(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のフューエルリッドロック装置は、車体パネルと保持部の間に弾性的に変形可能なシール部材が配置されているため、ナットが緩んで取付状態にガタツキが生じるという問題がある。なお、ガタツキが生じないようにナットを強固に締め付けると、シール部材が破損するため、浸水を防ぐことができない。また、特許文献2の取付構造においても、ガタツキを解消することは困難である。
【0007】
本発明は、車体の取付パネルに対してガタツキなく強固に取付可能で、水の浸入を確実に防止できるフューエルリッドロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、両端を開口した筒状のガイド部を有するケーシングと、前記ガイド部に保持され、前記ガイド部の先端側開口から外方へ突出した突出位置と前記ケーシング内に向けて後退した後退位置との間で移動可能なロック部を有し、前記ケーシングの内部に少なくとも一部が収納されたロック部材とを備えたフューエルリッドロック装置において、前記ガイド部は、前記ケーシングから外方へ突出するとともに前記先端側開口を有し車両の取付パネルに設けた貫通孔を貫通して前記取付パネルに固定される固定部と、前記固定部より前記ガイド部の基端側に位置し前記取付パネルに当接状態で配置される第1部分と、前記第1部分より前記ガイド部の前記基端側に位置し前記取付パネルに対して間隔をあけた状態で配置される第2部分とを有し、前記第2部分に、前記取付パネルと前記第2部分の間をシールするシール部材を配設している、フューエルリッドロック装置を提供する。なお、前記固定部に締結部材を配置し、前記締結部材と前記第1部分との間に前記取付パネルを挟み込んで固定することが好ましい。
【0009】
このフューエルリッドロック装置は、ガイド部の固定部を取付パネルに固定することで、取付パネルにガイド部の第1部分が当接した状態で固定される。そして、取付パネルと第1部分との間には弾性を有する介在物が存在しない。そのため、取付パネルに対して固定部を強固に当接させることが可能である。よって、フューエルリッドロック装置を取付パネルに対してガタツキなく強固に取り付けることができる。
【0010】
また、取付パネルの貫通孔から車内側へ水が浸入することを防止するシール部材は、取付パネルと第2部分との間に形成された隙間(間隔)に配置される。そのため、取付パネルに固定部を固定することで、シール部材が過剰に圧迫されて破損することを防止できる。しかも、取付パネルと第2部分とは、常に設定された間隔で配置されるため、シール部材の圧縮代を製品毎に均一に設定できる。よって、製品毎のシール性能にバラツキを生じさせることなく、確実に防水機能を発揮させることができる。そして、車内に水が浸入することを確実に防止できる。
【0011】
前記第2部分を前記第1部分の径方向外側に設けている。このようにすれば、シール部材を配置するスペースを広く確保できるため、第2部分に対するシール部材の取付精度を低減できる。よって、第2部分へのシール部材の取付作業性を向上できる。
【0012】
前記ガイド部は前記ケーシングと別体で、前記ケーシング内に前記ガイド部の前記基端側が配置されており、前記ケーシングは、前記ガイド部の径方向外側に位置し、前記ガイド部の前記第2部分と面一になるように形成された端面部を有する。そして、前記シール部材は、前記ガイド部の前記第2部分と前記ケーシングの前記端面部とを跨ぐように配置されている。又は、前記シール部材は、前記ガイド部の前記第2部分と前記ケーシングの前記端面部との境界部分の径方向内側に配置されている。このようにすれば、ガイド部とケーシングとの境界部分からケーシング内に水が浸入することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフューエルリッドロック装置では、取付パネルと第1部分との間には弾性を有する介在物が存在しないため、取付パネルに対してガタツキなく強固に取り付けることができる。また、シール部材は、取付パネルと第2部分の設定された間隔に位置するため、製品毎のシール性能にバラツキを生じさせることなく、車内に水が浸入することを確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1から
図6Bは、本発明の第1実施形態に係るフューエルリッドロック装置10を示す。フューエルリッドロック装置10は、車両の燃料供給用開口を開閉するフューエルリッド(図示せず)の施錠状態と解錠状態の切り換えを行う。
図1から
図3に示すように、フューエルリッドロック装置10は、ケーシング11の内部に、フューエルリッドを施錠状態に保持するロック部材27を備える。
【0017】
(全体構成)
図1及び
図2に示すように、フューエルリッドロック装置10は樹脂製のケーシング11を備える。ケーシング11は、概ね2分割構造であり、ロアケース12とアッパーケース15とを備える。
図3に示すように、ケーシング11内には、モータ20、ウォームギア23、ギア部材25、及びロック部材27が収容されている。
【0018】
ロック部材27は、フューエルリッドに離脱可能に係合するロック部27aを備える。ロック部材27は、ケーシング11を貫通するように配置され、往復直動可能にケーシング11に保持されている(
図3の矢印A1,A2)。モータ20の回転出力(
図3の矢印B1,B2参照)は、ウォームギア23とギア部材25を介してロック部材27に伝達される(
図3の矢印C1,C2参照)。そのため、ロック部材27は、モータ20の正転方向又は逆転方向の回転に応じて、矢印A1,A2のうちのいずれかの方向に直線的に移動する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ロアケース12の外周部には係合爪12aが設けられ、アッパーケース15の外周部には係合フック15aが設けられている。ロアケース12の上端開口にアッパーケース15を配置し、係合爪12aに係合フック15aを係合することで、アッパーケース15がロアケース12に対して固定されている。また、
図1に加えて
図3を参照すると、ロアケース12にはネジ孔部12bが設けられ、アッパーケース15の貫通孔(図示せず)にネジを通してネジ止めすることで、アッパーケース15がロアケース12に対して固定されている。
【0020】
図3に示すように、モータ20は、
図3において左下隅に位置するロアケース12のモータ収容部12cに配置されている。モータ20の出力シャフト21は、
図3においてモータ収容部12cの右側に隣接して形成された第1ギア収容部12d内に配置されている。モータ20は、ロアケース12にインサート成形したターミナル13に接続されている。ターミナル13の先端は、
図3においてモータ収容部12cの右下側に隣接して形成されたコネクタ部12eに配置されている。コネクタ部12eに相手方のコネクタ(図示せず)が嵌合されることで、モータ20が電気的に接続されている。
【0021】
ウォームギア23は、モータ20の出力シャフト21に固定され、ロアケース12の第1ギア収容部12dに収容されている。
【0022】
ギア部材25は、
図3においてモータ収容部12cの概ね右上の領域に形成された第2ギア収容部12fに配置されている。第2ギア収容部12fには、ギア部材25を回動可能に配置する支持部12gが設けられている。ギア部材25は、支持部12gを中心とする基準円を有する斜歯歯車部(第1ギア部)25aを備える。斜歯歯車部25aはウォームギア23と噛合されている。斜歯歯車部25aは、ギア部材25の全周に設けられているのではなく、支持部12gを中心とする部分円弧状に設けられている。また、ギア部材25は、支持部12gに対して斜歯歯車部25aとは反対側に位置するように平歯車部(第2ギア部)25bが設けられている。平歯車部25bは、斜歯歯車部25aと同様に、支持部12gを中心とする基準円を有し、支持部12gを中心とする部分円弧状に設けられている。
【0023】
ロック部材27は、全体として細長いロッド状であり、
図3において第2ギア収容部12fの上側の領域に形成されたロック部材収容部12hに配置されている。ロック部材27の最も前端側(
図3において左側端)には、断面円形のロッド状で先端が半球状のロック部27aが設けられている。ロック部27aは、ケーシング11に設けたガイド部材30の先端側開口30dから外方へ突出した突出位置と、ケーシング11内に向けて後退した後退位置との間を移動される。
【0024】
ロック部27aの移動は、電動による第1駆動機構と、手動による第2駆動機構による。第1駆動機構は、前述したモータ20、ウォームギア23、及びギア部材25を備える。第2駆動機構は、ロック部材27の最も後端側(
図3において右側端)に設けられ、作業者が指で操作する手動操作部27bを備える。手動操作部27bは、常にケーシング11の外部に位置し、車室内(例えばトランクルーム)に配置されている。いずれかの駆動機構によってロック部材27が進出方向A1に移動されると、先端側開口30dから外方へ突出したロック部27aが突出位置に変位する。いずれかの駆動機構によってロック部材27が後退方向A2に移動されると、ロック部27aが先端側開口30dからケーシング11内に没入した後退位置に変位する。
【0025】
ロック部材27には、手動操作部27bからロック部27aに向けて順に、貫通部27c、中間部27d、及び圧接部27gが設けられている。貫通部27cは、ロアケース12の貫通孔12iを貫通されることで、手動操作部27bをケーシング11の外部に配置する。中間部27dには、ギア部材25の平歯車部25bと噛合されるラックギア(入力ギア)27eが設けられている。このラックギア27eが形成された部分を含むロック部材27の大部分が、ケーシング11内に収容されている。中間部27dには、ロアケース12及びアッパーケース15に形成したガイドリブ(図示せず)に嵌合する直線状のガイド溝27fが設けられている。
【0026】
圧接部27gは、
図3においてロック部材収容部12hの左側に形成された挿通部12j内に配置されている。
図2及び
図4に示すように、ケーシング11の挿通部12jは概ね円筒状であり、ロック部27aを含む圧接部27gがガイド部材(ガイド部)30を介して移動可能に配置されている。
図4において左側端に位置する挿通部12jの外端には、ロック部27aを外方へ突出させる開口部12kが形成されている。ロック部27aを軸方向から見ると、開口部12kは円環状である。即ち、ロック部材27のロック部27a側が貫通する部分のケーシング11は、実質的に2分割構造ではなく、ロアケース12の一部である挿通部12jによって構成されている。
【0027】
図4に示すように、ガイド部材30は、両端を開口した筒状であり、開口部12k内に配置されたフランジ状部30aを備える。また、ガイド部材30は、フランジ状部30aから
図4中左側に突出した固定部(先端側)30bと、フランジ状部30aから
図4中右側に突出した内装部(基端側)30eとを備える。固定部30bは、ロック部27aの外径より僅かに大きい直径の第1貫通部30cを備える筒状であり、開口部12kから外向きに突出されている。この第1貫通部30cの先端(取付パネル1側)である先端側開口30dは、ケーシング11から外方へ突出している。ロック部27aは、進出位置では先端側開口30dから更に突出し、後退位置では先端側開口30d内に没入する。内装部30eは、第1貫通部30cの直径より大きく、圧接部27gの外径より僅かに大きい直径の第2貫通部30fを備える筒状であり、ロアケース12内に配置されている。第1貫通部30cと第2貫通部30fとは連通され、固定部30bの内部にロック部27aが配置され、内装部30eの内部に圧接部27gが配置されている。
【0028】
圧接部27gは、外径がロック部27aの外径より大きく、第2貫通部30fを画定する内装部30eの内壁とは設定されたクリアランスをあけて位置する。圧接部27gには環状溝が形成され、この環状溝に概ね環状でリップを有するリング状のシール部材28が装着されている。シール部材28は、例えばゴムのような弾性材料からなり、内装部30eの内壁との間をシールする。
【0029】
シール部材28とは別に、ロック部材27とガイド部材30との間には、ロック部27aに付着した水滴がケーシング11内に浸入することを防止するシール部が更に設けられている。シール部は、ロック部27aと第1貫通部30cの隙間に充填した半固体状の潤滑剤であるグリスからなる。ロック部27aと第1貫通部30cの隙間にグリスを行き渡らせるために、ロック部27aの外周にはグリス収納部27hが設けられている。グリス収納部27hは、周方向に延びる半円形状の窪みからなる環状溝であり、ロック部27aの軸線(移動方向)に沿って複数設けられている。
図6Aに示すように、ロック部材27が突出位置にあるときには、グリス収納部27hは固定部30b内に位置し、ガイド部材30から外方へ突出しない。
図6Bに示すように、ロック部材27が後退位置にあるときには、グリス収納部27hは内装部30e内に位置する。なお、グリス収納部27hは、ロック部27aの外周部の代わりに固定部30bの内周部に設けてもよい。
【0030】
このフューエルリッドロック装置10の動作を説明する。
【0031】
図3を併せて
図6A,Bを参照すると、ターミナル13を介した給電によりモータ20が作動すると、出力シャフト21と一緒にウォームギア23が回転する(矢印B1,B2参照)。ウォームギア23の回転は、ウォームギア23とギア部材25の斜歯歯車部25aとの噛合によってギア部材25に伝達され、ギア部材25の支持部12g回りの回転に変換される(矢印C1,C2参照)。ギア部材25の支持部12g回りの回転は、ギア部材25の平歯車部25bとロック部材27のラックギア27eとの噛合によりロック部材27に伝達され、ロック部材27の直線移動に変換される(矢印A1,A2参照)。
【0032】
また、電源喪失やモータ20の駆動回路の故障等の際には、ロック部材27の手動操作部27bを操作し、ロック部材27のロック部27aを
図6Aに示す突出位置から
図6Bに示す後退位置に直線移動させることで、フューエルリッドを解錠できる。
【0033】
モータ20又は手動操作部27bによるロック部材27の進退により、ロック部27aと固定部30bの内壁との間には、グリス収納部27hに収納されたグリスが行き渡る。そして、ロック部27aと固定部30bの隙間にはグリスが充填された状態になる。また、グリス収納部27hはロック部27aの移動方向に沿って複数設けられているため、ロック部27aと固定部30bとの間の隙間のほぼ全域にグリスが行き渡る。そのため、ロック部27aのガイド部材30から突出した部位に水が付着しても、ロック部27aと固定部30bとの隙間からケーシング10内に水が浸入することを防止できる。よって、水滴が凍結することによるロック部材27の動作不良を防止できる。
【0034】
(車体への取付構造の詳細)
図6A,Bに示すように、フューエルリッドロック装置10は、燃料供給用開口の箱状枠を形成する取付パネル1に対して、車内側から車外側に向けて固定部30bが貫通され、ナット3によって燃料供給用開口側で締め付けて固定される。取付パネル1にフューエルリッドロック装置10を強固に取り付け、また、貫通孔2からの浸水も防止するために、ガイド部材30には、取付パネル1に当接状態で配置される当接部30hと、取付パネル1に間隔をあけて配置される対向部30jとが設けられている。
【0035】
詳しくは、ガイド部材30には、固定部30bの外周にネジ溝30gが設けられている。このネジ溝30gに締結部材であるナット3を締め付けることで、取付パネル1にフューエルリッドロック装置10が取り付けられている。
図5に示すように、取付パネル1は、固定部30bを貫通させる貫通孔2を備える。貫通孔2は、平行に延びる一対の直線部2a,2aと、これらの両端間にかけて延びる円弧状の曲線部2b,2bとで画定された長円形状(非円形状)である。
図2を参照すると、貫通孔2の形状は、固定部30bを軸方向から見た外形と同一である。
【0036】
図4及び
図6Aに示すように、ガイド部材30は、亜鉛ダイカスト(金属)製であり、ケーシング11と別体で形成されている。ロアケース12を製造する際にガイド部材30をインサート成形することで、ガイド部材30がロアケース12と一体に設けられている。フランジ状部30aにより開口部12kが塞がれ、フランジ状部30aから左側の固定部30bが開口部12kから外方へ突出され、フランジ状部30aから右側の内装部30eがロアケース12に埋め込まれている。
【0037】
ガイド部材30には、開口部12k側に位置するフランジ状部30aから軸方向外方へ突出する当接部(第1部分)30hが設けられている。
図2を参照すると、当接部30hは外形が円形状であり、開口部12kから突出されている。
図6Aに示すように、当接部30hの先端面30iは、貫通孔2に固定部30bを貫通させて取り付けることで、取付パネル1の車内側の面1aに面接触(当接)状態で固定される。
【0038】
ガイド部材30には、当接部30hの径方向外側に、取付パネル1の車内側の面1aに対して当接部30hより開口部12k側へ位置する対向部(第2部分)30jが設けられている。対向部30jは円環状であり、固定部30bの軸線(図示せず)を中心として、当接部30h及びフランジ状部30aより径方向外側へ突出されている。対向部30jの先端面30kは、挿通部12jの端面部12lと面一になるように形成されている。端面部12lは、ロアケース12の開口部12kを画定する挿通部12jの取付パネル1側の端面である。ケーシング11の開口部12kは、対向部30jにより塞がれている。また、対向部30jの先端面30kは、貫通孔2に固定部30bを貫通させて取り付けることで、取付パネル1に対して間隔をあけた状態で固定される。取付パネル1と対向部30jとの間隔は、当接部30hと対向部30jとの段差分であり、希望に応じて設定が可能である。
【0039】
図4及び
図6Aに示すように、対向部30j、フランジ状部30a、及び内装部30eの外周部は、ガイド部材30(金属)とロアケース12(樹脂)との境界部分であり、インサート成形により実質的に固着されている。しかし、境界部分には、微小な隙間が存在しているため、この境界部分に水が付着している場合、毛細管現象によりケーシング11内に水が浸入することがある。この境界部分に至る水は、取付パネル1の貫通孔2とガイド部材30の固定部30bとの隙間を通って浸入する雨水又は洗車水である。
【0040】
ガイド部材30の対向部30jには、取付パネル1の貫通孔2を介して車内側に水が浸入することを防止するために、取付パネル1と対向部30jとの間をシールするシール部材32が配置されている。このシール部材32は、弾性的に伸縮可能な素材(例えばポリウレタン製)からなり、緩衝機能も兼ね備える。
図2及び
図4を参照すると、シール部材32は、ガイド部材30の固定部30bを囲むように円環状に設けられ、ガイド部材30とロアケース12との境界である対向部30jの外周部30lを越えて、端面部12lにかけて径方向に延びている。即ち、シール部材32は、ガイド部材30の対向部30jとロアケース12の端面部12lとを跨ぐように配置されている。このようにシール部材32を配置することで、ケーシング11とガイド部材30の境界部分からケーシング11内に水が浸入することを防止することができる。
【0041】
図4及び
図6Aを参照すると、シール部材32の軸方向寸法である肉厚Tは、フューエルリッドロック装置10を取付パネル1に取り付けた状態の、取付パネル1の車内側の面1aと対向部30jの先端面30kとの間隔Sより大きい。そのため、取付状態でシール部材32は、軸方向に弾性的に圧縮される。また、シール部材32の内径は、対向部30jの外径より小さく、当接部30hの外径より大きい。これにより、
図4に示す取付前の状態では、シール部材32の内周部と当接部30hの外周部との間に設定された隙間33が形成される。この隙間33は、シール部材32を弾性的に圧縮する際の逃げ代である。
図6Aに示す取付状態では、シール部材32が変形により膨出することで、隙間33は実質的に無くなる。言い換えれば、シール部材32の内径は、取り付けにより変形することで、当接部30hの外周面に密着する寸法で形成されている。これにより、貫通孔2から浸入した水の車内側への浸入、及びケーシング11とガイド部材30の境界に向けた水の浸入を最大限に抑制している。なお、シール部材32の外径は、
図4に示す取付前の状態で、対向部30jの外径より大きい。
【0042】
フューエルリッドロック装置10を取付パネル1に取り付ける際には、まず、筒状の治具(図示せず)を端面部12l側に配置する。そして、ガイド部材30の固定部30bを中心として配置した治具にシール部材32を嵌める。ついで、シール部材32を対向部30j及び端面部12lに両面テープ等の固着部材によって取り付ける。この際、対向部30jを当接部30hの径方向外側に設けているため、シール部材32を配置するスペースを広く確保できる。よって、対向部30jに対するシール部材32の取付精度を低減できるため、シール部材32の取付作業性を向上できる。
【0043】
ついで、
図6Aに示すように、取付パネル1の取付孔2に対して車内側からガイド部材30の固定部30bを貫通させ、車外側から固定部30bにナット3を配置し、強固に締め付ける。これにより、ナット3が取付パネル1の車外側の面1bに面接触状態で当接する。また、当接部30hが取付パネル1の車内側の面1aに面接触状態で当接する。そして、ナット3と当接部30hとの間に取付パネル1が強固に挟み込まれる。また、当接部30hの外周部に配置したシール部材32は、対向部30jの先端面30k及び端面部12lと、取付パネル1の車内側の面1aとの間に挟まれ、弾性的に圧縮される。
【0044】
この取付状態では、取付パネル1と当接部30hとの間には弾性を有する介在物が存在しない。そのため、前述のようにナット3を強固に締め付けることが可能である。よって、フューエルリッドロック装置10を取付パネル1に対してガタツキなく強固に取り付けることができる。また、シール部材32は、取付パネル1と対向部30jとの間に形成された隙間(間隔)33に配置されているため、ナット3の締め付けにより過剰に圧迫されて破損することはない。しかも、取付パネル1と対向部30jとは、常に設定された間隔Sで位置するため、シール部材32の圧縮代を製品毎に均一に設定できる。よって、製品毎のシール性能にバラツキを生じさせることなく、確実に防水機能を発揮させることができる。
【0045】
また、取付パネル1の貫通孔2とガイド部材30の固定部30bとの間の水は、車内外の圧力差等によって取付パネル1と当接部30hとの間から車内側へ浸入することがある。しかし、当接部30hの径方向外側では、取付パネル1、対向部30j及び当接部30hの外周部の間でシール部材32が圧接されている。そのため、当接部30hから径方向外側への水の浸入は、シール部材32により確実に防止される。しかも、シール部材32は、別体としたガイド部材30をケーシング11において、ガイド部材30の対向部30jとケーシング11の端面部12lとを跨ぐように配置している。そのため、これらの境界部分からケーシング11内に水が浸入することを確実に防止できる。
【0046】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態のフューエルリッドロック装置10を示す。この第2実施形態では、ガイド部材30の対向部30jとケーシング11の端面部12lとの境界部分より径方向内側にOリングからなるシール部材32を配置した点で、第1実施形態と相違する。詳しくは、対向部30jには、当接部30hの外周部に位置するように、軸方向へ窪む環状凹溝30mが設けられている。環状凹溝30mにシール部材32を配置し、フューエルリッドロック装置10を取付パネル1に取り付けると、取付パネル1、当接部30hの外周面、及び対向部30jの間にシール部材32が挟み込まれる。そのため、貫通孔2から水が浸入しても、径方向外側へ流動することを防止できる。よって、ガイド部材30とケーシング11の境界からケーシング11内に水が浸入することを確実に防止できる。よって、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0047】
なお、本発明のフューエルリッドロック装置は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、前記実施形態では、ガイド部である金属製のガイド部材30と樹脂製のケーシング11とを別体とし、インサート成形により一体に設けたが、樹脂によってガイド部材30をケーシング11に一体成形してもよい。また、前記実施形態では、第2部分である対向部30jは、第1部分である当接部30hの径方向外側に設けたが、当接部30hの径方向内側に設けてもよい。また、固定部30bの締結部材は、ネジ溝30gとナット3に限らず、筒状の固定部30bに嵌合して固定できる機構であれば、いずれでも適用できる。