特許第6454247号(P6454247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6454247-ベーンポンプ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454247
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】ベーンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/344 20060101AFI20190107BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20190107BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   F04C2/344 331J
   F04C2/344 331D
   F04C15/00 E
   F04C15/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-179525(P2015-179525)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-53310(P2017-53310A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100198579
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲一
(72)【発明者】
【氏名】下野 宏美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 朋之
(72)【発明者】
【氏名】中川 智行
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘俊
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−161869(JP,A)
【文献】 特開平4−148092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/344
F04C 15/00
F04C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に連結され外周に複数のベーンを有するロータと、
前記ロータを収容し内部にポンプ室を画成するカムリングと、
前記ロータ及び前記カムリングが収容されるポンプ収容凹部が形成されたポンプボディと、
前記ロータと前記ポンプボディとの間に設けられるサイドプレートと、
前記サイドプレートに形成され、前記ポンプ室から作動流体を吐出する複数の吐出ポートと、
前記ポンプ収容凹部の底部に溝状に形成され、前記複数の吐出ポートを通じて作動流体が導かれる高圧室と、
前記高圧室に開口する開口部を有し作動流体を前記高圧室の外部へ導く高圧通路と、を備え、
前記複数の吐出ポートのうちの一つは、前記高圧通路の前記開口部に対向するように配置され、
前記高圧室の流路断面積は、前記複数の吐出ポートの流路断面積の合計よりも小さいことを特徴とするベーンポンプ。
【請求項2】
前記複数の吐出ポートは、前記高圧通路の前記開口部に対向するように配置される第1吐出ポートと、前記高圧通路の前記開口部から離間した位置に配置される第2吐出ポートと、からなり、
前記高圧室は、前記第2吐出ポートから前記高圧室に導かれた作動流体が前記高圧室内において第1高圧室及び第2高圧室の二手に分かれて流れ、その後前記高圧通路の前記開口部おいて合流するように環状に形成され、
前記第1高圧室及び前記第2高圧室の流路断面積の合計は、前記第2吐出ポートの流路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーンポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対称となる位置に二つの吐出ポートを有する平衡型のベーンポンプが記載されている。これら二つの吐出ポートから吐出された吐出油は、ハウジング内に設けられた円環状の圧力室を通って流量制御弁につながる流路に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−161869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のベーンポンプでは、二つの吐出ポートから吐出された吐出油は、圧力室内で合流した後、流量制御弁につながる流路内へと流入する。この種のベーンポンプにおいては、圧力室内で合流した吐出油の圧力損失を低減するために、圧力室の流路断面積を二つの吐出ポートの流路断面積の合計以上の流路断面積にする必要があった。このため、圧力室の流路断面積を小さくすることが難しく、ベーンポンプを小型化することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ベーンポンプを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、ベーンポンプであって、駆動軸に連結され外周に複数のベーンを有するロータと、ロータを収容し内部にポンプ室を画成するカムリングと、ロータ及びカムリングが収容されるポンプ収容凹部が形成されたポンプボディと、ロータとポンプボディとの間に設けられるサイドプレートと、サイドプレートに形成され、ポンプ室から作動流体を吐出する複数の吐出ポートと、ポンプ収容凹部の底部に溝状に形成され、複数の吐出ポートを通じて作動流体が導かれる高圧室と、高圧室に開口する開口部を有し作動流体を高圧室の外部へ導く高圧通路と、を備え、複数の吐出ポートのうちの一つは、高圧通路の開口部に対向するように配置され、高圧室の流路断面積は、複数の吐出ポートの流路断面積の合計よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
第1の発明では、複数の吐出ポートのうちの一つは、高圧通路の開口部に対向するように配置される。したがって、複数の吐出ポートのうちの一つから吐出された作動流体は、直接高圧通路に流入する。これにより、高圧室には、残りの吐出ポートから導かれた作動油のみが流れることになるので、高圧室の流路断面積を複数の吐出ポートの流路断面積の合計よりも小さくできる。
【0008】
第2の発明は、複数の吐出ポートは、高圧通路の開口部に対向するように配置される第1吐出ポートと、高圧通路の開口部から離間した位置に配置される第2吐出ポートと、からなり、高圧室は、第2吐出ポートから高圧室に導かれた作動流体が高圧室内において第1高圧室及び第2高圧室の二手に分かれて流れ、その後高圧通路の開口部おいて合流するように環状に形成され、第1高圧室及び第2高圧室の流路断面積の合計は、第2吐出ポートの流路断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1高圧室及び第2高圧室の流路断面積の合計は、第2吐出ポートの流路断面積よりも大きい。これにより、第2吐出ポートを通じて吐出された作動流体の高圧室による圧力損失を低減できる。また、第2吐出ポートから高圧室に導かれた作動流体は、第1高圧室及び第2高圧室の二手に分かれて流れるので、第1高圧室及び第2高圧室それぞれの流路断面積を小さくできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベーンポンプを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るベーンポンプの断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るベーンポンプのポンプ収容凹部の底部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るベーンポンプ100について説明する。図1はベーンポンプ100における駆動軸に平行な断面を示す断面図である。
【0013】
ベーンポンプ100は、車両に搭載される流体圧機器、例えば、パワーステアリング装置や変速機等の流体圧供給源として用いられる。作動流体は、オイルやその他の水溶性代替液等である。
【0014】
ベーンポンプ100は、駆動軸1の端部にエンジン(図示せず)の動力が伝達され、駆動軸1に連結されたロータ2が回転する。
【0015】
ベーンポンプ100は、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーン3と、ロータ2を収容すると共にロータ2の回転に伴って内周のカム面4aにベーン3の先端部が摺動するカムリング4と、を備える。
【0016】
ロータ2には、外周面に開口部を有するスリットが所定間隔をおいて放射状に形成され、そのスリットにベーン3が摺動自在に挿入される。スリットの基端側には、ポンプの吐出圧が導かれる背圧室17が区画される。ベーン3は、背圧室17の圧力によってスリットから抜け出る方向に押圧され、先端部がカムリング4の内周のカム面4aに当接する。これにより、カムリング4の内部には、ロータ2の外面、カムリングのカム面4a、及び隣り合うベーン3によって複数のポンプ室7が画成される。
【0017】
カムリング4は、内周のカム面4aが楕円形状をした環状の部材であり、ロータ2の回転に伴ってカム面4aを摺動する各ベーン3間によって仕切られるポンプ室7の容積を拡張する吸込領域と、ポンプ室7の容積を収縮する吐出領域と、を有する。各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って拡縮する。ベーンポンプ100は、カムリング4が2つの吸込領域と2つの吐出領域とを有する、いわゆる平衡型のベーンポンプである。
【0018】
ロータ2及びカムリング4の一側面(図1では上側)にはポンプカバー5が当接して配置され、他側面(図1では下側)にはサイドプレート6が当接して配置される。このように、ポンプカバー5とサイドプレート6は、ロータ2及びカムリング4の両側面を挟んだ状態で配置され、ポンプ室7を密閉する。
【0019】
ポンプカバー5におけるロータ2が摺動する面には、カムリング4の吸込領域に対応して開口し、ポンプ室7に作動流体としての作動油を導く円弧状の2つの吸込ポート8が溝状に形成される。
【0020】
サイドプレート6には、カムリング4の吐出領域に対応して開口し、ポンプ室7が吐出する作動油を高圧室12へ吐出する円弧状の一対の第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bが貫通して形成される。
【0021】
各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って、カムリング4の吸込領域にて吸込ポート8を通じて作動油を吸込み、カムリング4の吐出領域にて第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bを通じて作動油を吐出する。このように、各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴う拡縮によって作動油を給排する。
【0022】
駆動軸1は、ブッシュ26を介してポンプボディ10に回転自在に支持される。ポンプボディ10には、ロータ2、カムリング4、及びサイドプレート6が収容されるポンプ収容凹部10aが形成される。
【0023】
ポンプ収容凹部10aの底部には環状の溝部15が形成される。ポンプ収容凹部10aの底部にはサイドプレート6が配置され、溝部15とサイドプレート6によって環状の高圧室12が区画される。高圧室12には、第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bを通じてポンプ室7から吐出された作動油が導かれる。なお、駆動軸1はサイドプレート6を挿通している。
【0024】
ポンプ収容凹部10a内にはサイドプレート6に積層してカムリング4が収容される。ポンプボディ10の環状のスカート10bの端面10cにはポンプカバー5が締結され、ポンプ収容凹部10aはポンプカバー5によって封止される。
【0025】
サイドプレート6には、カムリング4の外周面に形成された凹部(図示せず)を挿通すると共に、ポンプカバー5のピン穴5aに挿入される2本の位置決めピン14が設けられる。位置決めピン14によって、カムリング4に対するポンプカバー5とサイドプレート6の相対回転が規制され、カムリング4の吸込領域とポンプカバー5の吸込ポート8との位置決め、及びカムリング4の吐出領域とサイドプレート6の第1吐出ポート9a、第2吐出ポート9bとの位置決めが行われる。
【0026】
また、ポンプボディ10には、吸込ポート8に連通し吸込ポート8に作動油を導く吸込通路11と、高圧室12に連通し高圧室12の作動油を高圧通路19を通じて外部の油圧機器へと供給する吐出通路13と、が形成される。
【0027】
吐出通路13には、油圧機器に供給される作動油の流量を制御する流量制御弁20(図2参照)が介装される。流量制御弁20は、ポンプボディ10に形成された組み付け穴18に収装される。
【0028】
高圧室12の作動油は、ポンプボディ10に形成された高圧通路19を通じて流量制御弁20へと導かれる。高圧通路19は高圧室12に開口する開口部19aを有し、出口部19bは組み付け穴18に開口して形成される。
【0029】
次に、図2を参照して、高圧室12及び高圧通路19について詳しく説明する。図2はポンプボディ10を図1における矢印Aの方向から見た平面図であり、ポンプ収容凹部10aに何も収容されていない状態を示す図である。
【0030】
図2に示すように、ポンプ収容凹部10aの底部には、駆動軸1が挿通する挿通穴1aの周囲を囲むようにして環状の溝部15が形成される。なお、溝部15は円弧状に形成するようにしてもよい。
【0031】
サイドプレート6は、ポンプ収容凹部10aの底部外縁の環状段部10d上に載置されて溝部15を封止し、高圧室12を区画する。サイドプレート6の第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bは、高圧室12に開口し、ポンプ室7から吐出された作動油を高圧室12に導く。第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bは、駆動軸1を挟んで対向するように形成される。第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bを通じて高圧室12に導かれた作動油は、開口部19aから高圧通路19へと流入する。
【0032】
図2に示すように、第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bのうち第1吐出ポート9aが高圧通路19の開口部19aと対向するように配置される。このように第1吐出ポート9aが配置されることによって、第1吐出ポート9aから高圧室12に導かれた作動油は、高圧室12を横切って直接高圧通路19に流入する。一方、第2吐出ポート9bは、高圧通路19の開口部19aから離間した位置に配置される。このように、第2吐出ポート9bが配置されることによって、第2吐出ポート9bから高圧室12に導かれた作動油は、図2において第2吐出ポート9bと高圧通路19の開口部19aとを周方向に沿って左側から連通する第1高圧室12aと右側から連通する第2高圧室12bとの二手に分かれて流れる。第1高圧室12a及び第2高圧室12b内を流れる作動油は、その後高圧通路19の開口部19aにおいて合流し、高圧通路19に流入する。このように、高圧室12には、第2吐出ポート9bから吐出された作動油のみが流れることになる。このため、第1高圧室12a及び第2高圧室12bの流路断面積の合計は、第2吐出ポート9bを通じて吐出された作動油の高圧室12による圧力損失を低減できるように、第2吐出ポート9bの流路断面積よりも大きな流路断面積が確保されていればよい。したがって、高圧室12の流路断面積を第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bの流路断面積の合計よりも小さくすることができる。
【0033】
なお、高圧室12が円弧状、例えば、高圧室12が第1高圧室12aのみで構成される場合には、高圧室12(第1高圧室12a)の流路断面積は、第2吐出ポート9bの流路断面積よりも大きな流路断面積が確保されていればよい。
【0034】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0035】
ベーンポンプ100では、第1吐出ポート9aが高圧通路19の開口部19aと対向するように配置される。これにより、第1吐出ポート9aから高圧室12に導かれた作動油は、高圧室12を横切って直接高圧通路19に流入する。このため、高圧室12には、第2吐出ポート9bから導かれた作動油のみが流れることになるので、高圧室12の流路断面積を第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bの流路断面積の合計よりも小さくできる。これにより、従来のベーンポンプに比べて、溝部15の深さを浅くして高圧室12の流路断面積を小さくしても、高圧室12の必要な流路断面積を確保することができるので、ベーンポンプ100を小型化することができる。
【0036】
また、高圧室12が環状に形成された場合には、第2吐出ポート9bから高圧室12に導かれた作動油は、第1高圧室12a及び第2高圧室12bの二手に分かれて流れるので、高圧室12が円弧状に(第1高圧室12aのみで)形成された場合に比べて、第1高圧室12a及び第2高圧室12bそれぞれの流路断面積を小さくできる。これにより、ベーンポンプをより小型化できる。
【0037】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0038】
ベーンポンプ100は、駆動軸1に連結され外周に複数のベーン3を有するロータ2と、ロータ2を収容し内部にポンプ室7を画成するカムリング4と、ロータ2及びカムリング4が収容されるポンプ収容凹部10aが形成されたポンプボディ10と、ロータ2とポンプボディ10との間に設けられるサイドプレート6と、サイドプレート6に形成され、ポンプ室7から作動流体を吐出する複数の吐出ポート(第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9b)と、ポンプ収容凹部10aの底部に溝状に形成され、複数の吐出ポート(第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9b)を通じて作動流体が導かれる高圧室12と、高圧室12に開口する開口部19aを有し作動流体を高圧室12の外部へ導く高圧通路19と、を備え、複数の吐出ポート(第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9b)のうちの一つ(第1吐出ポート9a)は、高圧通路19の開口部19aに対向するように配置され、高圧室12の流路断面積は、複数の吐出ポート(第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9b)の流路断面積の合計よりも小さいことを特徴とする。
【0039】
この構成では、第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bのうちの第1吐出ポート9aは、高圧通路19の開口部19aに対向するように配置される。したがって、第1吐出ポート9aから吐出された作動流体は、直接高圧通路19に流入する。これにより、高圧室12には、第2吐出ポート9bから導かれた作動油のみが流れることになるので、高圧室12の流路断面積を第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bの流路断面積の合計よりも小さくできる。よって、ベーンポンプ100を小型化することができる。
【0040】
また、ベーンポンプ100では、複数の第1吐出ポート9a及び第2吐出ポート9bは、高圧通路19の開口部19aに対向するように配置される第1吐出ポート9aと、高圧通路19の開口部19aから離間した位置に配置される第2吐出ポート9bと、からなり、高圧室12は、第2吐出ポート9bから高圧室12に導かれた作動流体が高圧室12内において第1高圧室12a及び第2高圧室12bの二手に分かれて流れ、その後高圧通路19の開口部19aおいて合流するように環状に形成され、第1高圧室12a及び第2高圧室12bの流路断面積の合計は、第2吐出ポート9bの流路断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0041】
この構成では、第1高圧室12a及び第2高圧室12bの流路断面積の合計は、第2吐出ポート9bの流路断面積よりも大きい。これにより、第2吐出ポート9bを通じて吐出された作動油の高圧室12による圧力損失を低減できる。また、第2吐出ポート9bから高圧室12に導かれた作動流体は、第1高圧室12a及び第2高圧室12bの二手に分かれて流れるので、第1高圧室12a及び第2高圧室12bそれぞれの流路断面積を小さくできる。これにより、ベーンポンプ100をより小型化することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0043】
例えば、複数の吐出ポートは、一つが高圧通路19に対向するように配置されていれば、三つ以上であってもよい。また、上記実施形態では、ベーンポンプ100は流量制御弁20を備えているが、ベーンポンプ100は流量制御弁20を備えていない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
100・・・ベーンポンプ、1・・・駆動軸、2・・・ロータ、3・・・ベーン、4・・・カムリング、5・・・ポンプカバー、6・・・サイドプレート、7・・・ポンプ室、 9a・・・第1吐出ポート、9b・・・第2吐出ポート、10・・・ポンプボディ、10a・・・ポンプ収容凹部、 12・・・高圧室、12a・・・第1高圧室、12b・・・第2高圧室、13・・・吐出通路、19・・・高圧通路、19a・・・開口部
図1
図2