(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パイプを被取付部材に取付けるパイプクランプは、パイプを保持するクランプ部と、自動車のボディパネル等の被取付部材へ固定する係止部とを備え、パイプがクランプ部に保持され、係止部が被取付部材に固定される。クランプ部は、上部にパイプを受け入れる開放部分を有し、一対の側壁部と底部とで形成されるU字形状の空間にパイプを収容するように構成され、収容されたパイプがクランプ部から抜け外れないように保持する。又は、クランプ部の上方をカバーで覆うものもある。係止部は、ボディパネル等の被取付部材に取付けるための固定手段を有し、自動車のボディパネル等の被取付部材に固定される。
【0003】
パイプの内部を通過する流体の脈動等が原因で、パイプに振動が生じる場合がある。このような振動が、パイプクランプを通じて車体側に伝達されるのを回避する必要がある。また、車体側の振動がパイプクランプを通じてパイプに伝達されないようにする必要がある。
【0004】
そのため、クランプ本体を硬質樹脂で形成し、パイプを保持するゴム部材をゴム又は軟質樹脂材で形成し、防振性を高めたパイプクランプがある。このようなパイプクランプでは、パイプは硬質樹脂で出来たクランプ本体と直接接触しないので、防振性が高い。
【0005】
しかし、このようなパイプクランプは、パイプの太さが異なると、又はパイプのピッチが異なると、別のゴム部材、別のクランプ本体を使用する必要がある。そのため、設計ごとに異なるゴム部材とクランプ本体を作成しなければならなかった。
また、誤って所定のゴム部材と異なるゴム部材を組み付けるのを防止するため、又は取付方向を誤って組み付けるのを防止するため、誤組防止嵌合部、又は誤組防止形状を形成する必要があった。そのため、クランプ本体とゴム部材の金型が複雑になっていた。
【0006】
図1A〜3Bを参照して、従来の防振クランプの例について説明する。
図1Aは従来の防振クランプの正面図、
図1Bは断面図である。
図2Aは防振クランプのゴム部材の斜視図、
図2Bは正面図である。防振クランプは、パイプ等を保持し、スタッドに取り付けるための硬質樹脂からなるクランプ本体5と、クランプ本体5の上側に被せるカバー3と、クランプ本体5に取り付けられる1つのゴム部材4と、カバー3に取り付けられる別のゴム部材4とを備える。クランプ本体5に取り付けられるゴム部材4と、カバー3に取り付けられるゴム部材4とは、同じ形状、大きさである。1つのゴム部材4は、断面が半円形の2つのパイプ保持部を有する。上下2つのゴム部材4により、太さの異なる2本のパイプを保持する。
【0007】
クランプ本体5は、ゴム部材4を保持するゴム保持部と、ボディパネル等に設置したスタッドに固定するための係止部2とを有する。係止部2には、スタッド等に係止するための係止爪2aが設けられている。
図1Aに示すように、ゴム保持部には、幅方向端部に正面図で半円形のゴム下保持部5b,5cが形成されている。
クランプ本体5には、ゴム部材4を固定するためのゴム固定部5aが設けられている。
【0008】
カバー3には、幅方向端部に正面図で半円形のゴム上保持部3b,3cが形成されている。
カバー3には、ゴム部材4を固定するためのゴム固定部3aが設けられている。
カバー3の横方向両端部には、クランプ本体5と連結するための連結手段として、本体係合脚3dと係合爪3eが設けられている。クランプ本体5には、カバー3の本体係合脚3d、係合爪3eと連結するための連結手段として、係合用突起5dが設けられている。カバー3とクランプ本体5とを連結手段により連結すると、2つのゴム部材4の間にパイプ保持空間が形成される。
【0009】
図2A、2Bに示すように、ゴム部材4は、幅方向端部に半円形の保持端部4b,4cを有する。保持端部4b,4cは、クランプ本体5のゴム下保持部5b,5cに適合する形状である。また、保持端部4b,4cは、カバー3のゴム上保持部3b,3cに適合する形状である。
図2Aに示すように、ゴム部材4には、クランプ本体5のゴム固定部5a又はカバーのゴム固定部3aが係合するゴム凸部4aが設けられている。ゴム部材4は、パイプを保持するパイプ保持部を有し、パイプ保持部には、幅方向に延びるリブ4d,4eが形成され、リブ4d,4eの部分でパイプを支持するようになっている。
【0010】
図1Aの半径dの細いパイプP1を保持するためのクランプ本体5のゴム下保持部5bの半径はgであり、半径eの太いパイプP2を保持するためのクランプ本体5のゴム下保持部5cの半径はfである。2本のパイプP1,P2の中心間距離はaである。
カバー3と、クランプ本体5と、ゴム部材4を他のカバー、クランプ本体、ゴム部材と区別するため、誤組防止嵌合部8が設けられている。
【0011】
図3Aは2本のパイプを保持するための別の防振クランプの正面図、
図3Bは断面図である。
図3Aの防振クランプは、
図1Aの防振クランプと同じ2本のパイプP1,P2を保持するが、
図1の防振クランプとはパイプP1,P2のピッチが異なる。半径dの細いパイプP1と、半径eの太いパイプP2の中心間距離は、bである。
【0012】
図3Aに示す防振クランプは、
図1Aに示す防振クランプとは、2本のパイプの間の距離が異なるので、
図1Aに示すゴム部材4とは異なるゴム部材4'を使用する必要がある。また、クランプ本体とカバーも、
図1Aに示すクランプ本体5及びカバー3とは、異なるクランプ本体5'及びカバー3'を使用する必要がある。
図3A、3Bの防振クランプの各部材、部分については、参照番号に「'」を付けて示す。
また、
図3Aの防振クランプに使用するゴム部材4'を
図1Aの防振クランプに使用するゴム部材4と区別するため、誤組防止嵌合部8'、誤組防止形状9'が必要である。
【0013】
図示の例と異なり、
図1Aの防振クランプと、パイプの太さが異なり、パイプのピッチが同じである場合は、ゴム部材4とは異なるゴム部材を使用する必要がある。また、クランプ本体5とカバー3とは異なるクランプ本体とカバーを使用する必要がある。
【0014】
このように、保持するパイプのサイズが同じでピッチが異なる場合、保持するパイプのピッチが同じでサイズが異なる場合についても、ゴム部材、クランプ本体、カバーの全てを異なるものを使用する必要があった。
そのため、パイプのサイズ、ピッチが異なっても、できるだけ同じクランプ本体とカバー、同じゴム部材を使用することのできるパイプクランプが求められていた。
また、所定のゴム部材を簡単に区別することができるパイプクランプが求められていた。
【0015】
特許文献1は、パイプ等を保持するクランプ本体と、カバーと、クランプ本体とカバーの間の振動減衰部材を備え、振動減衰部材によりパイプに振動が伝わるのを防止する防振クランプを開示する。振動減衰部材には、パイプに対向する面に、パイプに向けて突出し且つパイプ外面の周方向に延びるリブが、パイプの軸方向に間隔をおいて複数個設けられ、リブの頂面がパイプの保持面を形成する。
【0016】
特許文献1の防振クランプでは、各パイプは、間隔をおいた複数のリブによって保持されるので、パイプの側面は部分的に保持され、保持強度を高くするように振動減衰部材の強度を上げても、振動吸収効果を損なうことはない、としている。
【0017】
特許文献1の防振クランプは、クランプ本体と、カバーとの間に設けられた2つの振動減衰部材が複数のパイプを上下から保持するようになっている。そのため、パイプのサイズ、ピッチが異なると、別の振動減衰部材が必要である。また、振動減衰部材を区別するため、誤組防止嵌合部、又は誤組防止形状が必要であり、別のクランプ本体とカバーを用意する必要がある。
【0018】
特許文献2は、ヒンジ部で回動可能に連結された一方のクランプ部と、他方のクランプ部との間に、略U字形状の弾性部材を装着したクランプを開示する。特許文献2は、一方のクランプ部を他方のクランプ部の側に回動させて係合面を係合させると、外れにくいロック機構を備えるとしている。
【0019】
特許文献2のクランプは、1本のパイプを上下2つの弾性部材で保持する。パイプのサイズが異なると、別の振動減衰部材、別のクランプ本体とカバーが必要である。
【0020】
特許文献3は、金具と、金具に保持されて配管を弾性的に支持するゴム状弾性体を備える配管固定部材を開示する。金具に差し込み孔を設け、ゴム状弾性体に差し込み突起を設け、差し込み孔に差し込み突起を圧入することにより、金具にゴム状弾性体を組み付ける。
【0021】
特許文献3の配管固定部材は、複数のパイプを上下2つのゴム状弾性体で保持するようになっている。そのため、パイプのサイズ、ピッチが異なると、別のゴム状弾性体、別のクランプ本体とカバーが必要である。
【0022】
そのため、パイプのサイズ、ピッチが異なっても、できるだけ同じゴム部材、同じクランプ本体とカバーを使用することのできる防振クランプが求められていた。
また、所定のゴム部材を簡単に区別することができる防振クランプが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、取り付けるパイプのサイズが異なっても、同じクランプ本体とカバーを使用することのできる防振クランプを提供することである。
また、取り付けるパイプのピッチが異なっても、同じゴム部材を使用することのできる防振クランプを提供することである。
本発明の別の目的は、所定のゴム部材を簡単に区別することができる防振クランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の防振クランプは、クランプ本体に取り付けるゴム部材と、カバーに取り付けるゴム部材とは同じ形状である。また、ゴム部材の幅方向端部の保持端部は、クランプ本体のゴム下保持部と、カバーのゴム上保持部の何れにも適合する。
複数のパイプ等の長尺部材を取り付ける防振クランプでは、ゴム部材は各長尺部材ごとに分離している。保持する長尺部材の外径が異なっても、各ゴム部材の保持端部の形状は同じである。クランプ本体の各ゴム下保持部の形状は同じであり、カバーの各ゴム上保持部の形状は同じである。各部品について、統一できる寸法は統一されている。
【0026】
本発明の1態様は、長尺部材を保持するための防振クランプであって、
前記長尺部材を保持するための保持部と、被取付部材に係止するための係止部とを有するクランプ本体と、
前記クランプ本体の前記保持部を覆うように前記クランプ本体に連結されるカバーと、
前記長尺部材の第1の半周部分の側面を保持するように、前記クランプ本体に取り付けられた第1のゴム部材と、
前記長尺部材の第2の半周部分の側面を保持するように、前記カバーに取り付けられ、前記第1のゴム部材と同じ形状の第2のゴム部材とを備え、
前記第1、第2のゴム部材は、幅方向の両端部に保持端部を有し、
前記クランプ本体は、幅方向の両端部に前記第1のゴム部材の前記保持端部を支持するため、前記保持端部に適合する形状のゴム下保持部を有し、
前記カバーは、幅方向の両端部に前記第2のゴム部材の前記保持端部を支持するため、前記保持端部に適合する形状のゴム上保持部を有する、
ことを特徴とする防振クランプである。
【0027】
第1のゴム部材と、第2のゴム部材との形状が同じなので、同じゴム部材をクランプ本体又はカバーに区別しないで取り付けることができる。そのため、部品の種類が少なく、効率的に取り付けることができる。
【0028】
クランプ本体のゴム下保持部と、カバーのゴム上保持部とが、第1、第2のゴム部材の前記保持端部に適合する形状であると、第1のゴム部材をクランプ本体のゴム下保持部で保持し、第2のゴム部材をカバーのゴム上保持部で保持することができる。
【0029】
前記第1、第2のゴム部材の前記保持端部は、断面が半円形であり、
前記クランプ本体の前記ゴム下保持部と、前記カバーの前記ゴム上保持部とは、断面が半円形の凹部であることが好ましい。
【0030】
前記第1、第2のゴム部材のパイプ保持部には、幅方向に延びるリブが形成されていることが好ましい。
第1、第2のゴム部材のパイプ保持部に、幅方向に延びるリブが形成されていると、パイプ等の長尺部材にリブのみで接触するので、振動を減衰させるように保持することができる。
【0031】
複数の前記第1のゴム部材と、複数の前記第2のゴム部材とを備え、複数の前記長尺部材を保持することができ、各前記長尺部材を支持する各前記第1、第2のゴム部材の前記保持端部の形状は同じであり、
前記クランプ本体は、複数の前記ゴム下保持部を有し、各前記ゴム下保持部の形状は同じであり、
前記カバーは、複数のゴム上保持部を有し、各前記ゴム上保持部の形状は同じであることが好ましい。
【0032】
第1、第2のゴム部材の保持端部の形状が統一され、クランプ本体のゴム下保持部の形状と、カバーのゴム上保持部の形状とが統一されていると、ピッチが異なり同じ太さの長尺部材を取り付けるときは、同じゴム部材を使用することができる。
【0033】
前記複数の前記長尺部材は、異なる太さの長尺部材を含むことがある。
ピッチが同じで太さが異なるパイプ等の長尺部材を取り付ける場合は、クランプ本体の各ゴム下保持部の形状と、カバーの各ゴム上保持部の形状とは同じなので、同じクランプ本体と、カバーとを使用することができる。
【0034】
前記太さが異なる前記長尺部材に使用するゴム部材は、色が異なることが好ましい。
太さが異なる長尺部材に使用するゴム部材を色で区別すると、誤組防止嵌合部、誤組防止形状を形成するより簡単にゴム部材を区別することができる。
【0035】
前記クランプ本体は、前記第1のゴム部材を固定するためのゴム下固定脚を有し、
前記カバーは、前記第2のゴム部材を固定するため、前記ゴム下固定脚と同じ形状のゴム上固定脚を有し、
前記第1、第2のゴム部材には、前記ゴム下固定脚又は前記ゴム上固定脚を挿入するための固定脚受入孔が形成され、
前記第1のゴム部材の前記固定脚受入孔に、前記クランプ本体の前記ゴム下固定脚が挿入されて、前記第1のゴム部材は前記クランプ本体に結合され、
前記第2のゴム部材の前記固定脚受入孔に、前記カバーの前記ゴム上固定脚が挿入されて、前記第2のゴム部材は前記カバーに結合されることが好ましい。
【0036】
クランプ本体がゴム下固定脚を有し、カバーがゴム上固定脚を有すると、クランプ本体にゴム部材を、カバーにゴム部材をしっかり固定することができる。
クランプ本体のゴム下固定脚と、カバーのゴム上固定脚とが同じ形状だと、クランプ本体に取り付けるゴム部材と、カバーに取り付けるゴム部材とは、同じゴム部材を使用することができる。
【0037】
前記カバーは、本体係合部と、前記本体係合部の先端部で折り返し弾性的に変形可能な係合爪とを有し、
前記クランプ本体は、前記カバーの前記係合爪が係合するための係合用突起を有し、
前記カバーの前記係合爪が前記クランプ本体の前記係合用突起に係合することにより、前記カバーは前記クランプ本体に結合されることが好ましい。
【0038】
カバーとクランプ本体との結合手段として、カバーが、本体係合部と係合爪とを有し、クランプ本体が、係合爪が係合するための係合用突起を有すると、カバーと、クランプ本体とを外れないように結合することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、取り付けるパイプのサイズが異なっても、同じクランプ本体とカバーを使用することのできる防振クランプを提供することが出来る。
また、取り付けるパイプのピッチが異なっても、同じゴム部材を使用することのできる防振クランプを提供することが出来る。
また、所定のゴム部材を簡単に区別することができる防振クランプを提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による防振クランプ1について説明する。防振クランプ1は、パイプ等を保持し、スタッドに取り付けるための硬質樹脂からなるクランプ本体10と、クランプ本体10の上側に被せるカバー30と、クランプ本体10とカバー30とにそれぞれ取り付けられて、パイプを保持する軟質樹脂又はゴムからなるゴム部材40a,40bとを備える。
【0042】
本発明の実施形態では、2本のパイプを保持する防振クランプ1について説明するが、保持するパイプの本数は2本に限らない。本発明は、1本のパイプを保持する防振クランプに適用することができ、また3本以上のパイプを保持する防振クランプにも適用することができる。
【0043】
クランプ本体10に取り付けられるゴム部材40a(第1のゴム部材)と、カバー30に取り付けられるゴム部材40a(第2のゴム部材)とは、同じ形状なので、同じ参照番号40aで表す。別のパイプを取り付けるため、クランプ本体10に取り付けられるゴム部材40bと、カバー30に取り付けられるゴム部材40bとは、同じ形状なので、同じ部品名と、同じ参照番号で表す。
複数のパイプを保持する防振クランプでは、クランプ本体10に取り付けられるゴム部材40a,40bと、カバー30に取り付けられるゴム部材40a,40bとは、パイプごとに分離している。
【0044】
図10〜12を参照してクランプ本体10について説明し、次に
図13〜15を参照してカバー30について説明する。次に、
図16〜21を参照してゴム部材40aについて説明し、
図22〜27を参照してゴム部材40bについて説明する。その後、
図4〜9を参照して、クランプ本体10とカバー30とゴム部材40a,40bとを組み立てた防振クランプ1について説明する。
本明細書の説明において、
図5の防振クランプ1の正面図において、横方向を横方向、奥行き方向を幅方向、縦方向を高さ方向という。
【0045】
(クランプ本体)
図10はクランプ本体10の上面図、
図11は正面図、
図12は
図11のG−G線に沿った断面図である。
【0046】
クランプ本体10は、燃料パイプやブレーキ油パイプ等の種々のパイプを保持するためのゴム部材40a,40bを保持する保持部10aと、保持部10aの側方に設けられ、ボディパネル等に設置したスタッド(図示せず)に固定するための係止部20とを備える。クランプ本体10は、ポリアセタール(POM)等の硬質樹脂で成形される。
【0047】
図10の上面図に示すように、クランプ本体10は、上方から見てほぼ長方形の部材であり、クランプ本体10は、下側にほぼ長方形の下面部11を有する。
図11の正面図に示すように、本発明の実施形態のクランプ本体10は、幅方向両端部に側面部12を有する。側面部12には、2つのゴム部材40a,40bを保持するため、断面が半円形の2つのゴム下保持部13a,13bが設けられている。
図11で、ゴム下保持部13aの左側と、ゴム下保持部13bの右側と、ゴム下保持部13aと13bの間には、平らな上面23が形成されている。
取り付けるゴム部材の数は、2つに限定されない。従って、ゴム下保持部13の数は、取り付けるゴム部材の数に応じて変わる。
【0048】
クランプ本体10の保持部10aの一方の横方向端部には端部壁15が上方向に延びる。端部壁15の上端部は、カバー当接部14aとなっていて、ここにカバー30の本体当接部34aが当接する。
端部壁15から係合脚受入孔19aをあけて、端面部24aが形成されている。
【0049】
保持部10aの他方の横方向端部は、中央壁16であり、中央壁16の横方向には係止部20が続く。中央壁16には、カバー当接部14aより少し低い高さに、カバー当接部14bが形成され、ここにカバー30の本体当接部34bが当接する。
中央壁16から係合脚受入孔19bをあけて、端面部24bが形成されている。
【0050】
図11のG−G断面図である
図12に示すように、ゴム部材40bをクランプ本体10に取り付けるため、クランプ本体10の下面部11には、幅方向に間隔をあけた2つの固定脚からなるゴム下固定脚17が設けられる。ゴム下固定脚17の先端部は、先端部から下方に広がり、段部となり、段部の下は狭い幅となっている。ゴム下固定脚17の段部が、ゴム部材40bの固定脚受入孔45に係合すると外れにくい。
【0051】
ゴム下固定脚17は、1つのゴム部材40aについて、横方向に2つ設けられている。図示の実施形態では、1つのクランプ本体10に2つのゴム部材40a,40bを組み合わせるので、合計4か所にゴム下固定脚17が設けられている。
図11に示すように、側面部12には、ゴム下固定脚17を形成するための固定脚形成用孔18が形成されている。
【0052】
カバー30をクランプ本体10に連結するために、端部壁15の横方向内側には、カバー30の本体係合脚35aを受け入れる係合脚受入孔19aが縦方向に延びる。端部壁15の内側の面には、カバー30の本体係合爪36aが係合するための係合用突起22aが形成されている。
【0053】
(係止部)
図11に示すように、クランプ本体10の保持部10aの横側に、スタッドに取付けるための係止部20が設けられている。
本発明の実施形態では、係止部20の横方向の一方の側に、幅方向に延びる端部壁25が設けられている。係止部20と保持部10aとの境界部は、中央壁16となっている。
【0054】
中央壁16の上側から、スタッドのねじ山に係止するため、2本の係止爪27が斜め下方向に延びる。端部壁25の上側から、2本の係止爪27が斜め下方向に延びる。左右の係止爪27により囲まれた空間は、スタッドを受入れるスタッド空間である。スタッドは、図の上方から下方に挿入されて、複数対の係止爪27がスタッドのねじ又は周溝に係合する。
係止爪27の数、形状等は取り付けるスタッドの条件によって、変えることができる。係止部20の位置、構造等は、取り付けるスタッド、ボディパネル等の条件により変えることができる。
【0055】
クランプ本体10をボディパネル等に取付ける手段としては、係止爪27によりスタッドに係止することに限定されない。錨脚クリップ等他の公知の方法によりクランプ本体10を車体側のボディパネル等に取付けることが出来る。
【0056】
(カバー)
図13はカバー30の上面図、
図14は正面図、
図15は
図13のF−F線に沿った断面図である。カバー30はパイプを保持するためのゴム部材40a,40bを保持する。ゴム部材40a,40bを取り付けたカバー30と、同じ形状の別のゴム部材40a,40bを取り付けたクランプ本体10と組み合わせ、パイプを保持する。カバー30は、クランプ本体10と同じポリアセタール(POM)等の硬質樹脂で成形される。
【0057】
図13の上面図に示すように、カバー30は上方から見てほぼ長方形の部材であり、上側にほぼ長方形の上面部31を有する。
図14の正面図に示すように、カバー30には、2つの側面部32を有する。側面部32の下端部には、ゴム部材40a,40bを支持するため、幅方向端部に正面図で半円形の2つのゴム上保持部33a,33bが形成されている。ゴム上保持部33aとゴム上保持部33bの半径は同じである。
【0058】
カバー30の上面部31の横方向端部には、カバー30をクランプ本体10と組み合わせたとき、クランプ本体10のカバー当接部14a,14bに当接する本体当接部34a,34bが形成されている。
図4のD−D断面図である
図7に示すように、幅方向中央部の横方向端部には、端面部48a,48bが形成されている。カバー30をクランプ本体10に連結すると、端面部48a,48bの下端部は、クランプ本体10の端面部24a,24bの上端部に当接する。
図14で、ゴム上保持部33aの左側と、ゴム上保持部33bの右側と、ゴム上保持部33aと33bの間には、平らな下面39が形成されている。カバー30をクランプ本体10に連結すると、下面39はクランプ本体10の上面23に当接する。
【0059】
図15、
図7に示すように、カバー30をクランプ本体10に連結するために、カバー30の左側の横方向端部の2つの本体当接部34aの間には、クランプ本体10と係合するための本体係合脚35aが下方向にまっすぐ延びるように形成されている。本体係合脚35aは先端部で折り返して、上方に延びる本体係合爪36aとなっている。本体係合爪36aは、左方に弾性的に広がり、係合用突起22aに係合して、カバー30はクランプ本体10と外れないように係合する。
【0060】
同様に、カバー30の右側の横方向端部の2つの本体当接部34bの間には、クランプ本体10と係合するための本体係合脚35bが下方向にまっすぐ延びるように形成されている。本体係合脚35bは先端部で折り返して、上方に延びる本体係合爪36bとなっている。本体係合爪36bは、右方に弾性的に広がり、係合用突起22bに係合して、カバー30はクランプ本体10と外れないように係合する。
【0061】
図15に示すように、ゴム部材40bをカバー30に取り付けるために、カバー30の上面部31には、幅方向にずれた2つの固定脚からなるゴム上固定脚37が設けられる。ゴム上固定脚37の先端部は、先端部から上方に広がり、段部となり、段部の上は狭い幅となっている。ゴム下固定脚17の段部が、ゴム部材40bの固定脚受入孔45に係合すると外れにくい。
【0062】
ゴム上固定脚37は、1つのゴム部材40aについて、横方向に2つ設けられている。図示の実施形態では、1つのカバー30に2つのゴム部材40a,40bを組み合わせるので、合計4か所にゴム上固定脚37が設けられている。
ゴム上固定脚37の周囲は、ゴム上固定脚37を形成するための固定脚形成用孔38が形成されている。
【0063】
カバー30のゴム上保持部33a,33bの形状と大きさは、クランプ本体10のゴム下保持部13a,13bの形状と大きさと同じである。即ち、ゴム上保持部33a,33bの半径は、ゴム下保持部13a,13bの半径と同じである。ゴム上保持部33a,33bの幅方向位置と幅は、ゴム下保持部13a,13bの幅方向位置と幅と同じである。カバー30とクランプ本体10とを組み合わせると、幅方向両端部に、ゴム部材40a,40bの保持端部42a,42bにぴったり合う円形の孔が形成される。
カバー30のゴム上固定脚37の形状と大きさは、クランプ本体10のゴム下固定脚17の形状と大きさと同じである。1つのゴム部材40aは、クランプ本体10にも、カバー30にも取り付けることができる。
【0064】
(ゴム部材)
図5に示すように、本発明の実施形態では、防振クランプ1に2本のパイプ(半径dの細いパイプP1と、半径eの太いパイプP2)を取り付ける。細いパイプP1を取り付けるゴム部材40aについて説明し、太いパイプP2を取り付けるゴム部材40bについては、細いパイプP1を取り付けるゴム部材40aと異なる点について説明する。
ゴム部材40aの各部分については、ゴム部材40bと寸法が統一されている部分は、参照番号にa又はbを付けないで表す。パイプの太さによって寸法が異なる部分は、参照番号にaを付けて表す。
【0065】
図16は、防振クランプ1の細いパイプP1を取り付けるゴム部材40aの斜視図である。
図17は上面図、
図18は正面図、
図19は右側面図、
図20は底面図である。
図21は、
図17のH−H線に沿った断面図である。
【0066】
細いパイプP1を取り付ける2つのゴム部材40aのうち、1つのゴム部材40aはクランプ本体10に取り付けられ、もう1つのゴム部材40aはカバー30に取り付けられる。2つのゴム部材40aは同じものである。2つのゴム部材40aの接面46a同士を合わせ、2つのゴム部材40aの間のパイプ保持空間にパイプP1を挟み、パイプP1がクランプ本体10又はカバー30と直接接触しないようにする。
【0067】
底面図である
図20に示すように、ゴム部材40aは、下方にほぼ長方形の基部41を有する。基部41には、幅方向に延びる2本の底部突条49が形成されている。ゴム部材40aをクランプ本体10に取り付けると、ゴム部材40aの底部突条49は、クランプ本体10の下面部11に当接し、基部41と下面部11とは若干の隙間があく。
また、ゴム部材40aの横方向端部に縦方向に延びる2本の側部突条51が形成されている。側部突条51は、クランプ本体10の端面部24aに当接し、側部突条51以外の側部とクランプ本体10の端面部24aとは若干の隙間があく。
図7に示すように、ゴム部材40aと40bとが並べて配置されるが、ゴム部材40aと40bとは側部突条51のみで当接する。
ゴム部材40aは、底部突条49のみでクランプ本体10の下面部11と接触し、側部突条51のみで端面部24a又はゴム部材40bと当接するので、振動が伝わりにくくなっている。
【0068】
ゴム部材40aをカバー30に取り付けると、ゴム部材40aの底部突条49は、カバー30の上面部31に当接し、基部41は上面部31とは若干の隙間があく。
また、側部突条51は、カバー30の端面部48aに当接し、側部突条51以外の側部とカバー30の端面部48aとは若干の隙間があく。
ゴム部材40aは、底部突条49のみでカバー30の上面部31と当接し、側部突条51のみで端面部48a又はゴム部材40bに当接するので、振動が伝わりにくくなっている。
【0069】
図17、
図18に示すように、ゴム部材40aの幅方向長さはnであり、横方向長さはsである。保持端部42aを除いた基部41の幅方向長さはpである。
クランプ本体10の2つの側面部12の間の幅方向長さは、ほぼ基部41の幅方向長さpであり、ゴム部材40aは、クランプ本体10の2つの側面部12の間にぴったり入る。
カバー30の2つの側面部32の間の幅方向長さは、ほぼ基部41の幅方向長さpと同じであり、ゴム部材40aは、カバー30の2つの側面部32の間にぴったり入る。
【0070】
クランプ本体10の2つの端面部24a,24bの間の横方向長さは、ゴム部材40aの横方向長さsのほぼ2倍であり、2つの端面部24a,24bの間に2つのゴム部材40aがぴったり入る。
カバー30の2つの端面部48a,48bの間の横方向長さは、ゴム部材40aの横方向長さsのほぼ2倍であり、2つの端面部48a,48bの間に2つのゴム部材40aがぴったり入る。
【0071】
正面図である
図18に示すように、ゴム部材40aは、幅方向両端部に半円形状の保持端部42aを有する。2つの保持端部42aの間隔は、クランプ本体10の2つの側面部12の間の間隔と等しい。保持端部42aの半円形の外径hは、クランプ本体10のゴム下保持部13a,13bの内径とほぼ等しく、保持端部42aは、クランプ本体10のゴム下保持部13a,13bにぴったり合う形状である。
又、2つの保持端部42aの間隔は、カバー30の2つの側面部32の間の間隔と等しい。保持端部42aの半円形の外径hは、カバー30のゴム上保持部33a,33bの内径とほぼ等しく、カバー30のゴム上保持部33a,33bにぴったり合う形状である。
【0072】
ゴム部材40aは、横方向端部に幅方向に間隔をあけて縦方向に延びる側部突条51を有する。ゴム部材40aをクランプ本体10に取り付けると、ゴム部材40aの側部突条51は、クランプ本体10の端面部24aに当接し、側部突条51以外の側部と端面部24aとは若干の隙間があく。ゴム部材40aをカバー30に取り付けると、ゴム部材40aの側部突条51は、カバー30の端面部48aに当接し、側部突条51以外の側部と端面部48aとは若干の隙間があく。
基部41の横方向端部の2つの側部突条51の間には、ほぼ直方体の凹部が形成され、固定脚受入空間Sとなっている。2つの固定脚受入空間Sの間の横方向の間隔はyである。
固定脚受入空間Sの幅方向長さはrである。この固定脚受入空間Sに、クランプ本体10のゴム下固定脚17、又はカバー30のゴム上固定脚37を受け入れることができる。
【0073】
底面部41と固定脚受入空間Sとの間には、固定脚受入孔45が形成されている。固定脚受入孔45の幅方向長さはq、横方向長さはwである。横方向に間隔をあけた2つの固定脚受入孔45の間隔はxである。固定脚受入孔45の縦方向の長さはuである。
固定脚受入孔45は、クランプ本体10のゴム下固定脚17を受け入れ、クランプ本体10にゴム部材40aを取り付けることができる。又、固定脚受入孔45は、カバー30のゴム上固定脚37を受け入れ、カバー30にゴム部材40aを取り付けることができる。
【0074】
図7のE−E線に沿った断面図である
図9に示すように、固定脚受入孔45の幅方向長さqは、ゴム下固定脚17の2本の固定脚の先端部の広い幅より小さく、2本の固定脚段部より下側の幅にほぼ等しい。ゴム下固定脚17の2本の固定脚を固定脚受入孔45に挿入していくと、ゴム下固定脚17の2本の脚が撓んで固定脚受入孔45を通過し、ゴム下固定脚17の2本の固定脚は広がって、ゴム下固定脚17の段部が固定脚受入孔45に係合し、抜けなくなる。従って、ゴム部材40bは、クランプ本体10に固定される。
【0075】
同様に、固定脚受入孔45の幅方向長さは、ゴム上固定脚37の2本の脚の先端部の外側の幅より小さく、ゴム上固定脚37の2本の脚を固定脚受入孔45に挿入していくと、ゴム上固定脚37の2本の脚が撓んで固定脚受入孔45を通過し、ゴム上固定脚37の2本の脚は広がって、固定脚受入孔45から抜けなくなる。従って、ゴム部材40bは、カバー30に固定される。
【0076】
ゴム部材40aのパイプPを保持するパイプ保持部43aは、幅方向に延びる複数のリブ44aを有する。隣り合うリブ44aの間は、溝になっている。リブ44aの頂点を結ぶ円の半径は、パイプP1の半径dより少し小さく、パイプP1を保持するとき、リブ44aはパイプP1に圧縮される。リブ44aの間の溝の底部を結ぶ円の半径は、パイプP1の半径dより少し大きい。
【0077】
ゴム部材40aの基部41と反対側の面は、接面46aである。2つのゴム部材40aの接面46a同士を合わせると、間にリブ44aと溝からなるほぼ円筒状のパイプ保持空間が形成される。ゴム部材40aのパイプ保持部43aの上端部は、溝の一番深い部分となっているので、2つのゴム部材40aを合わせると、1つの溝が形成される。
ゴム部材40aをクランプ本体10のゴム下保持部13aに入れると、ゴム部材40aの接面46aと、クランプ本体10の上面23は同一平面になる。
ゴム部材40aをカバー30のゴム下保持部13aに入れると、ゴム部材40aの接面46aと、カバー30の下面39は同一平面になる。
【0078】
図示の例では、1つのゴム部材40aについてリブ44aは3本である。リブ44aの部分のみでパイプPを保持することにより、パイプ側面の全面を支持する場合より、振動を減衰させる効果が大きい。
リブ44aの高さ、幅、本数等は、パイプの保持強度、振動吸収効果等を考慮して選択することができる。
【0079】
ゴム部材40aの材料は、振動を効果的に減衰させることができる材料であれば、任意の材料でよい。好ましい材料としては、軟質エラストマー、ゴム(合成ゴム、天然ゴム)等の弾性を有する材料がある。
【0080】
(他方のゴム部材)
図22は、防振クランプ1の太いパイプP2を取り付ける他方のゴム部材40bの斜視図である。
図23は上面図、
図24は正面図、
図25は右側面図、
図26は底面図である。
図27は、
図23のK−K線に沿った断面図である。ゴム部材40bの各部分については、ゴム部材40aの部分と寸法が異なる部分を表す参照番号はaの代わりにbを付けて表す。ゴム部材40aと40bで寸法が同じ部分は、a又はbを付けないで表す。
ゴム部材40bにはパイプP1より太いパイプP2を取り付ける。パイプP1を取り付けるゴム部材40aの接面46aは、幅方向端部から端部まで連続しているが(
図16)、パイプP2を取り付けるゴム部材40bの接面46bは、幅方向に分かれている(
図22)。2つのゴム部材40bを合わせると、接面46bは、幅方向の端部近傍では接するが(
図5)、幅方向中央部では接していない(
図7)。
【0081】
ゴム部材40aとゴム部材40bとで、寸法が統一されているのは表1に示す各箇所である。
表1 ゴム部材各部分の寸法
【0082】
ゴム部材40aとゴム部材40bとは、保持端部42の位置と寸法が同じなので、クランプ本体10について、ゴム部材40a用のゴム下保持部13aと、ゴム部材40b用のゴム下保持部13bの形状は同じにすることができる。カバー30について、ゴム部材40a用のゴム上保持部33aと、ゴム部材40b用のゴム上保持部33bの形状は同じにすることができる。
【0083】
ゴム部材40aとゴム部材40bとは、固定脚受入孔45の位置と寸法が同じなので、クランプ本体10のゴム下固定脚17、カバー30のゴム上固定脚37の形状と位置は同じにすることができる。
【0084】
ゴム部材40aとゴム部材40bとは、保持するパイプの太さが異なるので、ゴム部材40aのパイプ保持部43a(リブ44aとリブの間の溝)の形状と大きさと、ゴム部材40bのパイプ保持部43b(リブ44bとリブの間の溝)の形状と大きさとは異なる。
ゴム部材40aとゴム部材40bとは、異なる色にして、ゴム部材40aと40とを区別するようにすることもできる。
【0085】
本発明の実施形態では、半径dの細いパイプP1と、半径eの太いパイプP2を保持する場合について説明したが、パイプの太さはこれらに限定されない。パイプの太さによらず、ゴム部材の所定の部分の寸法を標準化し、いろいろの太さのパイプ用のゴム部材を成形することができる。
ただし、保持端部42の半円形の外径hが決まっていて、ゴム部材のパイプを保持する部分は一定以上の厚さが必要なので、取り付けるパイプの寸法には上限がある。
【0086】
(防振クランプ)
図4〜9を参照して、クランプ本体10と、カバー30と、2つのゴム部材40aと、2つのゴム部材40bとを組み立てた防振クランプ1について説明する。
2つのゴム部材40a,40bは、クランプ本体10に取り付けられている。
図7に示すように、ゴム部材40aの基部41の形成された底部突条49が、クランプ本体10の下面部11に当接し、ゴム部材40aの基部41とクランプ本体10の下面部11とは若干の隙間があいている。
また、ゴム部材40aの側部に形成された側部突条51が、クランプ本体10の端面部24aに当接し、側部突条51以外の側部とクランプ本体10の端面部24aとは若干の隙間があいている。
また、ゴム部材40aの側部突条51と、ゴム部材40bの側部突条51とが当接し、側部突条51以外の側部同士は当接していない。
【0087】
幅方向両端部において、ゴム部材40aの保持端部42aは、クランプ本体10のゴム下保持部13aにぴったり入っている。ゴム部材40aの接面46aはクランプ本体10の上面23と同一平面にある。
【0088】
別の2つのゴム部材40a,40bは、カバー30に取り付けられている。ゴム部材40aの基部41の形成された底部突条49がカバー30の上面部31に当接し、ゴム部材40aの基部41とカバー30の上面部31とは若干の隙間があいている。
また、ゴム部材40aの側部に形成された側部突条51が、カバー30の端面部48aに当接し、側部突条51に隣接する側部とカバー30の端面部48aとは若干の隙間があいている。
【0089】
幅方向両端部において、ゴム部材40aは、カバー30のゴム上保持部33aにぴったり入っている。ゴム部材40aの接面46aはカバー30の下面39と同一平面にある。
カバー30の下面39は、クランプ本体10の上面23に当接している。カバー30に取り付けられたゴム部材40aの接面46aは、クランプ本体10に取り付けられたゴム部材40aの接面46aに当接している。
【0090】
クランプ本体10のゴム下固定脚17は、ゴム部材40aの固定脚受入孔45に係合し、また、ゴム部材40bの固定脚受入孔45に係合している。
カバー30にも、同じ形状のゴム部材40a,40bが保持されている。カバー30のゴム上固定脚37は、ゴム部材40aの固定脚受入孔45に係合し、またゴム部材40bの固定脚受入孔45に係合している。
【0091】
カバー30の端面部48a,48bの下端部は、それぞれクランプ本体10の端面部24a,24bの上端部に当接している。
カバー30の本体係合脚35a,35bは、それぞれクランプ本体10の係合脚受入孔19a,19bに挿入されている。係合爪36a,36bは、それぞれ係合用突起22a,22bに係合して、カバー30はクランプ本体10に固定されている。
【0092】
クランプ本体10に保持されたゴム部材40aのパイプ保持部43aと、カバー30に保持されたゴム部材40aのパイプ保持部43aとで、パイプP1を保持するパイプ保持空間を形成している。クランプ本体10に保持されたゴム部材40bのパイプ保持部43bと、カバー30に保持されたゴム部材40bのパイプ保持部43bとで、パイプP2を保持するパイプ保持空間を形成している。
【0093】
クランプ本体10の係止部20には、スタッド(図示せず)を挿入して、係止爪27を係止することができるようになっている。
【0094】
(防振クランプの組み立て)
クランプ本体10のゴム下保持部13と、カバー30のゴム上保持部33との間のパイプ保持空間にパイプP1,P2を保持するには、クランプ本体10にゴム部材40a,40bを取り付け、カバー30に別のゴム部材40a,40bを取り付けておく。パイプP1,P2の下側にパイプ保持部43a,43bが当接するように、クランプ本体10を配置する。ゴム部材40a,40bを取り付けたカバー30をパイプの上側から、クランプ本体10に組み付ける。この時、カバー30の本体係合脚35a,35bが、それぞれクランプ本体10の係合脚受入孔19a,19bに入り、本体係合爪36a,36bが、それぞれ係合用突起22a,22bに係合するようにする。
こうすると、パイプP1,P2は、クランプ本体10に保持されたゴム部材40a,40bと、カバー30に保持されたゴム部材40a,40bとの間のパイプ保持空間にそれぞれ保持される。
【0095】
パイプP1,P2は、クランプ本体10に直接接することはなく、パイプP1,P2とクランプ本体10との間は、それぞれどの部位でもゴム部材40a,40bが間に介在する。ゴム部材40a,40bは、十分な防振性を確保するのに十分な厚さである。そのため、防振性能の高い防振クランプを得ることが出来る。
【0096】
防振クランプ1の部品は、クランプ本体10と、カバー30と、2つのゴム部材40aと、2つのゴム部材40bである。ゴム部材40a又は40bは、クランプ本体10と、カバー30との両方に同じものを取り付けることができる。ゴム部材40aと40bをクランプ本体10又は、カバー30に取り付ける部分の形状は統一されている。
クランプ本体10とカバー30と4つのゴム部材40a,40bとは、手作業により簡単に組立てることが出来る。そのため、防振クランプ1のコストが安くすむ。
【0097】
取り付けるパイプのピッチが
図5と同じで、P1(半径d)又はP2(半径e)と異なる太さのパイプを取り付ける場合は、クランプ本体10とカバー30とは
図5と同じものを使用し、取り付けるパイプの太さに適合した別のゴム部材を使用することにより、パイプを保持することができる。
パイプの太さは異なるが、クランプ本体10とカバー30は、同じものを使用するので、誤組防止嵌合部又は誤組防止形状を形成しない。ゴム部材が、どのパイプ太さ用かを識別するために、ゴム部材を異なる色の材料で製造することができる。又は、異なる色で着色する、又は異なるマークを付けることができる。色によりゴム部材を識別するのは、誤組防止嵌合部又は誤組防止形状により、ゴム部材を識別するより容易である。
【0098】
取り付けるパイプの太さが
図5に示すP1(半径d)又はP2(半径e)と同じで、パイプのピッチが異なる場合は、そのパイプに適合している同じゴム部材40a,40bを使用し、クランプ本体10のゴム部材下保持部13のピッチと、カバー30のゴム部材上保持部33のピッチとを変えることにより、パイプを保持することができる。
【0099】
本発明の実施形態によれば、パイプのピッチが同じで、異なる太さのパイプを取り付けようとするときは、クランプ本体10とカバー30は同じものを使用し、ゴム部材を使用するパイプの太さに合ったゴム部材に変更すればよい。クランプ本体10とカバー30は同じものを使用できるので、コストが安くなる。
また、同じパイプを異なるピッチで取り付けようとするときは、同じゴム部材を使用し、クランプ本体10とカバー30をそのパイプのピッチの適合したものに変更すればよい。別のゴム部材用の型を作成する必要がなく、コストが安くなる。