(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2の組成物において、前記四級化剤は、硫酸ジアルキル、カルボン酸エステル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、炭化水素炭酸エステルおよび炭化水素エポキシ化合物によって構成された群から選択され、酸との混合物または非混合物であり、単独でまたは混合物である、組成物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤組成物、およびそのような添加剤組成物を含んでいる燃料に関する。本発明は、特に、ディーゼル燃料および/またはバイオディーゼル燃料用添加剤組成物に関する。本発明は、さらに、ディーゼルエンジン(特にEuro3〜Euro6タイプの燃料噴射装置を有するディーゼルエンジン)のパフォーマンスを改善するための、前記燃料の使用に関する。
【0002】
上市される燃料は、国内規格または超国家的な規格(例えばEUにおけるディーゼル燃料用のEN 590)に従わなければならない。商用燃料については、添加剤に関する法的な義務はない。商用視点から見て、燃料の流通については、「基準価格」燃料(添加剤が少数または添加されない)、および高級グレード燃料(パフォーマンスを通常よりも改善するために、1以上の添加剤が添加される)とは、区別される。
【0003】
多くの国々では、ディーゼル燃料のイオウ含有量は、環境上の理由から顕著に減少させる対象となっており、特にSO
2流出を減少させるため、イオウは減少対象となっている。例えば、ヨーロッパでは、路上乗り物用ディーゼル燃料の最大イオウ含有量は、現在10質量ppmである。これらの燃料への潤滑性を与える化合物の損失を補うために、多数の潤滑剤、および/または耐摩耗添加剤、および/または摩擦調整剤が、上市される燃料に導入されている。
【0004】
これらの添加剤の特性は、特許文献1(EP915944)、特許文献2(EP839174)および特許文献3(EP680506)に広く記載されている。
【0005】
図1および2に示されるように、所定の高級グレードディーゼル燃料を使用する場合、ディーゼルエンジン(特にEuro3〜Euro6タイプのもの)の射出方式のインジェクタ3の針2にデポジット1が発生したことがわかった。すなわち、耐摩耗添加剤、および/または摩擦調整剤、および/またはコークス化するタイプのデポジットに対する添加剤を使用しても、ラッカー発生に対する耐性については、満足性が低く、または非常に不適当ですらあることが多い。これは、用語「ラッカー」に対応するデポジット1の生成に反映される。用語「ラッカー」は、これ以降も使用され、または頭字語であるIDID(ディーゼルインジェクタ内部デポジット:Internal Diesel Injector Deposits)が用いられることもある。
【0006】
本発明の意味内では、ラッカー発生現象は、射出方式5または5’(
図1および3)の外部に存在するデポジットとは関係がない。外部に存在するデポジットはコークス化と関係があり、コークス化は、噴射ノズル4または4’の汚染、または部分的または完全な目詰まり(ノズルの「コークス化」または「汚染」)の原因である。
【0007】
ラッカー発生とコークス化は、これらのデポジットの原因に関して2つの全く別個の現象であり、一方はデポジットの発生状態(conditions of appearance)であり、他方はこれらのデポジットが生じる場所である。コークス化はディーゼル射出方式の下流にのみ現われる現象である。
【0008】
図3に示されるように、形成されたデポジット5’は、燃焼室に入る炭化水素の熱分解に起因し、炭素に富むデポジットの外観を有することで特徴づけられる。高圧の直接噴射ディーゼルエンジンの場合には、コークス化への傾向は、あまり見られない。このコークス化は、エンジンテスト基準CEC F098−08 DW10Bによって通常シミュレートされる。特にテストされた燃料が金属亜鉛で汚染される場合について、シミュレートされる。
【0009】
間接噴射を備えたエンジンの場合、直接噴射を備えたエンジンのように燃料の燃焼が燃焼室で直接起こらない。例えば特許文献4(US4604102)に記載しているように、燃料噴射が起こる燃焼室前方には、副燃焼室がある。副燃焼室中の圧力および温度は直接噴射機関の燃焼室の圧力および温度よりも低い。
【0010】
これらの条件の下では、燃料の熱分解により炭素が発生し、炭素は、インジェクタ(「絞りディーゼルノズル」)のノズル4’表面に付着し、ノズル4’のオリフィス6を目詰まりさせる(
図3)。燃焼ガスに晒されたノズル4’の表面だけが、炭素の堆積(コークス化)による危険性を示す。性能の点では、コークス化現象により、エンジン出力の損失が生じる。ラッカー発生は、直接噴射ディーゼルエンジンでのみ発生し、射出方式においてのみ生じる現象である。
【0011】
図1および2に示されるように、直接噴射ディーゼルエンジンのインジェクタ3は針2を備える。針のリフトにより、燃焼室に高圧で直接注入された燃料の量を正確に制御できる。ラッカー発生は、デポジット1の発生をもたらし、特にインジェクタ3の針2の水平面に現われる(
図1および2)。ラッカー発生現象は、ディーゼルおよび/またはバイオディーゼルの燃料用エンジンの射出方式の内部成分において、セッケン(soap)および/またはラッカーが生成することに関係している。ラッカー発生によるデポジット1は、インジェクタ3の針2の端部4に生じる可能性があり、燃料噴射装置の針2の頭部および本体だけでなく、射出方式の針リフト(バルブは図示しない)を制御するための系全体にわたって、生じる可能性がある。この現象は、高級グレードディーゼル燃料を使用しているエンジンについて、特に見受けられる。これらのデポジットが多量に存在する場合、これらのデポジット1によって汚染されたインジェクタ3の針2の可動性がそこなわれる。また、コークス化とは対照的に、ラッカー発生は、エンジン騒音およびスタートの際に生じる問題を増加させる可能性もある。実際、セッケンの、および/またはラッカーのデポジット1によって汚染された針2の部品は、インジェクタ3の内壁に付着するかもしれない。そうなると、針2は遮断され、燃料はもはや通過しない。
【0012】
ラッカー発生タイプのデポジットは、一般に2つのタイプに分類される:
1. やや白っぽく、粉末上のデポジット(タイプ1のデポジット);分析においては、これらのデポジットは、実質的に、ナトリウムセッケン(例えばカルボン酸ナトリウム)、および/またはカルシウムセッケンからなることが分かっている;
2. 針の本体に存在する有色のラッカー状有機物デポジット(タイプ2のデポジット)
タイプ1のデポジットに関して、タイプBxのバイオディーゼル燃料にいくつかのナトリウム源がある可能性がある:
・ギ酸ナトリウムなどの、メチルまたはエチル脂肪酸エステルタイプのエステルを製造するための、植物油のエステル交換反応用の触媒;
・ナトリウムはまた、所定のパイプで石油製品を運搬するときに使用される腐食抑制剤(亜硝酸ナトリウムなど)から生じる可能性もある;
・最後に、偶然の外的汚染、例えば、水または空気によって発生する外的汚染により、燃料中へナトリウム(ナトリウムは、非常に一般的な元素である)が混入するかもしれない。
【0013】
例えば、バイオディーゼルを含む燃料中に、いくつかの酸発生源がある:
o 生物燃料の残存酸[EN14214(酸の最大の許容レベルを規定する)を参照]
o 所定のパイプで石油製品を運搬するときに使用される腐食抑制剤[例えばDDSA(ドデセニルコハク酸無水物)、HDSA(ヘキサデセニルコハク酸無水物)またはそれらの酸などの誘導体]。
【0014】
タイプ2の有機デポジットに関して、ある刊行物では、コークス化を防ぐために使用されるデポジット還元剤/分散剤(例えばポリアミンに由来したPIBSIタイプの清浄剤)と、酸(バイオディーゼルの脂肪酸エステルの不純物としてとりわけ存在する)との間の反応から特に生じることが、記載されている。
【0015】
非特許文献1(SAE 880493)「ひまわり油からのラッカーデポジットによる噴射針の可動性阻害」、(M.ZiejewskiおよびH.J.Goettler著)では、ラッカー発生現象、および燃料としてひまわり油を使用した場合の、ラッカー発生現象によって生じるエンジン操作性の阻害を記載している。
【0016】
非特許文献2(SAE 2008−01−0926)「内部ディーゼル機関のインジェクタデポジットの発生および予防に関する調査」、(J.Ullmann、M.Geduldig、H.Stutzenberger (Robert Bosch GmbH)およびR.Caprotti、G.Balfour(Infineum)著)では、さらにタイプ2のデポジットについて説明するために酸とデポジット還元剤/分散剤との間の反応を記載している。
【0017】
さらに、非特許文献3(SAEインターナショナル 2010−01−2242)「高圧コモンレールディーゼル機関の内部インジェクタのデポジット」(S. Schwab, J. Bennett, S. Dell, J. Galante- Fox、A.KulinowskiおよびKeith T. Miller著)では、インジェクタの内部部品は、裸眼で認識可能なわずかに有色のデポジットにより一般に覆われると記載している。これらの分析により、デポジットは、主にアルケニル−(ヘキサデセニル−あるいはドデセニル−)コハク酸のナトリウム塩であると判断されており;ナトリウムは、乾燥剤、精製所の中で使用される腐食性溶液、釜残水または海水から生じ、コハク二酸は腐食抑制剤として用いられ、または多機能添加剤パッケージの中に存在している。一度形成されると、これらの塩類は低イオウディーゼル燃料において不溶性であり、これらは微粉形状であるため、ディーゼル機関フィルタを通り抜けて、インジェクタの内部で堆積する。この文献では、エンジンテストの開発が記載されており、デポジットの再生が可能となる。
【0018】
非特許文献4(SAEインターナショナル 2010−01−2250)、「現代のディーゼル燃料射出方式中のデポジット制御」、(R.Caprotti、N.BhattiおよびG.Balfour著)では、さらにインジェクタ中の同じタイプの内部デポジットを研究し、特に燃料の種類(ディーゼル用またはバイオディーゼル用)とデポジットの外観は関係がなく、また、現代のエンジン(コモンレール)を装備した乗り物の種類(軽車両またはトラック)とデポジットの外観とも関係がないことを、主張している。彼らは、すべてのタイプのデポジット(コークス化およびラッカー発生)に有効な、新規のデポジット還元剤/分散剤の性能を示している。
【0019】
上に記載しているようなラッカータイプのデポジットが蓄積すると、次の問題が発生し得る:
− 燃料噴射器の応答の遅れ、
− 内部部品の粘着(これらは、噴射時間の制御の損失、および1回の噴射当たりの燃料供給量の損失を起しうる)、
− 乗り物を運転する快適性の低下、
− 出力の変化、
− 燃費の増加、
− 汚染物質の増加、
− 不安定な燃焼(注入された燃料の量が理論上意図されるものではなく、噴射プロフィールが異なるため)、
− 乗り物の不安定なアイドリング、
− エンジンノイズの増加、
− 長期間での燃焼性の低下、
− 噴霧化性の低下。
【0020】
ラッカー発生による大量のデポジットが起こりうる場合、噴射に用いられる針が目詰まりするので、乗り物は、発進に際し大きな障害が発生するか、または全く発進することができない。
【発明を実施するための形態】
【0056】
他の利点および特徴は次の記載からより明らかになるだろう。本発明の特定の実施態様は、非制限的な例として示される。
【0057】
本発明は添加剤組成物に関し、前記組成物は、少なくとも第1および第2の添加剤、および任意に第3の添加剤を含む。本発明は、さらに、500質量ppm以下のイオウ含有量を有するディーゼル燃料(好ましくはバイオディーゼル)中の、前記添加剤組成物の使用に関する。
【0058】
[第1の添加剤]
第1の添加剤は、化合物Aを少なくとも50質量%で含み、前記化合物Aは、ポリオールと、飽和又は不飽和の、直鎖または分岐鎖の、環状または非環状の、C
4−C
36、好ましくはC
12−C
24、より好ましくはC
16−C
20脂肪族モノカルボン酸炭化水素との部分エステルから選択され、前記部分エステルは、単独でまたは混合物で使用されてもよい。
【0059】
化合物Aは、好ましくは、エステル単位x、水酸基単位y、およびエーテル単位zを含み、x、y、およびzは整数であり、xは1〜10で変化し、yは1〜10で変化し、zは0〜6で変化する。
【0060】
特定の実施態様によれば、xは、1〜10で変化し、yは、3〜10で変化し、zは、0〜6で変化する。
【0061】
別の特定の実施態様によれば、xは、1〜4で変化し、yは、1〜7で変化し、zは、1〜3で変化する。好ましくは、xは2〜4で変化する。
【0062】
ポリオールの部分エステルの合成はそれ自身公知であり;例えば、(i)脂肪酸と、(ii)直鎖および/または分岐鎖の、任意でヘテロ環を含んでいてもよい、水酸基を有する5〜6個の原子を含むポリオールと、のエステル化によって調製されてもよい。一般に、この種の合成により、モノ、ジ−、トリ−および任意にテトラエステルの混合物と、少量の脂肪酸および未反応ポリオールが生じる。
【0063】
特定の実施態様によれば、化合物Aは、任意で1つ以上のエチレン性結合を含む、1つ以上のC
4−C
36(好ましくはC
10−C
24、より好ましくはC
12−C
24)脂肪酸と、5〜6個の原子の複素環(好ましくは水酸基で置換され、4〜5個の炭素原子および1つの酸素原子を有する複素環)を任意に含む、直鎖または分岐鎖の、環状または非環状のポリオールと、のエステル化によって得られる。
【0064】
脂肪酸は、有利には、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、アラキドン酸、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸およびカプリン酸からなる群から選択され、単独でまたは混合物で使用できる。
【0065】
脂肪酸は、植物油および/または動物油脂の、エステル交換反応またはけん化から生じてもよい。好ましい植物油および/または動物油脂は、オレイン酸濃度に応じて選択してもよい。例えば、いくつかの植物油および動物油脂の組成物に関する書物(Carburants & Moteurs [Fuels & Engines] by J.C. Guibet and E.Faure, 2007 edition)の第6章の表6.21を参照してもよい。
【0066】
脂肪酸は、トール油に由来した脂肪酸(トール油脂肪酸)から生じてもよく、その場合、多量(典型的に90質量%以上)の脂肪酸と、少量(一般に10質量%未満)の樹脂酸と非けん化物と、を含む。
【0067】
ポリオールは、好ましくは、(i)3個を越える水酸基を含む直鎖または分岐鎖のポリオール、および(ii)任意に水酸基で置換された、5個または6個の原子の環(好ましくは4〜5個の炭素原子および1個の酸素原子の複素環)を少なくとも1つ含むポリオールから選択されてもよい。これらは、単独でまたは混合物で使用できる。
【0068】
好ましい変形態様によれば、ポリオールは、5個または6個の原子の環(好ましくは、任意に水酸基で置換された、4〜5個の炭素原子および1個の酸素原子の複素環)を少なくとも1つ含むポリオールから選択される。これらは、単独でまたは混合物で使用できる。
【0069】
別の変形態様によれば、ポリオールは、4個または5個の炭素原子および1個の酸素原子を有する複素環を少なくとも2つ含み、各環の水酸基間がアセタール結合によって連結されたポリオールから選択され、前記複素環は、任意に水酸基で置換されている。
【0070】
ポリオールは特に、エリトリトール、キシリトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ボレミトール、マンニトール、ペンタエリトリトール、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、および炭水化物(スクロース、フルクトース、マルトース、グルコースおよびサッカロースなど)から選択され、好ましくはソルビタンである。
【0071】
特定の実施態様によれば、化合物Aはソルビタン部分エステルから選択され、好ましくはソルビタンのジ−、モノ−およびトリ−エステルから選択され、これらは、単独でまたは混合物で使用できる。
【0072】
一変形態様によれば、化合物Aは、ソルビタントリエステルを40質量%(好ましくは50質量%)を越えて含む、ソルビタン部分エステルから選択される。
【0073】
別の変形態様によれば、化合物Aはソルビタン部分エステルから選択され、前記ソルビタン部分エステルは、ソルビタンモノエステルを20質量%を越えて、および/またはソルビタンジエステルを20質量%を越えて含み;好ましくはソルビタンモノエステルを20質量%を越えて、および/またはソルビタンジエステルを30質量%を越えて含み;より好ましくはソルビタンモノエステルを25質量%を越えて、および/またはソルビタンジエステルを35質量%を越えて含む。
【0074】
別の特定の実施態様によれば、化合物Aは、脂肪酸に由来したポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択され、12〜24個の炭素原子を有する脂肪鎖を、数による割合として50%以上有している。そのようなポリグリセリンは、例えば、WO2013/120985に記載され、これは例として引用され、および/または参照によって本出願に組み入れられる。
【0075】
化合物Aは、ジグリセリンの、および/またはトリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから好ましくは選択される。
【0076】
特に、ジグリセリンの、および/またはトリグリセリンの部分エステルは、少なくとも50質量%の、オレイン酸およびジグリセリンの、モノエステルおよび/またはジエステル[すなわち、ジグリセリンモノオレエート(DGMO)、および/またはジグリセリンジオレエート(DGDO)];少なくとも50質量%の、オレイン酸およびトリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステル;または少なくとも50質量%の、オレイン酸とジグリセリンおよび/またはトリグリセリンとのモノエステルおよび/またはジエステルを含む。
【0077】
[第2の添加剤]
第2の添加剤は、四級化剤と第三級アミン官能基を含む窒素含有化合物の反応によって得られた第四級アンモニウム塩を含む。第四級アンモニウム塩およびその調製のための方法の例は、例えば、US4253980、US3778371、US4171959、US4326973、US4338206、US5254138およびWO2010/132259に記載され、これらは例として引用され、および/または参照によって本出願に組み入れられる。
【0078】
本発明の第1の特定の実施態様によれば、窒素含有化合物(a)は、(i)炭化水素基で置換されたアシル化剤と、(ii)少なくとも1つの第三級アミン基と、第一級および第二級アミンまたはアルコールから選択される基とを含む化合物との反応物から選択される。
【0079】
窒素含有化合物(a)は、好ましくは、(i)炭化水素基で置換されたアシル化剤と、(ii)前記アシル化剤と縮合することが可能である酸素原子または窒素原子と、第三級アミン基とを含む化合物との反応物である。
【0080】
アシル化剤は有利には、炭化水素基で置換されたモノまたはポリカルボン酸、およびそれらの誘導体から選択され、単独でまたは混合物で用いられる。アシル化剤は、例えば、炭化水素基で置換された、コハク酸、フタル酸およびプロピオン酸から選択される。
【0081】
アシル化剤の炭化水素置換基は、好ましくは、少なくとも8個(好ましくは少なくとも12個、例えば30〜50個)の炭素原子を含む。前記炭化水素置換基はおよそ200個までの炭素原子を含んでいてもよい。
【0082】
アシル化剤の炭化水素置換基は、好ましくは、数平均分子量(Mn)170〜2800(例えば250〜1500、より好ましくは500〜1500、およびさらに好ましくは500〜1100)である。Mnの範囲は、特に700〜1300(例えば700〜1000)が好ましい。
【0083】
アシル化剤を置換する炭化水素基の例として、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、テトラプロペニル、n−オクタデシル、オレイル、オクタデシル、またはトリアコンチルが挙げられる。
【0084】
アシル化剤の炭化水素置換基は、2〜10個の炭素原子を有しているモノオレフィンおよびジオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、1−ヘキセンまたは1−オクテン)の単独重合体または共重合体(例えばコポリマー、ターポリマー)から得られてもよい。好ましくは、これらのオレフィンは1−モノオレフィンである。
【0085】
アシル化剤の炭化水素置換基は、これらの単独重合体または共重合体(inter-polymers)のハロゲン化類似体(例えば、塩素化または臭素化類似体)であってもよい。
【0086】
一変形態様によれば、アシル化剤の炭化水素置換基は他の化合物から得られてもよく、例えば、高分子量のアルケンのモノマー(例えば1−テトラコンテン)、それらの塩素化または塩化水素化された類似体から、脂肪族の石油留分(例えばパラフィンワックス)、それらの分解、塩素化または塩化水素化された類似体から、ホワイト油から、例えば、チーグラーナッタ工程によって製造された合成アルケン(例えばポリエチレングリース)から、および当業者に公知である他の源から得られてもよい。
【0087】
アシル化剤の炭化水素基中のいかなる不飽和も、水素添加や任意の公知である工程によって、減少または除去されてもよい。
【0088】
「炭化水素」基とは、主として脂肪族炭化水素形質を有していて、分子残基に炭素原子が直接結合するいかなる基であってもよい。
【0089】
本発明による炭化水素基はまた、非炭化水素基を含んでいてもよい。例えば、非炭化水素基により、炭化水素の主たる形質が著しく変わらなければ、10個の炭素原子当たり1個までの非炭化水素基を含んでいてもよい。当業者に周知である非炭化水素基の例としては、水酸基、ハロゲン(特に塩素およびフッ素)、アルコキシ基、アルキルメルカプト基およびアルキルスルホキシ基が挙げられる。
【0090】
しかしながら、そのような非炭化水素基を含んでいない炭化水素置換基であって、脂肪族炭化水素の純粋な形質を有しているものが好ましい。
【0091】
アシル化剤の炭化水素置換基は好ましくは実質的に飽和であり、例えば、炭素−炭素単結合10個からなる部分につき、不飽和の炭素−炭素結合を1個を越えて含んでいない。
【0092】
アシル化剤の炭化水素置換基は、有利には、炭素−炭素結合50個ごとにつき、最高で1個の非芳香族の不飽和の炭素−炭素結合を含んでいる。
【0093】
好ましい特定の実施態様によれば、アシル化剤の炭化水素置換基は、先行技術において公知であるポリイソブテンから好ましくは選択される。好ましくは、ヒドロカルビル基で置換されたアシル化剤は、ポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)である。
【0094】
ポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)の調製は、既に知られている。例えば、US3361673およびUS3018250に記載されているポリイソブテン(PIB)と無水マレイン酸との反応を含む方法、またはUS3172892に記載されている無水マレイン酸とハロゲン化された(特に塩素化された)ポリイソブテン(PIB)の反応を含む方法が、例示される。
【0095】
一変形態様によれば、ポリイソブテニル無水コハク酸は、ポリオレフィンを無水マレイン酸と混合し、その後、この混合物に塩素を通過させることにより調製されてもよい(GB949 981)。
【0096】
特に、反応性の高いポリイソブテン(PIB)が使用されるのが好ましい。「反応性の高いポリイソブテン(PIB)」とは、EP0565285に記載されるような、末端のオレフィンの二重結合の少なくとも50%(好ましくは少なくとも70%以上)がビニリデンタイプであるポリイソブテン(PIB)を意味する。特に好ましいPIBは、EP1344785に記載されるような、末端のビニリデン基を、80mol%を越えて100mol%まで有するものである。
【0097】
例えばWO2007/015080に記載されるような、内部オレフィンを含む他の炭化水素基も使用されてもよい。
【0098】
内部オレフィンは、非アルファ二重結合を主として含むいかなるオレフィンも意味し、ベータオレフィン、または、より高次のオレフィンである。
【0099】
好ましくは、これらの材料は実質的にベータオレフィンまたは高次オレフィンであり、例えばα‐オレフィンを10質量%未満(有利には5質量%未満で、または2質量%未満)で含んでいる。
【0100】
内部オレフィンは、任意の公知の工程によるα‐オレフィンの異性化反応によって調製されてもよい。
【0101】
アシル化剤と縮合することが可能である酸素原子または窒素原子、および第三級アミン基を含む化合物は、例えば以下の群から選択されてもよい:N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン。前記化合物は、さらに、アルキルアミンで置換された複素環式化合物から選択されてもよい。例えば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールおよび4−(3−アミノプロピル)モルフォリン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンおよび3’,3−ビスアミノ(N,N−ジメチルプロピルアミン)などが挙げられる。
【0102】
アシル化剤と縮合することが可能である酸素原子または窒素原子、および第三級アミン基を含む化合物も、アルカノールアミンから選択されてもよく、特に限定されないが、以下を含む:トリエタノールアミン、トリメタノールアミン、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノブタノール、N,N,N−トリス(ヒドロキシエチル)アミン、N,N,N−トリス(ヒドロキシメチル)アミン、N,N,N−トリス(アミノエチル)アミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、およびN,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン;2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノールおよびN,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン。
【0103】
特定の実施態様によれば、窒素含有化合物(a)は、炭化水素基で置換されたアシル化剤と、次式(I)または(II)のアミンとの反応物を含む:
【0105】
式中:
R1とR2は同一または異なって、互いに独立して、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表わし;
Xは1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基であり;
mは1〜5の整数であり;
nは0〜20の整数であり;および
R3は水素原子またはC
1−C
22アルキル基である。
【0106】
窒素含有化合物(a)が式(I)のアミンを含む場合、R3は、有利には水素原子またはC
1−C
16アルキル基(好ましくはC
1−C
10アルキル基、さらに好ましくはC
1−C
6アルキル基)であり、R3は、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの異性体からなる群から選択されてもよい。好ましくは、R3は水素原子である。
【0107】
窒素含有化合物(a)が式(II)のアミンを含む場合、mは、好ましくは2または3であり、より好ましくは2であり;nは、好ましくは0〜15(より好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜5)の整数である。好ましくは、nは0であり、式(II)の化合物はアルコールである。
【0108】
好ましい実施態様によれば、窒素含有化合物(a)は、炭化水素基で置換されたアシル化剤と、式(I)のジアミンとの反応物である。
【0109】
R1とR2は、互いに独立して、アルキル基を形成するために、C
1−C
16アルキル基(好ましくはC
1−C
10アルキル基)を表してもよい。R1とR2は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはそれらの異性体を表してもよい。好ましくは、R1とR2は、互いに独立して、C
1−C
4基(好ましくはメチル基)を表わす。
【0110】
Xは、1〜16個の炭素原子(好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子、例えば、2〜6個の炭素原子または2〜5個の炭素原子)を有するアルキレン基を好ましくは表わす。Xは有利にはエチレン基、プロピレン基またはブチレン基(特にプロピレン基)を表わす。
【0111】
第2の添加剤の第四級アンモニウム塩は、例えば、国際出願WO2006/135881に記載している調製方法によって得られてもよい。
【0112】
好ましい変形態様によれば、窒素含有化合物(a)は、(i)炭化水素基で置換されたコハク酸の誘導体(好ましくはポリイソブテニル無水コハク酸)と、(ii)第三級アミン基を含むアルコールまたはアミンとの反応物である。
【0113】
所定の条件の下では、炭化水素基で置換されたコハク酸誘導体は、スクシンイミド(閉環型)を形成するために、第三級アミン基を含むアミンと反応する。
【0114】
一変形態様によれば、コハク酸誘導体およびアミンの反応は所定の条件の下でコハク酸アミド(つまりアミド基およびカルボン酸基(開環型)を含む化合物)をもたらしてもよい。
【0115】
別の変形態様によれば、さらに第三級アミン基を含むアルコールは、エステルを形成するためにコハク酸誘導体と反応する。このエステル分子はまた、遊離のカルボキシル基−CO
2H(開環型)を含む。
【0116】
したがって、所定の実施態様では、窒素含有化合物(a)は、コハク酸誘導体とアミンまたはアルコールとの反応物である、エステルまたはアミドであってもよく、前記反応物は、さらに未反応のカルボキシル基−CO
2H(開環型)を含んでいてもよい。
【0117】
本発明の別の特定の実施態様によれば、窒素含有化合物(b)は、第三級アミン基を含むマンニッヒ反応物から選択される。
【0118】
窒素含有化合物[特に窒素含有化合物(b)]から形成された第四級アンモニウム塩の調製は、US2008/0052985に例えば記載されている。
【0119】
第三級アミン基を含むマンニッヒ反応物は、炭化水素基で置換されたフェノール、アルデヒドおよびアミンの反応によって調製される。前記フェノールの炭化水素置換基は6〜400個の炭素原子(有利には30〜180個の炭素原子、例えば10〜110個、または40〜110個の炭素原子)を含んでいてもよい。
【0120】
前記フェノールの炭化水素置換基はオレフィンまたはポリオレフィンに由来してもよい。例えば、n−1−デセンのようなα‐オレフィンが挙げられる。
【0121】
フェノールの炭化水素置換基を形成するポリオレフィンは、公知である任意の重合工程でオレフィンモノマーを重合することにより調製されてもよい。好ましくは、ポリオレフィンは、数平均分子量(Mn)400〜3000(好ましくは400〜2500、より好ましくは400〜1500、または500〜1500)のポリイソブチレンから選択される。
【0122】
炭化水素基で置換されたフェノールは、アルキル化の従来法を使用して、上述するオレフィンまたはポリオレフィン(ポリイソブチレンまたはポリプロピレンなど)によるフェノールのアルキル化によって調製してもよい。
【0123】
一変形態様によれば、フェノールは、低分子量の1つ以上のアルキル基で置換されてもよい。例えば、28未満(好ましくは24未満、より好ましくは20未満、さらに好ましくは18未満、より好ましくは16、より好ましくは14)の炭素原子を有する1つ以上のアルキル鎖を有するフェノールが挙げられる。
【0124】
好ましくは4〜20個(好ましくは6〜18個、より好ましくは8〜16個、さらに好ましくは10〜14個)の炭素原子を有するモノアルキルフェノール、例えばC
12アルキル基で置換されたフェノールが好ましい。
【0125】
マンニッヒ反応物の形成のために使用されるアルデヒドは、1〜10個の炭素原子を含んでいてもよく、一般にホルムアルデヒドまたはその反応等価物[ホルマリン(メタノールとホルムアルデヒド)またはパラ−ホルムアルデヒドなど]である。
【0126】
マンニッヒ反応物の形成のために使用されるアミンは、モノアミンまたはポリアミンであってもよい。
【0127】
非制限的なモノアミンの例として、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n‐ブチルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミン、オレイルアミン、N−メチルオクチルアミン、ドデシルアミン、ジエタノールアミン、モルフォリンおよびオクタデシルアミンが挙げられる。
【0128】
ポリアミンは、2つ以上のアミン基を含む化合物から選択される。非制限的なポリアミンの例として、例えば、アルキレン基が1〜6個(好ましくは1〜4個、より好ましくは2〜3個)の炭素原子を有しているポリアルキレンポリアミンが挙げられる。好ましいポリアミンはポリエチレンポリアミンである。
【0129】
ポリアミンは2〜15個の窒素原子(好ましくは2〜10個の窒素原子、好ましくは2〜8個の窒素原子)を含んでいてもよい。
【0130】
好ましい変形態様によれば、マンニッヒ反応物の形成のために使用されるアミンは、ジアミンを含み、このジアミンは、好ましくはマンニッヒ反応に関与する第一級または第二級アミン、および第三級アミンを含む。
【0131】
特定の実施態様では、窒素含有化合物(b)は、マンニッヒ反応によって直接得られる反応物を含み、この反応物は第三級アミンを含む。例えば、前記アミンは、マンニッヒ反応に関係する第一級または第二級アミン基を1つ、および第四級化可能な第三級アミンを含む。
【0132】
一変形態様によれば、アミンは、マンニッヒ反応に関与し得る第一級または第二級アミン、および第四級化可能な第三級アミンを含む。
【0133】
別の変形態様によれば、窒素含有化合物(b)はマンニッヒ反応によって得られ、次に、第三級アミンを得るための反応に供されてもよく、例えば第二級アミンを含み、マンニッヒ反応によって得られた中間物を使用し、その後、第二級アミンを生じさせるために、例えばアルキル化によって修飾されてもよい。
【0134】
本発明の第3の特定の実施態様によれば、窒素含有化合物(c)は、少なくとも1つの第三級アミン基を有するポリアルケン基(ポリアルキレンとも称される)で置換されたアミンから選択される。
【0135】
窒素含有化合物(c)から形成された第四級アンモニウム塩の調製は、例えばUS2008/0113890に記載されている。
【0136】
少なくとも1つの第三級アミン基を有するポリアルケン基で置換されたアミンは、ポリオレフィンおよびアミンに由来してもよく、前記アミンは、例えばアンモニア、モノアミン、ポリアミンであってもよく、単独でまたは組み合せて使用できる。前記アミンは、公知である任意の方法(例えばUS2008/0113890に記載された方法)によって調製されてもよい。
【0137】
非制限的な例として、アミンとハロゲン化されたオレフィンポリマーとの反応;ポリアミンとヒドロホルミル化されたオレフィンとを反応させた反応生成物の水素添加;ポリアルケンを対応するエポキシ化合物へ転換させ、次いで還元アミノ化による前記エポキシ化合物のアミノ化ポリアルケンへの転換;β−アミノニトリルの水素添加;および触媒、COおよびH
2の存在下、高圧および高温でのポリブテンまたはポリイソブチレンのヒドロホルミル化;などが挙げられる。
【0138】
オレフィンポリマーを生じさせるオレフィンモノマーは、1つ以上のエチレン性不飽和の存在によって特徴づけられた重合性オレフィンモノマーを含み、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−オクテン、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。オレフィンモノマーは一般に重合性末端を有するオレフィンである。しかしながら、重合性内部オレフィンモノマーもポリアルケンの形成のために使用されてもよい。
【0139】
非制限的な実施例として、公知である任意の工程によってポリアルケンを調製するために使用されてもよい末端および内部オレフィンモノマーは次のとおりである:エチレン;プロピレン;1−ブテン、2−ブテンおよびイソブチレンを含むブテン;1−ペンテン;1−ヘキセン;1−ヘプテン;1−オクテン;1−ノネン;1−デセン;2−ペンテン;プロピレン四量体;ジイソブチレン;イソブチレン三量体;1、2−ブタジエン;1,3−ブタジエン;1,2−ペンタジエン;1,3−ペンタジエン;1,4−ペンタジエン;イソプレン;5−ヘキサジエン;2−メチル−5−プロピル−1−ヘキセン;3−ペンテン;4−オクテン;および3,3−ジメチル−1−ペンテン。
【0140】
ポリイソブチレンの誘導体で置換されたアミンが、好ましくは選択される。
【0141】
ポリアルケン基で置換されたアミンを調製するために使用されるアミンは、アンモニア、モノアミン、ポリアミンから選択され、これらは単独でまたは混合物として使用でき、異なるモノアミンの混合物、異なるポリアミンの混合物、およびモノアミンおよびポリアミン(ジアミンを含む)の混合物を含んでいてもよい。前記アミンは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素および複素環式炭化水素、ならびに炭素環式のアミンを含む。
【0142】
モノマーとポリアミンは有利には少なくとも1つの第一級または第二級アミンを含む。
【0143】
モノアミンは、1個から約50個の炭素原子(好ましくは1〜30個の炭素原子)を有している炭化水素基と一般に置換される。飽和脂肪族炭化水素の置換基が特に好まれる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミンおよびオレイルアミンが挙げられる。
【0144】
芳香族モノアミンは、芳香族環構造を有する炭素原子が、アミン窒素に直接結びつくモノアミンを含む。芳香族モノアミンの例は、アニリン、ジ(パラ−メチルフェニル)アミン、ナフチルアミンおよびN−(n−ブチル)アニリンを含む。
【0145】
脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および複素環式炭化水素基で置換された芳香族モノアミンの例としては、それぞれ、パラ−ドデシルアニリン、シクロヘキシルナフチルアミンおよびチエニルアニリンが挙げられる。
【0146】
本発明によるモノアミンは、またヒドロキシアミンを含む。例えば、エタノールアミン、ジ−3−プロパノールアミン、4−ヒドロキシブチルアミン、ジエタノールアミンおよびN−メチル−2−ヒドロキシプロピルアミンが挙げられる。
【0147】
ポリアミンはまた、ポリアルケン基で置換されたアミンから選択されてもよい。ポリアミンは脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族であってもよい。例えば、アルキレンポリアミン、水酸基を有するポリアミン、アリールポリアミンおよび複素環式ポリアミンが挙げられる。エチレン性のポリアミンがコストと効率の理由のため好まれる。
【0148】
水酸基を有するポリアミンは、窒素原子上に、1つ以上のヒドロキシアルキル置換基を有しているヒドロキシアルキル化されたアルケンポリアミンを含み、1つ以上のアルケン酸化物と、アルケンポリアミンとの反応によって調製されてもよい。例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、モノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン、ジヒドロキシプロピルテトラエチレンペンタミンおよびN−(3−ヒドロキシブチル)−テトラメチレンジアミンが挙げられる。
【0149】
アリールポリアミンは、別のアミノ窒素がその構造中に存在する点を除き、上述する芳香族モノアミンの類似体である。例えば、N,N’−ジ−n−ブチル−パラ−フェニレンジアミンおよびビス(パラ−アミノフェニル)メタンが挙げられる。
【0150】
モノアミンおよび複素環式のポリアミンは当業者に公知である。例えば、N−アミノプロピルモルフォリン、N−アミノエチルピペラジンおよびN,N’−ジアミノエチルピペラジンを挙げることができる。水酸基−複素環式のポリアミンも使用されてもよく、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシルアミン、3−ヒドロキシシクロペンチルアミン、パラヒドロキシ−アニリンおよびN−ヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。
【0151】
ポリアルケン基で置換されたアミンの例は次のものを含んでもよい:ポリプロピレンアミン、ポリブテンアミン、N,N−ジメチルポリイソブチレンアミン、N−ポリブテンモルフォリン、N−ポリブテンエチレンジアミン、N−ポリプロピレントリメチレンジアミン、N−ポリブテンジエチレントリアミン、N’,N’−ポリブテンテトラエチレンペンタミンおよびN,N−ジメチル−N’−ポリプロピレン−1,3−プロピレンジアミン。
【0152】
ポリアルケン基を有するアミンの数平均分子量(Mn)は、500〜5000(好ましくは500〜3000、例えば1000〜1500)であってもよい。
【0153】
上述するポリアルケン基を有するアミン(第一級または第二級アミンである)はすべて、任意の公知の工程によってアルキル化剤を使用して、第三級アミン官能基を形成するためにアルキル化されてもよい。
【0154】
本発明による第2の添加剤の第四級アンモニウム塩は、上述する第三級アミン官能基を含む窒素含有化合物と、四級化剤との間の反応によって直接得られる。
【0155】
特定の実施態様によれば、四級化剤は、ジアルキルスルフェート、カルボン酸エステル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、炭化水素炭酸エステルおよび炭化水素エポキシ化合物からなる群から選択され、任意で酸と混合して使用され、単独でまたは混合物として使用してもよい。
【0156】
燃料用途については、ハロゲン、イオウおよびリンを含んでいる化合物の量を減少させることが多くの場合望ましい。
【0157】
したがってそのような元素を含んでいる四級化剤が使用される場合、対イオンを交換するための後反応を行なうことが有利であるだろう。例えば、ハロゲン化アルキルとの反応によって形成された第四級アンモニウム塩は、その後、水酸化ナトリウムと反応させ、そして、ハロゲン化ナトリウム塩がろ過によって除去されてもよい。
【0158】
四級化剤としては、ハロゲン化物(塩化物、ヨウ化物または臭化物など);水酸化物;スルホネート;ビスルファイト;アルキルスルフェート(硫酸ジメチルなど);スルホン;ホスフェート;C
1−C
12アルキルホスフェート;C
1−C
12ジアルキルホスフェート;ボラート;C
1−C
12アルキルボラート;ニトリト;ニトラート;カーボネート;ビカーボネート;アルカノエート;C
1−C
12O,O−ジアルキルジチオホスフェートなどが挙げられ、これらは単独でまたは混合物で用いられてもよい。
【0159】
特定の実施態様によれば、四級化剤は、以下の化合物、例えば、ジアルキルスルフェート(硫酸ジメチルなど)から、N−酸化物から、スルホン(プロパンスルホンおよびブタンスルホンなど)から、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化メチルと塩化エチル)、ハロゲン化アシルやハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルまたは塩化ベンジル)から、および炭化水素炭酸エステル(またはアルキルカーボネート)から得られてもよい。ハロゲン化アシルが塩化ベンジルである場合、芳香族環は、1以上のアルキルまたはアルケニル基と任意に置換される。炭化水素炭酸エステルの炭化水素基(アルキル)は、1個の基につき1〜50個、1〜20個、1〜10個または1〜5個の炭素原子を含んでいてもよい。
【0160】
特定の実施態様によれば、炭化水素炭酸エステルは2個の炭化水素基を含んでおり、これらは同一または異なってもよい。炭化水素炭酸エステルの例として、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートが挙げられてもよい。
【0161】
特定の実施態様によれば、四級化剤は、次式(III)によって表わされる炭化水素エポキシ化合物から選択される:
【0163】
式中、R4、R5、R6およびR7は同一または異なって、独立して水素原子またはC
1−C
50炭化水素基を表わしてもよい。非制限的な例示として、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチルベンオキシドおよびC
1−C
50エポキシ化合物が挙げられる。スチレンオキシドは特に好ましい。
【0164】
典型的には、この種の炭化水素エポキシ化合物は、酸(例えば酢酸)と組み合わせて四級化剤として使用される。
【0165】
ただし、上述する特定の実施態様である、アミドまたはエステル基、およびカルボン酸基の両方を含む、置換コハク酸アミドによって構成された窒素含有化合物(a)(開環型)では、炭化水素エポキシ化合物は、酸を添加しない四級化剤として単独で使用されてもよい。この仮説によって拘束されるわけではないが、分子中にカルボン酸基が存在することにより、第四級アンモニウム塩の生成が促進されるように思われる。
【0166】
そのような酸を添加しない特定の実施態様では、プロトン性溶媒は第四級アンモニウム塩の調製のために使用される。例えば、プロトン性溶媒(水、アルコール(多価アルコールを含む)など)は、単独でまたは混合物で使用されてもよい。好ましいプロトン性溶媒は、9を超える比誘電率を有している。アミドまたはエステルから調製された適切な第四級アンモニウム塩、およびコハク酸の誘導体は、WO2010/132259に記載されている。
【0167】
特定の実施態様によれば、四級化剤は、式(IV)の化合物を含む:
【0169】
式中、R8は、任意に置換されてもよい、アルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基であり、およびR9はC
1−C
22アルキル基、C
1−C
22アリール基またはC
1−C
22アルキルアリール基である。
【0170】
式(IV)の化合物は、第四級アンモニウム塩を形成するために第三級アミンと反応できるカルボン酸エステルである。式(IV)の化合物は、例えば、pKa3.5以下のカルボン酸エステルから選択される。式(IV)の化合物は、好ましくは、置換された芳香族カルボン酸エステル、α−ヒドロキシカルボン酸エステル、およびポリカルボン酸エステルから選択される。
【0171】
特定の実施態様によれば、エステルは式(IV)の置換された芳香族カルボン酸のエステルであり、式中、R8は置換されたアリール基である。好ましくは、R8は6〜10個の炭素原子を有する、置換されたアリール基(好ましくはフェニル基またはナフチル基、より好ましくはフェニル基)である。R8は、有利には、カルボアルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、SR
10およびNR
10R
11から選択された、1つ以上の基で置換される。R
10とR
11の基の各々は、水素原子またはアルキル基、アルケニル基、アリール基またはカルボアルコキシ基であってもよく、これらは任意に置換されてもよい。R
10とR
11の基の各々は、有利には、水素原子またはC
1−C
22アルキル基(任意に置換されてもよい)、好ましくは水素原子またはC
1−C
16アルキル基、より好ましくは水素原子またはC
1−C
10アルキル基、さらに好ましくは水素原子またはC
1−C
4アルキル基を表わす。R
10は好ましくは水素原子であり、かつR
11は水素原子またはC
1−C
4アルキル基である。好ましくは、R
10とR
11は両方とも水素原子である。
【0172】
特定の実施態様によれば、R8は、水酸基、カルボアルコキシ、ニトロ、シアノおよびNH
2から選択された1つ以上の基で置換されたアリール基である。R8は多置換のアリール基(例えばトリヒドロキシフェニル)であってもよい。好ましくは、R8は一置換基のアリール基であり、好ましくは、オルト置換している。R8は、例えば、OH、NH
2、NO
2またはCOOMe基から選択された基で置換され、好ましくはOHまたはNH
2で置換される。R8は好ましくはヒドロキシ−アリール基であり、特に2−ヒドロキシフェニルである。
【0173】
特定の実施態様によれば、R9はアルキル基かアルキルアリール基である。R9はC
1−C
16アルキル基(好ましくはC
1−C
10アルキル基、有利にはC
1−C
8アルキル基)であってもよい。R9はC
1−C
16アルキルアリール基(好ましくはC
1−C
10アルキルアリール基、有利にはC
1−C
8アルキルアリール基)であってもよい。R9は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ベンジルまたはこれらの異性体から選択されてもよい。好ましくは、R9はベンジルまたはメチルであり、より好ましくはメチルである。
【0174】
式(IV)の特に好ましい化合物はサリチル酸メチルである。
【0175】
特定の実施態様によれば、式(IV)の化合物は、次式のα−ヒドロキシカルボン酸のエステルである:
【0177】
式中、R12およびR13、同一または異なって、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基から選択される。そのような化合物は、例えばEP 1254889に記載されている。
【0178】
R8COOがα−ヒドロキシカルボン酸の残基である式(IV)の化合物の例としては、2−ヒドロキシ−イソブチル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ベンジルまたはアリルエステル;2−ヒドロキシ−2−メチルブチル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、フェニルまたはアリルエステル;2−ヒドロキシ−2−エチルブチル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、フェニルまたはアリルエステル;乳酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、フェニルまたはアリルエステル;およびグリコール酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、ベンジルまたはフェニルエステルが挙げられる。上記のうち、好ましい化合物はメチル−2−ヒドロキシイソブチレートである。
【0179】
特定の実施態様によれば、式(IV)の化合物はポリカルボン酸のエステルであり、ポリカルボン酸は、ジカルボン酸および2つを越える酸官能基を有するカルボン酸で構成される。カルボキシル基は、好ましくはすべてエステル型である。好ましいエステルはC
1−C
4アルキルエステルである。
【0180】
式(IV)の化合物は、シュウ酸ジエステル、フタル酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、マロン酸ジエステルまたはクエン酸ジエステルから選択されてもよい。好ましくは、式(IV)の化合物はシュウ酸ジメチルである。
【0181】
好ましい変形態様によれば、式(IV)の化合物は3.5未満のpKaを有するカルボン酸エステルである。化合物が1つを越える酸基を含む場合については、第1解離定数が参照されてもよい。
【0182】
式(IV)の化合物は、シュウ酸、フタル酸、サリチル酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、ニトロ安息香酸、アミノ安息香酸および2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸から選択された、1つ以上のカルボン酸エステルから選択されてもよい。式(IV)の好ましい化合物はシュウ酸ジメチル、2−メチルニトロベンゾエートおよびサリチル酸メチルである。
【0183】
特に好ましい実施態様によれば、本発明による第四級アンモニウム塩は、2−メチルヒドロキシベンゾエートまたはスチレンオキシドと、ポリイソブテニル無水コハク酸およびジメチル−アミノプロピルアミンの反応生成物との反応によって形成され、ここで、ポリイソブテニル無水コハク酸は、数平均分子量(Mn)が700〜1000であるポリイソブチレン基(PIB)を有している。
【0184】
好ましい特定の実施態様によれば、添加剤組成物は、上述した第1の添加剤および第2の添加剤で構成され、前記第2の添加剤は、上述する窒素含有化合物(a)から得られた第四級アンモニウム塩を含む。
【0185】
[第3の添加剤]
第3の添加剤は、次式(V)のトリアゾール誘導体を含む:
【0187】
式中:
・R14は、水素原子、直鎖または分岐鎖のC
1−C
8(好ましくはC
1−C
4、さらに好ましくはC
1−C
2)脂肪族炭化水素基、およびカルボキシル基(−CO
2H)からなる群から選択される。好ましくは、R14は水素原子である。
・R15とR18は、同一または異なって、互いに独立して、水素原子、および直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、C
1−C
33(好ましくはC
1−C
21)脂肪族炭化水素基からなる群から選択された基を示し、前記脂肪族炭化水素基は、任意で、1つ以上の酸素原子を、カルボニル基(−CO−)および/またはカルボキシル基(−CO
2H)として含み、
前記R15およびR18は、任意で、R15と結合している窒素原子を含む5〜8個の原子とともに環を形成し、この場合、R15とR18は同一で、直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、C
1−C
33(好ましくはC
1−C
21)脂肪族炭化水素基を構成し、任意で、1つ以上の酸素原子を、カルボニル基(−CO−)および/またはカルボキシル基(−CO
2H)として含んでもよい。
・R16とR17は同一または異なって、互いに独立して、水素原子、および2〜200個の炭素原子(好ましくは14〜200個の炭素原子、より好ましくは50〜170個の炭素原子、さらに好ましくは60〜120個の炭素原子)を有する、直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、環状または非環状の脂肪族炭化水素基から選択された基を表わす。
【0188】
なお、従来の法則表現(破線で表される結合および可変結合(labile bond))を適用して、水素原子の位置、およびトリアゾール環の二重結合の位置が可変であることが示され、前記式は、したがって、2つの位置が可能であることを示す。
【0189】
特定の実施態様によると、トリアゾール誘導体は式(V)において、R16とR17は同一または異なって、互いに独立しており、水素原子、および数平均分子量(Mn)200〜3000(好ましくは400〜3000、より好ましくは400〜2500、さらに好ましくは400〜1500または500〜1500)の脂肪族炭化水素基から選択された群を表わす。前記脂肪族炭化水素基は、好ましくは数平均分子量(Mn)200〜3000(好ましくは400〜3000、より好ましくは400〜2500、さらに好ましくは400〜1500または500〜1500)のポリイソブチレン基(ポリイソブテンとも呼ばれ、PIBと表される)である。
【0190】
R16とR17は、好ましくは、それぞれ、水素原子、および上に記載しているPIB基を表わしてもよいし、その逆であってもよい。
【0191】
別の特定の実施態様によれば、トリアゾール誘導体は次式(VI)によって表わされる:
【0193】
式中、R14、R16およびR17は上に定義されている。
【0194】
別の特定の実施態様によれば、トリアゾール誘導体は次式(VII)によって表わされる:
【0196】
式中、R14、R16およびR17は上に定義されている。
【0197】
別の特定の実施態様によれば、第3の添加剤は、上に定義される式(VI)および(VII)のトリアゾール誘導体の混合物である。トリアゾール誘導体は、閉環型(VI)および開環型(VII)の誘導体の混合物であってもよい。トリアゾール誘導体の前記混合物は、閉環型(VI)および開環型(VII)の質量比(VI):(VII)は、1:100〜100:1(好ましくは50:10〜90:10、より好ましくは91:9〜99:1)でそれぞれを含んでもよい。開環型の式(VII)のトリアゾール誘導体を10質量%未満で含む第3の添加剤が好ましい。
【0198】
式(VI)および/または(VII)のトリアゾール誘導体またはその混合物は、R14は水素原子であり、かつR16とR17は、それぞれ、水素原子、および上に記載しているようなPIB基を表わすか、またはその逆(R16=PIBおよびR17=H)であることが好ましい。
【0199】
トリアゾール誘導体は任意の公知の工程によって得られてもよく、特に、式(VIII)のアミノトリアゾールと、次式(IX)の二酸および/または次式(X)の無水コハク酸との反応によって得られてもよい。
【0201】
式中、R14、R16およびR17は上に定義されている。
【0202】
特定の実施態様によれば、第1、第2および第3添加剤の各々は、それぞれ単独の活性成分で構成されてもよく、すなわち、第1の添加剤として化合物A、第2の添加剤として第四級アンモニウム塩、および第3の添加剤としてトリアゾール誘導体で構成されていてもよい。
【0203】
特定の実施態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(a)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述するソルビタン部分エステル(好ましくはソルビタントリエステル)から選択された化合物Aを含む。
【0204】
一変形態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(a)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述した脂肪酸に由来したポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択された化合物Aを含む。
【0205】
別の特定の実施態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(b)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述するソルビタン部分エステル(好ましくはソルビタントリエステル)から選択された化合物Aを含む。
【0206】
一変形態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(b)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述する脂肪酸に由来したポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択された化合物Aを含む。
【0207】
別の特定の実施態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(c)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述するソルビタン部分エステル(好ましくはソルビタントリエステル)から選択された化合物Aを含む。
【0208】
一変形態様によれば、添加剤の組成物は、(i)第3の添加剤、(ii)窒素含有化合物(c)から得られた第四級アンモニウム塩、および(iii)上述する脂肪酸に由来したポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択された化合物Aを含む。
【0209】
上述する添加剤組成物は、さらに1つ以上の他の従来の添加剤を含んでいてもよい。例えば、酸化防止剤、燃料油助燃剤、腐食抑制剤、低温動作添加剤、染料、解乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、セタン価向上剤、潤滑性添加剤、共溶剤および相溶化剤が挙げられる。
【0210】
完全に網羅するわけではないが、他の機能的添加剤は次のものから選択されてもよい:
− 燃料油助燃剤;セタン価向上剤は、特に(ただし非制限的に)硝酸アルキル(好ましくは2−エチルヘキシルニトラート)、アリールペルオキシド(好ましくはベンジルペルオキシド)、および、アルキルペルオキシド(好ましくはジ−tert−ブチルペルオキシド)から選択されてもよく;
− 酸化防止剤、例えば脂肪族アミン、芳香族アミン、ヒンダードフェノール(BHT、BHQなど);
− 解乳化剤;
− 帯電防止剤または伝導性向上剤;
− 染料;
− 消泡剤、特に(ただし非制限的に)ポリシロキサン、アルコキシル化ポリシロキサン、および植物または動物油に由来した脂肪酸アミドなどから、選択され;そのような添加剤の例はEP861182、EP663000、EP736590に挙げられ;
− 腐食抑制剤、例えばカルボン酸のアンモニウム塩;
− 金属キレート化剤および/または金属イオン封鎖剤、例えば、トリアゾール(ジサリチリデンアルキレンジアミン)および、特にN,N’−ビス(サリチリデン)−1,3−プロパンジアミン;
− 低温動作添加剤、特に曇点向上剤、特に(ただし非制限的に)、長鎖オレフィン/(メタ)アクリル酸エステル/マレインイミドターポリマー、およびフマル酸/マレイン酸のエステルのポリマーからなる群から選択される。そのような添加剤の例は、EP71513、EP100248、FR2528051、FR2528051、FR2528423、EP112195、EP172758、EP271385、EP291367に挙げられ;抗沈殿剤および/またはパラフィン分散剤は、特に(ただし非制限的に)、ポリアミンによってアミド化された、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体、ポリアミンに由来するアルケニルスクシンイミド、フタルアミド酸および二重鎖脂肪族アミンの誘導体;アルキルフェノール/アルデヒド樹脂からなる群から選択され;そのような添加剤の例はEP261959、EP593331、EP674689、EP327423、EP512889、EP832172;US2005/0223631;US5998530;WO93/14178に挙げられ;低温操作性のための多機能添加剤は、特にEP573490に記載しているようなオレフィンおよびアルケニルニトラートに基づくポリマーからなる群から選択され;
− 低温性能および濾過性(CFI)を改善する他の添加剤、例えばEVAおよび/またはEVP共重合体;
− 酸度中和剤、例えば環状アルキルアミン;
− マーカー、特に規制によって課されたマーカー、例えば各タイプの燃料に特有の染料;
− 芳香剤または臭気隠蔽剤、例えばEP1591514に記載されたもの;
− 上に記載していたもの以外に、潤滑性添加剤、耐摩耗剤および/または摩擦調整剤、特に(ただし非制限的に)、単環および多環カルボン酸の誘導体から選択されるもの。
【0211】
本発明による添加剤組成物は、任意の公知の工程によって燃料に組み入れられてもよい。例えば、前記組成物および燃料と相溶である溶剤を含む添加剤組成物は、濃縮物の形態で組込まれてもよく、前記組成物は溶剤に分散しているか溶解されている。この種の濃縮物は、一般に溶剤を1〜95質量%(好ましくは20〜95質量%)含んでいる。
【0212】
添加剤組成物は、典型的には添加剤を5〜99質量%(好ましくは5〜80質量%)含んでいる。
【0213】
溶剤は、一般に炭化水素溶剤を含んでいる有機溶媒である。溶剤の例としては、ナフサ、灯油、暖房用灯油のような石油留分;脂肪族および/または芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、ペンタン、デカン、ペンタデカン、トルエン、キシレンおよび/またはエチルベンゼンおよびアルコキシアルカノール(2−ブトキシエタノールなど)および/または炭化水素混合物、および任意に共溶剤または相溶化剤(2−エチルヘキサノール、デカノール、イソデカノールおよび/またはイソトリデカノールなど)が挙げられる。
【0214】
上に記載しているような添加剤組成物は燃料添加物として使用されてもよい。特に、本発明による添加剤の組成物は、500質量ppm以下のイオウ含有量を有するディーゼル燃料(好ましくはバイオディーゼル)で使用するのに特にふさわしい。
【0215】
ディーゼル燃料は圧縮エンジン用液体燃料である。ディーゼル燃料とは、100〜500℃間に沸点を有する中間留分を含む燃料を意味し;それらのワックス外観温度(WAT:wax appearance temperature)は大抵の場合−20℃以上であり、一般に、−15℃〜+10℃の間に含まれる。これらの軽油は基油の混合物であり、例えば石油または粗炭化水素の直接蒸留によって得られた蒸留物、真空蒸留物、水素化処理蒸留物、真空蒸留物の接触分解および/または水素化分解から生じる蒸留物、ARDSタイプ(常圧残油の脱硫)の転換、および/またはビスブレーキングに起因する蒸留物から選択されてもよい。
【0216】
本発明によるディーゼル燃料は、さらにガソリンのような軽留分(例えば、蒸留や、接触分解または熱分解、アルキル化、異性化反応、脱硫、水蒸気分解からから生じる留分)を含んでいてもよい。
【0217】
さらに、ディーゼル燃料は、新規の蒸留物源を含んでいてもよく、例えば、下記に特に述べられる:
− クラッキングおよびビスブレーキングから生じ、18個を越える炭素原子を含む重質パラフィンを高濃度で有する最重質留分、
− ガス転換(フィッシャー‐トロプシュ法に起因など)に起因する合成蒸留物、
− 植物および/または動物起源のバイオマスを処理することにより生じる合成蒸留物、特にNexBTL、なお単独でまたは混合物で使用される。
− コーカーディーゼル(coker diesel)。
【0218】
本発明によるディーゼル燃料は、1つ以上の生物燃料(biofuel)を含むか、またはそれのみで構成されてもよい。生物燃料とは、化石資源から生じる燃料とは対照的に、有機物(バイオマス)から得られた燃料を意味する。公知である生物燃料の例としては、バイオ軽油(バイオディーゼルとも呼ばれる)およびアルコールが挙げられる。
【0219】
アルコール(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、エーテル(MTBE、ETBEなど)など)は、一般にガソリン燃料との混合物の中で使用され、しかし時にディーゼルタイプのより重質な燃料との混合物の中で使用される。
【0220】
バイオディーゼルまたはバイオ軽油はディーゼルエンジン用の標準燃料の代替物である。この生物燃料は、化学プロセス(いわゆるエステル交換反応)によって変換された植物または動物油(使用済食用油を含む)から得られ、アルコールとこの油を反応させて脂肪酸エステルを得る。メタノールとエタノールにより、脂肪酸メチルエステル(FAME)および脂肪酸エチルエステル(FAEE)が、それぞれ得られる。植物、動物油および/またはそれらのエステルの例として、植物油、または脂肪酸メチルまたはエチルエステル(VOME、VOEE、FAME、FAEE)が挙げられ;植物および/または動物油としては、水素化処理および/または水素化分解および/または水素化脱酸素(HDO)された植物および/または動物油が挙げられる。
【0221】
化石およびバイオディーゼル起源の中間留分の混合物は、文字「B」によって一般に表示され、次いでディーゼル燃料に含まれるバイオディーゼルの百分率を示す数が表示される。つまり、B99は、バイオディーゼル99%、および化石起源の中間留分の1%を含んでおり;B20は、バイオディーゼル20%、および化石起源などの中間留分の80%を含んでいる。
【0222】
したがって、含酸素化合物を含んでいないタイプB0のディーゼル燃料と、植物油または脂肪酸エステル[通常メチルエステル(VOMEまたはFAME)]をx%(v/v)を含んでいるタイプBxのバイオディーゼル燃料とは区別される。バイオディーゼルがエンジンの中で単独で使用される場合、燃料は用語B100によって表示される。
【0223】
本出願の以下では、用語「ディーゼル燃料」は上述する燃料をすべて包含する、広い意味で使用される。
【0224】
ディーゼル燃料は、好ましくは500質量ppm以下(有利には100質量ppm以下)のイオウ含有量を有しており、イオウ含有量は50質量ppm以下、または10質量ppm以下にさえ低下してもよい(これは乗り物のための現在のディーゼル燃料の場合であり、現在有効である、欧州規格EN 590によるイオウ含有量は、10質量ppm以下でなければならない)。
【0225】
ディーゼル燃料は、有利にはバイオディーゼルを30体積%以内(好ましくは20体積%以内、より好ましくは10体積%以内)で含む。
【0226】
添加剤組成物は、好ましくは燃料に組み入れられ、前記組成物に含まれる各添加剤の質量濃度を、燃料中、5〜5000ppm、好ましくは20〜500ppm、より好ましくは30〜250ppmとすることができる。質量濃度は、燃料の全質量に対して計算される。
【0227】
特に、第1の添加剤および第2添加剤、および任意の第3の添加剤のそれぞれの質量濃度は5〜5000ppm(好ましくは20〜500ppm、より好ましくは30〜250ppm)の範囲である。
【0228】
当業者は、溶剤中の添加剤の任意の稀釈度に応じて、本発明の添加剤組成物の濃度を容易に応用し、最終燃料中の各機能的添加剤について希望の濃度を得ることができる。
【0229】
燃料は、本発明による添加剤組成物を、好ましくは少なくとも5質量ppm、好ましくは少なくとも100質量ppm含む。添加剤(添加剤組成物を含む)は、10質量%、(好ましくは1質量%、より好ましくは0.5質量%)まで燃料に混入することが可能であるだろう。
【0230】
第2の添加剤への第1の添加剤の質量比(第1:第2)は、100:1〜1:1、好ましくは10:1〜1:1、より好ましくは5:1〜1:1である。
【0231】
第3の添加剤への第2の添加剤の質量比(第2:第3)は、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:2〜2:1である。
【0232】
上述するディーゼル燃料は、前記エンジン性能を改善するため、特に前記エンジン中(好ましくは直接噴射機関中、より好ましくは、エンジンが高圧射出方式(「コモンレール」)を装備している場合)のデポジットを制限するため、ディーゼルエンジンの中で使用されてもよい。
【0233】
本発明による添加剤組成物を含む燃料の使用により、ディーゼルエンジンの燃費を減少させることが可能になり(「燃料エコ」効果)、特に、前記エンジンの動力の損失を最小限にすることを可能にする。
【0234】
本発明は、さらに、前記エンジンの射出方式の内部部品中のセッケンおよび/またはラッカーのデポジットを制限することによって、ディーゼルエンジンの清浄度を維持する方法(「キープクリーン」効果)に関し、および/または内部部品中のセッケンおよび/またはラッカーのデポジットを(少なくとも部分的に)除去することによって、前記エンジンの射出方式の汚染された内部部品を清浄化する方法(治癒的な「クリーンアップ」効果)に関する。
【0235】
前記方法は、ディーゼルエンジン中(特に直接噴射機関、好ましくは、高圧射出方式「コモンレール」の噴射機関)における、本発明による添加剤の組成物の燃焼を含む。
【実施例】
【0236】
(試薬)
− N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−1,2,4−トリアゾール−1−メタンアミン(CAS 91273−04−0)
− 商標「Glissopal*SA(登録商標)」でBASF社によって上市された数平均分子量Mn1100(GPC)のポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)
− 3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(CAS 61−82−5)。
【0237】
【表1】
【0238】
(実施例1:ジグリセリン部分エステル添加剤DGMO1及びDGMO2の合成)
MeONaタイプの触媒の存在下で、ジグリセリン90gと、オレイン酸ひまわり油(6時間300mbar(0.03MPa)で減圧したオレイン酸濃縮物)500gとを、170℃で反応させる。
【0239】
前記手順は、製品の第2のサンプルを調製するため、以下に再度示される。
【0240】
【表2】
【0241】
(実施例2:3−ポリイソブテンスクシンイミド−1,2,4−トリアゾールの合成)
500mLフラスコに、活性成分を84%(76.64mmol)で有するポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)100gを充填し、そして芳香族溶剤(商標「Solvesso 150ND」)26.3gが加えられる。ディーン・スターク装置を装備して、窒素下に置かれると、反応媒体は激しい撹拌下で140℃に加熱され、その後3−アミノ−1,2,4−トリアゾール5.15g(0.8eq./61.31 mmol)が導入される。その後、4時間還流下で加熱し、ディーン・スターク装置中の水1.10mLを除去し、周囲温度にて冷却される。そして、活性成分を50%含む生成物を得るために、追加の溶剤(Solvesso 150ND)が加えられる。活性成分(測定値50.8%)50%を有する透明な褐色液体202.4gが得られる。
【0242】
得られた生成物はトリアゾール誘導体の混合物であり、開環型(式II:ここでR1=R3=HおよびR4=PIB)および閉環型(式III:ここでR1=R3=HおよびR4=PIB、またはR1=R3=PIBおよびR4=H)が含まれる。
【0243】
GPC分析によって決定された(開環型/閉環型)による百分率(質量比率)は、95:5である。
【0244】
(実施例3:第四級アンモニウム塩QASの合成)
・窒素含有化合物(a)の調製
ポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)500g(0.38mol)を70℃に加熱し、ディーン・スターク装置を備えた反応器に導入後、窒素下に置かれる。ヘプタン76.9g、そして次にジメチルアミノプロピルアミン(DMAP)52.3g(0.51mol/1.34eq.)を反応器に加え、導入中反応温度を70℃に維持する。反応媒体を1時間70℃に維持し、その後反応媒体は周囲温度へと冷却される。中間物が回収される。
【0245】
・窒素含有化合物(a)の第三級アミンの第四級化
中間物470gを、コンデンサを備えた新しい2L反応器にいれる。その後2−エチルヘキサノール180.6gを導入し、反応媒体を撹拌しながら窒素下で55℃へと加熱する。その後、反応温度を55℃に維持しながら、プロピレンオキシド40.2g(0.69mol)を、4時間かけてシリンジポンプによって混合物に徐々に導入する。この混合物を16時間この温度で維持する。媒体が冷えた後、第四級アンモニウム塩QASの誘導体を主として含む反応生成物が回収される。
【0246】
前記反応生成物QASのサンプルが、赤外線吸収分光法(IR)、質量分析法およびNMRによって定性的に分析された。この定性分析では、稀釈の程度を考慮に入れて参照スペクトルと比較することにより、反応生成物の中の主成分を決定することができた。
【0247】
定量分析も内部標準を使用して、
13C NMRによって蒸発残留物に対して行なわれた。
【0248】
以下の表3に、上述する技術を使用して測定された生成物QASの組成を示す。
【0249】
【表3】
【0250】
(テストプロトコル)
・プロトコル1:IDIDタイプのデポジットに関する「ラッカー発生」耐性の評価
本発明者らはまた、ディーゼル燃料(特に高級グレード燃料)のラッカー発生感受性を評価するために、信頼性のある安定した新方式を開発し、本発明による添加剤の性能調査をおこなう。この方法は、上に引用された刊行物に記載していた方法とは対照的に、実験室内の方法でなく、エンジンテストに基づく。そのため、技術的に興味深く、ラッカー発生に対する添加剤または添加剤組成物の有効性を定量的に測定することができる。本発明者らによって開発されたラッカー発生を測定する方法は、以下に詳述される:
− 使用されるエンジンは、1500cm
3の行程容積および65kWの動力を有する、Renault K9K702、4気筒16バルブ、高圧噴射のコモンレールディーゼルエンジンであり:噴射圧の調整は、ポンプの高圧部品で行われる。
【0251】
− 動力(power point)は4000rpmで40時間使用され;チャンバのインジェクタの位置を公称位置に比べて1mm低くする。このような位置により、一方では燃焼からの熱エネルギーの放出が促進され、また、他方ではインジェクタを燃焼室により近くする。
【0252】
− 注入された燃料の流量はテストの開始時に排気温度750℃となるように調節される。
【0253】
− インジェクタノズルに作用する熱応力を増加させるため、噴射進展(injectionadvance)は、公称設定(クランク軸+12.5°〜+14°まで増加)に対してクランク軸1.5°分増加させた。
【0254】
− 最後に、燃料に対する応力を増加させるために、圧入圧力は、公称圧力(140MPaから150MPaまでの増加)に対して10MPa分増加させた。また、温度は高圧ポンプ入り口で65℃にセットされる。
【0255】
インジェクタのために使用される技術は、燃料の劣化を促進する高い燃料リターンを要求する。というのは、燃料が、燃焼室に注入される前に、ポンプおよび高圧チャンバ中のいくつかのサイクルに用いられる可能性があるためである。
【0256】
クリーンアップ効果(つまり、タイプ1および/またはタイプ2のデポジットの清浄)をテストする方法の一変形態様も開発された。その方法は、前記記載の方法に基づくが、40時間および30時間の二部に分離されている:
・最初の40時間は、PIBSIタイプの清浄剤330質量ppm、および脂肪酸混合物200質量ppmを含む高級グレードB7ディーゼル燃料を用いて実行される。なお、脂肪酸混合物は、オレイン酸を主とし、酸価180mgKOH/gを有している。この混合物は、「ラッカー」タイプのデポジットを生成する傾向があることが公知である。40時間後に、4つのインジェクタのうちの2つについて、存在するデポジットの量を確認するために分解し評価し、次いで、新しい2つのインジェクタと取り替える。
・テスト後半の30時間は、評価される製品を用いて実行される。テストの終了時(全体で70時間)、インジェクタを分解して評価する。
【0257】
テストの終了時、2つのインジェクタの3つのバッチが利用される:
・バッチ1:
2個のインジェクタ(上述の「ラッカー」を発生する傾向がある点で公知である高級グレード燃料についての40時間後)。
・バッチ2:
2個のインジェクタ(上述の「ラッカー」を発生する傾向がある点で公知である高級グレード燃料についての40時間後+評価される製品についての30時間後)。
・バッチ3:
2個のインジェクタ(評価される製品についての30時間後)。
【0258】
(結果)
結果が有効であることを保証するために、テスト中、様々なパラメータがモニタされる:操作点はテスト全体にわたって同一であるため、動力、トルクおよび燃費は、(i)インジェクタの汚染があるか、(ii)操作性がデポジットの発生により低下したかどうかを示す。
【0259】
様々な液体(冷却液、燃料、油)の特性温度により、テストの有効性をモニタすることが可能になる。燃料はポンプ入り口が65℃となるようセットされ、冷却液はエンジン出口が90℃となるようセットされる。
【0260】
煙値(smoke values)により、テスト開始時に燃焼タイミングをモニタすることが可能となり(3FSNのターゲット値)また、煙値によって、あるテストから別のテストまで適切に反復可能であることが保証される。
【0261】
針に形成されたデポジットを検査し評価するために、インジェクタはテストの終了時分解される。針の評価のための採用された手順は以下のとおりである:針の表面は100ポイントに分割される。セッケン(タイプ1)の、およびラッカー(タイプ2)のデポジットが、各ポイントについて評価される。シリンダゾーン(円錐部分の直後)は、針の総合評点のうち68%を表わす。また、円錐部分が、針の総合評点の32%を表わす。評価を促進するために、これらの2つのゾーンは各々4つに分割される。
図4では、示された百分率は、針の表面の4分の1に相当する:全面的な針表面はしたがって17x4=68%である。
【0262】
セッケン(タイプ1のデポジット)については、スコアが、−1(非常に良好なセッケンの場合)〜−10(非常に粘性が高く、濃い色付のセッケンの場合)の間で変化する。セッケンの影響の値は、評価された針のポイントの集合で得られたスコアの相加平均の計算により決定される。
【0263】
ラッカー(タイプ2のデポジット)については、スコアの目盛りが、1(ラッカーの深刻なデポジットと等価な黒いラッカーの場合)〜10(新しい針と同等の非常に透明なラッカーの場合)の間で変化する。ラッカーの影響の値は、スコアの値で分類された、スコア(1〜10)に属しているポイントの数の合計により計算される。その後、10のうち、総合評点(N)を、ラッカーとセッケンの影響を加味して決定される。
【0264】
したがって、エンジン清浄度の維持特性(「キープクリーン」効果)については、製品性能の閾値が、この評価手法に対して判断された:
N<7.5の場合、不十分;
N≧7.5の場合、十分。
汚染されたエンジンの射出方式の内部部品を清浄化する特性(治癒する「クリーンアップ」効果)については、製品性能の閾値が、この評価手法に対して判断された:
Δ(N
batch 2−N
batch 1)<1.55の場合、不十分;
Δ(N
batch 2−N
Gbatch1)≧1.55の場合、十分。
【0265】
・プロトコル2:高圧射出方式(DW10+Zn)を有するディーゼルエンジンの動力の損失の測定
燃料は、Coordinating European Council(CEC)によって開発公表された方法CEC F−98−8 DW10BTED4による規格Euro5に順じたインジェクタを使用して、Peugeot DW10エンジンでテストされる。
【0266】
現代のディーゼルエンジンの実際の条件を再現するために、少量の亜鉛ネオデカノエート(1ppm)をテスト燃料に加える。
【0267】
このテストは燃料の識別のために開発されている。噴射ノズルのコークス化または目詰まりに関して(ノズルのコークス化または汚染化)、射出方式が外部デポジットを生ずるかまたは回避するかに基づいて、識別される。
【0268】
このテストにより、コークス化するタイプのデポジットによってもたらされた動力の損失(動力の損失の百分率での比較)に基づいて、燃料の差別化が可能になる。特に、このテストにより、コークス化するタイプの析出をほとんど生じない燃料(動力の損失<2%)と、2%以上の動力の損失をもたらすコークス化(エンジンメーカーには承諾しかねるコークス化とみなされる)を発生させる燃料とを区別することを可能にする。
【0269】
プロトコルCEC F−98−8 DW 10によるテストは、以下に要約される:
エンジンEuro 4 Peugeot DW10BTED4 2.0L, HDi,ターボディーゼル、可変ターボ圧縮機構および排気ガス再循環装置(EGR)用システムを有する直列4気筒
排気量:1998cm
3
燃焼室:4バルブ、直接噴射
動力:速度4000rpmで100kW
トルク:速度2000rpmで320N.m
射出方式:圧電気システム(EURO IV)によって制御される6穴インジェクタを有するコモンレール
最大圧力:1600バール
排出制御:排気の後処理用の系を考慮にいれたEuro 4による制限に従う。
【0270】
テストは以下の工程に分割される:
・0− インジェクタのすり合せ運転工程:
フランスで上市されている代表的なディーゼル燃料によって構成された、非汚染標準燃料(B7=フランスで製造され、FAME(脂肪酸メチルエステル)7%を含み、EN 590に従うディーゼル燃料)を使用して1時間16サイクル。その後、評価される燃料のテストが、全体で44時間かけて行われた。ただし、調製および冷却の期間は含まない。44時間は、エンジン操作の32時間と、エンジン停止についての12時間に分割される。
【0271】
1− エンジンウォームアップ工程:
下記条件の下、1サイクル12分で行われた:
【0272】
【表4】
【0273】
その後、エンジン出力を7分間で最大負荷4000rpmまで増加させる。次に、平均動力が30秒間測定される。
【0274】
2− 操作工程:1時間8サイクルは、以下のとおりである:
【0275】
【表5】
【0276】
サイクルの終わりに、エンジン回転速度は60秒で1000rpm/10Nmに調節され、300秒間この速度で維持される。
【0277】
3− 冷却工程:
停止中60秒冷却し、次いで停止中10秒冷却。
【0278】
4− 離解工程:エンジンを4時間止める。
【0279】
サイクル1〜4全体を、4回繰り返す。動力の損失は、各操作サイクル(つまり全体で32)について測定される。
【0280】
(テスト)
プロトコル1によるテスト1:「ラッカー発生」に対する耐性
上述するように、エンジン清浄度の維持特性を評価する工程(予防的「キープクリーン」効果)および汚染されたエンジンの射出方式の内部部品を清浄化する工程(治癒的「クリーンアップ」効果)に従って(プロトコル1)、フランスでの代表的なディーゼル燃料[B7=フランスで製造され、FAME(脂肪酸メチルエステル)7%を含みEN 590に従うディーゼル燃料]を母体として用いた、いくつかの添加剤組成物について性能を評価する。
【0281】
テストされた各燃料の詳細および得られた結果を、表4に示す。テストG、G’およびG”は、同じテストに対応し、Gは、インジェクタ1のバッチの結果に対応し、G’は、インジェクタ2のバッチの結果に対応し、G”は、インジェクタ3のバッチの結果に対応する。テストGは汚染過程(「汚れ付着」)に相当し、テストG’は清浄過程(「クリーンアップ」)に相当し、およびテストG”は清浄の維持過程(「(キープクリーン)」)に相当する。
【0282】
表4に示される量は質量(mg/kg)による量である。
【0283】
【表6】
【0284】
これらのテストでは、本発明による添加剤組成物の治癒する有効性(クリーンアップ効果)、つまり針の上で既に形成されたラッカーまたはセッケンタイプのデポジットを除去する能力を実証する。これは、インジェクタG’セットのスコアがインジェクタGのバッチより高いこと(針の有意な洗浄が開始された)から分かる。さらにインジェクタG”セットのスコアが大幅に増加しているため、それらの予防の有効性(キープクリーン効果)も確認する。
【0285】
燃料1、2または3が使用される場合、治療効果(クリーンアップ効果)は観察されない。したがって、燃料B7の中で、それぞれ単独で使用される第1、第2および第3添加剤は、セッケンおよび/またはラッカータイプのデポジットに対して、前記燃料に、治療効果を与えないことが推定される。
【0286】
しかしながら、第1、第2および第3添加剤の組み合せを含む燃料4は、予防的な(キープクリーン)効果と、治癒的な(クリーンアップ)効果の両方を有しており、これは注目される。さらに、比較として、本発明には入らないトリアゾール誘導体を含む燃料5が、有意な治癒効果(クリーンアップ)を有していないことが、理解されうる。
【0287】
(プロトコル2によるテスト2:コークス化に対する耐性)
上述するプロトコル2(DW10+Zn)に従って、フランスでの代表的なディーゼル燃料[B7=フランスで製造され、FAME(脂肪酸メチルエステル)7%を含みEN 5に従うディーゼル燃料]を母体として導入された複数の添加剤組成物について、動力の損失が評価される。テストされた各燃料の詳細および得られた結果を、表5に示す。
【0288】
表5に示される量は質量(mg/kg)による量である。
【0289】
【表7】
【0290】
本発明による添加剤組成物を含んでいる燃料は、第四級アンモニウム塩を単独で含む燃料(燃料7)または第四級アンモニウム塩、および、本発明とは異なるトリアゾール誘導体の組み合せ(燃料8および9)と比較して、コークス化するタイプのデポジットを生成しないという点について、特に著しい効果を有することが理解される。
【0291】
本発明による化合物Aと、第四級アンモニウム塩および任意に上述のトリアゾール誘導体とを組み合わせた特定の選択(燃料10および11)により、ラッカータイプのデポジット(IDIDデポジット)の制御、および/またはコークス化するタイプのデポジットの抑制が、燃料において可能となる。
【0292】
本発明による添加剤組成物は、性能を改善した燃料を得ることが可能になるという点で優れており、特に低イオウ含有ディーゼル燃料(任意にバイオディーゼルを含んでいてもよい)を得ることが可能になるという点で優れている。上述する添加剤の特定の組み合せは、特に、クリーンアップ効果およびキープクリーン効果を組み合わせること、動力の損失を最小限にすること、および燃料の耐摩耗性を改善することにより、ディーゼルエンジンの燃費を減少させることを可能にする。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
少なくとも第1の添加剤および第2の添加剤を含む燃料用添加剤組成物であって、
− 前記第1の添加剤は、化合物Aを少なくとも50質量%で含み、この化合物Aは、ポリオールと、飽和又は不飽和の、直鎖または分岐鎖の、環状または非環状のC4−C36モノカルボキシル脂肪族炭化水素との部分エステルから選択され、前記部分エステルは、単独でまたは混合物で使用され、および
− 前記第2の添加剤は、四級化剤と第三級アミン官能基を含む窒素含有化合物との反応によって得られた第四級アンモニウム塩を含み、前記窒素含有化合物は、以下の化合物:
a) 炭化水素基で置換されたアシル化剤と、
少なくとも1つの第三級アミン基、および第一級アミン、第二級アミンおよびアルコールから選択された基を含む化合物との反応物、
b) 第三級アミン基を含むマンニッヒ反応物、
および
c) 少なくとも1つの第三級アミン基を有するポリアルケン基で置換されたアミン類、
から選択される、燃料用添加剤組成物。
〔態様2〕
態様1の組成物において、第2の添加剤に対する第1の添加剤の質量比(第1:第2)が、100:1〜1:1(好ましくは10:1〜1:1、さらに好ましくは5:1〜1:1)である、組成物。
〔態様3〕
態様1または2の組成物において、前記四級化剤は、硫酸ジアルキル、カルボン酸エステル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、炭化水素炭酸エステルおよび炭化水素エポキシ化合物によって構成された群から選択され、任意に、酸との混合物であってもよく、単独でまたは混合物である、組成物。
〔態様4〕
態様1〜3のいずれか一態様に記載の組成物において、前記窒素含有化合物は、炭化水素基で置換されたアシル化剤と、次式(I)または(II)のアミンとの反応物を含む、組成物。
【化13】
(式中:
R1とR2は同一または異なって、互いに独立して、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表わし;
Xは1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基であり;
mは1〜5の整数であり;
nは0〜20の整数であり;および
R3は、水素原子または1〜22個の炭素原子を有するアルキル基である)
〔態様5〕
態様1〜4のいずれか一態様に記載の組成物において、前記化合物Aは、エステル単位x、水酸基単位y、およびエーテル単位zを含み、x、y、およびzは整数であり、xは1〜10で変化し、yは1〜10で変化し、zは0〜6で変化する、組成物。
〔態様6〕
態様1〜5のいずれか一態様に記載の組成物において、前記化合物A中のエステル単位、水酸基単位およびエーテル単位の分布は、xは1〜4で変化し、yは1〜7で変化し、zは1〜3で変化する、組成物。
〔態様7〕
態様1〜6のいずれか一態様に記載の組成物において、化合物Aは、以下の化合物のエステル化によって得られる組成物:
− 任意に1つ以上のエチレンの結合を含む、1種以上のC4−C36脂肪酸;および
− 5〜6個の原子の複素環(好ましくは、4〜5個の炭素原子および1個の酸素原子を有し、水酸基で置換された複素環)を任意に含む、直鎖または分岐鎖の、環状または非環状のポリオール。
〔態様8〕
態様7に記載の組成物において、前記脂肪酸は、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、アラキドン酸、リシノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸およびカプリン酸によって構成された群から選択され、これらは単独でまたは混合物で使用される、組成物。
〔態様9〕
態様7または8に記載の組成物において、前記ポリオールは、(i)3個を越える水酸基を含むポリオール、および(ii)5〜6個の原子の複素環(好ましくは、4〜5個の炭素原子および1個の酸素原子を有し、任意で水酸基で置換された複素環)を少なくとも1つ含むポリオールから選択される、組成物。
〔態様10〕
態様7〜9のいずれか一態様に記載の組成物において、前記ポリオールは、4〜5個の炭素原子および1個の酸素原子を有する複素環を少なくとも2つ含み、各環の水酸基のアセタール結合によって連結されているポリオールから選択され、前記複素環は、任意に水酸基で置換されている、組成物。
〔態様11〕
態様7〜9のいずれか一態様に記載の組成物において、前記ポリオールは、エリトリトール、キシリトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ボレミトール、マンニトール、ペンタエリトリトール、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、トリメチルプロパン、ソルビタンおよび炭水化物(スクロース、フルクトース、マルトース、グルコースおよびサッカロースなど)からなる群から選択される、組成物。
〔態様12〕
態様1〜9のいずれか一態様に記載の組成物において、前記化合物Aは、ソルビタン部分エステル(好ましくは、単独でまたは混合物としてのソルビタンモノ、ジおよびトリエステル;より好ましくはソルビタントリエステルを40質量%を越えて含むソルビタン部分エステル)から選択される、組成物。
〔態様13〕
態様1〜9のいずれか一態様に記載の組成物において、前記化合物Aは、1つの分子当たり2〜5個のグリセリン単位を有している、ポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択される、組成物。
〔態様14〕
態様13に記載の組成物において、前記化合物Aは、数による割合として50%を超える脂肪鎖が12〜24個の炭素原子を有している脂肪酸に由来したポリグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルから選択される、組成物。
〔態様15〕
態様13または14に記載の組成物において、前記化合物Aは、ジグリセリンおよび/またはトリグリセリンの、モノエステルおよび/またはジエステルから選択される、組成物。
〔態様16〕
態様15に記載の組成物において、ジグリセリンおよび/またはトリグリセリンの前記部分エステルは、オレイン酸およびジグリセリンのモノエステルおよび/またはジエステルを少なくとも50質量%含む、組成物。
〔態様17〕
態様1〜16のいずれか一態様に記載の組成物において、前記組成物は、第3の添加剤をさらに含んでおり、前記第3の添加剤は、次式(V)のトリアゾール誘導体を含む、組成物。
【化14】
(式中:
・R14は、水素原子、直鎖または分岐鎖のC1−C8脂肪族炭化水素基、およびカルボキシル基(−CO2H)からなる群から選択され、
・R15とR18は同一または異なって、互いに独立して、水素原子、および直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、C1−C33脂肪族炭化水素基からなる群から選択された基を表わし、前記脂肪族炭化水素基は、任意で、1つ以上の酸素原子を、カルボニル基(−CO−)および/またはカルボキシル基(−CO2H)として含み、
前記R15およびR18は、任意で、R15と結合している窒素原子を含む5〜8個の原子とともに環を形成し、この場合、R15とR18は同一で、直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、C1−C33脂肪族炭化水素基を構成し、任意で、カルボニル基(−CO−)および/またはカルボキシル基(−CO2H)との形状として、1つ以上の酸素原子で置換され、
・R16とR17は同一または異なって、互いに独立して、水素原子、および2〜200個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の、飽和又は不飽和の、環状または非環状の脂肪族炭化水素基から選択された基を表わす)
〔態様18〕
態様17に記載の組成物において、前記トリアゾール誘導体は、式(V)において、R16とR17が同一または異なって、互いに独立しており、水素原子、および数平均分子量(Mn)200〜3000の脂肪族炭化水素基から選択された群を表わす、組成物。
〔態様19〕
態様17または18に記載の組成物において、前記トリアゾール誘導体は、次式(VI)によって表わされる、組成物。
【化15】
(式中、R14、R16およびR17は態様17または18に定義されている。)
〔態様20〕
態様17または18に記載の組成物において、前記トリアゾール誘導体が次式(VII)によって表わされる、組成物。
【化16】
(式中、R14、R16およびR17は態様17または18に定義されている。)
〔態様21〕
態様17または18に記載の組成物において、前記第3の添加剤は、態様19および20にそれぞれ定義される式(VI)および(VII)のトリアゾール誘導体の混合物を含む、組成物。
〔態様22〕
態様17〜21のいずれか一態様に記載の組成物において、前記トリアゾール誘導体は、次式(VIII)のアミノトリアゾールと、次式(IX)の二酸および/または次式(X)の無水コハク酸との反応によって得られる、組成物。
【化17】
(式中、R14、R16およびR17は態様17または18に定義されている。)
〔態様23〕
500質量ppm以下のイオウ含有量を有するディーゼル燃料(好ましくはバイオディーゼル燃料を含む)における、態様1〜22のいずれか一態様に記載された添加剤組成物の使用。
〔態様24〕
500質量ppm以下のイオウ含有量を有するディーゼル燃料であって、態様1〜22のいずれか一態様に記載された添加剤組成物を少なくとも5質量ppm含む、ディーゼル燃料。
〔態様25〕
態様24のディーゼル燃料において、バイオディーゼル燃料を30体積%以下で含む、ディーゼル燃料。
〔態様26〕
態様24または25に記載のディーゼル燃料において、酸化防止剤、燃料油助燃剤、腐食抑制剤、低温動作添加剤、染料、解乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、セタン価向上剤、潤滑性添加剤、共溶剤および相溶化剤から選択された少なくとも1つ以上の他の添加剤をさらに含む、ディーゼル燃料。
〔態様27〕
態様24〜26のいずれか一態様に記載のディーゼル燃料において、第1および第2の添加剤の質量濃度、および任意に加えられる、第3の添加剤の質量濃度は、それぞれ5〜5000ppmの範囲である、ディーゼル燃料。
〔態様28〕
エンジン性能の改善のための、ディーゼルエンジンにおける態様24〜27のいずれか一態様に記載されたディーゼル燃料の使用。
〔態様29〕
態様28に記載の使用において、前記ディーゼルエンジン中のデポジット発生を抑制するための、使用。
〔態様30〕
態様28または29に記載の使用において、前記エンジンは、直接噴射エンジン(好ましくは高圧射出方式「コモンレール」)である、使用。
〔態様31〕
態様28〜30のいずれか一態様に記載の使用において、前記エンジンの燃費を減少(「燃料エコ」効果)させる、使用。
〔態様32〕
態様28〜31のいずれか一態様に記載の使用において、前記エンジンの動力の損失を最小限にする、使用。
〔態様33〕
態様28〜32のいずれか一態様に記載の使用において、前記エンジンの射出方式の内部成分中のセッケンおよび/またはラッカーのデポジットの発生を制限することによって、前記エンジンの清浄度を維持する(「キープクリーン」効果)、使用。
〔態様34〕
態様28〜33のいずれか一態様に記載の使用において、内部部品中のセッケンおよび/またはラッカーのデポジットを、少なくとも部分的に除去することによって、前記エンジンの射出方式の汚染された内部部品を清浄化する(治癒的な「クリーンアップ」効果)、使用。