳細に記載する。
【0018】
図3は、デバイス30の分解立体図を示す。この図から、本発明によるこのデバイス30の個々の構成部品が明らかとなる。
図4は上面図を示し、
図5、6はそれぞれ、
図4によるデバイス30の断面図を示す。
【0019】
このデバイス30は基部要素24を備え、この基部要素24は例えば回転対称部分、特にフライス加工部分又は回転部分として形成できる。これは、スピゴット23が突出するように配設されたディスク状基部本体33を備え、その前面には接触表面22が形成される。このスピゴット23は固定された状態で、好ましくは基部要素24の長手方向中心軸34内に設けられる。貫通孔35はスピゴット23内において上記長手方向中心軸34に沿って延在し、上記貫通孔35は例えば段差付きの形態で形成できる。測定プローブ21をこの貫通孔35内に配設及び/又は固定できる。基部要素24は更に、固定用ねじ38を挿入できる貫通孔37を有し、これによりデバイス30を、例えば測定デバイス19のハウジング18上に、これら固定用ねじ38によって固定できる。有利には、固定用ねじ38が貫通孔37から抜け落ちないよう、各固定用ねじ38上にOリング39を設ける。
【0020】
位置決め要素41を基部要素24に組み込む。この位置決め要素41は有利には、ディスク状基部本体42を有する。好ましくは、基部要素24に対して位置決め要素41を位置決めするために中央貫通孔43を設け、上記貫通孔はスピゴット23を取り囲み、有利には貫通孔43とスピゴット23との間に嵌合を提供することにより、位置決め要素41を中央に、特に基部要素24に対してクリアランスを有さないように設置する。あるいは又は更に、更なる案内要素を設けることができる。単純な形態では、対応する孔に設置され、かつ上記孔内へと案内される位置合わせピンを、基部要素24又は位置決め要素41に設けることができる。貫通孔43は好ましくは、位置決め要素41の長手方向中心軸44に対して中央に配設される。
【0021】
位置決め要素41は、基部要素24の外周を取り囲む、基部要素24の方向を向いた環状カラー46を有する。従って、位置決め要素41の更なる傾斜角自在案内が可能となり、位置決め要素41を基部要素24に対して移動させることができる。位置決め要素41は基部要素24に対して、サスペンション軸受48によって位置決めされる。フランジブッシュ52は位置決め要素41の孔50と肩部51上で係合し、上記フランジブッシュ52は基部要素24の方向に延在する。孔50と位置合わせされた更なる孔54を基部要素24に設け、この孔54には固定手段、特に固定用ねじ55を挿入でき、固定用ねじ55はフランジブッシュ52と係合する。基部要素24と位置決め要素41との間に圧縮ねじ56が設けられ、この圧縮ねじ56は、位置決め要素41を基部要素24に対して初期位置58に位置決めする。圧縮ねじ56は好ましくはフランジブッシュ52に対して同軸に配設される。好ましくは、フランジブッシュ52の頭部60上にキャップ61を設け、フランジブッシュ52の動作によって固定用ねじ55とのねじ接続が解放されてしまうのを防止する。
【0022】
位置決め要素41は更に、第1の例示的実施形態に従って互いに対して組み込まれた2つの表面66で形成された、プリズム型レシーバ64を備える。これら表面66は例えば凸状に湾曲している。あるいはこれら表面66を平坦に形成できる。2つの表面66が交差する線は、貫通孔35の長手方向中心軸34又は貫通孔43の長手方向中心軸44と交差し、ここで長手方向中心軸34及び長手方向中心軸44は互いの中に位置し、好ましくは基部要素24及び位置決め要素41の長手方向中心軸を形成する。
【0023】
レシーバ64を備える位置決め要素41は、基部要素24上の接触表面22に対して、プリズム型レシーバ64の表面66との交差点又はレシーバ64の外側に上記接触表面22があるような初期位置58に位置決めされる。従って接触表面22は、不変の測定表面として保護される。これは、必要に応じて基部要素24の貫通孔35に挿入される測定デバイスの測定プローブ21に関しても当てはまる。
【0024】
図7は、異なる断面サイズを有するものとして形成された2つの回転対称本体28を有するデバイス30の概略側面図を示し、これにより、測定プローブ21のための不変の測定点が、一方では接触表面22により、回転対称本体28の断面又は直径に左右されることなく
また他方では位置決め要素41を用いて、プリズム型レシーバ64の組み込みに左右されることなく、スピゴット23に設けられていることを実証している。回転対称本体28のサイズ又は直径の違いにより、初期位置58から基部要素24の方向の位置決め要素41の運動経路のみが変化する。しかしながらいずれの場合にも、回転対称本体28は接触表面28に当接しており、同時にプリズム型レシーバ64内の所定の位置に固定されたままである。このようにして、回転対称本体28の頂点において測定を実施できる。
【0025】
図8は、プリズム型レシーバ64の代替実施形態を示す。互いに対して組み込まれた表面66は例えば、それぞれ互いから偏向する角度で隣り合った列状に配設された複数のストリップ状の表面部分67で形成される。このようにして、回転対称本体28の正確な位置合わせも可能とすることができる。
【0026】
図9aは、本発明によるデバイス30の代替実施形態の概略側面図を示す。
図9bはこのデバイス30の部分断面図を含む更なる概略側面図を示し、
図9cは
図9bの部分断面図の概略拡大図である。
図9a、9bに概略的に図示された測定デバイス19は、ハウジング18上に設けられた測定プローブ21を備え、このハウジング18は測定プローブ21を案内するためのハンドル71を有する。測定プローブ21は、ハンドル71よりも直径が大きいプローブ頭部72を有する。例えばプローブ頭部72に少なくとも1つのコイルが設けられ、これにより、磁気誘導式、磁気式の方法又は渦電流式の方法による層厚さ測定を実施できる。ホールセンサを設けてもよい。デバイス30の基部要素24はプローブ頭部72上に固定される。プローブ頭部72は、この実施形態ではディスク状となるように形成される。基部要素24は、プローブ頭部72の外周を取り囲みプローブ頭部72の外周上にクランプ留めできる環状クランプ留め要素73上に固定される。基部要素24は更に、スピゴット23の代わりに少なくとも1つの案内要素76を備え、この案内要素76は、上述の実施形態によるスピゴット23と同様の機能を有する。位置決め要素41は、案内要素76に沿って移動できるように受承される。これにより、基部要素24と位置決め要素41との間に配設された案内要素76を、矩形又は蟻溝形状等となるように設けることができ、これによって位置決め要素41を、測定プローブ21の接触表面22に対して上下に移動させることができ、また並進移動させることができる。基部要素24に対して位置決め要素41を移動させることができる構成は、上述の実施形態と同様である。位置決め要素41は平坦となるように形成され、下側前面にプリズム型レシーバ64を有する。
【0027】
位置決め要素41を基部要素24に対して移動できるようにサスペンション軸受によって受承するために、固定用ねじ55をレシーバ64のV字型凹部内に設ける。2つの対向する位置決め要素41は好ましくは、共に互いに対して平行かつ接触表面22に対して垂直にも移動できるよう、クランプ留め用ねじ等の締結要素74によって互いに対して位置決め及び固定される。例えば輸送管、輸送路(コーティングあり、コーティングなし)又は送水線等の回転対称本体28上に測定プローブ21が接触すると、上記回転対称本体28の外周上でレシーバ64によって測定プローブ21の位置決めが行われ、測定プローブ21を回転対称本体28の方向に下方へと押圧することにより、これに従って接触表面22が回転対称本体28の外周との接続のために移動し、不変の測定位置が得られる。位置決め要素41をプローブ頭部72に対して平行に案内しなければならず、又は位置決め要素41を測定プローブ21の接触表面22に対して垂直に位置合わせしなければならない。
【0028】
図10a〜10dは、本発明によるデバイス30の更なる代替使用形態を示す。
図10a、10bはそれぞれ、例えば携帯用デバイス又はハンドヘルドデバイスとして形成されたX線蛍光測定デバイス75の概略側面図を示す。X線蛍光測定デバイス75のハウジング18内に、一次ビーム放出のための放射源と、測定表面が放出した二次ビームの検出のための検出器と(これらはより詳細には図示されない)が設けられる。更にX線蛍光測定デバイス75は、検出した二次ビームに関する評価デバイスを備える。
【0029】
図10cは、X線蛍光測定デバイス75の下面を示し、この図は一次ビームが出る出力開口77を示しており、測定表面において放出された二次ビームはハウジング18に再び入ることができる。この出力開口77は接触表面22に取り囲まれている。このX線蛍光測定デバイス75の正確な位置決めのために、本発明による少なくとも1つデバイス30は、出力開口77に隣接して設けられ、
図10cの例示的実施形態によると、デバイス30は各接触表面24に対してその両側に配設される。
【0030】
このデバイス30は例えば、
図10dにおいて明らかであるように接触フレーム81上に設置できるか、又はこの接触フレーム81を、X線蛍光測定デバイス75のハウジング18上に着脱可能に設けることができる。
【0031】
この実施形態では、接触表面22をプリズム型レシーバ64に当接させて、又は位置決め要素41の外側に配設することが考えられ、ここで接触表面22の位置又は高さは、
図3〜6の例示的実施形態によるプリズム型支持体64に対応する。あるいは又は更に、デバイス30は、スピゴット23上に接触表面22を備えることもでき、スピゴット23上における接触表面22及びX線蛍光測定デバイス75の測定平面の位置は、互いに対して位置合わせされ、隣接している。
【0032】
更に、出力開口77から離間した位置に、更なるデバイス30を補助極としてハウジング上に設けることができ、これにより、X線蛍光測定デバイス75のハウジング18はその全長に亘って、回転対称本体28に対して位置合わせされる。
【符号の説明】
【0033】
11 硬度測定デバイス
18 ハウジング
19 測定デバイス
21 測定プローブ
22 接触表面
23 スピゴット
24 基部要素
28 回転対称本体
34 貫通孔
35 貫通孔
38 固定手段
41 位置決め要素
43 貫通孔
48 サスペンション軸受
50 孔
51 孔50の肩部
52 フランジブッシュ
54 孔
56 圧縮ばね
58 初期位置
59 貫通孔
64 プリズム型レシーバ
66 表面
67 表面の一部分
75 X線蛍光測定デバイス