(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454406
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】車両ステアリング・システム・トランスミッション
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20190107BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20190107BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20190107BHJP
B62D 119/00 20060101ALN20190107BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D6/00
B62D113:00
B62D119:00
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-507837(P2017-507837)
(86)(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公表番号】特表2017-524595(P2017-524595A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015043644
(87)【国際公開番号】WO2016025250
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】14/456,521
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】サーク,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】フィッツナー,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ケルアック,クレルモン
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−047158(JP,A)
【文献】
特開2000−296781(JP,A)
【文献】
米国特許第08327972(US,B1)
【文献】
特開平02−028061(JP,A)
【文献】
米国特許第06354396(US,B1)
【文献】
特開昭62−198565(JP,A)
【文献】
米国特許第04825972(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0012506(US,A1)
【文献】
米国特許第04986381(US,A)
【文献】
特開昭61−021861(JP,A)
【文献】
米国特許第04621701(US,A)
【文献】
特表2008−522890(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0023257(US,A1)
【文献】
特開2010−175527(JP,A)
【文献】
特開2004−271427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
B62D 6/00
B62D 101/00−137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に接続される原動部と、
第1リンケージを介して前記駆動軸に連結される第1中間軸と、
第2リンケージを介して前記第1中間軸に連結される出力軸と、
前記駆動軸の角度位置を検出する第1センサと、
前記第1中間軸の角度位置を検出する第2センサと、
前記第1、第2センサからの信号を受信する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1、第2センサで検出される角度位置に基づき前記出力軸の回転量を算出するとともに、前記出力軸の動作を制御するための信号を前記原動部へ伝達する
ことを特徴とする車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項2】
前記第1中間軸が前記第1リンケージに係合する第2中間軸と、前記第2リンケージに係合する第3中間軸とからなり、前記第2、第3中間軸が第3リンケージを介して連結されるとともに、前記第2センサが前記第2、第3中間軸の角度位置を検出する第3センサと第4センサとからなることを特徴とする請求項1に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項3】
前記各リンケージがフレキシブルリンクであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項4】
前記フレキシブルリンクがベルトを備えることを特徴とする請求項3に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項5】
前記フレキシブルリンクがチェーンを備えることを特徴とする請求項3に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項6】
前記各リンケージがギアリンクであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項7】
前記制御部が車両制御システムと通信することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項8】
前記出力軸が車両ステアリングシャフトを備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項9】
車両ステアリングシャフトのトルク検出する第5センサを備えることを特徴とする請求項8に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項10】
前記第5センサが前記制御部へトルク信号を伝達することを特徴とする請求項9に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【請求項11】
前記各リンケージの各ギア比は、1よりも大きいことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の車両ステアリング・システム・トランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ステアリング・システム・トランスミッションに関し、より詳しくは、駆動軸に接続されたドライバを備え、駆動軸はフレキシブルリンクによって出力シャフトに接続され、第1のセンサが駆動軸を検知し、制御装置は第1のセンサから信号を受信し、制御装置はドライバへ信号を転送して出力シャフトの動きを制御する、車両ステアリング・システム・トランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワー・アシスト・ステアリングシステム(EPAS)は1960年代頃から存在する。油圧式パワー・アシスト・ステアリングは従来市場を支配してきた。油圧式装置は油圧ポンプがポンピングするとき、高い寄生エネルギ損失を有するが、パワー・アシストを必要としない。この寄生損失を取り除くための初期の試みは、ポンプに電動モータを適合すること、および必要な時にポンプだけを駆動することを含んでいた。
【0003】
電動油圧式パワー・アシスト・ステアリングシステムは、油圧式パワー・ステアリングシステムに供給する油圧式ポンプを駆動するために電動モータを使用する。これらのシステムは業界の中間段階であり、その使用はEPASの使用の増加に伴って衰える可能性がある。EPASシステムは、騒音の低減、エネルギ使用の削減、安全性の高い機能、および運転条件を満たす調整能力を実現する。しかし、これらのシステムの使用は、最近のCAFEの要求を満たすことがより困難になるまで制限されたままである。これは、自動車の燃費を向上させる努力の中で、自動車メーカーがEPASシステムをより多く使用するように推進している。EPASシステムは、油圧式パワー・アシスト・ステアリングシステムで通常見られる寄生損失を排除する。Nexteerのようなシステムメーカーは、燃費を6%向上させると主張している。
【0004】
例えば、EPASシステムの実装が遅くなったことの難点の1つは、12ボルトの電気モータで必要な電力を満たすことであった。最近、この問題を解決するシステムが開発された。さらに、すべてのEPASシステムは、運転者の入力を感知し、電気モータを制御して所望のアシストを提供するための制御モジュールを必要とする。制御モジュールはドライバの入力トルクを測定し、これを使用して必要なアシスト量を決定する。アシストは、運転条件に応じて運転者の要求を満たすために調整され得る。システムは、運転者が利用可能で調整可能な「感覚」さえ有し得る。
【0005】
自動車用EPASの主なけん引役は燃費向上だが、EPASにはさらなる利点がある。システムは、車両のエンジンが作動していなくても操舵補助(ステアリング・アシスト)を行うことができる。また、今日利用可能な自動縦列駐車システムの利用を可能にする。
【0006】
EPASシステムには2つの主要な種類、カラム・アシストおよびラック・アシストがある。ラック・アシストEPASシステムはステアリングラックに接続された電動モータを備える。電動モータは、通常、リードスクリュー機構の駆動を通してラックの動きを補助する。カラム・アシストEPASシステムは、ステアリングカラムに接続された電動モータを有する。電動モータは、通常、ウォームギア型の構成を通してカラムシャフトの動きを補助する。これらのタイプのシステムの1つの利点は、電気モータを客室内に配置して、ボンネットの下の貴重なスペースを解放することができることである。また、これにより、ボンネット環境下の厳しさからあらゆる敏感な電気部品を保護する。
【0007】
ウォーム・ドライブ・カラム・アシスト・システムは、通常、大型重量車で必要とされるアシストパワーよりも要求が低い小型車で使用される。これらのシステムは、ステアリングホイールの速度とウォームドライブの比率によって制限される。その最速の速度において、ステアリングホイールは、約60rpmで比較的にゆっくりと回転する。ステアリングホイールの60rpm速度でかつ15:1のウォームドライブ比において、電動モータの最大速度は900rpmにしかならないであろう。それよりも比率が高いとバック駆動ができないため、ウォームドライブは1:20より小さい比率に制限される。
【0008】
ステアリングシステムは、電源なしで動作され得るものでなければならない。これは、ウォームドライブが、ウォーム(バック駆動型)を駆動するギアで動作され得ることを要求する。低いモータ速度と制限されたウォームドライブ比を有することは、高トルクモータの必要性が生じさせる。高トルクモータを備えていても、これらのタイプのシステムは大型車両において成功していなかった。小型車は軽量であり、また小さい操舵力(ステアリング・エフォート)しか必要としないため、これらのシステムの使用を可能にする。ウォームドライブ・カラム・アシストEPASシステムは、最も低コストのシステムであり、したがって、より小型で安価な車両に対してウォームドライブが役立つ。
【0009】
ウォームドライブアシストを備える一般的なステアリングシステムは、その効率が制限されている。EPASシステムは、利用可能な電力がないときに動作するように設計されなければならない。比率が約20:1を超えたときにバック駆動時にロックアップする傾向があるウォームドライブの性質が原因で、ウォームドライブEPASシステム効率は、バック駆動環境のあいだは約85%より大きくなく65%に近い。
【0010】
この技術の代表は、米国特許第8,327,972号であり、これは、ハウジング、ハウジングに軸支される入力軸、ハウジングに接続されて入力軸に連結された電動モータ、ハウジングに軸支された出力軸とを備え、入力軸と出力軸は、間に第1のベルトがかけ回されるとともに第1の比率を有する第1の一対のスプロケットによって結合され、かつ、第1のベルトおよび第1の一対のスプロケットははす歯構造を備え、入力軸と出力軸は、間に第2のベルトがかけ回されるとともに第2の比率を有する第2の一対のスプロケットによって結合され、入力軸と出力軸とは、間に第3のベルトがかけ回されるとともに第3の比率を有する第3の一対のスプロケットによって結合される、車両ステアリングシステム・トランスミッションを開示する。
【0011】
必要とされるのは、駆動軸に接続されたドライバと、フレキシブルリンクにより出力軸に接続された駆動軸と、駆動軸を検知する第1のセンサと、第1のセンサからの信号を受信する制御部と、出力軸の動きを制御するためのドライバに信号を送信する制御部とを備える、車両ステアリング・システム・トランスミッションである。本発明は、この必要性を満たす。
【発明の概要】
【0012】
本発明の主要な態様は、駆動軸に接続されたドライバと、フレキシブルリンクにより出力軸に接続された駆動軸と、駆動軸を検知する第1のセンサと、第1のセンサからの信号を受信する制御部と、出力軸の動きを制御するためのドライバに信号を送信する制御部とを備える、車両ステアリング・システム・トランスミッションである。
【0013】
本発明の他の態様は、本発明の以下の明細書および添付図面によって指摘されるとともに明らかになるであろう。
【0014】
本発明は、駆動軸に接続されたドライバと、フレキシブルリンクにより出力軸に接続される駆動軸と、駆動軸を検知する第1のセンサと、第1のセンサからの信号を受信する制御部と、出力軸の動きを制御するためのドライバに信号を送信する制御部とを備える、車両ステアリング・システム・トランスミッションを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の明細書に組み込まれその一部を形成する図面は、本発明の好適な実施形態を例示し、描写と共に本発明の原理の説明を果たす。
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、システムトランスミッションの斜視図である。本発明の装置は、センサ1、センサ2、センサ3を備える。センサ1は入力軸4に装着される。センサ2は中間軸12に取り付けられる。センサ3は中間軸23に装着される。フレキシブルリンク6は入力軸4と中間軸12との間にかけ回される。フレキシブルリンク7は中間軸12と中間軸23との間にかけ回される。ベルト8は中間軸23と出力軸10との間にかけ回される。各ベルトはそれぞれのスプロケットとの間に機械的結合を備える。
【0018】
入力スプロケット4は、電動モータや回転トルクを提供する任意の他の装置によって駆動される。センサ1は入力軸4の角度位置を測定する。センサ2は中間軸12の角度位置を測定する。センサ3は中間軸23の角度位置を測定する。入力軸4は20の歯を有する。フレキシブルリンク6およびフレキシブルリンク7は、それぞれ、歯付きベルトまたはチェーンを備えてもよい。
【0019】
中間軸12は、第1スプロケット120および第2のスプロケット121を含む。スプロケット120は43の歯を有し、スプロケット121は18の歯を有する(
図2参照)。入力軸4とスプロケット120は、フレキシブルリンク6を通して接続される。中間軸23は第1のスプロケット230および第2のスプロケット231を有する。スプロケット230は41の歯を有する。スプロケット231は18の歯を有する。スプロケット121とスプロケット230は、フレキシブルリンク7を通して接続される。出力軸5は73の歯を有する。スプロケット231と出力軸5は、フレキシブルリンク8を通して接続される。
【0020】
適切に操作するために、センサ1、2、3を備える3つの軸4、12、23の初期開始位置は、出力軸5の位置と同様に知られていなければならない。この開始位置から、入力軸4の回転の結果として各軸の位置が測定され得る。我々は、各段階での駆動比および全体の駆動比を知っているので、各スプロケットの角度位置は計算され得る。
【0021】
例えば、以下のように与えられるとき:
Θ
1=その開始位置からの入力軸4の角度(回転において、1回転=360度のとき)
N
n=入力スプロケットから各スプロケットへの駆動の比率
Θ
n=その開始位置からのシャフトの角度(回転において)
【0022】
各軸の角度位置は、以下の式を用いて決定され得る:
Θ
n=N
nΘ
1
【0023】
20回転の入力軸4の回転に対して、中間軸12は、
Θ
12=(20/43)(20)
Θ
12=9.3023回転
回転する。
【0024】
回転数の小数部分は、その後角度位置に変換される。
0.3023回転=0.3023*360度/回転=108.28度
【0025】
この結果は、中間軸12の元の開始位置からの回転角度の数を表す。駆動における各スプロケットの駆動比が知られているので、その開始位置からの各軸の位置を決定することができる。
【0026】
本発明の装置は、出力軸5の各位置は、他の3つの軸の1つのみの固有の位置に対応するように構成される。電力がシステム内で失われた場合、電源が復帰するとき、出力軸5の位置は、センサを備えた3つの軸の位置によって決定されてもよい。ドライブは、出力軸の回転数に制限されない場合、個々の軸の位置は、最終的にそれぞれの開始位置に戻り、シャフトの相対位置が再現される。
【0027】
電動アシスト・ステアリングシステムのような装置において、出力軸が車両ステアリングシャフトであるとき、ステアリングシャフトの位置を知ることが有利である。出力軸の既知の位置が失われることを防止するために、駆動比の配置は、位置を再現させるのに必要な回転数が、駆動における合計の回転数を超えるようなものでなければならない。
【0028】
上述のシステムでは、現在位置と各軸の元の開始位置とを比較することができる。3つのすべての現在位置が、センサの公差域内で元の位置と一致するとき、固有の位置はその後それ自体を再現している。位置センサの誤差は、シャフト位置の検出の際に各軸の考えられる位置を拡張する。
【0029】
例えば、センサ1が、入力軸4がその元の位置から時計回りで5度の位置にあることを示す場合、センサ2は、中間軸12に関する位置だけを示すことができ、これは、駆動ステージ1の固定比率に基づいて乗じられた、その開始位置から入力軸4の全ての回転数に回転の5度加算したものに等しい。この考察において、全ての開始位置が垂直位置に対応すると仮定する。例えば、入力軸4が5度回転したとき、中間軸12は5度×(20/43)=2.325度だけ回転している必要がある。入力軸4は、1回転と5度回転した場合は、中間軸12は、(360+5)×(20/43)=169.767度回転している必要がある。この同じロジックは中間軸23の位置にも合致する。同じ例を続けると、中間軸23は、入力軸4の5度の回転に対して、5度×(20/42)×(19/43)=1.027度回転している必要がある。入力軸4の1回転と5度回転に対して、中間軸23は、75.013度回転する。
【0030】
入力軸4の各位置に関して、中間軸12および中間軸23の両方のうちの一方のみに対応する位置に存在する。これらの位置は、主に入力軸4の回転数を示すために使用される。例えば、中間軸23のセンサ3が16.4度の角度を示し、センサ1が5度の角度を示し、およびセンサ2が169.7度示すとき、入力軸4が回転した回転数は44回転に相当する。したがって、出力軸5の位置は(44回転×(360度/回転)+5度)×(20/43)(19/34)(18/73)=802.9度として決定される。これは、その開始位置から2回転と82.95度、もしくは2.23回転に相当する。
【0031】
出力軸5の最終位置の精度は、入力軸4のセンサ1の精度によって決定される。出力軸5の位置は、駆動比で割られたセンサ1の精度に等しい精度で知られる。例えば、センサ1が、19.73の全体比で上記ドライブに5度の位置公差を有する場合、出力軸5の位置は、5/19.73度または0.25度以内に決定され得る。このセンサ配置は、個々の位置センサの精度に対して重要な位置精度を獲得する能力を与える。センサ自体の精度を変更することなく、出力軸上にセンサを置くことと比較した場合、この配置は改善された精度を提供する。
【0032】
所与のセンサの公差域に関して、シャフト位置を再現させるのに必要な入力軸4の回転数を決定する際に、この公差を含めなければならない。本発明の装置の解析は、各センサに5度の位置公差を含むとき、入力軸4の258回転毎にシャフト位置が再現されることを示す。これは出力軸5の13.07回転に相当する。出力軸5の位置を正確に追跡するために、その動きは、シャフト位置の再現を避けることを目的に、総回転数13.07より少なく制限されなければならない。
【0033】
シャフト位置の再現の間の回転総数を最大にするために、各ステージの比率は、それらが整数でないように配置されるべきである。例えば、本発明の装置では、駆動ステージ1の比率は20/43=2.15であり、駆動ステージ2の比率は43/19=2.26であり、また駆動ステージ3の比率は73/18=4.05である。その比率が最も近い整数、例えば40/20=2、であるように駆動ステージ1を変更することは、同じセンサ精度が与えられた入力軸4の68回転ごとにシャフトの位置を再現させる。ドライブの比率は、軸の位置の再現パターンが出力軸に必要な回転数を超えるのに十分な大きさであるように構成されるべきである。
【0034】
例では、各センサは5度の精度公差を有する。1つがセンサ1の精度を2.5度まで増加させた場合、1つは他の2つのセンサ(2、3)の公差を倍増でき、またシャフト位置が再現されるまで同じ回転数(258)を維持する。これはまた、出力軸5の位置検出の精度を、誤差の0.25度から0.125度へ向上させるであろう。
【0035】
センサ1の精度を2.5度へ倍加し、センサ2および3の5度の公差を維持することは、シャフト位置が再現されるまでの回転数を1849へ上昇させる。これは、この例において装置の総回転数を13.07から93.7へ向上させる。
【0036】
センサ1の精度は、ドライブの全体的な位置精度を決定し、従って、センサ2およびセンサ3はセンサ1の公差の2倍を有することができ、装置は依然としてシャフト位置を再現するために同じ回転数を維持することができる。
【0037】
出力軸5の位置を決定するのに有効な、センサ1、センサ2、センサ3の配置のために、駆動ステージの比率は、入力軸4の1回転が、他の軸の少なくとも一つを、センサの公差を含めて、その前の位置と考えられる外の位置に移動させるようでなければならない。
【0038】
例えば、以下のように与えられる:
T=入力軸の1回転
N=関与のある軸に対する比率
E=センサ誤差(回転において)
【0039】
そこで:
TN>E
1(20/43)>5/360
0.4651>0.01389
【0040】
図4は、ステアリングシステムの斜視図である。出力軸5は、ステアリングシステム80のステアリングシャフトである。ステアリングホイール51はステアリングシャフト5に接続される。シャフト5はステアリングラック60に接続される。ステアリングラック60は、図示されていないステアリングのための車両ホイールに接続される。本実施形態では、モータ40は、ジョンソン・エレクトリックEPS−B77を備える。本明細書に記載されているモータは一例であり、他の適切なモータの範囲または使用を制限することを意図しない。
【0041】
図5は、制御システムの概略図である。センサ1は軸4のための角度位置信号をステアリング制御部500へ送信する。センサ2は、軸12の角度位置を検出し、ステアリング制御部500へ信号を送信する。センサ3は、軸23の角度位置を検出し、ステアリング制御部500へ信号を送信する。また、トルクセンサ400は、ユーザによって軸10に加えられるトルク負荷を検出する。トルクセンサは、ステアリング制御部500へ信号を送信する。ステアリング制御部500は、モータ40のための制御要件を決定するために、位置センサ(1、2、3)およびトルクセンサからの信号を処理する。装置500は制御信号をモータ40へ送信し、次にシャフト10にブーストトルクを加える。モータ40は、車両用電源600に接続される。センサ1、センサ2、センサ3はギルブレード360回転センサを備える。トルクセンサ400は、TTエレクトロニクスモデルSX−4428を備える。本明細書に記載されているセンサは一例であり、他の適切なモータの範囲または使用を制限することを意図しない。
【0042】
図6は、他の実施形態の斜視図である。他の実施形態において、本発明の装置は、センサ1、センサ2、センサ3を備える。センサ1は入力軸4に取り付けられる。センサ2は中間軸12に取り付けられる。センサ3は中間軸23に取り付けられる。入力軸4は電動モータ40または回転およびトルクを提供する他の装置によって駆動される。センサ1は入力軸4の角度位置を測定する。センサ2は中間軸12の角度位置を測定する。センサ3は中間軸23の角度位置を測定する。入力軸4は、20の歯を有するギア40を備える。
【0043】
中間軸12は、第1のギア120と第2のギア121とからなる。ギア120は43の歯を有する。ギア121は18の歯を有する。シャフト間の各ギア対は、機械的結合を備える。入力軸4はギア120を駆動する。中間軸23は第1のギア230と第2のギア231とを有する。ギア230は41の歯を有する。ギア231は18の歯を有する。ギア121はギア230を駆動する。出力ギア50は73の歯を有する。ギア231は出力軸5を駆動する。
【0044】
次のように記載されている場合を除き、ギア駆動システムのための計算は、ベルト駆動システムの場合と同じである。
【0045】
センサが公差を有するので、シャフト位置を再現させるために必要な入力軸4の回転数を決定する際に、この公差を含まなければならない。本発明の装置の解析は、各センサに5度の位置公差を有するとき、シャフト位置は入力軸4が387回転ごとに再現することを示している。これは出力軸5の19.49回転に相当する。出力軸5の位置を完全に追跡するために、その移動は、シャフト位置の再現を避けるために、この19.49総回転数以下に制限されなければならない。
【0046】
シャフト位置の再現の間の総移動を最大にするために、ドライブの各ステージの比率は、それらが整数でないように構成されるべきである。例えば、本発明の装置では、駆動ステージ1の比率が43/20=2.15であり、駆動ステージ2の比率が43/19=2.26であり、駆動ステージ3の比率が73/18=4.05である。駆動ステージ1をその比率が最も近い整数、例えば40/20=2となるように変更することが、同じセンサ精度が与えられた入力軸4の32回転ごとにシャフト位置を再現させる。ドライブの比率は、シャフト位置の再現パターンが、出力軸に必要な回転数を超えるのに十分な大きさであるように構成されるべきである。
【0047】
ここに挙げた例では、センサそれぞれが同じ5度の精度公差を有している。センサ1の精度が2.0度に増加される場合、1つが他の2つのセンサの公差を5.0度へ増加させ、シャフト位置が再現されるまで同じ回転数(387)を維持することができる。これはまた、出力軸5の位置の精度を誤差の0.25度から0.125度へ向上させるであろう。
【0048】
センサ1の精度公差を2.5度まで倍加し、またセンサ2および3の5度の公差を維持することは、シャフト位置が再現するための回転数を1763まで向上させる。これは、挙げられた例において、装置の総回転数を19.49から88.77に向上させる。センサ1の精度は、ドライブの全体的な位置精度を決定する。センサ2および3は、より大きな公差を有することができ、また装置はシャフト位置を再現するための同じ回転数を維持することができる。
【0049】
本発明の形態がここに記載されてきたが、本明細書に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、構成と部分との関係で変更され得ることは、当業者には明らかであろう。