特許第6453764号(P6453764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシロール アンテルナショナルの特許一覧

特許6453764眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置
<>
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000002
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000003
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000004
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000005
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000006
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000007
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000008
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000009
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000010
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000011
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000012
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000013
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000014
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000015
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000016
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000017
  • 特許6453764-眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453764
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】眼科用レンズの光学特性の適合性を検査するための方法及び関連装置
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20190107BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20190107BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   G02C13/00
   G02C7/06
   G01M11/00 L
【請求項の数】15
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-548731(P2015-548731)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-506542(P2016-506542A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】FR2013053197
(87)【国際公開番号】WO2014111636
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】1262559
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598142955
【氏名又は名称】エシロール アンテルナショナル
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】パスカル アリオーヌ
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−002256(JP,B1)
【文献】 特開2005−024438(JP,A)
【文献】 特開2005−207969(JP,A)
【文献】 特開2007−086057(JP,A)
【文献】 特表2008−523431(JP,A)
【文献】 特開2010−117185(JP,A)
【文献】 特開平10−311779(JP,A)
【文献】 特開2011−180733(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01324015(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/06
G01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検証対象眼科用レンズ(30)の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を、それぞれ不均一なコントラストを有する非変形テスト・パターン(40)及び変形テスト・パターン(20)に基づいて検証するための方法であって、以下のステップ:
a)一定の光学条件下で、像テスト・パターン(50)、即ち前記検証対象眼科用レンズ(30)経由の前記変形テスト・パターン(20)の像を決定するステップ(A)、
b)検査テスト・パターン(60)を形成するために、前記像テスト・パターン(50)を前記非変形テスト・パターン(40)と結合するステップ(B)、
c)前記検査テスト・パターン(60)を少なくとも1つの基準テスト・パターン(70)と比較するステップ(C)、及び
d)前記比較するステップ(C)の比較に応じて前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する前記適合性を推定するステップ(D)
を含む検証方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検証方法であって、前記変形テスト・パターン(20)がステップa)に先立って、前記期待光学特性に応じて決定される検証方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検証方法であって、前記変形テスト・パターン(20)がステップa)に先立って、前記非変形テスト・パターン(40)に応じて決定される検証方法。
【請求項4】
請求項3に記載の検証方法であって、更に、ステップa)に先立ち中間テスト・パターン(80)に応じて前記変形テスト・パターン(20)を作成すること(6)を含むステップを含み、前記中間テスト・パターン(80)は、ステップa)の前記一定の光学条件下において、前記像テスト・パターン(50)及び前記変形テスト・パターン(20)の前記検証対象眼科用レンズ(30)に対する相対的位置が初期光学条件下における前記非変形テスト・パターン(40)及び前記中間テスト・パターン(80)の期待眼科用レンズ(130)に対するそれぞれの相対的位置と同じであるように、前記初期光学条件下における前記期待光学特性を有する前記期待眼科用レンズ(130)経由の前記非変形テスト・パターン(40)の像である検証方法。
【請求項5】
請求項4に記載の検証方法であって、前記中間テスト・パターン(80)が観察瞳孔(19)の中心からの前記期待眼科用レンズ(130)の観察に対応する前記初期光学条件下の光線追跡計算により決定され、前記光線追跡計算は、以下のパラメータ:
− 前記観察瞳孔(19)の前記期待眼科用レンズ(130)に対する位置、
− 前記観察瞳孔(19)の前記非変形テスト・パターン(40)に対する位置、又は
― 前記非変形テスト・パターン(40)の前記期待眼科用レンズ(130)に対する位置
の少なくとも1つに応じて実行される検証方法。
【請求項6】
請求項1に記載の検証方法であって、前記非変形テスト・パターン(40)及び/又は前記変形テスト・パターン(20)及び/又は前記像テスト・パターン(50)が、場合により種々の透明度レベルを有する種々の色又は種々の階調レベルの文様のタイル張りから構成される検証方法。
【請求項7】
請求項1に記載の検証方法であって、前記変形テスト・パターン(20)が前記非変形テスト・パターン(40)に応じて決定され、それにより前記検査テスト・パターン(60)が一様なコントラストを有する検証方法。
【請求項8】
請求項1に記載の検証方法であって、前記変形テスト・パターン(20)が前記非変形テスト・パターン(40)に応じて決定され、それにより前記検査テスト・パターン(60)が前記検証対象眼科用レンズ(30)から独立している認識可能な標識を表す検証方法。
【請求項9】
請求項1に記載の検証方法であって、ステップb)が前記像テスト・パターン(50)を前記非変形テスト・パターン(40)に重ねることを含む検証方法。
【請求項10】
検証対象眼科用レンズ(30)の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証するための装置(10)であって、
− 前記検証対象眼科用レンズ(30)を支えることができる第1支持台(11)、
− 少なくとも1つの変形テスト・パターン(20)を支えることができる第2支持台(12)、及び
− 前記変形テスト・パターン(20)に光を当てることができる照射手段(15)、
− 少なくとも像テスト・パターン(50)を捕捉できる像収集手段(91)、
− 検査テスト・パターン(60)を形成するために、前記像テスト・パターン(50)を非変形テスト・パターン(40)と結合するための像結合手段(13;92;103)、及び
− 前記検査テスト・パターン(60)を少なくとも1つの基準テスト・パターン(70)と比較し、かつ、この比較に応じて前記検証対象眼科用レンズ(30)の前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する前記適合性を推定するようにプログラムされた電子処理手段(95)
を含み、前記第1支持台(11)、前記第2支持台(12)及び前記照射手段(15)は、前記検証対象眼科用レンズ(30)が前記第1支持台(11)上に置かれたときに、前記検証対象眼科用レンズ(30)経由の前記変形テスト・パターン(20)の像に対応する前記像テスト・パターン(50)が形成され得るように配置される、検証装置(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の検証装置(10)であって、前記像収集手段(91)が前記検査テスト・パターン(60)の像を捕捉し、かつ、前記捕捉像を前記電子処理手段(95)に送信する検証装置(10)。
【請求項12】
請求項10に記載の検証装置(10)であって、前記像収集手段(91)が前記像テスト・パターン(50)の像を捕捉し、前記装置は、前記非変形テスト・パターン(40)を前記像結合手段(92)に与えることができる記憶装置(93)も含む検証装置(10)。
【請求項13】
請求項10に記載の検証装置(10)であって、前記電子処理手段(95)が、
− 前記像収集手段(91)及び/又は前記像結合手段(92)と通信することができるローカル処理装置(96)、並びに
− 前記ローカル処理装置(96)とネットワーク経由で通信することができる遠隔処理装置(98)
を含み、前記検査テスト・パターン(60)を前記基準テスト・パターン(70)と比較する動作(C)及び前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する前記適合性を推定する動作(D)は、前記ローカル処理装置(96)又は前記遠隔処理装置(98)により行われる検証装置(10)。
【請求項14】
請求項13に記載の検証装置(10)であって、
− 前記ローカル処理装置(96)が前記遠隔処理装置(98)に前記検証対象眼科用レンズ(30)の基準を伝え、及び
− 前記遠隔処理装置(98)が前記ローカル処理装置(96)に前記検証対象眼科用レンズ(30)に関する前記基準テスト・パターン(70)を与える
検証装置(10)。
【請求項15】
請求項10に記載の検証装置(10)であって、前記第1支持台(11)、前記第2支持台(12)、前記照射手段(15)及び前記像収集手段(91)の相対的位置を調整することを可能にする調整手段を含む検証装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矯正眼科用レンズの光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証するための方法に関する。本発明は、矯正眼科用レンズの光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用レンズを受け取る眼鏡技師にとって重要なことは、注文した眼科用レンズのすべての光学特性が期待光学特性に実際に一致することを特に対応装着者の処方に応じて迅速かつ簡単に検証できることである。
【0003】
これは、眼科用レンズが個人向け設計の眼科用レンズの開発により、ますます複雑化した光学特性を有するようになっているため、なおさら当てはまることである。
【0004】
この理由から、手動レンズメーターにより眼科用レンズの前側度数を測定することが知られている。しかしながら、この種類の装置は、装置の支持台上における眼科用レンズの芯出しに非常に敏感であり、また、局部的な測定、一般的に約5〜10ミリメートル(mm)という限られた領域における度数の測定のみを可能にする。これは、例えば、累進レンズの遠方視及び近方視度数の測定のために使用できるであろう。
【0005】
「レンズマッパ」型の電子レンズメーターは、眼科用レンズの屈折力の完全なマップを作成するが、一般的に高価であり、かつ、使いにくい。
【0006】
モアレ効果を利用して眼科用レンズの光学パラメータを測定し、例えば、その屈折力のマップの作成を可能にするある特許文献による測定方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この測定方法は、両方とも検証対象眼科用レンズを通して観察される2つの周期的格子のそれぞれの像により形成される2つの像の結合を使用する。これらの2つの像は結合されて、干渉模様を形成する。較正ステップが前もって実行されているならば、この模様から、眼科用レンズの光学特性を計算することができる。
【0008】
したがって、特許文献1の測定方法は、それぞれ測定対象の眼科用レンズを通して投影される2つの別々の格子の使用を必要とし、これにより測定の実行を難しくする。
【0009】
更に、眼鏡技師にとって、矯正眼科用レンズを受け取った後にそのレンズについて、その設計者により指定された光学設計がレンズ製造業者により実際に順守されたことを検証することも重要である。光学設計(フランス語で、conception optique又はdesign optique)は、必要な矯正に対応する屈折力の分布を生成する。
【0010】
眼科用レンズの光学設計は、レンズの設計者特有の光学特性である。
【0011】
したがって、製造された眼科用レンズの期待光学設計に対する適合性を保証するために、例えばレンズの前面に接着剤により接着される偽造防止ラベル(ホログラフィー・タグ、「データ行列」型のバーコード等)などの識別手段を使用することが知られている。これらの識別手段は、眼科用レンズを設計から受領まで追跡すること、及び眼科用レンズの設計者を識別することを可能にする。しかし、この種類の手段は、偽造が容易であり、十分なレベルのセキュリティを保証しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第1324015号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明は、眼科用レンズの光学性能を迅速かつ容易に検査する方法を提供する。安価に実行できるこの方法は、眼科用レンズ全体の光学特性の全面的検査又は数カ所の局部領域を対象とする検査を可能にする。
【0014】
より具体的には、本発明に従って、検証対象眼科用レンズの検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を、それぞれ不均一なコントラストを有する非変形テスト・パターン及び変形テスト・パターンに基づいて検証するための方法であって、以下のステップ:
a)一定の光学条件下で、像テスト・パターン、即ち前記検証対象眼科用レンズ経由の前記変形テスト・パターンの像を決定するステップ、
b)検査テスト・パターンを形成するために、前記像テスト・パターンを前記非変形テスト・パターンと結合するステップ、
c)前記検査テスト・パターンを少なくとも1つの基準テスト・パターンと比較するステップ、及び
d)ステップc)の比較に応じて前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する適合性を推定するステップ
を含む方法を提供する。
【0015】
前記変形テスト・パターン及び前記非変形テスト・パターンに応じて、局部光学特性、例えば前記検証対象眼科用レンズの遠方視屈折力又は検証対象眼科用レンズのその設計者特有の「光学設計」などの総合光学特性を検証することが可能である。したがって、本発明による方法を使用して前記眼科用レンズの光学性能を検査すること、及び特に前記眼科用レンズの光学設計がその製造中に順守されたか否か検証することができる。「光学設計」の違法複製を検出することもできる。
【0016】
光学では、「テスト・パターン」は、一般的に光学機器の検査を可能にする手段として定義される。例として、ジーメンス及びフーコーのテスト・パターン又はチェッカーボード「レンズ・チェッカー」テスト・パターンを挙げることができる。
【0017】
本発明に関連して、表現「テスト・パターン」は、特に、検証対象眼科用レンズを検証するための手段を意味するものと理解される。
【0018】
本発明の種々の実施形態の記述において、この手段は、場合により、物理的なもの(例えば媒体に印刷されるか又はスクリーン上に表示されるコントラストを有する一連の文様)であるか又はバーチャルなもの(例えばレンズを通して観察されるコントラストを有する物体の像、具体的には別のテスト・パターンの像)のいずれかである。
【0019】
実際には、この目的のために前記眼科用レンズに前記変形テスト・パターン及び/又は前記非変形テスト・パターンを設けることにより、そのレンズを注文した眼鏡技師が本発明による検証方法を実行してこの検証対象眼科用レンズの光学特性を検査することを可能にすることができる。
【0020】
有利には、ステップa)に先立ち、前記期待光学特性に応じて前記変形テスト・パターンを決定するステップを設けることができる。
【0021】
したがって前記変形テスト・パターンは、前記期待光学特性に関する情報を含んでおり、それにより眼鏡技師が前記検証対象眼科用レンズを検査して前記検証対象眼科用レンズの前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する適合性を迅速に推定することを可能にする。
【0022】
更に有利には、ステップa)に先立ち、前記非変形テスト・パターンに応じて前記変形テスト・パターンを決定するステップを設けることができる。ステップa)に先立ち中間テスト・パターンに応じて前記変形テスト・パターンを作成する。前記中間テスト・パターンは、ステップa)の前記一定の光学条件下において、前記像テスト・パターン及び前記変形テスト・パターンの前記検証対象眼科用レンズに対する相対的位置が初期光学条件下における前記非変形テスト・パターン及び前記中間テスト・パターンの前記期待眼科用レンズに対するそれぞれの相対的位置と同じであるように、初期光学条件下における前記期待光学特性を有する期待眼科用レンズ経由の前記非変形テスト・パターンの像である。
【0023】
これは、特に、原初テスト・パターンの個数の増加を防止し、したがって多数の眼科用レンズを試験しなければならない眼鏡技師による操作誤りを防止することを可能にする。具体的には、眼鏡技師は、本発明による検証方法を使用して任意の像テスト・パターンと結合し得るただ1つの単一の非変形テスト・パターン(それは、注文した検証対象眼科用レンズとともに受け取った変形テスト・パターンから作成される)を扱う。
【0024】
本発明による方法のその他の非限定的かつ有利な特徴に従って:
− 前記中間テスト・パターンは、観察瞳孔の中心からの前記期待眼科用レンズの観察に対応する前記初期光学条件下の光線追跡計算により決定される。前記光線追跡計算は、以下のパラメータ:
− 前記観察瞳孔の前記期待眼科用レンズに対する位置、
− 前記観察瞳孔の前記非変形テスト・パターンに対する位置、又は
− 前記非変形テスト・パターンの前記期待眼科用レンズに対する位置
の少なくとも1つに応じて実行され、
− 前記非変形テスト・パターン及び/又は前記変形テスト・パターン及び/又は前記像テスト・パターンは、場合により種々の透明度レベルを有する種々の色又は種々の階調レベルの文様のタイル張りから構成され、
− 前記変形テスト・パターンは前記非変形テスト・パターンに応じて決定され、それにより前記検査テスト・パターンは一様なコントラストを有し、
− 前記変形テスト・パターンは前記非変形テスト・パターンに応じて決定され、それにより前記検査テスト・パターンは、前記検証対象眼科用レンズから独立している認識可能な標識を表し、
− ステップb)は、前記像テスト・パターンを前記非変形テスト・パターンに重ねることを含む。
【0025】
本発明は、検証対象眼科用レンズの検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証するための装置であって、
− 前記検証対象眼科用レンズを支えることができる第1支持台、
− 少なくとも1つの変形テスト・パターンを支えることができる第2支持台、及び
− 前記変形テスト・パターンに光を当てることができる照射手段
− 少なくとも前記像テスト・パターンを捕捉できる像収集手段、
− 検査テスト・パターンを形成するために、前記像テスト・パターンを前記非変形テスト・パターンと結合するための像結合手段、及び
− 前記検査テスト・パターンを少なくとも1つの基準テスト・パターンと比較し、かつ、この比較に応じて前記検証対象眼科用レンズの前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する適合性を推定するようにプログラムされた電子処理手段
を含み、第1支持台、第2支持台、照射手段は、前記検証対象眼科用レンズが前記第1支持台上に置かれたときに、前記検証対象眼科用レンズ経由の前記変形テスト・パターンの像に対応する像テスト・パターンが形成され得るように配置される、装置も提供する。
【0026】
以下は、本発明による装置のその他の長所及び非限定的特徴である:
− 前記像収集手段は、前記検査テスト・パターンの像を捕捉し、かつ、前記捕捉像を電子処理手段に送信し、
− 前記像収集手段は、前記像テスト・パターンの像を捕捉し、前記装置は、前記非変形テスト・パターンを前記像結合手段に与えることができる記憶装置も含んでいる。
− 前記電子処理手段は、前記像収集手段及び/又は前記像結合手段と通信することができるローカル処理装置及び前記ローカル処理装置とネットワーク経由で通信することができる遠隔処理装置を含み、前記検査テスト・パターンを前記基準テスト・パターンと比較する前記動作及び前記検証対象光学特性の前記期待光学特性に対する適合性を推定する前記動作は、前記ローカル処理装置又は前記遠隔処理装置により行われ、
− 前記ローカル処理装置は前記遠隔処理装置に前記検証対象眼科用レンズの基準を伝え、及び前記遠隔処理装置は前記ローカル処理装置に前記検証対象眼科用レンズに関する前記基準テスト・パターンを与え、
− 前記装置は、前記第1支持台、前記第2支持台、前記照射手段及び前記像収集手段の互いに対する相対的位置を調整することを可能にする調整手段を含む。
【0027】
添付図面とともに非限定的例示として与えられる以下の記述は、本発明及びそれを実施できる方法のより良い理解を可能にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明による検証方法のブロック図である。
図2図2は、本発明による検証装置の第1実施形態の概要である。
図3図3は、非変形テスト・パターンから中間テスト・パターンを決定すること及び変形テスト・パターンを作成することを可能にする光線追跡計算の原理を説明する光学図式である。
図4図4は、黒色及び白色の方形文様のタイル張りを含む正方形の非変形テスト・パターンの第1例の正面図である。
図5図5は、図4の非変形テスト・パターンから期待眼科用レンズ経由の光線追跡により計算された中間テスト・パターンを示す。
図6図6は、図5に示した中間テスト・パターンから決定された変形テスト・パターンを示す。
図7図7は、図4の非変形テスト・パターンと像テスト・パターン(それは図6の変形テスト・パターンの像である)を検証対象眼科用レンズ経由で重ね合わせることにより得られる検査テスト・パターンを示す。
図8図8は、図7に示した検査テスト・パターンと比較される基準テスト・パターンを示す。
図9図9は、本発明による検証装置の第2実施形態の概要である。この装置は、非変形テスト・パターンを与える記憶装置と、ローカル処理装置及び遠隔処理装置とを含む電子処理手段を含んでいる。
図10図10は、本発明による検証装置の第3実施形態の概要である。この装置では、変形テスト・パターンは、デジタル表示装置から到来する。
図11図11は、本発明による検証装置の第4実施形態の概要である。転送ミラーを使用するこの装置では、変形テスト・パターン及び非変形テスト・パターンは、デジタル表示装置から到来する。
図12図12は、検査対象局部領域を含む非変形テスト・パターンの第2例を示す。
図13図13は、特定の物体図形を含む変形テスト・パターンを示す。
図14図14は、期待特性に一致しない検証対象光学特性を有する検証対象眼科用レンズ経由で図13に示した変形テスト・パターンの像を形成することにより得られる特定の像図形を含む像テスト・パターンを示す。
図15図15は、図12の非変形テスト・パターンと図14の像テスト・パターンを重ね合わせることにより得られる検査テスト・パターンを示す。
図16図16は、図15の検査テスト・パターンと比較される第1基準テスト・パターンを示す。
図17図17は、図15の検査テスト・パターンと比較される第2基準テスト・パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
前置きとして、図に示された種々の実施形態の同一又は対応する要素は、同一参照記号により参照し、また、出現の都度の説明は行わないことに留意されたい。
【0030】
図1は、本発明による検証方法の例示実施形態の概略ブロック図を示す。この方法の実行は、図2、9、10及び11などに示す検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性が期待光学特性に適合することを検証することを可能にする。
【0031】
累進眼科用レンズの場合、例えば、遠方視度数、近方視度数又は近方視点と遠方視点間の横方向オフセットの累進長(「VPインセット」と呼ばれる)が問題となる。乱視の矯正を可能にする矯正眼科用レンズでは、追加円柱の度数又は角度が問題となるであろう。
【0032】
これを行うために、ここで、不均一なコントラストを有する第1テスト・パターン20(その一例を図6に示す)から出発して、図1のブロックAにより表されているステップa)において、一定の光学条件下で像テスト・パターン50、即ち検証対象眼科用レンズ30経由の前記第1テスト・パターン20の像を決定する。
【0033】
表現「不均一なコントラスト」は、ここでは、第1テスト・パターン20がコントラストを有する文様を含み、かつ、一様な輝度又は色のものでないことを意味すると理解される。
【0034】
次に、図1のブロックBにより示されているステップb)において、第2テスト・パターン40を像テスト・パターン50と結合して検査テスト・パターン60を形成する。
【0035】
図4は、適切な例示第2テスト・パターン40を示している。これについては、以下においてより詳しく説明する。
【0036】
図7は、像テスト・パターン50及び図4に示した第2テスト・パターン40の重ね合わせに対応する検査テスト・パターン60を示す。
【0037】
図1のブロックCにより示したステップc)において、検査テスト・パターン60を最後に少なくとも1つの基準テスト・パターン70(それらの一例が図8に示されている)と比較する。
【0038】
この比較は、この方法のステップd)において(図1のブロックDにより表されているステップ)、検証対象眼科用レンズ30の光学機能が期待光学特性に適合するか否か推定することを可能にする。
【0039】
検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性が期待光学特性に適合する場合、前記検査テスト・パターン60は、比較ステップにおいて使用された前記基準テスト・パターン70とほぼ同じである。
【0040】
図1〜17を参照して記述されている本発明による検証方法の例示的実施形態では、第1テスト・パターン20は変形テスト・パターンであり(図6参照)、また、第2テスト・パターン40は非変形テスト・パターンである(図4参照)。
【0041】
これの意味することは、変形テスト・パターン20が、コントラストを有する最初の文様を含む最初の物体の像を眼科用レンズ経由で決定することにより得られるコントラストを有する文様を含む物体であるということである。
【0042】
変形テスト・パターン20の文様は、したがって、光線のこの眼科用レンズの通過により変形された最初の文様に対応する。
【0043】
対照的に、第2テスト・パターン40は、非変形テスト・パターンである。そのコントラストを有する文様は、眼科用レンズにより引き起こされる最初の文様のどのような種類の変形によっても決定されない。
【0044】
有利には、本発明による検証方法を使用すると、ステップa)に先立ち、前記期待光学特性に応じて、かつ、より具体的には非変形テスト・パターン40にも応じて前記変形テスト・パターン20が決定される。
【0045】
より正確には、変形テスト・パターン20は、ステップa)に先立つステップ(図1のブロック2により表されている)において中間テスト・パターン80から作成されることが好ましい。中間テスト・パターン80自体は、図1のブロック1により概略的に示されているように、非変形テスト・パターン40から決定されることが好ましい。
【0046】
以下においてより詳しく説明する1つの特に有利な実施形態によると、中間テスト・パターン80は、初期光学条件下における期待光学特性を有する期待眼科用レンズ130経由の非変形テスト・パターン40の像である。
【0047】
これらの初期光学条件は、上述の方法により形成される像テスト・パターン50のための一定の光学条件に対応する中間テスト・パターン80を決定することを可能にする。
【0048】
したがって、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40は、変形テスト・パターン20が非変形テスト・パターン40の像からこの期待眼科用レンズ130経由で得られるものである限り、期待眼科用レンズ130により相互に密接に関係づけられていることが分かる。
【0049】
具体的には、期待眼科用レンズ130は、すべての眼科用レンズと同様に、光学収差を含んでいるため、この期待眼科用レンズ130経由の非変形テスト・パターン40の像は光学収差により変形される。
【0050】
一定の光学条件が初期光学条件に対応する様子は、図2及び3に照らして理解される。
【0051】
ブロック1は、先行ステップの光学計算に対応することが好ましい。これの意味することは、中間テスト・パターン80が期待眼科用レンズ130に応じて非変形テスト・パターン40から光線追跡方法により計算されるということである。これについては、以下において更に詳しく説明する。
【0052】
図2、9、10及び11は、本発明による方法の実行を可能にする検証装置10の4種類の実施形態を示している。
【0053】
この検証装置10は、ここでは垂直構成で示されているが、この装置はこの構成に限定されないことが理解される。それにも関わらず、以下においては、この垂直構成に対応するこの検証装置の頂部及び底部について述べることとする。
【0054】
装置10は、以下においてより詳しく説明する種々の要素を搭載するための手段を備えるフレーム14を含んでいる。
【0055】
検討する装置10の実施形態の如何にかかわらず、この装置は、期待光学特性に対する適合性を検証しようとする検証対象眼科用レンズ30を支えることができる第1支持台11を含んでいる。
【0056】
この第1支持台11は、ここでは、ほぼ水平な姿勢で置かれている。
【0057】
この第1支持台11は、不透明であることが好ましい。それは、その中心に開口部18Aを有しており、それにより第1支持台11上に置かれた検証対象眼科用レンズ30を光線が通過する。
【0058】
開口部18Aはエッジ18Bにより取り囲まれており、それにより検証対象眼科用レンズ30の輪郭が支持される。
【0059】
開口部18Aのエッジ18Bは、検証対象眼科用レンズ30が開口部18Aに面して適切に支持されるような形状及び寸法値を有している。
【0060】
検証対象眼科用レンズ30は、ここでは、例えば凸面及び球面の前面31を有しており、また、第1支持台11上の検証対象眼科用レンズ30の円形開口部18A周りの運動は制限されている。したがって、ここでは、対象眼科用レンズ30の位置決めは、それにより容易になる。
【0061】
第1支持台11は、更に、開口部18A上の検証対象眼科用レンズ30を芯出しする手段を含むことが好ましい。それは、例えば、第1支持台11上に配置される爪の仕組み(この爪が検証対象眼科用レンズ30の外縁に設けられる凹みと適切に噛み合う)に関係する。
【0062】
次に、これらの爪は、眼科用レンズを所望の位置に保持するために凹みに挿入される。
【0063】
第1支持台11は、開口部18Aの中心を正確に指すことを可能にする位置決め手段を含むこともできる。それは、例えば開口部18Aのいずれかの側に描かれる一連の線に関係する。
【0064】
次に、検証対象眼科用レンズ30は、その面31、32の一方の上に置かれる恒久的又は一時的位置決め手段も含んでいる。それは、例えば、レンズを中心に置くために使用されるマーキング又は検証対象眼科用レンズ30の面31、32の少なくとも一方に貼付される透明なラベルに関係する。前記ラベルは、検証対象眼科用レンズ30の一定のメリディアンの位置決めを可能にする1本以上の線を含む。検証対象眼科用レンズ30の標識と第1支持台11の位置決め線が一線に揃うようにする開口部18Aに対する検証対象眼科用レンズ30の位置決めは、検証対象眼科用レンズ30が第1支持台11の開口部18Aに対して正確に中心に置かれるようにすることを可能にする。
【0065】
1つの変形形態として、第1支持台を透明とし、したがって開口部を含まないようにすることもできる。
【0066】
装置10は、ここでは、変形テスト・パターン20を支えることができる第2支持台12も含んでいる。
【0067】
この第2支持台12の構成は、想定する実施形態に応じて変化し、これについては以下において更に詳しく述べる。
【0068】
変形テスト・パターン20は、図2及び9に示した実施形態の場合のようにアナログ・パターン、即ち物理媒体により運ばれるパターン、又は図10及び11に示した実施形態の場合のようにデジタル・パターン、即ち、電子処理装置又は情報処理装置のメモリに記憶され、かつ、デジタル装置上に表示されるパターンとすることができる。
【0069】
後者の場合、デジタル変形テスト・パターン20を表示するための手段を設ける。これらの表示手段は、更に、以下において詳細に述べるように、前記第2支持台及び/又は前記照射手段を形成することができる。装置10は、更に、ここで変形テスト・パターン20に光を当てることができる照射手段15を含んでいる。
【0070】
照射手段15は、以下において種々の実施形態について更に詳しく述べるように、直接又は間接光源を含むことができる。
【0071】
表現「直接光源」は、ここでは、他の光源がない状態で本質的に光線を発射する光源を意味するものと理解される。
【0072】
表現「間接光源」は、別の光源により発射された光を反射及び/又は散乱する二次光源を意味するものと理解される。それは、したがって周辺光により照射された単純白色表面に関係するであろう。
【0073】
装置10は、更に、像テスト・パターン50の像を捕捉することができる像収集手段91を含む。この第1の実施形態では、像テスト・パターン50は、検証対象眼科用レンズ30経由の変形テスト・パターン20の像である。
【0074】
像収集手段91は、好ましくは、特定の瞬間において像を捕捉することを可能にするデジタル・ビデオ・カメラである。
【0075】
1つの変形形態として、それは、例えば、カメラ、携帯電話又はタブレット・コンピュータのビデオ・カメラとすることもできる。
【0076】
装置10は、検査テスト・パターン60を形成するために、像テスト・パターン50をここでは非変形テスト・パターン40と結合することができる像結合手段(13;92;103)も含む。
【0077】
装置10は、最後に、検査テスト・パターン60を表す信号を送り出す前記像結合手段92と通信することができる電子処理手段95を含む。
【0078】
電子処理手段95は、したがって、検査テスト・パターン60を少なくとも1つの基準テスト・パターン70と比較し、かつ、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を推定するようにプログラムされる。換言すると、電子処理手段95は、検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を表す信号を送り出すために、検査テスト・パターン60を表す信号を分析する。
【0079】
像収集手段91及び電子処理手段95は、電子処理チェーン90の一環を形成する。
【0080】
図2に示す装置10の第1実施形態では、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40は、以下において更に詳しく説明するように、それぞれ、物理媒体により形成されるアナログ・テスト・パターンである。
【0081】
第1支持台11は、装置10のフレーム14の中央部分に配置される。
【0082】
前記照射手段15は、装置10のフレーム14の端部の一方、ここでは、装置の底端に配置される。また、前記像収集手段91は、装置10の他の端部、ここでは、この装置の上端に配置される。
【0083】
実際には、照射手段15は、ここでは、白色光を発射する蛍光管16及び蛍光管16から発射される光の分布を一様にすることができる散乱装置からなる機構を含む。散乱装置17は、例えば、散乱層により被覆された半透明ガラス板から構成される(ここでは、第1支持台11に平行に配置されている)。ここでは、これらの照射手段15は、直接光源である。
【0084】
変形テスト・パターン20の第2支持台12は、第1支持台11と照射手段15の間にほぼ平行に配置される。
【0085】
変形テスト・パターン20のこの第2支持台12は、検証対象眼科用レンズ30の第1支持台11から第1距離D1に置かれる。
【0086】
照射手段15から受ける光を最適に、即ち歪み、吸収及び散乱を最小にする方法により送り出すために、第2支持台12は、好ましくは、鉱物又は有機ガラス及び例えばポリメチル・メタクリル樹脂又はポリカーボネートから製造される薄い透明板から構成する。これは薄い板であり、例えば、厚さ1ミリメートル未満である。
【0087】
1つの変形形態として、第2支持板は、変形テスト・パターンに光を当てることを可能にするために、照射手段から出された光を通過させるのに適する寸法及び形状の開口部を中心部に穿った不透明な板から構成することもできる。
【0088】
変形テスト・パターン20は、少なくとも部分的に透明なフィルムを含んでいる。前記変形テスト・パターン20は、例えば文様23を透明プラスチック製のシート22に印刷することにより形成される。この文様は、色付き又は一定の階調レベルを有する種々のレベルの透明性を有することができる。
【0089】
これらの文様は、例えば、完全に透明又は完全に不透明とすることができる。
【0090】
したがって、変形テスト・パターン20は、変形テスト・パターン20に存在する種々の文様に応じた強度及び/又は色の分布を有する光を送り出す。したがって変形テスト・パターン20のコントラストは一様ではないことが理解される。
【0091】
変形テスト・パターン20の例示実施形態を図6に示す。この変形テスト・パターン20は不均一なコントラストをもち、かつ、ここでは、不規則なタイル張りを形成する不透明な黒色文様23を有する透明シート22を含んでいる。
【0092】
ここで不透明な黒色文様23が光を完全に吸収するのに対し、図6において白色で表されている部分は透明であること、即ちこれらの部分はほぼすべての光を透過させることを理解しなければならない。
【0093】
図2の装置10は、更に、非変形テスト・パターン40を支えることができる第3支持台13を含んでいる。
【0094】
第2支持台12について述べたことと同じ理由により、第3支持台13は、好ましくは薄い透明板を含む。
【0095】
1つの変形形態として、第3支持台13は、非変形テスト・パターン40に光を当てることを可能にするために、検証対象眼科用レンズ30を通過した光を通過させるのに適する寸法及び形状の開口部を中心部に穿った不透明な板を含むこともできる。
【0096】
第3支持台13は、第1支持台11と像収集手段91の間に配置される。ここで第3支持台13は、眼科用レンズ30の第1支持台11から第2距離D2に置かれる。
【0097】
非変形テスト・パターン40は、アナログ・テスト・パターンである。それは、変形テスト・パターン20と同様に、種々の透明レベルの文様を含む少なくとも部分的に透明なフィルム又はシートから構成される。この文様は、色付きであるか又は一定の階調レベルを有する。
【0098】
図4に示した非変形テスト・パターン40の例示実施形態では、このパターンは、透明なシート42及び規則的なタイル張りを形成する不透明な黒色正方形文様43を含んでいる。非変形テスト・パターン40の文様は、したがって規則正しく、かつ、まったく変形されていない。したがって、非変形テスト・パターン40のコントラストが不均一なことが分かる。
【0099】
前記と同様に、図4において黒色で表された文様は眼科用レンズ30から到来した光をほぼ全部吸収するのに対し、白色の文様は透明である、即ち、それは光を透過させる。したがって、図4の非変形テスト・パターン40は、例えば透明なフィルム上に印刷することにより作ることができる。
【0100】
図4の非変形テスト・パターン40から図6の変形テスト・パターン20を作成する方法について、以下において詳しく説明する。
【0101】
1つの変形形態として、非変形テスト・パターンを図6に示した種類のテスト・パターン(変形された黒色方形を有する)とし、それにより、期待眼科用レンズに応じて非変形テスト・パターンから得た変形テスト・パターンが図4に示した種類のテスト・パターンとなるようにすることができる。
【0102】
本発明による検証装置を構成する種々の光学要素、即ち、変形テスト・パターン20、検証対象眼科用レンズ30、非変形テスト・パターン40及び前記像収集手段91の相対的位置は、正確に、即ち約0.1ミリメートルの位置決め精度で、第1、第2及び第3支持台11、12、13の装置10のフレーム14に対する相対位置により設定される。
【0103】
この目的のために、装置10は、第1及び第2支持台11、12、前記照射手段15及び前記像収集手段91を相互に位置づけることを可能にする調整手段を含んでいる。
【0104】
この調整手段は、例えば、装置10のフレーム14の垂直支柱の少なくとも1つに設けられる目盛り付きスケールを含んでいる。この調整手段は、第1支持台11、第2支持台12及び第3支持台13のそれぞれに設けられる指示手段も含み得る。この指示手段は、目盛り付きスケール上の対応する目盛りを読むことにより、これらの支持台のそれぞれの位置を決定することを可能にする。
【0105】
更に、変形テスト・パターン20及び/又は非変形テスト・パターン40を検証対象眼科用レンズ30に対して非常に正確に位置づけるために、変形テスト・パターン20及び/又は非変形テスト・パターン40も固有の位置決め手段27、28、29、47、48、49を含んでおり、これらの手段は、検証対象眼科用レンズ30の表面にある極小エッチング又はこの検証対象眼科用レンズ30上に置かれるその他の任意の恒久的又は一時的標識と相互作用するのに適している。
【0106】
眼科用レンズ30の極小エッチング又は恒久的又は一時的標識は、例えば、線、点又はその他の任意の特定の図形を形成する。それは、例えば、レンズの製造中にその芯出しを行うために使用されるマーキングに関係する。
【0107】
変形テスト・パターン20を位置づけるための手段27、28、29及び/又は非変形テスト・パターン40を位置づけるための手段47、48、49は、基準点又は特定の図形、例えば、線、円、方形又は十字とすることができる。前記位置決め手段27、28、29、47、48、49は、前記変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40上の種々の位置に配置される。
【0108】
図4及び6に示した例では、例えば2つの円形位置決め点27、28、47、48及び方形29、49が変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40のそれぞれの上に設けられている。
【0109】
したがって、眼科用レンズ30は、変形テスト・パターン20及び/又は非変形テスト・パターン40上に置かれている位置決め手段27、28、29、47、48、49を像収集手段91により記録された像中の検証対象眼科用レンズ30の表面にある微小エッチングに重ねることにより、変形テスト・パターン20及び/又は非変形テスト・パターン40に対して正確な横断方向位置に配置され得る。
【0110】
更に、第2及び第3支持台12、13のそれぞれが対応変形テスト・パターン20又は非変形テスト・パターン40を支えるための手段を含むようにすることもできる。これは、変形テスト・パターン20の非変形テスト・パターン40に対する横断方向位置決めを容易にする。それは、例えばスライド・レールに関係してもよい。この場合、対応テスト・パターンは、これらのスライド・レールとの相互作用に適するフレームを含み得る。
【0111】
像収集手段91は、非変形テスト・パターン40の第3支持台13の上方、第3距離D3に置かれており、これにより第3支持台13は、検証対象眼科用レンズ30の第1支持台11と前記像収集手段91の間に位置を占める。
【0112】
それぞれ、第1及び第2支持台11、12、第1及び第3支持台11、13並びに第3支持台13及び像収集手段91を隔てる第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3は、検証装置10を使用する一定の光学条件を少なくとも部分的に形成する。
【0113】
これらの距離は、以下においてより詳しく説明するように、非変形テスト・パターン40から変形テスト・パターン20を計算するために使用される初期光学条件に応じて前もって設定される。
【0114】
これらの距離は、したがって、レンズの期待光学特性に依存する。
【0115】
第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3は、とりわけ、装置10において像テスト・パターン50(即ち、ここでは、検証対象眼科用レンズ30経由の変形テスト・パターン20の像)を非変形テスト・パターン40の位置している平面にほぼ一致する平面に形成することができるように、設定される。
【0116】
したがって、この第1実施形態では、前記像結合手段は、非変形テスト・パターン40の第3支持台13を含んでいる。具体的には、ここで非変形テスト・パターン40を像テスト・パターン50の平面に正確に位置づけし、それによりこの平面において、非変形テスト・パターン40と像テスト・パターン50を重ね合わせて検査テスト・パターン60(このパターンの像が前記像収集手段91により捕捉される)を形成することができるのは、第3支持台13によるものである。
【0117】
検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証しようとする技師は、前記検証対象眼科用レンズ30及び関連変形テスト・パターン20を受け取り、これらを本発明による装置10にセットする。
【0118】
変形テスト・パターン20は、装置10の一定の光学条件と関連する。
【0119】
したがって、技師により受け取られた変形テスト・パターン20は、1番目の可能性に従って第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3について使用するべき値を伴っている。技師は、次に、上述した種々の調整手段により、装置の種々の要素の相対的位置を必要な値に応じて調整する。
【0120】
2番目の可能性に従って、第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3について使用するべき値を装置に応じて固定し、前もってセットする。技師が装置10について行うこれ以上の調整はない。
【0121】
非変形テスト・パターン40を技師の使用している検証装置10のそれぞれについて異なるものとし、それによりこの非変形テスト・パターン40を装置10の構成及び一定光学条件、特に一定距離D1、D2及びD3に適合させることができる。
【0122】
対照的に、所与の装置10において検証するすべての眼科用レンズについて同一の非変形テスト・パターン40を使用することも可能である。この場合、非変形テスト・パターン40は、装置10中に恒久的に配置することができる。
【0123】
実際には、本発明による方法を実行するために、技師は、受け取った検証対象眼科用レンズ30を装置10の第1支持台11の上に置く。技師は、次に第1支持台11及び検証対象眼科用レンズ30の面31、32の一方の上にある芯出し手段を使用してレンズの位置を調整する。
【0124】
検証対象眼科用レンズ30の前面31は、ここで、例えば、検証対象眼科用レンズ30の水平軸及び垂直軸を表す2本の線を含むラベルを含んでいる。
【0125】
この調整を行った後、技師は、図6に示した変形テスト・パターン20を装置10の第2支持台12の上に置く。
【0126】
これは、第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3が前もってセットされ、かつ、固定されている場合に関係する。
【0127】
1つの変形形態として、技師は、第1支持台11と第2支持台12の間の第1距離D1を装置10のフレーム14の目盛り付きスケールの手段により、変形テスト・パターン20とともに受け取った指示に応じて調整する。
【0128】
技師は、変形テスト・パターン20を検証対象眼科用レンズ30の中心に合わせるために、変形テスト・パターン20の位置決め点27、28を検証対象眼科用レンズ30の上にある微小エッチングに重ねる。
【0129】
これを行うために、技師は、像収集手段91により記録されている像を表示する。この手段は、種々の支持台11、12、13と構造的に一線に揃えられているため、捕捉された像は実際に種々のテスト・パターンの像を含んでいる。
【0130】
この調整を肉眼により行うことも考えられる。
【0131】
非変形テスト・パターン40は、ここでは固有であり、かつ、検証対象眼科用レンズ30から独立であるため、それは装置10中にすでに存在することが好ましい。
【0132】
また、構造により、非変形テスト・パターン40は、検証対象眼科用レンズ30の第1支持台11上においてすでに芯出しされている。第1支持台11と第3支持台13の間の距離もすでに適切なD2値に設定されている。
【0133】
本発明の1つの実施形態によると、第1、第2及び第3距離D1、D2及びD3は、次のように選択される:D1=20センチメートル(cm)、D2=5cm、及びD3=13cm。
【0134】
このように構成されているため、装置10は、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を検証するために使用することができる。
【0135】
ここでは、照射手段15から到来する光線は、変形テスト・パターン20により濾過され、検証対象眼科用レンズ30を通過し、そして前記像収集手段91により検出される。
【0136】
上述したように、この光線は、像テスト・パターン50、即ち検証対象眼科用レンズ30経由の変形テスト・パターン20の像を非変形テスト・パターン40の平面に形成する。
【0137】
次に技師が測定を開始し、そして、ビデオ・カメラ91が図7に示したような検査テスト・パターン60の像を収集する。
【0138】
像収集手段91は、次に、検査テスト・パターン60の像に応じて検査テスト・パターン60を表す信号を電子処理手段95に送り出す。
【0139】
前記検査テスト・パターン60を基準テスト・パターン70と比較するステップb)は、電子処理手段95により、例えば当業者により知られている像処理技術を用いて、デジタル的に行われる。
【0140】
図7の検査テスト・パターン60との比較のためにここで使用される基準テスト・パターン70を図8に示す。この基準テスト・パターン70は、ここでは、電子処理手段95のメモリに記憶されている。
【0141】
前述したように、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性が期待光学特性に一致するならば、前記像収集手段91により収集された検査テスト・パターン60は、基準テスト・パターン70に対応する。
【0142】
図8に示した基準テスト・パターン70は、ここでは黒色のみであり、したがって完全に一様なコントラストを有している。
【0143】
図7においてここに示した例では、検査テスト・パターン60が数個の白色領域61、62、63(ここでは3個の白色方形)を含んでいるのに対し、この検査テスト・パターン60の像の残余の部分は一様な黒色である。
【0144】
検査テスト・パターン60のコントラスト、色及び輝度は、検査テスト・パターン60がその全面積の5パーセント未満の広さを有する数個の領域を除いて、その全面積にわたり一様なコントラスト、色又は輝度を有しているならば、ほとんど一様であると言われる。
【0145】
図7に示した検査テスト・パターン60は、電子処理手段95により、例えば当業者により知られている像処理技術を使用して、図8に示した基準テスト・パターン70とデジタル的に比較される。
【0146】
この比較により検査テスト・パターン60の捕捉像の色及び/又はコントラスト及び/又は輝度特性が対応基準テスト・パターン70のそれらと完全に同じであることが示された場合、電子処理手段95は、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性が期待光学特性と一致する、即ちそれと同じであると推定する。
【0147】
この比較により、検査テスト・パターン60の捕捉像が基準テスト・パターン70の対応領域の色、コントラスト又は輝度と同一でない色及び/又はコントラスト及び/又は輝度を有する領域を含んでいることが示された場合、電子処理手段95は、検査テスト・パターン60と基準テスト・パターン70の像の間の相違を定量化する数値を決定する。
【0148】
この数値は、例えば、基準テスト・パターン70の対応領域の色、コントラスト及び/又は輝度と異なる色、コントラスト及び/又は輝度を有する領域に対応する検査テスト・パターン60の面積を表す数値である。
【0149】
これは、例えば、これらの領域に対応する検査テスト・パターン60の像のピクセルの個数に関係してもよい。
【0150】
電子処理手段95は、次にこの数量について決定した値を基準テスト・パターン70の相違領域の最大許容面積を表す閾値と比較する。
【0151】
この閾値は、例えば検査テスト・パターン60の像の合計面積の5パーセントに等しい面積に対応する。
【0152】
この数量について決定された値が前記閾値より小さい場合、電子処理手段95は、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性が期待光学特性に一致すると推定する。
【0153】
反対の場合、電子処理手段は、それが一致しないと推定する。
【0154】
実際には、ここでは、この比較により、検査テスト・パターン60の3個の領域(図7に示した検査テスト・パターン60の捕捉像において白色で出現する3個の領域61、62、63に対応する領域)が基準テスト・パターン70の対応する領域(この領域においてこれらの対応する領域は黒色である)と相違することが示される。
【0155】
これらの3個の領域61、62、63は、ここでは、検査テスト・パターン60の像の合計面積の5パーセント未満に相当する。
【0156】
したがって、電子処理手段95は、検証対象眼科用レンズ30が期待光学補正に一致する検証対象光学補正を与えると推定する。
【0157】
当業者は、検査テスト・パターン60と基準テスト・パターン70の間の上記比較方法を、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合性を推定するための非変形テスト・パターン40及び変形テスト・パターン20の任意の実施形態に適合させる方法を知るであろう。
【0158】
電子処理手段95は、比較の結果を技師に指示する表示手段99も含むことが好ましい。
【0159】
上述したように、変形テスト・パターン20は、非変形テスト・パターン40に応じて決定される。
【0160】
より具体的には、変形テスト・パターン20は、中間テスト・パターン80(その例は図5に示されている)に応じて作成される。この中間テスト・パターン80は、非変形テスト・パターン40から期待光学特性に応じて決定される。
【0161】
図3は、図6の変形テスト・パターン20を作成するステップ6及び光線追跡計算を用いて図4に示されている非変形テスト・パターン40から図5の中間テスト・パターン80を決定するステップ5を実行する方法を詳細に示している。
【0162】
これを行うために、期待光学特性を有する期待眼科用レンズ130を検討する。中心Cの観察瞳孔19及び非変形テスト・パターン40の平面41も検討する。
【0163】
非変形テスト・パターン40が図4に示されている。ここでは、それは、4M個のコーナーS(i,j)(1≦j≦4)により画定されるM個の黒色及び白色の方形文様P(i)(1≦i≦M)の規則正しいタイル張りから構成されている。
【0164】
変形テスト・パターン20を作成するために、第1ステップにおいて、中間テスト・パターン80、即ち期待眼科用レンズ130経由の非変形テスト・パターン40の像を光線追跡方法を用いて計算する。これを行うために、以下のステップを順次実行する:
− 観察瞳孔19の中心C及び非変形テスト・パターン40に属するコーナーS(i,j)を通過する光線82を計算する。
− この入射光線82を期待眼科用レンズ130に至るまで延長する。
− 期待眼科用レンズ130から出射する光線83を決定するために、入射光線82の経験する偏移を計算する。
− 出射光線83と中間テスト・パターン80の平面81との交点(点Sdef(i,j)における)を計算する。及び
− 上記のステップを非変形テスト・パターン40のすべてのコーナーS(i,j)について繰り返す。
【0165】
光線追跡計算を行うために、次のように種々の要素を互いに関連づけて配置する:
− 期待眼科用レンズ130を中間テスト・パターン80の平面81から第1距離D11に配置する。
− 非変形テスト・パターン40の平面41を期待眼科用レンズ130から第2距離D12に配置する。及び
− 観察瞳孔19を非変形テスト・パターン40の平面41の上方、第3距離D13に配置する。
【0166】
これらの第1、第2及び第3距離D11、D12及びD13は、中間テスト・パターン80、期待眼科用レンズ130、非変形テスト・パターン40、及び観察瞳孔19(これらは、変形テスト・パターン20の構造の初期光学条件を構成する)の相対的位置を規定する。
【0167】
図2に示されているように配置されているような変形テスト・パターン20を作成するために使用される図3の光線追跡計算の場合、観察瞳孔19、非変形テスト・パターン40、期待眼科用レンズ130、及び中間テスト・パターン80のそれぞれの相対的位置は、像収集手段91、像テスト・パターン50、検証対象眼科用レンズ30及び変形テスト・パターン20のそれぞれの相対的位置と同じである。
【0168】
中間テスト・パターン80の平面81と期待眼科用レンズ130の間の第1距離D11は、したがって、先に図2において定義した変形テスト・パターン20と検証対象眼科用レンズ30の間の第1距離D1に等しい。同様に、期待眼科用レンズ130と非変形テスト・パターン40の平面41の間の第2距離D12は、検証対象眼科用レンズ30と非変形テスト・パターン40の間の第2距離D2に等しい。また、非変形テスト・パターン40と観察瞳孔19の間の第3距離D13は、非変形テスト・パターン40と前記像収集手段91の間の第3距離D3に等しい。
【0169】
上述したような光線追跡計算は、非変形テスト・パターン40の多角形P(i)に関係づけられるM個の四角形文様Pdef(i)を中間テスト・パターン80の平面81において決定することを可能にする。これらの四角形Pdef(i)は、変形された規則的タイル張りの文様を形成する。したがって、図5に示したような中間テスト・パターン80が得られる。
【0170】
図5は、検証対象眼科用レンズ30に対応する期待眼科用レンズ130経由の光線追跡計算を行うこと及び以下の光学補正を行うことにより図4(上述した)の非変形テスト・パターン40から得られた中間テスト・パターン80を示す:球面度数=2ジオプター(δ)、加入=2δ、及び円柱=0δ。
【0171】
図5が示すように、中間テスト・パターン80は、非変形テスト・パターン40の形状とは異なる全体的形状を有している。そして、計算のために使用される期待眼科用レンズ130により導入される種々の変形のために、黒色又は白色の文様は、もはや方形ではなく、それがテスト・パターンに占める位置に依存する形状を有する。
【0172】
図5に示した中間テスト・パターン80から、図5に示した中間テスト・パターン80の「ネガ」を取ることにより、図6に示したような変形テスト・パターン20がここで第2ステップにおいて得られる。実際には、それは、ここでは、不透明な文様と透明な背景の分布を反転することに関係する。したがって、変形テスト・パターン20のコントラストは不均一である。
【0173】
更に、図6は、変形テスト・パターン20の文様がここでは図4に示されている非変形テスト・パターンのそれのように規則正しくなく、期待眼科用レンズ130により導入された種々の歪みのために変形されていることを示している。
【0174】
1つの変形形態として、上述したような変形テスト・パターンを作成する際に、変形テスト・パターンの文様の色を選択して中間テスト・パターンを変形し、それにより、像テスト・パターンを非変形テスト・パターンに重ねたときにロゴ、形状又は文字列などの認識可能な標識の現れる検査テスト・パターンを形成することができる。
【0175】
この変形形態によると、認識可能な標識は、検証対象眼科用レンズから独立である。この認識可能な標識記号は、例えば、あり得る偽造を防止するために、前もって設定し、かつ、選択することができる。
【0176】
本説明の残余の部分に関して、それぞれ、図4、5及び6に示した非変形テスト・パターン40、中間テスト・パターン80及び変形テスト・パターン20は、図9、10及び11において説明する実施形態においても使用することとする。これは、変形テスト・パターン20及び/又は非変形テスト・パターン40がアナログであるかデジタルであるかに関係なく適用する。
【0177】
図9に示した装置10の第2の実施形態では、非変形テスト・パターン40は、アナログ・テスト・パターン、即ち、図2に関連して上述した装置10の第1実施形態の場合のように装置10中に実在する物理的テスト・パターンではない。
【0178】
ここでは、非変形テスト・パターン40は、デジタル、即ち、それが非変形テスト・パターン40の記憶及び送出に適するデジタル媒体中にのみ存在する限りにおいて「バーチャル」である。
【0179】
装置10は、したがって非変形テスト・パターン40のための第3支持台を含んでいない。
【0180】
電子処理チェーン90は、ここではメモリ中に非変形テスト・パターン40を保持する記憶装置93を含んでいる。この記憶装置93は、ここでは携帯電話のメモリである。
【0181】
1つの変形形態として、それは、デスクトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータのメモリ又はデジタル媒体中に非変形テスト・パターンの記憶を可能にする任意の手段に関係してもよい。
【0182】
照射手段15、第1及び第2支持台11、12及び前記像収集手段91は、図2に関連して第1実施形態について説明したものと同じである。
【0183】
第3支持台を設けないこと及びデジタル非変形テスト・パターン40を使用することのために、前記像収集手段91は、ここでは検証対象眼科用レンズ30と前記像収集手段91の間に含まれる平面において像テスト・パターン50の像を捕捉するのに適する。
【0184】
像収集手段91は、したがって、第1実施形態の場合のように、検査テスト・パターン60の像を捕捉しない。
【0185】
像結合手段92は、ここではデジタルかつ電子的である。
【0186】
像結合手段は、ここでは、ビデオ・カメラ91により与えられる像テスト・パターン50を表す信号及び記憶装置93により与えられる非変形テスト・パターン40を表す信号を受け取るのに適している。
【0187】
像結合手段92は、したがって、検査テスト・パターン60を形成するため及び検査テスト・パターン60を表す信号を送り出すために、像テスト・パターン50を非変形テスト・パターン40とデジタル的に結合することができる。検査テスト・パターン60を表すこの信号は、次に分析のために電子処理手段95に送出される。
【0188】
より具体的には、図9の第2実施形態では、電子処理手段95は、以下を含んでいる:
− 前記像結合手段92とローカル・ネットワーク、例えばイーサネット・ケーブル97経由で前記像結合手段92と直接通信するのに適するローカル処理装置96、及び
− 例えばインターネット経由でローカル処理装置96と通信するのに適する遠隔処理装置98。
【0189】
ローカル処理装置96は、ここでは、遠隔処理装置98に検証対象眼科用レンズ30の基準を伝え、そして、遠隔処理装置98は、伝えられた基準に応じて前記検証対象眼科用レンズ30に関する基準テスト・パターン70をローカル処理装置96に与える。
【0190】
検証対象眼科用レンズ30の基準は、例えば以下の情報を含む:製品の名称、関連処方、着装位置パラメータ及び個人情報。
【0191】
ローカル処理装置96は、次に、像結合手段92から受け取った検査テスト・パターン60を基準テスト・パターン70と比較する動作3を行い、続いて検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合又は非適合を推定する動作4を行う。
【0192】
1つの変形形態として、ローカル処理装置は、遠隔処理装置に検証対象眼科用レンズの基準及び前記像結合手段により与えられた検査テスト・パターンを表す信号を伝える。次に、遠隔処理装置は、ローカル処理装置から受け取った検査テスト・パターンを検証対象眼科用レンズに関する基準テスト・パターンと比較する動作を行う。このレンズの基準は、ローカル処理装置により、すでにそこに伝えられている。
【0193】
次に、検証対象光学特性の期待光学特性に対する適合又は不適合を推定する動作が遠隔処理装置により行われる。
【0194】
図9の装置10の第2実施形態では、前記像収集手段91により与えられる信号(像テスト・パターン50を表す信号)又は前記像結合手段92により与えられる信号(検査テスト・パターン60を表す信号)を受け取って、それを表示するのに適する像表示手段99を設けて、それらが技師により視覚的に観察できるようにすることが好ましい。
【0195】
像表示手段99は、ここでは、デジタル・モニタである。
【0196】
1つの変形形態として、それは、例えば、ほぼ白い反射スクリーン、すりガラス・シート又は散乱フィルム被覆ガラス・シートなど、カメラ又はデジタル・ビデオ・カメラのスクリーン、携帯電話又はタブレット・コンピュータ又は像を表示するのに適する媒体に関連づけられるイメージ・プロジェクタのスクリーンでよい。
【0197】
前記表示手段99は、電子処理手段95により与えられる基準テスト・パターン70を表す信号の受信及び表示にも適していることが好ましい。それにより、前記像表示手段上に基準テスト・パターン70に加えて検査テスト・パターン60も表示できるようになり、それらも眼鏡技師から観察可能となる。
【0198】
第2実施形態の1つの変形形態によると、前記像収集手段及び前記像表示手段は、同一捕捉及び表示装置の一部を形成する。
【0199】
それは、例えば、少なくともデジタル・ビデオ・カメラとデジタル・ディスプレイ・スクリーンの両方を含む携帯電話又はタブレット・コンピュータに関係してもよい。
【0200】
実際には、本発明による方法を実行するために、技師は、まず、検証対象眼科用レンズ30及び変形テスト・パターン20について、図2に関して上述した第1実施形態において上述したのと同じ操作を行う。
【0201】
技師は、慎重に注意しつつ、装置10のフレーム14上に配置されている調整手段により以下を行う:
− 検証対象眼科用レンズ30をビデオ・カメラ91から距離D223に置く、及び
− 変形テスト・パターン20を検証対象眼科用レンズ30から距離D21に置く。
【0202】
これらの距離D21及びD223は、それぞれ、第1実施形態の距離D1及び距離D2とD3の和に等しく、かつ、装置10の一定光学条件を少なくとも部分的に形成する。この条件は、第1実施形態の場合と同様に、変形テスト・パターン20を計算するために使用された初期光学条件と同じである。
【0203】
ここで検討している実施形態では、この条件は、変形テスト・パターン20に関係しており、かつ、このパターンとともに与えられるか、又は実際には固定されており、変形テスト・パターン20はそれに従って計算される。
【0204】
技師は、次に、自分の携帯電話(それは、ここでは、前記記憶手段93を形成する)を適切なデータ・ケーブルにより前記像結合手段92に接続する。技師は、次に、自分の携帯電話上で専用アプリケーションを起動し、それに対し検証対象眼科用レンズ30の基準を指示する。それに応じて、このアプリケーションは、携帯電話のメモリから検証対象眼科用レンズ30に対応する非変形テスト・パターン40を検索し、それを前記像結合手段92にデータ・ケーブル経由で伝える。
【0205】
像結合手段92は、次に、検査テスト・パターン60を形成するため、及びそれにより検査テスト・パターン60を表す信号を電子処理手段95に与えるために、像テスト・パターン50を携帯電話から与えられた非変形テスト・パターン40と電子的かつデジタル的に結合する。
【0206】
電子処理手段95は、次に、受け取った検査テスト・パターン60を検証対象眼科用レンズ30の基準に応じて少なくとも1つの基準テスト・パターン70と比較する。前記処理手段は、次に、検証対象眼科用レンズ30の検証対象光学特性の期待特性に対する適合又は非適合を表す信号を与える。
【0207】
適合又は非適合を表す信号は、例えば、それぞれ、緑色表示灯及び赤色表示灯とすることができる。
【0208】
1つの変形形態として、電子処理手段95は、検査テスト・パターン60を表す信号を像表示手段99に送ってそれを表示させる動作も行う。像表示手段99は、ここでは、デジタル・モニタであり、その上で技師は、例えば検査テスト・パターン60の外観を検査することができる。
【0209】
像表示手段99は、上述したような表示灯を使用して適合性を表す信号を表示することもできる。
【0210】
図10に示した装置10の第3実施形態においては、変形テスト・パターン20は、ここでは、デジタルであり、携帯電話25の表示スクリーン上に表示される。
【0211】
1つの変形形態として、それは、モニタ又はMP3プレーヤ又はタブレット・コンピュータのスクリーンとすることができる。
【0212】
表示スクリーンは、携帯電話25に内蔵されている照射手段15により照射される。ここでは、それは、この表示スクリーンのバックライト・システムに関係する。
【0213】
表示スクリーンは、単一の像、一連の像、又はビデオの表示を可能にする。
【0214】
この表示スクリーンは、変形テスト・パターン20が検証対象眼科用レンズ30から距離D31の位置を占めるように位置づけられる不透明なプレートにより支持される。この不透明なプレートは、したがって第2支持台12の役割を果たす。
【0215】
距離D31は、ここでは、第1及び第2実施形態において記述された距離D1に等しい。
【0216】
この第3実施形態による装置10の残余の部分は、第2実施形態に関して述べたものと同様である。
【0217】
具体的には、第1支持台11及び電子処理チェーン90は、第2実施形態のそれらと同じである。
【0218】
装置10は、次に、第2実施形態の場合と同様に、像テスト・パターン50、即ち検証対象眼科用レンズ30経由の変形テスト・パターン20の像の形成及び前記像収集手段91によるその捕捉を可能にする。
【0219】
実際には、本発明による方法を実行するために、技師は、第1実施形態の場合と同様に、検証対象眼科用レンズ30を装置10の第1支持台11の上に置く。
【0220】
技師は、注意しつつ、装置10のフレーム14上に配置されている調整手段により、検証対象眼科用レンズ30をビデオ・カメラ91から距離D323に置く。この距離は、第1及び第2実施形態の距離D2とD3の和及び距離D223のそれぞれに等しく、かつ、同様な方法により決定される。
【0221】
検証対象眼科用レンズ30は、上述したように、基準を伴って技師に送付される。
【0222】
技師は、次に、携帯電話25上の専用アプリケーションを起動し、それに検証対象眼科用レンズ30の基準を指示する。それに応じて、このアプリケーションは、携帯電話のスクリーン上に変形テスト・パターン20を表示する。
【0223】
これを行った後に、技師は、変形テスト・パターン20を装置10の第2支持台12の上に置く。装置10のフレーム14に配置されている目盛り付きスケールの手段により、技師は、第1支持台11と第2支持台12の間の距離D31を任意選択的に調整することができる。
【0224】
携帯電話のスクリーン上に表示される変形テスト・パターン20は、2つの位置決め点を含んでいる。技師は、変形テスト・パターン20を検証対象眼科用レンズ30の中心に置くために、これらの点を使用してこれらを検証対象眼科用レンズ30上にある微小エッチング上に重ねる。
【0225】
像収集手段91は、次に像テスト・パターン50の像を取得し、それを前記像結合手段92に送る。
【0226】
この方法の残余の部分は、第2実施形態に関して記述した方法と同じ方法により実行される。
【0227】
技師は、更に、変形テスト・パターン20を表示するために使用した携帯電話を再び取り出し、それを記憶装置93として利用することにより非変形テスト・パターン40を第2実施形態において上述したような前記像結合手段92に送り出すこともできる。
【0228】
図11に示した装置10の第4実施形態では、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40は、表示スクリーン26、46上に表示される。
【0229】
第1支持台11及び電子処理チェーン90は、第1実施形態のそれらと同じである。
【0230】
装置10は、変形テスト・パターン20の第2支持台12を支えるのに適するように、その一方の側壁に配置されている(ここでは、その底部に)第1開口部141を有している。
【0231】
変形テスト・パターン20は、表示スクリーン26(ここではビデオ・モニタ)から構成されている。
【0232】
1つの変形形態として、それは、例えば携帯電話、MP3プレーヤ又はタブレット・コンピュータのスクリーンに関係してもよい。
【0233】
照射手段15は、ここではビデオ・モニタに内蔵されている。ここでは、それはモニタのバックライト・システムに関係する。
【0234】
ビデオ・モニタは、ここではデジタル・ビデオの表示を可能にする。それは、単一の像又は一連の像を表示するように適合させることができる。
【0235】
装置10は、ここでは更に、その底部に平面鏡101を含む。それは、ほぼ45度に置かれた半透明鏡102も含んでいる。それは、変形テスト・パターン20から到来する光を平面鏡101の方向に反射し、次に、平面鏡101により反射された光を検証対象眼科用レンズ30に送り出すことを可能にする。
【0236】
変形テスト・パターン20は、半透明鏡102から距離D141に置かれる。
【0237】
第1支持台11は、半透明鏡102から距離D142に置かれ、このとき距離D141とD142の和が距離D41に等しくなる。この距離は、第1実施形態における変形テスト・パターン20と検証対象眼科用レンズ30の間の第1距離D1に等しい距離である。
【0238】
このように構成された装置10は、像テスト・パターン50、即ち検証対象眼科用レンズ30経由の変形テスト・パターン20の像の形成を可能にする。
【0239】
装置10は、更に、第1開口部141と同じ側壁であるがここでは頂部に位置する第2開口部142を有している。これは、非変形テスト・パターン40の配置を可能にする第3支持台13を支えるのに適している。
【0240】
ここでは、非変形テスト・パターン40は、デジタルであり、表示スクリーン46(ここではビデオ・モニタ)に表示される。
【0241】
1つの変形形態として、それは、例えば、携帯電話、MP3プレーヤ又はタブレット・コンピュータのスクリーンとすることできる。
【0242】
表示スクリーン46は、ビデオ・モニタ内蔵の照射手段152により照射される。ここでは、それは、モニタのバックライト・システムに関係する。
【0243】
ビデオ・モニタは、ここでは、デジタル・ビデオの表示を可能にする。それは、単一の画像又は一連の画像を表示するように適合させることができる。
【0244】
この第4実施形態によると、表示手段のそれぞれに変形テスト・パターン20及び元のテスト・パターン40の同期ビデオを一斉送信することができる。
【0245】
最後に、装置10は、ほぼ−45°に置かれた半透明鏡103を含んでいる。これは、非変形テスト・パターン40から到来する光を前記像収集手段91の方向に反射することを可能にする。
【0246】
半透明鏡103は、眼科用レンズ30から距離D241及び非変形テスト・パターン40から距離D234に置かれる。
【0247】
像収集手段91は、半透明鏡103から距離D341に置かれ、それにより:
− 距離D234とD241の和は、検証対象眼科用レンズ30と非変形テスト・パターン40の間の第2距離D2に等価の距離D42に等しい、また
− 距離D241とD341の和は、非変形テスト・パターン40と前記像収集手段91の間の第3距離D3に等価の距離D43に等しい。
【0248】
種々の距離D141、D142、D241、D234及びD341がこのように定義され、中間テスト・パターン80は、図3に関して記述した方法と同じ方法により計算することができる。
【0249】
第4実施形態の場合、前記像結合手段は、半透明鏡103を含んでいる。ここで像テスト・パターン50の平面において非変形テスト・パターン40を正確に位置づけることができ、それにより、この平面において、非変形テスト・パターン40と像テスト・パターン50を重ね合わせて検査テスト・パターン60(この検査テスト・パターンの像が前記像収集手段91により捕捉される)を形成することができるのは、特に、この半透明鏡103によるものである。
【0250】
像収集手段91は、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40に適合されたビデオ周波数の像を捕捉することができる。像収集手段91は、したがって、ここではデジタル・カメラとすることが好ましい。
【0251】
同様に、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40が単一の像又は一定の間隔で表示される一連の像である場合、前記像収集手段91は、例えばデジタル・カメラとすることができる。
【0252】
実際には、本発明による方法を実行するために、技師は、上記と同様に、受け取った検証対象眼科用レンズ30を装置10の第1支持台11の上に置く。
【0253】
構造により、第4実施形態の装置10は、変形テスト・パターン20及び非変形テスト・パターン40の第2及び第3支持台12、13が、それぞれ、装置10にすでに位置づけられている限りにおいて、追加調整を必要としない。
【0254】
本発明による方法のその他のステップは、第1実施形態に関して説明した方法と同様である。
【0255】
上述したすべての実施形態に共通の1つの変形形態によると、非変形テスト・パターン40は、調査対象となる局部領域を含んでいる。図12に示す例では、矩形の非変形テスト・パターン40は、その中央よりやや上の部分に2つの円45A、45B(ここでは同心円である)により画定される環状領域44を含んでいる。
【0256】
対照的に、図13に示すように、変形テスト・パターン20は、円を水平方向に引き延ばした形の特定の物体図形24を含んでいる。
【0257】
検証しようとする光学特性、例えば累進矯正レンズの遠方視屈折力を有する検証対象眼科用レンズ30経由で図13の変形テスト・パターン20の像を形成したとき、図14に示すような像テスト・パターン50が得られる。この像テスト・パターン50もほとんど円形の特定の像図形51を含んでいる。
【0258】
本発明による方法では、図15に示した検査テスト・パターン60を得るために、得られた像テスト・パターン50を図12の非変形テスト・パターン40に重ね合わせる。この検査テスト・パターン60は、調査対象のリング状局部領域64及びほぼ円形の特定図形65を含んでいる。特定図形65が調査対象局部領域64からわずかに突き出ていることが分かる。
【0259】
検証対象眼科用レンズ30の適合性、ここでは、遠方視屈折力に対する適合性を検証するために、得られた検査テスト・パターン60を図16及び17に示した2つの基準テスト・パターン71、72と比較する。
【0260】
これらの2つの基準テスト・パターン71、72は、次のような極端な場合を表している:
− 第1の基準テスト・パターン71では、特定図形73は、調査対象局部領域を形成するリング74の外側エッジ上に位置している。そして
− 第2の基準テスト・パターン72では、特定図形75は、調査対象局部領域を形成するリング76の内側エッジ上に位置している。
【0261】
検査テスト・パターン60中に存在する特定図形65の形状及び相対的位置が、例えば、基準テスト・パターン71、72により表される2つの極端な状況の間にあるならば、適合性が推定される。したがって、図15に示した検査テスト・パターン60の場合には、特定図形65が調査対象局部領域64からわずかに突き出ているため、検証対象光学特性、ここでは遠方視屈折力は、期待光学特性に一致しないと推定することができる。
【0262】
所与の検証対象眼科用レンズ30の種々の光学特性の適合性を確認するために、それぞれ、非変形テスト・パターン40及び関連変形テスト・パターン20を含む複数対のテスト・パターンの利用を検討することができる。この場合、複数対のテスト・パターンのそれぞれは、検証対象矯正眼科用レンズ30の特定の側面を検査する役割を果たす:即ち、眼科用レンズ30の近方視度数、遠方視度数、85%加入度点の位置、メリディアンの位置又は前面又は後面の形状及び表面仕上げ。
【0263】
別の変形形態として、変形テスト・パターンを検証対象眼科用レンズに対して「無限遠点に」置くこと、即ち検証対象眼科用レンズからその焦点距離に比して非常に長い距離に置くことができる。この場合、本発明による方法のステップは変更されない。
【0264】
非常に広い範囲にわたる眼科用レンズの光学特性の適合性を検証するために、前記像収集手段と検証対象眼科用レンズの間に追加光学系を挿入することにより、全範囲にわたる種々の眼科用レンズの度数の範囲を制限すること及び検証装置を最大限可能な範囲にわたり使用することも考えられる。追加光学系は、例えば、すべての検証対象眼科用レンズを狭い範囲の遠方視度数に調節することを可能にする自動焦点システム又は種々の一定度数の一連の光学レンズとすることができる。
【0265】
最後に、1つの変形形態として、像収集手段も電子処理手段も使用しない検証装置を構想することもできる。それは、例えば、像収集手段の対象物を位置づけるために通常保留されている開口部を解放する装置に関係する。
【0266】
この場合、技師は、変形テスト・パターン及び非変形テスト・パターンの像を肉眼により直接観察することができる。これらのテスト・パターンは、技師の心象内でテスト・パターン結合の像として結合される。技師は、次に、観察された検査テスト・パターンを検証対象眼科用レンズに関する少なくとも1つの基準テスト・パターンと比較することができる。
【0267】
更に、この基準テスト・パターンは、適切な媒体上に送り出される。それは、例えば、基準テスト・パターンが示されるシートあるいはまたモニタ、携帯電話又はタブレット・コンピュータの表示スクリーンとすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17