(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6453952
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】自動異状報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20190107BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 C
G08B23/00 530C
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-154315(P2017-154315)
(22)【出願日】2017年8月9日
(62)【分割の表示】特願2014-5660(P2014-5660)の分割
【原出願日】2014年1月16日
(65)【公開番号】特開2017-224332(P2017-224332A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川西 庄一郎
【審査官】
松平 英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−009149(JP,A)
【文献】
特開2003−163666(JP,A)
【文献】
特開平09−251586(JP,A)
【文献】
特開2007−020255(JP,A)
【文献】
特開2008−193526(JP,A)
【文献】
特開2011−009890(JP,A)
【文献】
特開2013−008194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00−31/00
H03J 9/00−9/06
H04B 7/24−7/26
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 9/00−9/16
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に配設されて異状を感知すると異状感知信号を送出する異状感知手段と、
該異状感知手段からの異状感知信号に基づいて異状報知する異状受信手段と、を具備する自動異状報知設備において、
停電を検出する停電検出手段と、
停電時に電力を供給する予備電源と、
前記停電検出手段が停電を検出し、且つ、前記異状感知信号に基づいて前記異状受信手段が異状と判断したときに、バックアップモードを指令する制御手段と、
無線通信するための送受信手段とアンテナとを有する複数の中継器と、
を備え、
前記中継器は、前記バックアップモードの指令を受信したときに前記予備電源から供給される電力が通電され、複数の無線通信手段の通信を中継することを特徴とする自動異状報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異状発生時に、停電となっても防災センタ要員が現場の状況を確認できる自動火災報知設備の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
防火対象物である建築物には、火災等の異状を自動的に感知して警報を報知する自動警報設備としての自動火災報知設備(以下、自火報設備という)が設置される。この自動火災報知設備は停電となっても所定時間機能を維持するための電力源として、火災受信機に二次電池から成る予備電源を備える。停電時の予備電源容量を定める日本国の技術上の規格では、停電時は、少なくとも監視状態を60分間維持した後に、火災発生による警報状態を10分間以上維持せねばならないことが定められている。
【0003】
一方、防火対象物においては、異状発生時に備えて自衛組織として自衛消防隊が組織され、自火報設備の報知により火災等の異状を覚知すると、現場確認や初期消火といった初期対応をはじめ、避難誘導、所轄消防への通報、等を消防計画に従って行う。異状覚知後、例えば、自衛消防隊の隊員は、防災センタ要員と連絡を取りながら、現場確認、消火器や屋内消火栓による初期消火といった初期対応にあたらねばならない。
【0004】
しかしながら、停電中に異状が発生すると、内線電話等の構内通話手段や、携帯電話やPHSといった通信インフラが機能しなくなり、異状発生現場に急行した自衛消防隊の隊員が防災センタと連絡できなくなる虞がある。このような事態に陥った場合、防災センタ要員は現場の状況を把握できず、また、自衛消防隊の隊員が異状発生現場に急行できたとしても、防災センタへ現場の状況を連絡することができない。
【0005】
そこで、停電となっても所定時間機能を維持するための予備電源を備えた自火報設備を利用し、停電中であっても、現場の音声を防災センタで取得できるようにすることが考えられる。
【0006】
例えば、特許文献1には、停電時の作用・効果は記載されていないものの、火災感知器周囲の音声を入力するマイクを備えた火災感知器に関する発明が開示されている。そして、火災感知器のマイクに入力された音声は、防災センタの火災受信機に送られてスピーカから出力され、この出力によって防災センタの防災要員が火災か非火災かを判断する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、上記のように火災感知器周囲の音声を取得する構成を駆動することによって電力を消費する。このため、火災受信機が備える予備電源は、停電時に所定時間は自火報設備を機能し得るものではあるが、火災の有無にかかわらず自火報設備が機能を維持できる時間が短縮してしまう。そして、監視状態と警報状態の両方の期間で、火災感知器周囲の音声を取得する上記構成が余分に消費する電力を賄うだけの大容量の予備電源が備えることが要求されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−074536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1に記載の従来技術では、火災感知器周囲の音声を取得する構成が電力を消費するので、特に大容量の予備電源を備えない限り、停電時は自火報設備を所定時間維持することができず、本来機能を維持できる所定時間に満たない時間で、電力不足によるシステムダウンを招く。
【0010】
そこで本発明の発明者は鋭意検討し、停電となり、且つ、火災等の異状が発生した場合にだけ、上記構成を作動させれば足ることを見出した。本発明は上記知見に基づいて成されたものであり、停電となって通信インフラが機能しない場合であっても、最小限の電力消費で防災センタ要員が現場の状況を確認できる自動火災報知設備を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る自動火災報知設備は、建築物に配設されて火災を感知すると火災感知信号を送出する火災感知器と、該火災感知器からの火災感知信号に基づいて火災報知する火災受信機と、を具備する自動火災報知設備において、前記火災受信機は、停電を検出する停電検出部と、停電時に電力を供給する予備電源と、前記火災感知器から音響信号を受信したときに該音響信号を音響として出力する音出力部と、前記停電検出部が停電を検出し、且つ、前記火災感知信号に基づいて火災と判断したときに、前記火災感知器へバックアップモードを指令する制御部と、を有し、前記火災感知器は、周囲の音を前記音響信号として取得する集音部と、前記火災受信機から前記バックアップモードの指令を受信したときに、前記集音部に通電し、前記音響信号を前記火災受信機へ送出させるように制御する制御部と、を有すること、を特徴とする。
【0012】
(2)また、本発明に係る自動火災報知設備は、(1)において、前記集音部が取得して送出した前記音響信号を解析して救助を要する音声を認識する音声識別手段を前記火災受信機に備えることを特徴とする。
【0013】
(3)また、本発明に係る自動火災報知設備は、(1)、(2)において、前記火災感知器は、前記バックアップモードの指令を受信したときに通電され、前記火災受信機から音声信号を受信したときに該音声信号を音声として出力する拡声部を有することを特徴とする。
【0014】
(4)また、本発明に係る自動火災報知設備は、(1)〜(3)において、前記火災受信機と前記火災感知器との間に介在して通信を中継し、前記火災感知器との間で無線通信を行う中継器を有し、前記火災感知器は、電池電源と、前記火災受信機と通信するために前記中継器と無線通信を行う送受信部と、を有する無線式の火災感知器であることを特徴とする。
【0015】
(5)また、本発明に係る自動火災報知設備は、(1)〜(4)において、前記火災受信機に接続され、前記バックアップモードの指令を受信したときに、無線通信装置の電波を互いに中継する複数の中継器を有することを特徴とする。
【0016】
(6)また、本発明に係る自動火災報知設備は、(4)、(5)において、予備電源を有し、前記バックアップモードの指令を受信したときに前記予備電源で駆動される前記中継器を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動火災報知設備は、上記(1)の構成によれば、停電となって通信インフラが機能しなくも、火災時には防災センタで火災感知器周囲の音を聞くことができるので、現場状況や声を出して助けを求める要救助者の存在を知ることができる。
【0018】
また、本発明に係る自動火災報知設備は、上記(2)の構成によれば、要救助者の存在を自動的に検出することができる。
【0019】
また、本発明に係る自動火災報知設備は、上記(3)の構成によれば、現場とコミュニケーションすることができる。
【0020】
また、本発明に係る自動火災報知設備は、上記(4)の構成によれば、地震等によって火災感知器の信号線が断線することがないので、火災感知器が機能停止することがない。
【0021】
また、本発明に係る自動火災報知設備は、上記(5)の構成によれば、停電となって通信インフラが機能しなくも、火災時には建築物内で無線通信装置の通信を可能とする。
【0022】
また、本発明に係る自動火災報知設備は、上記(6)の構成によれば、停電となっても、火災時には中継器が自己の予備電源で駆動されるので火災受信機の予備電源の電力を消費しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】火災受信機10の構成を示すブロック図である。
【
図2】火災感知器20の構成を示すブロック図である。
【
図3】火災感知器21の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例における自火報設備の全体構成を示す図である。
【
図7】変形例における自火報設備の全体構成を示す図である。
【
図8】変形例における自火報設備の全体構成を示す図である。
【
図9】変形例における自火報設備の全体構成を示す図である。
【
図10】変形例における自火報設備の全体構成を示す図である。
【
図11】本発明に係る自火報設備における音伝送の動作フロー図である。
【
図12】本発明に係る自火報設備における無線設備バックアップの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.実施形態
1−1.自火報設備の構成
まず、本実施形態に係る自火報設備の構成について、
図1、2、6に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態の自火報設備は、防火対象物である建築物に配設されて火災を感知すると火災感知信号を送出する複数の火災感知器20を有する。例えば、
図6における各階FL1〜3には、それぞれ階番号を付して火災感知器20−1〜20−3が設けられる。また、火災感知器20からの火災感知信号を受信すると、この火災感知信号に基づいて火災報知する火災受信機10とを有する。火災受信機10には、火災感知器20と通信するための信号線Lが接続される(
図6参照)。
【0026】
火災受信機10は、自機を含めて自火報設備へ電力を供給する電源部11を有する。電源部11は、自火報設備専用の商用電源の停電を検出する停電検出部13と、停電時に電力を供給する二次電池から成る予備電源12と、電力を出力する図示しない電源装置、例えば安定化電源装置とを有する。電源部11は、平常時は専用の商用電源を電力源とすると共に二次電池から成る予備電源12を充電し、停電時は予備電源12を電力源とする。また、停電検出部13は、停電を検出すると、電源部11の電力源を予備電源12に切り換えると共に、停電信号を後述する制御部14へ送出する(
図1参照)。
【0027】
また、火災受信機10は、火災感知器20と通信するために信号線Lに接続される通信部15を有する。また、手動操作を行うための操作部18と、火災時に点灯する火災代表灯、火災地区を表示する地区表示部、商用電源での動作中を示す交流電源灯、等の動作状況を表示する表示部19とを有する。また、後述する火災感知器20周囲の音を出力する音出力部16を有する。
【0028】
火災感知器20は、火災による物理現象、例えば、所定値以上の温度、所定値以上の温度上昇率、所定値以上の煙濃度、等を検出して火災を感知する公知の感知部27を有し、火災を感知するとその旨を制御部24へ送出し、火災を感知したと判断した制御部24は、通信部25と信号線Lとを介して火災感知信号を火災受信機10へ向けて送出する。
【0029】
また、火災感知器20は、火災感知器20周囲の音を音響信号として所得し、通信部25と信号線Lとを介して音響信号を送出する集音部22を有する。この集音部22は、平常時は通電されずに電力を消費しない。そして、停電時に、火災受信機10が火災と判断したときに指令するバックアップモードを受けたときに通電するように、制御部24に制御される。
【0030】
次に、本実施形態に係る自火報設備の動作について、
図1、2、6、11に基づいて説明する。なお、自火報設備としての動作は、周知事項であるので省略する。
【0031】
火災受信機10の電源部11は、平常時は専用の商用電源を電力源として火災受信機および信号線Lを介して火災感知器20へ電力を供給している。そして、停電検出部13が停電を検出すると(S101)電力源を予備電源12に切り換え、電源部11は火災受信機10および信号線Lを介して火災感知器20へ電力を供給する。
【0032】
火災受信機10は、停電検出部13が停電を検出し(S101のYes)、且つ、火災感知器20からの火災感知信号に基づいて火災受信機10が火災と判断したとき(S102のYes)、火災受信機10の制御部14は通信部15を介して火災感知器20へバックアップモードを指令し、このバックアップモードの指令を受信したときに火災感知器20は、集音部22に通電し(S103)、火災感知器20周囲の音を音響信号として取得し、火災感知器20の制御部24は、この音響信号を、通信部25を介して火災受信機10へ送出するように制御する(S104)。そして、火災感知器20からの音響信号を受信したとき、火災受信機10は、この音響信号を音響として音出力部16より出力する。
【0033】
このとき、防災センタ要員2は、火災感知器20周囲の音、例えば在館者1の助けを求める声などを聞くことができるので、現場の状況を知ることができ、要救助者の存在を認識することもできる。
【0034】
その後、火災受信機10の停電検出部13が停電回復を検出したとき(S105のYes)、又は、非火災であったり火災が鎮火したりして火災受信機10において火災復旧操作が行われたとき(S106のYes)、火災感知器20の制御部24は集音部22への通電を停止し、平常状態に復する。
【0035】
このように、本実施形態の自火報設備は、停電によって通信インフラがシステムダウンしたような場合であっても、火災時には火災感知器20周囲の音を防災センタにて火災受信機10を介して防災センタ要員2が聞くことができるので、現場の状況を知ることができる。
【0036】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0037】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、火災受信機10が音声入力部17を(
図1参照)、火災感知器20が拡声部23を(
図2参照)、それぞれ備えるようにし、火災感知器20が前記バックアップモードの指令を受信したときに拡声部23が集音部22と同様に通電され、火災受信機10の音声入力部17に入力された音声を音声信号として火災感知器20へ送出し、火災受信機10からのこの音声信号を火災感知器20が受信したときにこの音声信号を音声として拡声部23より出力するようにしてもよい(
図11参照)。
【0038】
このようにすることにより、停電によって通信インフラがシステムダウンしたような場合であっても、火災時には、防災センタ要員2の音声を火災感知器20周囲に拡声することができるので、適切な指示を伝達することができる。また、火災時には、火災感知器20周囲の音を防災センタにて火災受信機10を介して防災センタ要員2が聞くことができるので、現場と通話によるコミュニケーションを行うこともできる(
図6、7参照)。
【0039】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、火災受信機10と火災感知器20との間に介在して通信を中継し、火災感知器20との間で無線通信を行う中継器30を設けるようにしてもよい。中継器30は、信号線Lを介して火災受信機10と通信するための通信部36と、火災感知器21と無線通信するための送受信部37とアンテナ38と、これらを制御するための制御部35と、を有する。このとき、電力源としての電池28と、火災受信機10と通信するために中継器30と無線通信を行う送受信部26とアンテナ29と、を有する無線式の火災感知器21を、火災感知器20に代えて設けるようにする(
図3、4、8、9参照)。
【0040】
このようにすることにより、変形例1と同様に、停電によって通信インフラがシステムダウンしたような場合であっても、火災時には、防災センタ要員2の音声を火災感知器20周囲に拡声することができるので、適切な指示を伝達することができる。また、変形例1と同様に、火災時には、火災感知器20周囲の音を防災センタにて火災受信機10を介して防災センタ要員2が聞くことができるので、現場と通話によるコミュニケーションを行うこともできる(
図8、9参照)。
【0041】
そして、変形例1とは異なって火災感知器21は無線通信で自火報設備と接続されるので、地震等によって、火災感知器の信号線が断線することがなく、信号線の断線によって火災感知器が機能停止することがない。
【0042】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、火災受信機10に接続され、前記バックアップモードの指令を受信したときに、自衛消防隊あるいは公設消防隊等の隊員3が携帯する無線通信装置の電波を互いに中継する複数の中継器31を設けるようにしてもよい。すなわち、中継器31は、火災受信機10の停電検出部13が停電を検出し(S201のYes)、且つ、火災受信機10が火災と判断したとき(S202のYes)に通電され(S203)、停電によって無線設備の通信インフラがシステムダウンした場合であっても、これをバックアップして中継通信を可能とする(S204)。中継器31は、信号線Lを介して火災受信機10と通信するための通信部36と、無線通信装置と無線通信するための送受信部37とアンテナ38と、これらを制御し、複数の中継器31を介して無線通信装置の通信を中継するように制御する制御部39と、を有する(
図5、10、12参照)。
【0043】
その後、火災受信機10の停電検出部13が停電回復を検出したとき(S205のYes)、又は、非火災であったり火災が鎮火したりして火災受信機10において火災復旧操作が行われたとき(S206のYes)、中継器31の制御部39は中継器31への通電を停止し、平常状態に復する(
図12参照)。
【0044】
このようにすることにより、停電によって、自衛消防隊あるいは公設消防隊等の隊員が携帯するような無線通信装置の通信インフラとしての無線設備(親局)がシステムダウンしたような場合であっても、火災時には、上記無線設備(親局)をバックアップすることができる。
【0045】
2−4.変形例4
上述した変形例2、3において、中継器30又は中継器31は火災受信機10より電力の供給を受けているが、中継器30又は中継器31が自機を駆動する電源部32を有するようにしてもよい。そして、この電源部32は、自火報設備専用の商用電源の停電を検出する停電検出部34と、停電時に電力を供給する二次電池から成る予備電源33と、電力を出力する図示しない電源装置、例えば安定化電源装置とを有する。電源部32は、平常時は専用の商用電源を電力源とすると共に予備電源33を充電し、停電時は予備電源33を電力源とする。また、停電検出部34は、停電を検出すると、電源部32の電力源を予備電源33に切り換える(
図5参照)。
【0046】
そして、停電検出部34が停電を検出し、且つ、火災受信機10から火災と判断した旨の信号、又は、前記バックアップモードの指令を受信したとき、以下のように動作させる。すなわち、変形例2における中継器30の場合は、中継器30が火災感知器20又は21へバックアップモードを指令するようにする。また、変形例3における中継器31の場合は、中継器31に通電し、上記無線設備(親局)をバックアップする。
【0047】
このようにすることにより、停電時に中継器30、31は火災受信機10の予備電源の電力を消耗することがなく、停電時の電力源である予備電源を火災受信機10と中継器30、31に分散して配置することができる。ひいては、火災受信機10の予備電源12を小型化したり、火災受信機10および中継器30、31に大容量の予備電源を設けて停電時の動作可能時間を延長したりすることができる。
【0048】
2−5.変形例5
上述した実施形態において、感知器20、21の集音部22が取得した音響信号を解析し、鳴き声、悲鳴、助けを求める言葉など、救助を要する音声を認識する音声識別手段を火災受信機10の制御部14に設けるようにしてもよい。
【0049】
このようにすることにより、身体が不自由である、怪我をして動けない、等の理由で避難できずに取り残されたなど、要救助者の存在を検出することができる。このように要救助者を検出した場合、火災受信機10の、表示部19および図示しない警報音出力手段で自動的に警報するようにしておけば、必ずしも音出力部16を備えなくともよい。
【符号の説明】
【0050】
1…在館者、2…防災センタ要員、3…隊員、4…無線通信装置、10…火災受信機、11、32…電源部、12、33…予備電源、13、34…停電検出部、14、24、35、39…制御部、15、25、36…通信部、16…音出力部、17…音声入力部、18…操作部、19…表示部、20、21…火災感知器、22…集音部、23…拡声部、26、37…送受信部、27…感知部、28…電池、29、38…アンテナ、30、31…中継器、L…信号線、FL1〜3…1〜3階。