(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453762
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】防眩フィルム及びこれを具備した偏光板
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20190107BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20190107BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20190107BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B5/30
G02F1/1335 510
B32B27/30 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-547846(P2015-547846)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-504621(P2016-504621A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】KR2013011233
(87)【国際公開番号】WO2014092384
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0143927
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515137406
【氏名又は名称】ドンウ ファインケム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ドゥボン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウンキ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジョサン
【審査官】
渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−122832(JP,A)
【文献】
特開2009−156939(JP,A)
【文献】
特開2011−221420(JP,A)
【文献】
特開2010−020267(JP,A)
【文献】
特開2010−160398(JP,A)
【文献】
特表2012−514220(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2011−0124086(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136
G02B 5/30
G02F 1/1335−1/13363
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応型(メタ)アクリレート樹脂、透光性粒子及び光開始剤を含む防眩層形成用組成物を透明基材フィルムの一面に塗布して形成された防眩層を含んでなり、
前記透光性粒子は、大粒子及び小粒子を含んでなり、前記大粒子の平均粒径は、防眩層厚さの1.05〜1.25倍であり、前記小粒子の平均粒径は、前記大粒子の平均粒径の0.5〜0.9倍であり、
前記大粒子はシリコーン(silicone)粒子であり、
前記防眩層は、高さの分散(variance)値が0.05〜0.3μm2であり、歪度(skewness)値が0.5〜2.0であることを特徴とする防眩フィルムであって、
且つ該防眩フィルムのヘイズは、1〜8.9%であり、スリット間隔0.01mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過鮮明度の数値の合算が200%以上である防眩フィルム。
【請求項2】
前記防眩層形成用組成物は、反応型(メタ)アクリレート樹脂と透光性粒子が96.0:4.0〜98.5:1.5重量比で混合されることを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項3】
前記大粒子と小粒子は、25:75〜75:25重量比で混合されることを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項4】
前記防眩層形成用組成物は、溶剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、レーベリング剤、界面活性剤、防汚剤よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩フィルム及びこれを具備した偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置には、液晶表示装置(LCD)、電界発光(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)などがある。
【0003】
このような各種画像表示装置は、自然光または照明光などの外部光に露出する場合、画像表示装置の表面に入射した光が反射しながらコントラストが低下し、イメージ反射によって視認性が低下する。また、画面が眩しくなり、文字認識が難しくて、目の疲労感を増加させやすく、または頭痛を誘発するようになる。
【0004】
このような問題点を解決するために、表面突出部によって光の乱反射を誘導し、光の反射を減少させる機能を有し、各種画像表示装置の表面に配置される防眩フィルムが主に使用された。
【0005】
防眩フィルムは、透明基材フィルムの表面にシリカまたは樹脂ビーズのような充填材粒子を含有する樹脂を適用することによって形成され、適用される樹脂によってシリカなどの凝集によって表面に凹凸が形成されたものと、適用される樹脂フィルムの厚さより粒子直径が大きい有機充填材粒子を添加することによって、表面凹凸が形成されたものがある。
【0006】
一方、韓国登録特許第1、067、546号(特許文献1)は、透明基材フィルムの少なくとも一面に電離放射線による硬化樹脂、シリカ微粒子及びシリコン樹脂微粒子を含有して表面に微細な凹凸が形成された防眩フィルムを開示する。
【0007】
しかし、上記文献による防眩フィルムの場合、35%以上の高いヘイズ(Haze)値を有する。このように防眩フィルムのヘイズ値が上昇する場合、ディスプレイの鮮明性及び視認性が低下する問題がある。
【0008】
また、日本国公開特許第2009−104076号(特許文献2)は、防眩特性を尖度と歪度の範囲に制御した防眩フィルムに関し、防眩層の高さの尖度が3以下であり、防眩層の高さの歪度の絶対値が1以下である防眩層を有する防眩フィルムを開示している。
【0009】
しかし、尖度と歪度は、表面凹凸の分布を示す統計的数値に過ぎず、表面凹凸の高さとは相関関係がない。したがって、上記文献に開示された歪度の数値範囲に含まれても、表面凹凸が小さくて、ヘイズ(Haze)が高いか、表面凹凸が大きくて、防眩性が現われないことがあるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第1、067、546号
【特許文献2】日本国特開2009−104076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、防眩フィルムの光学的特性を示すためのパラメータとして防眩層の高さの分散(variance)及び歪度(skewness)値を同時に使用して、ヘイズが低く、透過鮮明度に優れた防眩フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成するために、本発明は、反応型(メタ)アクリレート樹脂、透光性粒子及び光開始剤を含む防眩層形成用組成物を透明基材フィルムの一面に塗布して形成された防眩層を含んでなり、上記防眩層は、高さの分散(variance)値が0.05〜0.3μm
2であり、歪度(skewness)値が0.5〜2.0であることを特徴とする防眩フィルムを提供する。
【0013】
上記防眩層形成用組成物は、反応型(メタ)アクリレート樹脂と透光性粒子が96.0:4.0〜98.5:1.5の重量比で混合されたものであることができる。
【0014】
上記透光性粒子は、大粒子及び小粒子を含んでなり、大粒子の平均粒径は、防眩層の厚さの1.05〜1.25倍であり、小粒子の平均粒径は、大粒子の平均粒径の0.5〜0.9倍であるものであることができる。
【0015】
上記大粒子と小粒子は、25:75〜75:25重量比で混合されたものであることができる。
【0016】
上記防眩層形成用組成物は、溶剤、光開始剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、レーベリング剤、界面活性剤、防汚剤よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むことができる。
【0017】
上記防眩フィルムのヘイズは、1〜10%であり、透過鮮明度は、200%以上であることができる。
【0018】
本発明の他の目的を達成するために、上記防眩フィルムを含む偏光板であることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による防眩フィルムは、高さの分散(variance)が0.05〜0.3μm
2であり、歪度(skewness)が0.5〜2.0範囲を有することによって、防眩性に優れていると共に、透過鮮明度が高くて、低いヘイズ値を有するという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の防眩フィルムは、反応型(メタ)アクリレート樹脂、透光性粒子及び光開始剤を含む防眩層形成用組成物を透明基材フィルムの一面に塗布して形成された防眩層を含んでなり、上記防眩層は、高さの分散(variance)値が0.05〜0.3μm
2であり、歪度(skewness)値が0.5〜2.0であることを特徴とする。
【0021】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、これは、本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0022】
防眩層は、防眩層形成用組成物が硬化して形成されたものであって、「防眩層の樹脂」及び「透光性粒子」を含む層である。
【0023】
この際、「防眩層の樹脂」は、(メタ)アクリレート樹脂を含有する組成物が硬化して形成された膜を意味し、(メタ)アクリレート樹脂を含有する組成物が硬化して形成された防眩層樹脂の内部に透光性粒子が分布している。
【0024】
防眩層形成用組成物は、反応型(メタ)アクリレート樹脂、透光性粒子及び光開始剤を含む。
【0025】
上記反応型(メタ)アクリレート樹脂は、硬化層を形成し、硬度及び耐スクラッチ性を向上させるために使用される。上記反応型(メタ)アクリレート樹脂は、特に限定されず、当該分野で公知のものを使用することができ、好ましくは、光硬化タイプのアクリル系樹脂を使用することができる。上記反応型(メタ)アクリレート樹脂は、1種以上の反応型アクリレートオリゴマーを使用するか、または1種以上の反応型アクリレートモノマーを使用するか、または上記オリゴマーとモノマーを混合して使用することができる。
【0026】
反応型アクリレートオリゴマーの種類は、特に限定されず、当該分野で公知のものを使用することができ、好ましくは、ウレタンアクリレートオリゴマーを使用することができる。例えば、分子内にイソシアネート基を有する化合物と分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が重合されたものであることができる。分子内にイソシアネート基を有する化合物としては、1、3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4、4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4、4’−メチレンビス(2、6−ジメチルフェニルイソシアネート)、4、4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、アクリロイルエチルイソシアネート、メタアクリロイルエチルイソシアネート、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその三量体、1、4−ジイソシアナトブタン、1、6−ジイソシアナトヘキサン、1、8−ジイソシアナトオクタン、1、12−ジイソシアナトデカン、1、5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、トリメチル−1、6−ジイソシアナトヘキサン、トランス−1、4−シクロヘキセンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2、4−ジイソシアネート、トルエン−2、6−ジイソシアネート、キシレン−1、4−ジイソシアネート、テトラメチルキシレン−1、3−ジイソシアネート、1−クロロメチル−2、4−ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;上記ジイソシアネート化合物から誘導されるトリイソシアネート;トリメチロールプロパンなどの多価アルコール系化合物1モルに上記ジイソシアネート化合物3モルを反応させた付加体;上記ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させたイソシアヌレート体;上記ジイソシアネート化合物3モルのうち2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合されたビュレット体などが挙げられ、これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の種類は、特に限定されない。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法は、特に限定されず、通常の任意重合反応、ブロック重合反応、グラフト重合反応などを利用することができる。例えば、分子内にイソシアネート基を有する化合物と分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を適正当量比で反応させる方法で製造することができる。
【0027】
反応型(メタ)アクリレートモノマーの種類は、特に限定されず、当該分野で公知されたものを使用することができる。例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリリックエステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1、3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソ−デキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルネオール(メタ)アクリレートよりなる群から選択された少なくとも一つを使用することができる。
【0028】
透光性粒子は、防眩フィルムの表面に凹凸を形成させてフィルムに防眩性を付与するものであって、当該分野で一般的に使用されるものなら有機粒子または無機粒子に制限なしに使用することができる。
【0029】
上記有機粒子は、メラミン系ビーズ、アクリル系ビーズ、アクリル−スチレン系ビーズ、ポリカーボネート系ビーズ、ポリエチレン系ビーズ及び塩化ビニル系ビーズよりなる群から選択される少なくとも一つを使用することができる。上記無機粒子は、重炭酸カルシウム(重炭)、軽炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ及びアルミナよりなる群から選択される少なくとも一つを使用することができる。
【0030】
上記防眩層形成用組成物の大粒子の平均粒径は、防眩層の厚さの1.05〜1.25倍であることが好ましい。この際、防眩層の厚さは、凹凸が形成されている防眩層において「防眩層の樹脂」の厚さを意味する。
【0031】
大粒子の平均粒径が上記数値より大きい場合、コーティング表面の凹凸の高さが大きくなって、ヘイズが上昇する問題点が発生することができ、上記数値より小さい場合、コーティング表面の凹凸が消えて、防眩性が減少する問題点が発生することができる。
【0032】
小粒子の平均粒径は、大粒子の平均粒子の直径の0.5〜0.9倍である粒子を含むことが好ましい。小粒子の平均粒径が上記数値を脱する場合、透過鮮明度が高い状態で十分な防眩性を具現しにくくなる問題点が発生することができる。
【0033】
大粒子と小粒子は、25:75〜75:25重量比で混合されたものであることができる。大きい粒子の含量が上記の比率より低くなるか、含まれていない場合、表面に凹凸が小さすぎて、分散数値が低くなり、十分な防眩性が現われないことがあり、大きい粒子の含量が上記の比率より大きい場合、凹凸間の間隔が広くて、防眩層の表面の防眩性が部分的に消えることができる。
【0034】
防眩層形成用組成物は、反応型(メタ)アクリレート樹脂と粒子の重量比が96.0:4.0〜98.5:1.5重量比で混合されたものが好ましい。粒子が上記比率より多く含まれていれば、コーティングフィルムのヘイズが上昇する問題点が発生することができ、上記の比率より少なく含まれている場合、十分な防眩性を示すことができない問題点が発生することができる。
【0035】
光開始剤は、当該分野で一般的に使用されるものなら制限なしに使用することができる。
【0036】
具体的に、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルホリンプロパノン−1、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ−2−フェニルアテトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4、4−ジメトキシアセトフェノン、4、4−ジアミノ−ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノンなどよりなる群から少なくとも一つを選択して使用することができる。
【0037】
防眩層形成用組成物は、溶剤、光開始剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、レーベリング剤、界面活性剤、防汚剤よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むことができる。
【0038】
上記溶剤は、コーティング性を向上させるために使用する。具体的に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;ホルム酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどのその他物質が挙げられる。上記例示された溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
防眩フィルムは、上記防眩層形成用組成物を透明基材フィルムの一面に塗布して形成された防眩層を含んでなる。
【0040】
上記透明基材は、透明性があるフィルムなら、どんなフィルムでも使用可能である。具体的に、透明基材としては、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチルレイト、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロースまたはアセチルプロピオニルセルロースなどから選択されるセルロース、エチレン−アセト酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、フォルリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシの中から選択されたものを使用することができ、未延伸の1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。このうち好ましくは、透明性及び耐熱性に優れた1軸または2軸延伸ポリエステルフィルムや、透明性及び耐熱性に優れ、且つフィルムの大型化に対応することができるシクロオレフィン系誘導体フィルム、透明性及び光学的に異方性がないという点から、トリアセチルセルロースフィルムが好適に使用されることができる。
【0041】
防眩層形成用組成物を透明基材上に塗布する方法は、特に制限されず、例えば、ダイコーター、エアナイフ、リバースロール、スプレイ、ブレード、キャスティング、グラビア、スピンコーティングなどの方式を使用することができる。
【0042】
防眩層形成用組成物の乾燥段階は、30〜150℃の温度で10秒〜1時間、好ましくは30秒〜10分間行うことができる。
【0043】
防眩層形成用組成物の硬化段階は、光硬化であることができ、この際、UV光の照射量は、約0.01〜10J/cm
2、好ましくは0.1〜2J/cm
2であることができる。
【0044】
透明基材上に形成された防眩層の厚さは、2.5〜15μmであることが好ましい。上記厚さより薄い場合、コーティング層の硬度が不十分であり、上記厚さより厚い場合、取り扱い時にコーティング層にクラックが発生することができる。
【0045】
上記硬化後に形成された防眩層は、高さの分散(variance)が0.05〜0.3μm
2であり、歪度(skewness)が0.5〜2.0である。この際、分散(variance)と歪度(skewness)は、下記数式1及び2によって計算する。
【0047】
分散(variance)は、凹凸の高さと相関関係があり、分散(variance)数値が小さいほど、凹凸の高さが低いことを意味する。本発明による防眩フィルムは、防眩層高さの分散(variance)値が0.05〜0.3μm
2である。分散(variance)が0.05μm
2未満の場合、防眩性が低下する問題があり、0.3μm
2超過の場合、ヘイズが上昇する問題がある。
【0048】
歪度(skewness)は、表面高さの分布と相関関係があり、歪度(skewness)値が小さいほど表面高さが高い凹凸の分布が小さいことを意味する。本発明による防眩フィルムは、防眩層高さの歪度(skewness)値が0.5〜2.0である。歪度(skewness)が0.5未満の場合、凹凸の分布が小さくて、防眩性が低下する問題があり、歪度(skewness)が2.0超過の場合、凹凸の分布が多くて、防眩性が鋭くなる問題がある。
【0049】
本発明は、前述した本発明による防眩フィルムが具備された偏光板を提供する。すなわち、本発明の偏光板は、通常の偏光子の一面または両面に前述した本発明による防眩フィルムを積層して形成されたものであることができる。上記偏光子は、少なくとも一面に保護フィルムが具備されたものであってもよい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を下記の実施例及び比較例によってより具体的に説明し、下記の実施例は、本発明の具体的な一部の例示に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するかまたは制限するものではない。
【0051】
〔実施例及び比較例〕
防眩層形成用組成物の製造
下記表1の成分と含量(重量部)を有する防眩層形成用組成物を製造した。
【0052】
【表1】
【0053】
透明基材の一面に防眩層が形成された防眩フィルムの製造
上記で製造した防眩層形成用組成物を6時間撹拌後、60μm厚さのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムの上にマイヤーバーで塗布した後、100℃で1分間乾燥させ、400mJ/cm
2の紫外線を利用して光硬化させて、防眩層が形成された防眩フィルムを製造した。
【0054】
上記で製造した防眩フィルムの特性を比較するために、下記のように物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0055】
(1)表面高さの分散(variance)及び歪度(skewness)測定
製造例2で製作された防眩フィルムの防眩層の表面高さを測定した。測定は、カラー3Dレーザー顕微鏡(キーエンス社、VK−9510製品)を利用し、顕微鏡の対物レンズ倍率は、20倍に設定し、測定対象の表面サイズは、675μm(横)×506μm(縦)に設定した。測定された表面のすべての高さは、3D顕微鏡システム上のプログラムを利用して256×192ピクセルで抽出した。
【0056】
上記抽出されたすべての表面高さの平均値を求め、下記数式1及び数式2を利用して分散(variance)値と歪度(skewness)値を求めた。
【0057】
【数2】
【0058】
(2)ヘイズ測定
防眩フィルムのヘイズ値をヘイズメーター(ムラカミ社)を利用して測定した。コーティングフィルムのヘイズは、コーティングフィルムの濁度と相関関係があり、ヘイズの高いほどフィルムが濁ることを意味する。ヘイズは、10以下であることが好ましい。
【0059】
(3)透過鮮明度測定
防眩フィルムの透過鮮明度を透過鮮明度測定器(スガ社、ICM−1T製品)を利用して測定した。透過鮮明度は、スリット間隔0.01mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの透過鮮明度の数値の合算で決定した。透過鮮明度の値は、鮮明度と相関関係があり、透過鮮明度の数値が大きいほど、鮮明であることを意味する。
【0060】
(4)反射鮮明度の測定
製造例2で製造された防眩フィルムの防眩層上に黒色アクリル板を接合した後、鮮明度測定器(スガ社、ICM−1T製品)を利用して45度角度での反射線明度を測定した。反射線明度は、スリット間隔0.5mm、1.0mm、2.0mmでの数値を合算した。反射鮮明度の値は、防眩性と相関関係があり、反射鮮明度の数値が小さいほど防眩性が高いことを意味する。
【0061】
(5)防眩性評価
防眩フィルムの防眩層上に黒い色アクリル板を接合した後、三波長スタンドライトを防眩層表面で反射させて、スタンド光の形状が明瞭に見える程度を確認した。
【0062】
−評価方法−
○:スタンド光の形状が崩れ壊れて視認される
△:スタンド光の形状が部分的に鮮明に視認される
×:スタンド光の形状が鮮明に視認される
【0063】
【表2】