特許第6454077号(P6454077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454077
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】睫用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20190107BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20190107BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20190107BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20190107BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20190107BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61K8/31
   A61K8/92
   A61K8/89
   A61Q1/10
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-71660(P2014-71660)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193551(P2015-193551A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 英美
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/020060(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/126470(WO,A1)
【文献】 特開2005−263701(JP,A)
【文献】 特開2006−111536(JP,A)
【文献】 特開2007−045827(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0039874(US,A1)
【文献】 特開2011−016957(JP,A)
【文献】 特開2010−150519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C08G 18/00−18/87;71/00−71/04
C08F 283/01;290/00−290/14;299/00−299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)以下の工程(1)〜(4);
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた(a)成分及び(b)成分の混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂コアシェル型ポリマーエマルジションを得る工程
の各工程を順次行うことにより得られ、工程(1)において、ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量1000のポリプロピレングリコールと数平均分子量2000のポリプロピレングリコールの2種を94:6〜92:8(質量比)の割合で使用し、混合液中の(a)成分と(b)成分との割合が、(a)成分:(b)成分(純分質量比)=50:50〜60:40である複合樹脂コアシェル型ポリマーエマルション
(B)ゲル化剤
(C)油溶性樹脂
を含有する睫用化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)がワックスである請求項1に記載の睫用化粧料。
【請求項3】
前記成分(C)がシリコーン樹脂である請求項1または2に記載の睫用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫用化粧料に関し、更に詳しくは、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れた睫用化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
睫用化粧料は、睫をカールすること(カール効果)によって目周りをより大きくかつ立体的に引き立たせることで、目元の印象を魅力的に演出するといった化粧効果をもつものである。睫は頻回の瞬きによって化粧膜が崩れやすいため、直後の化粧効果だけでなく、経時でもその仕上がりが変わらずに維持されるカールの持続効果も重要な要素だと捉えられている。さらに最近では、見た目に自然で違和感のない仕上がりが好まれるといった化粧表現の観点や、負担感の低減といった観点から、睫本来のしなやかな弾力感や、健康的な睫を想起させるような化粧膜の光沢感といった、新たな付加価値が求められるようになっている。
従来の睫用化粧料は、ワックス等の固形状油性成分、樹脂や合成高分子等の皮膜形成剤、粉体を中心として構成されおり、消費者の要求に合わせた機能性を持たせるために各種成分の配合検討が行われてきた。
【0003】
例えば、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、非イオン界面活性剤、非揮発性液状油分、ワックスを併用することで、カールキープ効果、伸びのよさ、付着性、耐皮脂性、耐摩擦性に優れ、かつ保存安定性が良好な化粧料の技術(特許文献1参照)が検討されている。また、水相、脂肪相、構造化剤、およびポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを併用することで、睫を長くする効果、皮膜の均質性、柔軟性、改善された分離性、長い帯着性の利点を有する化粧品用組成物の技術(特許文献2参照)が検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−263701号公報
【特許文献2】特開2007−45827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、カール効果およびカールの持続効果には優れるが、皮膜が硬く、睫本来のしなやかな弾力感が損なわれ、さらには十分なツヤ感が得られず、不自然な仕上がりになるという傾向があった。また、特許文献2の技術では、柔軟性に優れることから睫のしなやかな弾力感を維持した自然な仕上がりが得られるが、化粧膜の強度が十分でなく、カール効果およびカールの持続効果の点で劣るものとなってしまった。そこで、カール効果と経時でのカール持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れた睫用化粧料が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、睫用化粧料に関し、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーが特定比率でブレンドされた、特定のガラス転移温度を有する皮膜形成性エマルションポリマーが、柔軟な皮膜を作ることに着目し、ゲル化剤、及び油溶性樹脂と組み合わせることにより、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れた睫用化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の成分(A)〜(C);
(A)以下の工程(1)〜(4);
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
の各工程を順次行うことにより得られ、工程(1)において、ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量1000のポリプロピレングリコールと数平均分子量2000のポリプロピレングリコールの2種を94:6〜92:8(質量比)の割合で使用し、混合液中の(a)成分と(b)成分との割合が、(a)成分:(b)成分(純分質量比)=50:50〜60:40である複合樹脂エマルション
(B)ゲル化剤
(C)油溶性樹脂
を含有する睫用化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れた睫用化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(A)は、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーがブレンドされポリマーエマルションの形態をとるものであり、この複合樹脂エマルションは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)(以下、「(a)成分」ということがある)と、特定の重合性単量体(b)(以下、「(b)成分」ということがある)との混合液を水性媒体中に乳化分散し、この乳化液中の(b)成分を重合させて得られる水性エマルション(以下、「アクリルウレタン複合エマルションポリマー」と示す)であり、乾燥した後、強度に優れながらも柔軟な皮膜を形成するため、本発明の化粧膜にカール効果およびカールの持続効果と、しなやかな弾力感を両立させる効果を発現することができる。
【0010】
成分(A)は、以下の工程(1)〜(4)の工程を順次行うことによって得られる。
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
【0011】
以下各工程について説明する。まず、工程(1)において得られる(a)成分のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーとは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマーであり、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させた重合体である。
【0012】
ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量約1000のポリプロピレングリコール(PPG1000)と数平均分子量約2000のポリプロピレングリコール(PPG2000)の2種をPPG1000:PPG2000=94:6〜92:8(質量比)の割合で使用する。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+…(1)
各単独重合体のガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK(ポリマーハンドブック)等に記載されている。
【0013】
脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有するものであり、具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート等が例示できる。
【0014】
この(a)成分の酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満であると、水性溶媒への分散状態が悪くなる場合がある。一方で、その上限は70mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g以下であるとより好ましい。ジメチロールプロピオン酸の使用量は、重合により形成される(a)成分の酸価が上記した範囲となるように調整すればよい。
【0015】
ジメチロールプロピオン酸の望ましい使用割合としては、ポリプロピレングリコールとジメチロールプロピオン酸との合計中30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。一方で、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。この範囲内とすることで、上記の酸価の範囲を満たすことができる。
【0016】
一方、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物との使用割合は、当量比で、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2が好ましく、1:1.5〜1.9がより好ましい。このように、ジオール成分であるポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸に対して、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物が化学量論的に過剰となる割合で反応させることにより、(a)成分にイソシアネート基が導入される。
【0017】
(a)成分を製造するためのウレタン生成反応は、(b)成分の存在下で行う。この(b)成分によって反応系が希釈されて反応を均一に行うことができる。
【0018】
(b)成分である重合性単量体は、エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性二重結合を有する単量体であり、中でも、イソシアネート基に対して反応性のない重合性単量体、すなわち、活性水素基を含まない重合性単量体が好ましい。
【0019】
このような(b)成分、特に活性水素基を含まない重合性単量体の例としては、炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
【0020】
上記炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、炭素原子数1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、とりわけ炭素原子数1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0021】
上記エステル基含有ビニル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸ビニル等の疎水性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
【0022】
また、上記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
【0023】
これらの(b)成分は、一種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。一種類からなる場合はその単独重合体の、複数種類からなる場合は、その組成比における共重合体のガラス転移温度が、95℃以上、105℃以下である。95℃未満であると、塗膜強度が不足してバルクにじみが生じたり、乾燥速度が遅くなり色移りが生じる場合がある。一方、105℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。
【0024】
なお、共重合体である場合、そのガラス転移温度の算出方法は下記式(1)によるものである。ここで、Tgは共重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各々の単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各々の単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
【0025】
上記(b)成分の存在下、ポリプロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートをウレタン化反応させることにより、(a)成分が生成する。ウレタン化反応は、50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度行えばよい。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を含有する(a)成分を得ることができる。
【0026】
(a)成分の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
【0027】
(a)成分の数平均分子量は800〜10,000であることが好ましく、1000〜9000がより好ましい。数平均分子量が800より小さいと、得られる皮膜が硬くなり、化粧料として用いる際に、ごわつき感等の問題が生じる可能性がある。一方10,000より大きいと、プレポリマーそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定なエマルションが得られなくなったりする場合がある。
【0028】
ウレタン化反応後、生成した(a)成分と(b)成分との混合液が得られる。混合液中の(a)成分と(b)成分との混合割合は、純分重量比で(a):(b)=50:50〜60:40である。(b)成分の割合がこれよりも多いと化粧膜が硬くなり、部分的に欠落するポロ落ちが生じやすくなる。一方、(b)成分が少ないと、化粧膜が柔らかすぎるため、にじみを生じやすくなる。
【0029】
工程(2)においては、上記工程(1)で得られた(a)成分及び(b)成分の混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る。このように、(a)成分が含有するカルボキシル基を中和させることにより、(a)成分の水性媒体中での分散性を向上させることができる。
【0030】
次いで工程(3)では、工程(2)で得られた(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る。(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液に水性媒体を加える方法としては、混合液に水性媒体を滴下して分散させる方法、混合液を水性媒体中に滴下して分散させる方法のどちらを用いてもよい。水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水が好ましい。乳化分散時の温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。一方で80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。温度が高過ぎると(a)成分が変性するおそれがある。
【0031】
さらに工程(4)において、工程(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、コアシェル型ポリマーエマルジョンを得る。この(b)成分の重合を行う際の重合反応は、(b)成分に合わせた一般的な重合方法で行うことができ、例えば、上記混合液にラジカル重合開始剤を添加して行うことができる。
【0032】
ラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いればよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイドやジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性単量体(b)に対して、0.1〜5質量%程度、好ましくは0.5〜2質量%程度とすればよい。
【0033】
上記(b)成分の重合は、重合温度10〜80℃で行うことが好ましく、30〜60℃で行うことがより好ましい。重合は、通常、発熱が終了した後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、ほぼ完了する。これにより、成分(A)複合樹脂エマルションが得られる。この複合樹脂は、ウレタン系ポリマーをコア、アクリル系ポリマーをシェルとした構造を有していると考えられる。
【0034】
成分(A)複合樹脂エマルションの最低造膜温度は+20℃以下であることが好ましく、+15℃以下であることがより好ましい。+20℃を超えると、得られる皮膜にクラック等の不良が生じやすくなる。また一方で、最低造膜温度は−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。−10℃未満では得られる皮膜の耐水性が悪化することがある。
【0035】
かくして得られる成分(A)複合樹脂エマルションの固形分濃度は、特に制限されるものではないが、20〜50質量%であることが好ましい。なお、この成分(A)複合樹脂エマルションは、特開2007−001969号公報に記載の製造方法に従って製造することができる。
【0036】
本発明に用いられる成分(A)アクリルウレタン複合エマルションポリマーの固形分濃度は、特に制限されないが、20〜50質量%(以下、単に「%」と示す)であり、本発明での含有量は、固形分換算で、1〜30%が好ましく、更に好ましくは2〜20%であり、この範囲であれば、化粧膜が柔軟であるため、しなやかな弾力感と、化粧膜のツヤ感に優れたものが得られる。水性成分を主成分とする水性、水性成分を外層とする水中油型における成分(A)の好ましい含有量は4〜30%、更には8〜20%であり、油性成分を外層とする油中水型における成分(A)の好ましい含有量は1〜20%、更には2〜10%である。
【0037】
本発明に用いられる成分(B)ゲル化剤は、液だれやにじみを防ぐことで睫用化粧料として適切な使用性を確保するとともに、化粧膜を機能発揮が可能である適切な膜厚で睫に付着させる役割を有するものである。化粧料に通常使用されるものであれば特に制限されず使用することができる。例えば、油性成分をゲル化させる油ゲル化剤としては、ワックス、金属石鹸、有機変性粘土鉱物、無水ケイ酸等が挙げられる。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸類、パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、でんぷんパルミチン酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル等の多糖脂肪酸エステル類、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト等の有機変性粘土鉱物類、多孔性や煙霧状の無水ケイ酸、ジメチルシリル化シリカ等の無水ケイ酸類、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。中でもワックス類を含有した睫用化粧料は、化粧液を増粘させ塗布に適した粘度にするだけでなく、形成した化粧膜の強度向上にも寄与することからカール効果と経時でのカールの持続効果に優れたものが得られる点で好ましい。市販品としては、EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)、PERFORMALENE 655、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)、PM−WAX82(日興リカ社製)、ムルチワックスW−445(SONNEBORN社製)、NC−1630キャンデリラワックス(セラリカ野田社製)、精製キャンデリラワックスSR−3、高融点キャンデリラワックスFR100、精製キャンデリラワックスMD−21、精製カルナウバワックス1号(日本ナチュラルプロダクツ社製)、WHITE BEES WAX(三木化学社製)、BEES WAX S(クローダ社製)等が挙げられる。
【0038】
また、水性成分のゲル化剤としては、例えば、水性アルカリ増粘型ポリマーエマルション等がある。水性アルカリ増粘型ポリマーエマルションとは、水性溶媒中に高分子の微粒子が安定に分散した系で、界面活性剤で乳化させたモノマーを重合することによって得られる液や自然界に存在する乳状の樹液を含むもので、中性下では、乳白液状のエマルションであり、アルカリ剤で中和することにより増粘し、化粧料に粘度を付与するものである。水性アルカリ増粘型ポリマーエマルションを固形分換算で0.3%に調製した水分散体に、アルカリ剤としてトリエタノールアミンで中和してpHを7.5にした際の粘度上昇が、アルカリ剤で中和する前の粘度と比較して、100倍以上になるものをいう。尚、本発明において粘度は、B型粘度計、例えば、単一円筒型回転粘度計ビストロンVS−A1(芝浦システム社製)で測定した値である。
【0039】
具体例としては、アクリル酸とアクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸ポリエチレングリコールエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びイタコン酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルションなどが挙げられる。このうち、アクリル酸アルキルやメタクリル酸アルキルのアルキル基については、炭素数1〜12の1種でも、また2種以上であっても良い。 中でもポリマー分を構成するモノマーがアクリル酸を有するポリマーであると、化粧液を増粘させ塗布に適した粘度にするだけでなく、化粧膜の強度向上に寄与することから、カール効果としなやかな弾力感を両立できる点で好ましい。市販品としては、例えば、プライマルASE−60(固形分28%)(ポリマーラテックス社製)、SALCARE SC81(固形分30%)(チバスペシャリティケミカルズ社製)、ACULYN22(固形分30%)、ACULYN28(固形分20%)、ACULYN33A(固形分28%)(いずれもローム&ハース社製)等が挙げられる。
【0040】
本発明における成分(B)は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(B)の含有量は、ゲル化剤の種類、形状等により異なり、特に限定されないが、全化粧料中0.1〜25%が好ましい。この範囲であれば、使用性がよく、化粧膜を機能発揮するのに十分な膜厚で睫に付着させるという点において優れた睫用化粧料が得られる。また、成分(B)がワックス類であると、塗布する際の摩擦によりワックスの構造が容易に崩れるため、伸び広がりが良く、化粧膜の均一性にも優れ、形成後の化粧膜の強度の向上にも寄与することからカール効果と経時でのカールの持続効果に優れる睫用化粧料が得られる。成分(B)がワックスである場合は、全化粧料中に3〜25%含有されることが好ましく、5〜15%がより好ましい。
【0041】
本発明に用いられる成分(C)の油溶性樹脂は、化粧料に通常使用されるものであれば特に制限されず利用することができる。例えば、キャンデリラレジン、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添アビエチン酸グリセリル等のテルペン系樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン等が挙げられる。中でもトリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーングラフト共重合体、トリメチルシルセスキオキサンなどポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーン系樹脂は、硬さに優れることからカール効果とカールの持続効果に優れ、さらには化粧膜の平滑性を高めることによりツヤ感も向上できることから好適に用いられる。これらの市販品としては、トリメチルシロキシケイ酸であるKF7312J(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業(株)社製)、KF-9021(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業(株)社製)、BY11−018(30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製)、アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーであるKP541(固形分60%、溶媒:イソプロパノール)、KP545(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーであるKP575(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)(いずれも信越化学工業社製)、ポリメチルシルセスキオキサンであるSILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0042】
本発明における成分(C)の含有量は、固形分濃度として0.5〜15%が好ましく、1〜10%がより好ましい。この範囲であれば、カール効果およびカールの持続効果が飛躍的に向上する。これらの油溶性樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、他の低粘度の油剤などに溶解して使用することもできる。
【0043】
本発明の睫用化粧料は、上記記載の成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲で、通常化粧料に使用される成分、エマルションポリマー、油性成分、粉体成分、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを適宜含有することができる。
【0044】
成分(A)、成分(B)以外のエマルションポリマーとしては、例えば、アクリル酸アルキルコポリマーエマルション、アクリル酸アルキルコポリマーエマルション、メタクリル酸アルキルコポリマーエマルション、メタクリル酸アルキルコポリマーエマルション、アクリル酸・アクリル酸アルキルコポリマーエマルション、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマーエマルション、メタクリル酸・アクリル酸アルキルコポリマーエマルション、メタクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマーエマルション、オルガノポリシロキサンのポリマーエマルション、ポリ酢酸ビニルポリマーエマルション等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0045】
上記必須成分以外の油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂、揮発性油剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類等の揮発性油剤等が挙げられる。
【0046】
粉体成分としては、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、カーボンブラック、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、無水ケイ酸被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン・酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン・無水ケイ酸被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種または2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0047】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0048】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
【0049】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2―ペンタンジオール等が挙げられる。
【0050】
本発明の睫用化粧料としては、マスカラ、マスカラベースコート、マスカラトップコート等があげられ、水性、水中油型、油中水型のいずれにも用いることができる。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(複合樹脂エマルション)
[製造例1]:複合樹脂エマルション1
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、反応溶媒として重合性単量体(b)である、メチルメタクリレート19.7重量部及びn−ブチルアクリレート0.8重量部を入れ、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000(*1)を7.7重量部と数平均分子量2000(*2)を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸2.0重量部を加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネート10.2重量部を加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.3重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基を中和した。次いで、この溶液に精製水56.6重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒として、t−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.15重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.05重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション1を得た。
(複合樹脂エマルション1は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
*1:ポリプロピレングリコール,ジオール型,1000(和光純薬工業社製 水酸基価:111mgKOH/g)
*2:ポリプロピレングリコール,ジオール型,2000(和光純薬工業社製 水酸基価:56mgKOH/g)
【0052】
[製造例2]:複合樹脂エマルション2
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート20.2重量部及びn−ブチルアクリレートを0.2重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を7.2重量部、前記*2を0.58重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.8重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.3重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.14重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.06重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン2を得た。
(複合樹脂エマルション2は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約102℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0053】
[製造例3]:複合樹脂エマルション3
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート19.6重量部及びn−ブチルアクリレートを0.8重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を8.7重量部、前記*2を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.3重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを8.9重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.6重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.5重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.07重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.02重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン3を得た。
(複合樹脂エマルション3は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0054】
[製造例4]:複合樹脂エマルション4
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート14.8重量部及びn−ブチルアクリレートを0.6重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を9.8重量部、前記*2を0.7重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.9重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体53.2重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.11重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.04重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン4を得た。
(複合樹脂エマルション4は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が60:40である。)
【0055】
(睫用化粧料)
実施例1〜8及び比較例1〜4:水中油型マスカラ化粧料(クリーム状)
下記表1に示す処方のマスカラ化粧料を調製し、a. カール効果、b.カールの持続効果、c.しなやかな弾力感、d.化粧膜のツヤを下記の評価方法により評価した。結果も併せて表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
*1:パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)
*2:リカボンドSU−U0609−SS(中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg6℃、固形分30%)
*3:YODOSOL GH810F(固形分45%)(アクゾノーベル社製)
*4:DYNAMX(アクゾノーベル社製、ポリウレタン−14:アクリレーツコポリマーの質量比=70:30の混合エタノール水溶液、固形分28%)
【0058】
(製造方法)
A.成分(1)〜(8)を100℃で加熱溶解する。
B.成分(9)〜(19)を90℃で加熱混合する。
C.AにBを加え乳化する。
D.Cを容器に充填してマスカラ化粧料を得た。
【0059】
(評価方法)
下記の項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を1回瞼の際に塗布し、パネル各人がa、c、dについては塗布直後、bについては塗布後8時間通常の生活をした後の化粧膜の状態を、下記絶対評価基準にて7段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計から、その平均値を算出し、下記の判定基準により判定した。
<評価項目>
a.カール効果
b.カールの持続効果
c.しなやかな弾力感
d.化粧膜のツヤ

<絶対評価基準>
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え4.5点未満 :良好
△ :1点を超え3.5点未満 :やや不良
× :1点未満 :不良
【0060】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜8のマスカラ化粧料は、比較例1〜4のマスカラ化粧料に比べ、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れたものであった。
これに対して、成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーのアクリル部分の理論Tgを6℃としたものを使用した比較例1では、アクリル部分の塗膜強度が不足し、化粧膜が柔らかすぎることから、塗布直後からカール効果が低く、さらにカールの持続効果の点でも満足いくものが得られなかった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにアクリル酸アルキル共重合体エマルションポリマーを用いた比較例2では、化粧膜が硬くもろいため、しなやかな弾力感がないだけでなくカールの持続効果においても十分でなく、また化粧膜のツヤにおいて満足のいくものが得られなかった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにウレタン・アクリル混合ポリマーを用いた比較例3では、化粧膜が柔らかすぎることから、カール効果およびカールの持続効果において十分でなく、またアクリルの硬い特性を反映することでしなやかな弾力感においても満足のいくものが得られなかった。
成分(B)のゲル化剤を含有しない比較例4は、化粧膜が機能を発揮するのに十分な厚みをもって睫状に塗布できないため、カール効果、カールの持続効果、しなやかな弾力感、化粧膜のツヤという全ての点において、満足のいくものがえられなかった。
【0061】
実施例9〜16及び比較例5〜8:油中水型マスカラ化粧料(ゲル状)
下記表2に示す処方のマスカラ化粧料を調製し、a. カール効果、b.カールの持続効果、c.しなやかな弾力感、d.化粧膜のツヤを下記の評価方法により評価した。結果も併せて表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
*5:レオパールKL(千葉製粉社製)
*6:BENTONE 38V BC(エレメンティス社製)
*7:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*8:KF−7312J(信越化学工業社製)
【0064】
(製造方法)
A.成分(1)〜(14)を100℃で加熱溶解する。
B.成分(15)〜(23)を90℃で加熱混合する。
C.室温に冷却し、AにBを加え乳化する。
D.Cを容器に充填してマスカラ化粧料を得た。
【0065】
(評価方法)
下記の項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を1回瞼の際に塗布し、パネル各人がa、c、dについては塗布直後、bについては塗布後8時間通常の生活をした後の化粧膜の状態を、下記絶対評価基準にて7段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計から、その平均値を算出し、下記の判定基準により判定した。
<評価項目>
a.カール効果
b.カールの持続効果
c.しなやかな弾力感
d.化粧膜のツヤ

<絶対評価基準>
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え4.5点未満 :良好
△ :1点を超え3.5点未満 :やや不良
× :1点未満 :不良
【0066】
表2の結果から明らかな如く、本発明の実施例9〜16のマスカラ化粧料は、比較例5〜8のマスカラ化粧料に比べ、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れたものであった。
これに対して、成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーのアクリル部分の理論Tgを35℃としたものを使用した比較例5では、アクリル部分の塗膜強度が不足し、化粧膜が柔らかすぎることから、塗布直後からカール効果が低く、さらにカールの持続効果の点でも満足いくものが得られなかった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにアクリル酸アルキル共重合体エマルションポリマーを用いた比較例6では、化粧膜が硬くもろいため、しなやかな弾力感がないだけでなくカールの持続効果においても十分でなく、また化粧膜のツヤにおいて満足のいくものが得られなかった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにウレタン・アクリル混合ポリマーを用いた比較例7では、化粧膜が柔らかすぎることから、カール効果およびカールの持続効果において十分でなく、またアクリルの硬い特性を反映することでしなやかな弾力感においても満足のいくものが得られなかった。
成分(B)のゲル化剤を含有しない比較例8は、化粧膜が機能を発揮するのに十分な厚みをもって睫状に塗布できないため、カール効果、カールの持続効果、しなやかな弾力感、化粧膜のツヤという全ての点において、満足のいくものが得られなかった。
【0067】
実施例17:油中水型マスカラ化粧料(液状)
(成分) (%)
(1)アクリル−シリコーングラフト共重合体*9 15
(2)トリメチルシロキシケイ酸溶液*8 10
(3)ワセリン 5
(4)カルナウバワックス 10
(5)マイクロクリスタリンワックス*10 5
(6)デキストリン脂肪酸エステル*11 2
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
(8)有機変性ベントナイト*12 3
(9)タルク 10
(10)ポリプロピレン繊維*13 2
(11)煙霧状無水ケイ酸*14 3
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(13)フェノキシエタノール 0.1
(14)レシチン 0.2
(15)製造例2の複合樹脂エマルション2 1

*9:KP−545(信越化学工業社製)(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)
*10:MULTIWAX W−835 MYCROCRYSTALLINEWAX(SONNEBORN社製)
*11:レオパールTL2(千葉製粉社製)
*12:BENTONE 27V(ELEMENTIS社製)
*13:6T、3mm
*14:AEROSIL 200(日本アエロジル社製)

(製法)
A.成分(1)〜(7)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.成分(8)〜(15)をAに加え均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、油性マスカラ化粧料を得た。

以上のようにして得られたマスカラ化粧料は、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れたものであった。
【0068】
実施例18:油中水型マスカラ下地化粧料(ゲル状)
(成分) (%)
(1)水添ロジン酸ペンタエリスリチル*15 1
(2)軽質流動イソパラフィン 30
(3)水素添加エステルガム*1 2
(4)フィッシャートロプシュワックス(融点80〜84℃) 15
(5)ポリエチレンテレフタレート粉末*16 5
(6)ラウロイルリシン 3
(7)パラオキシ安息香酸エチル 1
(8)精製水 残量
(9)ナイロン繊維*17 0.5
(10)チタン・酸化チタン焼結物*18 10
(11)ベンガラ被覆雲母チタン 1
(12)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
(13)トレハロース 0.1
(14)1,3−ブチレングリコール 3
(15)アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルジョン*19 5
(16)製造例3の複合樹脂エマルション3 2

*15:エステルガム HP(荒川工業社製)
*16:スノーリーフP(オーケン社製)
*17:3T、1mm、未処理
*18:TILACK D (赤穂化成社製)
*19:ビニゾール2140L(固形分43%)(大同化成工業社製)

(製法)
A.成分(1)〜(7)を100℃に加熱溶解し、常温になるまで冷却する。
B.成分(8)〜(16)を加えて乳化する。
C.Bを容器に充填し、油中水型マスカラ下地化粧料を得た。

以上のようにして得られたマスカラ下地化粧料は、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れたものであった。
【0069】
実施例19:水中油型マスカラトップコート化粧料(ゲル状)
(成分) (%)
(1)カルナウバワックス 2
(2)キャンデリラワックス 2
(3)ミツロウ 8
(4)酸化鉄 5
(5)酸化チタン被覆ガラスフレーク*20 3
(6)シリコーン樹脂粉末*21 5
(7)アルカリ増粘性ポリマーエマルション*22 2
(8)精製水 残量
(9)カーボンブラック 1
(10)エタノール 10
(11)1,3−ブチレングリコール 5
(12)ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.5
(13)トリエタノールアミン 2
(14)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン*3 5
(15)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン*23 5
(16)製造例4の複合樹脂エマルション4 15

*20:メタシャイン1080(日本板硝子社製)(ジメチルポリシロキサン処理)
*21:トスパール150KA(GE東芝シリコーン社製)
*22:ACULYN 33A(固形分28%)(ローム&ハース社製)
*23:ビニゾール1086WP(固形分40%)(大同化成工業社製)

(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を均一に加熱溶解し、90℃にする。
B.成分(7)〜(16)を均一に混合し、90まで加熱する。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを容器に充填し、マスカラトップコート化粧料を得た。

以上のようにして得られたマスカラトップコート化粧料は、カール効果と経時でのカールの持続効果に優れながらも、化粧膜が柔軟であるために睫本来の質感を損なうことなくしなやかな弾力感を有し、更に化粧膜のツヤ感にも優れたものであった。