特許第6453732号(P6453732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453732
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/037 20060101AFI20190107BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20190107BHJP
   H03K 3/3562 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   H03K3/037 B
   G01R31/28 V
   H03K3/3562
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-179388(P2015-179388)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-55332(P2017-55332A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】前野 宗昭
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−177060(JP,A)
【文献】 特開2001−305180(JP,A)
【文献】 特開2011−040826(JP,A)
【文献】 特開平09−203767(JP,A)
【文献】 特開2007−170822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/037
G01R 31/28
H03K 3/3562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力回路、第1ラッチ、第2ラッチ、および第1出力回路を備える第1フリップフロップと、
第2入力回路、第3ラッチ、第4ラッチ、および第2出力回路を備える第2フリップフロップと、
前記第1フリップフロップおよび前記第2フリップフロップに共通のクロック信号を出力するクロックバッファと、
を具備し、
前記第2ラッチは、第1トランスファーゲートと、前記第1トランスファーゲートの出力に接続された入力を有する第1インバータと、前記第1インバータの出力に接続された入力を有する第2インバータと、前記第2インバータの出力に接続された入力および前記第1インバータの入力に接続された出力を有する第2トランスファーゲートとを備え、
前記第2入力回路は、第1クロックドインバータと、前記第1クロックドインバータの出力に接続された出力を有する第2クロックドインバータとを備え、
前記第1インバータと前記第2インバータとの間の接続ノードである第1出力端子は前記第1出力回路の入力端子に接続され、前記第2インバータと前記第2トランスファーゲートとの間の接続ノードである第2出力端子は前記第2入力回路の前記第2クロックドインバータの入力に直接接続される半導体集積回路。
【請求項2】
前記第2ラッチの前記第2出力端子と前記第1出力回路の出力端子とは、同位相の信号を出力する請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1ラッチおよび前記第3ラッチはマスターラッチであり、前記第2ラッチおよび前記第4ラッチはスレーブラッチである請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、マルチビットフリップフロップが用いられている。マルチビットフリップフロップは複数のフリップフロップを有し、これら複数のフリップフロップで1つのクロックバッファを共有している。これにより、マルチビットフリップフロップでは、クロックバッファの数を減らし、回路面積の低減および消費電力の削減を図ることができる。
【0003】
一方、半導体集積回路のテスト手法(故障解析)として、スキャンテスト手法が用いられる。スキャンテストでは、マルチビットフリップフロップにおける複数のフリップフロップがパラレルタイプまたはシリアルタイプのスキャンチェーンとして電気的に接続される。
【0004】
パラレルタイプでは、マルチビットフリップフロップ内の各ビットのフリップフロップのスキャン入力端子にスキャンテストデータ信号が入力され、各ビットのフリップフロップのスキャン出力端子にスキャンテストデータ信号が出力される。すなわち、各ビットのフリップフロップのスキャン出力端子から出力されるスキャンテストデータ信号を用いて、スキャンテストが実行される。
【0005】
シリアルタイプでは、スキャンテストデータ信号がマルチビットフリップフロップ内の1ビット目(1段目)のフリップフロップのスキャン入力端子に入力されてスキャン出力端子から出力されると、そのスキャンテストデータ信号は2ビット目のフリップフロップのスキャン入力端子に入力される。さらに、スキャンテストデータ信号が2ビット目のフリップフロップのスキャン出力端子から出力されると、スキャンテストデータ信号は3ビット目のフリップフロップのスキャン入力端子に入力される。そして、同様に、最終ビット目のフリップフロップのスキャン入力端子にスキャンテストデータ信号が入力され、スキャン出力端子から出力される。この最終ビット目のフリップフロップのスキャン出力端子から出力されるスキャンテストデータ信号を用いて、スキャンテストが実行される。
【0006】
シリアルタイプにおけるスキャンテストの場合、マルチビットフリップフロップ内のフリップフロップのスキャン出力端子には、ロジック回路または長い配線等が電気的に接続されるため、負荷容量等の影響が生じる。この場合、フリップフロップのスキャン出力端子からのスキャンテストデータ信号は、波形が変化して、次のフリップフロップのスキャン入力端子に入力される。その結果、スキャンテストの信頼性が劣化する問題が生じてしまう。
【0007】
また、上記負荷容量の影響を抑制するためには新たなバッファ回路等が必要になる。この場合、回路面積増大といった問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−043108号公報
【特許文献2】特開2001−141785号公報
【特許文献3】特開2011−055224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スキャンテストの信頼性の向上を図り、かつ回路面積の増大を防ぐ半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態による半導体集積回路は、第1入力回路、第1ラッチ、第2ラッチ、および第1出力回路を備える第1フリップフロップと、第2入力回路、第3ラッチ、第4ラッチ、および第2出力回路を備える第2フリップフロップと、前記第1フリップフロップおよび前記第2フリップフロップに共通のクロック信号を出力するクロックバッファと、を具備する。前記第2ラッチは、第1トランスファーゲートと、前記第1トランスファーゲートの出力に接続された入力を有する第1インバータと、前記第1インバータの出力に接続された入力を有する第2インバータと、前記第2インバータの出力に接続された入力および前記第1インバータの入力に接続された出力を有する第2トランスファーゲートとを備え、前記第2入力回路は、第1クロックドインバータと、前記第1クロックドインバータの出力に接続された出力を有する第2クロックドインバータとを備える。前記第1インバータと前記第2インバータとの間の接続ノードである第1出力端子は前記第1出力回路の入力端子に接続され、前記第2インバータと前記第2トランスファーゲートとの間の接続ノードである第2出力端子は前記第2入力回路の前記第2クロックドインバータの入力に直接接続される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る半導体集積回路を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図。
図3】第2実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図。
図4】第3実施形態に係る半導体集積回路を示すブロック図。
図5】第3実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図。
図6】第1比較例に係る半導体集積回路を示すブロック図。
図7】第2比較例に係る半導体集積回路を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態を以下に図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一の参照符号を付す。
【0013】
<第1実施形態>
以下に図1および図2を用いて、第1実施形態に係る半導体集積回路について説明する。
【0014】
第1実施形態では、マルチビットフリップフロップにおいて、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13が第1出力端子および第2出力端子を有する。第1出力端子は出力回路14を介して通常出力端子Qに電気的に接続される一方、第2出力端子はスキャン出力端子SOとなる。すなわち、通常出力端子Qとスキャン出力端子SOとが兼用されない。これにより、スキャンテストの信頼性を図ることができ、回路面積は増大しない。以下に、第1実施形態について詳説する。
【0015】
(第1実施形態における構成例)
まず、第1実施形態に係る半導体集積回路の構成例について説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る半導体集積回路を示すブロック図である。ここでは、第1フリップフロップ10および第2フリップフロップ20からなる2段のマルチビットフリップフロップを示している。
【0017】
なお、以下の説明において、特に限定しない限り、「接続」は直接接続される場合だけではなく、間に任意の素子を介して接続される場合も含まれる。
【0018】
図1に示すように、半導体集積回路は、第1フリップフロップ10、第2フリップフロップ20、クロックバッファ30、およびテストイネーブルバッファ40を備える。
【0019】
第1フリップフロップ10は、入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14を備える。
【0020】
入力回路11は、第1入力端子(通常入力端子D)、第2入力端子(スキャン入力端子SI)、および出力端子を有する。第1入力端子には通常動作時に通常データ信号D1が入力され、第2入力端子にはスキャンテスト動作時にスキャンテストデータ信号TI1が入力される。入力回路11は、テストイネーブルバッファ40からのテストイネーブル信号TEおよびテストイネーブル反転信号NTEに従って、通常データ信号D1およびスキャンテストデータ信号TI1のいずれかの入力を選択して出力する。
【0021】
マスターラッチ12は、入力端子、および出力端子を有する。マスターラッチ12の入力端子は、入力回路11の出力端子に電気的に接続される。マスターラッチ12は、クロックバッファ30からのクロック信号Cおよびクロック反転信号CNに従って、入力回路11の出力を取り込む、または取り込んだデータを保持する。そして、マスターラッチ12は、出力端子に取り込んだデータを出力する。
【0022】
スレーブラッチ13は、入力端子、第1出力端子、および第2出力端子(スキャン出力端子SO)を有する。スレーブラッチ13の入力端子は、マスターラッチ12の出力端子に電気的に接続される。スレーブラッチ13は、クロックバッファ30からのクロック信号Cおよびクロック反転信号CNに従って、マスターラッチ12の出力を取り込む、または取り込んだデータを保持する。そして、スレーブラッチ13は、第1出力端子および第2出力端子に取り込んだデータを出力する。
【0023】
出力回路14は、入力端子、および出力端子(通常出力端子Q)を有する。出力回路14の入力端子は、スレーブラッチ13の第1出力端子に電気的に接続される。出力回路14は、スレーブラッチ13からの信号に基づく出力信号Q1を外部(例えば、図示せぬロジック回路)に出力する。
【0024】
第2フリップフロップ20は、入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24を備える。
【0025】
入力回路21は、第1入力端子(通常入力端子D)、第2入力端子(スキャン入力端子SI)、および出力端子を有する。入力回路21の第2入力端子は、スレーブラッチ13の第2出力端子に電気的に直接接続される。すなわち、入力回路21の第2入力端子とスレーブラッチ13の第2出力端子との間にロジック回路等は存在しない。入力回路21の第1入力端子には通常動作時に通常データ信号D2が入力され、第2入力端子にはスキャンテスト動作時にスキャンテストデータ信号TI2が入力される。スキャンテストデータ信号TI2は、スレーブラッチ13の第2出力端子の出力信号と同位相の信号である。入力回路21は、テストイネーブルバッファ40からのテストイネーブル信号TEおよびテストイネーブル反転信号NTEに従って、通常データ信号D2およびスキャンテストデータ信号TI2のいずれかの入力を選択して出力する。
【0026】
マスターラッチ22は、入力端子、および出力端子を有する。マスターラッチ22の入力端子は、入力回路21の出力端子に電気的に接続される。マスターラッチ22は、クロックバッファ30からのクロック信号Cおよびクロック反転信号CNに従って、入力回路21の出力を取り込む、または取り込んだ値を保持する。そして、マスターラッチ22は、出力端子に取り込んだ値を出力する。
【0027】
スレーブラッチ23は、入力端子、および出力端子を有する。スレーブラッチ23の入力端子は、マスターラッチ22の出力端子に電気的に接続される。スレーブラッチ23は、クロックバッファ30からのクロック信号Cおよびクロック反転信号CNに従って、マスターラッチ22の出力を取り込む、または取り込んだ値を保持する。そして、スレーブラッチ23は、出力端子に取り込んだ値を出力する。
【0028】
出力回路24は、入力端子、および出力端子(兼用された通常出力端子Qおよびスキャン出力端子SO)を有する。出力回路24の入力端子は、スレーブラッチ23の第1出力端子に電気的に接続される。出力回路24は、スレーブラッチ13からの信号に基づく出力信号Q2を外部(例えば、図示せぬロジック回路)に出力する。
【0029】
クロックバッファ30は、クロック信号Cおよびクロック反転信号CNを第1フリップフロップ10および第2フリップフロップ20に共通に出力する。
【0030】
テストイネーブルバッファ40は、テストイネーブル信号TEおよびテストイネーブル反転信号NTEを第1フリップフロップ10および第2フリップフロップ20に共通に出力する。
【0031】
図2は、第1実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図であり、図1に示す第1フリップフロップ10(入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14)、第2フリップフロップ20(入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24)、クロックバッファ30、およびテストイネーブルバッファ40をより詳細に示す図である。
【0032】
図2に示すように、第1フリップフロップ10における入力回路11は、クロックドインバータ11A,11Bを有する。
【0033】
クロックドインバータ11Aの入力は入力回路11の第1入力端子(通常入力端子D)であり、出力は入力回路11の出力端子である。また、クロックドインバータ11Bの入力は入力回路11の第2入力端子(スキャン入力端子SI)であり、出力はクロックドインバータ11Aの出力と同様に入力回路11の出力端子である。
【0034】
より具体的には、クロックドインバータ11Aは、PMOSトランジスタP2,P3およびNMOSトランジスタN2,N3を有する。また、クロックドインバータ11Bは、PMOSトランジスタP4,P5およびNMOSトランジスタN4,N5を有する。
【0035】
PMOSトランジスタP2の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP2の他端はPMOSトランジスタP3の一端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP3の他端はNMOSトランジスタN3の一端に電気的に接続され、NMOSトランジスタN3の他端はNMOSトランジスタN2の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN2の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP2およびNMOSトランジスタN2のゲートは、クロックドインバータ11Aの入力であり、通常データ信号D1が入力される。PMOSトランジスタP3のゲートにはテストイネーブル信号TEが入力され、NMOSトランジスタN3のゲートにはテストイネーブル反転信号NTEが入力される。PMOSトランジスタP3の他端およびNMOSトランジスタN3の一端は、クロックドインバータ11Aの出力である。
【0036】
PMOSトランジスタP4の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP4の他端はPMOSトランジスタP5の一端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP5の他端はNMOSトランジスタN5の一端に電気的に接続され、NMOSトランジスタN5の他端はNMOSトランジスタN4の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN4の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP4およびNMOSトランジスタN4のゲートは、クロックドインバータ11Bの入力であり、スキャンテストデータ信号TI1が入力される。PMOSトランジスタP5のゲートにはテストイネーブル反転信号NTEが入力され、NMOSトランジスタN5のゲートにはテストイネーブル信号TEが入力される。PMOSトランジスタP5の他端およびNMOSトランジスタN5の一端は、クロックドインバータ11Bの出力である。
【0037】
第1フリップフロップ10におけるマスターラッチ12は、トランスファーゲート12A、インバータ12B、およびクロックドインバータ12Cを有する。
【0038】
トランスファーゲート12Aの入力は、マスターラッチ12の入力端子であり、入力回路11の出力端子に電気的に接続される。また、トランスファーゲート12Aの出力は、インバータ12Bの入力に電気的に接続される。また、インバータ12Bの出力は、マスターラッチ12の出力端子であるとともに、クロックドインバータ12Cの入力に電気的に接続される。クロックドインバータ12Cの出力は、インバータ12Bの入力に電気的に接続される。すなわち、クロックドインバータ12Cは、フィードバック回路である。
【0039】
より具体的には、トランスファーゲート12Aは、PMOSトランジスタP8およびNMOSトランジスタN8を有する。また、インバータ12Bは、PMOSトランジスタP11およびNMOSトランジスタN11を有する。また、クロックドインバータ12Cは、PMOSトランジスタP9,P10およびNMOSトランジスタN9,N10を有する。
【0040】
PMOSトランジスタP8の一端はNMOSトランジスタN8の一端に電気的に接続され、PMOSトランジスタP8の他端はNMOSトランジスタN8の他端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP8の一端およびNMOSトランジスタN8の一端はトランスファーゲート12Aの入力であり、PMOSトランジスタP8の他端およびNMOSトランジスタN8の他端はトランスファーゲート12Aの出力である。PMOSトランジスタP8のゲートにはクロック信号Cが入力され、NMOSトランジスタN8のゲートにはクロック反転信号CNが入力される。
【0041】
PMOSトランジスタP11の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP11の他端はNMOSトランジスタN11の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN11の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP11およびNMOSトランジスタN11のゲートはインバータ12Bの入力であり、PMOSトランジスタP11の他端およびNMOSトランジスタN11の一端はインバータ12Bの出力である。
【0042】
PMOSトランジスタP9の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP9の他端はPMOSトランジスタP10の一端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP10の他端はNMOSトランジスタN10の一端に電気的に接続され、NMOSトランジスタN10の他端はNMOSトランジスタN9の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN9の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP9およびNMOSトランジスタN9のゲートは、クロックドインバータ12Cの入力である。PMOSトランジスタP10のゲートにはクロック反転信号CNが入力され、NMOSトランジスタN10のゲートにはクロック信号Cが入力される。PMOSトランジスタP10の他端およびNMOSトランジスタN10の一端は、クロックドインバータ12Cの出力である。
【0043】
第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13は、トランスファーゲート13A、インバータ13B、トランスファーゲート13C、およびインバータ13Dを有する。
【0044】
トランスファーゲート13Aの入力は、スレーブラッチ13の入力端子であり、マスターラッチ12の出力端子に電気的に接続される。また、トランスファーゲート13Aの出力は、インバータ13Bの入力に電気的に接続される。また、インバータ13Bの出力は、スレーブラッチ13の第1出力端子であるとともに、インバータ13Dの入力に電気的に接続される。インバータ13Dの出力は、スレーブラッチ13の第2出力端子(スキャン出力端子SO)であるとともに、トランスファーゲート13Cの入力に電気的に接続される。言い換えると、インバータ13Dとトランスファーゲート13Cとの接続端子がスキャン出力端子SOである。トランスファーゲート13Cの出力は、インバータ13Bの入力に電気的に接続される。すなわち、トランスファーゲート13Cおよびインバータ13Dは、フィードバック回路である。
【0045】
より具体的には、トランスファーゲート13Aは、PMOSトランジスタP12およびNMOSトランジスタN12を有する。また、インバータ13Bは、PMOSトランジスタP15およびNMOSトランジスタN15を有する。また、トランスファーゲート13Cは、PMOSトランジスタP13およびNMOSトランジスタN13を有する。また、インバータ13Dは、PMOSトランジスタP14およびNMOSトランジスタN14を有する。
【0046】
PMOSトランジスタP12の一端はNMOSトランジスタN12の一端に電気的に接続され、PMOSトランジスタP12の他端はNMOSトランジスタN12の他端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP12の一端およびNMOSトランジスタN12の一端はトランスファーゲート13Aの入力であり、PMOSトランジスタP12の他端およびNMOSトランジスタN12の他端はトランスファーゲート13Aの出力である。PMOSトランジスタP12のゲートにはクロック反転信号CNが入力され、NMOSトランジスタN12のゲートにはクロック信号Cが入力される。
【0047】
PMOSトランジスタP15の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP15の他端はNMOSトランジスタN15の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN15の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP15およびNMOSトランジスタN15のゲートはインバータ13Bの入力であり、PMOSトランジスタP15の他端およびNMOSトランジスタN15の一端はインバータ13Bの出力である。
【0048】
PMOSトランジスタP14の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP14の他端はNMOSトランジスタN14の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN14の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP14およびNMOSトランジスタN14のゲートはインバータ13Dの入力であり、PMOSトランジスタP14の他端およびNMOSトランジスタN14の一端はインバータ13Dの出力である。
【0049】
PMOSトランジスタP13の一端はNMOSトランジスタN13の一端に電気的に接続され、PMOSトランジスタP13の他端はNMOSトランジスタN13の他端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP13の一端およびNMOSトランジスタN13の一端はトランスファーゲート13Cの入力であり、PMOSトランジスタP13の他端およびNMOSトランジスタN13の他端はトランスファーゲート13Cの出力である。PMOSトランジスタP13のゲートにはクロック信号Cが入力され、NMOSトランジスタN13のゲートにはクロック反転信号CNが入力される。
【0050】
第1フリップフロップ10における出力回路14は、インバータ14Aを有する。
【0051】
インバータ14Aの入力は、出力回路14の入力端子であり、スレーブラッチ13の第1出力端子に電気的に接続される。また、インバータ14Aの出力は、出力回路14の出力端子(通常出力端子Q)である。
【0052】
より具体的には、インバータ14Aは、PMOSトランジスタP16およびNMOSトランジスタN16を有する。
【0053】
PMOSトランジスタP16の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP16の他端はNMOSトランジスタN16の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN16の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP16およびNMOSトランジスタN16のゲートはインバータ14Aの入力であり、PMOSトランジスタP16の他端およびNMOSトランジスタN16の一端はインバータ14Aの出力である。
【0054】
第2フリップフロップ20における入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24のそれぞれは、第1フリップフロップ10における入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14のそれぞれと同様の構造を有する。
【0055】
より具体的には、第2フリップフロップ20における入力回路21は、クロックドインバータ21A,21Bを有する。クロックドインバータ21Bの入力は、入力回路21の入力端子であり、スレーブラッチ13のスキャン出力端子SOに電気的に直接接続される。クロックドインバータ21Aは、PMOSトランジスタP17,P18およびNMOSトランジスタN17,N18を有する。また、クロックドインバータ21Bは、PMOSトランジスタP19,P20およびNMOSトランジスタN19,N20を有する。
【0056】
第2フリップフロップ20におけるマスターラッチ22は、トランスファーゲート22A、インバータ22B、およびクロックドインバータ22Cを有する。トランスファーゲート22Aは、PMOSトランジスタP21およびNMOSトランジスタN21を有する。また、インバータ22Bは、PMOSトランジスタP24およびNMOSトランジスタN24を有する。また、クロックドインバータ22Cは、PMOSトランジスタP22,P23およびNMOSトランジスタN22,N23を有する。
【0057】
第2フリップフロップ20におけるスレーブラッチ23は、トランスファーゲート23A、インバータ23B、トランスファーゲート23C、およびインバータ23Dを有する。トランスファーゲート23Aは、PMOSトランジスタP25およびNMOSトランジスタN25を有する。また、インバータ23Bは、PMOSトランジスタP28およびNMOSトランジスタN28を有する。また、トランスファーゲート23Cは、PMOSトランジスタP26およびNMOSトランジスタN26を有する。また、インバータ23Dは、PMOSトランジスタP27およびNMOSトランジスタN27を有する。
【0058】
第2フリップフロップ20における出力回路24は、インバータ24Aを有する。インバータ14Aの出力は、出力回路14の出力端子(兼用された通常出力端子Qおよびスキャン出力端子SO)である。インバータ24Aは、PMOSトランジスタP29およびNMOSトランジスタN29を有する。
【0059】
クロックバッファ30は、インバータ30A,30Bを有する。
【0060】
インバータ30Aの入力は、クロックバッファ30の入力端子であり、クロック入力信号CPが入力される。また、インバータ30Aの出力は、クロックバッファ30の第1出力端子であり、クロック反転信号CNを出力する。また、インバータ30Aの出力は、インバータ30Bの入力に電気的に接続される。インバータ30Bの出力は、クロックバッファ30の第2出力端子であり、クロック信号Cを出力する。
【0061】
より具体的には、インバータ30Aは、PMOSトランジスタP6およびNMOSトランジスタN6を有する。インバータ30Bは、PMOSトランジスタP7およびNMOSトランジスタN7を有する。
【0062】
PMOSトランジスタP6の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP6の他端はNMOSトランジスタN6の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN6の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP6およびNMOSトランジスタN6のゲートはインバータ30Aの入力であり、PMOSトランジスタP6の他端およびNMOSトランジスタN6の一端はインバータ30Aの出力である。
【0063】
PMOSトランジスタP7の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP7の他端はNMOSトランジスタN7の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN7の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP7およびNMOSトランジスタN7のゲートはインバータ30Bの入力であり、PMOSトランジスタP7の他端およびNMOSトランジスタN7の一端はインバータ30Bの出力である。
【0064】
テストイネーブルバッファ40は、インバータ40Aを有する。
【0065】
インバータ40Aの入力は、テストイネーブルバッファ40の入力端子であり、テストイネーブル信号TEが入力される。また、インバータ40Aの出力は、テストイネーブルバッファ40の第1出力端子であり、テストイネーブル反転信号NTEを出力する。また、テストイネーブルバッファ40は、入力されたテストイネーブル信号TEをそのまま第2出力端子から出力する。
【0066】
より具体的には、インバータ40Aは、PMOSトランジスタP1およびNMOSトランジスタN1を有する。
【0067】
PMOSトランジスタP1の一端は電源電圧に電気的に接続され、PMOSトランジスタP1の他端はNMOSトランジスタN1の一端に電気的に接続される。NMOSトランジスタN1の他端は、接地電圧に電気的に接続される。PMOSトランジスタP1およびNMOSトランジスタN1のゲートはインバータ40Aの入力であり、PMOSトランジスタP1の他端およびNMOSトランジスタN1の一端はインバータ40Aの出力である。
【0068】
(第1実施形態における動作例)
次に、第1実施形態に係る半導体集積回路の各回路の動作例について説明する。
【0069】
クロックバッファ30は、以下のように動作する。
【0070】
クロックバッファ30は、インバータ30Aによってクロック入力信号CPを反転させて、クロック反転信号CNをマスターラッチ12,22およびスレーブラッチ13,23に出力する。また、クロックバッファ30は、インバータ30Bによってクロック反転信号CNを反転させて、クロック信号Cをマスターラッチ12,22およびスレーブラッチ13,23に出力する。
【0071】
テストイネーブルバッファ40は、以下のように動作する。
【0072】
テストイネーブルバッファ40は、インバータ40Aによってテストイネーブル信号TEを反転させて、テストイネーブル反転信号NTEを入力回路11,21に出力する。また、テストイネーブルバッファ40は、テストイネーブル信号TEをそのまま入力回路11,21に出力する。
【0073】
第1フリップフロップ10は、以下のように動作する。
【0074】
入力回路11は、テストイネーブル反転信号NTEが「H(High)」レベルの場合(テストイネーブル信号が「L(Low)」レベルの場合)、クロックドインバータ11AのPMOSトランジスタP3およびNMOSトランジスタN3がオンすることで、通常データ信号D1を反転させて出力する。一方、入力回路11は、テストイネーブル信号TEが「H」レベルの場合(テストイネーブル反転信号NTEが「L」レベルの場合)、クロックドインバータ11BのPMOSトランジスタP5およびNMOSトランジスタN5がオンすることで、スキャンテストデータ信号TI1を反転させて出力する。
【0075】
マスターラッチ12は、クロック信号Cが「L」の場合(クロック反転信号CNが「H」の場合)、トランスファーゲート12AのPMOSトランジスタP8およびNMOSトランジスタN8がオンし、かつクロックドインバータ12CのPMOSトランジスタP10およびNMOSトランジスタN10がオフすることで、入力回路11の出力を取り込む。一方、マスターラッチ12は、クロック信号Cが「H」の場合(クロック反転信号CNが「L」の場合)、トランスファーゲート12AのPMOSトランジスタP8およびNMOSトランジスタN8がオフし、かつクロックドインバータ12CのPMOSトランジスタP10およびNMOSトランジスタN10がオンすることで、取り込んだデータを保持する。
【0076】
スレーブラッチ13は、クロック信号Cが「H」の場合(クロック反転信号CNが「L」の場合)、トランスファーゲート13AのPMOSトランジスタP12およびNMOSトランジスタN12がオンし、かつトランスファーゲート13CのPMOSトランジスタP13およびNMOSトランジスタN13がオフすることで、マスターラッチ12の出力を取り込む。一方、スレーブラッチ13は、クロック信号Cが「L」の場合(クロック反転信号CNが「H」の場合)、トランスファーゲート13AのPMOSトランジスタP12およびNMOSトランジスタN12がオフし、かつトランスファーゲート13CのPMOSトランジスタP13およびNMOSトランジスタN13がオンすることで、取り込んだデータを保持する。
【0077】
また、スレーブラッチ13は、インバータ13Bの出力(第1出力端子)から出力回路14にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力するとともに、インバータ13Dの出力(第2出力端子)から第2フリップフロップ20の入力回路21にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力する。
【0078】
出力回路14は、インバータ14Aによってスレーブラッチ13の出力を反転させて、出力信号Q1を外部に出力する。
【0079】
第2フリップフロップ20は、第1フリップフロップと同様の動作をするため、ここでは省略する。
【0080】
(第1実施形態におけるスキャンテスト)
次に、第1実施形態に係る半導体集積回路のスキャンテストについて説明する。
【0081】
スキャンテストモードの場合、スキャンチェーンが設けられる。スキャンチェーンは、第1フリップフロップ10および第2フリップフロップ20を含み、2段のシフトレジスタとして動作する。以下に、詳細に説明する。
【0082】
まず、スキャンテストモードでは、テストイネーブル信号TEが「H」レベルに設定され、第1フリップフロップ10の入力回路11によってスキャンテストデータ信号TI1が選択される。これにより、入力回路11は、クロックドインバータ11Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の反転信号(逆位相の信号)を出力する。
【0083】
次に、第1フリップフロップ10のマスターラッチ12は、入力回路11からの出力信号を取り込む。そして、マスターラッチ12は、トランスファーゲート12Aおよびインバータ12Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の正転信号(同位相の信号)を出力する。
【0084】
次に、第1フリップフロップ10のスレーブラッチ13は、マスターラッチ12からの出力信号を取り込む。そして、スレーブラッチ13は、トランスファーゲート13Aおよびインバータ13B,13Dを介してスキャンテストデータ信号TI1の正転信号をスキャン出力端子SOから出力する。このスキャン出力端子SOからの出力信号は、トランスファーゲート12Aおよびインバータ13B,14Aを介して通常出力端子Qから出力される出力信号Q1と同位相の信号である。すなわち、スキャン出力端子SOからの出力信号と通常出力端子Qからの出力信号とは、実質的に同じ信号である。このスキャン出力端子SOからの出力信号が、第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIに入力される。
【0085】
その後、第2フリップフロップ20の入力回路21によってスキャンテストデータ信号TI2が選択される。そして、第1フリップフロップの入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14の動作と同様に、第2フリップフロップ20の入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24を介して、スキャン出力端子SOからスキャンテストデータ信号TI2の正転信号が出力される。
【0086】
(第1実施形態における効果)
図6は第1比較例に係る半導体集積回路を示すブロック図であり、図7は第2比較例に係る半導体集積回路を示すブロック図である。
【0087】
図6に示すように、第1比較例では、マルチビットフリップフロップのスキャンチェーンにおいて、第1フリップフロップ(1段目のフリップフロップ)10におけるスキャン出力端子SOと通常出力端子Qとが兼用されている。通常出力端子Qには、配線や図示せぬロジック回路が接続される。このため、スキャン出力端子SOには、配線や図示せぬロジック回路による負荷容量LCがかかる。この影響により、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOから第2フリップフロップ(2段目のフリップフロップ)20のスキャン入力端子SIへの信号(スキャンテストデータ信号TI2)の波形が変わってしまう。これにより、スキャンテストの信頼性が劣化してしまう。また、この波形変動を抑制するために新たなロジック回路等が必要となり、回路面積が増大してしまう。
【0088】
これに対し、第1実施形態では、マルチビットフリップフロップにおいて、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13が第1出力端子および第2出力端子を有する。第1入力端子は、スレーブラッチ13におけるインバータ13Bの出力であり、出力回路14を介して通常出力端子Qに電気的に接続される。一方、第2出力端子は、スレーブラッチ13におけるインバータ13Dの出力であり、通常出力端子Qと同位相の信号を出力する。そして、この第2出力端子が、スキャン出力端子SOとなる。すなわち、通常出力端子Qとスキャン出力端子SOとが兼用されない。これにより、スキャン出力端子SOは、通常出力端子Q側の配線や図示せぬロジック回路による負荷容量LCの影響を受けない。したがって、スキャンテストの信頼性を図ることができる。また、新たなロジック回路も不要であり、回路面積は増大しない。
【0089】
また、図7に示すように、第2比較例では、単体のフリップフロップのスキャンチェーンにおいて、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOがスレーブラッチ13の第2出力端子である。しかし、第2比較例は単体のフリップフロップをスキャンチェーンにしたものであるため、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOと第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIとの距離が長くなる。また、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOと第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIとの間にロジック回路50が設けられる。これらの影響により、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOから第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIへの信号の波形が変わってしまう。これにより、スキャンテストの信頼性が劣化してしまう。
【0090】
これに対し、第1実施形態では、マルチビットフリップフロップであるため、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOと第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIとの距離が第2比較例よりも小さい。このため、第1フリップフロップ10のスキャン出力端子SOと第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIとの間にロジック回路等はなく、これらは直接接続される。したがって、スキャンテストの信頼性を図ることができる。また、回路面積は増大しない。
【0091】
また、第2比較例の単体フリップフロップでは、クロックバッファ30_1およびテストイネーブルバッファ40_1だけではなく、クロックバッファ30_Bおよびテストイネーブルバッファ40_2が設けられる。このため、電力消費が大きくなる。
【0092】
第1実施形態では、マルチビットフリップフロップであるため、電力消費も抑制することができる。
【0093】
なお、第1実施形態において、マルチビットフリップフロップとして2段のフリップフロップの例を説明したが、これに限らず、3段以上のフリップフロップであってもよい。この場合、3段目以降のフリップフロップにおけるスキャン入力端子SIには、前段のフリップフロップにおけるスレーブラッチ内のスキャン出力端子が電気的に接続される。
【0094】
<第2実施形態>
以下に図3を用いて、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0095】
上記第1実施形態では、スレーブラッチ13におけるインバータ13Dの出力がスキャン出力端子SOとなった。これに対し、第2実施形態では、スレーブラッチ13におけるインバータ13Aの出力がスキャン出力端子SOとなる例である。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
以下に、第2実施形態について詳説する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の点については説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0097】
(第2実施形態における構成例および動作例)
まず、第2実施形態に係る半導体集積回路の構成例および動作例について説明する。
【0098】
図3は、第2実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図であり、図1に示す第1フリップフロップ10(入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14)、第2フリップフロップ20(入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24)、クロックバッファ30、およびテストイネーブルバッファ40をより詳細に示す図である。
【0099】
図3に示すように、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13は、トランスファーゲート13A、インバータ13B、トランスファーゲート13C、およびインバータ13Dを有する。
【0100】
トランスファーゲート13Aの出力は、スレーブラッチ13の第2出力端子(スキャン出力端子SO)であるとともに、インバータ13Bの入力に電気的に接続される。また、トランスファーゲート13Cの出力は、トランスファーゲート13Aの出力と同様にスレーブラッチ13の第2出力端子(スキャン出力端子SO)であるとともに、インバータ13Bの入力に電気的に接続される。言い換えると、トランスファーゲート13A,13Cおよびインバータ13Bの接続端子がスキャン出力端子SOである。このスキャン出力端子SOが、第2フリップフロップ20におけるスキャン入力端子SIに電気的に直接接続される。
【0101】
第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13は、トランスファーゲート13Aの出力からインバータ13Bの入力にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力するとともに、トランスファーゲート13Aの出力から第2フリップフロップ20の入力回路21にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力する。
【0102】
(第2実施形態におけるスキャンテスト)
次に、第2実施形態に係る半導体集積回路のスキャンテストについて説明する。
【0103】
まず、スキャンテストモードでは、テストイネーブル信号TEが「H」レベルに設定され、第1フリップフロップ10の入力回路11によってスキャンテストデータ信号TI1が選択される。これにより、入力回路11は、クロックドインバータ11Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の反転信号を出力する。
【0104】
次に、第1フリップフロップ10のマスターラッチ12は、入力回路11からの出力信号を取り込む。そして、マスターラッチ12は、トランスファーゲート12Aおよびインバータ12Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の正転信号を出力する。
【0105】
次に、第1フリップフロップ10のスレーブラッチ13は、マスターラッチ12からの出力信号を取り込む。そして、スレーブラッチ13は、トランスファーゲート13Aを介してスキャンテストデータ信号TI1の正転信号をスキャン出力端子SOから出力する。このスキャン出力端子SOからの出力信号は、トランスファーゲート13Aおよびインバータ13B,14Aを介して通常出力端子Qから出力される出力信号Q1と同位相の信号である。このスキャン出力端子SOからの出力信号が、第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIに入力される。
【0106】
その後、第2フリップフロップ20の入力回路21によってスキャンテストデータ信号TI2が選択される。そして、第1フリップフロップの入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14の動作と同様に、第2フリップフロップ20の入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24を介して、スキャン出力端子SOからスキャンテストデータ信号TI2の正転信号が出力される。
【0107】
(第2実施形態における効果)
第2実施形態では、マルチビットフリップフロップにおいて、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13が第1出力端子および第2出力端子を有する。第1出力端子は、スレーブラッチ13におけるインバータ13Bの出力であり、出力回路14を介して通常出力端子Qに電気的に接続される。一方、第2出力端子は、スレーブラッチ13におけるトランスファーゲート13Aの出力であり、通常出力端子Qと同位相の信号を出力する。そして、この第2出力端子が、スキャン出力端子SOとなる。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0108】
<第3実施形態>
以下に図4および図5を用いて、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0109】
上記第1実施形態では、スレーブラッチ13におけるインバータ13Dの出力がスキャン出力端子SOとなった。これに対し、第3実施形態では、スレーブラッチ13と出力回路14との接続端子がスキャン出力端子SOとなる例である。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
以下に、第3実施形態について詳説する。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の点については説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0111】
(第3実施形態における構成例)
まず、第3実施形態に係る半導体集積回路の構成例を説明する。
【0112】
図4は、第3実施形態に係る半導体集積回路を示すブロック図である。ここでは、第1フリップフロップ10および第2フリップフロップ20からなる2段のマルチビットフリップフロップを示している。
【0113】
図4に示すように、スレーブラッチ13は、入力端子、および出力端子を有する。スレーブラッチ13の入力端子は、マスターラッチ12の出力端子に電気的に接続される。出力回路14は、入力端子、および出力端子(通常出力端子Q)を有する。出力回路14の入力端子は、スレーブラッチ13の出力端子に電気的に接続される。スレーブラッチ13の出力と出力回路14の入力との接続端子が、スキャン出力端子SOである。
【0114】
図5は、第3実施形態に係る半導体集積回路を示す回路図であり、図4に示す第1フリップフロップ10(入力回路11、マスターラッチ12、スレーブラッチ13、および出力回路14)、第2フリップフロップ20(入力回路21、マスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24)、クロックバッファ30、およびテストイネーブルバッファ40をより詳細に示す図である。
【0115】
図5に示すように、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13のインバータ13Bの出力は、スキャン出力端子SOであるとともに、出力回路14の入力に電気的に接続される。言い換えると、インバータ13Bとインバータ14Aの接続端子がスキャン出力端子SOである。このスキャン出力端子SOが、第2フリップフロップ20におけるスキャン入力端子SIに電気的に直接接続される。
【0116】
第2フリップフロップ20における入力回路21は、クロックドインバータ21Aおよびトランスファーゲート21Cを有する。
【0117】
クロックドインバータ21Aの入力は入力回路21の第1入力端子(通常入力端子D)であり、出力は入力回路21の出力端子である。また、トランスファーゲート21Cの入力は入力回路21の第2入力端子(スキャン入力端子SI)であり、出力はクロックドインバータ21Aの出力と同様に入力回路21の出力端子である。
【0118】
より具体的には、トランスファーゲート21Cは、PMOSトランジスタP30およびNMOSトランジスタN30を有する。
【0119】
PMOSトランジスタP30の一端はNMOSトランジスタN30の一端に電気的に接続され、PMOSトランジスタP30の他端はNMOSトランジスタN30の他端に電気的に接続される。PMOSトランジスタP30の一端およびNMOSトランジスタN30の一端はトランスファーゲート21Cの入力であり、PMOSトランジスタP30の他端およびNMOSトランジスタN30の他端はトランスファーゲート21Cの出力である。PMOSトランジスタP30のゲートにはテストイネーブル反転信号NTEが入力され、NMOSトランジスタN30のゲートにはテストイネーブル信号TEが入力される。
【0120】
第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13は、インバータ13Bの出力から出力回路14のインバータ14Aの入力にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力するとともに、インバータ13Bの出力から第2フリップフロップ20の入力回路21にマスターラッチ12からの信号に基づく信号を出力する。
【0121】
(第3実施形態におけるスキャンテスト)
次に、第3実施形態に係る半導体集積回路のスキャンテストについて説明する。
【0122】
まず、スキャンテストモードでは、テストイネーブル信号TEが「H」レベルに設定され、第1フリップフロップ10の入力回路11によってスキャンテストデータ信号TI1が選択される。これにより、入力回路11は、クロックドインバータ11Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の反転信号を出力する。
【0123】
次に、第1フリップフロップ10のマスターラッチ12は、入力回路11からの出力信号を取り込む。そして、マスターラッチ12は、トランスファーゲート12Aおよびインバータ12Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の正転信号を出力する。
【0124】
次に、第1フリップフロップ10のスレーブラッチ13は、マスターラッチ12からの出力信号を取り込む。そして、スレーブラッチ13は、トランスファーゲート13Aおよびインバータ13Bを介してスキャンテストデータ信号TI1の反転信号をスキャン出力端子SOから出力する。このスキャン出力端子SOからの出力信号は、トランスファーゲート13Aおよびインバータ13B,14Aを介して通常出力端子Qから出力される出力信号Q1と逆位相の信号である。このスキャン出力端子SOからの出力信号が、第2フリップフロップ20のスキャン入力端子SIに入力される。
【0125】
その後、テストイネーブル信号TEが「H」レベルに設定されるため、PMOSトランジスタP30およびNMOSトランジスタN30がオンし、PMOSトランジスタP18およびNMOSトランジスタN18がオフする。すなわち、第2フリップフロップ20の入力回路21によって、スキャンテストデータ信号TI2が選択される。このとき、入力回路21は、トランスファーゲート21Cを介してスキャンテストデータ信号TI2の正転信号(スキャンテストデータ信号TI1の反転信号)を出力する。第3実施形態における入力回路21からの出力信号は、第1実施形態における入力回路21からの出力信号と同位相である。このため、第3実施形態におけるマスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24のこの後の動作は、第1実施形態におけるマスターラッチ22、スレーブラッチ23、および出力回路24の動作と同様に行われる。
【0126】
(第3実施形態における効果)
第3実施形態では、マルチビットフリップフロップにおいて、第1フリップフロップ10におけるスレーブラッチ13の出力端子は、出力回路14を介して通常出力端子Qに電気的に接続される。このスレーブラッチ13の出力端子は、スレーブラッチ13におけるインバータ13Bの出力であり、通常出力端子Qと逆位相の信号を出力する。そして、この第2出力端子がスキャン出力端子SOにもなり、第2フリップフロップ20におけるスキャン入力端子SIに電気的に接続される。第2フリップフロップ20におけるスキャン入力端子SIは、トランスファーゲート21Cの入力である。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0127】
また、第3実施形態では、第2フリップフロップ20において、トランスファーゲート21Cの入力をスキャン入力端子SIとしている。このため、第1実施形態のクロックドインバータ21Bと比べてトランジスタの数を少なくすることができ、回路面積の縮小を図ることができる。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10…第1フリップフロップ、11,21…入力回路、12,22…マスターラッチ、13,23…スレーブラッチ、14,24…出力回路、13A,13C…トランスファーゲート、13B,13D…インバータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7