特許第6453804号(P6453804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453804
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】建設用重機による工事方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/23 20060101AFI20190107BHJP
   G09F 19/18 20060101ALI20190107BHJP
   G09F 19/22 20060101ALI20190107BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20190107BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20190107BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   E01C19/23
   G09F19/18 Z
   G09F19/22 J
   E02F9/24 B
   G03B21/00 F
   G03B21/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-86515(P2016-86515)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2017-193928(P2017-193928A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎
(72)【発明者】
【氏名】高野 亨
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−121053(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/027312(WO,A1)
【文献】 特開2012−236244(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0063232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/23
E02F 9/24
G03B 21/00
G03B 21/14
G09F 19/18
G09F 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装工事用の建設用重機を用いて舗装道路を形成する舗装工事を行う際に、舗装工事用の建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を明示してより安全に作業を行なえるようにする舗装工事用の建設用重機による工事方法であって、
路面に映像又は画像を投影又は照射して表示する複数の表示装置を舗装工事用の建設用重機に設置し、
該表示装置から投影又は照射される映像又は画像によって、舗装工事用の建設用重機の周囲を囲う矩形状の領域を立ち入り禁止領域として路面に表示した状態で、舗装工事用の建設用重機の移動に伴って、表示した矩形状の立ち入り禁止領域を移動させながら作業を行うようになっており、
路面に表示される矩形状の前記立ち入り禁止領域は、舗装工事用の建設用重機との距離に基づく危険性の度合いに応じて色分けされた、舗装工事用の建設用重機を中心としたこれの周りの複数の領域に区画されている舗装工事用の建設用重機による工事方法。
【請求項2】
前記表示装置は、映像を投影するプロジェクタ装置である請求項1記載の舗装工事用の建設用重機による工事方法。
【請求項3】
前記表示装置は、画像をレーザー光により照射するレーザー装置である請求項1記載の舗装工事用の建設用重機による工事方法。
【請求項4】
前記舗装工事用の建設用重機が、ロードローラである請求項1〜3のいずれか1項記載の舗装工事用の建設用重機による工事方法。
【請求項5】
危険度の度合いに応じて色分けされた画像の中に、作業員に注意喚起を促す文字が加えられている請求項1〜4のいずれか1項記載の舗装工事用の建設用重機による工事方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設用重機による工事方法に関し、特に、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を明示してより安全に作業を行なえるようにする建設用重機による工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設用重機を使用する工事現場においては、建設用重機の周囲で作業する作業員と建設用重機との接触を防止して、安全に作業を行なえるようにする必要があり、例えば監視員や誘導員を配置して、作業員が建設用重機の作業領域に不用意に立ち入らないように注意しながら作業を行っている。
【0003】
また、工事現場における作業中に、建設用重機との接触事故を未然に防止できるようにするための、各種のセンサーを使用した危険作業エリア警報システムや車両用バックセンサーが、例えば株式会社三笠商会によって、開発され、販売されている。株式会社三笠商会の危険作業エリア警報システムでは、建設用重機に超音波信号を発信するエリアセンサ及び警報装置を設置すると共に、作業員は応答センサの付いた反射チョッキを着用し、作業員が建設用重機に近づいた時に、応答センサや警報装置を作動させるようになっている。車両用バックセンサーでは、作業員の後方から建設用重機が接近した際に、オペレータには音によって、作業員には音と振動によって、危険を知らせるようになっている。
【0004】
一方、上述の危険作業エリア警報システムや車両用バックセンサーでは、建設用重機による危険予知エリアや危険エリアを、視覚によって認識することができず、作業員が危険予知エリアや危険エリアに入った際に初めて、音や振動によって建設用重機に近づいたことを察知することになるため、突然に作業を中断する必要を生じることなどにより、効率良く作業を行うことができなくなる。
【0005】
これに対して、プロジェクタ装置を用いて、歩道工事等の工事が行われていることを表示する映像を路面に投影することで、視覚によって歩行者に、付近に工事中の現場があるとの注意を喚起させるようにする技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−33071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のプロジェクタ装置を用いて、建設用重機を使用する工事現場において、建設用重機の周囲で作業する作業員との接触を防止するために、建設用重機の周囲の危険エリアである立ち入り禁止領域を路面に表示して、視覚によって認識できるようしようとする場合、特に工事現場の作業領域が広いと、建設用重機が移動する範囲が広くなるため、立ち入り禁止領域を常時特定して認識させることが困難になると共に、多くのプロジェクタ装置を設置する必要を生じてコストがかかることになる。
【0008】
本発明は、プロジェクタ装置等の多くの表示装置を用いることなく、簡易な構成によって、移動する建設用重機の周囲の立ち入り禁止領域を、作業員が視覚によって常時容易に認識できるようにして、より安全に作業を行なえるようにすることのできる建設用重機による工事方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、舗装工事用の建設用重機を用いて舗装道路を形成する舗装工事を行う際に、舗装工事用の建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を明示してより安全に作業を行なえるようにする舗装工事用の建設用重機による工事方法であって、路面に映像又は画像を投影又は照射して表示する複数の表示装置を舗装工事用の建設用重機に設置し、該表示装置から投影又は照射される映像又は画像によって、舗装工事用の建設用重機の周囲を囲う矩形状の領域を立ち入り禁止領域として路面に表示した状態で、舗装工事用の建設用重機の移動に伴って、表示した矩形状の立ち入り禁止領域を移動させながら作業を行うようになっており、路面に表示される矩形状の前記立ち入り禁止領域は、舗装工事用の建設用重機との距離に基づく危険性の度合いに応じて色分けされた、舗装工事用の建設用重機を中心としたこれの周りの複数の領域に区画されている舗装工事用の建設用重機による工事方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の舗装工事用の建設用重機による工事方法によれば、前記表示装置は、映像を投影するプロジェクタ装置であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の舗装工事用の建設用重機による工事方法によれば、前記表示装置は、画像をレーザー光により照射するレーザー装置であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の舗装工事用の建設用重機による工事方法によれば、前記舗装工事用の建設用重機が、ロードローラであることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の舗装工事用の建設用重機による工事方法によれば、危険度の度合いに応じて色分けされた画像の中に、作業員に注意喚起を促す文字が加えられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の舗装工事用の建設用重機による工事方法によれば、舗装工事用の建設用重機を用いて舗装道路を形成する舗装工事を行う際に、プロジェクタ装置等の多くの表示装置を用いることなく、簡易な構成によって、移動する舗装工事用の建設用重機の周囲の立ち入り禁止領域を、作業員が視覚によって常時容易に認識できるようにして、より安全に作業を行なえるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る建設用重機による工事方法において、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を明示した状態を模式的に示す略示斜視図である。
図2】投影表示装置であるプロジェクタ装置によって立ち入り禁止領域を路面に表示する表示システムを説明する機能ブロック図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る建設用重機による工事方法において、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を、危険性の度合い応じて色分けして明示した状態を模式的に示す略示斜視図である。
図4】本発明の好ましい一実施形態に係る建設用重機による工事方法において、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を、文字を付加して明示した状態を模式的に示す略示斜視図である。
図5】本発明の好ましい他の実施形態に係る建設用重機による工事方法において、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を明示した状態を模式的に示す略示斜視図である。
図6】投影表示装置であるレーザー装置によって立ち入り禁止領域を路面に表示するシステムを説明する機能ブロック図である。
図7】本発明の好ましい他の実施形態に係る建設用重機による工事方法において、建設用重機の周囲に立ち入り禁止領域を、文字を付加して明示した状態を模式的に示す略示斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい一実施形態に係る建設用重機による工事方法は、図1に示すように、建設用重機として、例えばロードローラ10を用いて、舗装面11に敷設されたアスファルト混合物を転圧して締め固めることにより、舗装道路を形成する舗装工事において、ロードローラ10の周囲に立ち入り禁止領域12を明示することで、ロードローラ10の周囲で作業する作業員に、ロードローラ10と接触しないよう注意を喚起して、より安全に作業を行なえるようにするために採用されたものである。すなわち、本実施形態の建設用重機による工事方法は、移動するロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を、表示装置3による映像や画像を介することで、作業員が視覚によって容易に認識できるようにすると共に、ロードローラ10の移動に伴って、表示した立ち入り禁止領域12を移動させることで、工事現場の作業領域が広い場合でも、プロジェクタ装置等の多くの表示装置3を用いることなく、簡易な構成によって、移動するロードローラ10の周囲に立ち入り禁止領域12が、常時確実に明示されるようにして、より安全に作業を行なえるようにするものである。
【0017】
そして、本実施形態の建設用重機による工事方法は、建設用重機として、例えばロードローラ10を用いて工事を行う際に、ロードローラ10の周囲に立ち入り禁止領域12を明示して、より安全に作業を行なえるようにする工事方法であって、路面11に映像又は画像を投影又は照射して表示する複数の表示装置として、好ましくは、路面11に映像を投影するプロジェクタ装置3(3a,3b,3c)をロードローラ10に複数設置し、プロジェクタ装置3(3a,3b,3c)から投影される映像によって、建設用重機の周囲の立ち入り禁止領域12を路面11に表示した状態で、ロードローラ10の移動に伴って、表示した立ち入り禁止領域12を移動させながら作業を行うようになっている。
【0018】
また、本実施形態では、路面11に表示されるロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12は、ロードローラ10の周囲を囲う矩形状の領域となっており、危険性の度合いに応じて色分けされた、複数の領域13a,13bに区画されている。
【0019】
本実施形態では、ロードローラ10に設置される複数のプロジェクタ装置3は、図1に示すように、ロードローラ10の前後左右の4箇所に取り付けられている。ロードローラ10の前方に向けて取り付けられた前方投影プロジェクタ装置3aは、後述する投影レンズ36がロードローラ10の前方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、前方立ち入り禁止領域12aを表示する映像を、ロードローラ10の前方の路面11上に投影する。ロードローラ10の右側方に向けて取り付けられた右側方投影プロジェクタ装置3bは、投影レンズ36がロードローラ10の右側方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、右側方立ち入り禁止領域12bを表示する映像を、ロードローラ10の右側方の路面11上に投影する。
【0020】
ロードローラ10の後方に向けて取り付けられた後方投影プロジェクタ装置3cは、投影レンズ36がロードローラ10の後方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、後方立ち入り禁止領域12cを表示する映像を、ロードローラ10の後方の路面11上に投影する。ロードローラ10の左側方に向けて取り付けられた左側方投影プロジェクタ装置3dは、投影レンズ36がロードローラ10の左側方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、左側方立ち入り禁止領域(図1では不図示)を表示する映像を、ロードローラ10の左側方に投影する。
【0021】
また、各プロジェクタ装置3a〜3dは、ロードローラ10から路面11に向けて投影された映像が路面上で矩形状に表示されるように台形補正する機能を備えている。具体的には、各プロジェクタ装置3a〜3dは、ロードローラ10から照射され、路面11上の各位置(前後左右)に向けて投影された映像の外形が略扇型や台形状とならないように、投影された映像のロードローラ10側の部分を拡幅等させて、矩形状にする補正ができるようになっている。本実施形態では、この補正は、作業者が手動で行うが、各プロジェクタ装置3a〜3dが自動で行う構成を備えていても良い。
【0022】
前方投影プロジェクタ装置3aと、右側方投影プロジェクタ装置3b及び左側方投影プロジェクタ装置3dとは、前方立ち入り禁止領域12aの一部と、右側方立ち入り禁止領域12bの一部及び左側方立ち入り禁止領域12dの一部とが重なるように表示されており、前方立ち入り禁止領域12aと、右側方立ち入り禁止領域12b及び左側方立ち入り禁止領域12dとの間に、立ち入り禁止領域12が表示されない部分が無くなるようにしている。
【0023】
同様に、後方投影プロジェクタ装置3cと、右側方投影プロジェクタ装置3b及び左側方投影プロジェクタ装置3dとは、後方立ち入り禁止領域12cの一部と、右側方立ち入り禁止領域12bの一部及び左側方立ち入り禁止領域12dの一部とが重なるように表示されており、後方立ち入り禁止領域12cと、右側方立ち入り禁止領域12b及び左側方立ち入り禁止領域12dとの間に、立ち入り禁止領域12が表示されない部分が無くなるようにしている。
【0024】
このようにして、本実施形態では、立ち入り禁止領域12は、ロードローラ10を中心とした、ロードローラ10の周囲の矩形状の領域として表示されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態の各プロジェクタ装置3a〜3dは、DLP方式のプロジェクタとして公知のものであり、DLP素子37を用いて画像を投影するようになっている。DLP方式のプロジェクタ装置3a〜3dは、光源となるランプ32、該ランプ32からの光をRGBの3原色に時分割するカラーホイール33、リレーレンズ34、ミラー35、及び投影レンズ36等を有するDLP光学系30と、ランプ32からの光を時分割した3原色を入射させて投影画像を生成するDLP素子37、パーソナルコンピュータ2の後述する画像信号伝送部24から入力された画像信号を処理する画像処理回路38、及び該画像処理回路38で処理された画像信号に従ってDLP素子37を駆動するDLP駆動回路39を有する電気回路部31と、を備えている。
【0026】
DLP素子37は、DMD(Digital Micro-mirror Device)を利用した素子であり、画素を構成する微小なマイクロミラーを多数(例えば数十万)ワンチップに集積し、個々のマイクロミラーを制御して光の反射方向を切り替える。そしてこのときに、マイクロミラーを一秒間に数千回の速度で動作させることによって画像を描く。このように、DLPプロジェクタにおいては、DLP素子37の一つの画素でRGBの光を制御してカラー画像を生成する。
【0027】
DLP素子37に対しては、3原色に時分割した光を入射させるために、上記のカラーホイール33が用いられている。カラーホイール33は、ランプ32から白色光を色分離するための扇型のR,G,Bの色分離フィルタを円盤上に順次配置してなり、これを回転させることにより、入射する光源光を時分割でR,G,Bに色分離してそれぞれの単色光を、順次、DLP素子37の表示領域全面に入射させるものである。
【0028】
これらのプロジェクタ装置3a〜3dは、これらのプロジェクタ装置3a〜3dとパーソナルコンピュータ2とを含む、図2に示すような表示システムにおいて、例えばロードローラ10を運転するオペレータが操作する、パーソナルコンピュータ2によって制御される。パーソナルコンピュータ2は、画像処理ボード20と、画像データ入力部21とを備えており、画像処理ボード20は、画像データ入力部21から入力される画像データ(映像データ)に基づいて画像(映像)を形成する。画像処理ボード20は、画像作成部22を備えており、画像作成部22は、予めメモリ23に記憶された画像データ及び画像形成プログラムを読み出し、読み出した画像データと入力された画像データとを、画像形成プログラムを用いて合成し、所望の画像を作成する。作成された画像は、画像信号に変換され、画像信号伝送部24を介して、各プロジェクタ装置3a〜3dに伝送される。
【0029】
本実施形態では、画像作成部22が作成する画像として、図3に示すように、危険性の度合い(ロードローラ10との距離に基づく危険性の度合い)に応じた立ち入り禁止領域12の画像を色分けして形成している。具体的には、ロードローラ10の周りに第1立ち入り禁止領域13aを設定すると共に、第1立ち入り禁止領域13aの周りに、第1立ち入り禁止領域13aよりも危険性の低い第2立ち入り禁止領域13bを、色分けされた領域として区画している。そして、第1立ち入り禁止領域13aを赤色で区画して示し、第2立ち入り禁止領域13bを黄色で区画して示すように画像(映像)を作成している。
【0030】
危険性の度合い(ロードローラ10との距離に基づく危険性の度合い)に応じた立ち入り禁止領域12の画像(映像)を路面11上に投影することで、ロードローラ10の周りで作業する作業員のロードローラ10に対する注意喚起を、より効果的に促すことが可能になる。。
【0031】
また、本実施形態では、画像作成部22が作成する画像(映像)は、例えば危険度の度合いに応じて色分けされた画像の中に、作業員に注意喚起を促す文字を加えることもできる。例えば、図4に示すように、上述した第1立ち入り禁止領域13a及び第2立ち入り禁止領域13bを作成すると共に、作業員に注意喚起を促す「危険」の文字を第1立ち入り禁止領域13a又は第2立ち入り禁止領域13b、もしくは第1立ち入り禁止領域13aと第2立ち入り禁止領域13bとの境界部分に配置した画像を作成すると良い。危険性の度合いに応じて色分けされた第1立ち入り禁止領域13aと第2立ち入り禁止領域13bに加えて、より直接的な注意喚起を行うことが可能な文字を投影することで、より確実に、作業者が立ち入り禁止領域12に立入ってしまうことを防止することが可能になる。結果として、ロードローラ10と作業員との接触を防止することができる。
【0032】
そして、上述の構成を備える本実施形態の建設用重機による工事方法によれば、多くのプロジェクタ装置を用いることなく、簡易な構成によって、移動するロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を、作業員が視覚によって常時容易に認識できるようにして、より安全に作業を行なえるようにすることが可能になる。
【0033】
すなわち、本実施形態の工事方法によれば、路面11に映像を投影して表示する複数のプロジェクタ装置3(3a,3b,3c)をロードローラ10に設置し、プロジェクタ装置3(3a,3b,3c)から投影される映像によって、ロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を路面11に表示した状態で、ロードローラ10の移動に伴って、表示した立ち入り禁止領域12を移動させながら作業を行うようになっているので、舗装工事のように、工事現場の作業領域が広く、したがってロードローラ10が移動する範囲が広くなっている場合でも、例えば2〜4台程度の少ない数のプロジェクタ装置3a〜3dを用いた簡易な構成によって、移動するロードローラ10の周囲に立ち入り禁止領域12を、常時確実に明示されるようにすることが可能になる。またこれによって、プロジェクタ装置3a〜3dによる映像や画像を介して、作業員が視覚によって立ち入り禁止領域12容易に認識できるようして、より安全に作業を行なえるようにすることが可能になる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、路面11に立ち入り禁止領域12が表示されていることで、作業員が視覚を通じて立ち入り禁止領域12を認識できるようになっているので、例えば警報音等の音によって立ち入り禁止領域を認識させる場合のように、工事中の騒音等によって音がかき消されて音を聞き逃しても、立ち入り禁止領域12を確実に認識できると共に、例えば住宅地域における工事現場であっても、警報音等の音によって周囲の環境に影響を与えるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0035】
図5図7には、本発明の他の実施形態が示されている。上述した実施形態では、表示装置として複数のプロジェクタ装置3を用いたが、本他の実施形態では、表示装置として、画像をレーザー光により照射して、立ち入り禁止領域12を路面11に表示する複数のレーザー装置5を用いられている。
【0036】
本他の実施形態では、複数のレーザー装置5は、図5に示すように、ロードローラ10の前後左右の4箇所に取り付けられている。ロードローラ10の前方に向けて取り付けられた前方レーザー装置5aは、後述する走査部54がロードローラ10の前方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、前方立ち入り禁止領域12aを表示する画像を、ロードローラ10の前方の路面11上に照射する。ロードローラ10の右側方に向けて取り付けられた右側方レーザー装置5bは、走査部54がロードローラ10の右側方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、右側方立ち入り禁止領域12bを表示する画像を、ロードローラ10の右側方の路面11上に投影する。
【0037】
ロードローラ10の後方に向けて取り付けられた後方レーザー装置5cは、走査部54がロードローラ10の後方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、後方立ち入り禁止領域12cを表示する画像を、ロードローラ10の後方の路面11上に投影する。ロードローラ10の左側方に向けて取り付けられた左側方レーザー装置5dは、走査部54がロードローラ10の左側方の路面11の方を向くようにやや下向きに取り付けられており、左側方立ち入り禁止領域(図5では不図示)を表示する映像を、ロードローラ10の左側方に投影する。
【0038】
また、各レーザー装置5a〜5dは、ロードローラ10から路面11に向けて照射された画像の外形が矩形状に表示されるように制御されている。
【0039】
更に、前方レーザー装置5aと、右側方レーザー装置5b及び左側方レーザー装置5dとは、前方立ち入り禁止領域12aの一部と、右側方立ち入り禁止領域12bの一部及び左側方立ち入り禁止領域12dの一部とが重なるように表示されており、前方立ち入り禁止領域12aと、右側方立ち入り禁止領域12b及び左側方立ち入り禁止領域12dとの間に、立ち入り禁止領域12が表示されない部分が無くなるようにしている。
【0040】
同様に、後方レーザー装置5cと、右側方レーザー装置5b及び左側方レーザー装置5dとは、後方立ち入り禁止領域12cの一部と、右側方立ち入り禁止領域12bの一部及び左側方立ち入り禁止領域12dの一部とが重なるように表示されており、後方立ち入り禁止領域12cと、右側方立ち入り禁止領域12b及び左側方立ち入り禁止領域12dとの間に、立ち入り禁止領域12が表示されない部分が無くなるようにしている。
【0041】
このようにして、本他の実施形態では、立ち入り禁止領域12は、ロードローラ10を中心とした、ロードローラ10の周囲の矩形状の領域として表示されるようになっている。
【0042】
図6に示すレーザー装置5とパーソナルコンピュータ2とを含むシステムにおいて、レーザー装置5は、パーソナルコンピュータ2から伝送された画像信号を制御してレーザー光源51r,51g,51bに出力するレーザー制御部50と、赤(R)、緑(G)、青(B)のレーザービームを照射するレーザー光源51r,51g,51bと、レーザー光源51r,51g,51bの出力強度を変調する変調器52r,52g,52bと、レーザー光源51r,51g,51bから出力されたレーザービームを1本に合波するハーフミラー53r,53g,53bと、レーザービームで路面11上に、ロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を走査する走査部54と、を備えている。
【0043】
レーザー制御部50は、水平同期信号及び垂直同期信号に基づいて、主画像データの書き込み制御、画像データの書き込み制御、画像データを1画素単位で変調器52r,52g,52bに出力させる制御等を行う。変調器52r,52g,52bは、レーザー制御部50から1画素単位で出力される画像データのR、G、B成分を用いて、レーザー光源51r,51g,51bから、順次、射出されるR、G、Bのレーザーの強度を変調する。レーザー光源51r,51g,51bは、例えば、レーザダイオードにより構成され、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)のレーザービームを照射する。ハーフミラー53r,53g,53bは、レーザー光源51r,51g,51bから射出されたレーザービームを合波して、1本のレーザービームにする。
【0044】
走査部54は、2次元の光スキャナにより構成され、水平同期信号及び垂直同期信号に基づいて、レーザービームを2次元的に走査(ラスター走査)し、路面11上にロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を表示する。
【0045】
図6に示すように、パーソナルコンピュータ2は、画像処理ボード20と、画像データ入力部21とを備えており、画像処理ボード20は、画像データ入力部21から入力される画像データに基づいて画像を形成する。画像処理ボード20は、画像作成部22を備えており、画像作成部22は、予めメモリ23に記憶された画像データ及び画像形成プログラムを読み出し、読み出した画像データと入力された画像データとを、画像形成プログラムを用いて合成し、所望の画像を作成する。作成された画像は、画像信号に変換され、画像信号伝送部24を介して、各レーザー装置5a〜5dに伝送される。
【0046】
本実施形態では、画像作成部22が作成する画像として、図7に示すように、危険性の度合い(ロードローラ10との距離に基づく危険性の度合い)に応じた立ち入り禁止領域12の画像を形成している。図7に示すように、ロードローラ10の周りに第1立ち入り禁止領域13aを設定すると共に、第1立ち入り禁止領域13aの周りに、第1立ち入り禁止領域13aよりも危険性の低い第2立ち入り禁止領域13bを設定し、第1立ち入り禁止領域13aを赤色で示し、第2立ち入り禁止領域13bを黄色で示している。
【0047】
また、画像作成部22が作成する画像は、危険性の度合いに応じて色分けされた画像の中に、作業員に注意喚起を促す文字を加えることもできる。本実施形態では、図7に示すように、上述した第1立ち入り禁止領域13a及び第2立ち入り禁止領域13bを作成すると共に、作業員に注意喚起を促す「危険」の文字を立ち入り禁止領域13a又は第2立ち入り禁止領域13b、もしくは第1立ち入り禁止領域13aと第2立ち入り禁止領域13bとの境界に配置した画像が作成されている。
【0048】
危険性の度合いに応じて色分けされた第1立ち入り禁止領域13aと第2立ち入り禁止領域13bに加えて、より直接的な注意喚起を行うことが可能な文字を投影することで、より確実に、作業者が立ち入り禁止領域12に立入ってしまうことを防止することが可能になる。結果として、ロードローラ10と作業員との接触を防止することができる。
【0049】
本他の実施形態の工事方法によっても、レーザー装置5から照射される画像によって、ロードローラ10の周囲の立ち入り禁止領域12を路面11に表示した状態で、ロードローラ10の移動に伴って、表示した立ち入り禁止領域12を移動させながら作業を行うようになっているので、上記実施形態の工事方法と同様の作用効果が奏される。
【0050】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、舗装工事用の建設用重機は、ロードローラの他、アスファルトフィニシャ等の、その他の種々の移動可能な舗装工事用の建設用重機であっても良い。
【符号の説明】
【0051】
2 パーソナルコンピュータ
20 画像処理ボード
21 画像データ入力部
3 プロジェクタ装置
30 DLP光学系
31 電気回路部
5 レーザー装置
51 光学系
52 画像処理部
10 ロードローラ(建設用重機)
11 路面
12 立ち入り禁止領域
12a 前方立ち入り禁止領域
12b 右側方立ち入り禁止領域
12c 後方立ち入り禁止領域
12d 左側方立ち入り禁止領域
13a 第1立ち入り禁止領域
13b 第2立ち入り禁止領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7