特許第6453928号(P6453928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453928
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】光透過性流路ユニット及び光反応装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   B01J19/12 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-45877(P2017-45877)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-149470(P2018-149470A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】517087417
【氏名又は名称】株式会社DFC
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】松本 一希
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−068018(JP,A)
【文献】 特開2006−317309(JP,A)
【文献】 特開2002−282682(JP,A)
【文献】 特開2003−071243(JP,A)
【文献】 特公昭45−001802(JP,B1)
【文献】 国際公開第2012/010645(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
B01L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を複数本のガラス管を接続具で選択的に接続して構成すると共に前記接続具を付け外し可能とすることで前記光透過性流路の流路長を可変とする光透過性流路ユニットであって、
前記複数本のガラス管と、前記複数本のガラス管を管軸方向の端部で支持する一対の支持板とを備え、
前記支持板は、チューブの両端にコネクタが装着されてなる接続具の前記コネクタが付け外し可能に接続される貫通孔を有する
光透過性流路ユニット。
【請求項2】
前記複数本のガラス管は、管軸方向から見たときに、前記ガラス管の管軸が環状の仮想線上に配されている
請求項1に記載の光透過性流路ユニット。
【請求項3】
前記光を出射する光源ユニットが配される収容空間を前記環状の中央部分に有する
請求項2に記載の光透過性流路ユニット。
【請求項4】
前記環状は円環状であり、
前記複数本のガラス管は光透過性を有すると共に直管状をし、
前記一対の支持板は前記複数本のガラス管をその管軸を平行な状態で支持し、
前記支持板の貫通孔は、前記複数本のガラス管に対応して設けられ且つ他方の支持板側が細い段付き状をし、
前記支持板は、前記ガラス管を支持するガラス管支持部を前記貫通孔の径の細い部分に、前記コネクタが付け外し可能に接続されるコネクタ接続部を前記貫通孔の径の太い部分に有する
請求項2又は3に記載の光透過性流路ユニット。
【請求項5】
光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を備える光透過性流路ユニットと、
前記被光反応物質に光を出射するための光源を備える光源ユニットと
を備え、
前記光透過性流路ユニットが請求項1〜4の何れか1項に記載の光透過性流路ユニットである
光反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を備える光透過性流路ユニット及び当該光透過性流路ユニットを備える光反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光反応装置として、例えば、光透過性流路により形成される反応部と、反応部へ被反応物質を送液する送液部と、反応部を照射し光透過性流路内の被反応物質に光化学反応を生じせしめる少なくとも1つの光源を備える光源部と、光化学反応が生じた光化学反応生成物質を回収する回収部とを備え、反応部は1つのユニットとしてユニット化され、光源部と一体をなすように光源部に対して着脱可能に装着されているフロー式光化学反応装置が提案されている(例えば特許文献1)。
本フロー式光化学反応装置では、反応部として、光透過性流路に対応する溝が形成された第1基板と、第1基板に形成された溝を覆うように第1基板上に重ねられる光透過性の第2基板とからなるユニットを備える。
本ユニットは、溝に複数個の排出口を設けており、光化学反応に応じて流路長を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−75682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のユニットでは、第1基板に予め溝や排出口が設けられているため、流路長の調整の自由度が低いという課題がある。なお、流路長の自由度を上げるためには、複数種類の第1基板及び第2基板を準備する必要がある。
本発明は、流路長の調整の自由度が高い光透過性流路ユニット及び光反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光透過性流路ユニットは、光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を備える光透過性流路ユニットであって、前記光透過性流路は透光性の複数本の流路管を選択的に接続可能に備える。
本発明に係る光反応装置は、光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を備える光透過性流路ユニットと、前記被光反応物質に光を出射するための光源を備える光源ユニットとを備え、前記光透過性流路ユニットが上記の光透過性流路ユニットである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る光透過性流路ユニット及び光反応装置は、複数本の流路管が選択的に接続可能であるため、流路長の調整の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る光透過性流路ユニットの全体斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る光透過性流路ユニットの横断面斜視図である。
図3】(a)は第1の実施形態に係る光透過性流路ユニットの側面図であり、(b)は第1の実施形態に係る光透過性流路ユニットの断面側面図である。
図4】第1の実施形態に係る光透過性流路ユニットの縦断面拡大図である。
図5】第2の実施形態に係る光透過性流路ユニットの全体斜視図である。
図6】第2の実施形態に係る光透過性流路ユニットの縦断面拡大図である。
図7】(a)は第2の実施形態に係る光透過性流路ユニットの側面図であり、(b)は第2の実施形態に係る光透過性流路ユニットの横断面側面図である。
図8】変形例2に係る光透過性流路ユニットを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る光透過性流路ユニットは、光により反応する被光反応物質を流動させるための光透過性流路を備える光透過性流路ユニットであって、前記光透過性流路は透光性の複数本の流路管を選択的に接続可能に備える。
実施形態の別態様に係る光透過性流路ユニットは、前記複数本の流路管は、管軸方向から見たときに、環状に配されている。これにより小型化を図ることができる。
実施形態の別態様に係る光透過性流路ユニットは、前記光を出射する光源ユニットが配される収容空間を前記環状の中央部分に有する。これにより光源ユニットを配する空間を別に用意する必要がなくなる。
実施形態の別態様に係る光透過性流路ユニットは、前記環状は円環状である。これにより、光源ユニットを円環状の中心上に配することで、各流路管に照射する光のエネルギの強さを一定に設定できる。
【0009】
<第1の実施形態>
実施形態の一態様に係る光透過性流路ユニット(以下、単に「流路ユニット」という。)1について、図1図4を用いて説明する。
流路ユニット1は複数本の流路管3を備える。複数本の流路管3は選択的に接続されて流路を構成する。ここでの流路管3は光を透過する光透過性材料により構成されている。1本の流路管又は接続された2本以上の流路管により構成される流路は光透過性流路を構成する。光透過性流路には被光反応物質を含んだ液体が供給され、当該液体が流路内を流動する。なお、流動中の液体に光が照射されると、被光反応物質が光反応する。
流路ユニット1は、図に示すように、複数本の流路管3の他、当該複数本の流路管3を支持する支持具5を備える。複数本の流路管3は、中央に空間7が存在する状態で、支持されている。つまり、複数本の流路管3が管軸方向から見たときに環状に配され、その環状の中央部分に空間7が形成されている。換言すると、複数本の流路管3は空間7の周りに沿って環状に配されている。空間7は流路管3内の液体に光を出射(供給)するための光源ユニット用の収容空間である。
【0010】
1.流路管
流路管3は例えばガラス管により構成される。流路管3は直管状をしている。流路管3は円筒状をし、その内径及び外径が一定である。なお、ガラス管として、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス等を利用できる。流路管3の端部3aは例えば支持具5の支持板51の貫通孔55に挿入される。これにより、流路管3は支持板51に支持される。
本実施形態における複数本の流路管3は12本である。12本の流路管3は、各流路管3の管軸を平行にした状態で、環状に配されている。ここでの環状は円環状であり、12本の流路管3の管軸が略1つの円周上に位置する。なお、流路管3の端部3aは、図4に示すように、端側が細くなる段付状となっている。
【0011】
2.支持具
支持具5は、例えば、複数本の流路管3を支持する一対の支持板51と、一対の支持板51を連結する連結体53とを備える。
支持板51は環状(例えば円環状)をしている。支持板51は複数本の流路管3が挿入される貫通孔55を複数個有している。ここでの貫通孔55は流路ユニット1の周方向に等間隔(等角度)をおいて設けられている。貫通孔55は、他方の支持板51が位置する側(内側)が細い段付き形状をしている(図4参照)。貫通孔55における直径の小さい部分55aは流路管3を支持する支持機能を有する。貫通孔55における直径の大きい部分55bは流路管3を接続する接続具(図示省略)の取付けやそれを補助する取付機能を有する。
流路管3の端部3aは、図4に示すように、例えばOリング状のパッキン39を介して支持板51の貫通孔55で支持されており、貫通孔55における内側部分にパッキン用の溝55cが設けられている。
【0012】
支持板51は流路管用の貫通孔55の間に貫通孔57を有する。貫通孔57は複数個あり、流路ユニット1の周方向に等間隔(等角度)をおいて設けられている。この貫通孔57を連結棒59が挿通する。連結棒59の両端部のねじ部は、貫通孔57を通過して、支持板51の外側でナット58と螺合する。なお、連結棒59及びナット58とで連結体53が構成される。ここでの貫通孔57は複数個の貫通孔55が位置する円周上に位置する。
【0013】
3.接続具
接続具としては、例えば、両端にコネクタが装着されたチューブを利用できる。具体的には、チューブの先端に取り付けたヘッドナットとグリッパーフェルール(「オムニフィット」(株式会社アイシスの登録商標)とを利用し、ヘッドナットを支持板51の貫通孔55に取り付けることで、2本の流路管3を接続している。なお、支持板51における貫通孔55の直径の大きい部分55bの内周面は雌ねじとなっており、この雌ねじ部分にヘッドナットの雄ねじ部分が螺合する。
【0014】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る光透過性流路ユニット(以下、単に「流路ユニット」という。)101について図5図7を、光反応装置100について図7をそれぞれ用いて説明する。
1.流路ユニット
第2の実施形態に係る流路ユニット101は、第1の実施形態に係る流路ユニット1を利用しており、同じ構成については、第1の実施形態の流路ユニット1と同じ符号を用い、その説明を省略する。
流路ユニット101は、流路を構成する複数本の流路管3と、複数本の流路管3を支持する支持具105と、複数本の流路管3を収容する空間を区画する区画具107とを有している。なお、区画具107により区画された空間を収容空間179とする。図6及び図7において、収容空間179の引き出し線は、支持板151や外筒体173の引き出し線と区別するために、先端を矢印としている。
複数本の流路管3は、第1の実施形態と同様に、内側に光源ユニット用の空間108が形成されるように、環状(円環状)に配されている。空間108の引き出し線についても、図5図7において内筒体171と区別するために、先端を矢印としている。
【0015】
区画具107は、流路ユニット101の中心軸に沿って配された内筒体171と外筒体173とを2重管状に備え、内筒体171と外筒体173との間に収容空間179が形成される。なお、内筒体171の内側空間は光源ユニットを配置するための空間である。
ここでの内筒体171と外筒体173とは支持具105を構成する一対の支持板151により固定される。ここでの内筒体171と外筒体173は共に円筒状をしている。内筒体171と外筒体173は、それぞれの中心軸が一致するように支持板151により支持されている。ここでは、さらに、上記の中心軸は、複数本の流路管3が配されている円環状の中心軸と一致している。
内筒体171は、被光反応物質の光反応を可能とするために、被光反応物質用の光を透過させる材料により構成されている。光透過させる材料としては、アクリル、エポキシ、シリコーン等の透光性樹脂材料やガラス材料等がある。なお、外筒体173は例えば金属材料により構成されている。
【0016】
本実施形態における収容空間179は密閉空間として構成される。このため、支持具105は密閉用のパッキン等を備える点で第1の実施形態の支持具5と異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
支持具105は、流路管3の端部3aを支持する一対の支持板151と、一対の支持板151を連結する連結体53とを備える。支持板151は、流路管3の端部3aを支持するための貫通孔153と連結体53の連結棒59用の貫通孔155とを有している。貫通孔153,155の位置は、第1の実施形態と同様に、複数本の流路管3の配置により構成される円環の中心軸を中心とする円周上に位置する。
【0017】
支持具105は流路管3及び区画具107を密閉状で支持する。
支持板151は、流路管3用の貫通孔153を構成する周面と流路管3の端部3aとの間に配されるパッキン191用の空間を有する。この空間は、例えば、支持板151の貫通孔153における内側端部に形成された溝153cにより構成される。貫通孔153の直径は、支持板151の厚み方向の両側部分が大きく、その間に位置する中間部分が小さい。つまり、中間部分153aは流路管3の支持用であり、外側の直径の大きい外側部分153bは流路管3を接続するための接続具用であり、内側の直径の大きい内側部分(153c)はパッキン191用である。
【0018】
支持板151は、内筒体171の端部外周面と支持板151の内周面との間に配されるパッキン193用の空間を有する。この空間は、例えば、支持板151の内周面から凹入する溝151aにより構成される。溝151aは周方向に連続して(一周分)形成されている。なお、内筒体171の端部外周面には支持板151に対する位置決め用の段差171aが設けられている。
支持板151は、外筒体173の端部内周面と支持板151の外周面との間に配されるパッキン195用の空間を有する。この空間は、例えば、支持板151の外周面から凹入する溝151bにより構成される。溝151bは周方向に連続して(一周分)形成されている。なお、外筒体173の端部内周面には支持板151に対する位置決め用の段差173aが設けられている。
【0019】
2.光反応装置
光反応装置100は、図7に示すように、流路ユニット101と、光源ユニット109とを備える。光源ユニット109は被光反応物質が反応する光を出射する。光源ユニット109の光源としては、例えば、直管タイプのランプが利用される。光源ユニット109の光源は、冷陰極管や熱陰極等の放電管を利用したものでもよいし、LEDやLD等の発光素子を利用したものでもよい。
光源ユニット109は、流路ユニット101の中心軸を含む部位に存在する空間108内に配される。なお、光源ユニット109は、図外の固定ユニットにより流路ユニット101に対して固定される。
【0020】
3.使用について
本実施形態における流路ユニット101の収容空間179は密閉状に構成されている。このため、例えば、温水や冷水を収容空間179に注入することで、流路管3の温度調整が可能となる。
また、外筒体173又は支持板151に供給口や排出口を設け、温水や冷水を循環させてもよい。このように、収容空間179を備えることで、流路管3の温度制御が可能となる。
【0021】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る光透過性流路ユニット(以下、単に「流路ユニット」とする。)201について図8を用いて説明する。
第1の実施形態の流路ユニット1及び第2の実施形態に係る流路ユニット101は複数本の流路管3を一重の円環状に備えていたが、流路管を多重の環状に備えてもよく、第3の実施形態に係る光透過性流路ユニット201として説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る流路ユニット1,101と同じ構成については、同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0022】
1.構成
流路ユニット201は、複数本の流路管3を流路ユニット201の長手方向から見たときに、2重の環状に配されている。つまり、複数本の流路管3は中央の空間209の中心軸を中心とした同心円である円203,205の円周上に配されている。なお、円203の中心と円205の中心とは一致している。
内側の円203の円周上に配されている流路管3を内側流路管31とし、外側の円205の円周上に配されている流路管3を外側流路管33とする。ここでは、内側流路管31の本数と外側流路管33の本数とは同じであるが、本数は異なってもよい。なお、複数本の流路管3は、すべてが平行な状態で支持具207により支持されている。
ここでの複数本の流路管31,33は円203,205の円周上に等間隔(等角度)で配され、外側流路管33は周方向において内側流路管31の間に位置する。なお、複数本の流路管31,33は等間隔でなくて配されてもよい。
【0023】
2.使用
複数本の内側流路管31及び外側流路管33を区別できるように、符号「31」及び「33」にアルファベットを付加する。
本流路ユニット201では、複数本の流路管3を選択して接続できるため、種々の流路長に調整できる。
(1)流路の本数
例えば、内側流路管31の内、複数本(例えば3本である)の流路管31a,31b,31cを接続して、流路ユニット201に1つの流路を形成してもよい。
また、例えば、内側流路管31の内、複数本(例えば2本である)を接続して、合計で4つの独立した流路を形成してもよい。具体的は、流路管31a,31b、流路管31c,31d、流路管31e,31f、流路管31g,31hを接続して4つの独立した流路を形成してもよい。流路を増やすことで、生産性(光反応の結果物)を高めることができる。なお、流路が増えても、光源ユニットを空間209の中心軸上に配することで、各流路管3に与える光エネルギ量を一定にできる。
【0024】
(2)流路の位置
例えば、内側流路管31を1本、外側流路管33を1本接続してもよい。この場合、流路管3に与える光エネルギを2段階で調整できる。なお、内側流路管31と外側流路管33の上流・下流は、流路管3内を移動する被光反応物質の特性に合わせて適宜決定すればよい。これにより、1つの流路ユニット201で、光源ユニットの光出力等を変更することなく、光エネルギの強度を調整できる。
また、2本の内側流路管31a,31bと1本の外側流路管35aとを接続して1つの流路を形成し、3本の内側流路管31c,31d,31eで別の流路を形成し、3本の外側流路管35b,35c,35dで別の流路を形成してもよい。
(3)上記以外の接続パターンで複数本の流路管を利用してもよく、1つの流路ユニット201を使用しても流路長の自由度を著しく向上させることができる。
【0025】
以上、各実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0026】
<変形例>
1.流路管
(1)実施形態の流路管3は直管状であり、内径及び外径とも管軸方向に一定である。しかしながら、流路管の内径及び外径の少なくとも一方が管軸方向に沿って徐々に変化するテーパ管であってもよい。これにより流路管を透過する光量を調整することができる。
(2)流路管は内部を流動する液体等を混合させる混合手段を内部に備えてもよい。混合手段としては、例えば、スタティックミキサ等がある。なお、内周面を混合可能な形状としてもよい。
(3)実施形態の複数本の流路管3は管軸が延伸する方向から見たときに、円環状に配されていたが、例えば、楕円環状に複数本の流路管を配されてもよい。この場合、複数本の流路管を接続する際に、流路が長くなるにしたがって光源ユニットから離れるようにしてもよいし、流路が長くなるにしたがって光源ユニットに近づくようにしてもよい。これにより、流路管内を移動する被光反応物質に供給する光量を調整できる。
(4)実施形態の流路管3は直管状をしていたが、例えば、スパイラル状をしてもよく、長手方向の両端部が支持されていればよい。この場合も、複数本の流路管を選択的に接続することで、容易に流路長を調整できる。
(5)実施形態の流路管3は、特に表面処理等されていないが、例えば、ガラス管を利用する場合、外表面に対してブラスト処理やエッチング処理等を行ってもよい。これにより、ガラス管の表面が白化し、光の透過率を調整できる。この際、流路管の横断面において処理状態の異なる外表面にしてもよい。例えば、外表面において周方向に1/3ずつ異なるようにして流路管を回転させる支持することで、被光反応物質に供給する光量を調整できる。
また、流路管の外表面の一部を反射面としてもよい。これにより光源ユニットから光を有効に利用できる。
(6)実施形態の流路管は内部に触媒等を配していないが、内面に光触媒等の触媒を塗布してもよい。なお、塗布は触媒を含んだ液体と流すことで実施できる。
【0027】
2.支持具
(1)実施形態の支持板51は円板状をしていたが、例えば、多角形状をしてもよい。これにより光透過性流路ユニットを平坦面に載置した際に流路ユニットの転がりを防止できる。
(2)実施形態では流路管用の貫通孔55をユニットの周方向に等間隔(等角度)で支持板51に設けていたが、等間隔に設けなくてもよい。
(3)連結体用の貫通孔57を、流路管用の貫通孔55と同一円周上に設けていたが、別の円周上に設けてもよい。
(4)実施形態の支持板51は流路管用の貫通孔55を有し、1つの貫通孔55に1本の流路管3が支持されていたが、1つの貫通孔に複数本の流路管が支持されてもよい。なお、この場合、貫通孔の形状は長孔等になる。
(5)実施形態では一対の支持板51を連結体53で連結したが、一対の支持板を光反応装置のベースで固定するようにしてもよいし、一枚の支持板を利用して、複数本の流路管を吊るすようにしてもよい。この場合、流路ユニットの中心軸は上下方向となる。
【0028】
3.接続
接続具は、2本の流路管を接続できればよく、その構造は特に限定するものではない。実施形態では、流路管3の端部3aは支持板51の貫通孔55内で接続具(オムニフィット)により接続される構造を有していたが、例えば、流路管の端部が支持板から張り出し、支持板の外側で直接弾性チューブにより接続されるような構造であってもよい。
なお、接続具は、流路ユニットを構成する一要素としてもよいし、流路ユニットを構成しない別要素としてもよいし、光反応装置を構成する一要素としてもよいし、光反応装置を構成しない別要素としてもよい。
【0029】
4.区画具
(1)実施形態での区画具107を構成する内筒体171及び外筒体173は、共に円筒状をしているが、例えば、外筒体を多角筒状としてもよいし、外筒体及び内筒体を多角筒状としてもよい。
内筒体171及び外筒体173は内筒体171の中心軸と外筒体173の中心軸が一致するように設けられているが、内筒体及び外筒体の両中心軸は一致しなくてもよい。
(2)実施形態の内筒体171と外筒体173のそれぞれは、内径及び外径が一定のストレート管であったが、一端から他端に移るにしたがって内径と外径との少なくとも一方が徐々に変化するテーパ管であってもよい。
(3)実施形態の外筒体173は金属製であったが、例えば、透明な樹脂パイプであってもよい。この場合、光反応状態を外部から観察することができる。
(4)第2の実施形態の収容空間179は密閉状に構成されていたが、密閉状でなくてもよい。例えば、外筒体及び支持板に貫通孔を設け、当該貫通孔からヒータ等を挿入してもよい。また、収容空間に断熱材等を配してもよい。
(5)実施形態の内筒体171は透光性を有しているが、中心軸方向の半分を非光透過性フィルムで被覆して受光できる流路長を変更するようにしてもよい。
【0030】
5.光源ユニット
光源ユニットについて詳細に説明していないが、既存のランプを利用することができる。この際、ランプ表面を非光透過フィルムで覆い、光の主射領域を選択するようにしてもよい。
光源ユニットの光源としてLEDを好適に利用できる。特に、光反応に適した波長のLEDを用いることで、効率よく光反応を生じさせることができる。また、指向性の強いLEDを利用することで、効率よく光反応を生じさせることができる。
【0031】
6.ポンプ
実施形態では、流路管に液体等を送出するポンプについて説明していない。光反応装置は、流路ユニット、光源ユニット及びポンプユニットを備えてもよい。なお、ポンプユニットの液体の送出量と流路管の内径とを調整して、流路管内で乱流を生じるようにしてもよい。
7.被光反応物質及び液体(流体)
実施形態では被光反応物質について特に説明していないが、LEDやランプから出射される光により反応を起こすものであればよく、特に限定するものではない。なお、ここでいう反応には、化学反応(例えば、結合、解離、発光、酸化、還元、合成等である。)、殺菌、細胞の成長、発光、発電等を含むが、これら以外のものも含む。
被光反応物質は、気体であってもよいし、液体であってもよいし、固体であってもよいし、これらが混ざったものでもよい。被光反応物質が、例えば、色素分子(クロロフィル分子等)のような気体の場合、当該気体を流体として流動させてもよい。被光反応物質が、例えば、オゾンのような気体の場合、当該気体を含んだ液体(例えば、ハロメタン等)を流体として流動させてもよい。バクテリアのような物質(固体)の場合、固体を含んだ液体(例えば水等)や固体を含んだ気体(例えば空気等)を流体として流動させてもよい。
なお、被光反応物質が液体の場合、例えば、反応を促進する促進物質等の他の物質(固体、液体、気体)を含んでもよい。また、流体は、例えば、被光反応物質を含んだ液体間に気体を入れて、液体が気体で区切られてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 光透過性流路ユニット
3 流路管
5 支持具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8