(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一致度は、前記第1の回帰線と前記時系列データとの差が第1の閾値以下となるデータの数、前記第1の回帰線と前記時系列データとの差が第1の閾値以下となるデータを含む時間の長さ、又は前記第1の回帰線と前記時系列データとの差が第1の閾値以下となるデータを含む時間の長さが前記時系列データの取得時間に占める割合によって求められる、請求項5に記載の検体分析装置。
前記選択部は、前記第1の回帰線に対する前記時系列データの正又は負の差分領域の面積が第2の閾値以上の場合に、その第1の回帰線を生成した区間データを棄却する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
検体と試薬とを混合して調製された測定試料に光を照射し、測定部により光学的な時系列データを取得する検体分析装置において実行されるコンピュータプログラムであって、
前記検体分析装置を、
前記測定部により取得された前記時系列データを複数の区間データに分割し、各区間データの第1の回帰線を求め、前記時系列データと最も一致度が高い前記第1の回帰線を選択する選択部、及び
前記測定部により取得された前記時系列データのうち、選択された前記第1の回帰線と一致する前記時系列データの領域を分析対象領域として設定し、設定した分析対象領域に含まれる時系列データを用いて第2の回帰線を求め、前記第2の回帰線を用いて分析を行う分析部、として機能させるコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る検体分析装置は、血液凝固分析装置である。血液凝固分析装置は、血液検体と試薬とを混合することで調製された測定試料に光を照射し、取得された光学的な測定信号を、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法によって解析することにより、血液の凝固能に関する分析を行う。以下においては、特に、合成基質法を用いた第VIII因子の測定について説明する。
【0015】
図1に示すように、血液凝固分析装置1は、血漿等の血液検体を含む測定試料を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2の前方に配置され、血液検体が収容された検体容器を搬送する検体搬送装置3と、測定装置2により取得された測定データを分析し、測定装置2に指示を与える制御装置4とを備えている。
【0016】
図2に示すように、測定装置2は、調製部11と測定部12とを備えている。調製部11は、検体搬送装置3により搬送された検体容器内の血液検体と、測定装置2内にセットされた試薬容器内の試薬とをそれぞれ反応容器に分注し、撹拌処理、加温処理等を行うことによって測定試料を調製する。測定試料は、測定部12に搬送され、測定部12において光学的な測定が行われる。
【0017】
測定部12は、ハロゲンランプ又はLED等の光源を有する照射部14と、フォトダイオード等の受光部を有する検出部15と、CPU及びメモリ等を備えた処理部16とを備えている。照射部14は、測定試料に所定の光を照射する。第1の実施形態の照射部14は、複数種類の波長の光を測定試料に照射する。例えば、照射部14は、フィルタによって波長405nmの光と波長800nmの光とを分光して測定試料に照射する。照射部14は、波長405nmの光と波長800nmの光とをそれぞれ所定時間毎に照射する。例えば、照射部14は、各波長の光を0.1秒毎に照射する。
【0018】
検出部15は、測定試料からの光を受光し、受光光量に応じた電気信号を出力する。特に、検出部15は、測定試料からの透過光、散乱光、又は蛍光等を受光する。本実施形態の血液凝固分析装置1で適用される合成基質法では、照射部14が波長405nmの光を測定試料に照射し、検出部15は、測定試料からの透過光を受光する。測定試料の凝固反応が進むと、測定試料の濁度が上昇するため、検出部15によって受光される透過光の光量は減少し、電気信号の出力レベルが低下する。
【0019】
照射部14は、波長800nmの光も測定試料に照射し、検出部15は、測定試料からの透過光を受光する。合成基質法による第VIII因子の測定においては、800nmの波長の光は、測定試料の凝固反応に反映されず、透過光量はほとんど変化しない。800nmの波長の光によって検出部15が出力する電気信号は、後述するように、専らノイズ以外のデータを取得するために利用される。
【0020】
測定部12の処理部16は、検出部15によって検出された透過光の電気信号をデジタルデータに変換する。そして、処理部16は、変換されたデジタルデータを制御装置4に送信する。
【0021】
測定部12では、1回の測定で所定時間、波長405nmの光と波長800nmの光とが測定試料に照射され、その間の透過光量のデジタルデータが時系列データとして取得される。例えば、1回の測定で25秒間、各波長の光が測定試料に照射される。また、各波長の光が0.1秒毎に照射される場合、時系列データも0.1秒毎に取得される。したがって、1回の測定で25秒間の照射を行う場合、各波長の光について、それぞれ250個の時系列データが取得される。
【0022】
制御装置4は、CPU、ROM及びRAM等を含む記憶部、液晶モニタ等の表示部4a(
図1参照)等を備えている。制御装置4は、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムをCPUが実行することによって所定の機能を発揮する。本実施形態の制御装置4は、
図2に示すように、変換部21、選択部22、及び分析部23としての機能を発揮する。制御装置4には、測定部12の処理部16から送信された光学的な測定信号である透過光量についての時系列データが入力される。
【0023】
制御装置4の変換部21は、測定部12から入力された「透過光量」の時系列データを「吸光度」の時系列データに変換する。
図3には、変換後の時系列データの時間の経過に伴う変化がグラフで示されている。
図3において、第1の波長は800nmであり、第2の波長は405nmである。横軸の時間の最大値は、一回の測定時間である25秒間とされている。いずれの時系列データも、ノイズを含むことによって一部の区間で吸光度が上昇している。
【0024】
第1の波長における時系列データは、ノイズを除いてほとんど吸光度が変化しておらず、ほぼ一定の値をとっている。つまり、第1の波長における時系列データは、血液の凝固の進行が反映されておらず、ノイズのみを反映したデータとなっている。このノイズは、測定試料に発生した泡又は凝集塊等が原因となる。照射部14が光を照射している領域を泡又は凝集塊が侵入すると、次第に吸光度が上昇し、前記領域を泡又は凝集塊が抜けていくと次第に吸光度は減少する。このノイズが取得される区間の長さは10秒程度となっている。
【0025】
第2の波長における時系列データは、ノイズを除いてほぼ時間に比例して吸光度が増加している。これは、第2の波長における時系列データが、血液の凝固反応を反映したデータであることを示している。第2の波長においても第1の波長と同一の区間でノイズによる吸光度の上昇が見られる。
【0026】
制御装置4の選択部22は、第1の波長における時系列データを用いることによって、ノイズのない領域を特定し、この領域を「分析対象領域」に設定する。これに対して制御装置4の分析部23は、選択部22によって特定された分析対象領域を第2の波長における時系列データに当てはめ、分析対象領域における凝固能に関する分析を行う。以下、選択部22及び分析部23の具体的な処理を、
図4〜
図7の図面と、
図8のフローチャートを用いて説明する。
図8のフローチャートは、第1の波長の時系列データに対する選択部22の処理と、第2の波長の時系列データに対する分析部23の処理とが個別に記載されている。
【0027】
制御装置4の変換部21は、
図8のステップS1において、測定装置2から送信された「透過光量」の時系列データを「吸光度」の時系列データに変換する。次いで、制御装置4の選択部22は、ステップS2において、
図4に示すように第1の波長の時系列データの取得期間を複数の区間An(nは1以上の整数)に分割する。
【0028】
この区間Anの長さは、時系列データの取得期間の10分の1から3分の1の間であり得る。ここでは、区間Anの長さは、時系列データの取得期間である25秒間よりも短く、2.5秒以上8.3秒未満であり得る。この長さは、例えば5秒とされる。したがって、この区間Anに含まれるデータの数は50個となる。以下、各区間Anに含まれるデータを区間データといい、全体の時系列データと区別する。この区間Anの長さは、ノイズの発生時間よりも短い。複数の区間Anは、互いに重複部分を有している。隣接する区間An同士は精度を考慮すると、50%以上重複していることが好ましく、測定時間を考慮すると、80%未満であることが好ましい。例えば、隣接する区間An同士は3秒間重複している。したがって、隣接する区間Anの間で30個のデータが重複される。
【0029】
次いで、
図8のステップS3において、制御装置4の選択部22は、区間データを近似する第1の回帰線を求める。
図5には、区間A1における区間データの第1の回帰線L1が実線で示されている。この第1の回帰線L1は、例えば、最小二乗法等によって求められた、区間データに近似する回帰直線である。
【0030】
選択部22は、
図5に点線で示すように、第1の回帰線L1を時系列データの取得期間全体に延長する。そして、
図8のステップS4において、選択部22は、時系列データと第1の回帰線L1との「一致度」を求める。一致度は、時系列データと第1の回帰線L1との差が所定の閾値以下となるデータの数によって求められる。例えば、
図5に示すように、1つの時系列データa1は、第1の回帰線L1と一致し、その差は所定の閾値以下である。このような時系列データa1が一致度を算出するために採用される。他の時系列データa2は、第1の回帰線L1との差bが大きく、所定の閾値以上となっている。したがって、この時系列データa2は、一致度の算出からは除外される。一致度は、第1の回帰線L1との差が所定の閾値以下となるデータを含む時間の長さによって求めてもよい。また、第1の回帰線L1との差が所定の閾値以下となるデータを含む時間の長さが時系列データの取得時間に占める割合によって求めてもよい。
【0031】
次いで、選択部22は、
図8のステップS5において、第1の回帰線L1と時系列データとの関係に基づいて誤検知の判定を行う。具体的には、時系列データと第1の回帰線L1との一致度を求めた結果、
図9にハッチングを付して示すように、第1の回帰線L1よりも吸光度が低い時系列データの領域R、すなわち負の差分領域Rが存在し、かつその領域Rの面積が所定の閾値以上の場合には、選択部22は、その第1の回帰線L1は誤検知されたものとして棄却する。
【0032】
第1の回帰線L1と時系列データとの差が大きい場合、その時系列データがノイズを含んでいると考えることができるが、その場合、ノイズを含む時系列データは、第1の回帰線L1よりも高い値になるはずである。これに対して、
図9に示す例では、時系列データが第1の回帰線L1よりも低い値になっているので、第1の回帰線L1はノイズに近似されていると考えることができる。ノイズに近似された第1の回帰線L1と時系列データとの一致度が高くなると、その第1の回帰線L1が後述する分析対象領域を決定するために採用されてしまうため、好ましくない。したがって、ステップS5の段階で、
図9にハッチング示す領域Rの面積が所定の閾値以上の場合には、その第1の回帰線L1は誤検知であると判定し、
図8のステップS6において、その第1の回帰線L1を棄却する。
【0033】
ステップS7において、選択部22は、全ての区間AnについてステップS3〜S6の処理が終了したか否かを判定する。全ての区間Anの処理が終了していない場合は、ステップS3〜S6の処理を繰り返し行い、全ての区間Anが終了している場合には、ステップS8に処理を進める。
【0034】
選択部22は、ステップS8において、全ての区間Anの第1の回帰線L1の一致度を比較する。そして、選択部22は、ステップS9において、
図6に示すように一致度が最も高い、区間Aiの第1の回帰線L1iを選択し、その第1の回帰線L1iと一致する時系列データを取得する。ここでの「一致」は、第1の回帰線L1iと時系列データとが完全に一致する場合だけでなく、両者の差が所定の閾値以下であればよい。この場合の閾値は、一致度の算出で用いられた閾値と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
制御装置4の分析部23は、第1の回帰線L1iと一致する時系列データを含む領域を「分析対象領域」として分析を行う。
図6には、最も一致度が高い区間Aiの第1の回帰線L1と、時系列データとが一致する領域と、不一致となる領域とが示されており、一致する領域が分析対象領域となる。
【0036】
制御装置4の変換部21(
図2参照)は、
図8のステップS11において、測定装置2から送信された第2の波長における透過光量の時系列データを吸光度の時系列データに変換する。
図3の下側に、第2の波長における吸光度の時系列データを示す。
【0037】
制御装置4の分析部23は、
図8のステップS12において、選択部22で求められた分析対象領域(
図6参照)を第2の波長の時系列データに当てはめ、
図7に示すように、分析対象領域の時系列データに近似する第2の回帰線L2を取得する。この第2の回帰線L2は、最小二乗法等によって生成することができる。
【0038】
図8のステップS13において、分析部23は、吸光度の時系列データが誤検知によるものか否かを判定する。
図10に示すように、分析対象領域の幅が所定の閾値以下の場合に誤検知と判定する。この場合、吸光度の時系列データに非常に多くのノイズが含まれていると考えられるため、その時系列データを誤検知によるものと判定し、棄却する。所定の閾値と比較される分析対象領域の「幅」は、分析対象領域に含まれる時系列データの数であってもよいし、分析対象領域の時間の幅であってもよい。
【0039】
分析部23は、
図8のステップS13において時系列データが誤検知によるものであると判定した場合には、制御装置4の表示部4aにエラー出力を行う。また、分析部23は、ステップS13において時系列データが誤検知によるものではないと判定した場合には、制御装置4の表示部4aに、第2の回帰線L2から取得される測定結果、例えば、第2の回帰線L2の傾きから取得される凝固反応速度についての測定結果を出力する。
【0040】
以上の実施形態においては、時系列データを複数の区間データに分割し、各区間データについて第1の回帰線L1を求め、時系列データと第1の回帰線L1との一致度が最も高い第1の回帰線L1を選択し、その第1の回帰線L1と一致する時系列データの領域を分析対象領域に設定している。そのため、ノイズを除外した領域を対象として第2の回帰線L2を生成し、凝固反応の状態を分析することができる。そのため、信頼性の高い分析を行うことができる。
【0041】
また、時系列データを分割した複数の区間データを用いて第1の回帰線L1を求めているので、ノイズを含まない第1の回帰線L1を数多く求めることができ、より正確な分析対象領域の設定に寄与することができる。
【0042】
上記実施形態では、凝固反応が反映されず、ほぼ一定の値をとる第1の波長における吸光度の時系列データによって第1の回帰線L1が求められている。そのため、ノイズ以外の領域で時系列データのばらつきが少なく、第1の回帰線L1と時系列データとの一致度が高くなる。そのため、ノイズを含まない範囲でより広い分析対象領域を求めることができ、より正確な第2の回帰線L2を求めることができる。
【0043】
上記第1の実施形態では、第1の回帰線L1を求めるために、時系列データを複数の区間Anに分割しており、隣接する区間An同士が互いに重複している。これにより、時系列データの取得時間をより多くの区間Anに分割することができ、より一致度の高い第1の回帰線L1を求めることができる。
【0044】
第1の実施形態の第1の回帰線L1及び第2の回帰線L2は、0次式又は1次式で表される直線とされていたが、例えば高濃度検体の場合のように、時系列データが曲線で表される場合には、第1の回帰線L1及び第2の回帰線L2も2次式で表される曲線とすることができる。また、第1の回帰線L1及び第2の回帰線L2は、多項式で表すことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1の波長と第2の波長との二つの波長の光を用いてそれぞれの時系列データを取得していたが、第2の実施形態は、第2の波長における時系列データのみを取得する。
【0046】
図11に第2の実施形態における吸光度の時系列データを示す。この時系列データは、
図3の下側に示す時系列データと同様のものである。この時系列データは、時間の経過に比例して吸光度が徐々に増加しており、血液の凝固反応が反映されている。以下、
図11〜
図13のグラフと、
図14に示すフローチャートを用いて第2の実施形態について説明する。
【0047】
図14のステップS21〜S29の処理は、第1の実施形態で説明した
図8のステップS1〜S9の処理と同様である。ただし、本実施形態では、
図11に示すように、第2の波長における時系列データを複数の区間Anに分割し、各区間Anについて第1の回帰線L1を求める。そして、
図12に示すように、第2の波長の時系列データと最も一致度が高い、区間Aiの第1の回帰線L1iを選択する。この第1の回帰線L1iと一致する時系列データの領域を「分析対象領域」に設定する。
【0048】
図14のステップS30〜S33の処理は、第1の実施形態で説明した
図8のステップS12〜S15の処理と同様である。ただし、本実施形態では、
図13に示すように、第1の回帰線L1を取得した時系列データと同一の時系列データに対して第2の回帰線L2を取得する。
【0049】
本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。ただし、第1の実施形態では、凝固反応が反映されない時系列データを用いて分析対象領域を求めていたのに対して、第2の実施形態では、凝固反応が反映された時系列データを用いて分析対象領域を求めているので、第1の実施形態の方が凝固反応の影響を受けにくくより正確な分析対象領域を求めることができる。
【0050】
第2の実施形態においても、第1の回帰線L1及び第2の回帰線L2として、曲線を用いることができる。また、第1の回帰線L1及び第2の回帰線L2は、多項式で表すことができる。
【0051】
また、
図14のステップS25において、選択部22は、第1の回帰線L1と時系列データとの関係から、時系列データが誤検知によるものか否かを判定する。第1の回帰線L1が曲線で表される場合、誤検知の判定には、
図15及び
図16に示す条件を適用することができる。
【0052】
図15に示す条件は、第1の回帰線L1が単調増加していない場合である。血液の凝固反応では、吸光度が減少に転じることはほとんどないため、
図15に示すような第1の回帰線L1が取得された場合には、それを誤検知であると判定することができる。
【0053】
図16に示す条件は、第1の回帰線L1が凹状に上昇している場合である。血液の凝固反応は、当初の反応が大きく、徐々に反応が緩やかになるため、凹状に上昇する第1の回帰線L1が取得された場合には、誤検知であると判断することができる。
【0054】
上記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
上記第2の実施形態では、第2の波長である405nmの光により取得された時系列データを用いて第1の回帰線及び第2の回帰線をそれぞれ求め、この第2の回帰線を用いて凝固反応の分析を行っていたが、最も一致度の高い第1の回帰線を凝固反応の分析に用いることも可能である。ただし、第1の回帰線を用いて求めた分析対象領域の時系列データから改めて第2の回帰線を求める方が、より時系列データに近似する回帰線を取得することができ、より信頼性の高い分析を行うことができる。
【0056】
上記各実施形態では、合成基質法による第VIII因子の測定について説明したが、合成基質法によるその他の項目の測定にも本発明を適用することができる。また、免疫比濁法で測定する項目にも本発明を適用することができる。
【0057】
時系列データを分割する区間データは、その範囲(データ数)を調整できるようにしてもよい。言い換えると、時系列データの取得期間を分割する区間の時間的な長さを調整できるようにしてもよい。例えば、区間データのデータ数を大きくすることによって区間数を少なくし、処理の効率化を図ることができる。また、区間データのデータ数が多いために、いずれの区間データもノイズを含み、適切に第1の回帰線を求めることができない場合は、区間データのデータ数を小さくなるように調整することができる。
【0058】
上記実施形態では、吸光度の時系列データを用いて分析を行っていたが、透過光量の時系列データを用いて分析を行うこともできる。この場合、時系列データは、凝固反応の進行によって低下し、ノイズによっても低下する。また、この場合、
図8のステップS5の誤検知判定では、
図9に示すように、第1の回帰線L1よりも透過光量が高い領域(正の差分領域)の面積が所定の閾値以上である場合に、その第1の回帰線L1が誤検知によるものと判定することができる。
【0059】
上記各実施形態では、合成基質法を用いた第VIII因子の測定の例を示したが、時系列データから得られるグラフの形状がほぼ直線形状である測定に好適に用いることができる。例えば、試薬として免疫比濁法用試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、それを免疫比濁法により測定した際の測定結果の解析及び合成基質法用試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、それを合成基質法により測定した際の測定結果の解析に好適に用いられる。
【0060】
上記各実施形態では、検体分析装置として血液凝固分析装置を示したが、その他の分析装置にも本発明を適用することができる。