【実施例】
【0014】
実施例1
特開2014−91068号公報の実施例2と同様にして、
図1に示す装置を使用して、医療用精製水(人工透析用水)の製造運転を実施した。
各装置の仕様は次の通りである。
【0015】
活性炭装置3:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製ジュラコールMAC750SH
RO装置5:RO膜モジュール;ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製SV08−GP−DRA耐熱型
EDI装置9:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製XL−500−S耐熱型
RO水タンク6:SUS316、250L
EDI水タンク10:SUS316、250L
UF装置7:UF膜モジュール;ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製FS10FC−FUST653
RO水タンク電気ヒーター6a:20kw
ラインヒーター4:10kw
熱交換器8:70000kcal
RO水製造水量:1000L/hr
【0016】
図1の装置を用いて医療用精製水の製造運転を実施した後で停止し、殺菌および冷却運転を行った。
RO水タンクヒーター6aの加熱とラインヒーター4の加熱を開始するとともに、第1循環ラインと第3循環ラインの二つの循環ラインによる循環運転を並行して実施した。
ヒーター6aとラインヒーター4による加温は、第3循環ラインのROモジュール出口の昇温速度が0.5〜2.5℃/分となるように制御しながら、20〜30℃のRO水タンク10内の水が80℃〜85℃の熱水になるまで約60分間かけて加温した。
その後、80〜85℃の熱水温度を保持しながら循環運転を30分間継続して、熱殺菌運転を実施した。
【0017】
熱水殺菌運転の終了後に、引き続き冷却運転を実施した。
冷却運転を行うため、RO水タンクヒーター6aの加熱及びラインヒーター4の加熱を停止し、次いで開閉弁73を開けて、ライン24を通して熱交換器8に冷却媒体として原水を供給した。
第1循環ラインと第3循環ラインの二つの循環ラインは、殺菌運転の場合と同様に並行して循環運転を継続した。
熱交換器8による冷却は、第2循環ラインのROモジュール出口の降温速度が1.0〜3.0℃/分となるように制御しながら、80〜85℃の熱水が20℃〜30℃になるまで約30分間かけて冷却した。
【0018】
上記の殺菌運転及び冷却運転を週に1回の頻度で実施しながら、精製水の製造運転を行った。
熱水殺菌を一度実施した後に精製水の製造運転を継続し、次の熱水殺菌を実施する前に原水(水道水)、RO膜モジュールの透過水およびEDI処理脱塩水をサンプリングして、それらのDNA濃度を測定した。
【0019】
<オリゴDNAの測定方法>
(試薬)
下記の試薬1〜4を備えたオリグリーン試薬キット(Quant-iT(Invitrogen社)を使用した。
試薬1:Quant iT OliGreen ssDNA Reagent (Component A) solution in DMSO
試薬2:20X TE (Component B)
試薬3:Oligonucleotide standard (Component C)
試薬4:DEPC-Treated Double-Distilled Water (Maxim Biotech)
【0020】
(検量線の作成)
(1)試薬2と試薬4からTEバッファーを調製した。
(2)試薬4とTEバッファーを用いて,200 ng/mL オリゴDNA溶液を調製した。
(3)200 ng/mL オリゴDNA溶液とTEバッファーを用いて,検量線用の各種濃度のオリゴDNA溶液を調製した。
(4)試薬1とTEバッファーを用いて,Quant-iT OliGreen ssDNA(蛍光発色液)溶液を調製した。
(5)蛍光分析装置のマイクロプレートの各スロットに検量線用の各種濃度のオリゴDNAを各100μL投入した。
蛍光分析装置は、蛍光マイクロプレートリーダーSPECTRA MAX GEMINI XPS(モレキュラーデバイスジャパン(株)製)を使用した。
(6)マイクロプレートの各スロットにQuant-iT OliGreen ssDNA(蛍光発色液)溶液を100μL投入した。
(7)各スロットの最終的な検量線用オリゴDNA溶液は、表1に示した濃度になった。
(8)マイクロプレートを3分間遮光静置した。
(9)マイクロプレートを蛍光分析装置に導入し、Excitation:520nm,Emission:520nmの条件で各スロットの蛍光分析を行った。
(10)分析結果から作成された検量線を
図2に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
図2の横軸はオリゴDNA濃度(ng/ml)を示し、縦軸の蛍光強度は、蛍光分析装置蛍光マイクロプレートリーダーを使用して測定した値である(測定誤差は±0.2%)。
複数の検量線作成用試料液のオリゴDNA濃度と蛍光強度は、直線を示しており、検量線として信頼できるものである。
定量測定可能範囲は、1.25ng/ml<オリゴDNA濃度<100ng/mlの範囲である。
【0023】
(サンプル水のオリゴDAN濃度測定)
(1)各サンプル水1gを微量遠心濃縮機(PV-1200 和研薬(株)製)にセットし,2000rpmにて3時間減圧濃縮した。
各サンプル水の濃縮倍率は、次のとおりであった。
原水(水道水):12.2倍
RO膜モジュールの透過水:12.1倍
EDI処理脱塩水:8.9倍
(2)検量線用の各種濃度のオリゴDNA溶液の代わりに濃縮したサンプル水を使用する以外は、検量線の作成と同じ方法(同じ測定タイミング)で、蛍光分析を行った。
(3)分析結果と濃縮倍率から,各サンプル水中のオリゴDNA濃度を算出した。
結果を表2に示す。
なお、サンプル水の約10倍の濃縮操作をすることで、定量測定の下限界値は、0.125ng/mlと判断できる。
【0024】
【表2】
【0025】
表2から明らかなとおり、EDI装置の出口(人工透析用水となるEDI処理水を採取できる)のサンプル水はオリゴDNA濃度が低く、人工透析用水を人工透析液の製造用として供給するという判断をすることができる。
また、オリゴDNA濃度が高い場合には、人工透析用水の製造を中断して、EDI水タンク内のEDI処理水を再処理したり、製造フロー内を殺菌処理したりするという判断ができるようになる。