特許第6453856号(P6453856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6453856ハイドロポンプ及び上記のハイドロポンプ用のピストン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453856
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ハイドロポンプ及び上記のハイドロポンプ用のピストン
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/22 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   F04B1/22
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-514296(P2016-514296)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公表番号】特表2016-518555(P2016-518555A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014001328
(87)【国際公開番号】WO2014187547
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年2月24日
(31)【優先権主張番号】102013008677.9
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008629.9
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008681.7
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008679.5
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008678.7
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008676.0
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515183399
【氏名又は名称】ハイダック ドライブ センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ビキダール
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−068367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロポンプ、特に調節可能なアキシャルピストンポンプであって、
ハイドロポンプを駆動する際にポンプハウジング(16)の内部で長手軸線方向(18)に双方向移動可能な少なくとも1つのピストン(22)を有し、
前記ピストンがジョイントヘッド(24)と、該ジョイントヘッド(24)とは逆側のピストン底部(54)と、前記ピストン(22)を貫通して延びる透孔(46)と、少なくとも1つの中空チャンバ(60)と、を有しており、前記中空チャンバが少なくとも部分的にピストンハウジング(62)によって包囲されており、前記ピストンハウジングがそれぞれの中空チャンバ(60)を外側へ向かって実質的に、あるいは完全に閉鎖し
前記少なくとも1つの中空チャンバ(60)が、前記ピストンハウジング(62)と、該ピストンハウジング(62)に結合可能なカバー(58)とによって閉鎖されている、ハイドロポンプにおいて、
前記ピストン(22)を結合する際に、前記少なくとも1つの中空チャンバ(60)内が過度の圧力になることを回避するために、前記少なくとも1つの中空チャンバ(60)は、前記カバー(58)及び/又は前記ピストン(22)が有する補償装置(74)によって媒体を導くように、周囲(U)に接続する、
ことを特徴とするハイドロポンプ、特に調節可能なアキシャルピストンポンプ。
【請求項2】
少なくとも1つの中空チャンバ(60)が、ピストンハウジング(62)内でピストン(22)の長手軸線(L)の方向あるいはそれに対して平行な方向に延びており、かつ、ジョイントヘッド(24)から軸線方向間隔(A)で始まってピストン(22)をピストン底部(54)まで貫いている、ことを特徴とする請求項1に記載のハイドロポンプ。
【請求項3】
補償装置(74)が、カバー(58)の外周面(70)に沿って螺旋溝(72)を有しており、前記螺旋溝は、カバー(58)がピストンハウジング(62)内へ挿入された場合にピストンハウジング(62)によって排出箇所(76)まで覆われており、前記排出箇所が補償装置(74)の一部として螺旋溝(72)を介して周囲(U)とピストン(22)内の少なくとも1つの中空チャンバ(60)との間に媒体を案内する接続を形成する、ことを特徴とする請求項に記載のハイドロポンプ。
【請求項4】
螺旋溝(72)が、排出箇所(76)とは反対側の他の流入箇所(84)において、カバー(58)の面取り部(86)内へ連通し、あるいはそれに隣接し、面取り部(86)の外径が、ジョイントヘッド(24)の方向に閉鎖直径(AD)まで好ましくは連続的に減少している、ことを特徴とする請求項に記載のハイドロポンプ。
【請求項5】
ピストンハウジング(62)がピストン底部(54)に結合部分(66)を有しており、前記結合部分を介してカバー(58)がピストン底部(54)と結合可能であり、好ましくは溶接可能又は半田付け可能である、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のハイドロポンプ。
【請求項6】
カバー(58)がピストンハウジング(62)と半田付け又は電子ビーム溶接方法によって堅固に結合されており、かつ、
ピストン(22)が溶接後に、好ましくは熱処理される、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のハイドロポンプ。
【請求項7】
電子ビーム溶接継ぎ目が、螺旋溝(72)の少なくとも排出箇所(76)を閉鎖する、ことを特徴とする請求項に記載のハイドロポンプ。
【請求項8】
ピストンハウジング(62)内に複数の中空チャンバ(60)が、好ましくは等しい直径(D)で、部分円上に互いに対して変位して設けられている、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハイドロポンプ。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載のハイドロポンプ用のピストンであって、前記ピストンがジョイントヘッド(24)とジョイントヘッド(24)とは反対側のピストン底部(54)及び少なくとも1つの中空チャンバ(60)を有しており、前記中空チャンバが少なくとも部分的にピストンハウジング(62)によって包囲されており、前記ピストンハウジングがそれぞれの中空チャンバ(60)を外側へ向かって実質的に、あるいは完全に閉鎖する、ピストン。
【請求項10】
少なくとも1つの中空チャンバ(60)が、ピストンハウジング(62)内でピストン(22)の長手軸線(L)の方向又はそれに対して平行な方向に延びており、かつピストン(22)をジョイントヘッド(24)から軸線方向の間隔(A)から始まってピストン底部(54)まで貫いている、ことを特徴とする請求項に記載のピストン。
【請求項11】
少なくとも1つの中空チャンバ(60)が、ピストンハウジング(62)によって、あるいはピストンハウジング(62)と結合可能なカバー(58)によって閉鎖されている、ことを特徴とする請求項又は10に記載のピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロポンプ、特に調節可能なアキシャルピストンポンプ、及び上記のポンプ用のピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のハイドロポンプの駆動において、機械的エネルギが静水圧エネルギに変換され、機械的なエネルギは、たとえば電気モータによって準備される。アキシャルピストンポンプの構造において、上記のハイドロポンプは、通常、複数のシリンダを有しており、それらのシリンダは回転可能な軸に次のように、すなわちそれらが軸線方向に延び、かつ軸の軸線に対する半径内で部分円上に変位して配置されるようにして、固定されている。シリンダ内には、ピストンがスライド可能に配置されている。シリンダと共に回転するピストンは、たとえば調節可能な斜めプレートによって移動される。さらに、斜めプレートとピストンの間には、摩擦を減少させるためにピストン−スライドシュー結合が設けられている。
【0003】
上記の場合に問題となるのは、通常1つの片からなる、回転されるピストンの質量である。質量に基づいて、ピストンを加速して、再び制動するためには、著しいエネルギが必要とされ、それが、ピストン−スライドシュー結合の領域内の著しい摩耗と結びついている。したがって質量慣性力を減少させるために、過去においてピストンにはピストン底部から孔が設けられているので、ピストンは、実質的に刳り抜かれている。しかし上記のピストン孔は、シリンダ内のデッドボリュームが増大する、という欠点を有している。デッドボリュームによって圧縮損失と体積流もしくは圧力脈動の増大が発生し、それがポンピング効率の低下に現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
(原文に記載なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを背景として、本発明の課題は、ハイドロポンプの効率を向上させる、ハイドロポンプ及び上記のハイドロポンプのためのピストンを示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題の第1の部分は、請求項1の特徴を有するハイドロポンプによって解決される。ハイドロポンプの好ましい実施形態と展開が、従属請求項2〜10から明らかにされる。本発明の課題の第2の部分は、請求項11の特徴を有するピストンによって解決される。ピストンの好ましい実施形態が、請求項12と請求項13の対象である。
【0007】
本発明によれば、特に調節可能なアキシャルピストンポンプの形式の、ハイドロポンプは、ハイドロポンプが駆動される場合にポンプハウジングの内部で長手軸線方向に双方向移動可能な少なくとも1つのピストンを有している。ピストンは、ジョイントヘッドとジョイントヘッドとは反対側のピストン底部及び少なくとも1つの中空チャンバを有している。中空チャンバは、少なくとも部分的にピストンハウジングによって包囲されている。ピストンハウジングは、それぞれの中空チャンバを外側へ向かって実質的に、あるいは完全に閉鎖する。
【0008】
ここで、そして以下で、中空チャンバが外側へ向かって実質的に閉鎖されることに言及する場合に、それは、周囲から、たとえばピストンハウジング内に、かつ/またはたとえばカバーの形式の、その閉鎖部分内に、存在する開口部を通して、それぞれの中空室の内部へ、特に流体の形式の重大な媒体溢流が行われないことを意味している。上記の有効な遮断は、たとえば毛管開口部のような開口部がピストンハウジング内に設けられる場合でも、中空室が実質的に閉鎖されている場合には、相変わらず達成される。したがって実質的に閉鎖されるというのは、中空室内へつながる開口部が設けられる場合でも、これらの開口部がいずれにせよ絞り又は阻流板のように緩衝するやり方で貫流を阻止し、あるいは毛管開口部の意味での貫流を許さないことを、意味している。
【0009】
本発明に係るハイドロポンプは、ピストンの質量がより小さいことの利点が、ポンプハウジングに対して開放した中空室によるデッドボリュームの増大という犠牲によってあがなわれることがないことを、特徴としている。したがって、シリンダ内のデッドボリュームが最小限に抑えられる場合に、質量慣性力が効果的に減少される。したがってハイドロポンプの効率が改良される。というのは、同じ量の流体を移送するために、より少ないエネルギの消費で済むからである。さらに、上記のハイドロポンプは、ピストン−スライドシュー結合の領域内の摩耗がより少ないことを、特徴としている。
【0010】
特に好ましくは、少なくとも1つの中空チャンバがピストンハウジング内でピストンの長手軸線の方向、あるいはそれに対して平行な方向に延びており、かつピストンをジョイントヘッドから軸線方向のある間隔で始まってピストン底部まで貫いている。上記の孔は、特に簡単にピストン底部からピストン内に形成することができる。少なくとも1つの中空チャンバの偏心した配置は、ピストン内に中空チャンバの他に同心の透孔を設けることができ、それによってハイドロポンプの駆動の間にジョイントヘッドの負荷を除去して潤滑することができる、という利点を有している。
【0011】
好ましくは、少なくとも1つの中空チャンバがピストンハウジングによって、あるいはピストンハウジングと結合可能なカバーによって閉鎖されている。特にカバーを使う解決によって、中空チャンバをピストン内の孔の形式で設けて、次に中空室をカバーによって閉鎖する、可能性が生じる。カバーは同様に回転部分として形成することができ、ほぼ間隙なしでピストンハウジング内へ挿入することができる。それによって、次に溶接する際の亀裂が回避され、かつ、中空チャンバを完全に密閉することが可能である。
【0012】
カバー及び/又はピストンは、補償装置を有することができ、その補償装置が少なくとも1つの中空チャンバを周囲と媒体を案内するように接続する。補償装置によって、接合する際にプロセス不安定性をもたらすおそれのある過圧が中空室内に生じることを、回避することができる。
【0013】
補償装置は、カバーの外周面に沿って螺旋溝を有することができ、その螺旋溝は、カバーがハウジング内へ挿入された場合にピストンハウジングによって排出箇所まで覆われており、排出箇所は、補償装置の一部として、螺旋溝を介して周囲とピストン内の少なくとも1つの中空チャンバとの間に媒体を案内する接続を形成する。螺旋溝によって、ピストンハウジング内へカバーを挿入するプロセス全体の間の過圧を崩壊させることが、可能である。
【0014】
特に好ましくは、螺旋溝は、排出箇所とは反対側の他の流入箇所においてカバーの面取り部へ連通し、あるいはそれに隣接し、面取り部の外径は、ジョイントヘッドの方向に閉鎖直径まで好ましくは連続的に減少する。この面取り部によって、中空チャンバが複数である場合に、カバーを接合する間それらの均一な通気を保証することができる。
【0015】
ピストンハウジングは、好ましくはピストン底部に結合部分を有しており、それを介してカバーがピストン底部と結合可能であり、好ましくは溶接可能又は半田付け可能である。結合部分によって、ピストンハウジングにおけるカバーのためのガイド及び/又は固定可能性が生じる。このようにしてカバーの方向付けが保証されている。これは特に、次にカバーをピストンハウジングと溶接する場合に、効果的である。
【0016】
カバーは、ピストンハウジングと半田付け又は電子ビーム溶接によって堅固に結合することができ、溶接後にピストンは、好ましくは熱処理される。硬質半田付け前に、カバーとピストンハウジング、特にピストンハウジングの壁、との間の半田間隙が80μmから120μmとなるように、カバーとピストンハウジングが前もって回動されて、それによって最適な毛管作用が得られ、したがってピストンとカバーの間の半田間隙に半田が充填される。付加的に、真空内で半田付けする間の酸化を阻止するために、カバーの孔へ向いた側に充分に大きい面取り部が設けられる。回動させた後にカバーがピストンハウジング内へ挿入されて、両者が真空内で金属の付加材料である半田を用いて450℃から1200℃で互いに材料結合で、取り外しできないように結合される。このプロセスは、結合半田付けとも称される。このようにして、孔によって形成される中空室が閉鎖される。したがって駆動が進行していても、ピストンハウジング−カバー結合の密でない箇所によってピストンのデッドボリュームが増大することは、不可能である。
【0017】
電子ビーム溶接は、好ましくは螺旋溝の少なくとも排出箇所を閉鎖する。このようにして、ピストンの少なくとも1つの中空チャンバ内へ流体が侵入することが困難にされている。
【0018】
好ましくはピストン内に複数の中空チャンバが、好ましくは同一の直径で、部分円上に互いに対して変位して設けられている。これによって、中空チャンバの容積を最大にして、同時にピストン内に長手軸線の方向に延びる中央の孔を設けることが可能になり、その孔は駆動の進行中にジョイントヘッドを潤滑するために用いることができる。
【0019】
以下、図に示す実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】アキシャルピストンポンプの一部を示す横断面図である。
図2】ピストンの横断面図である。
図3】ピストンをカバーと共に示す斜視図である。
図4図2の詳細を示すものであって、電子ビーム溶接継ぎ目の形成が示されている。
図5】本発明に係るピストンをその中に固定されたカバーと共に示す斜視図である。
図6】カバーの上面図である。
図7】カバーの側面図である。
図8】カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
アキシャルピストンポンプの形式のハイドロポンプ10の一部が、図1に横断面で示されている。回転可能な軸12上の固定位置に、ポンプハウジング16の一部としてのシリンダ14が配置されているので、シリンダ14は軸12と共に回転する。奇数のシリンダ14が設けられており、それらは部分円上に変位して配置されている。シリンダ14の長手軸線18はすべて、軸12の長手軸線20に対して同一の半径RZを有している。シリンダ14内には、それぞれピストン22が長手軸線方向にスライド可能に配置されている。ピストン22のジョイントヘッド24には、球状の表面26が設けられており、それが、スライドシュー30の対応する収容部分28内に保持されている。スライドシュー30には、収容部分28を潤滑するための長手孔32が設けられている。スライドシュー30は、斜めディスク36を介在させて、調節機構に滑り移動するように支障されている。流体入口38を介して液体、特に油圧液を、第1の作業クロックにおいてシリンダ14内へ注ぎ込むことができる。液体は、次に、流体出口40を介して第2の作業クロックにおいてシリンダ14から押し出すことができる。したがって軸12が半回転するとシリンダ14がいっぱいになり、軸12の他の半回転でシリンダが再び空にされる。このようにして高くて均一なポンプ出力をもたらすことができる。
【0022】
本発明に係るピストン22が、図2から5に詳細に示されている。ピストン22は、ジョイントヘッド24を有しており、そのジョイントヘッドがネック42を介してピストンボディ44へ移行している。ピストンヘッド24は、球状の表面26を有している。ピストン22を通って透孔46が延びており、その透孔の端部48がわずかに面取りされている。透孔46に対し、したがってピストン22の長手軸線Lに対して平行に、全部で5つの軸線方向孔52が同一の直径Dで設けられている。これらの孔は、ピストン底部54からジョイントヘッド24の方向へ延びており、ジョイントヘッド24から軸線方向間隔Aで終了している。ピストン底部54には、カバー58のための環状凹部56が設けられている。ピストン22の孔52は、中空チャンバ60を形成しており、それら中空チャンバは部分円上に変位して配置されている。したがって中空チャンバ60は、ピストンハウジング62内に設けられている。環状凹部56によって、透孔46の張り出した壁部分64残る。この壁部分64が、それと結合すべきカバー58のための結合部分66を形成し、かつ挿入する際にそのカバーをセンタリグする。
【0023】
図6から8がより詳細に示すように、カバー58は、張り出した壁部分64の外径に相当する中央の孔68を有するディスク形状の回転部品である。カバー58の外周面70には、補償装置74の一部として一周する螺旋溝72が設けられており、それが、媒体を案内するようにして中空チャンバ60を周囲Uと接続する。カバー58がピストンハウジング62内へ挿入された場合に、螺旋溝72がピストンハウジング62によって排出箇所76まで覆われている。排出箇所76は、補償装置74の一部として、螺旋溝72を介しての周囲Uとピストン22内の中空チャンバ60との間に媒体を案内する接続を形成する。排出箇所76は、カバー58の後ろ側80に配置されている。反対となる前側82において、螺旋溝72が流入箇所84で面取り部86内へ連通する。カバー58が挿入された状態EZにある場合に、面取り部86の外径は、ジョイントヘッド24の方向に閉鎖直径ADまで減少する。
【0024】
図4が詳細に示すように、カバー58をピストンハウジング62内へ挿入した後に、カバー58はピストンハウジング62とその内径DIとその外径DAの全周面に沿って電子ビーム溶接方法によって溶接される。したがって排出箇所76も閉鎖される。電子ビーム88は、できる限り効率的な溶接を可能にするために、ピストン22の長手軸線Lに対して平行に方向付けされている。そのために、カバー58は前もってピストンハウジング62内へ隙間なしに挿入して方向づけされなければならず、それによって溶接の際の亀裂が回避される。電子ビーム溶接は、DIN4063に従って真空内で行われる。それは、電子ビーム88が長手軸線Lに対して平行になる、I軸継ぎ目である。溶接によって、中空チャンバ60が外側へ向かって周囲Uに対して完全に閉鎖される。溶接後に、ピストン22は最終加工されて、熱処理される。
【0025】
できあがったピストン22の断面が、図5に斜視図で示されている。したがってこのピストンは、中空チャンバ60に基づいて減少された質量を特徴としており、カバー58によって、シリンダ14内のデッドボリュームの増大が阻止される。このようにして、中空チャンバ60によって付加的な圧縮損失が発生することはなく、それによってハイドロポンプ10の効率が効果的に向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8