特許第6454283号(P6454283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454283
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】3次元実装方法および3次元実装装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20190107BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20190107BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20190107BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
   H01L25/08 Y
   H01L25/08 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-550668(P2015-550668)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(86)【国際出願番号】JP2014080610
(87)【国際公開番号】WO2015079991
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-244496(P2013-244496)
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸治
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝美
(72)【発明者】
【氏名】川上 幹夫
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−077173(JP,A)
【文献】 特開2011−071225(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/087003(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/096454(WO,A1)
【文献】 特開2006−041006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447−21/449、21/52
H01L 21/58−21/607、21/67−21/683
H01L 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を、電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装方法において、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物のアライメント用位置の位置座標を記憶し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する際に、
第nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置と、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段によって認識して位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶し、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する、ことを特徴とする3次元実装方法。
【請求項2】
電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を、電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装方法において、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物のアライメント用位置の位置座標を記憶し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する際に、
第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を、前記2視野画像認識手段の上側視野で認識して、前記最下層被接合物のアライメント用位置と位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段の下側視野で認識して位置座標を記憶し、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する、ことを特徴とする3次元実装方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の3次元実装方法であって、
前記第Nの上記被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識する作業を、
前記2視野認識手段の下側視野で行うことを特徴とする3次元実装方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元実装方法であって、
前記最下層被接合物のアライメント用位置の座標と、第1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標の比較から、前記最下層被接合物と第1の上層被接合物の実装ズレを評価し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の座標と、第n+1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標の比較から、前記第nの上層被接合物と第n+1の上層被接合物の実装ズレを評価することを特徴とする3次元実装方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の3次元実装方法であって、
上層被接合物の下面アライメント用位置と上面アライメント用位置の、少なくとも1方として、面上に露出した電極を用いることを特徴とする3次元実装方法。
【請求項6】
電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装装置において、
前記最下層被接合物を保持するステージを備え、
順次積層される前記上層被接合物を保持するヘッドを備え、
上下に2視野を有する2視野画像認識手段を備え、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する度に第nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置と、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の位置座標を記憶する機能と、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置。
【請求項7】
電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装装置において、
前記最下層被接合物を保持するステージを備え、
順次積層される前記上層被接合物を保持するヘッドを備え、
上下に2視野を有する2視野画像認識手段を備え、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を認識して位置合わせを行とともに、前記最下層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する度に、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を、前記2視野画像認識手段の上側視野で認識して、前記最下層被接合物のアライメント用位置と位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段の下側視野で認識して位置座標を記憶する機能と、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の3次元実装装置であって、
前記第Nの上記被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識する機能を、
前記2視野認識手段の下側視野が有することを特徴とする3次元実装装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれかに記載の3次元実装装置であって、
前記最下層被接合物のアライメント用位置の座標と、第1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標を比較して、前記最下層被接合物と第1の上層被接合物の実装ズレを評価する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の座標と、第n+1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標を比較して前記第nの上層被接合物と第n+1の上層被接合物の実装ズレを評価する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の被接合物を上下方向に順次積層していく3次元実装方法および実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の3次元実装方法として、チップの上にチップを順次積層していくCOC工法(Chip On Chip)、ウエハーの上にチップを順次積層していくCOW工法(Chip On Wafer)、ウエハーの上にウエハーを順次積層していくWOW工法(Wafer On Wafer)等がある。いずれの3次元実装方法においても、下層の被接合物の電極(バンプを含む)の位置に対し上層の被接合物の電極の位置を合わせた状態で上層被接合物を順次積層、接合していく必要がある(例えば特許文献1)。
【0003】
このような3次元実装において、上層被接合物を順次積層するのに際し、まずは、最下層の被接合物のアライメント用位置(電極やアライメントマークの位置)を上方から認識手段(例えば、CCDカメラ)で認識し、認識した最下層の被接合物のアライメント用位置を基準にその上に積層される第1の上層被接合物の下面のアライメント用位置(下側電極や下側アライメントマークの位置)を下方からの認識手段で認識し、最下層の被接合物と第1の上層被接合物の位置合わせを行った後に第1の上層被接合物を最下層の被接合物に加熱圧着により接合して実装する。次に接合後の第1の上層被接合物の上面のアライメント用位置(上側電極のや上側アライメントマークの位置)を上方から認識手段で認識し、認識した第1の上層被接合物の位置を基準に、その上に積層される第2の上層被接合物の位置を下方からの認識手段で認識し、第1の上層被接合物と第2の上層被接合物の位置合わせを行った後に第2の上層被接合物を第1の上層被接合物に加熱圧着により接合して実装する。同様に第nの上層被接合物(ここでnは1以上の整数)の位置を上方から認識手段で認識し、認識した第nの上層被接合物の位置を基準に、その上に積層される第nの上層被接合物の位置を下方からの認識手段で認識し、第nの上層被接合物と第n+1の上層被接合物の位置合わせを行った後に第n+1の上層被接合物を第nの上層被接合物に加熱圧着により接合して実装する。
【0004】
また、特許文献2においては、個々の接合対象間の位置合わせを行うのではなく、最下層の被接合物の位置を基準にして、上層被接合物の位置合わせと接合による実装を順次行って、上層被接合物を積層する工程が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−110995号公報
【特許文献2】国際公開第2011/087003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被接合物間の位置合わせを行っても、加熱圧着によって実装ズレが生じることがある。すなわち、各積層時の接合に際して、下層被接合物と上層被接合物の位置合わせが高精度に行われていても、それは積層後の品質を保証するものではない。特に、積層高さに傾きが生じたような場合では、位置合わせを正確に行っても、接合時の加圧力が被接合物の面方向にも働くことになり、実装ズレを引き起こす。そこで、この実装ズレの発生状況を確認する必要があるが、多層積層であるため、X線撮像機を用いた検査では各層の像が重なりあってしまい、正確な評価ができない。また、積層断面の観察は、破壊試験であることから全数検査を行うことは出来ず、サンプリング数が限られるので、不良品を全て見出すことは出来ない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、被接合物を複数積層した3次元実装の、各被接合物間の実装ズレを非破壊で容易に評価することが出来る3次元実装方法および3次元実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を、電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装方法において、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物のアライメント用位置の位置座標を記憶し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する際に、
第nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置と、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段によって認識して位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶し、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する、ことを特徴とする3次元実装方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を、電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装方法において、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物のアライメント用位置の位置座標を記憶し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する際に、
第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を、前記2視野画像認識手段の上側視野で認識して、前記最下層被接合物のアライメント用位置と位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段の下側視野で認識して位置座標を記憶し、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する、ことを特徴とする3次元実装方法である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の3次元実装方法であって、前記第Nの上記被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識する作業を、
前記2視野認識手段の下側視野で行うことを特徴とする3次元実装方法である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、求項1から請求項3のいずれかに記載の3次元実装方法であって、
前記最下層被接合物のアライメント用位置の座標と、第1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標の比較から、前記最下層被接合物と第1の上層被接合物の実装ズレを評価し、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の座標と、第n+1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標の比較から、前記第nの上層被接合物と第n+1の上層被接合物の実装ズレを評価することを特徴とする3次元実装方法である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の3次元実装方法であって、
上層被接合物の下面アライメント用位置と上面アライメント用位置の、少なくとも1方として、面上に露出した電極を用いることを特徴とする3次元実装方法である。
を認識して座標位置を記憶する機能を有したことを特徴とする3次元実装装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装装置において、
前記最下層被接合物を保持するステージを備え、
順次積層される前記上層被接合物を保持するヘッドを備え、
上下に2視野を有する2視野画像認識手段を備え、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を認識して位置合わせを行うとともに、前記最下層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する度に第nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置と、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段によって認識して位置合わせを行うとともに、第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の位置座標を記憶する機能と、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、電極を備えた最下層被接合物上に、上下両面に電極を備えたN個の上層被接合物を電極同士の位置を合わせた状態で順次積層する3次元実装装置において、
前記最下層被接合物を保持するステージを備え、
順次積層される前記上層被接合物を保持するヘッドを備え、
上下に2視野を有する2視野画像認識手段を備え、
前記最下層被接合物上に第1の上層被接合物を積層する際に、
前記最下層被接合物のアライメント用位置と、第1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を認識して位置合わせを行とともに、前記最下層被接合物の上面アライメント用位置を認識して位置座標を記憶する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物上に、第n+1の上層被接合物を接合する度に、第n+1の上層被接合物の下面に記された下面アライメント用位置を、前記2視野画像認識手段の上側視野で認識して、前記最下層被接合物のアライメント用位置と位置合わせをを行うとともに、前記第nの上層被接合物の上面アライメント用位置を前記2視野画像認識手段の下側視野で認識して位置座標を記憶する機能と、
第Nの最上層被接合物を積層した後に、前記第Nの上層被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識して座標位置を記憶する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の3次元実装装置であって、前記第Nの上記被接合物の上面に記された上面アライメント用位置を認識する機能を、
前記2視野認識手段の下側視野が有することを特徴とする3次元実装装置である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項6から請求項8のいずれかに記載の3次元実装装置であって、
前記最下層被接合物のアライメント用位置の座標と、第1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標を比較して、前記最下層被接合物と第1の上層被接合物の実装ズレを評価する機能と、
1≦n≦N−1である第nの上層被接合物の上面アライメント用位置の座標と、第n+1の上層被接合物の上面アライメント用位置の座標を比較して前記第nの上層被接合物と第n+1の上層被接合物の実装ズレを評価する機能とを有したことを特徴とする3次元実装装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る3次元実装方法および3次元実装装置によれば、実装しながら非破壊で容易に被接合物間の実装ズレを評価することが出来る。このため、全数検査が出来るとともに、実装ズレを見出した段階で、それ以上上層の実装を止めることが可能なので、不必要に材料を浪費することが防げる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施態様に係る3次元実装装置の構成図であり、基板に第1の上層チップを実装する過程を示す図である。
図2】基板と第1の上層チップの位置合わせと実装後の状態を示す斜視図である。
図3図1の3次元実装装置で、第1の上層チップ上に第2の上層チップを実装する過程を示す図である。
図4】第1の上層チップと第2の上層チップの位置合わせと実装後の状態を示す斜視図である。
図5】基板と第の上層チップの実装ズレに関する説明図である。
図6図1の3次元実装装置で、第2の上層チップ上に第3の上層チップを実装する過程を示す図である。
図7】第2の上層チップと第3の上層チップの位置合わせと実装後の状態を示す斜視図である。
図8図1の3次元実装装置で、最上層チップの上面アライメント用位置を認識する過程を示す図である。
図9】最上層チップの上面アライメント用位置を認識する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の望ましい実施態様について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係わる3次元実装装置1を示している。3次元実装装置1は、電極2を備えた最下層被接合物としての基板3の上に、上下に電極4を備えた上層被接合物として、N個のチップ(基板3に近い順で、第1の上層チップC1、第2の上層チップC2、・・、第Nの上層チップCN)を、位置を合わせた状態で順次積層するものからなる。3次元実装装置1は、図1に示すように、基板3を吸着保持するステージ6と、チップC(第1の上層チップC1、第2の上層チップC2、・・、第Nの上層チップCNのいずれかを特定しない表記)を吸着保持して基板3に加熱圧着する機能を有するヘッド7と、接合対象となる下層被接合物のアライメント用位置(例えば、アライメント用マークの位置)を認識する第1の認識手段8Dと、ヘッド7に保持されたチップCのアライメント用位置(例えば、アライメントマーク用の位置)を認識する第2の認識手段8Uとを基本構成要素としており、ステージ6、ヘッド7、第1の認識手段8Dおよび第2の認識手段8Uは、実装制御装置9に接続している。
【0021】
本実施態様では、第1の認識手段と第2の認識手段が上下2方向に視野を有する2視野認識手段としての2視野カメラ8として構成されている。すなわち、図1の2視野カメラ8では、第1の認識手段8Dが下側視野で、第2の認識手段8Uが上側視野となっている。また、2視野カメラ8は、下方の被接合物(基板3または下方のチップC)と上方のチップCとの間に、上方のチップCの実装位置に対し、必要に応じて進退できるように設けられている。
【0022】
3次元実装装置1は、順次積層されていく上方のチップCを保持するヘッド7と基板3を保持するステージ6との相対位置を制御可能な移動手段を有しており、実装制御手段9による該移動手段の制御により、下方の被接合物(基板3または下方のチップC)に対して上方のチップCが位置合わせされる。本実施態様では、この位置合わせのために、ステージ6側の位置が制御されるようになっているが、ヘッド7側の位置が制御されるように構成してもよく、両方の位置が制御されるように構成してもよい。
【0023】
なお、2視野カメラ8の制御と信号処理も実装制御装置9によって行われる。実装制御装置9は記憶手段9Mを備えており、第1の認識手段8Dで認識された下方の被接合物(基板3または下方のチップC)のアライメント用位置を記憶手段9Mに記憶する機能と、記憶した下方の被接合物(基板3または下方のチップC)のアライメント用位置を基準として第2の認識手段で認識される上方のチップCを所定の位置に合わせて接合するよう制御する機能も有している。
【0024】
3次元実装は、例えば、以下に示すように行われる。
【0025】
まず、図1に示すように、ステージ6上に保持されている基板3のアライメント用位置3A(アライメント用マークの位置)が第1の認識手段8Dで認識され、その位置情報が実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶される。一方で、第1の上層チップC1の下面アライメント用位置(アライメント用マークの位置)CB1は、第2の認識手段8Uで認識され、この位置情報が、基板3のアライメント用位置3Aの情報と突き合わされ、電極2、4同士の位置が合うように、第1の上層チップC1を保持するヘッド7と基板3を保持するステージ6の相対位置が制御される。本実施態様では、ステージ6側の位置が制御されるので、両位置情報に基づいて、ステージ6の位置制御が行われる。その後、ヘッド7が下降して、第1の上層チップC1を基板3に加熱圧着し、第1の上層チップC1は基板3と接合し実装される。
【0026】
以上の内容を、視点を変えて、基板3のアライメント用位置3Aと第1の上層チップC1の下面アライメント用位置CB1に着目したのが図2(A)であり、上記の過程を経て、第1の上層チップC1が基板3に実装された状態を示したのが図2(B)である。
【0027】
次に、図3に示すように基板3に実装された第1の上層チップの上面に記されている上面アライメント用位置CA1が第1の認識手段8Dで認識され、その位置情報が実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶される。一方で、第2の上層チップC2の下面アライメント用位置CB2は第2の認識手段8Uで認識され、この位置情報が、第1の上層チップC1の上面アライメント用位置CA1の情報と突き合わされ、電極4同士の位置が合うように、第2の上層チップC2を保持するヘッド7と、ステージ6の相対位置が制御される。その後、ヘッド7が下降して第2の上層チップC2を第1の上層チップC1に加熱圧着し、第2の上層チップC2は第1の上層チップC1と接合する。結果として第2の上層チップC2は、第1の上層チップC1とともに基板3に積層した状態で実装される。
【0028】
この内容を、第1の上層チップC1の上面アライメント用位置CA1と第2の上層チップC2の下面アライメント用位置CB2に着目したのが図4(A)であり、上記の過程を経て、第2の上層チップC2が第1の上層チップC1上に積層され実装された状態を示したのが図4(B)である。
【0029】
以上の段階において、実装制御装置9内の記憶手段9Mには、基板3のアライメント用位置3Aと、第1の上層チップC1の上面アライメント用位置CA1の位置情報が記憶されている。ここで、第1の上層チップC1の上面アライメント用位置CA1の位置情報は、第1の上層チップC1が基板3上に実装され固定された状態での位置情報であることから、記憶された両アライメント用位置から、基板3と上層チップC1の実装ズレが算出できる。実装位置ズレの算出として種々の方法が考えられるが、一例として、X方向、Y方向および回転方向(θ方向)のズレを求める例を図5に示す。
【0030】
この後に、図6に示すように、基板3に積層した状態で固定された第の上層チップC1と第2の上層チップC2の、第2の上層チップC2の上面に記されている上面アライメント用位置CA2が第1の認識手段8Dで認識され、その位置情報が実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶される。一方で、第3の上層チップC3の下面アライメント用位置CB3は第2の認識手段8Uで認識され、この位置情報が、第2の上層チップC2の上面アライメント用位置CA2の情報と突き合わされ、電極4同士の位置が合うように、第3の上層チップC3を保持するヘッド7と、ステージ6の相対位置が制御される。その後、ヘッド7が下降して第3の上層チップC3を第2の上層チップC2に加熱圧着し、第3の上層チップC3は、第2の上層チップC2および第1の上層チップC1とともに基板3に積層された状態で実装される。
【0031】
この内容を、第2の上層チップC2の上面アライメント用位置CA2と第3の上層チップC3の下面アライメント用位置CB3に着目したのが図7(A)であり、上記の過程を経て、第3の上層チップC3が第1の上層チップC2上に積層され実装された状態を示したのが図7(B)である。
【0032】
この段階において、実装制御装置9内の記憶手段9Mには、第1の上層チップC1の上面アライメント用位置CA1と、第2の上層チップC2の上面アライメント用位置CA2の位置情報も記憶されている。ここで、第2の上層チップC2の上面アライメント用位置C2Aの位置情報は、第2の上層チップC2が第1の上層チップC1上に実装され固定された状態での位置情報であることから、記憶された両アライメント用位置から、上層チップC1と上層チップC2の実装ズレが算出できる。
【0033】
以後も、積層すべき上層チップCの数Nに応じて同様な走査が行われるが、これを一般式で表すと、以下のようになる。すなわち、1≦n≦N−1となるnにおいて、基板3上に積層した状態で固定された第1の上層チップC1から第n(nは1以上の整数)の上層チップCnの、第nの上層チップCnの上面に記されているアライメント用位置CAnが第1の認識手段8Dで認識され、その位置情報が実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶される。一方で、第n+1の上層チップCn+1の下面アライメント用位置CBn+1は第2の認識手段8Uで認識され、この位置情報が第nの上層チップCnの上面アライメント位置CAnの情報と突き合わされ、電極4同士の位置が合うように、第n+1の上層チップCn+1を保持するヘッド7と、ステージ6の相対位置が制御される。その後、ヘッド7が下降して第n+1の上層チップCn+1を第nの上層チップCnに加熱圧着し、第n+1の上層チップCn+1は、第1の上層チップC1から第nの上層チップCnとともに基板3に積層された状態で実装される。
【0034】
また、この段階では、実装制御装置9内の記憶手段には、第n−1上層チップCn−1の上面アライメント用位置CAn−1と、第nの上層チップCnの上面アライメント用位置CAnの位置情報も記憶されている。ここで、第nの上層チップCnの上面アライメント用位置CAnの位置情報は、第nの上層チップCnが第n−1の上層チップCn−1上に実装され固定された状態での位置情報であることから、記憶された両アライメント用位置から、上層チップCn−1と上層チップCnの実装ズレが算出できる。
【0035】
ここまでで、基板3上に、積層すべきN個の上層チップCが積層されることで積層工程は完了するが、n≦N−1なので、第N−1と第Nの上層チップの位置ズレは求まっていない。そこで、第Nの上層チップCNの上面に記されている上面アライメント用位置CANが第1の認識手段8Dで認識され、その位置情報が実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶される。なお、積層すべき上層チップの数であるNの値は記憶手段9Mに事前に記憶されており、チップCが第Nの上層チップCNであるか否かは実装制御手段9が積層チップ段数を数えて判断する。
【0036】
以上の過程により、最下層被接合物である基板3から、最上層被接合物である第Nの上層チップCNに至るまでの積層の、各被接合物間の実装ズレが非破壊で、しかも高価な検査装置も必要とせずに容易に求まることになる。
【0037】
また、最上層被接合物である第Nの上層チップCNのアライメント用位置CANを認識する作業以外は、位置合わせとアライメント用位置の記憶を同時に行うことが出来る。このため、3次元実装行う上での時間的なロスも殆どなく、生産性への影響も極めて小さい。
【0038】
なお、上記実施の形態においては、第1の上層チップC1のみが基板3を位置合わせの基準とし、上層チップCn+1では上層チップCnを位置合わせの基準としているが、第1の上層チップC1から第Nの上層チップCNの全ての位置合わせ基準を基板3としてもよい。すなわち、第2の上層チップC2から第Nの上層チップCNの位置合わせに際しては、実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶されている基板3のアライメント位置情報を用いても良く、位置合わせのために第1の認識手段8Dを用いる必要はない。ただし、基板3を位置合わせ基準とする場合も、各積層間の実装ズレを求めるためには、基板3のアライメント用位置および、第1の上層チップC1から第Nの上層チップCNについて、上面に記されている上面アライメント用位置(CA1からCAN)を第1の認識手段8Dで認識して、その位置情報を実装制御装置9内の記憶手段9Mに記憶していく必要がある。
【0039】
また、基板3のアライメント用位置として電極2を、上層チップの上面アライメント用位置および下面アライメント用位置として、上層チップが上下に備える電極4を用いても良い。
【0040】
以上の実施態様において、最下層被接合物を基板としたが、最下層被接合物がチップやインターポーザなどの基板以外のものであっても良い。
【0041】
この3次元実装方法および3次元実装装置において、各積層間の実装ズレを順次求められることから、実装ズレが許容範囲を超えた場合に、それ以後は上層チップの積層を止めても良い。このようにすることにより、不良品に使用されるチップ数を削減することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る3次元実装方法および3次元実装装置は、電極を備えた被接合物を積層していくあらゆる3次元実装に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 3次元実装装置
2 最下層にある基板の電極
3 最下層にある基板
3A 基板アライメント用位置
4 チップの電極
6 ステージ
7 ヘッド
8 2視野カメラ
8D 第1の認識手段
8U 第2の認識手段
9 実装制御装置
9M 記憶手段
C1 第1の上層チップ
CA1 第1の上層チップの上面アライメント用位置
CB1 第1の上層チップの下面アライメント用位置
Cn 第nの上層チップ
CAn 第nの上層チップの上面アライメント用位置
CBn 第nの上層チップの下面アライメント用位置
CN 最上層チップ
CAN 最上層チップの上面アライメント用位置
CBN 最上層チップの下面アライメント用位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9