特許第6454018号(P6454018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6454018高弾性ポリエステル変性ウレタン樹脂及びこれを含むクリアコート組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454018
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】高弾性ポリエステル変性ウレタン樹脂及びこれを含むクリアコート組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/42 20060101AFI20190107BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20190107BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20190107BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20190107BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   C08G18/42 002
   C08G18/42 030
   C08G18/42 069
   C08G18/73
   C08G18/75 010
   C08G18/75 080
   C09D175/06
   C09D133/14
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-534558(P2017-534558)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-505936(P2018-505936A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】KR2015003764
(87)【国際公開番号】WO2016104875
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0188540
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507310879
【氏名又は名称】ケーシーシー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ミョンキ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ボンイ・リ
(72)【発明者】
【氏名】チャンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンユン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョンウク・ユン
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535311(JP,A)
【文献】 特開平03−174479(JP,A)
【文献】 特開平06−212119(JP,A)
【文献】 特開平08−060094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
C09D 133/00−133/26
C09D 175/00−175/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の構成単位として、
(1)脂肪族多価アルコールと脂肪族多価酸及び脂環族多価酸とから得られるポリエステル由来単位、
(2)カプロラクトンポリオール由来単位、及び
(3)脂肪族ジイソシアネート由来単位
を含30〜200mgKOHの水酸基価及び1〜50mgKOH/gの酸価を有する、ポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項2】
脂肪族多価アルコールが、水酸基を2個以上有する炭素数3から12の脂肪族化合物1種以上である、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項3】
脂肪族多価アルコールが、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項4】
脂肪族または脂環族多価酸が、カルボン酸基を2個以上有する炭素数3から12の脂肪族多価酸1種以上、カルボン酸基を2個以上有する炭素数5から12の脂環族多価酸1種以上、またはこれらの混合物である、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項5】
脂肪族または脂環族多価酸が、ヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項6】
脂肪族ジイソシアネートが、2個のイソシアネート基を有する炭素数4から20の脂肪族または脂環族炭化水素化合物1種以上である、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項7】
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂。
【請求項8】
(a)脂肪族多価アルコールと脂肪族多価酸及び脂環族多価酸とを反応させて、ポリエステル中間体を合成する段階;及び
(b)前記合成されたポリエステル中間体、カプロラクトンポリオール及び脂肪族ジイソシアネートを反応させて、ポリエステル変性ウレタン樹脂を合成する段階
を含み、前記ポリエステル変性ウレタン樹脂は、30〜200mgKOHの水酸基価及び1〜50mgKOH/gの酸価を有する、ポリエステル変性ウレタン樹脂の製造方法。
【請求項9】
組成物の総100重量部を基準として、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のポリエステル変性ウレタン樹脂5〜30重量部;
シラン変性アクリルポリオール樹脂20〜60重量部;
硬化剤5〜30重量部;硬化触媒0.5〜3重量部;及び
溶剤10〜25重量部
を含むクリアコート組成物。
【請求項10】
シラン変性アクリルポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)が、5,000〜10,000であり、水酸基価が20〜120mgKOH/gであり、ガラス転移温度が10〜80℃である、請求項9に記載のクリアコート組成物。
【請求項11】
請求項9に記載のクリアコート組成物から形成された一つ以上のコーティング層を含む成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高弾性ポリエステル変性ウレタン樹脂及びこれを含むクリアコート組成物に関し、より詳しくは、ポリエステル樹脂に脂肪族イソシアネート及びカプロラクトンポリオールを導入し、耐チッピング性が向上した高弾性ポリエステル変性ウレタン樹脂、及び前記ポリエステル変性ウレタン樹脂を主剤樹脂として含むことにより、別途の中塗塗膜層形成工程を省略することができ、既存の塗装工法に比べて良好な塗膜外観とスクラッチ性、耐寒チッピング性、衝撃性などの優れた機械的物性を確保することができるクリアコート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車塗装システムでは、最終塗膜の耐寒チッピング性と衝撃性などの弾性を具現するため、中塗層に弾性を付与する塗料あるいはクリアコートにイソシアネート硬化剤を用いた2液型塗料を用いた。
【0003】
これに関して、エポキシ変性ポリエステル樹脂とブロックイソシアネート硬化剤を用いた自動車塗料用プライマー組成物(例えば、欧州登録特許第0152413号)及びポリウレタンディスパージョン樹脂とメチル化メラミン硬化剤を用いた自動車中塗用水溶性塗料組成物(例えば、韓国登録特許第0665882号)が開示されたことがあるが、中塗層を形成する別途の工程が要求され、工程の効率性が低下する問題がある。
【0004】
したがって、別途の中塗層を形成せずとしても、良好な塗膜外観とスクラッチ性、耐寒チッピング性、衝撃性などの優れた機械的物性を確保することができるので、工程の効率性を向上させることができる主剤樹脂及びクリアコート組成物の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来の技術の問題点の解決を図るものであって、ポリエステル樹脂に脂肪族イソシアネート及びカプロラクトンポリオールを導入し、耐チッピング性が向上した高弾性ポリエステル変性ウレタン樹脂、及び、前記ポリエステル変性ウレタン樹脂を主剤樹脂として含むことにより別途の中塗塗膜層形成工程を省略することができ、既存の塗装工法に比べて良好な塗膜外観とスクラッチ性、耐寒チッピング性、衝撃性などの優れた機械的物性を確保することができるクリアコート組成物、を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決すべく、本発明は、樹脂の構成単位として、(1)脂肪族多価アルコールと脂肪族または脂環族多価酸から得られるポリエステル由来単位、(2)カプロラクトンポリオール由来単位、及び(3)脂肪族ジイソシアネート由来単位を含む、ポリエステル変性ウレタン樹脂を提供する。
【0007】
本発明の他の側面によれば、(a)脂肪族多価アルコールと脂肪族または脂環族多価酸を反応させてポリエステル中間体を合成する段階;及び(b)前記合成されたポリエステル中間体、カプロラクトンポリオール及び脂肪族ジイソシアネートを反応させてポリエステル変性ウレタン樹脂を合成する段階を含むポリエステル変性ウレタン樹脂の製造方法が提供される。
【0008】
本発明のまた他の側面によれば、組成物の総100重量部を基準として、前記本発明のポリエステル変性ウレタン樹脂5〜30重量部;シラン変性アクリルポリオール樹脂20〜60重量部;硬化剤5〜30重量部;硬化触媒0.5〜3重量部;及び溶剤10〜25重量部を含むクリアコート組成物が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の側面によれば、前記クリアコート組成物から形成された一つ以上のコーティング層を含む成形品が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る新規なポリエステル変性ウレタン樹脂は、ポリエステル樹脂に脂肪族イソシアネート及びカプロラクトンポリオールを導入して高弾性且つ耐チッピング性が向上したものであって、これを適用したクリアコート組成物は、良好な塗膜外観とスクラッチ性、耐寒チッピング性、衝撃性などの優れた機械的物性を確保することができるので、中塗塗膜層形成工程を省略することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明のポリエステル変性ウレタン樹脂は、樹脂の構成単位として、(1)脂肪族多価アルコールと脂肪族または脂環族多価酸から得られるポリエステル由来単位、(2)カプロラクトンポリオール由来単位、及び(3)脂肪族ジイソシアネート由来単位を含む。
【0012】
前記脂肪族多価アルコールとしては、水酸基(-OH)を2個以上(例えば、2〜4個)有する炭素数3から12(より具体的には、炭素数4から10)の脂肪族化合物を単独または2種以上混合して用いることができ、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、及びこれらの組み合わせから選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0013】
前記脂肪族または脂環族多価酸としては、カルボン酸基(-COOH)を2個以上(例えば、2〜4個)有する炭素数3から12(より具体的には、炭素数4から10)の脂肪族多価酸または炭素数5から12(より具体的には、炭素数6から10)の脂環族多価酸を単独または2種以上混合して用いることができ、例えば、ヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸、及びこれらの組み合わせから選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0014】
前記カプロラクトンポリオールは、カプロラクトンから由来された線状ポリエステルジオールである。特に限定しないが、前記カプロラクトンポリオールは、重量平均分子量(Mw)が500〜1,500であり得る。重量平均分子量が1500を超過する場合、高粘度による作業性及び塗膜硬度が低下することがあり、500未満の場合、機械的及び化学的物性が低下することがある。
【0015】
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基(-N=C=O)を有する炭素数4から20(より具体的には、炭素数4から16)の脂肪族または脂環族炭化水素化合物を単独または2種以上混合して用いることができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びこれらの組み合わせから選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明のポリエステル変性ウレタン樹脂は、(a)脂肪族多価アルコールと脂肪族または脂環族多価酸を反応させてポリエステル中間体を合成する段階;及び(b)前記合成されたポリエステル中間体、カプロラクトンポリオール及び脂肪族ジイソシアネートを反応させてポリエステル変性ウレタン樹脂を合成する段階を含む方法によって製造され得る。
【0017】
本発明の一具体例によれば、前記(a)段階で脂肪族多価酸または脂環族多価酸のいずれか一つが用いられる場合、各成分の使用量は、(a)段階での反応物の総合100重量%を基準として、脂肪族多価アルコール40〜60重量%、脂肪族(または脂環族)多価酸40〜60重量%であってよいが、これに限定されるものではない。また、前記(a)段階で脂肪族多価酸と脂環族多価酸が共に用いられる場合、各成分の使用量は、(a)段階での反応物の総合100重量%を基準として、脂肪族多価アルコール30〜60重量%、脂肪族多価酸5〜40重量%及び脂環族多価酸30〜60重量%であってよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
また、本発明の一具体例によれば、前記(b)段階で各成分の使用量は、(b)段階での反応物の総合100重量%を基準として、ポリエステル中間体40〜70重量%、カプロラクトンポリオール20〜40重量%及び脂肪族ジイソシアネート5〜40重量%であってよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
前記ポリエステル変性ウレタン樹脂は、後述するところのように、本発明のクリアコート組成物の主剤樹脂として用いられ得る。主剤樹脂に適用される前記脂肪族イソシアネートにより主鎖にウレタン部分が導入され、カプロラクトンポリオールにより主鎖に柔軟な弾性部分を導入されることになるため、製造された高弾性のポリエステル変性ウレタン樹脂がクリアコート組成物の主剤樹脂として用いられる場合、耐チッピング性が向上され得る。
【0020】
前記ポリエステル変性ウレタン樹脂は、樹脂の総重量を基準として固形分含量が50〜70%であり、30〜200mgKOH/g(より具体的には、50〜100mgKOH/g)の水酸基価及び1〜50mgKOH/g(より具体的には、2〜20mgKOH/g)の酸価を有することができる。水酸基価が30mgKOH/g未満の場合、損失弾性率が増加して塗膜が柔らかくなることがあり、200mgKOH/gを超過する場合、塗膜の硬度が強化される反面、弾性率が低下され、耐チッピング性の低下の問題が発生することがある。また、酸価が前記範囲を外れる場合、分子量の減少によって塗膜の全般的な機械的及び化学的物性が低下され得る。また、特に限定しないが、耐チッピング性及びその他の物性が最適に発現されるため、前記ポリエステル変性ウレタン樹脂は重量平均分子量(Mw)が500〜5,000であってよい。
【0021】
本発明のまた他の側面によれば、組成物の総100重量部を基準として、前記ポリエステル変性ウレタン樹脂5〜30重量部;シラン変性アクリルポリオール樹脂20〜60重量部;硬化剤5〜30重量部;硬化触媒0.5〜3重量部;及び溶剤10〜25重量部を含むクリアコート組成物が提供される。
【0022】
本発明のクリアコート組成物には、前記ポリエステル変性ウレタン樹脂が5〜30重量部、好ましくは10〜28重量部、より好ましくは15〜25重量部で含まれ得る。5重量部未満の場合、最終塗膜に弾性と柔軟性が少なく付与され、耐スクラッチ性、耐衝撃性、耐チッピング性などの物性が低下することがあり、30重量部を超過する場合、最終塗膜の耐水性と硬度が低下することがある。
【0023】
前記シラン変性アクリルポリオール樹脂は20〜60重量部、好ましくは30〜55重量部、より好ましくは40〜50重量部で含まれ得る。20重量部未満の場合、最終塗膜の硬度と耐水性、耐候性などの物性が問題となることがあり、60重量部を超過する場合、耐衝撃性、耐チッピング性などの物性が低下することがある。
【0024】
また、前記シラン変性アクリルポリオール樹脂は、樹脂の総重量を基準として固形分含量が50〜80%であり、重量平均分子量(Mw)が5,000〜10,000であり、水酸基価が20〜120mgKOH/g、より具体的には50〜100mgKOH/gであってよい。また、そのガラス転移温度は10〜80℃、より具体的には10〜70℃であってよい。重量平均分子量(Mw)は、作業性及び機械的、化学的特性に密接な係わりがあり、前記範囲を外れる場合、作業性及び機械的、化学的物性が低下することがある。水酸基価は、塗料塗膜の架橋密度と密接な関連性がある。これは耐候性及び硬度に影響を及ぼし、前記範囲を外れる場合、耐候性及び硬度が低下することがある。
【0025】
前記硬化剤は、5〜30重量部、好ましくは10〜25重量部、より好ましくは15〜20重量部で含まれ得る。5重量部未満の場合、塗膜が柔らかくなるので硬度及び耐水性が低下することがあり、30重量部を超過する場合、塗膜が堅くなるので耐衝撃性及び耐チッピング性が低下することがある。
【0026】
特に限定しないが、前記硬化剤は、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシブトキシメチルメラミン、イミノメトキシメチルメラミン及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができる。
【0027】
前記硬化触媒は、0.5〜3重量部、好ましくは1〜2.5重量部、より好ましくは1.3〜2重量部で含まれ得る。0.5重量部未満の場合、硬化速度の低下によって架橋密度が低くなるので、硬度、耐水性、耐溶剤性などが低下することがあり、3重量部を超過する場合、硬化速度の増加によって塗膜が堅くなるので、耐衝撃性、耐チッピング性、再塗装付着低下の問題が発生することがある。
【0028】
特に限定しないが、前記硬化触媒は、ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができる。
【0029】
本発明のクリアコート組成物は、添加剤として、レベリング剤、光安定剤、貯蔵性改善剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものをさらに含むことができる。
【0030】
本発明の他の側面によれば、前記クリアコート組成物から形成された一つ以上のコーティング層を含む成形品が提供される。前記成形品は、金属または非金属材質であってよく、例えば自動車部品であってよい。
【0031】
以下、実施例及び比較例を介して本発明をより詳しく説明する。しかし、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
1.合成例1:ポリエステル変性ウレタン樹脂1の製造
温度計、撹拌装置を備えた合成用4つ口のフラスコに、ブタンジオール7g、ネオペンチルグリコール7g、トリメチロールプロパン4g、シクロヘキシルジカルボン酸12g、ヘキサンジカルボン酸7gを順次投入した後、窒素ガスを供給しながら210℃に徐々に昇温した。昇温後、反応物を固相の原料が完全に溶解されて透明な状態を保つまで維持し、その後、カラムの上部温度が下降したとき、キシレン還流条件で反応を進め、酸価10以下となったら冷却した後、キシレン24gで希釈した。中間体ポリエステル樹脂が準備された後、80℃以下でカプロラクトンポリオール20g、ヘキサメチレンジイソシアネート5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gを入れて100℃で反応させた。反応が進められるにつれてイソシアネートの含量が「0」になったとき、反応を終了した。合成されたポリエステル変性ウレタン樹脂の酸価は5mgKOH/g、水酸基価は77mgKOH/gであった。
【0033】
2.合成例2:ポリエステル変性ウレタン樹脂2の製造
温度計、撹拌装置を備えた合成用4つ口のフラスコに、ブタンジオール10g、ネオペンチルグリコール7g、トリメチロールプロパン4g、シクロヘキシルジカルボン酸11g、ヘキサンジカルボン酸6gを順次投入した後、窒素ガスを供給しながら210℃に徐々に昇温した。昇温後、反応物を固相の原料が完全に溶解されて透明な状態を保つまで維持し、その後、カラムの上部温度が下降したとき、キシレン還流条件で反応を進め、酸価40以下となったら冷却した後、キシレン22gで希釈した。中間体ポリエステル樹脂が準備された後、80℃以下でカプロラクトンポリオール20g、ヘキサメチレンジイソシアネート3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gを入れて100℃で反応させた。反応が進められるにつれてイソシアネートの含量が「0」になったとき、反応を終了した。合成されたポリエステル変性ウレタン樹脂の酸価は30mgKOH/g、水酸基価は150mgKOH/gであった。
【0034】
3.合成例3:ポリエステル変性ウレタン樹脂3の製造
温度計、撹拌装置を備えた合成用4つ口のフラスコに、ブタンジオール12g、ネオペンチルグリコール9g、トリメチロールプロパン4g、シクロヘキシルジカルボン酸9g、ヘキサンジカルボン酸4gを順次投入した後、窒素ガスを供給しながら210℃に徐々に昇温した。昇温後、反応物を固相の原料が完全に溶解されて透明な状態を保つまで維持し、その後、カラムの上部温度が下降したとき、キシレン還流条件で反応を進め、酸価80以下となったら冷却した後、キシレン24gで希釈した。中間体ポリエステル樹脂が準備された後、80℃以下でカプロラクトンポリオール20g、ヘキサメチレンジイソシアネート3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gを入れて100℃で反応させた。反応が進められるにつれてイソシアネートの含量が「0」になったとき、反応を終了した。合成されたポリエステル変性ウレタン樹脂の酸価は60mgKOH/g、水酸基価は280mgKOH/gであった。
【0035】
4.実施例1、2、3、4及び比較例1、2、3
前記合成例1、2、3で製造したポリエステル変性ウレタン樹脂1、2、3を用いて下記表1に示した組成で混合した後、最終粘度をフォードカップ#4で35秒に合わせて自動車用クリアコート組成物を製造した。電着面上に別に製造された自動車用水性塗料第1ベースコート(乾燥塗膜厚さ:12〜16ミクロン)及び第2ベースコート(乾燥塗膜厚さ:10〜20ミクロン)をベル塗装した後、80℃で5分間ホットエアを吹き込んで塗料内に残存する水を蒸発させた。その上に実施例1、2、3、4及び比較例1、2、3のクリアコート組成物をそれぞれ塗装し、一般のオーブンで140℃にて25分間硬化させて最終塗膜を形成した。
【0036】
【表1】
【0037】
シラン変性アクリルポリオール樹脂:固形分70%、重量平均分子量(Mw)が8,000、水酸基価が75〜95mgKOH/g、ガラス転移温度35〜45℃であるシラン変性アクリルポリオール樹脂(KCC)
メラミン硬化剤:アルキル化メラミン樹脂(cymel 1168, Cytec社)
触媒:ドデシルベンゼンスルホン酸タイプの酸触媒(NACURE 5225, King Industries社)
レベリング剤:シリコーンレベリング剤(BYK-331, BYK社)
光安定剤1:ベンゾトリアゾール系(Tinuvin 384, BASF社)
光安定剤2:Hinderd Amine Light Stabilizer(Tinuvin292, BASF社)
【0038】
最終塗膜の外観及び物性を下記方法で測定してその結果を表2に示した。
【表2】
【0039】
(1)外観:自動車外観測定機であるWave Scan DOI(BYK Gardner)を適用して最終塗膜のCF値を測定(高いほど有利である)。その測定の結果は、◎-優秀(CF 65以上)、○-良好(CF 60〜65)、△-普通(CF 55〜60)、×-不良(CF 55未満)と判定。
(2)付着性:2mmのクロスカット100個を製作してから、スコッチテープを用いて引き剥がした後、問題がないときに「良好」と判断し、刃のクロスカッティング部位からも落ちるものがないときに「優秀」と評価する。
(3)耐スクラッチ性:自動車の耐スクラッチ性測定機(AMTEC-KISTER)を用いて完成された塗膜のスクラッチ発生に対する抵抗度を測定する方法であって、試験前後の塗膜表面の20度光沢を測定して光沢保持率(%)を計算した後、評価する(高いほど有利である)。その測定の結果は、光沢保持率(%)が70%以上であれば◎-優秀、60〜65%であれば○-良好、55〜60%であれば△-普通、55%以下であれば×-不良と判定
(4)耐寒チッピング性:-20℃で3時間放置した後、50gのチッピングストーンを用いて5barの圧力で50gのチッピングストーンを押し出し、塗膜の表面を打つ方法を用いる。1mm以下の大きさの損傷が10個以下であるときに「優秀」、1〜2mm以下の大きさの損傷が10個以下であるときに「良好」、2〜3mm以下の大きさの損傷が10個以下であるときに「普通」、2〜3mmの大きさが10個以上であるときに「不良」と判定。
(5)硬度:鉛筆硬度法で測定(3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hそれぞれの鉛筆で塗膜に損傷を与えない硬度の測定)。その測定の結果は、◎-優秀(HB以上)、○-良好(B)、×-不良(2B以下)に表す。
(6)衝撃性:500gの錘を用いて30cm以上の高さから落下させたとき、塗膜に亀裂及び剥離がないこと。その測定の結果は、50cm以上で塗膜の亀裂がないときに「優秀」、40〜50cmで塗膜の亀裂が発生したときに「良好」、30〜40cmで塗膜の亀裂が発生したときに「普通」、30cm以下で亀裂が発生したときに「不良」と判定。
(7)耐水性:40℃の恒温槽に完成された塗膜を10日間沈積した後、付着試験及び変色の評価。付着性及び変色がないときに「優秀」、付着性は良好であるが変色した後で回復したときに「普通」と評価する。
【0040】
前記表2に示した結果から分かるように、別途の中塗塗膜層形成の工程がなくとも、本発明のクリアコート組成物で形成された実施例1から3の塗膜層は良好な塗膜外観と機械的物性などを有することが分かり、特に、スクラッチ性と耐寒チッピング性、衝撃性などの塗膜弾性に係る機械的物性に優れることが分かる。
【0041】
その反面、本発明のポリエステル変性ウレタン樹脂が含まれていない比較例1は、耐スクラッチ性、耐寒チッピング性及び衝撃性が普通または不良の評価を受け、ポリエステル変性ウレタン樹脂が過量で含まれている比較例2は、硬度及び耐水性が普通または不良の評価を受けた。また、本発明のポリエステル変性ウレタン樹脂と酸価及び水酸基価の範囲が異なるポリエステル変性ウレタン樹脂を用いた比較例3の場合、耐寒チッピング性及び衝撃性が普通または不良の評価を受けたことが分かる。