(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アース端子接続用のネジ穴を1つ又は複数有し、配電盤等の電気設備を収容する筐体に取り付けられて前記電気設備に帯電した電気を前記筐体へ逃がすのに使用されるものであって、主に電流を受ける金属製の接続板と、前記筐体へ取り付けられて主に電流を前記筐体へ流す金属製の基板とを備え、前記接続板は前記基板へロウ付けされたものである接地用端子台において、
前記基板の上に前記接続板が備えられ、
前記基板上面と前記接続板下面との間に、ロウ付けされたロウ付け部分を有し、
前記接続板と前記基板の双方を上下に貫通する、1つ又は複数の貫通部を備え、
前記貫通部の少なくとも前記接続板内の区間が前記ネジ穴をなすものであり、
前記ロウ付け部分は前記基板と前記接続板との間において少なくとも前記ネジ穴を取り囲むように備えられたものであり、
前記貫通部について、前記基板内の区間の内径は前記接続板内の内径よりも大きなものであり、
前記接続板下面が前記貫通穴の前記基板内の区間と前記接続板内の区間の内径差により備える、前記貫通穴の前記基板内の区間を臨む部位は、前記貫通部の前記基板内の区間側へ突出しないものである接地用端子台。
前記基板の上に1つ又は複数のロウ材を乗せた後前記ロウ材の上に前記接続板を置くことにて、前記基板と前記接続板との間にロウ材を挟んだ状態に配置し、加熱することにより前記ロウ材を融解させ、前記基板へ前記接続板をロウ付けする前記ロウ付け部分を形成するものであり、
前記接続板に、前記貫通部の前記接続板内の区間となる、前記接続板を上下に貫通する1つ又は複数の前記貫通穴を設け、
前記基板に、前記貫通部の前記基板内の区間となる、前記基板を上下に貫通する1つまたは複数の貫通孔を設け、
前記基板の上面における前記貫通孔の開口部を取り囲むよう、前記基板上に前記ロウ材を配置し、
基板の上に乗せられた前記ロウ材の上に前記接続板を乗せて前記貫通穴と前記貫通孔とへ、固定治具としてロウ付けできない素材で形成された軸を通すことにより、前記ロウ付け中前記基板に対し前記接続板の位置がずれることを抑制するものであり、
前記固定治具には前記軸の一端に前記軸より径の大きな頭部を有するものを採用し、
前記貫通孔の径を前記貫通穴の最大径部の径より大きいものとし、
前記軸を前記貫通穴へ通し前記頭部を前記貫通孔へ嵌め合わせる請求項1又は2記載の接地用端子台の製造方法。
前記基板の上に1つ又は複数のロウ材を乗せた後前記ロウ材の上に前記接続板を置くことにて、前記基板と前記接続板との間にロウ材を挟んだ状態に配置し、加熱することにより前記ロウ材を融解させ、前記基板へ前記接続板をロウ付けする前記ロウ付け部分を形成するものであり、
前記接続板に、前記貫通部の前記接続板内の区間となる、前記接続板を上下に貫通する1つ又は複数の前記貫通穴を設け、
前記基板に、前記貫通部の前記基板内の区間となる、前記基板を上下に貫通する1つまたは複数の貫通孔を設け、
前記基板の上面における前記貫通孔の開口部を取り囲むよう、前記基板上に前記ロウ材を配置し、
少なくとも一部の前記貫通穴に前記雌ネジを形成し、当該貫通穴を、接地用端子台の製造後アース端子接続用の前記ネジ穴として使用するものである請求項1又は2記載の接地用端子台の製造方法。
【背景技術】
【0002】
配電盤等の電気設備を収容する筐体には、筐体に収容された電気設備をアースするために、接地線(アース線)が接続される。この接続のために筐体には接地用端子台が溶接にて取り付けられ、当該接地用端子台へボルトにて上記接地線の端子即ちアース端子が接続されるのである。
接地用端子台は、上記ボルトを取り付けるネジ穴を備えるものであり、接地用端子台として鉄製の基板へ銅又は銅合金でできた接続板を固定したものが利用されている。
上記接続板は電気設備に帯電した電流を受けるものであり、上記基板は接続板が受けた電流を筐体へ流すものである。
接地用端子台には、上記接続板と基板の双方を上下に貫通する、2つの以上の貫通部が設けられている。貫通部は上記ボルトを取り付けるために設けられ、当該貫通部がタップ加工によりアース端子接続用の上記ネジ穴とされる。
接地用端子台について、より詳しくは、上記基板は平らな板部と当該板部へ一体に形成された脚部とを備え、板部の上面へ上記接続板がロウ付けされるものであり、脚部は板部の側部から下方へ突出する。
接地用端子台は使用の際に当該脚部の先端(下端)が上記筐体へ溶接にて固定される。
製造時における上記基板への接続板の接続は、従来、1)特許文献1の
図7及び段落番号0002に示されるロウ付けにて溶接する方法と、2)当該特許文献1の請求項1、段落番号0005及び
図1〜
図6へ示される圧搾変形部を形成して物理的に固定する方法とが知られている。
【0003】
上記2)の方法では、ロウ付けの工程は不要であるが、圧搾変形部を形成する工程が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記2)の圧搾変形部を形成する方法を避け上記1)のロウ付けを採用する場合、次の問題がある。
【0006】
先ず、第1の問題について説明する。
上記ロウ付けは、
図5(A)(B)へ示す通り、上記基板t1の上に上記接続板t2を配置し、接続板t2から基板t1へ連続する、アース端子接続用のネジ穴t3とされる前の貫通部へ、専用の軸を固定治具(図示しない。)として通して、基板t1に対し接続板t2がずれないように固定して行われる。尚
図5(B)において、t4は基板t1の上記板部を示し、t5は上記脚部を示している。
上記ロウ付けは、上記固定治具による固定後、線材である銀ロウ(ロウ材)をバーナー(ガストーチ)で炙りながら溶かして、
図5(B)へ示すように接地用端子台の横方向(矢印方向)から接続板t2を基板t1へ固着するものであり、手間の掛かる非能率的な作業を強いられた。
【0007】
第2の問題として、上記において銀ロウは、基板t1と接続板t2の間で接地用端子台の側部付近にのみ流れ込み、基板t1と接続板t2の間全体には行き渡らない。その結果、
図5(B)中暗色で示す、接地用端子台の側部付近の領域rのみロウ付けされて、基板t1と接続板t2の間全体がロウ付けされた状態になっていない。具体的には、上記領域rよりも内側の中央の領域、例えば、複数設けられた上記ネジ穴t3同士の間はロウ付けされていない状態(ロウ付け部分がない状態)となっている。
【0008】
第3の問題は、上記の通りバーナーで炙るため接地用端子台の表面が焼け焦げて見た目が悪く、メッキ処理をして外観を整える必要のあることである。
特に、メッキ処理を行った場合、上記接続板と基板の間の隙間にメッキが溜まったり、ふくれ現象が生じることにて、ネジ穴tへアース端子側の雄ネジが通らない場合があるのでメッキ処理後再度のタップ加工が必要となる。
【0009】
また、第4の問題として、上記第1の問題で説明した通り接地用端子台の側部付近の領域rのみロウ付けされ上記中央の領域はロウ付けで固着されていないので、上記貫通部t3において接続板t2のみならず基板t1側の区間にもタップ加工により雌ネジを形成しておき、接続板t2が基板t1から外れないよう、使用時にアース端子を固定するボルトの雄ネジを接続板t2と基板t1の双方にねじ込めるようしておく必要があった。
【0010】
本発明は、接地用端子台の製造において、接続板の基板への接続手段としてロウ付けを採用する場合における上記問題の解決を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、アース端子接続用のネジ穴を有し且つ配電盤等の電気設備を収容する筐体に取り付けられて前記電気設備に帯電した電気を前記筐体へ逃がすのに使用される接地用端子台であって、前記接地用端子台は、主に電流を受ける金属製の接続板と、前記筐体へ取り付けられて主に電流を前記筐体へ流す金属製の基板とを備え、前記接続板は前記基板と別体に形成されたものであり、前記接続板を前記基板へロウ付けする接地用端子台の製造方法において、前記基板と前記接続板との間に1つ又は複数のロウ材を挟んだ状態に配置し、加熱炉で加熱することにより前記ロウ材を融解させ、前記基板へ前記接続板をロウ付けする接地用端子台の製造方法を提供する。
上記アース端子には、接地線が備える端子の他、接地線以外の電気の導体に設けられた端子、例えば接地用の金具が備える端子も含む。
上記電気設備は、上記筐体に収容されるものであればよく、配電盤の他、分電盤その他の電気設備を含み、当該電気設備を構成する電気機器や回路を含む。
また本発明では、前記加熱炉に水素炉を用い、前記接続板に銅又は銅合金を採用し、前記基板に鉄又は鉄合金を採用し、前記ロウ材にリン青銅を採用し、前記基板の上に前記ロウ材を乗せた後前記ロウ材の上に前記基板を置くことにて、前記基板と前記接続板との間へ前記ロウ材を挟み、前記加熱により前記ロウを融解させて前記ロウ付けを行う接地用端子台の製造方法を提供する。
尚、上記の鉄合金には、ステンレスやステンレス以外の鉄合金を含む。
更に本発明では、前記接続板に、前記接続板を上下に貫通する1つ又は複数の貫通穴を設け、前記基板を、前記ロウ材及び接続板を乗せる板部と、前記板部と一体に形成された少なくとも2つの脚部とを備えるものとし、前記板部に、前記板部を上下に貫通する1つまたは複数の貫通孔を設け、前記脚部の夫々を、互いの間に間隔を隔てて前記板部の下方側へ突出するものとし、前記各脚部の先端が前記筐体への取り付け部分をなすものとし、前記脚部同士の間へ、前記板部の下面における前記貫通孔の開口部を配置しておき、前記板部の上面における前記貫通孔の開口部を取り囲むよう、前記板部上に前記ロウ材を配置し、板部の上に乗せられた前記ロウ材の上に前記接続板を乗せて前記貫通穴と前記貫通孔とへ、固定治具としてロウ付けできない素材で形成された軸を通すことにより、前記ロウ付け中前記基板に対し前記接続板の位置がずれることを抑制する接地用端子台の製造方法を提供できた。
また更に本発明では、前記固定治具はセラミック製とし、且つ、前記固定治具には前記軸の一端に前記軸より径の大きな頭部を有するものを採用し、前記貫通孔の径を前記貫通穴の最大径部の径より大きいものとし、前記軸を前記貫通穴へ通し前記頭部を前記貫通孔へ嵌め合わせる接地用端子台の製造方法を提供する。
更にまた本発明では、前記ロウ材を略環状に形成し、個々の前記貫通孔の開口部へ略環状の前記ロウ材の中空部分が対応するように前記ロウ材を前記板部の上面に配置するものであり、前記ロウ付け後少なくとも一部の前記貫通穴に雌ネジを形成し、当該貫通穴を、接地用端子台の製造後アース端子接続用の前記ネジ穴として使用する接地用端子台の製造方法を提供できた。
上記ロウ材は完全な環状体即ちリングとして形成されたものに限定するものではなく、一部が切欠したC状のものであってもよく、このようなC字状のロウ材もここでは略環状に形成されたものとする。
また、本発明では、アース端子接続用のネジ穴を少なくとも2つ有し、配電盤等の電気設備を収容する筐体に取り付けられて前記電気設備に帯電した電気を前記筐体へ逃がすのに使用されるものであって、主に電流を受ける金属製の接続板と、前記筐体へ取り付けられて主に電流を前記筐体へ流す金属製の基板とを備え、前記接続板は前記基板へロウ付けされたものである接地用端子台において、前記基板と前記接続板との間に、ロウ付けされたロウ付け部分を有し、前記接続板と前記基板の双方を上下に貫通する、2つ以上の貫通部を備え、前記貫通部の少なくとも前記接続板内の区間が前記ネジ穴をなすものであり、前記ロウ付け部分が、少なくとも前記両貫通部間へ備えられた接地用端子台を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、配電盤等の電気設備を収容する筐体の主として底に取り付けられて、筐体内部へ収容される電気設備をアースするのに使用される接地用端子台の製造において、ロウ材を上記基板と接続板の間に挟み、加熱炉で加熱することにより、ロウ付けの際に従来必要とされた、線材である銀ロウをバーナーにて炙るという作業を排除し、生産性を向上させた。更に、生産される各接地用端子台の形状も均一で安定したものとすることができる。
また、本発明は、ロウ材を用いて、接続板を基板へより強固に固定できるものとした。
特に環状に形成されたロウ材を用いることにより、製造時に位置合わせ用の固定治具を通すための、或いは、使用時にアース端子固定用のボルトを受けるため後にネジ穴とされる貫通部の周囲へ、ロウ材を簡単に配置でき、偏りの少ない強固なロウ付けを簡単に行うことができる。
即ち本発明は、上記接続板と基板の間全体をロウ付けできるものとしたのである。特に、上記接続板と基板の間において、前記貫通部同士の間もロウ材にてロウ付けされた接地用端子台を提供できるものとした。
また、従来のようにバーナーで炙ってロウ付けを行わないことで、接地用端子台表面の焼き焦げを無くし、接地用端子台表面へメッキを施す必要性を無くした。このため、需要者のニーズによってメッキ処理を施さない製品を生産することができる。またメッキ処理を不要とすることで、貫通部(上記貫通穴や貫通孔)の再度のドリル加工やタップ加工を不要とした。
また上記焼き焦げによるメッキの必要性以外に、従来ロウ材として用いた銀ロウに代えてリン青銅をロウ材として用いることで錆の発生を抑え、錆を抑える面でのメッキの必要性も無くすことができた。
更に、上記の通り製造時に接続板を基板へより強固に固定できるものとしたことで、ロウ付け後貫通部の接続板側と基板側との間のずれを修正するために、接続板を基板へ固定するための手段を必要とせずに、ドリルにて貫通部を浚うことができ更に浚った貫通部の接続板側と基板側の夫々にタップ加工を施すことができる。
また、接続板を基板へより強固に固定できるものとしたため、端子接続用のネジ穴形成において、接続板側にのみタップ加工を施して雌ネジを形成し、基板側にはタップ加工せずに即ち雌ネジを設けずに済ますことができ、当該タップ加工の工程を省略できる。
上記のドリル加工やタップ加工の省略により、本発明では、工程の簡略化を図ることができ、コストダウンを可能とした。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態について説明する。
(接地用端子台tの基本構成)
この接地用端子台kは、配電盤等の電気設備を収容する筐体(図示しない。)内側へ取り付けられる。接地用端子台tは、主として筐体の底へ、溶接にて取り付けられるのである。接地用端子台tに接地線の端子(図示しない)が接続されて、筐体へ収容された上記電気設備をアースする。
【0015】
図4(B)へ示す通り、この接地用端子台kは、夫々電気の良導体である、基板1と、接続板2と、ロウ付け部分6とを備える。接続板2は主として筐体内の電気設備に帯電し接地線を通じて流れてきた電流を受けるものであり、基板1は主として受けた電流を筐体へ流すものである。
基板1は、鉄又はステンレスなどの鉄合金で形成されたものであり、板部4と板部4の側部から下方へ伸びる一対の脚部5とからなる。板部4は上面が平らに形成されている。脚部5の夫々は、基板1と一体に形成され、基板1の側端から下方へ伸びる。脚部5の先端が上記筐体へ溶接にて取り付けられる取り付け部をなす。
上記接続板2が、基板1の板部4の上に、ロウ材としてリン青銅を用いロウ付けされたロウ付け部分6を介して設けられている。
接地用端子台tには、夫々板部4を上下に貫通すると共に板部4と連続して接続板2を上下に貫通する、2本の貫通部30が設けられている。
図4(B)へ示す例では、貫通部30はネジ穴3である。即ち、貫通部30の接続板2の区間(接続穴32)と基板1の区間(貫通孔31)とに雌ネジが連続して設けられている。雌ネジを備える上記ネジ穴3には、接地線の端子即ちアース端子を固定するボルトの軸を螺合することができる(図示しない)。
ロウ付け部分6は、接地用端子台tの平面視において、両ネジ穴3を取り囲むと共に、両ネジ穴3の間にも配置されている。このため、ロウ付け部分6は、基板1へ接続板2を強固に固定する。
この例でロウ付け部分6は、
図4(B)へ暗色で示す通り、接続板2の下面のほぼ全面と板部4上面との間に設けられ、基板1へ接続板2をより強固に固定している。
【0016】
(接地用端子台tの製造方法)
次に上記接地用端子台tの製造方法を例示する。
この方法は、基板形成工程aと、接続板形成工程bと、ロウ材配置工程cと、ロウ付け部分形成工程dと、ずれ修正工程eと、タップ加工工程fとを遂行する。また、長期の材料管理などの必要に応じて、上記工程後、メッキ処理工程gを遂行するものとしても実施できる。
【0017】
(基板形成工程a)
基板形成工程aにおいて、プレス加工装置(図示しない。)にて鉄又はステンレス製の金属板をプレス加工し、上記基板1を形成する。プレス加工する鉄又はステンレス製の金属板には、予め当該金属板を表裏に貫通する貫通孔31を設けておき、プレス加工によって、
図1(A)〜(C)へ示す通り、上記板部4と脚部5を備えた基板1を形成する。上記プレス加工において、貫通孔31は板部4に備えられるよう加工する。即ち貫通孔31は板部4をその上面から下面へかけて貫通するように配置される。
貫通孔31の径は、従来の貫通孔31より1mm前後大きくするのが好ましい。
また、この例では、板部4を平面視矩形状に形成し、上記脚部5を当該矩形の対向する一対の辺の夫々から下方へ向けて伸びるように形成している。
図1(B)(C)へ示す通り、2つの脚部5は、板部4の左右の夫々に1つ設けられている。但し板部5には4つの脚部5が設けられるものとし、板部4の左右の夫々に2つ設けられるものとしても実施できる。脚部4を板部4の左右に2つ設ける場合、
図1(D)へ示す通り、板部4の左側の2つの脚部4同士は前後に間隔をあけ、板部4の右側の2つの脚部4同士も前後に間隔をあけて配置されるものとするのが好ましい。
後に説明するロウ材配置工程cにおいて、融解したロウ材60が板部5上を偏って流れないように、平らな面へ基板1を乗せた際板部4が水平となるよう脚部4の夫々を形成しておく。但し、ロウ付け部分形成工程dにおいて、融解したロウ材が毛細管現象により、基板1と接続板2との間の隅々まで行き渡るのであれば、特に上記の水平とすることに限定するものではない。
【0018】
(接続板形成工程b)
接続板形成工程bにおいて、プレス加工装置(図示しない。)にて銅又は銅合金製の金属板をプレス加工し、
図1(E)へ示す通り平面視矩形状に上記接続板2を形成する。プレス加工する銅又は銅合金製の金属板には予め当該金属板を表裏に貫通する貫通穴32を設けておき、
図1(E)(F)へ示す通り、接続板2に貫通穴32が備えられるよう当該プレス加工を行う。即ち貫通穴32は接続板2をその上面から下面にかけて貫通する。
接続板形成工程bは、基板形成工程aと並行して遂行するものとする。但し、接続板形成工程bは、基板形成工程aに続いて、或いは基板形成工程aより先に遂行するものとしてもよい。
【0019】
(ロウ材配置工程c)
ロウ材配置工程cにおいて、
図2(A)へ示す環状に形成されたリン青銅製のロウ材60を、
図2(B)(C)へ示す通り、基板形成工程aにて形成された基板1の板部4の上に乗せる。
図2(B)へ示す通り、平面視において、環状のロウ材60の中空部分61が貫通孔31と対応し貫通孔31の開口部と重なるように、ロウ材60を板部4上面に配置する。環状の上記ロウ材60を用いることによって、板部4上面にて貫通孔31の開口部を取り囲むようにロウ材60を簡単に配置することができる。この例では、基板1は貫通孔31を2つ備えるので、ロウ材60を2つ用意し、貫通孔31の上記開口部の夫々を取り囲むように各ロウ材60を配置している。
板部4上面へ
図2(B)(C)へ示す通りロウ材60を配置した後、
図2(D)へ示す通り、貫通穴32が環状のロウ材60の中空部分61と板部4の貫通孔31と重なるように、接続板2をロウ材60の上に乗せる。
以下説明の便宜上、
図2(D)へ示すロウ付け前の、基板1へロウ材60と接続板2を重ねたものを組上品kと呼ぶ。
【0020】
次のロウ付け部分形成工程dでの処理で基板1に対する接続板2の位置がずれることを防ぐために、組上品kには、
図3(A)へ示す通り、固定治具jを取り付けておく。固定治具jは、軸部j1と、軸部j1より径の大きな頭部j2とを備える。軸部j1は貫通穴32とロウ材60と貫通孔31とへ通される。頭部j2は軸部j1の一端に設けられており、軸部j1が脱落しないように固定治具jへ座面を提供するものである。
固定治具jには、ロウ材60にてロウ付けできない素材にて形成されたものを採用する。この例では、固定治具jにはセラミックを採用する。但し、次のロウ付け部分形成工程dでロウ付けされることがないものであれば、セラミック以外の素材でできた固定治具jを用いるのを制限するものではない。
固定治具jの軸部j1は、ロウ材60の融解により接続板2が自重で基板1側へ下がるのを阻害するものではない。即ち上記軸部j1の径は貫通孔31及び貫通穴32の径の夫々よりも若干小さい。
【0021】
(ロウ付け部分形成工程d)
ロウ付け部分形成工程dにおいて、
図3(D)へ示す通り、コンベアnを備えた加熱炉m内へ、固定治具jが取り付けられた上記組上品kを順次移動させる。加熱炉mには水素雰囲気内で組上品kを加熱する水素炉を採用する。
上記コンベアnへ組上品kを乗せ、加熱炉mの入り口側から出口側へ向け加熱炉m内で組上品kを順次移動させる。加熱炉mはヒーター(図示しない。)による加熱にて、加熱炉m内の水素雰囲気中組上品kのロウ材60を融解させる。加熱炉mは、基板1及び接続板2の融解温度より低い温度であることを前提に、ロウ材60の融解温度以上に組上品kを加熱することができる。ロウ材60をリン青銅とするこの例では、加熱炉mで摂氏1100度に加熱することでロウ材60を融解させる。但し、このような温度設定は、ロウ材60の材料に応じて変更することができる。
加熱炉m内において、上記の通りコンベアnにて組上品kを移動させる。組上品kが上記ヒーターのある加熱区間を通過することにて、ロウ材60は上記の通り融解する。組上品kがコンベアnにて上記過加熱区間を通過した後、周囲の温度の低下によりロウ材60が凝固し、凝固後基板1と接続板2との間にロウ付けされた上記ロウ付け部分6が形成される。ロウ付け部分6において、上記融解したロウ材(リン青銅)の拡散層が形成されており、基板1へ接続板2が固着される。ロウ付け部分6は、接続板2を基板1へ確実に固着できるものであればよく、ロウ付け部分6全体が拡散層として形成されたものの他、ロウ付け部分6の一部のみ拡散層とされ他の部分はロウ材(リン青銅)がそのまま凝固した状態となっているもの、或いは拡散層は形成されずにロウ材が凝固してロウ材層を形成するものであってもよい。
基板1への接続板2の固着後、組上品kであったものを加熱炉mから取り出し、固定冶具jを外す。組上品kであったものは、ロウ付け部分形成工程dを経て、
図4(A)へ示す一体品pとされる。一体品pにおいて、接続板2の貫通穴32へ基板1の貫通孔31が連続し、貫通穴32と貫通孔31とが1本の貫通部30を構成する。
【0022】
(ずれ修正工程e)
ずれ修正工程eにおいて、ボール盤などのドリル加工装置(図示しない。)により、一体品pの上記貫通部30をドリルで浚い、貫通穴32と貫通孔31との間の位置ずれを修正する。修正により、貫通部30における貫通穴32の区間と貫通孔31の区間とを同心とする。
【0023】
(タップ加工工程f)
ずれ修正工程eにてずれを修正した貫通部30へ、タップ加工装置(図示しない。)にてタップ加工を行い、貫通部30をボルト(図示しない)を取り付ける上記ネジ穴3とする。
上記一体品pがタップ加工工程fを経ることにて、
図4(B)へ示す接地用端子台tが完成する。
【0024】
(メッキ処理工程g)
メッキ処理工程gにおいて、完成した接地用端子台tについて、更に外観を良くするために接地用端子台t表面へメッキ処理を施す。但し、筐体へ接地用端子台tへ固定した後、塗装を施す場合など、需要者によってはメッキを不要とする場合もあるので、メッキ処理工程gは、需要者のニーズにより実施すれば良い。
特に、基板1は、電流を流す目的の他、筐体に溶接された後塗装される目的となる場合もある。
【0025】
(変更例)
本発明の製造方法の実施によって、接続板2を基板1へ確実に固定することができるので、
図4(A)へ示す一体品pにおいて、接続板2の貫通穴32にのみタップ加工を施し、
図4(C)へ示す通り、設置用端子台tにおいて、基板1の貫通孔31をネジ穴としない即ち雌ネジを形成しないものとしても良い。
【0026】
また基板1の貫通孔31をねじ穴としない場合、
図3(B)へ示す通り、貫通孔31を貫通穴32よりも大きく浚って貫通孔31を貫通穴32より径(最大径)の大きなものとしておくことができる。
図3(B)へ示す通り、上記にて径を貫通穴32より大きくしている貫通孔31へ、固定軸jの頭部j2を嵌める、即ち固定治具jを
図3(A)と上下逆にして使用することができる。固定治具jを
図3(B)のように使用することで固定治具jの軸部j1を短く形成できる。
更に、
図3(C)へ示す通り、固定治具jは、複数の軸部j1に対し共通の頭部j2を1つ有するものとすることにより、より確実に基板1に対する接続板2の位置決めを行うものとすることができる。
図3(C)へ示す例では、頭部j2を平面視矩形の板状に形成しているが、脚部5間に配置できるものであれば、他の形状を採用してもよい。
図3(C)の例において、固定治具jの頭部j2の厚みを基板1の脚部5の突出幅と同じか当該突出幅よりも大きなもとすることにより、固定治具jの上に基板1、ロウ材60、接続板2を順に乗せてゆくことにより、簡単に組上品kを形成することができる。
【0027】
ロウ材60は、上記の通り環状に形成されて
図2(B)へ示すよう、1つの貫通孔31に1つ配置されるものに限定するものではない。複数に分割されたロウ材60の夫々にて、個々の貫通孔31を取り囲むように配置して実施することも可能である。例えばロウ材60を複数の短い線材として、各線材で貫通孔31の開口部を取り囲むように配置してもよいし、素材によっては1本の当該線材を曲げて環状のロウ材60とするものであってもよい。
また、ロウ材60を平面視略8の字を呈するように形成し、1つのロウ材60で2つの貫通孔31の周囲を取り囲むものとしても実施できる。また、基板1の貫通孔31を3つ以上とした場合、ロウ材60は、3つ以上のリングを連ねて一体とした形状としても実施できる。
ロウ材60には、リン青銅が適するが、錆に対してメッキを施すなどの対策を採る場合は、銀ロウを採用してもよく、或いは、基板1や接続板2に用いた金属よりも融点が低く水素炉で融解することができる他の溶接材料を用いるものとしても実施できる。
【0028】
上記各実施の形態において、接地用端子台tには、ネジ穴3(貫通部30)を2つ備えたもの例示したが、ネジ穴3を3個以上備えるものとしても実施でき、またネジ穴3を1つのみ備えるものとしても実施できる。但し接地用端子台tの一般的な大きさや接続される一般的な端子の寸法によって、ネジ穴3を10個以内とするのが最適である。尚ネジ穴3を10個以内に限定するものではない。
また基板1の脚部4についても
図1(B)や
図1(D)へ示すように2つや4つ備えたものに限定するものではなく、2つ以上の他の個数備えるものとしても実施できる。
図1(B)(D)へ示す脚部5は真っすぐ基板1の下方に伸びるものであるが、上記筐体への固定面を大きくするため脚部5の先端側が屈曲するものとしてもよい(図示しない)。
【0029】
上記各実施の形態において貫通部30は、製造時の固定治具jの取り付け用の穴と、使用時にボルトを取り付けるネジ穴3の形成用の穴とを兼ねるものとした。この他、貫通部30を上記ネジ穴3の形成専用の穴とし、製造時の固定治具j取り付け用の穴を副貫通部として、上記貫通部30と別に形成するものとしても実施できる。
【0030】
尚、接地用端子台tの上記筐体への取り付け位置は、筐体の底に限定するものではなく、筐体の底以外の位置へ取り付けるものとしてもよい。接地用端子台tついての上下、例えば上面・下面などの表現は、筐体の底に接地用端子台tを取り付けることを基準に各部の相対的な位置関係を示すものに用いたものであり、絶対的な位置関係、例えば下方は必ず重力の作用する方向とすることを意味するものではない。
【0031】
(まとめ)
この接地用端子台tは、帯電した電流を逃がす目的として使用されるものである。使用において、接地用端子台tは、上記筐体内側にて主に上記筐体の底に溶接にて固定される。
銅製の接続板2の役割は電流を受けることであり、足即ち基板1の役割は電流を流すことであるが、基板1は筐体に溶接された後、必要に応じて塗装される役割もある。
本発明を実施することにより、特に次の各メリットがある。
即ち、ロウ材のリングが全周に溶けるため確実に溶着される。また、焼け焦げないため接続板2及び鉄製の基板1の形状に変化なく形状が安定する。更に水素炉で溶接することによって、生産数が大幅にアップする。
尚、メッキ加工については、需要者のニーズに対応したり、長期で在庫管理する目的で実施すればよい。メッキ加工を行った場合、必要に応じて、再度タップ加工を行えばよい。
【0032】
線材として形成されたロウ材をバーナーで炙ることにて偏ったロウ付けを行っていた従来の製造方法と異なり、本発明では、水素炉による溶接で専用のリングとして形成されたロウ材を用いることにより、基板1と接続板2間において偏りなく個々の貫通孔31の全周が溶接(ろう付け)されるため基板1から接続板2が分離することが無くなった。このため、使用時にボルトを基板1と接続板2の双方へ螺合する必要がなくなり、基板1と接続板2の双方へタップ加工する必要がなくなった。従って接続板2の貫通穴32のみにタップ加工を施せばよい。その結果、基板1の貫通孔31の径を上記貫通穴32よりも大きなものとすることができ、
図3(B)の固定治具jの取り付けが行える。
また本発明の実施により、従来のロウ付けで必要とされたタップ加工やメッキの工程を減らすことができるので、大きなコストダウンも図れる。