特許第6454303号(P6454303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6454303相互に電気的に接続するためのインターフェースを有する医療機器及び駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454303
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】相互に電気的に接続するためのインターフェースを有する医療機器及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20190107BHJP
   H01R 13/22 20060101ALI20190107BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20190107BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   A61B18/00
   H01R13/22 A
   H01R13/46 C
   H01R13/52 A
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-140339(P2016-140339)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-51601(P2017-51601A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】10 2015 111 627.8
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500023831
【氏名又は名称】カール シュトルツ エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク フォルクマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ズィメン
(72)【発明者】
【氏名】マルティナ ログ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ブッフバウアー
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0121680(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0098733(US,A1)
【文献】 米国特許第03478297(US,A)
【文献】 特開2002−280119(JP,A)
【文献】 特表2013−502949(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/162495(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
H01R 13/22
H01R 13/46
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置(3)に電気的に接続するためのインターフェースを備える医療機器(1)であって、
前記インターフェースは、接続面(11)に配置される複数の電気接点(111a、111b、111c、113)を有し、
前記接続面における前記接点のうちの少なくとも1つ(113)は、前記接続面(11)に設けられる凹部(115)又は前記接続面(11)に設けられる膨出部によって、前記接点のうちの残りの接点(111a、111b、111c)から電気的に分離され、
前記医療機器(1)は、前記接続面(11)を介して、前記駆動装置(3)の対向面(33)に接続可能であり、前記対向面(33)は、電気的な対向接点(331a、331b、331c、333)を有し、
前記対向面(33)の前記対向接点(331a、331b、331c、333)の配置構成は、前記接続面の前記接点(111a、111b、111c)の配置構成の鏡面対称に対応し、
前記対向面(33)の前記対向接点のうちの少なくとも1つ(333)は、前記対向面(33)に設けられた膨出部(335)又は前記対向面に設けられた凹部によって、前記対向接点のうちの残りの対向接点(331a、331b、331c)と電気的に分離され、
前記対向面(33)の前記膨出部(335)又は前記凹部は、前記接続面(11)の前記凹部(115)又は前記膨出部とぴったり合い当接して接続するように構成され、前記対向面(33)の前記対向接点(331a、331b、331c、333)は、前記接続面(11)の前記接点(111a、111b、111c、113)と、それぞれ導電的に当接するとともに、
前記接続面(11)が、前記凹部(115)又は前記膨出部を除いて、平坦に形成され、
前記接続面(11)の前記接点(111a、111b、111c、113)は、前記接続面(11)に対して平坦になるように位置合わせされることを特徴とする医療機器。
【請求項2】
請求項1記載の医療機器(1)において、前記凹部(115)はノッチ形状に形成され、又は、前記膨出部はステップ形状に形成されることを特徴とする医療機器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の医療機器(1)において、
前記接続面(11)は、略長方形形状であり、
前記凹部(115)又は前記膨出部は、前記略長方形形状の長辺に対して略直交するように配置されることを特徴とする医療機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療機器(1)において、前記凹部(115)又は前記膨出部は、液体バリアとして機能することを特徴とする医療機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療機器(1)において、前記凹部(115)又は前記膨出部は、前記接続面の一辺から対向する辺に延在し、及び/又は、前記凹部(115)又は前記膨出部は、中央からずらして配置されることを特徴とする医療機器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療機器(1)において、
前記接続面(11)の前記接点(111a、111b、111c、113)の数及び前記対向面(33)の前記対向接点(331a、331b、331c、333)の数はそれぞれ、4つであり、
前記接続面(11)の前記4つの接点(111a、111b、111c、113)のうちの3つの接点(111a、111b、111c)は、前記接続面(11)の前記凹部(115)又は前記膨出部によって、残りの1つの接点(113)から電気的に分離され、
且つ前記対向面(33)の前記4つの対向接点(331a、331b、331c、333)のうちの3つの接点(331a、331b、331c)は、前記対向面(33)の前記膨出部(335)又は前記凹部によって、残りの1つの接点(333)から電気的に分離されていることを特徴とする医療機器。
【請求項7】
請求項6記載の医療機器(1)において、前記接続面における前記残りの1つの接点(113)から電気的に分離されている前記3つの接点(111a、111b、111c)及び前記対向面における前記残りの1つの接点(333)から電気的に分離されている前記3つの接点(331a、331b、331c)はそれぞれ、二等辺三角形の形状に配置されていることを特徴とする医療機器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療機器(1)において、前記接点(111a、111b、111c、113)及び前記対向接点(331a、331b、331c、333)は、弾性接点として、又は凸面を有する剛性接点として構成されることを特徴とする医療機器。
【請求項9】
請求項8記載の医療機器(1)において、前記接点(111a、111b、111c、113)及び前記対向接点(331a、331b、331c、333)が弾性接点であるとき、該弾性接点(111a、111b、111c、113)にはそれぞれ、前記接続面(11)又は前記対向面の領域に、シール(119)が設けられることを特徴とする医療機器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療機器(1)において、
前記医療機器(1)は、さらにハウジングを有し、
前記ハウジングは、駆動装置(3)の出力軸(31)と結合する結合接続部(13)を有することを特徴とする医療機器。
【請求項11】
ハウジングと、出力軸(31)と、インターフェースと、を備える駆動装置(3)であって、
前記出力軸(31)は、前記ハウジングから突出し、医療機器(1)の結合接続部(13)に結合されるように構成され、
前記インターフェースは、前記駆動装置(3)を前記医療機器(1)に電気的に接続し、接続面(33)に配置された複数の電気接点(331a、331b、331c、333)を有し、
前記接続面(33)の前記接点のうちの少なくとも1つ(333)は、前記接続面(33)に設けられる膨出部(335)又は前記接続面(33)に設けられる凹部によって、前記接点のうちの残りの接点(331a、331b、331c)から電気的に分離され、
前記駆動装置(3)は、前記接続面(33)を介して、前記医療機器(1)の対向面(11)に接続可能であり、前記対向面(11)は、電気的な対向接点(111a、111b、111c、113)を有し、
前記対向面(11)の前記対向接点のうちの少なくとも1つ(113)は、前記対向面(11)に設けられた凹部(115)又は前記対向面(11)に設けられた膨出部によって、前記対向接点のうちの残りの対向接点(111a、111b、111c)と電気的に分離され、
前記接続面(33)の前記膨出部(335)又は前記凹部は、前記対向面(11)の前記凹部(115)又は前記膨出部とぴったり合い当接して接続するように構成され、前記接続面(33)の前記接点(331a、331b、331c、333)は、前記対向面(11)の前記対向接点(111a、111b、111c、113)と、それぞれ導電的に当接するとともに、
前記接続面(33)が、前記膨出部(335)又は前記凹部を除いて、平坦に形成され、
前記接続面(33)の前記接点(331a、331b、331c、333)は、前記接続面(33)に対して平坦になるように位置合わせされることを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に電気的に接続するためのインターフェースを有する医療機器及び医療機器に電気的に接続するためのインターフェースを有する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、腹腔鏡手術機器のような医療機器を、該医療機器から分離可能な駆動装置によって動作させることが知られている。この場合、同じ駆動装置によって異なる機器を動作させることが可能であり、それによって、それら機器の製造コストを節約することができる。さらに、複数の医療機器を交換することができると同時に、駆動装置の寿命を長くすることができ、駆動装置の状態を保ち続けられる。
【0003】
例えば、従来技術である国際公開第2014/162495号パンフレットでは、駆動装置を有する機器が開示されている。駆動装置と医療機器との電気接続のため、駆動装置又は医療機器のいずれか一方に設けられたコンタクトピンが、駆動装置又は医療機器の他方に設けられたバネ接点間に挿入される。そして、バネ接点の復元力によって、コンタクトピンが保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合に問題となる点は、駆動装置と医療機器との接続において、大きな力が必要となることである。さらに、接点の洗浄がむずかしいことも問題である。特に、残留水分によって、電気的短絡する危険性が高くなり、意図したように機器を操作することができなくなる。
【0005】
従って、簡単に接続でき且つインターフェースの領域における接点の洗浄が容易である、駆動装置に電気的に接続するための接点部材を有する医療機器を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、駆動装置に電気的に接続するためのインターフェースを備える医療機器が提供される。前記インターフェースは、接続面に配置される複数の電気接点を有する。前記接続面における前記接点のうちの少なくとも1つは、前記接続面に設けられる凹部又は前記接続面に設けられる膨出部によって、前記接点のうちの残りの接点から電気的に分離されている。
【0007】
少なくとも1つの接点を残りの接点から電気的に分離することによって、接続面に残留水分が発生する場合、1つの接点と残りの接点との電気的短絡を防止することができる。医療機器による作業中に、血液等の液体が接続面を覆う場合に、同様の効果が得られる。
【0008】
好適には、前記接続面は、前記凹部又は前記膨出部を除いて、平坦に形成される。
【0009】
このような構成によって、医療機器の使用中又は洗浄中において、接続面に付着する可能性のある液体を簡単に排出することができる。さらに、洗浄/滅菌プロセスが容易になる。
【0010】
好適には、前記凹部はノッチ形状に形成され、又は、前記膨出部はステップ形状に形成されるとよい。
【0011】
このような構成によって、製造が容易になる。さらに、対応部分に合わせて正確に嵌合するように、凹部又は膨出部を形成することが容易となる。
【0012】
好適には、前記接続面は、略長方形形状であるとよい。また、前記凹部又は前記膨出部は、前記接続面を構成する前記略長方形形状の長辺に対して略直交するように配置されるとよい。
【0013】
このような構成によって、互いに電気的に分離されない接点を配置するためのスペースを十分にとることができる。
【0014】
好適には、前記凹部又は前記膨出部は、液体バリアとして働く。
【0015】
これは、特に、作業に先立って行われる滅菌プロセスにおいて接続面に水分が残留している場合又は機器による作業において血液等の液体が接続面を覆う場合、有益である。
【0016】
前記凹部又は前記膨出部は、前記接続面の一辺から対向する辺に延在するとよい。さらに、前記凹部又は前記膨出部は、前記接続面において、中央からずらして配置されるとよい。
【0017】
これによって、少なくとも1つの接点とその他の接点との電気的分離が確実に維持され、それによって、大量の液体が接続面を覆う場合、電気的短絡を回避することができる。
【0018】
好適には、インターフェースはまた、電気的な対向接点を有する対向面を有するとよい。前記対向面の前記対向接点の配置構成は、前記接続面の前記接点の配置構成の鏡面対称に対応する。
【0019】
これによって、対向面の対向接点と接続面の接点との電気的接続は、2つの面を当接させることによって、好適に可能となる。
【0020】
好適には、対向面の対向接点のうち少なくとも1つは、前記対向面に設けられた膨出部又は前記対向面に設けられた凹部によって、前記対向接点のうちの残りの対向接点と電気的に分離されている。
【0021】
接続面の場合と同様に、対向面に水分が残留している場合、対向面に設けられた膨出部又は対向面に設けられた凹部によって、1つの対向接点と残りの対向接点との電気的短絡を確実に防止することができる。医療機器による作業中に血液等の液体が接続面を覆う場合、同様の効果が得られる。
【0022】
好適には、前記対向面の前記膨出部又は前記凹部は、前記接続面の前記凹部又は前記膨出部にぴったり合うように接続されるとよい。これによって、前記対向面の前記対向接点は、前記接続面の前記接点と、それぞれ導電的に当接する。
【0023】
対向面に設けられる膨出部、又は、対向面に設けられる凹部は、接続面に設けられる凹部に、又は、接続面に設けられる膨出部に、ぴったり合って接続(嵌合当接)される。接続面又は対向面を覆う液体が存在する場合、上記構成によって、毛管効果によって接続面と対向面との間を液体が広がっていくことを確実に防止できる。
【0024】
好適には、接続面の接点の数及び対向面の対向接点の数はそれぞれ、4つであるとよい。4つの前記接点及び4つの前記対向接点のそれぞれにおいて、3つの接点は、膨出部又は凹部によって、残りの1つの接点/残りの1つの対向接点から電気的に分離されるとよい。
【0025】
従って、電気的に分離された1つの接点/1つの対向接点が接地されると同時に、他の3つの接点/他の3つの対向接点によって、3つの異なる機能を提供することができる。
【0026】
好適には、膨出部又は凹部によって1つの接点から分離された3つの接点は、二等辺三角形の形状に配置される。
【0027】
接続面における接点のこのような配置、又は対向面における対向接点のこのような配置によって、各接点に対して別個の機能を明確に区別して割り当てることが可能となる。これによって、製造工程における誤接続を回避することができ、無駄の発生が抑えられる。
【0028】
好適には、接点は、弾性接点として、又は凸面を有する剛性接点として構成される。
【0029】
2つの面のうちの一方の面における接点を弾性接点として形成する場合、それら弾性接点を、他方の面の剛性接点と当接させることによって、弾性接点を変位させる。上記の構成でない場合、寸法公差等によって接点の接続がうまくできないかもしれないが、上記の構成であれば、全ての接点が確実に電気接続される。またさらに、凸面を有する剛性接点の構成によって、存在する可能性のある液体を、比較的早く表面から流出させることができ、それによって、インターフェースの機能が保証される。
【0030】
特に好適には、弾性接点には、接続面又は対向面の領域にシールが設けられるとよい。
【0031】
弾性接点が、剛性接点との接続によって変位する場合でも、該シールによって、接点内部への液体の進入、さらには医療機器又は駆動装置への液体の進入が確実に排除される。
【0032】
好適には、接続面は、医療機器の一部又は駆動装置の一部を構成するとよい。
【0033】
好適には、対向面は、医療機器の一部又は駆動装置の一部を構成するとよい。
【0034】
接続面、又は対向面、又は両方の面は、好適には、樹脂のような導電性ではない材料で形成される。好適には、凹部と膨出部の両方は、同じ非導電性材料から形成されるとよい。
【0035】
医療機器は、結合接続部と接続面とを有するハウジングをさらに有するとよい。結合接続部は、駆動装置の出力軸と結合する。接続面は、該接続面に配置される複数の電気接点を有する。接続面の接点のうちの少なくとも1つの接点は、凹部又は膨出部によって、残りの接点から電気的に分離される。凹部は、接続面にわたって延在するノッチとして形成され、膨出部は、接続面にわたって延在するステップ状突部として形成される。
【0036】
好適には、接点は、対向面の対向接点と当接する場合、ハウジング内に変位する弾性接点として構成されるとよい。接点には、接続面の領域にシールが設けられるとよい。これにより、ハウジング内への液体の進入が防止される。
【0037】
好適には、接点の個数は4個であり、それら接点のうちの3つの接点は、ノッチ又はステップ状突部によって、残りの1つの接点から電気的に分離されるとよい。該3つの接点は好適には、二等辺三角形の形状に配置されるとよい。
【0038】
医療機器は、手術用機器であるとよく、好ましくは腹腔鏡手術用機器がよい。そのような機器の例としては、ニードルホルダやバイポーラ鉗子やバイポーラ型鋏が挙げられる。
【0039】
本発明はまた、ハウジングと該ハウジングから突出する出力軸とを有する駆動装置に関する。該ハウジングはまた、複数の電気接点を有する接続面を備える。好ましくは、接続面の接点のうちの少なくとも1つの接点は、該面にわたって延在するノッチ形状の凹部又は該面にわたって延在するステップ形状の膨出部によって、残りの接点から分離される。該接続面は、上記した医療機器の接続面に当接する。それによって、2つの接続面のうちの一方は、対向面の機能を満たし、従って、医療機器又は駆動装置の接続面のうちの一方は、以下の記載及び請求項では、「対向面」とも呼ばれる。特に、この用語は、2つの接続面について説明する際、それら2つの接続面を区別するために、用いられる。
【0040】
ノッチ又はステップ形状部による、接続面又は対向面における少なくとも1つの接点と残りの接点との電気的分離によって、水分が進入した場合、短絡ひいては駆動装置のモータの誤動作を防止することができる。好ましくは、接点は、接続面又は対向面に対して平坦になるように位置合わせされる。これにより、それら面の洗浄が容易になる。接点の表面は、凸形状に形成されてもよい。これによって、水分が接点表面に残留することが防止される。
【0041】
本発明のさらなる効果は、添付図の参照による好ましい実施形態の以下の説明によって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、互いに分離した状態にある医療機器及び駆動装置の斜視図である。
図2図2は、対向面を視野に入れた前記駆動装置の斜視図である。
図3図3は、前記駆動装置の一部である対向接点を有する前記対向面の詳細図である。
図4図4は、接続面を視野に入れた前記医療機器の斜視図である。
図5図5は、前記医療機器の一部である接点を有する前記接続面の詳細図である。
図6図6は、剛性接点の図である。
図7図7は、弾性接点の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の好ましい実施形態が、図1から図7を参照して説明される。
【0044】
図1は、互いに分離された状態にある医療機器1及び駆動装置3を示す。駆動装置3は、医療機器1のガイドサポート17(図4参照)に挿入されることで、駆動装置3の出力軸31(図2参照)が、医療機器1に設けられた結合部13と係合する。電気的接続のため、接続面11が、医療機器1のソケット内に設けられる。略長方形形状である接続面11には、4つの接点111a、111b、111c、113が配置される。接点113は、ノッチ(凹部)115によって、他の残りの接点111a、111b、111cから電気的に分離される。接続面は、平坦に形成される。
【0045】
接点111a、111b、111c、113は、弾性接点として構成される。図7に示されるように、弾性接点111a、111b、111c、113はそれぞれ、外側スリーブ117を有する。該外側スリーブ117には、コンタクトピン114が、軸方向に変位可能に設けられる。外側スリーブ117とコンタクトピン114との間には、接続面11の領域内の取付位置に配置されるリング形状のシール119が設けられる。ステンレス鋼製のシールボール116は、弾性接点111a、111b、111c、113の下部に配置され、医療機器1のハウジングの内部に対するシールとなる。
【0046】
バネ118(図7では、バネ118の最底端のみが視認できる)は、外側スリーブ117内に配置される。コンタクトピン114が外側スリーブ117に対して下方に変位してバネに負荷を加えるように、医療機器1と駆動装置3を接続する際、バネ118には負荷が加えられる。駆動装置3と医療機器1とを再度分離する場合、バネ118は、コンタクトピン114を復帰させるように働く。
【0047】
図3は、接続面を詳細に示す。この接続面は、医療機器1に設けられた接続面11と区別するため、以下では、対向面33と呼ばれる。対向面33には、対向接点331a、331b、331c、333が設けられる。対向面33は、駆動装置に設けられる。対向接点333は、ステップ状突部(膨出部)335によって、他の残りの接点331a、331b、331cとは電気的に分離される。
【0048】
図6に示される対向接点331a、331b、331c、333は、剛性接点(対向接点)として構成され、凸面337を有する頭部338と、本体部339とを備える。突部335及び剛性対向接点331a、331b、331c、333の凸面337によって、以下の事象を回避することができる。すなわち、液体の存在に起因して対向面/接続面の領域において短絡が発生し、その結果、医療機器操作中に駆動装置3のモータが意図しない動作を行ってしまうことを回避することができる。
【0049】
すなわち、突部335は、液体バリアとして機能する。さらに、対向面の領域内に配置された対向接点331a、331b、331c、333の凸面337によって、対向接続面33の領域に存在する液体が、対向接点331a、331b、331c、333から流出することが促進される。このため、医療機器に接続した駆動装置の動作中において、接続面11と対向面33との間のインターフェースの領域に、血液のような液体が進入した場合であっても、最大限の確実さで、短絡を排除することができる。
【0050】
駆動装置3を医療機器1に接続する場合、対向接点331、333は、弾性接点111、113のコンタクトピン114に当接する。駆動装置3と医療機器1との最終的な接続によって、対向接点331a、331b、331c、333は、接点111、113のコンタクトピンを押圧して、コンタクトピン114が、外側スリーブ117内を軸方向に変位する。これによって、外側スリーブ117の内部に設けられたバネ118には、負荷が加えられる。
【0051】
従って、バネ118に負荷が加わることによって、各接点111、113とそれに対応する各対向接点331a、331b、331c、333との間の電気的接続が保証される。
【0052】
さらに、ステップ状突部335は、ノッチ115にぴったり合って当接する。このような接続によって、接続面11と対向面33との間に進入した液体に起因して、駆動装置3を接続した医療機器1の動作中に短絡が起こること、すなわち、毛管効果によって液体が接続面と対向面との間に広がり、駆動装置3のモータが意図しない動作をすることを確実に排除することができる。
【0053】
図5から分かるように、ノッチ115は、接続面11の長辺間に配置され、接点113とその他の接点111a、111b、111cとを電気的に分離する。このため、接続面11に存在する液体によって、電気的に分離されている接点113と接点111a、111b、111cとが導電接続されることが確実に防止される。
【0054】
同様に、図3から分かるように、ノッチ15に対して横方向反転位置に設けられた突部335によって、対向面33に存在する液体によって引き起こされる対向接点333とその他の対向接点331a、331b、331cとの間の導電接続が防止される。
【0055】
液体は、例えば、医療機器による作業中に医療機器に接触する血液又は作業に先立って行われる滅菌プロセス中に医療機器に接触する消毒液等である。
【0056】
作業中に駆動装置3と医療機器1との接続状態を維持するため、機械的インターロック15が、さらに設けられる。このインターロック15によって、駆動装置3の医療機器1からの意図しない分離、ひいては、接点111a、111b、111c、113を有する接続面11と対向接点331a、331b、331c、333を有する対向面33との分離、が防止される。
【0057】
以下では、接点の一配置例が説明される。接点113、333はそれぞれ、接地信号の伝送を行う。接点111b、111c、331b、331cはそれぞれ、駆動装置のモータのための時計回り回転信号又は反時計回り回転信号の伝送を行う。接点111a、331aは、いわゆる「1−Wire」信号の伝送を行う。この信号は、例えば、機器検知や回数計測(医療機器を何回使用したか)のために、制御装置との通信に使用することができる。
【0058】
医療機器1は、トロカールを介して患者の腹部に挿入される腹腔鏡手術用機器、例えばバイポーラ鉗子やニードルホルダやバイポーラ型鋏、として構成されることが好ましい。医療機器1の接続面11の弾性接点111a、111b、111c、113によって、弾性接点111a、111b、111c、113と対向接点331a、331b、331c、333は、平坦に構成することができ、それによって、洗浄が容易となる。
【0059】
図3及び図5から分かるように、本実施形態において、接地信号用ではない接点111a、111b、111c及び対向接点331a、331b、331cは、二等辺三角形の形状に配置される。全体として、接点111a、111b、111c、113及び対向接点331a、331b、331c、333は、接続面11、対向面33に非対称に配置される。
【0060】
ノッチ115は、接地信号伝送用接点113を有する接続面の面積が、接続面11の全面積の約3分の1になるように、接続面11に中央からずらして配置される。横方向において反転させる方式で、突部335は、接地信号伝送用対向接点333を有する対向面の面積が、対向面33の全面積の約3分の1になるように、対向面33に中央からずらして配置される。
【0061】
接続面11は、医療機器1のハウジングと同じ材料で、対向面33は、駆動装置3のハウジングと同じ材料で、それぞれ構成される。材料としては、非導電性樹脂を使用することが好ましい。
【0062】
上記した実施形態は、本発明を実施するための一例であり、本発明は、上記記載に限定されない。例えば、医療機器1の接続面に、ノッチの代わりに、ステップ状突部を設け、駆動装置3の対向面にノッチを設けてもよい。インターフェースの機能は、膨出部分が完全に除去されるのであれば、十分適切に実現できる。
【0063】
本発明は請求項の範囲で定義される様々な態様で実現可能であることは、当業者であれば理解できよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7