(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る車両用内装部品の詳細を説明する。本実施形態に係る車両用内装部品は、運転席の前方に位置するフロントピラー(Aピラー)2に配置されるフロントピラートリム1である。このフロントピラートリム1は、乗員、例えば運転者に注意喚起を促すための表示機能を備えている。ここで、
図1は、運転席前方の車室内の構成を示す説明図であり、
図2は、フロントピラートリム1の要部を拡大して示す説明図である。
図3は、フロントピラートリム1を含む車両要部の断面状態を模式的に示す説明図である。
【0014】
フロントピラー2は、金属製の車体骨格部材(車体部材)である。フロントピラー2は、車体側部に形成されたサイドドア開口部における車両前後方向の前縁部に、略車両上下方向に沿って設けられている。フロントピラー2は、角筒状の柱体であり、ピラーインナパネル2aとピラーアウタパネル2bとで構成されている。ピラーインナパネル2aは、車両幅方向内側に配置され、フロントピラー2の内板を構成している。ピラーアウタパネル2bは、ピラーインナパネル2aの車両幅方向外側に配置され、フロントピラー2の外板を構成している。フロントピラー2を境に、車両前後方向の前方にフロントウインドガラスAが位置付けられ、その後方にフロントサイドドアが備えるサイドウインドガラスBが位置付けられる。
【0015】
フロントピラートリム1は、車両の室内側に表面が露出するようにフロントピラー2に沿って配置される。フロントピラートリム1は、内装部品本体であるトリム本体10と、表示部20とで構成されている。
【0016】
トリム本体10は、略U字状に屈曲した断面形状を有する板状部材であり、例えばポリプロピレン(PP)などの合成樹脂を射出成型して形成されている。このトリム本体10は、凸状の外形を有する湾曲外側面(表面)が車両の室内側に露出し、凹状の外形を有する湾曲内側面(裏面)がフロントピラー2と対向するように配置される。トリム本体10の裏面の所定位置には取付クリップ(図示せず)が設けられている。この取付クリップをフロントピラー2の係合部位に係合することで、トリム本体10がフロントピラー2に支持される。
【0017】
トリム本体10は、フロントピラー2の長手方向に沿った横長平面である3つの面部(第1の面部10a、第2の面部10b及び第3の面部10c)を主体に構成されている。各面部10a,10b,10cの間には、所定の曲率を備える湾曲部10d,10eが設けられており、3つの面部10a,10b,10cが湾曲部10d,10eを介して一体的に形成されている。ここで、第1の面部10aと第2の面部10bとは湾曲部10dを介して互いに連なり、第2の面部10bと第3の面部10cとは湾曲部10eを介して互いに連なっている。
【0018】
トリム本体10がフロントピラー2に沿って配置された場合、第1の面部10aは、車両前後方向後側に面し(以下「後側面部10a」という)、第2の面部10bは、車両幅方向内側に面し(以下「内側面部10b」という)、第3の面部10cは、車両前後方向前側に面する(以下「前側面部10c」という)。このように、3つの面部10a,10b,10cは、これらの面部10a,10b,10cの面する向きがそれぞれ異なるように設定されている。なお、各面部10a,10b,10cの面する向きは、これらの3つの面部10a,10b,10cのなかでの相対的な関係である。すなわち、個々の面部10a,10b,10cが主としてその向きに面しているのであり、その面と正対している状態のみを意図するものではない。
【0019】
表示部20は、トリム本体10に配置されており、乗員に対する表示を行うものである。本実施形態の表示部20は、トリム本体10の一部を裏面側から透過照明することで、トリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。この表示部20は、光源部21と、カバー23と、透過部24とを主体に構成されている。
【0020】
光源部21は、トリム本体10に対して裏面側から光を照射する光源であり、例えばLEDを用いることができる。光源部21は、プリント基板22に実装されており、図示しないコントローラからの駆動信号に応じて点灯又は消灯が切り換えられる。このプリント基板22は、光源部21の光軸中心と運転席方向とが対応するように、カバー23の内部の所要の位置に収容されている。
【0021】
カバー23は、プリント基板22を収容するとともに、光源部21から出射された光を漏れなく透過部24へと導くためのものである。カバー23は、円錐状の椀形状を備えており、透過部24を覆うようにトリム本体10の裏面側に当接されている。カバー23の開口形状は、透過部24の外縁形状と対応するように設定されている。なお、カバー23の内側面を反射面に仕上げることで、光源部21からの光を開口側に向けて反射させるリフレクタとしてカバー23を利用することも可能である。
【0022】
透過部24は、トリム本体10の一部に設定されており、光源部21の光により透過照明されることでトリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。本実施形態に係る透過部24は、カバー23によって閉塞される範囲としてその領域が確定される。
【0023】
本実施形態の特徴の一つとして、透過部24は、トリム本体10の所定の範囲、具体的には後側面部10aと内側面部10bとに跨がる範囲に設定されている。換言すれば、透過部24は、湾曲部10dの湾曲範囲Raを含み、当該湾曲範囲Raから後側面部10a及び内側面部10bへとそれぞれ一定の長さだけ拡張した範囲に設定されている。
【0024】
各面部10a,10bに拡張する透過部24の範囲は、湾曲部10dの湾曲範囲Raの大きさや、透過部24を通じた表示全体の視認性等を考慮して決定されるものであるが、例えば5mm以上の大きさに設定することができる。これにより、各面部10a,10bに表れる表示範囲(透過光が認識される範囲)を一定の大きさで確保することができる。
【0025】
さらに、透過部24は、フロントピラー2に配設された状態のトリム本体10において、車両上下方向下側の所定範囲に設定されている。例えば、透過部24は、トリム本体10の下端から200mm以内の範囲に設定されるといった如くである。
【0026】
トリム本体10上側の所定範囲には、フロントピラー2との間に、車両の側方からの衝突に対して乗員を保護するカーテンエアバッグシステムの袋体が収容されており、当該袋体の展開時にはトリム本体10が破断するように構成されている。そのため、透過部24(表示部20)は、この袋体との干渉を避ける必要がある。また、透過部24(表示部20)をトリム本体10下側に配置することで、表示部20の位置と、前方からドラミラーCへと至る運転者の視線軌跡とを対応させることができる。これにより、ドラミラーCへの視線移動上に表示部20が含まれることとなる。
【0027】
このような構成のフロントピラートリム1によれば、光源部21が点灯することで、トリム本体10の裏面側から、透過部24が照明される。透過部24に照射された光は透過部24を透過し、その透過光がトリム本体10の表面側から視認されることとなる。これにより、透過光を通じて、運転者に対して注意喚起を促すことができる。例えば、後側方からの車両が接近するといったケースでは、その車両と対応する側のフロントピラートリム1の表示部20を用いて表示を行うといった如くである。これにより、右後方又は左後方といった方向とともに車両の接近に対する注意を喚起することができる。
【0028】
このように本実施形態において、表示部20、すなわち表示部20の表示範囲(透過部24介して透過光が視認される範囲)が、後側面部10aと内側面部10bとに跨がる範囲に設定されている。
【0029】
この構成によれば、2つの面部10a,10bに跨がることで、表示部20の面積を幅広く確保することができる。これにより、視認性の向上を図ることができる。特に、車両前後方向後側に面する後側面部10aと、車両幅方向内側に面する内側面部10bとは、フロントピラー2の斜め後方に位置する運転席からの視認性に優れている。そのため、表示部20の視認性を高めることができる。
【0030】
また、トリム本体10を構成する各面部10a,10b,10cは、その表面側が互いに外向きで、かつ互いの面が異なる方向を向いて構成されている。そのため、室内に外乱光が入射した場合であっても、表示部20が跨がる2つの面部10a,10bに対して同時に外乱光が照射されるといった事態は少ない。
【0031】
フロントピラー2においては、フロントウインドガラスAやサイドウインドガラスBから入射する外乱光が問題となる。外乱光の入射方向には様々なパターンが考えられるが、後側面部10aに向けて外乱光が入射する場合であっても、その外乱光は、湾曲部10dの接線方向に沿って通過するのが限界であり、湾曲部10dを介して奥側に位置する内側面部10bには届きにくい。一方、内側面部10bに向けて外乱光が入射する場合であっても、その外乱光は、湾曲部10dの接線方向に沿って通過するのが限界であり、湾曲部10dを介して奥側に位置する
後側面部10aには届きにくい。
【0032】
そのため、外乱光によってフロントピラートリム1が照らされるような場合であっても、少なくとも一方の面部10a,10bについては外乱光の影響が緩和されるので、表示部20のうち当該面部10a,10bに拡張した範囲については外乱光の影響を受けにくくなる。したがって、表示部20の全域が外乱光によって照らし出され、その視認性が低下するといった事態を抑制することができる。すなわち、本実施形態の表示部20によれば、外乱光に影響されず、表示部20の全部又は一部を視認することができるので、乗員からの視認性に優れる表示を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態において、表示部20は、トリム本体10に対して裏面側から光を照射する光源部21と、トリム本体10の一部に設定され、光源部21の光により透過照明されることで当該トリム本体10の表面側から視認可能な表示を行う透過部24と、を有している。
【0034】
この構成によれば、透過照明を用いた表示態様を採用しているので、光源部21を点灯した場合にのみ、トリム本体10上で表示部20が視認可能となる。一方で、光源部21の非点灯時には、トリム本体10において表示部20が表れない。これにより、表示部20が室内側に露出することによる見栄えの悪化を抑制しつつも、必要な表示を適切に行うことができる。
【0035】
また、本実施形態において、表示部20は、トリム本体10において車両上下方向下側の所定範囲に設定されている。
【0036】
表示部20をトリム本体10の車両上下方向上側に設定する場合、上方にいくにつれて表示部20が運転者に接近するため、その表示を運転者が煩わしく感じることがある。また、トリム本体10内に収容されるカーテンエアバッグシステムの袋体と干渉する可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、運転者から適当に離れた位置で表示が行われるので、煩わしさを感じ難く、また、カーテンエアバッグシステムの袋体との干渉を避けることができる。さらに、ドラミラーCへの視線移動上に表示部20が含まれることになるので、表示部20の視認性を高めることができるとともに、安全確認動作を行う際の自然な視線の動きのなかで表示部20を確認することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るフロントピラートリム1について説明する。ここで、
図4は、第2の実施形態に係るフロントピラートリム1を含む車両要部の断面状態を模式的に示す説明図である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行うこととし、重複する内容についての説明は省略する。
【0038】
本実施形態に係るフロントピラートリム1は、トリム本体10と、表示部20Aとで構成されている。ここで、トリム本体10の構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態に示すものよりも板厚が大きいといったように、光の透過率が低いものに好適である。
【0039】
表示部20Aは、トリム本体10に配置されており、乗員に対する表示を行うものである。この表示部20Aは、第1の実施形態と同様、トリム本体10の一部を裏面側から透過照明することで、トリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。この表示部20Aは、光源部21と、カバー23と、透過部24と、補強部材25とを主体に構成されており、透過部24の構成、及び補強部材25を備える点において第1の実施形態と相違している。
【0040】
透過部24は、トリム本体10の一部に設定されており、光源部21の光により透過照明されることでトリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。この透過部24は、第1の実施形態と同様、後側面部10aと内側面部10bとに跨がる範囲に設定されている。
【0041】
本実施形態の特徴の一つとして、透過部24は、光の透過性を高めるため、トリム本体10の厚みが相対的に薄くなるような薄肉状に形成されている。すなわち、透過部24は、トリム本体10の一部の領域を薄肉化して形成されている。
【0042】
一方で、薄肉化した場合には透過部24の強度が低下することから、透過部24に対応するトリム本体10の裏面側には、これを補強するために透明板状の補強部材25が配設されている。補強部材25は、例えばポリカーボネート等の透光性樹脂を射出成型したものであり、透過部24に対応するトリム本体10の裏面側に密着するように所要の湾曲形状に形成されている。
【0043】
補強部材25は、トリム本体10の強度を担保するという観点から、薄肉化された板厚相当の厚みを備えていることが好ましいが、一定の強度を確保できるのであれば、これに限られるものでない。
【0044】
この補強部材25の湾曲内側面(裏面)には、ロゴ部26が配設されている。ロゴ部26は、光源部21から出射される光のうち中央部(光軸中心及びその周縁)と対応するように配置されており、
図4に示す例では、後側面部10aと内側面部10bとの間に存在する湾曲部10dに設定されている。
【0045】
ロゴ部26は、透過部24における光の透過、或いは透過する光の色を規制することにより、光の濃淡又は色彩を通じてトリム本体10の表面側から一定の情報を視認させるものである。ロゴ部26は、トリム本体10よりも透過率の低い樹脂製フィルムや、所定の色の透光性フィルムなどで構成することができ、補強部材25に貼着されている。なお、ロゴ部26は、塗装、印刷などにより形成してもよい。
【0046】
ロゴ部26は、文字、記号、図形又は一定の内容を図案化して構成されており、運転者に対して注意喚起を促す情報を含んでいる。ここで、
図5は、ロゴ部26の構成を例示する説明図である。同図(a)は、感嘆符からなるロゴ部26を示し、同図(b)は、後側方からの車両の接近を図案化したロゴ部26を示している。
【0047】
このように本実施形態において、透過部24は、トリム本体10の一部の領域を薄肉化して形成され、光源部21の光により透過照明されることでトリム本体10の表面側から視認可能な表示を行っている。そして、表示部20Aは、透過部24を補強するために、トリム本体10の裏面側に配置される補強部材25を備えている。
【0048】
この構成によれば、透過部24、すなわち、トリム本体10の薄肉化された領域の強度を確保することができる。これにより、透過照明を利用した所望の表示を実現しながらも、トリム本体10の損傷や破損、変形といった不都合を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態において、表示部20Aは、補強部材25に配置され、光の濃淡又は色彩を通じてトリム本体10の表面側から所定の情報を視認させるロゴ部26をさらに有している。
【0050】
この構成によれば、単に光の点灯のみならず、ロゴ部26を透過することで生じる光の濃淡又は色彩により、乗員に所定の情報を視認させることができる。これにより、乗員に対して、より分かりやすい注意喚起を行うことが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態では、トリム本体10を薄肉化することで、透過部24の透過性を高めている。一方、
図6に示すように、トリム本体10は、トリム本体10の主要部をなす芯材11と、当該芯材11の表面に貼着したクロス等の表皮12とで構成されることもある。この場合には、芯材11の透過部24と対応する領域に開口を形成し、表皮12のみを残すことで、透過部24に対応する薄肉化を行ってもよい。このような構成であっても、トリム本体10の一部の領域を薄肉化した透過部24を構成することができる。
【0052】
また、本実施形態では、ロゴ部26は、補強部材25の裏面側に配置したが、補強部材25の湾曲外側面(表面)に配設してもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るフロントピラートリム1について説明する。ここで、
図7は、第3の実施形態に係るフロントピラートリム1を含む車両要部の断面状態を模式的に示す説明図である。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明を行うこととし、重複する内容についての説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係るフロントピラートリム1は、トリム本体10と、表示部20Bとで構成されている。ここで、トリム本体10の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0055】
表示部20Bは、トリム本体10に配置されており、乗員に対する表示を行うものである。この表示部20Bは、第1の実施形態と同様、トリム本体10の一部を裏面側から透過照明することで、トリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。この表示部20Bは、光源部21と、カバー23と、透過部24と、補強部材25と、レンズ部材27とを主体に構成されており、レンズ部材27を備える点において第2の実施形態と相違している。
【0056】
レンズ部材27は、補強部材25の裏面側に配設されており、光源部21からの光を制御する光学部材である。レンズ部材27は、例えばポリカーボネート等の透光性樹脂を射出成型して形成されており、後述する光学作用を得られるように所要の形状に設定されている。なお、レンズ部材27は、補強部材25と一体成形することが好ましく、これにより、部品点数を増やすことなく、光の制御を行うことができる。もっとも、レンズ部材27は、補強部材25と別体で構成することも可能である。
【0057】
レンズ部材27は、光源部21から出射される光のうち中央部の周囲に位置付けられる光を制御するべく、補強部材25の両端近傍にそれぞれ配置されている。具体的には、レンズ部材27は、後側面部10aの近傍に配置される第1の拡散部27aと、内側面部10bの近傍に配置される第2の拡散部27bとで構成されている。
【0058】
個々の拡散部27a,27bは、光源部21の光軸中心を境に対称に形成されており、入射面に入射した光を外側へと拡散させる機能を備えている。この拡散部27a,27bにより、光源部21からの光はさらに拡大し、光源部21からの光を透過部24の端部まで行き渡らせることができる。
【0059】
光拡散作用を備えるレンズ部材27は、光源部21から出射される光の中央部(光軸中心及びその周縁)には配置されていない。これにより、ロゴ部26を含む範囲においては、光源部21から出射されて光が拡散することなく、そのまま照射される。その結果、集光状態に近い光がロゴ部26を照射され、ロゴ部26の像を明瞭な状態で表示することができる。
【0060】
このように本実施形態において、表示部20Bは、光源部21から透過部24へと至る光路上に配置されて、光源部21からの光を制御する光学部材としてのレンズ部材27を備えている。ここで、レンズ部材27は、光源部21から出射される光のうち中央部の周囲に位置付けられる光を拡散させ、透過部24の大きさに合わせて拡大させる拡散部27a,27bを備えている。
【0061】
この構成によれば、レンズ部材27により光源部21からの光を制御することができる。特に、レンズ部材27を構成する拡散部27a,27bにより、光源部21からの光のうち中央部の周囲に位置付けられる光が外側へと拡散され、拡大した範囲で光が照射されることとなる。これにより、光源部21の照射範囲に比して透過部24の範囲が大きいような場合であっても、光源部21を追加するといったコストアップを招くことなく、当該透過部24の全域を適切に照明することができる。
【0062】
また、拡散部27a,27bは、光源部21からの光のうち中央部の光には作用しないので、ロゴ部26といった箇所では、集光された状態の光で照明することができる。これにより、ロゴ部26を明瞭な状態で表示することができるので、その表示内容を乗員に対して適切に知らしめることができる。
【0063】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係るフロントピラートリム1について説明する。ここで、
図8は、第4の実施形態に係るフロントピラートリム1を含む車両要部の断面状態を模式的に示す説明図である。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明を行うこととし、重複する内容についての説明は省略する。
【0064】
本実施形態に係るフロントピラートリム1は、トリム本体10と、表示部20Cとで構成されている。ここで、トリム本体10の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0065】
表示部20Cは、トリム本体10に配置されており、乗員に対する表示を行うものである。この表示部20Cは、第1の実施形態と同様、トリム本体10の一部に設定された透過部24が、光源の光により透過照射されることで、トリム本体10の表面側から視認可能な表示を行うものである。この表示部20Cは、光源部21と、カバー23と、透過部24と、補強部材25と、レンズ部材27と、反射部材28とを主体に構成されており、光源部21の配置と、反射部材28を備える点において第3の実施形態と相違している。
【0066】
光源部21は、トリム本体10に対して裏面側から光を照射する光源であり、本実施形態では、反射部材28に反射させた上で透過部24へと光を照射するように配置されている。
【0067】
反射部材28は、光源部21から照射された光を、透過部24へ向けて反射させるものである。この反射部材28は、樹脂基板にアルミニウムなどの金属膜を蒸着して反射面を形成したものであり、後述する光学作用を得られるように所要の形状に設定されている。
【0068】
反射部材28は、集光部28aと、この集光部28aの両側に配置される一対の拡散部28b,28cとで構成されている。
【0069】
集光部28aは、光源部21からの光を集光して透過部24へと導く反射面を形成している。集光部28aにおいて反射された光は、ロゴ部26及びその周囲を含む範囲に照射され、透過部24を透過した光が運転席方向へと導かれるように設定されている。
【0070】
拡散部28b,28cは、光源部21からの光を外側へと拡散して透過部24へと導く反射面を形成している。この拡散部28b,28cにより、光源部21からの光はさらに拡大し、光源部21からの光を透過部24の端部まで行き渡らせることができる。
【0071】
このように本実施形態において、表示部20Cは、光源部21から透過部24へと至る光路上に配置されて、光源部21からの光を制御する光学部材としての反射部材28を備えている。ここで、光源部21から出射される光のうち中央部に位置付けられる光を集光する集光部28aと、光源部21から出射される光のうち中央部の周囲に位置付けられる光を拡散させ、透過部24の大きさに合わせて拡大させる拡散部28b,28cを備えている。
【0072】
本実施形態によれば、反射部材28により光源部21からの光を制御することができる。特に、拡散部28b,28cにて、光源部21からの光のうち中央部の周囲に位置付けられる光が外側へと拡散され、拡大した範囲で光が照射されることとなる。これにより、光源部21の照射範囲に比して透過部24の範囲が大きいような場合であっても、光源部21を追加するといったコストアップを招くことなく、当該透過部24の全域を適切に照明することができる。
【0073】
また、集光部28aにより、光の集光が可能であるので、ロゴ部26といった箇所では、集光された状態の光で照明することができる。これにより、ロゴ部26を明瞭な状態で表示することができるので、その表示内容を乗員に対して適切に知らしめることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、反射部材28を利用することで、光源部21と透過部24との配置上の自由度が増加する。そのため、ピラーインナパネル2aとの間の収容スペースの形状に応じて、表示部20Cを自由にレイアウトすることが可能となる。これにより、様々な種類の車両への適用が可能となる。
【0075】
なお、本実施形態では、レンズ部材27と反射部材28とを共用しているが、反射部材28により所望の光学特性が得られる場合には、レンズ部材27を省略することも可能である。
【0076】
以上、本発明の実施形態にかかる車両用内装部品について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、本実施形態では、内装部品本体を、後側面部、内側面部及び前側面部とからなる三面構造としたが、後側面部及び内側面部を含む二面構造としてもよい。