特許第6453791号(P6453791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6453791キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物で神経学的状態を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453791
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物で神経学的状態を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/24 20060101AFI20190107BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20190107BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A61K36/24
   A61K31/56
   A61P3/06
   A61P3/10
   A61P9/00
   A61P9/12
   A61P25/00
   A61P25/14
   A61P25/28
   A61P25/32
   A61P25/34
   A61P25/36
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-33219(P2016-33219)
(22)【出願日】2016年2月24日
(62)【分割の表示】特願2013-539875(P2013-539875)の分割
【原出願日】2011年11月3日
(65)【公開番号】特開2016-145223(P2016-145223A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2016年3月18日
【審判番号】不服2017-2283(P2017-2283/J1)
【審判請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】12/987,693
(32)【優先日】2011年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2011/020672
(32)【優先日】2011年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/415,945
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508025518
【氏名又は名称】フェニックス・バイオテクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】オーティス・シー・アディントン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エー・ニューマン
【合議体】
【審判長】 田村 聖子
【審判官】 井上 明子
【審判官】 關 政立
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/064657(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/118441(WO,A1)
【文献】 特表2009−502942(JP,A)
【文献】 特開2010−70575(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/200401(US,A1)
【文献】 J. Nat. Prod.,2005年,Vol.68,pp.198−206
【文献】 J. Food Sci.,2008年,Vol.7 Nr.73,pp.H174−H178
【文献】 Arch. Pharm. Res.,2009年,Vol.32 No.6,pp.923−932
【文献】 J. Pharmacol. Sci.,2009年,Vol.111,pp.22−32
【文献】 薬学雑誌,2004年,Vol.124 No.7,pp.417−424
【文献】 Mol. Cells,2002年,Vol.13 No.1,pp.5−11
【文献】 Bullein de la Societe vaudoise des Sciences naturelles,1960年,Vol.67,pp.205−210
【文献】 Brain Res.,2007年,Vol.1153,pp.221−230
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K35/00-36/9068
A61K31/00-33/44
REGISTRY/CAPLUS/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMedPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)の抽出物のフラクション又はサブフラクションを含む、アルツハイマー病及び脳卒中からなる群より選択される神経学的状態の治療に使用するための薬学的組成物であって、ここで、そのフラクション又はサブフラクションは、強心配糖体及びセイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)から得られる多糖類を含まず、ウルソール酸、ベツリン酸、及びオレアノール酸を含み、
ここで、前記フラクションは、セイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)の葉の超臨界流体抽出物を水に懸濁し、ヘキサンで分配することにより得られた水層水で平衡化したODS−シリカゲルカラム上にロードし、30%、55%、80%及び100%のメタノール含有量が異なる水性移動相をカラムに連続して通過させることにより水層の種々のフラクションを続いて溶出し、100%メタノールでの溶出により得られたフラクションを収集することにより調製される、上記薬学的組成物。
【請求項2】
請求項1記載の薬学的組成物であって、ここで、抽出物が、セイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)から抽出された1つ又はそれ以上の治療有効薬剤を含む、上記薬学的組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬学的組成物を製造するための方法であって:
セイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)の葉を超臨界流体抽出により抽出して、
その抽出物を提供する工程;及び
抽出物を水に懸濁し、ヘキサンで分配することにより得られた水層水で平衡化したODS−シリカゲルカラム上にロードし、30%、55%、80%及び100%のメタノール含有量が異なる水性移動相をカラムに連続して通過させることにより水層の種々のフラクションを続いて溶出し、100%メタノールでの溶出により得られたフラクションを収集することにより前記水層を分画する工程であって、前記フラクションが、主成分として、ウルソール酸、ベツリン酸、及びオレアノール酸を含み、前記フラクションが、強心配糖体及びセイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)から得られる多糖類を含まない、前記工程;
を含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キョウチクトウ属の種(Nerium species)又はテベティア属の種(thevetia
species)の抽出物、又はそれらを含有する調製物(組成物、製剤)で神経学的状態を治療する方法に関する。特に、本発明は、その必要がある対象者への抽出物の投与によって神経学的疾患又は障害を治療するための方法に関する。本発明はまた、抽出物のフラクション又はサブフラクションを含有する薬学的組成物、並びにそれらの使用及び製造方法を含む。
【背景技術】
【0002】
神経学的疾患又は障害は脳機能に影響を与える。これらの疾患及び障害についての治癒的な又は改善的な療法を開発するために、多くの努力がなされてきた;しかし、様々な異なる疾患及び障害に対して有効であることが判明した多数の薬物療法学的アプローチがたとえ存在するとしても、包括的な又は普遍的に治癒的な療法は開発されていない。
【0003】
ハンチントン病(HD)は、神経系に影響を与える脳の遺伝病である。それは、親から子へ遺伝する欠陥遺伝子によって引き起こされる。HD遺伝子は、適切な脳発達に非常に重要であるようである「ハンチントン」として公知の特定のタンパク質の産生を妨げる。HDの典型的な徴候としては、情動障害、認知障害及び運動障害が挙げられる。ハンチントン病は、律動性不随意運動(舞踏病)を特徴とするが、時には、異常な運動を伴わない硬直、四肢の使用における変化(失行)、身体機能の制御不能、並びに認知症、例えば、記憶、思考の速度、判断の進行性の劣化、及び立案及び問題の認識の欠如を引き起こす。ハンチントン病についての公知の治療法は存在しない。情動及び運動障害などのHDと関連する症状を制御するのを助けるために多数の薬剤が存在するが、疾患の経過を停止させるか又は逆転させる治療法は存在しない。ハンチントン病は、全体的な膜異常を伴う疾患として認識されてきた。Na,K−ATPアーゼの著しく上昇したレベル及び活性(10倍増加)が、正常
なものと比較してハンチントン病患者の基底核及び赤血球の膜において観察された(非特許文献1)。ハンチントン病患者の皮膚から得られた線維芽細胞膜(非特許文献2)。
【0004】
アルツハイマー病は、認知症のある形態である−脳の知的機能(記憶、見当識、計算など)を損傷するが、通常その運動機能を維持する神経変性疾患。アルツハイマー病において、知力は徐々に低下し、記憶喪失、錯乱、失見当識、判断力の衰え、及び正常な日周活動を行う人の能力に影響を与え得る他の問題が引き起こされる。精神変化のタイプ、重篤度、順序及び進行は、大幅に異なる。アルツハイマー病について公知の治療法及びその進行を遅らせる公知の方法はない。疾患の初期又は中期段階の一部の人について、タクリンなどの薬剤がいくらかの認知症状を緩和し得る。アリセプト(Aricept)(ドネペジル)
及びエクセロン(Exelon)(リバスチグミン)は、アルツハイマー型の軽度から中程度の認知症の治療について指示される可逆性アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。これらの薬物(コリンエステラーゼ阻害剤と呼ばれる)は、神経伝達物質であるアセチルコリンの脳のレベルを増加させ、脳細胞間の伝達を修復するのを助けることによって、作用する。ある薬剤は、不眠、動揺、徘徊、不安、及び意気消沈などの行動症状を制御するのを助け得る。これらの治療は、患者をより快適にすることを目的としている。アルツハイマー病を治す公知の薬剤はないが、コリンエステラーゼ阻害剤は、日周活動のパフォーマンスを改善し得、又は行動的問題を減少させ得る。現在試験されているアルツハイマー病の治療用の薬剤としては、エストロゲン、非ステロイド性抗炎症薬、ビタミンE、セレジリン(カルベックス(Carbex)、エルデプリル(Eldepryl))及び植物産物であるイチョウ(gingko biloba)が挙げられる。
【0005】
セイヨウキョウチクトウ(Nerium oleander)は、亜熱帯アジア、米国南西部、及び地
中海に広く分布している観賞植物である。その医学的及び毒物学的性質は、長い間、認識されてきた。それは、例えば、痔、潰瘍、ハンセン病、ヘビ咬傷の治療において、及び流産の誘発においてさえも使用されてきた。オレアンダー抽出物の重要な成分であるが唯一の成分ではない、オレアンドリンは、強心配糖体である。
【0006】
キョウチクトウ属の種の植物からの配糖体の抽出は、セイヨウキョウチクトウから薬理学的に/治療的に活性な成分を提供した。これらの中にはオレアンドリン、ネリイホリン(neriifolin)(ネリホリン(nerifolin))、及び他の強心配糖体化合物がある。商標ANVIRZEL(商標)で販売される、セイヨウキョウチクトウの熱水抽出によって得られたオ
レアンドリン抽出物は、セイヨウキョウチクトウの熱水抽出物の濃縮形態又は粉末形態を含有する。熱水オレアンダー抽出物(即ち、Anvirzel(商標))の第I相試験が完了した(非特許文献3)。約57ugオレアンドリン/日を提供する、オレアンダー抽出物は、1.2 ml/m2/dまでの用量で安全に投与され得ると結論付けられた。用量制限毒性は見られな
かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Butterfield DA, Oeswein JQ, Prunty ME, Hisle KC, Markesbery WR, Increased sodium, potassium adenosine triphosphatase activity in erythrocyte membranes in Huntington's disease. Ann Neurology, 4:60-62, 1978
【非特許文献2】Schroeder F, Goetz IE, Roberts E, Membrane anomalies in Huntington's disease fibroblasts. J. Neurochem. 43: 526-539, 1984
【非特許文献3】Mekhail et al., Am. Soc. Clin. Oncol., vol. 20, p. 82b, 2001
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、神経学的状態を治療する方法であって、該神経学的状態を治療するための有効量でキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含有する組成物をその必要がある対象者へ投与する工程を含む方法を提供する。本発明は、抽出物のフラクション又は抽出物のフラクションのサブフラクションが未分画抽出物の代わりに使用され、抽出物のフラクション又はサブフラクションがオレアンドリン及びネリイホリンを除く、実施態様を提供する。
【0009】
一局面において、本発明は、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含む組成物で神経学的疾患又は障害を、その必要がある対象者において、治療する方法であって、
対象者が神経学的疾患又は障害を有することを決定する工程;及び
キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含む組成物を対象者へ投与することを指示する工程を含む、上記方法を提供する。
【0010】
本発明のある実施態様は以下のものを含む:1)対象者に治療的に適切な用量の組成物を処方及び投与する;2)対象者に処方された投薬計画に従って組成物を投与する;3)抽出物が、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から抽出された1つ又はそれ以上の治療有効薬剤を含む;4)組成物が、1つ又はそれ以上の他の治療有効薬剤をさらに含む;5)抽出物が、熱水、冷水、超臨界流体、有機溶媒又はそれらの組み合わせを用いてのキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出によって得られる;6)抽出物が強心配糖体を除く;7)抽出物が治療有効量の強心配糖体を除く;8)抽出物がオレアンドリンを除く;9)組成物が、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物のフラクションを含む;10
)組成物が、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物のフラクションを含み
、ここで、フラクションは、抽出物の液体クロマトグラフィー分画によって調製された;11)キョウチクトウ属の種がセイヨウキョウチクトウであり、テベティア属の種がテベテ
ィア・ネリイフォリア(Thevetia neriifolia)である;12)抽出物がネリイホリンを除く;13)組成物が、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物のフラクションの
サブフラクションを含み、ここで、サブフラクションが、抽出物のフラクションの液体クロマトグラフィー分画によって調製され、サブフラクションはオレアンドリン及びネリイホリンを除く;14)キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物が、それが強心
配糖体を含有する場合、同一の用量の強心配糖体で対象者へ他の点では同様の投薬形態にて投与される純粋な強心配糖体と比較して、神経学的疾患又は障害を有する対象者へ投薬形態で投与された場合に改善された臨床反応又は臨床効果を提供する;又は15)それらの
組み合わせ。
【0011】
本発明はまた、治療の必要がある対象者における神経学的状態を治療する方法であって、
対象者における神経学的状態が、アルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中、又は他の神経学的状態であるか否かを決定する工程;
キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物の投与を指示する工程;
一定期間の間、処方された初期投薬計画に従って対象者へ初期用量の抽出物を投与する工程;
抽出物での治療に対する対象者の臨床反応及び/又は治療反応の妥当性を定期的に決定する工程;及び
対象者の臨床反応及び/又は治療反応が妥当である場合、所望の臨床的エンドポイントが達成されるまで必要に応じて抽出物での治療を継続する工程;又は
対象者の臨床反応及び/又は治療反応が初期用量及び初期投薬計画で妥当でない場合、対象者において所望の臨床反応及び/又は治療反応が達成されるまで用量を段階的に増加させるか又は段階的に減少させる工程
を含む、上記方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、神経学的状態の発生の危険性がある対象者の集団におけるその発生を予防する又は発生率を下げる方法であって、
アルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中又は他の神経学的状態などの神経学的状態に罹患する危険性がある対象者の集団中の1又はそれ以上の対象者へ、長期間、繰り返しベースで、有効用量のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を投与し、それによって集団における神経学的状態の発生を予防する又は発生率を下げる工程を含む、上記方法を提供する。
【0013】
本発明は以下の実施態様を含む:a)方法が、1又はそれ以上の対象者への抽出物の投与を指示する工程をさらに含む;b)方法が、一定期間の間、処方された投薬計画に従って対象者へ有効用量の抽出物を投与する工程をさらに含む;c)方法が、抽出物での治療に対する1又はそれ以上の対象者の臨床反応及び/又は治療反応の妥当性を定期的に決定する工程をさらに含む;d)対象者の臨床反応及び/又は治療反応が妥当である場合、方法が、所望の臨床的エンドポイントが達成されるまで必要に応じて抽出物での治療を継続する工程をさらに含む;e)対象者の臨床反応及び/又は治療反応が初期用量及び初期投薬計画で妥当でない場合、方法が、対象者において所望の臨床反応及び/又は治療反応が達成されるまで用量を段階的に増加させるか又は段階的に減少させる工程をさらに含む;f)抽出物を集団中の複数の対象者へ投与する;g)繰り返しベースが、毎日、1日おき、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、1週おき、2週ごと、3週ごと、毎月、隔月、半月ごと、1ヶ月おき 2ヶ月ごと、四半期ごと、1四半期おき、三半期ごと、季節ごと、半年ごと及び/又は毎年である;h)長期間が、1週又はそれ以上、1ヶ月又はそ
れ以上、1四半期又はそれ以上、及び/又は1年又はそれ以上である;i)有効用量を1日に1回又はそれ以上投与する;j)方法が、アルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中又は他の神経学的状態などの神経学的状態に罹患する危険性がある対象者の集団を同定する工程をさらに含む;k)危険性がある対象者の集団が、対象者の加齢、神経学的状態の家族歴、神経学的状態の発生の遺伝的素因、対象者におけるApoE4遺伝子の存在及び発現、女
性(男性よりも2倍多くの女性がアルツハイマー病になる)、心血管疾患(例えば、高血圧及び高コレステロールレベル)、糖尿病(特に、この疾患の2型又は成人発症型)、ダウン症候群、頭部外傷、低レベルの正規の教育、喫煙、過剰なアルコール摂取及び/又は薬物乱用によって特徴付けられる;l)抽出物が治療有効量の強心配糖体を除く;m)抽出物が強心配糖体を除く;又はn)それらの組み合わせ。
【0014】
本発明はまた、対象者における脳卒中を治療する時間遅延方法であって、
対象者が脳卒中に罹った後の遅延期間内に、初期投薬計画に従って初期用量のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を投与する工程;
抽出物での治療に対する対象者の臨床反応及び/又は治療反応の妥当性を決定する工程;及び
対象者の臨床反応及び/又は治療反応が妥当である場合、所望の臨床的エンドポイントが達成されるまで必要に応じて抽出物での治療を継続する工程;又は
対象者の臨床反応及び/又は治療反応が初期用量及び初期投薬計画で妥当でない場合、対象者において所望の臨床反応及び/又は治療反応が達成されるまで用量を段階的に増加させるか又は段階的に減少させる工程;
を含む、上記方法を提供する。
【0015】
本発明のある実施態様は、以下のものを含む:1)遅延期間が、10時間又はそれ未満、8時間又はそれ未満、6時間又はそれ未満、4時間又はそれ未満、3時間又はそれ未満、2時間又はそれ未満、1時間又はそれ未満、45分又はそれ未満、30分又はそれ未満、20分又はそれ未満又は10分又はそれ未満である;2)対象者の臨床及び/又は治療反応の妥当性を決定する工程が、身体の片側の顔、腕及び/又は脚のいずれかの脱力、身体の片側の顔、腕及び/又は脚の麻痺、音声言語を理解することができないこと、話す又は明瞭に話すことができないこと、書くことができないこと、めまい及び/又は歩行不均衡、複視並びに異常に重篤な頭痛の評価によって行われる;又は3)それらの組み合わせ。
【0016】
本発明はまた、対象者における神経学的状態の治療用の医薬の製造におけるキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物の使用を提供する。ある実施態様において、このような医薬の製造は、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を提供する工程;キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物、又はそのフラクションの用量を薬学的投薬形態に含める工程;及び薬学的投薬形態を包装する工程を含む。本発明はまた、対象者における神経学的状態の治療用のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含む薬学的組成物を提供する。ある実施態様において、製造は、22006年7月26日に出願されたPCT国際出願第PCT/US06/29061号、2005年7月28日に出願されたU.S. 7,402,325、又は2008年1月24日に出願されたU.S.S.N. 12/019,435に記載されるように行われ得、これらの全開示は参照により本明細書に組み入れられる。製造はまた、1つ又はそれ以上の追加の工程:例えば、売主(小売業者、卸売業者及び/又は流通業者)へ包装された投薬形態を届ける工程;神経学的状態を有する対象者へ包装された投薬形態を販売するか又は他の方法で提供する工程;使用、投薬計画、投与、内容物及び投薬形態の毒性プロフィールについての説明書を提供するラベル及び添付文書を医薬と共に含める工程を含み得る。ある実施態様において、神経学的状態の治療は、以下を含む:対象者が神経学的疾患又は障害を有することを決定する工程;投薬計画に従う対象者への抽出物又はそのフラクションの投与を指示する工程;抽出物を含有する1つ又はそれ以上の薬学的投薬形態を対象者へ投与する工程、ここで、1つ又はそれ以上の薬学的投薬形態を投薬計画に従っ
て投与する。
【0017】
本発明はまた、神経学的状態の治療のための、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物、又はキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含む組成物、即ち、薬学的製剤又は投薬形態を提供する。ある実施態様において、抽出物は、本明細書に又は米国特許第7,402,325号、PCT国際出願第PCT/US06/29061号、米国出願第12/019435号、又はNewman et al. (Mol. Interven. (2008), 8, 36-49)に記載されるようなキョ
ウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得ることができ、これらの全開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0018】
本発明は、以下を含む、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物のフラクションを製造するための方法を提供する:キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種を含むマスを抽出し、その未分画抽出物を形成する工程、抽出物は神経学的状態の治療用の1つ又はそれ以上の薬理学的活性成分を含む;及び未分画抽出物を分画し、2つ又はそれ以上のそのフラクションを形成する工程、ここで、少なくとも1つのフラクションは、1つ又はそれ以上の非強心配糖体薬理学的活性成分を含む。ある実施態様において、a)少なくとも1つのフラクションが強心配糖体を除く;b)少なくとも1つのフラクションが強心配糖体をさらに含む;c)抽出が、超臨界流体、水、有機溶媒又はそれらの組み合わせを用いて行われる;d)分画が、液体クロマトグラフィー又は溶媒抽出によって行われる;e)少なくとも1つのフラクションが、オレアンドリン及びネリイホリンを除く;又はf)それらの組み合わせ。
【0019】
本発明はまた、1つ又はそれ以上のその治療的に有効なフラクションを提供するためにキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を分画する方法を提供する。方法は、以下を含む:a)キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を提供する工程;b)抽出物を分画し、抽出物の2つ又はそれ以上の異なるフラクションを提供する工程、第1抽出物フラクションは、強心配糖体ではない1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤を含み、強心配糖体(オレアンドリン及びネリイホリン)を除き、第2抽出物フラクションは、1つ又はそれ以上の強心配糖体、及び強心配糖体ではない1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤を含む。分画はまた、本明細書に記載されるように行われ得る。ある実施態様において、第1又は第2抽出物フラクションをさらなる分画へ供し、2つ又はそれ以上の異なるサブフラクションを提供し、ここで、第1サブフラクションが1つ又はそれ以上のステロイドを含み、第2サブフラクションが1つ又はそれ以上のトリテルペンを含む。ある実施態様において、分画は、固定相及び移動相を用いる液体クロマトグラフィーによって行われる。
【0020】
本発明はまた、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた抽出物のフラクションを含む組成物であって、ここで、フラクションが、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた抽出物の分画によって得られた、上記組成物を提供する。ある実施態様において、抽出物のフラクションは、1つ又はそれ以上のステロイド及び1つ又はそれ以上のトリテルペン(tritepene)を含み、場合により強心配糖体(オレアンド
リン及びネリイホリン)を除く。
【0021】
本発明はまた、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた抽出物のフラクションのサブフラクションを含む組成物であって、ここで、サブフラクションが、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた抽出物のフラクションのさらなる分画によって得られた、上記組成物を提供する。ある実施態様において、抽出物のフラクションのサブフラクションは、1つ又はそれ以上のステロイド、強心配糖体、強心配糖体の結合アグリコン、例えばオレアンドリゲニン、カルデノリド、又はトリテルペノイド、並びに1つ又はそれ以上のトリテペンを含む。ある実施態様において、抽出物のフラクショ
ンのサブフラクションは、1つ又はそれ以上のトリテルペンを含み、ステロイドを除く。各サブフラクションは、独立して、場合により強心配糖体(オレアンドリン及びネリイホリン)を除く。
【0022】
ある実施態様において:a)抽出物が、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた(抽出された)少なくとも2つの薬理学的に活性な薬剤をさらに含む;b)抽出物が対象者へ投与されると、少なくとも2つの薬理学的に活性な薬剤が、抽出物の治療効能に寄与するように相加的に又は相乗的に機能する;c)少なくとも2つの薬理学的に活性な薬剤のいずれも強心配糖体でない;及び/又はd)少なくとも2つの薬理学的に活性な薬剤が、強心配糖体、強心配糖体の結合アグリコン、例えば、オレアンドリゲニン、カルデノリド又はトリテルペノイドの群より選択される。
【0023】
ある実施態様において:1)強心配糖体は、オレアンドリン、オドロシド、ネリタロシド、ウアバイン、ブファリン、ジギトキシン、シノブファタリン(cinobufatalin)、シノ
ブファギン、及びレジブホゲニン(resibufogenin)からなる群より選択される;2)抽出
物は薬学的製剤又は組成物で存在する;3)抽出物は、オレアンダー植物マス又はネリイフォリア植物マスから得られた;4)植物マスは、キョウチクトウ属の種、例えばセイヨウキョウチクトウ、又はテベティア属の種、例えばテベティア・ネリイフォリア又はテベティア・ペルビアナ(Thevetia peruviana)(そうでなければイエローオレアンダーとして公知)を含む;5)抽出物は、場合によりモディファイヤーの存在下で、超臨界流体(SCF)
抽出によって調製された;6)強心配糖体はオレアンドリンである;7)抽出物が、熱水抽出、冷水抽出、有機溶媒抽出又は水性有機溶媒抽出によって調製された。
【0024】
ある実施態様において、抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)は、1% wt.未満、0.5% wt.未満、0.1% wt.未満、0.05% wt.未満又は0.01% wt.未満の多糖類を含む。ある実施態様において、抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)は、ベツリン(ウルサ−12−エン−3β,28−ジオール);28−ノルウルサ−12−エン−3β−オール;ウルサ−12−エン−3β−オール;3β,3β−ヒドロキシ−12−オレアネン
−28−酸;3β,20α−ジヒドロキシウルサ−21−エン−38−酸;3β,27−ジヒドロキシ−12−ウルセン−38−酸;3β,13β−ジヒドロキシウルサ−11−エン−28−酸;3β,12α−ジヒドロキシオレアナン−28,13β−オリド;及び3β,27−ジヒドロキシ−12−オレアナ
ン−28−酸を含む。ある実施態様において、抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)は、強心配糖体のグリコン(glycone)構成物質より選択される1つ又はそれ
以上の強心配糖体前駆体を含む。ある実施態様において、グリコンは、グルコシド、フルクトシド、及びグルクロニドからなる群より選択される。ある実施態様において、抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)は、オレアンドリゲニン、ウルソール酸、ベツリン酸、オドロシド、ネリタロシド、オレアノール酸及び1つ又はそれ以上のトリテルペン、及び多糖類0.5質量%未満を含む。
【0025】
ある実施態様において、神経学的状態を有する対象者、即ち、その必要がある対象者は、このような対象者の集団の一部である。本発明は、神経学的状態を有する対象者の集団中の統計的に有意な数の対象者の臨床状態を改善するための方法であって、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物又はキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を含む組成物を対象者の集団へ投与する工程;及び対象者の臨床状態を測定する工程を含む方法を提供する。ある実施態様において、統計的に有意な数は、集団の少なくとも5%である。
【0026】
ある実施態様において、神経学的状態は、本明細書に記載されるような、アルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中、タウオパシー又は他の神経学的状態である。医薬は、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含有する薬学的投薬形態に抽出物を含める
ことによって製造され得る。
【0027】
抽出物又は抽出物を含有する組成物での対象者の治療は必要に応じて継続される。用量又は投薬計画は、疾患と関連する特定の神経学的症状の減少又は緩和などの所望の臨床的エンドポイントに患者が達するまで、必要に応じて調節され得る。臨床反応及び/又は治療反応の妥当性の決定は、治療される神経学的状態に精通している医師によって行われ得る。
【0028】
ある実施態様において、神経学的状態は、神経学的疾患、神経学的障害、タウオパシー、及び脳卒中からなる群より選択される。ある実施態様において、神経学的疾患は、神経変性疾患である。ある実施態様において、神経変性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ウシ海綿状脳症、多発性硬化症、糖尿病性神経障害、自閉症及び若年型神経セロイドリポフスチン症からなる群より選択される。ある実施態様において、脳卒中は、脳卒中仲介虚血性損傷である。ある実施態様において、神経学的状態はタウオパシーであり、これは、対象者におけるTau3R/Tau4R比率の不均衡と関連する病因を有する神経変性疾患である。タウオパシーは、ヒト脳におけるタウタンパク質の病理学的凝集から生じるあるクラスの神経変性疾患である。ある実施態様において、タウオパシーは、ダウン症候群、ピック病、大脳皮質基底核変性症、プリオン病のいくつかの変種、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺又は前頭側頭型認知症である。本発明の方法の個々の工程は、別個の設備で又は同一の設備内で行われ得る。
【0029】
ある実施態様において、ニューロンは、インビトロ、エクスビボ又はインビボにある。ある実施態様において、ニューロンはCA−1ニューロンである。
【0030】
ある実施態様において、本発明は、本明細書に記載されるような1HNMRスペクトルを有
する、キョウチクトウ属の種又はネリイフォリア種の、抽出物、又はそのフラクション又はそのサブフラクションを提供する。ある実施態様において、本発明は、対象者へ投与されると本明細書に記載されるような治療活性を示す、キョウチクトウ属の種又はネリイフォリア種の、抽出物、又はそのフラクション又はそのサブフラクションを提供する。ある実施態様において、本発明は、本明細書に記載されるようなHPLCクロマトグラムを有する、キョウチクトウ属の種又はネリイフォリア種の、抽出物、又はそのフラクション又はそのサブフラクションを提供する。ある実施態様において、本発明の方法は、本明細書に記載されるような、抽出物、そのフラクション又はそのサブフラクションを用いる。ある実施態様において、本発明の組成物は、本明細書に記載されるような、抽出物、そのフラクション又はそのサブフラクションを含む。
【0031】
本発明は、本明細書に開示される本発明の局面、実施態様及びサブ実施態様の全ての組み合わせを含む。本明細書において特に明記しない限り、用語「抽出物」は、未分画抽出物又は分画抽出物、即ち、抽出物のフラクション、又はサブ分画抽出物、即ち、抽出物のフラクションのサブフラクションを指し得る。
【0032】
下記の図は、本明細書の一部を形成し、特許請求される発明の例示的な実施態様を説明する。当業者は、これらの図及び本明細書中の説明を考慮して、過度の実験をすることなく、本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイ(実施例8)におけるオレアンドリン対コントロールである酸素又はグルコース欠乏(OGD)無しの比較評価から得られた濃度−反応データを示し、ここで、健康な皮質ニューロンの数は、オレアンドリンの存在又は非存在下で酸素及びグルコース欠乏(OGD=脳卒中)の5〜6分後に測定される。
図1B】本明細書に記載されるような神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイ(実施例8)におけるセイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物についての濃度−反応アッセイの結果を示し、ここで、酸素又はグルコース欠乏無しがコントロールとして使用される。
図2A】神経保護脳スライスベース「アルツハイマー病」アッセイ(実施例9)におけるオレアンドリン対セイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物の比較評価の結果を示し、ここで、健康な皮質ニューロンの数は、種々の量のそれらの薬剤の存在又は非存在下でAPP/Aβ誘発変性後に測定される。
図2B】神経保護脳スライスベース「アルツハイマー病」アッセイ(実施例9)におけるオレアンドリン対セイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物の比較評価の結果を示し、ここで、健康な皮質ニューロンの数は、種々の量のそれらの薬剤の存在又は非存在下でAPP/Aβ誘発変性後に測定される。
図2C】神経保護脳スライスベース「アルツハイマー病」アッセイ(実施例9)におけるオレアンドリン対セイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物の比較評価の結果を示し、ここで、健康な皮質ニューロンの数は、種々の量のそれらの薬剤の存在又は非存在下でAPP/Aβ誘発変性後に測定される。
図3】神経保護皮質−線条体共培養ニューロンベース「ハンチントン病」アッセイ(実施例10)におけるオレアンドリンの比較評価の二重実験からの結果を示し(図3A〜3B)(図3C〜3D)、ここで、ハンチントン(htt)タンパク質の突然変異形態がトランスフェクションされた皮質ニューロン及び線条体ニューロンの、コントロールと比べての、パーセント救出は、種々の量のオレアンドリンの存在又は非存在下で測定される。
図4-1】本明細書に記載される神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイの結果を示し、ここで、オレアンドリン含有SCF抽出物は液体クロマトグラフィーによって分画されており(実施例13)、5つの異なるフラクション(下記に説明)をこのアッセイ(実施例15)へ供した:フラクションO-H(図4A)、フラクションO-2(図4B)、フラクションO-3(図4C)、フラクションO-4(図4D)。
図4-2】本明細書に記載される神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイの結果を示し、ここで、オレアンドリン含有SCF抽出物は液体クロマトグラフィーによって分画されており(実施例13)、5つの異なるフラクション(下記に説明)をこのアッセイ(実施例15)へ供した:フラクションO-5(図4E)。
図5】セイヨウキョウチクトウのSCF抽出物のフラクションO-4対親未分画セイヨウキョウチクトウSCF抽出物(PBI又はPBI−05204)についての濃度−反応脳スライスベース「脳卒中」アッセイ(実施例15)の結果を示す。
図6】APPベース「アルツハイマー病」アッセイ(実施例11)におけるセイヨウキョウチクトウSCF抽出物のフラクション(O-4又はO-4A)対未処理(細胞にAPP/Aβをトランスフェクションしなかった)の比較評価の結果を示し、ここで、健康な皮質ニューロンの数は、種々の量のそれらの薬剤の存在又は非存在下でAPP/Aβ誘発変性後に測定される。
図7】Tau4Rベース「アルツハイマー病」アッセイ(実施例12)におけるセイヨウキョウチクトウSCF抽出物のフラクション(O-4)対未処理(細胞にAPP/Aβをトランスフェクションしなかった)の比較評価の結果を示し、ここで、健康な及び損傷した皮質ニューロンの数は、種々の量のそれらの薬剤の存在又は非存在下でTau4R後に測定される。
図8A】実施例13に従って調製されたフラクションのHPLC分析によって得られたクロマトグラムを示す。
図8B】実施例13に従って調製されたフラクションのHPLC分析によって得られたクロマトグラムを示す。
図8C】実施例13に従って調製されたフラクションのHPLC分析によって得られたクロマトグラムを示す。
図8D】実施例13に従って調製されたフラクションのHPLC分析によって得られたクロマトグラムを示す。
図9A】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。実施例17に従うサブ分画の前のO-4フラクションのHNMRスペクトルを示す。
図9B】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9C】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9D】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9E】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9F】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9G】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9H】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
図9I】フラクションO-4セイヨウキョウチクトウSCF抽出物中に存在する様々な成分についてのHNMRスペクトルを示す。O-4フラクションに対して行われた、実施例17に従う、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって得られた様々なサブフラクションについてのHNMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、その必要がある対象者への有効用量のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物の投与によって神経学的状態を治療する方法を提供する。抽出物は、治療される神経学的状態についての従来の臨床プラクティス及び臨床治療エンドポイントに従って臨床的に決定される用量及び投薬計画の適切性である、対象者に最も適した投薬計画に従って投与される。
【0035】
ある実施態様において、治療される神経変性障害又は神経学的状態は、対象者におけるタウタンパク質の過剰発現及び/又はTau3R/Tau4R比率の不均衡と関連する病因を有する。このような状態はタウオパシーと呼ばれる。例示的なタウオパシーとしては、ダウン症候群、ピック病、プリオン病のいくつかの変種、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺又は前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症、グアムパーキンソン認知症複合、嗜銀性グ
レイン型認知症、ニーマン−ピック病C型、及びボクサー認知症が挙げられる。
【0036】
ある実施態様において、治療される神経変性障害又は神経学的状態は、アミロイドβ前駆体タンパク質の異常又は非定型のタンパク質分解、ニューロンのシナプスにおけるアミロイドβタンパク質の蓄積、ニューロンのシナプスにおけるアミロイド線維の形成、又はニューロンのシナプスにおけるアミロイド斑の形成と関連する病因を有する。このような障害又は状態の例はアルツハイマー病である。本発明に従って治療される対象者は治療反応を示す。「治療反応」によって、疾患又は障害に苦しむ対象者が、抽出物での治療の結果として以下の臨床的利益の少なくとも1つを享受することが意味される:疾患又は障害の改善、疾患又は障害と関連する症状の発生の減少、疾患又は障害の部分寛解、疾患又は障害の完全寛解、又は進行までの時間の増加。換言すれば、治療反応は完全な又は部分的な治療反応であり得る。
【0037】
治療反応はまた、神経変性疾患に苦しむ患者のクオリティ・オブ・ライフが改善されるものとして記載され得る。クオリティ・オブ・ライフの改善は、例えば、疾患と関連する症状(例えば、振戦、不随意筋肉運動、神経−筋肉協調の喪失又は部分的喪失、記憶保持など)の発生、頻度又は重篤度の減少によって生じ得る。
【0038】
「危険性がある対象者の集団における神経学的状態の発生を予防すること」は、神経学的状態に罹患する危険性がある対象者の人口統計学的に予め決定された集団において、予め決定された期間の間、神経学的状態が生じないことを意味する。予め決定された期間の間の予防は、その集団中の対象者に本発明に従う抽出物が投与されたことの結果として生じる。一例として、抽出物又は抽出物含有組成物が、脳卒中に罹患する危険性がある対象者の集団における対象者へ予め決定された期間投与される場合、予め決定された期間の間、脳卒中がそれらの対象者において生じない。特に、抽出物含有組成物は、アルツハイマー病又は任意のタウ病理(tauopathology)関連疾患に罹患する危険性がある対象者の集
団へ1年の期間にわたって慢性的に投与され、その集団中の対象者は、その1年の期間の間、アルツハイマー病と関連する症状を示さない。
【0039】
「危険性がある対象者の集団における神経学的状態の発生率を下げること」は、「発生率を下げること」が、対象者の人口統計学的に予め決定された集団における神経学的状態の発生を、但し、本発明の方法に従って抽出物含有組成物が投与されないその他の点では人口統計学的に類似する危険性がある対象者の予め決定された集団と比較して減少した発生率で又は重篤度レベルで、許容することを除いては、「発生を予防すること」と意味において関連する。
【0040】
本明細書において使用される場合、「進行までの時間」は、疾患が診断された(又は治療された)後から疾患が悪化し始めるまでの、時間の期間、長さ又は継続である。それは、その間に疾患のレベルが疾患の更なる進行なしで維持される時間の期間であり、時間の期間は、疾患が再び進行し始める時に終了する。疾患の進行は、療法の開始前又は開始時に神経学的状態に苦しむ対象者を「病期分類する」ことによって決定される。例えば、対象者の神経学的健康が療法の開始前又は開始時に決定される。次いで、対象者は抽出物で治療され、神経学的健康が定期的にモニタリングされる。いくらか後の時点で、神経学的状態の症状が悪化し得、従って、疾患の進行及び「進行までの時間」の終了が印される。その間に疾患が進行しなかったか又はその間に疾患のレベル又は重篤度が悪化しなかった時間の期間が、「進行までの時間」である。
【0041】
投薬計画は、投薬スケジュールに従って投与される治療的に適切な用量(又は有効用量)の抽出物を含む。従って、治療的に適切な用量は、抽出物での治療に対する疾患又は障害の治療反応が観察され、かつ、過度の量の望まれないか又は有害な副作用無しで、対象
者に抽出物が投与され得る、治療用量である。治療的に適切な用量は、たとえ患者においていくらかの副作用を引き起こし得るとしても、対象者に対して致死的ではない。それは、抽出物を投与される対象者に対する臨床的利益のレベルが、抽出物の投与に起因して対象者によって経験される有害な副作用のレベルを上回る用量である。治療的に適切な用量は、多様な確立された薬理学的、薬力学的及び薬物動態的な原理に従って、対象者ごとに変わる。しかし、治療的に適切な用量は、通常、0.1〜100マイクログラムの抽出物/日の範囲内にあり、抽出物は固体、液体又は半固体形態である。対象者において標的治療結果を提供するために必要とされる薬理学的に活性な薬剤の実際の量は、薬学の基本原理に従って対象者ごとに変わり得ることが、当技術分野において公知である。
【0042】
治療的に適切な用量は、神経学的又は神経変性疾患又は障害の治療において通常使用される任意の投薬計画に従って投与され得る。治療的に適切な用量は、1日1回、2回、3回又はそれ以上の投薬スケジュールで投与され得る。それは、1日おき、3日ごと、4日ごと、5日ごと、週2回、毎週、隔週、3週ごと、4週ごと、毎月、隔月、半月ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、半年ごと、毎年、又は適切な投薬スケジュールに達するための上記のもののいずれかの組み合わせに従って、投与され得る。例えば、治療的に適切な用量は、1週間又はそれ以上の間、1日1回投与され得る。
【0043】
下記の実施例は、神経学的疾患、神経学的障害及び脳卒中などの神経学的状態における抽出物の効能の証拠を含む。実施例3は、キョウチクトウ属の種抽出物、若しくはその組成物、テベティア属の種抽出物、若しくはその組成物、又はそれらと1つ又はそれ以上の他の治療剤との組み合わせを用いてアルツハイマー病を治療する方法を詳述する。実施例4は、抽出物又は抽出物と1つ又はそれ以上の他の治療剤との組み合わせを用いてハンチントン病を治療する方法を詳述する。実施例5は、抽出物又は抽出物と1つ又はそれ以上の他の治療剤との組み合わせを用いて脳卒中仲介及び非脳卒中仲介虚血性脳損傷を治療する方法を詳述する。
【0044】
一般的に、神経学的状態を有する対象者は以下のように治療される。神経学的状態を示す対象者は、神経学的状態がアルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中又は他の神経学的状態であるか否かを決定するために評価される。対象者が陽性診断を有する場合、抽出物又は抽出物含有組成物の投与が指示される。一定期間の間、処方された投薬計画に従って対象者へ初期用量の抽出物又は組成物が投与される。対象者の臨床反応及び治療反応のレベルが定期的に測定される。治療反応のレベルがある用量で低すぎる場合、対象者において所望のレベルの治療反応が達成されるまで、予め決定された用量段階的増加スケジュールに従って用量を段階的に増加させる。対象者が望ましくない副作用又は許容できないレベルの副作用を示す場合、対象者における治療反応対副作用プロフィールのレベルの所望のバランスが達成されるまで、用量を段階的に減少させる。抽出物又は組成物での対象者の治療が必要に応じて継続される。用量又は投薬計画は、疾患自体の停止、疾患関連症状の減少、及び/又は疾患経過の進行の減少などの所望の臨床的エンドポイントに患者が達するまで、必要に応じて調節され得る。
【0045】
抽出物、特に未分画抽出物は、1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な化合物を含む。それらの化合物の一部は今のところ未同定であり、一部は、オレアンドリン又は他の強心配糖体、オレアシド、オレアンドリゲニン、ネリタロシド、オドロシド(Wang X, Plomley JB, Newman RA and Cisneros A. LC/MS/MS analyses of an oleander extract for cancer treatment, Analytical Chem. 72: 3547-3552, 2000)、及び他の植物材料であり得る
。超臨界流体プロセス由来の未分画SCF抽出物は、通常、質量で0.9%〜2.5%の理論範囲
のオレアンドリンを含有する。様々な量のオレアンドリンを含むSCF抽出物が得られた。
一実施態様において、SCF抽出物はオレアンドリンを約2質量%含む。
【0046】
キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物の抽出可能な未同定成分は、SCF
抽出物又はそのフラクションの効能に寄与する少なくとも1つの(非強心配糖体)薬理学的活性成分を含み得る。2つ又はそれ以上の薬理学的に活性な抽出可能な成分は、観察される効能を提供するために相加的に又は相乗的に機能し得る。換言すれば、本発明のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種抽出物は、たとえ1つ又はそれ以上の強心配糖体が抽出物中にさらに含まれ得るとしても、強心配糖体ではない1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な成分を含む。抽出物は、様々な異なるフラクションへ分画され得、これらの一部は、強心配糖体、1つ又はそれ以上の非強心配糖体薬理学的活性成分、又はそれらの組み合わせを含有する。さらに、抽出物の各フラクションは、2つ又はそれ以上の異なるサブフラクションへさらに分画され得る。
【0047】
SCF抽出物中の、オレアンドリン以外の、1つ又はそれ以上の薬理学的活性成分の存在
の証拠は、純粋なオレアンドリンを含有する溶液対SCF抽出物を含有するものについての
濃度−反応曲線を比較することによって得られた。図1Aは、実施例8に記載される神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイにおける純粋なオレアンドリンを含有する溶液についての濃度−反応アッセイの結果を示す。溶液中のオレアンドリン濃度を0.0069から230μg/mlへ変えた。図1Bは、本明細書(実施例8)に記載される神経保護脳スライスベース「脳卒中」アッセイにおけるオレアンドリン含有SCFキョウチクトウ属の種抽出物
についての濃度−反応アッセイの結果を示す。データは、抽出物が純粋なオレアンドリンよりも効果的であることを実証し、これは、神経保護を提供する1つ又はそれ以上の薬理学的活性薬剤を抽出物が含有することを意味している。
【0048】
実施例8は、脳卒中仲介虚血性ニューロン損傷の治療についての、抽出物、又はその組成物の、効能を評価するために使用したインビトロアッセイの詳細な説明を提供する。アッセイは、24時間までに健康な皮質ニューロンの≧50%損失を誘発するために使用される酸素及びグルコース欠乏(OGD)についての脳スライスベースアッセイである。キョウチ
クトウ属の種、例えば、セイヨウキョウチクトウの親未分画SCF抽出物を、ポジティブコ
ントロールとして使用する。実施例13に従って親抽出物を分画し、キョウチクトウ属の種の抽出物のフラクションが提供される。フラクションを実施例6、14及び17に従って分析する。
【0049】
トリテルペンのHNMRは、アップフィールドでの7つのメチルシグナル、約5.3ppmでのオレフィンプロトン、及び約3.4ppmでの酸素化メチンシグナル、並びにアップフィールド(約1.0〜2.5ppm)での多くのメチレン及びメチンプロトンシグナルを特徴とする。HNMRス
ペクトル(図9B〜9I)は、ステロイド及びトリテルペンとして主成分を示した。有意量の配糖体についてのシグナルは観察されなかった。強心配糖体の特徴であるα,β−不
飽和γ−又はδ−ラクトンについてのシグナルは観察されず、このことは、Fr-O-4フラクションに強心配糖体もそのアグリコンも存在しないことを示唆している。図9CのHNMRスペクトルは、少なくとも1つのステロイド及び少なくとも1つの又は少なくとも2つの異なるトリテルペンを含むサブフラクションに対応する。図9BのHNMRスペクトルは、少なくとも2つの異なるトリペン(tripene)、例えば2つのウルサンの混合物を含み、ステ
ロイドを除く、サブフラクションに対応する。
【0050】
従って、フラクションO-4は、少なくとも1つのトリテルペン及び少なくとも1つのス
テロイドを含む。ある実施態様において、フラクションO-4は、少なくとも2つの異なる
トリテルペン及び少なくとも2つの異なるステロイドを含むか、又はフラクションは、複数の異なるトリテルペン及び複数の異なるステロイドを含む。この実施例において評価されたO-4フラクションは、治療有効量の強心配糖体を除く。ある実施態様において、フラ
クションO-4は強心配糖体を除く。ある実施態様において、フラクションO-4の第1サブフラクションは、少なくとも1つのステロイド及び少なくとも1つのトリテルペン又は少な
くとも2つの異なるトリテルペンを含み、第2サブフラクションは、少なくとも2つの異なるトリペンを含み、ステロイドを除く。ある実施態様において、第1及び第2サブフラクションの各々が強心配糖体を除く。
【0051】
フラクションO-4をOGD処理脳スライス(脳卒中モデル)及び非OGD処理(即ち、コント
ロール)脳スライス(非脳卒中モデル)において試験した。データは、抽出物O-4フラク
ションが、100ng/mL〜1μg/mlの濃度の範囲の抽出物O-4フラクションの溶液を使用し
た場合に実質的な神経保護を提供し、1μg/mL〜1mg/mLの濃度の範囲の抽出物O-4フラクションの溶液を使用した場合にさらにより大きな神経保護を提供することを示している。従って、液体投薬形態1mL当たり抽出物のフラクション100ng/mL〜1mg/mLを含有す
る液体投薬形態は、それが投与される対象者において神経保護を提供するべきである。
【0052】
抽出物の全身投薬後に直接的な測定をヒト脳において行っていないが、抽出物のフラクション中の1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な成分は、対象者へ投与されると血液脳関門を通過すると考えられる。純粋な化合物としての又はPBI−05204として公知のSCF抽出
物中に含有されるオレアンドリンは、血液脳関門を有効に通過し、脳内に入ることが齧歯動物(マウス)モデルにおいて示された。オレアンドリンがヒト血液脳関門に関して同じことを行うと予想することは、合理的である。
【0053】
従って、本発明は、有効量のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種抽出物へ酸素枯渇及び/又はグルコース枯渇ニューロンを曝し、活性の減少を最小限にし、活性の減少率を減らし、活性の減少を停止し、活性の減少の開始を遅らせ、及び/又は酸素枯渇及び/又はグルコース枯渇条件へ曝すことによって引き起こされたニューロンの機能を保護することによって、酸素枯渇又は酸素−グルコース枯渇によって引き起こされた活性の減少からニューロンを保護する方法を提供する。ある実施態様において、方法は、有効量のキョウチクトウ属の種抽出物又はテベティア属の種抽出物のフラクション又はサブフラクションを用いる。ある実施態様において、フラクション又はサブフラクションは、抽出物の液体クロマトグラフィー分画によって調製されている。ある実施態様において、フラクションは強心配糖体を除き、他の実施態様において、フラクション又はサブフラクションは1つ又はそれ以上の強心配糖体、特に本明細書に記載のものを含む。
【0054】
実施例9は、アルツハイマー病の治療についての抽出物の効能を評価するために使用したインビトロアッセイの詳細な説明を提供する。アッセイは、皮質錐体ニューロンのAPP
/Aβ誘発(APP:アミロイド前駆タンパク質)変性についての脳スライスベースアッセイである。セクレターゼ酵素によって切断されると、APPは、βアミロイド斑形成における
原因因子であると考えられるAβペプチドへ縮小される。Aβタンパク質は、βアミロイド斑形成と関連付けられ、アルツハイマー病における病因因子でないとしても特徴であると考えられている。微粒子銃トランスフェクションが、YFP(マーカー、黄色蛍光タンパク
質)などのバイタルマーカーを導入するため、及び脳スライス中の同一のニューロン集団中へ疾患遺伝子構築物を導入するために使用される。YFPはAPPアイソフォームと同時トランスフェクションされ、脳スライス調製及びトランスフェクション後3〜4日間にわたって皮質錐体ニューロンの進行性変性がもたらされる。データ(図2A〜2C)は、キョウチクトウ属の種SCF抽出物は、APPがトランスフェクションされた脳スライスに対して濃度依存性神経保護を提供し、それによって、BACE阻害薬、即ち、βセクレターゼ阻害薬によって提供されるのと同一のレベルに近いレベルが救出されることを示している。βセクレターゼ酵素は、APP前駆タンパク質を毒性Aβタンパク質へ切断する。オレアンドリン含有SCF抽出物は、オレアンドリン単独よりも大きな神経保護を提供するようであった。図2
A〜2C中のデータは、アルツハイマー病を表すこのインビトロアッセイにおいてニューロンの著しい保護を示す化合物又は治療戦略は文献においてほとんどなかった点で重要である。
【0055】
セイヨウキョウチクトウのSCF抽出物のフラクションを使用して、APP−WT脳スライスベースアルツハイマー病アッセイを繰り返した(実施例11)。健康な皮質ニューロンの数を、様々な量のSCF抽出物のフラクションO-4A(0.01〜100μg/ml)の存在下でのAPP/Aβ
誘発変性後に測定した。酸素及びグルコース欠乏への曝露は内部ポジティブコントロールとして役立ち、ニューロンへ脳卒中様仲介損傷をもたらした。ネガティブコントロールは、単に、OGD処置又は処置への曝露無しの脳スライスニューロンの相対的な健康であった
。データが図6に示され、ここで、より薄い色のバーは、0.05信頼水準でANOVA続いてダ
ネットの事後比較検定(Dunnett's post hoc comparison test)によってAPP−WT状態に
関して有意差を示している。データは、O-4Aフラクションが、たとえそれが強心配糖体を含有していないとしても、このアッセイにおいて神経保護を提供することを示している。
【0056】
テベティア・オレアンダーのSCF抽出物のフラクションO-4(O-4A)を、tau4R脳スライ
スベースアルツハイマー病アッセイ(実施例12)で評価した。健康な皮質ニューロンの数を測定する。このアッセイにおける効能は、SCF抽出物の様々な量のフラクションO-4A(0.3〜100μg/ml、濃度は抽出物の質量によって決定した)の存在下での、分解ニューロンのパーセンテージ並びに健康対不健康数の相対的総数と定義される又はに基づく。これらの実験におけるネガティブコントロールは、OGDへ曝されなかった脳スライスからなり、
一方、OGDへ曝されたが未分画セイヨウキョウチクトウ抽出物由来のフラクションで処理
されなかった脳スライスは、内部ポジティブコントロールとして役立った。データは図7に示され、ここで、より薄い色のバーは、0.05信頼水準でANOVA続いてダネットの事後比
較検定によって損傷ニューロンに関して有意差を示している。データは、O-4Aフラクションが、たとえそれが強心配糖体を含有していないとしても、このアッセイにおいて神経保護を提供することを示している。
【0057】
従って、本発明は、アルツハイマー病によって引き起こされる活性の減少からニューロンを保護する方法であって、アルツハイマー病の特徴を示すニューロンを有効量のキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物へ曝し、活性の減少を最小限にし、活性の減少率を減らし、活性の減少を停止し、活性の減少の開始を遅らせる工程を含む方法を提供する;及び/又はアルツハイマー病によって引き起こされるニューロンの重要な機能。ある実施態様において、方法は、有効量のキョウチクトウ属の種抽出物又はテベティア属の種抽出物のフラクションを用いる。ある実施態様において、フラクションは、抽出物の液体クロマトグラフィー分画によって調製されている。ある実施態様において、フラクションは強心配糖体を除き、他の実施態様において、フラクションは1つ又はそれ以上の強心配糖体、特に本明細書に記載のものを含む。
【0058】
実施例10は、ハンチントン病の治療についての抽出物の効能を評価するために使用したアッセイの詳細な説明を提供する。突然変異httタンパク質を、皮質ニューロン、線条体
ニューロン、及びグリアの高密度混合共培養物中へエレクトロポレーションによって導入する。線条体及び皮質ニューロンに異なる色の蛍光タンパク質をトランスフェクションし、それによって、共培養物中の異なるタイプのニューロンの個々の識別を容易にする。蛍光タンパク質は、蛍光性であり、適切な波長の光源での活性化で色を「発光する」。データ(図3A〜3D)は、オレアンドリン及びセイヨウキョウチクトウのSCF抽出物が、よ
り多数の生存ニューロンを提供する点から、KW6002(アデノシン2a受容体アンタゴニスト)よりも有効であることを示している。データはまた、SCF抽出物がオレアンドリン単独
よりも有効であることを示しており、このことは、抽出物が、オレアンドリンに加えて、ハンチントン病を治療するために使用され得る、1つ又はそれ以上の治療有効薬剤をさらに含むことを示唆している。このような他の薬剤は、オレアンドリン又は他の強心配糖体と共に又はの非存在下で使用され得る。従って、本発明は、ハンチントン病によって引き起こされる活性の減少からニューロンを保護する方法であって、ハンチントン病の特徴を
示すニューロンを有効量のオレアンドリン又はオレアンドリン含有抽出物へ曝し、活性の減少を最小限にし、活性の減少率を減らし、活性の減少を停止し、活性の減少の開始を遅らせる工程を含む方法を提供する;及び/又はハンチントン病によって引き起こされるニューロンの正常な機能。
【0059】
実施例16は、脳卒中後の遅延期間の完了後の対象者における脳卒中の治療における抽出物の効能を評価するために使用され得る例示的な脳スライスアッセイを詳述する。酸素グルコース欠乏を用いての脳スライスアッセイを、本明細書に記載される通りに行い;しかし、脳スライスを抽出物で予防的に処理したのではなく、それらを0、1、2、4、及び6時間の遅延期間後に抽出物で処理した。データは、抽出物含有(extract containing)が、脳卒中後1時間まで、2時間まで、3時間まで、4時間まで、5時間まで、約6時間までの遅延期間の間、著しい神経保護を提供する点で有効であることを実証している。
【0060】
従って、本発明は、対象者が脳卒中に罹った後の対象者へキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物の用量の投与によって対象者における脳卒中を治療する時間遅延方法を提供する。対象者が脳卒中に罹った後の受容可能な遅延期間内に、初期用量の抽出物が初期投薬計画に従って投与される。次いで、抽出物での治療に対する対象者の臨床反応及び/又は治療反応の妥当性が決定される。対象者の臨床反応及び/又は治療反応が妥当である場合、抽出物での治療が、所望の臨床的エンドポイントが達成されるまで必要に応じて継続される。あるいは、対象者の臨床反応及び/又は治療反応が初期用量及び初期投薬計画で妥当でない場合、対象者において所望の臨床反応及び/又は治療反応が達成されるまで用量を段階的に増加させるか又は段階的に減少させる。投薬頻度又は用量投与の全期間の変更などの、投薬計画の変更と共に、用量の段階的な増加又は段階的な減少が行われ得る。
【0061】
OGD前に脳組織を抽出物で処理する条件下で、本明細書中の脳スライスアッセイのいく
つかを行う。それらの条件下で、データは、脳卒中によって引き起こされる損傷に対して神経保護を予防的に提供する点で抽出物の有用性を確立している。
【0062】
臨床医が抽出物又はその組成物と1つ又はそれ以上の他の治療剤との組み合わせで神経学的状態を有する対象者を治療しようとし、対象者が有する特定の神経学的状態が該1つ又はそれ以上の他の治療剤での治療に対して少なくとも部分的に治療反応性であることが公知である場合、本方法発明は、以下を含む:治療的に適切な用量の抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)及び治療的に適切な用量の該1つ又はそれ以上の他の治療剤をその必要がある対象者へ投与する工程、ここで、抽出物(又はそのフラクション又はサブフラクション)は第1投薬計画に従って投与され、1つ又はそれ以上の他の治療剤は第2投薬計画に従って投与される。ある実施態様において、第1及び第2投薬計画は同一である。ある実施態様において、第1及び第2投薬計画は異なる。
【0063】
治療される神経学的状態がアルツハイマー病である場合、1つ又はそれ以上の他の治療剤は、BACE阻害剤又はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群より選択され得る。ある実施態様において、1つ又はそれ以上の他の治療剤は、ナメンダ(Namenda)(商標
)(メマンチンHCl)、アリセプト(商標)(ドネペジル)、ラザダイン(Razadyne)(
商標)(ガランタミン)、エクセロン(商標)(リバスチグミン)、及びコグネックス(Cognex)(商標)(タクリン)からなる群より選択され得る。
【0064】
治療される神経学的状態がハンチントン病である場合、1つ又はそれ以上の他の治療剤は、天然産物、抗痙攣薬、NMDA(n−メチルd−アスパルテート)受容体アンタゴニスト、及びナトリウムチャネル遮断薬からなる群より選択され得る。例示的な薬剤としては、ビタミンE、バクロフェン(Baclofen)(CoQ10の誘導体)、ラモトリギン(Lamotrigine)
(抗痙攣薬)、レマセミド(低親和性NMDAアンタゴニストである麻酔薬)、及びリルゾール(Naチャネル遮断薬)が挙げられる。これらの薬剤の各々の効能は単独では低いと考えられ(Mestre T. et al, Chochrane Database Systematic Reviews July 8, 2009; 8(3):
CD006455);しかし、1つ又はそれ以上のこれらの他の薬剤を受ける対象者への抽出物
を含有する投薬形態の投与は、神経学的障害を有する対象者に、これらの薬剤を欠く抽出物の投与と比較して改善された臨床効果を提供することが、予想される。
【0065】
治療される神経学的状態が脳卒中仲介虚血性脳損傷(虚血性脳卒中)である場合、文献(Gutierrez M. et al. “Cerebral protection, brain repair, plasticity and cell therapy in ischemic stroke” Cerebrovasc. Dis. 2009; 27 Suppl 1:177-186)に開示される治療処置、例えば、静脈内血栓溶解が、抽出物に加えて用いられ得る。ある実施態様において、1つ又はそれ以上の他の治療剤は、アルテプラーゼ(Alteplase)(血栓溶解
剤)などの薬物からなる群より選択され得る。
【0066】
1つ又はそれ以上の他の治療剤は、治療的に有効であると臨床医により認識される用量で及び投薬計画に従って、又はサブ治療的に有効であると臨床医により認識される用量で、投与され得る。抽出物と1つ又はそれ以上の他の治療剤との組み合わせの投与によって提供される臨床的利益及び/又は治療効果は、相加的又は相乗的であり得、このような利益又は効果のレベルは、組み合わせの投与を個々の抽出物及び1つ又はそれ以上の他の治療剤の投与と比較することによって決定される。1つ又はそれ以上の他の治療剤は、米国食品医薬品局(U.S.F.D.A.)、世界保健機関(W.H.O.)、欧州医薬品庁(E.M.E.A.)、治療製品局(Therapeutic Goods Administration)(TGA、オーストラリア)、全米保健機
構(PAHO)、医薬医療器具管理局(Medicines and Medical Devices Safety Authority)(Medsafe、ニュージーランド)、又は世界中の様々な厚生省によって提案又は記載され
る用量で及び投薬計画に従って投与され得る。
【0067】
強心配糖体が本発明に従って使用される場合、それは、Na,K−ATPアーゼ結合活性を有
することが公知の任意の強心配糖体であり得る。強心配糖体は、血液脳関門を通過し、投与後長時間の間、脳組織中に保持されることができる。この点に関して、強心配糖体は、組織結合及び結果として生じる低クリアランス速度に起因して、強心配糖体の投与後少なくとも8時間、脳中に保持される。
【0068】
存在する場合、強心配糖体は、純粋な形態で又は1つ又はそれ以上の他の化合物との混合物として存在し得る。強心配糖体は抽出物として存在し得る。
【0069】
抽出物は、超臨界流体(SCF)二酸化炭素(CO2)抽出によって調製され得るか、又はこのような抽出物の化学修飾形態であり得る(例えば、エタノールを含むか又はSCF CO2
びエタノールを使用して調製された抽出物;実施例1)。抽出物は、有機溶媒、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール又は他のこのような溶媒での植物材料の抽出によって得ることができる。抽出物は、植物材料から得ることができる。植物材料は、セイヨウキョウチクトウなどのキョウチクトウ属の種、又はテベティア・ネリイフォリア若しくはテベティア・ペルビアナ(そうでなければイエローオレアンダーとして公知)などのテベティア属の種から得られるような植物マスであり得る。抽出プロセスは、これらの全開示が参照により本明細書に組み入れられる、Addingtonの名前で2005年2月15日に出願された現在係属中の米国仮出願第60/653,210号又はAddingtonの名前で2006年1月26日に出願
された米国出願第11/340,016号、Addingtonの名前で2006年7月28日に出願された米国出
願第11/191,650号、(2008年7月22日に発行された、現在の米国特許第7,402,325号)、
又は2006年7月26日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US06/29061号、又はNewman et al. (Mol. Interven. (2008), 8, 36-49において記載されたプロセスに従って、又は本明細書に記載されたプロセスによって、調製されたセイヨウキョウチクトウの葉の乾燥粉末
に対して行われ得る。これらの方法はまた、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の未分画抽出物を調製するために使用され得る。特に明記しない限り、本明細書において使用される用語「抽出物」は、「未分画抽出物」又は抽出物のフラクション又は抽出物のフラクションのサブフラクションを意味するように解釈され得る。用語「未分画抽出物」は、植物材料の抽出によって得られた抽出物を意味するように一般的に解釈され、ここで、抽出物は、抽出物の最初の調製に続いて、クロマトグラフィー又は溶媒抽出による個々の成分又は成分の群への分画又は分離などの、分画へ供されていない。
【0070】
本明細書において使用される場合、用語「オレアンドリン」は、特に明記しない限り、オレアンドリンの全ての公知の形態を意味するように解釈される。オレアンドリンは、ラセミ体の、光学的に純粋な又は光学的に富んだ形態で存在し得る。セイヨウキョウチクトウ植物材料は、例えば、Aldridge Nursery, Atascosa, Texasなどの市販植物供給業者か
ら得ることができる。
【0071】
未分画抽出物は、強心配糖体含有植物マスの、例えばキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種含有植物マスの、改変(例えば、エタノール)又は未改変超臨界流体抽出によって得ることができる。超臨界流体抽出物は、対象者へ投与される場合に抽出物の治療効能に寄与する、植物マスから抽出された、1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤を含み得る。このような薬剤が2つ以上存在する場合、それらは抽出物の治療効能に相加的に又は相乗的に寄与し得る。
【0072】
未分画抽出物は、種々の異なるプロセスによって製造され得る。抽出物は、上記のように又はHuseyin Ziya Ozel博士によって開発されたプロセスに従って製造され得る(米国
特許第5,135,745号に、水中の植物の抽出物を製造するための熱水抽出手順が述べられて
いる)。伝えられるところでは、水性抽出物は、分子量が2KDから30KDまで変わる幾つか
の多糖類、オレアンドリン及びオレアンドリゲニン、オドロシド及びネリタロシドを含有する。伝えられることろでは、多糖類は、酸性ホモポリガラクツロナン又はアラビノガラツロナン(arabinogalaturonan)を含有する。Selvarajらの米国特許第5,869,060号はキ
ョウチクトウ属の種の熱水抽出物及びその製造方法を開示している;例えば、実施例2。得られた抽出物は粉末を製造するために次いで凍結乾燥され得る。米国特許第6,565,897
号(Selvarajらの米国付与前公告第20020114852号及びPCT国際公開公報第WO2000/016793号)は、実質的に無菌の抽出物を製造するための熱水抽出プロセスを開示している。Erdemogluら(J. Ethnopharmacol. (2003) Nov. 89(1), 123-129)は、抗侵害受容及び抗炎症活性に基づくセイヨウキョウチクトウを含む植物の水性及びエタノール抽出物の比較についての結果を開示している。セイヨウキョウチクトウの有機溶媒抽出物が、Adomeら(Afr. Health Sci. (2003) Aug. 3(2), 77-86;エタノール抽出物)、el-Shazlyら(J. Egypt
Soc. Parasitol. (1996), Aug. 26(2), 461-473;エタノール抽出物)、Begumら(Phytochemistry (1999) Feb. 50(3), 435-438;メタノール抽出物)、Ziaら(J. Ethnolpharmacol. (1995) Nov. 49(1), 33-39;メタノール抽出物)及びVlasenkoら(Farmatsiia. (1972) Sept.-Oct. 21(5), 46-47;アルコール抽出物)によって開示されている。Singhらの米国付与前特許出願公開公報第20040247660号は、癌の治療において使用するためのオレ
アンドリンのタンパク質安定化リポソーム製剤の製造を開示している。Singhらの米国付
与前特許出願公開公報第20050026849号は、シクロデキストリンを含有するオレアンドリ
ンの水溶性製剤を開示している。Singhらの米国付与前特許出願公開公報第20040082521号は、熱水抽出物からのオレアンドリンのタンパク質安定化ナノ粒子製剤の製造を開示している。
【0073】
SCF抽出は、植物マスからの所望の化合物の抽出を高めるために、アルコール、例えば
エタノールなどの、超臨界流体中においてモディファイヤー(modifier)の存在下で行われ得る(2005年7月26日に出願されたPCT/US06/29061;US 7,402,325;及び2008年1月24日
に出願されたUSSN 12/019435、又はNewman et al. (Mol. Interven. (2008), 8, 36-49)
;これらの全開示が参照により本明細書に組み入れられる)。モディファイヤーは、超臨界流体のそれと抽出される化合物のそれとの間の揮発性を一般的に有し、それらは超臨界流体と混和性でなければならない。ある実施態様において、モディファイヤーは、周囲条件で液体である。例としてかつ非限定的に、モディファイヤーは、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレンなどからなる群より選択され得る。
【0074】
抽出物は、本明細書に含まれるアッセイにおいて効能によって決定されるようなそれらの相対的パフォーマンスの点で異なる場合がある。たとえそうでも、1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤が治療的に適切な用量を調製することができるために抽出物中に十分に高い量又は濃度で存在する場合、抽出物は本発明の一部と考えられる。
【0075】
実施例13は、5つの異なるフラクション:O-H、O-2、O-3、O-4及びO-5へSCF抽出物を分画するためのクロマトグラフィー法を示す。水で平衡化されたODS−シリカゲルカラム上
へ未分画抽出物をロードし、メタノール含有量(30%、55%、80%及び100%)が異なる
様々な部分の水性移動相をカラムに連続して通過させることにより抽出物の種々のフラクションを続いて溶出し、それぞれの溶出物(フラクション)を収集し、減圧下での溶媒蒸発により溶出物を濃縮して溶媒を除去し、それによってフラクションO-1(又はO-H)、O-2、O-3、O-4及びO-5を提供することによって、フラクションを調製した。フラクションを実施例14に従って分析し、強心配糖体及び他の成分に関してのそれらの組成を、強心配糖体へ付着する(従って検出に有用である)高感度色素インジケータを使用する薄層クロマトグラフィーによって測定した。さらに、これらのフラクション中の強心配糖体の存在又は非存在を、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析又はDAD−UV検出を使用して分
析した。
【0076】
抽出物のフラクション又はサブフラクションは、ODS−シリカゲルとは異なる固定相を
用いる及び/又は水とは異なる移動相を用いることによる液体クロマトグラフィーによって分析され得る。例示的な適切な固定相を本明細書においてさらに説明する。
【0077】
図8A〜8Dは、実施例13のフラクションFr-O-1、Fr-O-2、Fr-O3及びFr-O-4のHPLC分
析後に得られたクロマトグラムを示す。対応の外部参照サンプルを使用して得られた保持時間の比較に基づいて、(Fr-O-2及びFr-O-3)フラクションはオレアンドリン誘導体(強心配糖体)、オレアンドリン(Rt=8.3分)及び他の未同定成分を含油することが測定さ
れた。最初の未分画SCF抽出物中に見られたオレアンドリンのバルクは、主に、Fr-O-3フ
ラクション中にあった。Fr-O-4は、定量化可能な量の強心配糖体を含有しなかった。従って、フラクションの組成は、オレアンドリン、強心配糖体及び他の未同定成分の含有量によって異なった。
【0078】
【表1】
【0079】
次いで、これらのフラクションを、実施例15において詳述される神経保護脳スライスベースアッセイへ供し、各々によって提供される神経保護のレベルを測定した。データは図4A〜4Eに示され、ここで、SCF抽出物(23μg/ml)を含有する水溶液の神経保護活性を、他の成分を0.03、0.3又は3μg/ml含有する他の溶液のそれと比較した。全てのフラクションを量り分け、等しいマス質量に基づいて比較した。オレアンドリン、又は強心配糖体を含有するフラクション(本明細書に記載される)、並びにオレアンドリン、又は強心配糖体を含有しないいくつかのフラクションが、神経保護を提供することができたことが測定された。
【0080】
脳スライスベース脳卒中アッセイ(実施例15)におけるSCF抽出物のフラクションO-4のパフォーマンスを未分画のSCF抽出物(PBI−05204)のそれと比較した。様々な量(0.03
〜300μg/ml)のO-4フラクションのパフォーマンスを、固定量(23μgのオレアンドリンml)の抽出物と比較した。データ(図5)は、セイヨウキョウチクトウのSCF抽出物のフ
ラクションO-4が、たとえそれがオレアンドリン又は検出可能量の他の強心配糖体を含有
しないとしても、その効能を保持することを明確に示している。図5中のより薄い色のバーは、0.05信頼水準でANOVA続いてダネットの事後比較検定によって脳卒中状態(0へ設
定)に関して有意差を示している。
【0081】
従って、本発明は、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種抽出物の複数の治療フラクションを提供し、フラクションは以下からなる群より選択される:a)1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤を含み、オレアンドリン及び他の強心配糖体を除くフラクション、ここで、フラクションは神経保護を提供する;b)1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤、オレアンドリン及び1つ又はそれ以上の他の強心配糖体を含むフラクション、ここで、フラクションは神経保護を提供する;及びc)1つ又はそれ以上の他の薬理学的に活性な薬剤(上記a)のものとは異なる)を含み、オレアンドリン及び他の強心配糖体を除く異なるフラクション、ここで、フラクションは神経保護を提供する。
【0082】
本発明はまた、1つ又はそれ以上のその治療的に有効なフラクションを提供するためにキョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を分画する方法を提供する。方法は、a)キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物を提供する工程;b)抽出物を分画し、抽出物の2つ又はそれ以上の異なるフラクションを提供する工程、第1抽出物フラクションは、強心配糖体ではない1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤を含み、強心配糖体を除き、第2抽出物フラクションは、強心配糖体ではない1つ又はそれ以上の薬理学的に活性な薬剤、及び1つ又はそれ以上の強心配糖体及びを含む。ある実施態様において、分画は、固定相及び移動相を用いる液体クロマトグラフィーによって行われる。ある実施態様において、固定相は、「逆相」樹脂、例えば、シリカへ結合された短い(C8〜C18)炭素鎖、シアノ結合シリカ又はフェニル結合シリカから構成される、クロマトグラフ
ィーにおける使用のために十分なパッキングを達成する不活性非極性物質、イオン交換樹脂(カチオン又はアニオンベース)、「順相」樹脂、例えば、シアノ及びアミノ官能基を有するシリカ又は有機部分からなる群より選択される媒体を含む。ある実施態様において、移動相は、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、緩衝水溶液又はそれらの混合物からなる群より選択される溶媒を含む。ある実施態様において、移動相は水性メタノールを含み、ここで、メタノールの含有量は、約30%から100%ま
で連続して増加され、固定相はODS−シリカゲルである。クロマトグラフィーは、勾配溶
出移動相、段階溶出移動相又は一定組成移動相を使用して行われ得る。
【0083】
抽出物のフラクションは、抽出物のフラクションの2つ又はそれ以上の異なるサブフラクションを提供するようにサブ分画され得る。サブ分画は、フラクションの液体クロマトグラフィーによって行われ得る。液体クロマトグラフィーについて適切な固定相は、シリカゲル又は他の樹脂、例えば、イオン交換媒体、アルミナ、又は非結合C18材料を含み得
、液体クロマトグラフィーについて適切な移動相は、極性が異なる2つ以上の有機溶媒の組み合わせ:より極性が低い有機溶媒及びより極性が高い有機溶媒を含み得る。適切な極性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸及び水であり得る。適切な非極性有機溶媒は、酢酸エチル
ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−
ジオキサン、クロロホルム又はジエチルエーテルであり得る。
【0084】
緩衝液における使用のための緩衝剤としては、液体クロマトグラフィーの分野において任意の既に公知のものが挙げられる。例示的な緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リン酸塩、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸塩、スルホン酸塩、アルキルアミン、TAE、TBE、アンモニア、BuffAR、炭酸塩、HEPES、MES、チオシアン酸塩、CAPS、CHES、グアニジン、MOPS、PIPES、TRIS、硫酸塩、水酸化物、ハロゲン化アルキル金属、
トリシン、又はアミノ酸イオン又はそれらの組み合わせを含有するものが挙げられる。1つ又はそれ以上のイオン対化剤及び/又は1つ又はそれ以上の有機モディファイヤーもまた、移動相に含められ得る。
【0085】
抽出物を分画するために使用され得る他のタイプのクロマトグラフィーとしては、サイズ排除クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー又はそれらの組み合わせが挙げられる。異なるタイプのクロマトグラフィーの組み合せられた形態を使用することも可能である。固定相は、逆相、サイズ排除、イオン交換又は疎水性相互作用クロマトグラフィーのために使用される2つ又はそれ以上の異なる媒体の組み合わせ、例えば、逆相固定相及びサイズ排除固定相の組み合わせ、逆相固定相及びイオン交換固定相の組み合わせ、又は2、3若しくは4つの異なる固定相媒体の他のこのような組み合わせである媒体を含み得る。固定相媒体は、多孔性、非多孔性、表面多孔性、拡散的多孔性、又は全多孔性であり得る。
【0086】
本発明は、以下を含む抽出物を分画する方法を提供する:a)キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種から得られた抽出物の抽出物を提供する工程;b)固定相としてODS−シ
リカゲル及び移動相として水性メタノールを用いて、カラムクロマトグラフィーによって抽出物を分画し、少なくとも2つの異なるフラクションを提供する工程:第1フラクションは、少なくとも1つの強心配糖体及び少なくとも1つの非強心配糖体薬理学的活性薬剤を含み、別のフラクションは、強心配糖体を除き、少なくとも1つの非強心配糖体薬理学的活性薬剤を含む;c1)固定相としてシリカゲル及び移動相として極性が異なる少なくと
も2つの有機溶媒の混合物を用いて、カラムクロマトグラフィーによってb)の他のフラクションをサブ分画し、少なくとも2つの異なるサブフラクションを提供する工程:サブフラクションは、1つ又はそれ以上のステロイド及び1つ又はそれ以上のトリテペンを含み
、別のサブフラクションは、2つ又はそれ以上の異なるトリペンを含み、ステロイドを除き、ここで、サブフラクションは強心配糖体を除く。
【0087】
ある実施態様において、方法は、さらに以下を含む:c2)固定相としてシリカゲル及び
移動相として極性の異なる少なくとも2つの有機溶媒の混合物を用いて、カラムクロマトグラフィーによってb)の第1フラクションをサブ分画し、少なくとも2つの異なるサブフラクションを提供する工程:サブフラクションは、1つ又はそれ以上のステロイド及び1つ又はそれ以上のトリテペンを含み、別のサブフラクションは、2つ又はそれ以上の異なるトリペンを含み、ステロイドを除き、ここで、サブフラクションのいずれか一方又は両方が、強心配糖体をさらに含む。
【0088】
抽出物、又はそのフラクション又はサブフラクションは、任意の適切な薬学的に許容される投薬形態に処方され得る。非経口、耳、眼、鼻、吸入、頬側、舌下、腸内、局所、経口、経口的、及び注射可能な投薬形態が特に有用である。特定の投薬形態としては、固体又は液体投薬形態が挙げられる。例示的で適切な投薬形態としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、カプレット剤、トローチ剤、小袋(sache)、液剤、懸濁剤、ディスパージョン、
バイアル、バッグ、ボトル、注射可能な液剤、i.v.(静脈内)、i.m.(筋内)又はi.p.(腹腔内)投与可能な液剤、及び薬学における当業者に公知の他のこのような投薬形態が挙げられる。
【0089】
本発明の用量に組み入れられる抽出物、又はそのフラクション又はサブフラクションの量は、少なくとも1つ又はそれ以上の投薬形態であり、薬学の公知の原理に従って選択され得る。有効量又は治療的に適切な量の治療用化合物が具体的に熟慮される。用語「有効量」によって、例えば、医薬品に関しては、薬学的に有効な量が熟慮されていることが理解される。薬学的に有効な量は、要求される又は望ましい治療応答に対して十分である有効成分の量又は分量、又は言い換えれば、患者に投入されたときに、明らかな生物学的応答を誘発するために十分である量である。明らかな生理学的応答が、活性物質の単回又は複数回用量の投与の結果として生じ得る。用量は、1つ又はそれ以上の投薬形態を含み得る。如何なる患者に対する特定の用量レベルも、治療される適応症、適応症の重症度、患者の健康、年齢、性別、体重、食事、薬理学的応答、採用される特定の投薬形態、及びその他のこのような因子を含む種々の因子に依存することが理解される。
【0090】
僅か1個のそして10個もの数の投薬形態が単回用量として投与され得るが、経口投与についての所望の用量は、5個までの投薬形態である。例示的な投薬形態は、1投薬形態当たりSCF抽出物を0.1〜5mg含有し、1用量当たり計0.1〜500 mg(1〜10用量レベル)で
ある。対象者において特定の治療反応又は臨床的利益を達成するように予定及び/又は調整され得る投薬計画に従って、用量は投与される。
【0091】
哺乳動物の治療における使用について、抽出物、又はそのフラクション又はサブフラクションは投薬形態中に含まれ得る。投薬形態のある実施態様は、腸溶コーティングされておらず、抽出物のそれらのチャージを0.5〜1時間以内の期間内で放出する。投薬形態の
ある実施態様は、腸溶コーティングされており、強心(cardiac)のそれらのチャージを
、空腸、回腸、小腸、及び/又は大腸(結腸)からなど、胃の下流で放出する。腸溶コーティングされた投薬形態は、経口投与後1〜10時間以内に体循環中へ抽出物を放出する。
【0092】
本明細書中の化合物は本発明の製剤において1つ又はそれ以上の機能を有し得ることが注意されるべきである。例えば、化合物は、界面活性剤及び水混和性溶媒の両方として、又は界面活性剤及び水非混和性溶媒の両方として、役立ち得る。
【0093】
液体組成物は、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される液体担体を含み得る。液体担体
は、水性、非水性、極性、非極性、及び/又は有機担体であり得る。液体担体としては、例としてかつ非限定的に、水混和性溶媒、水非混和性溶媒、水、緩衝液及びそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
本明細書において使用される場合、用語「水溶性溶媒」又は「水混和性溶媒」は、これらの用語は交換可能に使用されるが、水と二相混合物を形成しないか又は水に十分に可溶性であり、液相を分離することなく少なくとも5パーセントの溶媒を含有する水性溶媒混合物を提供する有機液体を指す。溶媒は、ヒト又は動物への投与に適している。例示的な水溶性溶媒としては、例としてかつ非限定的に、PEG(ポリ(エチレングリコール))、PEG400(分子量約400程度を有するポリ(エチレングリコール))、エタノール、アセトン、アルカノール、アルコール、エーテル、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、ポリ(プロピレングリコール)、PVP(ポリ(ビニルピロリドン))、ジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、プロパノール、N−メチルアセトアミド、ブタノール、ソルフォール(soluphor)(2−ピロリドン)、ファルマソルブ(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。
【0095】
本明細書において使用される場合、用語「水不溶性溶媒」又は「水非混和性溶媒」は、これらの用語は交換可能に使用されるが、水と二相混合物を形成するか又は水中の溶媒濃度が5パーセントを超える場合に相分離する有機液体を指す。溶媒は、ヒト又は動物への
投与に適している。例示的な水不溶性溶媒としては、例としてかつ非限定的に、中/長鎖トリグリセリド、油、ヒマシ油、トウモロコシ油、ビタミンE、ビタミンE誘導体、オレイン酸、脂肪酸、オリーブ油、ソフチザン645(ジグリセリルカプリレート/カプレート
/ステアレート/ヒドロキシステアレートアジペート)、ミグリオール、キャプテックス(captex)(Captex350:グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレートトリグ
リセリド;Captex 355:グリセリルトリカプリレート/カプレートトリグリセリド;Captex 355 EP/NF:グリセリルトリカプリレート/カプレート中鎖トリグリセリド)が挙げ
られる。
【0096】
適切な溶媒は、“International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH) guidance for industry Q3C Impurities: Residual Solvents” (1997)に列挙されており、これは、医薬中でどれ位の量の残留溶媒が安全であると考えられるかについて推奨している。例示的な溶媒はクラス2又はクラス3溶媒として列挙される。クラス3溶媒としては、例えば、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル(tert-butlymethyl ether)、クメン、エタノール、エチルエーテル、酢酸エチル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1
−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、又
は酢酸プロピルが挙げられる。
【0097】
本発明において水非混和性溶媒として使用され得る他の物質としては、以下が挙げられる:Captex 100:プロピレングリコールジカプレート;Captex 200:プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;Captex 200P:プロピレングリコールジカプリレート
/ジカプレート;プロピレングリコールジカプリロカプレート;Captex 300:グリセリルトリカプリレート/カプレート;Captex 300 EP/NF:グリセリルトリカプリレート/カ
プレート中鎖トリグリセリド;Captex 350:グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレート;Captex 355:グリセリルトリカプリレート/カプレート;Captex 355 EP/NF:グリセリルトリカプリレート/カプレート中鎖トリグリセリド;Captex 500:トリア
セチン;Captex 500P:トリアセチン(医薬グレード);Captex 800:プロピレングリコ
ールジ(2−エチルヘキサノエート(2−Ethythexanoate));Captex 810 D:グリセリルト
リカプリレート/カプレート/リノレート;Captex 1000:グリセリルトリカプレート;Captex CA:中鎖トリグリセリド;Captex MCT-170:中鎖トリグリセリド;Capmul GMO:グリセリルモノオレエート;Capmul GMO-50 EP/NF:グリセリルモノオレエート;Capmul MCM:中鎖モノ及びジグリセリド;Capmul MCM C8:グリセリルモノカプリレート;Capmul MCM C10:グリセリルモノカプレート;Capmul PG-8:プロピレングリコールモノカプリレート;Capmul PG-12:プロピレングリコールモノラウレート;Caprol 10G10O:デカグリ
セロールデカオレエート;Caprol 3GO:トリグリセロールモノオレエート;Caprol ET:混合脂肪酸のポリグリセロールエステル;Caprol MPGO:ヘキサグリセロールジオレエート
;Caprol PGE 860:デカグリセロールモノ−,ジオレエート。
【0098】
本明細書において使用される場合、「界面活性剤」は、極性又は帯電親水性部分並びに無極性疎水性(親油性)部分を含む化合物を指し;即ち、界面活性剤は両親媒性である。用語、界面活性剤は、化合物の1つ又は混合物を指し得る。界面活性剤は、可溶化剤、乳化剤又は分散剤であり得る。界面活性剤は、親水性又は疎水性であり得る。
【0099】
親水性界面活性剤は、薬学的組成物における使用に適した任意の親水性界面活性剤であり得る。このような界面活性剤は、非イオン性親水性界面活性剤が現在好ましいが、アニオン性、カチオン性、両性イオン性又は非イオン性であり得る。上記で議論したように、これらの非イオン性親水性界面活性剤は、約10を超えるHLB値を一般的に有する。親水性
界面活性剤の混合物も本発明の範囲内にある。
【0100】
同様に、疎水性界面活性剤は、薬学的組成物における使用に適した任意の疎水性界面活性剤であり得る。一般的に、適切な疎水性界面活性剤は、約10未満のHLB値を有する。疎
水性界面活性剤の混合物も本発明の範囲内にある。
【0101】
さらなる適切な可溶化剤の例としては、アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びそれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル
、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール(glycofurol)、商品名テトラグリコール(Tetraglycol)の下でBASFから市販)又はメトキシPEG(Union Carbide);アミド、例えば、2−ピロリドン、2−ピペリドン、カプロラクタム、N
−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N
−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン(polyvinypyrrolidone);エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエ
ン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、カプロラクトン及びその異性体、バレロラクトン及びその異性体、ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野において公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド(アラソルブ(Arlasolve)DMI(ICI))、N−メチルピロリドン(ファルマソルブ(Pharmasolve)(ISP))、モノオクタノイン、ジエチレングリコールノノエチルエーテル(商品名トランスクトール(Transcutol)の下でGattefosseから入手可能)、及び水が挙げられる。可溶化剤の混合物も本発明の範囲内にある。
【0102】
示された場合を除いて、本明細書に記載された化合物は、標準市販供給源から容易に入手可能である。
【0103】
透明液体組成物は、組成物の全質量に基づいて5質量%未満、3質量%未満、又は1質量%未満の懸濁固体を含有するので、肉眼には視覚的に透明である。
【0104】
必要ではないが、本発明の組成物又はキットは、キレート化剤、保存剤、抗酸化剤、吸着剤、酸性化剤、アルカリ化剤、消泡剤、緩衝剤、着色剤、電解質、塩、安定剤、張度調節剤、希釈剤、他の薬学的賦形剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0105】
本明細書において使用される場合、用語「抗酸化剤」は、酸化を抑制し従って酸化プロセスによる調製物の劣化を防止するために使用される薬剤を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、アスコルビン酸、アスコルビックパルミタート(ascorbic palmitate)、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ブチル化ヒドロ
キシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び当業者に公知の他のこのような物質が挙げられる。
【0106】
本明細書において使用される場合、用語、キレート化剤は、溶液中の金属イオンをキレートする化合物を意味するように意図される。例示的なキレート化剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸テトラナトリウム)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸ペンタナトリム)、HEDTA(N−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸のトリナトリウム塩)、NTA(ニトリロ三酢酸トリナトリウム)、ジナトリウムエタノールジグリシン(Na2EDG)、ナトリウムジエタノールグリシン(DEGNa)、クエン酸、及び当業者に公知の他の化合物が挙げられる。
【0107】
本明細書において使用される場合、用語「吸着剤」は、物理的又は化学的(化学吸着)手段によってその表面上に他の分子を保持することができる薬剤を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、粉末化された及び活性化された炭、及び当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0108】
本明細書において使用される場合、用語「アルカリ化剤」は、アルカリ性媒体を提供するために使用される化合物を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、及びトロラミン、並びに当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0109】
本明細書において使用される場合、用語「酸性化剤」は、酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、酢酸、アミノ酸、クエン酸、フマル酸及び他のα−ヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、及び硝酸、並びに当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0110】
本明細書において使用される場合、用語「消泡剤」は、充填組成物の表面上に生じる発泡を防ぐか又は発泡の量を減らす化合物を意味するように意図される。適切な消泡剤としては、例としてかつ非限定的に、ジメチコーン、SIMETHICONE、オクトキシノール及び当
業者に公知の他のものが挙げられる。
【0111】
本明細書において使用される場合、用語「緩衝剤」は、酸又はアルカリの希釈又は添加時のpHの変化に耐えるために使用される化合物を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩
基性酢酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム無水物及び脱水物、並びに当業者に公知の他のこのような物質が挙げられる。
【0112】
本明細書において使用される場合、用語「希釈剤」又は「充填剤」は、錠剤及びカプセル剤の製造において、所望のバルク、流動性及び圧縮特性を与えるために充填剤として使用される不活性物質を意味するように意図される。このような化合物には、例としてかつ非限定的に、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、スクロース、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、ソルビトール、及び澱粉、並びに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0113】
本明細書において使用される場合、用語「保存剤」は、微生物の増殖を妨げるために使用される化合物を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メタクレゾール、ミリスチルガンマピコリニウムクロリド、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、及びメチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン、並びに当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0114】
本明細書において使用される場合、用語「着色剤」は、医薬品に色を付与するために使用される化合物を意味するように意図される。このような化合物としては、例としてかつ非限定的に、FD&CレッドNo.3、FD&CレッドNo.20、FD&CイエローNo.6、FD&CブルーNo.2、FD&CグリーンNo.5、FD&CオレンジNo.5、FD&CレッドNo.8、カラメル及び酸化鉄(黒、赤、
黄)、他のFD&C色素、及び天然着色剤、例えば、ブドウ皮抽出物、ビートの赤色粉末、β−カロテン、アナトー、カルミン、ウコン、パプリカ、それらの組み合わせ、並びに当業者に公知の他のこのような物質が挙げられる。
【0115】
本明細書において使用される場合、用語「安定剤」は、もし使用しなければ薬剤の治療活性を低減する物理的、化学的、又は生化学的プロセスに対して活性薬剤を安定化するために使用される化合物を意味するように意図される。適切な安定剤としては、例としてかつ非限定的に、アルブミン、シアル酸、クレアチニン、グリシン及び他のアミノ酸、ナイアシンアミド、ナトリウムアセチルトリプトホネート(sodium acetyltryptophonate)、酸化亜鉛、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、カプリル酸ナトリウム及びサッカリンナトリウム並びに当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0116】
本明細書において使用される場合、用語「張度調節剤」は、液体製剤の張度を調節するために使用され得る化合物を意味するように意図される。適切な張度調節剤としては、グリセリン、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、及び当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0117】
本発明の組成物はまた、油、例えば、不揮発性油、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油及びオリーブ油;脂肪酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸;並びに脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド及びアセチル化脂肪酸グリセリドを含み得る。組成物はまた、アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール及びプロピレングリコール;グリセロールケタール、例えば、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール;エーテル、例えば、ポリ(エチレングリコール)450;石油炭化水素、例えば、鉱油及びペトロラタム;水;薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤;又はそれらの混合物を含み得る。
【0118】
薬学的製剤の技術分野において使用される化合物は、一般的に種々の機能又は目的に役立つことが理解される。従って、本明細書において名前を挙げられた化合物が、本明細書において2つ以上の用語を定義するために使用されるか又は一度だけ記載されるならば、その目的又は機能は、その名前を挙げられた目的又は機能のみに限定されないと解釈されるべきである。
【0119】
製剤の1つ又はそれ以上の成分は、その遊離塩基又は薬学的に又は分析的に許容される塩形態で存在し得る。本明細書において使用される場合、「薬学的に又は分析的に許容される塩」は、イオン結合対を形成するために必要に応じてそれを酸と反応させることによって修飾された化合物を指す。許容される塩の例としては、例えば非毒性無機又は有機酸から、形成される従来の非毒性塩が挙げられる。適切な非毒性塩としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸及び当業者に公知の他のものから誘導されるものが挙げられる。塩は、有機酸、例えば、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマ
ル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及び当業者に公知の他のものから調製される。他の適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th. ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418において見られ、この関連する開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0120】
句「薬学的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織との接触における使用に適しており、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他のいずれかの問題若しくは合併症なしで、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合っている、化合物、物質、組成物及び/又は投薬形態を指すために本明細書において用いられる。
【0121】
投薬形態は、製薬産業において公知の任意の従来の手段によって調製され得る。液体投薬形態は、容器中に少なくとも1つの液体担体及びオレアンドリン又はオレアンドリン含有抽出物を提供することによって調製され得る。1つ又はそれ以上の他の賦形剤が液体投薬形態中に含まれ得る。固体投薬形態は、少なくとも1つの固体担体及びオレアンドリン又はオレアンドリン含有抽出物を提供することによって調製され得る。1つ又はそれ以上の他の賦形剤が固体投薬形態中に含まれ得る。
【0122】
投薬形態は、従来の包装装置及び材料を使用して包装され得る。それは、パック、ボトル、バイアル(via)、バッグ、注射器、包み、パケット、ブリスターパック、箱、アン
プル、又は他のこのような容器中に含められ得る。
【0123】
本発明は、神経学的状態を有する対象者の集団中の統計的に有意な数の対象者の臨床状態を改善するための方法であって、キョウチクトウ属の種又はテベティア属の種の抽出物、又はその組成物を対象者の集団へ投与する工程;及び改善された臨床状態を確立するために対象者の臨床状態を測定する工程を含む方法を含む。ある実施態様において、統計的に有意な数は、集団の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%である。ある実施態様において、抽出物は、1つ又はそれ以上の他の薬理学的に活性な化合物を含む。他の実施態様において、抽出物は、対象者の臨床状態を改善するためにオレアンドリン又は別の強心配糖体と協力する1つ又はそれ以上の他の薬理学的に活性な化合物を含む。
【0124】
上記の説明及び下記の実施例を考慮して、当業者は、過度の実験なしに、特許請求される本発明を実施することができる。前述のことは、本発明の実施態様の製造について特定の手順を詳述する下記の実施例を参照して、より十分に理解される。これらの実施例に対して行われる全ての参照は、説明を目的とする。以下の実施例は、網羅的とみなされるべきではなく、しかし、本発明によって企図される多くの実施態様のうちのいくつかのみを単に説明しているとみなされるべきである。
【0125】
オレアンドリンは、Sigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から購入され得る。
【実施例】
【0126】
実施例1
粉末状のオレアンダーの葉の超臨界流体抽出
方法A.二酸化炭素を用いて
オレアンダーの葉材料を収集、洗浄及び乾燥し、次いでオレアンダーの葉材料を粉砕及び脱水装置、例えば米国特許第5,236,132号、第5,598,979号、第6,517,015号及び第6,715,705号に記載されるものに通過させることによって、粉末状のオレアンダーの葉を製造した。使用した出発材料の質量は、3.94kgであった。
【0127】
抽出装置中、圧力300 bar(30MPa,4351psi)及び温度50℃(122°F)で出発材料を純
粋なCO2と合わせた。合計197kgのCO2を使用して、溶媒対原材料の比率を50:1にした。
次いで、CO2及び原材料の混合物を分離装置に通過させ、ここで混合物の圧力及び温度を
変えて二酸化炭素から抽出物を分離した。
【0128】
良い芳香を有する褐色がかった粘着性の粘稠材料として抽出物(65g)が得られた。色は、おそらく葉緑素によって生じた。正確な収率測定のため、管及び分離器をアセトンですすぎ、アセトンを蒸発させて追加の抽出物9gを得た。全抽出物量は74gであった。出発材料の質量に基づいて、抽出物の収率は1.88%であった。抽出物中のオレアンドリン含量は、高圧液体クロマトグラフィー及び質量分析法を用いて算出し、560.1mg、即ち、収
率0.76%であった。
【0129】
方法B.二酸化炭素及びエタノールの混合物を用いて
オレアンダーの葉材料を収集、洗浄及び乾燥し、次いでオレアンダーの葉材料を粉砕及び脱水装置、例えば米国特許第5,236,132号、第5,598,979号、第6,517,015号及び第6,715,705号に記載されるものに通過させることによって、粉末状のオレアンダーの葉を製造した。使用した出発材料の質量は、3.85kgであった。
【0130】
抽出装置中、圧力280bar(28MPa,4061psi)及び温度50℃(122°F)で、出発材料を純粋なCO2及びモディファイヤーとしての5%エタノールと合わせた。合計CO2160kg及びエ
タノール8kgを使用して、溶媒対原材料の比率を43.6対1にした。次いで、CO2、エタノ
ール及び原材料の混合物を分離装置に通過させ、ここで混合物の圧力及び温度を変えて二酸化炭素から抽出物を分離した。
【0131】
エタノールを除去した後、明らかに若干の葉緑素を含有する濃緑色で粘着性の粘稠な塊として抽出物(207g)が得られた。出発材料の質量に基づき、抽出物の収率は5.38%で
あった。抽出物中のオレアンドリン含量は、高圧液体クロマトグラフィー及び質量分析法を用いて算出し、1.89g、即ち、収率2.1%であった。
【0132】
実施例2
粉末状のオレアンダーの葉の熱水抽出
熱水抽出は、通常、オレアンダーの葉からオレアンドリン及び他の活性成分を抽出する
ために使用される。熱水抽出方法の例は、米国特許第5,135,745号及び第5,869,060号に見られ得る。
【0133】
粉末状のオレアンダーの葉5gを使用して、熱水抽出を行った。沸騰水10容積(オレアンダー出発材料の質量による)を粉末状のオレアンダーの葉へ添加し、混合物を6時間、常に撹拌した。次いで、混合物を濾過し、葉の残留物を集め、同一の条件下で再び抽出した。濾液を合わせて凍結乾燥した。抽出物の外観は、褐色であった。乾燥した抽出物材料は、質量約1.44gであった。抽出物材料34.21mgを水に溶解し、高圧液体クロマトグラフ
ィー及び質量分析法を用いてオレアンドリン含量分析に供した。オレアンドリンの量を測定し、3.68mgであった。抽出物の量に基づくオレアンドリン収率を算出し、0.26%であった。下の表は、実施例1の2つの超臨界二酸化炭素抽出及び熱水抽出についてのオレアンドリン収率の比較を示している。
【0134】
【表2】
【0135】
実施例3
アルツハイマー病を含むがこれに限定されない神経学的状態の治療
方法A.抽出物療法
アルツハイマー病を示す対象者に強心配糖体を処方し、一定期間の間、処方された投薬計画に従って対象者へ治療的に適切な用量を投与した。対象者の治療反応のレベルを定期的に測定した。治療反応のレベルがある用量で低すぎた場合、対象者において所望のレベルの治療反応が達成されるまで、予め決定された用量段階的増加スケジュールに従って用量を段階的に増加させた。抽出物、又はそのフラクション又はサブフラクションでの対象者の治療を必要に応じて継続し、用量又は投薬計画は、患者が所望の臨床的エンドポイントに達するまで必要に応じて調節され得た。
【0136】
方法B.併用療法:抽出物及び別の治療剤
アルツハイマー病又はその症状の治療用の1つ又はそれ以上の他の治療剤を対象者に処方及び投与したこと以外、上記方法Aに従った。その場合、1つ又はそれ以上の他の治療剤を抽出物の前、後又はと共に投与することができた。1つ又はそれ以上の他の治療剤の用量の段階的な増加(又は段階的な減少)も行うことができた。適切な1つ又はそれ以上の他の治療剤としては、ナメンダ(商標)(メマンチンHCl)、アリセプト(商標)(ド
ネペジル)、ラザダイン(商標)(ガランタミン)、エクセロン(商標)(リバスチグミン)、コグネックス(商標)(タクリン)、及びアマンタジンが含まれた。
【0137】
実施例4
ハンチントン病を含むがこれに限定されない神経学的状態の治療
方法A.抽出物療法
ハンチントン病を示す対象者に抽出物を処方し、一定期間の間、処方された投薬計画に従って対象者へ治療的に適切な用量を投与した。対象者の治療反応のレベルを定期的に測定した。治療反応のレベルがある用量で低すぎた場合、対象者において所望のレベルの治
療反応が達成されるまで、予め決定された用量段階的増加スケジュールに従って用量を段階的に増加させた。抽出物での対象者の治療を必要に応じて継続し、用量又は投薬計画は、患者が所望の臨床的エンドポイントに達するまで必要に応じて調節され得た。投与した用量は、実施例3又はそうでなければ本明細書に記載のものと同様であり得た。
【0138】
方法B.併用療法:抽出物及び別の治療剤
ハンチントン病又はその症状の治療用の1つ又はそれ以上の他の治療剤を対象者に処方及び投与したこと以外、上記方法Aに従った。1つ又はそれ以上の他の治療剤を強心配糖体の前、後又はと共に投与することができた。1つ又はそれ以上の他の治療剤の用量の段階的な増加(又は段階的な減少)も行うことができた。適切な1つ又はそれ以上の他の治療剤としては、ビタミンE、バクロフェン(CoQ10の誘導体)、ラモトリギン(抗痙攣薬
)、レマセミド(低親和性NMDAアンタゴニストである麻酔薬)、及びリルゾール(Naチャネル遮断薬)が含まれた。
【0139】
実施例5
虚血性脳卒中を含むがこれに限定されない神経学的状態の治療
方法A.抽出物療法
虚血性脳卒中を示す対象者に抽出物を処方し、一定期間の間、処方された投薬計画に従って対象者へ治療的に適切な用量を投与した。対象者の治療反応のレベルを定期的に測定した。治療反応のレベルがある用量で低すぎた場合、対象者において所望のレベルの治療反応が達成されるまで、予め決定された用量段階的増加スケジュールに従って用量を段階的に増加させた。抽出物での対象者の治療を必要に応じて継続し、用量又は投薬計画は、患者が所望の臨床的エンドポイントに達するまで必要に応じて調節され得た。投与した用量は、実施例3又はそうでなければ本明細書に記載のものと同様であり得た。
【0140】
方法B.併用療法:抽出物及び別の治療剤
虚血性脳卒中又はその症状の治療用の1つ又はそれ以上の他の治療剤を対象者に処方及び投与したこと以外、上記方法Aに従った。1つ又はそれ以上の他の治療剤を抽出物の前、後又はと共に投与することができた。1つ又はそれ以上の他の治療剤の用量の段階的な増加(又は段階的な減少)も行うことができた。
【0141】
実施例6
オレアンドリンを含有する溶液のHPLC分析
サンプル(オレアンドリン標準、SCF抽出物及び熱水抽出物)を、以下の条件:Symmetry C18カラム(5.0μm,150×4.6mm ID.;Waters);移動相 MeOH:水=54:46(v/v)、及び流速1.0ml/分を使用してHPLC(Waters)で分析した。検出波長は、217nmに設定した。化合物又は抽出物を固定量のHPLC溶媒に溶解してオレアンドリンのおよその標的濃度を達成することによって、サンプルを調製した。
【0142】
実施例7
正常なニューロン組織におけるα3及びα1発現の測定
Phoenix Biotechnology, Inc.の名前で2008年11月6日に出願されたPCT国際出願第PCT/US08/82641号に記載の手順に従うことができ、この全開示は参照により本明細書に組み
入れられる。
【0143】
実施例8
脳卒中及び非脳卒中についてのインビトロアッセイにおける本発明の抽出物及び強心配糖体の評価
方法A.脳卒中:皮質脳スライスの調製及びOGD
新皮質脳スライスをPND 7 Sprague−Dawleyラットの仔から調製した。大脳皮質を切開
し、400ミクロン厚のスライスへ切断し、平板培養の前に、1μM MK−801と共に冷人工脳脊髄液を含有する容器中へ移した;MK−801はその後の手順に含めなかった。一過性酸素
グルコース欠乏(OGD)を使用して虚血性損傷を模倣するために、各脳の一方の半球から
のスライスを、低O2(0.5%)環境において7.5分間、グルコースフリーのN2通気した人工脳脊髄液へ曝した。次いで、OGDを行わなかったことを除いては同一に調製したニトロセ
ルロース又はMillicell(Millipore)透過膜上の対側の半球由来のコントロールスライスと並んで、OGDスライスを平板培養した。平板培養の30分後、脳スライス対をトランスフ
ェクションし、24ウェルプレートへ移し、加湿したチャンバ中において5% CO2下にて37℃でインキュベートした。各実験において、5〜6分の酸素グルコース欠乏(OGD)を使
用し、24時間まで健康な皮質ニューロンの>50%損失を誘発した。設定濃度(3μM)の
ネリイホリン(強心配糖体)を内部ポジティブコントロールとして使用した。オレアンドリン(強心配糖体)について、0.3〜3μMの全ての3つの濃度は、最初の2つの実験において神経保護を提供するようであり、従って、試験したオレアンドリン濃度を第3実行において下げ、神経保護についての閾値濃度は0.1〜0.3μMにあることが示唆された。例え
ば、キョウチクトウ属の種の、未分画抽出物、又はそのフラクションがまた、オレアンドリンについて記載された通りに使用され得る。
【0144】
方法B.非脳卒中:脳スライスアッセイ
オレアンドリン及びPBI−05204、セイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物を、「非
脳卒中」脳スライス;即ち、スライスしYFPをトランスフェクションしたがOGDによる追加の外傷へ供しなかったものにおいて試験した。上記に概説した実験手順を参照のこと。本発明者らは、ネリイホリンを含む多数の神経保護化合物が、恐らく、スライス及び培養自体のプロセスによって引き起こされた外傷から保護することによって、このような脳スライスへ適度のレベルの神経保護を提供し得ることを観察した。データは、オレアンドリン及び抽出物は、ネリイホリンと同様のレベルまでこのような「非OGD」脳スライスへ神経
保護を提供することができるようであることを実証しており、このことは、強心配糖体が酸素又はグルコース欠乏の非存在下でさえ神経保護を媒介することを表している。
【0145】
実施例9
アルツハイマー病についてのインビトロアッセイにおける強心配糖体及び抽出物の評価
皮質錐体ニューロンのAPP/Aβ誘発変性についてのラット脳スライスモデルにおいて、微粒子銃トランスフェクションを使用し、YFPなどのバイタルマーカーを導入しただけで
なく、脳スライス中の同一のニューロン集団中へ疾患遺伝子構築物も導入した。従って、APP/Aβ脳スライスモデルにYFP及びAPPアイソフォームを同時トランスフェクションし、脳スライス調製及びトランスフェクション後の3〜4日間にわたって皮質錐体ニューロンの進行性変性がもたらされた。データは、オレアンドリン及びPBI−05204、セイヨウキョウチクトウの未分画SCF抽出物は両方とも、APPがトランスフェクションされた脳スライスに対して用量依存性神経保護を提供することができるようであり、BACE阻害薬によって提供され得るものに近いレベルへ救出されたことを実証している。
【0146】
実施例10
ハンチントン病についてのインビトロ皮質線条体共培養アッセイにおける強心配糖体及び抽出物の評価
このアッセイにおいて、インタクトな脳スライスを使用する代わりに、突然変異httを
、96ウェルプレート中に配置された皮質ニューロン、線条体ニューロン及びグリアの高密度混合共培養物中へエレクトロポレーションによって導入した。このアッセイプラットフォームの目的は、インビボでの疾患関連ニューロン集団の相互接続性の重要な局面を再現する複合初代培養系の生物学的/臨床的な関連性と、大規模完全自動スクリーニングキャンペーンを行う能力とを組み合わせることであった。このアッセイにおいて、インビトロで1〜2週間にわたって、トランスフェクションされた突然変異htt構築物は、線条体ニ
ューロン及び皮質ニューロンの両方の進行性変性を誘発し、これらを、Cellomics Arrayscan VTIプラットフォームにおいて自動画像獲得及びオブジェクト検出アルゴリズムを使
用して続いて定量化した。各データポイントを、自動的にキャプチャーされた各ウェル中16個の画像を伴って6個のウェルから引き抜き、処理し、Cure Huntington's Disease Initiativeの協力によって大規模スクリーニングキャンペーンが行われている間に開発されたプロトコルを使用してCellomics Arrayscanにおいて分析した。全実行において、約25,000個の画像を収集し、4サイクル/週で、各サイクルにおいて分析した。
【0147】
皮質−線条体共培養アッセイプラットフォーム
コンフルエントなグリアベッドを有する96ウェルプレートを確立するためにニューロン平板培養より前に、純粋なグリア培養物を調製した。次いで、皮質及び線条体組織を別々に分離し、適切なDNA構築物で「ヌクレオフェクション(nucleofected)」し、YFP、CFP
、及びmCherryなどの異なる蛍光タンパク質の発現によって後で識別可能とした。これら
の別々にトランスフェクションされた皮質ニューロン及び線条体ニューロンを、次いで、徹底的に混合し、前もって平板培養されたグリア単層を含有する96ウェルプレート中へ平板培養した。
【0148】
オレアンドリン及びPBI−05204(セイヨウキョウチクトウの超臨界CO2抽出物)の両方
を、この皮質−線条体共培養プラットフォームにおいて試験し、予備的に、これらの化合物は、このアッセイシステムにおいて評価されてきた>400個の後期薬物分子のうち現在
までのところ本発明者らが観察した最も強いヒットであるようであった。比較のために、この共培養アッセイについてポジティブコントロールとして本発明者らがルーチン的に含めた化合物である、KW6002(アデノシン2a受容体アンタゴニスト)についての用量−反応グラフを含める。オレアンドリンの効能はKW6002と同様であり、一方、その効力は約100
倍より大きいようであった(図3A〜3D)。
【0149】
実施例11
アルツハイマー病についてのインビトロAPPアッセイにおけるセイヨウキョウチクトウのSCF抽出物のフラクションの評価
フラクションを実施例13に従って調製した。このアッセイを実施例9のそれと同様に行った。図6中のデータは、APP構築物の導入と関連する神経変性の予防においてフラクシ
ョン0-4Aの濃度依存性効果が存在することを実証している。特に、データは、3〜30ug/mlの濃度範囲での神経保護を実証している。
【0150】
実施例12
アルツハイマー病についてのインビトロtau4Rアッセイにおけるセイヨウキョウチクトウ
のSCF抽出物のフラクションの評価
フラクションを実施例13に従って調製した。図7中のデータは、Tau構築物の導入と関
連する神経変性の予防においてフラクション0-4Aの濃度依存性効果が存在することを実証している。特に、データは、3〜30ug/mlの濃度範囲での神経保護を実証している。Tau
構築物処理細胞とフラクション0-4Aの溶液へ曝されたものとの間で有意差が存在する。
【0151】
実施例13
SCF抽出物のクロマトグラフィー分画
オレアンダーの葉の超臨界抽出物(5g)(共溶媒/モディファイヤーとして添加したEtOHとの超臨界CO2の混合物を用いて植物マスを抽出することによって本明細書に記載され
るように得た;バッチ番号270111)を、水(150ml)に懸濁し、ヘキサン(各回150ml)で3回分配した。水で平衡化されたODS樹脂のベッドへ水層を直接加えることによって、水
層をODS C-18(オクタデシル官能化シリカゲル、20−22%標識、200−400メッシュ)オープンカラム(400mm (L) x 38mm (ID))分画へ供した。カラムを水及びメタノールの混合
物(水中30%メタノール1000ml、水中55%メタノール1000ml、水中80%メタノール1000ml、100%メタノール1000ml)及びアセトン:メタノールの混合物(2容積:1容積;1000ml)で連続的に処理した。各混合物からの溶出物(1000ML)を収集した。蒸発によって各
フラクションから溶媒を除去し、5つのフラクション、即ち、Fr-O-1、Fr-O-2、Fr-O-3、Fr-O-4、及びFr-O-5が得られた。次いで、実施例14のようにHPLCクロマトグラフィーによってフラクションを分析した。
【0152】
実施例14
SCF抽出物のフラクションのHPLC分析
このアッセイの目的は、強心配糖体を含有する抽出物フラクション(上記より)を同定することであった。実施例13に従って得られた各フラクションからのサンプルを以下のように分析した。フラクション1〜3mgを水性メタノール(水中80%メタノール)1〜5mlに溶解した。移動相として水中80%メタノール、0.7mL/分の流量、及び以下の波長でのDAD−UV流出物モニタリング:203、210、217、230、254、280、310及び300nmを使用して、希釈サンプル(10〜25μl)をAgilent Zorbax SB-C18カラムを用いて分析した。
【0153】
実施例15
抽出物のフラクションによって得られた神経保護の測定のための脳スライスアッセイ
このアッセイを実施例8に従って行った。データは、脳スライスニューロンへの未処理脳卒中(OGD)仲介損傷と比較して、PBI−05204が有意なレベルの保護を提供したことを
実証している。同様のレベルの神経保護が、フラクション0-4A(図4A及び5)並びにフラクション0-3(図4C)及びフラクション0-1(図4D)によって提供された。対照的に、フラクションO-2(図4B)及びO-5(図4E)は、脳卒中仲介虚血性脳損傷のこのOGD
モデルにおいて神経保護効果を実証しなかった。
【0154】
実施例16
神経保護の測定についての時間遅延脳スライスアッセイ
このアッセイを、以下の変更を行ったことを除いては、実施例8に従って行った。OGD
と提案される神経保護剤の導入との間で、指定の長さの時間を可能にした。OGD処理のタ
イミングと比べて処理を遅らせた場合の、脳スライスへ神経保護を提供するPBI−05204の能力を、測定した。データは、セイヨウキョウチクトウ抽出物の2時間遅延は十分に許容されたことを示しており、これは、OGD処理直後のPBI−05204の適用で達成されるものと
同様のレベルの神経保護を示している。神経保護的利益は、PBI−05204の投与の4〜6時間の遅延で減少したが、依然として著しくかつ生理学的に関連性がある神経保護レベルであった。
【0155】
実施例17
実施例13に従って得られたセイヨウキョウチクトウSCF抽出物のフラクション中の化合物
の同定
Fr-O-4フラクション中に存在する水及びメタノールを減圧下で蒸発によって除去した。実施例13のFr-O-4フラクション由来の残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(下記)へ供し、サブフラクションを得、次いでそれらを薄層クロマトグラフィー(TLC)によっ
て分析した。同様のTLCプロフィールを有するフラクションを合わせ、それらの溶媒を減
圧下で蒸発によって除去した。残っていた残留物をHNMRによって分析した。
【0156】
薄層クロマトグラフィー
ヘキサン:酢酸エチル(7:3 v:v)の混合物を使用して、従来の分析グレードTLCプレートにおいてTLCを行った。H2SO4で化合物を視覚化し、それによってステロイドは青色を示し、トリテルペンは紫色を示した。
【0157】
フラッシュクロマトグラフィーによるさらなる分画前に、Fr-O-4フラクションのTLC分
析は、1つの主要なスポット及び5つを超える小さなスポットの存在を示した。呈色反応は、主要なスポットはステロイド及びトリテルペンの混合物を含有し、小さなスポットの大部分はステロイドを含有することを示した。
【0158】
シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー
シリカゲル(Biotage; (10〜15g))をカラムへ入れ、酢酸エチル(3%)及びヘキサン(97%)の混合物で平衡化させた。Fr-O-4フラクション由来の残留物を酢酸エチル(3%)及び
ヘキサン(97%)の混合物0.2〜0.5mlに溶解し、カラム上へ加えた。ヘキサン(それぞれ97%〜70%)中の酢酸エチル(3%〜30%)の溶媒勾配続いて100%メタノールを使用して
、フラッシュクロマトグラフィーを行った。カラムから収集されたサブフラクションをTLC(上記)によって分析し、同様のTLC視覚化プロフィールを有するフラクションを合わせ、濃縮して溶媒を除去した。
【0159】
HNMR分光学
フラッシュクロマトグラフィーから得られた濃縮サブフラクションの各々のサンプルを、従来法を使用してHNMRによって分析し、主成分についての構造クラスを決定した。
【0160】
実施例18
未分画形態の実施例1(方法B)に従って得られたセイヨウキョウチクトウSCF抽出物中
の化合物の同定
SCF抽出物を下記のようにMS−DART TOF分析によって分析した。JEOL AccuTOF−DART質
量分析計(Jeol U.S.A., Peobody, MA, U.S.A.)を使用した。
【0161】
JEOL AccuTOF−DART質量分析計(Jeol USA, Peabody,MA, USA)を使用した。DART−MSによって発生されるM+H+イオンに対応する質量を与えるポジティブイオンモード(DART+)で
分析を行った。機器についての様々な設定を使用し、N.オレアンダー分析のために最適な条件を決定した。DART+についての一般的な設定は以下を含んだ:ニードル電圧3500 V;
オリフィス1- 2-20 V;リングレンズ2-5 V;オリフィス2- 2-5 V;及びピーク電圧1000 V。100〜1000質量単位の必要とされる質量範囲にわたってマスマーカーを提供するPEG 600の10%溶液を使用して、各サンプルを用いて内部的に較正を行った。他の分析をDART−モードで行い、これらは以下からなった:ニードル電圧3500 V;加熱エレメント250℃;電
極1- 150 V;電極2- 250 V; Heガス流量3.79LPM。質量分析計設定:MCP 2600 V;オリフ
ィス1- 15 V;リングレンズ- 5 V、オリフィス2- 5 V;及びピーク電圧1000 V。100〜1000質量単位の必要とされる質量範囲にわたってマーカーを提供するペルフルオロ化カルボ
ン酸溶液を使用して、各サンプルを用いて内部的に較正を行った。ホウケイ酸ガラス融点管の閉じた末端を使用して、N.オレアンダーサンプルをDARTヘリウムプラズマ中へストレートで導入した。キャピラリーチューブを1分析当たりおよそ3〜5秒間Heプラズマ中に保持した。JEOL AccuTOF DART−MS機器に提供された元素組成及び同位体マッチングプロ
グラムによって、分子式を確認した。HerbalScience(Naples, FL, USA)によって開発された、N.オレアンダー成分の検索可能なデータベースを使用した。
【0162】
SCF抽出物は、記載の相対存在量(%)で存在する少なくとも以下の成分を含有すること
がわかった。
【0163】
【表3】
【0164】
本明細書において使用される場合、特に明記しない限り、用語「約」又は「およそ」は、指定の値の±10%、±5%、±2.5%又は±1%を意味するように解釈される。本明細
書において使用される場合、特に明記しない限り、用語「実質的に」は、「かなり」、「の少なくとも大部分」、70%超、85%超、90%超、95%超、98%超又は99%超を意味するように解釈される。
【0165】
上記のものは、本発明の特定の実施態様の詳細な説明である。本発明の特定の実施態様が例示の目的のために本明細書において記載されたが、様々な改変が本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行われ得ることが認識される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除き、限定されない。本明細書に開示及び特許請求される実施態様の全ては、本開示を考慮して過度の実験無しに、実行及び実施され得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I