(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のチューナブルな前記共振器(R)の少なくとも1つは、1つの共振器素子(RE)および1つのチューナブルなインピーダンス素子(CE,IE)を備え、当該インピーダンス素子(CE,IE)は、当該共振器素子(RE)に対して直列または並列に回路接続されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
チューナブルな前記共振器(R)は、複数の共振器素子(RE)からなるアレイを備え、当該複数の共振器素子の各々の共振器素子(RE)は、複数のスイッチ(SW)を用いて当該共振器(R)にカップリング可能であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
各々の前記共振器(R)は、同数の複数の共振器素子(RE)を備え、当該複数の共振器素子(RE)は、1つのMIPIインタフェースを介してアドレシング可能な複数のスイッチ(SW)を介して制御可能であることを特徴とする、請求項4乃至8のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、HFフィルタ(複数)を有するデュプレクサを提示することであり、これらのHFフィルタは、他の重要なパラメータを変化することの無いチューニングを可能とし、そして当業者に対してフィルタモジュールの設計の際のさらなる自由度を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は独立請求項に記載のデュプレクサによって解決される。従属項はさらなる実施例を提示する。
【0010】
本発明によるデュプレクサは、1つのTxフィルタおよび1つのRxフィルタを備える。このTxフィルタは、直列に回路接続された、それぞれ1つの電子音響共振器を有する複数の基本回路(Grundglieder)および、これらの基本回路の間に直列に回路接続された複数のインピーダンスコンバータを含んでいる。このRxフィルタは、直列に回路接続された、それぞれ1つの電子音響共振器を有する複数の基本回路および、これらの基本回路の間に直列に回路接続された複数のインピーダンスコンバータを含んでいる。このTxフィルタにおけるインピーダンスコンバータ(複数)は、インピーダンスインバータである。このTxフィルタにおける基本回路(複数)の共振器(複数)は、直列共振器のみである。このRxフィルタにおけるインピーダンスコンバータ(複数)は、アドミッタンスインバータである。このRXフィルタにおける基本回路(複数)の共振器(複数)は並列共振器のみである。
【0011】
上記のTxフィルタおよび上記のRxフィルタはHFフィルタである。
【0012】
HFフィルタにおける基本回路は、たとえばラダー型構造が知られており、ここでは1つの基本回路は1つの直列共振器および1つの並列共振器を備えている。複数のこのような基本回路が前後に続いて回路接続されて、上記の直列共振器あるいは並列共振器の共振周波数および反共振周波数が互いに適合してチューニングされている場合には、実質的にフィルタ作用を生じる。
【0013】
ここで提示する基本回路は、本発明においては1つのラダー型回路をほぼ半分にした基本回路であると考えてよい。
【0014】
インピーダンスコンバータとしては、インピーダンスインバータまたはアドミッタンスインバータを対象としている。インピーダンスコンバータが、1つの負荷インピーダンスを1つの入力インピーダンスに任意に変換するのに対し、インピーダンスインバータあるいはアドミッタンスインバータの作用は極めて特定的である。インピーダンスインバータあるいはアドミッタンスインバータは、以下のように2端子対回路(Zweitor)用の手法を用いて記述することができる。
【0015】
行列要素A,B,C,Dを有する上記の連鎖行列は、その出力ポートが1つの負荷に接続されている、1つの2端子対回路の作用を記述し、ここでこの連鎖行列は、1つの負荷に印加される1つの電圧U
Lおよび1つの負荷を通って流れる電流I
Lが、どのように入力ポートに印加される1つの電圧U
INおよび入力ポートへ流れ込む電流I
INに変換されるかを規定している。
(1)
【0016】
ここでインピーダンスZは、電圧と電流の比として定義されている。
(2)
【0017】
こうして1つの負荷インピーダンスZ
Lは1つの入力インピーダンスZ
INに変換される。
(3)
【0018】
こうしてこの負荷インピーダンスZ
Lは、外側からは、入力インピーダンスZ
INのように見える。
【0019】
ここで1つのインピーダンスインバータは、以下の連鎖行列で特徴付けられる。
(4)
【0020】
これより以下が導かれる。
(5)
【0021】
このインピーダンスは反転される。その比例係数はK
2である。
【0022】
アドミッタンスインバータは、以下の連鎖行列によって特徴付けられる。
(6)
【0023】
これよりアドミッタンスYに対して以下が導かれる。
(7)
【0024】
このアドミッタンスは反転される。その比例係数はJ
2である。
【0025】
並列共振器および直列共振器が一緒に存在していることが、HFフィルタのチューニングの際の重要なパラメータの変動性に際立った影響を与えることが見出された。さらに、1種類の共振器(複数)のみが存在している場合、上記のチューニングは上記のパラメータに対し、僅かな影響を及ぼすことが見出された。直列共振器のみ、または並列共振器のみが存在していると、このHFフィルタはチューニングの際にその挿入損失,入力インピーダンス,および/または出力インピーダンスに関して、より安定しているように振る舞う。さらに、上述のインピーダンスコンバータが、直列共振器を並列共振器のように見せることに適していること、あるいはこの逆に並列共振器を直列共振器のように見せることに適していることが見出された。具体的には、その間に1つの直列共振器を有する2つのインピーダンスインバータから成る1つの直列回路は、その周辺回路に対して1つの並列共振器のように見える。その間に1つの並列共振器を有する2つのアドミッタンスインバータから成る1つの直列回路は、その周辺回路に対して1つの直列共振器のように見える。
【0026】
したがってこれらの直列回路を用いて、より良好にチューニング可能なHFフィルタ回路を形成することが可能となる。したがって以上により、良好なデュプレクサも可能である。
【0027】
したがって、1つのHFフィルタを、そのインピーダンスコンバータがインピーダンスインバータに、そしてその共振器(複数)が直列共振器(複数)となるように、構成することができる。
【0028】
このようなフィルタは、並列共振器を全く必要としない。このフィルタがバンドパスフィルタまたはバンドストップフィルタとして構成されていると、これよりこれらは一般的に1つの急峻な右側のスロープを備える。このフィルタは、1つのデュプレクサに使用することができる。この急峻な右側のスロープのために、送信フィルタとして好ましいものである。すなわちここでは、その送信バンドが受信バンドより下側にある場合である。送信バンドと受信バンドのこの相対的な配置が入れ替えられなければならない場合、この直列共振器を有するフィルタは、受信フィルタにあることが好ましい。
【0029】
さらにこのHFフィルタを、そのインピーダンスコンバータがアドミッタンスインバータに、そしてその共振器が並列共振器となるように、構成することもできる。
【0030】
このようなフィルタは、直列共振器を全く必要としない。このフィルタがバンドパスフィルタまたはバンドストップフィルタとして構成されていると、これよりこれらは一般的に1つの急峻な左側のスロープを備える。このフィルタもまた、1つのデュプレクサに使用することができる。この急峻な左側のスロープのために、受信フィルタとして好ましいものである。すなわちここでは、その受信バンドが送信バンドより上側にある場合である。送信バンドと受信バンドのこの相対的な配置が入れ替えられなければならない場合、この直列共振器を有するフィルタは、送信フィルタにあることが好ましい。
【0031】
この代替として、Txフィルタには並列共振器のみが存在し、Rxフィルタには直列共振器のみが存在することも可能である。
【0032】
上記のインピーダンスコンバータ(複数)は、インピーダンス素子として、キャパシタンス素子およびインダクタンス素子両方を備えてよい。これらのインピーダンスコンバータがキャパシタンス素子のみかまたはインダクタンス素子のみを備えることも可能である。こうしてこれらのインピーダンスコンバータは、受動的な回路素子のみから成っている。具体的には、これらのインピーダンスコンバータが少ないインダクタンス素子のみを備えるか、または全くインダクタンス素子を備えない場合、これらのインピーダンスコンバータは、1つの多層基板の金属層(複数)におけるパターニングされたメタライジング部(複数)として容易に実現することができる。
【0033】
上記のインピーダンスコンバータ(複数)は、インダクタンス素子またはキャパシタンス素子に追加して、位相シフタ配線部(複数)を備えてよい。しかしながら上記のインピーダンスコンバータが、位相シフタ配線部から成っていることも可能である。位相シフタ配線部も、容易かつコンパクトに構築して1つの多層基板に集積化することができる。
【0034】
上記のフィルタを1つの対称的な表現行列Bで記述することが可能である。
【0035】
1つの表現行列Bで完全に記述されているフィルタ回路(複数)が存在する。この行列Bは、上記のフィルタの個々の回路部品を特徴付ける行列要素を含んでいる。
【0036】
3つの直列に回路接続された共振器R1,R2,R3を備え、かつ入力側でソースインピーダンスZSと回路接続され、出力側で負荷インピーダンスZLと回路接続されている、1つのフィルタ回路は以下のような式となるであろう。
(8)
【0037】
この回路はしかしながら、バンドパスフィルタとしては動作しないであろう。
【0038】
2つの外側の直列共振器は、これらの直列共振器がそれぞれ並列共振器のように見えるように、インピーダンスインバータによってマスクされ、こうして1つのラダー型構造のように振る舞う1つの構造が得られ、この構造は以下の表現行列で記述される。
(9)
【0039】
ここでK
S1は、上記のソースインピーダンスZ
Sと上記の第1の共振器との間のインピーダンスインバータを表す。K
12は、上記の第1の共振器と第2の共振器との間のインピーダンスインバータを表す。一般的にこれらのパラメータの添え字は、共振器(複数)を表し、これらの共振器の間にそれぞれ対応するインバータが配設されている。Bij=Bjiが成り立っており、すなわちこの行列は、その対角線に対し対称となっている。上記の等式(9)に対応するフィルタ回路は、
図1に示されている。これらの共振器は、この行列の対角線上のパラメータによって記述される。上記のインピーダンスコンバータ(複数)は、上記の対角線の直ぐ上側または下側の副対角線上のパラメータによって記述される。
【0040】
1つのフィルタは、または2つのフィルタは共に、1つの第2のインピーダンスコンバータを備えてよく、この第2のインピーダンスコンバータは、このフィルタの1つの部分に対し並列に回路接続されている。この部分は、1つの基本回路および2つのインピーダンスコンバータを有する1つの直列回路を含んでいる。
【0041】
これよりこの表現行列は、上記の上側の副対角線の上側、あるいは下側の副対角線の下側にある成分(複数)を含んでいる。
【0042】
上記の基本回路の共振器(複数)の少なくとも1つがチューナブルであることが可能である。
【0043】
原理的そして具体的には、上記の共振器(複数)の1つがチューナブルである場合は、BAW共振器(BAW=Bulk Acoustic Wave=音響体積波)、SAW共振器(SAW=Surface Acoustic Wave=表面音響波)、GBAW共振器(GBAW=Guided Bulk Acoustic Wave=ガイド音響体積波)および/またはLC共振器が対象となる。音響波で動作する共振器素子は、概して一方の側での1つのキャパシタンス素子C
0と、他方の側での1つのインダクタンス素子L
1および1つのキャパシタンス素子C
1を有する1つの直列回路とから成る、1つの並列回路の等価回路を有している。このような共振器素子は以下の共振周波数を有する。
(10)
そしてその反共振周波数は以下のようになる。
(11)
【0044】
この共振器がその共振器素子の他にさらに、この共振器素子に対して直列および/または並列に回路接続されている、チューナブルインダクタンス素子またはチューナブルキャパシタンス素子のようなチューナブルな素子を備えると、これにより可変な周波数特性を有する1つの共振器が形成される。ここで共振周波数は、L
1およびC
1に依存するがC
0には依存しない。反共振周波数は、これに加えてC
0に依存する。上記のチューナブルなインピーダンス素子のインピーダンスの変化によって、上記の等価回路のC
0およびL
1を互いに独立に変化することができる。以上により、この共振周波数と反共振周波数とを互いに独立に調整することができる。
【0045】
その特性周波数がチューナブルなインピーダンス素子を用いることで可変となっている共振器素子を有する共振器(複数)の代替として、またはこれらに対し追加的に、1つのチューナブルな共振器は、共振器素子(複数)からなるアレイを備えてよく、これらの共振器素子の各々は、スイッチを用いてこの共振器にカップリング可能であり、またはこの共振器から分離可能である。こうして、チューナブルな共振器毎に、m個の共振器素子から成る1つのアレイとなっている。
【0046】
以上により、実際に動作する各々の共振器素子に対応した、m個の異なるフィルタ伝送特性を実現することができる。この際、これらのm個の共振器の各々は、正に1つのフィルタ伝送特性に対応している。1つのフィルタ伝送特性が、複数の同時に動作する共振器素子に対応していることも可能である。こうしてm個の共振器素子はm!(mの階乗)個の異なるフィルタ伝送特性を可能とする。ここでmは、2,3,4,5,6,7,8,9,10であってよく、またはもっと多くともよい。これらの共振器素子が並列に回路接続されていると、2
m個の異なるフィルタ特性が可能である。
【0047】
ここで上記のスイッチは、CMOSスイッチ(CMOS=Complementary metal-oxide-semiconductor),GaAs(ガリウムヒ素)ベースのスイッチ,またはJFETスイッチ(JFET=Junction-Fet [FET = field effect transistor])のような半導体で製造されたスイッチであってよい。MEMSスイッチ(MEMS=Microelectromechanical System)も可能であり、これは極めて優れた直線性を提供する。
【0048】
したがって、全ての共振器が様々な周波数バンドに対してチューナブルであることが可能となる。
【0049】
具体的には、上記の共振器(複数)の可変性は、温度変動の補償,インピーダンスマッチングに関するフィルタの調整,挿入損失に関するフィルタの調整,または絶縁に関するフィルタの調整を可能とすることができる。
【0050】
さらに、各々の共振器が同数の共振器素子を備えることが可能であり、これらの共振器素子は、1つのMIPIインタフェース(MIPI=Mobile Industry Processor Interface)でアドレシング可能なスイッチを介して制御可能となっている。
【0051】
1つ以上のインピーダンスコンバータは、複数の受動的なインピーダンス素子を含むか、またはこれらから成っていてよい。したがってこのインピーダンスコンバータは、2つの並列キャパシタンス素子および1つの並列インダクタンス素子を備えてよい。ここでたとえばグラウンドへの横方向分岐(Querzweige)(複数)は、それぞれ対応する1つのキャパシタンス素子あるいはインダクタンス素子を含んでいることを想定している。
【0052】
1つのインピーダンスコンバータが、3つの並列なキャパシタンス素子を備えることも可能である。
【0053】
1つのインピーダンスコンバータが、3つの並列なインダクタンス素子を備えることも可能である。
【0054】
1つのインピーダンスコンバータが、2つの並列なインダクタンス素子および1つの並列なキャパシタンス素子を備えることも可能である。
【0055】
計算的には、個々のインピーダンス素子が負のインピーダンス値、たとえば負のインダクタンスまたは負のキャパシタンスを示すようにすることが可能である。しかしながら負のインピーダンス値は、少なくとも、それぞれ対応するインピーダンス値がこのHFフィルタの他のインピーダンス素子(複数)と回路接続され、これよりこれらの他の素子との接続回路がその合計において再び正のインピーダンス値を有する場合には、問題では無い。この場合、本来設けられている素子の接続回路は、この正のインピーダンス値を有する素子によって置き換えられるであろう。
【0056】
さらに、このHFフィルタが、2つの直列に回路接続された基本回路と、1つのキャパシタンス素子と、を備えることが可能であり、このキャパシタンス素子は、この2つの直列に回路接続された基本回路に対して並列に回路接続されている。
【0057】
上記のデュプレクサが、以下の構成のように、1つのHFフィルタを備えることが可能である。このHFフィルタは、1つの信号経路と,当該信号経路における4つのキャパシタンス素子と,それぞれ1つの共振器素子および当該共振器素子に直列な、グラウンドへ回路接続された1つの横方向分岐における1つのスイッチを有する、6つの接続オンオフ可能な共振器と、当該4つのキャパシタンス素子の2つに対して並列に回路接続されている1つのキャパシタンス素子と、を有する。ここでこのHFフィルタは、1つのTXフィルタまたは1つのRXフィルタであってよい。TXフィルタも、またRXフィルタもそれぞれこのように構成されていてもよい。
【0058】
以下では重要な原理を説明し、そしてそれに限定するものでない例示的かつ概略的な回路を参照して、本HFフィルタの中心的な態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】3つの共振器および4つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタを示す。
【
図2】3つの共振器および2つのインピーダンスコンバータを有する1つのフィルタを示す。
【
図3】1つの送信フィルタTXおよび1つの受信フィルタRXを有する1つのデュプレクサを示し、これらのフィルタは、1つのインピーダンスマッチング回路を介して1つのアンテナと回路接続されている。
【
図4】中間の1つの直列共振器Sと、端部のそれぞれ2つのインピーダンスコンバータを有する1つの直列共振器と、が回路接続されている、1つのHFフィルタFを示す。
【
図5】使用される共振器として、並列共振器のみを備える1つのHFフィルタを示す。
【
図6】1つのインピーダンスコンバータが、1つの第1の共振器を1つの第3の共振器と直接回路接続している、1つのHFフィルタを示す。
【
図7】1つのアドミッタンスコンバータが、1つの第1の共振器を1つの第3の共振器と直接回路接続している、1つのHFフィルタを示す。
【
図8】1つのチューナブルな共振器を有する1つのHFフィルタを示す。
【
図9A】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9B】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9C】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9D】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9E】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9F】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9G】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9H】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9I】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9J】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図9K】チューナブルな共振器の様々な実施形態を示す。
【
図10A】スイッチ毎に設けられて動作可能な複数の直列共振器素子を有する、1つのチューナブルな共振器を示す。
【
図10B】スイッチを用いて動作可能な複数の並列共振器素子を有する、1つのチューナブルな共振器を示す。
【
図11A】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図11B】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図11C】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図11D】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図11E】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図11F】1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【
図12A】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図11B】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図11C】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図11D】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図11E】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図11F】1つのアドミッタンスインバータ の様々な実施形態を示す。
【
図13A】1つのHFフィルタの設計での様々なアイデア段階を示す。
【
図13B】1つのHFフィルタの設計での様々なアイデア段階を示す。
【
図13C】1つのHFフィルタの設計での様々なアイデア段階を示す。
【
図14A】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14B】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14C】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14D】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14E】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14F】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14G】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図14H】2つのチューナブルな直列共振器および3つのインピーダンスコンバータを有する1つのHFフィルタの様々な具体的な実施形態を示す。
【
図15A】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15B】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15C】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15D】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15E】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15F】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15G】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図15H】2つのチューナブルな共振器,3つのインピーダンスコンバータ,および1つのジャンパキャパシタンスを有する1つのHFフィルタの実施形態を示す。
【
図16】1つの共振器(A)およびこれに対応する1つのバンドパスフィルタ(B)の挿入損失を示す。
【
図17】
図16に示すHFフィルタバンドパス特性を示し、ここでチューナブルなインピーダンス素子はそのインピーダンスが変化されて、そのバンドパス領域Bが新しい位置となることを示す。
【
図18】1つの共振器のアドミッタンス(A)、およびこれに対応するアドミッタンスインバータを有する1つのバンドパスフィルタ(B)を示す。
【
図19】
図18に対応するHFフィルタを示し、変化されたバンドパス領域の位置を得るために、ここではチューナブルなインピーダンス素子のインピーダンス値が変化されている。
【
図20】1つのHFフィルタの挿入損失(B,B’)を示し、ここでは、複数の共振器のチューニングによって、バンドパス領域の異なる周波数位置が得られている。
【
図21】複数の並列共振器および複数のアドミッタンスインバータを有する1つのHFフィルタの異なるバンドパス特性(B,B’)を示し、これらでは異なるインピーダンス値がこのバンドパス領域の異なる位置をもたらしている。
【
図22】1つのチューナブルなデュプレクサの挿入損失を示す。ここで曲線B1およびB3は、1つのチューナブルな送信周波数バンドを示す。曲線B2およびB4は、調整可能な受信周波数バンドの挿入損失を示している。
【
図24】1つのデバイスにおける回路部品の集積の可能な形態を示す。
【
図25】
図23に示す1つのチューナブルなフィルタの伝達関数を示す。
【0060】
図1は、3つの共振器および4つのインピーダンスコンバータIWを有する1つのHFフィルタ回路Fを示す。ここで中間の共振器は、1つの基本回路GGとなっている。この中間の共振器は、1つの並列共振器Pまたは1つの直列共振器Sであってよい。第1の共振器を包囲している2つのインピーダンスコンバータIWは、この共振器が外側に対して1つの直列共振器または1つの並列共振器のように見えるように作用する。この中間の共振器が並列共振器であると、上記の第1の共振器は、外側に対して1つの直列共振器のように見える1つの並列共振器であってよい。こうしてこれと同様に第3の共振器も、外側に対して1つの直列共振器のように見える1つの並列共振器であってよい。これとは逆に上記の中間の共振器は、1つの直列共振器Sであってよい。この場合2つの外側の共振器は、外側に対して1つの並列共振器のように見える1つの直列共振器であってよい。インピーダンスコンバータIWを使用することで、直列共振器のみまたは並列共振器のみが使用されているにも拘わらず、1つのラダー型に類似したフィルタ構造を得ることができる。
【0061】
図2は、1つのフィルタ回路を示し、このフィルタ回路では、1つのタイプの共振器のみが用いられるにも拘わらず、中間の共振器が、この中間の共振器を包囲するインピーダンスコンバータIWによってマスクされ、このフィルタは外側に対して、並列共振器と直列共振器とが交互になった1つの列のように見える。
【0062】
図3は、1つのデュプレクサを示し、このデュプレクサでは、送信フィルタTXも、また受信フィルタRXも、インピーダンスコンバータ(複数)および共振器(複数)からなる直列回路を備え、これらは、フィルタ毎に1つのタイプの共振器のみが必要であるように、互いに回路接続されている。直列共振器は、1つの通過バンドの急峻な右側のフィルタスロープを形成するのに適しており、そして一般的に送信周波数帯域は、周波数的に受信周波数帯域の下側にあるので、この送信フィルタTXに直列共振器を使用することが有利である。これと類似して受信フィルタRXにおいては、並列共振器が使用されることになろう。送信周波数帯域が受信周波数帯域の上側にあると、これに対応して受信フィルタにおいては直列共振器が、そして送信フィルタにおいては並列共振器が有利であろう。
【0063】
これらのフィルタTX,RXは、1つのインピーダンスマッチング回路IASを介して、1つのアンテナANTと回路接続されている。このインピーダンスマッチング回路IASから見ると、これら2つのフィルタTX,EXの各々は、1つの従来のラダー型フィルタ回路のように見え、これよりアンテナおよびインピーダンスマッチング回路のような一般的な回路部品の設計の際での追加の手間は、実質的に全く無い。
【0064】
以上に対応して、
図4は、中間の共振器が直列共振器Sとして実装されている、1つの実施形態を示す。インピーダンスコンバータ(複数)および直列共振器(複数)の組合せが外側に対して1つの並列共振器Pのように見え、またそのように振る舞うが、インピーダンスコンバータIWの作用により、2つの外側の共振器においても、それぞれ1つの直列共振器を使用することができる。直列共振器を外側に対して並列共振器のように見せることができるように、好ましくはインピーダンスインバータKが使用される。
【0065】
以上とは対照的に、
図5は、並列共振器のみが使用されている1つのHFフィルタFの1つの実施形態を示す。インピーダンスコンバータIWの実施形態としてアドミッタンスインバータを使用することで、2つの外側の並列共振器は、直列共振器Sのように見える。中央にある、中間の共振器,1つの並列共振器Pと共に、このHFフィルタFは、1つの準ラダー型構造を形成している。
【0066】
図6は、2つの外側の共振器が1つのさらなるインピーダンスコンバータ、たとえば1つのインピーダンスインバータを介して、直接に回路接続されている、1つの実施形態を示す。1つのさらなるインピーダンスコンバータを介して、直接これらの外側の共振器を回路接続することは、HFフィルタを最適化することができる1つの新たな自由度となっている。
【0067】
図7は、1つのHFフィルタFの例示的な1つの実施形態を示し、このHFフィルタは並列共振器(複数)およびアドミッタンスインバータ(複数)Jを用いている。ここで2つの外側の共振器もまた、1つのさらなるアドミッタンスインバータJを介して互いに回路接続されている。
【0068】
図8は、共振器(複数)がチューナブルである1つのHFフィルタの1つの可能な実施形態を示す。
【0069】
図9Aは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの可能な実施形態を示す。この共振器Rは、1つの共振器素子REを備える。ここでこの共振器素子REは、音響波で動作する1つの共振器であってよい。この共振器素子REに対して並列に、1つのキャパシタンス素子CEが回路接続されている。この並列接続回路に対して直列に、1つのさらなるキャパシタンス素子CEが回路接続されている。これら2つのキャパシタンス素子CEはチューナブルであり、すなわちそれらのキャパシタンスは調整することができる。使用されるキャパシタンス素子に応じて、そのキャパシタンスは連続的または離散的な値で調整することができる。このキャパシタンス素子が、たとえばバラクタ(複数)を備えると、これよりバイアス電圧を印加することによってそのキャパシタンスを連続的に調整することができる。1つのキャパシタンス素子CEがキャパシタンスの個々の素子から成る1つのバンクを備えると、これらの素子は、1つ以上のスイッチを用いて個別に制御することができ、こうしてこのようなキャパシタンス素子CEのキャパシタンスは離散的なステップで調整することができる。
【0070】
図9Bは、1つの共振器Rの1つの代替可能性を示し、この共振器では、1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEが、1つの共振器素子REと共に、1つのチューナブルなインダクタンス素子IEと回路接続されている。
【0071】
図9Cは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの可能な実施形態を示し、この共振器では、1つの共振器素子REが、1つのチューナブルなインダクタンス素子IEに対して並列に回路接続されている。この並列回路は、1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEと直列に回路接続されている。
【0072】
図9Dは、1つのチューナブルな共振器Rの、1つのさらなる代替の実施形態を示す。ここでは、
図9Cと比較して、この並列回路は1つのチューナブルなインダクタンス素子IEと直列に回路接続されている。
【0073】
図9Eは、1つのチューナブルな共振器のもう1つの代替の実施形態を示し、この共振器では、1つの共振器素子REは、1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEと並列にのみ回路接続されている。
【0074】
図9Fは、1つのチューナブルな共振器Rのもう1つの代替の実施形態を示し、この共振器では、1つの共振器素子REは、1つのチューナブルなインダクタンス素子IEと並列に回路接続されている。
【0075】
図9Eおよび9Fは、1つのチューナブルな共振器Rの比較的簡単な実施形態を示す。
図9A〜9Dは、1つのさらなるチューナブルな素子によって、チューニングの際のさらなる自由度を可能とする、1つのチューナブルな共振器Rの実施形態を示す。このような観点から、追加の自由度、たとえば広いチューナブル領域を得るために、以上に示した実施形態は、固定のインピーダンスまたは可変のインピーダンスを有する、さらなるキャパシタンスおよびインダクタンス素子と直列または並列に回路接続されてよい。
【0076】
図9Gは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示し、この共振器では、上記の共振器素子REは、1つのインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの直列回路に対して並列に回路接続されている。
【0077】
図9Hは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示し、この共振器では、上記の共振器素子REは、1つのインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの並列回路に対して並列に回路接続されている。
【0078】
図9Iは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示し、この共振器では、上記の共振器素子REは、1つのインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの直列回路に対して直列に回路接続されている。
【0079】
図9Jは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示し、この共振器では、上記の共振器素子REは、一方では、1つのインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの直列回路に対して直列に回路接続されており、他方では、1つのインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの並列回路に対して並列に回路接続されている。
【0080】
図9Kは、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示し、この共振器では、上記の共振器素子REは、一方では、1つのチューナブルなインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの直列回路に対して直列に回路接続されており、他方では、1つのチューナブルなインダクタンス素子IEおよび1つのチューナブルなキャパシタンス素子CEを備える1つの並列回路に対して並列に回路接続されている。
【0081】
さらに、バラクタのような連続的にチューニング可能な素子、および一定のインピーダンスの接続オンオフ可能な素子に加えて、接続オンオフ可能なチューナブルな素子、たとえばスイッチを用いて回路組込みが可能なバラクタも適用可能である。
【0082】
さらに一般的には、1つの共振器において、上記の共振器素子が1つの直列回路網と直列に回路接続され、そして1つの並列回路網と並列に回路接続されることも適用可能である。ここでこの直列回路網およびこの並列回路網は、それぞれ固定または可変のインピーダンスのインピーダンス素子(複数)を備えてよい。
【0083】
図10は、1つのチューナブルな共振器Rのもう1つの可能な実施形態を示し、この共振器は、複数の共振器素子REおよび複数のスイッチSWを備える。ここで
図10Aは、信号経路SPにおいて直並列に回路接続されている共振器素子(複数)REを示す。以上により1つのチューナブルな直列共振器となっている。個々のスイッチSWを個別に開閉することにより、決まった共振器素子REをこの信号経路SPへ個々に調整可能にカップリングすることができる。上記の
図10Aにおけるチューナブルな共振器Rは、m個の共振器素子REを備えているので、これより2
m個の異なる切り替え状態を得ることができる。
【0084】
図10Bは、共振器素子(複数)が信号経路SPをグラウンドと回路接続している、1つのチューナブルな共振器Rの1つの実施形態を示す。この信号経路SPと回路接続されている個々の共振器素子REの順序は、原理的に意味がないので、m!(階乗)個の異なる共振器状態を得ることができる。
【0085】
図11A〜11Fは、1つのインピーダンスインバータの様々な実施形態を示す。
【0086】
図11Aは、これによって1つのインピーダンスインバータとなる1つのインピーダンスコンバータの1つの形態を示す。2つのキャパシタンス素子は、信号経路において直列に回路接続されている。この信号経路におけるこれらの2つのキャパシタンス素子の共通な回路ノードを、1つのキャパシタンス素子がグラウンドと回路接続している。上記の信号経路におけるキャパシタンス素子(複数)は、計算的には1つの負のキャパシタンス−Cを有している。このグラウンドへの並列経路におけるキャパシタンス素子は、計算的には1つの正のキャパシタンスCを有している。
【0087】
既に上述したように、これらのキャパシタンス値は、2端子対回路に対する計算手法のみから得られるものである。このため
図11Aに示したT回路は、このようにして1つの周辺回路において全く実現されなければならないものではない。むしろ直列経路における、負のキャパシタンスを有するキャパシタンス素子は、この直列経路においてさらに回路接続されている、正のキャパシタンスを有する他のキャパシタンス素子(複数)と組み合わされてよく、こうして合計してそれぞれ正のキャパシタンスの1つ以上のキャパシタンス素子が得られる。
【0088】
同じことが
図11B,11C,および11Dの実施形態、ならびに
図12A,12B,12C,および12Dにおけるアドミッタンスインバータの実施形態に対しても当てはまる。
【0089】
図11Bは、インダクタンス素子(複数)からなるT型回路を示し、ここで信号経路において直列に回路接続されている2つのインダクタンス素子は、単に形式的に1つの負のインダクタンスを示すものである。
【0090】
図11Cは、Π型回路として、負のキャパシタンスの1つのキャパシタンス素子を直列経路に備え、そして2つの正のキャパシタンス素子をそれぞれ1つの並列経路に備える、1つのインピーダンスインバータの1つの形態を示す。
【0091】
図11Dは、Π形状の1つのインピーダンスインバータの1つの実施形態を示し、この実施形態では、信号経路におけるインダクタンス素子のインダクタンスが負となっている。それぞれ対応する2つの並列経路におけるインダクタンス素子(複数)のインダクタンスは、正となっている。
【0092】
図11Eは、1つの位相シフタ回路、およびインダクタンスLの1つのインダクタンス素子を有する1つのインピーダンスインバータの1つの実施形態を示す。ここでこの位相シフタ回路は、好ましくはその信号ラインの特性インピーダンスZ
0を有している。この位相シフタ回路による位相ずれΘは、適切に調整されている。
【0093】
このためインピーダンスインバータの場合には、Θはたとえば以下の式で決定されていてよい。
この際、
であり、Kは
によって決定されている。
アドミッタンスインバータの場合には、以下の式が適用される。
この際
であり、Jは
によって決定されている。
【0094】
図11Eと同様に、
図11Fは、インダクタンス素子が、キャパシタンスCを有する1つのキャパシタンス素子で置き換えられている、1つの代替の実施形態を示す。
【0095】
図12A〜12Fは、1つのアドミッタンスインバータの実施形態を示す。
【0096】
図12Aは、T構成の1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示し、このアドミッタンスインバータでは、直列経路における2つのキャパシタンス素子が、正のキャパシタンスを備えている。並列経路におけるキャパシタンス素子は、名目上1つの負のキャパシタンスを備えている。
【0097】
図12Bは、T構成の1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示し、ここで信号経路にはインダクタンスLを有する2つのインダクタンス素子が直列に回路接続されている。これらのインダクタンス素子の2つの電極をグラウンドと回路接続する1つの並列経路においては、負のインダクタンス−Lを有する1つのインダクタンス素子が回路接続されている。
【0098】
図12Cは、Π構成の1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示し、ここで2つの並列経路における2つのキャパシタンス素子は、1つの負のキャパシタンスを備える。信号経路におけるキャパシタンス素子は、1つの正のキャパシタンスを備える。
【0099】
図12Dは、3つのインダクタンス素子を有する、Π構成の1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示す。直列経路におけるインダクタンス素子は、1つの正のインダクタンスを備える。2つの並列経路における2つのインダクタンス素子は、それぞれ1つの負のインダクタンスを備える。
【0100】
図12Eは、1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示し、このアドミッタンスインバータでは、正のインダクタンスLを有する1つのインダクタンス素子が、1つの位相シフタ回路の2つの部分の間に回路接続されている。この位相シフタ回路の各々の部分は、1つの特性インピーダンスZ
0を有し、適切に位相をシフトする。
【0101】
図12Eに対応して、
図12Fは、1つのアドミッタンスインバータの1つの実施形態を示し、このアドミッタンスインバータも同様に位相シフタ回路となっている。1つの位相シフタ回路の2つの部分の間には、正のキャパシタンスCを有する1つのキャパシタンス素子が回路接続されている。
【0102】
図13は、チューナブルな共振器(複数)Rをインピーダンスコンバータ(複数)IWと共に使用することを示す。ここでこの共振器は、1つの直列共振器であってよい。インピーダンスコンバータIWとしてインピーダンスインバータKを使用することによって、2つのインピーダンスコンバータIWとこれらの間に回路接続された1つの直列共振器とからなる組合せは、全体として1つの並列共振器を生成する。
【0103】
たとえば
図11A〜11F、たとえば
図11A,11Bに示したように、
図13Aのインピーダンスコンバータをインピーダンスインバータで置き換えると、これより
図13Bの回路構造が得られる。問題はこれらのキャパシタンス素子が負のキャパシタンスを有するように見えることである。しかしながら、共振器R自体が正のキャパシタンスを有するキャパシタンス素子の特性を持つことを考慮すると、これらの共振器素子と直接に回路接続されている、負のキャパシタンスを有するキャパシタンス素子の必要性は無くなる。これが
図13Cに示されている。
【0104】
さらに、このHFフィルタの周辺回路に回路接続されているキャパシタンス素子を考慮すると、
図13Cの、負のキャパシタンスを有する外側のキャパシタンス素子の必要性もなくなる。こうして全体として、
図14Aに示すような回路構造が得られる。たとえこのHFフィルタの外部の周辺回路が、
図13の負のキャパシタンス−Cの補償の可能性を提供しない場合でも、以上のようにこの負のキャパシタンスは、並列経路におけるキャパシタンス素子の正のキャパシタンスによって補償することができる。
【0105】
こうして
図14Aは、2つのチューナブルな共振器と3つのインピーダンス素子とを有する、容易に製造することができるHFフィルタ回路を示し、これらのインピーダンス素子のインピーダンスは、2つの共振器の1つが並列共振器として作用するように選択されている。したがって
図14Aは、直列共振器のみが使用されているが、実質的に1つのラダー型のフィルタ回路の1つの基本回路を示している。
【0106】
図14Bは、
図14AのHFフィルタの1つの代替可能性を示し、ここでは共振器(複数)の間のインダクタンス素子Lが1つのキャパシタンス素子Cによって置き換えられ、そして負荷側の並列経路におけるキャパシタンス素子が1つのインダクタンス素子によって置き換えられている。
【0107】
図14Cは、2つの共振器を有する1つのHFフィルタのもう1つの実施形態を示し、ここで3つのインダクタンス素子がそれぞれ1つの並列経路に回路接続されている。
【0108】
図14Dは、1つのHFフィルタの1つの可能な実施形態を示し、このHFフィルタでは、左側の2つのインピーダンス素子がインダクタンス素子によって形成されており、そして右側のインピーダンス素子が1つのキャパシタンス素子によって形成されている。
【0109】
図14Eは、外側の2つのインピーダンス素子がインダクタンス素子によって形成され、そして中央のインピーダンス素子が1つのキャパシタンス素子によって形成されている、1つの実施形態を示す。
【0110】
図14Fは、右側の2つのインピーダンス素子がキャパシタンス素子によって形成され、そして左側のインピーダンス素子が1つのインダクタンス素子によって形成されている、1つの実施形態を示す。
【0111】
図14Gは、右側の2つのインピーダンス素子がインダクタンス素子によって形成され、そして左側のインピーダンス素子が1つのキャパシタンス素子によって形成されている、1つの実施形態を示す。
【0112】
図14Hは、3つのインピーダンス素子が全てキャパシタンス素子によって形成されている、1つの実施形態を示す。
【0113】
図15A〜15Hは、
図14A〜14HのHFフィルタのさらなる代替可能性を示し、ここでもう1つのインピーダンス素子が信号入力部と信号出力部とを直接互いに回路接続している。ジャンパとなっているキャパシタンス素子の代替として、ジャンパとなる1つのインダクタンス素子、またはインピーダンスコンバータの他の実施形態が使用されてよい。
【0114】
図16は、1つの共振器のアドミッタンス(曲線A)、および1つのこのような共振器を有する1つのHFフィルタの伝達関数(曲線B)を示す。直列のキャパシタンス素子(複数)は、2.4pFの値を有している。並列のキャパシタンス素子は、0.19pFの値を有している。
【0115】
図17は、同様の曲線を示し、ここでは直列のチューナブルなキャパシタンス素子(複数)が、30pFの値に調整されており、そして並列のチューナブルなキャパシタンス(複数)が3.7pFのキャパシタンス値に調整されている。
図16および17に対応するフィルタのインピーダンスコンバータは、インピーダンスインバータである。これらの共振器(複数)は直列共振器である。
【0116】
これらと比較するため、
図18および19は、アドミッタンスインバータ(複数)および並列共振器(複数)を有するHFフィルタのそれぞれ対応する曲線を示す。ここで
図18は、1つのフィルタの特性曲線を示し、このフィルタでは、直列のチューナブルなキャパシタンス(複数)が2.4pFの値を有し、そして並列のチューナブルなキャパシタンス素子が0.19pFの値を有している。
【0117】
図19は、直列のチューナブルなキャパシタンス(複数)が30pFの値を有し、そして並列のチューナブルなキャパシタンス素子が3.7pFの値を有する場合の、このHFフィルタのそれぞれ対応する曲線を示す。
【0118】
図20は、アドミッタンスフィルタ(複数)および並列共振器(複数)を有するバンドパスフィルタの挿入損失を示す。このフィルタは、チューナブルな共振器(複数)を備え、これらの共振器は、キャパシタンス素子(複数)の調整可能なキャパシタンスによって、1つは受信バンド17に、あるいは1つはバンド5にチューニングされている。ここでこれらの共振器は、
図10Bに示すような、スイッチを用いてカップリング可能な共振器素子(複数)を備えている。
【0119】
図21はここで、インピーダンスインバータ(複数)および直列共振器(複数)を有する1つのHFフィルタの通過特性を示し、ここでチューナブルな値は、1つはバンド17の送信周波数にチューニングされ、そして1つはバンド5の送信周波数にチューニングされている。ここでこれらの共振器は、
図10Aに示すような、スイッチを用いてカップリング可能な共振器素子(複数)を備えている。
【0120】
図22は、1つのチューナブルなデュプレクサの受信フィルタあるいは送信フィルタの挿入損失を示し、1つはバンド17に、そして1つはバンド15にチューニングされている。
【0121】
図23は、このHFフィルタのもう1つの可能な実施形態を示す。信号経路SPには、4つのキャパシタンス素子が直列に回路接続されている。グラウンドへの6つの横方向分岐には、それぞれ1つの接続オンオフ可能な共振器が回路接続されている。これらの接続オンオフ可能な共振器の各々は、1つの共振器素子とこれに直列に回路接続された1つのスイッチを備える。1つのインダクタンス素子が、これらの4つのキャパシタンス素子の2つに対して並列に回路接続されている。
【0122】
図24は、このフィルタ回路の回路部品がどのように有利に、1つの多層モジュールに集積化することができるかを示している。キャパシタンス素子(複数)CEは、MIMコンデンサ(複数)(MIM=Metall Isolator Metall)として、信号経路の複数の部分と一緒に、1つの層において実現されている。この層の下には、上記のスイッチ(複数)SWが実現されていてよい。この下にある1つの層には、貫通接続部(複数)が通っていてよく、これらは(半導体)スイッチ(複数)と上記の共振器素子(複数)との間のインタフェースの配線と成っている。ここでこれらのインタフェースを有する層の下には、上記の共振器素子、たとえばSAW,BAW,GBAW,...等の素子が配設されていてよい。
【0123】
図25は、バンド34および39に対して計算された通過特性曲線を示し、これらの曲線間は、スイッチ(複数)を用いて切り替えることができる。
【0124】
HFフィルタ、またはHFフィルタを有するデュプレクサは、さらに追加の共振器またはインピーダンス素子、具体的にはチューナブルなインピーダンス素子を備えてよい。