特許第6454313号(P6454313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6454313コンクリート構造物への穿孔方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454313
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】コンクリート構造物への穿孔方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/14 20060101AFI20190107BHJP
【FI】
   B28D1/14
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-181222(P2016-181222)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-43457(P2018-43457A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501165628
【氏名又は名称】株式会社ティ・エス・プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】富樫 忠広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智
(72)【発明者】
【氏名】仁尾 文彦
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6170088(JP,B2)
【文献】 特公昭54−12832(JP,B2)
【文献】 特許第4101792(JP,B2)
【文献】 特開昭62−46256(JP,A)
【文献】 特開2011−80814(JP,A)
【文献】 特開2013−060013(JP,A)
【文献】 特開2009−061749(JP,A)
【文献】 特開2007−178365(JP,A)
【文献】 特表平9−508705(JP,A)
【文献】 特開2008−190963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動されるドリルによりコンクリート構造物に孔をあける際に、前記孔内に水を供給し、前記孔内に溜まった、水とコンクリート粉との懸濁水を排水ホースを通して前記孔外に排出するコンクリート構造物への穿孔方法において、
前記懸濁水に混入する金属切削粒子を、前記排水ホースの周囲に配した電磁コイルからなる金属センサにより検知し、前記金属切削粒子を検知したら前記ドリルの回転を停止し、前記電磁コイルが配される部分の前記排水ホースの径を、他の部分より細く形成することを特徴とする、コンクリート構造物への穿孔方法。
【請求項2】
支柱に沿って昇降可能なドリルモータ部と、コンクリート構造物上に載置される工具ガイド基台と、ドリルモータ部の電源と、前記ドリルモータ部を介して水を循環させる水循環装置とを備え、前記ドリルモータ部は、モータにより回転するシャフトと、前記シャフトの先端に取り付けられたドリルとを備え、前記水循環装置からの水は、前記シャフトに沿って流れて前記ドリルに供給され、前記ドリルに供給された水は、前記ドリルから前記ドリルにより穿孔された孔内に噴射され、前記孔内に噴射された水は、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、前記工具ガイド基台の下面に形成された排水室から排水ホースを通って前記水循環装置に循環供給されるコンクリート構造物用穿孔装置において、
前記懸濁水に混入する金属切削粒子を検知する、前記排水ホースの周囲に配された電磁コイルからなる金属センサを備え、前記金属センサにより前記金属切削粒子が検知されたら、前記電源からの前記モータへの電源の供給が停止され、前記電磁コイルが配される部分の前記排水ホースの径は、他の部分より細く形成されていることを特徴とするコンクリート構造物用穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物への穿孔方法および装置、特に、コンクリート構造物にドリルにより孔をあける際に、コンクリート構造物内の鉄筋等の埋設物がドリルにより誤って削られた場合に、即座にドリルによる穿孔を中止することができる、コンクリート構造物への穿孔方法および装置にするものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンクリート構造物に補強工事を施す場合において、コンクリート構造物にアンカー設置用の孔をあける必要が生じる場合がある。
【0003】
コンクリート構造物に孔をあけるための穿孔装置の一例が特許文献1に開示されている。以下、この穿孔装置を従来穿孔装置といい、その概略を、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図4は、従来穿孔装置を示す構成図、図5は、従来穿孔装置の部分断面図である。
【0005】
図4および図5に示すように、従来穿孔装置は、支柱1に沿って昇降可能なドリルモータ部2と、コンクリート構造物3上に載置される工具ガイド基台4と、ドリルモータ部2の電源5と、ドリルモータ部2を介して水を循環させる水循環装置6とから構成されている。
【0006】
ドリルモータ部2は、モータ7により回転するシャフト8と、シャフト8の先端に取り付けられたドリル9とを備えている。水循環装置6からの水は、給水ホース10を通って給水室11に供給された後、シャフト8に沿って流れてドリル9に供給される。ドリル9に供給された水は、ドリル9からドリル9により穿孔された孔12内に噴射される。孔12内に噴射された水は、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、工具ガイド基台4の下面に形成された排水室13から排水ホース14を通って水循環装置6に循環供給される。
【0007】
このように構成されている従来穿孔装置によれば、以下のようにして、コンクリート構造物に孔があけられる。
【0008】
支柱1と工具ガイド基台4とをコンクリート構造物3の所定位置に設置する。そして、モータ7によりシャフト8とともにドリル9を回転させながら、ドリルモータ部2を支柱1に沿って徐々に下降させる。これによって、所定深さの孔12がコンクリート構造物3の所定箇所にあけられる。
【0009】
この際、水循環装置6から孔12内に供給された水は、上述したように、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、工具ガイド基台4の排水室13から排水ホース14を通って水循環装置6に循環供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−160780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来穿孔装置によれば、所定深さの孔をコンクリート構造物にあけることができ、しかも、穿孔の際に生じたコンクリート粉は、孔12内に供給された水と混ざり、懸濁水となって孔12外に排出されるので、コンクリート粉が孔12内へのアンカー等の設置に悪影響を及ぼすおそれはない。
【0012】
しかし、コンクリート構造物内の鉄筋、電線管等の埋設物がドリルにより誤って削られた場合であっても、これを検知する手段がないので、そのまま穿孔作業が続行される結果、コンクリート構造物の強度低下、電線管の損傷等の問題が生じるおそれがあった。
【0013】
従って、この発明の目的は、コンクリート構造物にドリルにより孔をあける際に、コンクリート構造物内の鉄筋等の埋設物がドリルにより誤って削られた場合に、即座にドリルによる穿孔を中止することができる、コンクリート構造物への穿孔方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載の発明は、モータにより駆動されるドリルによりコンクリート構造物に孔をあける際に、前記孔内に水を供給し、前記孔内に溜まった、水とコンクリート粉との懸濁水を排水ホースを通して前記孔外に排出するコンクリート構造物への穿孔方法において、前記懸濁水に混入する金属切削粒子を、前記排水ホースの周囲に配した電磁コイルからなる金属センサにより検知し、前記金属切削粒子を検知したら前記ドリルの回転を停止し、前記電磁コイルが配される部分の前記排水ホースの径を、他の部分より細く形成することに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、支柱に沿って昇降可能なドリルモータ部と、コンクリート構造物上に載置される工具ガイド基台と、ドリルモータ部の電源と、前記ドリルモータ部を介して水を循環させる水循環装置とを備え、前記ドリルモータ部は、モータにより回転するシャフトと、前記シャフトの先端に取り付けられたドリルとを備え、前記水循環装置からの水は、前記シャフトに沿って流れて前記ドリルに供給され、前記ドリルに供給された水は、前記ドリルから前記ドリルにより穿孔された孔内に噴射され、前記孔内に噴射された水は、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、前記工具ガイド基台の下面に形成された排水室から排水ホースを通って前記水循環装置に循環供給されるコンクリート構造物用穿孔装置において、前記懸濁水に混入する金属切削粒子を検知する、前記排水ホースの周囲に配された電磁コイルからなる金属センサを備え、前記金属センサにより前記金属切削粒子が検知されたら、前記電源からの前記モータへの電源の供給が停止され、前記電磁コイルが配される部分の前記排水ホースの径は、他の部分より細く形成されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、水にコンクリート粉が混入した懸濁水への金属切削粒子の有無を金属センサにより検知することによって、コンクリート構造物にドリルにより孔をあける際に、コンクリート構造物内の鉄筋等の埋設物がドリルにより誤って削られたか否かを即座に検知することができ、検知された場合には、ドリルの回転が停止されるので、埋設物の過度の切削を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明のコンクリート構造物用穿孔装置を示す構成図である。
図2】この発明のコンクリート構造物用穿孔装置における電磁コイル部分を示す断面図である。
図3】この発明のコンクリート構造物用穿孔装置を示す部分断面図である。
図4】従来穿孔装置を示す構成図である。
図5】従従来穿孔装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明のコンクリート構造物用穿孔装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この発明のコンクリート構造物用穿孔装置を示す構成図、図2は、この発明のコンクリート構造物用穿孔装置における電磁コイル部分を示す断面図、図3は、この発明のコンクリート構造物用穿孔装置を示す部分断面図である。
【0027】
図1から図3おいて、2は、支柱1に沿って昇降可能なドリルモータ部、4は、コンクリート構造物3上に載置される工具ガイド基台、5は、ドリルモータ部2の電源、6は、ドリルモータ部2を介して水を循環させる水循環装置、15は、後述する懸濁水に混入する金属切削粒子を検知する金属センサである。
【0028】
ドリルモータ部2は、モータ7により回転するシャフト8と、シャフト8の先端に取り付けられたドリル9とを備えている。水循環装置6からの水は、給水ホース10を通って給水室11に供給された後、シャフト8に沿って流れてドリル9に供給される。ドリル9に供給された水は、ドリル9からドリル9により穿孔された孔12内に噴射される。孔12内に噴射された水は、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、工具ガイド基台4の下面に形成された排水室13から排水ホース14を通って水循環装置6に循環供給される。
【0029】
金属センサ15は、排水ホース14の周囲に配された電磁コイル16からなっている。排水ホース14を通る懸濁水に金属切削粒子が混入している場合には、電磁コイル16に誘導電流が発生し、この誘導電流は、電源5に送られる。電源5に誘導電流が送られると、モータ7の電源が自動的に遮断されて、穿孔が中断される。この結果、コンクリート構造物3内の鉄筋等の埋設物17がドリル9により過度に削られることが防止できる。
【0030】
図2に示すように、電磁コイル16が配される部分の排水ホース14の径を、他の部分より細く形成すれば、電磁コイル16を通る懸濁水の流速を速めることができ、かつ、金属切削粒子が混入したコンクリート粉が集中するので、その分、金属切削粒子の検知精度を高めることができる。
【0031】
以上の例は、金属切削粒子が検知されたときに、モータ7によるドリル9の回転を中断して、ドリル9による埋設物17の過度の切削を防止するものであるが、ドリル9が埋設物17を削ると、トルクが増加して、モータ7の負荷電流が大きくなるので、モータ7の負荷電流を検出し、この負荷電流が設定値を超えた場合に、モータ7の駆動を停止するようにしても良い。
【0032】
このように構成されている、この発明のコンクリート構造物用穿孔装置によれば、以下のようにして、コンクリート構造物に孔があけられる。
【0033】
支柱1と工具ガイド基台4とをコンクリート構造物3の所定位置に設置する。そして、モータ7によりシャフト8とともにドリル9を回転させながら、ドリルモータ部2を支柱1に沿って徐々に下降させる。これによって、所定深さの孔12がコンクリート構造物3の所定箇所にあけられる。
【0034】
この際、水循環装置6から孔12内に供給された水は、上述したように、コンクリート粉が混入した懸濁水となって、工具ガイド基台4の排水室13から排水ホース14を通って水循環装置6に循環供給される。この際、金属センサ15により懸濁水に金属切削粒子が混入していることが検知された場合には、モータ7の電源が即座に遮断されて、穿孔が中断される。この結果、コンクリート構造物3内の鉄筋等の埋設物17がドリル9により過度に削られることが防止できる。
【0035】
以上説明したように、この発明のコンクリート構造物用穿孔装置によれば、水にコンクリート粉が混入した懸濁水への金属切削粒子の有無を金属センサ15により検知することによって、コンクリート構造物3にドリル9により孔をあける際に、コンクリート構造物3内の鉄筋等の埋設物17がドリル9により誤って削られた否かを即座に検知することができ、検知された場合には、ドリル9の回転が停止されるので、埋設物17の過度の切削を確実に防止することができる。この結果、コンクリート構造物3の強度が低下するといった問題を確実に回避することができる。
【0036】
また、この発明によれば、電磁コイル16が配される部分の排水ホース14の径を、他の部分より細く形成すれば、電磁コイル16を通る懸濁水の流速を速めることができ、かつ、金属切削粒子が混入したコンクリート粉が集中するので、その分、金属切削粒子の検知精度を高めることができる。
【0037】
また、この発明によれば、金属切削粒子の検知によるモータ7の駆動停止に加えて、モータ7の負荷電流を検出し、この負荷電流が設定値を超えた場合に、モータ7の駆動を停止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1:支柱
2:ドリルモータ部
3:コンクリート構造物
4:工具ガイド基台
5:電源
6:水循環装置
7:モータ
8:シャフト
9:ドリル
10:給水ホース
11:給水室
12:孔
13:排水室
14:排水ホース
15:金属センサ
16:電磁コイル
17:埋設物
図1
図2
図3
図4
図5